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2010年9月29日 (水)

不景気だからと昨日今日始めたような価格破壊ではありませんから(苦笑)

先日ちょっと面白いなと思ったのがこちらの記事なんですが、皆さんも御覧になったでしょうか?

会社員は、医療保険に加入する必要はない!?(2010年09月22日MSNマネー)

最強の医療保険とは?

 保障内容・保険料・引受先の信頼性などの全てにおいて最強の医療保険をご紹介させていただきます。

・医療負担は3割負担 =全国統一料金
・月額の上限付(約10万円) =100万円かかっても負担は約9万円
・家族全員が加入できます =産まれたばかりの赤ちゃんも加入できます
・病気・ケガで仕事が出来ず給与がもらえないときは、収入の2/3が支給されます =最大1年半、お金が支給されます
・出産したらお金がもらえます =(42万円 H23年3月31日までの出産)
・死亡したら5万円もらえます
・毎月の保険料は、収入の約8%ですが、半分は会社が負担してくれます。(実際の負担は約4%。しかも、給与天引き)
・お体の健康状態に関係なく、加入することができます

 すでにお気付きの方もいると思いますが、この素晴らしい保険とは、日本の公的医療保険制度である健康保険です。健康保険に加入する被保険者が医療の必要な状態になったときに医療費を保険者が一部負担する制度の概要です。

 では、簡単に一つひとつ内容を検証してみましょう。

医療費の保障

 まず「医療負担は3割負担」ですが、例えば、内科を受診して医療費が1万円かかったとしても、自己負担は3割ですから3,000円で済んでしまいます。病院の窓口で、高額な支払いが無いのはこのためです。

 次に、「月額の上限付(約10万円)」です。大怪我をして医療費が100万円もかかってしまった場合、本来の3割負担分は30万円の負担です。しかし、毎月の上限が決められているため、約9万円の支払いで100万円の医療行為を受けることができます。これらの二つの3割負担と、月額の上限(高額療養費)をひとつにして考えると、大きな病気で2ヶ月間入院した場合でも、医療費負担は毎月10万円が上限です。すなわち、2ヶ月入院しても、20万円程度の出費で収まってしまいます。

 1日あたりの負担にしてみると、

20万円÷2ヶ月間(60日)=1日の負担は、約3,400円

 そもそも、運がよければ「一生のうち入院経験なし」という方も出てくるかもしれません。しかも、小さなお子様はお住まいの地域によっては、病院に行っても1回500円ですむ場合や、月額の上限が2,000円となっている地域もあります。また、小さな子供の医療費が全く掛からない地域もあります。

医療費以外の保障

 次に、医療費以外にも手厚い保障が付属されています。

 まずは、病気やケガで働けない状態になった場合には、給与の約2/3が最大1年半の間支給されます。例えば、月収40万円の場合、約26万円が1年半にわたり支給されます。さらに、お子様が誕生されたときには、42万円の支給。さらに、死亡したときには5万円の支給があります。すばらしく、手厚い保険ですよね。

健康保険or民間の医療保険。保険料で考えるとどっちがお得?

 こんなに手厚い保険だと、加入に制限があるのではないかと思われる方もいらっしゃると思います。しかし、この保険ですが、加入に制限はありません。糖尿病の方であっても、高血圧の方であっても、現在入院中の方であってもだれでも継続加入ができます。家族ができた場合には、会社員である夫の保険料のみで家族分の保障が付いてきます

 気になる保険料ですが、4人家族(夫30歳:会社員、妻:専業主婦、子供2人)で生涯平均年収500万円の場合、毎月の保険料は約2万円となります。毎月2万円の負担でこれだけ手厚い保障が受けられるとすると、民間の医療保険にお金を払って加入する必要はあるのでしょうか?

 「入院日額10,000円」「手術を受けたら20万円の給付」「だれでも加入できます」「保障は一生涯」「先進医療も1,000万円まで給付!」巷でよく聞く保険の宣伝文句です。

 保険の加入や見直しの時に、「公的医療保険制度」の内容を踏まえずに民間の医療保険を検討することは、保障内容が重複しまう可能性もあり、保険料の負担になりかねません。民間の医療保険に加入する前に既に加入している、最強といわれる「公的医療保険制度」の保障内容・保険料を勉強し理解することで、加入する必要性を再考する必要があります。

株式会社 住まいと保険と資産管理
ファイナンシャルプランナー 浅井 誠
提供:株式会社イマジネーション

いや、確かに話を聞くだけでもよくもこれだけ素晴らしいものが世の中にあったと感心する話なんですが、逆にそんな素晴らしいものがどうして成立しているのか、何か裏があるんじゃないかとも思えるところですよね。
世間では保険を契約するなら保険屋が嫌がる保険に入れなんてことを言いますけれども、それからすると日本の国民皆保険制度というものは一番嫌がられるタイプの保険と言えそうで、そうであるからこそ近頃では破綻だ、崩壊だと大騒ぎになっているのもいわば当然の帰結であるとは言えそうです。

あまりに利用者にお得過ぎるとサービスの提供側にとっては厳しいのは当たり前で、消防や警察などと同様に医療とは持ち出しの大赤字でも行うべき公共サービスであると考えておけばまだ良いのでしょうが、すでに出血大サービスをやっているところに「いや、医療にも経営の視点が必要だ」だとか「もっと良質な顧客サービスを」なんてことを言いだし始めると、厳しい世間の現実というものに直面せざるを得ないということになるわけです。
特に全国各地の自治体病院などは経営破綻の最たるものですが、いい加減に自分たちには経営の才能など欠如していることを認めればよさそうなものを、むしろ逆により深みにはまる方向に誘導しようと言うのですからそれは誰でも逃げ出しますよね。

緩和した公募条件説明 名古屋・緑市民病院管理者で/愛知(2010年9月25日中日新聞)

 2012年度に指定管理者制度への移行を目指す名古屋市立の緑市民病院(同市緑区)の指定管理者公募が応募者なしでやり直しとなった問題で、市は24日、当初より緩和した再公募の条件を明らかにした。現行の300床と分娩(ぶんべん)医療の維持を必須項目から除外するなどした。同日の市議会財政福祉委員会で説明した。

 当初の条件では応募資格は県内の病院開設者に限っていたが、県外にも対象を広げる。病床数は「200床以上300床以下」と緩和。診療科目は原則、現行の維持を求めるが、特に医師の確保が難しい分娩医療は必須としない。

 同病院本館は1969(昭和44)年築。応募を辞退した医療法人から「老朽化しており建て替えが必要」との指摘があったため、今後の投資計画も明記。11~13年度に設備や施設整備のため計5億5000万円程度を予算化し、10年間の指定管理期間内の建て替えも検討する。

 この日の財政福祉委では委員から「分娩医療が維持できるよう再考を」などの意見が出た

 市は10月中旬に指定管理者の選定委員会を開いて再公募の条件を確認。11月中に応募を受け付ける。

 当初の条件での公募には1法人が申請したが「市の条件では医師や看護師の確保が困難」などの理由で取り下げた。 (宮本隆彦)

今どき公立病院なんて沈みかけの船も良いところですが、そこに加えてさらにお産は維持しろ、ベッドを減らすことなどまかりならんなどと余計なヒモまで付いてくるというのですから、失礼ながら例によってハコモノに突っ走る前によく映る鏡でも用意した方がよろしいのでは、なんて言われかねない話ですよね。
まあしかし、日本全国でこれだけ自治体病院が惨状を晒しているということは行政のやり方がまずいという何よりの証明でしょうに、この上さらに行政が過度に口出しするような病院では、とてもまともな経営などやっていけないということには気付いてもらわなければならないはずではあるのです。
ところが行政の側でも「いや選挙の公約だから何としても実現してもらわなければ、ワシの顔が立たんじゃないか」なんてことを言いだし始めると、これは現場にとっては迷惑どころではない死活問題にもなりかねないというのが、先日も経緯を紹介しました山梨県は上野原市の新病院建設問題です。

「産科再開」市長と現場対立新市立病院計画公約、院長は「採算困難」上野原 /山梨(2010年9月28日読売新聞)

来月5日に運営協議会

 上野原市が旧上野原中学校グラウンド跡地に建設を計画している新しい市立病院の設計に、現在、休診している産科の診療スペースを設けるかどうかを巡り、江口英雄市長と、病院側が対立している。市長は「産科再開は市長選の公約。市民も要望している」と分娩(ぶんべん)室の設置などを主張。病院側は「産科は医師の確保や採算面で困難。実現できる根拠を示してほしい」と反対している。対立が続けば、今後の建設計画にも影響が出そうだ。(吉原郁夫)

■対立の経緯

 現段階の基本設計では、新病院は鉄筋コンクリート3階建て、建築面積約3700平方メートル、延べ床面積約9400平方メートルで、現在の150床から135床にすることが決まっている。

 両角敦郎院長によると、市と病院は今年4月から設計業者を交え、基本設計策定に向けて協議してきた。

 病院側は、内科、外科、脳外科、眼科、小児科など、産科を除いた現在の診療体制の継続を前提に施設を配置する設計案を提示。すると市側は、市長案として分娩室や産後療養室などの産科スペースのほか、救急治療に対応した心臓カテーテル検査を行う血管造影室を設けるよう修正を求めた

 これに対し、病院側は7月、「産科と、心臓カテーテル検査は、医師の確保や採算面で病院経営に重大な影響が出てくる」(両角院長)として、「市長案は受け入れられない」とする回答書を提出した。

 その理由として、〈1〉上野原市と市周辺の年間の分娩数は採算ベースの500件に及ばない150件程度にとどまると予測される〈2〉最低3人は必要な産科医の確保は困難〈3〉東部地域で将来産科を再開する場合は都留市立病院とする方針を示している県の地域医療再生計画に合致しない〈4〉心臓カテーテル検査には3、4人以上の循環医が新たに必要になる――ことなどを挙げた。

 一方、2009年2月の市長選で「産科再開」を公約に掲げて当選した江口市長は、今月8日の市議会9月定例会での所信表明などで「産科再開は市民も要望している」と述べ、産科再開に強い意欲を示した。

 市の計画では、今年10月に新病院の敷地の造成工事着手。12月に実施設計を終え、来年3月に本体工事を開始し、12年3月完成を目指している。市は実施設計の策定に向けて、「市長案をもとに作業を進める」(病院対策課)考えだ。

■市、病院側協議へ

 市立病院は、08年10月から市の指定管理者「地域医療振興協会」(吉新通康理事長)が運営している。

 ただ、市と同協会が結んだ協定には、05年4月に休止した産科は、診療科目に含まれていない。産科の再開については、病院運営にかかわる問題を話し合う「管理運営協議会」などの場で、協議することになっている。

 今月22日の市議会文教厚生委員会で、久島博道市議は「市が産科の再開を考えているなら、病院側の理解を得られるよう管理運営協議会で話し合う必要がある」と追及。これを受けて、市は10月5日に管理運営協議会を開き、市、同協会、病院の幹部らでこの問題を話し合うことが決まった。

 久島市議は「病院経営が立ち直りつつある時に、江口市長から、医師確保のめどもないまま、赤字が確実な産科の再開を提案されたら病院側が不安になるのは当然だ。市長は、産科を再開した場合、市がどんな責任を負うのか説明する責任がある」と指摘する。

 両角院長は「江口市長も医師出身なので、産科再開が現実的に無理なことは分かっているはずだ。実現できると言うなら、その根拠を示してほしい」と話している。

失礼ながらひと頃は常勤医3人なんてどん底を舐めたくらいに半ば以上終わっている病院で、しかもこんな田舎町で心カテもお産もなんでも来いのバリバリの急性期病院をとおっしゃるくらいですから、仮にも立派な医師としての経歴をお持ちの(そのほとんどが経営の観点になど縁がなさそうな大学暮らしなのがアレですが)市長なら現場がどうなるかというビジョンは持っていなければおかしいはずですよね。
赤字垂れ流しは言うまでもないですが、どうせ集まりもしないだろう専門医の少数精鋭主義(笑)でスタートしたところで早晩「やってられるか」と医者が逃げていくのは目に見えているわけで、立派な分娩室も心カテ室もやがては埃の充満する物置になっていくだろうことは想像に難くないところですし、当然に赤字を押しつける代償として市は幾ら金を出すのかという話もなければならない道理です。
同病院の現在の陣容を見ても非常勤医を並べ立てて華々しく飾り立ててはいますが、老朽施設に常勤内科医が院長を含め3人、脳外科が副院長1人、外科が3人、今後も恐らく新規の医者確保の目処も立たない中で、せっかく再建しつつある経営を更に悪化させるような話を押しつけるというのですから、普通はもっと話を詰めろと誰でも考えそうなところですよね。

この夢のような市長のアイデアを実現すべく巨額の公費を注ぎ込んでいこうと言うのですから、きっと上野原市は金などドブに捨てても惜しくないくらいによほど豊かな自治体なのでしょうが、市長にしても仮にも医師免許を所持しているのですから、市政においても是非エヴィデンスに基づいての運営に努めていただいた方が市民の理解も得られやすいのではないかと思います。
しかしまあ、同病院のOBでもある現市長が介錯役を務めるというのであれば、長年続いた病院の幕引きにはあるいはふさわしいということなのかも知れませんが…

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