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2011年6月21日 (火)

弱者は保護すべきですが、プロ弱者となるとどうなんでしょう?

不景気を受けて全国どこでも労働問題は深刻化しているようですが、先日もこういう悲惨な話題がニュースになっていたのを御覧になりましたでしょうか。

下請け多層構造を批判 運革議連が実態調査へ(2011年6月17日物流ウィークリー)

「限度を超えている」

 自民党の若手国会議員が中心となり、昨年末に結成した運輸物流改革議員連盟(会長=平井卓也衆院議員、比例代表四国ブロック)の総会が7日に開かれた。全ト協、国交省の担当者らを前に、平井会長は特にトラック業界の下請け多層構造を指摘。「7次、8次下請けなど(一般常識では)考えられない。限度を超えており、なぜ、こんなことになったのか」と声を荒げた。

 同議連は「国が実態を十分に把握していないことも問題が解決できない要因の一つ」としており、国交省はトラック事業者を対象に既に実施済みの2種のアンケート調査結果を「夏ごろ」までに取りまとめ、公表することを約束した。

 三原順子事務局長(参議院議員、比例区)が司会・進行を務める中、あいさつに立った平井会長は「中小の実運送事業者にスポットを当てて活動していく。中小事業者が抱える問題を解決せずに、日本のライフラインを守ることはできない」と強調。今年2月に発表された羽石寛寿摂南大学教授による「ドライバーの意識」の調査・研究結果を引用し、「ドライバーは、やる気はあるが将来に希望が持てないという。希望が持てる社会にする」と呼び掛けた。

 全ト協から矢島昭男常務、松崎宏則企画部長ら、国交省からは志村務貨物課長らが招かれ、それぞれ業界の現状などを説明した。

 同議連は、ドライバーの「過労死」が全産業の中で突出していることに着目し、「法体系、産業構造に政治のメスが必要」と判断した松浪健太幹事長(衆院議員、比例代表近畿ブロック)が仕掛け人となって発足。①ドライバーの過酷な労働条件②規制緩和による傭車増加③下請け構造の多層化による「中抜き」横行④過当競争による運賃低下⑤国の実態把握が不十分――が問題だと指摘。「国交省に元請け、1次下請け、2次下請け、またトラック事業者の規模別運賃を把握させる」ほか、「運賃を適正に算出する仕組みの確立」「丸投げ構造の多層化に歯止めをかけるルールづくり」「利用運送業(仲介業)の収受手数料の適正化」を当面の目標として活動を開始した。

 問題の背景として物流2法による規制緩和、運賃自由化など国の施策を時系列で確認。運賃の自由化以降、「国交省は運賃の把握が全くできなくなった」と批判した。出席メンバーから「トラックの場合は運ぶ荷物も車も多種多様で、タクシーのようにはいかない。ひとくくりにすると全体に悪影響するのでは」との意見も出た。

 平井氏は多層構造について、「建設業界などは下請けを法律で制限している。運送事業は政省令などで規制できないのか」と質問。志村氏は業界の相違点などを述べ、「(トラック事業では)慣習と使い勝手の良さ」から下請けを利用する傾向があると答えた。

 「まず実態を知ることが先決」(松浪氏)とのことから、志村氏は「トラック産業に関する将来ビジョン検討会」のWGで昨年末から年明けにかけて実施したアンケート調査の結果を分析、取りまとめて、「夏頃までに公表する」と約束。アンケートは「トラック輸送の経営実態に関する実態調査」(8000事業者対象)と「運賃・原価に関する調査」(500事業者対象)の2種類で、大震災で作業が中断していた。「それで1次、2次下請け、規模別運賃や丸投げ構造の実態など、我々が知りたい内容は出てくるのか」と平井氏が尋ねると、「相当程度出てくると思う」と志村氏。同議連ではアンケート結果のまとめをみて、次のステップに取り組む。

トラックの事故がひと頃社会的に問題視されてから労働環境の改善が進んだという話も聞きますが、基本的には価格競争が限度を超えて厳しい上にこうした下請け孫請けの積み重ねで手数料なるものがしっかり取られていくわけですから、そうなりますと現場運転手はきつい労働で低賃金という過酷な労働環境に置かれていることは想像に難くありません。
ちなみに7次、8次下請けということで連想されるのがいわゆる福島の英雄たちですけれども、原発事故収集を委託されたのも実際には断るに断れないこうした超下請け労働者の人達で、そうなりますとあの割り増しと言われる給与はきちんと現場に回っていたのかと気になりますよね。
ただ、実のところこうした過酷な労働環境はトラック業界に限った話でもなく、どこの業界でも昨今では多かれ少なかれ似たような状況にあるんじゃないかと思われるところがあって、例えば職場でのストレスが原因でうつ病などを発症したとして労災認定された人の数は昨年史上最多を更新したなんてことを言いますが、基本的に立場が弱い労働者が不当な不利益を被っているからこそ改善が難しいということですよね。
逆にいえばせっかく立場が強い労働者が自ら声を上げ行動に移さずしてただ現状に不満ばかりをこぼすというのは、立場が弱い労働者から見ればなんとも贅沢というのか、立場が強い人間がそんな環境に甘んじているからこそ社会全体の労働環境改善が進まないんだと腹立たしいものなのか、いずれにしても軽々しく同列に語って欲しくないということになるのかも知れません。

自治体病院の看護職員8割が「辞めたい」-自治労連調査(2011年6月16日CBニュース)

自治体病院に勤務する看護職員の8割が仕事を辞めたいと思っていることが、日本自治体労働組合総連合(自治労連)のアンケート調査で分かった。理由として「人員不足で仕事がきつい」を挙げる人が最も多く、自治労連では「看護職員の増員や、労働時間の短縮などが必要だ」としている。

 調査は昨年10月から12月にかけて、自治労連支部がある自治体病院などに勤務する看護職員を対象に実施。121病院9216人から回答を得た。このうち3015人は東京の病院。

 それによると、仕事を辞めたいと「いつも思う」のは26.2%、「時々思う」のは54.3%で、合わせて80.5%に上った。辞めたいと思う主な理由を3つまで尋ねると、最も多かったのは「人員不足で仕事がきつい」(37.2%)で、以下は「賃金が安い」(29.5%)、「休みが取れない」(29.0%)、「夜勤がつらい」(28.3%)などと続いた。
 一方、現在の仕事にやりがいを感じているか聞いたところ、「感じている」が20.8%、「少し感じる」が50.5%で、合わせると約7割だった。

医者であれば「なに全く問題はない。自治体病院など医者も辞めたいと思っているのだから、この際ともに起とうではないか」なんてことを言いそうな話で、基本的に医療関係の専門職は一部を除いて売り手市場にあることが多いわけですから、この場合「嫌なら辞めろ。かわりは幾らでもいる」というのはこと前半部分に限って言えば全くその通りなんじゃないかと思うのです。
辞めたい理由を見れば単純に労働環境が悪いということなのですからもっと良い職場を探せば幾らでもあるだろうにとも思うのですが、それが辞めずに愚痴を漏らしながらも働いているというのは様々なしがらみがあるのでしょうが、回答から見てみますと仕事にやり甲斐を感じているからこそ残っているというほどの熱意でもなさそうですよね。
自治体病院と言えば今や医者はいなくて診療体制が破綻しているわ、大赤字の垂れ流しで自治体財政の足かせになっているわで、そろそろ廃院や近隣施設との統廃合、あるいは診療所化といった抜本的対策を考えているという自治体も多いと聞きますが、それがなかなか進まないというのは近所に病院がなくなると困るという住民の声に加えて、スタッフ自身の思惑というものがあるからなのかと推測させるのがこちらの記事です。

米内沢病院の診療所化を正式決定 市議会、賛成多数で可決 /秋田(2011年1月19日河北新報)

 北秋田市は18日、市内の公立米内沢総合病院(60床)を新年度、市立の診療所とすることを正式に決めた。医師不足で赤字経営が続いたのが理由。入院機能は、昨年4月に開業した市立の北秋田市民病院(177床)に集約する。
 同日の市議会臨時会で、診療所化の関連議案を提出し、賛成多数で可決された。市は4月、病院の建物を活用して市立米内沢診療所を開業する計画。常勤医2人、非常勤医4人、職員約15人の体制とする。
 米内沢総合病院は、北秋田市と上小阿仁村でつくる病院組合が運営する。2001年度に17人いた常勤医は減り続け、本年度は4人。厳しい運営が続き、ここ数年は市が年間約5億円を支出して赤字を穴埋めしていた。
 両市村はこのため、診療所化の方針を決定。組合を3月末で解散し、病院を廃止する議案を昨年12月の各議会に提出し、可決されていた。
 津谷永光市長は18日の臨時会後、「地域から医療機関をなくすわけではない。診療所をしっかり運営したい」と強調した。
 病院の廃止、診療所化に伴い、看護師ら約80人の病院職員も全員解雇する方針。市は再就職を支援しているが、反発する職員らは解雇差し止めを求める訴えを秋田地裁に起こし、病院組合側と争っている

公立病院のスタッフと言えば当然ながら公務員であるわけですが、ご存知のように公務員というものはどんなに仕事が出来なかろうが年功序列で長く働けばそれだけ給料も退職金も上がるシステムになっていて、おかげで公立病院にはどこに行っても浮浪者ならぬ不労者扱いされているスタッフが一定割合存在しているものです。
国や県のスタッフ扱いであればまだ同じ系統の施設間を異動させるということが出来るわけですが、ひと頃どこの自治体も抱えていた市立や町立といった施設ですと廃院やら統廃合のたびにこの勤続年数の扱いをどうするのかということが問題になってくるもので、特に米内沢総合病院のようなケースですと大量のスタッフがある日突然公務員でなくなってしまうわけですよね。
いったいにろくな産業もない田舎に行けば行くほど、地域の相場に比べればはるかに高い現金収入が得られる公務員などという地位は特権階級扱いで、それゆえ自治体内部では様々な利権や思惑で雁字搦めで外から赴任してきた医者などは何が何やら理解不能ということになるわけですが、その特権階級がある日突然特権を剥奪されるとなればそれは町をあげた大騒ぎにもなりますよね。
特に医療職などは様々な名目の手当てを取れるということでとりわけ美味しい立場ですから、それは裁判だろうが何だろうが既得権益確保のためにはなんだってやるというのが人間の素朴な心情というものでしょうが、近頃では実際には弱者でもない人々が弱者のような顔をして利益を享受するのを「プロ弱者」などと言うらしいという話を思い出させるような話でもあります。

医者の場合はどうせ短期間であちらこちらに異動していくこともあって、もともと退職金などを始めとする公務員特権には普通の医者は興味も何もないわけで、むしろ前述のような能力以外の理由によって縛られた自治体病院の職員人事には頭が痛い思いをしている場合が多いですから、正直なところこういう話はどんどん進めて風通しを良くするべきだと感じる向きが多いのではないでしょうか?
むろん、これだけの赤字を垂れ流している自治体病院に勤務したところで真面目なスタッフほど人間関係でストレスはたまるわ、おまけにいつ病院自体がなくなるか判らないわで良いことはないわけですから、自治体病院はスタッフにとってもストレスフルであるという明確な調査結果が出たのをよいきっかけに思い切って職場を変えてみるというのは何も悪い話ではありませんよね。
その結果スタッフ不足で立ちゆかなくなった施設はスタッフ集めのために労働環境改善に着手せざるを得ないわけで、医者不足を受けて全国津々浦々の公立病院でようやく医者も人間扱いされるようになったのと同様の現象がスタッフにも広まっていくとなれば、これは後進にとっても良い話とも言えそうです。
ひと頃は医師の逃散ということがブームのようになっていて、実際にまともな環境に逃散してみるとこんなにも今までひどい目にあっていたのかと思い知って自分に腹が立ったなんて人も多かったようですが、いよいよコメディカルにも逃散の流れが押し寄せてくるということになれば、これは国が推進する自治体病院の整理も思いがけず早く片付くことになるかも知れませんね。

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コメント

トラック業界に関して言うなら、小規模事業者による白トラック問題(非営業用車両による輸送業務従事)もあるので、話がややこしいところですね。

投稿: | 2011年6月21日 (火) 12時03分

コメディカルにも逃散ブームってきますかねぇ?
ナースは無くも無い様な気もしますが、その他のコメディカルは意外と自治体病院にしがみ付きそうな気がしますね。
事務とは違い自分の専門のフィールドがある程度確立していて、患者や役所から叩かれる事もあまり無く、ルーチンワークを主とした安穏とした日々を過ごしているように端からは見えます。

投稿: | 2011年6月21日 (火) 16時35分

田舎病院の看護師事務なんて辞めても他に行き場がないだろ
だから病院潰すとなったら必死で抵抗するんだよ
舞鶴なんて医者もいなくなったのに病院だけ続けてるんだぜ

投稿: aaa | 2011年6月21日 (火) 19時08分

本当に仕事をする気のないコメディカルは最後までしがみつこうとすると思いますよ。
ただ総務省にしろ厚労省にしろ自治体病院は整理再編しろと言う方針はかたいのですから、そういう人達はいずれ働き場がなくなっていくはずです。
医者のドロップアウトと同じで、早く決断した人間ほど良い環境に移住できるというだけのことでしょう。

投稿: 管理人nobu | 2011年6月22日 (水) 16時37分

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