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2011年4月22日 (金)

福島の人々が不当な差別にさらされています

昨日は特定の疾患を持つ患者に対する差別にもつながりかねない事例について書きましたけれども、きちんと治療を続けることで自己コントロールが出来る可能性があるという点ではまだ救いの余地がある話とも言えました。
これが降って湧いたような天災によって身に覚えのない差別を受けるということになれば更なる大問題ですが、まさにそうした現象が現代の日本で起こっているというのですから由々しき事態と言うしかありませんよね。

「福島出身を理由に結婚破談」(2011年4月15日J-CASTニュース)

 「放射能の影響で元気な子供が生まれなかったらどうするの?」。福島県出身の女性が婚約者男性の母親からこう言われ、結婚が破談になったとブログで紹介され、波紋を呼んでいる。この話は、当事者の誤解などの可能性もあるが、そんなケースは実際に起きているのか。

 「結婚にまつわる悲しい話」。神奈川県在住のウエディングカメラマン男性(37)は、2011年4月15日のブログでそう切り出して、胸の痛みを打ち明けた。

■きっかけは、新郎の母親が言った「放射能の影響」?

 このブログ「ウエディングカメラマンの裏話」によると、女性は、福島県で高校まで生活した後に上京。東京の大学で婚約した男性と知り合った。それから8年間も交際を深め、都内で6月に結婚する運びになった。いわゆるジューンブライドだ。

 カメラマン男性は、新郎新婦と結婚式撮影の打ち合わせをして、2人の幸せにあふれる様子に心和んだ。2人の友だちがリングピローとウエルカムボードを作り、高校時代の福島の親友も「こういうときだから幸せたくさんみせてね!」と祝福していた。

 ところがだ。いきなり結婚式が中止になり、結婚も破談したというのだ。

 そのきっかけは、新郎の母親が言った「放射能の影響」の言葉だったそうだ。女性は、これでは一緒にやっていくのは難しいと思い悩んだ。そして、結婚で新郎の家族が不幸になってほしくない…。こう考えて、女性自ら、新郎側に破談を申し入れた。そのとき、新郎は安堵の表情を見せ、新郎の両親も笑顔になったという。

 もちろん、第3者であるカメラマンが話を聞き間違えたり、破談の理由はもっと別のところにあったりした可能性はある。これが本当のことだとは必ずしも言えないが、福島出身が理由で婚約が解消したケースなどは実際にあることなのか。

■福島県「聞いていないが、あればゆゆしき問題」

 日弁連の広報課に取材すると、放射能差別を理由にした結婚破談などの具体的な情報はまだないといい、人権問題で対応を検討しているようなこともないという。また、法務省の報道係でも、2011年4月15日にこうした問い合わせが来たというが、法務局や人権ホットラインなどに人権侵犯事件として上がってきたものはなかったとしている。

 大手の結婚情報サービス会社でも、取材に対し、「震災で婚活を一時休止したというのはありますが、原発事故の影響で結婚破談という話は聞いたことがありません」と話した。

 放射能差別による福島県民の結婚破談について、県災害対策本部の広報班では、「そのような話は聞いていない」としたうえで、「あればゆゆしき問題だ」と言っている。

 とはいえ、放射能への過剰反応については、すでに一部で報じられている。

 福島出身者らがタクシー乗車やホテル宿泊などを拒否され、行政が業界の指導に乗り出したのは、その1例だ。さらに、千葉県船橋市では3月28日、福島県南相馬市から避難してきた小学生の兄弟が公園でそのことを地元の子どもたちに話すと、子どもたちは「わー」と叫んで逃げたことが市教委に報告された。市教委ではこの日、各校長に対し、被災者に思いやりを持って接してほしいとする通知を出している。

 福島県の災害対策本部では、「ガソリンスタンドやコンビニへの入店を断られたり、いわきナンバーの車を荷主が嫌がったりするケースは聞いています。必ずしも事実確認できたわけではありませんが、過剰反応が起こっているという認識はあります。しかし、福島県には応援の声もいっぱい届いていますので、これからも前向きにやっていきたい」と話している。

東日本大震災:「放射能怖い」福島からの避難児童に偏見(2011年4月13日毎日新聞)

 原発事故で被ばくを恐れ福島県から避難してきた子供が「放射能怖い」と偏見を持たれるケースがあるとして、千葉県船橋市教委が全市立小中学校長らに配慮するよう異例の指導を行っていたことが分かった。福島県南相馬市から船橋市へ避難した小学生の兄弟の事例では、公園で遊んでいると地元の子供から露骨に避けられたという。兄弟は深く傷つき、両親らは別の場所へ再び避難した。大震災から1カ月たつが、福島第1原発の深刻な事態が収まる見通しは立っていない。知識の欠如に基づく差別や偏見が広がることを専門家は懸念している。【味澤由妃】

 南相馬市の小学生の兄弟のケースは、避難者の受け入れ活動に熱心な船橋市議の一人が把握し、市教委に指摘した。市議によると兄弟は小5と小1で、両親と祖父母の6人で震災直後船橋市内の親類宅に身を寄せ、4月に市内の小学校に転校、入学する予定だった。

 兄弟は3月中旬、市内の公園で遊んでいると、方言を耳にした地元の子供たちから「どこから来たの?」と聞かれた。兄弟が「福島から」と答えると、みな「放射線がうつる」「わー」と叫び、逃げていった。兄弟は泣きながら親類宅に戻り、両親らは相談。「嫌がる子供を我慢させてまで千葉にいる必要はない」と考え、福島市へ再び避難した。

 福島県から県内に避難し、この家族をよく知る男性は「タクシーの乗車や病院での診察を拒否された知人もいるようだ。大人たちでもこうなのだから、子供たちの反応も仕方がない。でも、当事者の子供はつらいだろう」と話す。

 市議の指摘を受け、船橋市教委は3月28日「(放射能への)大人の不安が子どもたちにも影響を与え、冷静な対応がとれなくなることが危惧される」として、避難児童に「思いやりをもって接し、温かく迎える」「避難者の不安な気持ちを考え言動に注意する」よう市立小中学校長らに通知した。
(略)

 千葉市稲毛区の放射線医学総合研究所(放医研)は福島第1原発事故直後の3月14日、放射線や被ばくを巡る電話相談窓口を開設。研究員や退職者6人が朝から深夜まで応対している。相談は主に首都圏から寄せられ、すでに6000件を超えている

 震災直後は「原発近くに住む親類を家で受け入れたいが、自分の子に影響はないか」という内容が多かった。その後、避難者の数が増えると「アパートの入居で難色を示された」「福祉施設や病院で被ばく線量を調べるスクリーニング検査の証明書の提出を求められた」などの相談が急増した。

 今回の船橋のケースも踏まえ、放医研の柿沼志津子博士は「大人をまず教育したい。受け入れる側が心配すべきことは何もありません。むしろ心配しすぎる方が体に悪い」と指摘。「放射線について正確な知識に基づき、『正しく怖がる』ことが大切です。もっと勉強してほしいし、私たちも理解を深めてもらえるよう努力しなければならない」と話す。放医研は相談窓口(電話043・290・4003)を当面続けるという。

こういう話を聞いて日常的に放射線というものを扱っている医療従事者は「俺らの方がずっとすごい被爆してるぞ」と笑うのですが、逆にいえば日々一生懸命カテをしている医者だとか、死ぬような思いをして放射線治療をしている患者さんも、いつなんどき「ケガレ」としてこういう扱いを受けるようになるかも判らないということですね。
以前からマスコミお気に入りの「安全神話」なんて馬鹿げたフレーズが大嫌いでしたが、リスクの正しい評価から最も縁遠いこうした無意味なレッテル張りをすることで国民の判断能力をスポイルし、原発に限らず原子力エネルギーに関わる諸々をさんざん歪めてきた結果がこうした現象として現れているとも言えそうです。
長年マスコミが主導し巨大な怪物に育ててきた日本の原子力アレルギーが抜きがたいものになってしまったのは仕方がないとしても、こういう恥ずかしい行為を恥ずべきものと自覚していくことで少しでもアレルギーが軽減していくのなら今回の原発事故も少しは救われるのかも知れませんが、事態を沈静化すべき公的な組織が大々的にこういう馬鹿げたことをやり始めると救いも何もあったものではありません。

つくば市が福島からの転入者に放射線検査要求 苦情受け、「今後はしない」(2011年4月19日産経ニュース)

 東京電力福島第1原発の事故に伴って福島県から避難し、茨城県つくば市に転入する人に対し、市が放射線の影響を調べるスクリーニング検査の受診を証明する書類の提出を求めていたことが19日、分かった。

 茨城県によると、事故を受け、市の窓口の担当職員が転入手続きに訪れた人に証明書の提示を要求。提示できない場合は、検査を受けて証明書を入手するよう要請していた。

 苦情を受けた茨城県が市に指摘。市は「今後はしない」と回答したという。

枝野長官会見「過剰反応やめ福島県民に温かく…」(2011年4月19日産経新聞)より抜粋

 --茨城県つくば市で、原発事故で福島県から転入する避難民が放射能検査の結果の提示を求められていた。福島県民の「差別」につながりかねないが

 「当該報道は私も承知をしている。今日の閣僚懇談会においては、玄葉大臣からも福島の方に対する差別的な行動についての報告がございまして、そうしたことのないように政府として直接できることはなかなか難しい側面もありますが、関係省庁いろいろと努力、配慮をしてほしいとの話があった。私としても、ぜひ、しっかりと冷静にさまざまな情報をうけとめていただきたいと思っている」

 「放射線についてはいわゆる感染症のような形で、うつったりするものではないとの客観的な事実がある。それから、福島原発周辺の高い放射性物質が出ている可能性が高い地域については、早い段階で避難を指示をして、実際に避難をいただいているので、そして周辺で作業をしておられる皆さんについては、防護服などを着て、着衣や体に放射性物質が付着をしないような対策をとっていただいているところであるので、そうした皆さんを含めて」

 「それから、一昨日、私も(避難区域の)20キロ圏内に入らせていただき、現場を見てきた。20キロ圏内に入るということで、放射性物質などの濃度は相当低くなっているだろうということではあったが、防護服などを着衣したというのは、逆に放射性物質などを、それ以外のところに持ち出さないようにしっかりと管理をするということが、一番の目的で防護服を着用して中に入った」

 「こういった形で、残念ながら原子炉からは放射性物質は出ているが、周辺地域の住民はもとより、今、現場で作業をされている皆さんを含めて、放射性物質がその人に付着をして、あるいは操舵具に付着をして外に出るということはありえない状況に管理をしている。したがって、客観的にみても、そうしたことは明らかに過剰な反応だ」

 「むしろ、周辺地域の皆さんをはじめ、福島の皆さんは避難を余儀なくされたり、さまざまな意味での風評を受けられて、ご苦労をされている。もちろん、その責任は東電と政府においてしっかりと対応していくことが一番の責任だ。同時に、今のような科学的な前提をしっかりとご理解いただいて、むしろ、そうしたご苦労をされている皆さんに対し、温かく、特に避難をされている皆さんなどについて、あるいは安全が確認されている福島県の産品などについて受け止めていただきたいとお願いを申し上げる」

狂牛病騒動の時にも感じたことですけれども、日本社会の場合理屈もエヴィデンスも何も無視してとにかく「ケガレ」を排除しようとするのが民族性なのか、国民もマスコミも米国産牛肉は全頭検査せよ!そうでなければ一切日本の土を踏ませるな!なんてことを叫んでいましたし、それが正しい、我こそ正義だという風潮がありましたよね。
その一方でアメリカの畜産農家では「それは科学的におかしいんじゃないか」という声があがっていたのは誰も相手にしない、むしろ「特定危険部位が混入してるじゃないか!お前らが誤魔化そうとするのがいけないんだ」なんてさんざんバッシングするような気配すらありましたが、今になってミソも糞も一緒というあの非難の嵐をもう一度振り返ってみることも大事な事なのかも知れません。
無意味だから全頭検査は決してするべきではないとか、検査がなければ輸入もなしなんて極端な姿勢を取るのではなく、どのような対応にはどのようなリスクがあるのかときちんと情報開示を求めた上で状況を理解し、その上で消費者一人一人が自分の価値観に基づいて判断していくべき話ではないかというだけのことなんですが、「あ~あ~聞こえない知りたくない!とにかく検査したもの以外持ってくるな!」と自ら耳を塞ぐかのような態度がどうなのかということです。
かつて戦時中には戦況の実態を全く反映しない公式報道が相次ぎ、今も「大本営発表」と言えば嘘くさい隠蔽報道といった意味で使われていますけれども、かつてのそうした愚行を今笑っている現代日本人が、実は自分から望んで「大本営発表」を求めているのではないか?という気もしないではありません。

かつてチェルノブイリの事故の時はヨーロッパの土壌も汚染された、これからはもうあちらの食品など食べちゃいけないなどと無茶苦茶なことを言う人もいましたが、今回の原発事故を受けて今や日本こそが「あの国の食品など食べちゃいけない」と言われる立場になっているわけです。
そこで「この○○は日本産だ。危なくて食べられないよ」なんて自虐ネタで笑いを取るというならまだしも、自分は遠く安全な地にあってただひたすら他人をバッシングするしか能がないというのでは「醜い」と言われても仕方がないと思いますが、被災者と向き合う人々はいつなんどき自分が同様に「醜い」存在となるかと自問し続けなければならないのでしょうね。
「変わらなきゃ、日本」なんてことはもう久しく前から言われ続けてきたことですが、今回の悲惨な震災は日本人の誇るべき良い側面も数多く見せてくれた一方で、数々の負のメンタリティーについても変えていく好機であるのかも知れません。

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コメント

人への風評被害は人権侵害、法務省が緊急声明
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110422-OYT1T00274.htm

投稿: | 2011年4月22日 (金) 11時12分

病院送りになるまでいじめられても差別的発言はなかったって信じられる奴いるのか?

東日本大震災で、福島県から新潟県長岡市に避難している小学6年の男子児童(11)が転入先の
小学校で同級生に蹴られ、入院していることが23日、同市教育委員会への取材で分かった。

学校側はいじめがあったことを認め、保護者に謝罪した。

市教委によると、男子児童は父親の実家がある長岡市に避難し、今月7日の始業式から
新しい学校に通学。19日午前の休み時間、同級生の女子児童に腹を蹴られた。
20日に腹部打撲と診断され、様子を見るために入院しているという。

男子児童は15日にも「女子から悪口を言われている」と担任教諭に相談。学校側は21日、PTA総会で
事実関係を説明し、同級生の児童からも話を聞いている。

市教委の山田修管理指導主事は「福島県への差別的な発言はなかった。つらい思いをさせて申し訳ない」と
話している。

投稿: aaa | 2011年4月23日 (土) 12時08分

>同級生の女子児童に腹を蹴られた。

それでも男ですか!軟弱者!!
…と、一瞬思ったけど6年生だと女の子の方がゴツかったりするからなあ。

投稿: | 2011年4月25日 (月) 16時12分

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