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2011年6月 6日 (月)

アメリカで顕在化した不妊医療の問題 日本でもあり得る?

先日唐突と言った感じでこんな記事が出ていましたことを御覧になりましたでしょうか。

体外受精の八つ子出産で米医師を処分/アメリカ(2011年6月2日スポーツ報知)

 米カリフォルニア州の医療当局は1日、2009年1月にロサンゼルス郊外の病院で、体外受精による八つ子の出産を担当したマイケル・カムラバ医師の医師免許を7月1日付で取り消すと発表した。ロサンゼルス・タイムズ紙(電子版)が伝えた。

 同当局は、同医師が当時33歳だった母親のナディア・スールマンさんに体外受精卵を12個移植したのは「正しい判断ではなかった」などと理由を説明した。

 同医師は、これ以外にも40歳代の女性2人に体外受精による不妊治療を施した際の「ひどい不注意」(同紙)を当局から指摘されていた。

 スールマンさんは八つ子を出産する前にも6人の子どもを体外受精で産んでおり、テレビで「大家族を持つのが夢だった」などと語ったが、倫理面で米社会に論議を巻き起こした

 日本では危険が大きい多胎妊娠を防ぐため、日本産科婦人科学会が、不妊治療で女性の子宮に移植する体外受精卵の数を「原則として1個」とする倫理指針を定めている。(共同)

何も知らずに見ると当該医師の体外受精の技術的な問題を取り上げて処分されたのかとも思えるニュースなんですが、確かに体外受精としては一度に12個はあまりに多すぎるだろうと感じるものの、単に一医師の処分で遠い日本でまで取り上げられるニュースか?とも思えるかも知れません。
自分もたまたま八つ子云々の話が記憶にあったことで検索をかけて思い出したのですが、この一連の事件は産科医もさることながら当の母親の方があまりにアレであると当時話題になった方なのですね。

無責任!米の「八つ子出産」…医師と母親に批判強まる(2009年2月14日読売新聞)

【ロサンゼルス=飯田達人】米カリフォルニア州で先月26日に生まれた八つ子を巡り、体外受精を担当した医師と、出産した母親への批判が米国内で強まっている

医師は米生殖医学会の指針に違反した疑いが強く、母親は既に6人の子供がおり、計14人の子供を育てていける経済的な余裕がないためだ。当初は出産を祝福したメディアも、「無責任な出産」と報じている。

米メディアによると、担当医は不妊治療の先駆者として知られるマイケル・カムラバ医師(57)。出産したのはナディア・スールマンさん(33)。

体外受精は通常、不妊に悩む女性を対象とし、同学会の指針では、35歳未満の場合、戻す受精卵は原則2個以下。40歳以上でも5個までとしている。戻す個数を原則1個としている日本などに比べ、米国では医師の裁量に任せられている部分も大きく、今回の出産では、スールマンさんの求めに応じ、医師は6個の受精卵を子宮内に戻した

スールマンさんは、これまで5回の体外受精を行い、7~2歳までの6人の子供を持つ。いずれもカムラバ医師が担当したとみられる。夫とは昨年離婚しており、精子は毎回、同じ友人から提供を受けたという。

スールマンさんは無職で、子供たちと共に母親の実家で生活。州から毎月約2300ドル(約21万円)の補助を受けているほか、生活困窮者に対する毎月490ドル分の食料配給券も受け取っていた。八つ子の出産費なども未払いで、スールマンさんがネットで募金を呼び掛けたところ、非難するメールが殺到したという。

米国:子ども14人全員体外受精 1月に八つ子出産の女性(2009年2月7日毎日新聞)

【ロサンゼルス吉富裕倫】米カリフォルニア州で1月下旬、八つ子を出産したナディア・スールマンさん(33)が米NBCテレビのインタビューに応じ、一部が6日放映された。2~7歳の子供6人を持つスールマンさんは、八つ子を含め計14人すべてが体外受精で妊娠したと明かした。同じ友人から精子の提供を受けたという。

 スールマンさんは前夫との間に子供はなく、昨年正式に離婚した。01年に初めて出産するまで3回流産したという。一人っ子だったスールマンさんはインタビューで「大家族が夢だった。6人の子供に加えもう1人欲しかった」と話した。

 多胎の危険から、米国生殖医学会議は35歳未満の女性の体内に戻す受精卵を「2個まで」とするガイドラインを定める。だが、スールマンさんは6個の受精卵を戻すよう医師に要請。八つ子を産んだ。

 スールマンさんは現在、仕事に就いていない。AP通信によると、勤務していた病院で99年にけがをし、その後遺症による障害手当を少なくとも16万5000ドル(約1500万円)受け取っており、これを養育費に充てているとみられる。

 米国内では八つ子の成長や14人の子育てに対する懸念から、スールマンさんへの批判も高まっている。

米国:八つ子ママに脅迫メール殺到、広報役にも - 毎日jp(2009年2月16日毎日新聞)

【ロサンゼルス吉富裕倫】体外受精で八つ子を出産した米カリフォルニア州のナディア・スールマンさん(33)側に殺害を示唆する脅迫メールが相次ぎ、ボランティアで代理人を務めていた広報担当者が14日、辞任した。

 米メディアによると、出産直後に無料の広報を買って出た広報会社にはスールマンさんだけでなく広報担当者への脅迫もイラスト付き電子メールや留守番電話で少なくとも100件送られたため、この広報担当者が、ロサンゼルス市警に届け出た。

 既に6人の子供がいて生活力がなく、八つ子を出産したシングルマザーのスールマンさんに対する非難について、広報担当者は「(多くの)国民が失業して、家族の面倒をみなければならないという経済状況が背景にあると思う」と話した。

 スールマンさんは先週ウェブサイト「ナディア・スールマン・ファミリー」を開設し子育てへの寄付金を募っている。しかしこれまでに受け取った5万5000件の電子メールのほとんどは否定的な内容だという。スールマンさんは本の出版交渉などのため新たにテネシー州の代理人を雇った

要するにこの方、すでに離婚して無職のみで6人の子供を抱えているにも関わらず、さらに明らかに多胎妊娠を狙った体外受精を行っているということで、元よりその生活費全てを生活保護に頼っているのみならず、自らテレビ局に売り込んで名をあげた上で全国から絶讚寄付金大募集中ということです。
単に少しばかり普通と異なる考え方をお持ちの方であるのか、それとも多数の子供を揃えることで何らかの利益を狙っているのかは判りませんが、ちょっとそれはさすがにどうなのよというとんでもぶりで有名になった方なんですね。
しかし当初産んでいた6人のうち3人が障害児(どんな障害かは不明)であるとして加算の需給を取っており、母親本人も精神病を患っているとして割り増しの給付を受け取っている、その状況でさらにシングルマザーであるにも関わらずあからさまな多胎妊娠を狙った体外受精を重ね、しかもその状況を自らテレビに売り込んだ上で本も売ろうとする、ネット上でも絶讚大募金募集中というのでは、さすがに故意犯と取られても仕方がない気配です。
一説によるとテレビに売り込むために?自ら整形までした疑惑があるということなんですが、仮に子供を大勢抱え込むほど多額の給付金を得られるという状況なのであればこうした行為を考えつく人まではいるとしても、普通は産科医のところでストップが入りそうなものですよね。

日本では現在受精卵を戻す数は原則2個以下、可能な限り1個という方針になっているようですが、記事中にもあるようにアメリカも原則として2個以下ということは同じようですけれども実際はケースバイケース、それも医学的判断以外にも患者側の要請によって変わることもあり得るということであれば、今回のような極端な例でない限りはチェックされずに終わっている場合も多々あるのかも知れません。
一連の行為はすべて同一産科医が手がけていて、しかも同医は他の母親に対しても7つの受精卵を挿入し四つ子を産ませていた(ちなみにこちらの母親も無保険であり、無料医療サービスを受けているそうです)ということですが、一連の状況を承知の上で共犯的に行っていることなのか、それとも単に少しばかり風変わりな産科医が偶然相次いでこうした症例に当たってしまっただけなのか、現状では何とも言えません。
ただ単なる過失として考えても医師としての力量を問われる事態であり、もし承知の上でやっていたとすれば医師としての倫理を問われる話ですから、いずれにしても問題がここまで表沙汰になれば同医師を放置しておくわけにもいかないということだったのでしょう。

こういう話は日本でもあるのかと思って少し調べて見ましたら、生活保護世帯に対する不妊治療の助成も行わないという自治体もある一方で、保険証があれば行うだとか特に生活保護か否かを問わないという自治体もあって、生活保護を受給しながら不妊治療を公費でという道が閉ざされているわけではないようです。
今回の事件のような無茶な受精卵挿入は日本ではそうそう起こらないのかも知れませんが、システム上は可能であってやり方も判っているということになれば起こりえないとも言い切れず、また逆に極端な多胎がないためにニュースにもなりにくいという状況にあるのかも知れません。
実際にネット上では「生活保護を受けながら不妊治療を受けている人がいる。釈然としない」なんて書き込みが散見されますが、とりわけ貧困世帯においては伝統的に子供というのは将来の自分自身の生活安定のための投資という側面もありますから、これを単純に数ある生活保護問題の一環と捉えていいものなのかどうか微妙なところもありそうです。
最終的な白黒の判断はこれまたケースバイケースということになるのでしょうが、この場合に一番判断を委ねられる形になるのは現場で不妊医療を行う担当医であろうと思われますから、何かしらこれはおかしいのではないかと感じた時には漠然と流してしまわないように普段からセンサーを磨き上げておく必要があるということになるのですかね。

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コメント

マイケル・カムラバ医師は不妊治療の先駆者と書いているくらいですからリスクにも詳しいでしょうに、なぜこんな無茶をやってたのでしょうね?
訴訟大国だけに「高い金取っておいて失敗なんてしたら絶対訴えてやる!」なんて言われたらやらざるを得なかったとか?

投稿: 通りすがりのただの人 | 2011年6月 6日 (月) 09時31分

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