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2010年10月19日 (火)

お年寄りは大切にとはよく言うところですが

1989年の設立以来、今や10万人を突破する勢いとなった年金者組合が、全国各地で「年金者一揆」を繰り広げています。
当然ながら「しんぶん赤旗」などはこの様子を盛大に伝えていますけれども、代表的な例としていくつか報道から拾ってみましょう。

全国一万総行動・年金者一揆のパレード=福岡・天神(2010年10月18日PJnews)

【PJニュース 2010年10月18日】10月15日、福岡天神警固公園で、「10.15年金者一揆2010」が開かれた。この行動は、全日本年金者組合(中央執行委員長・篠塚多助)の全国一万人総行動に呼応した年金者組合福岡県本部(古谷信一委員長)の集会とパレードであった。

後期医療制度の廃止、安心できる医療・介護を、最低保障年金をつくれ、無年金・低年金者をなくせ、このままでは暮らせない、年金を引き上げろなどの要求を掲げて、福岡県各地の組合員約150名が参集した。

集会の後、天神三越前、大丸前で、高齢者医療制度の廃止、最低保障年金確立の請願署名が行われ、短時間で330筆の署名が集まり、市民との対話も各所で行われた。高齢者の行動は通行人の目を引いた。訴えの話を聞いて、その場で年金者組合に加入する人も現れた。

同時に代表者を厚労省(九州)へ送り、これまで県下で集めた後期高齢者医療制度廃止の署名を届け要請した。当局は、「みなさんの声を東京へ伝えます」と対応したという。最後に、宣伝カーを先頭に天神中心部(約2キロ)でパレードを行った。

パレードの参加者は、次のようなシュプレヒコールで市民に訴えた。

「後期高齢者医療制度はすぐ廃止しろ」
「消費税によらない最低保障年金をつくれ」
「生活実態に合わせて年金をあげろ」
「高齢者をもっと大事にしろ」

高齢者の生活といのちを守れ 年金者一揆(2010年10月15日京都民報)

 後期高齢者医療制度の廃止、最低保障年金の創設などを求めて15日、全国いっせいに「年金者一揆」(全日本年金者組合主催)が行われ、京都でも300人が集会やパレード、宣伝行動を展開しました。

 京都市東山区の円山音楽堂で行われた集会では、今井康雄・全日本年金者組合京都府本部委員長が、「民主党は後期高齢者医療制度の廃止や年金制度の改革に本腰を入れておらず、代案も旧制度の根幹を変えない悪質なもの。要求実現のために力をあわせ全力でがんばろう」とあいさつしました。
 府内各支部の決意表明が行われ、「国保料の値上げに怒りが高まっている。年金者組合の仲間を増やしてたたかいたい」(北上)、「まなべ町政で介護保険料が府内で2番目に安くなった。町政継続のためにがんばりたい」(大山崎)、「女性は長生きで、年金に頼って暮らす年月が長いのに支給額は男性より低い。実生活に根ざした年金の値上げを求めていきたい」(女性の会)などの発言に、会場から「がんばろう!」「そうだ!」と声があがりました。

 来賓として、京都総評の岩橋祐治議長、京都高齢者運動連絡会の岡本康代表委員、日本共産党の梅木紀秀府議があいさつ。同党の穀田恵二衆院議員、井上哲士参院議員が連帯のメッセージを寄せました。

 集会後、参加者は「暮らせる年金に引き上げよ!」「後期高齢者医療制度はすぐに廃止せよ!」などとアピールしながら四条河原町までパレードし、同交差点で要求ビラを配布し、宣伝しました。

この行動、現役世代からはなかなか強烈な反発が出ているようで、「日本が一番景気が良かった時代に好き放題やった連中が、また他人の懐を当てにしようとしている」だとか、「今までさんざん国の借金を増やしてきたくせに、貧乏な孫子に更なる借金を背負わせようとしている」だとか、さんざんな言われようのようですよね。
ちなみに日本人の金融資産は1400兆円だという話がありましたが、実際にはそのほとんどは高齢者世代が持っているということですから、各種ローンばかり抱え込む一方で一向に収入が増えない現役世代にしてみれば「そんなに大金を抱え込んだ上に自分の金は一文も出したくないというのか!」と反発が出るのもやむなしでしょう。
それだけ現役世代にしてみれば不景気で一番割を食っているのは自分たちであるという気持ちが強いのでしょうが、いずれにしても年金支給額の引き上げはまず難しい、そして年金組合の主張するような年金だけで暮らしていけるような高福祉社会も、日本のような大きな国で導入するのは非常に大変な話ですから、政策実現性としては大きな疑問符がつくところでしょう。

ただし高齢者の数というものはこれからも増えていく一方ではあるし、当然ながら彼らは一人一票の投票権を持っているわけですからその大票田は無視出来ない理屈で、そうなりますと現実的な話として後期高齢者医療の廃止ということが政権にとっても飲みやすい落としどころということにもなりそうですよね。
実際に各地の「一揆」でもまず真っ先に取り上げられているのは同制度の廃止ということのようですが、民主党政権としてもようやく政権公約として廃止を訴えてきた同制度を新制度に移行させるという話が現実化してきたところだとは、先日以来当「ぐり研」でもお伝えしてきたところです。
同制度については財政基盤の弱い国保が高齢者を丸抱えすることになる問題が議論の対象とされることが多かったわけですが、どうもそれ以外にも別種の財政問題があるんじゃないかという気がしてくるのがこちらの記事です。

世帯分離で家計節約? 石川県内、届け出増加 (2010年10月18日富山新聞)

 石川県内で近年、高齢者と同居している子どもと住民票上の世帯を分ける「世帯分離」を届けるケースが増えている。世帯ごとに計算される介護保険料や医療費などの負担を減らすためとみられ、2009年度には19市町で計2545件を受け付けた。各自治体では分離世帯を「生計を別にする場合」と定義しているが、実際は家計節約の「裏ワザ」という側面もあるようだ。

 2000~09年の10年間で、県内の人口は1万4321人減少しているのに対し、世帯数は3万2139世帯増加している。背景には核家族化や少子化のほか、世帯分離が増加した影響もあるとみられる。

 世帯分離の届出数は2004年度のデータが残っている金沢、羽咋、かほく、川北、津幡、内灘、穴水の7市町でみると、04年度は計1069件に対し、09年度は26%増の計1352件に上る。県内の09年度の世帯数は前年に比べ4838件増えており、世帯分離の届出数はこのうち52%を占めることになる。

 ファイナンシャルプランナーで、暮らしのマネープラン相談センター(金沢市)の高橋昌子所長は「世帯分離をすれば、保険料などが軽減できるという情報は一般に浸透してきている」とし、05年施行の改正介護保険法で特別養護老人ホームなど介護施設での食費と居住費が自己負担化したことに加え、08年の後期高齢者医療制度施行が拍車を掛けたとみている。

 65歳以上の介護保険料は、市民税の課税状況や世帯の所得状況などに応じて決められており、世帯分離で高齢者世帯が市民税非課税になったり、所得が一定額以下になれば保険料が安くなる場合がある。例えば金沢市の基準額は月額4750円だが、世帯全員が市民税非課税で、本人の課税年金収入額と合計所得金額が合わせて80万円以下だと、半額の2370円となる。

 このほか、特別養護老人ホームなどの居住費で自己負担額が軽減されることも。白山市では、高齢者の自己負担額が毎月13~14万円程度の場合、世帯分離すると、実質負担額が半額程度まで下がるケースもあるという。

 世帯分離は、住民基本台帳法に基づき、市町に住民異動届を提出する必要がある。自治体側は、申請者が保険料の負担軽減を目的に分離しているかを判断するのは難しく、「できるだけ実態に即した届け出をお願いしている」(金沢市)、「単に料金が安くなるという理由だけでは受け付けない」(能美市)としている。

 世帯分離した場合、委任状がないと分離した世帯の住民票などの請求ができなくなり、「担当課でメリット、デメリットを聞いてもらい、本人が納得した上で手続きしてもらっている」(小松市)と慎重な手続きを促している。

まだ詳細を詰める余地はある状況ですが、基本的に新制度では現役も高齢者も同じ制度の中でやりくりすることになる、そして国保の保険料は世帯主でない分は世帯主がまとめて払うということになると言いますから、結局は現役世代が高齢者の分を負担するという形になっているわけです。
記事にもあるように施設入所関連の費用などもそうですが、新制度においても当然身寄りもなく資産にも乏しい高齢者を対象に各種減免措置が用意されるはずですから、高齢者だけを別世帯としておけば確かに保険料を始め各種の支払いが減免されるし、世帯主にとっても負担は大きく減るということにもなりそうですよね。
一見すると限りなく裏技っぽいやり方という気がしないでもない話ですが、「世帯分離をすれば、保険料などが軽減できるという情報は一般に浸透してきている」と言い、実際に世帯数増加の半数以上がこの世帯分離であるということですから、今後はほとんどデフォルトのようなことになってくるのかも知れません。

減免した分は当面保険者である国保の側が負担するわけで、世帯分離をした家族にしても最終的には幾らかの追加負担が求められるはずですが、自分のところだけで抱え込むはずだったものを高齢者がいない世帯と分かち合って支える形になるわけですから分離した方が楽なはずで、つまりは裏技は使った方がお得であるという構図には何ら変わりがないという結論になりそうですよね。
裏技で保険料収入が減った分を、その他の国保加入者に対する保険料値上げという形で回収することになるならば、何のことはない高齢者が支払いを免除された分が回り回って現役世代につけ回されるというだけのことで、新たな世代間闘争の火種ともなりかねない話です。
しかも高齢者がいない家庭となると若くて収入も少ない若年者世帯が相対的に多いでしょうし、この年代で被用者保険ではなく国保に入っているとなると無職など低収入者が中心のはずですから、今でさえ保険料が高すぎるとあっぷあっぷしている一番の貧困層に新たな負担が押し寄せるとなれば、今現在すでに問題になっている無保険者がさらに増加していくことになるのでしょうか。

この調子でいきますといずれ「年寄りの面倒まで見るのは嫌だ」ということで、若年者向けの割安な医療保険なんて市場が出来てくる可能性もありますけれども、あるいはそれがマスコミなどの絶讚して止まないアメリカ式医療への第一歩となるんでしょうかね?
高齢者向けにばかりアメを用意しているようだと、本当にそれを支える世代はムチばかり振るわれることになってしまいますが、この調子で本当に大丈夫なのかと不安が残る成り行きとなってきた気がします。

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コメント

色々と参考になりました。
考えさせられる内容ですね

投稿: iphone小僧 | 2010年10月20日 (水) 09時36分

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