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2011年10月11日 (火)

年金制度 どうせ何をやっても改悪にしかならないのなら

政治絡みでよく言われる報道業界の豆知識として、省庁からの重大発表は週末に行われる(ことが多い)という話があるそうです。
驚くようなニュースに遭遇して「何じゃこりゃ!?」と早速詳しく突っ込もうとしても、省庁の方ではすでに週末で休みに入っているので取材もしようがない、結局先方から出された公式発表をそのまま垂れ流すしかないということになるのだとか。
省庁の方ではなぜそういうことになるのかということについて言い訳のネタはあるようなんですが、実際にこういうものが突然ポンと出てきますと「あれ?何それ困るんですけど」と言いたくもなりますよね。

年金の財源不足穴埋めで国債発行…埋蔵金枯渇(2011年10月9日読売新聞)

 政府は8日、2012年度予算で、基礎年金の国の負担分の財源不足約2兆6000億円を補うため、将来の消費税率の引き上げで返済することを前提とした「つなぎ国債」を発行する方向で調整に入った。

 特別会計の積立金など「埋蔵金」による穴埋めが困難になったためだが、消費税率引き上げが実現しなければ、国の借金がさらに膨らむ

 厚生労働省は12年度予算の概算要求で、国の負担分の費用として10兆6743億円を要求した。このうち8兆円超は消費税などで確保できているが、残る約2兆6000億円は調達のメドが立っていないため財務省と厚労省は12年度の不足額は国債発行で確保し、将来の消費税引き上げで償還する方向で調整を進める。

底をつく埋蔵金、基礎年金の国負担どう捻り出す?(2011年10月10日読売新聞)

 政府が2012年度予算案の編成で、基礎年金の国庫負担の一部を「つなぎ国債」でまかなう方向で調整するのは、これまで活用してきた特別会計の剰余金などの「埋蔵金」が底をつき、借金に頼らざるを得なくなっているためだ。

 ただ、「つなぎ国債」の発行は、消費税の引き上げ法案の取りまとめが前提で、実現に向けたハードルは高い。

 基礎年金の国負担割合は、04年に成立した年金改革関連法で、09年度までに2分の1に引き上げることが決まった。現役世代の負担が重くなり過ぎないようにしながら、年金給付額の減少を避ける狙いだった。

 当時、政府が財源として想定したのが消費税だ。安定した財源の確保には、すべての国民が負担する消費税が適しているとの判断だ。しかし、消費税の引き上げは実現せず、毎年の予算編成で巨額の財源不足が課題となっている。

 09~11年度は、現行の消費税収などによる国の負担は36・5%にとどまり、残りは埋蔵金と呼ばれる財政投融資特別会計の準備金や剰余金などで穴埋めしてきた。しかし、埋蔵金も東日本大震災の復興財源に優先的に充てることになり、12年度予算では当てに出来なくなった。過去には年金の積立金から国が負担金を借りた例もあるが、運用が難しくなるなど問題が多い。

 政府は中期財政フレームで、12年度の新規国債発行額を44兆円以下に抑える方針を掲げており、年金財源として国債を2・6兆円発行すれば、12年度の新規発行額が目標を超過してしまう恐れがある。また、「つなぎ国債」の発行には、反発が強い消費税の引き上げ論議の決着が前提になる。

 政府の新年度の予算案は例年、12月下旬に閣議決定される。政府・与党が予算編成までに消費税の引き上げ時期や増税幅を決定できなければ「つなぎ国債」の発行は12年度予算案に盛り込めない。国の負担をどう捻出するか、正念場を迎える。(経済部 有光裕)

おいおい、また後代の肩にこれ以上の借金を積み重ねるつもりかと言いたくもなりますが、近年の短命内閣が選挙対策として?税率引き上げに同意してこなかったことが諸悪の根源であると言うシナリオだとすれば、もうどうやっても金が足りないと言い出した省庁の側では「さっさと消費税率を引き上げろ」というプレッシャーをかけたいというのが本音なのでしょう。
ここでは消費税率引き上げの是非については踏み込んだ話をするつもりはありませんが、税のシステムを議論するというのは政治家の取り扱うべき仕事であるはずなのに、それを省庁側がこうして実質的な口出しのようなことをしてくるというのもどうかなと感じる話ですよね。
これだけのネタでは不足だと言うつもりなのでしょうか、厚労省の側からは前後してこういう話も飛び出してきていますけれども、こちらの方も考えて見るとずいぶんとひどい「聞いてないよ」という話です。

年金支給開始年齢 引き上げ検討へ(2011年10月9日NHK)

厚生労働省は、年金の支給開始年齢について、急速に進む少子高齢化に対応するには、将来的に68歳から70歳程度へ引き上げることを視野に検討を進める必要があるとして、今週から本格的な議論を始める方針です。

年金の支給開始年齢を巡っては、厚生年金について、男性は2025年度、女性は2030年度までに段階的に65歳まで引き上げ、基礎年金と合わせることがすでに決まっています。これについて、厚生労働省は、急速に進む少子高齢化に対応するには、さらに68歳から70歳程度へ引き上げることを視野に検討を進める必要があるとして、今週から社会保障審議会の部会で本格的な議論を始める方針です。具体的には、引き上げるスケジュールを3年に1歳ずつから2年に1歳ずつに早めて、65歳への引き上げ時期を前倒ししたうえで、基礎年金とともに、68歳から70歳程度へ引き上げる案などを示し、定年制の見直しなど高齢者の雇用対策も含めて慎重に議論を進めることにしています。一方、60歳から64歳で、年金と給料の合計が月額28万円を超えると年金が減額される、「在職老齢年金制度」の現在の仕組みについて、働く意欲を阻害しているという指摘があることから、厚生労働省は、減額の対象となる限度額を、65歳以上と同じ46万円や、平均的な給与水準に合わせた33万円に緩和する案などを示し、検討していくことにしています。

今や日本中が不況だ、就職難だと大騒ぎになっていることは周知の事実ですけれども、高齢者雇用安定法の改正によって65歳までの安定雇用が企業に求められた結果、多くの企業がようやく継続雇用制度導入で対応してきている現状で、さらに70歳まで引き上げろと言うのでは企業の側が追いつけるかどうかです。
ちなみにネット上では10年後には支給開始年齢が75歳になってるだろうとか、いや65歳への引き上げがあっさり決まったことを考えれば10年度頃か5年後には再引き上げだとか様々に言われていますが、この調子ですと果たして死ぬまでに払い込んだ分も取り戻せるのだろうかと不安になってきますよね。
ありがたいことにそのあたりの損得を計算してくださった方がいらっしゃったのでこちらに引用させていただきますが、国民年金を25年払い込んだところでやめるという前提(これもなかなか実際は怪しいところだと思いますが)に立つとおおよその目安としてこういうことになるんだそうです。

国民年金納付額
月 約15,000
年 約180,000

給付基準の25年
  4,500,000

国民年金の平均給付額
   約50,000

男性の平均「寿命」の80歳までの支給額(0歳児換算として今後の寿命の延びをくりこみ)
   約6,000,000

収支
   約△1,500,000

25年間分の保険料を支払うかわりに貯金なり運用なりをしていた場合の利回りなども考えると、年金とはそれなりに長生きをしなければ元は取れない制度になっているのだなと思えてきますが、当然ながら黙っていても誰もが儲かるような制度設計ではそもそも成立するはずがありませんから、これは仕方のないことだと思います。
ただあまりに支給開始が遅くなるということであれば年金の意味がなくなると考える人が増えるでしょうし、仮にそれが「どうせ元が取れないのに、納付なんて馬鹿馬鹿しい」と年金制度からの離脱者多数を招くことにつながってくるのなら制度の前提そのものの破綻であって、年金制度を維持しようとしてかえって根本的な破壊を招くということにもなりかねません。
もういっそ年金支給は100歳以上とかきりのいい数字にしてみるのもいいのではないかというと叱られそうですが、たとえば今でも自治体から祝百歳で金一封が出ますけれども、ついでに「おめでとうございます!あなたは晴れて年金受給の資格を手にすることが出来ました!」なんて言うことになれば話としてはシンプルで判りやすいじゃないですか(苦笑)。
もちろん実際にそんなことになるとは思えませんけれども、年金制度から少し離れて高騰を続ける医療費という別な財政支出の観点から見た場合、例えばお爺ちゃんお婆ちゃんの年金で暮らしているという家族から「何があっても死なせてくれるな!もし死なせたら訴えるからな!」なんて無茶な要求をされた経験を持つ医師など別に珍しくもないはずなのです。
年金にしても医療費にしても一部は国庫から賄われていることに違いはないわけで、しかも医療費の非常に大きな部分を高齢者の治療費に使われているなんて言われると、この辺りの相互に関連しそうな領域はトータルで勘案していかないと一方で何とか支出を削っても別なところで大きく支出が増えた、なんてことにもなりかねないかなという気もしてくるわけです。

この点からすると年金支給による国の支出を減らすために年齢制限を厳しくしていくと言うのであれば、支給開始を遅らせるのとは逆の考え方として支給開始年齢を引き上げずにさっさと支給を開始するかわりにたとえば20年を過ぎれば打ち切るといったように、年金支給年数の上限を決めるというやり方もあるわけですよね。
こう言っては言葉が悪いですけれども、高齢者と言ってもやはり60代くらいでまだまだ現役なみに元気な方々と、とっくに平均寿命を超えられた超高齢者の方々ではご本人やご家族はもちろん社会にとっての意味も異なるわけで、やはり人情としてまだまわ若くて元気の良い方には少しでも手厚い対応をしてあげたいという気持ちがあることは否定出来ないでしょう。
ところが実際には年金制度の設計からは前述のように「長生きをしなければ元は取れない」わけですから、結局のところ長生きすることは唯一絶対の正義であるかのようなことにどうしてもなってしまうわけで、老人医療が年金でまかなえる程度の自己負担で済み、結局入院させておくのが一番儲かるということの弊害が医療現場に大きな影を落としています。

これは老人医療のみならず、たとえば俗に「ナマポ」などと言われる一部の生活保護受給者による不適切な医療リソースの浪費問題などもそうですが、病院に入れば一切の支出なしに公費で食べていける、そしてその間も生保の給付金はもらえるという制度設計によって、「今月はパチンコで使いすぎたからカネが貯まるまでしばらく入院させてくれ」なんてことをまじめに言ってくる人が少なからずいるわけです。
とりわけお年寄りが一番お金を持っているなんて言われるこの時代、それが老後の楽しみに使う趣味のお金であれ、あるいは生活費や介護医療など生きていくのに要するお金であれ、基本的に長年の労働で溜め込んだお金はそのまま抱えていかれるのではなく、生きたお金として使っていただかないことには社会が回らないようになってきていますよね。
そこでたとえばお金を持っている高齢者にはきちんと使っていただく、その代わりに手持ちのお金が尽きた場合には生活保護なり貧困高齢者専用の制度なりできっちり国が面倒を見るという体制を考えると、特に平均寿命を超えたあたりからはどんどん数が減っていくわけですから、それ以上の超高齢者に対する保護は数の多い60代あたりへの支援と比べてさほどに青天井ということにならないはずです。

無論そうした制度のいわば副産物として、こう言っては語弊がありますが今まで単に生きていればお金がもらえるから、あるいは別に家族にとっても負担にはならないからといった理由でただ生かし続けることだけを目的とした濃厚治療を施されてきた超高齢者の方々の、看取り方と言うものを皆が考え直していく契機にもなってくる可能性がありますよね。
日本では国民皆保険制度に加えて高齢者にはほとんど医療費がかからないようになっていて、もちろん社会の功労者に対してきちんと報いるのはひとつの正しい道ではあったと思いますけれども、制度として幾らでもその中で安住できるようになっているからこそ、当事者それぞれが妥当な制度の利用法というものを考えていく義務があるとも言えると思います。
皆保険制度が出来る前には社会的存在としてはすでに活動を終えた高齢者ともなれば、たとえ具合が悪くなっても家族が医者を呼ぶのは息が止まって臨終の確認をしてもらうときだけ、なんてことも珍しくなかったとも言いますが、自然なお産なんてものがこれだけもてはやされる時代であるからこそ、少なくとも時と場合によりけりで自然な看取り方というのもありなんじゃないかということです。
財政難からどうせ制度改悪と言われる方向にしか改めようがないということであれば、せめて回り回ってでも社会に正しい影響をもたらせる方向で改められた方がいいはずですよね。

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コメント

この調子じゃ本当に今度は75歳からだ、いや80歳からだと年々遅れていきそうだなw

投稿: aaa | 2011年10月11日 (火) 15時17分

放ステでもやってましたね>年金問題。
今の庶民の年金の額ではパートタイムに貯蓄取り崩しもやってようやくトントンなのに、70からの支給じゃ身体も蓄えも厳しいのでは?
民主党は弱者に優しい政治をなんて言ってたはずなんですけどね…

投稿: 通りすがりのただの人 | 2011年10月11日 (火) 23時06分

年金のポイントは、年金資金に穴をあけた運用だと思うんですよ。
株や為替の買い支えなどで、バブル崩壊以降、年金資金の運用はずっとマイナス。
運用益をあげて、将来の年金給付に対応する、というのが本来のシステムのはずなのに、官僚・政治が経済音痴で、穴埋めに年金資金を突っ込んできた。旦那が頑張って働いて、老後に備えて蓄えてきた貯蓄を知らないうちに取り崩してパチンコにはまる主婦のごときです。

資金運用の素人(ええ、官僚がもうちょっと経済を理解しているのなら、日本経済はもっとましになってたはずですよ)が目先の動きにとらわれて穴をあけっぱなしになったから、今になって穴埋めができなくなったと大騒ぎしているのが今の年金制度さわぎです。

投稿: | 2011年10月12日 (水) 09時45分

運用の問題は確かに非常に大きいんですが、こればかりは役人の商売ですから制度上改善のしようもなさそうですよねえ(苦笑)。
うまいこと民間パワーを活用できるようにシステム改正などと言っても、今の世界情勢では資金運用自体がかなりリスキーですから導入を進めるほどの説得力が持てるかどうか。
このあたりは専門家のご意見を待ちたいところです。

投稿: 管理人nobu | 2011年10月12日 (水) 19時22分

相変わらず、国民年金や厚生年金の支給金額の減額。国民の借金何兆円とかメディアも報道してるが、そもそも借金しているのは、政治家を含む公務員たちで会社自体が赤字であれば普通の会社であれば人件費削減は当たり前である。
それを自分たちの年金や支給される給料は最低生活権とか当然のように税金を取り捲り尽くす。まるで瀕死の状態の生き物に群がり、血や肉を貪り食うゾンビみたいな生き物みたい。やがて日本という国が滅び、どこかの属国や支配下に成り下がり多くの国民を犠牲にしてもまだ気づかない政治家や公務員の体制に何か日本国民であることに悲しさやむなしさを通り越して唖然と見守っています

投稿: | 2012年11月17日 (土) 13時49分

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