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2011年5月25日 (水)

原発注水中断問題 肝腎の信頼が失われては言い訳の意味もないでしょうに

先日も書きました福島原発への海水注水中断問題は、週明けから国会でも野党の厳しい追及が続くという状況に陥っています。
総理を中心とする政府側は知らぬ存ぜぬで徹底的に押し通す構えのようですが、誰が聞いても話がおかしいんじゃないかと思えるような答弁で最後まで押し通すつもりなのか、それともまたしても「すみません勘違いでした」で訂正にかかってくるのか、まだ当分は騒動が続きそうな気配が濃厚ですね。

“菅災”責任転嫁に班目「侮辱だ!」海水注入中断の真相は?(2011年3月23日zakzak)

 東日本大震災の翌3月12日、東京電力福島第1原発1号機への海水注入が55分間中断した問題が、菅直人政権を揺さぶっている。先週末、「首相意向で」と報じられたことで官邸は火消しに躍起。班目(まだらめ)春樹原子力安全委員長に責任を転嫁しようとしたが、当の班目氏は「侮辱だ!」と猛反発。前代未聞の政府発表訂正となった。政権の統治能力欠如を象徴するドタバタ劇。国会で「菅災」の実態や責任が追及された。

 「第1原発の対応は、日本国内だけでなく、世界中が見ている。菅首相と班目委員長の発言はまったく違い、政府発表が1日でコロコロ変わる。致命的なねつ造をして、日本の信頼を損なっているのではないか

 23日午前の衆院東日本大震災復興特別委員会。トップバッターとして質問に立った自民党の谷垣禎一総裁は、海水注水中断をめぐる醜態をこう指弾した。確かに、一連の騒動はお粗末すぎる

 読売新聞は21日朝刊の1面トップで「首相意向で海水注入中断」「震災翌日、55分間」「事態悪化の可能性高い」という衝撃的記事を掲載した。事実なら、菅首相が事故対応を妨害し、メルトダウンや原子炉損傷などを引き起こした可能性が浮上する。即、進退問題に直結しかねない。

 このため、政府と東京電力で作る統合対策室(事務局長・細野豪志首相補佐官)は報道当日、事実をまとめたという資料を発表。≪中断前の注入は東電による試験注入≫≪班目氏が、海水注入による再臨界の危険性を指摘し、菅首相が検討を指示した≫などとしたが、これが火に油を注いだ。

 責任転嫁された班目氏は「原子力の専門家として、そうしたこと(=海水注入による再臨界の危険性)を言うわけがない」「原子力の『げ』の字も知らない素人だと侮辱された!」などと猛反発。菅首相との差し違えも辞さない強硬姿勢に、官邸はひるんだ

 民主党の歴代代表や幹部に仕え、「新風見鶏」と評される細野氏の巧妙な知恵なのか、対策室側は22日夕、班目氏が発言したとされる「危険性」という言葉を「可能性」に訂正。あいまいなまま手打ちを図ったが、これで一件落着とはなりそうにない。

 23日の国会審議で、谷垣氏はまず、海水の注水中断が事態の悪化を招いた可能性もあるとみて、注水中断の経緯や菅首相の関与をただすとともに、政府発表の訂正について「都合のいい発表をして、都合のいい説明をしているのではないのか?」などと追及した。

 これに対し、菅首相は3月12日午後6時から、官邸で開かれた東電関係者や原子力安全委員会などとの協議について、「再臨界の危険性も含めて、海水注入の問題点を洗い出すよう検討を指示した」と説明。ただ、最初の海水注入は東電側から報告がなかったと主張し、「報告が上がっていないものを、私が(注水を)やめろとか言うはずがない」と否定した。

 谷垣氏はまた、菅首相が同日朝、第1原発を視察したことで、原発から放射性物質を含んだ蒸気を排出する「ベント」(排気)が遅れたと指摘されている点も、「最高司令官が現地に行ったことで、足を引っ張った。ベントを遅らせて水素爆発につながり、取り返しのつかないことになったのでは」と質問。

 菅首相は「そう思わない。何度も『ベントを急げ』と言っていた。技術的な問題があったかもしれないが、私の視察とは関係ない」と反論した。

 一体、海水注入中断の真相はどうなのか?

 政府関係者は「官邸での協議に出席していた東電幹部が現場に連絡し、中断につながった」と指摘。与党関係者は「菅首相のイラ菅ぶりが混乱を招いたのでは」といい、こう推測する。

 「菅首相は震災前から、閣僚や官僚に対し、『お前の言うことなど聞いていない』『俺に指図する気か!』と怒鳴り散らかし、周囲は『触らぬ神にたたりなし』という雰囲気だった。菅首相は聞き間違いか、思い付きで『海水注入=再臨界の危険性』に関心を持ち、検討を指示した。周囲は『科学的根拠は乏しいが、イラ菅に反論すると面倒だ』と放置した。これを東電幹部が忖度(そんたく)して注水を中断したのではないか」

 原発事故以来、菅政権については「情報を隠蔽している」「迅速に対応できない」と国内外から懸念が示されている。今回の騒動で、改めて、信頼が低下するのは間違いない。

【原発】注水中断報告で“海江田答弁”と食い違い(2011年5月23日テレ朝ニュース)

 福島第一原発1号機への海水の注入が中断した問題は23日の国会でも取り上げられ、菅総理大臣は「注水自体、報告がなかった」と強調しました。しかし、注水が中断した際、菅総理が「本格的な注水」を指示していたことを海江田経済産業大臣が明らかにしていました

 菅総理は、自民党の谷垣総裁に「政府の説明はねつ造をしている」と追及され、強く反論しました。
 菅総理大臣:「19時4分から二十何分かの25分の間の海水注入については、当時ですよ、私なり官房長官、副長官のところには報告は上がっておりませんでしたので、当然ながら報告の上がっていないものをやめろとかやめるなとか言うはずもありません
 しかし、海江田大臣は今月2日の予算委員会で、注水を中断した際に菅総理が「本格的な注水をやれ」と指示したことを明らかにしていました
 海江田経済産業大臣:「19時4分に、これは私どもの資料でございますが、いったん、東京電力が福島第一原子力発電所の1号機の海水注入試験です。20分ぐらい(海水注入)試験をやりましたけど、停止をしました。再度、重ねて総理からの『本格的な(海水の)注水をやれ』と
 菅総理の答弁の整合性は、今後も厳しく追及されることになります。自民党は、来月1日にも内閣不信任案を提出することを検討しています。

海水注入中断、自らの判断で~東京電力(2011年5月24日日テレニュース24)

 福島第一原子力発電所1号機で事故直後の海水注入が一時中断していた問題について、「東京電力」は23日夜、「自らの判断で注入を停止した」と話した。

 この問題は、1号機で東日本大震災翌日の3月12日に原子炉を冷やすための海水注入が55分間中断されたもので、「事態を悪化させたのではないか」との指摘も出ている。

 国会では23日、野党側が「菅首相が指示したのではないか」と追及したのに対し、菅首相は「当時、海水注入を始めていたことは知らず、中断を指示したことはない」と述べていた。

 これについて23日夜、東京電力は「(再臨界の)懸念・議論がされていることがわかったので、私どもとしては、海水注入に関しては一旦停止をして官邸の判断を仰ぐということになった」と述べ、再臨界の懸念を受けて自らの判断で中断したと説明した。一方で、「海水を入れていたこともうまく官邸に伝わらなかった」と述べ、情報が錯綜(さくそう)していたことを明らかにした。

海水注入の中断指示 首相は否定 では誰が? 瞬間判断で議事録なし(2011年5月24日産経新聞)

 菅直人首相は23日の衆院東日本大震災復興特別委員会で、東京電力福島第1原発1号機への海水注入が一時中断した問題で、自らは指示していないと強調した。だが、海江田万里経済産業相は過去の国会答弁で首相が関知していたことをほのめかす発言をしている。原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は注水が中断した場合、「原子炉の状態は悪化する」との認識を示した。指示は誰がしたのか、55分間中断の影響はあったのかを探った。

 「報告はなかった。報告が上がっていないものを『止めろ』とか言うはずがない。私が止めたことは全くない!」

 菅首相は自民党の谷垣禎一総裁から注水が中断した経緯を追及されると、ひたすら関与を否定し続けた。

 首相答弁の「報告がなかった」とは、東電が3月12日午後7時4分に海水による「試験注入」を始め、同25分に停止したことを指す。首相は、注水が行われていたこと自体を知らされていなかったので、「聞いていない」と激怒することはありえないとしたのだ。

 これに対し、海江田氏は今月2日の参院予算委員会で、試験注水が終わった後に「再度重ねて首相から『本格的な注水』をやれ」との指示があったことを明らかにした。海江田氏の答弁通りに読めば、試験注水を知らなければ「本格的な注水」の指示は出せない

 海江田氏発言に関し、福山哲郎官房副長官は23日の記者会見で「後に分かったことも含めて発言した」と答え、首相が試験注水を知っていた事実は「全くない」と強調した。

 だが、首相の「聞いていない」発言は複数の政府関係者らが証言している。ある政府関係者によると「首相は『聞いていない』と述べたものの、その後特に指示を出すこともなく、周りにいた人たちと議論していた」という。この関係者は「首相発言を不快感の表明と受け取った東電幹部が本店に連絡し、注入の中断につながった」と述べ、政府と東電の意思疎通に問題があったと指摘する。

 この時首相らが議論していたのが再臨界だ。首相は答弁で、再臨界の危険性を検討するよう指示していたことは認めた。公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は「再臨界があるかもしれないという議論をしていたことは、(すでに水がなくなって)メルトダウン(全炉心溶融)を認識していたのではないか」とただした。

 首相は「メルトダウンが起きているかどうかにかかわらず、いずれにしても海水を入れなければいけなかった」とはぐらかした

 当初、官邸側は班目氏が「再臨界の危険性がある」と助言したと説明していたが、班目氏の抗議により、「可能性はゼロではない」と修正した。それでも福山氏は会見で「(班目氏の発言を)大変重く受け止めた」と述べ、重要視していたとの認識を示した

 官邸が修正を図るのはほかにもある。首相が本部長を務める原子力災害対策本部の発表資料では、12日午後6時に「真水処理をあきらめ、海水を使え」とする「首相指示」が出たとなっている。しかし、細野豪志首相補佐官は、首相の注入指示について「午後7時55分」であり、午後6時の「指示」は「海江田氏が海水注入の準備を進めるよう指示した、というのが正確だ」としている。

 政府発表が混乱する一因として当時の官邸内での発言録が残っていないことがある。福山氏は「瞬間、瞬間の判断をしていた状況で議事録をとるような場面ではなかった」と弁明した。

 政府は24日にも事故原因調査委員会の発足を発表するが「重要なことがコロコロと訂正される」(谷垣氏)なかで、政府の説明への不信感が強まっている。

東電側が官邸の指示を仰ぐべきだと考えていたにも関わらず、当の官邸が何も聞いていないではこの非常時にどんな連絡体制の不備かと思う話ですけれども、答弁する者によって微妙に内容が食い違っているのですから「行き当たりばったりに作文しているだけなのでは」と思えても仕方がないところでしょう。
もちろん燃料溶融が起こらずきちんと制御棒が機能していれば再臨界の恐れもないわけですから、この時点で再臨界の危険性を感じていたということは総理周辺がメルトダウンしている可能性を感じていたということになるわけで、このあたりはあちら立てればこちら立たずと典型的な言い訳のための言い訳を重ねる状況に陥っているとも取れる事態です。
冒頭の記事などでも例の総理現地視察によるベント遅れ疑惑が取り上げられていますが、「何度も『ベントを急げ』と言っていた」と言う総理の答弁に反するように3月12日当時の枝野官房長官が「少なくとも(ベント実施を)発表してからにしてくれと東電に要請している」と作業開始を待つように指示したことを公式発言しているわけで、もはや前後の矛盾も判らないほど混乱しているということなのでしょうか。
そもそも真水の注入を続けてきた中でほとんど考える必要性もないはずの海水注入による再臨界などという突拍子もない話を、専門家であると公言したり専門家でないと自己否定したりで多忙なはずの総理がいきなり思いつくとも考えがたいのですが、一刻を争う事態の最中になぜこんな奇妙な行動を総理が取ったのか、その背後には総理の官僚不信があったという声もあるようです。

海水注入中断「首相の言動」焦点 安易に外部意見頼り混乱?(2011年5月23日産経ニュース)

 東電福島第1原発への海水注入中断問題は、政府の原子力政策の根幹を担う内閣府原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長が猛反発し、政府が発表済みの文言を急遽(きゅうきょ)訂正する異例の展開となった。放射能を封じ込める初動を妨げたのは誰なのか-。23日からの国会論戦や、25日にも発足する原発事故調査委員会で焦点になるのは、政府の意思決定の核心「首相のふるまい」となりそうだ。(阿比留瑠比)

 「いよいよ検証の時期に入った。ここは覚悟を決めなければならない」

 細野豪志首相補佐官は22日のフジテレビ番組で、海水注入中断問題に関連してこう述べた。省庁幹部も「いかに官邸が情報を止め隠してきたか。全部国民に克明に明らかにすべきだ」と事故調に期待感を示す。

 21日の政府・東電統合対策室の記者会見などによると、東電が3月12日午後7時4分に1号機に海水注入を始めたという情報は、官邸には届かなかった。

 だが複数の政府高官が証言する。「首相が『聞いていない』と激怒した」。首相は海水注入が再臨界を引き起こす可能性があると知人に言われたようで、海水注入を主張する官僚を怒鳴りつけたという。首相の問題行動は、部下である官僚や政府組織を信用せず、安易に外部に「セカンドオピニオン」を求めることだ。

 「首相が再臨界について心配していたのは事実だ

 細野氏は22日の番組でこう認めた。細野氏らは首相が直接指示して、海水注水を中断させたとの見方は否定するが、首相の言動が東電側に「首相の意向」として伝わった可能性がある。

 「首相が誰かから『海水にホウ酸を入れてもしようがない。むしろ有害だ』と聞いた。原子力安全・保安院も東電も『ホウ酸が必要』と訴えたが…」と官邸筋は語る。

 結果的に3月12日午後7時4分の海水注入時や、同8時20分の注入再開の際には、中性子を吸収し再臨界防止に有効な「ホウ酸」は投入されなかった。首相が外部の声に頼り判断を遅らせたとの疑惑は絶えない。

 そもそも東電の清水正孝社長は5月2日の参院予算委員会で、3月12日の海水注入指示の時間を「真水停止(午後2時53分)の前」と証言。この日は官邸に東電幹部もいた。首相が本当に海水注入を知らなかったとしたら、初動時に、首相がほとんど状況把握できていなかったことになる

 首相は、3月15日に自衛隊による空中放水の検討を指示する際の打ち合わせでも外部意見にこだわった

 首相「ところでホウ酸は粉末で入れるのか液化して投入するのか」

 事務方「…」

 首相「答えられないのか。俺の知っている東工大(首相の母校)の教授と議論してから来い

 班目氏の問題は「文言訂正」で一件落着を装ったものの、抗議を受ければその場で訂正できるほど、政府の報告書が裏付けのないものであることを世に示してしまった。首相の判断根拠は、さらに説明されなければならないだろう。

かねて「イラ菅」などと呼ばれてきた菅総理だけに、こうした場合に下で働く人間にとって必ずしも仕事がしやすい上司でもないということは想像できますが、官僚が総理からすっかり距離を置くようになっただとか、秘書官の間に悪い冗談が広まっているだとか、総理周辺からはあまり好ましからぬ噂ばかりが聞こえてくるというのは気になるところです。
もちろん押しつけではない個人的人脈に頼って判断するというのも有益な場合もあるでしょうが、特定のバイアスがかかった集団からの意見ばかりを偏重するという弊害もあるわけですし、本来であればこうした事態においては首相近辺にきちんとしたブレイン集団を組織しておく必要があるはずなんですが、斑目氏以下政府御用達の専門家の皆さんがよほど頼りなく思えたと言うことなのでしょうか?
その頼りない専門家諸氏の中でも筆頭となりつつあるのが今回大いに名をあげた斑目氏ですけれども、かねて安全委員長としての資質に疑問の余地無しとしないといった声も聞こえてきていた中で、今回の騒動を通じてあまりに変遷するその言動からも、本当にこんな○○老人に任せて大丈夫か?と心配する国民の声もずいぶんと高まってきそうな気配ですよね。

福島第1原発:海水注入問題、政府が班目氏発言を訂正(2011年5月22日毎日新聞)

 ◇「再臨界の危険性がある」→「可能性はゼロではない」

 炉心溶融を起こした東京電力福島第1原発1号機で3月12日夜、炉心冷却のため始めた海水注入が55分間中断した問題で、政府・東京電力統合対策室は22日、内閣府原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長が「再臨界の危険性がある」と述べたとした21日発表の文書について、発言は「可能性はゼロではない」だったと訂正した。班目氏は22日、首相官邸で福山哲郎官房副長官に発言の訂正を要請。対策室側が訂正に応じたため、矛を収めた。本人に確認せず文書を発表したため生じた混乱といえ、政府内の調整不足が露呈した形だ。
(略)
 班目氏は一時「再臨界を言うはずがない。私の原子力に関する知識をばかにしている。侮辱もいいところだ」と批判していたが、要請後、毎日新聞の取材に「(学問の世界では)ゼロでないという発言をしたという記憶がよみがえった。この発言に事務官が過敏に反応していた」と軌道修正。21日の文書の表現を「再臨界の可能性を問われ、ゼロではないとの趣旨の回答をした」と訂正することで折り合ったという。
(略)

再臨界発言、対立から一転手打ち 政府・東電と安全委員長(2011年5月23日中国新聞)

東日本大震災の翌日に福島第1原発1号機で始まった海水注入が一時中断された「空白の55分間」を巡り、政府・東京電力統合対策室と班目春樹まだらめ・はるき・原子力安全委員長の間で繰り広げられていた対立劇が22日夕、一転して収束した。

 班目氏が再臨界の危険性を指摘したことが中断原因になったとした対策室と、「言うわけがない」と真っ向から否定した班目氏。事故対策そっちのけの泥仕合は、班目氏が発言したとされる「危険性」という言葉を対策室側が「可能性」に訂正することで手打ちという、何とも分かりにくい幕引きとなった。

 「原子力の『げ』の字も知らない素人だと侮辱されたようなものだ」。22日朝、都内の自宅前。対策室が21日の記者会見で示した資料をしばらく見つめると、班目氏は自身が発言したとされる箇所を指さし「こんなことを私が言うわけがない」とつぶやいた。やがて唇を震わせ「勝手にあんな資料を作られるならばやっていられない」と、吐き捨てるように話していた。

 ことの発端は対策室による検証結果。注入中断は当初、再臨界を恐れた菅直人首相の指示で決まったとの見方があった。冷却の遅れにつながりかねない判断ミスを菅首相がしたのではないかとの批判の声も上がった。

 しかし、対策室の結論は違っていた。3月12日午後6時から官邸であった海水注入の検討の場で、班目氏が「再臨界の危険性がある」と発言したのをきっかけに、東電が午後7時4分から自主的に始めていた注入が同25分から8時20分まで停止したと指摘した。

 5月21日の対策室の記者会見で、細野豪志首相補佐官は検証結果を示して「東電や経済産業省原子力安全・保安院からしっかりヒアリングした上で公表しており、これが正しい事実」と断言。「(午後7時4分から水が)入っていること自体を知らなかった」と説明し、菅首相の関与はなかったとして収拾を図った。

 一方、班目氏は「再臨界について聞かれた記憶はなく、事実と違うと公表前に抗議したが、『もう記者会見が始まるので止まらない』と無視された」と対策室の対応の不備をぶちまけた。

 さらに、自分が検証結果を認めていない点も含めて公表するように要請したのに実現しなかったとし、「安全委は対策室(の構成メンバー)から引くことも考えている」とまで言い切った。

 ところが、わずか半日後、班目氏は「水に流した」。班目氏はこの日午後、細野氏に面会。その際、班目氏が事実関係を説明したのに対し、細野氏は「再臨界の可能性はゼロではない」と訂正することを受け入れたという。班目氏は「専門家と(政治家など)そうじゃない人たちとのコミュニケーションが取れていなかったんだと思う」と話した。

そうですか記憶がよみがえりましたか…これには斑目氏の名誉を守ろうと細野首相補佐官に噛みつきまでした委員会事務局の加藤重治審議官も開いた口がふさがらないのではないかと想像しますが、わずかな時間でこうまで態度が激変するというのは認○症の症状でもないというのであれば、記憶をよみがえらせるに足るほどのよほどに印象深い出来事でもあったのでしょうかね。
しかし各社の記事を見ていますと総理などは何も知らないと言うばかりで、斑目氏が斑目氏がと言い続けているのはやはり細野氏一人なのかなという印象なんですが、このあたりはいざとなれば細野が個人的に主張したことと避難口を用意しているということなのでしょうか。
いずれにしても斑目氏のこだわりによって文言が多少修正されたとは言え、政府の公式見解として斑目氏の余計なコメントが諸悪の根源であるという設定には変更がないわけですし、委員長としての斑目氏の資質を問う声があがっていることも当然なのでしょうが、どうも当の斑目氏にはそうしたところの病識にいささか欠ける面があるようなんで、まるきり他人事のような顔でこんなコメントを出しています。

班目委員長 注水中断の検証を(2011年5月23日NHKニュース)

東京電力福島第一原子力発電所1号機で、地震発生の翌日に原子炉を冷やすための海水の注水を1時間近く中断していたことを巡って、国の原子力安全委員会の班目春樹委員長は「原子炉に悪い影響を与えたことは確かで、注水を止めた経緯を徹底的に調べてもらいたい」と述べ、注水を中断した影響や経緯を検証すべきだという考えを示しました。

この問題は、福島第一原発1号機で、地震が起きた翌日の3月12日に、東京電力が原子炉を冷やすための海水の注入を55分間中断したもので、政府と東京電力で作る統合対策室は、総理大臣官邸で再臨界の可能性を検討していたことを受け、東京電力が自主的に注入を中断したとしています。これについて、原子力安全委員会の班目委員長は、23日に開かれた安全委員会の記者会見で、「核燃料から大量の熱が出ていたあの段階では、急がなければならないのは燃料の冷却で、再臨界を検討するために注水を止めることは考えられない」と述べました。そのうえで、注水を中断した影響について「詳しい調査をしないと分からないが、悪い方向に行くことは確かだ。東京電力が本当に自主的に止めたのか、誰が判断したのか徹底的に調べてもらいたい」と述べ、注水を中断したことの原子炉への影響や、中断に至った経緯を検証すべきだという考えを示しました。

いや、あの、斑目さん、よほどに空気を読まない極上の天然ものなのか、それとも状況が全く理解出来ないまでに何かが進行してしまっているのかは知りませんが、あなたの口出しを重く受け止めた結果総理が海水注入に大いに不安を感じた、それを東電が察知して自主的に注入を中断したというのが日本政府の公式見解ということになっているのですが、その点については理解出来ていますでしょうか?
個人的に今回のような原発問題に関しては、すでに子作りも終えて人生の終末点も見え隠れしているような御老人方の意見ばかりを拝聴していても国民の不安を拭うことにはつながらないんじゃないかという懸念を以前から感じているのですが、幾らなんでも委員長がこの調子では安全委員会のメンバーの長谷川式の点数が問われかねませんし、菅総理ならずともこんな方々の判断に日本の命運を委ねることに不安を感じざるを得ないでしょう。
そもそも今回の問題はもちろん良いことではないにしても、1号機のみならず他の炉も相次いで緊急事態に陥っている中ではそうまで大きな影響はなかったという意見も多く、正直なところ「万一の可能性を検討しました。それが何か?」で開き直っていても大過なかったはずなのに、下手な言い訳の上に言い訳を重ね続けた結果関係者一同の別の面が懸念されるようになってしまったのが一番の大失態ですよね。
正直与謝野経財相ではありませんが、「巨大地震と大津波のダブルパンチは不運だったと言うしかありません。それでも出来る限り頑張ります」で通していれば一番シンプルに話が進んでいたかも知れないのに、どうも総理周辺のやっていることは火に油を注ぐような行為ばかりで余計な二次災害を自ら招いているように思えてなりません。

明治の時代に創設期にあった日本の軍人を教育するために呼ばれた外国人は、当時士官以外は文盲が当たり前だった西洋の軍隊に比べて日本では下士官兵に至るまで読み書きが出来ることに驚いたと言いますが、基本的に現場を預かる個々の資質が高い日本のような国は、言ってみれば選手個々の能力が高いトッププロチームのように考えてもいいと思うのです。
少年チームであれば監督自らがシュートの打ち方を指導するのも必要でしょうが、こうしたトップクラスのプロチームにおいて指導者が求められるのはチームとしての方向性を明確にし、全ての責任を自ら負って決断を下すということと、そしてともすれば「何をやっているんだ!」という外からの批判に対して「いや、現場の連中は精一杯頑張っているんだ」というメッセージを強力に発信することなんじゃないかと思います。
それがチームに対するサポーターの信頼感をつなぎ止めることと共に、チーム内において「この監督のためにもっと頑張ろう」という強い求心力を産む、それがもともと能力のある現場に実力を十二分に発揮させ望ましい成果を産むことにつながるはずですが、全く逆に信頼を失わせることしかやっていないというのであればサポーターはもちろんのこと、何より現場の人間がやってられないという気分になるのが当然ですよね。

現場が反乱を起こしたと言えば先の尖閣ビデオ流出事件などはまさにその典型ですが、日本政府は嘘ばかり垂れ流しているのではないかと世界中が疑惑の視線を向けている中でIAEAへの報告書は身内だけで都合の良い話を練り上げますと言い切ってしまう、原発問題を検証する第三者機関には外国人専門家は入れさせないと言うでは、ああまたいつもの大本営発表かと言われてしまうだけではないでしょうか。
総理周辺では今回の地震で支持率も下げ止まって一息ついているなんて話も漏れ聞こえてきますが、パフォーマンスのためには原発事故も活用するという総理にそろそろ反発からあきれの段階へと国民感情が移行しつつあるのだとすれば、いくら政権が延命したところで空しいというしかないでしょう。

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コメント

なにかもう、すぐばれるような嘘ばかりつくというのはどういう心境なんですかね?

海水注入の事前報告、枝野氏認める
2011.5.25 12:36

 枝野幸男官房長官は25日午前の記者会見で、東京電力福島第1原発1号機への海水注入が菅直人首相の言動を受けて中断したとされる問題で、東電が海水注入の準備を政府側に事前に報告していたことを認めた。

 枝野氏は、3月12日午後6時から首相官邸で開かれた会議について「東電から『海水注入の準備をしているが時間がかかる』という報告を受けた」と指摘。さらに「それに先立って、経済産業省原子力安全・保安院にそのような趣旨の報告があったことは報告を受けている」とも述べた。

 首相はこれまで、東電の海水注入について「報告が上がっていないものを『やめろ』『やめるな』と言うはずがない」と国会で答弁しており、矛盾が明らかになったといえる。

 枝野氏は、首相の言動について「まったく矛盾していない。首相は『実際に水を入れ始めた』という報告をまったく聞いていないということだ」と反論した。

投稿: 通りすがりのただの人 | 2011年5月25日 (水) 13時25分

 東電は午後3時36分に1号機の建屋が水素爆発した後、原子炉を冷やすため、発電所長の判断で午後7時4分、海水の試験注入を開始。ところが当時、官邸にいた武黒一郎・東電フェローから午後7時前後、保安院などの検討について電話連絡を受け、東電は同25分、注入をいったん止めた。武黒フェローが電話連絡をしたのは、だれかの指示を受けたものではなく、自主的判断という。
>http://www.asahi.com/politics/update/0521/TKY201105210509.html

武黒一郎(東京電力フェロー)(※元東京電力副社長)
経済産業省が音頭を取り、日本国外における原子力発電所の建設に関わる受注窓口の一本化を狙って設立された。当面は、現在ベトナムが建設を計画中の原子力発電所(ニントゥアン第二原子力発電所)の受注に向けた各種活動を行っていく方針である。

海外原発受注、反攻なるか ベトナムの成否カギ
>http://www.asahi.com/business/topics/economy/TKY201010220558.html?ref=recb
■官民一体の新会社発足
 国際原子力開発には、政府などが設立した産業革新機構、電力9社、原発メーカーが計2億円を出資。ベトナムは2030年までに14基の原発建設を計画しており、このうち南東部ニントアン省の2基の受注を目指す。

■技術問題解決に自信――武黒社長に聞く

 国際原子力開発の武黒一郎社長(東京電力フェロー)に原発受注に向けた課題を聞いた。

 ――日本の強みは。

 「これから造る原発はきちんと設計、製造、管理すれば、80年間運転することも不可能ではない。その間にはいろいろな技術問題が起きうる。日本は50年にわたる原発の歴史があり、そうした課題をすべて解決してきた。造るだけでなく、変化に対応して解決していく能力がある」

投稿: いか | 2011年5月25日 (水) 13時33分

正直その発想はなかったw
ここまで来るともうネタとしかww
「私は何だったのか」は今年の名せりふだなw

原発所長が独自判断「注入継続が重要」実際は海水注入停止せず
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110526/dst11052615450022-n1.htm

「私は何だったのか」 海水注入問題で班目・原子力安全委員長
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110526/dst11052618550027-n1.htm

投稿: aaa | 2011年5月27日 (金) 07時34分

放送途中に不自然な強制終了
http://www.youtube.com/watch?v=puPQvxDxiZs
全文
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00200232.html

投稿: 放送事故? | 2011年5月27日 (金) 16時34分

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