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2011年4月11日 (月)

草津総合病院 小児救急センター指定剥奪

先日は滋賀医大小児科医局の撤退に伴い、後任として予定していた自治医大からの小児科医派遣が遅れそうだとして、草津市から委託されていた小児救急医療センター運営が困難になった草津総合病院の一件を紹介しました。
当時から自治医大との交渉を一手に引き受けていたという事務長が音信不通状態であるなどと、いかにもこれは怪しいぞと言う説明をしてきた同病院ですが、その直後に今度は自治医大との交渉自体を行っていなかったというトンデモない話が発覚したことも続報としてお伝えしたところです。
この一連の経過は当「ぐり研」でも大きな反響を呼んだところで、当該記事には現地情報なども色々とコメントをいただいておりますから是非とも参照いただきたいと思いますが、要するに当事者である草津総合病院と滋賀医大小児科医局、そして近隣の近江草津徳洲会病院との間でかなり込み入った事情が存在していたようですね。

【参考】草津総合病院にいったい何があった?(2011年4月5日記事)

【参考】草津総合病院問題 やはりとんでもない話でした(2011年4月7日記事)

滋賀医大小児科医局の側にしてみると、草津総合という施設は必ずしも医師の派遣先として良いところではない、とりわけ近年同病院が(徳洲会病院との競争もあって?!)急激に規模を拡大したのと相前後して草津市からの委託業務として小児救急医療センターを設けたわけですが、市外の患者を主体に予定の倍以上も患者が押し寄せ医局員が派遣を拒否しているという状況であるようです。
一方草津総合病院の側から見ると、滋賀医大からの派遣小児科医は高給取りのくせにろくに仕事をしていない上に看護師にも厳しく当たったりする、何よりせっかくセンターを設けたのに実績として顧客単価も低ければ入院もろくに取らないと、経営上もお荷物状態だったことが数字で示されていますから、文句を言う前に黙って働けと言いたいところではあったのでしょう。
一方で近江草津徳洲会病院は人脈上も滋賀医大とつながりが深いようで、噂によれば一時はこちらに医者とセンター業務を移そうという動きもあったというのですが、これも噂によればどうも年度末ぎりぎりにになって(!)近江草津の方から医師引き受けを断ってきたらしく、これも単にライバルである草津総合を潰すだけの目的だった?とか、センター機能を引き受ける余力がなかった?とか、いろいろと言われるところです。
滋賀医大と草津総合との軋轢は非常に深刻であることは同センター運営委員会の議事録を見るだけでも明らかで、いずれにしても草津総合からの撤退は避けがたい状況だったはずですが、近江草津が事実引き受ける予定だった小児科医5人を年度末になって唐突に切ったなどという噂が事実であるなら、地域の小児救急の行く末を考える上でいささか無責任な話だったのかという気がしてなりません。
ただ一方で草津総合の方でも昨年11月の滋賀医大との完全決裂後、半年足らずの間に後任小児科医(しかも当然ながら複数!)を捜すというのもこの時代大変であるのは理解出来るにしても、結果として市に対して虚偽の報告をしていたことからも明らかなように大いに批判されてしかるべきでしょうね。

草津総合病院小児救急医療 「医師派遣」と虚偽文書(2011年4月8日京都新聞)

 草津市が、草津総合病院(同市矢橋町)に設置している市小児救急医療センターが小児内科の医師を確保できずに1日から部分休診している問題で、同病院の水野光邦理事長が8日、市役所で会見した。医師が確保できていないのにもかかわらず、医師の派遣を受けるとの虚偽の文書を市へ提出していたことを明らかにし謝罪した。市は同日、同センター設置病院としての指定を取り消した

 同病院は、2006年度から5年間の指定を受けてセンターを運営し、11年度からの指定を更新することも決まっていた。センターは3月末まで滋賀医科大から小児内科の医師の派遣を受けていたが、4月以降は栃木県の病院から派遣を受けるとして、3月9日に文書で市に報告した。

報告時に医師確保の見通しは立っておらず、水野理事長は「事務長に任せていたが、現在、療養休暇中で詳細は分からない。虚偽の報告は取り返しのつかない行為で市と市民に多大の迷惑をかけ申し訳ない」と謝った。

 橋川渉市長は「草津総合病院との信頼関係は失墜した。センターの休診は市の信用にも関わり、謝罪して済む問題ではない」と話した。

草津総合病院理事長が謝罪 市に医師確保と虚偽報告(2011年4月9日中日新聞)

◆事務局長は懲戒解雇へ

 草津市が草津総合病院内に設けた小児救急医療センターの小児内科が、医師を確保できず夜間や休日に休診している問題で、病院を経営する水野光邦理事長は8日に会見。「医師を確保した」とうその報告を市にしていたことを明らかにし、「市民にご迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪した。

 水野理事長によると、病院の事務局長が2月末から医療コンサルタント(東京都)に医師の確保を依頼。見通しは立っていなかったが、事務局長の指示で別の職員が3月9日に医師を確保したとのうその文書を作り、市に提出した

 水野理事長は「3月末までには確保できると思っていた」と説明したが、コンサルタントとのやりとりは事務局長に一任しており、詳細は分からない。事務局長は、3月31日から体調不良で療養中。病院を経営する医療法人は懲戒解雇する方針。

 これを受け、市は病院への小児救急医療センター指定を、条例に基づき取り消した。橋川渉市長は「病院の報告は市民の信頼を失う行為。市民の皆さまにおわび申し上げたい」との談話を発表した。市は2006年に病院をセンターに指定し、医師の人件費などに年間5000万円補助してきた。 (猪飼なつみ)

草津総合病院の小児救急センター設置指定、市が取り消す(2011年4月9日朝日新聞)

 草津市の補助事業として草津総合病院が運営する市小児救急医療センターが、医師を確保できないまま一部休診になっている問題で、同病院は8日、自治医科大(栃木県)から医師の派遣を受けられるとした説明が虚偽だったとし、謝罪した。市は同日、センター設置の指定を取り消した。

 この日の会見で同病院の水野光邦理事長らは、今年2月に医師の確保を依頼した医療コンサルタント業者から、自治医科大からの医師派遣が可能だと言われたと説明。3月末までに確保できると判断して3月9日、市に4月以降、同大の派遣医師3人を含む7人態勢でセンターを運営する方針を文書で示したという。

実際には、業者と正式な契約を結んでおらず、業者とやり取りをしていた病院事務局長が体調不良で療養中のため、具体的な経緯は分からないという。

 水野理事長らは「3月下旬になっても業者から返事がなく、問い合わせても明確な回答がなかった」と説明。一方で業者は朝日新聞の取材に対し、「連絡が取れていないということはなかった」と反論している。

 夜間や休日の小児科の救急患者受け入れは、草津、栗東、守山、野洲の4市の病院が輪番で担当。同病院の指定取り消しの前に、今月1日から草津以外の3市の病院が当面、担当することになっている。

記事から総合してみますと草津総合側としては行方不明になっている事務局長に医師確保を一任していたということなんですが、この事務局長と東京のコンサル業者とのやりとりがどのようなものであったかということが問題になります。
とりあえず明らかな事実としてよさそうなことは1)自治医大では一切派遣依頼の交渉は受けていない、2)病院側とコンサル業者との間に接触はあった、3)市に医師確保の見込みと虚位報告をしたのは事務局長の独断、といったことくらいだと思うのですが、この間を埋める真相がどのようになっていたのかですよね。
既にお伝えしたとおり自治医大側では派遣依頼自体を全く受けていないということですが、2)が事実であるなら派遣可否の見込みについて問い合わせくらいはありそうに思うのですが、中日新聞の言うところの「(医師確保の)見通しは立っていなかった」というのが、実は単に業者と契約を結んでいなかったため全く何一つ話が進んでいない段階で終わっていたと考えると納得は出来そうです。
コンサル業者側のコメントがほとんどないため業者が草津総合との話をどう解釈していたのかが判らないんですが、好意的?に解釈すれば病院側は口頭の話だけで業者がすでに動いているものと考えていた、一方業者側では病院が契約を検討中と考え正式契約を待って動くつもりであった、ところが三月になって件の事務局長が(お互いの認識の齟齬に気付いて?)このままではセンターが潰れると、自分の責任を回避するために慌てて話をでっち上げたというところなのでしょうか。
そうなれば自分の失態が明らかである以上は事務局長としても雲隠れするしかないと考えるのも納得出来るのですが、その結果同病院はセンター指定を取り消された上に市と市民の信頼を完全に喪失することになったのですから、病院側としては損害賠償請求でもしたくなりそうな話なんでしょうね。

ただ思うことに、もともと同センターの業務は運営委員会の側にもデータとして示されているようにうまく回っているとは到底言えないもので、市から多額のお金を注ぎ込んで赤字を補填しているにも関わらず利用者の過半数が市外の患者であるということですから、市としてもこれは市の業務として続けるべきか否か再検討する好機であると考えているのかも知れません。
もう一つのセンター業務委託の候補であるべき近江草津としても実際の事情はどうあれ、大学側と手を切ることでセンターにはもう手を出しませんと公言した形であるわけですから、少なくとも今後当面センター運営は休止されることになることは確実でしょうし、実際に現地の話を聞く限りでは無くても必ずしも困らないという状況でもあるようです。
もし今後センター業務を再開するとしても、今までのように大規模病院に併設する形ではまた市外患者の集中という事態になることが目に見えている、そして滋賀医大の方でも重症患者は取ると言っているのですから、実際の患者層に合わせて一次救急レベルに特化した身の丈相応の時間外診療所を開設するくらいで、市の業務としては十分なんじゃないかと思うんですけどね。

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コメント

リンク先の方も拝見しましたけど
http://inakameishi.asablo.jp/blog/2011/04/06/5779934

本当に徳洲会が3/30になって急に次年度分の内定取り消しを伝えてくるような真似をしたとすると
ここの大学ってそうとうになめられてるってことになりませんかね?
いくらなんでも今どきこんなケンカ売るようなことする病院があるんでしょうか?

投稿: 通りすがりのただの人 | 2011年4月11日 (月) 11時23分

噂が事実だったとしてですが、徳洲会クラスになると医局に頼らずともやっていけるということもあるのでしょう。
特にこれが京大阪大クラスならともかく、言ってみればほぼ県内ローカルな影響力しかない新設医大が相手ですし…(失礼)

ただセンター設置が周囲からババ抜きのババのように認識され始めているのであれば、草津市としても今後の扱いが難しいと思います。
事実上自治体をまたがっての業務になっているのですから、ひとり突っ走ってまた失敗する前に大津市などともしっかり協議していくべきかなと思うのですが。

投稿: 管理人nobu | 2011年4月11日 (月) 15時08分

上記記事「同大の派遣医師3人を含む7人態勢でセンターを運営する方針を文書で示した」の「同大の派遣医師3人」は例の嘘の三人ですよね。「・・・を含む7人態勢」とありますが、残り四人とはどこの誰を指しているのでしょう?草津総合の小児科医は撤退しました。6月までは一人だけ残ってくれるらしいですが・・・。後の4人って・・・?小児外科医は拒否したらしいですし、しかも2名です。バイトは滋賀医大系列ばかりのはず・・・・。またこれも虚言でしょうか???

投稿: | 2011年4月11日 (月) 16時40分

傍目には草津総合病院はセンター継続は100%無理と思われていたのに、(嘘の報告で)センターを手放さないことになってしまった。人は来るけど、お金は来ない。200床の徳州会では補助金なしの小児科医5人受入れはソロバンに合わない話だったのでは。

投稿: | 2011年4月11日 (月) 19時01分

病院ホームページに、こんな記載がありました。

小児科医師の不足により「草津市小児救急医療センター」の指定が
4月8日午後3時をもって解除されました。

あれれっ?!
小児科医師の不足だけで指定が取り消し?

投稿: | 2011年4月11日 (月) 22時46分

小児救急なんて今どき儲けを考えてやるもんじゃなし、徳洲会も手を引いて正解
そもそも市にとっても悪い話じゃないはずなんだけどねえ
毎年大きな補助金注ぎ込んで市外の患者のためにセンター維持するって、市民オンブズマンに突っ込まれかねない話でしょうよ

投稿: aaa | 2011年4月12日 (火) 14時52分

ホームページにも嘘ですか。
小児科医不足だけじゃないですよね。
虚偽申告のためとしないと嘘になりますよ。

投稿: | 2011年4月12日 (火) 21時25分

今度、滋賀の草津総合病院で子宮筋腫の腹腔鏡下手術を予定してるのですが、
ここを読んで、手術に不安を覚えています。
私は初めて行った病院だったのですが、手術する事になりました。
ここの病院をやめた方いいのか悩んでます。

投稿: | 2011年4月25日 (月) 10時49分

子宮筋腫の手術は産婦人科だから大丈夫じゃないですか?U先生は上手ですよ。

投稿: | 2011年5月26日 (木) 21時36分

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