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2011年2月21日 (月)

どうでもいい駄会議かと思っていましたら、意外に…

医療に限ったことではないのかも知れませんが、近頃は政治も何やら筋道が判らないことが多くて、「これはいったい誰が何を考えて決めた話なんだろう?」と疑問符が付くようなことも多々ありますよね。
先日ロハス・メディカルさんにこういう記事が出ていたのですが、これだけを読んでいればまあ実際そうなんだろうなと思われるような話ですけれども、もちろんそうであっていいというものでもありません。

医療政策を決めるのは誰?(2011年2月18日ロハス・メディカル)

 政府・与党の会議に対し、厚生労働省の会議で不満の声が上がっている。今後の医療政策は誰がどこで決めるのだろう。(新井裕充)

 厚労省は2月16日に中央社会保険医療協議会(中医協)を、17日に社会保障審議会の医療部会を開催した。中医協では、医療側の委員が連名で抗議文を提出、医療部会でも同様の意見があった

 これらの主張を一言でまとめると、「私たちの頭を飛び越えて決めるな」ということ。しかし、厚労省の会議には利害団体が群がっていて、役所と水面下で調整しながら表舞台は茶番と化している

 そのため、一省庁内の会議を政府・与党の会議がバッサリやるのは決して悪くないように見えるが、民主党もアレコレあるような状況。強引な「政治主導」がどれほど国民の支持を受けるか疑わしい。

 17日の医療部会で厚労省が示した資料によると、「社会保障改革検討本部」やら、「社会保障改革に関する有識者検討会」「社会保障改革に関する集中検討会議」など似たような名前の会議が並んでいる。その多くが非公開で実施されているせいか、周囲の業界記者らの関心も薄い

 広く国民に開かれているという点では、「現在の中医協や社保審に一票」と言いたいが、これまでの議論を聴く限り疑問符が付いてしまう。
 一方、政府の会議に対しては「自公政権時の議論の流れを踏襲する布陣」との報道もある。「財務省主導」との声も聞く。

 いずれにしても、今後の医療政策を誰がどのように決めるのかは不透明なまま。一般国民から見えにくい。現在の中医協は茶番で、社保審はガス抜き会議。政府の会議はほとんど非公開で密室決定。ならば、「どっちもどっち」という気もする。

 ただ、17日の医療部会の議論を聴いた人なら、「この方々には任せてはおけない」と思うかもしれない。そんな1つの判断材料になるか分からないが、17日の医療部会の模様(前半部分)を2ページ以下に記した。
(略)

要するに今回の部会のテーマの一つが中医協でも出されたように、こちら社保審の医療部会でも「お前ら俺の話を聞け!」と抗議声明を出すかどうかということだったようなのですが、結論から言いますと「何もしない」ということになったというのが記事の要約ということになってしまいます。
しかしかねてこうした場での「茶番」に否定的なロハス・メディカルさんだけに、これだけの記事を見る限りでもいったいこの医療部会はまともな集まりになっているのかと疑問に思ってしまうかも知れませんが、実際のやりとりを見る限りでは茶番と言いますか単なる時間と労力の無駄としか思えません。
なにしろ中医協にも参加している全日本病院協会会長の西澤寛俊委員あたりからは「ここでの議論はどこにどう反映されるの?」なんて根本的な疑問が飛び出してきたり、患者団体から参加している海辺陽子委員からは「毎回毎回おなじようなことを繰り返すばかり。意味がない」なんてばっさり切り捨てられたりと、当の参加者からもさんざんな言われようなんですね。
しかもそうした声に対して厚労省などの側からは何一つまともな返事もないまま、齋藤英彦部会長あたりが「今のご意見というのはこれ......。(笑いながら)毎回ほとんどあること......なんですよね」なんて意味不明の弁解をして終わるというのは、いったいこれは誰のための何の目的で開かれている会議なのかと思わない方がおかしいというものでしょう。

結局のところ一応は医療や患者サイドの立場の人間を集めていながら、なし崩し的に「医療部会からは政策決定サイドに対して何らの声明も出さない」なんてことを決めてしまったということなんですが、それじゃ仮にも各専門家?を集めて会議を開いたという体裁にしていることの意味は何?とも感じてしまいます。
ただ記事を見ていてこういう予定調和な結論よりも何よりも興味深いのが、記事の末尾に登場する九大名誉教授の水田祥代委員による、医師等の人材確保に関するこんな唐突極まりないとも感じられる提言なんですね。

■ 「医師の国家試験が難しすぎる」 ─ 大学教授

[水田祥代委員(九州大学名誉教授)]
 医師の数の問題、確保についてはですね、数の問題などで......。

 ここ(医療部会)であんまりあの......、なんて言うんですか、新設大学の問題とかあまり(意見が)出なかったと思うんですけれども、まあ、よそではやられているような気もいたしますけれども......。

 ま、そういうことの前にですね、今、現実として私は医師の国家試験の問題をもう少し見直したほうがいいんじゃないかなって思ってるんですね。

 もちろん、国家試験っていうのは毎年見直されていますが、難しすぎることが本当に必要なのかってことですね。と言いますのは、毎年......、確かあれ、1割ぐらいは落ちてます

 ▼ 他の委員らも神妙な面持ち。医師の国家試験が難しすぎるということが医療界で問題になっているのだろうか。そんなことは知らなかった......。

 ですから、その人たちはちゃんと教育を受けているんですから、そういう人たちを落として、何年も何年も無駄にするんじゃなくて......

 ▼ かなり深刻そう。文部科学省の「法科大学院特別委員会」でよく出るような意見だが......。

 もう少し、医師として......、あの......、きちんと......、まあ、もちろん教育は大事ですけども、医師になった後も勉強するってことが大事なんですから......。

 そこのところを考えていけばですね、よそ(文科省)の(検討会?)......。

毎年(医学部定員の)人数を増やして10年間お金を使って、どうなるか分からないような状況に持っていくよりはいいんじゃないかなって思って......。

 まあ、そういう面でもですね、国家試験のほうでも少し......。他の委員会があると思いますけれども検討していただけたらなと思います。

[齋藤英彦部会長(名古屋セントラル病院院長)]
 (横倉委員に)関連していかがですか?

 ▼ 齋藤部会長の日医に対する気配りには感心する。

[横倉義武委員(日本医師会副会長)]
 私ども先日、医師の教育の問題について1つの提言をしました。今、4年生が終わる前後で色々......、CBT等々行いますですね。

 そこで、いわゆる医学知識......、いわゆる知識を問う試験は......、かなり詳しい知識を問われています。そして、5年、6年と......。いわゆる臨床研修に入っていくわけですが......。

 どうしても今、水田委員がおっしゃったように、国家試験が非常に微細な点、特に......。不適切な回答をすると、それだけでもって国家試験がクリアできないというような問題がいくつかあるというようなことで......。

 6年目の学生が、そういう勉強に非常に、座学に取られてしまっているということで、実習時間がかなり少なくなっているような点がございます。

 そういうことで今、水田先生がおっしゃったように、国家試験の在り方をもう一遍よくご検討いただいて、やはりあの......。臨床実習というものを充実した教育ができる形に少しつくり直すことをご検討いただきたいと思っております。(以下略)

 ▼ この後もハチャメチャな意見交換が続いた。いずれ厚労省から議事録が出るので、暇な方はそちらを見ていただきたい。なお、くどいようだが、この日に開かれたのは医療提供体制について審議する厚生労働省の社会保障審議会・医療部会である。

いや、記者氏のみならず自分なども「そんな問題が業界内で議論になっているとは知らなかった」という話で、というよりも率直に申し上げて「は?何を言ってんのこの御老人達は?」なんですが、医療業界内でも全くコンセンサスも何も得られていないような話が唐突に「現場の声」としてこうして飛び出してくる、これはいったい何なのかという話ですよ。
昔から学生に聞けば常に「いや、最近の試験は昔よりずっと難しくなってるんですよ」なんて答えが返ってくるのは当たり前でしたけれども、国試合格率を見てみれば判る通り特別昔より合格しにくくなっているわけでもなし、大学に入学出来るようなごく普通の頭をしていてごく普通に勉強していれば当たり前に通る試験じゃないですか。
昔も今もあんな試験に落ちているような連中がどんなものか、この名誉教授大先生は実地にご存知なのだろうかと疑問に思うのですが、どうも経歴を見てみますと1942年生まれと言いますからまさに大学紛争真っ盛りの世代で、全国医学生が国試ボイコットなんてことをやっていた時代の方ですから、医師国試というものに対してずいぶん現代と異なった感覚をお持ちであるのかも知れませんね。

実際に国試に落ちているのが半ば学業をドロップアウトしたような方々を別にすれば、いわゆる底辺私大と呼ばれる大学の学生ばかりであるという現実を前にして、「医学部教育を受けてるんだから通してやればいいじゃないか」なんてことを言い出すのであれば、これは昨今の医学部定員急増で崩壊が懸念される医師のレベル低下にとどめの一撃を加えることになりそうですよね。
試験が難しくて医学教育が無駄になるというのであれば医学部卒業者を国試合格者とは別資格として、官僚なり医療系管理職なり何かしら別のキャリアを積めるようにすればいい話で、すでに歯学部や法科大学院などで定員割れだ、国試合格者がいないだと大騒ぎになっている現状の後追いを、さらに大急ぎでする必要がどこにあるのかですよ。
次いでこの水田委員の唐突の発言に対して日医側から、まるで賛同しているかにも取れるようなコメントが続いているのですけれども、日医が本気でこんなことを考えているんだとすれば、今でさえ「研修医の数をどんどん増やすなら、せめて教えたことは覚えるくらいのレベルは保証してくれ!」なんて悲鳴を上げている現場臨床医を揃って敵に回しかねないでしょう。

医者が人並み外れた大天才である必要はなく、むしろ人並みのやる気がある凡人であれば誰にでも出来るくらいの仕事が「医療の水準」となってくれていた方が、現場としては神の手レベルの医療を要求されることはないだけ気は楽であるのは事実です。
しかし将来的に医療の目指すところは別として、事実今現在にいたるまでおよそ医者になって現場に出てくるのはこの水準の連中であるというデファクトスタンダードはあるわけですから、それを無視してとにかく数だけを揃えれば金銭的にも無駄もなくていいじゃないかでは、ただでさえ研修医急増と指導医逃散のダブルパンチで混乱の極みにある現場はたまったものじゃありませんよね。
仮にも医療提供体制を審議するという公式の場で、唐突に出てきたこういう発言が何かしらのバックボーンを伴ってのものなのか、それとも単なる一委員の思いつきなのかは判りませんけれども、医療業界内は元より国民世論としてこういう意見をどう受け止めるものなのかも、非常に興味深いところではないかと思いますね。

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コメント

医者足りないんだから入試も国試も全員合格で何か問題があるだろうか

投稿: | 2011年2月21日 (月) 19時16分

で、医療レベルはダダ下がり。
医療過誤裁判で余った弁護士に仕事が出来て万々歳?
医療崩壊どころか医療消滅ですね。

投稿: | 2011年2月21日 (月) 21時48分

長期的にそういう方向へ移行を図るというならまだ判るのですが、今の時点でバランスを破綻させてしまうと医療は一気に崩壊してしまう危険が高すぎます。
と言いますか、地方国公立でもすでに実質的なレベル崩壊は著しいものがありますから、今後は医者=知的エリートなんて図式は次第に過去のものになるのでしょうけれども、国民の期待値もそれに合わせて低下させていかないと大変なことですよこれは。

投稿: 管理人nobu | 2011年2月22日 (火) 11時13分

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