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2010年10月26日 (火)

フランス語と間違えてもテレビなら笑い話で済みますが

本日まずは余談と言いますか、最近一つのテレビCMがちょっとした話題だということなんですが、それに関するこちらの記事から紹介してみましょう。

仏語?いいえ津軽弁/トヨタCM(2010年10月22日東奥日報)

 「フランス語じゃなかったの」-。女優の仲里依紗さんやお笑いタレントの森三中が出演しているトヨタ自動車「パッソ」のCMで使われている津軽弁が、インターネット上などで話題になっている。「口コミで全国的にCMの話題が広がっており反響が大きい」とトヨタ自動車広報部。ブログでCMの津軽弁を解説する人も現れており、津軽弁の魅力を発信するいい機会にもなりそうだ。

 CMは、パッソに乗ってきた仲さんが「わのかでパン、しけるめに鍋さフォンデュせばうだでぐめよん(私のフランスパン、焼きたてのうちにお鍋でフォンデュすれば美味しいですわよ)」と話して、友人(森三中の大島美幸さん)にフランスパンを渡す内容。大島さんも「せばだばやってみら(それでは、やってみますわ)」と津軽弁で返答する。

 同社によると、CM制作の過程でさまざまな企画案を検討中、フランス語と津軽弁が似ていることの意外性が制作チーム内で取り上げられ、方言独特の温かみも感じられることから津軽弁の採用が決まった。撮影に当たっては、青森市出身の女優高谷智子さんが方言指導をした。

 CMは10月1日から全国放映されたが、字幕付きのため、当初は外国語だと思っていた人が多かったという。ネット上などで話題になり、津軽弁だということが広く知られるようになったようだ。

 インターネットのグーグルで「トヨタ CM 津軽弁」のキーワードで検索すると、ヒット数は8千件以上に上る。ブログでは「どうしてもフランス語に聞こえてしまう」「『うだでぐ』は非常に、『め』はおいしいという意味」などとさまざまな感想や解説が展開されている。本県関係者からは「やっぱり我らの津軽弁だった」などの書き込みも多く見られる。

 同社広報部の担当者は「流ちょうな津軽弁に感動し、セリフを覚えている人もいるようだ」と話しており、CM効果は上々のようだ。

ちなみに問題のCMはトヨタのHPで公開されているようですけれども、フランス語かどうかはともかくとしても確かにこれはちょっと日本語には聞こえませんね。
これはこれでCMとしては大成功ということなんでしょうが、これだけ人間の移動が広域化してくるとコミュニケーション問題というものは非常に大きなものとなってくるもので、とうとう学会でも注目され始めたというのがこちらの記事です。

患者の津軽弁、医師ら誤解多く 方言教育の重要性学会発表へ(2010年10月22日陸奥新報)

津軽地域の医療施設で働く医師が方言を誤認するケースや、看護師の大半が方言を理解できないケースがあることが、弘前学院大学文学部の今村かほる准教授らが行った調査で明らかになった。調査対象となった看護師のほとんどが、医療現場で方言を理解することの必要性を認識しており、方言教育の重要性が改めて注目されそうだ。今村准教授は「方言教育は社会に直結する問題。津軽弁研究から将来的に教材開発といった“津軽モデル”を発信していきたい」と意気込んでいる。調査を踏まえた方言研究成果は24日に愛知大学で開かれる日本語学会で発表される。

 今村准教授らは「共通語のコミュニケーションが正しいという考えは本当だろうか」との疑問から2005年に医療や介護の現場での方言調査を開始。中間報告として今回、津軽地方での研究を「医療・看護・福祉現場における方言教育」にまとめた。
 この中で、弘前市内の医療施設で働く看護師37人を対象にしたアンケート(08年9月~09年10月)では、患者の方言が分からなかったことがある看護師は全体の60%に上り、全体の97%が「津軽では方言の理解が必要だ」と回答した。
 また、津軽地域の住民、医師、看護師を対象にした面接調査では方言を誤認した具体例が明らかになった。
 例えば、津軽地方の診療所で患者が「ボンノゴガラ ヘナガ イデ」と医師に症状を話したのに対し、医師は「お盆のころから、背中が痛い」と認識、津軽地域出身の看護師が誤認を指摘した。
 腹ばいになるという意味を持つ「ノタバリへ」を、他地域出身の医師が使い誤って「クタバリへ」と話すなど現場ではあってはならない例もあった。
 今村准教授は「現場では症状、身体部分の表現、感覚などさまざまな分野で方言を理解することが必要とされている。地元の看護師らが通訳として現場を支えている」と実態を説明する。
 また、首都圏に暮らす息子夫婦に引き取られた津軽出身の女性は首都圏の病院で津軽弁が理解されず、治療をあきらめそうになり、病院スタッフが津軽出身の看護師を探す事態もあった。
 経済連携協定(EPA)でインドネシアから日本(むつ市)に来た介護士への聞き取りでは、現場で聞いて分からない言葉が共通語か方言かも分からないという実態も浮かび上がった。外国人が地方で働く場合、共通語や専門用語のほかに方言を習得することも必要となり、日本語習得のためのハードルが高くなる。
 問題解決のため今村准教授は、現場で必要とされている津軽弁のデータベースや問診の様子を津軽弁で再現したDVDなど教材開発も試みている。「方言の分からない若年層が増え、高齢化が進む中で、現場で患者の方言が分からないという事態は深刻化する。方言問題は地域や国を越えた問題」と力を込め、方言研究の必要性を強く訴える。

医者と比べると看護師の方が地域への土着性が強いと思いますが、それでも実際にはコアな方言をこれだけ理解出来ないという現実があるというのもなかなか驚きですよね。
基本的にテレビと言わずラジオであっても、全国放送を聞いて育った世代以降は少なくともある程度共通語を使えるのではないかと思いますけれども、現在それが出来ない最後の世代がまだ生きていらっしゃるのと同時に、若年者の脱方言化が急速に進んでいることがこういう状況を生んでいるということでしょう。
近頃では都市部においても外国人患者の増加がコミュニケーションの問題を生み出していますけれども、地方においても似たような問題はあるのだなと感じさせられる話である一方で、もう一つこういう話が進んでいることにも関係がありそうだとも感じさせられます。

「救急安心センター」のモデル事業、大阪府域に拡大へ-総務省消防庁(2010年10月20日CBニュース)

 総務省消防庁はこのほど、救急相談に電話で対応し、救急搬送が必要かどうかなどをアドバイスする「救急安心センター」のモデル事業を、今年度に大阪府全域で実施することを決定した。昨年度には大阪市が実施しており、地域拡大に向け、運営委員会の立ち上げやマニュアル作成を行った上で、12月から実施する方針だ。

 大阪府は、昨年度にモデル事業を行った大阪市に加え、今年度には周辺15市に拡大して「救急安心センター」を独自に運営してきた。今後は、総務省消防庁のモデル事業として、府全域を含む「大阪府域」(事業者代表=大阪市)で実施する形に切り替える。実施期間は、12月から来年3月末までの4か月間。

 「救急安心センター」は、「救急車を要請すべきか」や「医療機関に行くべきか」などの相談に、医師や看護師などの相談員が24時間365日体制で対応する。救急に関する相談窓口の設置を全国に広げるため、昨年度にモデル事業がスタートした。昨年度には大阪市のほか、愛知、奈良両県が実施したが、今年6 月、行政事業レビューの中で「廃止」と判定され、モデル事業としては今年度で終了する。

 同庁は来年度以降、救急安心センターに関する情報提供やアドバイスなどを各自治体に行う。

救命救急センターではなく救急安心センターって何なのよ?ですが、もともと東京消防庁で始めていた事を平成21年度から消防庁重点施策として愛知、大阪、奈良の三府県へと拡大することになったという話で、当然そういうことになったと言うくらいですからそれなりに有効だと判断されたのでしょうし、実際昨年の大阪市では一日平均136件の相談があったと言いますから小さな数ではないですよね。
そんな中で例の事業仕分けでは圧倒的多数の支持によってこのモデル事業廃止が打ち出されたと言うから驚きますが、その理由を見ているともはやモデル事業による調査の段階ではなく全国的にやるかやらないかを決断する時期であるということですから、自治体で予算やスタッフを用意出来るのであれば(国の事業から外れるとそれが一番の問題になりそうですが)どうぞやってくださいとも聞こえる話です。
しかし冒頭の話などを見ても言葉のやりとりだけでやっていく以上は理解の問題というのが必ずある、まして今でさえ救急隊から「意識障害の患者です」と言われて受けてみたら単なる泥酔の人だった、なんてことがままあるように、電話一本を介しての意思疎通というのはまことに難しいわけですから、よほど方言などにも達者なスタッフをそろえておかなければ大変な間違いが起こってしまいそうですよね。

その他にも問題は多々あって、基本的にこういう事業は救急車を呼ぶかどうか、病院にすぐかかるべきかどうか迷っているような人が対象となるはずですが、テレビなどでもこれだけ医療、健康番組が多い現状を見ても単なる健康相談になってしまわないか、不要不急の相談ばかりで回線が常時ふさがっているなんてことにならないか、制度が知られていくほどに妙な利用者も増えてきそうですよね。
そして何より言葉だけでのやりとりをして話を決めてしまう以上、一度何かのトラブルになって万一訴訟沙汰にでもなってしまえば、今後は何かあってもいけないから念のため病院へ行ってみてくださいということにもなりかねず、これまた制度の実がどうなのかと言うことになってしまいます。
せっかく始めたシステムですから大きく育って現場の負担を解消していくようになれば良い話ですけれども、こういうコミュニケーションの問題というのは今までの医療現場ではさほど突き詰めて考えられてはこなかったところもあるだけに、思いがけない問題も多々出てくるでしょうし、逆にそれを糧としてコミュニケーションギャップ解消のための新たな工夫が出てくると言うことになれば、これは万人にとって結果オーライということになるのでしょうかね。

しかし関西弁というものはローカルな言語でありながら全国で多くの人が理解するだけでなくある程度は喋ることも出来るし、最近はドラマの影響で土佐弁などにも理解が広がってきているように思いますから、まことテレビを始めとする映像メディアの言語理解に対する影響力は大きなものがあるわけですよね。
となれば津軽弁を始め他の方言においても同様に、何かしら方言を活用したヒット番組の一つ二つでも作ってみれば一気に理解も広がりそうに思いますが、昨今の地域興しブームにも直結しそうなネタだけに誰か試しにやってみないものですかね?
いや、はんかくせーとかほんずねーとか言われるとまあ…

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コメント

確かにフランス語っぽく聞こえますよね(笑)
なんで津軽弁ってあんなに標準語とかけ離れてるんでしょうか?
普段聞く機会がないんで、そう感じるだけですかね。

投稿: ラ・フランス | 2010年10月26日 (火) 13時31分

津軽弁ってほんとにあんなだったら意思疎通困難でないの?
東北の人間はあれくらい平気で理解できてるってこと?

投稿: | 2010年10月27日 (水) 07時17分

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