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2011年5月11日 (水)

原発関連では相変わらず斜め上過ぎる話が山積です

ちょうど今書店に並んでいる「世界の艦船」6月号に、ロシア海軍史研究家アンドレV.ポルトフ氏による「ソ連海軍の原潜事故と福島原発(p170-173)」という短いながらなかなか興味深い記事が載っていて、今回の原発事故に興味をお持ちの方は店頭などで手に取ってみていただければと思います。
旧ソ連時代の表沙汰になっていなかった原子炉事故の詳細なども非常に恐ろしい話なのですが、そうした数々の事故やチェルノブイリの教訓などもあわせて、現在のロシアでは常設省庁として非常事態省というものが存在しており、多種多様なロボット作業機や専用機材を装備した特殊機動部隊が日夜厳しい訓練に励んでいるというのですね。
今回の福島の事故においては、まさにポルトフ氏の言う「処理作業の最前線が、ロボット作業機ではなく、満足な防護装置もない人間頼りなのは、最大の悲劇」であって、ハイテク立国などとうぬぼれていた日本の技術基盤が肝心なところで全く役に立たないということを思い知らされた事例でもありました。
海外からもロボット作業機の提供申し出もあったにも関わらず拒否する一方で、自前で開発したロボットは「平地でしか動作チェックをしていなかったので瓦礫の中では使えませんでした」では、これはもう狙ったネタなのか?と言われても仕方がありませんよね。

今回明らかになった政府の当事者能力の怪しさも相当なもので、先日は首相の唐突な超法規的発言によっていきなり浜岡原発の停止が決まりましたが、中電始め現地関係者はもとより与党内でも寝耳に水という声が少なくないようで、「やはり日本は危ないのか!」と全世界に向けて誤ったメッセージを発信したのではと懸念する声も少なくありません。
「戦車でも何でも使え!」の鶴の一声で現場投入が決まった74式戦車にしても、現場に到着したはいいがあまりに重すぎて地下のケーブルを断線してしまうからと、結局何もせずに引き返したというのですから、そんなことは運ぶ前から気づけよと誰でも突っ込みたくなりますよね。
先日は海外の告発サイトにおいて「日本の原発の警備があまりにザル過ぎてテロが心配なんだけど、武装した警官くらい配置したらどうよ?」という米側の懸念に対して。「テロ?そんな心配あるわけないじゃん」と脳天気な答えを返したという一幕が暴露されていましたが、まさにそうした備えの穴を突かれたのが今回の事故だったわけです。
あまりにも失敗の連続であった今回の教訓を十二分にくみ取り、二度と生身の国民を現場作業に駆り出すような愚かしいことをしないで済むよう、きちんとした専用装備を備えた専門家グループを常設して即応体制を整えていかなければ、もう一度同じ失敗を繰り返せば本当に日本は終わってしまいかねないでしょう。
あまり文句ばかり言っていても血圧が上がるだけですけれども、思わず「なんじゃそりゃ?」と言いたくなるような話が多すぎるというのが昨今の日本の世相ということなのでしょうか、先日はこんな話が出ていて驚いたものです。

噂の深層 福島原発の防波工事着手を理由に! 50代社員のリストラ敢行する有名ゼネコン(2011年5月5日niftyニュース)

 終着点が見えない福島第一原発問題と関連して、都内に本社を持つ某有名ゼネコンの50代社員たちが戦々恐々である。

 夏までに発生すると推測されている巨大余震によって引き起こされる津波から原発をガードするために、防波柵の設置工事が連休明けから急ピッチで進む。その現場要員に40、50代の社員が駆り出されているのだ。

 企業戦略としては、子作りの適齢時期を越えており、将来がある程度見えている高齢の社員をピックアップし、危険な現場に送り込むことは苦渋の決断だと言えるだろう。だが、この某有名ゼネコンは、過去に組合運動を熱心にやった社員、高卒以下の学歴の社員、現在の経営陣に反抗的な社員ばかりを選んでおり、意図的な人選ではないかと管轄の労働基準局から睨まれている状態だ。

 つまり、「福島原発行き」を言い渡し、拒絶した者を合法的にリストラできる上、東京電力や政府には恩を売れるわけだ。ここ数年業績の悪化からリストラを狙っていたそのゼネコンは、組合に遠慮せず堂々「首切り」と実施できるわけだから、笑いが止まらないだろう。この処分に社内では、「非人道的な人事だ」「特攻隊だ!」「原発事故に便乗したリストラだ」と不満が高まっているらしい。
 どちらにしろ中高年の社員に「被ばく覚悟の原発仕事をやるか」「会社を辞めるか」と選択を迫るのは気の毒であろう。

「なるほどそんな手があったか!」と思わず手を叩くようなびっくりアイデアですけれども、事実そうした意図で行われていることだとすれば所轄官庁も黙ってはいられないでしょうし、何より国民未曾有の大災害をただ自社の利益追求に利用するという姿勢は社会的批判を浴びても仕方がないんじゃないかと思います。
この原発一帯での作業に関しては、直後から某大手建設会社が復旧作業に尽力して名を挙げたなんて話も伝わっていますが、一方では「最大250ミリシーベルト以上浴びても働くと誓約書を書かさた」といった原発作業員の話も伝わってきていて、冒頭にも書きましたように正しく万一の備えを整えてこなかったツケが現場の人々に回されているのが現状です。
さらにこうした事態が行きすぎるとこういうことになるというのですが、これは一般には詐欺と言われる手口ではないでしょうか?

求人と違い「福島原発で作業」 大阪・西成の労働者(2011年5月8日47ニュース)

 日雇い労働者が多く集まる大阪市西成区のあいりん地区で、東日本大震災後、宮城県で運転手として働く条件の求人に応募した男性労働者から「福島第1原発で働かされた。話が違う」と財団法人「西成労働福祉センター」に相談が寄せられていたことが8日、関係者への取材で分かった。

 センターは求人を出した業者側の調査に乗り出し、大阪労働局も事実関係の確認を始めた。支援団体は「立場の弱い日雇い労働者をだまして危険な場所に送り込む行為で、許されない」と反発している。

 関係者によると、センターが3月17日ごろ、業者からの依頼をもとに「宮城県女川町、10トンダンプ運転手、日当1万2千円、30日間」との求人情報を掲示。応募して採用された男性は東北に向かった。

 ところが雇用期間中の3月25日ごろ、男性からセンターに「福島第1原発付近で、防護服を身に着けがれきの撤去作業をしている。求人は宮城だったのにどうなっているんだ」と電話があった。

 これを受け、センターが雇用終了後に男性や業者側に聞き取りをしたところ、男性が一定期間、防護服を着て同原発の敷地内での作業に従事していたことが判明した。

 東京電力によると、原発敷地内では同社の社員以外に協力会社の労働者ががれき撤去や電線敷設などの作業をするケースがあるというが、センターは「男性の詳細な作業内容はつかめておらず、さらに聞き取りを進める」としている。

 労働者らを支援するNPO法人釜ケ崎支援機構は「初めから原発と言ったら来ないので、うそをついて連れて行ったともとられかねない。満足な保障もない労働者を使い捨てるようなまねはしないでほしい」と話した。

 あいりん地区は日雇い労働者が仕事を求めて集まる「寄せ場」としては国内最大とされる。同センターは大阪府が官民一体で労働者の職業の確保などを行う団体。

ウソ求人で原発派遣の労働者、3日間線量計なしで活動(2011年5月10日スポーツ報知)

 大阪市西成区のあいりん地区で、宮城県女川町での運転手の仕事に応募した大阪市の60代男性が福島第1原発で働かされていた問題で、西成労働福祉センターは9日、男性と業者に聞き取り調査し、男性が原発敷地内で約2週間、防護服を着用して給水作業に従事していたと明らかにした。男性は「4日目にやっと線量計が配られた」などと話している。一方、募集した業者は、混乱の中で誤った仕事内容を伝えたと釈明している。

 「宮城県女川町、10トンダンプ運転手、日当1万2000円、30日間」―。この求人情報に応募した男性は、防護服と防じんマスクを着用させられ、福島第1原発の敷地内へと放り込まれていた

 同センターによると、男性は3月19日に大阪を出発。岐阜県で元請け業者と合流後、特に説明がないまま原発事故の対応拠点「Jヴィレッジ」(福島県広野町など)に到着。この時点で初めて、原発敷地内で作業することに気付いたという。

 同20日からの作業は1日約6時間。原発5、6号機冷却のため、給水タンクにホースやポンプを設けて給水車に水を移し替える内容だった。男性によると「4日目にやっと線量計が配られた」。放射線の情報や健康被害に関する説明は乏しく「精神的ストレスで心臓がパクパクする感じ。長生きなどいろんなことを諦めた」と振り返った。その後計測した被ばく線量は基準値以下だった。

 男性を雇った業者「北陸工機」(岐阜県大垣市)は東京電力の3次下請け。当初、「元請けの建設業者から『現場は女川』と言われ、大阪で募集した」と主張したが、9日になって「(元請けから依頼があったのは福島第1原発での作業だったが)混乱の中で(誤って)女川町の現場を伝えてしまった」と釈明した。一方、愛知県の元請け業者は「“福島第1原発付近で散水車の運転手”と業務内容を伝えたが、原発敷地内の作業とは言っていなかった」と話している。うその労働条件を提示して労働者を集めたり契約を結んだりするのは職業安定法や労働基準法に抵触する恐れがあり、大阪労働局が調査している。

 原発の現場では4月中旬ごろから「原発建屋内なら(募集時の賃金の)3倍」「退避区域なら1・5倍」など、“危険手当”ともいえる作業員の賃金体系を業者ごとに設定。男性も最大で募集時の条件の倍に当たる日当約2万4000円を受け取ったが「おかしいと思ったが物を言える雰囲気ではなかった。賃金も仕事に見合っていない」と話した。

思わず「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!(AA略)」なんて言いたくなるような話ですけれども、これが他ならぬ現代日本で起こっている話だというのですから驚きますが、関係者それぞれが本当のことを正しく伝えるという意志に欠けていたのが根本的な原因だったということなのでしょう(普通はそれを人を騙すと言うのだと思うのですが)。
ひと頃「原発復旧作業に時給1万円!」なんて話がハローワークに出ていたと話題になっていましたが、こちらの方は最初から求人の条件と違う仕事をさせられている、そして「相場」よりはかなり安く使われているのでしょうし、万一の場合の補償などはもちろんのこと、そもそもまともな安全対策すら取られていなかった可能性も濃厚です(何しろ知識すら与えられていないのですから)。
要するに原発事故の被害は思わぬところまで拡大しているという話ですが、その大もとを辿ればこれも必ずしも防ぎ得なかった被害とも言い切れないだけに、起こってしまったことはともかく少なくとも二度と同様の馬鹿げたことは繰り返さないよう、きちんとした事後の対策を取っていく必要があるということで、改めて冒頭の話に戻ってくるわけですね。
それにしても、地震と言えば今回も日本人の冷静な対応ぶりは世界にも称讚されたというのに、こと原発事故に限っては「あり得ない!」と言われるくらいに不手際ばかりが続くというのは、むかしから予定通りの作業は得意でも臨機応変な対応は苦手と言われた日本人の特性そのものですが、その結果出さなくてもいいはずの損害が続出するのも今も昔も変わらないようです。

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コメント

最後の「なにが日本の輸送船を壊滅させたのか」を読んで、愕然としました。
ここまで日本の海軍はバカだったのかと。
ただしこの絶望的なまでの想像力のなさは、たしかに原発事故処理問題とも類似しているわけであり、この手の能力の低さは日本人の宿痾とも思えてきます。
興味深い情報の教示、ありがとうございました。

投稿: 地方医 | 2011年5月11日 (水) 10時13分

昔から言われていたジョークにこういうものがあります。

世界最強の軍隊とは?

アメリカ人の将軍
ドイツ人の参謀
日本人の兵

では世界最弱の軍隊とは?

中国人の将軍
日本人の参謀
イタリア人の兵

日本の下士官、兵は世界一精強と呼ばれたにも関わらず、士官は階級が上がるほどに本当に馬鹿ばかりになっていくと言うことが、戦史などを紐解くとありありと見えてきますよね。
レーダーを「闇夜の提灯」と称した顛末はよく知られるところですが、あり得ないようなトップの愚かさを示すような話がいくらでも出てくる、そしてその愚かさが研究され再発防止の策が講じられた気配がまるでないというのが、今にも続く日本の特徴だと思います。
今回の原発問題においても結局何が悪かったのか、二度と同じ失敗をしないためにどうしたらいいのかという総括もないまま、全てを有耶無耶のうちに終わらせてしまうのではないかということを強く危惧しています。

参考
敵国が採用した日本のアンテナ
http://cobs.jp/life/regular/hatsumei/bn/020109.html

第十二話 インパール作戦
http://www.t3.rim.or.jp/~miukun/pacificfront.htm

投稿: 管理人nobu | 2011年5月11日 (水) 12時04分

浜岡原発の停止要請は妥当だと思います。
津波が問題では無く、震源域のなかにあるので福島の時より激しい揺れになるかもしれないので。
ここで、さらに原発事故という事態は避けるべきかと。


投稿: DH98 | 2011年5月11日 (水) 18時40分

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