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2011年10月 5日 (水)

noblesse obligeなどと高尚なことは言いませんが、空気くらいは読んでくれと

最初はごく何気ないスタートから始まる事件というのはよくあるものですが、この発言も最初の時点では全く注目されることなく流されていたということが判るのがこちらの第一報です。

朝霞公務員宿舎建設「変更するつもりない」野田首相が明言(2011年9月26日産経ニュース)

 行政刷新会議の事業仕分けでいったんは凍結された埼玉県朝霞市の国家公務員宿舎の建設工事が今月1日に始まり、「復興資金に回すべきだ」と住民から批判を浴びている問題について、野田佳彦首相は26日の衆院予算委員会で、「いまは特段変更するつもりはございません」と建設計画の見直しは行わない方針を示した。自民党の塩崎恭久元官房長官への答弁。

 予算委で塩崎氏は、東日本大震災の被災地では仮設住宅の入居率がまだ100%に及んでおらず、台風15号の暴風雨で入居前日に浸水した仮設住宅があることなどを指摘。「なぜこの時期の建設なのか。先進国G7で公務員や国会議員宿舎があるのは日本だけ。いますぐストップし、復興資金に回すべきだ」などと追及した。

 これに対し、野田首相は「全体的な宿舎の見直しはやってきている」などと弁明。「そうした事情を含めたうえでの判断だった」として計画を見直すつもりはないことを明言した。野田首相は、建設再開を決めた際の財務相だった。

 問題の宿舎は鉄筋コンクリート13階建て2棟(全850戸)で、総事業費は105億円。21年11月の事業仕分けでは、当時仕分け人を担当した枝野幸男経済産業相らが「公務員に宿舎を提供しなければならない合理性はない」などと凍結を決めており、地元住民らが工事の中止を求める要望をしている。

 また、この日の予算委では安住淳財務相が、宿舎建設は朝霞市内の公務員宿舎12カ所1067戸を廃止したうえで行うことや、新宿舎のうち550戸は独身者向けであることなどを説明。「私もNHK時代には、給与では生活できず社宅に住んだ。多少宿舎の便宜供与もあってしかるべきだと思う」などと述べたほか、「私の地元(宮城5区)では仮設住宅はほとんど建設が終わっている」などと説明した。

公務員宿舎の必要性があるのか、あるとしてもどの程度金をかけるべきかという議論は当面置くとしても、わざわざ今この時期に百億単位の費用を注ぎ込んで豪華な宿舎を急ぎ建設する必要があるのかという疑問は現政権に批判的な産経ならずとも誰しも感じるところでしょうし、だからこそ各メディアが一斉にこの建設強行という総理の答弁を批判的に取り上げたわけです。
その後非難囂々となった結果、最終的に宿舎建設は五年間凍結しますなんて結論になったと言いますから、最初から仕分け通りで行っていればそもそも何も騒ぎにならなかったという馬鹿げた話なんですが、注目していただきたいのはこれだけ答弁が注目を浴びている事案であるにも関わらず、総理に援護射撃する形の安住淳財務相の発言には産経ですら何ら特別な注意を払っていなかったらしいということですよね。
安住淳財務相と言えばご存知のようにNHKの政治担当記者出身ということでこうした発言が出てきたというわけでしょうが、一見すると公務員宿舎の必要性を補足説明しているように見えて、彼らの庶民感覚の欠如と空気の読めなさぶりを一層強調する発言になっているというのは笑えるところでしょうか?

総じてマスコミ業界の圧倒的な年収の高さは以前から知られているところで、それが彼らの浮世離れした感覚 を育んでいる原因なのではないかとは以前から指摘されているところですけれども、その中でもNHKというのは少しばかり別格といった立場であるようで、以前から各方面でその実態というものが明らかにされています。

【参考】立花孝志 高卒32歳、年収1000万はNHKだと当たり前

【参考】NHKの平均年収1600万円、 それでも支払い義務化を検討するのか?

当然ながらネット上では野田総理の建設容認発言よりもむしろ安住財務相発言の方が「1000万以上もらっておいて生活できないなんて、あまりに感覚がおかしいだろう?!」と大騒ぎになり、あちらこちらでスレが乱立するという事態になったわけですが、面白いのは前述のように当初主要マスコミの方ではこの発言の何が問題なのかも理解出来なかったのでしょう、全く注目していなかった節が見られるということです。
マスコミと言えばかつて総理大臣がカップ麺の価格を知らないなどとかホテルのバーに通っていたなどとして、さんざん「庶民感覚の欠如だ!」などとバッシングした経緯がありますけれども、実際には彼ら自身の方こそよほどに庶民感覚が理解できていないということを思いがけず知らしめてしまったということですよね。
さすがにネットでこれだけ炎上したことを気にしたということでしょう、民主党議員の中からも改めて「NHKは優遇されすぎではないか?!」と批判が飛び出したり、後日になってからようやく一部マイナーメディアから「何かおかしいのでは?」という批判調の記事も出てきているようですが、相変わらず主要メディアの方では何ら問題視する気配がないというのは彼ら自身「え?何?これの何がおかしいの?」と考えているからなのでしょう。

マスコミ出身の安住財務大臣「とても給料では生活できなかった」(2011年10月2日ガジェット通信)

先週ご紹介させていただいた塩崎恭久議員の予算委員会での質問。いくつか印象に残ったやりとりがありましたが、やはり安住財務大臣の「とても給料では生活できなかった」発言は特にインパクトがありました

安住淳氏はNHK出身の衆議院議員。NHK時代は政治記者として活躍、政治討論番組の司会なども担当しておられます。
先程紹介させていただいた発言は、現在注目が高まっている朝霞の国家公務員宿舎の問題に対する塩崎議員の質問に対する答弁の中で出たもの。発言の前後を見ると、以下のようなものとなります。

    「わたしもNHKに入って社宅を借りて住みました。とても給料では生活できなかったからです。そんなに豊かな家ばっかりじゃないですから。地方から出てきて、国家公務員になられて、それは私は、多少は宿舎の便宜供与等もあってしかるべきだと思ってます。」
    (9月26日予算委員会にて)

マスコミ業界の給与水準は高いということはよく知られていると思います。NHKの平均年収は1000万を超えるといわれており、そのNHK職員が「とても給与では生活できない」なんてことはありえない話です。

マスコミ業界の人に宿舎が必須でそれがなければ生活できないというのであれば、マスコミの給与水準に達しないすべての国民に宿舎が必要になっちゃいますよね。現実的だと言えるでしょうか。大震災のときに「学校のプールにガソリンを貯蔵できないか」と述べたとされる安住財務大臣ですが、時々、不思議な発言をされるようです。

野田首相は10月3日に朝霞の国家公務員宿舎建設地を視察し、宿舎建設の是非について考える予定とのことですが、どのような結論を出すのでしょう。

尚、東電は9月中旬に社宅や寮などを売却して賠償費用とすることを決め、2014年度末までに7400名のリストラをすると発表しています。

安住財務大臣の発言部分動画

安住大臣発言に対する塩崎議員コメント

この安住大臣コメントを受けて、26日に質問をされた塩崎議員に改めて感想をきいてみました。

    塩崎議員コメント抜粋:
    「僕の地元の松山にもNHKの社宅がありますけど、最高級の一等地に建ってます。なぜそのように優遇されたNHKと同じように公務員がやらなくてはいけないのか」
    「中小企業の人がきいたらふざけるなと言うような話。社宅なんてなかなか設けられるものではない。」
    「古くなった公務員宿舎の売却益はそのまま被災地復興へまわすべきで、新しい宿舎建設に使うべきではない」

NHK豪華社宅と高額給与(2011年10月3日ゲンダイネット)

<ハッキリ分かったチンピラ大臣の金銭感覚>

 国民はみな、ア然としているのではないか。

 国会で朝霞の公務員宿舎の着工問題を追及され、「私もNHK時代は給料で生活できず社宅に住んだ。多少の便宜供与もあってしかるべきだ」とヌケヌケと答えた安住財務相のことだ。案の定、身内の民主党議員からも突っ込まれ、同じNHK出身の小宮山厚労相まで「職員の平均年収は1041万円」と答弁させられる羽目に陥った

 よくまあ、1000万円ももらっておいて「生活できなかった」なんて言えたものだが、そもそも、NHKの厚遇は給料だけじゃない。社宅だって、公務員宿舎に引けを取らない格安家賃だ。

 東京・広尾にあるNHK職員の社宅「羽沢寮」もそのひとつ。

 広尾といえばタレントやセレブが多く住む高級住宅街だが、そのド真ん中、2200平方メートルの広大な敷地に3階建ての社宅が3棟も並んでいる

 コンクリート打ちっ放しのオシャレな外観の社宅で、民間の家賃相場なら月30万円は下らないだろう。それがNHK職員であれば、年齢などの条件によっては、3LDK3万円程度の格安家賃で住めるのだ。

 NHKはほかにも、渋谷や目黒、信濃町など都内の一等地に格安社宅を保有している。もちろん、地方の有力都市にもあって、全国に立派な社宅を持っている。これらはぜ~んぶ、国民が払った受信料で建てられたものだから、腹が立ってくるのだ。

 元NHK職員でジャーナリストの立花孝志氏がこう言う。

社宅に住まない場合でも、NHK職員には月十数万円からの住宅手当が出るなど、福利厚生が民間とはケタ違いです。NHK時代の安住大臣のように、政治部記者ともなると、時間外手当も“青天井”。平均年収1000万円といわれていますが、さまざまな手当を含めたら、実際は職員1人当たりに平均1700万円くらいは出ていると思います」

金銭感覚がマヒした財務大臣に「増税しかない」と言われても、庶民は納得できるわけがない

一般論として努力して相応の地位に就けば良い収入が得られるというのは社会にとってのモチベーションにもつながることですし、例えば銀行が行員採用にあたって本人のみならず家庭の状況までしっかり調べるという話を聞いても、職業的に高いモラルを要求される仕事であれば目先のお金のために妙な不祥事をやらかさないでいいくらいの待遇が用意されるべきなんだと思います。
しかし例えばある病院であったことですが、新しく病院敷地内に立てられた立派な宿舎に「家族持ちが優先させて貰うからねえ」なんて言い訳しながら高給取りの部長先生が先を争って入居して楽しい勤務生活を送っている、一方で安月給の研修医達は自費で借りた遠いアパートから渋滞の中を通勤し、毎夜のように呼び出されて満足に体を休める暇もないというのは、良い悪いという以前にひどくカッコワルイことではないでしょうか?
もともと決して所得的に恵まれているわけでもなかった方々も多いだろう被災地の方々が収入も途絶え、貧弱な仮設住宅の中でこれからどうやって暮らしていこうと暗澹たる思いに暮れているというのに、安全な場所で豊かな生活を送っている人々が更なる豊かさを求めて国のお金まで要求することの是非は百歩譲って問わないとしても、今この時にそれをするというのはさすがに少しは空気読めと言われても仕方がないでしょう。
高い給料を貰って社会への相応の貢献を期待されている以上は、こんな非常時にこそとりわけ自分達の衣食住くらいは自分で用意するのが当たり前だろうと思いますし、どうしても住む場所が必要なのに用意出来ないというのであれば何も一等地に高級官舎などを構えずとも、それこそ安上がりにプレハブでも建てておけば済むことでしょう(まさか他人にはプレハブを押しつけて自分達はそれじゃ住めないとは言いませんよね?)。

この件に関連して興味深いのは時を前後して総務省の方から「災害時の非常用電源や予備回線の確保を後押しするため」と称してテレビ局の法人税や固定資産税の減免を要望するような動きがあるということで、税収減で予算をとにかく削れと言われているこの時期にわざわざ国の役所が自ら税金を減らすようなことを言い出すのは不思議なことだなと誰だって思いますよね。
主要新聞においては「増税やむなし」と消費税などの引き上げを求める論調が極めて主導的な状況ですけれども、国民全体を見回してもトップクラスの豊かな生活を送っているだろう彼らがそれと並行して消費税軽減税率の適用を国に求めているという事実はほとんど知られていないようで、要するに彼らの言っていることは「金が足りないんだからお前らもっと税金払えよ。俺たちは出さないけどね」と舌を出していることに他なりません。
その根拠はドイツやフランスなど諸外国では新聞には軽減税率が適用されているからだと言うのですが、そうまで他国に横並びを望むのであれば自ら「我々にもっと増税を!」と主張したフランスの富裕層にならって、大手マスコミも自分からもっと多額の税金を納めさせてくださいと全社一斉にキャンペーンでも張ってみせればいいはずですよね(苦笑)。

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コメント

カップ麺の値段を知らないのは、食べたことがなければ仕方がないですが、その次の総理は、ママからもらってた月々のお小遣い(1500万円)と国民の平均年収が同じくらいだと思っていた、という総理大臣としてはあまりに非常識な発言をしましたからねぇ。

ところで、あまりに相場からかけ離れた社宅の賃貸料は、その差額を収入とみなして課税する、というのが社会一般で税務署が示す判断なんですが(税理士さんに聞きました)、公務員様や準公務員様(NHKなど)には適用されないんでしょうか。そのあたり、税務署の方にお伺いしたいと思うんですけど。

一般企業では、住居費という形で家賃補助を出すことが認められていますが、あくまで相場というものがあって、職権や独身・妻帯などの区別で大体決まっており、それ以上の家賃の家を借りると、自腹になります。
そこで家賃全額補助あるいは相場以上の家賃補助、なんてしてしまうと、その差額は給与を別の形で払ったもの、とみなされて、課税対象になります。それこそ、周辺の相場が30万円のマンションを3万円で社宅として貸し出した場合、相当な上級職でない限り、過剰な待遇であるとみなされて間違いなく課税対象になります。なのに、公務員宿舎に関しては、超一等地に立っている物件であっても、そういう話は全く聞かないんですが、なぜなんでしょうかね。

投稿: | 2011年10月 5日 (水) 18時46分

このところ一気に話が進んでいて、仕分けで名を挙げたレンホウ氏なども賛同しているというのですが、官僚排除路線をうたっていた民主党に何が起こっているのか気になるところですね。

国の地方合同庁舎、新設再開 凍結から一転、8カ所計画
http://www.asahi.com/politics/update/1004/TKY201110040699.html

投稿: 管理人nobu | 2011年10月 6日 (木) 07時44分

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