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2010年11月

2010年11月30日 (火)

医療費自己負担と受診行動 日経メディカルより

先日日経メディカルにこういう記事が出ていまして、興味深いところも多々ありましたので紹介させていただきましょう。
まずはイントロダクションの部分ですけれども、何しろこういう壮大な社会実験が出来るということ自体がアメリカだという感じでしょうかね。

アメリカの医療保険の不思議 Vol.2 医療費の自己負担の有無で健康状態は変わるか(2010年11月25日日経メディカル)

自己負担率を0~95%に割り付けたRAND医療保険実験

 前回は、アメリカでは様々な医療保険が用意されており、プランごとに医療費の自己負担率(coinsurance)が異なることを説明いたしました。今回は、その自己負担率に注目します。

 一般に「患者は自己負担が大きくなると受診を控えるようになる」といわれています。臨床に携わる方でしたら、軽症にもかかわらず来院する患者がいる一方で、重症になるまで受診を差し控える患者もいるジレンマに、心を痛めたことがあるかと思います。患者のそうした受診行動と医療費の自己負担率には関係があるのでしょうか?

 驚くべきことに、医療保険の自己負担率を0%(医療費無料)から95%(ほぼ全額自己負担)まで無作為に割り付けることで、被保険者の受診動向を調べるという実験が、アメリカ政府の資金提供で行われました。

 わが国で起こっている「コンビニ受診」「救急車の無料利用」「小児の医療費無料化」「新・高齢者医療制度」といった、医療費の自己負担と患者の受診行動に関する問題を議論する際にも参考になると思うので、今回はこの全米最大規模の社会実験をご紹介します。

RAND医療保険実験の狙い

 アメリカのマネージドケアは、1973年、ニクソン政権下での健康維持機構法(Health Maintenance Organization Act)の成立を受けて浸透し始めました。1973年は、日本では第1次オイルショックや日航機ハイジャック事件が起こり、円とドルが変動相場制に移行した年でもあります。マネージドケアが導入された理由の一つは、医療費を抑制することにありました。

 当時の論点として、「仮に患者の自己負担額が無料だった場合、どれだけの医療が消費されるのか?」「逆に、 医療費の一部を患者が自己負担する(cost sharing)ことで、医療費をどれだけ抑制できるのか?」という疑問がありました。

 こうした疑問の解を探るべく、1971年、アメリカ保健社会福祉省(United States Department of Health and Human Services)がRAND研究所に資金提供し、RAND Health Insurance Experiment(RAND HIE)という保険会社を立ち上げ、冒頭で述べた社会実験を行うことになりました(RAND医療保険実験)。RAND研究所とは、軍事・国防研究で有名なアメリカの非営利シンクタンクです。

  RAND医療保険実験では、「医療が無料で提供された場合と自己負担が必要な場合とで、どのような違いが生じるか?」という疑問に答えるため、3つの問いが定められました。それは、(1)被保険者の医療サービスの利用の仕方に違いが出るか、(2)被保険者の受ける医療の内容や質に違いが出るか、(3)被保険者の健康に影響が及ぶか――です。特に3番目の問いは重要です。自己負担が増えて受診抑制が起こったために、患者の健康に悪い影響が及ぶことになったら医の倫理に反します。そこで、研究に参加する各家庭の被保険者には研究の前後で医師の診察を受けさせ、健康状態を確認しました。

  RAND医療保険実験では、1971年から1982年にかけて、都市部と地方のバランスが取れるように6市が選ばれ、その中から2750世帯、7700人の被保険者が選ばれました。各家庭には、無作為に選ばれた保険が割り付けられました(表1)。そして、3~5年にわたって、それぞれの被保険者や家庭の健康状態、医療機関の受診頻度、医療費の変化が追跡されました。

医療費自己負担と医療消費との関係を探るという実験の目的はそれとして、現代の日本に住む我々としては単に金銭的な医療消費の多寡のみならず、そうした受診行動の変化の結果患者の健康状態にどのような違いが出てくるのか、そして昨今問題になっているようなコンビニ受診などといった行きすぎた権利の濫用とも取れる事態が、コスト負担とどう関係するのかといった点に注目したいところですよね。
もちろん日本人とアメリカ人では医療と言うことに関しても自己責任という考え方の差はあって、例えば日本では昨今地方の医療崩壊だ!命の格差だ!と大騒ぎですけれども、向こうではそうした環境に済むのも本人達の選択の結果であって、不自由でも田舎には田舎で良いこともあるから好きで住んでるんでしょ?という考え方が主流であるようです。
ただそうした差異を別として考えて見ても人間の基本的な行動パターンと言うものの傾向は知れるはずですし、実際なかなかに示唆的な結果が出てきたということらしいのですね。

医療費の自己負担が増えると受診抑制が起こる

 さて、医療費の自己負担と医療機関の受診の仕方には、どのような関係があったのでしょうか? 1人の患者が医療機関を訪れた回数は、自己負担がない場合は4.55回/年、自己負担率が25%、50%、95%のときは、それぞれ 3.33、3.03、2.73回/年でした(図1)。自己負担率が25%から95%へと高くなるにつれ、受診回数が約27~40%抑制されたことが分かります。

 次に、患者の自己負担が増えるにつれて、医療費の総額はどのように変化するのでしょうか? 年間の総医療費、すなわち「受診1回当たりの医療費×受診回数」を図2に示しますが、図1とほとんど傾向が変わらないことが分かります。

 実は、受診1回当たりの医療費は、各群でほとんど違いがありませんでした。つまり、患者の持っている医療保険の内容によって、過剰な治療が行われたり、逆に治療が差し控えられたりする傾向はなかったと言い換えることができるかもしれません。この結果から、患者の自己負担率が増えると医療費の総額を減少させることができ、それは患者の「受診回数」の減少によることが分かると思います。

医療費負担が異なろうが一回当たりの医療費はほとんど違いがないというのは、医療の内容を決めているのは医者の(通常さほど経済的側面を考慮に入れていないだろう)臨床的判断であることを考えると当たり前にも思えるかも知れませんが、これはなかなかに示唆的な結果ではないかと思いますね。
日医などが長年「日本は自由診療・皆保険でいつでも病院にかかれるからこそ患者は重症化する前に早期受診し、結果として医療費が安く保たれてきたのだ」という主張をしてきたわけですが、別に受診抑制をしようがすまいが一回当たりの医療費は同じであったということであれば、単純に自己負担を増やして受診回数を少なくするよう誘導した方が医療支出削減には有効であるということになってしまいます。
もう一点、自己負担比率と受診回数とには確かに大きな相関関係がありますが、同時にある程度自己負担を増やしていくと受診回数には大きな変化がなくなってプラトーに達しているようにも見え、自己負担率によって受診抑制への意志が大きく変化するというのは、専ら自己負担率が低い範囲でこそ強く見られる現象であるとも読み取れそうですよね。

このあたりは基本的に「七割引」以上が当たり前という日本の患者においては多少違った状況になるやも知れずでしょうが、逆に考えるとコンビニ受診抑制などという目的に対してはあまり大きな自己負担を強いる意味はなく、例えば救急車有料化や夜間・時間外の加算と言ったわずかばかりの目先の負担増加でも十分なのではないかとも示唆されるデータではないでしょうか。
非常に興味深いなと思ったのは、30年~40年も前のアメリカという、およそコンビニ受診であるとか医療崩壊であるとかいった現象とは無縁であったと想像される環境において行われた実験であるにも関わらず、当時の研究者達が既にこうした「モラルハザード」についても言及しているという点ですよね。

医療費の無料化はモラルハザードを招く

 前掲のデータから、もう1つ重要なことが観察されました。図1の赤の補助線をご覧ください。自己負担率が増えるにつれて、患者の受診回数は減っていきます。この減少の割合(補助線の傾き)は、自己負担が0%から25%に増える場合、つまり無料から有料になる場合に傾きが一番急になっています。この現象を患者の立場から解釈すると、「医療サービスが無料(もしくは低額)で利用できるのなら、念のために病院に行こう」という誘因が働いていたのかもしれません(モラルハザード)。

 このことについて、研究者たちは次のように結論づけました。「個々の患者は、医療保険を持っていると、全額自費で支払う場合よりも、医療サービスの価値を本来の価格より低く見積もり、より多くの医療サービスを消費する。その結果、社会はより多くの代償を支払わなければならない」(welfare loss:厚生損失)。

 さらに、仮にアメリカ政府が無料の医療を提供した場合の厚生損失額が見積もられ、医療費の自己負担率が95%から0%へと変化した場合、厚生損失額は 370億~600億ドルにも上ると試算されました。1984年における65歳以下の総医療費が2000億ドルだったことを考えれば、いかに大きな額であるか分かると思います。

ここで出てくる「医療保険を持っていると、全額自費で支払う場合よりも、医療サービスの価値を本来の価格より低く見積も」るという言葉が非常に示唆的であると思うのですが、医療崩壊などと言う言葉が盛んに言われるようになった数年前から、ネット上ではこういう指摘が繰り返しなされるようになっていたことは注目に値すると思いますね。

25 :名無しさん@5周年:2005/08/08(月) 08:48:23 ID:/XLEGtHx0
日本の医療費は先進国中、他の追随をゆるさないほど安いんだよ。
初診料日本2400円に対して、アメリカ平均20000円
物価がはるかにやすい中国よりも日本の方が安い

これでもまだ高いっていうのか??
ってゆーか、水道トラブル5000円トイレのトラブル8000円で、
おまえの体のトラブル2400円だぞ。便器以下かおまえ

携帯電話に万の単位のお金を毎月使っているとか、パチンコで一日に何万円も使い込んだなんてむしろ自慢げに語っているような人が、こと自分の健康に関わることになると数千円の薬代すら「高すぎる!ふざけんな!」と外来で大騒ぎする、確かに医療費負担が安くて助かっている人も多いのでしょうが、何かしら釈然としないという医療関係者も増えてきているということですよね。
現在の保健医療制度では医療機関は患者から自己負担分だけを受け取り、残り大部分は保険者側に請求するという形になっていますけれども、近年の病院未収金問題や不要不急の受診増加などとも絡めて、まず全額患者に支払ってもらい後で還付を受け取るスタイルにした方がよいのではないかと言う声が根強くある所以でもあります。
現在の患者に優しい医療政策の中でそうした話がおいそれと実現するとも思えませんけれども、本来なら自己負担額を抑えてどんどん顧客に来てもらった方が儲かるはずのサービス提供者側からそうした声が出てくるということ自体が、現在の医療現場の抱える問題の深刻さを語っているのではないかとも思われますね。

それはそれとして、実際に金銭的負担の増加によって受診抑制が起こっているとして、どのようなことになっているのかというその詳細は非常に気になるところですよね。
ある意味では予想されるところではあるのですが、受診抑制が起こるという現象も単に負担額の多寡のみならず、患者側の経済状況や年齢といった条件にも大きく左右される一方、医療側の視点で言うところの疾患としての重大性というものはさほど関係なさそうだと言うことが明らかになっているわけですが、まずは記事からそのあたりを見てみましょう。

患者が受診を控える疾患は?

 患者はどのような病気や状態のときに受診を控えるのでしょうか? RAND医療保険実験では、患者が医療機関を受診した理由を150に分類して、自己負担の程度によって違いが出るかどうか比較しました。

 また、世帯収入の多少によっても受診動向が異なると予想されたので、低所得者層(下位3分の1)と平均所得者層(上位3分の2)との比較もなされました。両者を区切るラインは「年収2万200ドル/4人世帯」に設定されました。その結果、自己負担が必要な場合、患者は表2に示されるような疾患や状態のとき、受診を控えるようになったことが分かりました。

 さて、このように患者が受診を減らしたとき、受診しなくても差し障りのない、本来不必要であった受診を控えたのでしょうか? それとも、必要な受診まで控えてしまったのでしょうか?

受診抑制効果は医学的必要性にかかわらず表れる

 必要に迫られて医療機関を訪れる患者には申し訳ないですが、仮に、「受診する必要がある疾患・状態」と「受診する必要がない疾患・状態」を患者が区別できるとしましょう。「受診する必要がない疾患・状態」のときは受診を控え、「受診する必要がある疾患・状態」のときに受診することができれば、その判断は合理的だといえるでしょう。

 RAND医療保険実験では、受診の必要性の基準を「医療機関の受診で得られる治療効果」と定義し、疾患をその大小で区分しました。それぞれの疾患の例と、実際の受診抑制効果を表3に示します。

 この結果から、患者は、医療者が意図する「受診すべきか否か」という判断基準によらず、受診効果が大きい疾患でも小さい疾患でも“一様に”受診を抑制している様子が分かると思います。日々の臨床で、「どうしてこんな重症になるまで受診しなかったのだろう?」と思わせる患者に出合ったことがありませんか? そういった場合には、医療者と患者が疾病に対する判断基準を共有しているとは限らないということを思い出していただければと思います。

受診抑制に遭いやすいのは低所得者層の小児?

 研究者たちは、医療費の自己負担が伴う場合に、所得格差が受診抑制に影響を及ぼすかどうかを分析しました。その結果、成人の場合は、低所得者層にやや強い抑制傾向があるものの、受診抑制効果は所得の多少にかかわらず、ほぼ同様でした。ところが驚くべきことに、小児の場合には大きな違いが見られました。平均所得者層の小児では受診抑制効果は低かったのですが、低所得者層の小児では大きな受診抑制効果が働いたことが分かりました(表4)。

自己負担ありとなしの比較、全体の健康状態には影響しない!

 医療費の自己負担が増えることによって受診抑制が起こり、その結果として健康が悪化したら元も子もありませんし、医の倫理に反します。RAND医療保険実験では、健康に関する様々な指標が、保険加入の前後で比較されました。その一部を表5に示します。

 比較した結果、医療費の自己負担の有無によって健康状態を示す指標に大きな変化は表れなかったことが示されました。ただし、例外として、高血圧症のコントロールは自己負担がない場合の方が良好である(この傾向は、とりわけ貧困層で顕著)と報告されました。また、低所得者層で自己負担がない場合は、必要な歯科治療を受ける機会が多くなり、さらに胸痛、呼吸苦、出血、失神、体重減少などの危険な症状が少なくなることも報告されました。

 一方、自己負担がある群では、心血管疾患になることを恐れて健康的な生活をするようになるのではないかと予想されたのですが、結局は、喫煙率、体重、コレステロールに変化はみられませんでした。

 そして、RAND医療保険実験は次のように締めくくられました。「医療を高齢者以外に無料で提供することは、その結果として健康が増進されることが明らかではないので、正当化されるべきではない。しかし、低所得で健康状態が悪い人々に対しては、医療費の自己負担は無料にするか最小限に抑えるべきであろう」。

このデータをどう読み解くかですけれども、受診抑制が疾患の重大さには関係なく起こるということを考えた場合に、巷間よく言うところの「重大な疾患なのに受診しない人が出たらどうするのだ」という話を完全に解消するためには、患者が何の躊躇もなく何かあれば即座に病院にかかるという状況を維持しなければならないということになってしまいますが、これは実際的ではありませんよね。
今回のデータから見れば現在の日本における3割の自己負担レベルにおいてもかなり大きな受診抑制が既に起こっていて、むしろほとんどプラトーに近いレベルに達しているとも解釈出来るわけで、例えば自己負担を4割に引き上げようなんてことをやってもさほど意味はないんじゃないかとも考えられそうです。
日本の現状において求められるのは患者の経済状況を圧迫することで受診抑制を誘導するというよりは、むしろ「咳が出たけど今ちょっと財布にお金がないし、さてどうしようか」という小さなレベルでの抑制をどうするかということだと思いますが、その意味では現在行われている基幹病院での時間外加算などは結構程よい落としどころなのではないかと思いますね。

そして同時に、そうした面での受診抑制を図るというのであれば「朝までじっと我慢しろ」ではなくて、身近に安くてそこそこのレベルでの代用的手段の入手性が確保されていなければならない道理で、もちろんそれは無駄にコストばかりかかる砂糖玉(笑)のようなものではなく、病院にかかるよりは安価にとりあえずの症状を抑える市販薬などが手軽に手に入る環境も必要なのではないかと言うことです。
アメリカはもちろん海外では日本よりもずっと広範囲な市販薬が普通に処方箋無しで手に入ったりする環境にある国も多いわけですが、日本で今ひとつ普及が進んでいないのは「素人が医療に口を出すな」式の古い医者の感覚も原因であって、患者の自己決定権というものを叩き込まれている今の時代の医者は、逆に「何でもかんでも医者に全部丸投げでは困る」と言う考えの方が強くなってきているわけですよね。
日本もせっかく医薬分業なんてことを近年推進してきたわけですから、このあたりはもっと薬剤師業界などの努力に期待してもいいはずですし、「特定看護師断固反対!」なんて日医あたりの圧力に負けずに(苦笑)使える人材はとことん使い倒すくらいのつもりで、こうした方面からのサポート体制の改善を進めてもよい時期ではないかという気がします。

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2010年11月29日 (月)

当然の判決!と喜んでいるばかりでは仕方がないので

どうも予防注射の副反応かと思ったら風邪を引いているようで、ちょっとばかり体調不良を自覚しながら書いています。
それはともかく、医療訴訟も相変わらず多いという時代ですけれども、地裁ではなく高裁レベルで注目に値する判決が出たということで、ちょっとした話題になっているのがこちらの裁判です。

誤診認定、賠償認めず 男性死亡 遺族が逆転敗訴 福岡高裁判決(2010年11月27日西日本新聞)

 大分県宇佐市の病院を受診した帰りに急性心筋梗塞(こうそく)で死亡した会社員男性=当時(42)=の両親が、当直医の診断ミスが原因として、病院を経営する医療法人に約5500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、福岡高裁であった。広田民生裁判長は、当直医が急性心筋梗塞を疑わせる心電図のわずかな兆候を見逃したと認めた上で、「当直医に専門医と同じ判断を求めるのは酷で(見逃しは)やむを得ない」とし、法人に約5100万円の支払いを命じた一審判決を取り消し、原告の訴えを棄却した。

 一審・大分地裁中津支部判決は「心電図は急性心筋梗塞の疑いを示した。当直医は循環器の専門医への相談や、血液検査などをすべきだった」と過失を認めた。

 控訴審判決は、医療法人側が提出した循環器が専門の医師の鑑定書を重視、「専門外の医師が心電図から急性心筋梗塞の兆候を把握するのは困難」との記述を引用。「専門が一般内科で急性心筋梗塞の診断経験がない当直医が、兆候を見逃したのはやむを得ず、急性心筋梗塞などの疑いを持つことは不可能だった」と、過失を認めなかった

 判決によると、男性は2005年11月8日夕、胸の痛みを訴えて医療法人「明徳会」が経営する佐藤第一病院を受診。当直の内科医が心電図などをもとに逆流性食道炎の疑いと診断し、胃薬を処方して帰宅させた。男性は帰宅中に倒れ、別の病院に搬送され、急性心筋梗塞で死亡した。

医療事故:当直医の診察に専門性要求は酷 賠償請求棄却--福岡高裁判決(2010年11月27日毎日新聞)

 胸痛を訴えた男性が05年、大分県宇佐市の病院で当直医の診断を受けた後に急死した医療事故を巡り、遺族が病院に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、福岡高裁であった。広田民生裁判長は「当直医は内科医で、急性心筋梗塞(こうそく)の診断や治療経験がなく、循環器の専門医と同等の判断を要求することは酷」と指摘。病院側の過失を認めて遺族に約5100万円の賠償を命じた1審・大分地裁中津支部判決を取り消し、遺族の請求を棄却した。

 地方の救急病院の当直態勢にどこまで専門性が求められるかが争点になった。病院側は控訴審で「当直医の確保がやっとで、当直医に専門医と同レベルの注意義務を課せば地域医療の崩壊が加速する」と主張していた。判決後、病院側の山本洋一郎弁護士は「地域医療の限界をくみ取ってくれた画期的判決」と評価した。【岸達也】

伝え聞くところによれば明らかにこれは見逃してはいけない症例だろうというようなものではなく、機械判定で正常範囲と出る程度のレベルの所見を読めるかどうかと言ったところが問われた訴訟であったということなんですが、医学的に見てもこれはやむなしという判断の妥当性もさることながら、病院側の主張するような地域医療の限界といった社会的側面もくみ取られたということであれば、これは確かに「画期的判決」ですよね。
毎日新聞が前後の経緯を多少詳しく取り上げていますので引用させてもらいますけれども、地裁の一審判決と今回の高裁判決との間に存在する数年間の社会的情勢の変化というものも、あるいはこのあたりの判断の差に表れているということなのかも知れません。

医療事故:専門外の診療で急死 当直医の責任どう判断 あす控訴審判決--福岡高裁(2010年11月25日毎日新聞)

 胸痛を訴えた男性が大分県宇佐市の病院で当直医の診断を受けた後に急死した医療事故を巡り、1審大分地裁中津支部が病院の過失を認め遺族に約5100万円を賠償するよう命じた訴訟の控訴審判決が26日、福岡高裁(広田民生裁判長)で言い渡される。病院側は控訴審で「地方の病院は当直医の確保がやっと。夜間・休日の救急医療を担う当直医に専門医と同レベルの注意義務を課せば、地域医療の崩壊が加速する」と主張しており、高裁の判断が注目される。【岸達也、高芝菜穂子】

 1審判決によると05年11月18日夕、胸部に痛みを訴えた男性会社員(当時42歳)が救急病院を受診。病院は当直態勢で、内科の医師が心電図などを基に逆流性食道炎の疑いと診断し、胃薬を処方した。男性は病院を出た約10分後に倒れ、別の病院に搬送されたが、急性心筋梗塞(こうそく)で死亡した。内科医は急性心筋梗塞の治療経験がなかったという。

心電図の自動解析装置は「異常なし」と判定していたが、1審は、心電図検査が急性心筋梗塞の所見を示していたと認定。循環器の専門医への相談や血液検査、超音波検査をすべきだったとして病院側の過失を認めた。病院側は判決を不服として控訴した。

 控訴審で病院側は循環器病の専門医、木村剛・京都大教授の鑑定書を提出。木村教授は当時発症していたとみられる心臓疾患と逆流性食道炎などの症状が酷似しており「専門外の当直医に、専門医でなければ気づかない軽微な心電図の変化などから診断を要求するのは無理」と指摘した。病院側の弁護士は「高裁の判断が1審同様なら、専門医がそろわない救急病院は難しい患者を引き受けづらくなる」と話している。

 一方、遺族側の弁護士は「事故が起きた病院には循環器の医師もおり、適切な措置を講じていれば救命できた」としている。

裁判:当直医の過失認めず 専門外の診断後に急死 福岡高裁で遺族が逆転敗訴(2010年11月27日毎日新聞)

 胸痛を訴えた男性が05年、大分県宇佐市の病院で当直医の診断を受けた後に急死した医療事故を巡り、遺族が病院に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、福岡高裁であった。広田民生裁判長は「当直医は内科医で、急性心筋梗塞(こうそく)の診断や治療経験がなく、循環器の専門医と同等の判断を要求することは酷」と指摘。病院側の過失を認めて遺族に約5100万円の賠償を命じた1審大分地裁中津支部判決を取り消し、遺族の請求を棄却した。
(略)
 控訴審で病院側は循環器の専門医、木村剛・京都大教授の鑑定書を提出。木村教授は男性が当時発症していたとみられる心臓疾患と逆流性食道炎などの症状が酷似していることから「専門外の当直医に、専門医でなければ気づかない軽微な心電図の変化などから診断を要求するのは無理」と指摘した。

 控訴審判決はこの鑑定書を重視。当直医が男性の問診や聴診、心電図検査をしたことを踏まえたうえで、心電図に表れた急性心筋梗塞を疑わせるわずかな変調について「内科医が見逃したことはやむを得なかった」と結論付けた。【岸達也】

 <解説>当直医に専門医と同等の判断を求めず、原告の請求を棄却した福岡高裁判決は、医師の当直態勢に専門医を充てる潤沢なマンパワーを持たない地域医療の窮状をくんだと言える。だが一方、患者の側からすればそれで問題が解決したとは到底言えない。救急医療の疲弊、都市と地方の医療格差。訴訟で浮き彫りになったのは、医療行政が本来解決すべき重い課題だ。

 宇佐市医師会によると、同市には三つの救急病院がある。事故はそのうちの一つ、循環器内科や消化器内科などをそろえた民間総合病院(約130床)で起きた。

 地方の救急病院にとって、当直態勢の維持は極めて難題だ。04年に研修医が自由に研修先を選べる新医師臨床研修制度が導入され、これを機に特に地方で医師不足が顕在化。夜間や休日は当直医が専門外でも外来対応することが常態化している。宇佐市医師会も「募集を出しても医師は集まらない。地方はどこも一緒のはずだ」と話す。

 こうした状況に、当直医に専門医並みの高度な判断まで求められては、救急医療の現場を去る医師がますます増えてもおかしくない

 半面、患者側の専門医志向は根強い。患者の要求と、医師不足など医療供給とのアンバランスが医療崩壊の本質だ。一医療機関で解決できる問題ではない。医療圏の統合・再編や開業医との連携など多角的に取り組む以外に道筋はないだろう。

【岸達也、阿部周一】

毎日新聞にしては「患者の要求と、医師不足など医療供給とのアンバランスが医療崩壊の本質」などと言い切っている点は全くアグリーなんですけれども(苦笑)、あくまで高裁判断の大前提となったのは「こんな所見は専門外が読めなくても仕方がない」という専門家の判断であったことには留意すべきであって、専門外とは言え一定レベルの臨床能力も問われずという話ではないことは認識しておかなければなりませんよね。
ただ一方で現場臨床医の能力に関して「ここまで出来ていればオーケー」という一線が引かれ始めたということが昨今の司法判断の一つの特徴であって、しかもその一線というものがかつてのようにトンデモ鑑定に基づくトンデモ判決というレベルではなく、一般臨床家の目から見てもまずまず妥当と思えるあたりに落ち着いてきたということは言えるかと思います。
ひと頃は鑑定書を書いてくれるなら誰でも良いというくらいにその質を問われない時代もあって、鑑定書を書いている人間こそその臨床能力を疑問視されかねないトンデモ鑑定書も散見されたものですが、大野事件などを経て医療業界にも鑑定書作成など単なる面倒な仕事という認識から、一臨床家の人生のみならず医療の将来も左右しかねない重大な仕事であるという認識へと移行しつつあるのかも知れませんね。

司法の世界でもかつては被害者救済的思想から、とりあえず見舞金的な額であれ何かしらのお金を出しておけと言う判決が出される傾向にあった、そうした件も司法関係者に言わせれば人が死んで百万、二百万といった額しか出ないというのは限りなく医療側の主張を認めた内容であって、「もうこれくらいで手を打ってはどうですか」という和解を促す気持ちが込められているのだという声もあるようです。
このあたりは健診で引っかかってひどく心配だと外来にやってくる患者も多いわけですが、医者の側からすると「こんなものどうでもいいじゃないか」と思えるような「異常値」も素人にすれば大問題に思えるというのと同じで、医者と患者の間に存在する医療に関する情報格差と同様の問題が、司法と医療その他の国民との間にも存在しているということを、一方の当事者である司法が理解出来ていたかも問題だったのでしょう。
医療関係者から見れば賠償の金額が一円だろうが一億円だろうがほとんど違いはなく、単に日々行っている医療行為が司法的にはどのように判断されたのかという点だけが注目されてきたわけで、こうした和解的判決の結果JBM(司法判断に基づく医療)なるものがどれほど普及し、まともな(と医療側が考える)医療を歪めてきたかという現実はまず司法の側も認識してもらわなければなりませんし、社会的影響をも踏まえた上での判断が求められるということでしょう。

昨今の司法判断の流れが少しばかり変化してきて、現在個々の症例レベルで司法の判断基準の見直しがようやく進みつつある印象がある、そうだとすればそれを如何に医学的に見ても妥当なものに近づけるのかという作業に関しては、トンデモ鑑定医問題も含め医療の側にも大いに責任無しとしませんが、ここでひとつ注意しておくべき問題は医療側で昨今進められている医療の標準化、ガイドライン化といった流れですよね。
産科領域では緊急帝切は30分以内になんて話が実際には難しいとしばしば問題になりますけれども、例えば最寄りの町立病院まで救急車でまず一時間、そこから遠い基幹病院まで搬送するのに更に一時間という僻地レベルで考えてみれば、「脳梗塞発症後3時間以内にt-PAを」なんて話も限りなく非現実的な話に見えているはずです。
医療の世界においては臨床成績のデータを元に、こうしておけばより良い結果が期待出来るという「学会権威ご推薦のやり方」が広まりつつあるわけですが、そうしたデータを出している施設というのは都市部の基幹施設であるという現実に思いを致せば、果たして大多数の地方における医療の現状に即しているのかという検討も必要でしょう。

今回の裁判となった症例に関しても、病院には循環器の専門医が勤務していたということが最後まで争点になったようですが、それでは胸痛は全て循環器科の医者を呼ぶ、腹痛と来れば必ず消化器科の医者にも見せるなんて院内ルールを策定するならば、確かに誤診や医療過誤は減るかも知れませんがあっという間に病院から医者がいなくなりそうですよね。
もちろんそうしたルールを作ったは作ったで、それなら脳外科の医者は非常勤だが不在の日にも呼び出すのか、内科医だけでなく外科の判断も仰がなくていいのかと際限がない話で、どこかでこの「医者は必ず間違いなく診断をし、正しい治療をしなければならない」というあり得ない前提から離れていく必要があるはずです。
「白い巨塔」などと揶揄された学閥は崩壊しつつあるなんて言われる一方で、やはり医療のやり方というものに関してはどこかの偉い先生が決めたルールに現場は従うといったトップダウンの関係があることは否めませんが、こうした問題こそ現場の末端臨床家が「こうでなければ困る!」と声を上げて、ボトムアップで話を進めていかなければならない仕事であるように思えますがどうでしょうね。

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2010年11月28日 (日)

今日のぐり:「一心」

まことに不謹慎な話ですけれども、先日見ていて思わず「ありえね~!」と思ってしまった話がこちらです。

おばあちゃん、呼んだ救急車にひかれ重傷(2010年11月23日サンスポ)

 呼んだ救急車にひかれる惨劇-。香川県高松市で、田んぼに転落した女性(74)を搬送するためにかけつけた救急車が、誤ってこの女性の足をひいて、骨折の重傷を負わせるトラブルが発生していたことが分かった。22日、高松市消防局が明らかにした。

 コトの起こりは20日。女性は高松市西植田町の柿畑で農作業中、足を滑らせてあぜ道から約2メートル下の田んぼに転落、頭や腰に軽傷を負った。倒れている女性を見つけた付近の男性が119番通報した。

 同日午後3時45分ごろ、通報を受けた同消防局・南消防署香川分署の救急車が急行、約10分後に到着した。現場に駆け付けていた女性の夫が救急車を誘導。その指示通り、農道をソロソロと直進させると、右後輪が何かに乗り上げた。

 「!?」。救急車を運転していた勤続2年の男性救急隊員(22)がイヤ~な予感に襲われ、車から降りて確認すると案の定、タイヤに足の指を踏みつぶされた女性が「痛い~っ!!」と悶絶していた。

 現場は幅約3メートルの農道でゆるい右カーブ。見通しはよかったが、路肩左に軽トラックが停止し、路肩右であおむけに横たわっていた女性は、体が雑草に隠れていた。救急隊員は軽トラックに注意を奪われ、女性に気づかなかったという。女性の足先だけが農道にはみ出しており、そこにタイヤが乗り上げた。

 救急車を呼ぶ前は軽傷のはずが、呼んでみたら右足の小指、左足の親指と人差し指の計3本、足指骨折の重傷となった。

 女性は高松市内の病院に搬送され、脳外科で頭部の検査などを受けた後、約10キロ離れた病院に移送され、骨折した足指の処置を受けた。

 同消防本部は22日、サンケイスポーツの取材に「女性を助けようと駆けつけたのに…。処分の判断は今後になります」。女性をひいてしまった救急隊員はかなり激しく落ち込んでいるという。

お婆ちゃんも災難でしたが、引いてしまった救急隊員もご愁傷様と言うしかない事件でしょうかね…
今回はお婆ちゃんの不幸に対して哀悼の意を表するということで、世界各地から「それはありえね~!」というネタを紹介してみようと思いますけれども、まずはアメリカからこんな話題をいってみましょう。

小学校で鉛筆の持ち込みを禁止 @ マサチューセッツ州(2010年11月26日Slashdot)

マサチューセッツ州 North Brookfield 小学校六年生の担任二人が、管轄学区の許可を得ずに、六年生の保護者向けに、生徒らによる筆記用具の持ち込みを禁じるお知らせを配布していたとのこと。North Brookfield 学区暫定教育長 Gordon Noseworthy 氏が明らかにした 。

担任が配布したお知らせは「『凶器を組み立てる』材料になりうるとし、11 月 15 日を過ぎても鉛筆やペンを所持しているのが見つかった場合には、懲戒処分も辞さない。鉛筆は教室で用意される」といった、行き過ぎた取り締まりを明記したものであった。

背景に、生徒達は筆記用具で互いを傷つけ合うほど酷く荒れていたという事実があったのだろうか。それについては触れられていないが、もしそれならば、カウンセリング等を行わなければ根本的な問題の解決にはならないように思われる。

いやまあ、いったいどのような状況にこの教室が置かれていたのかは定かではありませんけれども、教室で鉛筆やペンも禁止にしなければならないという状況であれば、それらを禁止したところで既に手遅れなのではないかとも思えるのは自分だけでしょうかね?
もう一つアメリカからこんなニュースが出ていますけれども、これはド派手と言うよりかは何と言いますか…ちょっとそれはどうなのよですよねえ…

【ネット番記者】米海軍のド派手ケーキ(2010年11月11日産経新聞)

 今や、企業がツイッターで自社情報を流すことは珍しくなくなった。「在日米海軍司令部」も例外ではない。その知られざる活動を日々、投稿しているのだが、注目を集めたのが「派手なケーキ」特集だ。

 米海軍の公式サイトに掲載されている、独立記念日や乗組員の誕生日などを祝うセレモニーに登場した特製ケーキが次々に紹介された。赤や黄は当たり前。海軍らしいブルーのクリームで彩られたケーキが人気で、日本人の色彩感覚を完全に超越している。なかでも、強襲揚陸艦「サイパン」をかたどったグレーの巨大ケーキは圧巻。「ケーキに使われる色の常識を覆した」、「リアル性を追求した作品」だそう。きっとお味も“超弩級(ちょうどきゅう)”に違いない。もちろん、想像だけでおなかいっぱいだが…。(猪谷千香)

この記事に添えられた写真をみていただくだけでも、彼らがどれほど「ケーキに使われる色の常識を覆した」のかが判ると思いますけれども、まあ確かにリアル性を追求するということはケーキ以外の何かにとっては望ましいことであったかも知れませんよね…
こういう話題になりますと何かとネタを提供してくれるのがブリというものですけれども、とりあえずこういう「あり得ない!」お話から行ってみましょう。

中古ノートPCを買ったらイギリスの軍事機密ファイルが出てきて仰天(2010年11月14日らばQ)

日本でも自衛隊や警察の機密資料が流出したと騒がれることがありますが、イギリスでも同様のニュースがありました。

ネットオークションで30ドル(約2400円)で落札したノートPCの中に、軍事機密ファイルが入っていたそうです。

ノートPCを落札したエンジニアによると、HDDの中には英軍のアフガニスタンでの機密ファイルが暗号化されずに入っていたと言い、それに気づいた彼は直ちにノートPCをイギリス国防省に引き渡したそうです。

彼はこう感想を述べています。
「恐ろしい、信じられませんでした。なぜならこのノートPCは、誰の手渡ってもおかしくなかったんです」
「私はこれを見てすぐに、オークションで売買して良いものではないと気づきました。そして売り主にコンタクトを取り、データのコピーをとっておくべきか聞いたところ、答えはNOでした」

データはアフガン軍や警察に関するNATOの機密や、個人情報、写真などが含まれていました。

このノートPCを売りにだしたのは、アフガニスタンで1年ほど小隊の隊長を務め、その後はエリザベス女王の侍従をしているイギリス軍のロバート・ザグデン大尉。

ザグデン大尉はHDDは壊れていると思っていたと釈明していますが、購入したエンジニアによれば、HDDに問題はなかったとのことです。

ファイルを残したままオークションに出すのは論外ですが、素人が消したつもりでいても簡単に復旧させられるだけに、機密の扱い方や管理はもっと厳格な運用が必要なのでしょうね。

イギリス軍でもこういった流出が起こるのを聞くと、スパイ天国とさえ言われる日本では、機密がどう管理されているのか心配になります。

まあしかし、かのジェームズボンドの国においてもこの調子であるというのは、案外世の中機密なんてものはどこから漏れているか知れたものではないですよね。
こちらもまた同じくブリらしいと言えばブリらしく気の長い話ですけれども、幾らなんでも意外すぎではないかというネタでしょうか?

33年間の耳痛原因にビックリ、耳の中から出てきた意外なモノは…。/英(2010年10月20日ナリナリドットコム)

目に見える外傷とは異なり、腹痛や頭痛といった体内の痛みは原因が分かりづらいことも少なくない。英国のある男性は14歳の頃から33年間も、なぜかずっと耳の痛みや頭痛に悩まされていた。その間、病院には通い続けていたが、処方された薬では一向に治らず。しかし、このほど原因究明を決意して名門の英国王立の病院で徹底的に検査を行ったところ、出てきたのは看護師も本人も困惑する代物だった。

英紙デイリー・メールなどによると、英中部シェフィールドで暮らす47歳の男性ステファン・ハーストさんは、14歳のときからずっと難聴や耳・頭の痛みに悩まされてきた。時にはその痛みに耐えきれず「頭を壁にぶつけた」(デイリー・メール紙より)と話すハーストさん。この症状により、仕事も15年前に辞めざるを得なかったそうだ。

常に痛みが消えない彼は、これまでに何度となく耳鼻科に通い、「何回検査したか忘れた」というほど医者に調べてもらったという。しかしどの医者も原因を突き止めるには至らなかった。そのたびに薬を耳に塗り、抗生物質を処方されたというが、ハーストさんの耳は改善する兆しを見せず、33年もの長きにわたり痛みに耐える我慢の日々が続くことになる。

そして先日、半ば諦め気味になっていたハーストさんは「最後の1回」として、シェフィールドにある王立ハラムシャー病院を訪れ、徹底的に検査をしてもらい、原因を究明しようと決意した。看護師がハーストさんの耳にチューブを入れ、顕微鏡で耳の中をくまなく調査。するとそこには異物があることがわかり、看護師がピンセットを使って取り出してみると、姿を現したのはなんと茶色く変色した歯だった。

意外なモノの発見に言葉を失った看護師は、ハーストさんに「最近歯を失くしましたか?」と妙な質問をぶつけてきたという。20年のキャリアを持つ看護師でさえ「見たことがない」と驚く代物にハーストさんも困惑し、なぜ歯が耳の中にあるのか、思い当たる節はないかと記憶をたどった。永久歯ほど大きくないため、乳歯だと見られることをヒントに思い出したのは、学生時代の記憶だ。

ある日、机の間でふざけて遊んでいたハーストさんは、倒れた拍子に右耳の後ろをけがして鼓膜を破った経験があった。33年間の苦痛の原因は、ひょっとするとこのときのけがの拍子ということも考えられるが、ほかにも子どもの頃に何らかの理由で耳に入れてしまったか、口の中で外れた歯がどういうわけか移動した可能性も指摘されており、いずれにしてもはっきりとしたことはよく分からない。

歯が取り除かれた後は難聴がまだ治らないものの、痛みはすっかり消滅。これには彼も「歯を見つけてくれた病院スタッフへの感謝を決して忘れない」と大喜びしている。

また、知り合った当初からこの問題に悩む夫の姿を見てきた妻デニスさんも、「これだけの年月を経て彼が治ったのは素晴らしい。驚いたわ」と感激。出てきた歯は大切に保管するそうで、耐え難い苦痛は、もうすっかり思い出へと変わったようだ。

何をどうしてこんなことになったのかと言う謎もさることながら、一度でもCTでも撮っていればとっくの昔に解決していた話なのではとも思うのですが、まあちょうど英国医療崩壊最盛期の話ですから仕方がないということなのでしょうかね…
ブリ料理の数々の伝説を聞き及んでいる人間ならずとも、およそ日本人的感性からすると信じがたいような話ですけれども、まずは記事を紹介してみましょう。

11/9 元気がないときにお勧めの英国料理は…コレ!(2010年11月9日UKtoday)

英国人の大好物であるチップス(太めのフライドポテト)は、栄養のバランスがとれた食べ物とは言い難いが、落ち込んでいる時に気持ちを落ち着かせ、元気にしてくれる効果があることが研究により示された。「デイリー・メール」紙が報じた。

研究チームは、この効果はフライドポテトに含まれる炭水化物によるものか、もしくは味と匂いが、子供時代に海に行ったときなどの楽しい思い出を呼び起こすからではないかとみている。

この研究は、英国のジャガイモ関連産業を推進する「ジャガイモ協議会」の委託により行われたもの。まず、男女60人に広島の原爆の映像を5分間見てもらい、その後、半数に気晴らし用の雑誌を読ませ、残り半数にはチップスを食べてもらった。参加者は映写の前後、雑誌を読んだ後、チップスを食べた後にそれぞれ感じた気分を質問表に記入し、データがまとめられた。

研究員は、「(原爆映像で)気持ちが沈んだ参加者はチップスを食べた後に気分がよくなり、20分後には気持ちが落ち着いていた。チップスの栄養分が脳になんらかの影響を与えたからかもしれないし、単にチップスの味によって高揚したからかもしれない」と分析している。これまでにも炭水化物は気分を高揚させる効果があるとする研究が公表されているという。

今回の実験で使われたフライドポテトはフィッシュ・アンド・チップスの店で購入されたものだが、冷凍食品のフライドポテトでも同じ効果があるかどうかは不明。

確かに相対的に毒性が低そうだという意味においては、体調の悪いときにお勧めするべきブリ料理かも知れませんけれども、しかしわざわざそんなものをねえ…と言うのが一般的日本人の偽らざる感想ではないでしょうかね?
本日最後にブリの真実というものを知る上で、ある意味でブリ人気質を嫌と言うほど承知しているドイツ人のこんな話を紹介してみましょう。

ドイツで「ソーセージ焼き器」開発、誰でも完ぺきな焼き具合(2010年11月19日ロイター)

 [ベルリン 18日 ロイター] 英国を訪問した際、ポークソーセージのブラートブルストがきちんと焼けていなかったことに耐えられなかったドイツ人男性2人が、誰でも完ぺきにソーセージを焼くことができるソーセージ焼き器を開発した。

 開発をしたのはマルコ・ブランズさん(25)とエンジニアのフェリックス・レニースさん(28)。ブランズさんは、「ドイツのブラートブルストが売られている市場へ行った時に、英国人は焼き方が分かっていないことに気がついた」と話し、片面は焦げているのにもう片面は全く焼き目がついていなかったと説明した。

 ソーセージ焼き器は、パンを焼くトースターのような形だが、トースターではうまく焼けないため一から設計したという。ブラートブルストを縦に入れることができる高さがあり、差込口は丸くなっている。

 ドイツの経済技術省から表彰された2人は、現在この焼き器に最適なソーセージの開発に取り組んでいる。 

英国を訪問したところ「英国人は焼き方が分かっていないことに気がついた」と言うくらいですから、一体どれほどブリ的な焼き加減のソーセージが出てきたのかと気になりますけれども、これまた「あまりに料理が不味すぎて皆が一斉に海外に飛び出していった結果、世界帝国が出来ていた」というブリ食文化の歴史と伝統を、ドイツ人の発明が証明したということになるのでしょうかね?
しかし確かに素晴らしい焼き加減を保証するだろうこの発明に対する素朴な突っ込みですけれども、完璧な焼き加減を求めて専用の焼き器のみならずわざわざ専用のソーセージまで開発しなければいられないというのは、何事にも凝り性に過ぎると言うドイツ人気質の表れなんでしょうかね?

今日のぐり:「一心」

以前にもお邪魔したことのある街の寿司屋がこちら「一心」さんですけれども、このたび縁あってかまたお邪魔させていただきました。
しかし相変わらずご飯時には地元の人らしいお客で賑わっていますけれども、迷路じみた裏通りを入り込んだところにあるこのお店に一見さんも多かろうはずがありませんから、それだけ地元密着のお店ということなんでしょうかね?
こちらの場合夜は夜で色々と料理もやっているそうなのですが、昼はまずコストパフォーマンス抜群の定食類の中から無難に花定食を、そして鰆と鰹のたたきを頼んで見ました。

定食の先付に出てきたのはママカリなんですが、正直こういう形で丸のままのママカリをかじる機会というものがそうなかったものですから、その小さな体に似合わぬ濃厚なうま味には改めて驚かされますよね。
お作りは鯛やらイカやらごくありふれた地の魚といった感じで新鮮みはないんですが、この鯛にしろイカにしろ食感とうま味のバランスの取れた熟成加減もさることながら、噛みしめた時のにじみ出る甘みというものがとにかく印象的ですよね。
ご飯代わりの握りは五貫で半人前と言うところでしょうか、これまた地の魚中心でどれも高価ではないネタながら、絶品とまでは言わないもののこの価格帯の寿司屋としては十分おいしくいただけるのですが、唯一地の魚ではないマグロの赤身だけはやはりちょっとねという感じで、別に無理をして入れなくてもいいんじゃないかと思うところですね。
茶碗蒸しなどももちろんスなど入っていない良い舌触りですし、タコや鰆といった豪華な酢の物も味といい見た目といい立派なもので、このお値段のランチでこれだけ手抜きのない内容がいただけるというのは本当にありがたいものだと思いますけれども、相変わらず味噌汁だけは甘い味が健在というのは店のスタイルなんでしょうね。

鉄板と言うべき定食のコストパフォーマンスもさることながら、意外にも(と言ったら失礼なんでしょうが)当たりだったのがこちらのたたきで、もちろん定食などと比べるといささか割高にはつきますけれども、これで飯を食べても良さそうな内容の充実ぶりですよね。
もちろん地元の味ということでさらりとした口溶けの鰆もなかなか上等な仕上がりですけれども、特にこのもちもちぶりぶりの鰹のたたきと言うものは薬味など全体の作り自体は本土風なんですが、この分厚い切り方にも由来する何とも力強い食感と味が土佐高知のそれを思わせるもので、高知以外で食べた鰹のたたきの中では最上級のものと言えそうです。
ついでに食べた同行者の一心定食のナスの天ぷらがまたとろけるような仕上がりで、何にしろ安いだけではなく仕事に手抜かりがないというのは安心していられますよね。

定食だけを食べていても十二分に満腹出来るほどのボリュームも兼ね備えていますから、これだけのものをこの値段で提供しているというのはバーゲンプライスと言ってもいいと思いますし、気軽にうまいものを食べられるということで地元客に人気を博しているというのも当然でしょうが、やはりこれも漁港が近いという地の利が大きいということなんでしょうか?
ちなみに前回お邪魔したときにトレイに山と積まれていた巻き寿司は今回見あたらなかったのですが、そうなりますとあれは一体何だったんでしょうかね?

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2010年11月27日 (土)

いつまでも変わることなく 相変わらずな某業界最近の話題

というわけで、本日も例によって例のごとくな最近の斜め上な話題をとりまとめてみましたけれども、まずは先日出ましたこういう記事から抜粋をしてみましょう。

看護師がフットケアで逮捕、「爪切り事件」を考える(2010年11月24日CBニュース)より抜粋

 認知症患者の足の爪を切ってけがをさせたとして、北九州八幡東病院(北九州市)の看護師だった上田里美さんが傷害罪に問われた事件で、福岡高検は今年9 月に上告を断念、無罪が確定した。逆転無罪の判決を言い渡した福岡高裁は、容疑を認めたとされる捜査段階の供述調書の信用性を否定した。「刑事さんは写真でしか判断してくれず、何を言っても認めてもらえなかった」と、拘置中の102日間を振り返る上田さん。フットケアに関する捜査機関の理解不足、「鬼看護師」などと書き立てたマスコミ…。この事件は一体、何だったのか。上田さんと、弁護団の上田國廣・主任弁護士に話を聞いた。(敦賀陽平)
(略)
―インターネット上の書き込みやマスコミ報道について、何か思うことはありますか。

上田さん 看護師の中でさえ、爪のケアについて知らない方がいます。ネットの場合、あくまで一般の方が自分たちのイメージで書き込んでいるのでしょう。それは個人の自由ですが、報道する側は、やはりそれなりの知識というか、情報を持って、それを精査した上で書いていただきたいと思います。

上田弁護士 報道機関はニュースバリューが大切なわけだから、物事を面白おかしく報じる。メディア側の心理としては、それが「虐待」だとして、特ダネとしてそれを広めた方がいいわけです。ただ、それが世の中のためにならない場合も多々あって、逆に冤罪を生み出す可能性もある。事実は違うかもしれないから、専門の先生にきちんと判定を仰ぐとか調査報道とかいうような、反対側の情報整理が非常に大切だと思います。何も知らない人が最初に見ると、「こんなに切れている。痛いだろうな」という印象を受けますが、勉強して知識が増えるにつれて、それが「爪肥厚(そうひこう)」(爪が育ち過ぎて分厚くなる)という爪で、シーツに引っ掛かって出血する場合もあることを知る。そうなって初めて、「ここまで切るのが正しいんだな」と分かるわけです。だから今回の問題では、マスコミ報道も悪い流れをつくった要因の一つだと言わざるを得ませんね。
(略)

「今回の問題では」なんて言いますと、まるで他の問題ではいいこともしているかのように誤解されかねませんが、ひと頃「爪剥ぎ事件」なんてマスコミの格好のネタになっていた事件の無罪判決が先日確定したわけですから、さんざん他人を悪し様に罵ってきたマスコミ諸社はこの事件をどう総括するつもりなのか、あるいはこのまま華麗にスルーして終わりということなんでしょうかね?
昨日も朝日新聞のいつも通りの所行をお伝えしたところですが、おかげさまで同社は六年連続減収継続中という話が出てきたばかりで、さすがに日々こういう仕事ばかり続けていますといつまでも世間から相手にはされませんよと言うことを数字が示しているように思いますね。
彼らのモラルの低下ぶりは先日出てきましたこういう小ネタからも認められるところだと思いますけれども、TBSとテレビ高知の取り合わせと言えばつい昨年もゴルフ試合中のカート暴走事件で怪我人まで出しているというのに、一体この反省のなさはどうなのかです。

部外者に記者腕章貸し出す=テレビ高知、男子ゴルフで(2010年11月25日時事ドットコム)

 高知県で25日に開幕した男子ゴルフのカシオワールドオープンで、主催者に名を連ねる「テレビ高知」(高知市)が部外者の男性2人に報道用の記者腕章を貸し出し、一般の人が観戦できないプロアマ戦を見せていたことが同日、分かった。同じTBS系列の「あいテレビ」(松山市)の依頼だったという。
 テレビ高知によると、プロアマ戦は会場の「Kochi黒潮カントリークラブ」(同県芸西村)で24日に行われた。あいテレビから取引先関係者を観戦させたいと同日要望があり、腕章を貸与したという。
 男性2人は石川遼選手をカメラで撮影しながら観戦していたが、不審に思ったツアー関係者が問いただし発覚した。
 テレビ高知の小島一水編成営業局長は「報道のための腕章で、あってはならないこと。深く反省している」と話している。
 あいテレビの和田敏昭取締役は「出場選手をはじめ関係者にご迷惑をお掛けし、申し訳ない」としている。

こうした公私混同行為とはどうなのよですが、先日も「政治家が記者と懇親会をするというのに会費を取るとは何事か?!」といたくおかんむりだったというくらいの業界ですから、今回たまたま発覚したというだけで平素から常習的に行われている接待だったのかもですね。
近頃マスコミ業界ではやたらに韓流韓流とブーム演出に熱心ですけれども、盛り上げるだけ盛り上げておいて二階に上げて梯子を外すような真似をしていたのではどうなのかと、少しばかり同情してしまうような話がこちらの記事です。

【紅白歌合戦】えっ!? 人気K-POP勢、出場ゼロ(2010年11月25日産経新聞)

 大みそか恒例の「第61回NHK紅白歌合戦」(後7・30)の出場歌手が24日、東京・渋谷の同局で発表された。今年の日本の音楽界を席巻したK-POP勢は出場ゼロとなった。紅白を制作統括する井上啓輔チーフプロデューサーは、「データや電話調査などを総合的に判断して、今一歩出場には届かなかった」と説明した。(サンケイスポーツ)

 特に9人組の少女時代や5人組のKARAなどK-POPガールズグループが大ブレーク。美脚が武器の少女時代は「GENIE」「Gee」、ヒップダンスのKARAは「ミスター」でオジサン世代を含め幅広い年齢層に浸透していた。

同局では、8月下旬に少女時代が来日公演を行った際、ニュース番組「NHKニュースウオッチ9」のトップニュースで報じ、先月25日放送の音楽番組「MUSIC JAPAN」に出演させ、KARAも今月14日の同番組に登場。紅白に招く上での“手続き”を踏んできた。音楽関係者によると、昨年の日本レコード大賞・最優秀新人賞を受賞した男性5人組、BIGBANGも含め水面下で出場が検討されていたという。

 井上CPは「確かに活躍は非常にめざましく社会現象になっていた」と認めたが、「出場枠数も限られた中で判断した」とし、企画での出場も否定。「このムーブメントを盛り上げてもらって、来年以降ぜひお招きしたい」と活躍を期待した。お茶の間でがっかりするファンも多そうだ。

海の向こうのお隣韓国では「さんざん盛り上げておいてなんじゃそりゃあ?!」と言う騒ぎになっているようですけれども、いわばこういう幻想を売る業界において、自ら作り上げてきた幻想の後始末すらきれいに出来ないようではどうなのかでしょう。
最後に控えますのは大いに議論を呼びそうなこちらの記事なんですが、まずはそのままを引用してみましょうか。

記者の目:世論調査「固定電話対象」は正確か=福田昌史(2010年11月26日毎日新聞)

マスコミの世論調査に対し種々の批判があるが、その中に「電話調査は固定電話が対象で、携帯電話しか使わない若者の意見が反映されないから不正確だ」「若者はインターネットを利用しているからネット調査のほうが正確だ」といった声が少なくない。しかし、調査を詳細に分析すると、こうした批判は、客観的なデータに基づかない感覚的な議論であることが分かる。調査の正確さを常に検証するのは当然だが、冷静に数字を分析し、活用してほしい。

 まず携帯電話しか持たない「携帯限定層」の問題を考えよう。確かに電話世論調査は家庭の固定電話が対象で、携帯電話にはかけない。とはいえ、ふだん携帯電話しか使わない人も、自宅に固定電話があれば対象になる。

 毎日新聞の世論調査は、対象の固定電話番号をランダムに作成して電話する。最初に出た人にだけ回答を求めることはしない。まず有権者数を聞き、複数いる場合はその中から無作為に1人を選んで調査を依頼する。対象者が不在なら、帰宅を待ってかけ直す。携帯電話しか使わない若者でも、家族と同居していれば対象者に含まれることになる。

 ◇携帯のみ保有、全体の5%

 それでは、固定電話がない携帯限定層は、実際どれだけいるのか。これを知るため、昨年9月と今年9月の面接世論調査で、携帯電話と固定電話の保有状況を聞いた。2回とも結果はほぼ同じで、今年の調査結果は▽携帯と固定両方保有76%▽携帯のみ保有5%▽固定のみ保有17%--だった。年代別の携帯限定層の割合は▽20代17%▽30代14%▽40代2%▽50代3%▽60代2%▽70代以上1%。携帯しか持たない20~30代は他の年代よりかなり多いが、それでも6、7人に1人だ。

 意識の違いはどうか。固定保有層(固定)と携帯限定層(携帯)に分けて調査結果を比較すると、多くの回答に極端な違いは見られなかった。

 例えば憲法改正論議への関心の有無は、固定では「ある67%・ない33%」、携帯では「ある65%・ない35%」とほぼ同じだった。自衛隊をいつでも海外に派遣できる法律制定への賛否は、固定「賛成35%・反対57%」、携帯「賛成48%・反対48%」と、やや違いがある。この数字をどう読み解くか。

 自衛隊派遣法について、20~30代で比べると、固定は「賛成41%・反対53%」、携帯は「賛成45%・反対51%」と、差がなくなる。固定保有層に占める20~30代の割合は約3割。一方、携帯限定層に占める20~30代は約7割。20~30代の意識は固定層・携帯層でほとんど違いがない。つまり、全体の「固定と携帯の意識の差」は、固定保有層と携帯限定層の年代構成の違いが大きく影響したと考えられる。

 面接調査の全83項目を、携帯限定層を含めた場合と含めない場合で比べると、19項目で数字が1ポイント異なっただけで、残り64項目は同じだった。

 ◇ネット調査は有権者の縮図?

 携帯限定層が増えているのは事実だ。その人たちを調査対象に取り込んでいく仕組みは検討する必要があるが、現状の調査の正確さに問題はないことを理解してほしい。

 次にネット調査だが、電話世論調査とネット調査の違いで最近クローズアップされたのは、9月の民主党代表選だろう。新聞社の世論調査で菅直人首相より支持が低かった小沢一郎元代表が、インターネット調査では上だったことで、小沢氏を応援する政治家らが「ネットは小沢圧勝と出ている。大手新聞社の世論調査では、国民がいろいろ知らされないまま答えていると思う」(達増拓也岩手県知事)などと、盛んに小沢氏の“ネットでの人気”を主張した。

 だが、これらの数字を見る際に注意しなくてはならないのは、どのような人を対象に回答を求めているかだ。

 ネット調査は、「調査会社の登録モニターが対象」と「調査のホームページを見た人なら誰でも回答できる」の2種類に大別できる。

 登録モニターは通常、調査会社の募集に自ら「答えてもいい」と応募した人。この全員が対象でも、その中から無作為に選んだ人が対象でも、「有権者の縮図」にはならない。まして、誰でも回答できる調査は、無作為抽出の世論調査とは根本的に性格が異なるし、同じ人が何回も答えられる場合も多い。ネット調査は、回答者に限った意見の分布を示すだけで、有権者全体の意見の分布を示す「世論」と同一視できない

 都合のいい数字だけを取り上げ、利用するのは間違っている。この命題は、我々報道する側にもあてはまる。信頼できないデータに基づく主張は避けるべきだ。(世論調査室)

世論調査と言いますと以前にも当「ぐり研」で取り上げさせていただいたことがありましたが、世間的にはこれだけ大問題ありと思えるような話であっても、とりあえずマスコミ視点で見ますと「現状の調査の正確さに問題はない」ということになっているらしいですね。
これに反論するには別にネット上に飛び交う「調査員の内部告発」なんて噂を取り上げるまでもなく、同時期同内容で行われた調査がメディア毎に大きく数字が異なるという一事だけを以てしても十分だと思いますけれども、要するにそれがメディア主導の世論調査というものにつきまとう、調査主体それぞれの持つ独自のカラーということではないでしょうか?
さて、それではその独自のカラーがどのような色をしているのかとこうして日々の話題を取り上げてみた場合に、灰色なのか真っ黒なのかは知りませんけれども、少なくともあまり明るく済んだ色をしているようには思えませんよね。

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2010年11月26日 (金)

どうやら朝日がまたやった?!

先日何気なく見ていて、あれ?何か変だな?と引っかかったのが、朝日新聞の世論調査の内部資料を見ながら書いたというこちらの記事です。
長くなるのでリンクのみご紹介しますけれども、元々の朝日の世論調査結果の報道なるものと照らし合わせてみると、朝日新聞が何を隠したかったのかがあからさま過ぎて笑えるというものですよね。

【参考】問責決議「柳田法相の次は仙谷官房長官」なら菅政権は絶体絶命(2010年11月20日現代ビジネス)

【参考】内閣支持27%に急落 外交評価低く 朝日新聞世論調査(2010年11月16日朝日新聞)

ま、朝日の政治的ポジションがどうこうと言う今さらの話はとりあえず置いておくとしても、そうした会社としての立場を報道姿勢に優先させるということを続けていくとどういうことになるか、まさしく現在の朝日の置かれた状況が如実に示しているとも考えられますよね。
先日はとうとうこんな海外からの抗議も飛び出してきたということですけれども、さすがにマスコミ諸社が次々と追い出された文革当時においても一社だけ北京に残ることを許されたという伝説がある朝日だけに、このあたりの配慮は欠かせない社是として心魂に刻み込まれているということなのでしょうかね?

「報道倫理を守れ」 朝日新聞の報道姿勢に一石投じる(2010年11月18日大紀元)

 【大紀元日本11月18日】「報道倫理を守り、中共の垂れ流し報道の前に確認を-」

 16日朝、東京都築地に本社を置く朝日新聞社前に青い横断幕が掲げられ、往来する人々はこう書かれたチラシを受け取ると足を留めた。

 「日本法輪大法学会」が配るチラシには、次のように記されていた。「中国公安当局の情報を公平な立場から確認することもなく掲載し、迫害を与える側に立たれてしまった行為を懸念し、中国本土での実情を朝日新聞社の社員の方々に知っていただこうと、 15~19日の期間、朝日新聞社の前でビラを配ることに致しました」

 事の発端は、10月25日午後。この日の朝日新聞夕刊一面(都内版)に掲載された記事の一つの段落にある。 同社中国特派員が、重慶市で起きた反日デモを現地から報道した記事だ。

 「中国政府がデモに厳しい姿勢を取り始めた背景には、対日関係に改善の機運が出ていることに加え、深刻化する就職難や物価高騰などに不満を持つ市民が反日デモに乗じて抗議活動をし、反政府運動に発展することへの警戒があったという。一部のデモには、中国政府が『邪教』と断じた気功集団の『法輪功』が関与しているとの情報が公安当局に入り、危機感が強まった

 NPO法人日本法輪大法学会の鶴薗雅章代表は「この日の夕方、知人から『朝日がありえないことを書いている』と電話が入った。近くのコンビニに走り、朝日新聞を手にとって見ると、反日デモに関与するなどといった内容が書かれていたので驚いた」と当時を振り返る。

 反日デモへの関与、邪教、公安当局の強まる危機感。ネガティブな言葉が並ぶ記述に、「中国で当局に弾圧を受けている法輪功学習者は、仲間と会うことさえも難しく、会えば『秘密集会』と断じられ、その場で逮捕されてしまう。デモの参加などありえない話だ」と鶴薗氏は続けた。

 法輪大法学会は記事発表の翌日、 記事訂正を求める文書と迫害事実を伝える資料を持参して、朝日新聞を訪ねた。およそ2週間後、同社広報部より届いた返事には「中国公安当局に入った情報を伝えた」とあるのみで、同会の記事訂正要求には応じなかった

 情報源の開示と報道の公正

 しかし、この返答に鶴薗代表は納得しない。「中国政府が法輪功迫害のためにデマを流す可能性は排除できないはず。日中間の対立感情が高まっている中で、日本人に与える法輪功のイメージを悪くさせたことは大きな問題です」としている。

 中国公安当局に入った情報が、どのように朝日新聞に流れたのか。記事を執筆した同社中国総局の峯村健司記者に、11月9日夕方、電話を入れた。

 「法輪功が迫害されていることは知っているか?」の問いに、峯村氏は「知っている」と回答。当局に入ったという法輪功デモ関与の情報源について尋ねると、「取材のルートについては一切答えられない」と述べた。情報提供者の保護などを目的に、記者は情報入手ルートを明かさない。峯村氏の回答は一見、筋が通った弁明に見受けられる。

 しかし、峯村氏は取材可能である日本の法輪功への取材を一切行っていない。これについてジャーナリストで在米中国問題評論家の石蔵山氏は「朝日新聞の今回の報道は、明らかに新聞の公正原則に反している」と指摘する。「新聞報道の基本は真実を伝えること。現実社会は非常に複雑であるため、記者はなるべく公正でバランスがとれた報道を要求される。この報道では、中国公安当局に入った情報として法輪功は反日デモに参加したとしているが、朝日新聞にとって、法輪功側からの事実確認や態度表明は簡単に入手できるのに、この程度の努力さえしていないことは、明らかに、公正の原則に反している」と同社の報道姿勢を批判した。

 情報源についての疑問

 9月末から10月末までの反日デモについて報道した他の日本各社の記事には、朝日新聞の記事のような法輪功関連の情報は見られない。日中間の溝が深まる中、中国公安当局が朝日記者だけに内部情報を開示したことは、何を意味するのだろうか。石蔵山氏は次のように分析する。

 「中共当局は、国内の報道では一度も法輪功が反日デモに参加したとの情報を報道したことはなかった。おそらく反日デモに、『反腐敗、反一党独裁』など当局が望まない状況が現れたため、治安責任の公安局にとって一番作りやすい口実である『陰謀論』を広めることを考えたのかもしれない。法輪功に対して中国当局はすでに10年以上弾圧しているため、陰謀論を被せる最も良い対象だ。しかもその真実性を、(第三者は)確認もできなければ、否定もできない。かつての政治迫害運動で、中共内部が一貫して用いた手法である。ただし、朝日新聞がそれを『内部筋情報』として報道したということは、朝日に情報の真実性確認についての意識が欠損していないのであれば、一種の下心があるように思える」

 情報源の入手レートについて、いろいろな推測が浮かんでくる。同氏の分析に沿って、朝日の今回の報道にいたる経緯を時系列にまとめると次のようになる。

 問題とされる朝日新聞の記事が発表される約一週間前、尖閣諸島問題の日中間密約に関して、同社の週刊誌「AERA(アエラ)」がスクープした。これにより、中国当局が国民に見せた領土問題に対する強い姿勢は崩れ、中国当局は売国奴だという国民の反政府感情に火が付いた。中国外務省の馬朝旭・報道官は記者会見を開き、AERAのスクープ記事について「密約は存在しない」「まったくのデマで、中傷と悪だくみだ」と朝日新聞を厳しく批判した。

 そうした中国政府の批判を受けながらも、10月25日未明、朝日新聞は重慶市から「共産党・政府への直接批判も 中国各地で反日デモ」という記事を発信した。中国西部の甘粛省蘭州と陝西省宝鶏で24日に行なわれた反日デモの中で、「多党制を導入せよ」「住宅が高すぎる」といった横断幕も掲げられ、中国共産党・政府を直接批判する訴えが現れ始めたという内容であった。

 「人民日報・日本総支局の朝日新聞社が、こうした内容に関連して、大陸反日デモの実態を伝えている。こんな報道をすると、同社は北京から厳しいお叱りを受けることだろう」と、ある日本国内のブログ記事はコメントする。

 朝日新聞の同日未明の記事に続き、午後3時、同じ記者が重慶市から発信した反日デモ記事が同紙ネット版「アサヒ・コム」に掲載された。2回目の記事には今回問題となった「法輪功が関与」の記述が追加された。

 つまり、朝日新聞の峯村記者は、同日未明に反日デモ記事を出した後まもなく、石蔵山氏の指摘した「陰謀論」、つまり中共にとって有利な「法輪功デモ関与」情報を中国公安局関係筋から入手し、日本法輪大法学会に事実を確認することなく、同日の午後に流したことがうかがえる。

 重慶市の公安局は、法輪功迫害に加担したことで海外で起訴されている薄煕来市長の管轄下にある。密約、反日デモ、共産党政権批判、そして今回のような朝日新聞の一連の報道は、中国当局の不満を招くと推測される。一方、重慶市公安当局に入った秘密の情報は、一定のルートを通して朝日に流れている。その裏に何があるのか。

 問われる朝日の報道姿勢

 法輪功問題に注目している弁護士の一人は、今回の朝日報道について「ひどいと思う。朝日新聞の上層部の法輪功に対する立場が分かった」とコメントする。

 朝日新聞東京本社の社屋内に「新華社」の日本支局が置かれ、記者がかつて中国共産党機関紙「人民日報」海外版の日本代理人となっていたことから、しばしば朝日新聞は親中共メディアだと言われてきた。70年代、中国内外の報道機関に対する言論や報道の自由がない当時の中国において、日本メディアで唯一、朝日新聞だけが特派員を置いていた

 1970年10月発表の研究座談会「あすの新聞」(日本新聞協会主催)の記録によると、当時の広岡知男・朝日新聞社長は現地特派員へ「こういうことを書けば、国外追放になるということは、おのずから事柄でわかっている。そういう記事はあえて書く必要は無い」といった報道の方針を与えていたという。

 広岡氏のこの発言を、専門家は「中国共産党に都合の悪い真実を封殺することを、会社の経営陣自らが従業員に指示していたという趣旨に受け取ることもできる。当時の朝日新聞の報道は中国共産党政府寄りであった」と推測している。

 一方、2008年北京オリンピック開催あたりから、中国政府にとってはネガティブな報道がしばしば、朝日新聞でも見かけられるようになった。近年、チベット問題とウイグル問題を中心に、中国共産党政府を批判する記事が増えているように見える。

 朝日新聞の中国報道における変化について、同社記者が北京五輪前に発信した記事からその背景をうかがうことができる。「中国が取材対応マニュアル 外国に積極提供、国内は規制」と題する記事によると、中国共産党宣伝部は、国内メディアを厳しく規制する一方、西側メディアに対して「中国の情報自由化への流れ」を印象づけ、うまく中国の考えをアピールする。これで外国メディアの中国報道に対する規制の尺度が緩められたという印象を与える。

 朝日新聞の報道には、チベットやウイグル問題など、中国政府を批判する記事が増えてはいるが、しかし一つだけ堅持しているように思われる表現がある。それは、法輪功に関する話題に言及する際、常に「中国政府が『邪教』とみなす」と前置きを付けることだ。また、今回の反日デモのような規模の大きい出来事では、法輪功側の事実確認の取材もしないまま、中国当局に入ったとされる情報をそのまま日本国内に流している

 北京五輪でも中共視点のメッセージ

 「北京オリンピック開催前にも、朝日新聞は中国当局関係者からの情報のみを元にした記事を発表している」と鶴薗氏は話す。

 2008年6月26日、瀋陽からの同社特派員による記事には、法輪功が国外活動で使用する黄色いTシャツ1万枚が「日本から中国に運ばれた」との記述があるが、鶴薗氏によると、この件についても日本法輪大法学会側への情報確認の取材はなかったという。つまり朝日新聞の特派員が「(中国の)東北地方の政府当局者が漏らした」話のみを記事に採用した可能性が高い。

 「以前、大手テレビ局の記者が北京支局に勤めていたとき、法輪功迫害を取材して北京から東京へ送ったが、報道されなかったそうだ。これには流したくない事情があるのだろう。法輪功に関する正しい報道は、日本社会ではまだまだ少ない。特に、朝日新聞は報道するたびに、中国当局が貼ったレッテルをそのまま使っており、中国共産党政府が法輪功弾圧のために捏造したデマをそのまま日本国内に流している。真・善・忍を信じるだけで中国で迫害されている人々のことを想うと、心が痛む」と鶴薗氏は述べた。

 法輪功に関する報道をネット上で調べたところ、確かに朝日新聞の報道では、「中国政府が『邪教』とみなす」という表現が定着しているようだ。他社の報道では、「中国で非合法とされ、弾圧されている気功団体」が一般的である。

 今回の記事での「邪教」という表現について、同記事を執筆した峯村記者は電話の中で、「私個人の判断ではない。今まで弊社はそのような表現を使ってきた。その形を私も踏襲した」と答えている。個人の判断ではなく、社の方針であることがうかがえる。
(略)

朝日の「配慮」については別にこうして個別の証拠を立てて取り上げてみるまでもなく、その平素からの報道内容を見るだけでもあからさま過ぎるほどですから、「どうせやるならもう少しうまくやれよ」と思わず言いたくなりますけれども、もの凄く好意的に解釈すれば社是としてそうした報道姿勢を強いられている現場なりのささやかな抵抗の現れであるのかも知れませんね(まさかに、でしょうが)。
先日の尖閣事件なども絡んだ日中両国の国民世論の盛り上がりの結果、双方で様々なデモ行動が繰り広げられたのはネット住民にはおなじみの話ですけれども、これまた先日ご紹介しましたように何故か日本国内でのいわゆる反中デモに関しては全くマスコミ各社にスルーされたという事実があり、彼らの目と鼻でやっている数千人規模の大行進を海外各社だけが熱心に報道するという奇妙なことが起こったわけですね。
この一件に関してあちらこちらから「いやそれはおかしいだろjk」という声が上がるのも当然ですけれども、中には丁寧に各社に問い合わせをしてくださったという有志の方もいしゃっしゃったようで、この問い合わせに対する各社の答えがまた面白すぎるものとなっています。

マスコミ批判に対する一考(13) デモを報道しないに日本のマスコミ(2010年10月11日ブログ記事)より抜粋

 この対応に対して、私は独自に大手メディア各社に質問書を送付した。その回答は下記のようなものである。

 読売新聞:ニュースとしての価値を感じない
 産経新聞:人手が足りなかった
 朝日新聞:知らなかった
 毎日新聞:取材の体制に対して答える必要はない(回答拒否)
 テレビ朝日:テレビカメラが回らなかった
 NHK:右翼の凱旋と同じと考えた
 TBS:まあ、わかってくださいよ
 そのほか・・・回答なし

 だいたいの場合、電話で回答を受けた。そこで、回答が「口語体」になっている。多分、最も正直に答えたのがTBSであろう。要するに、何らかの圧力がかかったのか、あるいは、このデモ行進に「チャンネル桜」という別な媒体がくっついているために、報道をしなかったということであろうと、推測する。
 またNHKの回答も特徴的だ。首長やデモ行進の規模ではなく「右翼の凱旋と同じ」というレッテル貼りをし、自分の主義主張ではないから報道をしなかったという。少なくともこの時点で「政治的な中立」は存在しない、イデオロギー的な中立報道は自分の手で否定しているといわざるを得ない。
 チャンネル桜に出演の時に「事前に案内は出さなかったのか」ということを聞いた。スタッフは「事前に各マスコミにリリースを出しています」という。しかし、「リリースだけで反応は何もなかった」というのである。

ま、あまりに正直すぎるTBSの回答もどうなのかですが(苦笑)、マスコミ各社に事前に情報を流している中で平然と「知らなかった」「テレビカメラが回らなかった」という朝日の答えも素晴らしいと思っておりましたら、やはりと言いますかこれもどうやら単なる言い訳に過ぎなかったらしいという傍証が幾つか上がってきています。
先日以来現在進行形で大騒ぎになっている尖閣ビデオ流出事件に関して、当の朝日新聞の神田大介記者が「内部告発は是非マスコミへ!」と呼びかけた一件は先日ご紹介した通りですけれども、実はこの内部告発がまさにマスコミに対して行われていた、そして華麗にスルーされていたという事実が明らかになってきたのですね。

尖閣衝突映像CNNに郵送、海上保安官供述(2010年11月25日読売新聞)

 尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡る映像流出事件で、神戸海上保安部所属の巡視艇「うらなみ」主任航海士だった海上保安官(43)が警視庁と東京地検の調べに対し、映像を動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿するより前に、映像を記録した外部記憶媒体のSDカードを米ニュース専門局「CNN」の東京支局(東京都港区)に郵送した、と供述していることが捜査関係者の話で分かった。

 海上保安官は「CNNが映像を放送しなかったため、投稿を決意した」とも供述。捜査当局は、海上保安官が、強い意志を持って映像を公開しようとしていたことを示す事実とみて、裏付けを進めている。

 捜査関係者によると、海上保安官は調べに対し、11月4日にユーチューブに映像を投稿する直前の10月下旬~11月初めに、SDカードを封筒に入れて同支局に郵送したと説明。

 封筒の差出人欄に氏名は書かず、SDカード内のデータが衝突映像と分かる説明文も同封しなかったという。

 CNN東京支局の広報担当者は取材に対し、「この件に関しては一切、ノーコメント」としている。

衝突映像、CNNに郵送=「放送されずネット投稿」-海上保安官が供述(2010年11月25日時事ドットコム)

 沖縄・尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突のビデオ映像流出事件で、神戸海上保安部の海上保安官(43)が警視庁捜査1課と東京地検の事情聴取に対し、映像を記録した外部記憶媒体のSDカードを、米CNNテレビの東京支局(東京都港区)へ郵送したと話していることが25日、捜査関係者への取材で分かった。CNN側は内容を確認しないままカードを廃棄したという
 保安官は「CNNが映像を放映しなかったため、インターネットの動画サイトに投稿した」と説明しており、捜査当局が裏付けを進めている。

 捜査関係者によると、保安官は事情聴取に対し、インターネットの動画サイト「ユーチューブ」に映像を投稿する直前の10月下旬から11月上旬ごろ、SDカードを封筒に入れて、同支局に郵送したと話している。
 封筒に差出人名は記載せず、SDカードの内容について説明する文書も同封しなかったという。
 受け取った同支局側は、SDカードがウイルスに感染している可能性があるなどと判断し、パソコンで内容を確認しないまま廃棄した。このためカードは残されていないという

今どき「ウィルスが怖くて」云々というこのCNNの言い訳もどうかと思うところですが、無記名で何も書いていないSDカードを中身も見ないままゴミ箱に捨てたというのに、それが今回問題のカードであったということだけは判るんですね(苦笑)。
ところではて?CNNと言えばアメリカの会社であるはずで、それが何故朝日と関係しているのか?と疑問に思われる方も多いと思いますが、実はこのCNN東京支局なるものがCNNの皮を被った朝日だとしたらどうでしょうか?
そもそもCNNと言えば天安門事件の報道で有名になったくらいで「中国共産党の報道統制にも屈しない」というイメージもありますが、実は1984年からテレビ朝日と提携している会社で、アメリカのCNNセンターにはテレビ朝日の支局がある一方、CNNの日本語サイトは朝日新聞社の完全子会社である朝日インタラクティブ運営しているという現実があります。
テレビ朝日自体が筆頭株主である朝日新聞の影響下にあって、社長や役員などが朝日新聞出身者で占められているとか、「朝日新聞の天下り先」なんて批判まであるという話を聞けば、ネットで「CNN 朝日」と検索してその濃い関係を見るまでもなく、こうしたCNN東京支局での判断の背景に何かしら背後にある意志の存在を感じない方がどうかしていますよね。

ちなみに前述の神田記者はこの報道に対して、さっそく「これは斜め上の展開」とtwitter上でつぶやいていますけれども、こういうことになりますと朝日に送っていたところでどういう扱いを受けていたか、そもそも実は朝日を始め国内メディアにも送っていたのかいなかったのか、色々と想像は出来るところではないでしょうか?
これまた全くの風の噂というものですけれども、CNNと言えばスクープ報道で売っているメディアであるだけに本社の方ではこの一件で大騒ぎになっていて、一体日本支局で何がどうなっているのかと激怒しているという話もありますが、その結果どんな背後関係が明らかになり誰の首がどうなるのかといったこともいずれ明らかになってくるのでしょうね。
しかしまあ、いつもながら見ていて飽きない人たちではあると言うか、彼ら自身の存在こそが一番のネタのようにも思えてきますよね(苦笑)。

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2010年11月25日 (木)

「行列の出来る○○」と言えば世間では褒め言葉らしいのですが

最近この種の話題が増えてきている事が目に付くのですが、皆さんお気づきでしょうか。

急患たらい回し防止へ30病院指定 県が「20分基準」(2010年11月20日茨城新聞)

救急患者の受け入れ拒否による「たらい回し」を解消させるため、県は新たな搬送ルールとなる「県傷病者の搬送および受け入れに関する実施基準」を策定し、 19日公表した。これまで搬送先は各救急隊が受け入れ先が決まるまで医療機関に連絡を取り続けてきたが、選定開始から20分程度以上の時間を要しても決まらない場合は、あらかじめ定めた30病院が原則受け入れることにした。基準は来年1月から3月まで試行した後、4月から本格運用する。

たらい回しは2007年、奈良県の妊婦が死産したことで社会問題化。昨年10月の改正消防法施行で、都道府県に基準策定が義務付けられ、県は医療機関や消防本部などで構成する「県救急業務高度化推進協議会」(会長・斎藤浩県医師会長)で検討してきた。

県消防防災課によると、昨年の重症搬送者数は9465人。ほとんどが15分以内に受け入れ先が決まっているが、照会が4回以上要したケースは390人(4・1%)おり、うち6回以上も88人いた。最大照会回数は14回で、決定までに1時間以上を要したという。

原則受け入れる30病院は、昨年中に重症の救急搬送患者100人程度以上を受け入れ、困難事案の受け入れ実績も考慮し選定。県内ほぼくまなく設置された。

このほか、実施基準では緊急性・重症度・専門性・特殊性の高い症状を16に分類し、対応できる医療機関のリストを作成。心肺停止は70、循環器疾患は59、脳血管障害は64、外傷は53、精神疾患は27病院となった。

救急隊は経験によって搬送先を決めていたことが多かったが、これからはリストの中から現場直近の医療機関を決定。処置困難やベッド満床などの理由により、受け入れ決定に20分程度以上要した場合は30病院に搬送することになる。同課は「受け入れる病院がより明確になった」と説明した。

救急患者の搬送先病院リスト化 県が基準、たらい回し防止へ /福井(2010年11月16日福井新聞)

 救急患者の受け入れ拒否による“たらい回し”を防ごうと、福井県は15日、搬送と受け入れの「実施基準」を策定した。症状に応じて搬送先の候補となる医療機関をリスト化し、選定が難航した場合の最終的な受け入れ機関も決めた。これまで搬送先は、各救急隊員や消防本部の経験によって決められることが多く、マニュアル化で一層の効率的な運用を図る。12月1日から実施する。

 基準は、緊急性や診療の専門性の点から▽脳卒中の疑い▽心筋梗塞(こうそく)の疑い▽妊産婦▽小児▽精神疾患―の5症例を対象とした。脳卒中の場合、対応可能な医療機関として県立病院や福井大病院など6市1町の12病院をリストアップ。このうち初期対応が可能な病院としてさらに10病院を挙げ、発症から3時間以内なら搬送するとした。

妊産婦はかかりつけ医を基本とし、不在の場合などに備えて総合周産期母子医療センター(県立病院)など7病院を規定した。小児は地域内の救急医療機関などから、精神疾患は県の救急情報センターの情報提供で搬送先を決めるとした。

 選考が難航した場合の最終的な受け入れ医療機関は、脳卒中と心筋梗塞、小児が県立病院と公立小浜病院。妊産婦は県立病院と福井大病院とした。

 重症かどうかを判断するため、意識や呼吸状態などの確認項目をまとめた「観察カード」も作成し、救急隊員が医療機関に状況を伝えることとした。ただ、各消防本部で独自に項目を設けているケースが多いため当面は参考資料とする。

 救急搬送のたらい回しは2007年8月、奈良県の妊婦が死産したことで社会問題化した。昨年10月の改正消防法施行で、都道府県に基準取りまとめが義務づけられた。県は県内病院や消防本部でつくる「県メディカルコントロール協議会」で策定を進めてきた。

 この日は病院や消防など約40機関に説明会を開催。同協議会長の寺澤秀一・福井大病院副院長は「基準によって救急隊員の経験によらず『搬送の標準化』が図れる。患者の不利益を未然に防げる」と利点を話した。

 県によると、県内の重症患者の救急搬送は昨年2901件あり、うち2876件(99・1%)が2回以内の照会で搬送先が決まった。医師が手術中などの理由で、4回以上の照会が必要だったケースは4件(0・1%)あった。

今を去ること一年あまり前に成立した消防法改正案によって、都道府県には患者の容体に応じた搬送先のリスト等搬送ルールの策定と公表が義務づけられたわけですが、様々な議論もあって遅れに遅れていたこの作業がようやく昨今具体化し始めたと言うことです。
ただ見ていただければ判る通りですがこのルール策定、あくまで消防庁が主導し救急隊側がいかに早く病院に搬入するかというところを突き詰めた話であって、病院側の勤務状況や診療体制といった昨今医療崩壊などと言われる諸問題とは全く無縁のところで進んでいる話であるということには注意が必要ですし、この背景には救急隊側は一刻も早く患者を医療に渡したがる事情があるんだという、笑えない話すらあるようです。
もちろん脳卒中など迷い無く搬送先を決めるべき症例がガイドライン上も増えてきた時代にあって、こうしたマニュアル化で無駄な手間が省けることで助かる側面も多々あることは確かなんですが、では救急医療崩壊と言われる問題の中心が搬送先探しの問題であるかと言われれば、それは断固として否である!と言いたい先生方も多いんじゃないかと思いますね。
これもマスコミあたりが「たらい回しだ!」なんて大きな声を叫ぶたびに出てきた、「いや近所の○○病院では受け入れ可能であったのにスルーされてしまったのだ!」式の反論のもたらした当然の帰結とも言えますけれども、根本原因である現場のキャパシティーに対する需要過多という問題を放置したツケが今後どこに回ってくるのかです。

救急搬送問題と言えば何かと「搬入先決定までに○○時間」なんて話ばかりが取り上げられる傾向がありますけれども、搬送先が決まらず延々救急車内で待っているなんて状況はごく例外的であることは当の救急隊も言っていることなのに、キャッチーな話題を好むマスコミがしきりに騒ぐものですから、まるで根幹に関わる重大問題のように言われるようになったのも問題の本質からするとどうなのかですよね。
実際には医療機関に運ばれてからが本当の勝負であることは明らかですし、むしろそちらの方が崩壊していることの方がはるかに大きな問題であるのに根本的解決策が出てきたという話をあまり聞きませんし、むしろそちらで性急に解決を図ると医者は安く奴隷扱いしたい人々や住民サービス向上を何かの際の売り文句にしたい方々など、各方面に困る方々が大勢いらっしゃるんじゃないかという想像すら働くところです。
結局のところ限られた医療の供給に対して需要過多であるという状況が続く限りは何をどう工夫しようがどうにもならない問題であるし、その結果先日の奈良産科医訴訟にも見られるように現場スタッフの酷使にも関わらず報いるところがないとなれば、最終的には志気崩壊から医療の破綻を招くことは全国各地で立証されていることですが、その解決には需要側の問題への切り込みは欠かせないはずなのに誰も手を出そうとしません。
マスコミは相変わらず「新臨床研修制度が」云々とどうでもいい枝葉の話に原因を押しつけようとしていますけれども、医療受給のミスマッチ解消をただ医療供給側の一方的な努力だけに頼るという状況が、いったいいつまで続くのかという想像力も必要ではないかと思いますね。

再生へのシグナル:壊れる生活2 救急医療、都市でも崩壊 医師不足、36時間労働が横行(2010年10月26日毎日新聞)

 延々と連なる赤いブレーキランプに焦りが募った。激しく渋滞する熊本市の国道3号。ベビーシートにいた生後6カ月の長男大和(やまと)君はもはや母乳を吸う力もない。熊本県山鹿市の主婦、豆塚愛子さん(36)は運転席の夫に叫んだ。「お父さん、急いで!」

 4月の朝、大和君は38度の熱を出し、意識を失った。駆け込んだ近所の診療所で「入院可能な専門医療機関に」と言われたが、山鹿市にはない。約30キロ離れた熊本市の大病院には「ベッドの空きがない」と断られた末、マイカーで約1時間20分かけて同市の熊本地域医療センターにたどり着いた。診断は髄膜炎。緊急手術で一命は取り留めたが、執刀した後藤善隆副院長(60)は言った。「あと少し遅かったら危なかった」

 山鹿市で小児救急を担っていた市立病院から小児科医がいなくなったのは07年。以降、非常勤の医師が週3日診察するが、夜間診療や入院を伴う2次救急は閉鎖された。

きっかけは04年度に導入された新医師臨床研修制度だ。研修先を自由に選べるようになった研修医が大都市に流れ、医師不足を懸念した熊本大が、市立病院に勤める出身医師を引き揚げたのだ。

 市立病院の常勤医は23人から一時半減し、勤務状況は激変した。小児科長だった松本真一医師(51)は、地域の子供のヘルスケアに力を注いできたが、専門外の成人救急もカバーし、夜間総合当直も頻繁に回ってきた。「辞めたくなかったが、疲れた」。07年10月、市立病院を辞め、同県合志市で開業した。

 医療現場が医師不足と過重労働にあえいでいる。厚生労働省の調査では、医療機関(19床以下の一般診療所を除く)で働く医師は2万4000人足りず、現在の1・14倍必要だ。人口当たりの医師数は経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の3分の2で最低レベルだ。

 背景には国の財政赤字解消の優先がある。「医療供給の合理化」をうたった第2次臨時行政調査会答申(82年)を受け、政府は膨れあがる医療費を抑えるため医師数抑制へと医療政策を転換した。07年度まで医学部定員を減らし、新研修制度により地方から医療が崩れ始めた。

 都市部も例外でない。北部九州のある救急病院。時間帯に関係なく患者が運び込まれ、医師と看護師の格闘が続く。当直は月4~5回。そのまま日勤も続け、36時間勤務はざらだ。自律神経が崩れ、睡眠剤なしでは眠れない。激務に見合う給与や、より高度な専門医療の現場を求め、この1年で半数以上の医師が去った。残された医師の仕事量はさらに増え、当直は倍近くに。30代男性医師は久しぶりに帰宅したベッドから朝、起き上がれず、10日間まともに寝ていないことに気付いたという。「今の現場じゃ、脳死患者の臓器移植に対応できるだろうか」と弱気になった。

地方から医師が消え、そのしわ寄せが都市部にも重くのしかかる。馬場園明・九大教授(医療経営学)は「必要とされる医療に国が人もカネも投じなかったツケが回っている」と指摘した。政府は見直しに着手したばかりで、妙案はまだ見えない。【阿部周一】=つづく

「あと少し遅かったら」なんて今どきどうなのよですが、新臨床研修制度で地方から都市部へ医者が集まったことが医療破綻の原因だなんて言っているその口で、都市部では押し寄せる患者に医者が壊れかかっているなんて言っているわけですから、まともな論理的思考力があれば「あれ?それって何か変じゃない?」と気付かない方がおかしいという話ですよね(苦笑)。
マスコミの問題はそれとしても、先日は埼玉県が主要な施策に関する実際の支出額を算定して「行政の値札」であるとして公表していましたけれども、「救急患者搬送一件につき7600円」なんて数字を公開するくらいならこの仕分け全盛の時代、そのコストに見合うだけの必要性、緊急性があるかないかというところまで踏み込んでもいいはずです。
救急搬送実費負担なんて話が出ますと、必ず決まったように「いや、本当に重症の人が救急車を呼ぶのに躊躇するようになってはいけない」なんて話も出てきますけれども、同様の議論がさんざん言われてきた時間外選定療養費問題にしても、実際にやってみればさしたる不具合もなく現場スタッフの労働環境改善に大きな効果があったと評価されているわけです。
実際に本当の重症であれば救急車の実費どころではない医療費がかかるわけですから、それが払えない方々はいずれにしても病院と相談して生保取得や医療費減免等の対策を取らなければならない方々であるわけでしょうから、このあたりは実際の医療現場で起こっている現象とは無関係に、社会的に判断されてしまっていることであるように思えます。

もちろん医療とは言え民主主義国家である日本で行われている一産業であるわけですから、社会的要請というものを全く無視して現場の判断で勝手にやるというのには無理があるとしても、その結果本当に医療が必要とされる局面での供給に支障が出るということになっているのだとすれば、これは医療の受益者である国民にとっても結局は損な話ですよね。
そしてこの件に関しては医療の側も単なる被害者に留まらないのも一面の事実であって、何が損で何が得かを素人に分かりやすく情報を提供し、その結果最善の判断の手助けをすることも専門家の重要な仕事の一つであるとするならば、今までの医療業界の人間は専門家として大いに職務怠慢を問われても仕方がなかったように思えます。
財政的にもマンパワー的にも医療の上限と言うものが見えてきた時代にあって、いつまでも天井知らずの成長時代と同じ感覚で「何かおかしいと感じたらすぐ病院へ!」なんてやっている方々が未だに医療業界の代弁者のような顔をしているのだとすれば、そうさせている側にも問題はあったと言うことではないでしょうか。

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2010年11月24日 (水)

天下のWHOがこうおっしゃっているそうですが

ちょっと現時点で情報がほとんど入っていないのでアレなんですが、唐突に「なんじゃこりゃ?」と思えるようなこういうニュースが出てきまして、取りあえず紹介だけでもさせていただきます。

世界の医療費、4割が無駄遣いか=財源確保へ「携帯税」提案-WHO報告(2010年11月22日時事ドットコム)

 【ジュネーブ時事】世界保健機関(WHO)は22日、医療改革に関する報告書を公表、制度運営上の問題で世界の医療費の最大4割が無駄遣いされる恐れがあると警告した。医療制度を悪用した汚職だけでも世界の医療費約5兆3000億ドルのおよそ6%、約3000億ドル(約25兆円)と推計している。
 報告書は、不必要な入院や病院の乱立、投薬ミスといった無駄を列挙。問題を放置すれば「控えめに見積もっても医療費全体の約2~4割が無駄遣いされる」と改善するよう提言している。その上で安価な後発医薬品(ジェネリック医薬品)の利用促進など「薬の適切な使用で医療費は最大5%減らせる」としている
 報告書はこのほか、全国民が医療サービスを受けられる皆保険の重要性を強調。課題となる財源確保の「革新的な手法」として、携帯電話利用への課税など新税検討を提唱した。西アフリカのガボンが導入している外国為替取引や携帯電話利用料金への課税案を紹介している。

元々の報告書なるものの内容に当たれているわけでもないので記事の内容だけから考えるしかないのですが、一体これは何を言いたいのかという話ではありますよね。
医療の無駄として挙げられたものとして「不必要な入院」「病院の乱立」「投薬ミス」などがあり、この結果「控えめに見積もっても」医療費の2~4割が無駄遣いされると言うのですから穏やかではありませんが、しかし不必要な入院や病院の乱立といった問題が医療財政上の大きな課題となるような地域が、世界の中でどれほどあるのか疑問に思えるのは自分だけでしょうか?
医療費支出が非常に多い国として知られるのが米国ですが、この国では手術後だろうがさっさと病院を追い出されて毎日消毒に通うなんてことが普通にある国で、入院期間を減らせなんて言われる以前に入院が必要な患者でも金銭的な面から入院出来ないなんて問題の方が多いわけですよね。
一方で平均在院日数が長いと言えば突出しているとよく言われるのが日本ですけれども、こちらは世界一にも名前が挙がったという医療のレベルと比較してひどく医療費支出の少ない国としても知られていますから、これが無駄遣いの根源だと言うのであれば他国はどんな恐ろしい無駄を他の部分でやっているのかと誰しも思うところではないでしょうか?

病院の乱立と言うと呼び込み合戦になっているほど病院が余っている地域が世界でどれだけあるのかという話ですけれども、実際に病院の乱立が医療費の無駄遣いにつながっているとして、どの程度寄与しているのかという疑問がまず一つですよね。
ではこれをひとまとめにして巨大病院を各地に一つずつ作れば効率が良いかと言えば、それはもしかすると実際に医療費の面では効率化されるのかも知れませんけれども、皆さんご存知のように大病院ほど診療は非効率化して何事にも手間取るようになりますから、地域に一つの病院は年中観光シーズンの行楽地のような芋洗い状態にもなりかねないというものでしょう。
確かにそうなれば「こんなに待たされるのであればもう帰ろう」と受診をあきらめる人も続出しそうですし、心筋梗塞患者がまず受付にたどり着くまで半日行列に並ばなければならないとなれば高価なインターベンションを受ける機会も激減しそうですから、確かに結果としていずれも医療費の削減にはつながるのかも知れませんけれども、それをもって無駄と称するのはどうなのかですよね。

個人的に注目したいのがこれらが非常に主観的な評価基準であって、何をもって不必要、乱立あるいはミスとするかという客観的基準の設定が非常に難しいという点ですが、例えばよくある「診断は確定できないが取りあえず経過観察目的で一泊入院させる」だとか、「初診時とりあえず可能性の高そうな疾患に対応して幾つかの治療を同時並行的に行う」といったものは無駄やミスにカウントされるのかということです。
素人考えでは後出しじゃんけん的に「実際の疾患と無関係な治療は無駄ではなかったか」と言う考え方はよく出てくるところであるし、昨今では実際にそういう主張をして窓口負担分を支払い拒否なんて患者もいるようですけれども、逆に初診時にとりあえず可能性の高いところを抑えておいたからこそ重症化せず、医療費が安くあがったという場合も多いわけですよね。
こういったあたりは日常的に臨床医を憤慨させているレセプトの査定などとも共通する話ですけれども、「いやこれは認められません」というその判断基準が取りあえず支払額○パーセントカットなんて数字目標先にありきで行われているのであれば、それはどんなところも無駄には認定できるようにはなるだろうといった事と同様で、まず何をもって無駄としているのかの定義を明らかにしていただくのが先決でしょう。

こういうものが積み重なった結果の2~4割の無駄遣いなんて数字の根拠も元のレポートでは挙げられているのかも知れませんけれども、医療費の無駄遣いというものが多々あるというところには同意するにしても、その理由としてこうしたものがまず出てくるというのは何かしら釈然としない思いを抱く現場の人間も、少なくともここ日本では多そうですよね。
そして興味深いのがこういう話をしておいて皆保険の重要性を強調しているんだそうですが、皆保険制度こそ患者支払額の低さから無駄な長期入院の温床や漫然とした治療の横行につながっているなんて批判もあるほどで、患者の利益という点では有利な制度であったとしても、こと医療費の無駄を省くという観点からすれば実のところ褒められるようなものでしょうか?
その財源確保の方法論として携帯電話利用への課税を提唱するとはWHOも一体何を言っているのかですが、WHOと言えば人間の健康達成を目的に設立された国際機関であったはずでしょうに、一体いつから税制を云々するような組織になったのかと疑問に感じる人間も少なからずではないでしょうか。

ここからは記事を読んだだけの推測モードになりますけれども、こうして見てみますと医療費の無駄遣いとして挙げられる諸問題と言い、皆保険制度のメリットを強調する後段と言い、何かしら非常に日本にターゲットを絞って書かれているかのような話にも感じられませんでしょうか?
実際にWHOがそういう文脈で書いているというのであればともかくとして、もしこれが記者氏の恣意的な引用によるものであるとしたら、こうしたごく短い記事という形で「WHOのお墨付き」を強調したい人間の意図は何なのかという話にはなってきますよね。
記事に挙げられた諸問題の逆を考えてみますと、「平均在院日数短縮」「病院統合」「ジェネリック利用推進」といったどこかで見たようなキーワードが連想されるわけですが、そういう話をもって「だからこそWHOも医療改革の必要性を主張しているのだ!」と言いたい人間がいるとすれば、それがどこの誰であるにしろ近い将来自分から大きな声でそうした主張を始めそうにも思えます。

いずれにしても実際のところの報告書の意図なり内容なりがどのようなものであるのか、何かしら情報をお持ちの方はご紹介いただけると助かります。

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2010年11月23日 (火)

今日のぐり:「じくや」

先日ネット上でちょっとした話題になっている事件?ですが、秋田県は鹿角市がYahooオークションに出品している内容が愉快すぎると言うことで、覗いてみましたらこれが本気で愉快と言いますかちょっとアレすぎるという状況のようなんですね。

紳士のお出かけセット。

全国1億の半分くらいの皆様、お待たせいたしました。ジェントルマン御用達の
オシャレ小物を取り揃えました。シックな革の小物は、紳士の皆様にこそご愛用いただきたいと思います。ブランドなどの真贋鑑定はしておりませんが、本当に良いモノはきっとお判りいただけるものと存じます。

【サイズ等】
①メモパッド(人工皮革) 12X8.5X2(140g)
②ペンケース(何かの革)16X5X1(20g)
③コインケース(何かの革) 7.5X7.5X2(30g)
④コインケース(何かの革) 8X9X1(25g)
⑤長サイフ(何かの革) 8.5X18X2(65g)
⑥ペンケース(本革?) 6X16X2(40g)
⑦ベルト(何かの革)幅3X長さ120(110g)

CASIO 電波時計 DQD-202AJ。

カシオ製の卓上電波時計です。空気中を漂う、時の妖精さんの聞き取りにくい小さい声を
キャッチして、いつでも正確な時間を私たちに教えてくれる商品です。

単三乾電池2本を必要とします。

【サイズ等】
○ 縦:4.5cm 
○ 横:12cm
○ 高さ:8cm
○ 重量:210g

【備考】
動作確認しました。電波ゆんゆんの窓際に置いたところ、数分で正確な日時が表示されました。

さすが秋田、ヤフオク一つでここまで場を盛り上げられる才能は関西であればきっと「吉本行け!」のかけ声もかかったところでしょうが、素朴な疑問として何故市役所が長財布だのベルトだのを売りに出すことになったのか、そのあたりにも謎の一端が隠されているのでしょうかね?
今日は鹿角市に敬意を表して?「本気だったら相当ヤバイ(いろいろな意味で)」というネタを取り上げてみますけれども、まずは同じく日本国内から先日見かけました同じく吉本級のこういう話題から行ってみましょう。

脅迫的取り調べ、録音で判明 大阪府警、いす蹴り大声(2010年10月27日朝日新聞)

 大阪府警東署員による脅迫的な取り調べをICレコーダーで録音していた30代の男性が朝日新聞の取材に応じ、暴言を浴びせられた時の恐怖や強引に自白を迫られた様子を語った。男性は取り調べ後に体重が6、7キロ落ち、夜は捜査員の怒声がよみがえって眠れない日もあるという。

 取材には代理人の森直也弁護士らが立ち会い、約3時間の録音を再生しながら当時の取り調べ状況をたどった。

 東署刑事課の警部補(34)と巡査部長(31)が、システムエンジニアとして働く男性の会社に来たのは9月3日午後1時半。警察が社員を調べていることは数日前から知っていたが身に覚えはなく、自分も調べを受けるかもと思ってICレコーダーをズボンのポケットに入れていた。

 会社の駐車場に止めた車の後部座席で警部補は黙秘権も伝えず、「家もガサ行くぞ」「出せよ、お前、財布。出せ! 出せ! 出せ! なめんなよ」とすごんだ。

 容疑は、大阪府内の女性が昨年12月に出勤途中に落とした財布を着服したとする遺失物等横領で、男性は女性と同じ駅を利用していた。反論しようとしたが、「お前の意見を聞きにきたんちゃうわ」「人生むちゃくちゃにしたるわ」と怒鳴られた。

 約1時間後、大阪市中央区の東署の取調室に連れて行かれた。警部補は自分の家族を引き合いに出し、「4人目も生まれるねん。こうした生活の基盤がなくなったらむちゃくちゃやん」と自白を促した。幼稚園児の長女の笑顔、マンションのローン……。すべてが壊れてしまうと思うと、恐ろしくなった。

 否認する男性に、警部補は「手出さへんと思ったら大間違いやぞ」と大声を出し、パイプいすをけった。調べが始まってから約3時間後、録音に気づいた警部補は急に穏やかな口調で「信じてるよ」と握手を求めたという。

東署を出たのは午後9時すぎ。調べの間、恐怖でトイレにも行けなかった。自宅への電車で悔しさと情けなさがこみ上げ、乗客の目もはばからずに泣いた。残っていた録音をもとに弁護士に相談し、警部補らを特別公務員暴行陵虐と録音を消させようとした証拠隠滅の容疑で大阪地検に告訴。25日に受理された。

 「冷静に話を聞いてほしかった。すごい圧力で本当に怖かった」。こう語る男性に対し、東署からの連絡はその後ないという。

 一方、府警によると、警部補らは男性への暴言を認めているが、暴力的な行為は否定しているという。当時の取り調べ状況の調査と、遺失物等横領事件の捜査を続けているとしている。(板橋洋佳、野上英文)

いやもうね、それこそ吉本的と言いますか、どこからどう見てもネタとしか思えないような話が本当に実在するというのですから、さすが本場は違うと改めて感心するしかないわけですが、冷静になってみますと洒落にならない話ですよね。
一見して笑い話のようにも見えて、改めて考えて見るとやはり怖いというのはこちらの話もそうなんですが、やはりこうして見てもまず笑えてしまうというのは何故なんでしょうか(苦笑)。

夫がケムール人を恐れています。(2010年11月10日読売新聞発言小町)

40代前半の主婦です。
昨晩、夫(40代後半)が風邪をこじらし発熱し夢でうなされていました。
夜中に目を覚ました夫が「ケムール人に追いかけれらた・・・恐ろしい」「怖い夢には、いつもケムール人が出てくる!」
と傍から見ていても気の毒でした。

夫は一応体育会系の男で、蛙も蛇もゴキも怖い物全くなしなのですが・・・・。
何でも「ウルトラQ」に出てきた怪物らしく、ネットで調べた所「頭の先にアンコウの触角みたいな物」を生やし、スリムで弱そうな
怪物でした。

私も子供の頃「ウルトラセブン」の再放送を兄と見ていましたが、宇宙人は皆愛嬌があり、皆なんとなく間抜けで憎めない存在でした。
※自分から爆弾を仕掛けた場所を教えた「ゴドラ星人(?)」は、阿呆な奴!と思いました。今でも覚えてますよ。
※ビラ星人、メトロン星人、イカルス星人、チブル星人、みんな可愛い宇宙人ばかりですけどね。
蛇足ですが、キリヤマ隊長とアマギ隊員のファンでしたが・・・。

私の夫を恐れさせる「ケムール人」とはそんなに怖いのでしょうか?
私なら「中年オバサンパンチ!」でやっつけられそうですけど・・・。

一体これは何なのか、あるいは一つのネタででもあるのかという話なんですけれども、回答者の皆さん方の意見を総合しますとこのケムール人というのがパトカーに追われるシーンというものが作中にあって、その際に着ぐるみを着てローラースケートをはいて移動したというその動きが相当に不自然であったということで、今も語り継がれる怪シーンとして多くの人にトラウマを残すほどに有名なんだそうですね。
海外からはどちらかというと事実であると認めたくないといった類のニュースが幾つか飛び込んできていますけれども、まずはお堅いドイツ人もここまで壊れるかという話題から紹介してみましょう。

ドイツで「醜いダンスのワールドカップ」、高校生が優勝(2010年10月26日ロイター)

 [ベルリン 25日 ロイター] ドイツのハンブルクで、「醜いダンスのワールドカップ」の決勝大会が開催され、同国北部出身の4人組の高校生チームが優勝した。

 同大会には、ドイツとルクセンブルク、スイスから10チームが参加。主催者はウェブサイトで、優勝チームの披露したダンスは「最高の醜さと、ひどい見た目、独特の動きに説得力があった」と評価。また「かっこよくダンスするのは簡単だが、醜いダンスは芸術だ」として、醜いダンスは必ずしも悪いものではないと述べた。

 同サイトによると、このコンテストは新たなダンススタイルの土台を作るため、2009年にスタート。審査基準は、突出した醜さと、独創性、珍しさ、面白さだという。

何やらもの凄く独創的なダンスであったらしいことは判るのですが、冷静になってこの批評を見てみますと相当にひどいことを言われているようにも思えてくるのは気のせいでしょうか?
お次はカナダからのニュースですが、事件そのもののひどさもさることながらこれは色々な意味できついわ…という話題を紹介してみましょう。

殺人、レイプ、下着泥棒…のベテラン空軍大佐 カナダの裁判所が盗んだ下着着用の写真を複数公開(2010年10月19日産経新聞)

 女性の下着を身につけた、いかつそうな男。実はカナダ空軍の大佐だ。写真は18日、カナダ・オンタリオの裁判所が公開した。

 AP通信によれば、男はラッセル・ウィリアムズといい、47歳。女性2人を殺害し、2人に性的暴行を加え、さらに不法侵入を数十回繰り返し、女性の下着を盗んだことを認めている。殺された2人はいずれも窒息死だった。

 検事によれば、男は10代か20代の女性を狙い、下着を盗んだあと、しばしばそれを着た写真を撮影していたという。1回の侵入で女子高校生の下着87着を盗んだこともあるという。

 男は軍歴23年のベテランで、将来有望だったといわれ、写真が一枚一枚公開された法廷では身内の人たちが涙に暮れていた。

元記事の方ではその問題の写真というものを克明に紹介しているわけですけれども、確かに法廷でこの写真を一枚一枚公開されたら泣きたくもなると言いますか、そらきついわという感じですよねえ…
昨今ではすっかりブリと並ぶネタソースとして定評を得ている感もある中国ですけれども、これはまたとんでもないことが当たり前に起こる国だということが知れるのがこちらのニュースです。

未使用「ロケット弾」発見、リサイクルショップで腰抜かす=四川(2010年11月8日サーチナ)

  大量のビール瓶や古紙などを扱うリサイクル・ショップに7日、テレビ・ドラマの制作スタッフが訪れた。番組で使う自転車の古びたタイヤがほしいという。店主は倉庫に招きいれ、「気に入ったものを探してください」と言った。タイヤを探していたスタッフのひとりが突然、大声を上げた「アイヤー! これ、ロケット弾だ!!」――。中国新聞社が報じた。

  四川省成都市内にあるリサイクルショップ。さまざまな廃品が山と積まれ、店主らも、何が売り物になっているか、完全には把握していなかった。仕入れの際にも、重量だけで値段を決めていたという。店主も「ロケット弾」があったことには腰を抜かしたが、すぐに「商売っ気」を取り戻した。くず鉄として仕入れたものと思い出し、テレビの制作スタッフに「買わんかね。何かに使えるよ」と持ちかけた。

  ロケット弾は2発あった。「こんな危ないもの、買えませんよ」と言いながら、調べていたスタッフが、再び叫び声をあげた。「これ、火薬がまだ入っているぞ!」――。

  さすがに店主も驚き、警察と消防署に連絡。警察の爆発物処理班が到着し、特殊な容器に入れ、持ち去った。

  警察がロケット弾について調べているが、人工降雨の際に使うものだとの見方もある。店主によると、廃品回収業者が同店に持ち込んだものという。

**********

◆解説◆
「アイヤー」は驚きや意外な気持ちをあらわす中国語の間投詞。「アイ」を口へんに「艾」、「ヤ」を口へんに「牙」と書く文字で当てる。同様な言葉で、「アイヨー」もある。漢字は口へんに「艾」、と口へんに「約」。「アイヤー」の方が、強い驚きのニュアンスがある。(編集担当:如月隼人)

もうどこから突っ込んでいいものやら判らないようなトンデモ要素てんこ盛りの記事なんですが、取りあえず一つだけ突っ込ましていただくとしてこの記事の解説で取り上げるべき事項が「アイヤーの意味」ってどうなんですか。
本家本元の変態王国たるブリからはこんなニュースが来ていますけれども、一見するとなんということはない話題に見えて噛みしめるとしみじみ味わい深いというのがこちらのニュースです。

英ヴァージン会長、賭に負けて一日客室乗務員に(2010年11月16日AFP)

 エアアジア(AirAsia)のトニー・フェルナンデス(Tony Fernandes)CEOは15日、英ヴァージン(Virgin)グループのリチャード・ブランソン(Richard Branson)会長の客室乗務員姿を拝むことができる搭乗券を競売にかけると発表した。

 ロータス(Lotus F1)とヴァージン・レーシング(Virgin Racing)の各F1チームを所有する両氏は、2010年のF1シーズンで負けた方が相手の航空会社の「一日客室乗務員」を務めるという賭けを行っていた。

 14日、シリーズ最終戦のアブダビGP(Abu Dhabi Grand Prix 2010)が開催され、通算成績でロータスがヴァージンを上回った。

 フェルナンデス氏は同日夜の祝賀会で、早速、ブランソン氏に赤いユニホームを手渡した。マレーシア・クアラルンプール(Kuala Lumpur)発ロンドン(London)行きの便でブランソン氏が客室乗務員を務めること、搭乗券をネット上でチャリティーオークションにかけることで合意したという。

「リチャードは今ごろ、来たるハードワーク、そしてハイヒールの痛みに備え、準備しているところだろう」と、フェルナンデス氏は述べた。

リチャード会長は元記事の写真を見てもなかなかのナイスミドルなんですが、どうでもいいようなささやかな罰ゲームのように見えて、よくよく読んでみると「リチャードは今ごろ、来たるハードワーク、そしてハイヒールの痛みに備え、準備しているところだろう」って、女装してやるってことなんですかね?!
本日最後の話題はもう一つ中国から行ってみようと思いますけれども、まずは黙って記事を紹介させていただきましょう。

陰部剃毛時の勃起・射精対策、中国の看護師を中心とした研究チームが発表(2010年11月15日医療速報)

攀枝花市第二人民医院(中華人民共和国四川省)は、陰部剃毛時に気をそらすと勃起しない、という調査データを公表した。

実験は思春期以降で性機能(勃起)が正常で、心理障害が無く、疼痛が中度以下である陰部剃毛が必要な16~60歳の男性患者200名(平均41.2歳、内訳は腹部疥癬50名、前立腺肥大20名、虫垂炎102名、痔28名)を、100名ずつ、2グループに分け観察を実施。

Aグループの患者100名は、剃毛が必要な理由を説明後、女性看護師が無言で剃毛を行った。一方、Bグループの患者100名は、剃毛が必要な理由を説明後、看護師が患者の趣味の話題など世間話で気をそらせながら剃毛を行った。

なお、比較性を高めるため、両グループ、全ての病例において、一人の1983年生まれで熟練かつコミュニケーション能力に秀でた看護師が剃毛および勃起状況の観察を実施(本論文の著者も同一の看護師である)。

その結果、Aグループの勃起率(勃起は腹壁に付くぐらいが定義)は45人(45%)、うち射精が認められたのは8人(8%)。一方、Bグループの勃起率は16人(16%)、射精現象は認められなかった(0%)としている。

また、両グループともに剃毛にかかった平均時間は8~9分程度となっており、大きな差はみられなかったとしている。

研究チームは、「女性看護師が男性患者の剃毛中に、男性患者が勃起することは臨床においては 頻繁に起こることであり、それは患者および看護師を気恥ずかしい雰囲気にさせ、双方の心理ストレスを増加させる。ひいては剃毛が完全でない、あるいは皮膚を傷つけるといった看護操作を中断させることにも繋がる。 陰部剃毛における勃起の発生を減少させるために、我々は比較研究を行った」としている。

また、同様な原則は性機能が正常な成人に対する陰部への各種検査、導尿、尿道口看護などにもあてはまるとしている。

いやまあ、これ自体は極めて真面目な調査であることは確かなのでしょうが、「1983年生まれで熟練かつコミュニケーション能力に秀でた看護師が全症例を担当」だとか、「勃起は腹壁に付くぐらいが定義」だとか、「剃毛時に射精が認められたのは8人(8%)」だとか、この突っ込みどころの多さは一体何なんでしょうね?
中国の奥地では一体どんな医療が行われているというのか、実地に見聞を広めてみたいと考える人が日本からも出るかも知れませんけれども、むしろ今後の課題はこの問題の解決法としてどのような方法論が望ましいのか、あるいはそもそも解決する必要があるのかといった議論が必要でありそうだということでしょうか。

今日のぐり:「じくや」

以前にもお邪魔したことがあるこちら「じくや」さんは、岡山市内でもとりわけ古い奉還町商店街の中程に位置するお店ですけれども、何とも言い難いが少なくとも蕎麦屋には見えない店構えといい、昭和レトロ満載の店内調度といい、相変わらずオールディーズなBGMといい、黙って入ると到底蕎麦屋に入っているようには感じられないというのも一つのカラーなのでしょうかね?
こちらは江戸前の蕎麦ということを売りにしていまして、盛りにしても普通の「せいろ」と「さらしな」と両方取りそろえてあるところは楽しいんですが、当然ながらこの時期ですから双方にチャレンジしていかなければならないでしょうね。

普通の蕎麦である「せいろ」の方はやや太打ち、少し不揃いな蕎麦なんですが、しっかりした食感となめらかな舌触りでなかなかしっかり打たれた蕎麦だという印象で、これ自体は結構いいものだと思います。
ただこの界隈の水準からすると確かに辛口寄りではあるのですが、ここの蕎麦つゆはうまいにはうまいんですが江戸前と言うには少し弱いといいますか、この蕎麦と合わせるにはちょっとばかりミスマッチな印象も感じたのは気のせいでしょうかね?
一方で照明の加減もあって白さが際立つ「さらしな」の方はどうかといえば、こちらもしっかりと打たれた蕎麦でより清々しい風味もさることながら、この蕎麦つゆでちょうどいい加減という気がしますが、あるいはこちらの方に合わせて味のバランスを取ってあるということなんでしょうか?
こちらの薬味は白ネギに大根おろし、そしてわさびといったところで、こういう更級系の新蕎麦に合わせるにはちょっとどうかとも思うのですけれども、一方で蕎麦湯は粉でも溶いたのか、それとも鍋が小さすぎるのかとも思うほど濃厚なもので、最後に口に粉が残るのはちょっと閉口するとしても、蕎麦よりこの蕎麦湯に少しネギなど散らしていただいてみるのもいいのかも知れませんね。

全般的にはそれなりに評価に値する蕎麦だと思いますが、一方で自分らがお邪魔した時間帯にはほとんどお客の姿もなく空いていたのですけれども、結構お客が入る時間帯には多少蕎麦の扱いが乱雑になることもあるという話で、ゆっくり蕎麦を楽しむためにも時間帯には気をつけておくべきなのかも知れませんね。
接遇面では場所柄にも似合ったいかにも近所のおばちゃんという感じで、この蕎麦屋らしからぬ雰囲気も含めていわゆる江戸っ子らしい粋という様子ではないにしても、これはこれで一昔も二昔も前の下町っぽい気配が感じられて悪くないというところなのでしょうか。

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2010年11月22日 (月)

北から南から 公務員であるということの意味は

世の中これだけ不景気だ不景気だと言われ続けて早幾星霜、こんな時代にあっては公務員というのは代表的な「勝ち組」だと見なされているともっぱらの評判のようですね。
そんな中で先日こういう記事が出ていまして一見すると不思議な話にも見えるのですが、秋田県の方には申し訳ないことながら「さもありなん」と考える人間も実は多いのではないでしょうか?

人気なし?公務員獣医師、秋田県の応募ゼロ/秋田(2010年11月19日読売新聞)

「国民の安全守る仕事なのに…」

保健所など秋田県の機関で働く獣医師の人気が低迷している。

 ここ数年、採用試験の受験者は定員を下回っており、きょう19日締め切りの今年の採用試験でも定員4人に対し、応募はゼロ。来年早々に再度採用試験を行い、獣医師の確保を目指すが、県の担当者は「このまま行けば医師不足になり、伝染病予防などにも影響が出る」と頭を抱えている。

 県が採用する獣医師の主な配属先は、秋田中央保健所や県中央家畜保健衛生所、食肉衛生検査所などの機関。伝染病の予防研究や食肉の安全検査にあたるほか、動物管理センターで犬猫のしつけを担当することもある。県は、2004年から3年間控えていた獣医師の採用試験を08年に再開。だが定員は08年3人、09年5人に対し、応募者はどちらも4人にとどまり、辞退者も相次いだため、採用はともに2人で、定員を満たすことができない状態が続いている。

 人気低迷の理由について、県は「獣医師を目指す人の多くはペットを診る動物病院を希望する人が多く、公務員になろうという人がそもそも少ない。全国の自治体が公務員希望者を奪いあっている状態」と説明する。

 しかも、県の受験者はほとんどが県外出身者で、合格しても「東京から遠い」「雪が多い」などを理由に挙げ辞退する人がいるという。

 こうした状況を打破するため、県は今年から、採用後、原則15年間最大月額3万円の手当支給を決定し、インターンシップの交通費助成、関東地方に試験会場を設置するなどの対策を開始。獣医師の確保に努めているが、好転するまでには至っていない。

 県農畜産振興課の獣医師佐藤政善さん(57)は「口蹄疫などの伝染病予防や、食の安全確保の最前線に立つ仕事。獣医師には国民の安全を守る役割もあると知ってほしい」と話している。

まあ遠いだの雪だのは採用試験を受ける前から判っている話ですから、このあたりは受験者の方にも行く気がないなら受けるなと言う話ですけれども、想像するにそれらは断るための言い訳の部分も大きくて、実際には「公務員になろうという人がそもそも少ない」という言葉にこそ、この問題の構造的背景が見えてくるところですよね。
例えば獣医関係者の方々に言わせればこうした県職員としての仕事はサーベイランスやらの「誰でも出来る仕事(当事者談)」が主体と言うことですから、獣医らしい仕事を目指してせっかく大学を出たのにそんな雑用仕事(と言っては失礼ですが)なんて嫌だ、もっと獣医師としての技能を発揮できる仕事がしたいと感じるのも、獣医師としての職業意識が高い方ほど強いのではないかという気がします。
このあたりは保健所における医師などと同様、法令上どうしても獣医師資格が必要なポストは一定数あるということは理解できますが、「必要なのはあなたではない。資格さえあれば誰でもいいのだ」なんて職場に、有能でやる気に満ちあふれた人材が集まるわけはないのはどの職種でも同じことでしょう。

むろん仕事の内容云々以前の問題もあって、今どきの世間的には公務員=高収入で安定雇用というイメージがあるのかも知れませんが、それ以上にきちんとした働き口が見込める上にそちらの方がやり甲斐もあって人の役に立つ実感も得られるとあれば、むしろそちらを選ばない方がおかしいというのも世間の常識でしょう。
獣医学部というところも六年制の難関ですが、話を聞けば公務員となれば専門学校卒の看護師より給料が低いだとか、秋田県などでも獣医学生に奨学金まで出して人材確保に懸命なんだそうですが、これがまた例によって奨学金貸与期間の1.5倍を県内で勤務すれば返済免除という、どこかの世界で見るのと全く同じような構図になっているわけで、そう考えるとこの公務員忌避問題も同じような背景がと察しはつきますよね。
社会的にも意義ある大事な仕事であるというのであれば待遇面でもそれなりに厚遇すればいいでしょうに、むしろ冷遇するというのであれば実際はその程度の仕事としか見ていないのかと誰でも理解出来る話ですから、それは他の条件の良いところから人が集まっていくのは当然すぎる結果としか言いようがありません。

獣医の世界でもそんな状況だということですけれども、医師の世界でも似たような話があるということは先日沖縄から出ましたこんなニュースから知れることで、やはりこちらもその程度の仕事であるということを世間に公言しているようなものですから、同様の結果が期待されるということになるのでしょうか。

医師ボーナス削減検討 県が提案 組合、人材流出を懸念 /沖縄(2010年11月20日琉球新報)

 県病院事業局が県立病院で働く医師293人の期末・勤勉手当(ボーナス)を0・2カ月分引き下げて3・95カ月分とすることを県公務員医師労働組合に提案していることが19日、分かった。平均で1人当たり年間11万7142円の引き下げとなる。県立病院は離島や北部で医師確保が難しくなっており、組合側は「医師流出につながりかねない」と地域医療への影響を懸念している。
 病院事業局は(1)知事部局の給与・ボーナスがカットされる(2)一般会計繰入金が2009年度から増額されている―ことから「知事部局と足並みをそろえる必要がある」と削減を提案。削減による財政効果は年間約3700万円。今後、医師以外の職員にも同様の提案をする予定。県立病院課は「医師流出につながらないよう、丁寧に説明し理解を求めたい」としている。
 県立病院は北部病院で内科医、産婦人科医の不足のため診療制限が行われているほか、八重山病院、宮古病院でも内科医の確保が難しくなっている。県公務員医師労組の與座浩次副執行委員長は「医師がさぼっていたから赤字になったのではなく、南部医療センター・こども医療センターは当初から赤字計画の病院。増額分は本来、入れておくべき繰入金だった」と指摘した。
 県立病院事業会計への一般会計からの繰入金は09~11年度の3年間の経営再建期間中に、通常の65億円程度に再建支援分として18億円程度が増額されている。増額を決めた08年度当時の議論では、県立病院の赤字の最大の要因は中部病院の改築、南部医療センター・こども医療センター建築にかかる借金返済で、一般会計の負担が少なかったことが挙げられ、知事部局にも責任があるとされた。

ハコモノ行政の責任を現場スタッフにというのもなかなか素敵な話ですけれども、実のところ沖縄ではすでに三年前から、保健所で働く医師を対象に医師手当廃止を通告するという事件がありまして、この時の理由が「特殊勤務手当は本来、危険や不快、不健康、困難な勤務が対象だ。医療はこれに該当しない。基本給との二重取りとの批判がある」と言うことだったそうです(苦笑)。
今回はそれに味を占めて二匹目のドジョウをということなのでしょうけれども、もちろん医者も人並みの知性はあるでしょうから理解はしてくれるでしょうが、県の立場を理解することと実際にどうするかを決めることとはまた別問題ですから、県の思うような結果となるのか、それとも社会常識に従った結果となるのか、沖縄の先生方も社会人としての常識の有無を問われることにはなりそうですよね。
むしろこの件で注目していきたいのは、県立病院課の「医師流出につながらないよう、丁寧に説明し理解を求めたい」という言葉ですけれども、別に沖縄県職員として働かなければならないという医師など恐らくごく少数に留まるだろう中で、彼らがどのような説明をし流出を阻止しようとするのか、そしてここまでされてもまだ居残る医師とはどんな人々なのかが興味深いと思います。

個人的に思うことには今回の一件、世間的にはずいぶんと言われるところも多いのでしょうが、基本的に医療も経済観念が問われる時代ですから、沖縄県当局として医療にはそれだけのコストをかけるに値しないという判断をされたと言うのであれば、それはそれで無駄を省き県政の健全化にもつながる英断なのではないかとは思いますね。
沖縄県というところは離島や僻地医療で苦労をしている側面がある一方、新臨床研修医導入以来研修医集めに関して言えばむしろ堂々たる勝ち組で、産科や小児科といった不足診療科も含めて医師数は増加している県だと言いますから、県土として医者からはそれなりに魅力ある土地柄であるとは見なされているということですよね。
一方で公立病院と言うところは医師一人あたりの医療労働生産性と言う点で言えば極めて低いということが知られていますから、非効率な県立病院が大勢の医者を抱え込むくらいならさっさと民間に回した方がよほど県民の健康向上にも寄与するという話で、県民は元よりなかなか踏ん切りのつかなかった県立病院の医者にとってもよい契機にもなるかも知れません。

そう考えて見ますとこの問題、一見すると勝ち組県の驕りのようにも見えてその実は県民にも医者にも悪い話ではない、そして沖縄県当局としても想定以上に大幅な歳出削減に結びつく可能性があるわけですから、なんだ結局誰にとっても悪い話ではないんじゃないかという気もしてきませんか。
いっそボーナス削減などと小さな事も言わずに、赤字が続く県立病院スタッフは全員赤字比率に応じて給与カットするくらいの英断を示していただければ、さらに効率よく話が進みそうに思えますし、案外後世からは「あれは県当局の大英断だった」と絶讚される第一歩となるかも知れませんよね。

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2010年11月21日 (日)

今日のぐり:「床瀬そば」

先日は「はやぶさ」のカプセル内から小惑星イトカワ由来の微粒子が確認されたということで、なんとあの逆境からミッションコンプリートだと大いに話題になっているところですが、何にしろこの逆境の時代にあってその不屈ぶりはすばらしいと、ますます人気は揺るぎないものになっているということです。
今日はこのはやぶさの快挙にならって、何かよく判らないけれども実は日本って結構すごい?!という話題を紹介してみますけれども、まずはこちらの話からいってみましょうか。

世界レベルの料理会議が米で開催「テーマは日本の味と食文化」(2010年11月12日サーチナ)

  米国の名門料理大学として知られるThe Culinary Institute of America(CIA)は11月4日から6日にかけて、米カリフォルニア州のナパバレーで、世界レベルの料理会議「Worlds of Flavor International Conference and Festival」(WOF)を開催した。13回目となる今回のテーマは「日本の味と文化」で、世界を魅了している日本食に焦点があてられた。

  プログラムの解説によると「日本の素晴らしいレストランは、その味と料理の美学において、世界でも最上級の格付けを得ている」と紹介している。会議では、日本の農業や漁業における従来の技術や、醤油(しょうゆ)からみそ、ノリなど伝統的な保存食、懐石料理における料理人の表現方法、日本食の哲学と芸術性、台所道具などが話題に上がった。

  米国の文化情報を発信するサイト「thesunbreak」では、会議に参加した筆者が感想を語っている。筆者は、日本とカリフォルニア州は同じくらいの国土で、その多くが海岸線に面しているという共通点から、カリフォルニアの人たちはシーフードになじみが深く、スシ屋をはじめ日本食店が多いと述べている。

  筆者は、日本ですしはファストフードとして発達したと説明し、江戸時代と現代のにぎりずしのサイズを比較して、不況のためサイズがかなり小さくなった点が興味深かった、と印象を語っている。

  会場では、大阪のたこ焼きやお好み焼きなどの屋台料理や、めんの作り方、昆布やかつお節を使ったうま味の作り方など、さまざまなワークショップが開かれていて、文化的な経験ができたと締めくくっている。(編集担当:田島波留・山口幸治)

いや「不況のためサイズがかなり小さくなった」ってそれは絶対違うと思うんですけれども、江戸時代の屋台で出されるファーストフードだった初期のにぎり寿司はおにぎりっぽく今の倍くらいの大きさはあって、これが後にお店で出されるような上品な料理になっていく過程で食べやすい半分サイズに縮小されたために、今でも寿司屋ではにぎり二つで一カン(=一人分)なんて紛らわしい数え方をする、なんてな話もありますよね。
それはともかくとしても、こうした話題に限らず外国人の目にして初めて「え?!それってすごい?!」と真価が判るというものが日本には意外に多いものですが、先日は傑作だったのが彼らをして「神!」とまで呼ばしめたものが、ごく当たり前に我々の身近に存在しているという事実です。

「日本人は凄い!」「この容器は神だ」 お馴染みの「パック」を世界が絶賛(2010年10月29日J-CASTニュース)

  コンビニでアメリカンドッグを買ったり、飲食店でサラダなどを頼んだりしたときにケチャップやドレッシングなどが入ったパックが付いてくる。片手で2つ折りにすれば中身を出すことが出来て、手が汚れない便利な容器だが、実は、ケチャップやマスタードなど2種類の内容物を同時に出せるものは、日本独自の技術であり、日本でしか手に入らないのだという。

   現在、投稿動画サイト「ユーチューブ(YouTube)」で、この容器を使ってフランクフルトにケチャップとマスタードを掛ける13秒ほどの動画がアップされていて、驚いた世界の人々が英語で「この容器は神だ」「日本人は器用で優れている」など絶賛の書き込みがコメント欄に出ている。

ユーチューブで話題、閲覧数8万を超える

   「ユーチューブ」で話題になっている動画のタイトルは「7 Eleven Japan Hot Dog Japan with no mess...」。投稿者はアメリカ人で、画面には「セブンイレブン」で買ったと思われるフランクフルトが大写しされる。そして日本ではお馴染みのケチャップとマスタードが別々に入った容器が出てくる。容器には日本語で「トマト&あらびきマスタード」と書かれている。それを片手で二つ折りにすると、容器からケチャップとマスタードが紐のようになり落ちてきてフランクフルトに掛かった。

   私達にとっては見慣れた事なのだが、「ユーチューブ」のコメント欄には

    「このパケットは神だ」「凄い技術だ」「こんな素晴らしいパッケージを持っていたら誰かに嫉妬される」「これを見ると日本人は優れているのが分かる。彼らは世界を治めるだろう」

などと絶賛された。閲覧数は8万を超えた。

   この容器は「ディスペンパック」と呼ばれていて、もともとは1983年にアメリカの企業が特許を取った。そして86年に三菱商事が日本での独占実施権を取得し、キユーピーと、三菱商事、三菱商事パッケージングの3社が合弁しディスペンパックジャパンを設立してから日本で広まることになる。今ではコンビニのテイクアウトに欠かせないものになり、飲食店や学校給食でも使われている。

ソースを2つ同時に出せる技術は日本だけ

   この容器、初めは1種類のソースしか出すことが出来なかったが、ソースなどを入れるフィルムの開発や、ソースの出口を工夫することにより2種類のソースを同時に出したり、2種類のソースを出口で混ぜ合わせて出したり出来るようになった。キユーピーの広報によれば、この「ディスペンパック」が作られている国は、日本以外でオーストラリアと韓国があるが、2種類のソースを出すことができるのは日本だけだという。日本では当たり前に使われているが世界では珍しい容器であり、キユーピー広報は「ユーチューブ」で話題になっていることについて、

    「これをきっかけに世界の各国に日本の技術で作られたディスペンパックが広がっていけばうれしい」

と話している。

いやたしかに、件の動画を見に行ってみると「こんなすごいの見たことない!」的コメントがてんこ盛りなんですけれども、「It is interesting that natural things? in Japan are valued in oversea」なんて話を聞くと、日本もまだまだ捨てたものではないという話ですよね。
以前にも紹介しました「日本のカレーにはまった外人さん」はその後も相変わらず心臓発作を恐れずカレーに挑み続けているようですが、何もカレーに限らず我々の身近にどこにでもあるようなこんなものも驚異の対象となっているようです。

不思議の国…日本の自動販売機の写真を見て、外国人たちが一言(2008年11月17日らばQ)

日本の自動販売機は世界で唯一というほど、規模、品揃え、品質、サービスなどが行き届いています。

その数の多さは日本人としても驚くほどで、当然外国から来た人々にとっては大いにネタとなるようです。

時折思い出すかのように日本の自販機ネタが出回っていますが、今日も日本の自動販売機のネタが海外のソーシャルニュースサイトで4位になっていました。

普通のジュースの販売機はもちろん、花や下着やエッチな本の販売機を見た外国人のコメントをご紹介します。

以下、Vending Machines Craze in Japanを見ての反応。

    ・自販機を売る自販機を作るぞ、バカデカいやつになるんだ! ―ミッチ・ヘッドバーグ(コメディアン)

    ・スナックは自販機から買うのが好きだ。食品が落ちてくるのがいい。スーパーでもキャンディーを落とすんだ。最高の味が出るぜ。

    ・ビールの自販機最高!「酒」この漢字を覚えるんだ。

    ・アメリカで温かい飲み物の自販機がないのは最低。寒い冬の東京で温かい缶コーヒー持って仕事に行くのは変えがたいものがある。日本のコーヒーがひどいのは認めるさ、特に自販機のは。だが朝温まるには最高だ。しかも缶のコーンポタージュもある。だがこっちでは冷たいソフトドリンクだけ。外が7度のときには冷たい選択だ。アメリカよ何とか追いついてくれよ!俺らもクレイジーな自販機が欲しい!

    ・使用済みのパンティの自販機の話はないのか?

    ・僕は日本人妻を自販機で買ったんだ。

    ・僕も東京に昔いたよ。ゲーム、ポルノ、雑誌、携帯電話、もっと何でもあった。すごかった。

    ・Googleの自販機に1票

    ・ロボットの自販機からコーラを買ったかと思えば、次の瞬間にはゼントラーディ人と闘ってるんだ!

    ・覚えてるのは11時前に酒の自販機に急いだことだな。閉まる時に1000円札を入れようとするんだ。下着の自販機には女子高生のコスプレコスチュームが入ってたりするが、大都市でそれほど一般的というわけじゃないと思う。渋谷に住んでいたが見たことはなかった。

    ・この記事は2007年ので、そこからさらに変わったよ。タバコやお酒を買うのにカードがいるし、顔を認識させるものもある。

    ・自販機からビールを買ってみたい。

    ・東京の自販機が恋しい。そこら中にあって、アメリカよりもっといろんなのがあったよ。熱いドリンク?あるよ。冷たいミルクティ?もちろん。

    ・表面的にはすごくカッコよくて近代的なんだけど、この黙示的な電子ワールドはちょっと鬱でもある。

    ・キリンビールはよかった。ここでもビール自販機を置いてほしい。

    ・クレイジーというより日本のライフスタイルだろう。アメリカも追いついてほしい。(エロ)本の自販機はお風呂の近所で、ローションもいっしょだとバカ売れするだろう。

    ・そのうち人間が出てくる自販機も作られるだろう。

    ・この記事には自販機レストランのことはないな。小さなレストランではチケットを買ってそれをシェフに渡すところもあるぞ。言葉をしゃべらなくていいんだ。

    ・自販機ばかりのことが書いてある記事を読んだってことが信じられない。

    ・ここはアメリカだけど、まず自販機の半分は動くかどうか疑問だ。

    ・ポルノ自販機?僕が子供の頃にそれがあったら……。

    ・今までに見たことある自販機ってソフトドリンクだけだよ。これらはクールすぎる。

なかなか盛り上がっています。

たかが自販機、されど自販機。

ええ、ええ、日本の自販機はすばらしいんです。

ちゃんとおつりも出るんです。

万歳日本!

元記事の方も元より、コメントの中にはお前無茶苦茶日本に詳しいのか思いっきり根本的勘違いしているのかどっちなんだよと突っ込みたくなる意見もありますが、こんな人達には先日登場したという「客を見極めて商品を勧める自販機」なんてものの存在はどう映ることなんでしょうね?
いささかそれは過剰なのではないかと思われるような部分にも妙にこだわってしまうのは日本人の美点なのか欠点なのか微妙ですが、先日こういうニュースが出ていまして、これはこれで応用が効きそうではありますけれどもちょっと悪用されると怖いなとも思えるような話ではないでしょうか。

キー入力「クセ」で本人確認…NTTコム、100%識別(2010年8月16日読売新聞)

 NTTコミュニケーションズは、パソコンのキーボードで入力する際のクセや特徴を見抜いて個人を認証するソフトを開発した。

 不正アクセスなどによる「なりすまし」を発見できる利点があり、パソコンを使った遠隔教育などでの活用が見込まれている。今年度中に国内初の商用化を目指している。

 「キーストローク・ダイナミックス」と呼ばれる生体認証技術の一種で、キーを押してから離すまでの時間や、次のキーを押すまでのタイミングやリズムなどで個人差が大きいことを利用した。

 事前に1000文字程度のキー入力で様々なパターンのクセを登録し、その後入力される文章150文字程度ごとに、本人の打ち方との共通度を判定。打ち方のデータは、ネットワークにつながった利用者のパソコンから、同社の認証用サーバーに送られる仕組みだ。実証実験によると、本人か別人かをほぼ100%見分けることが可能という。

 パソコン利用中は継続して認証できるため、IDやパスワードを不正使用した「なりすまし」や、利用者のすり替わりも見破ることが容易という。

 大学などで実施している遠隔教育で、オンライン試験での不正防止やコピーした文章を張るだけの「コピー・アンド・ペースト」の防止につながるとみられる。在宅勤務者の本人確認などへの導入も見込まれる。

 特別な機器は使わずソフトをインストールするだけで利用できるため、ICカードや指紋認証などに比べ低コストで済むという。

ついに一人きりの部屋の中でも他人に監視される時代が来るのかですが、とりあえずこういうものが大々的に導入されるようになりますと、ネットの常套句であった「自演乙」なんて言葉も廃れてくる時代がやってくるのでしょうかね?
もう一つ、こちらもちょっとすごいという技術ではあるのでしょうが、いささかその方向性が良くも悪くも日本的であるのが気になるところでしょうか。

思った人物やキャラクターを当ててしまう『Akinator』がiPhoneアプリになって登場! やる夫やひろゆきまで特定? (2010年11月2日ガジェット通信)

数年前にウェブサイトに登場して話題になった『Akinator』をご存じだろうか? 自分が思っている人物やキャラクターを質問に答えていくだけで当ててしまうというサイトだ。質問によりソートしていきタグ絞り込みを行い、膨大なデータベースの中から特定の人物やキャラクターを当てるというサービス。

9割の確率で当てることができ、髪の特徴、体型、性別、年齢などからアニメキャラクターから実在する人物まで特定してしまう。

そんな話題になったウェブサイトが『iPhone』アプリになったのだ。230円と有料だが、有料ランキングで上位になるほどの人気っぷり。記者も早速購入しいろんなキャラクターや人物を当ててもらい遊んでみたぞ。

――AAキャラクターまで特定可能
最初に特定してもらったのが、2ちゃんねるで有名なAAキャラクターやる夫だ。こんなキャラクターまで特定出来るのだろうか? 実際に試してみることにした。そのときに相手が聞いてきた質問の中には「よく殴られる(つっこまれる)?」、「ときどき下品?」、「アスキーアートに関係する?」といったもので徐々に絞り込みを掛けているのがわかる。そして特定した答えは見事に正解でやる夫だった。

――お次は2ちゃんねるの元管理人を特定
お次は2ちゃんねるの元管理人を特定することにした。
特定までの質問と回答を以下に書いてみたぞ。

男性? → はい
実在する? → はい
歌手? → いいえ
テレビで活躍してる? → いいえ
個人的にあなたを知ってる? → わからない(パーソナル情報を入力してないため「わからない」と回答)
一度でも結婚したことがある? → わからない
日本人? → はい
まだ働いてる? → はい
歌手、もしくは歌手と仕事をする? → いいえ
インターネットから有名になった? → はい
眼鏡をかけてる? → いいえ
太ってる? → いいえ
お酒をいっぱい飲む? → わからない
ビデオゲームに関係してる? → いいえ
30歳より年下? → いいえ
現在50歳以上? → いいえ
名前にカタカナが混ざっている? → いいえ
Twitterをしている → はい
作家? → いいえ
コンピューター業界で有名? → たぶんそう
回答 それは西村博之

上記のように見事に的中。ほかにもネットの有名人やタレント、ゲームキャラクター、アニメキャラクター、著名人など多くの人物が登録されている。まさかと思う身の回りの人も特定出来るので試しに遊んでみてはいかがだろうか?
ぼっさんまで特定!

『iPhone』アプリは“Akinator”で検索すればダウンロードすることが可能だ。PCのウェブ版は下記URLより遊ぶことができるぞ。

Akinator

ちなみに試しに二度ほどやってみまして、かなり紛らわしく選んでいったつもりなんですが結局二度とも的中されてしまったというのは、Akinatorが偉いのか当方が単純すぎるのかどっちなんでしょうかね…
最後にこちら、先日も少しばかり紹介しました「日本人って結構すごい?!」という話題の続報で、とうとうここまで来たかという話を紹介しておきましょう。

百度で「日本鬼子」を検索すると、検索候補に「萌化」が出現(2010年11月4日サーチナ)

  日本のインターネット上で、「日本鬼子」の萌えキャラコンテストが行われた件に関連して、実際に中国最大手の検索エンジン百度(Baidu)の検索窓に「日本鬼子」を入れると、同時に検索候補として「萌化」が出現することが4日、実際に試した結果判明した。

  「日本鬼子」は、中国人が日本や日本人に対して悪く言う際に使われる中国語。「小日本」も同義語だが、どちらかといえば日本の国に対して使われることが多いのに対して、「日本鬼子」は確かに擬人的なニュアンスがある。また、時として「小日本鬼子」などとも使われる。

  現在、尖閣諸島(中国名は釣魚島)問題などで中国人がこの言葉を掲げてデモを行っている映像や写真などが流され、日本ではあまり一般的ではなかった「日本鬼子」という言葉がだいぶ浸透してきた。それに伴って、これを検索エンジンで検索しようとするユーザーも増えたという。

  「そこでググッてみたとき、萌えキャラが現れたらどうだろうか。あれだけ怒り狂いながらも掲げているというのに、調べてみれば萌えキャラ。これはきっと面白い!!」(日刊テラフォー)ということで発案され企画されたのが、「日本鬼子って萌えキャラ作って中国人を萌え萌えにしてやろうぜ」というネット上のイベント。11月3日には「日本鬼子代表デザイン」が決定された。

  今回、百度の検索窓に「日本鬼子」を入れると、同時に検索候補として「萌化」が出現するようになったことは、中国でのネット検索シェア7割とされる百度で「日本鬼子」を検索した場合に、「萌化」とあわせて検索する可能性が高まるという意味で、実際に中国で「日本鬼子」がどの程度検索されているかはともかく、日本側のイベントの効果があった、と言える。

  実際に百度で「日本鬼子 萌化」で検索して引っかかったある中国の掲示板には、日本のネット上における今回のイベントの模様を中国語に翻訳して伝えると同時に、実際に投稿された「日本鬼子の萌えキャラ作品」画像を貼り付けているスレッドがあった。

  そこでの別ユーザーによる書き込みでは、「早く我々も別サイトを立ち上げ、“小日本鬼子”の本当の意味を知らしめるべきだ! グーグルやヤフーの検索結果の上位に“小日本”の醜悪な面貌をさらけ出し、決して漫画、キャラクター化して美化させるべきではない!」などの反応がある一方で、「(投稿された作品について)悪くないね~」など軽いのりのものも見られた。

  日本のネット上で展開されるこの種の発想や動きに対して、中国では伝統的には受け入れられず、正面切った反発が多数を占めるが、マンガ、アニメ、キャラクター、さらに“萌え”という概念含めた日本のポップカルチャーが現在、中国でも急速に広まっていること、特に、90年代以降の若い世代(90 後)ではそうした傾向が顕著であることもあって、本件が騒動に発展したとしても、一昔前と違った展開を見せる可能性もある。(編集担当:鈴木義純)

いやいや、別に本当の意味など知らしめてくれなくても結構なんですけれども、恐ろしいことにこの11月3日文化の日には、「日本鬼子代表デザイン」が決定されてしまうというのですから、今からつばつけておきたいという向きはお早めにということなんでしょうね。

今日のぐり:「床瀬そば」

兵庫県は北部の豊岡市の中心部も遠く離れ、山間のどう見ても幹線道路からも外れていそうな道沿いにある鄙びた小集落に、何故か数軒の食べ物屋が建ち並んでいるという奇妙な光景に出会います。
よく見てみますとどのお店も「蕎麦プラス料理」といったスタイルのようで、要するに蕎麦が名物の土地柄と言うことらしいんですが、さして通行量も多いとは思えないこんな土地でよくこれだけの店が続いているなと感心しますよね。
その中でもこちら「床瀬そば」は一番の立派な店構えで、古民家をそのまま流用しているらしい広い座敷に入りますと仏壇までそのままと言うのはどうかとも思いますが、焼きものなどは七厘で自分で焼くことも出来るようになっていたりして、とにもかくにも雰囲気があるというのは確かですよね。

一応蕎麦屋なんですから中心は蕎麦のはずなんですが、メニューを見てみますと焼き物などその他の料理も組み合わせたコース形式がおすすめのようになっているのは、他のお店と同様こういう経営環境で顧客単価を上げるためには必須の工夫なんでしょうか?
当然ながら新蕎麦はデフォルトとしても、せっかくのこの時期の新蕎麦のような繊細な風味を楽しむものを、焼き物など味も香りも強い他の料理と組み合わせてしまうというのもどうかという気がしますけれども、それでも松葉肉(若鳥の喉の骨付き肉の焼き物)なんていかにも土地の名物らしいものを見てしまうと頼んでしまいますよね?ねえ?(←意志薄弱)
ちなみにこの蕎麦、今回頼んだのは「並みそば」ですが大盛りも用意されていて、値段はまあこういう土地柄を反映してか東京あたりのちょっとした名店で食べるくらいの値段にはなっているようですが、それよりも何よりも問題は味でしょう。

蕎麦自体は玄関脇のガラス張りでお兄さんが一生懸命打っていて、それを開店直後の時間帯ですから作り置きでもないものを茹でたてで出しているはずですが、結論から言うと蕎麦としてはいま二つ、三つという味でしたね。
ここの蕎麦の場合、蕎麦表面の塩梅やらざるに残った水気の濁り具合などを見るにつけても茹でと洗いもどうも扱いが悪そうなんですが、何より肝腎の蕎麦打ち自体がどうなのよという感じなのでしょう、おかげで蕎麦がこれでもかというくらいに細切れ状態になってしまっている上に、このねちゃねちゃした食感がまるで前日の残り物でも出されたかのようで、どうにも高い評価はつけられませんよね。
幸いにも蕎麦つゆはまだしもうまいので食べるに際して救われているところがあるんですが、ただ徳利ではなくこのお店のようにお猪口に蕎麦つゆが入っている、しかもそれがこういう濃い口でしっかりした味の蕎麦つゆがたっぷりお猪口半分ともなりますと、どうしても蕎麦湯を頂くにしても適正な希釈の度合いにすることが出来なくなります。
蕎麦つゆ自体はごくごくストレートにそのものズバリの茹で湯まんまですから、開店直後の時間帯的にまだ薄くて物足りない点はおくとしても新蕎麦の時期らしく良い風味は楽しめるはずなんですが、何にしろそんな状態ですから濃すぎる蕎麦つゆ蕎麦湯割りを飲んでいるようなことでは有り難みも半減ですよね。

焼いた鶏の素朴な味わいはうまいと言えるレベルでもあるし、素材自体は値段なりに真っ当なものを使っている気配ではあるのですけれども、肝腎の蕎麦がそんな状態では蕎麦屋としてはどうなのよという感じですが、それでもこの界隈では一番の味という評判なのですから、逆に怖いもの見たさで他のお店にもお邪魔したくはなりそうですよね。
こんな田舎に似つかわしくないくらいに妙に客あしらいに手慣れた気安いおば…もとい、おねえさん方の応対は悪いものではありませんし、周辺の渓流の景色も込みでお店としての雰囲気は良いのでしょうが、コースでじっくりと景色と共に蕎麦以外の田舎料理を楽しむというならまだしも、わざわざこの蕎麦を食べに足を運ぶにはいささか遠すぎるという印象が濃いところですか。

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2010年11月20日 (土)

落ち目であるのは理由があることのようで

当「ぐり研」でもこのところその捏造ぶりを取り上げている朝日新聞ですが、どうやらまたやったということでおしかりを受けたようですが、社会のルールすら変えてしまうほどの影響力を発揮するのもさすが社会の木鐸故の特権ということなんでしょうかね?

朝日新聞が少年横顔…法廷イラスト異例の禁止 同級生刺殺で奈良地裁(2010年11月19日産経新聞)

 奈良県桜井市の近鉄桜井駅ホームで同級生だった濱田知哉さん=当時(18)=を刺殺したとして、殺人罪などに問われている少年(19)の裁判員裁判で、奈良地裁(橋本一裁判長)は19日、朝日新聞奈良県版に掲載された法廷イラストに少年の横顔が描かれていたとして、同日以降のイラスト描写を禁止する異例の決定を出した。

 今回の裁判員裁判のイラストをめぐっては、17日の初公判でも横顔などが描かれたとして、地裁が18日の公判で報道イラスト用席を被告の真後ろに指定。ところが、18日の第2回公判で、少年が濱田さんの両親に向かって頭を下げて謝罪している姿のイラストが19日付同紙に掲載され、地裁は同日以降のイラスト描写を禁止した。イラストには、少年の表情は一切描かれていなかった。

 報道各社加盟の奈良司法記者クラブは初公判前日の16日、地裁に対しイラストについては「各社の判断で対応する」と伝えていた

地裁は「少年のプライバシーや更生を考え、後ろ姿のみを描く」という条件でイラストを許可したといい、19日に掲載されたイラストは「こちらの趣旨に違えた報道」としている。

朝日新聞広報部の話

 「(法廷の被告を)描く角度については、奈良地裁と報道各社が加盟する地元記者クラブで協議を続けていた問題であり、掲載したイラストは少年法の趣旨に基づいて最大限、配慮したものです」

朝日によれば法廷で決まっているルールを無視することも「未だ協議を続けていた問題だから勝手にして何が悪い?」と言うことのようですが、こういうルール無視の大人達が少年法の趣旨を云々するというのも当の少年達にとっては片腹痛いということではないでしょうかね?
ひと頃では「試験でいい点数を取りたければ新聞を読め」なんて言われた時代もあったようですけれども、近頃ではまともな人間になろうと思うなら新聞になど近づくなという時代だと言うのもうなずける話ですが、気になるのは元々「羽織ゴロ」なんて言われていたくらいでモラルを云々しても仕方がないのは判るのですが、メディアとしての質自体が近頃ずいぶんと低下しているのではないかと言うことですね。
先日ネット上でちょっとした話題になっていて、実際に読んでみて何だそれはと思わずずっこけたのがこちらの記事です。

韓国に差し伸べるべき手=国際公共政策研究センター理事長・田中直毅(2010年11月16日毎日新聞)

 主要20カ国・地域(G20)首脳会議の開催地となったソウルを2週間前に訪れた時、街には熱気があった。何しろ主要8カ国以外の国で初めてG20の招集に成功したのだ。日時もアジア太平洋経済協力会議(APEC)の横浜開催の直前に設定できた。ソウルで世界経済の不均衡是正の具体策ができれば、「ソウル精神」が、数年間は言及されよう、との希望的観測さえ少なくなかった。

 ところが李明博大統領は米韓自由貿易協定(FTA)の最終合意をオバマ米大統領との間で取りまとめられなかった。中間選挙後のオバマ政権の世界システム全般に対する関与能力の低下を最初に実感するトップ会談となった。

 そもそも07年に合意した米韓FTAをオバマ政権はなかなか批准まで持ち込めずにいた。リーマン・ショックのあと、結局のところオバマ政権は輸出主導の景気回復を掲げて中間選挙を戦うことになる。今年6月のトロントG20で、米韓FTAの最終期限を11月のソウルG20に合わせたのは米国側の事情による。

 自動車と牛肉の対韓輸出条件が最後の障害として残った。全米自動車労組(UAW)は、韓国政府の求める環境対策車の基準設定では、対韓輸出は容易に進展しないと主張した。実質的な米国車の排除ではないか、との意見まで登場した。オバマ大統領にとって妥協の余地は限られていた。

 「祭りのあと」のソウルの雰囲気が気にかかる。絶好の最終合意の場所とタイミングの設定がかえってあだとなったのだ。2年後の大統領選挙までにぜがひでも雇用情勢を好転させたいオバマ大統領に、もう妥協するゆとりは残されていない。李大統領の落胆に対して、日本政府は自らが差し伸べられる手を早急に工夫すべきだ。

すみませんが、本文の文脈と最後の結論たる一行との間にどんなつながりがあるのか全く理解不能なのは自分だけではないと思いますし、実際ネット上では「なんでやねん」と突っ込まれ放題という状況なんですが、しかし一応にも全国紙にこんな記事を載せて平然としているとなると彼らのチェック機構の程度が知れるという話で、これは日本のマスコミも大丈夫なのかと本気で心配になってきますよね。
その毎日新聞ですが先日もこういう記事を出していまして、いやまさにこれは「必死だな」と返して欲しいと言うことなのかと言いたくなるような話です。

読めば読むほど:脱「ネットは参考」(2010年11月15日毎日新聞)

 前回「一度ネットに流れると……」で、紙の新聞なら未然に防げた誤りもインターネット速報では後追い対応となる例を紹介したが、ネット上の誤りを食い止める難しさを感じさせるケースはあちこちにある。

 今秋の国勢調査では、東京都をモデル地域として導入されたネット回答方式を試してみた。専用ページを開き、画面の指示通り入力していくと、短時間で送信完了。手軽だ。ただし途中の説明画面で、職名の例に「看護士」とあるのが目に留まった。男女を区別する「看護婦/士」の名称は法改正で8年前から使わなくなっており、変換ミスだろう。紙に記入する方式の案内冊子には正しく「看護師」と書かれていた

 またある時。大手の地図検索サービスで「択捉島」を探したところ、日本国内に該当なしとして「択捉島,ロシア」とキーワードを足すよう促された。北方領土を公然とロシア領扱い? 仮に政治的意図はないとしても、これが国内で出版された紙の地図なら大問題だろう。露大統領の北方領土訪問をきっかけに緊張が高まる中、修正しなくていいのかと心配になる。

 特に厳密さが求められる法令、条約などでさえ、政府各省の検索システムには「(正確性は)官報が優先する」との断りがあるし、その官報も電子版には「内容の正確性を問う場合は、印刷物である官報で再度確認」するよう注意が添えてある。ネットは参考程度という時代はまだ終わっていない

 そうはいってもネット情報の比重は増していく。世の中に不正確なものがあふれてしまうのを少しでも食い止めなければ……などと肩に力を入れても仕方がないが、そんな役割の一端を担ったつもりで、ネットの海へこぎ出そうとする手元の原稿たちに目を光らせようと思う。【校閲グループ・宮城理志】

いやいや、誤字を取り上げて「だからネットはまだまだ頼りにならないんだ」なんて言いたいのであれば、通読すれば必ず訂正記事の一つや二つは見つからずにはいられない活字メディアこそ「そんなに時間をかけて出版してるのにミス?」と笑われそうなんですがね。
要するに毎日さんとしては「だから皆さん新聞買ってください」と言いたいのでしょうが、同じような既存メディアとネットの違いを扱った記事ではあっても、こちらの方がまだしも説得力を感じるのは自分だけでしょうか?

茂木氏 新文化創りでネットがTVをリードする時代続くと指摘(2010年11月14日NEWSポストセブン)

 2010年は、新聞やテレビ、ラジオ、雑誌などのメディアのあり方が問われた年だった脳科学者の茂木健一郎氏は、「人間がさまざまな情報源とどのように向き合いコミュニケーションしていくかということは、脳の働きという視点から見ても興味深い」と語る。以下は、茂木氏の指摘である。

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 最近、ふと思ったことは、テレビ、とりわけ地上波テレビはなかなかしぶとく、底力があるなということである。インターネットなどの新しいメディアが普及して、テレビの地位が低下しているなどと言われている。確かにそうかもしれないが、それでも、たとえばゴールデンアワーの番組では10%程度の視聴率は当然。単純計算で1200万人以上が見ていることになる。

 インターネットがどれだけ普及したとしても、地上波テレビの番組ほど、多くの人が同時に接する情報など、そんなにはない。というよりは、これからもほとんどあり得ないだろう。

 ネットと地上波テレビの違いを突きつめていくと、背後に「独占」の問題が見えてくる。地上波テレビは、結局のところ、国家の免許による独占、寡占産業。「公共の電波」は限られており、チャンネル数も劇的に増やすことはできない。そんな中で、限られたオンエアタイムを、分け合っている。

 テレビは、国家を背景にした独占。一方、インターネットは何でもありの自由競争市場。ネットにおいて輝いている人と、地上波テレビで輝く人が違うのも、このあたりに原因がありそうだ。

 テレビで人気のある芸人やタレントでも、ネットで人気があるとは限らない。一方、ネットで人気がある人でも、テレビの世界で「座り」が良いとは限らない。

 もし、今後ネットの力がさらに増大して行くとしたら、人気者の勢力図も変わっていくかもしれない。一部の芸人さんは、そのあたりを見越して、すでにネット上での実験的試みをしている。ワイドショーに出てきて当たり障りのない発言をするコメンテーターは、ネットではあまり人気がない。テレビとネットでは、「市場」の性質が違うのである。

一度自由を味わった人間は、そう簡単には元には戻れない。視聴率のような「数字」ではテレビが圧倒的に優位でも、新しい文化を創るという実質においては、ネットがテレビをリードする時代が、当分は続くだろう。

ま、テレビというものは何であれcreateするものであると言うよりは、既存の何かしらを使って消費する側であるように思えますから、創造性と言う部分において他に劣るところがあったところで別にそれがどうしたではあるのでしょうが、いずれにしても既存マスメディアとネットとは同じ顧客を奪い合って敵対するものと言うよりは、それぞれ別な顧客層を抱える全く異なるメディアであるということは言えそうですよね。
別な言い方をすればネットという世界の住民はマス対象のお仕着せな既存メディアではなく、個々の顔(言論)が見えるネットという環境にこそ親しんでいるわけですから、一度自ら発信する自由を味わった人間は、ただ黙って他人の意見を拝聴するだけの立場には簡単には戻れないと言うことは説得力があります。
となると、既存のマスメディアとしては今までよりも格段に個人個人の需要に対応出来るようになる地デジ化などを契機に、せいぜい10チャンネル程度しかなかった時代とは違ったニッチマーケットにも対応可能な発信のあり方を考えていくべき時期であるのでしょうが、どうも一億総テレビ時代を経験している方々は力業で何とかしようと考えてしまうようですね。
NHKと言えば昨今では受信料未納や衛星デジタル契約率が気になるようで、あの手この手で回収にかかっているらしいことがよく話題になりますけれども、先日は会長自らこういう発言をしていることにネット界隈での注目が集まっています。

NHK:テレビとネット、同時配信検討 総務相にも打診(2010年11月5日毎日新聞)

 NHKの福地茂雄会長は4日の定例会見で、テレビ放送と同時にインターネット回線を使ってパソコンなどへ番組を配信する可能性について「視聴者目線で考えれば必然と考える」との考えを示した。実現するには放送法改正が必要だが、すでに片山善博総務相らに打診していることも明らかにした。

 福地会長は「テレビ以外で情報を入手する人がいる中、視聴者に合わせるのは我々の義務。視聴者もNHKがより利用しやすくなることを求めているのでは」と理由を説明した。

 現在NHKの番組のネット配信は特別に利用基準を設け、「NHKオンデマンド」などテレビ放送後の番組に限って行っている。

 同時配信が実現すれば、現行の受信料制度も抜本的な見直しが必要になる。NHKは先月29日に設置した「受信料制度等専門調査会」で、この点も含め専門家から意見を聞く。【長沢晴美】

一見するとなるほど、番組をネットでも見られるようにするとはなかなか視聴者目線ではないかとも感じられる話なんですが、その前振りとして先日も紹介しましたような「ドイツ方式も一つの選択枝」なんて話が出ているのが注目ですよね。
要するに現行の放送法第32条においては「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」という規定を楯に、「いやテレビないんで契約しません」なんて言われることがNHKとしては非常に困るわけです。
今回狙っている法改正で「テレビがなくとも受信料を支払う」という形に持って行けるならば、まさにテレビの設置にかかわりなく、全世帯・全事業所から受信料を徴収できるよう法改正を行いつつあるドイツの後を追う形で、どんな世帯からも合法的に受信料を100%取り立てる根拠が出来るということですよね。

先日も小沢一郎氏がマスコミ相手に会見を開くかわりにニコニコ動画に画像を流したなんてことがありましたが、このときもマスコミ各社がいかにも面白くなさそうに報道しているなんて話がネット界隈で話題になったもので、やはり彼らがネットに自分たちのシマを荒らされていると考えているらしいことは見え見えではあるようですよね。
しかし単に技術的進歩を考えてもより個々人の嗜好に応じた、個人専用メディアの時代が来ることは避けられそうにないわけですから、彼らもいつまでも過去の残照にばかり頼っていても時代遅れと揶揄されるばかりに終わりそうです。

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2010年11月19日 (金)

小異に注目するか、大同に注目するか

少し以前の記事ですけれども、こんな気になるニュースが出ていたことをご存知でしょうか。

医療事故の報告、過去最多のペース―日本医療機能評価機構(2010年10月13日CBニュース)

日本医療機能評価機構が10月13日に公表した「医療事故情報収集等事業」の第22回報告書によると、医療事故の報告が義務付けられている国立病院機構や自治体所管の医療機関など272施設(6月30日現在)の今年1-6月の医療事故の報告数は1005件で、年間報告数が過去最多だった昨年同期の946件を上回った

2004年10月の事業開始以来、報告が義務付けられている施設からの年間報告数は、昨年の1895件が最多。今年1-6月の報告数は昨年同期よりも59件増えた
一方、任意で参加している554施設(6月30日現在)の1-6月の報告数は231件で、既に昨年1年間の169件を上回った。件数増について同機構の後信・医療事故防止事業部長は、参加施設数の増加が要因の1つとみている。

1005件を事故の程度別に見ると、「死亡」が8.1%、「障害残存の可能性がある(高い)」が10.9%、「障害残存の可能性がある(低い)」が27.4%、「障害残存の可能性なし」が28.0%、「障害なし」が21.5%、「不明」が4.2%
事故の概要では、「療養上の世話」(45.2%)と「治療・処置」(22.5%)が多かった
発生要因(複数回答)では、「観察を怠った」(11.6%)、「確認を怠った」(10.7%)が多く、次いで「判断を誤った」(9.8%)、患者が自らチューブを抜くといった「患者側」(9.3%)などと続いた

一方、「ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業」に参加する987施設(6月30日現在)から4-6月に報告されたヒヤリ・ハットの発生件数は14万 1984件。これを項目別に見ると、「薬剤」が33.5%で最も多く、これに「療養上の世話」(22.8%)、「ドレーン・チューブ」(16.2%)などと続いた
また、事例情報を報告する540施設(6月30日現在)から4-6月に報告された事例件数は6648件で、1-3月の2450件と比べて大幅に増加した。

■薬局ヒヤリ・ハット報告件数、半年間で約5000件
同機構が公表した「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」の第3回集計報告によると、同事業に参加する2841の薬局(6月30日現在)から1-6月に報告されたヒヤリ・ハット事例は4989件だった。後部長は、参加薬局のうち1件でも報告したのは319薬局だったことについて、「全体の1割程度で、まだまだ少ない」としている。

事例の概要を見ると、「調剤」が93.5%を占め、「疑義照会」は6.3%、「特定保険医療材料」は0.2% だった。「調剤」の内訳は、「数量間違い」が40.6%で最も多く、以下は「規格・剤形間違い」13.2%、「薬剤取違え」9.8%と続いた。発生要因 (複数回答)では、「確認を怠った」(57.7%)が最も多く、「勤務状況が繁忙だった」(15.5%)がこれに次いだ。
後部長は、事例の概要で「医薬品の販売」の報告数がゼロだったことについて、「実際には発生していると思う。数字が実態と乖離して誤解を招いてはいけないので、ぜひ報告してほしい」と話している。

こういう数字の場合、もちろん実際には全数把握出来ているわけでもないでしょうからあまり増えた、減ったを論じても仕方がないという考え方もある一方で、少なくとも現在のところこうした事故報告例がこれだけの数出ているということは、現場ではまだまだ事故を報告しようというモチベーションが保たれているということの傍証ではあるのでしょうね。
すでに二年ばかり前の話ですが、副作用や合併症に関する症例報告があっという間に激減して、とりわけ診療中に起きた個別の事例に関する報告は実質ゼロになってしまったなんて話が大きな反響を呼びましたが、こうした報告はあくまで再発防止のために用いてこそ意味があるものを、医療訴訟激増等の余波で個人責任追及の場に流用されるようになればどうなるかということを如実に示した好例だったと言えるでしょう。
先日の厚労相調査でも病院内で患者側と病院側との仲介を行う医療対話仲介者について、実際の相談内容(複数回答)として「医療過誤について」が90%と「診療内容について」の93%に次ぐ高い数字を示していることからも、医療現場ではこのあたりの領域に大きな関心が寄せられているし、神経質にもなっているという現実があるのは明らかですが、そうした状況になれば結局困るのは誰かということです。

そんな中で、先日今度は消費者庁の方からこういうニュースが飛び出してきていまして、またこれは考えようによってはずいぶんと意外な反響を呼びそうな話だなと思いながら拝見したものです。

医療機関に「調査員」 消費者庁、事故情報を収集(2010年11月11日日本経済新聞)

 消費者庁は11日、病院の入院患者の身の回りで起きた製品やサービスにかかわる事故情報を集める「調査員」を全国13カ所の医療機関に配置すると発表した。今月下旬に研修を実施し、12月から本格的に調査業務を始める。医療機関との連携を深め、事故の原因究明や再発防止につなげる。

 消費者庁によると、調査員は家電や乗り物などにかかわる製品事故、介護や入浴中の事故など様々な要因で入院・通院する患者の情報を患者本人や家族、医師らから聞き取り、同庁に報告する。

 調査員となるのは同庁の研修を受けた看護師や病院事務職員ら。国立成育医療研究センター(東京)、京都第二赤十字病院(京都市)など13医療機関に1~2人ずつ配置。内部の人材を活用するか外部から招くかは各病院が決める。

 医療機関の情報は従来国民生活センターが集めていたが、事故の原因などの詳細な情報は集まりにくかった

 製品自体に原因があると断定できず、不注意や誤使用が原因とみられる事故は同庁に情報が届かないこともあり、こうした事故も医療機関との協力を通じて調査する。

もちろんここでも目的は「事故の原因究明や再発防止につなげる」ことであると言うことになっていますけれども、消費者の視点から政策全般を監視する組織の実現を目指して設立されたという消費者庁というものの性質からしても、果たして素直にそれだけの話で終わるものだろうかと誰しも考えそうなものですし、そもそも当の消費者の視点から考えて納得できるものかどうかですよね。
こういう動きを見て思うことに、長年スルーされてきた医者の労基法違反問題が厚生省と労働省の統合以来急に世間を賑わすようになったことと同様、この医療事故の件に関しても消費者庁という新たな視点が入ることで意外な急展開があるんじゃないかとも感じるんですが、果たしてどういうことになってくるのか今後に要注目でしょう。
いずれにしても医療の消費者たる患者の側にもこうした制度に求めるものがある一方で、医療の提供者たる側にも求めるものがあるのは当然ですから、そのあたりの摺り合わせをきちんとしていかないことには詳細云々と言う以前に、現場の実情を反映した生情報は到底集まらないだろうとは言えそうです。

こういうそれぞれの思惑と利害の複雑に絡み合う話は簡単には片付かないでしょうが、医療側にせよ患者側にせよ医療安全推進の必要性を痛感していることは共通ですから、まずはそちらの方から手に手を取って話を進めていくというのも合理的ではありますよね。
先日は日医主催で医療安全の講習会が開催されましたけれども、前述のような問題点は昨今ある程度共有するところとなってきているようですから、後は理念ばかり先走らず現実的に一歩一歩話を進めていく忍耐が、関係者各位に求められる段階だということなのでしょう。

医療安全推進、「予防」に向けた取り組みを(2010年11月4日CBニュース)

 日本医師会は11月3日、医療機関や福祉関連施設の従事者などを対象に、医療安全推進者養成講座で「講習会」を開催した。厚生労働省の関係者ら4人がシンポジストとして参加し、医療従事者と患者間での対立や紛争などの「予防」に向けた取り組みの重要性を指摘した。

 この日はまず、同省医政局総務課の渡辺真俊医療安全推進室長が「我が国の医療安全施策の動向」と題して講演。同省が医療事故調査の制度創設に向けて 2008年に公表した「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」が制度化されていない理由について、「個人的な見解」と前置きした上で、▽関係者間の合意が十分に得られなかった▽医師不足などが叫ばれる中で、調査を誰がどこでどのようにやるかを詰める段階になかった―ことを指摘。今後は民主党案も含めて幅広く検討を行い、「当事者のみならず、国民的な議論をしていく必要があると思う」と述べた。

 続いて、日本医療機能評価機構医療事故防止事業部長の後信・産科医療補償制度運営部技監が、同機構の医療事故情報収集等事業や産科医療補償制度などを紹介。同制度は「補償」と「原因分析・再発防止」の2本柱で、補償を中心とする海外の類似制度と比べて、「同じ比重で原因分析・再発防止もやることになっているのが非常に特徴的だ」と述べた。また、産科の枠を超えた公的な補償制度の創設を望む声が聞かれると指摘した上で、「壮大な話なので、実現性についてはよく分からないところもある。いろいろな診療分野の中での議論の蓄積も必要だと思う」との考えを示した。

 さらに、東大大学院医学系研究科医療安全管理学講座の高橋知子特任研究員が、全国378か所(昨年12月1日現在)の医療安全支援センターの現状について説明した。同講座は07年度から、同省の委託を受けて「医療安全支援センター総合支援事業」を実施。同事業ではセンターの職員が参加するプロジェクトチームを立ち上げ、これまでに相談対応ガイドブックや住民向けの教育啓発用ツールのひな型などを作成してきたという。高橋氏は同センターについて、「発展中の組織だ。現場の方たちと在り方を探っていきたい」と述べ、医療機関とのネットワーク構築に向けた協力を参加者らに呼び掛けた。

 その後行われたシンポジウム「医療界全体の協働で強固な安全対策を」では、講師3人に加え、同講座の児玉安司教授がシンポジストとして参加した。児玉氏は、3氏の講演内容について「対立や紛争(の解決)ではなく、その予防をどうするかという大きなテーマがあったように思う」と指摘。医療安全支援センターについて、「予防の手だてを考えていく中で、どのようにコミュニケーションをよくするか、どのように相互理解を進めていくかという新しいスタイルの行政サービスを模索している」と述べた上で、現場の医療従事者や患者の声にしっかりと耳を傾ける必要性を強調した。

医者側と患者側とが同じ補償獲得という共通目標を目指して協力するという無過失補償などもそうですが、医療の提供側と患者側とがいたずらに向き合い対立する関係に陥るよりは、お互いに同じ方向の目線でいた方が相互理解も進むだろうし、余計なトラブルも少なくなる道理なのは冷静に考えれば理解できることですよね。
物理的には近そうに見える医者と患者の関係も実は案外敷居が高いことに加えて、以前は間にマスコミなどのバイアスが挟まっていた関係もあって決して意思疎通が円滑とは言えないものでしたが、この数年ネットなどを通じて両者が直接的に対話する機会も増えたせいか、格段に相互理解が進んできたんじゃないかという印象も受けています。
結局のところお互い対立したところでどちらにとっても何の得にもならないわけですから、それだったらなるべく仲良くやっていった方が双方にとって良いのだろうし、昨今盛んに言われるようになった医者の接遇スキル向上や患者の受診態度の改善といった相互のマナー向上といった話も、どちらかがということではなくどちらもがその一助になるんだろうと思いますね。
その場合にも最終的に必要になるのはやはり、「相手と仲良くしておいた方が、自分にとっても得になる」という共通認識を、双方がしっかり共有しておくということなのでしょう。

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2010年11月18日 (木)

奈良県立病院産科医訴訟、二審判決下る

このところ裁判員制度初の死刑判決だとかコンニャクゼリー窒息死事件の民事判決であるとか、注目するに値する判決が相次いでいますけれども、奈良県の産科医が県を相手取って起こした訴訟の二審判決も大いに注目に値するものですよね。
一審判決を受けての荒井正吾・奈良県知事の「当直勤務時間すべてを割増賃金の対象とする判決は適切ではない。診療をしていない待機時間は労働時間から外すべきだ」の発言でも有名になった本事件ですけれども、大阪高裁では一審判決を支持という結論を下したようです。

奈良産科医訴訟、二審も「当直は労働時間」 大阪高裁判決 (2010年11月17日日本経済新聞)

 奈良県立奈良病院(奈良市)の産科医2人が当直勤務の時間外割増賃金などの支払いを県に求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(紙浦健二裁判長)は16日、「当直は労働時間」と認め、県に計約1500万円の支払いを命じた一審・奈良地裁判決を支持、原告、被告双方の控訴を棄却した。

 判決理由で紙浦裁判長は「当直医に求められる業務は通常業務と同じで、労働基準法上の労働時間と言うべきだ。県は当直勤務の時間全部について割増賃金を支払う義務がある」と指摘した。

 原告側は、休日も呼び出しに備え自宅で待機する「宅直勤務」も労働時間と認めるよう求めていたが、紙浦裁判長は「産科医らの自主的な取り組みで、業務命令に基づくとは認められず、労働時間には当たらない」と一審と同様に退けた。

 ただ紙浦裁判長は、産科医の多忙な業務の実態にも言及。「産科医の負担が医師の職業意識に期待される限度を超えている場合、県は、複数の当直担当医を置くか、自宅待機を業務と認め適正な手当を支払うことを考慮すべきだ」と述べた。

 判決によると、産科医2人は2004~05年にそれぞれ約210回、夜間や休日の当直勤務をした。分娩(ぶんべん)に立ち会うことも多く、異常分娩時の診療行為を含め、睡眠時間を十分取ることが難しい勤務環境だったが、県は当直1回につき2万円の手当を支給するだけで、時間外労働の割増賃金を支払わなかった

産科医の当直、時間外支払い命じた一審支持 大阪高裁(2010年11月16日朝日新聞)

 産婦人科医の夜間や休日の当直勤務が労働基準法で定められた「時間外手当」の支給対象になるかが争われた訴訟で、大阪高裁の紙浦健二裁判長は16日、対象になると判断して奈良県に計約1540万円の支払いを命じた一審・奈良地裁判決を支持し、原告・被告双方の控訴を棄却した。

 原告は奈良市の同県立奈良病院に勤める産婦人科医の男性2人。各地の病院の産婦人科医の多くも同じ問題を抱えているといい、代理人の藤本卓司弁護士は「高裁レベルで支給対象と認められたのは初めてで、産婦人科医療に影響を与える可能性がある。問題の背景には産婦人科医の絶対的な不足があり、数を増やすための国の対応が求められている」と話している。

 高裁判決によると、2人は04~05年に210回と213回の当直をこなし、1人は計56時間連続して勤務したケースもあった。これに対し県は「当直は待機時間があり、勤務内容も軽い」として時間外手当の対象外と判断。当直1回につき2万円を支給した。

 紙浦裁判長は、産婦人科医不足で県立奈良病院には県内外から救急患者が集中的に運ばれ、分娩(ぶんべん)件数の6割以上が当直時間帯だったと指摘。当直勤務について「通常業務そのもので、待機時間も病院側の指揮命令下にあった」と判断した。緊急時に備えて自宅待機する「宅直勤務」は時間外手当の支給対象と認めなかったが、「繁忙な業務実態からすると過重な負担で、適正な手当の支給などが考慮されるべきだ」と述べた。

 武末文男・同県医療政策部長は判決後に県庁で記者会見し、「判決に従えば夜間や休日の診療が困難になる。国に労働環境改善と救急医療の両立を図れる体制作りを要請したい」と述べ、上告についても検討するとした。県側は2人の提訴後の07年6月以降、県立病院の医師が当直中に治療や手術をした場合、その時間に限って時間外手当を支給する制度を導入している。(平賀拓哉、赤木基宏)

聖地としての名をますます輝くものにするためにも、奈良県には是非とも上告を前向きに検討していただきたいと思いますが、「判決に従えば夜間や休日の診療が困難になる」というのであれば、まず診療を制限することから始めるというのが今の時代のとりわけ産科における世の流れであって、実際に各地で出産制限や分娩取り扱い停止といった身の丈にあった業務体制にまで縮小する施設が相次いでいます。
それでは市民サービスに支障が出る!公立病院として許容できない!なんてことを考えている県当局の人間もいるやも知れませんが、市民に必要欠くべからざるサービスを提供するのは行政の役割であって、現場のスタッフが行政当局の犠牲に甘んじなければならないなんて無法は現代社会にそぐわない発想ですよね。
一方で今回の判決においても「医師達の自主的な取り組みであった」として勤務時間には認定されなかったわけですが、とりわけ奴隷公立病院などに勤務している先生方はきちんと業務命令は文書で受け取る、当直表は事務方に作成させるといった自衛措置を取っておかなければ危険であるということですね。

各紙ともそれぞれの扱いをしているこの判決ですけれども、比較的前後の事情を詳しく報じているのが当然ながらと言うべきか毎日新聞で、何しろ「聖地奈良+毎日新聞」という強力タッグともなれば世間の注目も集まろうと言うものですが、まずは記事を紹介してみましょう。

産科医割増賃金訴訟:「時間外労働」認定判決 県「直ちに実施、不可能」 /奈良(2010年11月17日毎日新聞)

 ◇産科医師1.5倍必要 国に対策要請へ

 県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人が、夜間や土曜休日の宿日直勤務に対し、割増賃金などの支払いを求めた訴訟の控訴審判決は、昨年4月の1審・奈良地裁判決と同様、勤務を割増賃金の対象となる「時間外労働」と認めた。判決を受けて、県庁で記者会見した武末文男・県医療政策部長は「直ちに(判決内容を)実施することは不可能」とし、国に労働環境の改善と救急医療の継続・維持への対策を要請する意向を明らかにした。【阿部亮介】

 現在、同病院には7人の産科医が勤務し、24時間体制で妊婦を受け入れている。県と同病院は今年7月に労使協定を締結。医師の時間外労働は年間1440時間を上限とし、特別な事情があれば協議のうえさらに360時間延長できるとした。
 判決によると、2人は1カ月平均9回弱の宿日直勤務をしているが、1回2万円の手当が支給されるだけだった。
 同病院はこの宿日直手当と時間外労働手当の併給方式を採用。すべて時間外労働とすると、法定労働時間や労使協定の上限を上回り、武末部長は「(昼夜の)交代制勤務が必要になるが、交代制には現在の医師が1・5倍必要。医師を増やすには10年かかる」と説明した。
 県は時間外労働の縮減に努めているが、深刻な医師不足の中で改善の見通しは立っていない。武末部長は「24時間365日急患への対応を求める医療法の宿直と、軽微な作業を前提とした労働基準法の宿日直を明確化することを国に求めたい」と話した。

いや、判決内容を実施することが不可能でもなんでもないことは既に全国の先行例が実証していることでもありますし、県立病院医師の労働環境改善が何故国に対して要望されるべき事項であるのかもいささかの説明を要する気がしますが、逆にこうした土地柄であったからこそ産科の先生方も訴え出ずにはいられなかったということなんでしょうね。
現状でも未だに産科医が7人いるわけですから、適切なコントロールを行えば業務量管理には幾らでもやりようはあると思うのですが、例によって「取れるものは何でも取れ」式の公立基幹病院流のやり方をやっている限りは無理な話であって、このあたりは県の医療政策部長などと言うよりも病院の管理者側にも大いに問題があるのではないかと思います。
同病院のHPを拝見させていただくと正常な出産も多く取り扱っているらしいことに加え、妊娠初期から一貫しての妊婦検診がまるで売りであるかのように大きく取り上げられているのですが、PICU、NICUも併設した産科30床に婦人科16床で高度医療も相応にやっていらっしゃるのでしょうから、失礼ながらどこの施設でもやれるような業務に手を出している暇はないのではないかとも思うのですけれどもね。

さて、意外にも?今回の判決を大きく、かつ継続的に取り上げているのが産経新聞であるというのは、MSNなどのニュースサイト用にキャッチーな記事を取りそろえる必要性もあるということなのかも知れませんが、何しろ医療報道に関してはかねて定評のある同紙だけに、ともすると斜め上方面の切り口への期待も高まってしまうのは困りものですね(苦笑)。

2審も「時間外労働」認定 体制見直し迫る判決 奈良病院当直訴訟(2010年11月17日産経新聞)

 病院の当直勤務を時間外労働と認めず、一律の宿直手当しか支給しないのは不当として、奈良県立奈良病院(奈良市)の男性産科医2人が、県に平成16~17年の時間外手当(割増賃金)の支払いなどを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(紙浦健二裁判長)は16日、県に計約1500万円の支払いを命じた1審奈良地裁判決を支持、「当直勤務の全体が労働時間に当たる」として双方の控訴を棄却した。

 原告側代理人によると、医師の当直全般を労働時間と認めた判決は高裁では初めて。多くの公立病院では、業務の一部にしか時間外手当が支給されておらず、1審に続いて労働環境の見直しを迫る司法判断となった。

 判決で紙浦裁判長は、奈良病院で行われた16~17年中の分娩(ぶんべん)のうち、6割以上が当直時間帯だったと指摘。周辺の産科医不足から同病院に患者が集中し、土・日曜の当直を続けて担当すると、56時間拘束される場合もあったと述べた。

 こうした過酷な労働実態を踏まえ、割増賃金を支払う必要がない「断続的労働」には当たらないと判示。待機中であっても病院の指揮命令下にある労働時間にあたり、「当直全体で、割増賃金を支払う義務がある」と結論づけた。

 一方、救急搬送に備えて自宅待機する「宅直勤務」を時間外労働と認めるよう求めた原告側の主張については「医師らの自主的取り組みで、労働時間には当たらない」と退けたが、「現状のままでいいのか、十分検討すべきだ」と付言し、県知事や議会に実態調査と体制の見直しを促した。

 判決によると、奈良病院の産婦人科では、夜間や休日の当直を1人で担当。産科医2人は16~17年に、それぞれ約210回の当直についた。手術を含めた分娩への対処に追われ、通常勤務より負担感が重かったが、1回2万円の宿直手当しか支給されなかった。

産科医不足 抜本策が急務

 産科医の過酷な勤務実態を認め、当直体制の見直しにまで言及した高裁判決について、原告側代理人の藤本卓司弁護士は「全国どこの病院も同じような状態。与える影響は大きい」と評価した。

 ただ、産科医の絶対数が不足している現状では、医療体制の早急な改善は望めない。「開業医の協力を求めるなど、抜本的な対策を取らないと、いつまでたっても労働基準法に違反する状態が続く。国レベルでの対応が必要」と指摘した。

 一方、奈良県庁で会見した武末文男・県医療政策部長は「夜間や休日診療の継続が困難になる」と反発した。控訴審で県側は、時間外手当の支給を必要としない「断続的労働」として、労働基準監督署から当直許可を受けていると訴えてきたが、判決は「労基署の想定とはかけ離れた実態で、許可は取り消されるべきだった」と指摘、県側の主張の根拠が否定された。

 県では一律2万円の宿直手当に加え、平成19年からは急患に対応した場合に時間外手当を加算する併給方式に改めた。しかしこの方式も退けられる形となり、武末部長は「交代制勤務などの対応も必要になるが、医師不足の状況で直ちに実行するのは不可能だ」と苦渋の表情を見せた。

 さらに「この問題は県だけでなく全国共通の課題。判決の影響で救急医療が難しくなる地域も増えるのではないか」と話した。

こうして見てみますと、割増賃金がどうこうと言う以前にそれは人としてさすがにどうよ?と思われるような労働環境が常態化していたことが判りますが、これを単に「周辺の産科医不足」の一言で片付けてしまっても良いものなのでしょうか?
ご存知のように東北など医療過疎が叫ばれている地域では、我が町どころか隣町まで行っても産科医など存在しないということが何ら珍しいことではありませんが、奈良県などはどちら方向に進んでもせいぜい数十キロ圏内に都市部が存在しているわけですから、こうした基幹施設に「ご近所さんだからローリスク妊婦でも全部受け入れろ」なんて無茶を言う方がおかしいということでしょう。
地方の公立病院などではいろいろなコネクション絡みであちらからもこちらからも適応外の割り込みが多いものですけれども、「判決の影響で救急医療が難しくなる地域も増える」という前にこうした基幹施設は救急に特化し待機的な正常分娩は取り扱わないといった、施設の性質をきちんとアナウンスした上での業務の方向付けが必要であるし、何より公立病院において一番遅れているのがそうした取り組みではないでしょうかね?

そして何より県側が「そんなことを言ったら現場が回らない」などと何をいったところで、そもそも過酷な環境で働かせた分だけきちんとした手当くらいは支払っていれば、こうまで問題がこじれる前に何かしらの妥協が成立していた可能性も高いわけですから、未だに知事自ら「医者などにそんな金は払えん!」と主張しているようでは何ら同情の余地はないということでしょう。
金は出さない、受け入れ制限もしない、とにかく黙って働けではいずれスタッフの逃散も招きかねないという話ですが、他府県の例を見てもどう考えても無理と言う状況にまで一度崩壊してしまった方がまともな業務環境に戻る早道ということもあるようですし、県当局も自分が敢えて悪者になって後腐れのない抜本的改革を目指しているというのであれば、これはこれで一つの英断なのでしょうがね。

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2010年11月17日 (水)

医者の定着に必要なものは?

先日見ていまして持った湯飲みをばったり落とし…ではないですが、確かにその通りと言う話がこちらの記事です。

長時間勤務の外科医は燃え尽きやすく患者のリスクにつながる(2010年11月2日HealthDay News)

 長時間勤務する外科医が燃え尽き(burnout)状態やおよびうつ状態になり、患者の安全性に問題が生じるほか、依存症や自殺など医師個人での問題が起こるリスクも高いことが、新しい研究で示された。

 米ジョンズ・ホプキンス大学(ボルチモア)およびメイヨー・クリニック(ミネソタ州ロチェスター)の研究グループによると、米国の外科医7,905人を対象とした2008年の調査データを分析した結果、週80時間以上の勤務を申告している外科医の50%が燃え尽き状態の基準を満たしており、約40%がうつ状態であることが判明。さらに、11%が最近3カ月以内に重大な医療ミスをしたことを認めており、20%が今選択できるなら再び外科医にはなりたくないと回答した。

 この知見は、長時間勤務と当直が外科医の苦悩をもたらすことを示すものであると、研究著者である米ジョンズ・ホプキンス大学医学部外科教授の Charles M. Balch博士は述べ、「仕事量と苦悩の間には強い相関があり、外科医の私生活および仕事にもそれが現れる」と指摘している。

 一方、週80時間以上の勤務や週3回以上の当直をしている医師を含めて、調査対象となった外科医の3人に2人が、勤務時間を制限することは却下している。ただし、給与制で働く外科医は、出来高給より勤務時間の制限を望む傾向があった。Balch氏は「勤務時間の減少によって、必ずしも医師の満足感や、医療の向上が得られるとのエビデンス(科学的根拠)があるわけではない」と指摘。「外科医が必ずしも自分の仕事量を監視されることを望んでいるとは考えられない」と述べ、勤務時間を規制するのではなく、燃え尽き状態になるリスクの高い外科医を早期に特定することに焦点を合わせるべきだとしている。この研究は、米国外科学会誌「Journal of the American College of Surgeons」11月号に掲載された。

原文

あの先生は夜通し患者のために働き通したなどと、まるで美談か何かのように語る風潮が世間のみならず医療現場にすらありますけれども、ではその夜通し働き通した医者に自分が診てもらいたいかと言われれば、たいていの人は「う~ん…」と躊躇するはずですよね。
むろんどんな仕事であれ人の命がかかっているともなれば、いざというときに通常の水準を超えた頑張りというものは必要になるのは言うまでもありませんが、逆に言えば日常的にその行動の一つ一つが人の命に関わらずにはいられない医療の現場であるからこそ、常に100%の力を発揮した上に非常事態にも対処出来るような余裕のある勤務体系を構築していかなければ、必ず患者のリスクが増大してしまうということです。
以前から旅客機のパイロットなどは厳しい就業の規定がありますし、長距離トラックの運転手なども過労につながるシフトを強いたともなれば会社がお上に叱責される時代にあって、何故か医療の世界においては奴隷公立病院の事務長などが「いやあ、そんなことを言われても医者のセンセイが来てくれないものでねえ。ワッハッハ」なんてふんぞり返っているのは、考えて見ると極めて奇妙な現象だと言えそうです。

こうした基本的人権感覚に対する認識の乏しい方々の施設の将来はともかくとしても、自らの命を預ける患者の側とすれば過労死寸前の医者など御免被りたいというのは当然ですが、では医者の過労を避けるべく何をどうしたらいいかと考えた場合に、誰でも真っ先に思いつくのが医者を増やせば一人あたりの負担も減るんじゃないの?ということでしょう。
実際国は医師大増員計画を絶讚遂行中ですし、どこの病院でも医者集めに必死になっているのは各種報道でも知られている通りですが、それでは医者よ来いと求人を出して黙って待っていたところでどこからも医者の来る当てなどないというのも、今の時代の常識というものですよね。
昨今では何事であれハウツーものというのが人気なんだそうですが、医療の世界においてもいろいろな立場から様々な「こうすれば医者は来る!」なんて提言が語られていて、見ていますとなかなか面白いものもあるようなんですね。

この人に聞く:地域への医師定着、必要なことは? 茆原順一・秋田大病院長 /秋田(2010年11月9日毎日新聞)

 70年に戦後初の国立大医学部として設立された秋田大医学部。県内外に多くの人材を輩出してきたが、近年は研修医の減少など課題も抱えている。また県内病院の医師不足も深刻さを増す一方だ。同大出身者では初めて付属病院長に4月就任した茆原順一さん(59)に、病院の取り組みや医師不足解消への課題を聞いた。【聞き手・岡田悟】

 ◇大学と往復で人材育成 医療の質と将来性確保を

 ●県内でも医師不足が叫ばれており、育成や派遣を担う秋田大医学部や付属病院への期待は大きい。

 医学部設立時と06年の県内の人口10万人あたりの医師数を厚生労働省の資料を基に解析したところ、大幅に増えている。地域医療に果たしてきた役割は少なくない。県内で多くの出身医師が活躍しており、県全体の医療体制が不十分だとの指摘や批判には身を切られる思いがする。

 ●卒業生の定着状況や、定着のための取り組みは?

 (09年度の卒業生100人中、付属病院での初期臨床研修医11人は)多いとは言えず、反省しないといけない。(卒業生が研修先を自由に選べる)新医師臨床研修制度が04年度に始まる前から、この制度では地域医療がめちゃくちゃになると懸念していた。ただ、県内の他の研修指定病院にも卒業生の研修医はいる。

 付属病院では、模型を使って内視鏡検査や心肺蘇生などを訓練する「クリニカル総合シミュレーションセンター」(仮称)を来秋にも設置する。県内の医師や看護師らへのキャリア教育を充実させ、県内医療全体の向上につなげる。初期臨床研修後に専門医研修を受ける医師も増やしたい。

 ●医師定着のために必要と考える県内での取り組みは?

 秋田は、医師1人あたりでカバーする面積が広い。そのうえJA秋田厚生連の新築病院の多くは交通アクセスが良くない。また医師数を増やすだけでなく、地域医療の質や将来性を維持することも重要だ。研修医をただへき地に派遣すればいいというわけではない

 医学部としては研修医一人一人の特性を見極め、将来に責任を持って教育する必要がある。

 付属病院はダイナミックな教育システムとして有効だ。研修医が県内病院での一定期間の研修後、付属病院に戻ってより難しい症例に挑むなどキャリアアップし、再び他の医療機関で活躍するという方法を提案したい。実現には県内の研修指定病院の理解が必要で、丁寧に説明したい。

 ●県や厚生連が打ち出した湖東総合病院(八郎潟町)再編論議で、県議会から「秋田大が医師派遣に難色を示している」との見方も出されたが?

 秋田大が派遣している医師を引き揚げて(病院を)つぶすという考えはまったくない。教授の命令一つで医師を派遣したり引き揚げたりできる時代でもない

 秋田大医学部として言いたいことは、こちらの人材を有効に活用してほしいということ。行政や厚生連が地域医療への姿勢を明確にしたうえで、秋田大に求める役割を示せば、こちらもできる限りのことをする。

秋田大学と言えば記事にもありますように、先日もJA秋田の運営する新病院に大学からは医者を出せないなんて話があって、県当局から地域医療への貢献も必要だろうと苦言を呈されたのは記憶に新しいところですけれども、その秋田大病院長が医者集めのノウハウを語るなんてのは、何かしら故・横山やすしが子育て本を出すような怪しさを感じなくもないですよね(苦笑)。
大学病院マンセーな内容は立場上仕方がないとしても、ここでは「研修医をただをただへき地に派遣すればいいというわけではない」と、医者を使う側の責任というものに関しても一定の言及をしている点は評価できるところで、逆にいえば世間の要求に従って医局の人事機能を手放し、医者の将来に責任を持てなくなったからこそ大学医局はその存在価値を失ったとも言える話ですよね。
そして秋田大学流の取り組みが到底成功しているとは言えない以上、臨床研修プログラムを魅力あるものにするといった話だけでは仮に成功したところで、研修医をただいっとき大学病院に囲い込むだけに終わってしまうとも言え、地域への医師定着には到底つながらないという現実をまず認識しなければならないでしょう。

大学病院という旧来の権威がこの調子ですから、各地の医師不足にあえぐ地域、病院は自ら新たなモデルを構築していかなければならないわけですが、実際に全国各地で医者を呼び込む、そして何より医者が逃げ出さないようにするという取り組みが行われています。
今の時代にあって何より医者を潰しかねないのが業務量の過剰であり、おいそれと医者を呼ぶこともままならないということになれば、これはどうしても業務量の制限のために医療需要の側に制限をかけざるを得ないという話になりますが、この点で医療の受益者たる市民の自己抑制がどれほど働くかということが、昨今の医者が最も気にしている地域の民度と言われるものを反映する指標だとも言えるわけですね。

地域医療守り育てる 袋井のNPO、活動を本格化 /静岡(2010年11月10日静岡新聞)

 医療危機の解決に向けて地域医療と住民との間の信頼構築を目指すため、袋井市のNPO法人「ブライツ」(村田朝子理事長)は、「安心できる地域医療を守り育てる市民活動」を11月から本格的に展開する。
 全国的に医師不足や診療科の閉鎖が伝わる中、袋井市でも総合病院へのいわゆるコンビニ受診や救急車の安易な利用など、健全な医療サービスの崩壊につながりかねない実態がアンケートなどで浮かび上がっている。
 ブライツは、医療従事者や行政関係者を交えた市民座談会を開催し、市民側の認識の軌道修正を図る考え。かかりつけ医、かかりつけ薬局を持ち、病状に応じて総合病院と診療所を使い分ける本来の受診の在り方を構築していく。
 袋井市は現市民病院を閉鎖し、掛川市民病院と統合した新病院を2013年に開設する。統合の背景には医師不足があるが、村田理事長は「『大きな病院ができる』とむしろ喜ぶ人もいるのが現実」と指摘。地域医療の正しい理解はもちろん、究極的には「体調の悪い人が近所にいたら助け合う、自助の形をつくりたい」(村田理事長)としている。
 市民座談会は「しゃべり場救急座談会」と名付け、第1弾は16日午後7時から同市方丈の「ふらっと」で行う。
 同法人の活動は市の協働まちづくり事業の一環。年間活動費約40万円に対し、3年間は市から約26万円が助成される。

「『大きな病院ができる』とむしろ喜ぶ人もいるのが現実」と言うのも確かなんでしょうが、今の時代にそうした情報はあっという間にネット上で共有される時代ですし、何より今どき地方公立基幹病院と言えば地雷原そのものというのが常識化していますから、各地で公立病院統合などと行政が熱心にやっている割には、立派な新病院を作れども医者は来ないということになっているわけですよね。
記事にもある通り、最近では不要不急の受診を「コンビニ受診」なんて言い方をしますけれども、多忙な現場の感覚としてこんな人たちが増えてもらっても困るのは当然ながら、実際にデータの上でも「いつでも気軽に病院へ」という好ましからざる風潮が広がっていることが示されるようになってきました。

◆レセプトを読み解く レセプトデータから見た「コンビニ受診」の実態(2010年8月4日日経メディカル)より抜粋

 数年前から、「『コンビニ受診』の増加により医療崩壊が進んだ」といった内容の報道が目に付くようになりました。ただ、 実際にコンビニ受診はどのくらいあるものなのでしょうか?いつものように健保組合のレセプトを分析してコンビニ受診の実態に迫ってみたいと思います。
(略)

「休日」受診比率が高い中小病院

 次に、中小病院(20~199床)における初診の時間外受診の実態を調べてみました(図3、4)。診療所と比べると、0~10代の小児・若年層における時間外比率が2割前後になっているのが特徴的です。

 また、休日受診がぐっと増えて、時間外受診の約半数を占めています。「深夜」受診も、診療所より高い比率です。小児・若年層における時間外受診が増えているのは、休日受診の多さがその主たる要因のようです。診療所の場合、休日も対応しているケースはまれです。一方、親としては、どんな時間帯であっても子どもの不調は心配ですから、結果的に、病院での受診比率が高まるのでしょう。

 小児・若年層と比較すると、大人の休日受診率はそれほど高くありません。多少の不調は我慢して、休み明けに受診する傾向が強いのでしょう。以前、この連載で曜日別の患者数を分析しましたが、ほとんどの病気において休日明けの月曜日の患者数が多かったことを思い出しました(2008.12.19「初回受診の患者が多いのは何曜日?」 )。

200床以上では「深夜」比率が高いのが特徴

 最後に、200床以上の病院について見てみます(図5、6)。年齢を問わず初診の時間外受診の比率は総じて上昇し、0~10代の小児・若年層に至っては5割前後、20~40代でも2~4割に達します。200床以上となると救急指定病院も増えますので時間外受診の比率が高まるのは分かりますが、こんなにも多いとは驚きです。

 時間外の内訳を見ると、深夜の比率が高いのが特徴です。10歳以下ですと、時間外受診の2割前後が深夜です。深夜受診は、大病院に集中しているといっていい状態です。

 ここまで分析してきて、ふと不思議なことに気がつきました。 1人当たり医療費や受療率などについては、小児が高く、20代で下がり40代以降にまた上昇していくという谷カーブになるのは周知の事実です。要するに、中高年になるに従い、病気になる確率が上がるわけです。そういった背景があるにもかかわらず、時間外の受診比率は40代以降が低くなっています。20~30代よりも40代以降の方が、骨折や脳・心疾患は増加しますので、この傾向は少々不思議です。

 これは若い世代でのコンビニ受診が多くなってきたことの表れなのでしょうか?それとも、加齢に伴い全般的に受診機会が増えるため、相対的に時間外受診の比率が下がるということなのでしょうか?

これが、時間外受診の傷病ランキング!

 ここからは、時間外受診の理由となった傷病名に話を移します。ちまたでいわれているように、コンビニ受診が多数を占めるのでしょうか?

 まずは、診療所から見てみましょう(表2、3)。表に示したのは、男女・年代・時間帯別の上位5傷病です。いずれにおいても多いのは、風邪(急性気管支炎、急性上気道炎など)やインフルエンザといった感染症です。時間外の中で受診の心理的ハードルが最も低いと思われる夜間・早朝については、男女問わずほとんどの年代で、急性気管支炎が傷病名のトップです。また、20代以降においては、深夜・休日に急性胃腸炎が顔を覗かせるのが一つの特徴です。

 傷病名だけでは判断できませんが、軽症例が比較的多いのではないかと推察される結果です。

尿管・尿路結石、脱水症の意外な多さ

 次に、200床以上の病院について見てみます(表4、5)。

 診療所と違ってインフルエンザや急性気管支炎、急性上気道炎などは少ないかと思っていたのですが、ここでも上位を占めました。男女、時間帯を問わず、その多さは圧倒的です。これについては、昨年流行した新型インフルエンザが大きく影響しているのでしょう。今回のデータは2008年12月~2009年11月の入院外レセプトが対象ですが、もう少し前の期間をベースにして調べたら、これほど多くはなかったかもしれません。

 これ以外で特徴的だったのが、男性における尿管・尿路結石の多さです。深夜に関しては、30代以上の全年代で、上位5傷病の中に入っています。男性の場合、50代以降になると脳梗塞や心筋梗塞、狭心症も上位に入ってきます。一方、女性の場合、急性胃腸炎や胃潰瘍、嘔吐症などがランクインしているのが、男性との違いでしょうか。これ以外では、男女問わず、20代以降の脱水症の多さが目立ちます。
(略)

気管支炎だとか胃腸炎だとか言う病名はいかにも保険病名っぽいと言いますか、おそらく感冒症状や腹痛といった症状であまり緊急性のないものをこのように記載したものが大多数だと思いますが、実際にこうして軽症患者が増えている、特に大病院に飛び込みで来る若年者においては時間、症状の軽重を問わず「何かあればとりあえず病院」というコンビニ受診の定着ぶりが見て取れますね。
あまり定量的なデータではないため実際の各疾患の比率がどうかは何とも言えませんけれども、とりあえず中高年以上の場合はある程度診療時間というものを気にしている気配も見え、実際夜間に受診してくる患者にはそれなりの重症と思われる疾患名が並んでいるわけですから、医者の疲弊対策としては当面何より若年者のコンビニ受診を何とかしなければならないと言う結論になりそうです。
考えようによってはひと頃日医あたりが主導して「日本は皆保険制度によって皆が早期受診をする。重症化しないからアメリカのように医療費が高くならずに済んでいるんだ」なんて皆保険制度擁護論を張っていた、そうした刷り込みが生まれながらに染みこんでいる世代が彼らだとも言えますが、同時に生まれついての不況世代として重症だとでも思わない限り病院などに行く余裕はないという人も含まれているかもですね。

昨今では例えば時間外選定療養費徴収によるコンビニ受診抑制などは結構効果があると言うことがデータとして出てきていますが、お金に不自由している若年世代にすれば「仕事も休めないから夜に来たのに、この上余計に金まで取るのか!」なんて不満が炸裂するでしょうし、実際に病院窓口でトラブルとなっているのはこうした人々が多い印象ではないでしょうか。
そうなりますとこういう面での制限を強化するとなれば、日医あたりが「金銭による受診の制限なんてとんでもない!それじゃアメリカと同じことになるじゃないか!」なんて言い出しかねませんが、世間の常識と同様に営業時間外の方が別料金で高く付くのは医療の世界も同じであるわけですから、少なくとも割り増しが嫌ならちゃんと診療時間の間に来てくれと主張することは何ら悪いことではないように思いますね。
そして本当に重症であれば時間外選定療養費は取らないという施設が多いにも関わらず、実際大多数の患者が支払わざるを得ないということは、先ほどの夜間救急を受診する若年者のほとんどが軽症であるというデータとも一致しているわけで、ここでも万一の場合のゼロリスクを追及するあまり、ごく日常的な問題である勤務医疲弊という現実の脅威を放置するのかと反論の余地は多々ありそうに感じます。

こういう若年者の受診行動に関してどう考えるかですが、文字通りコンビニ文化に慣れ親しんだ世代だけに24時間、365日が当たり前という考え方も出来るでしょうし、一方で慢性疾患持ちは少ないでしょうから病院慣れしていない上に、世帯構造の変化で身近に相談できる年長者もいないだろうことから、好意的に解釈すれば病院受診に関するマナー自体を知らないという可能性もありそうですよね。
それだからこそコンビニ受診に関しては悪いことであると平素から、そして実臨床の現場においても常に啓蒙していかなければならないという言い方も出来ますが、ネットなどで医療相談なんてものが結構書き込みがあるところを見ても、昨今各地で試みられているような専門家による24時間の電話相談のようなものでかなりの受診が抑制できそうにも思えます。
さらに加えて昨今都市部を中心にコンビニ型の薬局も増えているわけですから、OTC薬をもっと広汎に拡充し電話相談等による専門家の助言の元に使用できるようなシステムを構築していけば便利そうですが、例によってまたぞろ日医あたりから激しく横やりが入りそうではありますかね(苦笑)。

こうして考えてみると「軽症なのに時間外に押しかけないでくれ」という医療側の過労回避の要求と、「病院にいかなくとも手近で安くすめば助かるのに」という患者の利便性向上の要求とは結構重なるところがありそうに思いますが、最終的には医者の側がどこまで自分の目の届かないところでの医療(類似)行為を容認し、そして社会がその結果生じるリスクを受け入れるかに尽きるのでしょう。
アメリカなどは医療費の面から貧困層の受診抑制が発生していたわけですが、日本の場合は勤務医の疲弊とその結果の医療崩壊を回避するために受診制限をせざるを得ないとなれば、これはトータルで見れば住民の健康を向上させるために行われる行為であるわけですから、その結果一定確率で発生する重症患者取りこぼしといったリスクは、住民福祉に責任を負う自治体が請け負うくらいの決断はしてもいい頃だとも思いますね。
あちらこちらの自治体で医者を集めるために様々なアイデアをこらしているようですけれども、「市民の健康のために専門家として最善と思えることをやってくれ。その結果起こる全ての責任が我々が負う」なんて格好いいことを言ってくれる自治体があれば、医者なんて単純な生き物は案外あちこちから集まってくるかも知れません。

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2010年11月16日 (火)

小さく産んで大きく育てる

本日は最近の産科絡みの話題を取り上げてみますが、まずは「結局そうなったのか」という話から紹介させていただきましょう。

小規模施設限定で受取代理を復活―出産育児一時金で厚労省素案(2010年11月12日CBニュース)

 来年度以降の出産育児一時金制度について、11月15日に開かれる社会保障審議会医療保険部会に厚生労働省側が示す素案の概要が明らかになった。直接支払制度は継続する方針だが、対応が困難な医療機関に実施を強制しないことを法令に明示することや、規模が小さい施設に対象を限定して受取代理制度を復活させ、制度化することを盛り込む。

 出産育児一時金の受取代理制度は、出産予定日まで1か月以内の人が出産前に保険者に申請し、出産後に医療機関が受け取る仕組み。直接支払制度を導入した昨年10月に廃止された。
 一方、直接支払制度は出産後に医療機関が申請して受け取る仕組み。申請から支払いまで1か月から1か月半程度かかるため、収入に分娩費用の占める割合が高い診療所や助産所などは資金繰りが苦しいとの声が上がり、完全実施は今年度末まで猶予されている。
 受取代理制度は直接支払制度に比べ、▽支払いまでの期間の短縮▽医療機関などの手続きの簡素化―などのメリットがある。素案では、規模が小さい施設の定義として、「年間の分娩件数が200件以下の診療所か助産所」を例示する。

 日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会などは、直接支払制度を今年度までで廃止し、出産する人が出産前に申請して、出産する人と医療機関のどちらが出産後に受け取るかを選べる新たな仕組みをつくるよう要望していた。厚労省は保険者などの負担を考慮して、一律に出産前の申請にはしない方針だ。

■支給額42万円は維持
 また、支給額の原則42万円は維持する。原則38万円からの引き上げは来年3月までの暫定措置だが、今年8月現在の平均出産費用が47万円だったことを踏まえた。

この出産一時金問題に関しては以前からたびたび取り上げてきたところですが、こうして改めて見てみましても何故今まで事前申請でやっていたものをわざわざタイムロスが出る事後申告にしているんだとか、素朴な疑問は幾らでも出てくるような話で、それは関係各方面から「産科医を借金漬けにして一生こき使うための制度だ!」なんてさんざんな評判なのも判る話ですよね。
ただ学会の方にも今さら全くの被害者面を出来ない事情があって、当初から開業の先生などから「そんな制度設計では資金繰りが出来ないのが目に見えている」と危惧の声が上がっていたにも関わらず、大学病院など大病院の偉い先生方はそんな小さなお金の勘定など念頭になかったと言うことなのか厚労省案の問題点を軽くスルーしてしまった、そのツケを末端の臨床医が今負わされているということです。
実際に産科医を借金漬けに追い込んでいると悪評紛々たる天下り団体「福祉医療機構」側では貸し渋りの事実はないとか、機構側ではむしろ融資は優遇しているのだと主張していますけれども、新制度の導入以来廃院に追い込まれていく産科医院が相次いでいるという現状は隠しようがないところで、頭の痛い先生方も多いのではないかと思います。

さて、そもそもこの一時金直接支払制度にしても元々は現場の産科医を救済するためという名目で始まったものが、気がつけばむしろ産科医を追い込む道具に使われている気配すらあるというのが怖い話ですが、同様に現場の産科医救済を掲げて始まった制度の一つに産科無過失補償制度というものがあります。
この夏からいよいよ再発防止の観点から個々の事例に関する検証がスタートしていることは既にお伝えした通りですが、実際に議論が進んでいきますとこれまた思いがけないほどの波紋を呼んでいるようで、まずは入り口部分からしてすでに紛糾しているというこちらの記事から紹介してみましょう。

審議の公開、非公開で議論紛糾―産科補償制度再発防止委(2010年11月2日CBニュース)

 日本医療機能評価機構の「産科医療補償制度再発防止委員会」(委員長=池ノ上克・宮崎大医学部附属病院長)は11月1日、原因分析報告書などの内容を審議する場合の公開、非公開の考え方について議論した。事務局は、会議は原則公開だが、原因分析報告書などを基に審議する場合は非公開にすることを提案。これに対し委員からは、個人情報の保護を重視する一方、報告書の概要版などを用いて公開にすべきとの声が上がった。この日の議論では公開、非公開の考え方について結論は出ず、今後も引き続き検討することになった。

 事務局が示した審議の公開、非公開の考え方では、配慮が必要な観点として、▽原因分析報告書などを使用した会議が一律公開されることで、加入分娩機関が情報提供を躊躇することが懸念される▽再発防止に関する報告書(仮称)などの内容を議論する場合、組織決定されていないものは資料として公表することは適さない ―などを提示。非公開会議については、審議内容を議事要旨に取りまとめて公表し、会議の透明性を高めるとしている。

 これに対し隈本邦彦委員(江戸川大メディアコミュニケーション学部教授)は、「制度への社会の信頼という点で、非公開にするのは非常に限られた事例にしていただきたい」と要望。特に、組織決定されていない資料は公表に適さないとの考え方に対しては、「(決定までの議論の)プロセスを見せたくないというのはどうかと思う」と指摘した。
 池ノ上委員長は、個人や施設の特定につながる内容は原則非公開だが、そうでない場合は公開の原則に従うべきとの私見を示し、「患者側にも医療者側にも、健全な委員会であると受け止められるためには必要不可欠だと思う」と述べた。

 池ノ上委員長の発言を受け、田村正徳委員(埼玉医科大総合医療センター小児科学教授)は、「マスキングされた資料を(傍聴者らに)配布せずに、議論そのものは聞いていただく。患者や施設が特定されるかもしれない議論になった時には、一時的に非公開にして議論してはどうか」と提案。隈本委員は、「(報告書の)概要版を使った議論にしてもいいのではないか。本報告書を見なければいけなくなる時に、例外的にクローズドにしてはどうか」と述べた。
 これを受け同機構の上田茂理事は、深く分析するためにはマスキングをしていない報告書に基づいて審議をした方がよいとの考えを強調。その上で、報告書全文を基に非公開で議論し、その中で審議に用いる報告書は概要版でいいか全文がいいかなどを検討することを提案した。
 一方、マスキングした報告書を使用するとの委員の提案に対しては、「マスキングしたものを広く見せるのはなかなか難しい。(傍聴者らに)提示せずに議論を見ていただくとしても、現実にはその中身が公開の場で議論になる。個人情報に配慮する観点からいかがなものか」と述べた。

 その後、委員の同意を得た上で非公開の審議を実施。会合後、池ノ上委員長はキャリアブレインなどに対し、「基本的には委員会そのものは個人情報をちゃんと守る。原則公開だが、どの範囲が公開、非公開というのは、一例一例を丁寧に委員会で検討すべきではないか」と述べた。

話を見ていますと何やらよく判らないようなことを言っていますけれども、要するに現場に近い筋の人間としては再発防止のための資料が個々の責任追及に用いられるといった事態は勘弁してもらいたいというのが本音のところで、それをいかにオブラートに包んで開示範囲に制限をかけるかと言う要求がある一方、特に医療現場から遠い側からは原理原則を主張する声も多いということでしょう。
原則論としてはもちろんこうした情報は皆で共有して再発防止のためのアイデアを出していった方がいいということになりますが、結局のところ民事訴訟なりのソースとしてこうした情報が活用されかねないという懸念は残っているだけに、少なくとも諸手を挙げて全面開示大賛成とも言い出しにくい感情は理解出来るところですよね。
実際にこういう記事が朝日新聞からも出ていますけれども、過誤があったかどうかを問わず医療事故を平等に救済することで、結果として現場の訴訟リスク低減も図られるという制度のもう一つの目的からすると、症例報告的に微に入り細に入りで詳細な情報を上げてしまうと後で自分の首を絞めかねないと現場が躊躇する恐れがあり、それが再発防止のための事実収集という他方の目的上は退歩にもつながりかねないというジレンマもあるわけです。

お産事故で脳性まひ…不適切な診療行為も 補償事案分析(2010年11月8日朝日新聞)

 お産の際に赤ちゃんが重い脳性まひになり、家族が補償制度の適用を求め、原因分析がまとめられた例のうち、多くに診療行為の問題が指摘されていたことがわかった。お産事故の情報を集める財団法人日本医療機能評価機構(東京都)に、朝日新聞が情報公開請求をして11件の原因分析報告書が開示された。出産時の事故で重い脳性まひになる例は、年間500~600人程度とみられている。

 まだ制度が十分に知られておらず、補償制度の申請数は少なく、同機構は「11件は特異な例ではなく、他の出産時の事故でも同様の問題はあるだろう」とみている。ただ、報告書には「当直が月に20回」「当直翌日の勤務緩和は図られていなかった」などの記述が多数あり、背景に、医師不足や労働条件の悪化など、過酷な産科医療の現状があることも分かる。

 報告書によると、問題ある診療行為は、分娩(ぶんべん)監視装置を付けていなかったり、赤ちゃんの心拍数をこまめに取っていなかったりした安全管理の問題(6件)▽陣痛促進剤を最初から大量に使ったり、急激に増やしたりした(4件)▽酸素吸入など事故後の蘇生方法の問題(3件)▽診療記録に不備があり、分析が不十分(3件)――などだった。

 ある事例では、母親が医師に、おなかを押されたり、赤ちゃんを吸引されたりする行為を計23回、延べ57分にわたって続けられた。産婦人科診療ガイドラインでは通常は5回、20分以内で行うべきだとしている。

 これまでに、補償制度の対象となった約80件のうち13件で原因分析報告書が作られ、11件が開示された。不適切な行為が事故の直接原因とみられるものは少ないが、11件のうち10件で確認できた。報告書の詳しい内容が明らかになったのは初めて。

 厚生労働省が監督する同機構は、医療事故の情報を収集するほか、お産事故で脳性まひになった赤ちゃんの家族に補償をする産科医療補償制度も運営する。事故の原因分析をし、再発防止策の提言もしている。

 再発防止について報告書は、関係する学会がガイドラインや留意点を守るよう周知する▽医師以外の助産師や救急隊員も蘇生方法を十分に心得ておく――などを提言している。

 同機構の医療事故防止事業部長の後(うしろ)信医師は「事故が起きるときに、共通して発生しているサインをまず、洗い出すことが重要だ」と指摘する。日本産婦人科医会の石渡勇常務理事は「事故の多くは、もっと監視をしっかりやりましょう、というケースだ。だが、産科医不足の現状では難しい。報告書の勤務状況を見ると、労働基準法違反の環境で働いている例が多い。多くの人にこうしたお産の現状を知って欲しい」と話している。

 事故は、産科医や弁護士ら専門家でつくる原因分析委員会で検討され、報告がまとめられる。その後、再発防止委員会で分析結果をもとに、事故が起きる際に共通している条件や、リスクをはらむ医療行為や不適切な処置などを抽出する。機構は、年内に提出予定の報告書を合わせ、これまでの十数件の分析結果をもとに、来年4月までに再発防止のための中間的な報告書をまとめる予定だ。(小坪遊)

医療の側からすると、例えば「ガイドラインではこうなっているけれども実際の現場ではこういうことが行われていた」式のレポートが出てくるだけでも、俺はそれは知らなかったが気をつけようだとか、いや実臨床の現場ではそれは当たり前のやり方だとか様々な議論が喚起できるわけですから、別に個人情報を特定できるような細かい話はいらないよってことになりますよね。
逆にこうした公的組織によって半端に各ケースの赤ペン先生的解釈が行われてしまうと、それが公の見解として一人歩きしてしまう危険性もあるわけですから、基本的に現場で何が行われその結果どうなったかという生データの部分はどんどん開示していただけばよいし、後々議論を呼びそうな余計な解釈はほどほどにして欲しいというのが正直なところに思えます。
ただそうなりますと再発防止の提言ということでは物足りないものになるんじゃないかという声も上がってきそうですけれども、そもそもこうした後日の検証というものはどうしても後出しじゃんけんの要素を含まずにはいられないだけに、現場の心理ということを考えるとよほど慎重にやらなければ、「本当のことを言うだけ損だった」と正しい分析に必要な情報が上がってこなくなる危険性がつきまとうものです。

この制度が出来て何がどう変わったかと言うことに関してもう一度振り返ってみると、患者側としては少なくとも公的な調査レポートというものを(公開の範囲はまだ不明確とは言え)入手できるチャンスが得られるようになったわけで、その意味ではそのレポートの内容にどれほど実がなかろうが、少なくとも以前よりは情報開示の面で進歩しているということになりますよね。
一方で情報を出す側の現場医療従事者にしてみれば、最初から「うっかりすると責任追及に使われるんじゃないか」と腰が引けている中で、情報を全て包み隠さず出すということについて特に大きなメリットというものは現状で感じられていない、少なくとも情報開示をすすめた結果例えば医療訴訟が激減したといった結果が出てくるまでは、目に見えた制度の利点が感じにくいところでしょう。
スタートした直後からいきなり制度の趣旨が有名無実化してしまっては意味がありませんから、最初から理想を追求するばかりではなく関係する各方面にも配慮をしつつ、ごくごく緩いところから始めてまずは制度の定着を図っていくということが望まれるのではないかと思うのですが、委員会の皆さん方の考えは果たしてどうなんでしょうね?

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2010年11月15日 (月)

朝日捏造報道問題 問題記者の退場は早く?!

先日以来当「ぐり研」でも何度か取り上げている朝日新聞社の捏造報道問題ですが、じわりじわりと社会的にも認知度が広がっているようです。
今回まずは週刊ダイヤモンドさんのまとめ記事から紹介してみますけれども、朝日にしてもいつものアサヒったというだけの話で軽くスルーしてくれればいいものを…と、この事態を苦々しく見守りつつ黙殺しているのかも知れませんね(苦笑)。

朝日新聞のガンワクチン報道 医療界に広がる反発と懸念の根拠(2010年11月11日週刊ダイヤモンド)

 朝日新聞の報道が、大きな波紋を呼んでいる。

 コトの発端は、10月15日付け朝刊1面の記事である。内容は次のとおりだ。東京大学医科学研究所(医科研)附属病院で行ったガン治療ワクチンの臨床研究(人を対象として行う医学上の研究)中、2008年に膵臓ガンの患者で起きた消化管からの出血が「重篤な有害事象」と院内で報告された。医科研はこの有害事象を、同種のワクチンで臨床研究を行う他の病院に知らせず隠蔽した――という。

 また記事は、ワクチン開発者である中村祐輔・東大医科研ヒトゲノム解析センター長が、自身も10%強の株式を保有する、東大発ベンチャーのオンコセラピー・サイエンスのガンワクチン事業に不利に働かないよう情報を隠した、との印象を受けるような構成になっている。さらに朝日は翌16日の社説においても「東大医科研−−−研究者の良心が問われる」と題し、前日の記事に基づいてナチスの人体実験を例に批判記事を掲載した。

 これに対して、まず清木元治・東大医科研所長が「事実誤認である」と真っ向から反論。記事について、大きく次の2点を主張し、訂正・謝罪を求めた。

 第一に、問題とされた消化管からの出血は、もともとかかっていた末期の膵臓ガンで起こりうる周知のリスクであり、その後の治療で出血は治癒したこと。

 第二に、今回のケースのように単独施設で実施する臨床研究の場合、他施設への報告義務はそもそもない。それでも予想外の異変や、治療の副作用などは倫理上知らせるが、今回はそれに当たらないとの判断があったこと。

 加えて、記事中の「重篤な有害事象」は一般に “非常にやっかいな事態”を想像させるが、医学上は国際的に「薬剤投与後の患者に起こるあらゆる好ましくない医療上のできごと(当該薬剤との因果関係は問わない)」として理解されている点も強調。ワクチンの開発者が中村教授でない点や臨床施設数など基本事項の誤りについても指摘した。

 また、当事者以外の患者団体や学会からも、医科研への援護射撃が続いている

 まず10月20日に、41ものガン患者団体が記者会見を開き「事実をわかりやすく伝えるよう冷静な報道」を求め、国のガンワクチン向け臨床研究の予算が削減されないよう訴えた。22日には、日本癌学会と日本がん免疫学会が朝日の記事を「大きな事実誤認に基づいて情報を歪め、読者を誤った理解へと誘導する内容」との抗議声明を発表。

 また27日には、帝京大学の小松恒彦・帝京大学教授を発起人代表とする「医療報道を考える臨床医の会」が発足し、記事の訂正・謝罪などを求める署名活動を開始した。29日には、日本医学会が「事実を歪曲した朝日新聞ペプチドワクチン報道」と題して、前述した2つの学会の抗議声明の支持を表明し、中村教授の人権侵害として朝日を非難した。

 一方、朝日側は「記事は薬事法の規制を受けない臨床研究には被験者保護の観点から問題があることを、医科研病院の事例を通じて指摘したもの」とのコメントを繰り返してきた。11月10日になって、朝刊17面の「オピニオン」(通常は読者や有識者の声を載せるコーナー)で、前述の経緯などとともに、福島雅典・先端医療振興財団臨床研究情報センター長のインタビューを掲載した。趣旨は、医師主導の臨床研究と薬事法下にある治験の二重基準は改めるべき、というもので、聞き手は一連の記事を書いた編集委員でなく、東京本社の科学医療エディター(部長級)が務め、“客観性”を押し出している。

 これら朝日の“反論”に、医科研側は不快感をあらわにする。「当初の記事は、どう見ても日本の臨床研究の仕組みを批判する主旨ではなかった。議論のすり替えだ」(医科研総務)。両者の意見対立は一向に収まりそうにない。

 翻って、臨床研究と治験の二重基準の問題性は、指摘されて久しい。この記事を機に一本化に向けた議論が進むかは未知数だが、ガンワクチンを巡っては明らかなマイナスのダメージが広がっている

 たとえば、朝日が取材して回ったガンワクチンの臨床病院では「患者のエントリー数が、過去3ヵ月で従来より3割減少しており、研究の停滞にもつながりかねない」と中村教授はいう。また朝日報道の直後、10月21日に内閣府総合科学会議で実施された来年度の概算要求における科学・技術関係施策の優先度判定において、318事業のうち2件のみが最低評価(実施すべきでない)を受け、その1つが厚生労働省の「ガン治療ワクチン開発(29億円)」だった。 11年度予算における1兆円超の「元気な日本復活特別枠」のヒアリングが今週始まるが、「ガンワクチンを含むライフサイエンスが含まれるかは微妙な情勢で、報道が影響しないとは言い切れない」と民主党関係者は語る。

 ちなみに、記事中で名指しされたオンコセラピー社や中村教授は、来週にも名誉毀損による損害賠償請求を起こす見通しだ。朝日の再反論に注目が集まる

朝日の反論なるものがさらに火に油を注いでいるということが丸わかりという話ですけれども、注目されるのはこうまで大騒ぎになっているこの捏造報道問題に関して、そもそも勝手に火のないところに放火して回った朝日がこのまま黙殺を決め込むのか、それとも人並みに社会的責任を果たすべく謝罪なり再反論なりをしてくるのかでしょう。
医療ガバナンス学会の方で「その後の続報」というものをまとめていただいているのですが、これが見ているとなかなか面白い話が並んでいて一読いただきたいのですが、週刊ダイヤモンドさんとなるべく重ならない範囲で抜粋させていただくことにしましょう。

朝日新聞 がんワクチン報道の波紋(2010年11月6日医療ガバナンス学会)より抜粋

(略)
【各地から抗議が殺到】
 10月15日のスクープ記事を受けて、最初に動いたのは東大医科研の清木元治所長です。18日、医療ガバナンス学会が発行するメルマガMRICに『朝日新聞「臨床試験中のがん治療ワクチン」記事に見られる事実の歪曲について』を寄稿しました。
http://medg.jp/mt/2010/10/vol-32720101015.html

 それに続いたのが、41のがん患者団体です。20日、厚労省記者クラブで『がん臨床研究の適切な推進に関する声明文』を発表しました。記者会見では、多くの患者・家族が不安になったことを紹介し、臨床研究の予算が削減されないこと、被験者保護のための情報開示、さらに「誤解を与えるような不適切な報道ではなく、事実をわかりやすく伝えるよう、冷静な報道」を求めました。早い段階で、患者が主体的に動いたことは、医療界が変化しつつあることを象徴しているように感じます。
(略)
 その後、27日には、帝京大学の小松恒彦教授を発起人代表とする「医療報道を考える臨床医の会」が発足し、署名活動が始まりました。署名開始後4日間で2000筆以上の署名が集まっています。
(略)
 更に、11月1日には東京都保険医協会が抗議声明を発表。これまで、朝日新聞記事を擁護する医療関係者はなく、今後も抗議は続きそうです。

 今回の抗議活動の特徴は、患者会、Captivation Network、医療報道を考える臨床医の会などのインフォーマルなネットワークが早期に動いたことです。民をベースにしたボトムアップの合意形成システムが構築されつつあるようです。

【朝日新聞の対応】
 では、朝日新聞はどのように対応したのでしょうか。

 まず、がん患者団体の抗議を21日の朝刊で報じました。しかしながら、そのタイトルは『患者団体「研究の適正化」』。患者団体が訴えたことは、患者への適切な情報公開、がん研究予算削減阻止、そして「報道の適正化」でした。朝日新聞は、患者の抗議を自らの都合に良い形でねじ曲げて報じました

 ついで、22日の日本がん学会などの抗議に対しては、23日になって『医科研記事、癌学会など抗議 朝日新聞「確かな取材」』との見出しで報じました。読売・毎日・産経・日経・共同通信などは、前日に記事を配信しており、朝日新聞の対応の遅れは際だちました。また、朝日新聞の広報部が「確かな判断」や「見解の相違」ではなく、「確かな取材」とい良い方に留まったことは示唆に富みます。記事の解釈ではなく、取材の手続きの正確さを保証したに過ぎません

 ちなみに、22日の読売新聞の記事では、「朝日新聞が報じていなかった問題」と、朝日新聞を暗に批判しました。読売新聞の変わり身の速さが際立ちました。新聞各社は、朝日新聞のスクープ記事に追随した記事を書いており、今更、否定しにくかったでしょう。記者たちは、朝日報道を読んで違和感を抱いたらしいのですが、トクオチを恐れるデスクを説得するには至らなかったようです。横並び新聞報道の構造的問題を示しています。

 その後、朝日新聞が、この件を報道したのは、28日の『教授の人権侵害と朝日新聞に通知書 東大医科研報道』だけです。11月1日現在、朝日新聞記事を捏造の疑いありと訴えたCaptivation Networkの記者会見や、「医療報道を考える臨床医の会」などのインフォーマルネットワークの活動は全て無視されています。

【メディア・ネットワーク】

 一方、新聞・テレビ以外のメディアは朝日新聞に対して批判的です。一番、最初に問題を取り上げたのは日刊ゲンダイです。19日に『がん治療ワクチン報道で朝日新聞と東大が火花』という記事を掲載しました。同紙は28日にも『1面デカデカスクープ報道にアチコチから怒りの声明』との記事を掲載し、朝日批判の論陣を張っています。これ以外に、週刊現代、週刊新潮、J-Castニュースなども同様の記事を掲載しました。電車の中吊りなどでご覧になった方も多いでしょう。

 医療界に関しては、メディファックス、メディカル・トリビューン、日経メディカルオンライン、エムスリー、キャリアブレイン、MRICなどが連日のように問題を報じました。このような医療メディアを通じ、多くの臨床医が問題を認識したのではないでしょうか。筆者が参加している医療関係のメーリングリストでも、繰り返し話題になりました。

 他のオンラインメディアも動きました。例えば、JMMや楽天の「内憂外患」でも繰り返し取り上げられ、金融やITなどの他業界にも広がりました。ネットやメールメディアが情報のハブとして機能したように感じます。

 

ツイッターが果たした役割も無視できません。「医療報道を考える臨床医の会」は、ツイッター(@iryohodo)を用いて積極的に情報を発信しました。このような発信を通じ、メディアのあり方自身に問題意識を持つ上杉隆、平野啓一郎、内田樹、岩上安身氏などが問題を認識し、上杉氏(@uesugitakashi)、岩上氏(@iwakamiyasumi)は、ツイッター上で応えました。このようなやりとりを通じて、彼らの followerが問題を認識しました。

 このように、今回の事件ではマスメディアが動かなかったにも関わらず、様々な媒体が有機的に連携することで、関係者の認知度があがりました。福島県立大野病院産科医師逮捕事件以降、医療界は様々な事件を経験してきました。このような試練を通じ、医療界と社会を繋ぐメディア・チェーンが形成されつつあることを実感します。
(略)

注目していただきたいのは今回の事件、当初の朝日の報道によれば「東大医科研がこんなとんでもないことをやっている!これでは患者が危ないではないか!」という論調であったものが、これに何より強烈な反撃を行っているのが実は医科研など批判される側というよりは、患者団体や現場の臨床医といった朝日のシナリオ的には被害者に近い立場の人たちであったということですよね。
そしてこれだけ各方面から非難囂々、誰も擁護する人間などいないほどあからさまな状況にありながら、例によって大手マスコミはこの問題を真っ正面から取り上げるつもりは更々ないらしい、むしろ朝日の捏造を隠蔽しようと協力しているかのような態度が目立つということが明らかです。
そしてここでも例によってこの問題を世間に広げたのは名もなきネット住民の個人的な努力の積み重ねであったということなのですから、何のことはないいつものようなマスコミ業界の醜態が今回もまた繰り返されただけであるかにも思えます。
医療ガバナンス学会の記事では今回の「幻のスクープ」を物した記者達が産経から引き抜かれた「スター記者」達であったこと、経営厳しく早期退職を推奨しているような新聞社内でこれら「外様」組がスクープをあせっても仕方がないのでは…と推測していますが、そうであるならば今後同じような構図の事件が二度、三度と起こっても不思議ではないということになりますよね。

【朝日新聞のガバナンス】
 この事件の真相は不明です。真相解明には、朝日新聞社、あるいは第三者機関による調査を待たねばならないでしょう。

 ただ、現時点で朝日新聞の記事は捏造の疑いが強いと言わざるを得ません。例えば、中村祐輔教授は朝日新聞からインタビューを受けていませんし、東大医科研から朝日新聞への回答と記事内容は全く異なります。また、中村教授との利益相反を示唆され、報道後に株価が暴落したオンコセラピー・サイエンス社は朝日新聞から一切の取材を受けていません。今回の記事を、当事者から直接取材することなく、記者たちの「先入観」に基づいて組み立てたのですから、大問題です。

 これでは、朝日新聞の自作自演と言われても仕方ありません。その構造は、1989年に問題となった珊瑚記事捏造事件と酷似します。この事件では関係者は処分され、一柳東一郎社長(当時)は辞任しました。また、不起訴となったものの、カメラマンは刑事告発されています。

 知人のメディア関係者は朝日新聞の問題点を象徴していると言います。今回の記事を書いた出河雅彦編集委員、野呂雅之論説委員は、1983年産経新聞の同期入社組です。その後、朝日新聞に異動します。朝日新聞が即戦力確保のため、他社からスター記者を引き抜くのは有名です。出河氏は医療分野で、野呂氏は大阪本社社会部のデスクとしてイトマン事件や防災問題で活躍しました。このようなスター記者たちが、独自に進めた取材に対し、後輩の記者たちやデスクがチェック出来たか、甚だ疑問です。編集局長は、社内でのどのような議論の末、記事掲載に至ったかを説明する義務があるでしょう。
(略)
 私は、今回の記事は氷山の一角に過ぎないと考えています。探せば、同じような報道は沢山あるのではないでしょうか。例えば、2007年出河氏は『薬の臨床研究、国が補助金打ち切り 慶大医学部長、財団と二重受給』とのスクープ記事を発表しました。小泉改革で運営交付金が減少し、大学病院は臨床研究の継続に苦労していました。このような医療現場の実情を無視して、「細かい手続きの不備」を批判しました。実害を被った患者はいませんでした。今回と全く同じ構造です。当時、患者は勿論、医療界からも記事批判の声はなく、この報道以降、大学病院の臨床研究は失速しました。

 朝日新聞は医療事故報道に熱心です。その中心は出河氏。著書『ルポ医療事故』(朝日新書)は、2009年の科学ジャーナリスト賞(日本科学技術ジャーナリスト会議)を受賞しました。その中で、出河氏は医療機関の隠蔽体質を糾弾し、医療事故から逃げない、隠さないことの重要性を訴えました。私も彼の主張に賛同します。今回の記事は、医療現場に大きな被害を与えた「報道事故」です。真相を究明し、再発防止に努めるのは朝日新聞の義務です。彼らの矜持が問われています。

今回の捏造報道は決してたまたま起こったわけでもなんでもなく、むしろ今までの経緯を考えれば必然とも言っていいものであった、そうであるとすればこれを防ぐことも可能であったのではないかという考えは多くの人の抱くところではないかと思うのですが、朝日がこの一件に対してどういう総括をしているのかが全く見えてこないわけです。
マスコミ各社はひと頃(今も?)盛んに「リピーター医師」なんて言葉を作り上げて盛んに喧伝していましたけれども、それではこういう「リピーター記者」に対してマスコミ業界がどのような自浄作用を働かせているというのか、むしろ一面トップに取り上げて大々的にキャンペーンを張ろうとするがごとく強力に社をあげて後押ししているのではないかとも思えますよね。

朝日もこうした世間の声を気にしたということなのか、11月11日の「オピニオン」では第三者として福島雅典・臨床研究情報センター長のインタビュー記事「臨床試験を考える」の掲載という形で、「決して医科研バッシングではないんですよ。薬事法の規制を受けない臨床研究ってダメでしょと言いたいんですよ」との自説を擁護させていますが、ただ他人に喋らせているだけで「考える」も何もないものですよね(苦笑)。
ちなみにこの朝日新聞、かつて社説で「乱心乱療 問題医師の退場は早く」なんて記事まで書いているわけですが、せっかくですから「問題記者の退場は早く」された方が御社のためにもなるんじゃないかと思いますけれどもね…もちろん、きちんと社会に対する説明と謝罪を済ませた上での話ですが。

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2010年11月14日 (日)

今日のぐり:「そば茶屋」&「そば庄 鉄砲店」

少し前にアメリカで「美人過ぎるロシア人スパイ」が捕まったとちょっとした話題になりましたけれども、スパイ交換でようやく帰国がかなった彼女らに対してプーチン首相がこういう言葉をかけたという記事がごくごく小さく出ていましたよね。

プーチン首相、スパイに「明るい未来」を約束 「裏切り者はろくな死に方しない」(2010年7月25日産経新聞)

 【モスクワ=遠藤良介】インタファクス通信によると、ロシアのプーチン首相は24日、米露のスパイ交換で帰還した自国の諜報(ちょうほう)員10人と面会したことを明らかにし、「彼らには興味深い、明るい人生が待っているだろう」と述べた。訪問先のウクライナで記者団に語った。旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身の首相として、米国でのスパイ団摘発で諜報機関の士気が低下するのを避ける狙いがあるとみられる。

 この中でプーチン氏は、“美人スパイ”チャップマン諜報員らとの面会で人生について語り、生演奏で歌ったなどと説明。米国でのスパイ団摘発は「裏切りの結果だ」とし、「裏切り者はろくな死に方をしない。たいていは酒かクスリにおぼれてのたれ死にする」と語った。また、「裏切り者」の名はすべて把握していることを確認した。

 露大衆紙の報道によると、“美人スパイ”らはモスクワ市内の閉鎖施設で綿密な事情聴取を受けているとされる。プーチン氏が面会した日時などは不明だ。

 プーチン氏は一方で、スパイの業務が過酷なものであるとも指摘。「外国語を完全にマスターし、何年にもわたって、外交の保護を当てにせずに祖国のために課題を遂行する。自分と、そして自分が何者であるかすら知らない近親者は日々、危険にさらされる」などと述べた。

 プーチン氏は少年時代からスパイにあこがれてKGB入りし、1980年代に当時の東ドイツで諜報活動に従事していた。

これだけで話が済んでいれば「失敗」で士気が低下しがちな諜報機関に対する激励で済んでいた話なんですが、「世界最強の政治家」の呼び名も高いプーチンがこうまで言ったとなると単にリップサービスで済まないのでは?と思っていましたら、案の定と言いますかこんな続報が出てきているのですね。

ロシアスパイ摘発事件 ロシアメディア、ロシア情報機関の上司の裏切りと報道(2010年11月12日FNN)

2010年6月にアメリカでロシアのスパイ団が摘発された事件は、ロシア情報機関の上司の裏切りだったとロシアメディアが伝えた。
ロシアの新聞「コメルサント」は11日、アメリカでのロシアスパイの活動の責任者だったSVR(対外情報庁)のシュチェルバコフ大佐が、アメリカの情報機関のダブルエージェントとなって、部下を売ったと名指しで批判した。
この事件は2010年6月、アメリカで「美しすぎるスパイ」として有名になったアンナ・チャップマンさんを含む10人が一斉摘発された。
大佐は、スパイ摘発の数日前に国外に逃亡しているが、コメルサントは、ロシア大統領府筋の話として、裏切り者が誰で、どこにいるかを把握していて、すでに暗殺チームを派遣したと報じている。

「裏切り者はろくな死に方はしない」って、すでにどこの誰かも特定されていて暗殺チームまで派遣したって言うのですから…やっぱプーチンさん怖えよ…(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
ちなみにこの怖い怖~いプーチンさん、先日はこんな記事も出ていましたけれども、いやあの顔で迫られたらそれは怖いですよね。

プーチン首相「何を笑っているんだ あなたも禁煙しなくてはならない」(2010年10月06日スポニチ)

 ロシアのメディアによると、プーチン首相は5日の政府幹部会で、たばこを吸う閣僚らに手を挙げさせた上で、国民に「手本」を示すべきだと述べ、禁煙するよう迫った。

 喫煙対策が議題となった幹部会では、ゴリコワ保健社会発展相が国民の喫煙率が39・1%に上ると報告。たばこを吸わない首相は「とても多い」と述べた上で、「政府の中で喫煙者は誰か」と質問。挙手した閣僚らを数え上げ、「国の平均よりはましだ」としながらも「禁煙すると約束するのだろうな」と警告。

 さらに、苦笑いしたイワノフ副首相に対し「何を笑っているんだ。あなたも禁煙しなくてはならない」と追い打ちをかけ、禁煙を誓約させた。 (共同)

あまり具体的に想像してしまうとますます怖いというのがロシアの政治の伝統なのかも知れませんが、今日はこのプーチン首相に敬意を表して世界各国から「考えて見るとずいぶんと怖い」という話題を紹介してみましょう。
まずは中米から、ちょっとそれどんなヤ○ザの地上げですか?!という話題を紹介してみましょう。

コスタリカとニカラグアが領土論争、OASに調停要請(2010年11月4日CNN)

(CNN) 中米のコスタリカ政府は3日、隣国ニカラグアの軍部隊が自国領土に侵入したとして共に加盟する米州機構(OAS)の常設理事会に緊急会合の開催を要請、問題の調停に当たるよう求めた。

両国はカリブ海側にあるサンホセ川沿いの一部地区をめぐって領有権を争っている。コスタリカ政府によると、ニカラグア軍はこの係争地区のコスタリカ領内で野営し、ニカラグアが同川で行うしゅんせつ事業で出る泥土などをコスタリカ側に投棄しているという。また、係争地区に掲げてあったコスタリカ国旗を降ろし、ニカラグア国旗を掲揚した。

コスタリカのレネ・カストロ外相はニカラグア外相に書簡を送付し、ニカラグアの今回の行動はコスタリカの領土、主権の容認出来ない侵害であると批判、ニカラグア側に弁護の余地はないと抗議した。OASは休会し、コスタリカの要請を協議している。

ニカラグアのデニス・モンカダ駐OAS大使はコスタリカ政府の主張を全面否定し、ニカラグアによるしゅんせつはコスタリカ領土に影響を及ぼしていないとし、同国が両国間に伝統的に存在していた外交の均衡状態を破ったと非難した。

カストロ外相は緊急会合開催を要請するに当たり、係争地区はコスタリカ領としているニカラグア作成の地図も提出。泥土の不法投棄やコスタリカ国家の取り外しの現場写真も示したという。一方、ニカラグアはサンホセ川周辺の地区を同国の領土と認めた国連の見解を指摘、ニカラグアはコスタリカに同川の自由航行は認めているとも主張した。

このコスタリカという小さな国、世界で最初に軍隊を廃止した国ということでその筋においては有名でもあるのですが、昨今日本なども領土問題というものを考える機会の多い折、何かと教訓的に見ることの出来る事件というとらえ方もあるでしょう。
そしてそれよりも何よりも怖いというのが、こんな大事件が「ごめん。googleマップが間違えてたみたい」の一言ですまされそうな勢いであるらしいということなんですが、これは他にも幾らでも同種の事件が発生しそうな話ではないでしょうか。

「Googleマップで国境紛争」が連発(2010年11月 9日WIRED VISION)

先週、ニカラグア軍が国境を越え、コスタリカの国旗を降ろして自分たちの国旗をコスタリカの国土に掲げたが、これは『Googleマップ』における失態が原因だったという。

ニカラグア軍のEden Pastora司令官は、コスタリカの新聞『La Nacion』紙に対し、侵攻したのは自分の責任ではなく、Googleマップが誤まってこの地域をニカラグアに属するとしていたからだと話している。ニカラグア政府も、「Google社のバグ」に責任があると述べている。

コスタリカ側は、国家の尊厳にかかわる重大な問題だと非難している。現在は、紛争の調停と、米Google社が引き起こした問題の解決策の検討を行なうために、米州機構と国連安全保障理事会の介入が要請されているところだ。

Google社では自社の誤りを認め、米国務省から得た国境に関する元データを編集したときに、最大で2.7キロメートルの誤りが発生したと説明した。Google社はすでに正しい正確なデータを受け取っており、地図の更新作業を進めているという。

特にこの国境は、激しい論争が続いて来た地域であり、サンファン川流域の土地の所有者をめぐる争いは19世紀半ばまでさかのぼる。

Google社が地図で問題を起こしたのは、今回が初めてではない。今年はじめにはカンボジアが、Google社が表現したタイとカンボジアの国境線について激しく非難した。さらに9月には、フロリダ州の街サンライズがGoogle社によってまったく別の場所に配置され、地元の企業や役所を苛立たせた。

ところで、今回のケースで最もGoogle社にとって恥ずかしい点は、米Microsoft社は国境線を正しく記載していたという点だろう。司令官が『Bing Maps』を使っていたら、問題は生じなかったのだ。

[CNNの報道によると、Googleマップでは通常、公式に係争地となっている国境部分を赤い線または点線で示している。また、中国のGoogleマップとインドのGoogleマップとでは国境の位置が異なっている(米国版では両方の国境が示されている)]

思わず国境線を再確認したくなるような話ですけれども、まさかgoogleマップだけを頼りにこういうことをしたとも思えない話で、実際には体の良い口実に使われたということなのでしょうね。
一方で北に進んで北米はアメリカからこんなニュースが今さら公になってきていますけれども、これは本気で洒落にならないという話ではないでしょうか。

核攻撃用の暗証番号を紛失 クリントン政権期(2010年10月22日CNN)

 米クリントン政権期に、核攻撃に使用する暗証番号が数カ月間にわたり紛失していたことがわかった。当時の統合参謀本部議長が回顧録で明らかにした。

統合参謀本部議長を務めていたヒュー・シェルトン氏は、「ためらうことなく(原題:Without Hesitation)」と題された著書のなかで「たいへんなことだった」と当時を振り返っている。

紛失していたのは、核攻撃を命令する際に使用する暗証番号の書かれたカードとみられる。2000年ごろに「大統領も側近もカードを持っていなかった。完全な紛失状態」の時期があったとシェルトン氏は述べている。

通常は国防総省が月次でカードの所在と真正性を確認しており、この当時の確認に際しては、大統領は会議中だったものの保持しているとの返答を口頭で受けたという。

紛失後はカードの確認手順が改められ、月次確認の際、国防総省の高官が大統領あるいは側近が所持するカードの現物を目視確認することとなった。

ブッシュ政権で大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を務めたフラン・タウンゼント氏は、核攻撃の実行には多層的手順が定められており、仮に第三者がカードを入手しても核攻撃を実行させるのは困難だと述べている。

おいおいおいという話ですが、むしろセキュリティーの観点から「暗証番号は紙などに書き留めないようにしましょう」なんて世間では言われている中で、世界で一番ヤバイ暗証番号ってやっぱカードに書いてあるのねと妙なところで感心したのは自分だけでしょうか?
何かと香ばしい話題には事欠かないのがお隣中国ですけれども、一見するとまあそういうこともあるだろうな中国だけに…という話題なのがこちらですが、まずは記事を紹介してみましょう。

女装の少年、詐欺目的で“嫁ぐ”…新郎の叔父に襲われ露見=中国(2010年11月3日サーチナ)

  河南省周口市太康県人民法院(裁判所)は1日、詐欺罪で張国柱、趙大梅被告に懲役2年、同罪で17歳の少年に懲役1年、劉大郎被告に強姦罪で懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を言いわたした。17歳の少年は女装して、詐欺を目的に劉被告のおいと結婚。結婚初夜に劉被告が少年を襲ったことで、男性であることが露見した。劉被告のおいは知的障害者という。中国新聞社が報じた。

  17歳の少年は化粧や女装が好きだったが、両親が叱責するので家を出て、1人暮らしをしていた。4月初旬に張、趙被告と知り合い「金儲けができる」と、結婚を利用した詐欺に誘われた。結婚相手がいない男性が多いことにつけこみ、「若い娘を売る」ともちかけ、張、趙被告が金銭を受け取る。少年は、新郎とベッドに入る前に逃げる方法だった。3人は、1回目の犯行で、現金を得た。

  3人は4月6日、おいの結婚相手を探しているという劉大郎被告と接触した。劉被告は、「おいは知的障害者で、嫁が来てくれない」と言い、57歳の自分も独身だと説明した。“商談”は成立し、張、趙被告は1万元(約12万円)を受け取った。

  少年が、劉被告の案内で“嫁ぎ先”の家に到着したのは7日。寝室に入ると、劉被告はおいに外に出るように命じ、自分が少年を襲った。少年が外に逃げると、村人が追ってきた。逃げるうちに少年が「男だった」と分かり、劉被告は「だまされた」として警察に通報。駆けつけた警察官は事情を聞き、「強姦罪の疑いがある」として、劉被告の身柄も拘束した。その後、張、趙両被告も捕まった。

  劉被告を「強姦罪」で有罪にしたことについて、法律の専門家からは「被害者が男性の場合、適用されない」との指摘が出た。ただし、中国の法律では、最終的な肉体関係に至らなくても、性的行為が発生すれば強姦罪が適用されるので、「相手を女性と思い、暴力行為などで欲望をとげようとした場合、同罪は適用できる」との意見もある。(編集担当:如月隼人)

一見すると詐欺犯の少年らの方に目が向く記事なんですが、知的障害者の甥にわざわざ高い金を出して嫁を探してやる叔父といい、逃げた嫁を「村ぐるみ」で追いかけ回していることといい、リアル変態村というより村ぐるみの人身売買じゃないかと思える話なんですが、アグネスさんを始め記者にしても法廷にしてもそっち方面に関しては全くスルーらしいと言うのがまた何とも怖い話ですよね。
ちなみにこのニュースのCG動画まで出来ているというのですから驚きますけれども、中国という国は探せばこの程度のネタは幾らでも転がってそうなのがまた何とも…ですかね。

今日のぐり:「そば茶屋」&「そば庄 鉄砲店

出石蕎麦巡りも何度目かということになりますと、そろそろいかにもお客が入っているお店は避けてみようかなどといたずら心も働いてくるようになりますが、まず一軒目としてこちら「そば茶屋」さんを選んだのはそういう意味があるわけです。
市営駐車場の向かいあたりに位置しているこちらのお店ですが、見た目といい店名といい到底お客が入りそうにない気配が怪しすぎるということで、今回のコンセプトにあるいはもっとも適合しているお店だと言い切ってしまってもいいかも知れませんね。
うたい文句によれば「石臼で荒挽きした香り高いそば粉を、二八の割合で丁寧に手打ちしております。伝統の香り高い出石手打ち皿そばを大口でザブリとご賞味ください」ということなんですが、お若い店主(なんでしょうね?)の方が一人で切り回されている小さな店内には他にお客の姿もなく、これで本当に昔ながらの味が出るのかと不安になるのもやむなしでしょう。

蕎麦を茹でている間に運ばれて来た薬味はとろろに鶏卵、ネギに大根おろし、そしてワサビと一通り揃えてあるのは確かに出石流で、そばつゆはちゃんと出石焼の徳利に入ってくるのもスタイルそのものですが、この鰹風味の効いたそばつゆは割合よさそうな雰囲気で期待を高めてくれますよね。
比較的加水率高めの蕎麦はしっかり茹で上げられていることもあって、この界隈では珍しいくらいにはっきりと柔らかめという仕上がりなんですが、堅さ具合は好みとは言うものの乾きやすい皿蕎麦とは言え釉薬の使ってある皿に盛るだけに、少しばかり水切りの具合は甘すぎたようにも思えたのですがどうでしょうかね?
蕎麦自体は味はともかくもう少ししゃっきりと打ってもらった方が好みであるのですが、ただ自分はとりわけこの時期の蕎麦には薬味は使いませんけれども、とりわけ鶏卵などに絡めて食べる分にはこの柔らかめの蕎麦というのがマッチするのやも知れず、あるいは出石蕎麦というものをよく研究した上でこの打ち方を選んでいるということなのかも知れません。
あからさまに粉を溶いてあるという気配の濃厚な蕎麦湯は少しゆず風味が効かせてあるタイプで、あまり余計な手は加えずにもっとナチュラルなものの方が好みにあうのですけれども、実際にこのお客の入りではまともな蕎麦湯も出来ているはずもありませんから、このあたりは仕方のないところかも知れません。

一応まともな蕎麦を目指そうと言う心意気は伝わってくるのですが、好みの問題は別としても今のところ観光地の飯屋としてはまあ許せるかなというレベルに留まっているのも確かで、蕎麦屋として人気を博するにはもう一皮も二皮も剥けていかなければならないのでしょうね。
ちなみに座敷席の奥の一画にはこたつとパソコンがあって店内に妙な生活臭を漂わせていたり、ホームページがリニューアル中とかで全く意味を成していなかったりと、何かと今ひとつ感の漂うお店という感じではあるのですが、気の良い店主のお兄さんにはそれなりにやる気がありそうにも見えただけに、今後に期待しておくべきお店ということなんですかね?
それにしてもこの店構えとネーミングがあまりにはまりすぎていて、第一印象でひどく損をしているんじゃないかという気はするのですけれども、今どきこれは一体誰のセンスなんでしょうか…

さてもう一軒、とにかく一番へんぴな場所にあるお店と言うことで選んだのがこちら「そば庄 鉄砲店」さんなんですが、近所にある本店の方は実際には営業されていない気配もあって、そば庄と言えばこちらのお店と考えていいのでしょうか?
町の奥深くの路地裏という感じの立地ですが、外から見ても中に入ってもなかなか味のある店構えで、囲炉裏などもあるものですからこれは色々と名物調理などもあるのか?と思ってメニューを見ましたら食べるものは皿そば一種類だけと、妙なところで肩すかしを食らわされたような気になるのはどうかですよね。
ちなみにこんな場所にありますが狭いながらも駐車場もあるようで、あまり観光客で混み合うという感じの場所でもなさそうなだけに県外の皆さんにとっては意外に穴場なのかも知れません。

さてその皿そば、薬味は例によってネギにとろろ、鶏卵に卵おろし、これに本ワサビと鮫皮おろしが付いてくるのがこだわりなんでしょうが、せっかくのこの時期の蕎麦ですからいずれにしても使うこともなしに蕎麦をたぐってみましたけれども、このしっかりしゃっきりした食感となめらかな舌触りの蕎麦はなかなか良い出来だと思いますね。
ただ前述の「そば茶屋」さんとは逆に、この堅めの蕎麦と甘口のそばつゆとは妙にミスマッチと言いますか、こうして単なる盛り蕎麦風に食べていますと少し物足りない気がするのですけれども、これまた薬味などと合わせていただいてみればこれがベストマッチという取り合わせになっているのかも知れませんね。
ちなみに蕎麦の水切りについてはこちらも少し甘いと言いますか、皿そばの一部の皿にだけ水切りの甘い皿が出てくるというのはそちら方面にあまり配慮が行っていない事が丸わかりになってしまうだけに、もう少し意識していただいた方がよかったのかなという印象です。
蕎麦湯はいたってノーマルでほっとする味という感じですけれども、やはり蕎麦湯と合わせて味わってみてもこのそばつゆはちょっと個人的好みからは外れてしまうのかなという印象で、そのあたり好みの問題を割り引いて考えて見ればしっかりした良い蕎麦だなとは思いますね。

実際にネット上での評判もいい、それもいわゆる観光客などではなくて蕎麦通の方々からしっかり評価されているお店と言うことで、確かに蕎麦自体はきちんとしたものだし実は意外に侮れない名店か?とも思えてしまう店を、単に一番外れにあるからという理由で立ち寄ってしまうというのもどうなんでしょうね(苦笑)。
割合に若い店員さんが、それも妙に大勢いるお店だなという印象だったのですが、それだけ忙しい時間帯には大勢のお客が来るということでしょうし、それに加えて接遇面では良い意味での接客ルール統一もなされている気配で、こういう田舎町の古びた構えのお店らしからぬ気配を醸し出しているのは興味深かったのですが、老舗の流儀に甘んじているだけでなく未来を見据えているお店だと言うことなのでしょうか。

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2010年11月13日 (土)

外から眺めてみると案外よく見えてくる場合があるもので

先日以来ネット上への動画流出問題で世間が大騒ぎになっていますけれども、いわゆる反中デモは華麗にスルーしたマスコミといえども、さすがにここまで騒ぎが大きくなると知らぬ存ぜぬを決め込むことも出来ないようです。

しかし見ていますと、よくもまあここまで得手勝手な論理を振りかざすことができるものだと感心するしかないような話が並んでいるのは、もしや笑うべきところなんでしょうかね?

朝日新聞の神田記者「マスコミを上手に使って内部告発を」と呼びかけ(2010年11月12日やじうまwatch)

 朝日新聞名古屋本社の神田大介記者といえば、岡崎市立中央図書館事件の際にシステムの不具合に原因があるとする報道を行い、ネットで賞賛の声を浴びた人だ。その神田記者が今回、尖閣諸島の中国漁船衝突ビデオのYouTubeへの流出事件に関連し「内部告発、情報提供よろず受けます」と Twitterで呼びかけている。
 特にこの事件に限ったものではなく、今回の映像を新聞社が入手することはできなかったのだろうかという疑問と、さらに GoogleがIPを開示したことに対して、取材源の秘匿が徹底されている記者や報道機関であれば足が付くことはなかっただろうとの見解で、「マスコミを上手に使って内部告発をすることも考えてほしい」としている。これらの発言に関する議論も含め、Togetterにまとめられている。

◇『内部告発はぜひ報道機関へ』 朝日新聞名古屋本社調査報道班記者が語る、タレ込みのススメ(Togetter)
http://togetter.com/li/67923
◇図書館HP閲覧不能、サイバー攻撃の容疑者逮捕、だが…(asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0820/NGY201008200021.html
◇岡崎市中央図書館 #librahack 事件を取材した朝日新聞記者さんへの質問と回答まとめ (8月21日分)(Togetter)
http://togetter.com/li/43777
◇岡崎市立中央図書館事件等 議論と検証のまとめ
http://www26.atwiki.jp/librahack/

熱血!与良政談:尖閣ビデオが示すこと=与良正男(2010年11月11日毎日新聞)

 かつて、ある現職閣僚の女性スキャンダルを「週刊ポスト」と写真週刊誌「フォーカス」(01年休刊)が再三報じ、その閣僚が辞任に追い込まれたことがあった。当時、首相官邸を担当していた私は、この週刊誌報道に対して新聞が手も足も出ず、ほとんど両誌を後追いするだけだったという情けない思いを込めながら、「これは『ポスト・フォーカス政局』だった」と解説記事に書いた経験がある。

 政治家の「年金未納」が次々と暴露されたのは今から6年前だ。恐らく旧社会保険庁内の人間が情報提供したのだろう。あの時も報道の主役は週刊誌だった。私はこれまた「なぜ新聞にたれ込んでくれないのか」と複雑な思いにかられ、「情報提供する側が、どこが最も『効果』が上がるかを考え、メディアを選ぶようになっている気もする」とコラムに書いた。

 さて、海上保安庁職員が「自分が流した」と名乗り出た「尖閣ビデオ」の流出事件だ。「これは現政権へのクーデターではないか」とか「だから最初からビデオを国民に公開しておけばよかった」とか。論点はさまざまあるが、もう一つ、私がこだわりたいのは、流出先がインターネットだった点だ。ネットという媒体が、これだけ政治を揺るがしたのは、日本では初めてだと思うからだ。

 もし、映像が入ったDVDがテレビ局に送られてきたらどうだったかと考えてみる。映像は本物か、公務員の守秘義務違反に当たる可能性が高いビデオをテレビ放映するのは妥当か、あるいは日中関係はどうなるのか。多分テレビ局はためらったと思う。新聞ならどうだったか。写真(静止画像)は紙面に掲載したかもしれないが、各社のホームページにビデオそのものを即座にアップしたかどうか。国民の知る権利を優先するか否かで、やはり大議論になったろう

 だれが流したのか。まだ不明な点もあるが、職員が「ネットが最も手っ取り早く、効果的だ」と判断したのだけは間違いないはずだ。そして、これは内部告発の有効手段として今後、拡大していくだろう。それが今回のビデオ流出が示す、もう一つの側面だ。

 これを機に政府が(あの中国のように)ネット規制に乗り出すようなことがあれば、私は断固反対するだろう。でも、なかなか新聞社に情報を提供してもらえなくなった時代に、私たちはどう対応していくのか。新たな課題が残った。(論説副委員長)

失礼ながら情報を提供したところでもみ消されるか捏造されるか、いずれにしてもまともに扱ってはもらえないことが明らかなメディアに重要な情報を持ち込もうとする情報提供者がいたとして、よほど情報の取り扱いということに関して認識が低いのではないかなと思われますから、どちらにしても彼らの手元に重要情報が持ち込まれることはないということになりそうですよね。
「なかなか新聞社に情報を提供してもらえなくなった時代」などと自然現象か何かのように書いていますけれども、これなどは明らかに原因から何からはっきりしているという点で彼らにとっては「人災」とも言うべきものであって、恨むのであれば「風の息づかいを感じて」いられなかった自らの過去の所行を振り返ってみるしかなさそうです。
こうした点で自らの思惑を押しつけようとするばかりで頼りになるどころの騒ぎではない国内メディアを尻目に、昨今海外メディアの方がよほど役に立つと注目している人も増えてきているようですが、先日以来のいわゆる反中デモ報道に関しても相変わらず黙殺を続ける国内メディアに対して、きちんとした検証記事を載せているというのは立派なものですよね。

「反中デモの性格が変質、参加者も倍増」、華人系サイトが詳報(2010年11月10日サーチナ)

  尖閣諸島を巡る問題で日中関係が悪化している中、11月6日に田母神俊雄氏が組織する「頑張れ日本!全国行動委員会」が呼び掛け、銀座や東京駅前で反中国デモを実施した。約4000人が参加したこのデモでは、民主党政権の外交姿勢を批判したほか、ノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏の解放を求めた。北米の中国語ニュースサイト、多維新聞網は日本の反中国デモの参加人数が倍増したほか、デモの性格が変質していると報じた。

  同サイトによると、英BBCは、一部の地方の議員も参加したというデモについて、日本人は右翼的な粗野な行動を嫌うが、全国行動委員会のデモは冷静で、言っていることも説得力があり、組織的だと指摘。デモ参加者が中国政府の政策と、日本政府の外交面での軟弱ぶりを批判したことが、日本社会のかなりの人々の共鳴を呼び、多くの参加者を集めたと報じた。

  また、同サイトによると、「頑張れ日本!全国行動委員会」は、今年10月以来の毎週末、日本の各都市で反中国デモを行っいる。今回のデモでは、尖閣諸島についてのみならず、アジアの自由と平和を守るため一歩を踏み出せ、ノーベル平和賞受賞の劉暁波氏を釈放せよ、中国の台湾侵略を阻止せよ、チベット人に人権と自由を返せ、新疆人に人権と自由を返せ、中国人にも自由と人権を返せ、などと中国の政治や社会に関するテーマも取り上げた。

  また、「李登輝友の会」と「台湾研究フォーラム」も同日に集会を行ったが、NHKが主催者を右翼団体と呼ばず、抗議団体としてニュースを扱ったことに同サイトは注目している。(編集担当:鈴木朋子)

政府、マスコミも含めて、日本国内でこの反中デモなる行動が公式には全くスルーされているという現象はすでに諸外国も報道するところの定説となっているわけですが、政府が何かしらの外交的意図を持って特定のスタンスを取るというのであればまだしも、一応はジャーナリズムを標榜していたはずのマスコミがそれに輪をかけて便乗するということになれば、それはもはやジャーナリズムを名乗る資格はないと見るべきですよね。
すでに経営的にも追い詰められつつある彼らは、今また自分で自分の死刑執行書にサインをしたという形ですが、国内のみならず海外においてもこうした現象は見られるものであるとは先日テキサス親父も指摘したところで、要するに全世界的にマスコミというものがそうした存在に変容しつつあるということなのか、それとも元々そうした存在であったものが現代に至って正体が明らかになってきたのか、どちらなんでしょうね。
いずれにしても今の時代にあってはこうした既存のメディアに頼らずとも、個人レベルで全世界に向けて発信していく手段がいくらでもあるわけですから、おかしなことに対してはあちらからもこちらからも「それはおかしいんじゃないか」という声が上がってくるのも当然ということでしょう。

尖閣諸島ビデオ流出で発言したネット上のオピニオンリーダー! テキサス親父に中国人の少年(2010年11月8日ガジェット通信)

先日4日夜に尖閣諸島ビデオが流出したことを受けて早速、動画サイトでこのビデオを観た感想を述べている人がいるので紹介したいと思う。ニコニコ動画に公開されている動画は例の如くあの有名な“テキサス親父”と“中国人の少年”だ。

この両者の意見を動画にて観ることができる。

テキサス親父は今回の流出を嬉しそうに動画で語っている。「沖縄県知事は“素人目には、中国漁船から衝突したように見える”と言ったんだ。俺の感想は、本当かよ? “素人目には”だって? どういう意味だよ。誰が見たって中国の漁船から当たりに行ってるぞ」と沖縄県知事の発言を批判。衝突の瞬間の映像見れば分かるが中国の漁船から衝突してるのは、だれの目で見ても容易に分かるだろう。

テキサス親父の発言は毎回正論で筋が通っていることで有名。今回も「日本の政府は北京市民が日本の議員を選んだわけじゃない、日本の有権者が選んだ」と日本の議員に聞かせてあげたいくらいだ。日本人より情勢に詳しいこのテキサス親父は今回も吠えたわけだ。

一方、“中国人の僕が尖閣について発言する”という動画で語っている中国人の少年。こちらは中立な立場で今回の問題について発言している。この人は中国生まれの中国籍の男性ながらも日本語がうまく、5分以上にわたり流暢な日本語で発言している。自国である中国に対しても第三者的視点から発言しているこの男性は、中国が他国からどのように思われているのかも把握しており、「日中が平等な立場で話し合いたい」と語っている。この男性はビデオも見て中国全土の動画サイトを調べたところ「真実が偽りに負けるってことあるんだ。もう動画サイトに跡形すら残ってない。何故今更動画サイトの動画を削除し真実を隠す? 中国政府は何を企んでいるのかわからん」と自国である中国政府を大批判

さてこの二人とも現在動画サイトで話題になっているのだが、両者とも日本人でないことにお気づきだろうか。日本人よりも海外発言者の方が目立つこの現状。日本人は少し保守的になりすぎなのではないだろうか。

【米国ブログ】尖閣ビデオ流出「中国人は事実を直視せず、政府を支援」(2010年11月8日サーチナ)

  沖縄県・尖閣諸島沖で発生した、中国漁船と日本の巡視船が衝突したビデオ映像がインターネット上に流出し、日中両国に波紋を広げている。そんな中、日本の情報を紹介する米国のブログ「japanprobe」では、映像を見た中国人の反応などについてつづっている。

  筆者は、中国政府は日本の巡視船に中国漁船がぶつかる場面を映したビデオ映像について、中国のすべてのサイトから削除するため、検閲を繰り返していると伝えている。また、この映像を見た一部の中国人ネットユーザーらは、事実を直視せずに、中国政府を支援していると指摘している。

  中国人はネット上で「偉大で勇敢な船長。我々中国人は、あなたを永遠に支持します」といったコメントや「この映像は明らかに、日本に有利な部分だけが示されている」などの意見をつづっていると紹介。映像をダウンロードしたネットユーザーも「中国に否定的な影響を及ぼすため、新たな投稿は行わなかった」と打ち明けているという。

  一方、中国メディアは、映像の内容は重要ではないとし、日本の巡視船が中国漁船を取り囲んで追放を命じたため、衝突を引き起こしたとし、日本巡視船の行動自体が不法だったと訴えている。

  このブログのコメント欄には、さまざまな意見が寄せられている。「日本は情報の安全性という点でかなり疎い。日本の国家機密における最も主要な弱点は、どのように秘密情報を流出させないかだ」といった日本政府に対する批判のコメントが見られる。

  また中国側の反応を批判する意見として「国家主義的な洗脳により、国民が国を神のようにあがめ、国家主義を宗教として見ている。彼らは、実際に目で見た事実を信じない。流出映像に対しても、反日抗議をしようとしている」といったコメントも見られた。(編集担当:田島波留・山口幸治)

テキサス親父の「日本の政府は北京市民が日本の議員を選んだわけじゃない、日本の有権者が選んだ」とは至言ですけれども、それでは別に選ばれたわけでもないのに自ら「社会の木鐸」などと僭称して得手勝手な行為を繰り返す人々に対しては、一体どのような言葉を投げかけるべきなのかということです。
特に中国側での反応というものを見ていただきたいのですが、「中国のすべてのサイトから削除するため、検閲を繰り返している」なんて話を聞けば、誰だって「中国ってそんなひどい言論統制の国なのか。それじゃ国民もまともな判断なんて出来ないよね」と思うでしょうに、国内の大きな騒ぎすら各社が一致協力してニュースに流すことすらしない国というのは、これまたひどい言論統制の国だと見なされるのも当然ではないでしょうか?
そうした言論統制の主体に対して「何故真実を隠す?何を企んでいるのかわからん」と叫び声を上げる行為が民主化運動であるというのであれば、まさしくマスコミの専横に対して声を上げ続けることこそ、現代日本における民主化運動と呼ぶにふさわしい行為であるのかも知れませんね。

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2010年11月12日 (金)

今や病院はブラック企業?!

先日もお伝えしたように最近本当にこの種の記事が立て続けに出てくるなと思うのですが、あちらからもこちらからも労基署からの勧告の話題が続いています。

広島市民病院:医師らに「超過労働」 07、09年に計3回是正勧告 /広島(2010年11月10日毎日新聞)

 ◇毎月100~150時間

 医師や技士、看護師に労使協定で定めた以上の時間外労働をさせていたなどとして、広島市立広島市民病院(中区基町)が、07年と09年に計3回、広島中央労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが、同市などへの取材で9日分かった。

 市病院事業局や同病院によると、勧告は、07年9月と10月、09年9月の計3回。労基署の定期検査などで発覚した。07年の場合、複数の医師の時間外労働が、協定では45時間までとなっていたのに、毎月100~150時間に及んでいたという。また、09年では、臨床工学技士や放射線技士らの一部に時間外労働が偏っていたことが判明した。超過労働分の賃金未払いはなかったという。

 勧告を受け、市や病院は、年6カ月分は時間外労働を月に80時間まで認めるなど勤務体系の見直しや、夜間休日は主治医でなくとも当直の医師で対応するなど負担軽減を図った。技士についても若手の育成に力を入れるなど改善を進めた。【寺岡俊】

東京都立2病院 未払い賃金1.3億円、医師らに支払い/東京(2010年11月9日朝日新聞)

 東京都立の墨東(墨田区)、旧清瀬小児(清瀬市)=都立小児総合医療センターに統廃合=の両病院が、2006~08年度に医師への賃金未払いがあるとして東京労働局から是正勧告を受け、延べ196人に計約1億3650万円を支払ったことがわかった。都立広尾病院(渋谷区)も同様の勧告を受けており、都は未払い額を確定後、支払う。

 都病院経営本部によると、未払い賃金は墨東病院は常勤医師延べ96人分の約7117万円、非常勤医師同40人分の約4397万円。旧清瀬小児病院は常勤同26人分の約1637万円、非常勤同34人分の約503万円。深夜勤務の割増賃金や、非常勤の超過勤務手当などが未払いだった。

 時間外労働などは本人が記入し、管理職に提出する勤務記録を元に支給される。未払いは、記入漏れや管理職による勤務時間管理の不徹底が原因という。同本部は「急患の手術などに追われ、記録がおろそかになった例が多い」と説明。勤務記録の徹底を各病院に指導し、常勤医師も増員したという。(岡雄一郎)

県立小児医療センター:医師、「上限超す勤務時間」 労基署が是正勧告 /群馬(2010年11月6日毎日新聞)

 県立小児医療センター(渋川市)が09年3月、医師の労働時間が労使協定の上限を超えているなどとして、前橋労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが5日分かった。同センターによると、勧告を受けて常勤医師を2人補充したが、一部診療科では医師確保が依然として追いついていないという。

 勧告書などによると、時間外労働は労使協定で月45時間までなどと定めているが、医師35人のうち6人が上限を超す勤務をしていた。

 同センターによると勧告後、心臓血管外科の医師を2人から3人に、循環器科の医師を3人から4人に増やしたが、一部診療科は必要な医師数を確保できていないという。松本博崇事務局長は「勧告はもっともだが、医師は簡単には増やせない」と話している

 勧告の背景には慢性的な医師不足があり、厚生労働省の「必要医師数実態調査」によると、県内では6月1日現在、医師469人が不足している。診療科別では▽内科72人▽整形外科51人▽外科34人▽小児科31人--など。県病院局は「医師の絶対数を増やさなければ劇的な改善はのぞめない」と話している。【鳥井真平】

表向き「記入漏れや管理職による勤務時間管理の不徹底が原因」なんて言いますけれども、まあ実際には公立病院だけに、「書けなかった」のではなく「書かせなかった」というのが実態なんじゃないかと思いますね。
今どきこうした基幹病院はどこも電子カルテで医者の行動線がつぶさに追跡できるわけですし、そもそも記入漏れが多いというのであればタイムカード一つ導入すれば済む話なんですが、きちんと記録が残せるような方法論は各病院とも決して採用しようとはしませんよね(苦笑)。
そもそも事務局長が「勧告はもっともだが、医師は簡単には増やせない」などと開き直ったような発言をしているくらいですから、今後も変わらずこうした問題は続くんだろうと思いますが、少なくとも一昔前のように労基署に電話をしても医者だと判った途端に切られるなんて時代ではなくなってきたということは確かでしょう。
別に今年になって急に医者の労働条件が悪化したと考えるよりは、かねて厚生省と労働省とが合併して以来の省内の派閥というものが今も存在していて、そのさや当てから厚労省筋の管轄であった病院問題に労働省側がどんどん口を出してくるようになったといった「噂話」レベルの方が理解しやすい話ですが、結局世間がこうした問題に注目するようになったということでしょうね。

昨今ではどこのマスコミでも医療崩壊はネタになると飛びつきやすいわけですが、それを見ている国民の側にしたところで「医者がそんな労基法無視の状況が続いているというのなら、何故労基署は取り締まらないんだろう?」と素朴な疑問は感じるところであるし、実際各地で労基署による告発がこうした勧告の発端となっている徴候があります。
一昔前であれば医者の問題には手出し無用と放置状態で済んでいたとしても、昨今ではこういう告発をするような人は必ずと言っていいほどネットなりマスコミ経由なりでネタバラしをしているのが当たり前ですから、さすがに労基署としても知らぬ存ぜぬで放置は出来ないということなのでしょうかね?
このあたりは実のところ医療業界に留まらず、昨今の不景気も反映してか全業種横断的な問題ではあるようなのですが、見ていますとなかなか興味深い話もあるようですので、少し長いですが記事から紹介してみましょう。

“未払い残業”の争いが増える、3つの理由(2010年11月5日Business Media 誠)

 「未払い残業代」――。

 これがいま、多くの経営者や役員、人事部の社員たちを苦しめている。最近は退職者が数人で徒党を組んで、かつて勤務した会社に「未払い残業代を支払え!」と訴えるケースが増えているのだ。

 未払い残業とは、労働者が、労働基準法に定められている「労働時間」を働いたにも関わらず、支払ってもらえない賃金の総称を言う。詳しくは、のちほど解説する。

 厚生労働省は毎年秋に「賃金不払残業(サービス残業)是正の結果まとめ」を発表するが、先日、2009年の調査結果が明らかになった(参照リンク)。それによると、2009年4月から2010年3月の間に、全国の労働基準監督が定期監督および申告に基づく監督などを行った。そして企業に是正指導を行い、不払いになっていた割増賃金が労働者に支払われた。その額が100万円以上になった企業は1000社を超えた。

    是正企業数:1221企業

    対象労働者数:11万1889人

    支払われた割増賃金の合計額:116億298万円

    (企業平均は950万円、労働者平均は10万円)

 1企業の最高支払額ワースト3は、以下の通り。この数字を見ると、経営者や役員、人事部の社員たちは考え込んでしまうのではないだろうか。

    1位:12億4206万円(飲食店)

    2位:11億561万円(銀行・信託業)

   

3位:5億3913万円(病院)

 私が2年前の冬に取材した中小企業(東京墨田区、社員数50人ほど)でも、同じようなことが起きた。退職した元社員(30代男性2~3人)がその会社を「残業代が未払い」として労働基準監督署に訴えた。50代の経営者は監督署から呼び出しを受け、そこで数回に渡り、話し合いをした。結局、会社は 2~3人に600万円近い金額を支払うことになったという。

 ここに出入りする業者(印刷会社)によると、経営者がこのメンバーのリーダー格を厳しく叱責(しっせき)し、彼がそれに逆恨みをしたことが一因だという。いまや会社員の企業への意識は変わりつつあるのだ。次の図は、労働者が全国の労働基準監督署に持ち込んだ労働相談の件数だが、年を追うごとに増えている。ここがまず、未払い残業代の争いが増える一因だと私は考えている。

 もう1つの理由は、一部の弁護士や司法書士などの存在である。彼らはここ数年、消費者金融などを利用する人に対し「支払いすぎたお金を取り戻そう」と呼びかけている。先日も、私の住むマンションのポストにそのチラシが投かんされていた。

 しかし改正貸金業法の施行により、いわゆる“グレーゾーン”金利が撤廃された(関連記事)。こうした動きは利用者からすると、金利を払いすぎることがなくなるということ。そこで、一部の弁護士や司法書士などは新たなビジネスチャンスとして、未払い残業代に目をつけた。ある法律事務所のチラシには、このようなことが書かれてある。

    (ある法律事務所のチラシ)

     「残業代の請求は、退職後さかのぼって2年間分はできます。初期費用は〇万円。裁判のための印紙代などの実費は、当事務所で立て替え支払いをします。会社から残業代の支払いを受けたときに精算していただきます。成功報酬は、会社から支払いを受けた金額の20%(税別)となります」

    ※編集部注:表現を一部変更しております。

「自分ももらえるのではないか」と期待する会社員

 3つ目の理由として、多くの企業では残業の時間管理が厳密にできていないことがある。出社や退社の時間の記録すら不十分なケースが目立つ。出社や退社時に打刻するタイムカードの扱いについては、これまでにいくども裁判で争われてきた。通常、タイムカードに打刻された時間は、労働時間として認められる可能性が高い

 この残業時間の管理について、社会保険労務士の滝口修一氏(NPO個別紛争処理センター副理事長)はこう語る。「残業代トラブルの主な原因は、あいまいな労務管理にある。労働者はインターネットでそのような情報を得て、自分ももらえるのではないかと期待する。まずは、労働時間管理を明確にすることが予防策になる」

 滝口氏は、適切な会社のルール(就業規則など)を作成する、もしくは見直すことから始めることを提言する。さらに必要であれば、変形労働時間※を検討する。また身勝手な残業を予防するために、許可制、確認制などのシステムを運用することも必要と述べる。
※1週48時間勤務したときは8時間分の残業手当が必要になる。しかし変形労働時間制であれば1カ月を平均して週40時間以内なら、1カ月内に48時間勤務した週があっても残業手当を支払わなくてもよい。

トラブルになりやすい「時間外労働」と「休日労働」

 「未払い残業」の扱いでよく問題になるのは、以下の3つである。私が取材した限り、1と2が目立つ。

    1:時間外労働

    2:休日労働

    3:深夜労働

 1の時間外労働とは、法定労働時間である1日8時間を超えた労働時間のこと。これを超えた分は「残業=時間外労働」となり、25%以上の割増賃金を支払う義務がある。誤解が生まれやすいのは、就業規則などで定められた「所定労働時間」との関係だ。私が労働組合の役員をしているときに組合員にアンケートをすると、このあたりを理解していない人は組合員の半数に達していた

 仮に所定労働時間が7時間として決まっている場合は、法定労働時間である8時間よりも1時間少ないことになる。労働者が1時間残業し、8時間を働いたとしても、その1時間には割増賃金は発生しない。これは「法内残業」と言われるものであり、通常の1時間について支払われる賃金と同じ額の分が支給される。ただし、就業規則などで「所定労働時間を超えた労働時間に対して割増賃金を支払う」旨の規定があれば、法内残業でも割増賃金が発生する。

 2の休日労働とは、まず法定休日として原則として週に少なくとも1日設けるか、もしくは4週で4日設けることが労働基準法で決まっている。一方で、就業規則などで定められた休日が「所定休日」である。この日に出勤し、働いた場合は「法内残業」と同じ扱いを受ける。この場合は法定休日労働としての割増賃金が発生しないので、それを支払う必要はない。ここも誤解が生まれやすいところである。

 私が労組で受けた相談例でいうと、土日完全週休2日制の職場で、ある社員はそのいずれかに働いた。彼いわく、「自分は割増賃金を受け取っていない」という。しかし、これは「所定休日」に働いたことになり、その場合には割増賃金は支払われない。

 これも誤解されがちだが、その週の労働時間が40時間を超えたときには、その時間外労働の分については、会社は25%以上の割増賃金を支払う義務がある。ただし、特例措置対象事業場は44時間となっている。

 滝口氏はこう述べる。「一般的には『残業』『休日出勤』には割増賃金が支払われるもの、と思われがちだ。所定労働時間と法定労働時間、所定休日と法定休日などと区分して考えることは少ない。これも、就業規則(賃金規定を含め)などのルールがあいまい、またはそこに記載している内容が社員らに周知されていないからではないか」

 ルールの徹底がこの問題を解決していく1つのきっかけになる、と私は思う。あなたの職場は大丈夫だろうか。

こういう話を聞きますと、労働時間をしっかり記録しておくだとか、労働契約条件を確認しておくといったことが、労働者としての基本的な義務でもあるのだなと再確認させられる気がしますが、注目していただきたいのは医療業界はランキング入りしてしまう程度に世間的には「ブラック」であるということ、そして医者稼業の労働環境というものが世間的に見るとずいぶんと妙なことになっているんだなということですよね。
こうして世間の給与労働者の働き方を見ると、むしろ医者という人種は自営業者に近い働き方をしているんじゃないかと思えますけれども、その割に実際の給与形態上は雇用された給与労働者であって、その認識のギャップを雇用者側にうまく利用されてきたという側面があるように思います。
何ら労働管理の実体がないにも関わらず勝手に管理職扱いに祭り上げられ、残業は自己責任で勝手にやっていることですが何か?なんて話は昨今の飲食業などでは大いに問題化しているところですけれども、全く類似の構図である医者の世界において今まで問題にすらならなかったのは、何より当事者である医者自身が自らの労働管理に対する意識が低かったということなんでしょう。

もう一つ、記事中においても「一部の弁護士や司法書士などは新たなビジネスチャンスとして、未払い残業代に目をつけた」といった記述がありますけれども、前述のネットによるオープンな告発なども含めて、昨今では労働者が雇用者側に対して立ち上がるための環境がずいぶんと整備されてきているということも無視するわけにはいかないところでしょうね。
当「ぐり研」でも弁護士資格者が急増しワープア化が進行しているということはたびたび取り上げてきましたが、その結果モラルハザードが発生すれば当然食っていくためには仕事を選んでいられないという話になるわけで、実際にグレーゾーン金利問題に絡んで大手消費者金融業者が破綻するとか言った騒ぎになるご時世ですから、今後医療業界にも同様の流れが来ないとは誰にも言い切れません。
この際に注目していただきたいのが昨今労基署からの勧告がどうこうと新聞ネタになっているのがことごとく公立病院の事例であるということで、もちろん公立病院がとりわけ労基法無視のあくどい商売をしてきたという背景事情もさることながら、記事の冒頭に挙げられた墨田区の例に見られるように問題が表面化する前段階としてやはり労働者と雇用者との関係が悪化しているということがありそうですよね。

今の時代に公立病院と言えば進んで就業したくはない職場の筆頭にあげられるくらいで、大学医局なども「おたくの病院に派遣するなんて言い出したら医局員全部逃げますから」とはっきり縁切り宣言をしているところもあるようですが、要するにそんなところで働いているスタッフとしては病院に対する忠誠心などさらさらない、むしろ隙あらば「恩返し」の好機を狙っているくらいに考えておいた方がよさそうです。
実際にネットなどを見ていますとたびたび告発の相談なんてものが散見される状況で、そのうちのどのくらいが実際の告発に結びついたのかは判りませんが、幾ら親方日の丸にあぐらをかいていた公立病院といえども、そういつまでも「だって医者が来ないんだから仕方ないじゃない!」なんて開き直ってばかりもいられない現実を直視しなければなりませんよね。
いずれにしてもこうしてお上の指導が相次ぐようになったわけですから、医療現場においてどう労働管理をしていくのかルール作りが早急に必要になるでしょうし、医療崩壊の時代に合った新しい病院運営を営利を求めない公立だからこそ追求できるのだと考えていくべきではないでしょうか?

公立病院の医者が公務員事務並みに労働者としての権利が保護されるようになったらと考えると、何やら楽しい未来絵図が想像出来る気がしますね(笑)。

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2010年11月11日 (木)

近頃ではすっかり影の薄い日医ですが

昨今珍しくといっていいのでしょうか、日医絡みの記事が二件ほど続いていますけれども、どうやら民主党寄りの路線をさらに一層強化していくという方向性で固まったということのようですね。
会長自ら「もうちょっと、まともな政治をしてもらえると思っていた」と言いつつこの時点でこういう意思表示をしてくるというのは、見ようによっては政権与党に恩を売ったような形ではありますけれども、政権の側がそれを恩と感じるかどうかはまた別な話ではないかと思います。

日本医師会:菅政権を「30点」 会長が不満評価 /茨城(2010年11月1日毎日新聞)

 日本医師会(日医)の原中勝征会長は31日、水戸市内で開かれた県医師会主催の会合で講演し、日医が主導的役割を果たした昨夏の民主党政権誕生について「国を救った」との考えを示しながらも、菅政権の現状については「もうちょっと、まともな政治をしてもらえると思っていた。100点満点だと30点だ」と強い不満を表した。

 「豊かな人生を送るために」と題された講演会には、昨年の衆院選で県医師会の全面支援を受けた県選出同党国会議員や医療関係者、一般市民ら400人あまりが詰めかけた。原中氏は、民主党政権の改革の成果として、郵政民営化見直しを挙げ、政府が民営化を一時的にストップさせる「郵政改革法案」成立を目指していることを「郵貯と簡保の金融資産が海外流出せずに済んだ」と評価した。

 その一方で、菅政権の現状を「我々が望むような政治はしていない」と指摘。小沢一郎元幹事長の政治とカネを巡る問題にも触れ「党内がガタガタしているだけに、国民のためになる行動をしないと次の選挙では勝てない」と注文を付けた。【大久保陽一】

日医、民主党の高齢者医療制度案容認へ 自公離れ鮮明(2010年11月10日朝日新聞)

 日本医師会は、高齢者医療制度について「75歳以上を別建て」としていた従来の主張を転換し、年齢による区分をやめる民主党案を受け入れる方針を固めた。政権交代を機に選挙協力で民主党に接近していたが、政策面でも自公政権が決めた現制度から乗り換え、現政権に歩調を合わせる姿勢を強めることになる。

 原中勝征会長が11日に記者会見して表明する。

 いまの後期高齢者医療制度(後期医療)は2008年に当時の自公政権が導入した。日医も75歳以上になると病気にかかりやすく、長引きやすいなどのデータをもとに、75歳以上の医療保険制度を「独立型」にして税金を手厚く配分するしくみを主張。自公政権と歩調を合わせた。

 これに対し、民主党は昨年の衆院選マニフェストで後期医療廃止を掲げ、将来はサラリーマンらが入る健保などの被用者保険と自営業者らが入る国民健康保険を統合。都道府県などを単位に運営する「地域保険」に一本化する方針を打ち出した。政権交代後、厚生労働省はマニフェストの実現に向けて2013年度に後期医療を廃止し、75歳以上の区切りをなくす新制度をつくるための検討を進めている。

 日医は今回の政策転換について、「地域保険」の方が財源を確保しやすいと説明する考えだが、民主党案に歩み寄ったのは明らかだ。日医幹部は「政策転換を機に細かな制度設計について民主党執行部や閣僚と協議し、新たなパイプを作りたい」と明かす。

 日医は4月、自公から民主の支援に転じるか否かを争点に会長選が行われ、小沢一郎元代表と親しく民主党支援を鮮明にした原中氏が当選。7月の参院選では自民党比例区に立った現職の組織内候補を推薦せず、実質的に民主党を支援した。9月の民主党代表選では、一部の日医幹部が小沢氏を強く支援した。

 ところが代表選では菅直人首相が勝ち、菅政権は「脱小沢」の布陣に。民主党執行部内には小沢氏に近い日医を敵視する空気もある。頼りの小沢氏が強制起訴されることも決まり、日医は診療報酬改定の議論が来年本格化するのを前に菅政権との関係構築を迫られていた。原中会長は10月24日の日医の臨時代議員会で「『お前は小沢派だから(現民主党執行部から)除外されているのではないか』と言われるが、そんなことはない」と釈明していた。(明楽麻子、友野賀世)

後期高齢者医療に関して日医が民主党案を受け入れるというのは一昔前であれば結構なニュースであったのでしょうが、正直今の日医が何をどう言おうが医療政策の行方にさしたる影響があるとも思えないだけに、「同意してあげるんだから感謝してよねっ!」なんて今どきのツンデレっぽく振る舞ったところでどうなのよというところでしょう。
このあたりは日医執行部全体の総意と取るべきなのか、それとも自他共に民主党シンパと認めている原中会長個人の見解が優先されているのか微妙なところですが、ちょうどこの夏に受けたインタビューで原中会長自身が民主党政権について語っているという部分を参考までに引用してみましょう。

原中勝征さん(日本医師会会長)インタビュー 闘う医師会づくりで官僚主導から脱却(2010年8月4日朝日新聞アスパラクラブ)
より抜粋

民主党との協議会に現場の声を

――政権交代で、変化はありましたか。

原中 政府にこうしたことを訴えやすくなりました。私は民主党寄りだと言われますが、政治家が政治をやるということは正しいと思っています。本来は、2大政党が政権を取り合うのが理想的です。自民党の長期政権で2世、3世の議員が増えて、政治家が勉強しなくなり、官僚が政治をやりやすくなってしまったようです。これは正さなくてはなりません。
 日本医師会は、民主党に現場からの声を届ける団体にならなくてはいけない。そこで、小沢前幹事長と私が最高責任者になって、民主党と日本医師会との協議会をつくることにしました。その中で、雇用問題、少子化問題、民間企業の医療への参入などを話し合います。また、特定看護師の問題もあります。アメリカのナース・プラクティショナーは、チーム医療の中で位置付けられています。ところが日本は、看護師に医療行為をさせれば安くできるという誤った方向に向かっています。
 間違いのない良質の医療をつくることは国民のためであり、経済性を中心に医療を変えようとすることに対しては断固反対していく。それが、私たち専門集団の務めだと思っています。

原中会長には失礼ながら、日医という組織が医療現場の声をまるで聞かないでやってきたからこそ今日の医者の日医離れなどとも言われる事態を招いたのだと思うのですが、その問題意識なくして自分たちが医者あるいは医療現場の代弁者であるかのように誤解しているのだとすれば、これはとんでもないはた迷惑な思い上がりであると言うしかないと思いますね。
ただここで注目していただきたいのは、やはり原中氏の民主党とのパイプというのはかねて噂されてきた通りあくまで小沢氏個人とのパイプが主体であって、民主党の中でも医療行政に深く関与している(どちらかと言えば反小沢派の)方々との間に特別のパイプがあるわけでもなさそうだとは言えそうですよね。
となると、小沢氏なき現民主党にとっては日医などしょせん「うるさい業界団体」の一つにしか過ぎないということになりますし、まして中医協などの場においても日医抜きということがすっかり常態化している現状で、何を言ってもしょせんは負け犬の遠吠えではないかと冷めた目で日医を見ている人間もますます増えてきそうです。
こういう状況になりますと元々非常に微妙な勢力バランスの上に会長職へ就任した原中会長としては、一番のセールスポイントが消滅しかねない事態だけに指導力発揮にも影響があるのではとも思われるところですが、ちょうどこのたび日医の代議員会があったということで、その様子を拝見してみることにしましょう。

第123回日本医師会臨時代議員会 会長あいさつ(要約)(平成22年11月5日日医ニュース)より抜粋

(略)
 私たち執行部が四月一日に誕生いたしまして,その後の経過を簡単に申し上げますが,私が会長選で獲得したのは,三分の一をわずかに超える票数でした.執行部の先生方のなかには,私が推薦しなかった方も入ったため,いろいろなところからねじれ執行部であるとの批判を受け,一体この日医がどのような道をたどるのかと,大変危うく報じられたことを覚えております.しかし,本当に幸いなことに,この執行部は日本すべての医師会の推薦を受けた先生方で構成することが出来,大変歴史的な執行部になったのではないかと感じているところでございます.
(略)
 私はよく「小沢派だから,お前は除外された」というようなことを言われておりますが,決してそうではありません.私たちは,日医が政治に左右されるようであれば,国民が不幸になるという信念の下に行動しているつもりでございます.
(略)
 今,私たちが求められているのは,当面の問題に対してどういう行動をするかということだと思いますが,小泉内閣の時代,それ以前からずっと続いていた医療費削減が原因となり,地域の医療が崩壊しております.この地域医療の崩壊を一日も早く直すこと,正すことが私たちの使命でもあり,全身全霊このことに力を注いで対策に取り組もうと思っております.
 日本の国は自由主義,自由経済の国であります.しかし,社会保障,医療制度に対し,官僚による医療を束縛しようという態度が見られた時には,医療崩壊が起こります.私たちが国民を守っているという姿が,国民の目に映るような,国民を味方に出来るような方法も必要だと考えているところでございます.
(略)
 私は,地域医療を守るためにということだけではなく,医師免許,特に保険医の免状を取る時に,地域の医師会に全員入っていただけるような法律改正もお願いしなければいけないと思っております.勤務医と診療所の医師が,同じ医師でありながら,全く違う人種,全く違う仕事をしているかのような印象をマスコミがつくってしまいました.
 しかし,私たち医師というものは,生命倫理に基づいて行動しているわけでございます.「ヒポクラテスの誓い」のなかにも,医師というものは人々を病気の苦しみから救う職業である,神から与えられた聖職であるということが,はっきり記されておりますし,第二回世界医師会総会で,この主旨は「ジュネーブ宣言」として採択されています.もしその考えに立たなければ,医師会は単なる職業別組合と同じになってしまうだろうと思います.
 勤務医であろうと,診療所の医師であろうと,心を一つにして,いろいろな難関と闘っていかなくてはなりません.地域医療は,医師会と都道府県等の行政が一緒になって,構築することが大切と考えております.これはあくまでも私の私案として申し述べました.
(略)

第123回日本医師会臨時代議員会 政治に左右されない国民のための強固な医師会を目指す(平成22年11月5日日医ニュース)より抜粋

 第123回日本医師会臨時代議員会が10月24日,日医会館大講堂で開催された.
 当日は,一般会計決算の件など,四議案の審議が行われ,可決成立したほか,代議員から出された様々な質問・要望に対して,執行部から回答を行った.
(略)
 (七)日医広報のあり方について(医療推進協議会の今後)
 久山元代議員(京都府)の日医広報のあり方について(医療推進協議会の今後)の質問に対して,石川広己常任理事は,京都府での「国民医療推進協議会」の開催に謝意を述べたうえで,本協議会が国民と共に国民医療の向上に向けて活動するための重要な組織であるとの認識を示し,協議会の実際の活動は,地域に密着した活動も重要であることから,日医でも今後,必要に応じて,時機を逸せず協議会を開催していきたいとの考えを示した.
 さらに,日医を理解してもらうには,まず,医療界全体,勤務医も含むすべての医師に日医の政策を理解してもらうことが重要だとし,現在,日医の新たな広報戦略として,日医ホームページを一新し,より日医の主張が広く伝えられるよう検討中であることを報告した.
(略)
 (九)弱くなった医師会を強くするための提言
 加藤智栄代議員(山口県)から示された「弱くなった医師会を強くするための提言」に対しては,今村聡常任理事が回答した.
 同常任理事は,勤務医の労働環境の改善のためには,現在の低医療費政策の下,過重労働せざるを得ない医師への十分なサポートが重要であると指摘.その解決策として,今年度の「勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会」の活動内容を紹介した.さらに,「医師の働き方のガイドライン策定」に向けて,検討していることを報告した.
 「医療への司法の介入」に関しては,理不尽な医療裁判等には,医師会をはじめ医療界が迅速に見解を表明することが,患者,国民に医療の正しい姿を理解してもらうためにも極めて重要であるとし,今後も迅速な対応を心掛けていくとした.
 「医師会の異動手続きの簡素化」については,現在,都道府県医師会の意見をアンケート調査中であるとしたほか,「勤務医の会費減免」については,会務の効率的運営,事業内容や収入・支出も考慮に入れなければならず,長期的課題だとして,理解を求めた.
(略)

ごくごく主観的判断に基づいて大幅に端折らせていただきましたけれども、会長の発言の中にも私案として「医師免許,特に保険医の免状を取る時に,地域の医師会に全員入っていただけるような法律改正もお願いしなければいけない」なんてとんでもない発言が飛び出している、これを受けてか質疑応答の中でもいかに日医の存在価値をアピールし、会員を増やすかという話に力が入っている印象を受けます。
日医としてはよほど各方面から「誤解」されているという危機感があるのでしょうが、失礼ながら政治にしても二大政党制なんて時代がやってきているような現代、20万人以上の医者が一つの価値観を中心にまとまって行動するなんてことはちょっと考えにくいんじゃないかと思いますし、ましてやその中心がこれだけ誤解数多(笑)と自ら認めている日医となれば誰しも躊躇せざるを得ないのではないでしょうか?
そもそも全ての医者が一致団結して立ち上がるとなれば例えば大野事件などに代表されるように、医者自身の健康なり権利なりに対する侵害に対して断固戦う時ではないかと思うのですが、当の日医はと言えば相も変わらず国民のために頑張っていきますと明後日の方向を向いて演説をしているわけですから、それは会員からも見放されるのは当然でしょう。

原中会長は「医師というものは人々を病気の苦しみから救う職業である,神から与えられた聖職であ」って、「もしその考えに立たなければ,医師会は単なる職業別組合と同じになってしまう」と言い切っていますけれども、そんな言葉は一度でもまともな職業別組合として機能したことがある組織にして初めて口にして良い言葉であって、もし自分らはそんな「低レベル」の存在ではないなどと考えているのならとんだ思い上がりです。
そもそも毎年毎年会員から巻き上げた金を使って多額の献金をして、年がら年中医療費を増やせと日医が叫び続けるよりも、現場の医者達がもう無理、勘弁してくれと行動に移した方がはるかに政治的影響力を発揮してしまったという実例がすでに存在している時代に、日医が組合的機能を果たしているなどと考える人間がどれほどいるでしょうか。
日医と言えば一応開業医の利権団体ということになっていますが、地方で医師会を支えているような開業医の先生方ほど実際には日医というものに不満が溜まっていて無茶苦茶に執行部の悪口ばかり言っている、そういう現実を無視したまま「医者は全員医師会に入るように法改正を」などと言ったところで、よほど上納金に飢えているのだろうなとしか受け取られない話ですよね。

近年の日医という組織を見ているとまさに崩壊していく組織が辿る道筋そのものと言いますか、さんざん医者を使い潰した挙げ句誰からも相手にされなくなった田舎の公立病院が「医者が全く来ないじゃないか!国が医者を強制配置してくれないと困る!」なんて大騒ぎしているのと全く同じ構図で、およそ自ら何が悪かったのかと顧みるところがない組織はこうまで堕落するのかと改めて感心するしかありません。
良きにつけ悪しきにつけ存在感だけは発揮していた武見時代ならまだしも、今どき何らの実権も影響力もない日医が他人に何かを主張したいのであればその主張の内容で勝負しなければ仕方がないでしょうに、肝心の中身が一向に代わり映えしないということであれば求心力が回復する見込みもあるはずがないですよね。
近々発表するという日医の医師偏在対策なるものがどのような内容となるのか、そうした視点からも大いに注目されるところでしょう。

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2010年11月10日 (水)

病院と患者は対立関係にあるわけではないはずなので

先日こういう記事が出ていまして、記者氏がどういう意図で書いているのかはよく判りませんけれども、とりあえず一読してみていただきましょう。

救急車、患者搬送せず引き返す(2010年10月24日朝日新聞)

◆自分で消防署へ、その後搬送◆

 江津市の会社役員の男性(53)が、119番通報して救急車を要請したところ出動を拒まれ、タクシーで江津消防署に行き事情を説明すると、浜田市の医療機関に救急車で運ばれたことが23日、わかった。江津邑智消防組合消防本部は対応が不適切だったとしている。

 男性によると22日朝、尿管結石の治療を受けるために江津市の病院で外来診察の順番を待っていたところ、激痛に見舞われた。看護師に訴えたが鎮痛剤をすぐには処方されなかったため病院外から119番通報した。救急車は男性の近くまで来たが引き返し、その後も2度通報したが拒まれた。出向いた江津消防署で事情を説明すると、救急車で運ばれたという。

 同消防本部総務課は「男性から最初の要請を受けた後、病院から『うちで対応する』と電話があったので出動した救急隊に戻るよう命じた。病院近くからの通報だったこともあるが、男性に接触するべきだった」としている。

 男性は「目の前まで救急車が来たが引き返した。命をどう考えているのか」と話している。(菱山出)

一見すると出動を拒んだという消防署が悪かったかのようにも見える記事ですが、これなどは記事を読めば読むほどにまさしく噛みしめれば味が出るという感じの事例ですよねえ…
こういう話は昔から決して珍しいものではなかったというのは現場の常識ではありますが、昨今興味深いのがかつては密かに闇から闇へと葬られていたような症例が、どんどん一般マスコミによっても報じられるようになったということです。
この記事なども一昔前なら黙殺されているか、「でも医者も悪いんですよ」で終わっていた話でしょうが、これも表に出るようになってきたのは時代の変化ということなんですかね?

医師の首絞め看護師殴る…患者の院内暴力深刻(2010年10月22日読売新聞)

 茨城県内の医療機関で、患者から身体的・精神的暴力、セクハラ(性的暴力)などを受ける院内暴力が深刻な問題となっている

職員の離職や医療サービスの低下につながる事態に、自主防衛策に乗り出す病院が増えている。

市民の意見聞く取り組みも 現場の声

 「医者を呼べ、お前らも殴られたいか!」。県内のある病院の夜間救急外来に、酒に酔った男性が来院した。名前を尋ねる女性看護師に「さっさとしろ。チャカ(拳銃)持ってるんだ!」とすごみ、頭をつかんで振り回した。けがはなかったが、この看護師はその後、不眠が2、3日続いた。

 筑波大大学院の三木明子准教授(看護科学専攻)が6月に出版した「看護職が体験する患者からの暴力―事例で読み解く」(日本看護協会出版会)で、全国の院内暴力の実態が明らかにされた。読売新聞の取材では、県内でも「急いでいるから薬だけ欲しい」と診療を拒否したり、「治療期間が長引いた分だけ生活補償しろ」と無謀な要求をしたりする患者や、女性看護師へのストーカー行為など実例は多岐にわたる。

 院内暴力の背景には患者の権利意識の高まりに加え、プライバシーへの配慮から密室でケアをする病院固有の事情が存在する。三木准教授は「茨城の医療現場は暴力に耐え忍ぶ地域性も見られ、組織での取り組みが十分に進んでいない。医療事故防止対策に比べ、暴力防止対策の優先順位が低い」と指摘する。

助っ人導入

 牛久愛和総合病院(牛久市)では3月、「患者サービス室」を設置した。専任の中村育夫さん(59)は、昨年まで東京都内の病院で同様の部署で働いていた。現場で15分以内に対処できない苦情が発生すると駆け付け、別の診療に影響しないよう別室に移動して話を聞く。看護師からは「仕事に集中できる」と信頼を置かれている。

 処理した事例は、関係する主治医らに必ず報告する。トラブルの再発防止や院内環境の改善に役立てるためだ。中村さんは「患者の要求を見極めて毅然(きぜん)と対応しなければ、理不尽な要求や暴力を振るう患者を生み出す」と、無理な注文には病院の立場を説明する役目も担う。

 土浦協同病院(土浦市)では4月から、県警の元警察官を常駐させている。心理学や護身術などの知識を持ち、法律にも詳しい“助っ人”として活躍している。筑波大付属病院(つくば市)でも3年前から、元警察官を採用。「患者相談窓口」には、患者の情報を正確に把握するため録音・録画装置を設置した。

 牛久愛和総合病院では「地域に開かれた病院を目指し、院内を明るいイメージにしたい」と今月、市民で作る外部評価委員会を設置。理不尽な要求に苦慮する病院の実情を知らせたり、市民の意見を聞いたりする取り組みが始まった。

 三木准教授はこうした病院側の動きについて「一部の患者の無用な暴言・暴力に対し、現場のその場しのぎの対応では解決にならず、組織で対策を立てざるを得ない現状に直面している」と見る。医療の原点である患者と病院の信頼関係構築に向けた模索は続く。(原田この実)

 茨城県内の院内暴力の事例

 ・看護師が殴る、けるの暴行を受け、眼窩(がんか)底骨折で手術、もう1人はあばら骨を折った

 ・つばを吐く、かみつく、ひっかく、暴言を吐くなどの行為を日常的に受けた

 ・作業療法士のリハビリ説明が気に入らず、なだめに入った医師が首を絞められた

 ・朝7時の体操の声かけに行くと、いきなり顔を殴られた。「眠かった」との理由だった

 ・介助のため、もう1人職員を呼びに行くと説明すると「不親切だ。お前なんて簡単に殺せる」と大声を出し、足げりされた

 ・ベッド横でカーテンを閉め、体をふいていると胸を触られた

 ・患者の家族から「体をよくふいていない」、「1番に父の処置をしろ」と召し使いのように扱われた

 (2008年、三木准教授の調査より)

病院の半数被害

 全日本病院協会が2007~08年、全国の会員2248病院を対象に行った「院内暴力など院内リスク管理体制に関する医療機関実態調査」によると、患者やその家族らから職員が院内暴力を経験していた病院は52・1%に上った。1106病院から回答があり、有効回答率は49・2%。

 発生事例のうち、「警察への届け出」は5・8%、「弁護士への相談」は2・1%に過ぎず、多くは院内で対応していた。同協会は「院内暴力の対応に伴う病院負担が大きいことがうかがえる」としている。

 一方、職員の被害状況を院内で把握しようと、報告制度などを整備しているのは38・9%、対策マニュアルや指針を整備しているのは16・2%、院内暴力を回避するための研修を開催しているのは12・7%にとどまった

暴力被害を経験したことがある病院がわずか半数とはずいぶんと控えめな数字ではないかと思いますけれども、どうも患者や家族からの身体的、精神的暴力は仕方がないもの、黙って耐えるべきものと勘違いしている人間が、現場にも病院上層部にも未だに多いということなんでしょうね。
適切な対応が全く出来ていない、そもそも何が適切な対応なのかも理解していないという施設が大半であるという現実がそのあたりの事情を物語っていますが、その背景には長年にわたってマスコミ各社が一生懸命繰り返してきた病院バッシングが存在しており、「病院相手なら何をやっても許される。世間も味方してくれる」という勘違いが蔓延しているということは想像に難くありません。
ちょうど先日は患者側から見た病院の問題点といった感じの記事を紹介させてもらったところですけれども、こちらも全く同様に病院内の療養環境を悪化させる大きな要因であることは疑いないわけですから、これを改善するためには一方向からの努力だけでは無意味であって、まさしく「病院から良質のサービスを引き出すのも患者の姿勢次第(山口育子COML事務局長)」ということになりそうです。

何しろマンパワー集約型産業の典型ですから、少し大きな病院と言えば入院している患者が数百人にスタッフも数百人、さらに毎日毎日外来にも何百人もの患者が集まってくるという場所である上に、それぞれが深刻な問題を抱えていると頭を悩ませている人々であるわけですから、巨大な接客装置として考えた場合に日々トラブルが発生しない方がおかしいくらいですよね。
社会常識的に暴力等の許容されざる行為に対して毅然と対応することは言うまでもありませんけれども、一部の顧客による問題行動が他の大勢の患者にとっては時として生命や健康にも関わる問題となり得ることを考えれば、医療の現場でこそ飛行機内などと同様厳しいルールを設定し守っていただく必要があるということにならないでしょうか。
こういう顧客の問題行動に対してきちんとした対応を取れない施設と言えば、当然ながらスタッフの労働環境にも認識が甘いものと想像されますから、患者のみならずスタッフとしてもこうしたブラック病院は許さないという姿勢をはっきり示していくことが大事でしょうね。

しかしまあ、こういう今までであれば闇から闇へと葬られ泣き寝入りするしかなかったような問題が、きちんと日の目を見るようになっただけでも多少は意識の進歩が見られると肯定的に捉えておくべきなのでしょうが、院内環境改善に関しては病院側と患者とはマスコミが煽りたがる対立関係ではなく、本来的に同じ目的を共有する協力関係であるはずなんですよね。
その意味からすると今後は単に一部患者対策のみならず、多くの善良な患者さん達にも協力をしていただきながら病院内環境の改善を進めていかなければならないし、そのためには当事者である病院側もこうした機会を逃すことなく「あなた達にとっても大問題なのです」と世間にアピールしていかなければならないですよね。

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2010年11月 9日 (火)

医療現場の接遇向上は社会的要請?!

先日出ていた短い記事ですが、「さもありなん」とも思わせるのがこちら国立がん研究センターでの調査結果です。

主治医の「説明に納得できず」8割 がん相談対話外来の利用者(2010年11月4日産経新聞)

 国立がん研究センターが7月に開設した「がん相談対話外来」にセカンドオピニオンを求めてきた利用者の8割が、「主治医の説明に納得できない」との理由で受診したことが分かった。同外来は、医師だけでなく看護師、必要なら専門相談員や精神科医も立ち会って患者や家族と対話し、疑問や悩みの解決を図るのが特徴。

 8月2~13日の相談64件を分析した結果、主治医の診断や治療方針に問題はないが、患者が説明に納得していないケースが83%に上った。次いで主治医が適切な治療法を提示していない(8%)、適切な診断ができていない(5%)など。

 同外来の対応として42%に新たな治療法、6%に新たな診断を示した。

主治医の言うことに全て納得できているということであればそもそもセカンドオピニオン外来にやってくることもなかったでしょうから、この調査対象であれば何にしろ納得出来ていない部分は全員が持っているはずですけれども、その中でも診断や治療方針には問題はないがとにかく言い方が悪い!と主張している患者がほとんどであるというのは興味深いですよね。
おそらくセカンドオピニオン外来にやってきた患者の前医のほとんどは一般病院医師でしょうから、こういう話を聞けば「忙しい診療の合間に一から十まで完璧に納得できるような説明は出来ない」なんて弁解が聞こえてきそうですけれども、逆に一般病院の患者のうちで説明や治療法に納得したという患者がどれくらいの割合いるものなのかというデータもあれば、より意味深いものになりそうな話です。
こういうことは顧客満足度ということに関わってくる話だと思いますけれども、今の時代この顧客満足度ということを医療現場も無視してやっていくことは出来ないというのはもっと常識化していいと思いますね。

ひと頃から「インフォームドコンセント」ということが医学教育の現場でも念仏のように唱えられるようになって、近頃はとにかく患者の同意がなければ原則何も出来ないということになっていますけれども、未だに古い時代の教育を受けた「俺の言うことが正しいんだから黙って聞け」式の先生も生き残っていないわけではありません。
最もそういう先生も一部方面には一定の人気はあるという逆説もあって、これはこれで需要と供給がうまくバランスしていれば構わない話なのでしょうが、一方で医療の現場は昔よりもずっと多忙になっている、その中で昔よりも遙かに懇切丁寧な説明を納得されるまで続けなさいと言うルールになっているとすれば、これは現場のスタッフもますます大変だろうなとは誰にでも判る理屈ですよね。
昨今ではそうした状況を逆手に?取って、まずはマニュアル通りに懇切丁寧な説明を一通り行う、そしてそれに納得できないという患者には「それではご納得いただけない以上当院での治療は出来かねます」とさっさと送り出してしまうというやり方を取り入れている先生も多いようですが、これなども一部に明らかに存在する難しい患者に対応する一つの現場の知恵とは言えそうですよね。

それでも前述の調査においても不満を抱えている患者の8割においても診断や治療法といった部分には納得しているというわけですから、逆に言えば後は言い方の問題さえクリア出来ていれば何も難しいことはなかったはずだという見方も出来るかも知れません。
難しい患者というものは基本的にいつトラブルのネタになってもおかしくない「要注意」顧客でもあると言うことですから、リスクマネージメントの観点からするとそういう患者は早めに見つけ出して他院に送っておくに限るというのも一つの正解なのでしょうが、クレーマーでも何でもない一般顧客相手にも余計なトラブルを抱え込みかねない接遇などは、やはり客商売に関わる人間として非難されるのも仕方ないでしょう。
実際のところ患者が気に入る接遇とはどのようなものであるのかは個々の顧客によっても違うのでしょうが、先日は日経新聞に興味深い記事が出ていましたので紹介しておきましょう。

患者は「顧客」 マナー重視 医療機関、競争激化で対応改善 職員に研修、学生教育も (2010年11月4日日本経済新聞)

医師の高圧的態度、職員の心ないひと言に不快な思いをした患者は少なくない。これに対し近年、患者を「顧客」ととらえ、きめ細かい対応を目指す動きが医療機関で広がりつつある。背景には、都市部を中心とした競争激化がある。医師・看護師はもちろん、事務職員も含めマナー教育に力を入れる医療機関が増え、医学生に「患者目線」を教え込む大学も出てきた。

 「医療はサービス産業。病院は医療サービスを提供することにより社会に貢献している」――。神奈川県秦野市の鶴巻温泉病院(鈴木竜太院長)は、今年4月に看護師や作業療法士ら新入職員70人に配った「メディカルマナー研修」のテキストの冒頭で、病院の存在意義をそう強調した。

 同研修は、医療事務スタッフの養成講座などを手がける日本医療事務協会(東京・新宿)が始めた。鶴巻温泉病院が契約第1号の病院だった。同協会は7年ほど前から、医療事務の仕事に就こうとする個人向けに「メディカルマナー講座」を展開。患者に好印象を与える受付や、保険証の正確な確認などを6時間かけて集中的に学習する。今年から法人向けも始めた。

電話対応に力注ぐ

 鶴巻温泉病院が研修の実践練習で最も力を注いだのが電話対応。「病院は意外と内線の取り次ぎが多い」(総務課)といい、メモや復唱確認は基本的な注意点だ。

 同病院の主力はリハビリテーションと介護療養で、入院患者は大半が高齢者。看護師らが患者と接して得た知見をまとめ「高齢者ケアのマナーブック」を出版し、他病院の手本にもなっている。タブーや禁句を列挙し、「香水は(つけすぎず)1、2滴で」などと、身だしなみについても細かく解説している。

 職員の口からは「お客様」という言葉が自然に出てくる。飲食店のような心得「私達のマナー 五つの約束」を院内に掲示。「会話の語尾に『です』『ます』を」なども「最低限のマナー」として従業員にたたき込んでいる

 退院1カ月後の患者アンケートも珍しい取り組みだ。回答はホームページなどに匿名で載せ、それへの病院応答も掲載している。病院内にも「ご意見箱」を設置。評価の声が大半だが「入院初日、病院に慣れていないのに職員紹介をいっぺんに受けた」「職員が忙しすぎて、じっくり相手をしてくれる人がいなかった」など手厳しい意見も多い

 医療現場を将来担う医学生へのマナー教育にも力が入れられている。独協医科大(栃木県壬生町)で責任者を務める古市照人教授は「学生は年代の離れた人と話すことに慣れていない」と指摘する。

 同大学は1、2年次に地域医療の現場実習授業を導入。看護師の1日の仕事に付き従い、患者に病気の説明をしたり、世間話に付き合ったりする。4年次には、近隣住民から募った「模擬患者」を活用、医療面接の授業をする。不機嫌な患者への接し方などで、学生は必ず戸惑いを見せる。

 医学部5年生の高橋充さんも「初めはほとんど質問できなかった」と振り返る。実践を繰り返し、今では「例えば、ベッド上の患者さんに話しかける時、立った状態より、かがんで同じ目線になったほうが威圧的にならない」などのコツを体得できたと語る。古市教授は「教師も勉強になる。診療技術が向上した」と授業の効果に胸を張る。

 企業向けマナー研修で知られるキャプラン(東京・港)JALアカデミー本部も、「患者接遇マナー1日コース」を東京だけで月3回ほど開催。6時間かけて電話応対や患者への接し方を教え、開業医も含め幅広い参加がある。講師を派遣する場合もあるが、老舗とあって「介護保険開始後は介護関係から、薬学部の6年制実施後は薬学部から声がかかった」という。

入院も外来も減少

 医療機関がマナーを重視するようになった背景について、東京医科歯科大の川渕孝一教授(医療経済学)は「デフレ不況で、高齢化社会と言いながら入院も外来も患者が減っている」と分析。「明らかに病院にも勝ち組・負け組の差が出てきた。特に慢性患者は気心の知れた対応の良い病院に行きたがる。だからこそ、患者の接遇が見直されてきている」と強調する。

 製品・サービスの安全や品質を重視する消費者行政が注目を集める昨今、医療現場にも「消費者の目線」が持ち込まれつつある。電話対応、クレーム対応の一つ一つが、病院の評判、ひいては経営にじわじわと影響することを肝に銘じるべき時代ともいえそうだ。

覆面調査のNPO「病院、踏み込み不足も」

 患者の目に病院の顧客対応はどう映るか。特定非営利活動法人(NPO)のCOML(コムル、大阪市北区)は「病院探検隊」を展開。入院経験などのあるボランティアスタッフら約10人を依頼のあった医療機関に派遣、覆面調査で70件近くのマナーを“診察”してきた。山口育子事務局長は「意識は高まっているが、踏み込んだ部分で徹底されていない」とみる。

 9月に訪れた岡山市の岡山旭東病院は患者とのコミュニケーションを重視し、5年前から案内係2人をロビーに配置。山口さんが初診窓口を探していると「どうしましたか?」と、すかさず声をかけてくれた。院内に芸術作品も展示、患者が待ち時間を楽しく過ごせる工夫もみられた。

 半面、整形外科まで案内してもらう際、職員は山口さんの歩くペースに合わせてくれなかった。診察の待ち時間の目安を示す表示がないため、芸術作品もゆっくりは楽しめず、トイレに行けそうなタイミングも分からなかった。こうした指摘に病院側は「細かな点が行き届いていなかった。改善したい」としている。

 ただ山口さんは、処置が上手だった看護師を褒め、治療で症状が改善した点は医師にしっかり伝えて感謝するなど、患者側の心遣いの大切さも説く。不満をぶつけるだけでは医療関係者も反発するためだ。山口さんは「病院から良質のサービスを引き出すのも患者の姿勢次第」と訴えている。

なんだ、特訓みたいなことを良いながら当たり前の常識ばかりトレーニングしているんじゃないかと感じる人もあるかも知れませんが、実際にその当たり前の常識が身についていない人間が現場には必ずと言っていいほど紛れ込んでいるものであり、百人に一人でもそういう人間がいればそこからトラブルがこじれていくという現実を認めないわけにはいきませんよね。
病院の勝ち組、負け組が顕在化してきているのは事実にしても、それが接遇面の優劣に由来する物なのかどうかは判らないじゃないか、実際多くの病院でもうこれ以上無理というくらいに患者が押し寄せていても赤字なのはどういうことだと考える人もいるでしょうが、少なくとも鶴巻温泉病院のように長期の患者を抱え込んでナンボの病院にとっては、接遇改善が安上がりに顧客満足度を向上させる手段の一つとは言えそうです。
今どき各病院にたいてい目安箱のようなものは設けられていて、現場の側からすれば「ちょっとそれは無理」と思えるような「わがまま」的な意見も多数投げ込まれているわけですが、業務に悪影響を与えることなく改善できることならさっさと改善しておいた方が、患者側もリラックス出来て「まあ、多少のことはいいか」と鷹揚に構えていられるようになるかも知れませんよね。

仮にも顧客とすれ違っても挨拶も出来ないとか、医療人として以前に社会人としてどうよと言うレベルの人たちは問題外ですが、こういう接遇改善なんて話を聞くと「忙しいのにそんなことに気を遣っていられるか!」と言い出す多忙な医師の皆さんにこそ、むしろこうした社会的要請を勤務状況改善のための好機と捉えていただくべきなのではないかと思います。
例えば丸々24時間の連続勤務明けでろくに眠れていない、ひげも当たらず髪はボサボサで白衣は皺だらけ、いまにも倒れそうな有様の医者が外来に出ているということになれば、自分が患者の立場に立ってみてもそんな医者に診てもらいたくはないと思いますよね?
自分が生きるか死ぬかの思いで入院しているのに、担当医は「あっ、あちらの患者が急変したのでちょっと失礼」とろくに話をする時間も作ってくれないとなれば、自分が顧客としてそういう扱いをされた場合を考えて見ても、もっと患者一人一人にゆっくり向き合えるくらいの余裕ある診療をして欲しいと思いますよね?

となれば、顧客満足度向上のために医療を提供する側として何をするべきかと言えば、衣食足りて礼節を知るではありませんが最低限の心身のゆとりをスタッフの側も持っていなければならない、少なくとも日々の業務に追われて患者の顔と名前もろくろく覚えていないような勤務態勢では、うっかりした勘違いからとんでもない大失敗をやらかしてしまうリスクも増えるだろうと言うことです。
現代の医療現場、とりわけ多忙な急性期の病院において、多くの医療事故が突き詰めるところ多忙であるが故に発生しているという現実がある、そして多忙とは顧客満足度も引き下げ最終的には病院の評判も貶めかねない重要な経営悪化要因であるとすれば、「俺たちにもっとまともな接遇をさせられるよう職場環境を整えろ」と要求することが職場に忠誠を求められる従業員としての当然の義務でもあると言えそうです。
いつもそうであるというのも現実問題無理があるのでしょうが、たまには医者も患者の世間話につきあったり、患者のペースにあわせてみたりといった程度のことが出来るように要求することは全く不当ではないし、その程度のことが実現できない病院は医者のみならず患者にとっても「良くない病院」であるという認識を、もっと社会常識として定着させていくべきなのでしょうね。

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2010年11月 8日 (月)

またも朝日新聞 問われるその責任の所在

先日こういう記事が出ていましたけれども、言う主体が誰であるかということを考え合わせてみるとなかなか含蓄のある言葉ですよね。

患者塾:医療の疑問にやさしく答える スーパー細菌と闘う/下 /福岡(2010年10月26日毎日新聞)
より抜粋

 ◇記者の一言

 「『この病院はまじめにやっているから院内感染が出てしまった』と受け止めて」と医師から話があった。
 何度か院内感染を取材したことがあるが、病院の話を聞いて、「大騒ぎする話ではない」との結論に達したケースがほとんどだ。
 でも病院が事実を正確に説明しようとしないと、記者心理として「何か隠しているのでは」と勘ぐってしまい不信感が生まれる
 耐性菌発生を防ぐには「薬をしっかり飲んでしっかりたたく」と説明があった。院内感染の誤解を防ぐにも「しっかり説明、しっかり報道」だと思っている。【佐藤敬一】

全く、記者心理なるものはどれほど厄介なのかと改めて思い知るという内容ですけれども、根拠のない不信感に由来する勝手な妄想から他人を一方的に「しっかりたたく」となれば、これはペンの暴力と言うしかない社会的な反正義ではないかと言う気がしますね。
先日以来すっかり「またアサヒったか!」と話題の朝日新聞の癌ワクチン記事ですが、腐っても天下の朝日であるだけに社会的影響力は相応に大きかったようで、全国数多の人々が大いに迷惑をしているという状況になっているようです。
そのうえ朝日の記事を受けて緊急シンポジウムまで開かれたということになれば、過去にも数々の社会的重大捏造事件を演出してきた朝日にしてもしてやったりということでしょうが、彼らも時には他人の被る迷惑ということにも思いを致してみた方が、記者として以前に人間としてより一段階の成長を遂げられるかも知れませんね。

がんワクチン緊急シンポジウム(2010年10月31日ロハス・メディカル)
より抜粋

首都圏が台風に直撃された30日、日本がん免疫学会の緊急シンポジウム『がんワクチン治療の現状と臨床』を聴講してきた。急な開催で、しかも悪天候だったにも関わらず200人入る会場は9割方埋まり、いかに患者さんたちの関心が高いかを改めて痛感した。簡単に再現する。(川口恭)

冒頭に今井浩三・日本がん免疫学会理事長がシンポジウムの趣旨を説明。
「なぜ今なのかと言えば、先日朝日新聞で事実関係にかなり間違いのある記事が報道され、患者さんが心配され不安に思われているので、日本がん免疫学会という、15年近く免疫治療、特に『がんワクチン』を追究している学会が、緊急にシンポジウムを開くことにした。日本癌学会のご後援もいただいており、記事に関しては両学会から抗議声明(会場で配布)を出した。患者会41団体も連名で抗議声明を出しているし、日本医学会の高久史麿会長も抗議声明をMRICに掲載(会場で配布)している。記事の中で一番困ったのは『知らせるべきなのに知らせなかった』と』書かれたことで、グループは皆で情報共有していたし何カ月も前に十分に討論してきたことだった。東大医科研病院の臨床研究はワクチンも違うし、出血もワクチンとは関係ない。そのようなことを記者には何度も書簡で返事しているのに、あのように書かれてしまった。私どもが一番恐れるのは、患者さんに誤った理解が広がること。これから使っていただきたいと夜も寝ないで研究してきた方々にとってはマズいことだし、せっかく使っていただきたいと思って使えるかもしれない患者さんたちが離れるのは悲しい。この記事を見過ごすわけにはいかないので、きちんと正しい知識を皆さんにお知らせしたいと、緊急に全国でがんワクチンの臨床研究をやっている方々、全員ではないけれど選りすぐって来ていただいた」

その後で、河上裕・日本がん免疫学会総務理事が、「がんワクチンの総論と世界の現状」を解説。

さらに、実際にがんワクチンを臨床で使用している全国の医師のうち以下の5人が、それぞれのタイトルでそれぞれの研究の報告をした。淡々と科学的に正確に説明しようとする姿勢が印象的だった。
(略)
5人の話を聴き、正直「そんなに実績があるのか」と驚いた。解説や発表の内容を知りたいという方は多いだろうし、お知らせできるとよいには違いないのだが、かなり専門的な内容でとてもではないがメモを取りきれなかったのと、不正確なことを書いてもマズいので、そこは学会自ら広報するということに期待して、第3部の「患者さんからの要望と討論」の部分を簡単に再現する。

実際のシンポジウムの大半は、例によって朝日によりアサヒられた内容に対して各方面の第一人者が事実を元に誤解を訂正していくという、過去に幾度となく繰り返された後始末の繰り返しであったということですが、特に記者氏も注目しているのがその後の質疑応答の部分です。
患者側からは情報をもっと欲しいという声が日々続いていて、これに対して広報の重要性を認識しながらも研究者の側では時間的にも難しい、さてどうしたものかと言う問題点が会場で共有されつつある中で、当然ながらその隙につけ込むような朝日の行為に関しても言及がないというわけにはいきません。
ここで注目していただきたいのが前述のような状況にあって、治療を提供する側と受ける側との間に情報量のギャップがある、そして今回そこを朝日に突かれたのだという認識があるということで、逆にいえばそのギャップを埋める存在として朝日のような既存のメディアは全く信用もなければ期待もされていない、あるいはむしろ有害無益なのではないかと言う見方も広まってきているようにも感じられます。

会場
「札幌医大の細川という。我々もすい臓がんに対するペプチドワクチンの臨床研究を行っている。先ほど山上先生はジェムザールとの併用をやっているとのことだったが、我々はその次によく使われるTS-1との併用で第一相試験を行った。結果は、併用することで有害事象は起きていない。すい臓がんは進行が早いので、できるだけ併用したい。大きな副作用はないので、できれば次の段階へ進みたいと思っている。ここで私は患者さんたちに逆にお尋ねしたいのは、どのようなツールを使って発信すると必要な患者さんが私たちの所に到達できるのだろうか。電話で問い合わせを受けているのだが、早すぎたり遅すぎたり対象外だったりして使えないことも多い」

今井
「どなたかないだろうか。ないか。我々の研究は患者さんと双方向で手作りでやっているものではある。製薬会社が入れば、その辺りのことは手放せるが、そこまでは研究者側にも莫大な手間となる」

会場
「冷静に情報提供しようという姿勢は素晴らしいのだが、朝日新聞記事の与えた影響についても少し議論したい。第一報は誤解を招くような書き方だったということは言えるだろうが、当該記者は臨床試験の問題点を指摘したかったんだということのようだ。これに関して、どう思われるか」

今井
「学会としては困った記事と思って抗議した。今発表したように、がんワクチンに関して非常に大きな精力を費やしてここまで来た。やっと世の中、患者さんの元に届くところなのに、あのようなしかも間違いを含んだ記事を出すというのは、患者さんに対して失礼だと思う。それとは全く次元の異なる制度そのものを論じたいというのなら、別個に論じるべき。制度を論じるために、具体的な事例をねじ曲げて書くという手法は信じられない。臨床試験をすべて治験並みの基準にそろえるべきかどうかと言えば現実的でないと思う。基礎の段階から10年も15年もかけてやっと患者さんの元へ行くところまで進む。途中で色々な規制をかけられれば進むはずがない。国がドーンとお金を出すから全部治験のように報告しろというのは、原理的にはあり得るが、今の何十倍も費用がかかるようになる。それが現実的なのか。原理的には分かるが、現実には患者さんがいて困っている。その辺りをどう折り合いをつけるのかは政治が議論すべき問題だと思うが、政治の役割が十分に働いていなかった。そこができれば話も変わってくるかもしれないが、現実問題として久留米大の伊東先生は積み上げると2メートルも3メートルもなるだけ書類を作って、それでようやく先進医療に持っていった。これがノーマルな姿と言えるのか。研究者にそんなことをさせないでほしい。予算が必要だ。ぜひ患者さんからも声を上げていただいて予算を付けさせるようにしていただけると幸いだ」

中面
「朝日新聞は私たちの研究を混合診療だと書いた。しかし混合診療だからやめろと言われたら、臨床研究は全部ストップしてしまう。問い合わせは非常に多いが、ほとんどの方は臨床試験に入れない。医師、サポートする人、お金、研究者、施設、何もかも足りない。国策として我々を支援してほしい」

山上
「治験は企業が薬にする時に主導して行うもの。がんワクチンの医師主導治験は、これまで、すい臓がんで1件だけ、食道と肝臓も1件ずつ加わったところ。治験に行くまでは研究者が研究費を取って手弁当でやる。その段階はリスクが高すぎて企業はコストを負担しない。一方で探索的なものへの税金の投入は非常に少ない。政策コンテストでも、ペプチドワクチンは企業がやればよいということでC判定だったようなことを聴いている。私はこれに個人的には非常に期待しているし、がんの方も期待している。できるだけたくさんの探索的研究をできるよう研究費を投入してほしいし、いいものを早く治験につなぐようにしてほしい」

会場
「がんの患者会の者だ。朝日新聞の記事には大変に驚いた。一連の流れを見ると、患者会と学会との間に何もないところをマスコミに利用されたのだと思う。患者会も色々なものがあるというのは理解しているが、幅広く浅く連携するような形で、患者会をもっと利用していただきたい」

今井
雨降って地固まるとでもいうべきか、学会も発信力の強化が必要だと考えているし、もっとこういう場を設けるようにしたい」

雨降って地固まるとまで言われてしまった朝日新聞もずいぶんな言われようですけれども、こうまで信用がなくなったのも全て自らまいた種ですから、これも積悪の報いとして甘受するしかありませんでしょうね(苦笑)。
さて、その朝日新聞に関して言えば今回の記事は既に単なる誤報や事実誤認のレベルではなく、どうやら明らかな捏造であるらしいという認識が医療側にも患者側にも広まりつつありますけれども、この事に関して当事者である東大医科研から朝日宛てに正式の「抗議及び謝罪・訂正請求書」が提出されました。
「貴社による取材依頼に対し、医科学研究所が貴社の論説委員、編集委員に誠意を持って提供した情報を、部分的かつ恣意的に引用することによって創作された記事」とまで言い切っているわけですから穏やかではありませんが、こうして代理人弁護士名による公式の文書が出たとなりますと完全に全面対決姿勢は確定したと見るべきでしょうね。
実際に当事者である東大医科研は朝日がどこをどのように「創作」したと言っているのか、その指摘を別紙の資料からポイントだけをごく簡単に要約してみますと、こういうことになるようです。

1.記載内容が事実と異なる部分

1)朝日は医科研の中村祐輔教授がペプチドを開発したと報じているが、ペプチド開発者は別人であり、中村教授は特許にも関与していない

2)朝日は同種のペプチドを使う臨床研究が少なくとも11の大学病院で行われ、うち6国立大学で中村教授が研究協力者や共同研究者とされていると報じたが、実際はそれぞれ7大学、4国立大学である。

3)朝日は5月下旬に東大に取材を申し込んだと報じているが、実際には2月22日に取材がはじまっている。

2.情報の部分的引用により不適切な表現となっている部分

1)すでに他施設から消化管出血の報告があり、進行癌の経過中に発生するこの問題に関係者は精通していることを説明したにも関わらず無視している。また今回の出血が原疾患の進行によるものであると取材に回答しているにも関わらず、ワクチンの副作用であるかのように記載している。重篤な有害事象と副作用の違いについての回答も無視している。

2)出血に関して原疾患の進行によるものと判断され、患者はその後軽快した旨を説明したにも関わらずこれらを無視され、短絡的に「因果関係を否定できない」と記述している。

3)免疫反応の比較検討を優先したこと、被験者のリクルート率が低いこと、アジュバンド等の経費負担が大きいことなどを総合的に判断し試験終了を決めたと回答したにも関わらず、消化管出血を副作用として判断し、中止したかのように記述している。

4)本試験には「臨床研究に関する倫理指針」で定める共同臨床試験機関は存在していないと回答したにも関わらず、「しかし」という接続詞で今回の試験と全く関連のない国の先端医療開発特区に話を結びつけ、間違った取り扱いがあったかのように記載している。

5)無関係の国の先端医療開発特区と結び付け、「中村教授」、「医薬品開発」、「オンコセラピー・サイエンス社」と記事をつなぐことによって、いかにも中村教授に重大な利益相反があるかのような誤解を読者に与える表現をしている。

3.「確かな取材」過程に対する疑義

1)朝日新聞社からの質問状では「情報公開した資料に基づく」としながら、医科研が開示した書類には記載されていない情報に基づいて質問しており、情報入手に関する正当性に疑義がある。

2)「被験者の安全と人権を守る観点に立てば、医科研の側からも情報を提供すべきだった」の根拠として唯一あげられているのが、専門領域も明らかでない他大学関係者なる人物の「なぜ知らせてくれなかったのか」というコメントのみであり、到底「確かな取材に基づいている」とは言えない

4. 本記事の紙面における取扱いに関する疑義

2010 年10 月15 日付東京朝刊1 面において、医科研が大きな間違いを犯したかのような記事をトップに取り上げたにも関わらず、10 月24 日の朝刊38 面では「日本の臨床試験の体制に問題があることを指摘するため」の記事であったと自らトーンダウンしている。しかしこの目的のためとしては極めて不適切な取り扱いであった。

具体的な数字のことごとくが間違っている、ペプチド開発者とか特許の関係者といった基本的事実関係すら正しく把握していない朝日が、一体何をどう考えてこんな記事を書いたのかも今でははっきりしませんけれども、少なくとも同社が言い訳がましく主張しているような社会的警鐘を鳴らすためという目的に関しては、全く別方面で大いに警鐘が鳴り響く結果になったようですね(苦笑)。
ちなみに3.の2)にあげられている、朝日の医科研批判の唯一の根拠となっている「他大学の関係者」なる人物ですけれども、すでに先日もお伝えしたように当の関連医療施設の調査によって、朝日の取材に対してこのようにコメントした人物は存在しないことが明らかにされていることは注目すべきでしょう。
要するに大々的に一面トップ記事に取り上げたほどの記事の、一番の立脚点となる東大医科研批判の根拠そのものがアサヒっていたと言うことだとすれば、一から全てを捏造してまで医科研と中村教授、そして数多の関係者をバッシングしなければならないと朝日が決意した理由は何なのかということが気になりますよね。

今回朝日が火のないところに自ら放火してまわったその経緯というものも不明なのですが、当然ながら何かしらの内部情報なりに基づいて取材を開始したと考えるならば、そもそもその発端がどこにあったのかというところも問題でしょうし、この時期に突然記事を載せたということに関しても前回取り上げたように、ちょうど内閣府の科学技術政策調査と被せてきた、その結果がんワクチンはC判定を下されたように見えることの意味がどうなのかです。
すでに「オンコセラピー・サイエンス社」では朝日のバッシング記事によって株価が急落し大迷惑だということですけれども、当然大変な目にあった人間がいればその逆に大いに恩恵を被った人間もいるでしょうから、数年前のNHKインサイダー取引事件のような何かしらの思惑も絡んでいたのか、それとも更なる複雑な利害関係のもつれなりがあったのかどうかです。
いずれにしてもここまで一から十まで捏造で成り立った妄想記事だけを根拠にこれだけの大きなキャンペーンを仕掛けたわけですから、朝日にしてもその後始末はしっかりとしてもらわなければ社会的責任上からも許されることではないでしょうし、早急に東大医科研からの文書に対しても公式のコメントを出す必要があるように思いますね。

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2010年11月 7日 (日)

今日のぐり:「そば茶屋いきいき」

本日はズバリ「ブリ飯」をテーマにしてみたいと思いますが、先日世界に向けて配信されまして、「いくらなんでもそれはない」と全世界が突っ込んだ(だろう)ニュースがこちらです。

英国の食事が不味いのは過去の話?英調査(2010年10月30日AFP)

【10月30日 AFP】外国人は長い間、「英国の食事」を無個性で不健康な食事の代名詞のようにみてきたが、29日に発表された最新の調査によると、英国の食事への評価は変わっているようだ。フランス人の評価は相変わらずだが。

 英観光庁の観光キャンペーン「VisitBritain」は、36か国からの観光客2万6000人を調査。うち27か国の人びとの過半数が「英国の食事はとてもまずい」という質問文に同意しなかった。

 ロシア、エストニア、エジプトの3か国は、英国の食事を最も喜んで食べた。その一方で、スペイン、イタリア、日本、フランスからの観光客はほとんど感銘を受けなかった。特にフランスは隣国の英国の食事については長らく疑いの目を向けている国だ。

 また、英国への旅行予定がある人たちにも質問。目玉焼きとソーセージとベーコンとブラックプディング、そして時にはマッシュルームとグリルトマトも付いてくる英国の伝統的な朝食について聞いた。

「以前から英国風朝食(イングリッシュ・ブレックファスト)をフルコースで食べてみたいと思っていた」との質問に肯定的だったのはロシア人やブラジル人、インド人。一方、どちらともつかない回答をしたのはアイルランド人とドイツ人だけだった。

 この調査は、世界各国の「ブランド力」を調査するアンホルトGMIブランドインデックス(Anholt GMI Brand Index)の一環として行われた。

いや、世界36カ国のうち27カ国の人の過半数が「とてもまずい」に同意しなかったからと言って、ブリ食の評価向上を示しているのかどうかは全く別問題だと思いますけれども、そもそも「英国の食事」なるものは「無個性」だから不人気だったのではなく、あまりに独創的過ぎるからこそ勘弁してくれという人々が多かったのではないでしょうかね?
その評価の定着ぶりを示すのがこちらの記事ですけれども、さすが昔日の栄光衰えたりとは言え腐っても大英帝国!なんとも圧倒的ではないですか!

どこの国の料理が最悪?あまり食べたくないひどい料理ランキングが発表される(2010年6月21日カラパイア)

 「The Titanic Awards」という、世界のひどいものを次々と紹介していくマガジンが、「世界最悪の料理はどこの国の料理か?」というアンケートのインターネット投票を行ったそうだ。投票者は80ヶ国以上、2000人以上。その結果、栄えある世界一最悪な料理の国に選ばれたのは、得票率24.6%とダントツで「イギリス」であることが判明したんだ。

 以下9位までの順位はご覧の通り。

Doug Lansky: The 9 Countries With The Worst Cuisine In The World (PHOTOS)より

世界3大料理である中国がランクインしちゃったのは、ゲテモノ関連が評価されちゃったからだと思うんだ。個人的にはオランダはもっと評価されてもいいと思ったんだ。最悪的な意味で。

1位:イギリス 24.6%(得票率)
2位:アメリカ 10%
3位:中国 3.8%
4位:ロシア 3%
5位:ドイツ 2.7%
6位:オーストラリア 2.2%
7位:アイルランド 1.9%
8位:フィリピン 1.8%
9位:オランダ 1.7%

ちなみに米経済誌「フォーブス」が世界9カ国から絶対に食べてみるべき世界各地の料理なるリストも発表していますけれども、当然ながらブリがランクインしていることはないとして、日本からのセレクションが寿司とお好み焼きというのはどうなんでしょうね?
いずれにしてもこのように今や伝説ともなっているブリ飯のまずさとは、その昔「国の飯が不味ければ皆競って外国に出て行くだろう」ということで大英帝国繁栄の原動力となった、なんて穿った見方もありますけれども、現代においてどれくらいのレベルにあるのか想像が困難であるという向きには例えばこちらの記事などが参考になるのではないでしょうか。

猫「イギリスの飯はまずい!」日本産の海苔を与えたら毎日食べに来るようになった猫(2010年10月14日デジタルマガジン)

 イギリスに住んでいる日本人が近所の猫に広島産の「かき醤油のり」をあげたところ、毎日同じ時間に「海苔ちょうだい!」と猫が訪れてくるようになったそうです。

 その動画がニコニコ動画にアップされているのですが、海苔ちょうだいと鳴く姿がなんとも可愛らしく萌え萌えしてしまいます。海苔ってそんなに美味しいんでしょうか?

 味付けを考えるとあげすぎは猫の体に悪そうですが、猫にも日本の味って分かるんですね。

猫にかき醤油のりが果たして良いのかどうかということは、単なる塩分問題のみならずそもそも消化できるのか?といった疑問もわきますけれども、とりあえずリンク先の動画を見てみますと無茶苦茶期待のこもった視線で猫が見ているというのは確かなようで、ついに猫まで今まで食べていたものがあまりにひどすぎたと目覚めてしまったということですかね?!
ブリ飯の「どこかおかしい」というところは味覚の問題などもあるのかも知れませんけれども、そもそもブリの社会常識からして何かが違っているのではないかとも思える話がこちらにもあります。

ロンドン 二日酔いには脂物!?(2010年8月29日中日新聞)

「やっぱり、二日酔いの朝は脂っこいものを食べたいわ」。
英国人の知人と話していて耳を疑った。それがこの国での典型的な反応だという。

二日酔いの朝とくれば、日本人にはしじみ汁がお決まりだが、何も口にしたくない人も多い。

では、英国人にとって脂っこい食事とは何か。イングリッシュ・ブレックファストがその代表的な料理だという。
目玉焼きにベーコン、ソーセージ、焼いたトマト、煮豆、マッシュルーム、パン…。全部食べたら満腹になりそうな量だ。

二日酔いの時はアルコールの大量摂取で血糖値が下がる。
その状態を解消しようと食べたくなるという理屈もあるが知人はこう笑顔で説明した。

「パンなどが分解されてでんぷんになり、それが体内のアルコールを吸収して二日酔いを軽くするの。
科学的に実証された話ではないけど、みんなが固く信じてるのよ」

いやいやいや、パンなどがどうこう言う話はともかくとして、脂物やタンパク質は分解されてもデンプンになるわけじゃありませんから!と思わず突っ込みたくなる話ですけれども、それでは彼らブリ流の理想的「迎え朝食」とはどのようなものなのかを探ってみると、このような現実に遭遇することになるようなのですね…
こういう理解の元で健康問題に対処するということが常識化している国ともなりますと、恐ろしいことに病院食ですら殺人的な威力を発揮するようになってきます。

「床で転がしたような味」イギリスの病院食が極めつけにまずいと入院患者がブログで告白(2009年10月01日らばQ)

病院食といえば、食事がまずいと相場は決まっています。
イギリスもまた、食事がとてもまずいと相場が決まっています。
では、イギリスの病院食はどうなのかと言うと…。
あまりにまずいと、そのひどさを入院患者が語っていました。

匿名希望の47歳の男性は、骨の病気で5カ月ほど入院生活を送っているそうです。
そして、あまりにも不味い病院食へのフラストレーションから、それをブログに写真付きでアップすることで晴らすことにしたようです。
彼が言うには、

「いつも出てくるミルクがゆは、壁紙を貼るのに使うノリのような味」

「器はだいたいどれもベージュ」

「野菜のほとんどは、乾燥機に掛けたいほどビショビショに濡れてる」

「メニューは違うはずなのに、味はどれも変わり映えしない」

「プディングなどのデザートも出るんだけど、調理場の床で転がしたに違いないって味がするんだ」

「ウェールズの囚人が料理して、梱包して、温めなおしてるに違いないって信じてる。冗談に聞こえるかもしれないが、マジなんだ」

…などなど、日々、壮絶なまずさをブログで訴えているそうです。

ノリや、床で転がした味って、いったいどんな味なのでしょう…。
ここまで言われると、むしろひとくち味わってみたくなりますね。ふたくち以上は断固拒否しますけど。

ただし、食事以外の環境は快適で、医者も看護士も素晴らしいとも語っています。
病院の場合、栄養やアレルギーなど健康面に気を使わなくてはいけないので、どうしてもまずくなりがちですが、あまり不味いと精神衛生上健康によくないですよね。

まあ、その、正直「壁紙を貼るのに使うノリのような味」だとか「調理場の床で転がしたに違いないって味」だとか言われても、お前それ試したことあるんかい!?と突っ込むしかないような話なんですが、さすが医療費削減では世界に冠たるブリであっただけに、こうして少しでも早く患者の退院を促そうという深慮遠謀が隠されているということなんでしょうか?
それでも不味いだけなら薬だと思って食う!というチャレンジャーもいるかも知れませんけれども、ブリ食にチャレンジするということはしばしば本当に生命の危険ももたらすのだということだけは、よくよく認識しておかなければならないでしょうね。

グリーンピースを茹でたら家が爆発、完全崩壊…イギリス(2010年10月15日らばQ)

何をどう間違ったのか、何がどう狂ったのか、世の中思いもしないことが起こることもあります。
イギリスで野菜のグリーンピースを茹でていたら、家を爆発させ崩壊させてしまったという男性がいました。
さらに不幸だったのは自分の家だけでなく隣の家まで崩壊させてしまったということ。

ハリー・フォスター(58)はグリーンピースを茹でようとしてガス爆発を起こし、自宅とその隣の家を崩壊させた罪で起訴されています。
長屋つたいの端の家に両親と住んでいた彼は、両親亡くなったため家を出ることになっていましたが、次の引越し先が決まるまで2年間延長して住んでいいと自治体の許可を受けていました。
本人は爆発をうまく免れ怪我は全くなかったようですが、自宅と隣の家は完全に崩壊してしまいました。キッチンで火を点けると玄関をノックする音が聞こえたので離れたと言い、その後の記憶は光を見たと思ったら救急車の中にいたそうです。

後の調査でガスレンジの後ろのパイプが壊れていたことがわかり、故意に折ったり曲げたりされていたことから、爆発を誘導することが目的か、まるで何も考えていなかったかということで起訴されています。
現在も裁判は続いているようですが、爆発当時は40mも瓦礫が飛んだそうで、ガス漏れが与える影響の大きさに驚きます。むしろけが人が出なかったことを幸運ととるべきでしょう。

記事の写真を見る限りでもその半端なさぶりは明らかですけれども、むしろ彼らの悲劇はこうまでの犠牲を払う危険を冒してまで調理されるグリーンピースも、どうせろくでもないものになってしまうのだろうなと容易に想像がつくということなんでしょうね…

今日のぐり:「そば茶屋いきいき」

いよいよ待ちに待った新蕎麦の季節になってきましたけれども、広島県は世羅町にある総合交流センター「甲山いきいき村」の二階に併設されているのがこちらの「そば茶屋いきいき」さんには以前にもお邪魔したことがあります。
名前からしてちょっとまともな蕎麦屋としてはどうなのよとも感じられるところですけれども、施設名称がいきいき村というくらいですからこれは如何ともし難いところであったということなんですかね?
ちなみにこちらの一階では土地の野菜など様々な物品を販売していますけれども、昨今の例に漏れず休日ともなりますと大変な繁盛ぶりのようで結構なことだと思います。

とりあえず十割の盛りと天ぷらそばを食べてみたのですが、この盛りのしゃっきり細打ちの蕎麦は見た目も悪くなく、なめらかな舌触りに好ましい風味を伴ったのど越しと、十割としてはなかなか良くできた蕎麦なんじゃないかと思いますね。
いわゆる田舎蕎麦系統ではありませんから蕎麦つゆもこれくらいの塩梅でちょうどいいんでしょうが、せっかくの新蕎麦の十割蕎麦を頼むような顧客にこのネギに大根おろし、ワサビと強烈どころが揃っている薬味は余計なんじゃないかなと言う気もするところです。
普通の二八を使っている天ぷらそばも悪くないもので、この蕎麦も十割とはまた違った風合いなんですがきちんとしたものに仕上がっているし、ちょっと蕎麦つゆというよりうどんっぽい(実際うどんもあるようですが)このつゆもすっきりした後口でおいしくいただける一杯になっています。
ただこの天ぷらそばの天ぷらはあくまでも天ぷら屋流のそれで、確かに単品の天ぷらとして食べたり天ざるとしてつけたりするならいいんでしょうが、こうして天蕎麦のトッピングにして食べるにはあまりにひ弱でちょっとどうなのかですかね。
そば湯は時間帯が早かったこともあるのか今風に少し粉を溶いているらしいんですが、こういう手を加えるにしてももう少し丁寧に溶いておかないと、下に不自然な粉っぽさが残ってしまってちょっとうまくないかなと思えますね。

面白いのは新蕎麦は蒜山と北海道の蕎麦粉を使い、十割には地元広島の蕎麦粉を使っているということで、恐らく入荷量などの関係もあっての使い分けなんでしょうが、確かに食べて見るとちょっとした風合いの違いが感じられて楽しいものです。
場所や見た目からすると意外なほどちゃんとした蕎麦を食べられる店なんじゃないかと思うのですが、道も良くなっていますから意外に訪れるにも遠すぎるというほどでもなく、蕎麦を食べた後は下で野菜などを物色して帰るというのも楽しいんでしょうね。

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2010年11月 6日 (土)

日本だけじゃないから無問題、とはさすがにいかないようで

世間では動画流出の話題で大賑わいな中、本日は久しぶりにテキサス親父にご登場いただきますけれども、まずは記事から紹介させていただきましょう。

テキサス親父が尖閣デモをスルーした日本のマスコミに一喝! 「アメリカのマスコミも同じだよ」(2010年10月28日ガジェット通信)

何でも言いたい放題で有名なテキサス親父が今度は尖閣諸島問題について語っている。その内容は渋谷で行われた大規模尖閣デモを日本のマスコミがスルーしたことについてだ。日本の巡視船に中国の漁船が体当たりしたことにまず言及し、両国で大規模デモがあったことを語る。この大規模デモはガジェット通信をご覧の方はご存じかもしれないが、10月2日に行われて数千人が集まったデモのことを指している。

この記事はガジェット通信でも取り上げ『2ちゃんねる』や『Twitter』を中心に話題になっており、多くのネットユーザーに知られることになったが、実はネットをあまり見ない一般の方はこの事実を知らないようだ。その理由はテキサス親父はこう指摘する「大勢の日本人からこうも言われたよ『このデモは、日本のマスコミからほとんど無視された』理由は、日本のマスコミは左よりで共産主義にかぶれてるんだ」と、ほとんどのマスコミが大規模デモをスルーした件をテキサス親父までも知っているようだ。もちろんこれは日本人から仕入れた情報。しかしこれに続いてこうも発言している。「本当? 日本のマスコミだけが左寄りだと思ってたら、大間違いだぜ米国もマスコミに苦しめられてるんだ」とアメリカも日本同様にマスコミの情報統制が行われているという。

日本ではこういったことを知るためには新華社のサイトに行き日本のデモのニュースを調べる必要があるんだ」と皮肉まではき、最後には「マスコミを変えるにはマスコミに広告を出してる会社の前でニュースを流してる最中にやるんだよ。そうすれば広告主はマスコミに圧力をかけてくる」とマスコミを変える方法まで伝授。

そんなナイスなテキサス親父の動画はニコニコ動画で観ることができる。

元動画についてはリンク先の記事から参照できますけれども、しかし「日本ではこういったことを知るためには新華社のサイトに行き日本のデモのニュースを調べる必要がある」とはけだし名言と言うべきですよね。
「マスコミは君たちのことなど気にしない。彼らを変えるのに必要なのは金の力だ」に始まる動画末尾の「助言」はまさしく昨今ネット界隈で執り行われている方法論に他なりませんけれども、昨今の彼らがどれほど金に困っているのかということを示す一つのデータがこちら新聞協会の記事でしょう。

新聞社2009年度総売上高は2兆19億円 経理委調べ(2010年10月26日日本新聞協会)

 経理委員会はこのほど、2009年度の新聞社総売上高推計調査結果をまとめた。新聞協会会員の日刊新聞95社(法人単位、スポーツ紙含む)の総売上高は、前年度比(以下同)6.4%減の2兆19億円。4年連続の前年割れで、過去20年で最大だった前年度以上の減率幅だった(ただし調査期間・対象社数は変動している)。販売収入は1.8%減。広告収入は15.6%減で、昨年に続き2けたの落ち込みとなった。

 総売上高は1368億円減少した。販売収入は217億円減の1兆2100億円。広告収入は883億円減の4791億円。その他収入は268億円減の3128億円だった。

 総売上高に占める各収入の構成比率は、販売60.4%(2.8ポイント拡大)、広告23.9%(2.6ポイント縮小)、その他15.6%(0.3ポイント縮小)だった。

 調査は、各社の決算書を基に、決算書未提出社は同規模社の平均的な数値などから推計し、算出した。総売上高は販売収入、広告収入、その他収入(出版・受託印刷・事業収入などの営業収入、営業外収益、特別利益)の合計額で、新聞社の総収入に相当する。

かねて新聞発行部数が絶讚大幅削減中であるとは当「ぐり研」でも繰り返しお伝えしてきたところですが、新聞社によっては目減り分を副業等で補っているという話も聞こえていただけに、実際トータルでどういう状況になっているのかという数字が出てきたことは非常に参考になる話で、特に注目していただきたいのが広告収入の前年比15.6%減という記録的な落ち込みぶりです。
まさにテキサス親父の言う通り、直接的なスポンサーへの働きかけが奏功したという形なんですが、特に昨今では新聞、テレビなど既存メディアの広告効果が非効率的なのではないかと疑われているだけに、何かマスコミ絡みで「祭り」があるたびにこれを機に広告出稿をやめますという企業も増えてきているようですね。
そんな中で当然のことながらネットというものの存在を既存メディアの側でも意識せざるを得ないということになるはずですが、面白いことにはこうした広告収入減少といった問題と縁遠いはずの公共放送NHKからもこんな話が出てきたというところです。

ネット本格配信を検討…NHK(2010年10月26日読売新聞)

独の受信料新制度にも注目

 NHKが番組のインターネット配信を本格化させる方向で検討を始めた。

 テレビとの垣根なしに番組がネットでも見られるようになれば、テレビの設置を根拠に徴収する今の受信料制度が変わる可能性がある。いち早くこの制度改革に着手したドイツの事情を踏まえ課題を検証する。

 高機能携帯電話などの普及が進む昨今、番組のネット配信は世界各国の公共放送が注目するところ。20日には、アジア太平洋放送連合(ABU)がテレビとネットの融合をテーマにしたシンポジウムを開催した。

 NHKは、放送後のニュースの無料配信や過去の番組の有料配信などを実施している。だが、著作権の問題に加え、放送を「無線通信の送信」と定義するなど放送法上の制約から、番組を放送と同時に配信する同時再送信はできない

 マカオなどでは、公共放送が既にニュースの同時再送信を始めているが、決して世界の大勢ではない。ABU会長を務めるNHKの今井義典副会長は18日の記者会見で「ブロードバンド普及国の日本でも、さらなるネット活用の環境を整備してほしい」と訴えた。NHKは29日に受信料制度等専門調査会の初会合を開き、自由なネット配信を行う上での財源制度にも留意した公共放送のあり方を議論していく方針だ。

 パネリストとして登壇したドイツの公共放送の一つZDFのデジタル戦略担当役員のローベルト・アムルング氏は、この点に関連して、「民間からは『デジタル空間には公共放送の役割はない』との声もある。しかし、公共放送には社会の安全弁の役目がある」と強調した。

 ドイツは現在、日本同様、テレビの設置を根拠に受信料を徴収。罰則制度もあり、不払い率は10%程度だ。

 しかし、インターネットの普及を背景に、まず2007年にネット接続できるパソコンなどから受信料を徴収する制度改革を行った。さらに13年施行を目標として、テレビの設置にかかわりなく、全世帯・全事業所から受信料を徴収できるよう法改正が行われる見通しだ。ただ、同時再送信はZDFでも著作権上の理由からまだ行われていない。

 NHKの日向英実・放送総局長は20日の定例記者会見で「ドイツ方式も一つの選択肢。受信料を支払っている方々の納得が得られるかがキーになる。その中でいちばんいい方法を模索していく」と述べている。

 シンポジウム後、読売新聞の取材に答えたアムルング氏は「07年の制度改革後、視聴者から『パソコンでテレビは見ない』と反発され、ならば設備の有無で徴収するのはやめようということになった。そもそもデータ上、公共放送を全く見ない人は極めて少なく、公共放送は支持されている」と説明する。

 とはいえ、全戸徴収の導入には異論はなかったのか。

 「政治家との間で激しい議論はあったが、最終的には政官双方がイニシアチブを取って枠組みを作った」と言う。ZDFからの働きかけについては、「圧力をかけるようなことはしていない」と語った。(旗本浩二)

 例によって福地茂雄NHK会長などは「視聴者目線で考えれば必然」などときれい事を言っていますけれども、どう見ても昨今の受信料不払いの増加が大きく影響しているのは見えすいた話であって、要するに「テレビがないから支払いません」式の話を法改正によって阻止しようという狙いが根底に隠れていることは疑いえません。
このあたり本当にNHKが公共放送として国民全員が負担して存続させるべき存在であるのなら、巨額の経費をかけて受信料を徴収するなどと回りくどいことをせずに税負担方式なりを目指すべきであろうし、一方で一企業としてタダ見はケシカラン!というレベルの話であればスクランブルをかけるなりして見たい人間にだけ視聴させるという方法論を選択すればいいだけの話だと思います。
彼らが模索するという「いちばんいい方法」がどんなものになるのかということからも彼らの本音が見えてくるのでしょうが、あれだけ民報がうらやむような金を掛けて番組を作っているわりにはずいぶんとお金には細かいという噂はしばしば耳にするところで、先日もちょうどこんな記事が出ていました。

NHKのど自慢、会場の埼玉・所沢市が400万円を負担(2010年11月5日朝日新聞)

 10月24日に放送された公開番組「NHKのど自慢」で、会場になった埼玉県所沢市が400万円以上の経費を負担していたことが4日、分かった。市民体育館(同市並木5丁目)の舞台やいすの設置など、番組に必要な会場の設営費で、市民からは「税金の使い道として納得しがたい」との声も。市は「共催事業として議会で説明済み」との立場だ。

 市によると、市制施行60周年にあたる今年の記念事業として、当麻よし子市長らがNHKに開催を求め、協定書を締結。制作などはNHKで、市は会場の確保や運営などを担当したという。

 市は当初、既存の設備を利用できる市民文化センターミューズ(同市並木1丁目)での開催を希望した。しかし、NHKから美術品の搬入などに支障があるとして難色を示され、市民体育館で舞台や座席などを新設。作業を東京都内の業者に委託し、設営費が415万円かかったという。

 また、市は会場を24日まで5日間押さえたが、「市の事業の実施」との理由で使用料は支払われていない。通常、約70万円かかるという。

 市は「NHKとの共催事業で、会場設営費は今年度一般会計予算に計上し、議会の予算審議を通じて説明している」などと主張する。

 また、NHK広報局は「出演料など番組制作にかかわる経費はすべてNHKが負担し、それ以外は会場整備費として自治体に分担してもらっている。協定書で自治体と明確な業務分担と経費分担を取り決めている」などと説明している。

 服部孝章・立教大社会学部教授(メディア法)は「NHKの番組は受信料で制作するのが前提なのに、自治体が経費を負担していることの説明はつきにくい。今さら名を売る必要のない自治体で税金を使い、のど自慢をやることが市民サービスと言えるだろうか」と指摘している。(西前輝夫)

失礼ながら「のど自慢」でどんな美術品を搬入する必要があるのかさっぱり判りませんが、田舎町の体育館でも平気でやっているような番組が今さら文化センターでは無理もないでしょうに、それに言いなりに公金を投じる所沢市も所沢市だとは言え、一声400万とはなんとも彼らの金銭感覚というものが判る話ではありますよね。
一方で先日はNHKの記者が例の野球賭博を巡る騒動の真っ最中に、相撲協会関係者に家宅捜索が入るという情報をリークしていたなんて話もありましたが、その処分が先頃ようやく決まったということです。

NHK 捜査情報漏えいの記者を処分、停職3カ月に(2010年11月2日スポニチ)

 大相撲の野球賭博事件をめぐり、NHK記者が警視庁による家宅捜索の情報を時津風親方(元幕内時津海)に知らせていた問題で、NHKは2日、報道局スポーツ部の男性記者(31)を9日付で停職3カ月にすると発表した。また監督責任を問い、福地茂雄会長を含む役員4人と、報道局長ら上司5人の計9人を2日付で減給処分にした。

 役員の減給額は、福地会長が50%を1カ月、日向英実放送総局長ら役員3人がそれぞれ30~20%を1カ月。

 記者会見した福地会長は「公共放送の信頼を傷つけた許し難い行為だが、証拠隠滅に加担しようなどという意図は認められず、警察の処分もなかった」などと説明。停職3カ月は「諭旨免職に次ぐ極めて重い処分」との認識を示し、この記者を記者職から外すとした。

 自身の処分について「経験を積んだ記者が起こした。記者教育に至らない点があり、組織の問題でもある」と述べ、減給額などは福地会長が決めたことを明らかにした。

 NHKなどによると、記者は7月7日午前0時ごろ、時津風親方に「あす賭博関連で数カ所が捜索されるようです。親方の部屋も名前が挙がっています」などの内容の携帯メールを送信した。家宅捜索は同日行われた。

 記者はNHKの内部調査に対して「最近(親方と)連絡を取れておらず、関係づくりもしたかった」などと説明。先月20日に「捜査に支障を来しかねない軽率な行為でした」とする始末書を警視庁に提出したという。

記者処分で意見230件=NHK(2010年11月4日時事ドットコム)

 NHKの男性記者(31)が大相撲の野球賭博事件をめぐる警視庁の家宅捜索情報を時津風親方に漏らしていた問題で、同局がこの記者を停職3カ月とした懲戒処分について、3日午前11時までに視聴者から約230件の意見が寄せられたことが分かった。NHKによると、多くは「処分が軽いのではないか」「報道機関としての姿勢を疑う」といった批判的な内容だったという。

こうした犯罪的行為に対する処分としてどう考えるかは人それぞれでしょうが、例の野球賭博など相撲協会関連の最近のメディアの報道ぶりを見るにつけ、何しろ当のNHKにしても大相撲中継をとりやめるなどといった厳しい対応をしてきただけに、ずいぶんと他人に対する態度と違うんじゃないか?と感じている人も多いんじゃないでしょうかね?
テレビ局と言えば先頃も「電波使用料は売上高のわずか0.14%!」なんて記事が出ていましたけれども、もともとが欧米に比べて破格の安値である上に一度獲得してしまえば終生そのままという既得権益であるわけですから、あれだけ細々とした仕分け作業に熱中している現政権の皆さん方がまさか電波利用料は聖域です、電波オークションもやりませんとも言うはずがありませんよね?
いずれにしても今まで大所高所から御高説を垂れ流してきたメディア各社にとってはずいぶんと風向きが悪くなってきたということでしょうが、実のところ電波利用料の8割以上が携帯電話等から徴収された料金で、テレビ局が支払っているのはわずかに3~4%に過ぎないということですから、国民の皆さんにとっても決して他人事ではないということは周知しておかなければならないでしょう。

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2010年11月 5日 (金)

崩壊を続ける公立病院 その分水嶺は?

上野原市の新市立病院問題と言えば、以前にも当「ぐり研」で取り上げさせていただいたお得意様ですけれども、迷走していた産科再開問題が何やら急転直下の解決をみたようです。
しかしこれは、いったい何があったのかという唐突感を覚えざるを得ない幕切れではありますよね。

産科設置 市長が撤/山梨(2010年11月3日読売新聞)

上野原新市立病院対立終結目指す?

 上野原市の新しい市立病院の設計を巡り、休診している産科の診療スペースを設けたい江口英雄市長と、医師確保の難しさなどから反対する病院側が対立していた問題で、江口市長が、自らの主張を撤回する考えを同病院の両角敦郎院長らに伝えたことがわかった。小俣幸三・市総務部長は、理由について「2012年のオープンまでに、産科再開に向けた態勢作りが困難なことが判明した」と説明している。

 新病院は、同市上野原の旧上野原中学グラウンド跡地に、約20億円をかけて建設される。鉄筋コンクリート3階建てで、江口市長は、市長選の公約に「産科再開」を掲げて当選し、新病院3階に産科の診療スペース設置を提案していた

 しかし、病院側は「産科診療には最低でも3人の医師の確保が必要。採算面からも病院経営に重大な影響を与える」と反発。両者の協議はこれまで、平行線をたどっていた。

 ところが、両角院長によると、江口市長は10月28日、指定管理者として市立病院を運営する「地域医療振興協会」の吉新通康理事長に電話をし、主張を撤回。さらに翌29日には、市長自ら病院を訪れ、両角院長にも直接、同じ考えを伝えたという。ただ、撤回の理由については明確に説明しなかったという。

 市は近く、「地域医療振興協会」関係者に出席を求めて病院管理運営協議会を開き、正式な了承を得たい考えだが、両角院長は「理由を明確に説明してもらい、病院側の案を採用することを約束してもらわない限り、最終合意はできない」と話している。

 また、市側は、同じく病院側が設置に反対していた心臓カテーテル検査機能を備えた血管造影室も設計から外す方針だ。

いやしかし、オープンまでに産科再開に向けた態勢作りが困難なことが判明したからって、一体何なんですかその超消極的な理由はという感じですが、こんないかにも弁解的な理由で勘弁してくれと言うくらいですから当の病院側も寝耳に水でしょうし、一方でほっと胸をなで下ろしたとも言える話なんでしょうね。
この問題、例によって経営破綻していた病院を指定管理者となった社団法人地域医療振興協会が何とか再建の軌道に乗せつつあった、そこへ新市長は「市長選の公約なんだから産科を再開しろ。心カテだって出来るだろう」と口を突っ込んできたものだから「いや人もいないし無理。どう考えても元が取れないし絶対無理」と断固拒否の構えで状況がフリーズしていたことは既にお伝えした通りです。
せっかく行政の手を離れて何とか立て直しつつあった病院を、わざわざまた行政の口出しで元の木阿弥に戻すということであれば心ある市民にしても困った話だったでしょうが、この急転回の背景としていったい市長の中で何がどう変わったのかには興味が湧くところで、続報なりとあればまた紹介していきたいと思います。

上野原の例はそれとして、最近では労基法無視が状態化していた公立病院にもようやくお上の手が入るようになってきたということで、各地でそうした報道がにわかに相次ぐようになりましたけれども、背景にはこうした行政側の過剰な要求というものも存在していたのではないかと推測されるところですよね。
公立病院と言えばたいがいスポンサーである市民様には失礼がないようにと各種ローカルルールが設定されているところも多いやに聞きますが、むろん他の病院にしても設立母体によってそれぞれVIP顧客の設定はあるにせよ、その対象が市民ともなりますと原則として来る患者全員ということになりかねません。
「真夜中の不要不急の来院でも支払いをされない方でも気持ちよく診察させていただきなさい」だの「市民様の負担を考慮してお産費用は据え置きなさい」だの好き放題口出しするのはよいのですが、当然現場で働くスタッフにとってはストレスをため込む大きな原因となることであるし、ひとたび逃散でも招こうものなら残るスタッフの過剰労働から崩壊一直線というのが昨今の公立病院崩壊の一つの黄金パターンでしょう。

県立2病院に是正勧/長野(2010年11月3日  読売新聞)

労基署、超過勤務など指摘

 県立須坂病院(須坂市)と県立こども病院(安曇野市)が、医師を時間外労働協定に定めた限度時間を超えて超過勤務させていたなどとして、労働基準監督署からそれぞれ2007年と09年に、是正勧告を受けていたことが2日、分かった。都内在住の男性が県に情報公開請求し、判明した。

 県立病院機構本部事務局によると、須坂病院では07年1~3月、院内に設置した複数の委員会を夜間などに開いたにもかかわらず、2割5分以上の割り増し賃金を支払わなかったと、中野労基署から指摘された。未払い賃金は、医師や看護師ら延べ150人分の計約95万円で、08年度に支払った。こども病院では09年2月、〈1〉複数の医師の超過勤務が、労働協定で定めた限度時間(月45時間)を上回り、月100時間を超えていた〈2〉産業医選任に伴う報告書が未提出〈3〉院内の衛生委員会を月1回以上開いていない――の3点で、大町労基署から是正を求められた。

 同事務局は「須坂病院では、認識が薄かった。こども病院では、医師をはじめ、職員不足から業務が集中してしまい、超過勤務となった。いずれも是正した」としている。

県立こども病院:静岡労基署、是正勧告 「残業代一部未払い」 /静岡(2010年11月3日毎日新聞)

 静岡労働基準監督署が08年5月、医師に労使で定めた上限を超える時間外労働をさせ、残業代の一部を支払っていなかったとして県立こども病院(静岡市葵区)に労働基準法に基づく是正勧告を行っていたことが2日わかった。

 こども病院を運営する県立病院機構(同区)は「医師の時間外労働の実態が把握しにくく、残業代を全額支払うと予算が厳しいこともあって、ある一定の割合で残業代をカットしていた」と認めた。

 こども病院の医師らは09年11月、同機構が未払いの残業代を支払うよう静岡簡裁に調停を申し立てた。今年9月、同機構が医師15人に計1630万円を支払うことで調停が成立した。

 こども病院は、勧告を受けるまで非常勤医師に残業代を支払っていなかった。非常勤の自治体職員に残業代を支払う規定が地方自治法になかったことを根拠にしたという。

 勧告を受けて同機構は常勤、非常勤にかかわらず、残業代は申請通り支払う仕組みに改めた。これに併せ、医師には勤務実績を上司の医師に書面で報告するよう義務づけた。【平林由梨】

勤務体制など是正勧告、新たに10病院 本社調査/静岡(2010年11月3日静岡新聞)

 県立3病院が時間外手当の未払いなどで労働基準監督署から是正勧告を受けていた問題で、静岡新聞社は2日、県内公的病院に聞き取り調査を行い、少なくとも10病院が過去に労基署から是正勧告を受けていたことが分かった。ほとんどの病院が勧告を受けた背景として医師不足を挙げた
 県立総合、こども両病院と静岡がんセンターを除く医療法や県の基準で定められた地域の拠点・総合病院など43病院のうち、41病院から回答を得た。
 過去10年間(2000年以降)に労基署から何らかの是正勧告を受けたことがあるか聞いたところ、共立湊病院(南伊豆町)、市立伊東市民病院、沼津市立病院、静岡市立静岡病院、市立島田市民病院、藤枝市立総合病院、榛原総合病院、掛川市立総合病院、菊川市立総合病院、浜松医科大医学部付属病院の10病院が「勧告を受けたことがある」と答えた。
 10病院のうち、人員不足などを背景にした医師や職員の労働条件や勤務体制に関する勧告を受けたのは7病院。このほか沼津市立病院と静岡市立静岡病院は労働協定の締結を求められた。
 市立伊東市民病院は「勧告の内容は答えられない」としている。

超過労働:徳島労基署など、3病院に是正勧告 慢性的な医師不足 /徳島 (2010年10月28日毎日新聞))

 医師らの労働時間が労使協定で定めた上限時間を超えているなどとして、県立中央、三好、海部の3病院が06年4月~今年7月に計6回、徳島労働基準監督署など各地域の労基署から、労働基準法に基づく是正勧告を受けていたことが27日、分かった。各病院では慢性的な医師不足が課題になっており、県病院局は「患者を診療しないわけにいかず、時間外労働が発生する状況になっていた。負担軽減のため引き続き改善を図る」としている。
 同局によると、勧告は、中央が3回▽三好が2回▽海部が1回。06、07年の2回は時間外労働に関する労使協定がない点を指摘。09年以降の4回は、協定で定めた各病院の上限時間を超えていると指摘された。
 三好病院では、09年に宿直扱いされた検査技師6人について、必要な届けを労基署に出さなかったため夜間勤務とみなされ、宿直手当との差額計72万5000円を勧告後に支払った。
 各病院では、三好で09年3月から分娩(ぶんべん)を休止、海部も今月から3年ぶりに一部分娩が再開されたばかりで、産科などを中心に医師不足が続いている。【井上卓也】

まあしかし不謹慎ながら、こういうことが起こる度に普段使わない頭を一生懸命悩ませてトンデモな言い訳をひねり出してくるの眺めているのも、当「ぐり研」的にはまた楽しではあるんですけれども(笑)、こういう労基署の勧告がどんどん入るようになったのも省庁再編の一つの副産物ではあるのですかね。
今の時代病院経営をうまく回そうと思えばまずは医者の数をそろえることというのは定説になっていて、そのためには他よりも待遇なりで優遇してでも医者集めに精出さなければならないはずですが、公立病院と言えば何と言っても客層が悪いということで嫌われている現実がある、それに加えて待遇面でも労基法?何それ食べられるの?状態だとすれば、一体公立の良いところなどどこにあるのかですね。
保険診療の制約も無視で好き放題やらせてもらえるナショナルセンタークラスならまだしも、今どき地方公立病院など下手すると緊急用のカテのストックを購入するだけでもお上のお伺いが必要というくらいに制約が厳しいところも多いですから、熱心に先端的な医療をやりたいという医者ほど公立は避けておいた方が良いということになりかねません。
医者にすればそんなこんなで公立病院勤務をするべき理由など探す方が難しいくらいで、もちろん労基署からおしかりを受けるような地雷病院など今さら誰も行きたがらない、となればそんな病院に永年勤続でいつまでも居座っている先生ってどんな…?と思われても仕方がないということですよね。

全国的に病院経営の才能がないことが立証されてしまった行政側が余計な口出しをしてくるなどというのは論外にしても、医者の間ですっかり定着してしまった公立病院の悪いイメージを何とかしないことには今後再び公立病院が浮かばれるとも思えませんが、その方法論としてどんな手段があり得るのかということです。
今どき「3000万円も出せば助教授クラスが飛んでくる」なんて夢想している人間はさすがにいないでしょうが、結局のところ人が来ない以上は限られた供給側のマンパワーに扱える範囲に需要側を制限していくしか根本的な解決策はないと言うことは明白ですから、住民自らであれ行政主導であれ「地域で医者を大事にする」という文化が根付いているかどうかが分かれ目になりそうですよね。
「うちは公立ですからDQNでも何でもどうぞお越しください」なんてのは論外としても、地域の自発的な民度向上が一朝一夕で進むものではないはずですから、せめて行政主導であっても何かしらのリアクションを起こしてポーズだけでも見せていかなければ、またぞろ「我が町には何故か全く医者が来ない!国が強制的に送り込むようにしてくれないと困る!」なんて叫ぶしか能がないということになってしまうでしょう。
むろん、実際にどの方法が正解にもっとも近いのかは将来の検証に委ねるしかありませんけれども、まずは医者も一人の人間であると認め尊重する姿勢を示すことが最低限の人としての倫理ではあるだろうし、その程度のことも出来ないようでは他人に何かを求める資格はないと言われても仕方がないのではないですか。

美祢市医療守る条例検討県内初、市民にも責務 /山口(2010年10月15日読売新聞)

 山口県美祢市は、市と市民、医療機関が医療充実のために果たす責務などを定める「地域医療を守る条例」(仮称)制定の検討を始めた。

 医師不足などで崩壊が進む地域医療を、安心して受診できる体制に立て直す目的。早ければ、来年3月議会に提案する。県によると、こうした条例は県内では初めて。

 市によると、条例には、市民の責務として、〈1〉かかりつけ医を持つ〈2〉安易な夜間、休日の受診を控える〈3〉医療関係者に信頼と感謝の気持ちを持つ ――などの明文化を検討している。市については「市民の健康長寿を推進する施策を実施する」、医療機関については「医療の担い手の確保に努める」などの目標を盛り込む方針。

 美祢市は2008年3月の合併以降、人口約3万人の自治体には珍しく二つの公立病院を抱える。ただ、人口1000人当たりの医師数は、県内13市の中で最低の1・43人(08年末現在)で、県平均の2・48人を大きく下回る。

 新人医師が2年間、研修先を自由に選べるようになった新医師臨床研修制度(04年度スタート)などの影響で、二つの公立病院に勤務する医師は、06年の22人から10年は14人にまで減少。一方で、外来患者は毎年10万~12万人で推移しており、医師の負担は年々増しているという。

 市が2月、医師らを対象に実施したアンケートでは、8割が「今の職場を辞めたいと思ったことがある」と回答。軽症で夜間・休日に気軽に来院する「コンビニ受診」による疲労蓄積や、高圧的な態度を取る患者がいることなども、医療従事者を悩ませているという。

 市は条例案を協議する「市地域医療推進協議会」を設置。14日に第1回会合を開き、市民や医師ら18人の委員が地域医療の課題などについて意見交換した。

 市健康増進課の古屋勝美課長は「行政や医療機関だけでなく、市民も地域医療を守り育てる意識を高めるきっかけにしたい」と話している。(鶴結城)

伊賀市議会:「地域医療条例制定を」 勤務医の負担軽減に /三重(2010年10月27日毎日新聞)

 深刻な医師不足が続く伊賀地域の救急医療問題を受け、伊賀市議会で「地域医療を守る条例」の制定を目指す動きが出ている。勤務医の過重な負担を軽減するため、市民に安易な時間外受診を控えるよう求める努力義務を課すことなどを想定しており、伊賀地域で安心して医療を受けられる体制を目指すという。【伝田賢史】

 26日に開かれた同市議会政策討論会で、中井洸一市議(爽風ク)が提案し、既に制定されている宮崎県延岡市や広島県尾道市の条例を紹介した。両市の条例では、市と市民、医療機関が一体となって地域医療を守ることを要請。▽市民は「安易な時間外受診を控え、感謝の気持ちをもって受診する」▽市は「地域医療を守る施策を推進する」▽医療機関は「医療の担い手を確保する」--などの努力義務を定めている。

 中井市議は「制定されたからといってすぐに効果が出るわけではないが、改善に向けた議会としての姿勢を示す必要がある」と述べた。他の市議から目立った反対意見は出ず、条例制定に向けた検討が始まる見通しとなった。

 伊賀市立上野総合市民病院の常勤医は、今年8月現在で計11人、うち内科医はわずか1人(健診センターを除く)と深刻な医師不足に陥っている。


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2010年11月 4日 (木)

「この集会は茶番劇」には完全同意ですが

先日は名古屋で生物多様性条約会議が開催され、例によって環境テロリストらの活動を警戒して警察の皆さんは大変だと言う話ですが、すでに月を超える単位でテロ組織が常駐しているというのが和歌山県は太地町です。
本日まずは捕鯨の町太地町とも関わりのあるちょっとした小ネタから紹介してみますが、これだけの量になりますとそれなりに流通にも影響が出てきそうな話ではありますよね。

対日鯨肉輸出を本格再開 アイスランド、500トン超(2010年10月30日47ニュース)

 【ロンドン共同】商業捕鯨実施国のアイスランドが今年、鯨肉の対日輸出を本格再開したことが30日、分かった。同国最大の捕鯨会社クバルルのロフトソン社長が共同通信に対し、ナガスクジラ肉を日本に「計500~600トン」出荷したと述べた。

 日本では調査捕鯨で得た主にミンククジラ肉が年4千トン前後供給されているが、消費低迷で在庫は増加気味だ。味が良く市場価値が高いとされるナガスクジラの輸入肉が市場に出れば、鯨肉価格全体に影響を与える可能性もある

 同社は今年、日本市場を念頭にナガスを148頭捕獲したが、日本の調査捕鯨での捕獲はこの2年で2頭のみにとどまっている。同社長は「ミンクの消費を減らすために(ナガスを)売るわけではない。両者は(市場で)共存可能。両国の利益になる」と話した。水産庁捕鯨班は「民間の活動にコメントできない」としている。

 同社は2008年、17年ぶりに66・6トンのナガス肉を試験的に日本に輸出したが、昨年は輸出しなかった。

先日ちょうどそのナガスクジラを食べる機会があったのですが、確かにそこらのスーパーで売っているような「鯨肉」とはさすがに明らかに別物の味で、どうせ食べるならうまい方がいいという人は増えそうですし、実際に価格帯を比べてみると当地でのそれは日本の数分の一程度と言うことで、商業的に利用できるものなら市場的な需要はありそうです。
ただしご存知のように資源量からすれば大型のナガスクジラなどはミンクとは比較になりませんから、かねて反捕鯨団体の格好の標的にされてきたという経緯があることに加えて、かつての輸出中止の原因であるとも言われる汚染問題も今ひとつ不鮮明なところがありますから、継続的な輸出という点ではまだ予断を許しません。
一方で日本側としても調査捕鯨がそれなりに在庫はあるという状況で、これだけの外来鯨肉が流入すればいよいよ在庫のだぶつきが懸念されるということになりますが、そうなると反捕鯨団体の「ほら見ろ!だから調査捕鯨などやめるべきなんだ!」と言う主張に勢いを与えかねず、正直捕鯨関係者にとってはいささか対応に迷うところではないでしょうか。
このあたりはすでに出荷までされたという鯨肉が実際に日本市場に出回ってから実際の影響を最終判断していくことになるのでしょうが、当面今度の捕鯨シーズンをどうするのかと早速頭を悩ますところではあるのでしょうね。

さて、先日ご紹介しました太地町のテロとの対話路線へ路線変更か?!という一件ですけれども、予定通り11月2日に意見交換会が開かれたということです。
この意見交換会なるものに関しては一体何の意味があるのかと誰しも疑問に感じるところで、こういうものを開くように主張し司会役を務めた某団体の立ち位置も疑問視されているわけですが、まずは国際的にも大きな注目を集めたという意見交換会の模様を記事から紹介してみましょう。

映画「ザ・コーブ」舞台の太地町と「シー・シェパード」初の意見交換会始まる 海外メディアも殺到(2010年11月2日産経新聞)

 日本のイルカ漁を批判した米映画「ザ・コーヴ」の舞台となった和歌山県太地町で2日、町側と環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」など反捕鯨団体との初の意見交換会が行われた。

 町側の会見によると、反捕鯨団体側は「イルカ漁をやめない限り、活動を続けていく」と主張したという。町側は「伝統ある地域産業で、許可に基づき正当に行っている。批判されるものではない」と訴えた。

 鯨類追い込み漁が解禁された今年9月ごろから、SSメンバーらが町内に滞在して抗議を続けるなかでの開催。町側は「科学的根拠に基づき、国の設定した枠内で漁を続ける」として対話を拒んできたが、県内の民間団体がイルカ漁を考える機会をつくろうと双方に呼び掛け、実現した。

 意見交換会には、町側から三軒一高町長や三原勝利町会議長、町漁協幹部が、反捕鯨団体側からはSS幹部で米国人のスコット・ウェスト氏らが出席。「ザ・コーヴ」にも出演したイルカ保護活動家のリック・オバリー氏は「この集会は茶番劇」として急遽(きゅうきょ)、出席を取りやめた

 主催者によると、AP通信など海外メディアも取材に駆け付け、小さな捕鯨の町に世界の注目が集まった。県警も不測の事態に備え、会場となった公民館周辺の警備態勢を増強した。

 追い込み漁は国際捕鯨委員会(IWC)の規制外で国の指導で県が許可している。シーズンは毎年9月から翌春までで、イルカ類とクジラ類合わせて計約2100頭の捕獲が認められている。

      ◇

 【用語解説】ザ・コーヴ

 映画の題名は「入り江」の意味で、古式捕鯨発祥の地である和歌山県太地町が舞台。イルカ保護活動家のリック・オバリー氏らが出演、漁師がイルカを入り江に追い込み、棒を突き刺して漁をする様子などを隠しカメラで撮影した。3月の米アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞。日本での公開に当たり、抗議や街宣活動の予告を受けて一部の映画館が上映を中止した。

各方面からの情報を総合しても、お互い一方的に喋るばかりで全く対話としてはかみ合っていなかったということなんですが、問題は当初テロリストなど完全に無視する姿勢を決めていた太地町側がわざわざ心変わりをした形をとってまで、こうしてうまく機能するはずもない場を設定する意味がどこにあったのかということですよね。
今回の意見交換会を仕切った某政治団体のHPを見て面白いのは、「ザ・コーブ」に対する抗議活動等と書いてあるのですが肝腎の捕鯨自体へのスタンスは全く書かれてはいないということで、とりわけ「太地町町長、シーシェパード幹部との直接会談を提案、実現させる事に成功させ、会議での司会進行を務める」などと何らの目的もないまま表記されたところで、単なる売名行為の類か?と取られても仕方のないところでしょう。
同会の活動としては現職知事への反対運動がその一つの中心になっているとも聞きますが、例えば政争の道具としてこうした活動が手頃な道具に思われているのだとしたら乗せられてしまう太地町側も太地町側であるし、地元においてもマイナー団体だというこうした組織の要求を易々と入れて方針変更するに至るには何かしらの背後事情もあったのか?とも思えるところです。

ちなみにこの意見交換会に参加したSS幹部のスコット・ウェストはインタビューに答えて曰く、町の態度が明らかに変わり自分たちを無視出来ないようになってきた、漁師達は自分の行いを恥じているなどと言いたい放題ですけれども、その根拠となっているのがこうした対話の場をわざわざ設けたことだということですから、結局は予想通り連中の宣伝のための場にしかならなかったということでしょう。
SSのポール・ワトソン代表はちょうどこのタイミングで太地町宛てにメッセージを出していますけれども、世界中から100人を超える報道陣が参加したというこうしたイベントに合わせて出せばそれは注目度も高まろうと言うもので、このあたりのメディア戦略は相変わらず手慣れたものを感じさせますよね。
一方で興味深いのはこの集会に意欲満々だったはずなのに、いままで同町をプロパガンダの道具としてさんざん利用し放題だったはずの肝腎のリック・オバリーが、なぜかドタキャンを決め込んだということです。
元シーシェパードの顧問であった同氏が「茶番劇」とはお前が言うなという話ですけれども、このあたりはワトソン代表の隠された何かしらのシナリオの範疇であるのか、それとも何らかのメンバー間の齟齬があったということなのか、今後詳細が判明してくるまで判断は保留するしかなさそうですね。

先日はニューヨークで「チキンマックナゲットの鶏の扱いは残虐だ!」なんてマクドナルドに対する抗議活動があったと言いますけれども、オーストラリアの野生動物大量虐殺問題などを始めとして世界中には幾らでも環境テロリストのターゲットになりそうなネタはあるにも関わらず、実際にとりわけ過激派と目されるテロリストの活動対象となるのはごく一部でしかありません。
メキシコ湾の原油流出事故に際しても日本の捕鯨など問題にならないくらい鯨達にとっての絶滅の危機であったわけですが、反捕鯨を声高に叫ぶSSら一派が油にまみれて活動したなんて話も全くありませんから、なるほど彼らの行動基準というものは非常に明確であるということが判る話で、それを単にracismなどと文化論的に捕らえてしまうと対応を誤りますよね。
彼らに偏愛される日本としてはどう対処すべきかという方法論を考えると、彼らのメディアへの露出とスポンサー獲得という経営戦略にはなるべく非協力的となる方向でやっていかなければならないだろうし、そうした戦略に協力したがる関連勢力にも相応に注意を払っていかなければならないということではないでしょうか。

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2010年11月 3日 (水)

今日のぐり:「麒麟麦酒空間LAGER(ラガー)」

ご存知の方も結構多いかも知れませんが、最近ちょっと話題になっているものにこういうものがあります。

ネット漫画「中国嫁日記」が書籍化 日中間の文化の違いが大人気(2010年10月4日J-CASTニュース)

   中国人女性との結婚生活を描いたウェブ漫画「中国嫁日記」がネット上で注目を集めている。日中間の文化の違いをユーモアたっぷりに書いた内容が受けているようで、連載開始から3か月にも関わらず、複数の出版社から書籍化の話を持ちかけられている。

   「中国嫁日記」は40代のゲームデザイナー・井上純弌さんが、中国東北部瀋陽出身の女性、月(ユエ)さん(26歳 仮名)との結婚生活を元に描いた4コマ漫画。2010年7月からブログ上でスタートした。

焼き魚に突然ドレッシング

   「ダーリンは外国人」(小栗左多里作)のように国際結婚をテーマにした漫画で、日中間の文化の違いを面白おかしく描いている。

   まず、月さんが日本に来たとき一番驚いたのが、トイレに紙があること。中国では、トイレットペーパーは通常自分で持ち歩くものなのだそうで、日本人がトイレで紙を盗んでいかないことに「すごい!」と感動。街頭でティッシュがタダで配られていることにも驚いたという。

   また、中国では魚は煮て食べるもので、焼き魚を食べる習慣がない。なので、結婚して初めて月さんが焼き魚を作った際、上手く焼けたはいいものの、突然ドレッシングをかけてしまった。井上さんにとって、焼き魚に醤油以外のものをかけるというのがかなり強烈だったらしく、「結婚して初めてのカルチャーショック」と書いている。

   月さんは、姉が日本人と結婚したのを機に来日。日本に来た当初は、言葉がわからないのに居酒屋でバイトしたこともあった。2人の出会いはお見合い。月さんは、井上さんのことを「井上」の中国語読みで「ジンサン」と読んでいる。日本のテレビ番組では、大相撲と「新婚さんいらっしゃい!」が好きなのだという。

   可愛らしい絵柄とほのぼのとした内容が受けたのか、ネットでは9月下旬から話題になり、まとめサイトが登場。ツイッターでは、「おもしろすぎる!嫁さんかわいい!」「こんな情勢だけど、カルチャーの違いが楽しい」といったコメントが寄せられた。

漫画のネタにしていることは妻に内緒

   現在、尖閣諸島を巡って日本と中国の関係が緊張しているが、井上さんも気を揉んでいるようで、こんな話をツイッターに投稿している。以前、月さんの姉から日本製の粉ミルクを中国に送って欲しいと頼まれた。子どもがとても虚弱で、月さんの姉は原因が中国の粉ミルクにあると推定。中国でも日本製粉ミルクを売っているが、中国の工場で作ったものに日本メーカーの名前を付けた偽物もあり、信用できないのだという。

   日本から送られた粉ミルクで、子どもは近所でも話題になるほど元気になった、という。井上さんは「日本を憎んでる人たちばかりなどでは絶対にないのは当然として、国交断絶とかされると凄く困る人たちが中国にいることを知って欲しいのです」と書いている。

   「中国嫁日記」のPV(ページビュー)は9月下旬になって、急激に伸びており10月4日には、ライブドアブログの「ルーキーランキング」で10位にランクインした。

   9月30日には、井上さんがツイッターに「書籍化の話が5社から来た」と投稿。その後、他の会社からも話を持ちかけられ、最終的に8社からオファーが来た。「皆様ありがとうございます。しかし、1社以外全部断るのが辛い」と感謝している。

   しかし、妻をネタに漫画を描いていることは本人には知らせていないという。10月2日の更新では、プライベートな内容を描いた漫画のため、書籍化に反対されたら「全てをやめる可能性がある」と書き込んでいた。

   J-CASTニュースが井上さんに取材したところ、現在8社のうち2社と書籍化の話を進めている。書籍化には、妻本人から承諾を得ないといけないと思っているが、まだ作業が始まっていないので「悠長に構えている次第です」。順調に進むと、発行は11年春~夏ぐらいになるという。

しかし二回りも年の違う若い嫁ってだけでもいい加減許し難いという人も多いでしょうに、さらにネタまで提供してくれるというのですから今どき何と言う勝ち組かと嫉妬の嵐も吹き荒れようと言うものですが、その後の経過によるとついに嫁バレ!なんだそうで、なるほど人間そうそう悪いこと?ばかりは出来ないようにはなっていると言うことなのでしょうか(笑)。
今日は愉快な嫁さんに経緯を表して最近話題のお隣は中国からの話題を紹介してみたいと思いますが、しかし他人事であるから愉快で済むのかも知れませんけれども、当事者にしてみればそれどころではないというニュースがてんこ盛りというのはどうなのでしょうね?

ベッド・マットの中から針、業者「正常なことです」=中国(2010年10月20日サーチナ)

  四川省成都市に住む劉氏は5日、市内の家具店でベッド用の高級マットを5480元(約6万7000円)で購入した。ところが、中に針が残っており尻などを刺してしまった。販売した商店は「針が残っているのは、正常なことです」と説明した。中国新聞社が報じた。

  劉氏は5日、自宅に運び込まれたマットをさっそくベッドに置き、座ってみた。すると、尻の部分に突然、刺されたような痛みを感じた。マットを調べてみたが、痛みの原因は見つからなかった。

  それからもしばしば、マットに寝そべった時や座った時に、痛みを感じた。そこで19日になり、徹底的に調べてみることにした。その結果、力を込めて押したときに、マットの1カ所から針が出てきた。

  製造時に針が混入したと考え、劉氏はマットを売った商店に連絡。商店はマットの交換に応じたが、「針」も同時に回収することを要求。劉氏も応じた。

  商店側は「針を使って縫製していますから、残っていても、正常なことです」、「商品の品質は完璧(かんぺき)です」などと説明した。

  法律によると、仮に針が原因で負傷した場合、製造者と販売者は損害に対する連帯責任を持つ。しかし、消費者側は針を手元に残しておき、訴訟になれば製造時に混入したものと証明する必要がある。心身に問題が発生した場合には、証拠のひとつとするため、病院で診断書を作成してもらうことが望ましいという。(編集担当:如月隼人)

思わずどこぞの林檎マークの会社かよ!と突っ込んでしまいそうになりますけれども、こういう実際に危害が及ぶようなものにも「仕様です」の一言で終わってしまうというのは何と言うべきなんでしょうね。
それでも針くらいならまだ許せるという声もあるかも知れませんが、国が率先して国中総斜塔化を容認しているとなればこれは穏やかではない話です。

河南の新ビル、傾いていても行政部門次々に「検査合格です!」(2010年10月1日サーチナ)

  河南省信陽市に新しく建てられたマンションが傾いているにもかかわらず、現地当局の行政部門はそれぞれ「合格」との証明を出していたことが分かった。チャイナネットが報じた。

  問題の建物は、富麗華城26号棟。建設完了は当初の予定よりも10日間遅れた。その後、関連する行政各部門は次々に、同建物に対する「品質検査合格」の証明を発行した。

  ところが、内装作業を始めると、建物が傾いているとの指摘が出始めた。同建物は6階建てで、屋上からおもりをつるして調べたところ、30センチメートル弱、傾いていたという。

  市政府が「合格したはずの建物が傾いている」との通報を受けたのは9月7日。専門家を派遣して計測した結果、「外壁が南側に向かい、最大で 11.3センチメートル、傾いている」と分かったという。20日ほど後に改めて調べたところ傾きは11.7センチメートルで、4ミリメートル増加していた。一般人が簡易な方法で測った「傾き30センチメートル」と、政府手配の専門家による「11.7センチメートル」には食い違いがあるが、理由は伝えられていない。

  建物が傾いた原因は、建物基礎の部分が不均一に沈降しつつあることと考えられている。安全確保のため、傾きの計測をしばらく継続するという。

  インターネットでは、行政部門が合格証明を発効したことに対する非難が相次いだ。庶民は一生かけて稼ぐ金を支払ってマンションを買うのに、行政はいい加減な仕事をするとの怒りの声や、(行政の担当者に)賄賂を渡せば、どんな建物でも合格になるとの書き込みがある。(編集担当:如月隼人)

中国と言えば何もせずともいろいろなものが壊れていくお国柄であるともっぱらの評判ですが、なるほどこういう仕組みになっていたのでは確かに仕方がないと…納得できるかっ!ですよ。
同じく建築関係ということで言えばこういうものもあるようなんですが、これは前衛とかそういうものではなく、単にうっかりミス?だったなんて話なんでしょうかね…?

外から丸見え!ガラス張りの仰天トイレが出現=中国(2010年10月8日サーチナ)

  中国の湖北省武漢市でガラス張りのトイレが出現した。現地の人びとは、外から用を足している姿が丸見えとなるガラス張りトイレに対し、「恥ずかしくて利用できない」と感想を語っている。8日、梵天都市報が伝えた。

  ガラス張りトイレは、男性トイレ・女性トイレともに、外側と内側が互いに見える構造となっており、付近の住民の話によれば、「ガラス張りであることを知っている住民は誰も使用しない」という。

  トイレの管理側は、「ガラス張りトイレは竣工してから日が浅い。現在の状況を建築業者に連絡し、早急に改善するよう促したい」と述べた。(編集担当:畠山栄)

いやしかし、むしろ余計にコストがかかりそうなところからしてあるいは確信犯?とも思える話なんですが、そもそもガラス張りにしなくても中国名物「ニーハオトイレ」は丸見えなんですが、今さら恥ずかしくて使えないというのもどうなんですかね…?
さて、中国と言えばいつもサッカーの試合のたびにとんでもない騒ぎになっている印象がありますけれども、伝統の「カンフーサッカー」に限らず実は全てのスポーツがそうだったのかと改めて思い知らされるのがこちらの話題です。

男子バスケで乱闘、中国選手殴る蹴るでブラジルは試合放棄(2010年10月13日サーチナ)

  河南省許昌市で行われた男子バスケットボールの中国・ブラジル戦で、試合開始直後に、両チームが乱闘を始めた。ブラジルチームは全員がコートから引き上げ、試合を放棄した。中国メディアはしゃがむブラジル人選手を、中国人選手が蹴る様子なども写真で伝えた。中国新聞社などが報じた。

  試合開始後25秒で、相手に倒された中国の張慶鵬選手が遅延行為として反則を取られた。猛抗議したBob Donewald監督は、審判への暴言などで退場処分。張選手は倒れたままで、審判が競技参加の意思を尋ねても、口の中でなにかをつぶやき、返答しない。その時、監督がコートに戻り、記録係用の机をたたき壊すなど暴れたので強制的に退場させられた。

  試合は再開されたが、興奮が収まらない双方の選手は、激しい肉体的接触を繰り返し、しまいに乱闘になった。中国側では周鵬、孫悦、蘇偉選手らが、手などに負傷した。ブラジル側は試合放棄を決定。退場する途中で挑発的なしぐさがあり、中国チームと再び乱闘になった。ブラジルチームが去った後も、中国チームはしばらく、コートにとどまった。観客は指笛を吹き鳴らすなどで騒いだ。

  Donewald監督はこれまで、中国チームの闘争心が薄弱であることを問題視。「殴られたら、必ず殴り返せ」などと指導していた。(編集担当:如月隼人)

いやそこは指笛ではなくブーイングだろJKと思わず突っ込んでしまいますけれども、そもそもバスケットの試合で「殴られたら」云々なんて本来あり得ない前提で話が進んでいくというのがどうなんでしょう?
すでにこれだけでもお腹いっぱいという人もさぞ多かろうと思いますが、最後にきっちりごちそうさまとなるこちらの記事で締めくくることにしてみましょう。

<日本人が見た中国>「もったいない」と死んだ金魚をから揚げに!(2010年10月21日レコードチャイナ)

中国人は「四つ足なら机と椅子以外、空を飛ぶものなら飛行機以外は何でも食べる」、と言われるほど非常にさまざまな物を食べる。だから、時には可愛がっていた“金魚”が食卓に上ることだって、あり得るといえばあり得る話。でも日本人には考えられない出来事。そんな衝撃的事件の顛末を聞いた。

とある方(中国人)が自宅で金魚を飼っていたのだが、ある朝病気で突然死んでしまった。すると、その人の義父がその日の夕方、川魚のフライを作る “ついで”に、その朝死んだ金魚にも衣をつけて、カリっとフライ。川魚と一緒にお皿に盛りつけ、そのまま食卓へ並べてしまった。相手が義父ということで遠慮して意見を言えないでいるうちに、食べる段階になった。子供が一瞬“金魚の唐揚げ”に箸を伸ばしたものの、父に制止され箸をひっこめた。他の家族も一切箸をつけず、結局は作った張本人である義父も食べずじまいに終わったそうだ。

調理した義父はおそらく、非常に苦労されてきた世代なのだろう。この世代の方にとって、いくら病死した金魚とはいえ、そのまま埋めるのは、食べられるものを“粗末”に扱うことに思えたのかもしれない。また、ビタミン・ミネラル・カルシウムにコレステロール、と食や栄養に関する単語はあれこれ知っていても、「残留農薬はよく火を通せば無毒化される」「緑豆はあらゆる病を治す」等、科学的な裏付けのない迷信じみたことまで、盲目的に信じている人は非常に多い。

だから、この人は「病死した魚でも、高温で火を通せば大丈夫!もったいない!」と考えて、“金魚の唐揚げ”を作ったのだろう。“もったいない精神”は美しいと思うけれど、心理的に、あるいは衛生面など色々な意味でショッキングな事件であることには変わりない。やっぱり、ペットは死んだら埋めるか、各自治体の指示に従うのが良いのではないでしょうか。(八木幸代/25歳/中国在住7年/自由業)

なんと!もったいない精神は日本のみならず中国にもしっかり根付いていたのだ!と喜ぶべき話題なのかも知れませんが、汚染池で浮かび上がった魚でも平気で食べてしまうというお国柄ですから、むしろ空気を読まない家族の方に突っ込んでおくべきなんでしょうか?
いやはや、しかし国が変われば人も変わる、常識も変わるとは確かにこういうことなんでしょうかね…

今日のぐり:「麒麟麦酒空間LAGER(ラガー)」

岡山市街のちょいと裏通りにあるこちらのお店、居酒屋系の店としては結構大きな構えだと思うのですが、名前からしても某大企業のアンテナショップででもあるのでしょうかね?
店名通りひたすらビールを飲ませることに徹している店という印象なんですが、相当に広い構えの店内がいつも一杯になるということですから、それなりに人気の店ということになるのでしょう。
店内もトイレに至るまで小綺麗に作ってあって、しかも個室が多いというのはこういう店ではありがたいところだと思いますが、こういう垂直方向に長い店構えというのは酔っ払い客にとってはいささかどうなのよですかね(苦笑)。

今回は飲み放題とコース料理というデフォルトの設定でお願いしてみましたが、結論からするとそこそこの値段でまずまずという内容で、しかもいわゆる居酒屋系としてはちょっとおしゃれっぽい雰囲気もあって使いやすそうな店と言うことになるのでしょうか。
冒頭に出てきたのがラガー名物?だという海老のマヨネーズ焼きなるものなんですが、一体これは何なんだと口に運んでみて味や食感の想像との落差に二度驚くというもので、ありきたりなものしか出してこないお店も多い中でいきなりこの先制攻撃というのは悪くありませんよね。
シーザーサラダや牛バラ煮込みなどちょっと女性受けしそうなメニューも割合多いのかなと思っていましたら、もちろん定番の焼き物や揚げ物も出ますし、いい加減胃も膨れた後半に出てくるのがピザに明太子パスタですから、やはり今どきらしく皆さんしっかりお腹を膨らませてもらってという構成になっているのでしょうか。
デザートでもまた見た目とのギャップに驚かされましたけれども、全般に見ると基本の味は悪くないもののやや仕上がり具合が雑と言いますか、揚げ物などももう少し丁寧な仕事をしていただいた方が良かったかなという印象で、純粋に味だけを見ると悪くもないが良くもないということになるのでしょうか?

本来の目的であろう?ビールとの相性はどれも悪くなさそうですし、料理にしても値段を考えると特に悪いというほどのこともないわけで、コースと言わず適当に好みのものを頼みながら手軽に一杯やる分には悪くない店ということなんでしょうかね?
いわゆる居酒屋的な雰囲気はちょっと違うかなという人にとってはこういうのもありなんだと思いますが、逆に考えようによってはコストにも質にも中途半端な店と言う見方も出来そうなところで、こういう時代にこういう店が流行っているというのも結構面白い話なのかなという気もするところでした。

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2010年11月 2日 (火)

やはりアサヒっていた?!医科研問題続報

先日も紹介しました朝日新聞のがんワクチン報道問題を巡って、その後各方面から抗議が出ているという状況ですが、本日まずは日本癌学会と日本がん免疫学会が記事の訂正と謝罪を求めたという記事から紹介してみましょう。

2学会が朝日新聞に抗議 がんワクチンの記事めぐり(2010年10月22日47ニュース)

 日本癌学会と日本がん免疫学会は22日、東京大医科学研究所が開発した「がんペプチドワクチン」の臨床試験に関する朝日新聞社の記事について、「大きな事実誤認に基づいて情報をゆがめた」などとして、記事の訂正や謝罪などを求める抗議声明を、癌学会のホームページに掲載した。

 記事は、ワクチンで治療を受けていた男性の消化管からの出血に関し、ほかの病院に知らせていなかったことに関するもの。15日と16日に掲載された。

 医科研側は記者会見などで「単独の臨床試験を(他施設との)共同研究のように報道された。ペプチドの開発者とされた教授は、開発者でも試験の責任者でもない」などと反論している。

 同教授の研究成果を基に、治療薬開発などを目的に設立され、記事で取り上げられた川崎市のベンチャー企業も22日、朝日新聞社社長などに抗議文を送った。

ちなみに日本癌学会のHPに掲載されている抗議声明はこちらですが、「大きな事実誤認に基づいて情報をゆがめ、読者を誤った理解へと誘導する内容」と断定され、患者の側にとっても不利益であると言われてしまっては朝日に立つ瀬はありませんかね。
これに対して朝日の側では「事実誤認?何それ?」と言うコメントを発表しているようですが、ここでは朝日の側が「確かな取材に基づいて」云々と言っていることに留意ください。

医科研記事、癌学会など抗議 朝日新聞「確かな取材」(2010年10月24日朝日新聞)

 日本癌(がん)学会の野田哲生理事長と日本がん免疫学会の今井浩三理事長は、東京大学医科学研究所が開発したがんペプチドワクチンを使った付属病院の臨床試験で起きた有害事象が、ペプチドの提供先である他の医療機関に伝えられていなかったことを報じた15、16日付朝日新聞朝刊の記事への抗議声明を両学会のホームページに掲載した。「大きな事実誤認に基づいて情報をゆがめ、読者を誤った理解へと誘導する」としている。

 朝日新聞社広報部の話 記事は、薬事法の規制を受けない臨床試験には被験者保護の観点から問題があることを、医科研病院の事例を通じて指摘したものです。抗議声明はどの点が「大きな事実誤認」か具体的に言及していませんが、記事は確かな取材に基づくものです。

要するに朝日の側としては何らやましいことはありませんと断言した形ですが、ここでは朝日の側が「被験者保護の観点から問題がある」という言葉を口にしている点に留意しておいていただきたいと思います。
さて、29日には日本医学会からも両学会の抗議声明を支持するというコメントが会長名で発表されましたが、これも見るだけでも朝日という会社は本当にどうしようもないのだなと思わせるほどにケチョンケチョンな内容となっていて笑えると共に、単なる事実誤認ではなく「事実を歪曲した」とまで言い切っていることが注目されますよね。

「事実を歪曲した朝日新聞がんペプチドワクチン療法報道」(2010年10月29日日本医学会)より抜粋

(略)
 しかし医学的真実は異なります。医科研病院が情報隠蔽をしていたわけではありません

 まず、この臨床試験は難治性の膵臓がん患者さんを対象としたものであり、抗がん剤とがんワクチンを併用したものでした。難治性の膵臓癌で、消化管出血が生じることがあることは医学的常識です。当該患者さんも、膵臓がんの進行により、食道からの出血を来していました。あえて他の施設に消化管出血を報告することは通常行われません。さらに、この臨床試験は医科研病院単独で行われたものであり、他の施設に報告する義務はありませんでした。以上から、医科研病院が情報隠蔽をしていたわけではないことがわかります。

 さらに記事には問題があります。それは、日本のトップレベルの業績を持つ中村祐輔教授を不当に貶める報道内容であったことです。

 2010年10月15日の朝日新聞社会面は、「患者出血「なぜ知らせぬ」ワクチン臨床試験協力の病院、困惑」「薬の開発優先批判免れない」となっています。本文中では、中村祐輔教授が、未承認のペプチドの開発者であること、中村教授を代表者とする研究グループが中心となり、上記ペプチドの製造販売承認を得ようとしていること、中村教授が、上記研究成果の事業化を目的としたオンコセラピー・サイエンス社(大学発ベンチャー)の筆頭株主であること、消化管出血の事実が他の施設に伝えられなかったことを摘示し、「被験者の確保が難しくなって製品化が遅れる事態を避けようとしたのではないかという疑念すら抱かせるもので、被験者の安全よりも薬の開発を優先させたとの批判は免れない」との内容が述べられています。

 しかしながらこの記事の内容も誤っています。中村祐輔教授は、がんペプチドワクチンの開発者ではなく、特許も保有しておらず、医科研病院の臨床試験の責任者ではありません。責任を有する立場でない中村祐輔教授を批判するのは、お門違いであり、重大な人権侵害です。
(略)

臨床試験をやっている当事者が反論したと言うだけならともかく、第三者であり公的な権威でもある癌学会あたりが「大きな事実誤認」と言い、日本医学会からは記事の内容が誤っていると認定され「重大な人権侵害」とまで言われてしまったわけですから、もはや医療の世界で朝日を支持するものなど誰もいないのではないかとすら思えてきます。
これに加えて東大医科研と関係が深いCaptivation Network臨床共同研究施設からも、同日付で抗議文が朝日社長宛に送られたと言うことですけれども、朝日の記事によれば「他の施設はこんなに迷惑しているんだ!」という論調であったものが、当の他施設から「は?あんた何言ってるの?」と切って捨てられてしまったという、何ともしまりのない構図と言うことなんですかね?
そしてさらに注目されるのが「事実誤認」から「事実の歪曲」、そしてとうとうここでは「捏造」とまで言われているところで、記事の検証が進むにつれて朝日という会社が例によって得意技を発動したらしいという気配が濃厚になってくるのですね。

抗議文(2010年10月29日Captivation Network臨床共同研究施設)
より抜粋

(略)

(医学的事実の誤りについて)
第1、我々は東大医科研病院の共同研究施設ではなく、独自の臨床研究が行われた東大医科研病院の有害事象について、情報の提示を受ける立場にはありません。したがって、記事見出しの「なぜ知らせぬ」という表現は、我々自身も不自然な印象を受けます
第2、本有害事象は、発表された論文(当会注釈:論文中Case 2)からも原病である膵癌の悪化に伴った食道静脈瘤からの出血と判断されています。進行がんの一般臨床において、出血が起こりうることは少なからず起こることであり、出血のリスクを有する進行がんの患者さんにご協力を頂き臨床研究を実施する危険性について、我々の中では日常的に議論され常識となっております
第3、原病の悪化に伴う出血の有害事象については、医科研病院の有害事象が発生する以前に、既に我々のネットワークの施設で経験をしています。ペプチドワクチンによる有害事象とは考えられないが臨床研究実施中に起こった有害事象として、2008年2月1日の「第1回がんペプチドワクチン全国ネットワーク共同研究進捗報告会」にて報告がなされ情報共有が済んでおります。したがって、ペプチドワクチンとの関連性が極めて低いと判断され、原病の悪化に伴うことが臨床的に明らかな出血という既知の事象(当会注釈:前記2008年2月1日報告会で出血について情報共有済。医科研症例の出血は2008年10月発症)について、この時点での情報共有は不要と考えます

(捏造と考えられる重大な事実について)
記事には、『記者が今年7月、複数のがんを対象にペプチドの臨床試験を行っているある大学病院の関係者に、有害事象の情報が詳細に記された医科研病院の計画書を示した。さらに医科研病院でも消化管出血があったことを伝えると、医科研側に情報提供を求めたこともあっただけに、この関係者は戸惑いを隠せなかった。「私たちが知りたかった情報であり、患者にも知らされるべき情報だ。なぜ提供してくれなかったのだろうか。」』とあります。

我々は東大医科学研究所ヒトゲノム解析センターとの共同研究として臨床研究を実施している研究者、関係者であり、我々の中にしかこの「関係者」は存在し得ないはずです。しかし、我々の中で認知しうるかぎりの範囲の施設内関係者に調査した結果、我々の施設の中には、直接取材は受けたが、朝日新聞記事内容に該当するような応答をした「関係者」は存在しませんでした。

我々の臨床研究ネットワーク施設の中で、出河編集委員、野呂論説委員から直接の対面取材に唯一、応じた施設は7月9日に取材を受けた大阪大学のみでした。しかし、この大阪大学の関係者と、出河編集委員、野呂論説委員との取材の中では、記事に書かれている発言が全く述べられていないことを確認いたしました。したがって、われわれの中に、「関係者」とされる人物は存在しえず、我々の調査からは、10月15日朝刊社会面記事は極めて「捏造」の可能性が高いと判断せざるを得ません。朝日新聞の取材過程の適切性についての検証と、記事の根拠となった事実関係の真相究明を求めると同時に、記事となった「関係者」が本当に存在するのか、我々は大いに疑問を持っており、その根拠の提示を求めるものであります。

また、10月16日、朝日新聞社説においては、捏造の疑いのある前日の社会面記事に基づいて、『研究者の良心が問われる』との見出しで、ナチス・ドイツの人体実験まで引用し、読者に悪印象を植え付ける形で、われわれ研究者を批判する記事が掲載されました。これら一連の報道は、われわれ臨床研究を実施している研究者への悪意に満ちた重大な人権侵害であり、全面的な謝罪を求めるものです。
(略)

ここで注目していただきたいのは医学的事実の誤認に関する指摘もさることながら、特に朝日お得意の捏造問題に関する指摘ですが、朝日の記事中に登場する「ある大学病院の関係者」なる人物のコメントについて、当の共同研究施設の側で調査した結果、該当する発言について発言者の存在が確認できなったということですよね。
これについて「われわれの中に、「関係者」とされる人物は存在しえず」記事は捏造の可能性が高いとまで断じているわけですが、こうして公開の場で事実関係の調査を要求されてしまった以上は、朝日の側としても知らぬ存ぜぬで通用するとは考えがたいところです。
一方で当事者である東京大学医科学研究所の清木元治教授に至っては、わざわざ「大丈夫か朝日新聞の報道姿勢」なんて一文まで公開しているというくらいなんですが、こちらに関してもやはり別な面から朝日の捏造ぶりを指摘するという、非常に興味深い内容となっているのですね。

大丈夫か朝日新聞の報道姿勢(2010年10月22日東大医科研HP)

平成22年10月15日の朝日新聞朝刊に東京大学医科学研究におけるペプチドワクチンの臨床試験についての報道があった。これに対して、10月20日に41のがん患者団体が厚生労働省で記者会見を開き、我国の臨床試験が停滞することを憂慮するとの声明文を公表した。朝日新聞は翌日21日に、“患者団体「研究の適正化を」”と題する記事(朝刊38面)を書いている。
この記事が記者会見の声明文の真意を伝える報道であれば朝日新聞の公正な立場が評価されるところだが、よく読んでみると声明文の一部分を削除して掲載することにより、声明の意図をすり替えているように読める。

声明文の一部をそのまま掲載すると:

「臨床試験による有害事象などの報道に関しては,がん患者も含む一般国民の視点を考え,誤解を与えるような不適切な報道ではなく,事実を分かりやすく伝えるよう,冷静な報道を求めます。」 全文はこちら

ところが朝日記事の声明文説明では:

「有害事象などの報道では,がん患者も含む一般国民の視点を考え,事実を分かりやすく伝えることを求めている。」

となっており、 なんと「誤解を与えるような不適切な報道ではなく」の部分が削除されている

本来の声明文は、臨床試験を行う研究者・医師、行政関係者、報道関係者に向けられており、特に上記に相当する部分では報道に対して「誤解を与えるような不適切な報道」を慎んでほしいとの切実な要望が述べられている
科学論文の世界では、事実の一部をなかったことにして解釈を意図的に変えることを捏造と呼んでおり、この捏造の定義に異論を唱える人はないだろう。朝日新聞の10月15日から始まった一連の関連記事を読むと、実際の事実関係と書きぶりによって影響を与えようとしている目的との間に大きなギャップを感じざるを得ない。社会に対して大きな権力を持ち責任を担う朝日新聞の中で、急速に報道モラルと体質の劣化が起こっているのではないかと思わせられ大変心配になる。「医療や臨床試験の中では人権保護が重要だ」と主張している担当記者の人権意識は、単にインパクトある大きな記事を書く為の看板であり、最も根幹である保護されるべき対象が欠落しているのではないかと思わせられる。

実際にこの「がん患者団体有志一同」による「がん臨床研究の適切な推進に関する声明文」の全文を読んでみますと、少なくとも今回の報道を受けて東大医科研を始めとする癌研究推進を批判するような論調では全くなく、むしろいい加減な情報に基づいて研究が歪められることを危惧するものと言え、その意味ではまさに朝日を始めとする報道側に対してのコメントであると言える内容ですよね。
それを文の主語を完全に入れ替えてしまった挙げ句に文意そのものを完全に逆転させて報道しているわけですから、これが意図的な捏造報道であると言うのでなければ、朝日の記者はよほど日本語の理解力に不自由していると考えざるを得ません。
こうして見てみますと純粋に医療・医学の側だけから見ても朝日の捏造は明白に思えますが、問題は何が朝日をしてそうまでさせたのかという動機付けの部分であって、この点に関してネット上では非常に興味深い指摘も行われているようなんですね。

朝日新聞 東大医科研がんワクチン事件報道を考える(2010年10月22日内憂外患)より抜粋

【なぜ、10月15日だったのか?】

 今回の朝日新聞の記事は、そのセンセーショナルな内容以上に、理解に苦しむことがあります。それは、なぜ、この記事が10月15日に、一面トップ、社会面の多くを占めたのかという点です。他紙がチリの救出劇を大きく取り上げているのとは対照的でした。出河記者たちは長期間にわたって取材を続けていたことが知られており、発表の機会はいくらでもあった筈です。

 実は、翌週に控える政府の政策コンテストで、がん治療ワクチン研究への予算要求が審査されます。今回の報道は、この審査に大きく影響することは確実です。がん治療ワクチンの開発が遅れることは、多くの患者にとり不幸です。

 しかしながら、がん治療ワクチンが導入されることで、困る人たちも大勢います。それは、科学的に有効性が証明されていない治療で商売をしている人たちです。がんワクチンの登場は、「終末期患者ビジネス」を生業としている人には脅威です。

 ちなみに、朝日新聞には、このようなビジネスの広告がしばしば掲載されます。出河記者が意図したか否かはわかりませんが、今回の記事は「終末期患者ビジネス」の営業を後押しする結果になるでしょう。そもそも、朝日新聞のような一流紙が、「科学的に根拠がない」と考えられている治療の広告を掲載することには違和感を抱きます。

朝日が怪しげなビジネスの片棒を担ぐような真似をするか?と言う点に関してはまさしく朝日故にとも思える話なんですが(苦笑)、実際こうした疑惑を証明するかのように内閣府の科学技術政策の評価において、「がんペプチドワクチン」はC判定という低い評価を受けてしまいました。
がんペプチドを積極的に推進したくない人々にとっては今回の朝日の記事がナイスアシスト!であったという形ですが、どうも先日嘉山先生がトップに就任したがんセンターを巡る一連の騒動などを見ても、何かと政治家や官僚の間で暗闘じみたことがあるらしいと想像出来る話で、あるいはそのあたりの流れもこちらにも波及しているということなのでしょうか?
この問題、朝日の単独スクープが一転して例によって例のごとくなアサヒった症例の呈示ということになってきた気配ですけれども、さすがにこうまで集中砲火を浴びた上でもただ沈黙を守るだけだと言うことであれば、朝日お得意のフレーズである説明責任なんてものは一体どこにあるのかと問われることになるでしょうね。

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2010年11月 1日 (月)

臨床研修制度も定着してきましたが

当初はさんざんな言われようだった(新)臨床研修制度も今やすっかり定着してきて、皆さんそれなりに対応してはいるようですけれども、無論制度の抱える問題点がすっかり解消されたなんて状況にはほど遠く、むしろそろそろ抜本的な改革も必要なのではないかと言われている昨今です。
この制度の改革というもの、そのゴールとして地域医療の問題点解決であるとか医師不足の解消であるとか、要するに需要の側のロジックで行っていくべきなのか、それとも研修医にとってよりよい研修とは何なのかという供給の側のロジックで行われていくべきなのかも議論の余地があるところだと思いますが、少なくとも現段階までの話を見る限りでは研修医側の声はさほどお上の耳に届いているようにも思えないのが気がかりなところですよね。
そんな中で少し前にこんな記事が出ていまして、厚労省の医師集約化という意向を受けてか大学病院もずいぶんと強気に出たなあと感じていたものですが、まずは記事から紹介してみましょう。

来年度の研修医の募集定員、大学病院で初の増加(2010年9月15日CBニュース)

 厚生労働省は9月15日、今年度の研修医採用実績と来年度の臨床研修制度の実態体制を公表した。それによると、来年度の研修医の募集定員は1万900人(今年度比201人増)。このうち大学病院の占める割合は47.1%で、新医師臨床研修制度が始まった2004年度以降、初めて増加に転じた。一方、研修医を募集する基幹型臨床研修病院と大学病院の数は合計1038施設(同21施設減)で、2年連続の減少。定員全体に占める地方(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡以外)の割合は60.2%で、ほぼ横ばいだった。

 来年度の募集定員1万900人のうち432人分は、募集定員20人以上の受け入れ病院に設置が義務付けられている小児科・産科の研修プログラム(定員各2人以上)に関する特例枠。これまでは産科か小児科のどちらかを選ぶことができたが、来年度から両方の研修を実施しなければならなくなった代わりに、各病院はプログラムの定員(4人)分を総定員に加算できるようになった。今回、定員数が増加した背景にはこうした影響があるとみられる。
(略)

基本的に厚労省としては大きな病院に医者を集中したいという意向がかねてあるわけですから、とりわけ他施設に医者を派遣しているようなアクティブな基幹病院が大勢の医者を抱え込むのはウェルカムである一方で、田舎の公立病院などが下働き的に研修医を呼び込むようなことはNGというのが本音ではあるのでしょう。
これを受けて厚労省の諮問機関である医道審議会では、研修医の定数を制限することで各地の医師数をコントロールしようと試みているようですが、定数是正措置も過渡期であるということで、今のところまだまだ完全な管理下に置くには至っていないというのが実情であるということですね。
ところで大学病院と言えば何となくどこにもマッチングしなかった医者の最後の落ち着き先という印象もありますけれども、いくら国の意向を受けての事とは言えこうして順調に定員だけ増加させていって果たして実は伴うのかと疑問にも感じますが、やはりそうなったかと言う記事がこちらに出ています。

臨床研修、大学病院の割合最低に 「医局離れ」進む(2010年10月28日47ニュース)

 新人医師が2年間病院で学ぶ「臨床研修制度」で、2011年度に大学病院で研修する人の割合は47・9%(3828人)と過去最低になることが28日、分かった。

 医師になる予定の医学部学生らと病院の双方が希望を出し、日本医師会などでつくる協議会が集計した結果、希望者8331人中、7998人の研修先が内定。大学病院の割合は、制度が始まった04年度から10・9ポイント減少した。民間病院など大学病院以外で受ける人は52・1%(4170人)。

 新制度導入で、医学生の希望が研修内容や待遇、生活環境が良い都市部や私立病院に集中したため、国は昨年5月、地域への医師派遣機能を持つ大学病院の定員枠を優遇するなどの見直しを実施。大学病院側も研修プログラムを充実させるなど工夫しているが、「医局離れ」が進んでいる実態が浮かび上がった。

臨床研修、大学病院離れ進む 地方の割合最大52.4%(2010年10月28日日本経済新聞)

 厚生労働省は28日、来年度の医師臨床研修を希望する医学部生などのうち、東京や大阪など都市部の6都府県以外で研修を受ける割合が 0.1ポイント増の52.4%となり、過去最大となったと発表した。大学病院で研修を受ける割合は1.8ポイント減の47.9%で過去最低。大学病院を離れ、地方の病院での研修を希望する割合が増えている

 医師の臨床研修は2004年度から義務化され、研修先は「医師臨床研修マッチング協議会」(東京・港)が医学部生と臨床研修病院などの希望をコンピューターで組み合わせて決めている。

 同協議会によると、来年度に臨床研修を希望した医学部生などは131人増加して8331人で、うち7998人(96.0%)の研修先が組み合わせで内定した。

 6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)以外での研修が決まったのは4194人(52.4%)。都道府県別では東京が1409人で最も多く、大阪が624人など都市部の6都府県で半数弱を占めるが、6都府県以外で23県が前年度より増加した。

以前は大学病院での研修が大半だったが、臨床研修を義務化した04年度は希望を組み合わせる方式を採用、大学病院の割合は58.8%に急落した。06年度に48.3%と半数を初めて割り込んだ後は増加傾向が続いたが、前年度の49.7%から再び減少に転じた。

研修医内定者、地方の割合が過去最高―今年度マッチング結果(2010年10月28日CBニュース)

 医師臨床研修マッチング協議会は10月28日、来年春から臨床研修を開始する医学生らの研修病院の内定結果(研修医マッチング)を公表した。登録者 8331人のうち内定したのは7998人で、内定率は前年度と同じ96.0%。東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡の6都府県(都市部)を除いた地方の内定者の割合は52.4%(前年度比0.1ポイント増)で、新医師臨床研修制度が導入された2004年度(03年度マッチング)以降で過去最高となった。一方、内定者全体に占める大学病院の割合は47.9%で、前年度に比べ1.8ポイント減少し、過去最低だった。

 研修医マッチングは、次の年の春から臨床研修を受ける新人医師と研修病院のそれぞれの希望をコンピューターで組み合わせるもので、双方の希望が一致した場合に内定先が決まる。今年度のマッチングは、9月16日から10月14日まで希望順位の登録を受け付けた(主に医学生と病院)。

 地方の内定者数の増加を見ると、埼玉が40人で最も多く、次いで岡山(35人)、愛媛(22人)、兵庫(20人)、鳥取(19人)などと続いた。一方、都市部では東京、京都、大阪で増えたが、これは募集定員20人以上の研修病院が設置する小児科・産科プログラムの定員数(4人分)を来年度から総定員に加算できるようになった影響とみられる。
 このほか、大学病院(114施設)では過半数の61病院で内定者数が増加したが、45病院では減少した(8病院は前年度と同数)。

 地方の内定者の割合が増加したことについて、厚生労働省の担当者は「(制度見直しで)都道府県の定員に上限ができたことで、各病院の取り組みに個性が出てきたからではないか」と説明。一方、内定者全体に占める大学病院の割合が減少したことに関しては、過半数の病院で内定者数の増加が見られることから、「個々の病院によって原因は異なると考えている」としている

考えようによっては現状で定員と実際の内定数がほぼ同じ比率になったわけですから、これが正常な状態であるという考え方もあると思いますけれども、以前は大学病院での研修が大半だったと言っても、確かにとりあえず大学病院に配属はされるものの実際にはすぐに外の病院に出される人間も多かったわけで、初期研修を通じて大学に残る人間の数を比較すると減っているとばかりも言えないような気もするところです。
このあたりは昔と今とで研修システムが全く変わっているわけですから、きちんと実態に即したデータで比較しないと単に数字だけを追っていては読み誤るということになりかねませんが、逆に故意にデータを曲解して「だから○○にしなければならないのだ!」と言いたい人にとっては好都合ではあるのかも知れませんよね。
ただいずれにしても募集定員が1万人を超えているのに対して実際の採用実数が8000人そこそこですから、一部の人気病院以外では希望さえすればおおむね枠は空いている売り手市場とも言えるわけで、今後定数枠が実数寄りにコントロールされてくるにつれて次第に学生にとっても希望先の選択がシビアなものになってくるんじゃないかと思えますね。

昨年末に研修医の待遇に病院間で極端な差があるなんてことがちょっとした話題になっていましたが、これに対して厚労省側では研修医に過度の?高給を出している病院には補助金支給を減らすという対応を決めたという経緯がありました。
研修医とは言っても現実には院内の一労働者であることには変わりがないわけで、現場から見れば売り手買い手双方の需給バランスで価格が決定されるのは当然だとも思えますが、逆に制度のタテマエからすれば研修医はお勉強をしているのであって、生活に困らない程度の給料は保証するが単なる労働力として使われて良いものではないと言うことにもなっているわけですよね。
定数にしても給与問題にしても制度のタテマエと現場の実情がひどく乖離しているという事実があるとして、さてタテマエの側に現実を近づけるべく努力すべきなのか、それとも現実に合わせて制度を変えていくよう動くべきなのかは考えどころですが、その考える過程で誰の意志を一番尊重していくべきなのかということも重要ではないかと思いますね。

そういう点で見ていて最近の大学で面白いなと思うのは、一昔前には大学医局と言えば強権の象徴みたいなイメージで語られていたところがありましたけれども、今は何しろどこからもここからも医者を送ってくれと言ってくるばかりで使える手駒が全く無い、そんな状況だから若手の連中も含めて医局内の医者に対してひどく下手に出ているところがあるということです。
もちろん本人の意向に逆らってあっちに行けなんて言い出した日にはあっと言う間に総スカンですから、数ある関連病院の中でも各人の希望に最大限配慮して人を送っているし、逆にスタッフに対してそうした配慮が出来ない病院とは縁切りせざるを得ないということなんですが、こういう流れが今やぺーぺーであったはずの研修医の方に対しても広がっていて、「看護師が点滴をしてくれるようになった」なんていじましい労働環境の改善(笑)はもとより、一昔前の「研修医は人に非ず」な時代を知っている先生方なら驚くような話が現実になってきているようなんですね。
初期研修はそれなりにルールが厳しいですからアルバイト等の制限は仕方ないにしても、研修の内容や後期研修などで本人意向を最大限尊重していくだとか、わざわざ大学を選んでくれた相手に対して色々とオプションを用意できるというのは、幅広い裾野を持つ大学ならではの強みであると言える話ですし、下手に自分で希望に合う病院を探すよりは確実に希望通りの研修が出来ると考える研修医がいても、不思議ではない状況にはなってきているようです。

いずれにしてもやる気のある研修医にとってはポリクリ(学生実習)の延長線上にあるようなお客様研修よりも、実際に現場に組み込まれて責任ある仕事を任せられた方が実力がつきやすい上にやり甲斐もあると喜ばれるようですが、逆に俺はどうせマイナー科に行くんだからローテートなんてかったるいだけだ、なんて向きにはデューティーフリーで9時5時で適当にこなせる楽な研修の方が歓迎されるわけですよね。
ごくごく素朴な感覚からすれば頑張っている人たちにはきちんと給料という形で報いてあげたくなるものなんじゃないかと思いますが、現在の研修医(に限らず、医師全体にも言えることですが)の給与相場というものは労働の程度に応じてなんて話とは縁遠い、むしろ激務の病院ほど安月給なんて現実があったりするのが哀しいところです。
今の研修医の定数改定の議論もあくまで都道府県なり病院側なりといった需要の側の論理で決められているところが否めませんけれども、研修の内容は言うに及ばず労働環境や待遇面といった部分も含めて、もっと供給する研修医の側の声も拾い上げた上での制度になっていけばいいんだろうし、今どきの若い先生達にしても色々と言いたいことはあるんだろうと思うんですけどね。

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