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2011年6月22日 (水)

北見市 またも医療問題で全国にその名を轟かせる

ちょっとつまらない仕事続きでどたばたしているのですが、こちらも相当にどたばたしているなという記事が北海道は北見市から出ていました。

北見市夜間急病センターのセンター長退職問題(2011年6月15日伝書鳩)

北見市夜間急病センター唯一の常勤医師で、センター長(69)が退職する問題について、市は14日の市議会福祉民生常任委員会(桜田真人委員長)に報告した。事態を招いた市の責任を追及する指摘が相次ぎ、市地域医療対策室の室長は「常勤医師の確保に全力を尽くしたい」と理解を求めた。(匡)

市議会福祉民生常任委で報告「常勤医師確保に全力尽くしたい」

 市によると、センター長から6日に「健康上の理由」として退職願の提出があり、9日に受理した。4月の勤務日数が13日間で、体力的に厳しいとの相談があり5、6月は各10日間にしたが、夜勤が想定よりハードで続けられないと退職願が出されたという。センター長は7月末で退職する。

 熊谷裕委員(日本共産党)は「勤務条件で合意していれば夜勤が大変というのはおかしいし、月10日の勤務はセンター長なら当たり前。迎える段階でボタンの掛け違いがあったのではないか」と指摘。

 高橋克博委員(会派みらい)は退職理由について「市に瑕疵(かし)があったのか、雇用の約束が反故(ほご)にされたのか」とただした。

 室長は、勤務日数や勤務時間について事前にセンター長の了承を得ていたとした上で「先生(センター長)は嘱託職員で契約行為はなく、退職願は受理せざるを得ない。慰留したが本人の意志が固く、非常に残念。センターの開設にご尽力いただいたことを大変ありがたく思っています」と述べた。

 また、今後の医師確保について「センターの運営に穴を開けず、継続していくことが最大の使命。医師会とも協議して進めたい」と理解を求めた。

いやセンター長も御年69だろ?いったい幾つまで働かせるつもりだ?と思うところでしょうが、センター長にしても市当局にしても見通しが甘かったという批判はあり得るところでしょうし、実際に責任問題になってきそうな気配ですよね。
この夜間急病センターはつい先日の2011年4月1日付けで開設されたもので、それまでは北見赤十字病院に併設する形であったものが今回独立して北見市直営になったということなんですが、基本的にウォークインの一次救急のみが対象の施設からトップがたった二ヶ月で逃げ出すというのは尋常ではありません。
このセンター長の先生が特別に軟弱であったということであればあり得るのかも知れませんが、こちら就任時の記事を参照してみますとそうまで腰の引けた御仁とも思えないだけに、環境要因というものも考慮しなければならないのかなという気もしますが、こうした地域医療への使命感に燃える老医師があっさり現場を立ち去るという光景には最近妙にデジャビュ感がありますよね…

北見市夜間急病センター長が決定(2011年2月25日伝書鳩)

川湯の森病院 元院長に

 北見市が4月1日の開設を目指す市夜間急病センターの専任医師となるセンター長に、釧路管内弟子屈町川湯の森病院の元院長・八木繁樹氏(68)=写真中央=が決まった。八木氏は23日に北見市内のホテル黒部で記者会見し「これまでの集大成として、知識や技術をすべて投入します。北見に骨をうずめるつもりです」と意欲を語った。

記者会見で意欲「知識や技術すべて投入」

 八木氏は群馬県出身。岩手医科大学卒。多くの病院での勤務経験があり、昨年2月から今年1月まで1年契約で川湯の森病院の院長として勤務した。現在は埼玉県在住。

 同センターへの着任を決めた理由を「北海道の医師不足の現状を憂い、川湯の森病院に勤務しました。契約期間満了を迎え埼玉に帰ろうと考えていましたが、北見市から声を掛けていただいて決めました」と説明。

 3月には住民票を移すとし「医師として41年の経験があり、専門は循環器で小児科も心得ているのでお役に立てればと思います。他に劣らない、市民に愛されるセンターにしたい」と意欲を語った。

 また、北見赤十字病院の吉田茂夫院長と会談し、医師を派遣してもらえるよう協力を取りつけたと述べた。八木氏は市の嘱託職員となり、1週間のうち最大で3日勤務する。市は八木氏を中心に日赤、北見医師会の協力を受けて医師の勤務体制を整える考えだ。

 会見に同席した小谷市長は「北見市の1次救急の要になってほしい」と期待を寄せた。同会の古谷聖兒会長は「医師確保に明るい展望が生まれ、センターの4月開設の見通しが立った。北見医師会としても支援していきたい」と述べた。 (匡)

北見に骨を埋めるつもりであるといい、実際開設にあたって医師派遣の約束取り付けなどにも尽力している、岩手医大卒と言いますから今さら寒いの積雪が多いのということに恐れを抱くとも思えませんけれども、「北見に骨をうずめるつもり」とまで言い切り精力的に働いていた先生に何が起こったのかです。
同センターの嘱託職員取扱規程によれば勤務条件に関してはこういう規定がある程度のようで、勤務表などを誰が決めていたのかということもはっきりしませんが、前述の記事によれば市が勤務日を調節していたような記述がありますから、典型的な雇われ院長的な待遇であったのでしょうかね。

第13条 勤務時間は4週間ごとの期間につき、嘱託医師にあっては1週間当たり33時間を、看護嘱託員にあっては1週間当たり29時間をそれぞれ超えない時間とする。

ちなみにセンターが先日まで併設されていた北見赤十字病院と言えば、つい3年ほど前に内科医多数が一斉に辞職するという事件があった施設で、しかも地元掲示板では辞めていく医師に粘着する人物が出没していたなどとそちら方面でも大いに話題になったくらいですし、さらにさかのぼれば「患者から断られても検査を怠ったことを正当化するものではない」のびっくり損害賠償判決でも有名になったところですよね。
日赤がよほどなトンデモ施設であると仮定しても、こんな小さな田舎町(失礼)でこれだけ全国に名を轟かせる事件が頻発しているというのはやはり住民の民度も相当なものだと思わせるところで、記事にある「想定よりハード」な状況と言うものの実際がリアルに想像出来そうな気がします。
実際の状況も開院後一ヶ月時点でのこちらの記事にあります通りの様子となっていたようですが、問題は恐らくセンター長招致にあたっても説得材料として使われただろう当初の想定なるものが妥当であったのかどうか、それとも従来のセンターの実績と比較して最初からあり得ないような想定だったのかですよね。

北見市夜間急病センター開設から1カ月(2011年5月9日伝書鳩)

4月の患者数 1日平均15.7人
外科的診療求める人も…「事前連絡を」

 北見市夜間急病センター(内科、小児科)が市北6西2に開設されてから4月30日で1カ月が過ぎた。4月1日〜30日の患者数は471人で、1日平均15.7人。市が想定していた1日平均10人程度を大きく上回った

 同センターは年中無休で、診療時間は午後7時〜翌日午前7時。患者を時間帯別にみると471人中、午前零時までの来院が379人、午前零時以降の来院が92人。日付けの変わる前までに集中している。

 患者が最も多かったのは30日(土)で33人、最も少なかったのは11日(月)で6人。患者は特に土・日曜が多く、土・日曜の平均は21.88人に上った。連休の5月3日〜5日は帰省中の人の来院もあり、順に27人、24人、23人と土・日の平均を上回った。

 同センターは連絡してからの受診を呼び掛けているが、事前に連絡があったのは6割程度。市によると、けがなどで外科的診療を求める患者もいると言い、事前連絡への理解を求めている。

一日平均15、6人であれば大したことはないではないかという声もあるでしょうが、夜間だけの診療で初診ばかりでこれだけが来るとなると実感としてほぼ休んでもいられない状況でしょうし、応援に来る外部の医師にしてもあまり歓迎できる仕事でもないでしょうから、例えば最も多忙な週末にセンター長を当てていたということででもあれば御年69歳のセンター長には確かに「話が違う」と言いたくもなったのでしょう。
その話が違うということが偶然そうなってしまったのか、実は予想された事態だったのかといったあたりで冒頭に出た責任問題の行方も変わってくると思いますが、状況証拠から見るところではどうやら十分に予想し得たものであった気配が濃厚なのですね。
実は同じ北見市内にある民間の診療所の先生が、ご自身の診療所のサイトでまるで今日この時を予測していたかのような警鐘を鳴らしていたものをこちらでも紹介させて頂きますけれども、わざわざこうしたことを一開業医が警告して回るほどの危機感を感じるほどの状況が元よりあったということなのでしょう。

【医療コラム】夜間急病センターの利用の仕方(2011年3月3日本間内科医院HP)

北見市では今年の4月から夜間急病センターが設置される予定になっておりますが、その利用の仕方について市民の皆様にお願いがあります。私はこれまで北海道のあちこちの病院で当直をしてきましたが、何度も不適切な利用の仕方をされている患者様を診る機会がありました。皆さんも御存知のように現在国の施策で医師の数が少なくなり、特に地方には医師がかなり不足しております。そのため北見市の夜間急病センターの常勤医もなかなか決まりません(2/2現在)。いずれは決まると思いますが、夜間急病センターを不適切に利用する方が多ければ多いほど、そこに勤める医師のモチベーションは下がり、疲れてしまい長く続かなくなってしまいます。その為市民の皆様一人一人に適切な受診をして頂き、夜間急病センターが長く存続できるようにお願いしたいと思います。

まず私が経験した不適切な利用の仕方をしていた患者様の例を挙げさせて頂きます。

①1週間前から風邪をひいている。
②いつもかかりつけ医からもらっている薬がほしい。
③数日前から腰が痛い。
④さっき高熱が出たのでインフルエンザの検査をしてほしい。
⑤眠れないので睡眠薬がほしい。
⑥鼻水・鼻づまりがつらい。
⑦特に症状はないが熱が出たので解熱剤がほしい。
⑧お酒を飲みすぎて明日仕事なので点滴をしてほしい。

まず①~③に関しては、日中どこかの病院に受診できたはずです。仕事が忙しくて受診できなかったというのは理由にはなりません。仕事が忙しくても何とか時間を見つけて日中来院されている患者様は多くいらっしゃいます。不適切な受診で一番多いのが①です。次に④もインフルエンザ流行期には多いですが、インフルエンザの検査は熱が出てから24時間くらい経たないと正確に判定できません。またインフルエンザの薬は熱が出てから48時間以内に投与開始すれば重症化しにくいと言われておりますので、呼吸困難や意識障害、異常行動などがあれば別ですが、翌日の日中に受診した方が確実です。⑤⑥は命には関わりませんので、一晩我慢して翌日受診しましょう。⑦に関してのアドバイスとしては、幼児から高齢者までに共通して言えますが、症状が熱だけでぐったりしておらず、水分がとれていて尿が出ている状態であれば受診は翌日で大丈夫です。⑧は病気ではありませんので、自分で水分を十分にとって頑張りましょう

以上簡単にお話させて頂きましたが、夜間急病センターというのはその日のうちに手当てをしておかないと重症化してしまうような患者様が受診すべき設備です。しかし実際には受診した方が良いか迷われるケースが多いと思います。夜間急病センターを受診しようと思われる皆さんにお願いですが、受診される前に必ず電話をしてから受診して下さい。受診するほどではなくアドバイスだけで対応できるケースもあり、救急車で2次救急に行くべきというケースもあります。電話をしてから来て頂いた方が対応する側もどのような患者様が来院されるのかがわかるので、準備ができます。

北見市夜間急病センターがずっと存続できるように、市民の皆様一人一人が大切に利用して頂くよう、ご協力よろしくお願い致します。

本間先生の思いも空しく予想された通りの事態になってしまったわけですが、さてこの場合もっとも責任を追及されるべきは地域医療に熱意があります!などと口先だけの奮闘宣言をするだけでさっさと逃げ出したセンター長にあるのか、それとも周囲からも簡単に想像出来る状況を隠し通して「ああ、患者さんはせいぜい10人くらいです。なに来る前に電話で連絡もありますから大丈夫ですよ」と医者を呼び込んだ市当局にあるのかです。
日赤にしても一次救急をセンターが拾ってくれるということであれば本来嬉しいことであるはずですが、せっかく別施設になってもそちらの業務にアルバイトで駆り出されるとなれば余計な仕事を押しつけられた形の医師にしても不満はたまるでしょうし、このあたりはセンターを管理する市当局や医師会がセンター業務の割り振りをもう少しうまく行っていればセンター長ももう少し長続き出来ていたかも知れません。
患者は日付が変わる前の時間帯に集中しているということですし、一次救急レベルの患者が明け方の時間帯になって朝まで待てないということもないはずで、実際に各地のこの手の夜間診療所がおおむね日付の変わる時間帯までで終わっていることを考えると、終夜営業で夜間の急患はすべて引き受けますと市民から誤解されかねないセンターの運営時間もどうなのかなとも思うのですが、この地域独自の事情もあったのでしょうか?
いずれにしてもセンター長が逃散したとなれば応援の医師にかかる負担はますます重くなるはずですが、開業前にも既に地元医師とトラブルがあったというくらいですからいずれ「もう協力出来ません」という声も出てくるかも知れませんし、そもそもこんな小さな町にこれだけの事件が相次いでいると知れ渡ってしまっては後任のセンター長もおいそれと見つかるものだろうかと、他人事ながら心配になってくる話ですよね。

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コメント

 非常勤でいったけど、このセンター長ってのは明らかに精神疾患抱えているよ。知ったかぶりで的外れな事をネットに流すな、アホ。
 おまえのこのサイトって結局はおまえ自身の妄想がほとんどだろ。

投稿: 非常勤でいったけど | 2011年7月22日 (金) 02時14分

精神疾患持ちばかりが集まるからみんなさっさと辞めていくんだなw
身の丈にあったいい施設じゃないかw

投稿: aaa | 2011年7月22日 (金) 06時25分

ま、センター長の健康状態は今回のテーマとはあまり関係なさそうですしね
もし事実一目で判るくらいに健康不安があるのであれば、そうした医者にセンター長などという重職を委ねる側が問題だと言うことになりますし

投稿: 管理人nobu | 2011年7月22日 (金) 08時27分

北見の急病センターの管理医師決まったそうな。 こんども69歳。ある意味すごい。今はいいけど11月から3月までインフルエンザが流行したときの勤務なんぞ超忙しいやろうに。いつまで続くのやろう。

投稿: | 2011年7月27日 (水) 10時38分

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