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2011年6月 9日 (木)

原発事故調発足 ここでも「事故調問題」絶讚炎上中?!

原発問題を検証する事故調の初会合が先日開かれましたが、世間的にはあまり評判が良くない様子なのですね。
これだけの被害を出した上に、その折々に触れて「ちょっとそれはどうなのよ」と突っ込み処満載に見えるのですから心情的には理解出来る話ですが、まずは事故調委員会の基本的な考え方を伝える初会合の様子を記事から拾ってみましょう。

原発事故調が初会合=専門家ら、原因や対応検証―事故収束後に最終報告(2011年6月7日時事通信)

 東京電力福島第1原発事故で、原因や関係者の対応を検証する第三者機関「事故調査・検証委員会」(委員長・畑村洋太郎東大名誉教授)の初会合が7日午前、開かれた。
 冒頭、菅直人首相は「世界の国が事故に注目している。それに応えるような報告書をお願いしたい」とあいさつ。続いて畑村委員長が「原子力は危険なもの。それが安全なものとして取り扱われてきたのは間違いだったと思う」と述べた上で、「事故の真の姿を捉えるため、責任追及を目的としない」と調査に臨む基本姿勢を明らかにした。
 事故調は、原子力や放射線防護、危機管理などの専門家に加え、法曹関係者ら10人の委員で構成
 初会合では、(1)安全規制制度など「社会システム等検証」(2)事故の技術的問題点など「事故原因等調査」(3)避難措置の適否など「被害拡大防止対策等検証」(4)「法規制のあり方の検討」―の4チームに分け、それぞれの分野の検証を行う方針が示された。 

菅首相「私も被告」全面協力…原発事故調初会合(2011年6月7日読売新聞)

 東京電力福島第一原子力発電所に関する政府の事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東大名誉教授)は7日、初会合を開き、事故原因や従来の原子力行政の問題点などの解明に着手した。

 6月に現地調査を行い、年内をめどに中間報告をまとめる。

 初会合で菅首相は徹底した検証を要請し、「『私も被告だ』と言ったら強い表現かも知れないが、『この時はどうしたのか、出席しろ』ということなら出席する」と述べ、調査に全面協力する姿勢を強調した。

 検証の焦点は、〈1〉政府と東電の初動対応〈2〉政府による避難指示など被害の拡大防止策〈3〉これまでの原子力行政のあり方――などだ。

 初動対応では、事故発生直後に原子炉格納容器の圧力を下げる「ベント」が遅れた理由、特に発生翌日の首相の現地視察が遅れに影響したのかどうかがポイントになる。メルトダウン(炉心溶融)を防げなかったのかも大きなテーマだ。原発からの職員の撤退を東電が求めたとされる問題や、原子炉への海水注入を政府に連絡したかどうかについても、政府と東電の言い分は食い違っている。

「原子力は危険なもの」 原発事故調初会合で畑村委員長(2011年6月7日産経ニュース)

 東京電力福島第1原発事故で、事故原因や法規制のあり方などを検証する第三者機関「事故調査・検証委員会」(委員長・畑村洋太郎東大名誉教授)の初会合が7日、東京都内で開かれた。年内に中間報告を取りまとめた上で、来年夏までに最終報告をまとめる方針。

 菅直人首相は会合の冒頭、「国民への公開、国際社会における徹底的な公開も実行してほしい。世界が注目している」とあいさつ。「政府が『こういう方向で』と要請することは一切ない」とも言及、「私自身を含め、被告といったら強い口調だが、『出席しろ』といわれれば出席する。政府から独立してしっかり判断してほしい」と強調した。

 畑村委員長は「原子力は危険なもの。安全とされてきたことは間違いと思っている」と述べ、可能であれば6月中にも福島第1原発への現地視察を行う意向を示した。また、「原因究明の動作ができなくなってしまう」として責任追及は目的としないと明言。「国民や世界の人々が持っている疑問に答え、100年後の評価に耐えられるものにしたい」と語った。

 事故調は内閣府が設置。「社会システム等検証」「事故原因等調査」「被害拡大防止対策等検証」「法規制のあり方の検討-の4チームで構成される。炉心溶融(メルトダウン)や水素爆発といった深刻な事故に至った後の東電の対応だけでなく、後手後手に回った政府の対応も検証の対象となる。

 原子力発電の規制当局である原子力安全・保安院が、原発を推進する資源エネルギー庁と同じ経済産業省に属している点などを踏まえ、安全規制に関する制度のあり方なども検証。住民への情報伝達が適切だったかどうかや、国際連携のあり方も検討する。米英仏など諸外国に情報を提供し、意見を求めていく

 10人の委員には、放射線や地震学の専門家をはじめ、元名古屋高検検事長の高野利雄氏ら法曹界関係者や作家の柳田邦男氏が名を連ねた。事務局長には前最高検総務部検事の小川新二氏を充てた。

世間では責任追及もしないのでは意味がないとか、罪を問われないならこれで菅さんも安心だなんて揶揄する声も出ているようですが、以前から繰り返し当「ぐり研」でも取り上げてきた通り、この種の調査を行うにあたってその目的が「真相究明と再発防止」にあると言うのであれば、責任追及や処罰ということとは切り離して行わないことには決して正しい結果は出てこないでしょう。
とりわけ今回の原発事故というのは数ある事故の中でもかなり特殊なケースで、歴史を見渡してもほとんど起こることがない上に起こってもらっても困るという性質のものなのですが、事故時の対応策というものを組み上げていく上でこの特性は困ったところがあります。
通常何であれ失敗あるいは成功といった実地の体験から経験則というものが出てくる、あるいはこうやればマシになるのかなと理屈の上で考えたことが実際その時に有用だったかを検証する機会が幾度もあり、そうしたトライアンドエラーとフィードバックを通じて次第に安全な技術というものが完成されていくわけで、一例として自動車などという乗り物はあれほど年中事故と死者が出る中で年々安全になっていってますよね。
ところが原発の場合はそもそも何かあるということが滅多にない、それも完璧に近い対策が取られていて何も問題が起こっていないんだという幻想に反して、ここ最近に限っても「おいおい、それで大丈夫なのか?!」と思うような杜撰な管理ぶりが漏れ聞こえて来ているにも関わらず大きな事故が起こらないというのは、逆説的に言えば基本的に原発というものは安全なものなんだと言うことなのでしょう。
しかしその結果学習機会がないということになるわけで、フィードバックの見込めない安全対策上の技術は一向に進歩していく機会がないとすれば、数少ないこうした大事故の教訓は必ず全てを絞り出すように吸い上げて、全世界的に共有した上で検証し最善の策を研究、実施していかなければならないはずです。
今回の事故調委員長はまさにそのあたりのノウハウを追求する「失敗学」の畑村洋太郎氏であり、こういったあたりのことは当然に熟知していると思いますけれども、少なからず気になったのがこういう微妙なコメントが出てきているという点ですよね。

「社会的責任は明らかに」=免責、公開基準あいまい―原発事故調(2011年6月7日時事通信)

 7日に初会合を開いた東京電力福島第1原発の「事故調査・検証委員会」は分野ごとに4チームに分かれ、各チームに3人程度の専門家を付けて検証に臨む。畑村洋太郎委員長(東大名誉教授)は記者会見で、「進んでいる事象に対応して、検証しないといけないので大変だと思う」と展望を語った。
 畑村委員長は「原子力の安全のために何が必要だったのかという責任はある。それは明らかにする」と述べ、刑事・行政責任などとは別に、社会的責任の検証は必要との見方を示した
 一方、調査した資料や証言内容が捜査当局などに提出される可能性について、「『出すつもりはない』と言えるが、強制的であれば分からない」として、証言などが法的に免責対象になるかどうかについては、あいまいさを残した。 

事故調レポートを責任追及の最たるものとも言える司法に流すかどうかという議論は医療事故調でも繰り返し激論を招いているところであり、かつて日航706便事故に際して事故調レポートが裁判の証拠に採用されて世界的な大反発を招いたことも知られていますが、絶対にないと明言しなかったという風にも受け取れるコメントですよね。
このあたりはおそらく「誰の責任も問わないということですか!?」なんてマスコミの追求を受けてのコメントであった可能性もありますが、そもそも「結局誰が悪かったのか」式の責任追求型事故調レポートの危険性は福島・大野病院事件(偶然にも今回の事故現場の近くですが)や東京女子医大事件でもすでに明らかになっていることです。
それが真相究明や再発防止からどれほど遠いものとなるかということは、そのいずれもが後の裁判の場において徹底的に粉砕されてしまったということからも明らかだと思いますけれども、言い換えれば「誰か罪のある者を見つけてしまえばそれで終わり」なんてレベルの仕事をされてしまうには、原発事故の与える社会的影響というものはあまりに大きすぎ、切実に情報を渇望する全世界に対する背信とも取られかねないということでしょう。
これをごく分かりやすく言うならば、最善の指示を出さなかった菅総理が悪いだとか、いい加減な仕事をしてきた東電が悪いだとか、誰か特定の個人なり団体なりが悪かったということにして吊し上げれば日本人大多数の気分は一時的にせよ晴れるかも知れませんが、そんな「真相」は菅直人も東電も最初から存在しない世界中大多数の原発運用国にとっては、再発防止上何らの役にも立たないゴミクズでしかないということですよね。
ちょうど先日は今回の大震災によって医療事故調のモデル事業が縮小されるなんて話も出てきて、これまた日本人の事故調というものへの認識自体が問われるような状況になっているわけですけれども、今度は原発事故調でまたとんでもないことをやらかした挙げ句、日本人には合理的な判断能力が根本的に欠けているなどと世界中から笑われる事態にだけは陥りたくはないものです。

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コメント

原発問題がこれだけ政局にも直結するような時期ですから、一切の責任を問わずでは必ず大騒ぎになると思いますけど。
そこで冷静に国民を説得できるだけの器量なり胆力なりが学者先生にあればいいですが、今からマスコミに押し切られそうな勢いでは踏ん張り切れそうにもありませんね。

投稿: 通りすがりのただの人 | 2011年6月 9日 (木) 11時25分

畑村先生は「免責」の必要性をわかっておられるはず。それが担保されない事故調に意味が無いことも。
免責が担保されないなら委員長を辞任する、くらいのことが言えないようでは今回の事故調はうまくいかない気がします。

投稿: クマ | 2011年6月 9日 (木) 15時18分

原発事故調、立法で個人に対しては刑事民事の責任の一切を免除してでも真相を明らかにするべきです。というかそれなくして真相は闇の中になるでしょう。

投稿: 元外科医 | 2011年6月10日 (金) 12時41分

この件に関しては、死に体でどちらに転んでも後がない菅内閣だからこそ出来ることもあるんじゃないかという気がしています。
単に官僚の保身や政治家の人気取りのようなことにだけはして欲しくありません。

投稿: 管理人nobu | 2011年6月14日 (火) 12時20分

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投稿: 光介 | 2011年6月20日 (月) 11時13分

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