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2011年3月24日 (木)

いつまでも自粛一色でいいのですか?

本日まずはこちらの記事を紹介してみましょう。

自粛は被災地のために?(2011年3月19日朝日新聞)

◇イベント中止続々
「市の要請受け苦渋の決断」
「経済活動滞るとマイナス」

  東日本大震災の影響で、県内でもイベントを中止したり、延期したりするケースが相次いでいる。 だが、過度に自粛すると地域経済に影響するという指摘もある。

  松山市や松山青年会議所(JC)主催で、3月下旬~4月初旬に松山城や道後温泉で開催される松山春まつり。 毎年、野球拳の全国大会や、大名・武者行列などでにぎわうが、今年は「東雲能」と「湯祈祷」を除くすべてが中止になった。

●45年間で初の事態●

  「過去45年間で、これほど中止されるのはおそらく初めて」と大野剛嗣・同実行委員会長。 延べ約10万人が訪れるだけに、地域への経済的な影響も少なくないという。 大野会長は「華美なイベントを自粛するよう市から要請があったこともあり、苦渋の決断だった。 商店主や楽しみにしている市民には申し訳なく思っている」と話す。

  今治市も20日にJR高知駅で予定していた観光キャンペーン「ダーツで当てよう!今治の旅」を中止。 同駅などと協力し、ダーツの賞品などを売り物に市をPRする予定だったが、「高知県内の養殖漁業にも被害が出ており、震災に配慮した」という。

  松山大(松山市)は、同大生が企画するB級ご当地グルメのイベントを21日に内子町で開く予定だったが、延期にした。同大は「学生からは、せっかく準備したので出来ればやりたいという声もあったが、同町などと相談の上で決めた」。

  いよてつ高島屋(松山市)は14日から、屋上にある観覧車の運行時間を3時間短縮して午後7時までとし、照明にかかる電力を抑えた。 夜間照明を発光ダイオード(LED)に代えた松山城天守閣(松山市所有)では、照明の明るさを当面8~9割カット。 26日に予定していたLED照明の点灯式も取りやめた。 だが、東日本と西日本では電気の周波数が異なり、西日本から東日本に送電できる量は限られている。 現時点で東日本の節電への貢献度はないが、市の担当者は「東日本の方々が大変な被害に遭われていることを無関係とせず、自分たちが出来ることを示すため」と話す。

●勇気づけへ工夫を●

  こうした自粛は、被災地のためになっているのだろうか

  日本銀行松山支店の秋山修支店長は「自粛のムードが先行して経済活動が滞ると、被災地にとってかえってマイナスにもなりうる」と指摘する。 松山大の橋本卓爾教授(地域経済)も「あまり派手な催しは控えるべきだが、義援金を集めたり、防災教育を取り込んだりするなど、被災地を勇気づけるよう工夫して、積極的に行う方がよい」と話す。

  西予市などが主催するB級ご当地グルメイベントは予定通り19日に行われる。 アルコールの販売をやめ、会場で義援金を募るなど、被災地に配慮したという。 市の担当者は「中止も含めて検討したが、イベントを通じて被災地に貢献したいと判断した」。 (高木真也、寺門充)

今回の地震を受けて全国各地でイベントの自粛が相次いでいますが、過度の自粛は復興に向けた経済的マイナス面もさることながら、文化的、精神的な面でもどうなのかという声は各方面から出ていますよね。
せっかく長年続いてきた伝統的な行事が中止になる、しかもわざわざ自治体の方から「華美なイベントは自粛を」なんて要請があること自体が自粛の意味からしてどうなのかと思うのですが、このあたりはどこのテレビ局もCMがACのものばかりになったという現象と同様に、何かあればバッシングされてはたまらないという「事なかれ主義」が悪い方に働いているように思えて仕方がありません。
とりわけ祭りなどという行事は不幸を避けられるよう神様にお願いする儀式である以上、本来こういう時こそ普段になく盛大にやるべき性質のものであって、それを災害時に自粛してしまうということ自体がおかしな話なのですが、もちろんなんでもかんでも普段通り、普段以上に盛大にやればいいと言うものでもありません。

とりわけ東日本では停電の問題もあり、社会インフラが制約されているわけですから、大勢の人間が集まりエネルギーを大量に消費するイベントであるほど、そうしたインフラへの影響についての配慮が必要なのは当然ですよね。
ただもちろんそうした物理的な制約への配慮は当然としても、「被災地の方々が苦しんでいるのに娯楽に走るとは何事か!」と何でも自粛自粛というのが、当の被災地の方々にとってもいいことなのかどうか、むしろ被災直後はともかく今これからの時期になってくるとマイナス面の方が大きいのではないかという声が次第に大きくなってきています。
例えば今世間的にも注目を浴びているのがスポーツの世界で、八百長問題でもともと自粛中の大相撲はともかくとしてサッカーも野球もこれからがシーズンですが、とりあえず予定通りで始まったのは高校野球くらいで、サッカーなどは親善試合も中止になったりで存続の危機とも言われる状況のようなのです。

国内サッカーはこのまま消滅か (2011年3月19日ゲンダイネット)

 東日本大震災でサッカー界も右往左往だ。

 3月5、6日の開幕戦を消化したJリーグは14日、「3月中の全60試合(ナビスコ杯含む)の中止」を発表。4月2、3日のJ1第4節、J2第5節から再開予定というが、そのまま5月にズレ込むともっぱらである。

「たとえば東北、関東のJクラブで17日に全体練習をやっていたのは柏だけ。その柏も19日から練習をオフにする。各クラブの外国人選手、外国人スタッフの多くが大震災に仰天して一時帰国してしまい、しかも大半の再来日が未定です。4月再開は厳しい状況とあってJリーグは今、5月再開に向けて、日程などの練り直し作業を行っている」(サッカー記者)

代表戦のモンテネグロ戦(25日、静岡)、ニュージーランド戦(29日、国立)の中止も決まったが、日本サッカー協会は「ニュージーランド戦をチャリティーマッチとして行いたい」と表明。しかし、すぐさまニュージーランド協会から「原発を取り巻く状況が不確実。安全と健康が損なわれる可能性があるので不参加」と断られた。

 最終的にサッカー協会は「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ がんばろうニッポン!」と銘打って、大阪長居スタジアムで日本代表―Jリーグ選抜戦を行うことにした。

「協会幹部は大震災の翌々日、13日に『今こそやるべき。東京でやることに意味がある。世界中の人に“日本は大丈夫。東京は平気”と示すことが大事。正しい情報を伝えたい』と大見えを切ったが、これがサポーターやスポンサー企業などから『被害が拡大の一途をたどっているのに不用意な発言』と不興を買い、慌てて翌14日に『状況が変わってきた。正しい判断をしたい』と一気にトーンダウン。16日に中止を正式発表した。そもそも地震、津波、原発事故と三重苦の日本にモンテネグロもニュージーランドも来てくれるだろう――と判断した協会幹部の認識は甘過ぎる。各方面からサッカー協会のノー天気ぶりが失笑を買っている」(マスコミ関係者)

 チャリティーマッチは「29日火曜日のナイトゲーム」で行われる。いくら「余震や交通機関、電力不足の影響がない」(サッカー協会のリリースから)大阪で開催するとはいえ、難儀な生活を強いられている被災者などから「明かりを煌々(こうこう)とつけて球蹴りでもないだろう!」と非難される可能性もある。八方ふさがりのサッカー界である。

まさかそういうこともないとは思いますが、例えばこういう自粛騒動でJリーグが経営的に破綻してしまったとなれば、被災地にも数多くいる方々は「自粛してくれてありがとう」と喜ぶでしょうか?それとも「これからは好きなサッカーも満足に見られないのか」と残念に感じるでしょうか?
もちろん被災地に遠慮してという部分もまだまだあるのでしょうが、ただ現実問題として今や救助から復興へと現地の状況も変わっているわけですからそれに対応した支援を考えなければならない、その点で避難所などでも数少ないだろう娯楽としてこうしたスポーツというものの持つ意味は決して少なくないはずなのに、いつまでも「派手にやることは全て悪である」かのように言われているのはおかしな話だと思うのです。
一方でこういう自粛話を見ていて思うのは、自粛しろ、延期しろという声にも二つの論点があって、一つには単純に不謹慎である、今はまだその時期ではないという延長論もあるのは確かとしても、もう一つには計画停電なども行っているような電力不足の状況下で多大な照明電力を消費してまで行うのはどうなのか?という声もあり、この二つが混同されているのが問題を複雑にしているようですね。
サッカー以上に難航しているプロ野球の側でも試合を始めるつもりのセリーグに対して、選手会や国の側から待ったがかかっているという状況ですが、お互いこの二つの論点がごちゃごちゃになりすぎて話がいたずらに難しくなっているところがあります。

文科省、ナイター再考求める=プロ野球コミッショナーらに要望(2011年3月22日時事通信)

 日本プロ野球組織(NPB)の加藤良三コミッショナー、セ・リーグの新純生(ヤクルト球団常務)、パ・リーグの井上智治(楽天・オーナー代行)両理事長、日本プロ野球選手会の新井貴浩会長(阪神)は22日、文部科学省を訪ね、公式戦の開幕延期と節電対策を報告したが、高木文科相は改めてナイターの自粛を求めた。
 高木文科相は「ナイターは国民の理解を得られていないので、自粛するよう再考してほしい」と改めて要請。加藤コミッショナーは「われわれは節電に努めるので理解してほしい。近々に12球団の臨時オーナー会議を招集する」と答えるにとどまった。
 プロ野球を管轄する文科省は18日、東日本大震災に伴う電力不足を踏まえ、東京電力と東北電力管内でのナイター自粛を求めていた。
 今季のプロ野球は25日に両リーグ同時に開幕する予定だったが、パは楽天の本拠地が被災したため、開幕を4月12日に延期し、4月中は両電力管内でナイターを行わないと決めた。セは開幕を29日に延ばしたが、4月5日から東京ドームでナイターを行うとしている。
 加藤コミッショナーらは経済産業省と蓮舫節電啓発担当相を訪ね、節電対策を説明した。蓮舫担当相は「慎重な開幕(時期の決定)、ナイターの自粛をお願いした。(セ、パ同時開幕を要望している選手会の)新井会長に賛同する」と述べた。 

選手会の主張に蓮舫大臣も「賛同」(2011年3月23日サンスポ)

 日本プロ野球選手会の新井貴浩会長(34)=阪神=は22日、機構、球団側代表者らと文部科学省などを訪問。セ・パ同時開幕を求める選手会の意向を伝えた。セ・リーグ提案には強硬だった蓮舫節電啓発担当相(43)からも「新井選手会長の発言に賛同する」と支持を受け、「必ず変わると信じてます」と語気を強めていた。

 思いは通じた。両リーグ同時開幕を訴え続ける新井会長が、強力な援軍を取りつけた。

 「同時開幕でプロ野球が一体となって、この難局に立ち向かいたい、という話をした。各大臣、副大臣の方が『選手会の声はファンの声だ』といってくれた。選手会の思いを理解してくれて、感動しました」

 午前中から文科省、経産省、内閣府を加藤コミッショナーらと訪問。行く先々で支持を受け、励ましの声をかけられた。

 一方で、その横で3月29日のセ・リーグ単独開幕を報告する加藤コミッショナーへの不信感が募った。「正直、聞いていて分からなかった。分かりやすいように発言してほしいとお願いしました」。さらに「コミッショナーは『理想と実態は違う』といわれていたが、実態の部分が分からない。それに、どうして批判を受けてまで(野球を)やる必要があるのかも分からない」と身ぶりを交じえて続けた。

 「(日程が)必ず、変わると信じてます。これで変わらなければ、この先プロ野球はどうなっていくんだろうと。このままじゃ、プロ野球がダメになる。祈るように、英断を待ちたいと思っています」
(略)

「開幕はお上が決めることじゃない」巨人滝鼻オーナー(2011年3月22日朝日新聞)

 蓮舫担当相がセ・リーグの29日開幕の見直しを求めたことについて、巨人の滝鼻卓雄オーナーは22日、「開幕はお上(政府)が決めることじゃない。節電に協力しろということでしょう」と不快感を示した。さらに「(4月12日への開幕延期など)パ・リーグが先行して色々決めているようだが、そうはいかない。交流戦がいらないなら、いろいろ組み合わせはできるけど」とパの姿勢を牽制(けんせい)した。

 本拠の東京ドームはデーゲームでも照明が必要なため、当面使用できなくなる可能性もあるが、「日々刻々と事情が変わるので(代替地は)決めていない」と述べた。

中日オーナー、ナイターなら「東京以外で」(2011年3月22日サンスポ)

 中日の白井文吾オーナーは22日、セ・リーグが文部科学省から東京電力と東北電力管内での4月中のナイター開催自粛の要請を受けたことに関し「東電の管内では一般の方々が苦しんでいる。市民感情とマッチしないだろう」などと話し、管内でのナイター開催は世間の理解を得られないとの考えを示した。

 名古屋市内で開いた激励会後に取材に応じた白井オーナーは「東京をフランチャイズにするチームは(ナイターなら)東京以外で試合をするべきじゃないか」とした上で「デーゲームはドームではできない。一番困っているのは巨人ではないか」と話した。(共同)

もちろん節電に協力するのは大前提であって、ホームゲームを首都圏のドームでやるとなればデーゲームであっても照明が必要なそうですから、この問題で一番大きなダメージを受ける巨人などが強硬なのは理解出来ますけれども、延期をしろと言っている側も感情的な面から延期をしろと言う声と、電力需要など物理的問題から言っている人とが錯綜していて、どうもお互い感情的にもかなり煮詰まってきているようですよね。
ただ三月開催だろうが四月に延期しようがやること自体を自粛しろと言う声は必ずあがってくるだろうと言うことは確実に言えるでしょうし、そして何より被災地で不自由な生活をしている人達にとって、数少ない娯楽であるテレビやラジオがいつまでも泣かせる番組ばかりやっているといった状況が、本当にうれしいものなのかです。
このあたりは文化の違いもあるのでしょうか、ただ黙って哀悼の意を表すべしという人にしても被災地の子供達におもちゃを送ることに反対する人はいないはずなのに、何故大人達も子供も楽しめ一緒に気持ちを高揚させることの出来る娯楽を提供することだけが許されないのか、本当にそれが被災地のためになっているのかということも考えなければならない時期であり、それこそが単に物理的なことだけでない、精神的な意味での被災地復興ということにもつながるはずですよね。

思えば地震後先を争って外国人が日本から逃げ出していく中で、シンディ・ローパーが予定通りに東京でコンサートを開いて被災地に強力なメッセージを送ったという話を先日お伝えしましたが、我々が「なに日本代表vsJ選抜?!カズも出る?!すげえ!」とわくわくするのと同じように、被災地でも楽しみにしている方々は多いでしょう。
家に閉じこもってただ黙って不幸に耐えていこうという後ろ向きなメッセージよりもそうした前向きな気持ちこそが、今もっとも現地に送り届けるべきものではないでしょうか。

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コメント

普通に
「震災復興支援!」
てことで開催すれば良いのに。
利益の一部が寄付されるし。
と思いました。

投稿: DH98 | 2011年3月24日 (木) 18時16分

「有名な募金団体でも収支をみると集まった募金10数億のうち実際の支援先には6割ほどしか届いていなかった。
募金事業には人件費などの経費が膨大にかかるので、どうしても組織運営費に回されてしまいます」
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20110324/dms1103241536015-n1.htm

↑の有名な募金団体ってどこでしょうね?

投稿: 通りすがりのただの人 | 2011年3月25日 (金) 07時55分

>普通に
>「震災復興支援!」
>てことで開催すれば良いのに。

全くおっしゃる通りなんですよ。
今回の日本代表vsJ選抜の試合にしても、なんであんな定価販売のチケットの売り方をしたのか。
おかげで転売厨が幾らでも値をつり上げて「こんな試合でも金儲けか!」と大問題になってるじゃないですか。
こういう試合は最初から全部完全抽選にして、お代は気持ち分を頂いて全額支援金に回すでいいんですよ。
抽選に漏れた人はJの割引きチケットとか付ければJも盛り上がるじゃないですか。
こんな時にこんなつまらないことで大騒ぎのネタを自分で提供してるなんて馬鹿げてますよ。

投稿: 管理人nobu | 2011年3月25日 (金) 09時03分

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