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2010年9月14日 (火)

ホメオパシーと弁護士業界との関わり合いとは

悪性リンパ腫を患いながらホメオパシー療法家にのみかかり続けた結果ついに亡くなった女性の遺族らが、ホメオパシー療法家に対して説明を要求したところ「私は医師ではないので医学的所見は述べられない。検査をできるわけではないので、体の中で起きていることはわからない」と堂々と主張されたという話を以前に紹介しましたが、その後遺族らは当該療法家の所属するホメオパシー医学協会と接触したようです。
関連サイトでは先日協会本部に訪れた際の様子をネット上で公開しているのですが、これがなかなかに興味深い話ですので本日まずはこちらを紹介させていただきましょう。

ホメオパシー医学協会との話し合い(2010年9月9日めぐみ教会 牧師の日記)より抜粋

(略)
訪問の様子について、ちょっとだけ記しておきます。

9月4日、土曜日の夕方、亡くなられたAさんのご両親と、「憂慮する会」のYさん、KJさん、KCさん、僕、そしてW弁護士とK弁護士の計8名で、池尻にあります協会本部に伺いました。
(略)
2階にある広いお部屋(会議室でしょうか)に通していただきました。協会側からは理事長さん他、9名ぐらいの理事さんが並んでおられました。Aさんがかかっていた療術所のホメオパス、そしてAさんのテルミー・ホメオパシー仲間であったBさんがホメオパスの横にすわりました。(Bさんは療術所スタッフでないのになぜ協会側にいるのかという問いがAさん父からなされましたが、結局、ホメオパスを擁護する役割をなさいました。)
また、大阪など遠隔地の理事の方がテレビ画像を通して(発言はありませんでしたが)会議に参加、そのための技術的なサポートをする本部の方数名がおられました。
理事長(会長)さんが取り仕切るという形で会が進行しました。
なお、理事さんのうちのお一人は弁護士さんで、この方が理事長さんと、当事者のホメオパスの間に座り、たいたび発言されました。5時半から8時過ぎまで長時間の話し合いで、神経もはっていることですから、とても疲れました。御両親はさぞお辛かったのではないかと案じます。

結論から言いますと、わたしたちが文書で申し入れを行っていることについては、その場でのお答えはいただけませんでした。後日、文書で回答するということで、今それを待っている状態です。
また、Aさんが亡くなる前に、面会に行った父親に対してホメオパスが約束したことのうち、「カルテはすべてお渡しします」は、すみやかに実行してくださることが約束されました。また、父親とホメオパスのやり取りをBさんが筆記していたので、その記録をくださるということも同意されました。

私たちが事前に送付してあった事件の記録に基づき、W弁護士がホメオパスに、「なぜ、どのように、こう言ったのか。なぜこれをやったのかorやらなかった」といった形で、時系列にそって確かめていくという形で問答がなされました。ホメオパスが答える前に、向こうの弁護士さん、また会長さん、会長秘書役の理事が遮るということもたびたびありました
(略)
病院受診を指示したか、あるいは勧めたか、という点については、わたしたちが記録や証言に基づいて認識していることと、ホメオパスの記憶が大きく食い違っています。この点については、ホマオパシー協会側がスタッフや元スタッフの方々にも聞き取り調査を行って、また、メール記録や「カルテ」を丹念に調べて、事実を明らかにしてくださることを期待しています。
(略)

細々とした話の内容に関してはいずれ改めて整理されたものがアップされることでしょうし、正直協会側の見解としては予想の範囲内と言った内容に見えますから省略させていただきましたが、協会側ではきちんと弁護士を入れて話を進めようとしているということ、うかつな言質を取られないようずいぶんと慎重な対応に終始していることなどが感じられる内容ですよね。
肝腎の人の命を預かる部分でもこれくらいの慎重さを発揮していればもう少し違った結果になっていたのかも知れませんけれども、ホメオパシー被害の広がりとともに各方面から被害者の追求が始まっているという現状ですから、当然これくらいの対応はしてきてもおかしくないわけです。
日本でも朝日新聞などが中心になって各地の被害を取り上げるようになってきていますけれども、実際それだけトラブルも多いということなのでしょうか、近頃では実施の現場においてもこんなものを用意してきているようなんですね。

ホメオパシー健康相談のご案内(2009年9月6日日本ホメオパシー医学協会他)より抜粋

(略)
■同意書について
●日本ホメオパシー医学協会は,日本で唯一ホメオパシー職業保険を持つ非営利団体です。この職業保険適用のための手続の1 つとして,下記のとおり,同意書のご著名ご捺印をお願いしておりますので,どうぞよろしくお願いします。
●「ホメオパシー健康相談のご案内」を熟読され、ご理解の上、同意書にご署名・ご捺印ください。なお、同意書を提出いただけない場合は、健康相談をお受けいただけません
●未成年の方の場合は、保護者の方のご署名・ご捺印も必要になります。なお、小さいお子さまの場合は、保護者の方の代筆にてお願いいたします。
(略)
下記の場合、ホメオパシーに対するご家族の理解と同意が必要となります。

1. 精神的問題を抱えている場合
2. 長期に渡って薬を摂られてきた場合
3. 難病等で、好転反応の時にご家族の介護が必要な場合

未解決の身心の問題や過去の記憶・感情が戻って来る場合も多く、また強いお薬を長期で摂られた方は激しい排出が起こる場合もあり、ホメオパシー療法による改善にはかなりの忍耐と時間が要求され、ご家族のサポートが必要不可欠となります。ご家族のサポート無しの改善は難しいことを何卒ご理解ください。
そのため、上記の1. 2. 3. に該当する方には、ご家族の同意書もあわせて、ご提出をお願いしております。
(略)

同意書

1.ホメオパシー療法は、医師などの有資格者による医学的治療の代替をするものではなく、滞った自然治癒力を揺り動かし、自分で自分の健康を取り戻す健康法であることを確認します。
2.レメディーは、病気治療を目的とする薬ではなく、自然治癒力を揺り動かす為のものであることを確認します。
3.ホメオパシー療法の質問は、医学的診断を目的としたものではなく、自然治癒力の滞りを知り、レメディーを選択する為に行われるものであることを確認します。
4.私は、自分もしくは家族が、医師などの有資格の専門家に相談することが必要であると判断したときは、それを実行することを約束します。
5.医師から出された薬に関して、また今後薬をとることに関しても、自分もしくは家族が判断し、責任をもつこととします。
6.ホメオパシー療法での改善が難しいと判断された場合、ホメオパシー健康相談を受けられないこともあるということを了承します。
7.健康相談が担当ホメオパスと信頼関係のもと継続して良好に行われるために、不用意にその内容を公表しないことを約束します。
8.私は「健康相談のご案内」を読み、十分理解した上で、ホメオパシーの健康相談を受けます。
9.この同意書は、今後のホメオパシー相談においても有効とします。
私は「健康相談のご案内」を読み、十分理解した上で、上記の事項に同意します。
(略)

要するにホメオパシーで何が起ころうがあくまで自己責任でやることと同意をしなければ相手にしませんよという、従来の同協会の主張に沿った内容の同意書と言うべきものなのですが、興味深いのは健康相談に関して「不用意にその内容を公表しないことを約束」させているということで、よほどに後ろめたいことでもやっているのかと気になりますよね(苦笑)。
もうひとつ非常に興味深いのは、この同意書が発行元であるホメオパシー医学協会ではなく別サイトに掲載されているということなんですが、この文書の掲載urlを削って行きますと「ロータス法律特許事務所」なる弁護士事務所のサイトにたどり着きます。
これまた興味深いのはこちらの弁護士サイトからは当該文書へもアクセスできないし、そもそも秋山佳胤弁護士のプロフィールを見てもホメオパシーと関連があるかのような記述は一切ないのですが、面白いことにホメオパシー医学協会のサイトには同弁護士がロイヤル・アカデミー・オブ・ホメオパシーを卒業した立派な「認定ホメオパス」であることが誇らしげに掲載されているのですね(双方の経歴を見比べてみると面白いですが)。

冒頭に紹介したようにホメオパシー医学協会の中枢にも弁護士が入っているし、市井の弁護士の中にも(表向きはそうであることを隠しながら)ホメオパシーと密接なつながりを持っている人々がいて、つまりはそうした人々がホメオパシーの被害者サイドに対する同協会の防波堤として機能しているということなのでしょう。
実際にホメオパシー医学協会に限らず、同協会の商売敵とも言うべき他のホメオパシー推進団体においても、薬剤師出身の弁護士を講師に招いて「どうすれば法の網をかいくぐって商売をやれるか」なんてセミナーまで開いているというくらいですから、そこらの安っぽい詐欺師集団など及びもつかないほどに本格的にやっているということはおわかりいただけるかと思います。
医師免許を持っている人間の中にもホメオパシーを堂々と推進している人間がいるくらいですから、弁護士の中にも同じような人間がいてもおかしくはない理屈ですが、医者や助産師と比べて弁護士稼業というものはホメオパシーと縁遠いようには思えるのに、どこからこんな世界にはまったものなのかという素朴な疑問は出てくるところですね。

そうした疑問はさておき、医者や助産師の世界でも業界団体が公式にホメオパシーを否定し、所属する会員がホメオパシーを用いるなんてとんでもないと公式見解を出している時代にあって、ここまでホメオパシーと深く関わっている弁護士の世界では何かしらの動きはないのかと気になってきます。
今のところ弁護士会などから特にコメントなりは出ていないようなのですし、一般的に考えれば詐欺師だろうが人殺しだろうが顧客としては平等に扱うべきなのが弁護士という仕事ですから個別に言及すべき筋でもないのでしょうが、極めて蛇足ながらこの件を調べていて面白いなと思ったのが、日弁連が電磁波被害のシンポジウムなんてものも開いているということなんですね。
ま、これ自体は今の時代ですから広く考えていかないといけない問題なのかも知れませんが、見ていてちょっと大丈夫なのか?と思ったのがその告知のページにあった記述です。

シンポジウム「身の回りの電磁波とその問題」(日本弁護士連合会ホームページ)より抜粋

私たちは、送電線や携帯電話・家電・パソコンなどの電気機器により便利な生活をしています。

しかし、これらから発せられる電磁波に囲まれてもいます。欧米では電磁波過敏症や子どもなどへの影響を考えた規制や対策がとられている国がありますが、わが国では電磁波に関する情報が少なく、まして対応策についての議論もされていないのが現状です。

本シンポジウムでは、被害実態や国際的動向、国・自治体の取り組みなどをふまえて、将来取り返しのつかない被害が発生しないよう、今後わが国で電磁波の問題にどのように取り組むべきか、また、電磁波に関する情報公開やリスクコミュニケーションはいかにあるべきかについて考えます。
(略)
電磁波に過敏な方の来場が予想されますので、フロアでの電波を発する機器の使用はご遠慮ください。携帯電話等の電磁波で動悸・頭痛・吐き気等の症状が現れ、体調を崩される場合があります。
香料(香水、整髪料等)の使用、ドライクリーニング直後の衣類等の着用はお控えください
(略)

電磁波の問題点についてシンポを開くことの主体として弁護士団体である日弁連が関わることの是非はさておくとしても、何やらこうして見ていますとどこぞの団体と似たような方向性を感じると言いますか、微妙に怪しげな空気が漂っているように思われるのは自分だけでしょうか?
ま、日弁連あたりの内情がどういう方向に向いているのかはこれだけでは外野からは何とも言えませんけれども、少なくとも末端の弁護士レベルで見ればホメオパシーの蔓延に危機感を感じている人もいるし、社会的に警鐘を鳴らし続けている人もいるというのは幸いなことなのでしょうね。

薬九層倍どころではない、ホメオパシーの「レメディ」(2010年9月1日弁護士山口貴士大いに語る)
より抜粋

癒しフェア2010 in 東京に行ってきました。

ホメオパシージャパンのブースが出ており、レメディーを販売していました。早速、36バイタルエレメントキットを買ってみました。
定価1万4700円の2割引き(癒しフェア価格)ということで、1万1760円でした。高い!
ちなみに、領収書は手書きでした。手書きの社名部分は最初空白で、そのまま渡されたのですが、作成者不明の領収書では困るので、その旨を伝えたところ、スタッフの人が手書きをしてくれたものです。

領収書が手書きなのはいいのですが、先ほど紹介した36バイタルエレメントキットの写真には写っていない成分表示のところを見てましょう。
ちょっと見難いのですが、

●名称:砂糖  ●原材料名:テンサイ糖  ●内容量:54.0g(1.5g×36本) ●原産国:フランス
●輸入者:ホメオパシー研究所株式会社 静岡県熱海市伊豆山1170-17

と書いてあります。

輸入費、包装料等がかかるとしても、ただの砂糖「54.0g」を1万4700円で売っています
1gあたり、約272.2円として、キロあたり、27万2000円!

原価は幾らでしょうか?
ちなみに、楽天市場で検索して見ると、日新製糖 白砂糖 1kg がキロ当たり206円でした。しかも、これは小売ですから、仕入れで買う場合にはもっと安いでしょう。
薬九層倍どころではありませんね。

健康問題で悩む人に対し、高額で砂糖玉を売りつける商売
この事実をホメオパシー問題を考えるに際して見過ごしてはならないと思います。
(略)

ホメオパシーに限らない話ですけれども、あの種の商売をしている人達はまず真っ先に「医学博士○○氏も推奨!」なんて権威付けをしたがりますが、多くの場合医者でもなければろくに業績もない博士先生が何を言おうがそれがどうした?と感じるのは「博士号なんて足の裏についた飯粒だ」なんて思っている業界人だからであって、素人さん達は何やらそうしたものに有り難みがあると思ってしまうのも現実ですよね。
特に今回問題となっているホメオパシーのように、二百年にもわたる歴史と伝統を持った世界的広がりを持つ団体であれば、当然ながらその内部に各方面の自称、他称専門家を大勢抱え込んでいるわけですから、同業の専門家集団としてはそれなりの対応を示すことが社会的責任ということになってくるのでしょう。
学術会議のコメントを受けて医療業界の各団体は軒並みホメオパシーに反対するとの見解を公にしていますけれども、今後は各方面の被害者から民事訴訟などにもなってきそうな気配があるだけに、早晩一方の専門家たる弁護士業界としても直接的にホメオパシーと向き合うことが求められるようになりそうですね。

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コメント

はじめまして。
kikulogの方に書き込みましたが、
1 東京弁護士会さんに電話しました。
「弁護士会としては、弁護士業務に関わる苦情しかうけられない」そうです。
2 弁護士職務基本規程というのが日弁連さんのサイトからダウンロードできま す。この規程の
「第二章第十五条 品位を損なう事業への参加」 および 「 第十六条 営利 業務従事における品位保持」あたりが気になります。

秋山弁護士さんは全国で講演していると CHhom のサイトでも紹介されていますね。弁護士という肩書きは強いですよねぇ。

投稿: DH98 | 2010年9月14日 (火) 19時41分

わざわざの情報ありがとうございます。
確かに弁護士会の立場としてそういうことになってしまうのは理解は出来るんですが、一応全員強制加入の団体ですから、今後問題が広がってきた時に社会の目がどうかですよねえ。
ただ悪徳医師がどうこうと言う話とは違って、弁護活動の場合例えば凶悪犯罪者の権利を守るのもまた立派な仕事ではありますし、どこまでが品位を損なう事業への参加とみなされるのは微妙なところなのかも知れません。

投稿: 管理人nobu | 2010年9月15日 (水) 07時47分

秋山先生は、自分のHPでもホメオパス業をやってるみたいです。

http://www.lotus-office.net/homoeopathy/

ただし、トップページからはたどれませんが。

投稿: とおりすがり | 2010年9月17日 (金) 00時52分

怪しげなのと、日弁連の電磁波シンポジウムを同列に扱っていますが、日弁連の電磁波シンポジウムは公害担当の部門が行っていること、世界的に電磁波による健康被害が問題になり、欧州環境庁や欧州議会なども動いていることで、公害問題として取り扱っていたと思います。
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2012/opinion_120913_4.pdf
WHOの発がんリスク等、学術的根拠に基づいたものです。
一緒にしたら失礼だと思います。

投稿: 私も通りすがり | 2015年7月 2日 (木) 08時06分

そういえば、3.11以降「電磁波過敏症」て、あまり話題にならないような気がします。

投稿: JSJ | 2015年7月 2日 (木) 08時45分

「政治的な声明は違法だ」 弁護士が日弁連などを提訴
http://www.sankei.com/affairs/news/150701/afr1507010030-n1.html
 日本弁護士連合会や弁護士会による特定の政治的な主張について「弁護士自治とは全く無縁な『目的外行為』であり違法だ」などとして、南出喜久治弁護士が1日、日弁連や所属する京都弁護士会、それぞれの会長などを相手取り、ホームページ上の意見書や会長談話の削除と100万円の慰謝料を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 問題となったのは今年6月の「安全保障法制改定法案に反対する意見書」や平成26年7月の「集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定に抗議し撤回を求める会長声明」など計15本。

 原告側は訴状で、弁護士法で弁護士は日弁連と弁護士会への強制加入が義務づけられているとした上で、「(声明として出される)文書は正規の機関決議を経たものではなく、文章を作成して発信する権限は日弁連や京都弁護士会にはない」と主張している。

 提訴後に会見した南出弁護士は「日弁連は特定の意見を表明する政治団体になっている。主張したいならば強制加入の団体ではなく、賛同者を集めて任意団体を作ってやるべきだ」と訴えた。

 日弁連は「訴状は届いていないが、受領したら内容をよく検討して適切に対応したい」とコメント。京都弁護士会も「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。

投稿: | 2015年7月 2日 (木) 11時19分

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