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2011年10月21日 (金)

今日は生活保護に関わる話です

ワープア問題というものは今に始まったことではありませんが、慢性的な不景気が続きそこから抜け出せそうにないという空気が社会全体に蔓延してくると、社会にとっても好ましいはずの健全な上昇志向さえもスポイルされてしまうのだなというのが少し前に出ていたこちらの記事です。

「将来に希望ない」64% ワーキングプア急増 (2011年9月9日産経ニュース)

1日7時間、週5日働いているのに生活が苦しく、64%は将来に希望が持てない-。連合が年収200万円以下の千人を対象にアンケートをしたところ、こんな結果が出た。連合は「正社員並みに働いているのに賃金に反映されていない」として、賃金底上げの必要性を訴えている。

 調査は6~7月、携帯電話のサイトを通じて行い、20~59歳の千人が回答。それによると勤務は平均して週4・8日、1日7・0時間。現在の生活実感について聞くと、複数回答で「格差社会の中にいる」が80%、「収入アップは無理」が79%、「世の中の厳しさや薄情さを感じる」が74%、「将来に希望が持てない」が64%などとなった。

食費は1日平均768円。最低賃金の全国平均である時給730円を低いと思っている人は73%。連合は「ワーキングプア(働く貧困層)が急増している。最低賃金を少なくとも800円以上に引き上げなければ」としている。

730円の最低賃金で一日7時間、週5日働いて28日間の収入が10.2万円、一方で食費が一日768円として同じく28日間で2.2万円、残り8万円で住居や社会保障関連の支出をこなそうと思うとなかなか厳しいだろうなとは想像出来るのですが、最低賃金というからには本来人並みに仕事をすれば生きていけるという水準が担保されているべきだと言う考えもありますよね。
昨今ではこれも非常に厳しい労働環境にある人も多いという正社員に比べて週の労働時間が少ないという点からはワークシェアリング等も機能していないという見方も出来そうですが、やはり汗水垂らして働いている人間がその見返りが得られていないと不満を抱く、結果として「どうせ働いても無駄だ」と勤労に対する意欲が低下していくというのは社会にとっても全く良いことではありません。
その点で一生懸命働く低所得層からもきっちり社会保障費などを徴収し税金も取っている一方で、ひとたびそこからさらに一歩下がって生活保護を認められれば単純に収入は増える、年金や医療費は全て免除になり支出は激減すると、突然待遇が改善してしまうわけですから、低所得層にとっては無駄どころか「働けば働くだけ損をする」ということになってしまいますよね。
ひと頃日本にこうした低所得層がさほど沢山はいなかった時代には、このあたりの話はマスコミ報道においても批判的論調はある種のタブーと言うのでしょうか、あまり公に語られることもなかった面がありましたが、最近ではあちらでもこちらでもこの生活保護受給者に対する風当たりが強くなっているかのような報道が目につきます。

「受給者のままでいい」 生活保護4か月連続200万人(2011年10月12日読売新聞)

4か月連続で200万人を上回った生活保護受給者。今年に入って59年ぶりに大台を突破した背景には、働くことが可能な世代の受給者の急増があり、そこには、ひとたび生活保護を受けると泥沼に沈むように働く意欲を失ってしまう受給者の姿も浮かぶ。全国最多の約15万人の受給者を抱える大阪市で、現状を探った。(鈴木隆弘、梶多恵子)

 午前8時半。開庁時間を迎えた大阪市西成区役所に、長い列が吸い込まれていった。
 月1度の生活保護費の支給日だった9月30日、現金支給を受けに来た約200人で、3、4階の窓口前は満員電車並みに混雑し、「1列に並んで下さい」と職員が大声で呼び掛けて回る。同区は人口約12万人のほぼ4人に1人が受給者。市内24区の中で、群を抜く。
 午前9時のチャイムと同時に受給者は一斉に窓口に押し寄せ、職員から茶封筒を受け取る。その多くは50~60歳代の男性だが、若年層もちらほらだがいる。

 Tシャツにジーパン姿で茶髪の男性(34)がいた。窓口を離れ、1階に下りると、待ち構えていた若者に受け取ったばかりの保護費を手渡す。相手はアパートの大家で、家賃4万5000円を支払ったのだという。
 あいりん地区にある、そのアパートを訪ねた。古い簡易宿所を転用した6階建ての典型的な受給者向け。6畳一間には備え付けのテレビと布団、冷蔵庫があるだけで、「1人でいると刑務所にいるような気持ち」と男性。他の住民との付き合いは全くないという。
 数年前から仕事をせず、生活保護は5月から。住宅扶助も含めた月12万5000円を受給するが、家賃と光熱費を除くと「ほとんど酒代」。ガールズバーやキャバクラに出入りし、2、3日でなくなることもある。2年前にアルコール依存症と診断され、借金も数百万円あるという。
 建築作業員など様々な職に就いてきたが、人間関係が煩わしくて続かず、親にも勘当された。それでも「最初は生活保護が後ろめたかった」。職探しに励み、清掃会社の面接を受けたこともある。だが不採用。以後、就職活動はやめた
 「仕事しなくても金が入っちゃう。やる気なくしますね」と、男性は苦笑いを浮かべた。将来の夢は「仕事をして家族を持ち、普通の生活をすること」。このままではダメとわかっている。でも、どうしていいかわからないという。

 「生活保護でようやく、人並みの生活ができるようになりました」と、区役所で出会った別の受給者の男性(37)は笑顔で話した。保護を受けて4年。この間仕事はしたことがない
 約10年前に両親が死亡し、実家マンションを家賃滞納で追い出された。あいりん地区の簡易宿所で暮らして派遣で清掃などに従事、仕事がない時は野宿していたが、不況で仕事が途絶えた。
 うつ病と診断され、生活保護を受けたが、初めて保護費を受け取る時は「恥ずかしかった」。だが就職活動は、100件近く応募して面接に至るのが10件ほど。ある工場に採用が決まった時も、1日7時間の労働が「厳しすぎる」と辞退した。
 医師からは「じきに完治する」と言われているが、「まじめに働いても、月10万円ちょっとでは……」と働く気が起きない。ハローワークにも行かず、スロットマシンで遊ぶ日々。「プロになるまで、生活保護のお世話になろうかな」。悪びれることなく言った。

生活保護費260万円不正受給「パチンコ代に」 56歳女を逮捕(2011年9月5日産経ニュース)

 収入を少なく申告して大阪市から生活保護費を不正受給したとして、大阪府警港署は5日、詐欺の疑いで、同市港区市岡元町のパート従業員、上村フジ子容疑者(56)を逮捕した。同署によると、上村容疑者は「お金が欲しかった。子供のおもちゃ代や洋服、パチンコ代に使った」などと容疑を認めているという。

 逮捕容疑は、平成20年10月~22年3月の間、同市内の食品加工会社のパート従業員などをしていたのに、収入の一部しか同市に申告せず、生活保護費計約260万円をだまし取ったとしている。

 同署によると、上村容疑者は同市に対して、「お好み焼き店でバイトをしている」と述べていたという。

生活保護受給者の家賃 京都市、民間住宅でも代理納付(2011年10月16日京都新聞)

 京都市は、生活保護受給者に毎月支給している保護費から家賃分を差し引き、市が受給者に代わって家主へ支払う「代理納付制度」を民間住宅にも導入する。家賃として支給した保護費が別の用途に使われ、滞納された家賃を得られない家主が泣き寝入りするケースを未然に防ぐのが狙いという。コンピューターシステムの更新を進め、2015年度からの実施を目指す。

■滞納の防止狙う

 生活保護費は、家族構成や現在の収入などに応じて家賃や食費、光熱費、学用品費などが算定され、一括して受給者の口座に振り込まれる。支給の目的に従って使う必要があるが、実際、振り込み後の使い道をチェックできない
 市営、府営の公営住宅ではすでに代理納付を行っているが、民間賃貸住宅の場合、借り手が生活保護受給者であると貸主側に分かるなどプライバシーの問題のほか、住宅が多数に上るため電算処理が追いつかず導入が難しかった。
 保護費の算定を行う電算システムの更新が14年度末までに終わることから、システム一新に合わせて民間賃貸住宅でも代理納付を行うことにし、プライバシー保護のため、受給者の同意が得られた世帯のみで実施する。

 8月末現在の市内の生活保護受給世帯は約3万1500世帯で、このうち、民間賃貸住宅を借りている約2万6千世帯が対象になる見込み。府内ではすでに亀岡市や城陽市などが民間賃貸住宅への代理納付を始めており、19の政令指定都市でも13市が導入している。
 市地域福祉課は「代理納付で家賃が確実に支払われる態勢を整えるとともに、引き続き受給者には支給目的に沿って保護費を使うよう指導していく」としている。

不要な入院に国費4億円 19自治体で生活保護64人分(2011年10月19日朝日新聞)

 生活保護の一種で医療費が全額公費負担になる「医療扶助」について会計検査院が調べたところ、自治体の福祉事務所のチェックがなおざりで、必要がない長期入院を続けている受給者が少なくとも19自治体で64人いたことがわかった。余分に支払われた入院費用は国費分だけで計約4億2千万円に上るという。

 検査院は厚生労働省を通じ、全国の市町村や区、県の福祉事務所が入院の必要性を十分にチェックするよう求める方針。

 厚労省の通達によると、医療扶助の受給者の入院が180日を超えた時点で、主治医側が受給者の症状などを書いた意見書や診療報酬明細書(レセプト)といった書類を提出。福祉事務所の嘱託医らが、入院の継続が必要かを書類でチェックする。さらに確認が必要と判断すれば、嘱託医やケースワーカーは主治医との面談などで意見を聴く。そこで入院が必要ないとされた場合には、退院後の受け入れ先の確保などを支援することになっている。

医療関係者はその職務上あらゆる社会階層の人々と付き合いがありますが、一部公立病院の夜間救急に押しかけてくるのが高級車に乗った生活保護受給者ばかりなんて例は極端にしても、生活保護をもらっても遊んでばかりという人間があまりに多いことは昔から誰しも感じているところで、その意味では保護費でパチンコだスロットだといった話が一般紙に堂々と載るようになったかと思うと隔世の感がありますかね(苦笑)。
いくら一定額の現金収入があるとはいえ、彼らが何故そうまで遊んで暮らせるかと不思議に思う人もいると思いますが、最後に紹介した朝日の記事に示されているように生活保護受給者はお金がなくなると「そろそろ入院させてくれ」と病院にやってくることがしばしばあり、何しろ入院すれば医療費は全て無料の上に月々の保護費ももらえるわけですから、ただ寝ていればお金が貯まっていくという仕組みになっているわけです。
一昔前は親方日の丸で取りっぱぐれが無いとこうした生活保護者ばかりを入院させるというブラック病院も各地にあったやに聞きますが、さすがにお上の目も厳しくなってきたことに加えて今日日そんなブラック病院で働きたがる医療従事者もいませんから、医療の方面においても今や彼らに対する目線は厳しくなってきているのは幸いでしょうか。
しかしこうした生保のシステムがあまりに勤労意欲をスポイルしてしまうことを反面教師とするのも必要ですが、本来ならそれよりも上の生活を求める権利があるはずの低所得勤労者が一番苦労をしているというのは社会正義の上でもおかしな話であるし、このあたりはシステム的にも早急に逆格差を解消して行くべきだという世論が高まることを期待したいところですね。
一方で少し離れた立場から別なことを言う人々もいますが、まずはこちらの記事を紹介してみましょう。

政府が国民に生活資金を支給(2011年10月17日朝日新聞)

◆ベーシックインカムを紹介◆

すべての人が生活に必要な所得を無条件で得る「ベーシックインカム(基本所得)」について考える講演会が16日、松江市朝日町の松江テルサであった。山森亮・同志社大学経済学部教授(41)=社会政策=が「憲法の生存権を尊重する立場に立てば、政府が一定の金額を給付するしかない」と参加者に話しかけた。
 不登校や引きこもりの若者の自立支援に取り組むNPO法人「YCスタジオ」(松江市)が、「所得を保証されることは、若者が引け目や不安から解放される社会的方法になる」と考えて主催した。

 ベーシックインカムは、政府が国民全員に無条件で、生活に最低限必要な現金を支給する政策。生活保護制度よりも、低所得者の働く動機を高める可能性があるとされる。
 山森教授は、自身も20代で生活保護申請を考えるほど困窮した経験をまじえながら、仕組みを紹介した。
 その上で、子ども手当を含む一律の給付が「バラマキ」と非難される情勢について「社会的地位に関係なく生存権を保証するという哲学が欠落した日本だけの特徴」と指摘。「『働かざる者食うべからず』であれば『働かなくても食べられる人』をなくすために相続税を100%にするなど、矛盾はなくさなければならない」と主張した。

 参加者からあがった「導入への道筋はあるのか」の質問には「子ども手当などの個別の保障を拡大し、他の保障と統合するなど段階的な導入が考えられる」と答えた。(竹野内崇宏)

ま、さすがに経済学者さんは言うことが極端だなと感じずにはいられない話なんですが、全ての人に同一額の支給をという制度の利点は年金や生活保護といった様々な面倒くさい話が全て不要になるということでもありますから、そのあたりに要する多大な経費や作業の面倒くささなども考えると一見して悪くないか?とも思えるのがこのベーシックインカムという制度です。
しかし文字通り全ての国民に最低限の生活資金をと言う観点から例えば月に10万円を支給するとすれば、日本人1億2756万人に対して毎年153兆というちょっと現実的でない数字になりますから、財源をどうするかという話を考えるとこの1/10くらいがせいぜいなのかなという気がしますから、なんだ結局は一部の人にだけということになるのならあまりありがたみもないのかなとも思えてきますね。
実際にこうした制度を日本のような大きな国家規模で大々的に導入した例は未だかつて無く、自治体レベルなどごく限定的な範囲で行われている例が散見されるだけだと言いますから、例えば被災地に特区を創って限定的に導入するといったくらいしか実現の道はなさそうに思いますし、逆にそうした限られた用途に向けては決して悪くない話かも知れないとも思うのです。
ただここで注目していただきたいのは「引け目や不安」という言葉が出てきていることですが、前述の記事にあるように当初生活保護に引け目を感じていた人々もいつしかそれにどっぷり安住してしまうという現実があるのに、例えばかねて「生保に現金を渡すからいけないんだ!生活必需品しか買えないチケットにしろ!」と言う意見に「彼らが引け目を感じるじゃないか」と一部から強い反対の声があるのですよね。

いわば低所得社会における勝ち組とも言える生活保護受給者が増え続ける一方で、しかもそこから積極的に抜け出そうというモチベーションを発揮する様子が無く対策が急がれている現状からすると、頑張って働く人に比べての生保であることのデメリットがあった方が当然生保離脱へのモチベーションにつながるはずですが、未だに「生活保護受給者=社会的弱者」という公式を押し通そうとする人々がいるなら対策が必要でしょう。
そこで前述のベーシックインカムという話に戻って考えるのですが、その導入が無理だとしても子ども手当や年金など広範な対象にお金を出すという類似の制度はすでにいくつもあるわけですから、生活保護受給者と同時並行でこれらの方々への支給の一部なりともチケット制にさせていただくというのはどうでしょうか?
むろん年金世代などは実質家族に養われている人々も多いでしょうし「孫に小遣いをやるのに現金の方がいい」という人も多いでしょうから、例えばチケット支給であればなにがしかの割り増しをするといった措置で社会の各方面からチケットが使われていくようになれば、生保受給者にしても堂々とチケットを用いていくことに引け目を感じることはなくなる理屈ですよね。
このチケットに関しては例えば有効期限を短めに設定させてもらう等すれば消費を促す呼び水になるという可能性もありますから、国として是非ともその導入を前向きに検討してみられてはどうかと結構真面目に提案をしておきます。

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コメント

生活保護受給者で就労可能な人は、市役所で仕事を作って働かせた方が良いのではないかと思います。たとえ、その方が税金の支出が一時的に多くなっても。
週4日、市役所からバスで運んで自宅に勝手に帰れないような距離の場所で1日8時間道路の草取りでもさせれば、頑張ってほかの仕事を探そうとするでしょう。来ない人は就労する能力があるのに働かないということで保護打ち切りにすればいいのです。

投稿: クマ | 2011年10月21日 (金) 10時26分

クマさん
私もそう思います。
でも、日本では そういうのは「非効率。税金の無駄遣い。」って絶対言われちゃうんですよね。

投稿: JSJ | 2011年10月21日 (金) 12時11分

町のゴミ拾いでも便所掃除でもなんでもいい、体を使って日々の糧を稼がせることを学習させるべき。
金銭は労働の対価であるという当たり前の感覚を身につけさせることが最大の教育になる。

投稿: aaa | 2011年10月21日 (金) 15時05分

いやいや、実は市民公園等の便所掃除は実は地元町内会の貴重な現金収入ともなっていますので、あまり無闇に取っていかれても痛し痒しなんですが(苦笑)。

投稿: 管理人nobu | 2011年10月21日 (金) 17時47分

実際問題、市役所が生活保護受給者を最低賃金で働かせても一定額以上は保護費を減らすことになるので、税金からの支出がそれほど大きく増えるわけではありません。ただし、国と地方自治体の負担割合が変化しますが・・・

あと、長期間働いていない人は、朝起きて職場に行き、夕方帰るという生活そのものができない人が多いので、そのあたりから鍛える必要があります。

投稿: クマ | 2011年10月21日 (金) 22時54分

毎月のように金が切れたから入院させろって来る連中いますよね。
確かに入院すれば肝臓も少しは休めるんでしょうけど。
チケット制にするなら酒は除外して欲しいなあ…

投稿: ぽん太 | 2011年10月22日 (土) 06時37分

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