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2011年6月 7日 (火)

昨日に続き生活保護関連の話題ですが

昨日も生活保護中のシングルマザーによる無茶な体外受精問題を取り上げましたが、あの一件が全米から大きな批判を浴びたというのも折からの不況で生活困窮者が数多い中、他人の財布に頼って暮らしていながら好き放題をやっている当事者の態度が庶民感情を刺激したという理由が大きかったようです。
アメリカの場合は周知のように自由と自立、自己責任という考え方が非常に根深く滲透していて、とりわけこうした問題での反発が大きなものになったんだろうと推測されますが、国民性という点では大きく異なるはずの日本においても昨今生活保護に対する視線は厳しくなる一方だと言うのですね。
無論その背景には不況や震災による財政上の要請もあるのでしょうが、中でもワーキングプア問題と対比して考えた場合に、生活保護という「特権的地位」に安住する人々と真面目な勤労者との逆転現象に釈然としないものを感じる人も多いのではないでしょうか。

生活保護制度、見直しに着手=地方との協議、8月成案-厚労省(2011年5月30日時事ドットコム)

 厚生労働省は30日、本格的な生活保護制度の見直し作業に着手した。生活保護受給者は約200万人に達しており、働く能力のある受給者への就労支援強化が見直しの柱。同省政務三役と地方自治体代表との「協議の場」で検討を進め、8月ごろをめどに成案をまとめる。
 細川律夫厚労相は、同日省内で開かれた協議の場の初会合で、主要な検討課題として、(1)就労・自立支援の強化(2)医療扶助や住宅扶助の適正化(3)生活保護費の不正受給防止(4)求職者支援制度など「第2のセーフティーネット」と生活保護との関係整理-の4点を提示した。
 一方、地方側からは谷本正憲石川県知事、平松邦夫大阪市長、吉田隆行広島県坂町長が出席。このうち、平松市長は「受給者のうち稼働可能層には期間を定めた集中的な就労自立や、ボランティアへの参加も検討すべきだ」などと述べた。

生活保護 自立支援強化対策へ(2011年5月31日NHKニュース)

生活保護の受給者は厳しい雇用情勢の影響で200万人にまで急増し、歯止めがかかっていません。このため厚生労働省は、生活保護制度の見直しに向けて自治体の代表者と協議を始め、ことし8月までに受給者の経済的な自立支援を強化する対策をまとめることになりました。

厚生労働省で30日から始まった協議会には、細川厚生労働大臣のほか、大阪市の平松市長ら自治体の代表者が出席しました。生活保護の受給者は、3年前のリーマンショックによる失業者の増加などに伴って急増し、ことし2月の時点では戦後の混乱期以来となる200万人を超えているとみられています。これによって生活保護費の総額は、今年度3兆4000億円を上回る見通しで、およそ4分の3を負担する国と4分の1を負担する自治体の財政を圧迫しています。協議会では、細川大臣が「働く世代の受給者の経済的自立を支援する必要がある」として、職業訓練を活用した国の支援プログラムを拡充することを提案しました。一方、自治体側からは、仕事への意欲が乏しい人は、一定期間、集中的に自立支援を行うべきだという意見や、生活保護費は全額を国が負担すべきだといった提案が出されました。また生活保護を巡る不正の防止対策として、自治体側から、受給者の生活支援を名目に多額の保護費を徴収するいわゆる貧困ビジネスの規制を強化したり、不正を行った場合の罰則を厳しくすべきだといった意見が出されました。このほか細川大臣などは、東日本大震災の被災地では、仕事も家も失った人たちの失業給付が切れると生活保護を申請するケースが増加するという見通しを示しました。厚生労働省は、ことし8月までに具体的な対応策をまとめ、生活保護法の改正を目指すことにしています。

大阪市長「市の実例示す場に」 生活保護協議、全額国庫負担を強調(2011年6月1日産経ニュース)

 大阪市の平松邦夫市長は31日、厚生労働省で開かれた「生活保護制度に関する国と地方の協議の場」の初会合について報告し、「大阪市が積み重ねてきた実例を示していく場にしたい」と述べた。一方で国が示した課題項目に、大阪市が要望している保護費の全額国庫負担化が含まれなかったことについて、「ここを抜きにしては本当の抜本改正にならない。継続的に訴えたい」と強調した。

 市生活保護行政特別調査プロジェクトチームの会合で報告した。30日に開かれた協議には、国側から細川律夫厚労相、地方側からは平松市長や、谷本正憲・石川県知事らが出席。国側は制度改正に向けた検討課題として、(1)受給者の就労・自立支援(2)医療・住宅扶助などの適正化(3)保護費の適正支給の確保(4)第2のセーフティーネットとの関係整理-の4点を挙げ、8月をめどに生活保護法の改正案をまとめる方針を示した。

 平松市長は国に対し、不正受給防止に向けた自治体の調査権限強化や、医療費の一部自己負担化、働くことができる受給者への集中的な就労支援など、指定都市市長会の抜本改革案を提示。先駆的な施策を実施する「生活保護特区」の申請についても言及した。

他地域の自治体窓口からも「大阪に行けば保護を受けられるよ」と切符を渡され送り出される、なんて噂のある大阪が実効ある対策に必死なのは当然ですが、仕事がないなら仕方がない、生活保護費を支給しましょうなんてのんびりした話が許される時代ではなくなってきたのは確かですよね。
生活保護の問題に関してはここで改めてくどくどとは書きませんけれども、増え続ける受給者の負担で財政的にも首が回らなくなっていることから行政にとっては大急ぎで何とかしたいという思惑に加えて、やはり不正受給問題などもこれだけ全国的に報道されるようになっていることも大いに影響しているように思います。
無論、どうしようもない事情で生活保護ということに頼らざるを得ない局面というものはあるわけですが、いわゆる不正受給や貧困ビジネスなどと言われる行為は論外としても、大前提として出来るだけの自助努力を行い生活保護から早期に抜け出せるように頑張るという当事者意識が必要で、生活保護さえ取れば後は一生遊んで暮らせるでは国民感情としても受け入れ難いということでしょう。

問題は心身の状態からすると働けるにも関わらず働く意志がないらしい受給者が少なからずいる現実で、実際に病院に通ってくる患者と言えば一般市民の中でも有病率が高いはずですが、その患者層にしても医療機関によるとは言え病気によって働けないという比率は高くはなく、多くは仕事には支障はないレベルであるという現実があります。
そうなれば働けるなら自分で働け!と思ってしまうのが自然な感情と言うもので、実際に生活保護の認定を厳しくしていくにあたって真っ先に行われているのが働ける人にはまず就労の努力をしてもらうという原則の徹底だと言いますが、今の時代仮に働く気があっても就職先がないということがあるだけに、どこまでが故意なのか判断も難しいですよね。
とりあえず役場としては今までよりも強く就労を指導するといった形になるのでしょうが、それが原因なのか中にはこんなトラブルに発展した事例もあるようです。

生活保護停止で那覇市を提訴(2011年6月5日沖縄タイムス)

 那覇市から3月末に生活保護支給を停止された同市内の60歳女性が4日までに、停止処分前の市の就労指導は不適切で、処分の手続きは違法として、市を相手に停止処分の取り消しを求める訴えを那覇地裁に起こした。5月26日付。女性は収入がなく、所持金もわずかなことから「生命や健康にも深刻な悪影響を及ぼしている」とし、一時的な支給開始を求め、処分の執行停止も同地裁に申し立てた。

 また、行政不服審査法に基づき同日付で県に処分取り消しを求める審査請求も行っている。

 女性や代理人弁護士によると、女性は一人暮らしで2009年10月から失業状態となり、同12月1日から生活保護を受け始めた。受給前の同11月に高血圧症、翌10年7月には腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症と診断され、足のしびれで歩行にも困難を来しているという。

 訴状などによると、女性は市から同12月に、週5日以上、1日4時間以上の就労と継続就労を文書で指示された。代理人弁護士は、市側の指示内容が県内の景気や雇用情勢、女性の年齢を考慮すれば「生活保護の受給者に無理を強いるもので不適切だ」と批判。女性はこれまで月8日以上の就職活動をしており、就労できていないのは女性の責任ではないと主張した。

 さらに、市が支給停止という不利益処分をしたにもかかわらず、停止される期間を明示していないことは、生活保護対象者がいつまで同様な状況に置かれるのか分からず、行政手続法などに反すると批判した。

 市保護管理課の宮里隆課長は、沖縄タイムスの取材に「女性の担当医師によると、軽労働は可能とのことだった。市としては就労できると判断し、指導してきたにもかかわらず従わなかったので停止した。指示内容は適切だ」と反論。停止期間を明示していない点には「コメントできない」と述べるにとどめた。(伊集竜太郎)

基礎疾患が脊柱管狭窄症ということで、程度は判りませんが一応担当医は就労可能としているものの、60歳の助成で沖縄という就職状況の厳しい土地柄であることを考えると労働形態も極めて制限されてくるでしょうから、これは現実問題として就労できるかどうかはなかなか微妙な状況なのかなという気がします。
微妙だからこそ弁護士もついて裁判にもなったのでしょうが、恐らく全国的にこの種の「認定しろ。金出せ」「まず就労の努力を」「無理。やっぱり金出せ」といった窓口でのせめぎ合いが激化しているだろう中で、まず紛争化したのがこういう微妙なケースであるということは今後の同種訴訟発生にも少なからず影響を与えそうですよね。
生活保護は特に年金のない高齢者にとっての収入源にもなっているわけですが、世間的にはもう引退も視野に入れるべき高齢者だからという話になればそれでは何歳から認めるのかとか、病気で仕事が出来ないというのであればどんな病気なら出来るのかとか、あるいは就職が厳しいから仕方がないとなればどれくらい就労努力をすれば許されるかとか、なかなかクリアカットに分けることは難しそうな話ばかりです。
ただ単純に月何日の就職活動をしたから努力したといった話であれば、例えば専門技能職など到底採用されるはずもない業種などに形ばかり申し込むだけというケースでも就職活動をしているということになってしまいますから、今後のことを考えてもこの就労の部分に関してはもう少し原則をクリアにしていかなければならないと思いますね。

今どきの就職難で「まず働け」というのであれば役所が働き口くらい斡旋しろと言いたい真面目な受給者も多いんじゃないかと思いますが、この点で以前から言われている一案としては、生活保護受給者は公のお金で暮らしているわけですからその代価として公の仕事に従事する義務があるんじゃないかということで、今回の政府案にも出てくるボランティアであるとか、役所なりが何かしらの仕事を割り振って働かせろという声があります。
例えばごみ集配業務など役所が関わってきた業務の一部をこうした人々の労働義務として割り当てればトータルでの行政コスト削減にもつながるという考え方で、本人の心身の状態や職能なども照らし合わせながら仕事を割り振っていく人材派遣的システムが用意できるなら受給者にとっても就労に向けての良いトレーニングになるとともに、「タダ飯」の後ろめたさを解消する機会を提供することにもなりますよね。
公的サービスもまた大きな利権の温床になっているという指摘もありますが、副次的な効果としてそのあたりにメスを入れていくことにつながれば悪い話ではないですし、市民にしても身近にあるちょっとした問題点を気安く頼める公的サービスが誕生すれば助かる面も多々あるでしょう。
もちろんそうしたシステムを通じて役所が身元引受人になるというのであればきちんとした仕事も探しやすいでしょうし、また衰退著しい第一次産業などにも人手を派遣する道にもつながるわけですから、全県的に人材をやりくりして足りないところに送り出す公的サービスなどというものも考えられるというものです。

国の打ち出す対策の詳細は今後明らかになるでしょうが、それくらいのことまで踏み込んで行っておけば市民の理解も得られるでしょうし、保護費でパチンコばかりしているなんて受給者も陰口をたたかれずに済む、そしてトータルでの財政支出削減も期待出来る上に住民生活の向上にもつながるというもので、逆に職探しは勝手にハローワークに行ってくれ、とにかく働け働けの一点張りでは役所の側にも非難の余地があるだろうということでしょう。
また受給者の診療に当たる医師にしてもあからさまな不正受給に関与するなんてのは論外としても、これまでは性善説的に患者の不利益にはならないように無難に書いておく傾向が見られましたけれども、これからの時代はきちんと正しい病状の判断を元に何が出来て何が出来ないのかを診断していく必要があるのでしょうね。
そして生活保護以上に真面目に仕事をしている低所得労働者の救済が実際上も国民感情からしても喫緊の課題だと思いますが、逆転現象などと言われるのも生活保護になった途端に数々の特権がいきなり手に入るという不公平が原因であって、ひいてはこれが勤労意欲を大きく損なっていることを国も認識しなければならないと思います。
最低所得補償だとか低所得者への各種公的費用の支援・減免だとか色々なアイデアがあるはずですが、少なくとも頑張って働いた分はそれ相応の見返りがないことには、かつてワーカーホリックとまで言われた日本人の勤労の美徳も今や過去のものになったなんて言われるような時代が来てしまうかも知れませんよね。

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コメント


はじめまして

とても面白いブログですね!
また、訪問させていただきます!

投稿: @ほけんの窓口の保険代理店 | 2011年6月 7日 (火) 11時53分

生活保護の意見書とは別に、生活保護の患者さんについての役所からの問い合わせが最近増えました。
通院状況とか医師の指示を守っているかとかちゃんと服薬をしているかとか就労可能かとか
治療の見込みとか・・ 書類仕事が倍になって、大変です。

投稿: 浪速の勤務医 | 2011年6月 7日 (火) 12時03分

これはダメだと言うナマポは本人に直接言うより、役場の担当者にクレームつけた方が効くな

投稿: aaa | 2011年6月 7日 (火) 14時02分

>>これはダメだと言うナマポは本人に直接言うより、役場の担当者にクレームつけた方が効くな

クレームというよりも「相談」を生活保護者のケースワーカーさんにすることはありますね。
独居の方で認知症が進んできて、通院とか服薬管理が難しくなってきたのですが、同居できるような御家族は
おられるかとか無理ならヘルパーさんをつけられないかの調整をお願いしたり。
病院の医療ケースワーカー(MSW)と一緒になって御相談にのっていただいてます。

投稿: 浪速の勤務医 | 2011年6月 8日 (水) 12時08分

いやいや、そのレベルの方であればさすがにナマポなどとお呼びするのは失礼で、普通に生保でいいんじゃないかと思いますが。
パチンコに負けて憂さ晴らしに大酒かっくらった挙げ句「金が切れたんじゃ!しばらく入院させえ!」なんて病院で暴れるだとか、ナマポを名乗るにはそれなりの格というものが要求されると思います(笑)。

それはともかくとしても生保受給者問題に限らずいわゆるモンスター問題にしても、大多数のまじめな利用者にとってこそ一部不心得者の行為は大迷惑なはずです。
マスコミお得意の妙な屁理屈擁護論を粉砕するためにも、是非善良な方々からも「いや我々こそ困っている」と進んで声を上げていただきたいですね。

投稿: 管理人nobu | 2011年6月 8日 (水) 13時25分

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投稿: 稿甫 | 2011年7月14日 (木) 14時11分

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