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2011年6月17日 (金)

フリー医師に生じたトラブル 自由に伴う責任を考えさせます

今や全国各地で医師不足だ、医療崩壊だと言われているご時世で、とりわけ地方の中小公立病院はどこも崩壊の危機にあることは知られたことですが、医師定員すら充足していないという施設ではとにもかくにも頭数を揃えなければとしゃかりきになって医師集めをしているところも多いようですね。
一方では先年来逃散という現象がブームになり、かつては忌避されてきたドロップアウト市場に大勢の医師が流入した結果、すでに好待遇のドロッポ市場は埋め尽くされてしまっているという声もありますけれども、当然ながら医者の側でも高い能力を持つ人材ほど良い条件を求めることも出来るわけですから、残っているのは施設側も人材側も一癖ある確率が高まっているとも言えそうです。
先日出ていましたこちらのニュース、今の時代に僻地の零細公立病院が医者を二人も解雇などとずいぶん贅沢なことをしているなという印象を持った方も多いんじゃないかと思いますが、まずは記事から紹介してみましょう。

別海町を提訴/医師2人(2011年6月15日釧路新聞)

違法に免職処分を受けたとして、町立別海病院に夫婦で勤務していた医師2人が、別海町長を相手取り処分の取り消しを求める訴えを釧路地裁に起こしたことが14日、分かった。

 訴状によると、2人は昨年11月1日同町に採用され同病院で勤務していたが、今年3月29日、病院長や看護スタッフに長時間、威圧的言動を繰り返し、精神的苦痛やストレスを与えているなどの理由で4月30日で採用を終了すると同町長から通告を受けた。

 しかし、診療内容で問題を指摘されたことはなく、免職理由も主観的評価のみで具体的事実の指摘がなく処分は違法、として免職処分の取り消しを求めている。  

別海病院の元常勤医夫妻、「不当解雇」と町を提訴(2011年6月15日北海道新聞)

 【釧路】町立別海病院(根室管内別海町)の常勤医だった男性内科医師(48)と女性小児科医師(40)夫妻=埼玉県在住=が、同病院を6カ月で解雇されたのは不当だとして、同町に解雇取り消しと復職を求める訴えを釧路地裁に起こした。

 提訴は5月27日付。訴状や原告の代理人によると、夫妻は昨年11月、関東地方の病院から町立別海病院に請われて移ったが3月下旬、5月以降は正式採用しないとする通告書を渡された。その上で水沼猛町長から《1》医療スタッフの信頼が得られず、地域医療の現場に動揺や混乱をきたす恐れがある《2》患者に自己の治療方針を強要し医師としての適性に欠ける-などと口頭で通告されたとしている。

 原告代理人は「採用が長期間の勤務を前提とし、指摘されるような事実もなく、書面での回答を求めたが得られなかった。不当解雇だ」としている。

 同町の磯田俊夫副町長は「6カ月間、医師としての勤務状況を見て判断した。対応に間違いはなかったと確信している」としている。

記事から原告側の主張を見ていますとわざわざ関東の病院から呼びつけておいて半年で首を切る、それも医師としての適性がないなどと悪し様に言われたと言われると、何やら随分と無情な話にも聞こえるのですけれども、どちらが良い悪いは別にしてこうまで断言するからにはよほどに折り合いが悪かったのでしょう。
HPから拝見しますとこの町立別海病院、人口あたり医師数が最も少ないという根室地区にあって9診療科99床を備える町内唯一の病院で、てっきり自治医などで回しているような施設なのかと思いましたら系列と思われる札幌医大を中心に、実に多様な出身大学から医師をかき集めていらっしゃるのですね。
院長ブログなどを拝見していてものんびりしたもので、田舎らしい素朴な日常診療を行っている施設という感じではあるのですが、それだけに医師にも医療そのもののスキルというよりも他の部分におけるスキルの方が重視されるということなのでしょうか、記事の記載においても診療内容より何より態度の方が問題であったというように取れる内容で、確かにそのあたりは主観的評価とならざるを得ないところですよね。
ただしこれだけであればさほどに大騒ぎするような話でもなく、また良い医者が見つかればいいね程度で済む話なんですが、ちょうど先日見ていましたとある場所での書き込みが「へえ、そんなこともあるのか」と感じたものですからたまたま覚えていまして、改めて探してみますとどうもこの件を差している話であるようなんですよね。

541 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2011/05/21(土) 11:03:23.45 ID:87AnqYv80

最近とある町立病院から夫婦者の医師が消えた。
辞める際に病院側と揉めたらしい。(契約違反?)
場合によっては告訴騒ぎも。しかしその夫婦、
もはやさっさと他の町立病院に潜り込んでいる模様。
医師不足に泣く北海道の過疎地の病院を狙って
渡り歩く仕事人(!)か。
それにしても、新しい病院側が前任の病院に照会を
掛けても「個人情報守秘義務」(?)と言う理由で
当たり障りが無い情報しか教えないのが、こんな
医師をのさばらせる事になっている。
「一挙に医師が2人も増えた!」と泣いて喜んでいる
町立病院の院長や事務長、町長さん。直ぐに引き攣った
泣き顔に変わりますよ。ご用心!

542 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2011/05/21(土) 11:47:23.66 ID:PVEzhGjY0

人材派遣屋とつるんでの紹介料稼ぎかな?

ある今猿から病院を紹介されて就職したが、
1年もしないうちに、その今猿から別の病院を紹介された

545 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2011/05/22(日) 20:03:50.95 ID:697EVdoK0

確か亭主は内科、女房は小児科だったっけな。まあ二人が就職した病院は当たり前に分かるわな。

546 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2011/05/23(月) 00:46:43.86 ID:JL332WYP0

仲介業者の成功報酬は2割前後だそうだ。夫婦2人の医師の給料は僻地
ならば一人2000万は下らないだろうから二人分の年収は4000万以上。従ってその2割の800万が仲介業者に入る。仲介業者と病院の間には
最低半年以上と言う暗黙の了解がある
と聞く。したがって業者としてみれば
回転が良いほど儲かる
訳だから半年が経った時点で「契約期間終了」と
ばかりに次の医師募集の病院を狙う。
問題はその業者の口利きで病院に就職した医師だが、最低限の良識が有れば
契約上は問題がないとは言え半年で辞めることはしないだろう
。しかしもし業者とつるんでいたら・・・病院は泣くしかない。二人に辞められた道東の病院はどう出るのかね。

547 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2011/05/23(月) 08:10:02.87 ID:c8BVfYtI0

そしたら,病院側が医師が長くいてほしい人材なら、半年後4-500万/年の昇給をすればいいだろう。
紹介業者とつるんで、半年ごとに病院を転々とするのもどうかと。
最低2年以上は勤務を続けそのかわり6M後より昇給し、紹介業者がとって行く分を
病院と医者で分ければいいだろう。

548 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2011/05/24(火) 10:33:45.75 ID:EJqNUZlc0

くだんのご夫婦の行き先は本別か斜里、とみたが、いかがでしょう。当たってる?

552 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2011/05/26(木) 08:39:29.73 ID:jYxgljwz0
>548
「当たらずと言えども遠からず」な感じ(笑)。最近まで居た所は高給で有名な
道東の町立

553 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2011/05/26(木) 09:44:19.49 ID:Xxn0joC90

>高給で有名な道東の町立。

別海ですね。ありがとうございました。

557 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2011/05/28(土) 00:50:56.20 ID:dA5JhoO30

北海道地域医療財団のHP見ると、町立別海は2500~3000万で小児科医を
募集している。上限が3000万なのは羅臼と同じで根室なんかは3100万だが
別海が違うのは2500~と言う所。他は1500~とか2000~だ。
つまり別海はペーペーの医者でも2500万は貰えるわけだ。さすが自衛隊の金
(国からの)で潤沢に潤っている町だな。毎年米軍も実弾射撃をやっているし。
町に降りる国の金を自衛隊と米軍の実弾の数で割ったら、一発幾らかな(笑)。

原告である医師二人の側ではむしろ契約の継続を望んでいるわけですから、派遣業者とつるんで云々というのはさすがに穿ちすぎだと思いますけれども、正直北海道も田舎になると産科だ、麻酔科だといった絶滅危惧種に限らず、一般臨床医でもこうまで相場が高騰しているのかと少なからず驚かないではいられません。
ま、相場というものは需要と供給で成り立っているわけですし、高い報酬を出してでも医者を確保したいという自治体もそれはそれで立派な一つの住民サービスであると思うのですが(しかし高給で有名、で一発で判りますか…)、気になるのは最初から高給目当てで病院を渡り歩いているという人々がすでに出てきているらしいという話です。
好待遇を求めること自体は専門技能を持つプロフェッショナルである以上当然のことなんですが、医療と言うものはそれなりに継続性が必要な場合が多いもので、顧客側にしてもかつての医局人事時代から「1年、2年ですぐ先生が替わるのは困る」なんて認識がある中で、就職したら即離職していくというのはさすがに一社会人として考えてもどうなのかという声が出てきそうですよね。
その根本にあるのがとにかく契約したらすぐに辞める方が実入りが良いという民間派遣システムの制度的問題にあるということであれば、当然こうした行為は今後も出てくるでしょうし、場合によっては医師派遣に何かしらの規制を!なんて声が出てくるようでは労働市場の自由化に逆行することになりかねません。

基本的に医者の世界というものは長年労使双方において性善説的なスタンスでやってきていて、それは医師個人個人の入れ替わりはあっても医局など縦の関係で契約が続いてきた関係上、お互いにトラブっては困るという配慮があったということだと思います。
その一方で公立病院などに典型的に見られたことですが、こうした性善説的な関係性に安住し「どうせ医者など毎年来る」と医者を好き放題使い潰し、搾取と言ってもいいような不当な労働環境を強いてきた施設が近年の医師労働市場自由化によってようやく批判を受け、強制的に是正ないし診療体制の破綻を強いられていることに溜飲を下げている医者は少なくないはずですよね。
そうした行為がまかり通ってきた背景には「地域の医療を守るために」だとか「医師不足でやむなく」などという言い訳を隠れ蓑にして奴隷労働を強いる病院側と、それを知りながら放置する監督省庁との二人三脚の連係プレーがあったわけですが、近年ではようやくこうした行為に公権力のメスが振るわれるようになり、多少なりとも是正の気配が見られるようになってきたわけです。
医者の側としては黙って虐げられてきた被害者という顔をしているだけで待遇改善が進んでいくというのに、自ら社会的批判を浴びかねないことをやり始めるようでは一時の現金収入にはつながっても、長期的に見れば業界全体の待遇悪化にもつながりかねない危険が高いわけですから、おいおいあまり変なことはやってくれるなよと思わずにはいられない話ではないでしょうか。

よく弁護士業界などと比較して言われることに、医者の世界には弁護士会に相当するような全員参加の自治組織がない、だから自浄作用がないのだなどと言う批判が根強くあって、それが日医などの「我こそ医療業界の代弁者」などと言う得手勝手な増上慢にもつながると警戒してきたわけですが、言ってみれば医局制度などというものはそうした自治組織的な側面もあったわけですよね。
昔から革命家になるのは医者か教師だと言うくらいな業界であるだけに、全ての医者が単一の組織に属して右にならえで行動するなんて光景は御免被りたいですけれども、組織を離れてフリーで行動する医師がこれだけ増えてきた時代であるだけに質的な担保という意味も含めて、そうした人々に何らかの帰属母体なり信用保証なりを用意していくということも考えていかなければならないのかも知れません。
無論、そうした組織化なんてものが嫌いだからこそフリーになったんだという先生方も多いのでしょうが、医者稼業というものは唯一合法的に他人を傷つけていい商売だ、なんてことも言われるだけに、全く何の情報もないままぶらついている医者を雇うというのも雇用側にとってもハイリスクにはなってきますから、逆に見れば売る側にとっても一定の信用保証は高値で売るための材料にもなりそうですけどね。
医師派遣業自体も最近何かと言われることが多く、こちらもどのようにして質的担保を行っていくかが課題となっていますけれども、せっかく手に入れた医者の自由を束縛しない範囲で労使双方にとって益するような、何かしらうまい方法はないものでしょうか。

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コメント

全国的なのかもしれませんが北海道には地方病院を転々としている医師が何人かいます。
紹介状などがたまに来るのであれ、この人前は○○にいたはずなのに数年後にまた違う病院にいるなどの経験をしたことがあります。
同僚に聞くと同僚も同様な経験していました。

投稿: 北海道の循環器内科医 | 2011年6月17日 (金) 13時19分

開業資金を稼ぐために給料の良い地方の病院に出稼ぎみたいにいかれる方はおられますね。
しかし、給料がいいもんだから、目的と手段がいれかわって転々と・・というケースもあるのかな。

投稿: 浪速の勤務医 | 2011年6月17日 (金) 14時21分

アメリカに行くために金貯めてるという噂も
事実だとしたら何しに行くのかね

投稿: aaa | 2011年6月17日 (金) 17時04分

この医者は技術的にもクレームモノでしたよ。
しるかぎりクレーム入れた人はいましたよ。
以上。

投稿: 別海町民 | 2011年7月21日 (木) 07時49分

医療に限らず何の仕事でも、転勤後まともな仕事をこなすようになるまでにはどうしたって一定の時間がかかってしまいますからね。
こういう雇用形態でやっていたということは、最初からその程度の仕事しかする気がなかったんだなと思われても仕方がないと思います。

投稿: 管理人nobu | 2011年7月21日 (木) 10時11分

ここに記載されている記事ですが客観的には概ねあっていますが、この記事を書いたライターさんは最低ですね
客観的事実に基づき実際に町に出向き住民に話を聞かずシャーシャーと書けましたね
私の息子も、この先生に診てもらいましたが、非常に腹立たしい先生で、知識も乏しくすぐ院長に苦情を出しました。
実際に町民に対してアンケート調査などして精査した上で記事を書いてほしいですね

投稿: 別海町民 | 2012年7月 6日 (金) 14時41分

ちなみに裁判の行方はその後どうなったんだろうね

投稿: よくある話だけど | 2012年7月 6日 (金) 15時40分

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