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2011年8月13日 (土)

被災地で続く窮状 その意外な?ラスボスとは

先日ちょうど震災から五ヶ月を経過して各地でイベントが行われましたが、被災地での医療体制は相変わらず安定には程遠い状況にあるようですね。
特に原発事故の現場などは避難解除などの状況も関わってくるだけに、シンプルに「今日からみんなで力を合わせて頑張りましょう」と言えるようなものでもないようです。

避難区域解除も病院は「見通し立たず」- スタッフ流出、患者の減少、資金難(2011年8月11日CBニュース)

 東日本大震災の発生から8月11日で5か月を迎えた。地域医療に大きなダメージを与えた福島第1原子力発電所の事故では、原発から20-30キロ圏内の「緊急時避難準備区域」の解除へと動き出した。しかし、区域内の病院では、今も続く入院制限などに伴い、運転資金を確保することもままならないほど収入が激減。退職を余儀なくされたスタッフは少なくなく、さらに、安全に対する不安もぬぐえない。各病院は、「区域指定が解除されても、医療者も患者も戻ってこない」「入院再開の見通しが立たない」と、9月上旬にも見込まれる区域解除に手放しでは喜べない状態だ。

 福島県南相馬市の緊急時避難準備区域にある4つの総合病院(計792床)では現在、110人ほどの患者が入院している。国は原則、区域内の入院を認めていない。「これでは急患に対応できない」という病院側の訴えに、制限が一部緩和されている格好だ。区域解除は同時に、この制限も完全に撤廃されることを意味する

■入院再開できず、給与もカット

 しかし、このうちの一つ、渡辺病院(175床)では、今も入院を再開できておらず、今後のめども立たないという。ハードルは、医師や看護師の不足だ。4月から8人を予定していた常勤医は、半数が県の内外に移り、4人になった。震災以後、入院収入がゼロになり、全体の病院収入は8-9割減にまで落ち込んでいる。病院の機能自体も縮小する中、多くのスタッフに休職してもらわざるを得ず、医師を含め175人いた職員は、約50人にまで減った。残ったスタッフについても給与を2割カットして、しのいでいる状況だ。

 「もっと早く入院制限がなくなっていたら、医師にも何とか残ってもらったのに―」。佐藤良彦事務長は嘆く。「『入院を再開したら戻ってきて』という話はしてあったが、もう避難先での仕事や生活が始まってしまっている。こんな中途半端な時期に、再びの異動は難しいでしょう」。当面は入院再開を見送り、法人が運営する老人保健施設に看護師らを復帰させるなど、地域医療の「受け皿づくり」の方に力を入れようかとも考えているという。

■医療者も住民も戻れない

 置かれた状況の厳しさは、ほかの病院も同じだ。
 12人いた医師が5人に減った市立総合病院(230床)は、「もともと医師不足の地域で、戻ってきてもらうにも、どんな方法があるのか分からない」と途方に暮れる。現在約40人が入院する大町病院(188床)でも、休職中の医師2人を除き、常勤医は12人から8人に。96人いた看護師は、半数以上が休職や退職を余儀なくされた。病院収入は75%の減。給与はカット、定昇やボーナスはもちろんなく、「生活が成り立たず、辞めようかという人も出ている。『地域の医療のために』と、どうにか引き留めているところです」(今野覚治事務長)。

 こうした状態は、区域指定の解除後も変わらないだろうと、今野事務長は見ている。放射線量が減るわけではなく、どの程度除染されるのかも心配だ。たとえ学校が再開しても、産業基盤や交通網が失われている街に、どれだけの医療スタッフと住民が避難先から戻ってくるのか―。「少しでも患者さんが増えればと思うが、すぐにはその見込みもない。今の入院数で続けるにも限界があり、このままでは長くは持たない」。医療だけでなく、地域インフラ全体を元に戻すための対策と財政措置を求める声は切実だ。

■「ここで医療をやらなくてもいいのか」

 入院の縮小に伴う病院収入の激減と、人材の流出、地域人口の減少が悪循環となって、避難準備区域の病院を襲っている。
 7月から30床の入院を再開した小野田病院(199床)は、「解除されたら、徐々に拡大に向けて頑張りたいが、もう運転資金がない」と悲鳴を上げる。今は退職金の支払いも待ってもらっているという。今後、休職者の雇用保険給付が切れたときに「戻ってきて」と言えるのか―。「十分な補償金の支給もなく、『われわれは、もうここで医療をやらなくてもいいんですか』と言いたくもなる」と憤る。

 こうした現状を踏まえ、県地域医療課は、文部科学省の「原子力損害賠償紛争審査会」などで、医療機関に対する補償を訴えると強調。また、「区域指定が解除されても、除染がしっかり行われなければ、いわば地雷が埋まっているようなもの。住民は戻れない」とし、安全性の担保を国に求めていく考えだ。

もちろん顧客である住民自体も大幅に人口移動しているわけですから、以前と同じ場所に同じハコモノ、同じ体制での医療をと言うのも本来おかしな話なのですが、地元の人間にとっては以前あったものが無くなる、縮小されるというのは医療受診の予定も立たないものですし、医療機関側にとっても経営再建の目処も立たないということになっては動きようもないということのようです。
こういうのをまさに悪循環と言うのでしょうが、今後も当分の間は大きな人口移動が続きそうな状況にある中で、診療所レベルならともかく中規模以上の施設では人を増やすにもハードウェアを再整備するにもまともな見通しなど不可能でしょうから、公立病院以外は泣く泣く施設を畳まざるを得ないというケースも今後少なからず出てきそうですよね。
原発事故などもそろそろ損害賠償の話が動き始めているようですが、こういうことになってくると一体どこまでを損害賠償のケースに含めるのか、そして実際に支払いが行われるまでに燃え尽きて倒れてしまった場合にはどうなるのかと考えると、財源の見通しが立ったとしても到底すんなり解決するようには思えないところです。

現地の固定インフラである医療機関がこういう先の見えない状況ですから、外から来てくれている医療ボランティアや派遣医療チーム等の働きが何しろ大いに期待されるのは当然と言えば当然で、マスコミなども被災地の救世主的な扱いで大きく報道しているようですよね。
ところが中には妙な人も混じっていたらしいということが明らかになって大騒ぎというのがこちらの話題なのですが、各社の報道から紹介してみましょう。

医師免許なく医療行為=ボランティア男性、石巻で-朝日新聞が紙面で紹介(2011年8月12日時事ドットコム)

 東日本大震災で大きな被害が出た宮城県石巻市で、ボランティア団体代表の男性が、日本の医師免許がないのに傷の手当てなどの医療行為をしていたことが12日、分かった。男性は朝日新聞の10日付朝刊にも医師として登場していた。
 朝日新聞によると、男性は遅くとも4月から同市内のボランティア活動拠点に常駐し、体調を崩した人らの手当てや投薬を実施。朝刊2面の人物紹介コーナー「ひと」欄で取り上げられた。
 しかし、外部から「医師ではない」との情報が寄せられ、男性に電話で話を聞くと、日本では海外の医師資格を書き換える仕組みがないにもかかわらず「米国で取得した免許を書き換えており、自分は医師だ」と主張。名乗っていた「米田きよし」が偽名だったことも判明し、同社は「医師ではない」と結論付けた。

被災地で治療 資格ない偽医者か(2011年6月12日NHK)

震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市で、けがをしたボランティアの治療に当たってきた団体の代表が、医師の資格がないのに医療行為をしていた疑いがあるとして、警察は関係者から事情を聞き、事実関係を詳しく調べています。

石巻市では、4月ごろからボランティア団体の代表の「米田きよし」と名乗る男性が、キャンピングカーなどでけがをしたボランティアの手当てをしたり、薬を処方したりする活動に当たってきました。ところが、ことし6月、この男性に不審な点があるとの情報が石巻市の社会福祉協議会に寄せられたということです。
社会福祉協議会が医師の資格を示すよう求めたところ、男性は「医師国家資格認定証」などと書かれた顔写真入りのカードのコピーを提示して、医師だと主張したということです。厚生労働省によりますと、医師であることを証明するのは「医師免許証」だけで、男性の提示した「認定証」は存在しないということです。警察は、医師の資格がないのに医療行為をした医師法違反の疑いもあるとして、関係者から事情を聞くなどして事実関係を調べていて、今後、本人からも事情を聞く方針です。
この男性は、朝日新聞が10日の朝刊で「救護所で250人余りを診察してきた医師」として紹介しましたが、12日の朝刊で「経歴について虚偽の疑いがあり、日本の医師資格は持っていないと判断しました」などとするおわびを掲載しました。男性はNHKの取材に対して「現在は石巻にはいない。電話では話はできない」としています。

日本で医師の国家試験に合格すると、厚生労働大臣から医師免許証が交付され、医師の戸籍に当たる「医籍」に登録されます。さらに、医師として医療機関で働くには2年間、医療現場で研修を受けなければなりません。医師は2年ごとに居住している都道府県の知事を通じて、働いている医療機関などを厚生労働省に届け出ることが義務づけられています
平成19年には医師の資格を確認するデータベースが作られ、名前で検索すると資格の有無や、業務停止などの処分を受けているかどうかを確認できるようになりました。しかし、このデータベースは医師の届け出を基に作られているため、届け出ていない医師についての情報を確認することはできません。このため、厚生労働省は、「データベースに登録されていない場合は、その医師の医師免許証を確認するしかない」としてます。

無資格で医療行為か 朝日新聞が医師として掲載、お詫び記事(2011年8月12日産経新聞)

 朝日新聞(東京)は12日、東日本大震災の被災地で医療活動するボランティア団体の代表として10日付紙面で取り上げた男性が、実際には医師免許を持っておらず、無資格で医療行為を続けていた可能性が強まったと、12日付朝刊紙面で訂正記事を掲載した。記事掲載後に外部からの指摘で発覚し、その後の取材で無資格と判断したとしている。
(略)
 朝日新聞東京本社報道局の福地献一局長は「日本の医師資格を持たず、経歴についても虚偽の疑いの強いことがわかりました。誤った内容を掲載したことを深くおわびします」とコメントしている。

また朝日ったのか!と言いたくなるような話なんですが、実はこの方も現地では結構な有名人?であったようで、朝日のみならず日テレなどでもしっかり取り上げていたようですし、他のボランティアの方々も現地で見かけた医師としてごく普通に名前を挙げていらっしゃるようですから、一目見て「あれ…?」と感じるようなお方でもなかったと言うことなんでしょうか。
東北地方で偽医者と言えば、ひと頃当「ぐり研」でも取り上げさせて頂いた県立宮古病院(そう言えば、今回被災したのですね)の偽医者騒動が有名ですが、お金が出るわけでもないボランティアでなぜ資格身分を詐称してまで参加したのかと思っておりましたら、記事によればそれなりの努力の果てに報酬ゲットに成功していたということです。

【新聞チェック】モグリだった“被災地の医師” ボランティアが混乱する事態が多発(2011年8月12日BLOGOS)

 被災地で多くの人々が善意のボランティアとして活動しているが、その中には怪しげな人物も混ざっているようだ。朝日新聞は8月12日付けの朝刊でお詫び記事を掲載した。2日前に掲載した“医師”の経歴に事実誤認があったというのだ。彼は宮城県石巻市を訪れるボランティアの人々への治療活動をしており、本人は「医師免許を持っており、海外の病院に所属している」と述べていた。しかし、同社の確認作業の結果、虚偽の疑いが強いことが判明したのだという。(BLOGOS編集部・安藤)

無資格だった“専属医”

 10日付け紙面の「ひと」欄で紹介された際の記事を引こう。ハンチング帽にマスク姿の男性の写真とともに、以下のように書かれている。

    被災地で「ボランティアの専属医」を務める 米田きよしさん(42)
    宮城県最大のボランティア拠点・石巻市。震災後、のべ約8万7千人が訪れた。ここで「ボランティアの専属医」を務めている。

泥出し作業中に釘やガラスを踏む人、家財道具の運搬中に手足を挟む人、ぎっくり腰になる人、持病の薬を飲み忘れて重体になる人もいる。「ボランティアの基本は自己責任」が口癖だが、善意で集う人を放っておけず、彼らが生活する石巻専修大学のテント村に3月半ばから住みついた

    「ボランティアのボランティアや」。救護所では、破傷風の予防や熱中症の患者をはじめ、250人余りを診察してきた。

 この記事では、米田氏のことを「カナダにある大学病院に所属する小児救命救急医」と紹介していた。海外から駆けつけた善意の医師にしか見えない。

 ところが、この記事が掲載した後、読者から「米田氏は医師ではない」と朝日新聞社に情報が寄せられたという。実際に、米田氏の名刺にあったカナダの病院に電話取材したところ、「この名前の医師は一度も働いたことはない」との回答を得た。

 しかし、なぜモグリの医者が、報酬も出ないはずの被災地に紛れ込んだのか。実は米田氏は自身を代表とするボランティア団体を立ち上げており、財団からの百万円の助成金を得ていたのだ。朝日新聞では以下のように伝えている。

    この代表の団体は、日本財団が被災地支援のためにNPO法人やボランティア団体に支給している助成金を申請していた。団体側には7月に100万円が助成された。

 どうやら、この助成金を目当てに医師を名乗って活動をしていたようだ。福地献一・報道局長は「掲載後、社外からの指摘で再取材した結果、日本の医師資格を持たず、経歴についても虚偽の疑いが強いことがわかりました。謝った内容を掲載したことを読者の皆様に深くおわびいたします」と、談話を発表している。

混乱するボランティアの現場

 猫の手でも借りたい被災地の現場では、ボランティアの身元確認が十分にできないことも多いが、今回のケースは新聞沙汰になるまで事実が確認できなかったという意味で、重大な問題だろう。この他にも、ボランティアをめぐる問題は多発している。フジテレビの「27時間テレビ」の収録の際に、宮城県南三陸町の特設会場に多くの一般ボランティアが動員されていた問題が発覚している。週刊朝日の記事には、以下のように書かれている。

    7月23日午前7時、ある旅行会社が参加費3500円で募った個人ボランティアを乗せたバスがJR仙台駅を出発した。42人の定員いっぱいで、地元ボランティアセンターからの指示を受けて南三陸町の志津川中学校へ直行。そこで待ち受けていた「ボランティア作業」が、27時間テレビの会場設営だった。

    42人の男女に配られたのは、首から下げる「スタッフ」パス。番組スタッフらしき女性に指示されながら、男性はテントや土嚢の設営を、女性は飲み物の仕分け作業などを手伝わされた

 参加者からは「これってフジテレビへのボランティアじゃない?」という声も漏れたという。マスメディアがボランティアに混ざったモグリ医師に振り回される一方で、ボランティアを体よく利用してしまうケースもあるようだ。震災から5カ月目を迎え、人々の「善意」が支えるボランティアの重要性は高まっている。でも「善意」という言葉を、無防備に信用してしまうのは禁物になっているようだ。

たれ込みによって発覚したというくらいですから面識のある人間が新聞なりテレビなりを見ていたということなのでしょうが、今のところとは言えこれだけ多彩な患者を扱いながら特に仕事の面でどうこうという話が聞こえてこないところを見ると、あるいはスタッフ等として医療現場で働いたようなキャリアでもあったのでしょうか?
正直わざわざ団体まで立ち上げて手弁当で被災地に赴き、ああした環境下で何ヶ月も長期常駐して250人も診察するという行為に対して見返りが100万円では何とも微妙と言いますか、他にもっと効率の良い稼ぎ方もないものだろうかと思わないでもないのですが、これだけメディアに露出しているところを見ると知名度を上げた上で今後さらに大きな仕事までやってやろうと画策していたのかも知れませんね。
震災ビジネスというとどこかの某有名団体のように義援金名目でがっぽり!といった話ばかり注目されていたところもありますが、こういう個人レベルで地道に活動していらっしゃる方々も案外多くいて、しかもそのバリエーションも非常に多彩になってきているということを考えると、今後いよいよ本格的に被災地復興に大きなお金が動くようになれば更なる対策の徹底が求められそうですよね。
それにしても、こんなところでも自らの歪んだ欲望のためには被災地の迷惑も顧みずに好き放題やってボランティアまで目的外使用とは、いったいフジテレビという会社はどこまで斜め上方向に独走していけば気がすむと言うのでしょうか。

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コメント

なるほどね。だからカナダの医師を語ったわけか。偽物医者で偽名を語る。

しっかりした詐欺師だなっと思うが朝日新聞やテレビ局が取りあげまでは想定外だったようで(笑)

医者は詐欺だが医療行為(小児科医だけど)外科医は無難なんだけどね

偽物医者は山城英樹(逮捕)が有名人。慶大出身の医者に成りきり医療行為。

山城もボランティアで東北へ放ったら面白いが(笑)

投稿: 偽医者は詐欺師なのか | 2011年8月13日 (土) 19時29分

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