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2010年10月 5日 (火)

とうとう言ってしまったという話題

最近読んでいてケッサクだなと思ったのが、ついにぶっちゃけちゃったと言うこちらの記事です。

曲がり角の病院機能評価 手間、費用の割にメリット少なく非更新の病院も(2010年10月1日日経メディカル)

 日本医療機能評価機構の認定病院の数が伸び悩んでいる。新しく審査を受ける病院が減る一方、更新を見合わせる病院も増えている。直接増収につながらない上、受審のための過大な作業負担が背景にある

図1は、日本医療機能評価機構(以下「評価機構」)の病院機能評価事業の審査を受け、一定水準にあると認定された病院数の推移だ。1997年のスタート以来増え続けてはいるが、最近伸びが鈍っている

 審査では、医療の質や安全、療養環境、病院組織の運営など多数の項目について、書面審査と訪問審査が実施される。書面審査は、病院機能の現状報告とそれに対する責任者の自己評価だが、訪問審査は評価機構の調査員が病院を訪れ、スタッフらと面談して行う第三者評価。問題点が見つかれば、その解消・改善を図った上で認定証をもらうことになる。

 認定証の有効期間は5年間のため、2002年度から一度認定を受けた病院の更新審査も始まった。07年度からは、2度目の更新審査も始まっているが、認定病院数の伸び悩みが目立ち始めたのはそのころからだ。

 例えば、07年度の新規審査は130件。ピークの04年度の3分の1にも満たない加えて、有効期限が切れても、更新しない病院が増加している。例えば 02年度の受審病院は約400施設あったが、07年度に更新審査を受けたのは300施設に満たない。更新を見合わせた病院はこれまでに合計400施設に上る

 評価機構は、「受審意欲のある病院は受け切ったのではないか。また、非更新の理由は、『新築・建て替え中』『病棟構成の見直しや電子カルテ導入による院内の混乱』などだ」(企画室室長の菅原浩幸氏)と説明する。

中小病院の8割超が未認定

 病床規模や開設主体によって認定率には大きな差がある。今年6月末の認定病院は2563施設。全病院の29.1%に当たる。だが、200床未満の 6085病院の認定率は19%だ。開設主体別では、個人病院の認定率がわずか4.2%にとどまっている。

 中小病院は、経営に余裕がないところが多い。現在の審査料金は、100床未満が126万円、100床以上200床未満が157万5000円(一般病床を持つ場合、いずれも税込み)。これだけの支出をする以上、相応の見返りがないと、時間と手間をかけて受審する気にはなれない。評価機構の理事である今中雄一氏(京大大学院医療経済学分野教授)も、「医療機関の経営が難しくなる中、金銭面はもちろん、時間的・精神的な余裕がないと受審に踏み切れないのだろう」とみる。

 その上、機能評価の認定は、診療報酬上のメリットをほとんどもたらさない。緩和ケア病棟の入院料や、入院患者に緩和ケアを行った場合の点数の算定要件になっている程度だ。

 個別項目の評価結果を含め、機能評価の認定は広告可能。だが、「救急告示と同じで集患に役立つ“看板”にはならない」と、認定を受けていない関西のある民間病院の院長は語る。

 評価機構が今年初め、約3000病院を対象に行った「病院機能評価の社会的影響に関する調査」からも、乏しい経済的メリットへの不満がうかがえる。回答した1761病院中130病院が、「社会的認知がない・一般へのPRがあるとよい」と、117病院が「診療報酬などへの反映があるとよい」と答えているのだ(図2)。

 「社会的な認知度がほとんどなく、機能評価取得による経営面でのメリットがほとんど感じられない」「受審病院の努力が報われるように、診療報酬上の評価を実現させてほしい」という意見も寄せられている。

 日本の病院機能評価の参考になった米国の医療施設認定合同委員会(JCAHO)の評価には、公的医療保険から支払いを受ける場合の資格審査に代えられるなどのメリットがある。日本でも、いずれは評価機構の認定が診療報酬で評価されるという話があって受審病院が急増した。だが期待はずれに終わったため、更新を見合わせる動きが出てきたようだ。

2年前から準備に着手

受審の手間も認定数伸び悩みの一因だとみられる。図2 で、「評価項目・システムを見直してほしい」旨の意見が119病院から寄せられたのもそれを裏付けている。病床規模によって違うが、100床未満の病院でも、訪問審査は4人の調査員が丸2日かけて行う。その前に現状把握や自己評価も必要だ。これらの評価・審査の下準備も行わねばならない。

 例えば、今年1月に更新審査を受けたJA長野厚生連安曇総合病院では、その2年前に受審対策の部署を立ち上げ、30回以上の会議を開催したという。責任者を務めた副院長の谷川浩隆氏は、「1カ月前から受審準備のため手術の執刀を減らさざるを得ず、審査の週はその対応に追われて診療に従事できなかった」と話す。

 谷川氏は、業務改善や職員の一体感の醸成など、受審の効果は「ある」という。半面、「作成が求められている手順や基準の大半は、実際に現場で使われたことがほとんどないのが現状。評価機構と病院が議論できる場をつくり、受審する病院側の意見も取り入れて評価項目やシステムを改善してほしい」と要望する。

 評価機構も手をこまぬいてはいない。これまで、度々評価項目を見直してきた。09年度から使っているVer.6.0では、環境や院内暴力への対策を盛り込む一方、小病院が受審しやすいよう項目数を削減した。

 また、外部の有識者らによる検討会をつくり、昨年3月には評価方法見直しに関する報告書もまとめた。それを受けて、病院の負担の平準化や軽減、評価基準などを分かりやすく説明するといった対応をとる予定だ。

理事の今中氏は、「きちんと運営している病院が報われないのはおかしい」と、今後は認定が経済的なメリットももたらすよう国などに働きかけるという。「国民に向けた認定病院の価値の広報活動にも、早急に取り組みたい」(今中氏)とも語る。

 医療の質の向上が、間接的に経営に貢献するのはいうまでもない。しかし中小病院は、増患や収入増という目に見えるメリットがないと、なかなか動かないのが現実だ。今中氏が口にするような取り組みが効果を上げないと、日本の病院機構評価はこのままじり貧になってしまうかもしれない。

ついに来たと言いますか、そもそも厚労省の天下り団体がおいしい目をするためにやっている仕事であるということがようやく世間に知られてきたというだけで、臨床上なんの意味もないこういう手合いを真面目に相手にするのも馬鹿馬鹿しいと考えるのは当たり前の話ではないでしょうか?
今どきスタッフの過労が医療安全に大きく寄与することが明白なんですから、そちらの待遇を中心に評価しておいた方が多少なりとも現実的指標になるかも知れないというのにそういう視点もないわけですから、これはもう本当に自己満足と天下り族へのお布施にしかなっていない作業と言えそうです。
機構側では「診療報酬に反映を」なんて寝言を言っているようですけれども、評価機構の言う通りやっている病院が優良病院だというデータも何もないのに、診療報酬搾取というのでなければ露骨な仕分け対象逃れとも言うべきとんでもない話だと思いますよ。

以前にとある老医の先生(一応その方面では名も知られ、非常に勉強熱心な先生です)と当時始まったばかりの病院機能評価について少し話をした折に、いい評価を得るため病院が努力するのは当然であるかのようなことを明言されていて、なるほど全国のこういう真面目で純朴な人たちを相手に商売をやっていれば儲かるんだろうなと感じたものですが、さすがに世間でも洗脳は解けてきたということでしょう。
そもそも医療現場を取り巻く状況もここ数年だけをとっても激変しつつある中で、何が良い病院なのかということは世間においても医療の当事者においても異論百出であるところで、対応出来ない患者でもどんどん受け入れてくれる施設がいいのか、敢えて厳しい受診制限をしても患者に責任をもって対応する施設がいいのかですら結論が出ていないわけですよね。
国民の間に医療に対するコンセンサスすら存在していないのに「これが正しい医療機関のあり方だ」なんてことを言う、単に商売でやっているというだけならまだ救われますけれども、本気でそれが正解だと思ってやっているのでしたらすでに矯正不能の領域に足を踏み入れていると考えざるを得ないと思いますね。

ついに言ってしまったということに関しては負けず劣らずなのがこちらの話なんですが、まずは記事から紹介してみましょう。

兵庫の4医療法人が提訴、全国初 「消費税負担は違憲」(2010年9月28日47ニュース)

診療報酬が非課税なのに、医療機器などを仕入れる際にかかる消費税分を医療機関に負担させるのは憲法の平等原則に違反するとして、兵庫県内で病院を運営する四つの医療法人が28日、国に消費税負担分の一部計4千万円の返還を求めて神戸地裁に提訴した。

 原告側代理人によると、日本医師会などが医療機関の消費税負担を是正するよう申し入れているが、憲法判断を求め提訴するのは全国で初めて

 訴状によると、現在、医療機器や薬剤などの仕入れにかかる消費税分は医療機関が負担。しかし本来消費税法では、実質的な負担者は消費者としており、医療機関だけが負担を肩代わりしているのは不平等と主張。

 原告側は、この負担が医療法人の経営を圧迫、年間5千万~数億円の損害が発生していると強調し「国が消費税相当分を負担するなど措置を取るべきだ」としている。

 厚生労働省医政局は「診療報酬の改定で負担分を盛り込んでおり、現時点で問題はない。訴状を見ておらずコメントは差し控える」としている。

税率10%に危機感 医療法人国家賠償請求訴訟(2010年10月2日神戸新聞)

 患者からの診療報酬は消費税が非課税となっている一方で、医療機関が医薬品や機器などを仕入れる際には課税されることをめぐり、兵庫県内の4医療法人が9月28日、神戸地裁に起こした国家賠償請求訴訟。7月の参院選をきっかけに「消費税率10%」が取りざたされる中、原告側には「これ以上、税率が上がれば医療が崩壊する」との危機感があるという。提訴の背景を探った。(金井恒幸)

 「このままでは医療機器のメンテナンスや更新もできなくなる」「どうすれば医療崩壊を防げるか、訴訟を通じて国民にも考えてほしい

 県民間病院協会(神戸市)の役員を務める4法人の理事長は、提訴後の会見でそう訴えた。

病院数減少 日本医師会(日医)の調査によると、医薬品などを仕入れる際の消費税負担は、2005年度の平均で私立病院が5100万円、自治体病院は2億2300万円、私立医科大では3億6600万円に上る。一方、厚生労働省のまとめでは、精神科病院を除く「一般病院数」は00年度の8205病院から、09年度には7655病院に減少。

 こうした現状の理由として、原告側は「仕入れ時の税額控除が認められない上、収入となる診療報酬は国が一律に定めるため、消費税分を上乗せできないことが経営を圧迫している」と指摘。現行でも自動車など輸出商品の仕入れにかかった消費税は還付されることから、「憲法の平等原則に反する」などとして、同様の制度への変更を求めている

 消費税は1989年の導入時から、国が社会政策的な配慮から診療報酬を非課税にしている。厚生労働省は導入時と、97年に税率が5%に変更された際、合わせて1・53%引き上げる診療報酬の改定を実施。これが消費税分の“手当て”という立場をとり、問題はないという姿勢を貫く。

 これに対し、原告の各法人は「病院によって診療科目の違いや規模の差があるにもかかわらず、一律改定するのはずさんで現実と隔たりがある」と主張。さらに「これまでの改定率では、消費税の負担分をカバーできていない」とする。

 日医の調査では、仕入れ時の消費税負担は05年度、私立病院で診療報酬の平均2・2%、自治体病院で同2・8%に相当し、改定分の1・53%を上回っているという。日医はこれらを根拠に今年9月1日、仕入れ時の税額控除が可能な制度に改めるよう、来年度の税制改正へ向けた要望項目を発表した。

 医療機関の経営悪化は、患者への医療サービス低下にもつながりかねない。税負担のあり方を変えるべきなのか。現行制度下で経営改善の余地はあるのか。法廷での議論が注目される。

国が言うように本当にきっちり消費税分を診療報酬に上乗せしているのなら、診療報酬から1.53%を差し引くかわりに患者からの徴収を認めるようにしても何も問題ないはずですが、それが出来ないというのはあからさまに値引きの強制が行われてきたということを証明しているようなものですよね。
日医の調査によれば実際の税負担分と国の言い分との差額がおよそ0.7~1.3%あるわけですが、医業収益で何とか黒字を確保している民間病院においてもその利益率は2%そこそこだと言いますから、これがどれほど経営を圧迫しているかは想像に難くありません。
仮に消費税額が10%に引き上げられたとして、昨今の吝い改定作業を見てもそれに見合った分だけ診療報酬を引き上げようなんて話になるとも思えませんから、これはまさしく死活問題ともなりかねない話でもあるし、何より法の下の平等ということから考えても不当な差別ですよね。

このあたりの話は当然ながらずいぶんと以前から問題視されていて、日医などがクレームをつけるというのは分かりやすい構図であるわけですが、おもしろいのは各地方自治体などでも近年この問題を解消せよという議決が相次いでいるということなんですね。
例えば民主党に真っ先に鞍替えした茨城県医師会のお膝元である茨城県議会においても、平成19年にこういう意見書が採決されています。

医療における控除対象外消費税を解消することを求める意見書(茨城県議会HP)

 消費税は本来、「最終消費者が負担し、それを事業者が預かって納める」ものであるが、社会保険診療報酬に対する消費税は非課税とされているため、医療機関の仕入れに係る消費税額(医薬品・医療材料・医療機器等の消費税額、病院用建物等の取得や業務委託に係る消費税額など)のうち、社会保険診療報酬に対応する部分は仕入税額控除が適用されず医療機関の負担となっている。このような控除されない消費税を「控除対象外消費税」という。

 控除対象外消費税に対しては、平成元年の消費税導入時と平成9年の消費税率引き上げ時に、診療報酬に「補填」の上乗せが行なわれ、現在の上乗せ合計1.53%をもって医療機関をめぐる消費税の問題は解決済みとされてきた。

 しかし、その後の診療報酬改定で、項目が包括化されたりマイナス改定されるなどして上乗せが暖昧になっており、補填されていないと考えるべきものが多数ある

 医療機器、病院用建物等の取得の際に負担する控除対象外消費税は多額となり、これが医業経営の安定、病院施設・設備の近代化の隘路となっている。さらにこの負担によって地域の医療機関が破綻する懸念も高まってきており、地域医療の崩壊が危倶されている。

 よって、国においては、今後、消費税を含む税体系の見直しが行われる場合には、社会保険診療報酬等の消費税非課税措置についても、吹のとおり格段の措置を講ずるよう強く要請する。

   1. 社会保険診療報酬等に対する消費税の非課税制度をゼロ税率ないし軽減税率による課税制度に改めること。
   2. 社会保険診療報酬等に対する消費税の非課税制度をゼロ税率ないし軽減税率による課税制度に改めるまでの緊急措置として、医療機器、病院用建物等の消費税課税仕入対象資産について、税額控除または特別償却を認める措置を創設すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

要するに地方では医療崩壊が叫ばれている中で、何とかしなければ早々に消滅してしまいそうな医療機関も増えている、それに対して医者を強制的に配置しろなんてことを言ってしまうとまた各方面に角も立ちますが、国に対して税制上の問題点を是正しろと言う分には皆が幸せになれるという道理であるわけです。
しかしこの話、もちろん筋としてはその通りなのでしょうが、今まで国が小ずるいことをやってきたということは裏を返せばその方が医療費が削減できていたということですから、社会保障費削減に強い使命感を抱いている財務省の厳しい目線は元より、中医協を牛耳っている支払い側委員にとっても到底容認できる話ではありませんよね。
そして先日もお伝えした通り近頃では高齢者は皆都道府県単位の国保に移そうなんて話が出ているわけですが、そうなりますと保険者となる自治体にとっても結局負担額は増えてくる道理なんですが、後になって自分で自分の首を絞めたなんて話にならないかと心配です。

いずれにしてもこの調子で消費税率アップともなれば、間違いなく立ちゆかなくなる医療機関の激増が予想されるだけに、医療重視を掲げる民主党政権にとっても頭の痛い話なんじゃないでしょうか。

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コメント

とうとう言われてしまった○○機構ですが、しぶといですね。まだ生き残ってます。産科無過失補償制度に割り込んで汁をすすろうとしたり、各学会が出したGLやらコクランレビューの日本語抄訳を盛ったサイトを作ってみたり(2015年6月現在)。
 食っていかなきゃならんのです、なら、ふんぞり返ってないで、今のところ パラサイトでしかないことを自覚してもっと地道にメリットを出したらどうなんでしょうかね。 

投稿: | 2015年6月26日 (金) 10時48分

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本当に久しぶりにこの機構のホームページを開きましたが、気のせいか事業が増えているようです。ちょっと上げておきますと、 病院機能評価事業 病院機能改善支援事業 評価調査者(サーベイヤー)の養成事業 医療機能評価に関する調査・研究開発事業 認定病院患者安全推進事... [続きを読む]

受信: 2010年10月 9日 (土) 07時56分

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