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2011年3月 9日 (水)

規制緩和が粛々と進んでいるようです

近頃は何でも規制緩和が錦の御旗になるような気配もあるのですが、最近賛否両論というのがこちら薬のネット販売に関する規制緩和です。
先日例の行政刷新会議でこの薬のネット販売が規制仕分け対象となることが決まった結果、基本的に反対の立場を取ってきた厚労省の方でも動かざるを得なくなったということのようなんですが、やはりと言うべきか反対論も根強いようですね。

仕分け、今度は「規制」が対象 医薬品ネット販売など(2011年3月2日朝日新聞)

 菅政権の行政刷新会議(議長・菅直人首相)は2日、「規制仕分け」で対象とする12項目を正式に決めた。新成長戦略の柱となる農業や医療、環境・エネルギー分野が中心。仕分け結果を3月末に決定する政府の規制・制度改革の対処方針に反映させる。

 刷新会議は規制・制度改革を「新たな成長の起爆剤」と位置づける。首相は2日、首相官邸での刷新会議で「規制仕分けで、国民の目に見えにくかった規制や制度の問題点を明らかにし、そのことで新しい成長の芽を生み出していく」とあいさつした。

 対象項目は、主に同会議の規制・制度改革分科会が1月に見直しの必要なものとして挙げた約250項目の中から抽出。農業や環境・エネルギー、医療の分野で「競争力強化に向けた議論を活発化させる象徴的なものを選んだ」(会議関係者)という。

 ただ、当初想定された農協の金融部門の分離などは民主党内の反発で除外。対象に選んだ「一般用医薬品のインターネット販売」も厚生労働省などに異論が強い

 今回の規制仕分けでは、従来の「事業仕分け」と違い、「廃止」といった判定は出さない方向だ。蓮舫行政刷新相は2日の記者会見で「いろんな議論が出るほうがいい。その場で即廃止という従来の手法はなじまない」と述べた。作業は2グループに分かれ、刷新会議と各省庁が推薦した参考人がそれぞれの立場から規制の必要性などを議論する形になるという。
(略)

薬のネット販売規制、猶予延長へ 国、規制緩和は否定的(2011年3月2日朝日新聞)

 一般用医薬品(大衆薬)のインターネットを含む通信販売規制について、厚生労働省は1日、薬局のない離島に住む人や漢方薬など特定の薬を継続利用していた人に限って今年5月末まで認めていた経過措置を、さらに2年程度延長する方向で検討に入った。近く案を公表して、意見を募る方針。

 利用者が多いことから、延長は混乱を避けるためとみられる。ネットを含めた通信販売全体の規制緩和には否定的な姿勢を崩していない。

 厚労省は2009年6月、改正薬事法を施行。医師の処方箋(しょほうせん)が無くても買える大衆薬を副作用の危険度別に3分類した。H2ブロッカー(胃薬)や風邪薬など第1、2類は、原則的に薬剤師が店頭で対面販売することを定めた。

 しかし、通販で買えないと健康を保てない人もいるとして、離島在住や調合した漢方薬など特定の薬を継続して使う人には、2年に限り、郵送や通販を認めていた

 大衆薬のネット販売については、規制緩和を求める動きがある。行政刷新会議で規制や制度改革を検討している分科会は「販売履歴の管理や、購入量の制限など一定のルールを設けてネットで販売できるようにすべきだ」との案を示した。3月末までに、厚労省と調整した上で結論を得るとしている。(月舘彩子)

薬のネット販売に反対=民主議連(2011年3月4日時事ドットコム)

 民主党議員による「安心・安全な薬とサプリメントを考える議員連盟」(会長・樽床伸二元国対委員長)が4日発足し、参院議員会館で総会を開いた。政府の行政刷新会議が実施する「規制仕分け」の対象項目となった一般用医薬品のインターネット販売規制の緩和に反対していく方針を確認した。
 総会には三井辨雄国土交通副大臣ら約40人が出席。鳩山由紀夫前首相が最高顧問、原口一博前総務相、細野豪志首相補佐官らが顧問に就いた。ただ、3人はこの日は欠席した。

少なくとも今やっている範囲での通販緩和は今さらやめますとも言えないでしょうから、今後突発的な大問題でも発生しない限りはなし崩しに延長ないし恒久化されていくことになるんだろうと思うのですが、反対派の方々が言うまでもなく今後こうした方面の規制緩和が進めば、今まであり得なかったような問題なり健康被害なりが続出してくる可能性は否定できないと思いますね。
個人的にはOTC薬の拡大も含め、こういうことは利用者の自己責任でどんどん開放していけばという立場なんですが、その背景にあるのは医療現場の多忙さや軽症者受診による業務圧迫もさることながら、社会的な健康被害ということに関して考えるならば、み○も○たあたりの紹介する怪しげな健康法の方がよほど巨大な被害を呼んでいる以上、ネット販売だけをいつまでも頑なに規制してもどれほど意味があるのかと考えるからです。
一方でネット販売規制緩和によって確実に救われる患者が存在することは事実ですから、社会的要請ということを考えても開放は避けがたい情勢である以上、その益を多くし害をなるべく制限するためにどうしたらよいのか、そして万一の場合どうやって自己責任を問うのかという方向性で考えていく方が建設的だろうと言うことです。

こうした通販と言うもの、海外からの輸入医薬品などを見ますと今のところ好き放題に売り買いされているような状況なんですが、本来であれば医薬品は医者なり薬剤師なりからきちんとした説明を受けるということが望ましいわけですから、そのあたりに対しての対策というものが講じられていかなければならないでしょうね。
さすがに無制限に買えますではどうかという話ですから、例えばOTC薬の対面販売にならって電話やネット上での問診と服薬に関する説明を受けた者だけに限って行うといったルールであるとか、誰がいつ何を買っているかというログの管理もいるでしょうが、何より医療関係者として気になるのが「何かあった時に誰が責任を取るの?」ということではないかと思います。
早い話がわざわざ専門家が集まってカンファレンスまで開かれたことでも有名な亀田病院テオフィリン中毒事件のように、用法用量も無視して無茶な使い方をした当の本人が健康被害を受けるのは自己責任で仕方がないにしても、その責任だけを病院に押しつけられたのではたまらないというのがごく当たり前の感覚というもので、別な言い方をすればどうやって自己責任を取らせるべきかという話になるでしょう。

このあたりはネット通販などの文言を見る限りでは今のところ全くと言って良いほど対策は取られていないようですが、近頃ではPCのアプリなどもどんどんネット経由で販売するようになっていて最初に同意書というものにチェックを入れるようになっている、ああいう同意書が何かあったときには何かしらの免責になるのかといったことも気になります。
また販売管理を強化すればするほど売る側の責任も強化されるわけですが、通販業者と違って医者などの立場からすれば初診料なども取れない通販で売っても大して儲けにはならないわけですから、例えば安全のため全例医者の許可が必要なんて話になってしまうと、ちょっとでも引っかかりがあれば通販不可としてしまうのがリスクマネージメント上は正解ということになり、買う側からすると利便性が低下し過ぎては困る以上はどこかで落としどころが必要になりますよね。
そして今のところは主に安全性だ、利便性だといった表向きの議論ばかりが行われているようですが、こうした話になってくるとどうしても転売目的といった裏の議論も必要になってくるはずですから、単に安全性が高い低いだけではなく換金性といった面からも十分に対象の検討を行っていくことが必要なんだと思います。
いずれにしてもたびたび話題になる無茶な開業助産師からの搬送問題などでもそうですが、基本的に今の医療業界には他からの責任まで転嫁されることに耐えられるほど余力はないですから、現場の先生方にすれば「面倒なことばかり押しつけるなよ」というのが正直なところで、せめて無駄に現場の仕事を増やさないような配慮だけは欠かさずにいてもらいたいところです。

ついでに規制緩和ということでもう一つ注目すべき話が出てきているようなので併せて紹介しておきますけれども、こういうものを見てみると規制と言うものは必ずしも全否定されるべきものでもなく、こと安全性といった面からはそれなりに必要なものも多かったんじゃないかなという気がしてきます。

“訪問看護 開業要件緩和を”(2011年3月6日NHKニュース)

国の規制を対象とした、政府の「規制仕分け」は、看護師が高齢者の自宅を訪問する「訪問看護ステーション」の開業要件について、「看護師1人でも開業できるように緩和すべきだ」と結論づけました

政府の行政刷新会議は、6日から2日間の日程で、国の12の規制制度について、時代の変化に即していないものや国際基準と整合していないものがないかなどを、事業仕分けと同じ手法で検証する「規制仕分け」を始めました。仕分け作業は、国会議員と民間の有識者の「仕分け人」が、規制ごとに所管する省庁や民間の参考人などから説明を受け、質疑応答を行ったうえで検証します。

この中で、看護師が高齢者の自宅を訪問して医療的なケアを行う「訪問看護ステーション」が取り上げられました。「訪問看護ステーション」を開業するためには、1つの事業所につき2.5人以上の看護師が必要とされており、仕分け人は、「1人でも事業所を開きたいという意欲のある看護師は多いのに、一律に認めない正当な理由は見あたらない」とか、「安全性は、ほかの事業所との連携で確保できるのではないか」と指摘しました

これに対し、厚生労働省は「利用者に24時間対応するためには、安全性だけでなく、安定性の面からも1つの事業所に複数の看護師が必要だ」と反論しましたが、最終的に「一定の要件の下で、看護師1人でも開業できるように規制を緩和すべきだ」という結論になりました。
(略)

ま、何をもって正当な理由とするかは人それぞれなのでしょうが、安全性もさることながら訪問看護というものがどれほど面倒なものかを知っていれば、一人でやるということになるとずいぶんと大変なんじゃないかと誰でも考えるところでしょうね。
そもそもこの訪問看護なるものの仕事がどんなものなのか知らない方もいらっしゃるでしょうが、日本訪問看護振興財団のHPから引用させていただきますと、全業務としてはこんな感じになっているようです。
これを見るとずいぶんと多くの仕事があるんだなと判ると思いますが、実際のところ知識や技能、経験もさることながら、何よりマンパワー集約型の仕事であると言うことがポイントでしょうね。

■     健康状態の観察と助言
・     健康のチェックと助言(血圧・体温・呼吸・脈拍)
・     特別な病状の観察と助言
・     心の健康チェックと助言(趣味・生きがい・隣人とのつながりなど)
■     日常生活の看護
・     清潔のケア
・     食生活のケア
・     排泄のケア
・     療養環境の整備
・     寝たきり予防のためのケア
・     コミュニケーションの援助
■     在宅リハビリテーション看護
・     体位交換、関節などの運動や動かし方の指導
・     日常生活動作の訓練(食事・排泄・移動・入浴・歩行など)
・     福祉用具(ベッド・ポータブルトイレ・補聴器・車椅子・食器など)の利用相談
・     外出・レクリエーションの支援
・     生活の自立・社会復帰への支援
■     精神・心理的な看護
・     不安な精神・心理状態のケア
・     生活リズムの調整
・     社会生活への復帰援助
・     事故防止のケア
・     服薬のケア
・     リラックスのためのケア
■     認知症の看護
・     認知症状に対する看護・介護相談
・     生活リズムの調整
・     コミュニケーションの援助
・     事故防止のケア
■     検査・治療促進のための看護
・     病気への看護と療養生活の相談
・     床ずれ・その他創部の処置
・     医療機器や器具使用者のケア
・     服薬指導・管理
・     その他、主治医の指示による処置・検査
■     療養環境改善のアドバイス
・     住宅改修の相談
・     療養環境の整備
・     福祉用具導入のアドバイス
■     介護者の相談
・     介護負担に関する相談
・     健康管理、日常生活に関する相談
・     精神的支援
・     患者会、家族会、相談窓口の紹介
■     様々な在宅ケアサービス(社会資源)の使い方相談
・     自治体の在宅サービスや保健・福祉サービス紹介
・     民間や関連機関の在宅ケアサービス紹介
・     ボランティアサービス紹介
・     各種サービス提供機関との連絡・調整
・     その他、保健・医療・福祉の資源紹介など
■     終末期の看護
・     痛みのコントロール
・     療養生活の援助
・     療養環境の調整
・     看取りの体制への相談・アドバイス
・     本人・家族の精神的支援

もちろん、これら全てを同時進行でやっているわけではないにしろ、一人でやるにはずいぶんと多種多様な業務でもあるし、そもそもこれら全ての業務に精通している一個人としての看護師はどれほどいるのか?という疑問は誰しも抱くところでしょう。
実際にはもちろん各種サービスの提供はソーシャルワーカーだとか、他の介護スタッフと分担、協力して行っていくことになるでしょうから、言ってみれば看護師というのは医療・看護に関わる専門業務を別にすれば名目的な管理職という面も多々あるのでしょうが、医療における医者のポジションから類推した場合に、一人看護師体制では結局24時間待機体制を強いられそうだなとは予想できますよね。
田舎では実際に看護師が大勢いたところでそこまでの仕事がないという場合が多いもので、2.5人の基準を満たそうとすればなかなか採算が合わないであるとか、さりとて広域で集約化すれば事業所が顧客から遠すぎて移動に時間やコストばかりかかるといった弊害も多々あるのは確かで、そうした地域の方々からするとこっちはやる気はあるんだから、一人でやれる場所は一人でやらせてくれよと言いたくもなるのは理解できます。
ただ看護という職種は昔から病院内においても交替勤務制でやってきただけに、いきなり一人で休む間もなく責任を負う立場になれば今まで以上のストレスはかかるでしょうし、単純に業務量から一人で十分だと思って始めるととても続かないということにもなりかねませんから、かえって顧客に迷惑がかかるようなことのないように意欲のみならず十分な覚悟は必要でしょうね。

何にしろこちらも認可の条件として設定されることになるという「一定の要件」がどういったものになるか、まずはそのあたりを見てみないことには何とも言えないのでしょうが、医療における医師集約化の方針などとも照らし合わせてみれば、医療や介護においていよいよ全国民への均等なサービス提供というタテマエを放棄する時も近いのかなという印象は受ける話でした。

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コメント

仕分けしてる連中が素人ばっかりなのに、まともな結論なんて出るとは思えない

投稿: aaa | 2011年3月 9日 (水) 16時33分

医薬品登録販売者試験:大阪の柔整組合員、不正出願 実務経験水増し

 改正薬事法で新設された一般用医薬品の登録販売者試験で「全国柔整鍼灸(しんきゅう)協同組合」(全柔協、大阪市)の組合員や家族が10年5~9月、受験資格として必要な実務従事時間を水増しした書類を提出していたことが分かった。調査した大阪府と奈良県が把握しただけで15人が13都府県に提出した計40通が虚偽の内容と判明、合格者を含む全員の受験資格を無効とした。厚生労働省は業務記録が組織的に偽造された疑いがあるとみて、出願した他の組合員ら270人についても関係42都道府県に調査を指示した。【坂本智尚、蓬田正志】
(略)
 全柔協は業務記録の記載内容をチェックしていたといい、組合員の一人は「従事時間が不足した場合は『棚整理や薬の陳列の仕事をしたことにして時間を増やせばよい』とアドバイスされた」と話す。

 こうした不正の情報提供を受けた大阪府と奈良県が一部組合員の業務記録を日本配薬に提出させ調べたところ、顧客を午前0時に訪問していたり、毎月同じ日時に訪問しているなどの不審点が発覚。「訪問先」と記載された顧客に確認した結果、実際には訪問していないなどの不正を確認した。
(略)
 岸野雅方理事長は毎日新聞の取材に「コメントは一切拒否する」と話した。日本配薬の社長(64)は「全柔協幹部から09年3月に提携話が持ち込まれた。組合員の実務を管理すべき立場でありながらチェックせず証明書を発行したことは弁解の余地がない。責任を感じている」と話している。
 ◇法施行経過措置を悪用

 「(全柔協組合員らの不正出願は)氷山の一角。特に置き薬の販売は外回りなのでチェックが難しく、実務経験の虚偽申告は薬事法改正前から必ず起こると声を上げていた。制度を作った厚生労働省にも責任がある」。全日本医薬品登録販売者協会の岩元龍治会長はそう指摘する。

 厚労省は改正薬事法の施行後3年間の「経過措置」として、置き薬の販売業者に雇われた人は登録販売者の資格がなくても1人で販売業務ができるようにしたうえ、この時間を受験資格の実務経験とみなすことにした。今回の不正はこの経過措置が悪用された形だ。

 内部資料によると、全柔協の岸野理事長は09年7月に大阪市で開いた講習会で「チャンスはこの2、3年だ」とアピール。12年5月末の経過措置期限までに受験資格を得るよう組合員に呼びかけていた。複数の組合員によると、全柔協は09年4月~昨年8月ごろ、組合報などでも「登録販売者の資格を取れば、薬を扱えるようになり、患者への総合診療が可能」「鎮痛剤や漢方薬も使える」と、登録販売者にも許されていない薬の処方行為が可能かのように宣伝。組合員約400人が受験を希望し、置き薬が入った薬箱50組の購入費用や試験対策セミナーの受講料などとして、1人20万~40万円を全柔協に納めたという。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110309/stt11030921420012-n1.htm


投稿: これは悪質 | 2011年3月10日 (木) 08時55分

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