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2010年9月

2010年9月30日 (木)

やっぱり際限なき暴走って怖いですよね

ちょうど先日こういう記事が出ていて、失礼ながら思わず苦笑してしまったのですが、まあこれもシルバー人材の有効活用という一つの事例ではあるのでしょうかね?

鷹島診療所に85歳新所長 /長崎(2010年9月28日読売新聞)

 松浦市立鷹島診療所の新所長として、医師の菅井健治さん(85)が着任し、27日、市役所で委嘱状の交付式が行われた。

 約15年間離島医療に携わった経験がある菅井さんは、同診療所の常駐医確保が難航していたため、市側の要請を引き受け就任した。任期については当分の間とし、主に内科診療を平日に行うという。

 式では、友広郁洋市長が「市民を挙げて感謝と歓迎を申し上げたい。豊富な経験や考えを広く伝える機会も作って、市民とも交流を深めていただければ」とあいさつ。菅井さんは、往診などを通じて独り暮らしの高齢患者らの実態を把握し、意思疎通も重視する意向で、「ご期待に添えるよう、現場で一生懸命努めたい」と話した。

当分の間と言いますか、折り合いが付けば社会的、生物学的に可能な限りというのが実情なのでしょうが、このお年でまだ往診もやる気満々というのは大した活力ではないでしょうか。
こういう話を聞きますと一般的にはもっと若くて元気の良い人材はいないのかと思えてくるところですが、少なくともこうした僻地離島でやっていこうと考える人材はそうそうはいないのが実情であって、しかもそれは別に医療に限った話でもないんですよね。
僻地医療問題はともかくとして、実際のところ全国の医師不足がどの程度のものであるのか、初めての定量的な調査結果がこのほど出たということでちょっとした話題になっています。

全国で2万人超の医師が不足―厚労省・医師不足実態調査(2010年9月29日CBニュース)

 医師不足の実態を把握するため、厚生労働省が全国の病院と分娩取り扱い診療所を対象に行った調査の結果が明らかになった。それによると、各施設が担う診療機能を維持するために確保すべき医師数は、全国総数で現員医師数16万7063人の1.14倍となる19万1096人で、約2万4000人の医師が不足していることが明らかになった。

 この調査は、医師不足の実態を明らかにしようと、厚労省が初めて行った。調査対象の医療機関は、病院8683施設、分娩取り扱い診療所1579施設の計1 万262施設。このうち調査票を提出したのは、病院7687施設、分娩取り扱い診療所1011施設の計8698施設で、回収率は84.8%

 調査項目は、「必要医師数」「勤務形態」「分娩取り扱い医師」の3項目。
 このうち必要医師数は、地域医療において各施設が担う診療機能を維持するために確保すべき医師数を調べたもので、全国総数は2万4033人。現員医師数と必要医師数の合計は、現員医師数の1.14倍となった。また、このうち分娩取り扱い医師の必要医師数は、現員医師数(7312人)の1.15倍となる 8436人で、1124人の医師が不足している結果となった。

 必要医師数を地域別に見ると、現員医師数に対する必要医師数の倍率が高い都道府県は、岩手県が1.40倍と最も高く、以下は、青森(1.32倍)、山梨(1.29倍)などとなっている。一方、比較的医師数が充足して倍率が低いのは、東京(1.08倍)、大阪(1.09倍)、神奈川(1.10倍)などで、首都圏などの都市部に集中している。
 分娩取り扱い医師については、山梨が1.59倍とトップで、以下は、高知(1.55倍)、青森(1.34倍)などとなっている。逆に倍率が低いのは、長崎(1.00倍)、熊本(1.04倍)、福岡、宮崎、新潟(いずれも1.05倍)などとなっており、九州地域に集中している。

 このほか診療科別では、リハビリ科(1.29倍)、救急科(1.28倍)、産科(1.24倍)などの倍率が高く、医師不足の深刻化が浮き彫りになっている。

勤務医1.8万人不足 地域・診療科に偏り 厚労省調査(2010年9月29日朝日新聞)

 全国の病院に勤務する医師数は約1万8千人不足していることが、厚生労働省の調査でわかった。地方に比べ都市部に医師が集中している地域偏在や、救急科やリハビリ科での不足がより深刻であるなど診療科ごとの偏りも判明。医師不足の全国調査は初めて。厚労省は近く結果を公表し偏在の解消に乗り出す。

 全国にある全病院を含め計約1万施設に対して調査した。今年6月1日時点で、実際の勤務医師数や求人中の医師数のほか、求人理由などを調べた

 調査によると、病院に勤務している医師数は約17万人。診療機能を維持するために病院が求人中の医師数は約1万8千人で、勤務医師数に対して必要医師数の倍率は1.1倍だった。調査時点で求人していなかったが病院が必要とする数を加えれば必要な医師数は計約2万4千人になる。

 都道府県別でみると、必要医師数の倍率が高かったのは青森、岩手、島根などで1.2倍を超えていた。一方、東京や神奈川、福岡は1.1倍以下と低く、都市部と地方で医師不足に差があることがはっきりした。医師が十分足りている都道府県はなかった

 また、診療科による医師の偏りも明らかになった。病気の後遺症でおきる運動障害などを総合的にみるリハビリ科や、救急科で1.2倍を超えていた。しかし、美容外科、形成外科、アレルギー科などの必要数は少なかった

 医師を求人しなければならなくなった要因は、転職や開業などで勤務医が退職し補充のために募集していると答えたケースが最も多い。次いで、大学病院が地方に医師を派遣する機能が低下したことや、医師の勤務時間を減らすなど勤務環境を改善するためという理由が多かった。

 2004年に新卒医師に2年間の臨床研修が必修化され、自由に病院を選ぶことができるようになった。大学病院に残る医師が減り地域の病院に派遣していた医師を引き揚げざるをえなくなった。このため各地で医師不足の傾向が顕著になったとされる。

 厚労省や文部科学省は地域偏在の解消に向け将来その地域で診療することを条件に入学する学生の定員枠を設けるなどの対策をしてきた。厚労省は来年度予算の概算要求で医師不足に悩む病院に医師を派遣する「地域医療支援センター」を各都道府県に設置することを盛り込んでいる。

医師:2万4000人不足 地域の偏り鮮明 厚労省調査(2010年9月29日毎日新聞)

 全国の医療機関で実際に働く医師数が計約16万7000人なのに対し、医療機関側はさらに計約2万4000人が必要と考えていることが28日、厚生労働省が初めて行った「必要医師数実態調査」で分かった。現在の1.14倍の人数が必要で、医師不足の深刻な実態が改めて浮き彫りになった。地域による偏りがあることも分かった。

 厚労省は昨年度の補正予算で各都道府県に50億円の「地域医療再生基金」を設置し、医師の配置を促す方針。文部科学省が検討している、医学部新設の容認に向けた議論にも拍車がかかりそうだ。

 都道府県別で、現在の医師数に対する倍率が最も高かったのは岩手の1.4倍で、次いで青森1.32倍、山梨1.29倍。逆に低いのは東京(1.08倍)、大阪(1.09倍)、埼玉・神奈川(1.1倍)と大都市圏が中心だった。

 分娩(ぶんべん)を扱う医師は山梨(1.59倍)、高知(1.55倍)、青森(1.34倍)が高かったのに対し、長崎(1.0倍)、熊本(1.04倍)、新潟・福岡・宮崎(1.05倍)は低い。診療科別ではリハビリ科1.29倍、救急科1.28倍、産科1.24倍の順だった。

 各医療機関が回答した医師不足の背景は「求める診療科医師の絶対数が地域で少ない」38%、「大学の医師派遣機能が低下」20%、「勤務条件と医師の希望との不一致」14%

 調査は全国の病院8683施設と、分娩を扱う診療所1579施設の計1万262施設が対象。計8698施設が6月1日時点で回答した(回答率85%)。

この調査結果をどう見るかですが、各医療機関が好き勝手に「これくらいの医者は欲しい」と出してきた数字を積み上げた結果だということですから、言ってみれば現場で求められる勤務医の最大値とも言える内容なんですが、それがたかだか14%増し程度で十分だと言うことになりますよね。
これなら現在の医師数増加のペースが続くとすれば(続くどころか、むしろ更に増加しそうですが)、今後わずか数年で必要医師数が充足されてしまうということになりますけれども、現場でそうした実感はありますでしょうか?
こういう話を聞くと思うことに、一つには崩壊だ崩壊だと言いながら現場は未だに逼迫しつつも回っているわけですから、少なくとも今現在生き残っている病院というのは現在やっている業務に対する最低限の必要数を満たしているという考え方もあるかと思いますね。

実際には例えば産科医がいなくなってお産をやめた、救急担当が回らなくなって救急指定を外したといったことはよくあるわけですが、そうした施設はすでにその分野から手を引いているわけですから、「地域医療において各施設が担う診療機能を維持するため」云々と問われればお産はやめたから産科医の不足数はカウントしない、救急はやめたから救急担当医は数えないというバイアスがかかっている可能性はあります。
やっていることではなくやりたいことに必要な医師数までカウントさせてしまうとすれば、例えば僻地の零細町立病院でも「うちも亀田のような総合病院を作って医療で町おこしをしてみたいんだ!そのために医者が300人は必要だ!」なんて夢物語まで数え上げられてしまいますから、取りあえず今手を出している範疇でカウントさせるというのは妥当ではあるのでしょう。
ただそうなりますと、例えば地域内で一定の需要があるのにどこの施設もやっていないという場合には必要数が過小に申告される可能性がある理屈ですが、そうした患者もどこかの地域のいずれかの医者にかかっていて、そうした施設で不足感があれば申告しているはずだと考えれば、案外まずまず妥当な数字ではあるのかも知れませんね。

一方で「いや、たかが一割二割増やしたところでどうしようもない!そんなことでは違法労働も改善されない!」と感じている人間の方がはるかに多いということは、実のところ医師数16万人などと号しても実際に医療の現場で手を動かしている人間はごく少なかったと考えると納得できることなのかも知れません。
例えば大学病院には大勢の医者がいますが、教授助教授をはじめ上の方の先生は医者としての労働量は大したことはないわけですし、市中病院でも院長など管理職をやっている医者なども同様でしょうが、これらの人々はいわゆる医者稼業以外にやるべき仕事が沢山あるということですよね。
慢性期中心の中小病院や療養型などにおいてもこれ以上手を広げなければ何とか回していけるとすれば、実は死にそうな顔で医療に血眼になっている医者など全体の半分もいない、下手すると数分の一にしかならないのだとすれば、本当に二万人もの実戦力が増えれば一気に奴隷労働解消!なんてことになるのかも知れません(増えれば、ですが)。

要するに日本において医者が余っているという話は未だに聞かないものの、一方で多くの現場では手に合う範囲で業務を縮小しながら何とか折り合いをつけて仕事を回していて、どうしても医者を増やしてくれないことには現状維持も出来ないと悲鳴を上げている現場というのは、案外多くはないんじゃないかという推論も成り立つということでしょうか。
この推論が当たっているとすれば自ずから別な結論も導き出されるわけですが、つまりは不足分が二万人だから医者を二万人増やしました、さあもう不足とは言わせませんよとなったところで、医者の中でそうした修羅場に回っている人間というのは比率的に多くはなかったわけですから、増えた二万人にしても大多数は別な場所に行ってしまうだろうと言うことが想像されますよね。
とすれば、当初の設問の立て方に不十分なところがあって、不足だと言わずとも過剰でない限りはどこの施設でも医者は多い方がいいわけですし、増えたら増えたでそれに応じて業務を拡張した方が経営上も成長路線に乗せられるわけですから、こうした場所が完全に充足するまでは本気で不足している領域にも医者は行き渡らないだろうとも考えられそうです。

医者も人間ですから楽に食っていける道があるのであればそちらを選ぶ人間が多いのは当然で、むしろ今まで公立病院などで奴隷労働に勤しんできた医者こそ(特殊な性癖をお持ちと言うのでなければ)人としてちょっと変な考え方の持ち主とも言えるわけで、そうなりますと少なくとも医者が余って困るような職場があちこち出てくるまでは現状の分布傾向が続くだろうと言う推測が成り立ちますよね。
そうなると当分続くことになる一部領域での極端な医師不足解消をどうするのかという課題が残るわけですが、例えば公立病院関係者や読売新聞が熱心に主張してきた医者など強制的にラーゲリで労働させればいいんだという考え方は、職業選択の自由を云々する以前に人権上どうなのよというところがあって、当の現場から最も忌避されているということは言うまでもないことです。
ところがそれでは完全な自由選択に委ねた結果どうなるかと考えると、すでに民主党政権は医学部新設も含めた医師数大幅増加にゴーサインを出しているわけですから、政府や国民が納得するところまで医者が増えた頃にはすでに逃散先もなく医者の相場は大暴落、それこそ「嫌なら辞めろ。代わりは幾らでもいる」が現実のものとなっているだろうと言うことで、これまたあまりありがたくもない話ではないでしょうか。

医者の側としては教育の問題などもあって急激な医師数増加はよろしくないし、もちろん歯科医や弁護士業界のようなワープア化も望んでいないでしょうが、全くの自由選択に委ねたままで現状を続けていくということになれば、これは結果としてかえって自分たちの権利が侵害されそうな気配でもあるわけですよね。
だからと言って医師数増加断固反対!というのもすでに仕事が回っている人たちの既得権益ということになりますから、ある程度節度を持って総数を増やすのは仕方がないとして、新規に増やした医者だけではなく医者全体としてどう業務を分け持つかの議論も必要だということでしょう。
要はある程度皆が納得できる範囲で自主的に何かしらの対策を講じておいた方が、最大多数にとっての最終的な幸福度は高くなるんじゃないかとも考えられるわけですが、全医師横断的な組織も存在しない「早い者勝ち」な現状で、自分たちの権利を制限してまで主体的な管理体制を構築しようと考える奇特な人間がどれほどいるか、その管理体制についても業界としてコンセンサスが得られるかどうかです。

それでも自分たちは既得権益を確保した側である本田大先生やら日医あたりの御老人達の好き勝手に任せておいたのでは、何かしらの自主規制が成立するにしても「何僻地医療?救急?そんなものは若い連中にやらせておけばよろしい」で終わりかねないでしょうから、そろそろ現場も危機感を持つべき時期なんだと思うのですけれどもね。
何にしろ、国のやりたい放題にやらせてしまった結果すっかり業界が崩壊してしまった卑近の例にだけは事欠かない時代ですから、医者の側としても同じ轍を踏むのが嫌であれば対案を出していかないことには社会の納得も得られ難いところでしょう。

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2010年9月29日 (水)

不景気だからと昨日今日始めたような価格破壊ではありませんから(苦笑)

先日ちょっと面白いなと思ったのがこちらの記事なんですが、皆さんも御覧になったでしょうか?

会社員は、医療保険に加入する必要はない!?(2010年09月22日MSNマネー)

最強の医療保険とは?

 保障内容・保険料・引受先の信頼性などの全てにおいて最強の医療保険をご紹介させていただきます。

・医療負担は3割負担 =全国統一料金
・月額の上限付(約10万円) =100万円かかっても負担は約9万円
・家族全員が加入できます =産まれたばかりの赤ちゃんも加入できます
・病気・ケガで仕事が出来ず給与がもらえないときは、収入の2/3が支給されます =最大1年半、お金が支給されます
・出産したらお金がもらえます =(42万円 H23年3月31日までの出産)
・死亡したら5万円もらえます
・毎月の保険料は、収入の約8%ですが、半分は会社が負担してくれます。(実際の負担は約4%。しかも、給与天引き)
・お体の健康状態に関係なく、加入することができます

 すでにお気付きの方もいると思いますが、この素晴らしい保険とは、日本の公的医療保険制度である健康保険です。健康保険に加入する被保険者が医療の必要な状態になったときに医療費を保険者が一部負担する制度の概要です。

 では、簡単に一つひとつ内容を検証してみましょう。

医療費の保障

 まず「医療負担は3割負担」ですが、例えば、内科を受診して医療費が1万円かかったとしても、自己負担は3割ですから3,000円で済んでしまいます。病院の窓口で、高額な支払いが無いのはこのためです。

 次に、「月額の上限付(約10万円)」です。大怪我をして医療費が100万円もかかってしまった場合、本来の3割負担分は30万円の負担です。しかし、毎月の上限が決められているため、約9万円の支払いで100万円の医療行為を受けることができます。これらの二つの3割負担と、月額の上限(高額療養費)をひとつにして考えると、大きな病気で2ヶ月間入院した場合でも、医療費負担は毎月10万円が上限です。すなわち、2ヶ月入院しても、20万円程度の出費で収まってしまいます。

 1日あたりの負担にしてみると、

20万円÷2ヶ月間(60日)=1日の負担は、約3,400円

 そもそも、運がよければ「一生のうち入院経験なし」という方も出てくるかもしれません。しかも、小さなお子様はお住まいの地域によっては、病院に行っても1回500円ですむ場合や、月額の上限が2,000円となっている地域もあります。また、小さな子供の医療費が全く掛からない地域もあります。

医療費以外の保障

 次に、医療費以外にも手厚い保障が付属されています。

 まずは、病気やケガで働けない状態になった場合には、給与の約2/3が最大1年半の間支給されます。例えば、月収40万円の場合、約26万円が1年半にわたり支給されます。さらに、お子様が誕生されたときには、42万円の支給。さらに、死亡したときには5万円の支給があります。すばらしく、手厚い保険ですよね。

健康保険or民間の医療保険。保険料で考えるとどっちがお得?

 こんなに手厚い保険だと、加入に制限があるのではないかと思われる方もいらっしゃると思います。しかし、この保険ですが、加入に制限はありません。糖尿病の方であっても、高血圧の方であっても、現在入院中の方であってもだれでも継続加入ができます。家族ができた場合には、会社員である夫の保険料のみで家族分の保障が付いてきます

 気になる保険料ですが、4人家族(夫30歳:会社員、妻:専業主婦、子供2人)で生涯平均年収500万円の場合、毎月の保険料は約2万円となります。毎月2万円の負担でこれだけ手厚い保障が受けられるとすると、民間の医療保険にお金を払って加入する必要はあるのでしょうか?

 「入院日額10,000円」「手術を受けたら20万円の給付」「だれでも加入できます」「保障は一生涯」「先進医療も1,000万円まで給付!」巷でよく聞く保険の宣伝文句です。

 保険の加入や見直しの時に、「公的医療保険制度」の内容を踏まえずに民間の医療保険を検討することは、保障内容が重複しまう可能性もあり、保険料の負担になりかねません。民間の医療保険に加入する前に既に加入している、最強といわれる「公的医療保険制度」の保障内容・保険料を勉強し理解することで、加入する必要性を再考する必要があります。

株式会社 住まいと保険と資産管理
ファイナンシャルプランナー 浅井 誠
提供:株式会社イマジネーション

いや、確かに話を聞くだけでもよくもこれだけ素晴らしいものが世の中にあったと感心する話なんですが、逆にそんな素晴らしいものがどうして成立しているのか、何か裏があるんじゃないかとも思えるところですよね。
世間では保険を契約するなら保険屋が嫌がる保険に入れなんてことを言いますけれども、それからすると日本の国民皆保険制度というものは一番嫌がられるタイプの保険と言えそうで、そうであるからこそ近頃では破綻だ、崩壊だと大騒ぎになっているのもいわば当然の帰結であるとは言えそうです。

あまりに利用者にお得過ぎるとサービスの提供側にとっては厳しいのは当たり前で、消防や警察などと同様に医療とは持ち出しの大赤字でも行うべき公共サービスであると考えておけばまだ良いのでしょうが、すでに出血大サービスをやっているところに「いや、医療にも経営の視点が必要だ」だとか「もっと良質な顧客サービスを」なんてことを言いだし始めると、厳しい世間の現実というものに直面せざるを得ないということになるわけです。
特に全国各地の自治体病院などは経営破綻の最たるものですが、いい加減に自分たちには経営の才能など欠如していることを認めればよさそうなものを、むしろ逆により深みにはまる方向に誘導しようと言うのですからそれは誰でも逃げ出しますよね。

緩和した公募条件説明 名古屋・緑市民病院管理者で/愛知(2010年9月25日中日新聞)

 2012年度に指定管理者制度への移行を目指す名古屋市立の緑市民病院(同市緑区)の指定管理者公募が応募者なしでやり直しとなった問題で、市は24日、当初より緩和した再公募の条件を明らかにした。現行の300床と分娩(ぶんべん)医療の維持を必須項目から除外するなどした。同日の市議会財政福祉委員会で説明した。

 当初の条件では応募資格は県内の病院開設者に限っていたが、県外にも対象を広げる。病床数は「200床以上300床以下」と緩和。診療科目は原則、現行の維持を求めるが、特に医師の確保が難しい分娩医療は必須としない。

 同病院本館は1969(昭和44)年築。応募を辞退した医療法人から「老朽化しており建て替えが必要」との指摘があったため、今後の投資計画も明記。11~13年度に設備や施設整備のため計5億5000万円程度を予算化し、10年間の指定管理期間内の建て替えも検討する。

 この日の財政福祉委では委員から「分娩医療が維持できるよう再考を」などの意見が出た

 市は10月中旬に指定管理者の選定委員会を開いて再公募の条件を確認。11月中に応募を受け付ける。

 当初の条件での公募には1法人が申請したが「市の条件では医師や看護師の確保が困難」などの理由で取り下げた。 (宮本隆彦)

今どき公立病院なんて沈みかけの船も良いところですが、そこに加えてさらにお産は維持しろ、ベッドを減らすことなどまかりならんなどと余計なヒモまで付いてくるというのですから、失礼ながら例によってハコモノに突っ走る前によく映る鏡でも用意した方がよろしいのでは、なんて言われかねない話ですよね。
まあしかし、日本全国でこれだけ自治体病院が惨状を晒しているということは行政のやり方がまずいという何よりの証明でしょうに、この上さらに行政が過度に口出しするような病院では、とてもまともな経営などやっていけないということには気付いてもらわなければならないはずではあるのです。
ところが行政の側でも「いや選挙の公約だから何としても実現してもらわなければ、ワシの顔が立たんじゃないか」なんてことを言いだし始めると、これは現場にとっては迷惑どころではない死活問題にもなりかねないというのが、先日も経緯を紹介しました山梨県は上野原市の新病院建設問題です。

「産科再開」市長と現場対立新市立病院計画公約、院長は「採算困難」上野原 /山梨(2010年9月28日読売新聞)

来月5日に運営協議会

 上野原市が旧上野原中学校グラウンド跡地に建設を計画している新しい市立病院の設計に、現在、休診している産科の診療スペースを設けるかどうかを巡り、江口英雄市長と、病院側が対立している。市長は「産科再開は市長選の公約。市民も要望している」と分娩(ぶんべん)室の設置などを主張。病院側は「産科は医師の確保や採算面で困難。実現できる根拠を示してほしい」と反対している。対立が続けば、今後の建設計画にも影響が出そうだ。(吉原郁夫)

■対立の経緯

 現段階の基本設計では、新病院は鉄筋コンクリート3階建て、建築面積約3700平方メートル、延べ床面積約9400平方メートルで、現在の150床から135床にすることが決まっている。

 両角敦郎院長によると、市と病院は今年4月から設計業者を交え、基本設計策定に向けて協議してきた。

 病院側は、内科、外科、脳外科、眼科、小児科など、産科を除いた現在の診療体制の継続を前提に施設を配置する設計案を提示。すると市側は、市長案として分娩室や産後療養室などの産科スペースのほか、救急治療に対応した心臓カテーテル検査を行う血管造影室を設けるよう修正を求めた

 これに対し、病院側は7月、「産科と、心臓カテーテル検査は、医師の確保や採算面で病院経営に重大な影響が出てくる」(両角院長)として、「市長案は受け入れられない」とする回答書を提出した。

 その理由として、〈1〉上野原市と市周辺の年間の分娩数は採算ベースの500件に及ばない150件程度にとどまると予測される〈2〉最低3人は必要な産科医の確保は困難〈3〉東部地域で将来産科を再開する場合は都留市立病院とする方針を示している県の地域医療再生計画に合致しない〈4〉心臓カテーテル検査には3、4人以上の循環医が新たに必要になる――ことなどを挙げた。

 一方、2009年2月の市長選で「産科再開」を公約に掲げて当選した江口市長は、今月8日の市議会9月定例会での所信表明などで「産科再開は市民も要望している」と述べ、産科再開に強い意欲を示した。

 市の計画では、今年10月に新病院の敷地の造成工事着手。12月に実施設計を終え、来年3月に本体工事を開始し、12年3月完成を目指している。市は実施設計の策定に向けて、「市長案をもとに作業を進める」(病院対策課)考えだ。

■市、病院側協議へ

 市立病院は、08年10月から市の指定管理者「地域医療振興協会」(吉新通康理事長)が運営している。

 ただ、市と同協会が結んだ協定には、05年4月に休止した産科は、診療科目に含まれていない。産科の再開については、病院運営にかかわる問題を話し合う「管理運営協議会」などの場で、協議することになっている。

 今月22日の市議会文教厚生委員会で、久島博道市議は「市が産科の再開を考えているなら、病院側の理解を得られるよう管理運営協議会で話し合う必要がある」と追及。これを受けて、市は10月5日に管理運営協議会を開き、市、同協会、病院の幹部らでこの問題を話し合うことが決まった。

 久島市議は「病院経営が立ち直りつつある時に、江口市長から、医師確保のめどもないまま、赤字が確実な産科の再開を提案されたら病院側が不安になるのは当然だ。市長は、産科を再開した場合、市がどんな責任を負うのか説明する責任がある」と指摘する。

 両角院長は「江口市長も医師出身なので、産科再開が現実的に無理なことは分かっているはずだ。実現できると言うなら、その根拠を示してほしい」と話している。

失礼ながらひと頃は常勤医3人なんてどん底を舐めたくらいに半ば以上終わっている病院で、しかもこんな田舎町で心カテもお産もなんでも来いのバリバリの急性期病院をとおっしゃるくらいですから、仮にも立派な医師としての経歴をお持ちの(そのほとんどが経営の観点になど縁がなさそうな大学暮らしなのがアレですが)市長なら現場がどうなるかというビジョンは持っていなければおかしいはずですよね。
赤字垂れ流しは言うまでもないですが、どうせ集まりもしないだろう専門医の少数精鋭主義(笑)でスタートしたところで早晩「やってられるか」と医者が逃げていくのは目に見えているわけで、立派な分娩室も心カテ室もやがては埃の充満する物置になっていくだろうことは想像に難くないところですし、当然に赤字を押しつける代償として市は幾ら金を出すのかという話もなければならない道理です。
同病院の現在の陣容を見ても非常勤医を並べ立てて華々しく飾り立ててはいますが、老朽施設に常勤内科医が院長を含め3人、脳外科が副院長1人、外科が3人、今後も恐らく新規の医者確保の目処も立たない中で、せっかく再建しつつある経営を更に悪化させるような話を押しつけるというのですから、普通はもっと話を詰めろと誰でも考えそうなところですよね。

この夢のような市長のアイデアを実現すべく巨額の公費を注ぎ込んでいこうと言うのですから、きっと上野原市は金などドブに捨てても惜しくないくらいによほど豊かな自治体なのでしょうが、市長にしても仮にも医師免許を所持しているのですから、市政においても是非エヴィデンスに基づいての運営に努めていただいた方が市民の理解も得られやすいのではないかと思います。
しかしまあ、同病院のOBでもある現市長が介錯役を務めるというのであれば、長年続いた病院の幕引きにはあるいはふさわしいということなのかも知れませんが…

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2010年9月28日 (火)

民主党の医療行政 大臣交代でどう仕切り直すか?

先日の代表選後の内閣改造で大臣職から「左遷」させられたと噂の元民主党エース・長妻前厚労相ですが、かねて言われている通り官僚との折り合いが悪かったのもさることながら、結局のところ唯一の売りであった年金関係でも目立った成果を上げられなかったことも大きかったのでしょうね。
もっとも昨今の状況からすると閣内に残っていたらいたで余計なとばっちりを食らいかねないですから、案外これは結果オーライだったということなのかも知れずですが、いずれにしても後任の細川律夫厚労相にすれば官僚との距離感にも苦労しなければならないのでしょう。
実際に就任早々「官僚の皆さんをわずらわせないよう、私は休日出勤はやめますから」なんていじましいことを言っている細川大臣ですが、先日就任早々にこんなことを口にしていたということで、まずは記事から引用してみましょう。

医師不足はまず偏在是正で対処―細川厚労相(2010年9月21日CBニュース)

 細川律夫厚生労働相は9月21日の閣議後の記者会見で、医師不足への対策として、医師の診療科偏在や地域偏在の是正に取り組んでいく考えを強調した。

 細川厚労相は医師不足への取り組みについて、医師を増やすだけでなく、診療科や地域による偏在があることから、「その是正をまずしていかなきゃいけない。そのことにしっかり取り組んでいこうと思っている」と述べた
 また、医師の偏在状況に関する調査結果が月内には出るとの見通しを示した上で、各都道府県に設置する「地域医療支援センター」で調査結果に基づいた偏在解消に取り組む考えを示した。

■医療分野は藤村副大臣、岡本政務官が担当
 細川厚労相はまた、藤村修副大臣と岡本充功政務官が医療分野を担当すると発表。岡本政務官を「中堅の非常に有能な医者」と評した。

思わず「えーマジ偏在?!(以下略」と叫んでしまいそうになりますけれども、結局医学部定員大幅増と不人気診療科の待遇改善で何とかしますと主張して政権の座についた民主党も、一周して医師強制配置論に帰ってきたということであれば困ったものですが、実際のところ民主党政権になって以降も医師「偏在」問題が解消に向かっているという話は寡聞にして知りません。
もちろん政権交代後一年、診療報酬改訂後もまだ半年という時期ですから、未だその結果が出てくるには先の話ではあるのでしょうが、問題は総選挙前にはそれなりにあった「民主党が政権を取れば医療行政はもの凄く変わる」という期待感のようなものが、この一年で雲散霧消してしまったと言うことですよね。
このあたりは世間は元より当の医療従事者からも関心の集中しているこの政権交代後の一年を、医療問題の素人である長妻氏に預けてしまったことが結果として失敗だったということになるかも知れませんが、ひと頃は期待されていた民主党の医療系ブレーンも昨今ではすっかり陰が薄いというのも、結局財政その他の現実を前にしては夢もあり実効性も備えたビジョンを提示出来なかったということなのでしょう。

民主党政権も前政権の路線変更から引き継いだ医学部定員増に関しては着実に歩みを進めたものの、最終的にどうやって医者を不人気診療科なり僻地なりに誘導するのかと言う方法論、特に野党時代から同党が主張してきたところの魅力的な待遇で人を集めるという、その肝心のエサの部分がうまそうに見えないのであれば魚も食いつくはずがないというものですよね。
仕方がないものだから医学部学生だけはどんどん増やしますと言う、中には人が嫌がる道に進む人もいるでしょうという下手な鉄砲も何とやら作戦に走っている気配もある昨今ですが、既存医学部の定員増だけならまだしも、巨額の資金と人材集中を必要とする医学部新設ともなれば、それだけの資源を投入するだけの見返りがあるのかどうかという評価が欠かせないはずです。

医学部:3私大で新設の動き 政府、容認検討へ(2010年9月19日毎日新聞)

 各地の大学で医学部新設へ向けた動きが広がり始めている。文部科学省は80年以降、医学部新設を認めていないが、民主党は医師不足対策として医学部の新設も掲げており、近く容認に向け本格的な検討が始まる見通し。ただ、既存の大学医学部や日本医師会は「現場の臨床医を教員として引き揚げねばならず、地域医療が崩壊する」などと反対しており、新設容認へ向けた議論の行方は不透明だ。【福永方人】

 医学部新設を具体的に検討しているのは、北海道医療大(北海道当別町)▽国際医療福祉大(栃木県大田原市)▽聖隷クリストファー大(浜松市)--の私立3大学。いずれも学内に検討委員会を設け、定員やカリキュラムなどを協議している。また、公立はこだて未来大(北海道函館市)も、函館市が識者らでつくる懇話会を設置し、新設の可能性を検討している。

 北海道医療大は入学定員60~80人を想定。大半を歯科医や薬剤師、看護師などが対象の編入枠とし、医師不足が深刻な道東地域への医師配置を目指す。同大医学部設置検討ワーキンググループ座長の小林正伸・看護福祉学部教授は「地域医療の担い手育成は急務。国から医学部新設のゴーサインが出たらすぐに手を挙げられるよう準備したい」と話す。

 国際医療福祉大は、現在の医学部設置基準の上限である定員125人程度を想定。聖隷クリストファー大は、4年制大学卒業者を対象とした「メディカルスクール」の創設も視野に入れている。

 医学部の設置は79年の琉球大が最後。国はそれ以降、医師が過剰になるとの将来予測などから新設を認めてこなかった。

 民主党は昨夏の衆院選に向け公表した政策集で、医師養成数の1.5倍増を掲げ、「看護学科等を持ち、かつ、病院を有する大学の医学部設置等を行う」とした。全国の病院と診療所を対象とした厚生労働省の「必要医師数実態調査」の結果が今月中にも公表される予定で、鈴木寛副文科相は6月の記者会見で「調査結果を受けて関係省庁、関係者と(医学部新設について)本格的な議論に入りたい」と述べている。

 一方、大学医学部でつくる全国医学部長病院長会議や日本医師会は「既存の医学部を拡充する方が財政的に有利」「医師が充足した時に養成数を減らしにくくなる」などとして医学部新設に反対している。

医学部新設の是非については人それぞれの考えもあるのでしょうが、失礼ながらこうして底辺私大ばかり増やしてしまうということに対する異論も多々あるでしょうし、こうした私大であればどうしても医者にならなければ仕方がないという開業医子弟なども多いでしょうから、親の後を継ぐともなればどれだけの人間が僻地や不人気科に行くものだろうかと疑問視されるところです。
ブランド力もなければ国試合格率も高いとは期待できない新設医学部ばかりが増えてくるということになりますと、すでにロースクールなどで顕在化している学費詐欺まがいの低レベル教育の問題も今後出てくるでしょうし、OECD平均並みを目指して先行してきた歯学部のように、希望者全員入学できますといった事態も今後出てくるかも知れませんよね。
その際にはもちろん真っ先に不人気となるのは歴史も伝統もなくレベルも低い新設底辺私大となるだろうことは容易に想像出来る話ですが、せっかく巨額のお金を投入し医者をかき集めて開いた新設医大が経営に行き詰まって破綻したと言うことにでもなれば、一体先行する他の国家資格専門職の崩壊事例から何を学んだのかと言われそうです。

こうやって当の医療業界が「悪いことは言わないからそれはやめておけ」とまで言うような斜め上方向に疾走するよりは、現場から求められている喫緊の課題はもっと別なところにあるんじゃないかと思いますが、その一つが現場スタッフ待遇改善の元ともなる医療機関の体力ということでしょう。
最近ちょうどこういう記事が出ていましたが、かねての厚労省の計画に従って基幹病院に医療資源を集中させるという思惑通りの展開であるとも読める話で、その意味では当然に予想された結果でもあるわけですが、その社会的影響がどうなのかという点が注目されますよね。

大病院と中堅病院、収益力の二極化くっきり 帝国データ調査(2010年9月25日産経新聞)

 年間総収入が30億円以上ある全国の民間病院事業者で、平成20年度までの3年間の最終損益が判明した法人のうち、3期連続で黒字を確保した法人が5割あまりある一方、3期連続で赤字に陥った法人も1割弱あったことが、信用調査会社「帝国データバンク」のまとめで分かった。赤字法人はすべて中堅事業者で、診療報酬の引き下げや特定の大病院の“ブランド化”が進んだ中、民間病院の経営で二極化が顕著となっている実態が表れた。

 同社は、兵庫や岡山の大規模病院が昨年、相次いで民事再生手続きを申請したことなどを受け、医療法人や社会福祉法人、財団法人など全国803事業者の決算状況を調査した。

 その結果、20年度(21年3月期)が前期より増収となったのは66%の530法人で、規模が大きい法人ほど増収の割合が高かった

 また、過去3年間の最終損益が判明した547法人のうち、3期連続で黒字を確保したのは55%の301法人。逆に3期連続で赤字だったのは8・2%の45法人で、すべて年間総収入が300億円未満の中規模事業者だった。

 帝国データバンクは「長く続いた診療報酬引き下げのほか、患者の大病院志向が高まり、中規模以下の安定経営が難しくなっている」と分析している。

 一方、全国に144ある国立病院は20年度、約7割が黒字を確保。しかし、地方自治体が運営する公立病院は、逆に約7割が赤字となった。

民間病院収益二極化、診療報酬下げが直撃 “医療弱者”へ悪影響も(2010年9月25日産経新聞)

 民間の大規模病院と中小病院で、経営状態が二極化している実態が明らかになった。背景には、政府が長らく続けてきた診療報酬の引き下げによる「淘汰の誘導」や、高評価を得る優良病院への患者の集中があるとみられる。ただ、明治以来日本の医療の中心を担ってきた民間病院の減少が進めば、患者の選択肢の狭まりや、地方の高齢者など“医療弱者”への悪影響も懸念される。

 厚生労働省の統計によると、平成2年に1万を超えていた全国の病院数は、22年3月末時点で約8700施設に減少した。

 その大きな要因となったのが、診療報酬の改定だ。22年度は全体で0・19%の引き上げとなったものの、自民党政権が続いた21年度まで、10年連続で計7%も引き下げられた。

 大阪市の中堅病院院長は「今後(診療報酬引き下げを)意図的にやれば、病院経営の淘汰はさらに進む。国は民間病院を整理し、公立病院を残すことしか考えていない」と憤る。

 この院長は「僻地医療を公立病院だけで支えられるのか」と警鐘も鳴らす。実際、民間病院が破綻した地域では、公立病院も医師不足から診療科が減り、結果的に住民が地域内で必要な診療を受けられなかったり、選択肢が狭まったりするケースも表れている。

 一方、都市部の大病院も安泰とはいえない。東京都心で約500床を抱えるある総合病院は、最高水準の医療体制が高く評価され、著名人も数多く利用するが、本業である医業損益は赤字で、不動産の運営益で全体の黒字を確保しているのが実情だという。

 医療関係者は「模範的な医療を提供しても、赤字経営は避けられないという事実に、国も国民も気づいていない」と指摘している。

国は気付いていないというよりも、そもそも厚労省としては中小病院の淘汰が当初から目的としてあるわけですから、赤字補填が可能な公立病院か、本業の医業収益以外で経営を支えられる余力のある民間基幹病院しか生き残れないという状況であれば、これは願ってもないという話ではあるわけですよね。
昨今では頑張っている病院には様々な加算を認めましょう、努力している施設には診療報酬で報いますなんて表向きは言っていますけれども、例えば医療安全対策加算なんてものを取れる施設は全国でわずか17%と、実際には「取れるものなら取ってみれば?まず無理でしょうけど(笑」という状況に置かれているわけです。
見かけ上は診療報酬は多少なりとも引き上げましたと言っても、現実には大多数の医療機関にとっては全くその恩恵が及んでいないとなれば、表看板の掛け替えはどうあれ厚労省のホンネは全く変わっていないじゃないかと言うことになりますが、実際に地域の中小病院が消えて基幹病院だけが残ると医療の現場はどうなるかですよね。

今ですら基幹病院は重症患者の対応に手一杯で一般外来などやりたがってはいませんが、仮に潰れた中小病院から医者が流れ込んだところで外来をこれ以上広げられるとも思えない(そもそも診察室その他のスペースはとっくに埋まっているはずです)、人手が増えたにしてもより重症で手のかかる入院患者にこそマンパワーを投入するはずですよね。
外来は今以上に混雑するだろうこともさることながら、入院患者も当然今まで以上に増える、そして症状が落ち着いてきた患者を帰す前にワンクッション置こうと転院先を探そうにも、引き受けてくれたはずの地域の中小病院は壊滅しているわけですから、人手が増えたはずなのに今まで以上に病床の回転は悪くなるという奇妙な現象が予想されます。
その結果平均在院日数も増えれば診療報酬は切り下げられてくるわけで経営は苦しくなるだろうし、体力のある施設は施設でそれでは外来部門は独立させようか、急性期を脱した患者を移す回復期向けの施設も用意しようかとなれば、何のことはない近所の中小病院を温存しておいても同じことだったじゃないかという話になってしまいますよね。

民主党政権自らがお得意の政治主導でこれだけちぐはぐなシナリオを描いているのだとすれば、むしろ芸とも言うべきある種のセンスを感じる仕事ぶりですけれども、恐らくは医療に暗い大臣の下で官僚達が粛々と既定の路線を踏襲してきただけというだけのことではないかという気がします。
弁護士出身でもともとネクスト法務大臣にも名が上がっていた細川新大臣にしても、最初から冒頭のような素人臭いことを口に出してしまうくらいですから医療畑に暗いのは見え見えですが、そうなりますと名指しで医療分野を任されることになった藤村副大臣、岡本政務官あたりがこうした流れを是認するのか、それとも本気の政治主導で何かしら独自の対案を出してくるのかが今後の注目点でしょうか。
しかし「中堅の非常に有能な医者」とも紹介された岡本政務官にしても内科医として7年ばかりのキャリアがあるだけで、しかも学位取得でそのうちの半分は大学院暮らしですから臨床のキャリアは医系技官並みでしょうし、藤村副大臣にしても工学部出身の素人で、しかも国際カイロプラクティック教育議員連盟幹事だなんて今どき大丈夫なのかと思う経歴の持ち主ですから、この人達が一体どこまで政治主導でやっていけるのかですよね。

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2010年9月27日 (月)

こういうのも中国問題というのでしょうか

ちょうどこのところ中国絡みで世間が賑やかなことになっていまして、何かしら中国絡みの話題をと探していたわけでもないんですが、そう言えばこちらはスルーしていたなという話題を取り上げてみましょう。
日本も観光立国だ医療ツーリズムだと近頃では外国人、とりわけ中国人富裕層の誘致に熱心だそうですが、そんな中ちょっと先行きにケチがついたんじゃないかと思えるような話が先日出ていました。

妊産婦をサポート、中国語医療通訳を養成へ /京都(2010年9月23日京都新聞)

 京都市内の中国人妊産婦を対象に、病院や行政機関で診療や助成制度の手続きを助ける中国語の医療通訳の養成に、下京区のNPO法人「多文化共生センターきょうと」が10月から乗り出す。市内の中国人居住者が増え続ける一方、医療や行政側に中国語を話せる人材が少ないミスマッチを解消する狙いだ。

 同センターは市内4カ所の病院に限って中国語の医療通訳を派遣している。昨年度は、英語などを含めた派遣約1600回のうち、9割以上を中国語通訳が占めた。

 新たに養成する中国語の医療通訳は、妊産婦の要望に応じた医療機関をはじめ、出産費用や乳児にかかる医療費の軽減制度を利用するために区役所窓口などへ帯同する。通訳には時給1500円と交通費を支給する。

 10月15日からの毎週金曜に計10回、同区のキャンパスプラザ京都で、母子保健の制度▽出産に関する医療の知識▽診療時や行政窓口での手続き-などについて実技指導を交えて講義した後、試験を課す。合格者を、来年1月から通訳として現場へ派遣する。

 同センターの重野亜久里代表は「専門性の高いプロの人材を養成し、国際結婚や就労、留学などでこれからも大きくなる中国語医療通訳へのニーズに応えたい」と話している。

 日本語と中国語で日常会話をできるのが受講の条件。料金は、30日までに申し込むと1万円。定員25人(先着順)。同センターTEL075(353)7205のホームページから申し込む。

この話、少しばかり注目しておきたいのが「出産費用や乳児にかかる医療費の軽減制度を利用するために区役所窓口などへ帯同」といった仕事も行うということで、昨今では中国人と日本人とを問わずお産費用の踏み倒しが多発しているということですから、こういうところできちんとサポートを行っていくというのは病院にとってもありがたい話ですよね。
ところでこれも別な方面から見れば昨今政府が音頭を取って進めている医療ツーリズムとも関わってきそうな話でもあるわけですが、基本的にあちらは健診や高度医療と絡めて海外富裕層を呼び込むというのが主眼である一方、こちらの方はもう少し身近な半ば定住レベルの外国人を相手にした話であるという点で違いがあります。
健診にしろ高度医療にしろ最初からやることは決まっている顧客を対象に、それを専門にやると言っている医療機関が相手をするわけですから話は簡単であるわけですが、こちらのような話ですと予定分娩のみに留まらず、それこそ未受診妊婦や飛び込み出産などにも関わることになるでしょうし、将来的には妊婦以外の領域にも幾らでも需要はありそうな話ですよね。

対象が多様化してくればもちろん起こりえる事態も複雑化してくる理屈ですし、そうでなくとも気の利いた検診レベルでもちょっとした検査用薬品でいきなり心肺停止なんてこともないとは言い切れませんから、当然ながら予定通りに行かなかった場合のリスクマネージメントにも考えが及んでいなければならない道理です。
ところが医療現場ではどうも未だにそちら方面への手配にはあまり気が回っていないのではないかと感じられる事件が、つい先日起きてしまったと言うのはタイミングがいいのか悪いのか、医療ツーリズム推進という国策を前にして思わぬケチがつきかねないということですよね。

中国人観光客:心臓発作、治療費600万円超 保険適用されず家族困惑 /大阪(2010年9月19日毎日新聞)

 ◇「日本旅行ブーム」の陰で

 今月2日に中国から観光で関西国際空港に降り立った男性(72)が心臓発作で倒れて病院に入院、医療費が600万円以上に膨らみ、家族らが途方に暮れている。渡航前に旅行保険に加入したが、病気の治療には適用されず、全額自己負担を求められているためだ。集中治療室で意識が戻らない中、家族は「どうやって支払ったらいいのか」と困っている。

 男性は河南省から来日した医師、王〓貴さん。妻の趙翠芳さん(68)と団体ツアーで来日、10日間かけ国内を巡る予定だった。

 王さんは関空に到着直後から胸に痛みを覚え、空港近くのホテルでさらに悪化。意識を失い、泉佐野市の病院に救急搬送された。緊急手術の費用や入院などで治療費は16日までで計約658万円に達し、今後さらに増える見込みだ。しかし、中国で加入した旅行保険では、既往症には適用されない

 王さんは勤務先の病院を退職し、現在、月ごとに支払われる約3万円(日本円換算)の「退職金」で生活。旅行費は貯金から約10万円(同)を出し、初めての海外旅行を楽しみにしていたという。

 中国から日本への観光客は急増中だ。00年に団体観光が始まり、今年7月には個人向け観光ビザの発給要件も緩和された。そんな「日本ブーム」の中で王さんを病魔が襲った。趙さんは「親切にしてくれた日本の病院関係者には本当に感謝してる。20年、30年かけても分割で支払いたいが、そのすべもない」と涙にくれている。【平野光芳】

まったくの下世話な話ですがこういう話になると、どこぞの人たちが「かわいそうな人を助けてあげよう!」なんて募金を呼びかけたりするものですが、当今の状況下にあってはどうなることでしょうね?
それはともかく、もちろん保険外の自由診療扱いですから本来は医療保険の定価に縛られる必要はないわけですが、事情が事情だけに原価ぎりぎりの価格で請求していると考えると、恐らく限りなく保険の診療報酬通りの定価販売に近い額となっているんじゃないでしょうか?
普通の人が何も知らずに毎日新聞の記事を読んでいると「なんて高いんだ!」とも思ってしまいそうなこの件、ちょうど「天漢日常」さんが取り上げていてその通り!と思ったのですが、少しばかり引用させていただきましょう(改行を勝手に修正させていただいています)。

 ICU管理1日入院でいくら取られるか考えただけで もし中国で心臓発作でICU管理だったら、家族は治療を承諾したのかという辺りが気になる。
で、2年前のデータなので 現在は更に高騰していると思われる中国の医療費データがジェイアイ傷害火災保険のサイトにあった。
中国(上海) 医療事情があったので、それによると

 上海でICU管理一日15万円

のようだ。この当時のレートで考えると ICU一日1万元ってことでしょ?
今回の事例ではないが 日本人が搬送された例が上がっていて、それは

    頭部の痛みを訴え受診。チャ-タ-機で医療設備の整った病院へ搬送。脳内出血と診断され25日間入院。8,247,124円

というもの。チャーター機が高そうだが、その下の

    トイレの段差を踏み外し転倒。胸椎圧迫骨折と診断され4日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添いチャーター機で医療搬送。4,953,716円

と言う事例と比べると、チャーター機の費用が200〜300万円程度かな〜。
脳内出血はICU管理だろう。そうすると 一日1万元のICU管理料で更に高度な医療を施すとなると、結構取られることになる。

ちなみに「天漢日常」さん曰くアメリカでは「ICU管理に一泊2万ドル」ということで、このほかにもいろいろな事例報告を取り上げていますけれども、「アメリカで早産した知人は1億請求きた」とか「弟がタイで脳梗塞で倒れたけど400万請求された」とか、要するに日本が世界に向けて顧客を呼び込もうとしている高度医療で最高の手当をしてもこのレベルというのは、実はどんだけ安売りしてるんだよとも受け取れる話なんですよね。
もちろん国際相場からすると不当なダンピングレベルでも無保険となればそれは確かに絶対値としては高いのは事実ですが、逆に何であれ先払いでなければ医者が手を出さないという中国で同じ状態になっていたとして、同様のレベルの医療を受けていたのかと言えば恐らく断っていただろうとも思われる状況でもあったわけです。
このあたりは昨今の無保険患者の増加を考えた場合に日本人相手であっても決して人ごとではありませんけれども、命は何よりも重いはずだとついついお金のことは考えずにやれるだけの医療をやってしまう、あるいは仮に支払いの懸念を感じてもJBM的に徹底的な治療をやらざるを得ないという、現代日本の医療における弱点をピンポイントで突かれてしまった事例ではあったかなという気がします。

今回は不運な旅行者の話ですけれども、今後国が言うように国外から外国人を大勢呼び寄せ観光立国化を図るということになれば当然同様の事態は急増するでしょうし、そうでなくとも国内に定住している外国人も増えてきているわけですから、これからもいつ何時同様のことが発生するかは知れないということです。
最近では都道府県毎に救急搬送のルールを策定するように義務づけられることになって、いずれは黙っていても勝手に患者が送りつけられてくるような時代が目前に迫っているわけですが、そうなりますとどこの病院でもいつ何時こうした症例を引き当ててしまう可能性があるということで、医療を行う側も早急に意識改革をしていかなければ大変なことになりかねませんよね。
国が本気で外国人を呼び込もうとやる気を出しているのであれば、こうした方面に関しても何かしらの対策を早急に講じてくれないことには困るということなんですが、現在の政治の状況を見ていると到底そんなところにまで気を回していられそうな気配でもないんですよね…

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2010年9月26日 (日)

今日のぐり:「味助」

そろそろ台風シーズンですけれども、先日こんな画期的発明で特許取得をした会社があることをご存知でしょうか。

[台風]潜水艦使い海水温度下げて抑制 三重の会社が特許(2010年09月20日毎日新聞)

 三重県桑名市の鋼(こう)構造物設備会社が、台風が進む海域に潜水艦を出動させ、海中の低温水をくみ上げて海面水温を下げることで勢力を弱める構想をまとめ、このほど日本とインドで特許を取得した。海面水温が高いと台風の勢力が維持されることに着目して考え出したという。

 この会社は伊勢工業で、06年1月に日本と米国、インドの3カ国で申請、今年7月に日本とインドで認められ、近く米国でも認められる見通しという。

 特許は「海水温低下装置」という名称で、潜水艦の両側に長さ20メートル、直径70センチのポンプ付き送水管を8本取り付けたうえで、水深30メートルから低温の海水を海面にくみ上げる仕組みだ。

 発案者である同社の北村皓一社長(84)によると、潜水艦1隻当たりの送水能力は毎分480トン。潜水艦20隻を台風の進路に配備すると、1時間で周辺海域5万7600平方メートルで水温を3度程度下げられ、台風の勢力を弱められるという。

 気象研究所(茨城県つくば市)などによると、台風の発生には海水温が25~26度以上であることが重要な条件で、勢力を維持するには27度以上が目安になるという。同研究所は今回の特許について「現状では台風の進路予想の精度などに課題はあるが、理論上は台風を小さくすることが可能」と評価している。

 北村社長は、これまでも水道管の漏水を内部から補修する「内面バンド」など約30件の特許を取得しているが、特許使用料などの対価は求めてこなかった。今回の特許も、構想に対する公的機関のお墨付きを得るのが目的と話している。【田中功一】

え~、もちろんネタではないんだと思いますが…ちなみに今を去ること半世紀ばかり昔のこと、当時絶頂期にあったアメリカでは台風にドライアイスを投下し進路を変更するという壮大な実験が行われましたが、この結果進路を歪められた台風によって甚大な豪雨被害が発生したことから、以後同種の実験は中止されるに至ったということです。
ま、だからどうだというわけではないんですけれども、今日は世界中から「確かにすごいといえばすごいんだけれども、それはいささかどうよ?」と少なからず首をひねってしまいそうな最新技術の成果というものを紹介してみますが、まずは日本から比較的まともそうなこちらの技術を紹介してみましょう。

コケで金を回収、リサイクルに応用へ 理研、DOWAが発見 (2010年8月9日産経BIZ)

 たき火の跡などによく生えるコケの一種が、金を選択的に体内に取り込むことを、理化学研究所と非鉄金属大手「DOWAホールディングス」(東京都)の研究グループが発見した。最大で乾燥重量の約10%もの金を蓄積するという。貴金属をわずかに含む廃液から、金を再回収する技術として実用化を目指す。(原田成樹)

 金を取り込むのは、「ヒョウタンゴケ」というありふれた種。世界中に分布し、特にたき火や火災の焼け跡でよくみられる。

 理研は、文部科学省の「経済活性化のための研究開発」(リーディングプロジェクト、平成15~19年度)として植物を利用した環境浄化の研究に取り組み、ヒョウタンゴケが生物に有害な鉛を回収する能力を持つことを発見。20年からDOWAホールディングスと共同で、コケを用いた重金属廃水処理装置の開発に乗り出し、ヒョウタンゴケが金も取り込むことを新たに見つけた。

 廃液から金や鉛を回収するには、成長した株ではなく、コケの赤ちゃんに相当する「原(げん)糸(し)体(たい)」を使う。研究グループは、原糸体を水槽内でクロレラのように培養する技術を開発し、2週間で300倍に増える量産性を実現した。

 家電やパソコンなどの電子部品の配線、電極には金メッキが多く使用されているが、通常の回収処理法では微量の取り残しが出る。研究チームの実験では、リサイクル原料を再資源化処理した後の廃液でヒョウタンゴケを育成、2週間後にはコケ重量の10%に当たる金14・8グラムを取得できた。

 鉛の回収能力は最大で重量の70%。プラチナも数%回収できることが分かった。多種の金属を含む廃液でも取り込む元素は限定され、蓄積される場所が大まかに分かれているので、回収上のメリットが大きい。

 廃液中の微量な貴金属の回収は、従来はコストに見合わないとされてきたが、DOWAホールディングス側から研究チームに加わった中塚清次さん(理研客員研究員)は「鉛の浄化に加え、金回収も視野に実用化研究を進める。化学物質でなく植物を使って処理できることが重要」と語る。

 ヒョウタンゴケが、なぜ金やプラチナを取り込むのかは分かっていない。理研の井(い)藤(とう)賀(が)操研究員は「通常の生き物は、そもそも細胞の中に金などが入らない」と首をかしげる。強い酸性やアルカリ性の過酷な環境でも生育するヒョウタンゴケは、進化の過程で有害な金属にも耐える能力を獲得したとも考えられる。

 井藤賀さんは「コケは4億年も前から、環境に適応しながら進化してきた。持続的社会を形成する上で、もっと学ばなければならない」と話している。

 ■ヒョウタンゴケ ヒョウタン形の胞子嚢(のう)を持つコケで、世界中に分布する。灰への耐性が強く、火事場跡など他の草やコケが生えない場所によくみられる。国内では焼却灰などが埋められた廃棄物の最終処分地でも確認されている。

これ、確かに話を聞くだけでもすごい技術で、将来敵には環境汚染などに対する決定的な技術にもなりかねない大発見だと思うのですが、なぜ金のような不活性な物質をわざわざ取り込むのかが何とも不思議な話ではありますよね。
同様に実用化すれば素晴らしいという話ではあるのですけれども、別な意味でもインパクトが強すぎるだろうというニュースがこちらです。

衝撃的に素朴な1人乗りロケット試作機、打ち上げへ/デンマーク(2010年8月30日朝日新聞)

 ミサイルのような1人乗り有人ロケットの試作機が、9月2日にもデンマーク沖のバルト海で打ち上げられる。今回は人形を載せた高度30キロのテスト飛行だが、高度100キロを超える飛行能力を持つ。数回のテストを重ね、安全性が確認できれば有人で打ち上げる。成功すれば、宇宙に独自に人を送った国として、旧ソ連や米国、中国に続き、デンマークが4カ国目になる。

 米航空宇宙局(NASA)の元技術者らの民間団体が開発した。小型ロケット「HEAT―1X」で、宇宙船「ティコ・ブラーエ」を打ち上げる。船名は16~17世紀の同国の天文学者からとった。

 全長は約10メートル、直径約60センチ。飛行士は先端の透明なカバーに顔をのぞかせるようにして立って乗る。個人の寄付5万ユーロ(約600万円)や地元企業からの提供を受け、ボランティアで製造された。1千人以上の出資者のほとんどはデンマーク人だが、日本人の名前もある。

 固体燃料と液体酸素のハイブリッドエンジンで、人間を上空約130キロまで持ち上げる。数分間の無重力が体験でき、地球も丸く見える高度だ。帰還は、パラシュートで海に着水する。

 民間ロケットに詳しい米宇宙関連財団職員の大貫美鈴さんによると、作ったのは愛好家集団のような団体で、数年前に国際会議で発表され、「人間1人を宇宙に連れて行くだけ」という最小限のコンセプトが衝撃を与えた。技術的には手堅く、エンジンの燃焼試験にも成功。打ち上げは、米国の宇宙業界関係者も注目しているという。

 民間の有人宇宙飛行は、英航空会社が出資するヴァージン・ギャラクティック社(米国)の宇宙船「スペースシップ1」が成功。さらに、複数の企業や団体が「宇宙旅行」を目指して開発している。

 宇宙航空研究開発機構の的川泰宣名誉教授は「素朴な発想で面白い。人が耐えられる加速や衝撃以下にエンジンと姿勢を制御できるかがカギ。でも、本当に人を乗せる勇気があるかなあ」と話した。(東山正宜)

いやまあ勇気と言いますかなんと言いますか、確かに実物の写真を見るだけでもシンプルに過ぎるコンセプトが直に伝わってくるような構造なんですが、この内部に収まって実際に空に飛び出すという局面を想像した場合に、どうも宇宙に行ってみたいとか言ったこととは別方面での需要の方が期待できそうではないですかね?
一方でこちらはコンセプトのみの提示ということですけれども、既存の技術の延長線上?でもここまでぶっ飛ぶことが出来るのかという意味ではちょっと驚くべき計画ですよね。

巨大ヘリコプター型の空飛ぶホテル「Hotelicopter」を造るとこうなる/アメリカ(2010年09月17日GigaZiNE)

YOTELというホテルグループが「巨大ヘリコプター型の空飛ぶホテルを造るとこうなるだろう」ということでホテル予約サイトの宣伝用に考えてみたネタなのですが、なかなか夢のある内容で、ムービーまであります。
モデルになったのは旧ソ連製の「Mil V-12」となっており、その名は「Hotelicopter」、全長42メートル・全高28メートル・最大速度は時速255kmとなっており、やろうと思えばできるのかもしれず。

詳細は以下から。
Elevate Your Stay | Hotelicopter
(中略)

なお、以下に紹介用ムービーがあります。実際に飛んでいるイメージムービーはなかなか圧巻。

YouTube - The Hotelicopter

YouTube - The Hotelicopter Part II

リンク先のCG画像を見ているだけでもこの素晴らしいデザインセンスがよく判ると思いますけれども、植民地人の仕事にしてはこのセンスは妙に先祖返りして見えるのは気のせいでしょうか?
ぶっ飛んだ最先端技術と言えばお隣中国などは素晴らしい実績を誇ることで知られていますけれども、まずはお約束のあのネタ再びという話から始めてみましょう。

最先端トンデモ緑化技術再び=ペンキ一塗りではげ山があっという間に緑の山に―中国(2010年9月3日レコードチャイナ)

2010年9月2日、金羊網は、陝西省渭南市華県のとんでもない緑化技術を取り上げた。気持ち悪いほど鮮やかな緑は何とはげ山にペンキを塗ったもの。どこからどう見ても間違った「緑化」にしか思えないが、現地政府担当者は「最も先進的な緑化方法だ」と胸を張っている。

華県の南山大道を進むと、問題の「緑の山」が出現した。岩がむき出しとなったはげ山にペンキが塗られたもの。毒々しいまでに「緑化」されている。剥がれ落ちた石を拾うと、鼻をつんとさすペンキのにおいがまだ残っている。付近の住民に話を聞くと、「緑化」された山はもともと採石場だったという。1か所だけではなく、同様に「緑化」された山は複数あるという。

華県国土資源局鉱山弁公室を訪ねると、担当者は「緑化」の事情について説明してくれた。環境保護活動の一環として、華県にある採石場数十か所が閉鎖されたという。最終的には本物の植物を使った緑化が行われるが、臨時措置としてペンキによる「緑化」が実施されたのだという。鉱山弁公室の李主任は「インターネットを通じて海外の経験を学んだもので、国内最先端の緑化方法です」と胸を張った。

ペンキによる「緑化」といえば、2007年には雲南省昆明市富民県でも確認されており、世界的な話題となった。こちらは風水の関係上、「緑」が必要だったとの話。風水のための「緑化」と最先端の「緑化」。理由は違っても、間違った結果だけは共通している。(翻訳・編集/KT)

元記事の写真を見るだけでもこの不自然さにはびっくりですけれども、失礼ながら予算不足だとか手抜きだとかいった事情で仕方なしにやっていたのかと思っていましたら、むしろ当事者はこれがベストだと胸を張っているというのですから二度びっくりですよね。
もう一つ、こちらもかの国お得意のという話なんですが、ある意味このアイデアをもう少し有益な方面に生かせばと残念にも感じられる話です。

iPod touchをiPhoneにしてしまう脅威の道具が登場-中国(2010年8月3日サーチナ)

 中国のシリコンバレーとも称される北京市の中関村で、iPod touchをiPhoneにしてしまう「脅威」の道具が販売されている。一般的に販売されている保護カバーらしき道具をiPod touchに取り付けるだけで、電話やメールが使えるようになるという。3日、北京日報が伝えた。

 記事によれば、iPod touchをiPhoneにしてしまう「脅威の保護カバー」にはSIMカードのほか、電池を設置することができる。それにより、 120時間の連続使用のほか、4.5時間の連続通話が可能となるという。iPod touchには音声を拾うマイクが搭載されていないが、「脅威の保護カバー」にはマイクも搭載されているため、通話が可能になる。

 「脅威の保護カバー」は、中関村の業者の間では知らぬものがいないほどの認知度を誇り、品切れになるほどの人気ぶりだ。現在は希少価値もあって、1480元(1万9240円)ほどで販売されているという。また、中国最大のショッピングモール「掏宝网(タオバオ)」では500元(約6500円)ほどで販売されており、同商品を扱っている店舗には、すでに数百ものユーザーから注文が殺到している。

 現在、中国ではiPod touch(8GB)は1500元(約1万9500円)ほどで販売されているが、iPhone はもっとも安価なモデルでも4999元(約6万5000円)もするため、「脅威の保護カバー」を取り付けたiPod touchはiPhoneを購入するより非常に安上がりというわけだ。(編集担当:畠山栄)

ちなみにその名も「林檎の皮(苹果皮)」と言うこの道具、裏面に「PEEL」というロゴが入っているのですが、最近アメリカの大手携帯電話キャリアであるSprint社から「iPod touch向けに「無線ルーター付きケース」を提供準備中」というアナウンスが流れていまして、この製品ロゴも同じ「PEEL」なんだそうですよね…
本日最後に取り上げますこちらのニュースは今回一番気に入った話題なのですが、どこかの国のうさんくさい緑化と違ってこちらは本物の緑化であるだけに、確実に環境に貢献してくれる…はずですよね…

「究極の環境車」!? エンジン部分に木植える カナダ(2010年9月2日カナダ)

 カナダのバンクーバー市内の路上で、エンジン部分に樹木が植えられたユニークな自動車が展示されている。

 都市の変革をテーマにした共同プロジェクト「スティック・シフト」の一環として、車や食料生産に不可欠な石油が枯渇した場合、車や道路をどう再利用すればよいかという問いかけから制作された。エンジンを取り除いた車に樹木が植えられている。

 この「庭付き自動車」は計4台作られ、夏が終わるまで市内各所の道路で見ることができるという。(ロイター)

この写真がまた素敵なんですが、ところで素朴な疑問としてこの車、本来の機能は果たせないでしょうにこれで「車の再利用」というのもどうかという話なんですが…そう言えばカナダと言う国も、かつての宗主国はあそこでしたよねえ。

今日のぐり:「味助」

どうも近頃では単に肉を焼いて食うだけなんて料理は料理人のプロの技も何もないもので、一番無駄にカロリーを採るだけのことなんじゃないかという気もしているのですが、そうは言っても時には肉も食ってみたいというのが人間の素朴な心理と言うものですよね。
そんなわけで久しぶりにお邪魔したのがこちら「味助」ですが、最近ちょっと無茶気味な出し方をされることが多かったので、とにかく少なめでと念を押して(苦笑)お任せで頼んでみました。
そうするとなにやら質の方で頑張ってもらったようで、ヒレとロースというごくありふれた部位なんですがずいぶんと良い肉でしたね。

こちらでは見事にサシの入った肉をステーキのような分厚い切り方で出してくるのですが、これが口に入れると噛むほどもなく勝手にとろけていくというのは、初めて食べた人間はまず驚くところです。
ここはほとんど漬けダレというものは使わない店で、一応タレも出てくるんですが個人的には断然塩胡椒でいった方がいいと言う感じで、レア気味にささっと炙って食べてもいいし、邪道かも知れませんが隅っこの方で脂を落としながらカリカリに焼き上げてもうまいものです。
正直近頃ではこういうサシのリッチな肉より赤身の肉で肉の味を噛みしめるのが好きなんですが、相対的に脂の比率がこれだけ高いのにその中から肉のうまみも濃厚に出てくるというのはすごいですよね。
さすがに脂がこれだけ強いとそんなに沢山は食べられませんけれども、後でひどいことになると判っていてもついついもう一口と尾を引くのは、肉自体の質もさることながら熟成加減もずいぶんと良さそうなんですが、このあたりはさすが元肉屋という感じの目利きぶりではありますよね。
締めには例によってさらっとわさび茶漬けで脂を流しましたが、ここは野菜も地味に味が濃くていいんですが、後で出てくる果物も毎回地味にうまいのはこだわりを感じさせますね。
不満点を挙げると飯の味、扱い方が今ひとつな点で、まあひたすら肉を食わせる店の性質上仕方がないんでしょうが、これがもっと粒が立っていて銀シャリ!って感じであればなお良かったですかね(とは言っても、普段ここでご飯など余計なものを食べていられることはまずないんですが)。

しかしこれだけの質を保っていても近年日本も不景気だということなんでしょう、ひと頃と比べるとお客の入りは減っているなと感じたのですが、食べる側にしてみれば味が同じであるなら混まない方がありがたいくらいのものですよね。
そのせいもあってか親父さんも結構フロアに出て喋りっぱなしでしたが(苦笑)、今日の肉は肉屋の売値よりも安いよと言うだけあって、もちろんこれだけの肉ですから絶対的な単価自体はそれなりなんですが、このレベルの肉を食わせる店はあっても、この値段で出してくる店というのはそうそうないのは断言できます。
とにかく肉をひたすら食いたいという向きには、味の絶対値にしろコストパフォーマンスにしろ相当高レベルな店と改めて感じ入った次第ですが、やはり最初は少なめに頼んで必要なら追加してもらった方が、健康のためには良さそうですよね…

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2010年9月25日 (土)

逆境の中であがき続ける既存メディア

またぞろ今日もあの業界の話題ということになりますが、しかしこうして見てみると既存メディアの情報一極集中の構図が崩れ去った結果、なかなか面白い時代になってきたなと思いますし、そんな環境の激変の中で右往左往する彼ら業界人こそ一番の見ものではありますよね。
さて、今日はマスコミ各社の中で(今のところ)取り上げたのはこの読売の短い記事だけという、小さな小さな話から紹介してみたいと思います。

麻生さん彷彿、菅首相「疾病」を「しつびょう」(2010年9月23日読売新聞)

 菅首相が22日夕(日本時間23日午前)に国連ミレニアム開発目標サミットで行った日本語での演説で、「疾病(しっぺい)」を「しつびょう」と読み間違える場面があった。

 首相は「疾病、貧困、紛争といった不幸をできるだけ小さくすること」と述べた際に誤読。その後、薬害エイズ問題に関し、「疾病の問題への関心が一層国民の間でも強くなりました」と述べた時は正しく読んだ。

いや確かに、話自体は本当にどうでもいいようなことでニュースバリューもありそうにないものなんですけれども、麻生さんの頃にはわざわざ学者先生に分析させてまで一生懸命バッシングに精出したというのに、この扱いの差は一体何なのかという気はするところですよね。
仮にも元厚生大臣で名を売った総理がこんなところで間違っちゃいけないという話ですが、麻生さんの場合はわざわざ誤読後の言い直しの部分だけはことごとくカットしてテレビで連日流していたくらいですから、他にはよほど叩きどころがなく困ったということなのか、それなら今の総理の場合は…と言うことなんでしょうか(苦笑)。
何にしろ、とりあえずアリバイ的な意味としても取り上げてみましたというY社はその点正直な方なのでしょうが、そのY社からもいよいよ引導を渡されたというのがこちら同業M社です。

サンデー時評:新聞・テレビ消滅論にみる「大仰」(2010年9月26日サンデー毎日)

 先夜、東京・赤坂の小料理店で女子大生と話した。早大政経学部の三年生、この店でアルバイトしながら、就活に忙しいという。
「わたし、新聞社かテレビ局に入りたいんです」
 と彼女が言うので、私はまず尋ねた。
「新聞、何かとってる?」
いえ、特に
「一紙も」
「ええ」
「じゃあ、新聞読んでないの?」
たまに読みますよ、大学の図書館なんかで……
「友達も新聞とってないのかなあ」
そうじゃないですか
「あんた、それで新聞社に入ったとして、何やりたいの?」
「そりゃあ、記者とか」
「ふーん、記者志望ならねえ、新聞には目を通しておかないと」
「はい、これからは読みます。たびたび図書館に行って
 購読するという展開にはなりそうにない。少なからずいらついた
「あんた、試験受けるなら、一紙ぐらいとって新聞になじんでいたほうがいいと思うがね」
「そうですか。じゃあ、とります」

 大学生が新聞を読まないという話は以前から聞いていたから驚かないが、新聞社を希望する学生まで読まない。そこまで来ている。ビール会社に就職したいからといって、前もってビールを飲まなくてもいいでしょ、という理屈を聞かされているみたいで、新聞人の一人として心穏やかでない
 大詰めの民主党代表選にしても、新聞・テレビをじっくり読む・観ることは少なく、ケイタイ情報などでチラリと知ればこと足れりなのだろう。本当の情報とは何かが理解されない時代になっている
 とにかく、新聞・テレビの経営危機が年々深刻になっているようだ。テレビの出演料が最近がたんと落ちたことでも、それははっきりしている。読者、視聴者が減り、従って新聞の場合は販売、広告の両収入、テレビは広告収入がダウンしたからだ。
 危機に陥ったからといって、経営努力で再起を果たすケースはいくらでもあるが、新聞・テレビは努力が効きにくい業種らしい。去年だったか、Y社の経営者から、
消費税が上がれば、きみんとこ(M社)はつぶれるよ
 とあからさまに言われたことがあった。怒るよりも前に、新聞業界の生存競争がかなりの段階にきたことを知らされた感じだった。なぜ新聞・テレビは斜陽産業に陥ったのか。答えは一つ、二つではない。

 本棚から積ん読本の一冊、佐々木俊尚著『2011年 新聞・テレビ消滅』(文春新書)を取り出して開いてみた。初版が二〇〇九年七月、この四月で九刷りというから、新聞は読まれなくても、このテの本は売れているらしい。
 似たような題名の本は何冊も出ている。パラパラめくったことはあるが、どれも思い込み先行型の内容でほとんど参考にならなかった。ただ、本書は〈2011年〉と消滅時期を明記しており、それが目の前に迫っているのも多少気になったりして、買い求めておいたのだ。

 ◇意識革命迫られるが誇張してはいけない

 著者の佐々木さんに面識はないが、経歴をみると、私の三十年後に入社した元毎日新聞記者で一九九九年に退社、IT雑誌の編集者を経て、二〇〇三年からはフリーのITジャーナリストとして活躍中という。先日来、二、三カ所で佐々木さんの名前を耳にした。
「あの孫正義と激論して泣かした男……」
 というのである。ソフトバンク会長の孫さんと佐々木さんがインターネットテレビで対談した際、孫さんが全国に光回線網を敷こうとする計画をめぐって、多くの人から、
「結局、元韓国人の孫さんはソフトバンクのためにやっている」
 と言われるのが悔しいと涙を流した。
「私は日本人以上に日本人の魂を持ち、愛国心を持っているんです」
 と。佐々木さんは孫さんの感情をそこまで高ぶらせた討論力の持ち主ということだった。

 本に戻ると、〈2011年〉、つまり来年と期限を切った理由は割合単純である。
〈アメリカでは二〇〇八年、多くの新聞が倒れ、多くの街から伝統ある地方紙が消え、「新聞消滅元年」となった。いままでもそうだったように、アメリカのメディア業界で起きたことは常に三年後に日本でも起きる。すべては約束された宿命なのだ〉
 と佐々木さんは書いている。去年、アメリカを代表する『ニューヨークタイムズ』紙倒産の噂が流れたのは確かだが、持ちこたえた。〈常に三年後〉というのは、文化がアメリカナイズされ、よくも悪くもアメリカを後追いするハメになる日本的習性はわからないではないが、やはり思い込み先行型である。百数十年営々と続いた新聞史の幕引きが、宿命論で片づけられてはかなわない
〈原因は、新聞・テレビのぬるま湯体質という日本の特異性にあるのではない。そこを間違ってはならない。もっとグローバルな問題なのだ。新聞・テレビを取り巻いているのは、圧倒的な構造不況なのだ〉
 とも佐々木さんは指摘した。はるか後輩が教えてくれるグローバルな問題とは、構造不況とは何なのか。

 二百三十七ページを通読して、〈消滅〉という言葉が不適当なことがわかった。情報流通の主導権が新聞・テレビからインターネットによるIT企業に移りつつあり、それが大きな変革であるのは言うまでもない。
 だから、新聞・テレビは思い切った意識革命を迫られているが、第一次情報の発信源が新聞・テレビであることに何の変わりもないのだ。古い新聞社、古いテレビ局は姿を消す、と佐々木さんは言いたいようだが、それを〈消滅〉と大仰に表現するのは、記者OBらしくない。手作りの公平な情報こそが真の情報だ。古巣を俎上にあげるのに、誇張はいけない。
 二〇一一年に、新聞・テレビが消えるはずがないのである。

毎日新聞客員編集委員も勤める筆者の岩見隆夫氏としては、「第一次情報の発信源が新聞・テレビであることに何の変わりもない」と言い切りたい心境は理解できますが、しかし毎日新聞のお偉い方から「本当の情報とは何かが理解されない時代になっている」などとご高説を拝聴しますと、はて毎日的に正しい情報とは捏造のことですか、それとも偏向のことですかと件の女子大生も突っ込みたくなったでしょうね。
まあ相手を知るために相手の立場に立ってみるというのは意味のあることで、マスコミ関係者を目指すなら自らもマスコミ関係者のつもりになって一つでっち上げてみるというのも勉強になるでしょうから、女子大生としてもその参考資料に対する投資ということは考えておいても良かったのかも知れません。
ただ実際問題とりわけ若年世代における新聞離れと言う現象の広がりは、何もこの女子大生に限った話でも何でもないということを知っていれば、岩見氏としては「〈消滅〉という言葉が不適当なことがわかった」などと一人合点で納得している前に、例えば軍事用語で全滅とは部隊全員が死傷してしまったという意味ではないといった事例にも思いを馳せるべきだったのかも知れませんね。

“新聞離れ”が加速? 20代の52.7%は「読んでいない」 (2010年9月24日ビジネスメディア誠)

 あなたは普段、新聞をどのくらい読んでいますか? 16歳以上の男女に聞いたところ、75.8%の人は「読んでいる(よく読む+時々読む)」と答えていることが、文化庁の調査で分かった。2006年度に行った調査結果と比べると、「読んでいる」の回答は4ポイント減少した。

 年代別に見てみると、どのような違いがあるのだろうか。「読んでいない(あまり読まない+全く読まない)」と答えた人は16~19歳(57.1%)と20代(52.7%)で5割を超えていたが、60歳以上(14.9%)では2割を切った。また60歳以上を除くすべての年代で「読んでいる」と答えた人が減少し、逆に「読んでいない」が増加。中でも30代では「全く読んでいない」が10ポイントも増加するなど、“新聞離れ”が進んでいることが明らかに。

雑誌を読んでいる人も減少傾向

 雑誌を読んでいる人はどのくらいいるのだろうか。「読んでいる(よく読む+時々読む)は40.6%に対し、「読んでいない(あまり読まない+全く読まない)」は59.4%。2006年度に行った調査結果と比べると、「読んでいる」の回答は3ポイント減少した。

 

すべての年代で「読んでいる」の回答が減少する一方、「読んでいない」が増加。「読んでいる」の割合は20代(56.8%)が最も高いが、前回調査と比べ8.4ポイント減少した。

 インターネット上でニュースを読んでいる人はどのくらいいるのだろうか。「読んでいる」は40.6%に対し、「読んでいない」が58.5%。読む・読まないの割合は雑誌とほぼ同じであったが、2006年度の調査結果と比べると、「よく読んでいる」が8ポイント増加する一方、「全く読んでいない」が6ポイント減少した。

 「読んでいる」と答えた人を年代別で見てみると、16歳~30代までは新聞と雑誌の結果を、また40代と50代では雑誌の結果を上回った。すべての年代で「読んでいる」が増えており、中でも20代(72.8%)は前回調査と比べ14.1ポイント増加した。

 面接による調査で、16歳以上の男女4108人が回答した。調査時期は2~3月。

なぜ新聞がこうまで世間から見放されつつあるのか、もちろんネットの発達などもあるのでしょうが、一番肝腎なのは彼らの捏造体質がすっかりネットを通じて暴かれてしまったということ、そしてそうした経緯からネットを勝手に敵視し始めた結果、その主たる利用者である若年世代からすっかり嫌われてしまったということが大きいように思いますね。
あるいは別の言い方をすれば、彼ら新聞を初めとするメディア業界人の感覚が、すっかり情報の受け手側のそれからずれてしまったと言う言い方もできるかも知れませんが、近頃ネット世界を賑わせてきた(そして、一般メディアでは全くと言っていいほど無視されてきた)官房機密費問題の対談記事で、なかなかこのあたりの世間の感覚変化に対する興味深いコメントが出ているようです。

朝日新聞が、世間の感覚とズレにズレている理由(2010年8月11日ビジネスメディア誠)より抜粋

(略)
政治部は人であらず

相場:主要メディアで官房機密費問題を追及しているところはほとんどないのですが、一般の人にはかなり浸透してきたのではないでしょうか。

窪田:浸透してきましたね。これまで多くの人は、新聞記者やテレビ報道に携わる人のことを「中立な人だ」「正義の象徴だ」と勘違いしていましたが。

相場:確かに。大いなる誤解はあったでしょうね。
(略)
上杉:官房機密費は、政治の問題だけじゃないんですよ。メディアの問題。そもそも官房機密費というのはあって当然だと思う。使い道をオープンにすれば、いろいろな面で「抑止力」になるわけですし。問題は、ジャーナリストがお金をもらったということ。しかもお金の出所は税金なのに。

 ボクはこのことを何度も言っているのに、必ず「官房機密費のあり方について」という議論に戻されてしまう。フリーのボクがこの問題を取材していますが、本来であれば新聞やテレビが率先して内部調査しなければいけない。それが“筋”というもの。しかも税金の使い道に関する問題なのに、主要メディアはだんまりを決め込んでいる。記者クラブ問題のときと同様、今回の件についてはそういう動きが全くない。
(略)
相場:ボクには小学校5年生の子どもがいるんですが、なぜか息子のクラスにはマスコミ関係者の父親が多い。でも、父親がマスコミで働いている子どもは肩身が狭いそうで……。

窪田:それはかわいそうですね。

相場:ちなみに、ウチの息子はこのように言っているそうです。「ボクのパパは、元時事通信社の経済部だ。政治部ではない!」と(笑)。

上杉:昔は政治部以外は人にあらずだったのに……隔世の感がありますね。
(略)

何かもうマスコミ関係者、それも政治部記者の縁者ともなると世間でも肩身が狭いというのもまさしく隔世の感がある話ですけれども、ひと頃は朝日をはじめマスコミ諸社のバッシングで自衛隊の家族は学校でも肩身が狭いなんて時代があったと言いますから、因果応報とはこのことかと思いますよね。
この記事、朝日新聞社が日本の近代化にどれだけの役割を果たしたかと言うことを朝日自身の内部資料を引用しながら紹介しているくだりもあって、これがまたなかなかに興味深い内容でもあるので是非ご一読いただければと思いますが、もちろん表だっての朝日新聞ではそんな自分たちの貢献を声高に主張していたりはしないというのも面白いですよね。
そんな朝日ですから当然に歴史を紐解けば自爆としか言いようのない話も多々あるのですが、近頃話題になっている大阪地検の一連の暴走的行為に関しても、かつては誇らしげに自らの功を晒していたというのですから恥ずかしい話です。

マスコミ板「●■■真実を伝えないマスコミ■■●」スレ
より抜粋

6 名前:文責・名無しさん[sage] 投稿日:2010/09/14(火) 20:45:07 ID:IXADNt3C0
朝日新聞 2010年版会社案内 P5 より。

 

報道を受けて、大阪地検特捜部も2009年2月、強制捜査に乗り出しました。郵便法違反

容疑などで、制度を悪用した複数の企業の幹部や、制度を悪用するために障害者団体と
偽っていた団体の幹部、悪質な不正を見逃していた郵便事業会社員らを相次いで逮捕。
さらに制度を利用できる障害者団体だと認める厚生労働省の証明書を偽造して、偽の
障害者団体側に渡したなどとして厚労省の職員と局長も虚偽有印公文書作成・同行使容
疑で逮捕しました。04年以降の捜査対象分だけで、不正に免れられた郵便料金は約220
億円にのぼり、計20人が立件される大事件に発展しました。

 

朝日新聞は、特捜部のこうした捜査の動向や、事件の構図なども検察担当の記者たち

がスクープ。さらに、偽の障害者団体の幹部や国会議員の元秘書や支援者らで、不正に
絡んで、国会議員や官僚、行政側に働きかけていたことなども調査報道で特報しました

http://mouse99.hp.infoseek.co.jp/asahi_tokuhou.jpg
--------------------------------

> 事件の構図なども検察担当の記者たちがスクープ。

要するに、朝日新聞が大阪地検とグルになって、
スクープと称して検察リークを垂れ流して世論を操作し、
村木局長冤罪事件をでっち上げていたわけw

あいた口がふさがらない。

こういう話を聞くと逆に岩見氏あたりにお伺いしたくなるのは、いったいこうしたメディアに何をどう学べと言うのか、それは最良の反面教師として以外の道が何かしらあるのかと言うことで、それはさすがに知れば知るほど新聞だけは読んではいけない、洗脳される頭が腐ると理性と良識ある人間ほど考えるのも当然でしょう。
昨今ではこんな次第でそろそろまともなソースというよりは、ネタの供給源としての価値の方が評価されつつある朝日ら既存メディアですけれども、それでも真面目に抗議をして回っている人たちもいらっしゃるようで、例えば少し前にもこんな記事が出ていました。

総連代表ら 朝日新聞に謝罪と訂正を要求、悪質なねつ造記事を糾弾(2010年7月9日朝鮮新報)

 

朝日新聞7日付1、18面で朝鮮を露骨に挑発、敵視する「主筆」の記事が掲載されたことに対して同日、総連の代表8人が東京本社を訪れ抗議し、謝罪と訂正を求めた(写真)。

 同紙は、W杯に出場した朝鮮代表が「平壌の最高指導層」からの「指示」の結果、大量失点を喫したとする悪意に満ちた内容に始まり、「後継問題」「統一問題」「核問題」などについて米国と南朝鮮の情報機関の主張を代弁する悪質な「憶測記事」を紙面に載せた。

 総連の代表たちは編集と広報の担当者に対してまず、正体不明の人物たちの発言を羅列したにすぎない記事に強い疑問を投じ、報道機関としてのあり方を追及した。

 W杯に出場した朝鮮代表に同行し、選手たちと寝食を共にした在日本朝鮮人蹴球協会の李康弘理事長は「平壌の最高指導層」からの「指示」などなかったと証言し、スポーツの祭典を事実無根のねつ造記事を用いて政治利用したと厳しく批判した。そして、言論の暴力が選手を応援する子どもたちの心に傷を残したと指摘した。

 また、代表たちは不順な政治的な意図をもって書かれるこのような記事が朝・日国交正常化の妨げになるばかりか、朝鮮人に対する偏見と差別を増長させると述べ、訂正記事の掲載と謝罪を要求した。

 

朝日新聞の担当者は総連代表たちの主張と意見を受け止め反映したいと話した

 8日には朝鮮大学校、商工連合会、青商会、朝青、女性同盟代表らが朝日新聞東京本社、総連大阪府本部の代表たちが大阪本社を訪れ抗議した。

 大阪の代表たちは、日本政府が過去の植民地支配などの侵略と戦争犯罪について謝罪と補償をするどころか、朝鮮敵視政策に固執していると指摘したうえで、朝日新聞などの言論機関がこれに加担していると非難した。(丘)

何しろ特定アジア諸国からの外圧には極めて柔軟な姿勢を見せる朝日新聞社のことですから、このような抗議に対しては真摯に受け止め紙面に反映するものだと思いますけれども、面白いのはこの話題はあちこちのメディアで出ていた件であるにも関わらず、抗議をしに行く相手もちゃんと見極めているということなんでしょうね。
朝日と言えば今世間を揺るがしている尖閣諸島に関しても、相も変わらず一社だけ「日本が実効支配する尖閣諸島」なんて妙な表現をしていますけれども、さすがにかねて中国問題に関しては素晴らしい独自の見解を披露してきた同社だけに、水面下でどんな力が働いたのかと想像してみるのも面白いと思いますね。
しかしこんな朝日が自称日本のクオリティーペーパーだと言うのですから、実際問題日本のメディアというもののレベルは果たしてどうなのかと…

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2010年9月24日 (金)

久しぶりに産科崩壊系の話題 時代は逃散を超えて新たな段階へ?

ということでスレタイ通り最近の産科絡みの話題を取り上げていくわけですが、例によって例のごとく崩壊という言葉がふさわしいような話ばかりで、心浮き立つ話題が全く無いというのは本当に困ったものですよね。
最初に少し本日の本題とは外れ気味にも思える話であるものの、先日見ていておや?と思ったこちらの記事から取り上げてみましょう。
これもごく当たり前の話と行ってしまえばそれまでなんですが、先のホメオパシー追放宣言といい、何やら助産師会も分娩の安全性ということに対してようやく目が醒めたのかと、何やら妙に気になったので紹介させていただきましたが、素朴な疑問として助産師会中心の記事であるのに何故インタビュー写真に取り上げられているのが産科医なんでしょうね??

無介助分娩は危険 日本助産師会が警告 (2010年9月18日中日新聞)

 日本助産師会(東京)が先月二十六日、「無介助分娩(ぶんべん)」の危険性を訴える警告を一般向けに出した。「妊婦主体の自然なお産」を考える人が増える中で、医師や助産師が立ち会わない無介助分娩までも肯定的にとらえるムードが出てきたためだ。同会や専門医に、お産のリスクを聞いた。 (稲熊美樹、安藤明夫)

 日本助産師会は「医師や助産師の介助なしに、夫婦だけで出産する無介助分娩が、あたかも自然な出産であるかのように吹聴されるケースが見受けられる」と、事故の危険性を強調している。

 同会によると、無介助分娩の問題が出てきたのは一九九九年。大阪府の育児文化研究所が、医師や助産師の関与を排除した家庭出産を奨励し、同研究所の勧める「二十四時間ぶろ」で生まれた赤ちゃんがレジオネラ菌に感染死する事故があり、社会問題になった。その後も無介助分娩を勧める動きはしばしば見られ、本も出版された。

 今年八月末、民放局の人気チャリティー番組で、無介助の自宅出産が紹介されるという情報が同会に寄せられたため、テレビ局に配慮を求めるとともに、一般向けの警告を出したという。

 同会の岡本喜代子専務理事は「番組ではテロップを流して危険性を呼び掛けるなどの配慮はしてくれたが、影響力が大きいので、こうした放送は今後やめてほしいと申し入れた」と話す。番組で紹介された女性は八人目の出産で、これまでも自宅で産んできたという。「出産回数の多い人は、出血が多くて母体に危険が及ぶ場合もある」と岡本専務理事。テレビ局は「番組の内容については答えられない」とコメントしている

     ◇

 「妊婦自身が積極的に出産に取り組む『アクティブバース』の考え方は尊重したい。しかし、助産師や医師の介助があってのアクティブバースだ」と指摘するのは、岐阜市の国立病院機構長良医療センター周産期診療部長、川鰭(かわばた)市郎医師(55)。

 妊娠中の経過が順調な人でも、分娩中に急変する可能性はある。産後の大量出血や、胎盤早期剥離(はくり)は突然に起きる。こうした場合に、すぐに対処できる施設で出産することが必要だ。

 「六十年前、出産に伴うトラブルで亡くなる妊婦は、年間四千人以上いた。今は数十人。医療によってお産が安全になってきたことを分かってほしい」と川鰭医師は訴える。

 全体の90%の人は何ごともなく出産を終えるが、残り10%の人には何らかのトラブルが起こる。かつては出血による死亡例が多く、輸血や出血を抑える対処法など、医療技術の進歩によって命を救えるようになった。「いざというときには、助産所や診療所から病院へ搬送する体制が整ったこと、妊婦健診で小さなリスクも見つけられるようになったことが大きい」

 出産十万件当たりの妊産婦死亡率は日本が四・八人(二〇〇九年)。国連児童基金の〇五年調査では、アフリカ平均で八百二十人、アジアの平均は三百五十人に達しており、日本は飛び抜けて少ない

 ただ、安全を追求するあまり、帝王切開が増えたのも事実。「自然なお産」志向は、それに反発する形で広まってきた。川鰭医師は「分娩のあり方は多様化していいが、あくまでリスクと隣り合わせだと忘れないでほしい」とくぎを刺す。

ま、ふたを開けてみればまた例によって例のごとくマスコミが勝手にあおり立てているという側面もないわけではない様子ですが、いずれにしても一生の大事業でまずリスクを把握してやるべきなのは当然であって、何となくブームだからと何も知らない人間が手を出すようなものでは決してないということでしょう。
ひと頃は「お産は病気ではない」なんて言葉が流行ったようにお産に対する医療介入は避けるべきであると言った風潮すら広まっていた、そして何より当の産科医自身もあまりに多忙で手が回らないという状況でしたから、社会的にももっと助産師を活用しようじゃないかという雰囲気が盛り上がっていたわけですよね。
ところが実際に助産所でのお産というものをよくよく調べてみると、これは非常に危なげなことが行われていて結局かえって後始末をする産科医の手がかかるなんてことにもなりかねない、そういうことが判ってきてからと言うものむしろ「助産所のご利用は計画的に」といったメッセージが社会的に続々と発信されるようになってきているのは興味深い現象だと思います。

もちろん産科医不足の問題は全く改善する気配もない、むしろますます深刻化しているようにも見える中で、一つには助産師といったものも正しく安全かつ効率的に活用していかなければならないだろうし、また産科医自身の状況も何とか改善していかなければならないわけですが、最近相次いで出てきた産科領域のニュースを見るだけでもこのあたりの問題解決の難しさを浮き彫りにしているようにも思えますね。

産婦人科病院数が16年連続減少 小児科も、厚労省調査(2010年9月22日47ニュース)

 昨年10月時点で産婦人科を掲げていた全国の病院数が1294施設となり、16年連続で減少したことが22日、厚生労働省の医療施設調査で分かった。小児科も16年連続減の2853施設だった。厚労省は「激務のために敬遠され、地域によっては医師を確保できない病院も出ていることが一因では」とみている。

 調査によると、産婦人科は現在の形で統計が取られ始めた1972年の2384施設をピークとして小幅に増減していたが、2061施設だった94年から減少幅が拡大。昨年も2008年より25施設減った

 小児科は90年の4119施設がピーク。94年から連続して減り続け、昨年も08年より52施設減った

 今回の調査は病院のみの集計で、診療所については行われていない。

グラフでわかる「高すぎる訴訟リスク」 「おめでた」の裏に潜む産婦人科の医療問題(2010年9月16日リアルライブ)

 自分の友達などが妊娠、出産をすると私達は「おめでとう」という言葉をかけます。本当におめでたいことなのでこの言葉にウソ偽りはありません。

 しかし、出産にはリスクが、裏側では産婦人科医不足などの問題を日本は抱えているということを、私も含めて日本国民は忘れがちではないでしょうか。

 医療技術の発達していない国では約250人に一人の母体が出産によって亡くなっています。日本という国も50年前までは同じ確率で亡くなっていたそうです。しかし、医療技術の発達により現在では2万人に1人という確率にまで死亡率を落とすことが出来ました。それでも、250人に一人は出産により身体を壊し、救急救命センターや産婦人科病棟で治療を受けているのです。

 今でもニュースなどで、緊急に出産が必要になったときにどこの救急病院も受け入れることが出来なくて、病院をたらい回しにされたあげく死亡したという話が出ます。このようなことが起きる背景には医師を含む医療従事者が不足しているという問題が見受けられます。

 特に、産婦人科医というのは他の科の医師に比べて成り手が少ないそうです。理由としては他の科に比べて訴訟リスクが高いというのも原因の一つでしょう。

 厚生労働省発表の統計データ「厚生労働省 平成20年3月12日参考資料PDF」52Pから一部抜粋いたしますと、次のようなことが分かります。(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/03/dl/s0312-8c.pdf)

「医師1000人あたりの訴訟既済件数」平成18年度

産婦人科 16.8件

整形外科・形成外科 6.6件
外科 5.4件
内科 2.7件
精神科 2.5件
小児科 2.2件

 他の科に比べて産婦人科がどれだけ訴訟リスクが高いかをいうことがお分かりいただけることと思います。

 その他の原因としては、産婦人科医の仕事は体力的にも精神的にもハードなので辞めていく医師が後を絶たないということでしょう。特に体力がいるという理由から、男性医師向きの仕事だと言われているのですが、出産するのは女性です。男性医師には対応して貰いたくないという患者のニーズもあり女性産婦人科医中心に増やそうとしているのだそうです。

 しかし、女性産婦人科医もいずれは自分が出産するという立場に立つ人もいます。その場合にすぐに産休がとれないなど、女性医師のための職場環境が整っていない為、やはり成り手が増えないのです。

 テレビなどでは受け入れ拒否、たらい回しばかりがクローズアップされがちですが、医療側も出来ることなら全ての患者を、赤ちゃんを救いたいはずです。だが、日本の医療現場はそれが出来る環境が整っていない。国も対応すると言いながらも先延ばし状態です。

 この問題は患者側、医療側、双方に関わる問題です。お産というものは、新しい命が誕生する「おめでた」の一方、裏側では様々な問題を抱えているのです。(だいちゃん)

報道機関も広く国民を相手にした商売ですから、こうした問題と言えばどうしても妊婦受け入れ拒否だとか、出産時の事故がどうだとか言った目線に偏りがちですけれども、その根本原因が何かと言えば結局は現場の労働問題であって、産科医を酷使し過ぎた結果が回り回って国民の不利益に結びついているという、昨今の医療崩壊問題の縮図とも言える状況がここには現れているわけですよね。
以前から産経新聞に「産科医解体新書」を連載している産科医の田村正明氏も最近書いていますけれども、訴訟大国アメリカでは産科医と言えば極めてハイリスクな商売であると認識されているにも関わらずなり手が見つかるというのは、一面ではそのリスクに見合うだけの好待遇を将来において約束しているからという側面があるわけです。
ひるがえって日本ではどうかと言えば、もちろん田村氏が言うように「もし日本で同じような待遇にすれば、間違いなく診療が滞る」という現実もあったのでしょうが、問題はそうした現実にあぐらをかいて勤務医の待遇改善を怠る言い訳にしてきた場合も多々あるということでしょう。

例えば地域の公立病院と言えばお産のダンピングで周辺産科医療機関の経営を圧迫する要因の一つだとかねて言われているし、当然ながら当の公立病院勤務医にしてもそうした不当廉売の結果働けど働けど赤字がかさむ一方で、自身は9時5時の公務員事務長あたりから「先生、もっと頑張って売り上げを増してくれないと困りますなぁワッハッハ」なんて日々責められているわけですよね。
今の医療水準に基づいて安全のための対策を進めていくとどうしても相応に費用はかかるとすれば、本来お産の価格設定は自由であるわけですからそうした事実に基づいて適正な価格が決められるべきであるはずですが、こと公立病院の場合は分娩料を議会が決めている以上、議員達は選挙を気にして世間並みの価格に値上げを、などとは言わないという現実もあるわけですよね。
もちろんどうせ赤字経営であるのなら分娩料くらい市の持ち出しでサービスしようじゃないかという考え方もあるでしょうが、例えば一流の料理人が一生懸命作った料理を客寄せのために100円で提供することにしたと言われればへこまざるを得ないのと同様、現場で働いているスタッフのモチベーションにどう影響するかという視点は全くそこには見られないということでしょう。

田川市立病院 分娩料値上げ撤回 議会で執行部 条例改正案取り下げ (9月9日西日本新聞)

 田川市議会の9月定例議会が8日開会し、会期を10月8日までの31日間と決めた。執行部は冒頭、6月議会で提案し、継続審議となっていた市立病院での分娩(ぶんべん)料を値上げする条例改正案について、「市民の理解と協力なくして実施は困難。あらためて提案するために議案を撤回したい」と取り下げを申し出て、議会の承認を得た。

 条例改正案は、現行では13万-18万円の分娩料を一律2万円値上げする内容。国民健康保険などから給付される出産育児一時金が2009年10月から増額されたことに伴い、近隣の医療機関と同程度の金額に合わせることや、医師の待遇改善などが目的だった。

 これに対し議会からは、「病院の再建を始めたばかりで、受益者負担より経営努力を示す方が先だ」などと批判が噴出。継続審議となっていた。

 市立病院では現在、13年度まで4年間の経営方針となる中期事業計画を策定中。伊藤信勝市長は議会後の記者会見で「事業計画と合わせて、市民に十分な説明をするために議案を取り下げた」と述べた。12月議会で再提案する方針。
(略)

もちろん、今の時代ですからこうした病院からは我先に医者が逃散していくわけですし、仮に踏みとどまった人間がいたところで「そんな糞病院に残る人間は自業自得」と言われるのがオチでしょうから、最終的にはスタッフを大切にする病院ほど人材が集まり経営が安定し、結果として患者サービスも充実していくという国民にも望ましい結果になっていくとは予想されるところです。
ただひと頃の医局命令は絶対、奴隷医者上等だった時代から数年前の逃散全盛期を経て、今また医師労働問題が新たなステージに入りつつあるのかなと感じるのは、例えば奈良の産科医が時間外手当支払いを訴えた訴訟にも見られるように、単に自分さえ労働環境が改善すればそれでよしとするばかりでなく、同様の問題に苦しんでいる同業者のためにもさらに一歩踏み出そうという動きが見られるようになっていることです。
こういう話が増えてくると医者という浮世離れしたところの多々あった商売も、ようやく世間並みの労働者としての自覚を持つようになったかと考えてしまうのですが、先日またこんな記事が出ていたことには注目してみておくべきでしょうね。

当直の割増賃金求め提訴 刈谷の女性医師「規定外の分娩、手術」(2010年9月22日中日新聞)

通常の労働をする必要がない当直中に分娩(ぶんべん)や帝王切開手術などをさせられたとして、刈谷豊田総合病院(愛知県刈谷市)の産婦人科に勤務していた30代の女性医師が21日、病院に割増賃金280万円の支払いを求め名古屋地裁に提訴した。
 訴状によると、医師は昨年4月から同9月まで非常勤の医師として、水曜日以外の平日と第1、第3土曜日に勤務。夕方から翌朝まで勤務する宿直を月3~4回、休日朝から翌朝まで24時間勤務の日直兼宿直を月1~2回担当した。
 厚生労働省は宿直や日直勤務を、巡視や電話の対応、非常事態への備えなど、「ほとんど労働する必要がない勤務」と規定している。同科には約50人の入院患者がいるが、宿直と日直は医師が1人で担当。この医師は1回の宿直で平均1~2回の分娩を手掛け、緊急の帝王切開手術をしたり、28時間連続で勤務したりしたこともあった
 刈谷豊田総合病院は就業規則で、時間外労働となる深夜勤務は通常の8割増、休日勤務は4割増の賃金を払うと規定。だが宿直、日直にはこれを適用せず、半年の勤務期間中、計84万円の当直手当を払っただけだった。医師は昨年9月末に退職。割増賃金を計364万円と算定し、差額を求めている。
 医師は「日本の病院では、こうした勤務状況が当たり前のようにある。問題提起して、勤務医の労働環境改善につなげたい」と話している。
 刈谷豊田総合病院の担当者は「訴状を見ておらずコメントできない」と話した。同病院は刈谷、高浜市とトヨタグループ8社が運営している。

「日本の病院では、こうした勤務状況が当たり前のようにある」というコメントにもあるとおり、日本では医師は日常的に32時間以上の連続労働をこなすのが当然と見なされていて、何しろ当直開けにそのまま次の勤務に入るという施設が96%と言いますから、非常勤とは言えむしろこの程度で済んでいるというあたりは恵まれている方だという意見もあるかも知れません(現在でも産科医が五人いるようですしね)。
しかし当直というものに関しては2002年3月の厚労省の通達にははっきりと「宿日直(当直)勤務とは、所定労働時間外、または、休日における勤務の一態様であり、当該労働者の本来業務は処理せず、構内巡視、文書・電話の収受または非常事態に備えて待機するものなどであって、常態としてほとんど労働する必要がない勤務」と規定されており、これは明らかに当直には当たらない時間外労働ですよね。
もちろん当該医師の時間外労働賃金支払いも問題ですが、ひとたびこうして裁判になれば明らかな違反である以上裁判所も白黒をつけざるを得ず、そうなると今まで慣習的に国の通達も無視でやってきた全国の病院にどれだけの影響が出てくるのか、まさしくこれは小さからざる「問題提起」であると言うことでしょう。

結局のところ何が問題かと言えば、個々の医師の労働に対する当然の対価の支払いを病院がけちっているなんて問題もさることながら、患者たる国民の皆さんが日常的に夜通し働き通しの業務をやっている医者に徹夜明けの手術をしてもらいたいかということで、医療の受益者たる国民の側こそ自らの医療安全に寄与する最大の因子として、この現場スタッフの過労問題を捉えなければならないはずなのですよね。
トヨタと言えば最近ではかけるべきところにコストやマンパワーをかけなくなった結果、肝心の製品の品質や安全性が低下しているんじゃないかなんてことをささやかれているようですが、同社の関連病院でこうした火の手が上がってきたことは偶然としても興味深いことでもあるし、同社としても医療に限らず真摯に向き合わなければならない問題なのではないかという気がします。
そしてもちろん、「最近の医者はどんどん辞めていくばかりだ。国が強制的に医者を送り込んでくれないと困る」なんてことを言っている全国の奴隷公立病院こそ、我がこととしてこの訴訟の行方に注目し、自分たちの足下に火が付く前に自ら襟を正していただきたいし、結局それが何よりの住民サービス向上に結びつくのだということでしょう。

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2010年9月23日 (木)

今日のぐり:「手打ちうどん よこた」

全国的な猛暑も一雨来て少し落ち着きそうな気配ということで、ようやく食欲も取り戻せそうだと言う方も多いのではないかと思いますが、気がつけばすでに食欲の秋というものですから、今日は当「ぐり研」の本題に立ち返って食の話題を取り上げてみましょう。
さて、近頃では日本食というものが海外でも人気になってきているようで、例えばこんな調子の記事が相次いでいますが、見てみますと一昔前の本格的な懐石料理などを中心としたエキゾチック・ジャパン的な取り上げられ方とは違って、ずいぶんと俗な話になっているんだなという気がしますよね。

お好み焼きやギョーザ… B級グルメ、NYで人気A級 屋台村に5万人(2010年8月1日日本経済新聞)

 米ニューヨークで、ラーメンやお好み焼きなど日本の「B級グルメ」が人気を集めている。日本の庶民の味を集めた「屋台村」には大勢の市民が詰めかけ、入場規制するほど。会場では日本のコスプレ姿で歩く若者の姿も目立った。すしや着物といった日本の伝統的な文化だけでなく、生活に身近な現代文化も米国で受け入れられつつある。

 7月中旬の週末、マンハッタン南東部のイーストビレッジ地区。街の一角に屋台村「ジャパン・タウン」が出現した。並んだのは、お好み焼きやたこ焼き、焼き鳥、ラーメン、ギョーザなどを売る約40店。安いもので1皿2ドル、平均5ドルの日本食を目当てに、主催者の推定では5万人もの人々が集まった。あまりの混雑に警察が出動、入場を規制するほどだった。

 「ピザみたいで好き」と割りばしでお好み焼きを食べる女性(22)。ニュージャージー州から友達とやってきたという高校生、トム・ヘイドンさん(16)は焼き鳥が好物だという。「日本のアニメも好き。いつか日本に旅行するのが夢」と目を輝かせた。

 会場には東京・秋葉原で有名になったメイド喫茶も出店。来訪者の中にもメイド喫茶のウエートレス姿の女性や、日本のアニメキャラクターのコスプレ衣装を身に着けた若者が混じった。日本発のストリートファッション「ゴスロリ」の衣装でカレーパンをほお張る女性も。ウエートレス姿の少女(14)は「日本の女の子はかわいくてうらやましい」と話した。

ジャパン・タウンは現地の日系イベント会社が運営し、味の素、キッコーマンなど米国でも事業展開する日本企業や地元の和食レストランなどが出店。昨年、初めて試験的に開催し好評だったため、今年は9月までにあと2回、1日ずつ催す。

 7月中旬のジャパン・タウン運営に携わった竹永浩之さん(44)は「屋台の特性を生かし、移動型の『都市』として育てたい」と、今後も積極的に展開すると話す。

 日本の「ソフトパワー」とされるアニメやグルメ、ストリートファッションなどの情報はインターネットを通じて米国の若者らに時差なしで届く。日本への興味は、より生活に密着した「日常」に向かっている。

 日本政府観光局(JNTO、東京)の2009年の調査によると、日本を訪れた米国人観光客が訪日前に期待したこと(複数回答)は「日本の食事」が歴史的建造物などを抜き、初めて首位に浮上。すしやてんぷらだけでなく、おにぎり、そば、うどん、焼き鳥など庶民的な味への関心が高まっていることも明らかになった。

 実際、マンハッタンでは最近、とんこつ味や鶏がらスープを売り物にしたラーメン専門店が続々と開店。日本のラーメンブームさながらに、本格的な味を求めて行列を作る米国人の姿が目立つ。

 NYにある日本の総領事館に在留届を提出している日本人は09年10月時点で約5万6千人。この10年で約2千人減った。企業の駐在員らが減っているためだ。日本人の存在感が低下する
半面、日本の食やファッションなどに関心が高まる皮肉な構図が生まれている。

【仏国ブログ】フランスで注目される日本のお弁当「創造力に満ちている」(2010年8月25日サーチナ)

  日本の文化に関心が高いフランスでは、最近、日本のお弁当が注目されている。日本に関心の高い人たちだけでなく、料理に関心の高い人からも関心が寄せられており、「bento」という表記が使われ、言葉自体の知名度も高くなってきている。

  健康に関するブログ「Prendre soin de soi Autrement」では、フランス人にとっても魅力的なお弁当について紹介している。

  フランスでは学校でも職場でも昼休みは平均2時間であり、自宅に帰って昼食をとったりすることも少なくない。しかし、近隣の英国やオランダでは昼休みは1時間ほどのため、「ランチボックス」文化があることを紹介。短時間で手早く食事ができる実用的な形式と記している。

  一方、日本のお弁当は実用的でありながら、遊び心があると紹介している。ごはん類、肉魚類と野菜類など副菜で構成されているお弁当は、栄養管理しやすいと述べている。短時間でバランスのとれた食事ができ、ダイエットにも向いていると説明している。

  また、特に幼い子供用に作られたお弁当は創造力に満ちていると説明。子どもの食欲をそそる工夫があるところにも好感を示している。

  筆者は、お弁当を作るのは大変な作業だが、お弁当箱の種類の多さや、作り手の想像力をかきたてるお弁当グッズも多彩であり、「楽しく」作れる要素もあると述べており、食べる側にも作る側にも楽しいお弁当の世界を紹介している。(編集担当:山下千名美・山口幸治)

欧州で中華料理の地位が凋落、日本のバイキングがアジア料理No.1へ―スペイン華字紙(2010年7月23日レコードチャイナ)

2010年7月22日、スペイン華字紙・欧華報は、欧州人に人気のアジア料理No.1の座を誇ってきた中華料理が、最近は日本のバイキングレストランにその座を奪われていると報じた。中国新聞社が伝えた。

06年、ポルトガルのASAE(食品衛生と経済活動管理局)は130店以上の中華レストランを抜き打ち検査し、うち14店を衛生上の理由から営業停止処分とした。翌日の同国メディアは不衛生極まりない中華レストランの様子を大々的に報道。見るに堪えない画面は中華レストランの人気を失墜させた。それから1年ほどの間に無数の中華レストランが閉店に追いやられた。

それから4年。伝統的で重厚なたたずまいの中華レストランはごくわずかしか残っていない。その代わり、日本式のバイキングレストランが大盛況だ。本場の中華料理は飽きられている。記事は、何十年も変わらぬメニューを腕が良くない現地生まれの中国人シェフが淡々と作り続けているだけでは、斬新で工夫に満ちた日本食にかなわないと指摘。欧州における中華料理は改革を迫られていると強調した。(翻訳・編集/NN)

見ていますと何やら純粋な味とは多少異なった方面へも関心が飛び火しているのかとも感じないでもない話ですが(苦笑)、一昔前のように日本食と言えば見た目にこじんまりときれいだが量が少なくて高い、なんてステロタイプなものばかりでなく、大衆的な食文化としても日本の味が広まっていっているようだということが判ります。
最近では日本も観光立国化を推し進めようとしているわけですが、近頃では本場で日本の食事を試してみたいということも外国人の訪日における大きなモチベーションになっているということですから、近頃話題のB級グルメなども国内のみならずもっと海外においてもアピールできそうではありますよね。

外国人が日本を訪れる理由、1位は「日本食を食べたいから」(2010年7月27日サーチナ)

  日本政府観光局(JNTO)は、訪日外国人旅行者を対象としたインタビュー調査報告書『JNTO 訪日外客訪問地調査2009』を7月30日に発行する。これに先立ち、概要を15日に公表した。

  この調査は、日本政府観光局(JNTO)が日本の主要な空港で、外国人旅行者が自国に帰国する際に対象に行ったもの。

  調査結果によると、観光客が訪日前に期待したこととして、「日本の食事」(58.5%)がトップ、以下「ショッピング」(48.5%)、「温泉」(43.4%)、「自然景観、田園風景」(41.8%)「伝統的な景観、旧跡」(37.6%)の順となった。06年以降1位の「ショッピング」に代わり、「日本の食事」が初めて1位となった。  

  旅行に関する米国のサイト「travelvideo.tv」でも この話題を取り上げている。調査結果によると、対象者である外国人旅行者の半数以上が、日本を訪れる第一の目的に「料理」を挙げており、また旅行者の関心は寿司(すし)やてんぷらにとどまらず、例えばおにぎり、焼き鳥、ラーメンやそば、お好み焼きといった、地元で食べられるような日常的な日本食に興味が広がっていると紹介。

  また外国人旅行者の間では、最近日本茶の文化が世界的に注目されており、お茶の栽培で有名な静岡への旅行も好まれると説明。そのほか、冬季は新潟の醸造所に、珍しい地酒や新酒を目当てに訪れる観光客も後を絶たない、と日本の食文化の魅力を紹介している。

  記事では、日本食の人気は、世界中で確固たる地位を築いているとし、日本への観光旅行は食べ物と文化への本物志向の経験を求めるグルメたちによって増大していると指摘している。(編集担当:田島波留・山口幸治)

日本人的感覚からすれば外からマレビト来るなんてのはハレの日ですから、これは気張ってごちそうでもと考えてしまいそうですが、案外どうでもよさそうなありふれた食べ物の方が外国人には受ける可能性があるというのは懐具合的にもありがたい話ではないかと思いますね(苦笑)。
実際に彼らが何を食べ、どう感じたかという話もあちこちで出ていますけれども、必ずしも高級料理が評価が高いわけでもないし、特別外国人だからと妙な料理が人気というわけでもないのだと考えると、日本人の味の感覚も案外世界に通用するものであると言うことの傍証になっているのでしょうか?

外国人も満足の日本の味とは…すし、ラーメン、刺し身(2010年08月07日スポニチ)

 日本の旅行で特に満足した食事はすし、ラーメン、刺し身の順。2009年に日本を訪れた外国人旅行者を対象に日本政府観光局が行った調査で、こんなランキングとなった。来る前に「1番期待したこと」でも「食事」が「ショッピング」を抜いて初めてトップになっており、グルメが日本観光の大きな魅力になってきた。

 「食事に満足した」人から特に満足したメニューを複数教えてもらったところ、42%がすしを挙げ、21%がラーメン、20%が刺し身を選んだ。これに天ぷら、うどんなどが続いた。国別に見ると、タイや英国など多くの国の人はすしが1位だったが、台湾からの旅行者が1番気に入ったのはラーメン、中国人旅行者は刺し身と少し違っている。

 また国別で食事を最も期待した人が多いのは韓国、マレーシア、米国、フランス、ロシアなどで、3番目に期待されたのは温泉だった。

 調査は冬、夏、秋の年3回、成田空港や関西空港などから出国する滞在期間が2日以上の外国人旅行者計約1万5千人を選んで聞き取りで実施した。

【仏国ブログ】さまざまな顔を持つ東京、日本の料理の思い出を絵はがき風に(2010年8月5日サーチナ)

  フランスでは、7月~8月は休暇シーズンとなり、多くの人は2~3週間の夏休みを過ごすといわれる。フランス国内のリゾート地や、近隣のスペインやイタリアなどを筆頭に、海外でバカンスを過ごす人も多いが、中にはさまざまな事情により旅行に行けないこともあるようだ。

  フランス人のブログ「Le Blog de Chaerie」では、今年の夏は旅行に行けないという筆者が、以前訪れた東京で食べた食事の写真を絵はがき風に掲載して紹介。それぞれの食事と結びついた思い出を記し、バカンスの気分を演出している。

  ブログでは、日本で食べたというラーメン、お好み焼き、すし、カレー、すき焼きを取り上げている。筆者が最もおいしかったと記しているのは、お好み焼きとすき焼きで、特にすき焼きは自宅で作ってみたほどだという。

  まずラーメンを食べた場所は、おしゃれなブティックが立ち並ぶ洗練された界隈(かいわい)。ビルの地下にあるラーメン店で、親切な店員がまずチケットを買うことを教えてくれ、数分後には大きな器にたっぷり入ったラーメンから、湯気が立ち昇っていた様子を説明。量が多くて筆者は全部を食べ切れなかったとつづっている。

  お好み焼きは、新宿のカウンター形式のお店で、豚肉、キャベツなどが入ったお好み焼きをおいしくいただけたと語る。またお台場ですしを食べた際には、とてもロマンティックな雰囲気で、今でも忘れられない思い出になったとつづっている。

  カレーは、東京フォーラムの近くで見られた小型トラックで、荷台部分を改造したキッチンで調理した食べ物を販売する形式の「屋台」で購入して食べたという。すき焼きは「浅草サンバカーニバル」を見た後に食べ、お祭りの盛り上がった雰囲気の中でよりおいしく感じたようだ。

  さまざまな形態の飲食店で、多彩な料理が楽しめる東京。都市の風景も、一駅異なるだけでまったく違う顔を見せてくれるおもしろさがあり、筆者の「絵はがき」からは、東京をさまざまな角度から楽しんだ様子がうかがえる。(編集担当:山下千名美・山口幸治)

【韓国ブログ】韓国人が日本で必ず食べたいもの…それはハンバーガー?(2010年9月13日サーチナ)

  世界でもよく知られている日本の食べ物といえば、寿司(すし)や刺身、天ぷら、そば、うどんなど。当然、日本を訪問する外国人観光客も、それらを楽しみにすることが多いが、韓国のネット上では「日本に行って必ず食べたいもの」という質問に、「モスバーガー」と答える人が多く見られる。

  世界中にあるマクドナルドやケンタッキーと違い、モスバーガーは日本発祥のハンバーガーチェーンであることから、日本でしか味わえない食べ物として人気を呼んでいるようだ。以前東京に住んでいたという韓国人ブロガーのroomofson氏は、モスバーガーがあまりにも好きなため、日本滞在中は毎日のように通い、結局1年ほどアルバイトまでしていたという強者(つわもの)だ。

  「香港にもシンガポールにもあるのに、なんでお隣の韓国にはないのか分からない」と不満をもらす筆者だが、1年間のアルバイト経験があるというだけあり、ブログにはモスバーガーの注文の仕方や、人気商品、それぞれの商品の特徴などが詳しく綴(つづ)られている。「週5回は食べていたテリヤキバーガー。韓国にあるプルコギバーガーと似ているけど、はるかにおいしくって感動の味。みなさん、日本に行ってモスバーガーを食べなかったらすごく後悔しますよ」と勧める。

  また、韓国人ブロガーのssobangz氏は、『日本に行って必ず食べないといけないモスバーガーを食べてみた』というタイトルで、モスバーガーの店内風景や注文したハンバーガーなどの写真、食べた感想をブログに綴る。「肉が淡泊な味でおいしい。韓国の金額にしたら3500ウォンほどのハンバーガーだが、しっかりしていて食べごたえがある」とし「日本に行って必ず食べたいもののひとつに認定!」と高評価を付ける。

  このブログのコメント欄には、「日本に行ったらぜひ食べてみたい」といったものや、「私も大好き」といった多くのコメントが集まっている。(編集担当:新川悠)

冷たい食事を極端に嫌がる中国人が刺身を一番気に入ったとか、いやしくも韓国人ならそこはモスではなくロッテリア行っとけよとか、見ていると色々と面白い話もあるようですが、何にしろ遠い外国からもこうして固定ファンがついて食べに来てくれるというのはありがたい話ですよね。
そして何よりも日本の食文化が世界中に広まって案外一番の利益を得ているのが、世界中どこに言ってもいざとなれば日本の味を食べられるようになった当の日本人であるのかも知れませんね(笑)。

今日のぐり:「手打ちうどん よこた」

岡山市から国道180号線を北上していきますと総社市街中心部に入りかけたあたりにあるのが、こちら老舗のうどん屋として定評のある「よこた」さんです。
道路沿いに結構広い駐車場を確保しているのですが、食事時にはこれがあふれるほど車が押し寄せ広い店内も満席になって行列待ちというのですから、その人気ぶりが判りますよね。
ちなみに総社という土地は今でこそ鄙びた田舎町にしか過ぎませんが、古代においては吉備の国の中心地であったことで知られていまして、近隣には全国第四位の威容を誇る造山古墳や桃太郎伝説との関連が噂される古代山城の鬼ノ城を始めとして、国分寺、吉備津神社といった歴史ある神社仏閣が連なり、そして最上稲荷といった最近の人気スポットまで取り揃えているという、その方面のマニアにはなかなかに侮れない土地柄です。

こちらではうどん以外にもセットメニューでついてくる釜飯も人気だというのですが、本日はぶっかけうどんにこの釜飯がついたぶっかけ冷定食を注文してみました。
今回気づいたことにここのうどんは単品で頼むと相当にボリュームがあるのですが、セットメニューではやや小ぶりな器になるということなのでしょうか、ちょうど普通のうどん一人前というくらいの量になってくるようですね(それに釜飯が付くのですから、全体の量はかなりなものですが)。
うどんは見た目にもなめらかな輝きと艶があって、口にしてみると柔らかな食感がまず最初に来る、そして噛みしめていくと柔らかい中からしっかりしたコシが感じられるという、なかなかにいい出来だと思いますね。
こちらのぶっかけうどんの場合上にいろいろと天ぷらが乗っているのがまた満腹感をさそうんですが、うどんだけを食べているとぶっかけとしてはやや汁の味が弱いのかな?と思っていると、この汁を吸った天ぷらが口に入ってきて丁度いい塩梅になるという、なかなかよく出来たものだなと思います。

同行者の天ぷらうどんも食べてみましたけれども、このうどんは温かいメニューで食べても持ち味を失わないのは美点なんですが、やはり全般にうどんの量が多いことに加えて天ぷらがまた容赦なく載って来ますから、うっかり普通の感覚で軽く一杯というつもりで頼んでしまうと注意が必要かも知れません。
ちなみに温かいうどんの場合やや甘口の非常にあっさりとした、出汁で味わう汁の味になっているんですが、もともとのうどんの量が多いだけについついこの汁まで飲んでしまうという、一見塩分控えめに見えて意外に血圧によろしくない部分もあります(苦笑)。
唯一今回少し残念だったのは釜飯の方で、味の組み立て自体は悪いものではないんですが、少なくともこの日に関しては炊きあがりがしゃっきりしないベタつき加減で、もう少し硬めに炊いていただいた方がより楽しめたかなというところでしたね。

単品うどんですと500円を切る値段からあってこの量、そしてこの味が楽しめる、釜飯とセットにしても非常にリーズナブルですから人気店になるのも頷けますが、片側一車線国道に面した店ですから食事時の車の出入りには多少気を使う必要があるかも知れません。
厨房がほとんど殺気立ってくるような局面でも全般的に店の雰囲気は良い方で、手が足りないような状況でもそれなりに丁寧な接客を保っている点は好印象なんですが、それだけに客の側も次のお客のことを考えてそれなりの配慮というものが求められるんじゃないかという気がしますね。
しかし何軒か食べ歩いてみてふと思うことに、この界隈では硬いうどんというのはあまり人気がないということ、なんでしょうかね…?

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2010年9月22日 (水)

意外なほど滲透しているホメオパシーの現状とは

朝日新聞ら各社に遅れは取りましたが、日経新聞もついにホメオパシー批判に参戦したかと話題になっているのがこちらの記事です。

現代医学を否定する危険  科学的根拠なしに独り歩き 背景に偽薬効果と自然志向  (2010年9月17日日本経済新聞)

 代替医療への期待が行き過ぎると、科学的根拠のない民間療法までもがはびこり、症状を悪化させることにもなりかねない。医師らは現代医学を否定するケースはとくに気をつけてほしいと注意喚起する。

 8月24日、日本学術会議の定例会見にはいつもの数倍の報道陣が詰めかけた。民間療法「ホメオパシー」について、同会議が見解を述べるとあらかじめ知らせていたからだ。

 「科学的な根拠がなく、荒唐無稽(こうとうむけい)。治療への使用は慎むべきだ」――。宮内庁皇室医務主管も務める金沢一郎会長はこう述べ、ホメオパシーの治療効果を完全否定した。唐木英明副会長も「科学でないものを治療として使えば、患者を通常の医療から遠ざけることになりかねない」と強い口調で懸念を表明した。

 後日、日本医師会や日本医学会なども学術会議の会長談話を支持するとの声明を公表し、ホメオパシーを日本の医療から事実上、締め出した

希釈水は単なる水

 ホメオパシーは植物や鉱物の成分を限りなく薄めた水にして砂糖玉に染み込ませて「レメディー」を作り、それを飲み薬のようにして使い、様々な難病を治すとする民間療法。今年5月、山口地裁で、新生児の頭蓋(ずがい)内出血の予防にビタミンK2の投与を否定してホメオパシーを行った助産師を相手取り損害賠償を求めた裁判が起き、社会問題になった

 科学的にみれば希釈された水は単なる水でしかない。にもかかわらず、こうした民間療法が代替医療としてまかり通るのはどうしてか。

 背景の一つにプラセボ(偽薬)効果がある。砂糖水のようなものでも偽物と知らずに薬だと信じて飲めば、心理的な治療効果が表れるというものだ。

 シドニー大学などの国際研究チームは今年2月、英医学誌「ランセット」にプラセボ効果に関する学術論文を100年以上さかのぼり調査・分析した結果を発表した。臨床現場や創薬時の比較試験で、プラセボ効果が確認されていることが判明、なかには初歩的な治療と大差のない効き目もあった。

 国内でもプラセボ効果は実際の医療に利用されている。

 帝京大学医療技術学部の小松明教授らは2008年、全国の病床数300床以上の955病院と、都内の20~299床の337病院を対象に、「プラセボ治療」の実施状況をアンケート調査した。全国の病院では全体の22%、都内の病院では59%が、過去1年間にプラセボを投与したことがあると回答した。痛みや不眠を対象にしているケースが目立った。

医療不信と関係?

 もう一つが医療を受ける側に広がる自然派志向だ。

 山梨県に住むA子さん(40)は、昨年末、第3子となる長男を自宅で産んだ。助産師にきてもらい、夫と長女、次女が見守る中での出産となった。

 6年前、長女を出産したのは夫の海外赴任先の米国の病院だった。スタッフと医療機器に囲まれた殺風景な分娩(ぶんべん)室で流れ作業のように進んだ出産に「違和感を覚えた」という。

 助産所での出産はおよそ10人に1人の割合で出血などで病院に搬送されるにもかかわらず、医療機関以外で出産を望む妊婦の数は増えている。全出産数に占める割合は1%強だが、出生数の減少傾向が続くなか、その数字は変わっていない。

 医療受診行動に詳しい聖路加看護大学の堀成美助教は「自然派志向が強い女性の中には、(医学のような)人工的なものほど加害的で、逆に自然であれば安全という誤った認識が強い」と解説する。

 乳幼児のワクチン接種などにもその傾向が出ている。水ぼうそうやおたふくかぜなどの予防接種は受けさせずに、「かかった子どもがいたら故意に感染させて自然に免疫をつけるほうがいい」と小児科医からすると「非常識」に考える母親も少なくない。

 北里大学医学部産婦人科の海野信也教授は「リスクをきちんと認識して選択するのならいいが、そうでない人に、自然だから安全という誤った認識が広がると危険だ」と指摘する。

 ホメオパシーが200年ほど前にドイツで誕生し、その後、欧州で広まったのも、西洋医学に対抗する意味合いが強かったとされる。最近の代替医療への期待は医療不信ともなんらかの関係があるのかもしれない。

 ただ、科学的知見に基づき、医学は大きく進展した。治療法が確立した領域にまで、代替医療が踏み込むのは危うい

 矢野寿彦、西村絵、長倉克枝が担当しました。

記事の内容自体は各社の後追いといったもので特に新鮮みはありませんけれども、興味深いのは記事中に掲載されている東京都での相談・苦情件数の表で、これだけ社会的に危険性が云々されているような状況にも関わらず、ホメオパシーは他の代替医療に比べてずいぶんと件数が少ないんだなという印象を受けるところですよね。
すでに当「ぐり研」でも何度も書いてきました通り、ホメオパシーというのは非常にカルト的色彩が強く、こうした社会的バッシングも布教がより一層広まるための予想された試練だと一致団結する傾向があるのに加え、先日もお伝えしましたように弁護士ら各界の専門家が入り込んでしっかりした批判対策をも講じているということですから、この牙城を切り崩すのはなかなかに容易ではなさそうです。
これに加えて医療方面などにもすでに相当広範囲な浸食が発生している様子であるのが気がかりですが、先日以来話題になっているのが琉球大医学部では正規カリキュラムの一環として、ホメオパシーを必修にしていたというのですから驚きますよね。

琉球大、必修授業にホメオパシー 来年度から取りやめ(2010年9月17日朝日新聞)

 琉球大学医学部が6年前から、助産師の卵たちに民間療法「ホメオパシー」を必修授業の中で教えていた。日本ホメオパシー医学協会認定の療法家(49)が講師だった。ホメオパシーに傾倒する助産師が通常医療を拒否するトラブルも起きており、同大は来年度から取りやめることを決めた。今後は学生に「リスクがある」と伝えていくという。

 大学や担当した講師によると、ホメオパシーの授業は、代替療法の一つとして、保健学科の「助産診断・技術学」の中で年1回、3年生を対象に行われた。今年度も8月10~11日、学生10人を対象に、ホメオパシーの歴史やレメディーと呼ばれる砂糖玉が体に作用する仕組み、症状が緩和できる病気について、教えたという。講師が学生から「どうしたら(ホメオパシー療法家の)資格が取れるか」と聞かれたこともあるという。

 講師の療法家は助産師で、沖縄県内に日本ホメオパシー医学協会と提携する助産院を開設。2004年度に非常勤講師として採用された。この療法家は取材に「ホメオパシーは素晴らしい。症状が改善する」と話している

 今夏、山口市でホメオパシーを実践する助産師が女児にビタミンK2シロップを与えず頭蓋(ずがい)内出血により死亡させたとして、損害賠償を求める訴訟が起きたことが明らかになった後も、学内で授業内容に異論は出なかったという。

 しかし、日本助産師会が8月下旬、ホメオパシーを使用したり、勧めたりしないよう会員に求めたのを受け、担当教員らが「適切ではない」と判断。来年度以降は中止することを、医学部教授会などを通じて決めることにした。

 ホメオパシーを取り入れている助産師は多く、日本助産師会の調査でも、1割弱の助産院が実践していた。

 担当の教授(母性看護・助産学)は「お母さん方から質問された時に、説明できるように取り入れた。今後はホメオパシーはリスクがあるものと伝えていく」と話している。(岡崎明子、長野剛)

この一件、記事を読む限りでも色々と突っ込みどころはあるのでしょうが、例えば漢方医を呼んで特別講義をなんてことは全国どこの医学部でも普通に行われているだろうと思われますから、いわゆる代替医療問題ということに関してどこから線引きしていけば良いのかということはなかなか微妙な話ではないかなという気がします。
ちょうどこの講義で使っていたという「教科書」をチェックしてきてくださった方がいらっしゃって、何しろ「看護のための最新医学講座」なんてもっともらしい名前で30巻以上の大著だと言うのですからこれは本格的なテキストだと誰でも思うでしょうが、実際の中身はこれ全てが代替医療のオンパレードだと言うのですから、一粒で二度びっくりというものですよね。
当然に予想通りというのでしょうか、ホメオパシー関連部分の執筆者には例によって由井寅子氏が名を連ねていると言うのですから、思わず「コテコテやんか!」と突っ込みを入れたくもなりますけれども、こういうものが一般の教科書っぽい体裁で出ているというのですから困ったものです。

ただ先日も沖縄で中学校の養護教員がレメディーを勝手に使った挙げ句、当の中学生からも「思い込み薬」だと看破されたなんて恥ずかしい話を紹介しましたけれども、どうも沖縄では昔から介補なんてシステムが存在していたせいか、あるいは医療に似て医療に非ざるものに対する敷居が低いといった文化的背景があるのかも知れません。
少し古い琉球新報にもこういう記事が出ていて、この浦崎氏は琉球新報のみならず沖縄タイムスなどにも取り上げられているちょっとした地元の有名人のようなんですが、悪性リンパ腫に対して化学療法や放射線療法を行い幸い回復したということですから、普通に考えれば最新の医学的知見に基づく集学的治療が奏功した症例であったと受け取るべきですよね。
もちろんご本人が「これはホメオパシーのおかげだ!」と考える自由は否定できないわけですが、客観的に見ればその解釈の自由を商売に利用している結構痛い人(失礼)という解釈も成り立ちそうなところを、学校もマスコミも一緒になって盛り上がってしまうというのも土地柄なんでしょうか?(すでにご本人ブログや通販ショップは閉鎖されたようですが)

向き合えば成長できる 末期がん克服した浦崎千秋さん(2010年3月2日琉球新報)

 【与那原】末期がんを克服した浦崎千秋さん(32)=ホメオパシー代理店陽(みなみ)代表=が2月24日、与那原町板良敷の沖縄看護専門学校(小波津豊子学校長)で「創造的に生きる」と題し、講演した。看護師を志す2年生92人を対象に、自らの闘病体験で感じたことなどを率直に語った。
 浦崎さんは4年前に悪性のリンパ腫が見つかり、再発を乗り越えて回復した。現在2児の子育てをしながら統合医療のアドバイザーを目指して勉強中。28日に豊見城中央公民館で公演する沖縄芝居「恩納なびー」への出演も決定している。
 がんになったことで、生きていることへの感謝の念が生まれたという浦崎さん。「がんと向き合って自分の良さが発見できた」と笑顔で語り「苦しい時にも逃げないで。向き合うことで成長するから」と語り掛けた。
 治療で苦しい時に、近くで看護師同士が「今日のコンパ何着て行く?」と話す声が耳に入ってきた時に「むなしかった」という。「何のために看護師になったか初心を忘れないで」と強調し「皆さんの前向きな生きざまを見せることが、患者の治癒力を確実に向上させる」と訴えた。
 学生からの「末期患者にどう接すればいいか」という質問に対しては「寄り添うだけでいいという人が多い。手を握っても一緒に泣いてもいい」と答え、「心から相手をいとおしく思い、抱き締めてあげられる自分になろう」と呼び掛けた。

もちろん沖縄が特別代替医療にはまりやすいというわけでもない、日本全国どこだって大なり小なり似たものではないかという意見も当然ありでしょうし、そこにこの問題の根深さが潜んでいるのだということにこそ注目していかなければならないでしょう。
琉球大学ばかりを悪者にしても仕方がないところで、例えば愛知大学などでも「暮らしに活かすホメオパシー 基礎 ~「36種基本レメディキット」を学ぶ~」だの「暮らしに活かすホメオパシー 応用 ~テーマ別セルフケアー~」だのといった、いかにもそれらしいホメオパシー講座が開催されていたということですよね(幸いにも?最近中止が決まったということですが)。
東京女子医大などではそのものずばり「自然医療研究所クリニック」なんてものが存在していて、以前からそのクリニックでは各種代替医療が公然と行われていることが知られていましたけれども、今も変わらずホメオパシーの金看板を掲げ続けているようで、ホメオパシーと言うに限らずこちらの体験談を拝見するだけでもクラクラするものがあります。

事例・体験談(東京女子医科大学青山自然医療研究所クリニックHP)より抜粋

心身の状態
      Cさんは進行した肝臓病で、Oリングテストでは、西洋薬は全て否定(合わない、効果が無い)され、他の療法も効果がないという結果が出ていました。

処置・対応
      そこで、『自然経過として、あなたの体が死ぬ行程にあるとしたら、Oリングテストはそれを肯定し、西洋医学では運命に逆らうのかもしれません。しかし、西洋医学なら運命に逆らって、死ぬべき人を生へ引き戻すことができます』とお話ししたところ、Bさんは西洋医学を選択され、治療をはじめました。

経過
      1年後も透析を受けないで済んでおり、仕事も再開されました。奇跡に近いことですが、西洋医学でもこういう事があるのです。

琉球大医学部にしろ東京女子医大にしろ、一応は正規の助産や医療の系列に連なっている組織のはずですが、そんな中にもこれだけ代替医療が滲透しているということは改めて問題の根深さを感じますね。
医師会や助産師会を初めとした各業界団体がそろってホメオパシー反対の公式見解を打ち出してきたことで、これらの領域に連なる末端ホメオパスの動向が注目されてきたわけですが、先ほどの浦崎さんのようにあっさり転んだように見える方が軽症かと言えば、実は単に地下に潜っているだけということも大いにあり得るわけですよね。
彼らの側にしてみれば社会的バッシングはいずれ必ず通らなければならない道だという認識があるわけですから、単にホメオパシーけしからん!と大騒ぎしているだけではどれほど実効性があるのかと疑問の余地無しとしないところで、何かしらの法的規制を初めとして社会的に逃げ場のない対策というものを考えていく必要もあるのでしょう。

もちろん根本的な問題として、社会の一人一人が怪しげなものに騙されないように注意していく必要があることは言うまでもありませんけれども、あれだけ啓蒙活動を繰り広げた今でも振り込め詐欺なども撲滅できていないというくらいですから、この商売だけはおいそれと人類社会から撲滅することは難しいのでしょうね。
厚労省が行うという公式な調査結果というものの行方もさることながら、より一層注目すべきはその結果を受けて国としてどのように動いていくかということであるはずで、このあたりの国の動向を最終的に決めるのが民意、世論というものであることを考えれば、調査結果は出たけれども世間の関心もなくなったようだし、今後の検討課題としましょうかといった話にはさせてはならないということなのでしょう。

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2010年9月21日 (火)

帝京大病院院内感染 今後思いがけない大きな影響も?

先日は帝京大医学部付属病院で多剤耐性アシネトバクター(MRAB)による院内感染が発生したということですが、何しろ既存の抗生物質がほとんど効かないということから世間でも大騒ぎになっていて、厚労省でも全国で緊急調査を行うことに決定したということでした。
同院内では感染症対策の担当者が厚労省通知を十分把握していなかったことも感染拡大の一因とも言われているようで、何しろこれだけの耐性菌ですから大学病院内での蔓延も大変な問題ではあるのですけれども、この件に関連して警視長が業務上過失致死の疑いで事情聴取を始めたということから、全国あちこちで一斉に反発の声が上がっているという状況です。

帝京大病院の院内感染、医師らから任意で聴取 警視庁(2010年9月6日産経新聞)

 帝京大医学部付属病院(東京都板橋区)で抗菌薬に耐性を持つ細菌「多剤耐性アシネトバクター」(MRAB)の院内感染が発生した問題で、警視庁捜査1課が業務上過失致死の疑いもあるとみて、医師ら病院関係者らに対し任意の事情聴取を始めたことが6日、捜査関係者への取材で分かった。

 同課は病院の感染防止体制の不備の有無や感染ルートについて慎重に捜査を進める。患者から検出された菌の遺伝子特徴について調べるほか、カルテなどの資料についても任意で提供を求め、情報収集を進めている。

 同病院では、患者46人がMRABに感染し、昨年10月から今年8月に27人が死亡。死亡例のうち9人に関して感染が直接の死因となった可能性があるという。

「警察介入に断固反対」 院内感染で病院団体協議会(2010年9月17日産経新聞)

 11の病院団体でつくる日本病院団体協議会(議長・辺見公雄赤穂市民病院名誉院長)は17日、帝京大病院での院内感染に絡み、警視庁が病院関係者に任意で事情聴取したことについて「医療の不確実性を否定する警察権力の介入に断固反対する」との声明を発表した。

 声明は、多剤耐性菌による院内感染について「医療の高度化の副産物的な要素が極めて強く、完全に防止することは不可能だ」と指摘。

 その上で「行政の調査を待つことなく警察が介入するようになれば、原因究明が阻害され、医療の萎縮(いしゆく)を招くのは必至だ」とした。マスコミに対しても冷静な報道を呼び掛けた。

業界団体の公式声明などはそれなりに冷静かつ謙抑的ですけれども、個々の医師のレベルになりますとそれなりにヒートアップしている方々もいて、この道はいつか来た道だなんて声も上がっているようですね。
そんな中でちょうどm3に自治医大の森澤雄司氏とともに、大野病院事件の担当弁護士である安福謙二氏による対談記事の連載が始まっていますが、さすがに全国に注目された事件の一方の担当者であっただけになかなか興味深い話が出ているようですよね。

「アウトブレイクで警察が介入」では医療は成り立たず◆Vol.1死亡と院内感染との因果関係の証明は困難(2010年9月16日m3.com)より抜粋

 帝京大学医学部附属病院は9月3日、記者会見を開き、多剤耐性アシネトバクターによる院内感染を公表した。メディアで連日報道される中、警察による任意聴取が開始され、医療界からは警察による介入を疑問視する声が多数上がっている

 院内感染はいくら徹底しても、100%防止することは不可能。自治医科大学医学部感染免疫学講座・臨床感染症学部門・准教授の森澤雄司氏と、福島県立大野病院事件で被告医師の弁護人を担当した弁護士の安福謙二氏に、今回の帝京大学の事例などを基に、院内感染対策と刑事司法の観点から語っていただいた。(2010年9月9日に実施。計4回の連載)。

 ――最初に帝京大学のニュースを耳にした時、どう思われましたか。

安福 福島県立大野病院事件以降、「捜査機関は謙抑的になってきた」とも言われますが、「捜査が萎縮してはならない。本来のあり方に立ち戻るきっかけにするんだ」と警察が考えたのかもしれない、そんな不安を私は覚えました。

森澤 「捜査機関が介入すると、医療が萎縮する」という批判に屈せずに、やっていこうということですか。

安福 捜査機関は、「大野病院事件で悪者にされた」と受け取っている印象があります。様々な情報を鑑みると、捜査機関は、大野病院事件は社会情勢で無罪になったように受け止めており、「納得できない」という気持ちを持っている可能性があります。

森澤 それは警察と検察、どちらもということですか。

安福 強いて言えば、警察側にその傾向が強いでしょうね。ただ検察も微妙ですが。

森澤 医療では、患者さんの状況は個々によって違うので、「さじ加減」というか、それに対応していきます。しかし、法律の適用が、個々の状況で違うと、法律とは何なのか、よく分からなくなってしまう。

安福 個々の事案によって、何らかの政策的な判断が働くのは現実。最近、ある国会議員が(9月8日、衆議院議員の鈴木宗男氏が受託収賄やあっせんなどの罪に問われた事件で、最高裁が上告を棄却、有罪が確定)、「国策捜査」と激しく反論をされていました。そういう"におい"がないことはあり得ない。

 これが、「帝京大学に警察が入る」と聞いたときの印象。「本気になって調査したら、どこの病院でも、実はこの手の話はいくらでも出てくるのではないか」。これが最初にニュースを聞いた時の、私の素朴な印象です。病院は、一般社会以上に、常在菌が何らかの拍子に耐性化する場所。常在菌も耐性菌も、病院にはたくさんある。それが病院の特性ではないかと。私自身、患者としてよく病院に行きますが、小さなお子さんやお年寄りの方が、必要もないのに付き添いとして来ているのを見ると、私は逆に不安になる。危険なところになぜ子供を連れてくるのかと。

 恐らく帝京大学は、院内感染対策を講じており、検査をしていた病院だったのではないか。だからこれだけ数が把握できたのではないか、とも考えました。もちろん、批判されるような問題は幾つかあるのかもしれませんが、様々な点を考え合わせ、第一報を聞いて複雑な心境になったというのが率直なところです。

森澤 「大きい病院ほど危ない、様々なリスクがたくさんある」というのは、フローレンス・ナイチンゲールの時代から言われていることなのです。

安福 患者さんの数が圧倒的に多い。

森澤 それに重症者が集まりますから。「大きい病院ほど危ない」というのは、ある意味、当たり前であり、常識とすべきことだと思うのです。昨年の新型インフルエンザ流行の際にも申し上げたのですが、国民の皆さんには、かかりつけ医をちゃんと持っていただいて、開業医と地域の拠点病院が病診連携していくのは、単に人的あるいは医療経済的な面からだけでなく、医療安全の面からも重要だと思うのです。

安福 そうした声を、医療者がもっと一生懸命に上げないと。

――では森澤先生が、最初にニュースを聞いた際の印象はいかがでしょう。

森澤 最初にニュースを聞いたのは、金曜日(9月3日)の夜。翌土曜日は、ある研究会に出席したのですが、感染症関連の専門家が集まっており、「ちょっと困ったね」などと話題になった。その後に、警察が入るらしいと報道で知りました。ただ、アウトブレイクへの対応に多少問題があったとしても、それでその都度、警察が入ってくるとなると、現場はもう怖くて医療ができません

 さらにその後、本当に警察が入ってしまった(9月6日から警察は任意の聴取を始めたと報道されている)。国民の処罰感情、「何をやっているんだ、けしからん」という気持ちも、もちろんあると思うのですが、現場の側からすると、感染管理の人手が足りなかったのでは、などと考える。この辺りはより詳細に今後、検討しなければならない点ですが、医療関係の調査が入るのであれば、プラスになる助言をする可能性が高いと思うのです。

 ところがそこに、現場をあまり知らない行政の方、ましてや医療のことを全く知らない警察が入ったりすると、「なんで、そんなことを聞くの」と基本的なことから聞かれると思うのです。それでかなり時間が取られてしまうと想像します。私は幸い警察の事情聴取を受けた経験がないのですが。

 そうだとすれば、病院としては人手が足りないから、問題が生じた。そんな状況なのに、警察にも対応しなければならない。かなり悲惨な事態になるでしょう。

――9月8日から、新規の入院と救急車の受け入れの自粛を始めています。

森澤 警察が入るということは、医療の素人が次々と根堀り葉堀り質問するわけですから、「モンスター・ペイシェント」の塊が来たようなものでしょう。現場にはものすごい負担がかかるでしょうね。

安福 頓珍漢な質問の嵐にも耐えているのでしょうが、今、マスコミもよく来ているし、行政も、警察も、また関係者も。恐らく、院内は「取り付け騒ぎ」状態なのでは。
(略)

安福氏もかなり辛辣なことを言っていますけれども、「本気になって調査したら、どこの病院でも、実はこの手の話はいくらでも出てくるのではないか」云々はまさしくその通りの話で、今後全国に感染が広がっていく過程でそのたびにこうした大騒ぎになるということであれば、これは正直現場は大変だなと感じずにはいられない話ですよね。
一方で安福氏の言うところの「捜査機関は、大野病院事件は社会情勢で無罪になったように受け止めており、「納得できない」という気持ちを持っている」という話が事実であるなら、これは「社会情勢で起訴された」と捉えている医療側とは全く逆の見解で大変に興味深いですが、当時の警察庁長官の「医療行為への捜査については判決を踏まえ、慎重かつ適切に対応していく必要がある」と言うコメントとの整合性がどうかです。
当時このコメントは全国でわき起こった医療業界からの警察、検察批判に対する実質的な詫び状であるという見解も司法方面からは聞こえていたものですが、司法畑の安福氏の発言通り捜査側にこの件を再浮上のきっかけにしたいという衝動が本当に存在し、今後通り一遍を踏み越えて本格的捜査に動いてくるようであれば、これはまた炎上必至の大事件になりそうですよね。

もちろん帝京大病院にしても突けば幾らでも(全国数多の他の病院と同様に)危ないところは出てくるでしょうし、今回の件をきっかけに一段と気を引き締めて医療安全対策を講じていくのが社会的義務というものでしょうが、問題は一部の人々が主張するように医療現場におけるゼロリスクを過度に追及していくことが疑問の余地無くよいことなのかどうかでしょうね。
ちょうど横浜市大病院では手術待ちの患者が760人なんて記事が出ていましたけれども、例えば時間外の手術は医療安全の低下を招く、それ故全ての手術は定時までに終了しなければならないなんて院内ルールが採用されたとすれば、どこの病院でも手術待ちの患者が列を成すなんて事態に陥りそうですよね。
感染症対策などは究極的には全ての患者が汚染されていると考えて対処せよが基本になるでしょうが、例えば全ての手術や処置において全患者に予防的に感染防止対策を取るということになれば院内業務がどうなるのかという話で、最終的にマンパワーと医療需要、そして求めるべき安全性を天秤にかけて妥協点を探るしかありません(そして日本ではマンパワーは過少であり、医療需要は過大であるのが現実です)。

もちろん「うちは安全性を最優先しています。全手術室は一日一件しか手術を入れません」なんて施設があってもいいんだと思いますが、もう一つ医療安全の前に横たわる大きなハードルとして、先立つものの問題があるということも承知しておかなければなりません。
ちょうどロハスメディカルにその件に関する記事が掲載されているのですが、これがなかなか興味深い内容ですので要所を引用させていただきましょう。

「医療安全対策」の報酬はいくら?(2010年9月 9日ロハスメディカル)より抜粋

 病院の感染症対策など医療安全の取り組みに診療報酬がほとんど付かない。病院運営に必要なコストを計算した上で適切な診療報酬に見直すよう求める声もあるが、厚生労働省の腰が重い。(新井裕充)

 病院に行くと、入り口に総合案内のコーナーがあって、受付の女性が親切に教えてくれることがある。
 また、身体の不自由なお年寄りがトイレの場所を探していると、近くまで付き添って案内してくれる職員もいる。

 しかし、そうした案内行為に対して「受付基本料」や「トイレ案内加算」などという報酬はない。院内の清掃や廃棄物の処理、警備員の配置など、これらに掛かる費用はたいてい病院の持ち出しになる。感染症対策など医療安全への取り組みにも診療報酬はほとんど付かない

 社会保障費の抑制策が進む中、医療機関の生命線ともいえる人件費が診療報酬で賄われないとの声がある。例えば、院内感染を防止するため専門の看護師などを配置している病院は、「医療安全対策加算」を入院料に上乗せすることができる。しかし、入院初日につきわずか500円という"雀の涙"(2010 年度改定前)。

 しかも、算定要件が厳しいので、取れる病院は限られている。全国に8700近くある病院のうち、算定できたのはわずか1522施設(08年)という、まさに"絵に描いた餅"の設定。08年の算定回数は約27万回だったので、この加算に使われた医療費は約1億3500万円。専従の看護師に支払う給与が年500万円とすると、単純計算で27人分の給与しか賄えない。

■ 「診療側VS支払側・公益側・厚労省」の中医協

 昨年11月18日、診療報酬改定などを審議する中央社会保険医療協議会(中医協)で、診療側の邉見公雄委員(全国自治体病院協議会会長)が「以前の感染対策や医療安全と今の病院における状況が一変している」とした上で、「各部屋の入り口に消毒剤を置くなど、少々の点数では賄えないぐらい」と訴えた。

 また、鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事)も、「うちの病院で1月やっても3万5000円にしかならない。これで1人(安全対策の)専門家を雇えというのは無理」と述べ、「医療安全対策加算」の要件を緩和することなどを求めた。

 これに対し、支払側の白川修二委員(健保連常務理事)は「経営をしている限りはどういう経営体であっても責任を持たなくてはいけない」と一蹴。小林剛委員(全国健康保険協会理事長)も、「医薬品の安全対策や院内感染防止を進める取り組みは非常に重要で法令上求められており、当然進めなくてはいけない」として、病院として当たり前の取り組みであることを強調した。

 こうした議論を踏まえ、10年度改定で厚労省は「医療安全対策加算」を850円と350円の2つに区分。専従の看護師らを配置できない中小病院などでも同加算を取れるようにしたが、たったの350円。厚労省はこの改定をもって、「医療安全対策の推進」などと謳っている

 医療安全対策に役立たない診療報酬に非難の声もある中、9月8日に中医協総会が開かれた。診療側は病院運営に必要なコストの分析などを求めたが、厚労省はいつものように沈黙を決め込み、支払側委員が強く反発した。

 コスト調査について、白川修二委員(健保連常務理事)は「ものすごい手間が掛かる」と厚労省の事務作業量が増えることを懸念。「余分な時間を掛ける暇があったら、もう少し現実的な話をしたらどうか」と退けた。

 これに対し、診療側の嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)は「正しい情報を出していくという意味でコストを積み上げる。一度出してみないと、何にも工夫ができない」と求めたが、公益委員の遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)が発言をさえ切り、こう言った。
 「あるべきコスト論が入ってくると、『あるべきコストとは何ですか』という話になってきて、そうすると何倍にもなる可能性があるということを周知しておかなければならない」

 医療費抑制策は変わらない。診療側の要望に厚労省が動かず、支払側と公益委員が寄ってたかって診療側を封じるという、"まさに中医協"というシーンを久しぶりに見た。
(略)

以下に延々と実際のやりとりが引用されているのですけれども、記者の要約だけでも非常に分かりやすい構図として、民主党政権が医療にもっと金を掛けますなんてことを言っていた割には、中医協の場での議論の流れはまるっきり変わってないじゃないかということは感じ取れる話ですよね。
特に(失礼ながら)笑えたのが全国健保協会理事長の小林剛委員ら支払い側による「医療安全対策?法律で決まっていますが何か?金があろうがなかろうが進めてもらうのは当たり前ですが何か?」という態度ですけれども、もちろん100%公定価格の保険診療において安全対策費用を捻出出来ず何かしら問題が起こったところで、「それは各施設の経営責任ですから」で一蹴されてしまうと言うことになっているわけです。
今はどこの病院でも赤字赤字で青息吐息な状況ですけれども、平たく言えば真面目に医療安全対策などという報酬も付かないところに労力をつぎ込んでいる病院ほど、ただでさえ乏しい体力を更に削り取られて経営破綻への道を一直線という、非常に素晴らしい未来絵図が容易に想像出来るわけですよね。

国の医療政策を決定する中枢の一つとも言うべき場での認識がこんな調子であるわけですから、こうした実態が末端医療機関に知られるようになってきますと、どこの施設でも経営責任を全うするために独自の経営努力を払わなければならないようになるだろうことは容易に想像がつきますよね。
例えば今であっても一部の病院では耐性菌付きの患者の転院には難色を示すなんてことがありますけれども、今後は患者の受け入れに際しては各種検体による培養結果を通じて面倒な耐性菌が付いていないことを立証してからでなければ断られる、なんてことも増えてくるかも知れませんね。
もちろん命がかかるような重症患者を扱っている急性期基幹病院ほど強力な治療を集中的に行った結果、そういうところの患者さんにはやっかいな耐性菌も沢山付いているでしょうから、こうした病院は最悪どこにも患者を引き取ってもらえず、慢性期の患者で病床が埋まって新規重症患者を取れない、なんてことも日常茶飯事になってくるのかも知れません。

そう考えて見るとマスコミなどは例によって「帝京大は何をやっている!こんな施設には社会的制裁が必要だ!」なんてバッシングに余念がないですし、仮に誰かが起訴でもされるようなら炎上必至ですけれども、そうでなくとも今回の一件はもしかすると思いがけないくらいに大きな社会的影響というものが後々出てくることになる、その最初の蟻の一穴になる可能性もあるのでしょうかね。

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2010年9月20日 (月)

今日のぐり:「坂本」

先日こんなニュースが出ていたのですが、よくあるB級ニュースと言えば言えるものの、人間というものはなかなか奥深い存在であるということを感じさせてくれますよね。

お医者さんに聞きました 患者さんの体内からとりだした変わったものは?(2010年8月27日ギズモード・ジャパン)

なんでこんなものが体の中に!

上の写真は去年とある男性の喉から摘出されたウェンディーズのスポーク(スプーンとフォークが一緒になってるあれ)です。なんでまた?

でもこれくらいで驚いてられませんよ。お医者さんメンバーオンリーのサイトSermoで、今まで患者さんの体内から取り出した変わったものは? との質問をしたところすごい答え返ってきました。答えのいくつかが公開されてます。

・アレルギー専門医・免疫学専門医
子供の鼻からおもちゃのプラスティックでできたヘリコプターを取り出したことあります。

・外科医
ペン5本、マジック2本、ストロー3本、歯ブラシ2本、オレオクッキーの包み紙4枚。これが全部同時に1人の患者のお腹から。

・泌尿科医
うちの病院で外科医が取り出したんだけど、お腹からバービー人形が。飲み込んじゃったみたい。

・病理医
直腸からでかいズッキーニ。男性の尿道からスパイラルノートの針金。同じく男性の尿道から鉛筆。お腹からライター。

うおぉ。怖い。そしてこんなにもいろんなものが体の中に入るってことにビックリです。

まあ、なんと言いますか…これも人体の神秘というものなのかは判りませんが、たまにでよろしいですから入れる時だけでなく出す時のことにも思いを馳せていただきたいと感じているお医者さんも多いのではないかと思います。
そんなわがまま勝手な人間が世にあふれている中で、中国から聞こえてきたこちらのニュースはなんと言いますか、自己完結ということに対する強い責任感を滲ませた男のすごみが伝わってくるような話ですよね。

【中国】肛門に突き刺さった鉄筋を自分で抜いた凄い男(2010年07月06日エクスプロア上海)

    「父さん!」息子の声に徐さんは10日余りのこん睡状態から目覚めた。涙を浮かべて話しかけてくる息子の顔を見ながら、徐さんは自分に起きた出来事を思い出していた。肛門から体内深くに鉄棒が刺さり、自分でそれを引き抜いたのだ。地元紙で報道された。

47歳の徐さんは広東省恵州から広州に堤防作りの出稼ぎに来ていた。
6月のある日、徐さんは堤防の上の平らなコンクリートの上に座って休憩していた。
風が気持ちいいと思ったその時、作ったばかりのコンクリートが割れて徐さんは体育座りのまま落下してしまった。真下には親指ほどの太さの鉄筋が垂直に立っていた。鉄筋は徐さんの肛門から体内深くまで突き刺さってしまった。
徐さんは身体の重みで肛門に刺さった鉄筋がそれ以上体内に深く入らないようにととっさに鉄筋と共に地面に倒れたという。そして満身の力を込めて自分で鉄筋を引き抜こうとした。
「鉄筋が刺さった時も抜く時も全身の神経に強烈な痛みを感じた。五臓六腑がすべてひっくり返ったような感じだった」
    驚異的な精神力で肛門に刺さった鉄筋を自分で引き抜いた徐さんはそのまま気を失った。

徐さんは運び込まれた中山大学付属病院で6時間半に及ぶ緊急手術を受けた。鉄筋は肛門から刺さり、直腸を突き抜け、肝臓にまで達していたという。しかし20センチも刺さったのに大動脈を避けていたので大出血にいたらなかったことが幸いだった。
10日余りのこん睡状態を経た徐さんは、その後の回復力も驚異的であと数日もすれば身の回りのことも徐々に自分でできるようになると医者は話している。

      徐さんの手術を担当した中山大学病院の王教授は、もし身体に何か刺さったら決して自分で抜いてはいけないと注意を促している。抜いた瞬間に大出血を引き起こしショック状態になってしまう危険が高いからだ。また消毒していないと傷口から感染症になる危険もある。何か刺さったら、刺さった状態で救急車を呼ぶようにということだ。

いや私失礼ながら、今の今まで「偶然」つるっと肛門からウナギが潜り込んできたとか、「偶然」すべったはずみで肛門にジャガイモがはまり込んでしまったなんて話は正直眉唾物だと思っていたんですが、ここまで体を張っていただいたということであればこれは問答無用で偶然の事故はあるのだと認めるしかありませんよね。
本日は偉大なるこの徐さんに経緯を表して、人間として有り得べからざるとも言うべきすごい偉業?の数々というものを紹介してみようかと思いますが、まずはこちらは誰がどう見ても文句なしにすごいというニュースです。

トランプをものすごい早さで箱に詰める職人の動画! まるで早送りのようだ(2010年9月10日ガジェット通信)

トランプ生産工場でまさに“匠”とも言える技を披露する職人芸を納めた動画が動画サイトに公開されている。まだ箱の中に入っていないトランプを機械を使わずに手動で箱の中に詰めていく作業工程の現場なのだが、その早さがものすごい。

早送りのような目に見えない早さでテキパキと作業をこなしていくのだ。トランプも目分量で数え、さっと手に取り箱に入れる。実際は目分量ではなく、感覚でトランプの枚数を覚えているのだろう。こういった仕事は経験がものを言うというが、まさにその通り。
慣れている人は手元を見ないで作業をする程だ。

1個のトランプ箱詰めに掛かる時間は約7秒。10秒掛からないで54枚のトランプを手に取り箱に入れ組み立てるという全ての作業を行っている。これは機械に任せるよりも効率良いかも?
このトランプ工場の人は全員この速さでトランプを詰めることが出来るのだろうか。

ある意味トランプマンより凄いと思ったのは自分だけでは無いはず。

リンク先の動画を見てみますと「トランプを箱に詰めるだけの簡単なバイトです」なんて言いますけれども、これは大変な職人技というしかないですよね。
一方でお隣中国からはお得意の人海戦術ということなのでしょうか、びっくり世界新記録達成というニュースが出てきています。

中国で1万人超が「人間ドミノ」、世界記録更新(2010年8月13日ロイター)

 [北京 13日 ロイター] 中国の内モンゴル自治区で12日、人が順番に将棋倒しになる「人間ドミノ」に1万人以上が参加し、人数の多さでギネス世界新記録を達成した。

 内モンゴルのオルドス市で行われた記録更新イベントには、学生を中心とした1万0276人が挑戦。参加者は足を組み、後ろ向きに倒れるかたちで人間ドミノを行い、終了するまでには1時間20分かかった。新華社によると、参加者は3日間をかけて毎日4時間以上の練習を重ねていた。

 人間ドミノの参加人数のこれまでの世界記録は、2000年にシンガポールで作られた9234人だった。

いやしかしこれは、各人がよほどの根気がないと続きそうもない偉業と言うしかない話ですが、この調子で世界記録が更新されていきますと、いずれ中国十億の人民で地球一周人間ドミノなんてことにもなるのでしょうか?
人の手で成した偉業というべきなのか奇跡というべきなのか微妙なところですが、とにかくすごいということに関してはこちらのすごさはちょっとしたものだというニュースです。

「奇跡だ!」機体が3つに分断されながら心臓発作?の死者1人(2010年8月17日産経新聞)

 【ニューヨーク=松尾理也】カリブ海に浮かぶコロンビア領サンアンドレス島の空港で16日、地元アイレス航空のボーイング737型旅客機(乗客乗員127人)が着陸後、機体が3つに分断されながらも、死者が1人だけにとどまる事故があった。乗客らから「奇跡だ」との声が上がっている。

 同機は首都ボゴタ発。機体は滑走路手前に着陸した後、3つに分断され大破した。乗客の一部はシートベルトをしたまま滑走路に投げ出されたという。しかし炎上には至らず、乗客らは駆けつけた救急隊に救助された。死亡した乗客1人については、心臓発作によるものとの見方もある。

 航空機は直前まで異常は認められなかったといい、着陸直前に落雷にあった可能性などが指摘されている。空軍関係者は「地面との激突を避けたパイロットの高い技術のおかげだ」と称賛した。

ハドソン川の奇跡とも言われた先年の事故などもそうですが、昨今飛行機事故にもこうして奇跡的に犠牲者が少ないという事例がぽつぽつ出ているのは機体や操縦技術の向上もあるのでしょうが、利用者としては何かしらほっとするような話ですよね。
こちらは偉業と言うのかどうかは判りませんが、世の中妙なことを考えつく人間は数限りないものの、それを実際にやってしまう人間は稀少であるという意味では偉業というしかないニュースがこちらです。

マクドナルドで「マクドフライおいもさん1つください」と注文してみた(2010年7月24日ロケットニュース24)

世界中で愛されている大手ハンバーガーチェーン『マクドナルド』。日本でもお馴染みのファーストフード店だが、なぜか関東圏では『マック』、関西圏では『マクド』と呼ぶ傾向が強いことから、しばしば議論の対象になっている。

その議論が飛躍して、掲示板サイト『2ちゃんねる』では『ビッグマクド』や『マクドシェイク』、『朝マクド』などの言葉まで生まれた。正式なメニュー名はご存知の通り『ビッグマック』、『マックシェイク』、『朝マック』。だが関西圏では『マック』ではなく『マクド』と呼ぶことからそれを揶揄(やゆ)し、メニュー名の『マック』の部分をすべて『マクド』に置き換えているのだ。

そして、極めつけは『マクドフライおいもさん』である。これは『マックフライポテト』を関西圏ではこう言っているのでは? という発想から誕生した言葉。『マック』を『マクド』、『ポテト』を『おいもさん』とそれぞれ関西風に表現している。例えば、『2ちゃんねる』には以下のような書き込みが頻繁にされている(一部わかりやすいように表記を編集した)。

・よくコピペされるマクド文
関西人A:  マクド行こうでんがなwww
関西人1:  おう、腹減ってたやし行こうまんがなww
関西人A:  わしゃビッグマクド食うでぇ~wwww
関西人1:  わてはマクドフライドおいもさんを注文するんや!www
関西人A1: ほな、行こかぁ~wwwwwww

どうやら、関西では『マクドフライおいもさん』とオーダーすれば、『マックフライポテト』が買えると思っている人が多いようだ。そこで、関西在住の記者(女)が京都市内の『マクドナルド』を訪れて実際に試してみた。

店員: ご注文をおうかがいします。
記者: 『マクドフライおいもさん』のMサイズを1つください。
店員: え……?
記者: ……『マクドフライおいもさん』のMサイズを1つください。
店員: もう一度、お願いできますか?
記者: 『マクドフライおいもさん』のMサイズを1つください。
店員: ……。
記者: ……。
店員: (かなり優しい声でメニューを指しながら)この写真のポテトのMサイズですか?
記者: はい。
店員: (心配そうな表情で)ご注文は以上でよろしいでしょうか?
記者: はい。

計3回も『マクドフライおいもさん』と声に出したが、結局伝わらなかった様子。記者は生まれも育ちも関西だが、『マクドフライおいもさん』などと注文している人を見かけたこともないし、そんな話を聞いたこともないのだから伝わらなくて当然だろう。

ちなみに記者の周りでは『マックフライポテト』のことを『マクドのポテト』と呼ぶことが多い気がする。「マックフライポテトってすごく美味しいよね」を関西弁で言うと、「マクドのポテトってめっちゃ美味しいよな」となるわけだ。

今回の調査結果からすると、『マクドフライおいもさん』をはじめ『ビッグマクド』、『マクドシェイク』など関西弁バージョンのメニュー名で注文しても意味不明な客になってしまうため、やめておいたほうがいいだろう。ちなみに、日本マクドナルドは「マックでもマクドでも、お好きなほうで呼んでいいですよ」とコメントしている。

まあ、その、普通の人間は実際に行動に移す前に結論を理解していそうな調査結果ではあったのではないかという気も、少しばかりしないでもないのですが…
一方でこちらは大胆と言いますか無謀と言いますか偉業になりそこねた一例というものですが、やってしまった後で後悔してもすでに遅いだろうjkという大それた行動の実例です。

大胆なのか何なのか…警察署に強盗敢行!即逮捕(2010年7月12日読売新聞)

 12日午後0時40分頃、宮城県気仙沼市南郷の気仙沼署に包丁(刃渡り約16センチ)を持った男が押し入り、1階の交通安全協会受付カウンターにいた女性職員(37)を「金を出せ。殺すぞ」などと脅した。

 当時、1階フロアには5、6人の署員がおり、男を取り押さえた。

 発表によると、男は同市波路上明戸、無職畠山一博容疑者(22)で、同署は強盗未遂と銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕した。畠山容疑者は「警察署に行けば、金があると思った」と供述しているという。

 同署幹部は「まさか警察署に強盗が入るとは……」と驚いている。

この記事を見て、全国各地で「これがゆとりか…」とつぶやいた人が一億人を突破したとかしないとか…
こちらはある意味でそれ以上に無謀というしかないチャレンジですけれども、残念な結果に終わったとしても無謀を貫き通せばそれは偉業にもなろうという話でしょうか。

1日4回富士山登頂 米軍兵士たちの「無謀」挑戦(2010年9月3日J-CASTニュース)

   富士山に登った登山者が2010年8月28日、過去30年でもっとも多い25万人を超え、一種のブームになっている。山梨県側から6合目で登山者を24時間体制でカウントしている富士山安全指導センターによると、8月31日午後2時の時点で25万8000人の登山者を記録した。

   そんな中、24時間以内に4回富士山に登るという「無謀」な挑戦をするアメリカ人たちがいる。

たった2時間半で山頂目指す

   「4 in 24 Fuji Challenge」と名付けられ、米海軍横須賀基地にある第7潜水艦群に所属するデイビッド・ビームさんが、同じ基地に勤務する3人の仲間たちと実行する。

   予定では9月4日午前3時に、最も一般的な登山道「河口湖口ルート」の5合目(標高2305m)に入り、3時半から第1回の登頂を始める。メンバーたちは、(1)5合目から山頂まで平均2時間半をかけて登り、(2)約10分の休憩、(3)約1時間20分で5合目まで下山、(4)30~45分休憩をしたら再び山頂に向かう、という時間配分を目標にしながら、徐々にペースを落としていく。

   ちなみに、やまなし観光推進機構が運営している「富士の国やまなし観光ネット」の情報によると、同ルートの所要時間は山小屋での休憩を挟みながら、登り約6時間、下り約3時間20分としている。単純計算すると普通の人の2.4倍のスピードで登ることになる。

   富士登山を甘く見ているのではなく、チャレンジに向けて過酷なトレーニングを積んできた。まず、決心を固めた1年前から「クロスフィット」という、特殊部隊でも採用される体力・持久力・敏しょう性などを総合的に鍛えるトレーニングを始めた。5月からは舗装された道ではなく野山を駆け巡る「トレイルラン」をメニューに加えた。さらに7月に富士山が登山シーズンに入ってからは、一般登山者のボランティアガイドとして、2カ月で12回も登頂を果たした。

負傷兵士支援するチャリティーも行う

   実は、過去にも横須賀基地に勤務する米軍兵士たちが「4 in 24」、一日4回登頂を成し遂げている。挑戦が始まったのは2007年。2人が24時間以内に3回の登頂を目指して成功した。翌08年には今と同じ4回に目標を高く設定した上で5人が挑戦し、21時間59分で成し遂げた。ところが09年はメンバーが1人に減少。さらに天候不良の影響で目標達成とはならなかった。10年は過去3年で挑戦したメンバーが全員帰国し、計画自体が頓挫しかけたが、「この伝統をなくしてはならない」と、09年の挑戦者の親友だったビームさんが立ち上がり仲間を集めた。今回はチーム全員が初参加だ。

   挑戦の模様はホームページ(http://fujicharity.com/)で報告される。また毎年、挑戦者たちがチャリティーを呼びかけており、ビームさんは1万ドルを目指している。8月30日夜の時点で3600ドルが集まったという。集まった募金は、イラクやアフガニスタンで負傷した米軍兵士たちを支援するNPOへ贈る。

   ビームさんに不安はないか聞いたところ、「一番の不安は睡魔との闘いだ」と答えた。また、妻のジェニファーさんは、体力的に過酷なこの挑戦について、「どうかしている」とあきれ顔だが、趣旨には賛同し全員の無事と成功を祈っている。

ピストン富士登山成功せず 空前の渋滞に足すくわれ(2010年9月7日J-CASTニュース)

 米軍兵士らが24時間以内に4回富士山に登る「4 in 24 Fuji Challenge」は、目標達成とはいかなかった。2010年9月4日未明からの挑戦。行く手を阻んだのは、ケガでも精神的挫折でもなく、登山道の渋滞だった。

 富士山の5合目と山頂を往復するというもので、米海軍横須賀基地の有志が数年前からチャリティーとして行ってきた。今年は、第7潜水艦群に所属するデイビッド・ビームさんと3人の仲間たちが、過酷なトレーニングを積んで初挑戦した。

 ビームさんによると、当日はひざの故障で途中棄権したメンバーも出たが、登山は順調だった。しかし、4回目の登頂で道が渋滞し、思うようなペースで進めなかったという。

    「週末で大勢の登山客がやってきた。あんなに混雑するとは思ってもみなかった」

 今夏は空前の富士山ブームだった。富士吉田市によると、7月1日~8月31日の夏山シーズンに山梨県側から登った登山者数は、これまで最高の25万9658人を記録した。登山客の多くは「ご来光」に登頂時間を合わせ、夜11~12時ごろに5合目を出発するという。

 ビームさんらは、この挑戦で寄付金7000ドルを集めた。イラクやアフガニスタンで負傷した米軍兵士たちを支援するNPOに贈るという。

チャレンジとしては思わぬオチが付いた形ですけれども、イベントとしてはまず成功と言っていい結果に終わったようですね。
しかし渋滞がなければ今回も成功していそうな勢いですけれども、人間やれば出来るものだなと言うことになるんでしょうね。

今日のぐり:「坂本」

岡山県の西の端にある笠岡市では近頃「笠岡ラーメン」と呼ばれる地ラーメンを売り出し中ですが、元々この地域では養鶏が盛んだったという背景から、鶏のスープに鶏肉のトッピングというちょっと独特なスタイルのラーメンとなっています。
以前にお邪魔した「おっつぁん」などは最近の人気店ということですけれども、オリジナルとも言うべき「斉藤」亡き後この界隈での老舗と言えば「一久」「坂本」の二つが双璧だそうで、今回はこちら「坂本」にお邪魔してみました。
笠岡駅の西側にある跨線橋を北に渡るとすぐ道路脇にある店なんですけれども、見た目はラーメン屋というより田舎の料理屋とか寿司屋とか言った感じのたたずまいで、大きな看板が出ているわけでもありませんからうっかりすると気付かないまま通り過ぎてしまいそうですよね。
店内に入ると鶏のいい匂いが漂ってくるんですが、メニューの方は中華そばの並と大盛りだけというシンプルさで、ここは中華そば並を注文してみました。

待つほどもなく出てきたこの中華そば、もちろん今風のそれとは全然違っているのですけれども、古式ゆかしい中華そばとして見るとずいぶんときれいな仕上がりになっているのは好印象ですよね。
ここのスープ、「一久」ほど醤油ダレが強いわけでもなくあっさり目の後味で、ちょっと一口すすった分には最近のラーメンの濃厚なスープに比べると物足りない感じもするのですが、食べ進みながらじっくり飲んでいくと甘みと共に鶏のうまみがしみじみ感じられるという良い味加減ですよね。
麺はちょっと最初の何口かは妙な違和感があったのですが(茹で行程の問題なんでしょうか?)、この手の老舗にしては比較的しゃっきりと茹で上げてあるのは好印象ですし、スープの味加減とのバランスも悪くなさそうです。

上に乗っているトッピングは昔ながらの中華そばそのものという感じで、今どき稀少品となってきたシナチクなどもいいんですが、特にこの煮鶏スライスは今まで食べた笠岡ラーメンの中でも味、食感のバランスが最も好みに合うもので良かったです。
ラーメンなども昨今の新規出店ではずいぶんと気合いの入ったお店が増えてきているのですが、麺やスープの出来に比べるとどうも上に乗っている焼き豚というものは所詮肉料理としては価格帯相応という印象をぬぐえないものが多くて、安価な庶民料理に無理して肉を奢らずともと常々感じていたんですが、こういうものだったら大いに存在価値がありますよね。
一方でこのラーメンにしてはざっくり大きなネギの切り方、見た目には大変きれいで、最初このスープに合わせるにはちょっと風味がきついのかなという印象も受けたのですが、最後に残ったスープと一緒にいただく頃には程よく馴染んできている感じでしたから、こういうのもありなのかも知れません。

今風のラーメンと比べると確かにラーメンというより中華そばと言うべき和風を感じさせる味の仕立てで、洋食とか中華とかこってりした今どきの食べ物に食べ慣れた後だと、とにかく後口がすっきりしているのは妙に新鮮なものを感じましたね。
ノスタルジーだけでなく味の面でも未だに競争力を保っていそうに見えますし、実際平日お昼だけの短い営業時間にかかわらず贔屓客が絶えないようですが、しかしこの店もまた「一向に真っ当なラーメン屋らしく見えない」という笠岡ラーメンの店構えの伝統?を踏襲しているということなのでしょうか…?

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2010年9月19日 (日)

今日のぐり:「味鶴」

先日ちょっとした話題になった話ですが、結局最後の決め手になったのは食べ物だったと言う一件をまず紹介してみましょう。

ジュリア・ロバーツ「日本嫌い」中野アナ直撃したけど空振り(2010年8月9日J-CASTテレビウォッチ)

  ネット上では「日本嫌い」のハリウッドスターに事欠かないが、なかでもジュリア・ロバーツは有名な存在らしい。「大きな声では言えないけど、とにかく『日本嫌い』『アジア嫌い』が定説。業界ではまことしやかに語られていた」(笠井信輔アナ)

   しかし、そんな彼女もついに主演映画の宣伝で初来日。「日本嫌い」の真相をたしかめるべく、中野美奈子アナが本人を直撃しに向かった。

まだこの部屋の中しか見ていないわ

   ブレスレットにできそうなほどデカいイヤリングをぶら下げ、手首には本物のブレスレットを光らせ、花が咲き乱れるブラウスを着て、しゃなりしゃなりと歩きながら――。そこがハイチではなかったのは不幸中の幸いだ。

   結局のところ、本題に関する質問は「ドゥユライクジャパン?」のひと言だけ。「まだこの部屋の中しか見てないわ」とあっけなくかわされてしまった。

   インタビューの終わり際に、ロバーツから「ユーアー・ソー・プリティ」と言われて、中野大喜び。視聴者的には「プリティ」の響きは少々皮肉に聞こえた。BGMは「オー・プリティ・ウーマン」よりも「プリティ・ベイカント」が似合いそうだった。

「大の日本嫌い」が突然…ジュリア・ロバーツ初来日のワケ(2010年7月23日ZAKZAK)

 米女優、ジュリア・ロバーツ(42)の初来日が決まった。「来日していない最後の大物」と言われ、「大の日本嫌い」ともウワサされてきたがセレブは、どう心変わりしたのか。

 ロバーツは主演映画「食べて、祈って、恋をして」(9月17日公開)のプロモーションで8月17日に来日する。とんぼ返りではなく翌18日に都内で会見、19日にはプレミアイベントへの出席も予定され、その後もお忍びで日本滞在を楽しむようだ。

 来日の決め手となったのは、映画の仕上がりに自信を持っていることに加え、「神戸ビーフを本場で食べてみたいという、案外分かりやすい理由もあったようだ」と関係者。トム・クルーズやキアヌ・リーブスらハリウッドスターをとりこにした神戸ビーフは、やはり最強だった。

というわけで、ネット上でも「神戸ビーフ最強!」と騒ぎになっていたわけですけれども、しかしこの場合果たして素直に喜んで良いのかどうかと疑問に感じざるを得ないのが、ジュリア・ロバーツ氏の嗜好を紹介するこちらのニュースの存在です。

ジュリア・ロバーツ、グロい食べ物趣味(2010年7月19日リアルライブ)

 ジュリア・ロバーツがケイト・ウィンスレットと共演したいらしい。
 ケイトがジュリアの自分のお気に入り女優の1人だそうで、そんなケイトと共演するチャンスを楽しみにしているという。
 「彼女の事が大好きなの! 素晴らしい女優で、お気に入りの1人よ。それにビックリするくらいチャーミングな女性じゃないの! 残念ながら共演した事はないんだけど、まだチャンスはあるわ」

 ジュリアは、女優としての成功を手に入れているにもかかわらず、完成映画をスター達の集合する自分の出演映画のプレミアで1度しか見ないと告白した。
 「どの作品も見るのは1回で、大抵、プレミアの時ね。スクリーンに出ている自分を見るなんて出来ない、って言う俳優を何人か知っているけど、自分の仕事振りは確認しなくちゃ。恥ずかしいかもしれないけど、出来上がりは見るべきだわ」

 またジュリアは、ちょっと変った食べ物を試すのが大好きらしい。ある日、彼女はディナーの席で友人たちにチョコレートでコーティングされたコオロギを出した。ジュリアは、このコオロギチョコを別の場所で試食した後、これが好きになった。
 ジュリアは、自宅パーティーでこのコオロギチョコがどんな風に受け入れられるかを知りたかったが、まさか友人たちをそんなにビックリさせるとは実感していなかったそうだ。
 「ジュリアはその気取らない性格から、ダチョウのバーガーや自家製マーマレードなどの新しいモノを無用心の友人たちで試すんです」と関係者は語った。さらに、「ただし、全員が彼女の嗜好に賛同するわけではありません。彼女のコオロギチョコを出したときは、みんな息もたえだえでしたね。でもジュリアは、友人たちに嫌がらせしているんではないんです。ジュリアは、友人たちの嫌悪さえ気付かずに食べ始めました。彼女は一晩中一人で食べ続けていました。次から次へと口に入れていましたよ」と一緒にいた見物人が話した。
 「ジュリアは幸せそうにムシャムシャ食べるので、何人かのゲストは恐怖で縮みあがっていましたよ」

まあ、食の好みは各人各様とは言いますけれども…こういう違いの判るセレブなお方に好まれてしまったという神戸ビーフの将来に幸多かれと、思わずにはいられない話ではありますよね。
それはともかく、今日はそれはいささか人としてどうよ?と思う話を紹介してみますけれども、まずは軽くアメリカからこんなニュースを紹介してみましょう。

懲役18年を言い渡された男! 「刑より髪型が気になる」と話題/米国(2010年5月24日ロケットニュース24)

5月19日、米ニュージャージー州の裁判所で売春斡旋や恐喝など複数の罪で逮捕された男が、懲役18年の重い判決を受けた。その罪の重さもさることながら、奇妙な髪型が話題を呼んでいる。あまりにも強烈なインパクトに「この髪型はおちょくってんのか?」などの声が上がっているようだ。

アレン・ブラウン(48歳)は売春組織を取り仕切っており、周りには『王子』と呼ばれて恐れられていた。彼は売春行為を組織的に斡旋し、言うことを聞かない者は麻薬漬けにして逆らえないようにしていたのだ。稼ぎをあげられない者は、家に入れないか、薬を取り上げるか、袋叩きにしていたという。さらには売春させていた女性から60万ドル(約5,400万円)もの大金を奪い取った疑いも掛けられている。

昨年8月に起訴され、今年4月に恐喝と窃盗の罪を認める証言をした。そして19日の裁判に臨んだのだ。ケビン・キャラハン判事に懲役18年を宣告されるとアレンは「18年?」と判事の言葉を聞き返した。刑の重さにショックを受けていたようだ。

犯罪の残忍さにも、驚かされるのだが、アレンの髪型にもまた驚かされる。この事件を報じるニュージャージーのニュースサイト『ザ・ジャージー・ジャーナル』には髪型に関するコメントが、多数寄せられている。

まあ確かに、記事の写真を見るだけでもこだわりのヘアスタイルではあるようなんですが、一体これは何を表現しようとしているんでしょうかね?
お隣台湾からはこんな激しいニュースが飛び交っていますけれども、老いてますます盛んなのはよろしいとは言いながら、決闘と言うあたりが年代相応という発想なんですかね?

92歳と82歳女性めぐって決闘/台湾(2010年5月4日ココログニュース)

台湾で、3人合わせて242歳の「三角関係」による殺人事件が発生した。

台湾最高齢の三角関係との声もあるこの事件は、92歳の包さんと82歳の郭さんという2名の男性と、68歳の女性・顔さんとの間で発生した。顔さんはこれまでに2度結婚しており、2人の元夫がいずれも空軍の軍官だったことから、多くの退役軍人と面識があったという。軍人だった包さんと郭さんも顔さんと顔見知りで、2人とも顔さんの住まいから近い村に独り暮らししていたという。

92歳の包さんは毎朝顔さんをスクーターに乗せて買い物に連れていくなどしており、近所の人からは「顔さんは包さんの唯一の心の拠り所」といわれていた。しかし、そう思っていたのは82歳の郭さんも同じだった。2人はしばしば彼女のことで喧嘩をしていたという。そして4月23日、包さんが顔さんと一緒に市場から帰ってくると、顔さんの家では郭さんが帰りを待っていた。両雄は刀を持って外に飛び出し「決闘」を開始、軍隊あがりの2人は若者に引けを取らないほど激しい闘いを繰り広げ、結局郭さんが包さんを殺してしまった。

男女関係のもつれから悲劇が起こることはよくあるが、双方の友人たちは「なにもこんな歳になって…」と嘆いたという。

92歳が毎日スクーターに乗せて買い物にというくらいですから相当に元気だったんでしょうが、何とも壮絶な人生の結末というしかない事件ですよね。
ところでロシアと言えば古来不凍液代わりにウォッカを飲んでいるなんて言われるお国柄ですけれども、不凍液どころか熱帯の国でも行動パターンは変わらなかったようですね。

メチルアルコールで中毒死 ロシア人整備士/インドネシア(2010年9月15日産経新聞)

 インドネシア・南スラウェシ州で13日、ロシア人整備士3人が死亡した事件で、国家警察は15日、解剖の結果、死因は急性メチルアルコール中毒だったと明かした。密造酒などを飲んだ可能性がある。

 3人は今月上旬から、インドネシア政府が購入したロシア製戦闘機スホイの組み立てや整備のため同州マカッサルのインドネシア空軍基地内に滞在していた。(共同)

いや今どき密造酒のメチルで死亡って、それどんな戦後混乱期ですかという感じではあるのですが、そこまで見境なしにアルコールを追い求めるという国民性には脱帽せざるを得ません。
国民性と言う事で言うとこちら、何やら通常のパターンとは全く逆になっているという興味深いニュースですが、まずは記事を紹介してみましょう。

腹心が暴露 ブラウン監督は「尋常じゃない」ほどアレが好き/日本(2010年05月13日スポニチ)

 広島県呉市で広島を相手に交流戦開幕を迎える楽天。昨年までブラウン監督とともに広島に在籍したリブジー・ヘッドコーチは「なんだか不思議な気分だよ。去年まで一緒にやっていた選手たちだし、視線を落として自分の着ているユニホームを確認するとチームが違うって気づくような感じ」と話した。

 広島の町並みも気に入っていた様子で「広島の人たちはみんな優しかった」。食べ物に関しては「お好み焼きも好きだよ。でもマーティー(ブラウン監督)ほどじゃない。彼のお好み焼き好きは尋常じゃない」と指揮官の秘密を暴露していた。

何がすごいと言ってこの話、普通であればメタボなアメリカ人が日本に来てからみるみるやせた!日本食はヘルシーだ!なんて話題は幾らでもあるものですけれども、このブラウン監督に限って言えば来日初年の2005年昨年2009年とでは全く別人としか言いようがないほど逆の意味で激変しているという、極めてレアなケースであるということなんで、やはり大好物のアレがお体にナニしたということなんでしょうかね?
一方で世界にはこんな国もあるんだなと常々我々に新鮮な驚きを提供してくれるのがご存知ブリというものですけれども、今回も期待に違わずやってくれました。

小学生には大人気?予想外にリアルな「ラジコンうんこ」に街中が悲鳴に包まれる(2010年09月13日GigaZiNE)

白昼の街に突如として現れた、陽光を浴びててらてらと輝く、質感まで精巧に再現されたリアルな「うんこ」。よく見るとタイヤがついていて、ラジコンによる遠隔操作で動き出し、「シャーッ」と不気味な音を立てながら街行く人を追いかけ始めると、大人も子どもも喜々として悲鳴を上げながら逃げ惑います。

実際に遭遇するとかなり衝撃的かもしれないイタズラですが、実はかなり深い意味が込められているようです。

詳細は以下から。

YouTube - WaterAid - Dig Toilets Not Graves

公衆トイレの扉の下に潜む不穏な影。
仕掛け人が握りしめたコントローラーのスイッチを入れると……
「シャーッ」と音を立ててうんこが滑り出します。
場所が場所なだけに、遭遇すると本物と見間違える可能性は高そうです。

白昼のロンドンの街へ繰り出したラジコンうんこ君。
「キャッ」と驚きの声を上げたあと、思わず失笑する女性たち。
雑踏をかき分けて進むうんこ君。
興味しんしんながらも、ちょっと怖がっている様子の子ども。

今度は2匹で出陣。
ベンチで読書中に突如として足元を襲ううんこを、必死で避けようとする男性。
本物ではないと気付いたのか、笑顔を見せます。

口をあんぐり開けて、うんこの動きに見入る子ども。
うんことすれ違った兄弟。
一度すれ違ったあとUターンしてついて来るうんこに、満面の笑顔を見せます。

大人なのに必死になってダッシュでうんこから逃げる、ノリの良い通行人。うんこは街にひとときの笑いをもたらしたようです。

しかし、ロンドンの街に現れた「ラジコンうんこ」は笑い事で済まされても、世界には笑い事ではなく「うんこから逃げられない」人々、トイレがない環境で暮らす人々が26億人もいます。この不衛生な状態が下痢の原因になり、発展途上国では1日に4000人の子どもたちが下痢により亡くなっているそうです。今回のラジコンうんこは、「Dig toilets, not graves(墓を掘らずにトイレを掘ろう)」という、NPOWaterAidのキャンペーンの一環として実施されたとのことです。

元記事の写真をみただけでもお腹いっぱいと言うしかない話なんですが、なんとも破廉恥としか言いようのない行動を平然とやってのけると言ったあたり、「そこにシビれる!あこがれるゥ!」とはいきませんよね(そう言えば、あの漫画も舞台は確か…)。
このブリの総元締めとも言うべき英国王室から出てきたネタがこちらなんですけれども、やはり総元締めだけにこのお方も何かしら…というより相当に変…ですよね…?

「猫オルガン」に英皇太子爆笑、ぬいぐるみの“鳴き声”を交えて演奏。(2010年9月14日ナリナリドットコム)

“音楽”を楽しむのは、何も耳で聞くことばかりではない。名プレーヤーの演奏を見てうっとりしたり、ライブに行って迫力を体感したりと、楽しみ方は実にいろいろだ。その中には、ユニークな演奏で人々の興味を惹くというものもある。英国の芸術家は先日、ロンドンで開かれたイベントで、猫のぬいぐるみを押すと出る声(音)を織り交ぜた“猫オルガン”を披露。ユニークなオルガンから流れるチャーミングな音の演奏に、イベントを訪れていたチャールズ皇太子夫妻が涙を流して大爆笑している映像を王室が公開している。  

オルガンにズラリと猫のぬいぐるみを並べた、見るも愛らしい“猫オルガン”を披露したのは、英国の彫刻家という54歳のヘンリー・ダグさん。ダグさんは今回、チャールズ皇太子公邸の「クラレンスハウス」の庭で、9月8日から19日まで開催中のイベント「エコ・フェスティバル」に登場した。英放送局BBCの元音響技師という経歴を持つダグさんは、ピアノのほかにのこぎりバイオリンの演奏家としても知られ、また、今年1月には大型オルゴールのような“ピンバレルハープ”という楽器を4年かけて完成させて話題を呼んだ人物でもある。

今回のイベントでも、キーボードの演奏に合わせて、まずは得意の「のこぎりバイオリン」の技術を見せたダグさん。そのステージを見守るチャールズ皇太子は、すでにこの時点で笑みがこぼれている。多くの観客も見守る中、次の演奏のためにダグさんが黒いボックスを持ちあげると、そこに現れたのは、猫のぬいぐるみが横一列に並んだヘンテコなオルガン。これを目にした観客も、披露されるなり大笑いだ。

“猫オルガン”演奏の一部始終は英国王室によって「TRH listen to a cat-organ at the START Festival」(http://www.youtube.com/watch?v=FSYenalqm5o)のタイトルでYouTubeに投稿されており、ダグさんは音階に合わせて並べられた16匹のぬいぐるみの背中を押し、オルガンの鍵盤と鳴き声で器用に「Somewhere over the Rainbow」を奏でている。「オズの魔法使い」の劇中歌として知られる名曲は普通に聞けばメルヘンなイメージに包まれるはずが、ぬいぐるみの鳴き声があまりにチャーミング過ぎて観客の笑いが絶えない。

そして、カメラを向けられているチャールズ皇太子はというと、横に立つカミラ夫人と共に笑い続け、ハンカチを取り出して涙を拭う仕草を見せるほどだ。

英紙デイリー・テレグラフによると、ダグさんはこのオルガンのアイデアが「はるか昔に遡る」と明かしたという。“猫オルガン”の原型は16世紀、後にスペイン国王となるフェリペ2世への見世物として考案されたのが始まりで、当時は馬車に乗ったクマが、20匹の猫の尾に繋がったキーを押して音楽を演奏したとされ、これが「憂鬱な王子の笑いを誘った唯一の物」との記録も残っているそうだ。

時代を超えて本物の猫はぬいぐるみに代わり、ユニークなオルガンとしてダグさんに再生された“猫オルガン”。スペインの王子に笑いをもたらした楽器は、今度はあまりの面白さとかわいらしさで、英国の皇太子に笑いをもたらす結果となったようだ。

いやまあ、確かに動画を見る限りでも微笑ましいと言いますか、これはかのプーチン元大統領でも頬も緩もうというものではありますけれども、大の男が涙を流して爆笑するようなもの、なんでしょうかね…?
いやあ、やはりブリ的感性というものは我々には容易にうかがい知ることも出来ないほどに奥深いものであるようですが、理解出来るようになりたいとも思わないのは自分だけでしょうか?

今日のぐり:「味鶴」

丸亀界隈と言いますと骨付鳥が有名で、あちらでもこちらでもそれぞれの味で出している店がありますけれども、最近は香川県内全域で名物的に売り出そうとしているようですね。
丸亀からやや離れた観音寺市内郊外といったあたりに位置するのがこちら「味鶴」さんですけれども、名前からも推察される通り「一鶴」で修行されたという話ですから、基本的な味、メニューの構成は似たような感じになっているようです。
ただ海も近い土地柄らしく、その日のおすすめという形で旬の海の幸も提供しているというのはチェーン店の一鶴とは違って、個人経営で小回りのきくお店らしいやり方だと思いますね。

比較の意味でも親鳥と若鳥両方をというのはデフォルトで、今回お願いして骨から外してもらいましたが、一鶴と比べるとあの特徴的な味のスパイスは多少控えめな印象で、その分鳥の味が前面に出てくる塩梅となっています。
個人的には断然肉の味が濃い親鳥の方が好みなのですが、同行者などには若鳥の方が好評なようで、まあこれも普通に鳥のローストとして食べると決して悪いものではないんですけれどもね。
鳥唐揚げおろしぽんずは見た目まんまという味の組み立てで、さすがにそこらの居酒屋の同種のものと比べると断然肉の味は濃いんですが、唐揚げとして見るともう少し皮をパリパリに仕上げていた方がポン酢につけた時に食感の差が楽しめるかも知れませんね。
アサリバターなども結構バターも使っているのでしょうが、スープ自体は意外にさっぱりした味でぶりぶりしたアサリの身を楽しめますし、モズクもわりあいメリハリのきいた味付けで、もずく酢は個人的にあまり好きでもないのですが意外に食べられるものだなという感じでした。
この日一番好かったかと感じたのがこれまた定番の鳥めしですが、すっきり過不足のない味といい、やや堅めの炊き加減といい、こういうものを判っているなという仕上がりで、これは単独で食べてもいいし、もちろん骨付鳥と合わせてもいいとなかなか絶妙の味加減でしたね。

あるいは家族経営なのでしょうか、主にフロアを担当している元気も愛想も良いお兄さんと比べて、オーナーシェフらしき厨房のおじさんが何やら沈黙している落差がそれなりに気にはなったんですけれども、食べている分には特に気になるようなこともありません。
お客自体はさほど多いという感じではない一方で、夜の予約で席自体はほぼ埋まっているようなんですが、昼の時間帯はもともとそれほど混雑するわけでもないのか、結構落ち着いて食べられるのは一鶴などの大店と比べるとアドバンテージなんでしょうかね。
ところでこちらのトイレの構造は多少意表を突かれましたが、こういうのは連れ○ョ○仕様とでもいうことなのでしょうか?

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2010年9月18日 (土)

捏造は第二の天性です?!

先日何気なく見ていて、思わず笑ってしまったのがこちらの記事です。

毎日新聞東京懇話会「4つのKで前向きに」(2010年09月16日スポニチ)

 毎日新聞東京懇話会(江崎善三郎会長)の第91回総会が15日、群馬県渋川市伊香保町のホテル木暮で開かれ、東京本社、北海道総局管内の主要販売所長や毎日新聞社の朝比奈豊社長、スポーツニッポン新聞社の森戸幸生社長ら約200人が出席した。

 江崎会長は「心に好奇心、志、感動、希望の4つのKをもって常に前向きにやっていこう」とあいさつ。朝比奈社長は「メディアの中核が新聞であることは、これからも変わらない。ともに頑張りましょう」と述べた

いや「これからも変わらない」と前向きなのはよろしいんですが、やはりジャーナリズムを標榜する身であればもう少し主観と客観の一致を図られた方がいいんじゃないかという気がするのですが、どうなんでしょうね?
毎日新聞捏造報道事件の責任を取って社長に昇進したという朝比奈氏にしてみれば、これからも毎日の毎日たる所以を立証するために鋭意邁進していくという覚悟なのでしょうが、果たしてそうした体質が社会的に受け入れられるかどうかは別問題ですよね。
もっとも毎日新聞の名誉のために言っておきますと、別に捏造体質は毎日の専売特許でも何でもなく、例えばつい先日も下手をすると国際問題にもなりそうな捏造をしてくださった雑誌もありました。

ジョブズ氏、お忍び来日で激怒!?(2010年09月13日ITメディアニュース)

 Appleのスティーブ・ジョブズCEOがお忍びで来日し、大激怒して帰っていった!?――こんな仰天記事が、週刊誌「SPA!」最新号(9月14日発売)に載っている

 記事によるとジョブズ氏は、家族とともに7月、プライベートジェットで来日し、京都観光などを楽しんだようだという。帰国時に関西国際空港の保安検査場で手荷物の手裏剣の持ち込み検査を告げられ、「自分のジェット機でテロを起こすバカがどこにいるんだ!」「こんな国、二度と来るか」と激怒したとか。

 記事には、海外の主要空港とは異なる関空のプライベートジェット搭乗者用保安検査の仕組みや、ジョブズ氏が使ったと思われるプライベートジェットの仕様、価格なども載っている。

ジョブズの手裏剣機内持ち込み事件はフィクション=Apple広報【湯川】(2010年09月15日テックウェイブ)

 米Appleのスティーブ・ジョブズ氏が関西国際空港で手裏剣を機内に持ち込もうとしたとSPA!が報じた件に関し、米Wall Street Journalのブログ、Digital Dailyは「純粋なフィクション」とするApple広報のコメントを紹介している。

 一連の報道によると、ジョブズ氏は7月に京都観光を目的とし家族とともにプライベートジェットで来日したが、帰りの同空港での手荷物検査の際に忍者の手裏剣が機内持ち込み荷物の中に入っていたため、手裏剣の廃棄を命じられたという。同氏はその際に「自分のプライベートジェットをハイジャックする人間がどこにいる。二度と日本に来るか!」と激怒したという。

 Wall Street Journalによると、Apple広報は次のようにコメントしたという。

    Steve did visit Japan this summer for a vacation in Kyoto, but the incidents described at the airport are pure fiction. Steve had a great time and hopes to visit Japan again soon

    スティーブは確かにこの夏、京都での休暇の目的で日本を訪れたが、空港での事件というのは純粋にフィクションである。スティーブは日本でのひとときを満喫したし、また日本に行きたいと考えている。

 日本発の報道は、米国のブログ界隈で大盛り上がりを見せている。中には「ジョブズがときおり着ている黒のタートルネックは実は忍者の黒装束では」という意見もある。

現代のカリスマの一人と目されているジョブス氏も思わぬところで日本のマスコミ業界の得意技の洗礼を受けたということなのでしょうが、これに懲りて本当にもう二度と日本になど行くか!なんてことにならないようお願い申し上げます。
あるいはこんなメディアの常套句を解説した記事もありますけれども、確かにいつの間にか悪者にされていたでは若者としても立つ瀬がなさ過ぎるというもので、その背景を探っていきますと思わぬオチまでついてしまったというのですから彼らの必死さも判ろうと言うものですね。

「若者の○○離れ」メディアが使いたがる理由(2010年9月11日exciteニュース)

 若者のテレビ離れ、若者のクルマ離れ、若者の新聞離れ、若者の読書離れ、若者の理系離れ、若者の映画離れ、若者の酒離れ、若者のセックス離れ…etc。

 近頃の新聞やテレビ報道や週刊誌などのマスメディアは「若者の○○離れ」というフレーズを乱発する。不況や少子化などの責任を若者に負わそうとするようなニュアンスもあり、若者は身に覚えのない罪を宣告されたような釈然としない気分を味わう

■「○○離れ」は、大人たちの経済問題

 「○○離れ」の○○は、経済に関わるものが多い。○○に、乗り物や飲食や旧メディアに関することを入れれば「消費の低迷」、結婚やセックスに関することを入れれば「人口減」、教育や学習に関することを入れれば「労働者の質の低下」が起こると言いたいのだ。

 「○○離れ」とは言うが、そもそも若者は、その○○に近づいたことすらないのだから、離れようがないはずだ。と言うことはつまり、このフレーズには、若者なら○○に親しんで当然だという暗黙の前提が含まれている。

 これはあまりに雑な前提だ。例えば、若者がクルマを乗り回すのが当たり前になったのはそんなに昔のことでもないし、世代に関わらず日本人のセックスの頻度が低いのは周知の事実。読書にいたっては、50代以上の世代の方が20代30代よりも本を読んでいないというデータさえある。

 なぜこのような滅茶苦茶なフレーズがまかり通ってしまうのだろうか? それはおそらく、マスメディアの性質に原因がある。現在、新聞やテレビ報道や週刊誌などのマスメディアの主な消費者は、中高年に偏ってしまっている

30代以下の若年層の主な情報ソースが、パソコンや携帯などのインターネットになってしまったからだ。当然、新聞やテレビ報道や週刊誌などのマスメディアは、お金を落としてくれる中高年層に合わせたモノの見方で切り取った情報を提供するようになる。

 高度経済成長やバブルの感覚が抜け切らない中高年にとっては、現在の出口のない不況がどうもおかしいものに感じられる。人口減と途上国の発展という現状から見れば何の不思議もない現象だとは頭では理解するのかも知れないが、昨日よりも今日、今日よりも明日は豊かになっているという感覚から抜け出すのは容易ではないだろう。生活レベルが上がることを当然だと思ってた人が、下がることを受け入れるのは、心情的にも物理的にも大変に難しいことだ。

 とはいえ、苦境を打破する画期的なアイディアを思いつけるわけでもない。せいぜいサービス残業を増やしたり、リストラやコストカットに勤しむのが関の山だ。それはそれで一生懸命なのだが、状況は改善するどころか悪くなり、焦燥感がつのるばかり。

■不況の原因を「若者」にしたがる大人たち

 そんな中でいつものように犯人探しが始まる。犯人はマスメディアを消費している層が傷つかないようにいつも巧妙に選ばれる。政治が悪い、官僚が悪い、暴力コンテンツが悪い、切れる10代が悪い、そして今回は若者が悪いというわけだ。

もし、新聞やテレビ報道や週刊誌の主な消費者層が中高年ではなく、若者だったとしたらまったく逆の現象が起こっていただろう。実際、若者が多いインターネット上には、「老害」という呼称や、高年齢層に若者が搾取されているという主張や、年寄りが社会の中核にいつまでも居座るから閉塞感がまん延するんだという主張が溢れかえっている。つまり悪者は中高年だというわけだ。

 自分以外の人間を、現在自分が立たされている苦境の元凶に仕立て上げてしまえば、とりあえずはほっとする。癒される。自分自身に責任があると考えるのは、中々辛いことだ。

 犯人を見つけた気になって、ほっとしてるだけで丸くおさまればまだマシだが、多くの場合推理が偏りすぎてて、ただの自己満足にしかなっていないように見える。探偵ドラマの間抜けな刑事を笑ってばかりもいられない。自分だけを安全圏においた分かりやすい犯人探しにかまけている余裕がある内はいいが、そんな悠長なことを続けていられる豊かな日本はいつまでもつだろうか?(ikoishy)

若者の「○○離れ」実際に離れているものは? 3000人回答結果「テレビ、新聞離れ」が上位(2010年4月16日ガジェット通信)

昨今話題になっている若者の「○○離れ」だが、実際に離れているのはどれなのだろうか? 3000人を対象としたアンケートを行い「○○離れ」について訊いてみた。上位に来たのはやはりというべきか「テレビ離れ」が30.5%でダントツの1位だった。次点は「新聞離れ」となっており29.6%。1 位、2位とメディア関係が続いている。いわゆるメディア離れしているのだろうか。3位から10位は以下の様な結果になっている。

1位:テレビ離れ 914 (30.5%)
2位:新聞離れ 888 (29.6%)

3位:固定電話離れ 729 (24.3%)
4位:近所づきあい離れ 686 (22.9%)
5位:マスコミ(メディア)離れ 596 (19.9%)
6位:車離れ 593 (19.8%)
7位:活字離れ 572 (19.1%)
8位:若者は近づいてすらいない 533 (17.8%)
9位:結婚(婚活)離れ 502 (16.7%)
10位:現実離れ* 461 (15.4%)

(※1人複数項目選択可能、回答回数は1回)

「固定電話離れ」は個人が携帯電話を所有するようになった影響が最も大きいといえるだろう。近所づきあいは若者に限ったことではなく、更に何年も前からいわていることだ。そして5位には先ほど同様「マスコミ(メディア)離れ」が入っている。以下、「車離れ」、「活字離れ」と「○○離れ」の常連が並ぶ。
気になる8位だが、「若者は近づいてすらいない」というエントリー。これは先日ガジェット通信でも紹介したブラックホールとペンタゴンによるアスキーアートのセリフだ。

上記を総合すると「若者にはお金と時間がない」ということなのだろうか。ひと昔前と比べ携帯電話や個々の契約などで個人の出費がかさんでいる。そんなことから「新聞離れ」、「車離れ」、「酒離れ」などが起きているのだろうか。「活字離れ」なんかにしてみたら本が売れないというデータと実に合致する。テレビに関しては「単に面白くないから」と意見もチラホラ出ているが……。
(略)

商売としては主要顧客のことを悪く言うわけにもいかないのは当然でもありますが、だからといって将来主要顧客に育ってくれなければ困る若年世代を一方的に悪者であるかのように断ずるというのでは、そもそも商道徳としてもどうなのよという気がするところですけれどもね。
メディアの側とすれば「どうせあいつらテレビも新聞も見やがらねえし」といった気持ちなんでしょうが、この調子でいきますといずれこれらメディアは顧客に見放され本当に消滅してしまうかも知れません。

なぜメディアがこうまで捏造が大好きなのか、彼らの第二の天性とも言うべき捏造体質の理由として嘘をつく方が本当のことを一生懸命取材するよりも楽であるということもあるかも知れませんが、もう一つ見逃せない側面として意図的にでも嘘をつくことで彼らにも大きなメリットがあったという歴史的経緯もあるようです。
先日以来官房機密費がマスコミ各方面に流されるという慣習が長年続いていて、要するに官によるマスコミ接待、買収工作であったということが明らかになってきていますけれども、記者クラブ制度などという日本独特の慣習を断固として廃止しようとしないように、お上の垂れ流す通りに既定の筋書に沿って書き立てておけば楽して儲かるというのですからやめられませんよね。
敢えて嘘の話に乗ることで八方丸く収まり、自分の懐も温かくなるというのですから、それは他人ににらまれながら背後にある事実を追求しようなどと考える方が馬鹿げているということになるのも当然でしょう。

記者や学者の操縦は簡単 財務省に蓄積されたノウハウ(元財務官僚 高橋洋一さんにきく<中>)(2010年1月2日J-CASTニュース)

   財務官僚が日本を動かしている――それは都市伝説なのか。彼らの前には、予算チェックを担う政治家もいれば、「権力を監視する」マスコミや「ご意見番」審議会の存在もある。財務官僚たちは、彼らとどう向き合い、どう「操縦」しているのか。元財務官僚で安倍政権の内閣参事官も務めた、政策工房会長、高橋洋一さん(54)に聞いた。

マスコミは「紙」食ってるヤギに等しい

――マスコミ関係者と接していた経験から、彼らをどう見ていますか。

    高橋   審議会に入り手なずけられる「ポチ」もいますね。「マスゴミ」なんて言葉もありますが、「紙」を食ってるヤギのような存在です。彼らは記事を書くために、すぐ役人に「紙」「ブツ」を求めます。概要や要点を書いた資料のことですね。すると彼らはそれをそのまま記事にします。それがないと不安で記事が書けないようです。バックグラウンドを理解しようとしません。出発点になっている法律を読み込む力もないし、そもそも読んでない。「紙」には、役人は自分たちに都合のいいことしか触れません
       例えば、エコポイントはいい制度だ、という声を聞きます。確かにいい部分を含んでいます。しかし、役人たちがその影でいくつ天下り団体を作ったことか。新制度、法律を作るとそこにくっついている話なのにマスコミは気付かない。役人にしてみれば、ちゃんと法律にも予算書にも最初から書いてますよ、それを国民の代表たる国会議員が通しましたよね、マスコミもなんら問題視してませんでしたよね、それを後になってから天下り団体がけしからんと言われても困るんですよね~といった思いでしょう。

――法律や予算書が読める「怖い記者」はいましたか。

    高橋   いなかったですね。プロじゃないと読めません。政治家も学者も読めてませんから。シンクタンクに取材する記者もいますが、シンクタンクの担当者が誰から情報を得るかと言えば役人です。役人に聞かないと彼らも理解できない。手前みそですが、私が立ち上げた「政策工房」は、予算や法律が解る人間が法案作りなどの手助けができないか、という思いから生まれました。
(略)

――スキャンダルをマスコミに流す、ということはあるのですか。

    高橋   私は流したことはありませんが、そういうケースはあります。私が内閣参事官をしていた安倍政権のとき、政府税調の会長だった本間正明教授が(2006年末に)スキャンダルで辞任したことがありました。これは伏線がありまして、当初、財務省から上がってきた会長案は石弘光さんでした。しかし、方針の違いなどから塩崎官房長官が「官邸主導でやる」と財務省案を差し替えました。すると、ほどなくスキャンダルを流された。情報を全部持っていたのは財務省。ああいうタイミングで「愛人」――これは不正確なマスコミ表現でしたが――と官舎問題を一緒にしてスキャンダルとしてやられたと見ざるを得ません。
(略)

もちろんマスコミ業界としても自分たちが誰かのポチでいることはケシカラン、これは何とかしなければと考えている人間はいるはずなのですが、問題はその状況からの脱出を図る彼らの改善策がどのようなものなのかということですよね。
長年自分たちが嘘と恣意的情報操作によって良いように操られてきた、自分たち自身もむしろ積極的にその話に乗った、それを反省して今度は騙されないようにしっかり自分で調べ考えようとなれば国民にとっても良い話ですが、彼らの場合は今度は自らが騙す側になればいいじゃないかと考えている節があります。
この夏に行われた参院選挙では与党である民主党が負けたりと様々なドラマがありましたけれども、この陰でマスコミ各社が一生懸命国民を恣意的に誘導しようと努力していた気配があったというのですから穏やかではありませんよね。

BPO、TBS「東京フレンドパークII」など審議へ 参院選で候補者の名前連呼(2010年9月10日産経新聞)

 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は10日、TBS、BSジャパン、長野朝日放送、信越放送で放送された4番組について、「参院選挙の公平、公正性に欠ける不適切な放送があった」として、審議入りすることを決めた。

 問題とされたのは、TBSのバラエティー「関口宏の東京フレンドパークII」(6月28日)、BSジャパンの旅番組「絶景に感動!思わず一句初夏ぶらり旅」(7月11日)、長野朝日放送の報道番組「abn station」(6月22日)、信越放送の報道番組「SBCニュースワイド」(7月8日)の4番組。

 TBSは参院選告示後に番組で、タレントが候補者の名前を連呼する映像を放送。BSジャパンは投票日当日に、タレント候補が出演する旅番組を放送した。長野朝日、信越両放送局は、比例代表のニュースで特定候補だけを取り上げた

マスコミによる政治への干渉と言えば椿事件が有名ですけれども、彼らの場合まだ懲りていないというより、むしろ以前よりも積極的かつ大々的に関与しつつあるかのような印象を受けるのが、事実上の総理決定となった先の民主党代表選を巡る一連の経過です。
先日もネットとメディアとであまりに支持率調査の数字が違いすぎるという話がありましたけれども、選挙が終わってみるとそれぞれのメディアがお互いに「あいつらが情報を捏造して世論を誘導しようと画策していた!」と非難合戦を繰り広げるという何とも見苦しい事態になっているようなんですね。

世論はこうして作られる TV局が隠した街頭100人アンケートの小沢支持(2010年9月14日日刊ゲンダイ)

ここまでやるのか?権力亡者の代表選 舞台裏のドロドロ
●都合の悪い部分はカット!?

 そうか、そうやって大マスコミは「小沢支持」の声を封印するのか――。それを露呈したのが、12日に放送されたテレビ朝日の「サンデースクランブル」だ。まだ投票態度を決めていない中間派の長島一由衆院議員(神奈川4区)に密着取材、その様子を流したのである。
 長島議員の元には、両陣営から投票を呼びかけるラブコールがひっきりなしにかかってくる。同僚議員が直接、訪ねて来たりする。そこで長島議員は有権者の生の声を聞こうと、地元の鎌倉駅前で「100人アンケート調査」を敢行。「菅氏、小沢氏のどちらが総理にふさわしいか」を有権者に聞いたのである。
 ところが、番組ではその結果が放映されなかった。何だか肩透かしだったのだが、その後、長島議員のブログを読んで理由が分かった
〈その結果は……、菅氏54人、小沢氏43人、どちらでもない3人。想定外だったことは、無党派層が多いとされる神奈川4区では、菅氏と小沢氏が伯仲していたという事実です〉
 世論調査では菅が小沢を大きく引き離しているはずなのに、アンケートでは違う結果が出た。これぞニュース性があるのに報じない。
「テレビ局は『世論は菅』と言い続けてきました。特に『サンデースクランブル』では、コメンテーターのテリー伊藤と黒鉄ヒロシが小沢批判を展開しています。だから、流さなかったのかと勘繰られても仕方ありません」(民放関係者)
 テレビ局はこうして、世論を作り、誘導していくのである。

「小沢勝利」言い続けた夕刊紙・週刊誌 いったいどんな言い訳するのか(2010年9月15日J-CASTテレビウォッチ)

   小沢一郎総理誕生へ――。民主党代表選中に、こんなタッチで報じた夕刊紙や週刊誌があった。しかし、フタを開ければ、菅直人首相が再選される結果に。どうして、こんなことになったのか。
    「小沢が勝つ」「小沢が圧倒」「小沢雄弁」「世論も小沢」…。

小沢派議員の話やネット調査などが根拠

   これらは、夕刊紙「日刊ゲンダイ」が、民主党代表選が告示された2010年9月1日の発売号から一面トップにつけた見出しだ。ゲンダイオンラインのダウンロードサイトには、一面の紙面がずらりと張られており、ネット上で話題だ。
   はてなブックマークが200ほども付いており、小沢一郎前幹事長への入れ込みぶりに驚くコメントが並んでいる
   ゲンダイは、一貫して小沢支持、菅批判を繰り返している。新聞各紙の世論調査とは違って、小沢氏が勝つとまで主張した。その根拠としては、国会議員を200人は固めており、党員・サポーター票などを加えても数十ポイント差で勝つとの関係者の見方を伝えた。小沢氏に人気が集まったネット上の世論調査も、補強材にしているようだ。

   週刊誌では、週刊現代が9月6日発売号で、「菅陣営、なすすべなく敗北へ もう止まらない小沢一郎総理大臣」と大見出しを打った。そこでは、小沢派中堅議員が、国会議員票では、280対130ほどで菅氏を圧倒し、党員・サポーター票がどう出ても大勢は変わらないと明かしたことを紹介している。小沢支持とは打ち出しておらず、勝敗は五分五分との政治評論家の見方も挙げてあるものの、中堅議員の見方に寄り添っている書き方だ。
   また、週刊ポストも、小沢氏が勝つとの予想は明確に立てていないものの、8月30日発売号で、国会議員のうち親小沢が反小沢の2倍以上いるとの調査結果を伝えた。その後の誌面でも、新聞の「小沢嫌い」を特集したり、菅氏を「しょせん学生運動上がり」とけなしたり、小沢氏寄りの論調が目立っている

「特捜部とマスコミがタイアップ」 無視された小沢敗因分析(2010年9月15日J-CASTテレビウォッチ)

   民主党の代表選は、菅直人氏の圧勝。しかし小沢一郎氏は国会議員を完全に2分するところまでいったので、さあこれからが大変、まずはどんな人事が……というのが、 一夜明けたきょう(15日)の注目点だ。
   スタジオに、小沢氏支持で動いた海江田万里氏が出演して、今後を語った。小沢氏からは「ありがとう」と電話があったそうだ。これを、キーマン全員にやっているのかと思うと、つくづく政治家にならなくてよかった……?

「しこり残らないか」

   森永卓郎が2人の政策の違いをあげて、「社民主義(小沢)と構造改革路線(菅)と全く違う。しこりは残らないか」
   海江田は「小沢さんのいったことを、菅さんがどれだけとりいれるか。与えられた時間はあまり長いとは思わない。予算を仕上げるまでが期限だと思っている」と、結構生臭いことをいう。
   鳥越俊太郎は、「この結果にいちばんホッとして喜んでいるのは、東京地検特捜部じゃないか」といいだした。
   「小沢氏の金の問題で起訴できなかった。しかし特捜部はマスコミとタイアップして、悪いイメージをつくって、それが世論となって、国会議員も影響された。もし小沢さんが勝っていたら、復讐があるだろう。可視化問題とかでね。それは避けたかった」と。しかし、この話には誰も反応せず
   鳥越はまた、「これだけの逆風の中で、国会議員票の差が6票。(小沢は)よくここまでいけたなと思う」と。
(略)

いつもの鳥越節が炸裂していますけれども、もはや誰にも相手にされず華麗にスルーされてしまっているのが哀しすぎますよね(笑)。
結局誰が勝ち誰が負けたとも言いかねるような話ですけれども、こうしてお互い非難合戦を繰り広げることで、どこのメディアも一生懸命情報操作による世論操作を仕掛けてきたということだけはこれ以上ない形で明確になってしまったのは、彼らにとって良かったのか悪かったのか、あるいは全く気にもとめていないということが一番ありそうですかね?
「いったいどんな言い訳をするのか」という問いのの答えは結局のところ、「あまりに面の皮が厚すぎて、言い訳の必要性すら感じていなかった」ということになるのかも知れません。

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2010年9月17日 (金)

逼迫する老人医療・介護問題 超高齢化社会の先に見えてくるものは

先日もお伝えしたように政権公約として後期高齢者医療制度の廃止ありきで話が進んでいる中で、いささか危ういところもあるのではないかという懸念がすでに現段階の議論においても出てきていますけれども、逆の方面で懸念を表明しているという人々もいるようです。

後期高齢者医療制度:廃止訴えデモ行進 横断幕や旗掲げ100人--金沢 /石川(2010年9月16日毎日新聞)

後期高齢者医療制度に反対する市民約100人が15日、制度廃止を訴え金沢市をデモ行進した。敬老の日を前に県社会保障推進協議会や年金者組合県本部が主催。金沢市広坂2の中央公園から同市武蔵町周辺まで、横断幕や旗を掲げ「高齢者を差別するな」と声を上げて行進した。

 同制度は75歳以上を対象とし、医療費の増加によって保険料も高くなる点などが課題とされ、民主党が「高齢者医療制度改革会議」を設置し検討中。しかし、県社保協の寺越博之事務局長は「中間のとりまとめ案を見ても、そのまま引き継いでいる点が多い」と指摘した。【宮本翔平】

そのまま引き継いでいる点が多いと言いますか、民主党としてもあれだけ廃止廃止と大きな声を上げて政権を取ったはいいものの、実際詳細に検討してみるほど「いやこれは、もしかしてうっかり廃止しちゃったら大変なことに…?」と考え始めているんじゃないかと言う気配も見えるだけに、正直廃止の実を捨てて名を取りたいというのが本音なのかも知れませんね。
ただ制度としての有用性などの評価とは全く別な次元で、世間的には高齢者いじめだと評判が悪いことは確かですから、政権側としてもこちらに手心を加えるというのであれば別な部分でアメを用意しなければならない道理ですが、実際このところ相次いで高齢者医療対策というものが打ち出されているようです。
ひと頃はさっさとなくしてしまえと国を挙げて推進していたはずの介護型療養病床にしても、民主党政権となった以上は予想通りと言えば予想通りなんですが、先日やはりそうなったかというニュースが出ていました。

介護型療養病床、2012年度以降も存続(2010年9月9日読売新聞)

 2011年度末で廃止される予定の介護型療養病床に関し、長妻厚生労働相は8日、衆院厚生労働委員会で「廃止は困難」と述べ、初めて正式に存続させる方針を明らかにした

 必要な法改正案を来年の通常国会に提出する考えだ。

 高齢者が長期入院する療養病床には、医療保険を使う医療型(約26万3000床)と介護保険を使う介護型(約8万7000床)がある。医療の必要性が低いのに入院し続ける「社会的入院」を減らすため、厚労省では、介護型に対し、老人保健施設や特別養護老人ホームなどへの転換を促してきた

 ところが、厚労省による4月時点の調査では、回答した介護型療養施設1954か所(約8万5000床)のうち、「転換予定は未定」とする施設が61%。「地域で療養病床が必要とされる」「受け入れ先を見つけられない」などの理由からだった。このまま廃止すれば、入院患者が新たに“介護難民”化する恐れもあり、厚労省では、12年度以降もどの程度まで存続させるかを含めて検討を急ぐ方針だ。

「廃止は困難」と言いますか、実際どこの療養病床もいまだ転換は様子見という状況ですから、この状況でいきなり廃止というのはさすがに無理がありますよね。
国は今後も診療・介護報酬などの誘導で地道に療養病床の転換を図っていくことになるのでしょうが、実際に求められている医療・介護の水準がどんな具合で分布しているから各レベルの施設にこれくらいの定数が必要であるというのならまだしも、単にコストカットが目的で転換を迫るだけでは話がそうそう進むはずもありません。
また特養、老健を増やしたはいいですが、入所者も全部が全部急変時も何もしませんという人ばかりでもありませんから、いざとなればある程度は医療も行える療養型病床と違ってこちらは急性期病床のバックアップも必要となる理屈ですが、利用者側の意識をそのままにして転換を進めたところで、とんでもない状態になって慌てて救急車で運ばれる御老人が増えるばかりですよね。

このあたりは最終的には高齢者の看取り方に対する国民の意識が徐々に変わっていくのを待つしかないところだと思いますが、下世話な話で金銭面の感覚からこの問題を考えて見た場合、かれこれ半世紀にわたって医療は幾らでも上限定額制で使い放題、目一杯使わなければ損だという感覚が滲透しているわけですから、自然なお産ならぬ自然な看取りの伝統が復活するのは当分先になりそうです。
最近の不景気で現役世代の収入は軒並み目減りしていますが、逆にそうであるからこそ高齢者の年金や恩給の現金収入を当てにせざるを得ないという人も増えてくるだろうと考えれば、今まで以上に「何があってもお爺ちゃんは絶対死なせないでください!」なんて人たちも増えてくる可能性があるわけですよね。
ただそうなってきますと医療財政上はまことに都合が悪いのも事実ですから、国としてはあの手この手でお年寄り向けに何かと工夫を凝らした政策を打ち出してくることになりますが、最近出てきた話題だけでも色々と興味深い話も多いようです。

グループホーム利用を大幅緩和 公営住宅、高齢者ら自立支援(2010年7月19日47ニュース)

 政府は19日までに、地方自治体が賃貸する公営住宅について、高齢者や障害者向けのグループホームやケアホームとしての利用を大幅に緩和することを決めた。これまで空き室などに限定していたが、都市部にあるなど一般の入居希望者が多い物件でも一定の戸数を「福祉枠」として設け、利用を認める。要介護高齢者の増加が見込まれる中、住み慣れた地域で自立して生活できる受け皿づくりを進めることが狙いで、近く関係自治体に通知する。

 公営住宅は低所得者向けとして全国に約218万戸あるが、社会福祉法人などの利用は2008年度末で約700戸にとどまっている。

 国土交通省は自治体からの要望も踏まえ、運用見直しが必要と判断。収入基準など公営住宅の入居資格を満たす高齢者や障害者らを対象としたグループホームなら、高倍率の物件でも抽選の対象としない福祉枠を自治体が設け、社会福祉法人などが利用できるようにする

 中堅所得者向けに都道府県などが設立する住宅供給公社の賃貸住宅は、グループホームとしての利用自体を認めていないが、本年度中に関係省令を改正し、解禁する方針だ。

介護の技量に「段位」、雇用促進へ認定制度検討(2010年9月1日読売新聞)

 政府は介護や環境、観光など将来の成長が見込まれる分野で、職業の習熟度や知識を客観的に示す「段位」認定制度の本格的な検討に着手した。

 一企業だけでなく、多くの企業・産業に通用する専門家を育て、雇用・転職の促進や高い技術を持つ人の収入増につなげるのが狙いだ。まず「介護・ライフケア」「環境・エネルギー」「食・観光」を対象に、能力評価基準やカリキュラムを検討し、2011年度末までに体制を整備。5年間で他の成長分野にも対象を広げる方針だ。

 段位制度は政府が6月にまとめた新成長戦略で提唱した。内閣府で31日開かれた「実践キャリアアップ戦略推進チーム」の有識者会議では、今後、段位の数や具体的な評価方法、既存の資格・検定制度との関係などを検討し、年内をメドに基本方針を取りまとめることを確認した。制度導入により、企業は求職者を評価しやすくなり、求職者も就職に必要な能力を見極めやすくなるとみられる。

24時間地域巡回訪問サービスを全国に100か所―長妻厚労相(2010年8月25日CBニュース)

 長妻昭厚生労働相は8月25日、24時間対応の地域巡回型訪問サービスの拠点を全国に100か所整備するための費用を来年度予算の概算要求に盛り込む方針を明らかにした。また、宿泊が可能なデイサービスセンター(お泊まりデイサービス)の整備を促進する費用も概算要求に盛り込む意向を示した。

 いずれも、独立行政法人の都市再生機構が運営する横浜市の高齢者専用賃貸住宅(高専賃)を前原誠司国土交通相と視察した際に明らかにした。視察では、居住スペースや共有スペース、併設のデイサービスセンターなどを見学したほか、入居している高齢者や施設職員らと懇談し、住み心地やサービスの内容などについて話を聞いた。

■“お泊まりデイサービス”の整備に約100億円を要求

 視察後、長妻厚労相は「高齢者向けの施設の整備と同時に、在宅ケアを支援するため、さらにきめの細かいサービスを実現する必要がある」と指摘。その具体的な施策として、24時間対応の地域巡回型訪問サービスの拠点を全国に100か所整備するための費用として数十億円を、“お泊まりデイサービス”の整備促進の費用として約100億円を、それぞれ来年度予算の概算要求に盛り込む方針を明らかにした。
 さらに、介護職員を支援する介護ロボットを経済産業省と共同開発するための費用も概算要求に盛り込むとした上で、開発されたロボットの性能が優れている場合は「介護保険を適用していこうと考えている」との意向も示した。

■サービス付き高齢者住宅「60万戸を目標に」―前原国交相

 長妻厚労相と共に記者会見した前原国交相は、介護などのサービスが付いた高齢者向けの賃貸住宅を、今後10年間で60万戸を目標に整備する方針を示した。また、こうした施設の整備のための予算については「倍増を目指したい」と述べた。

こういうのを見ますとこれからの高齢者対策のキーワードは「自立」ということになるんだろうと思いますが、要するにお金のかかる病院は使わず出来るだけ介護サービスで済ませておく、それも可能な限り施設入所ではなく在宅でという流れを定着させようと頑張っている構図が見えてきますよね。
もちろんそれが必ずしも悪いというわけでもなくて、スパゲッティシンドロームなんて言葉に象徴されるように、ひと頃の世の中を席巻した過剰医療批判を思えば、なるべく病院には関わらず最後は自宅の畳の上で看取るというのは国民の認識的にも良いことなんだろうし、そのための道具立てを国が率先して用意していくというのは本筋ではあるのでしょう。
現実問題として少子化が久しく前から言われていて、今後下手すると高齢者より現役世代の方が数が少なくなってくる可能性すらあるわけですから、経済的な面のみならずマンパワーの面でも社会の中でいかに労力、コストを効率的に配分するか、そして元気な高齢者をいかに労働力として活用するかといったことも大事になってくるのでしょうね。

鳩山さん以来民主党政府は新成長戦略で医療・介護業界を経済成長の牽引役にと言ってきましたけれども、いろいろと話を聞く限りでも結局若い現役世代の多数派は介護などやりたくないというのが本音のようですから、そちらを産業的に成長させて失業者の受け皿にというのも今ひとつうまく進んでいるようには見えませんし、これは仕方のないところだとも思いますね。
やはりどの産業でも全年齢同じに就職希望や適正があるというわけではありませんから、産業毎に年齢や性別など様々な要因で就労者分布に自然な差がついてくるということを考えた場合、さしずめ介護業界などはどちらかと言えば本来年配者向けの産業と言うことになってくるのでしょうし、実際家族レベルで見ると現状でも入院患者の付き添いに若い人がべったり付いてるなんてことはあまりないわけですよね。
例えば元気な高齢者自身が老人介護を支えてくれるといった高齢者自給自足的な状態になれば、社会にとっては一番手がかからないということですし、元気な高齢者にしてもまだまだ自力で稼げる手段が得られるわけですから、年金制度などが多少怪しくとも自力で食べていくことも出来る道があるわけで、(本来それではいけないのでしょうが)国としてもありがたい話ではあるはずです。

現状でも退職した世代が介護サービスなどで第二の社会人生活をスタートさせているなんてことが普通にありますけれども、体一つでやっている現状であっても出来ることは幾らでもあるわけですし、体力が衰えて一人で支えるのが難しいとなれば二人、三人で支えればいいじゃないかということですよね。
もし今後社会として大々的に高齢者の介護現場への活用を進めるということになれば、その一番の障壁になるのは介護する側の身体的能力の衰えということになるのでしょうが、たとえば前述の記事にもあるように介護用のスーツなどがもっと一般に普及してくるようになれば、別に若くて元気のいい連中を苦労して大勢かき集めなくても老老介護で十分じゃないかということになってくるのかも知れませんね。
SFの世界ではコンピューターや機械によるサポートの発達で肉体的能力の衰えがカバーされるようになってくればいずれ老人の時代が来る、なんて話がずいぶんと前から言われていたものですが、いっそ日本も超高齢化社会を逆手にとった先進的老人国家を目指してみるというのも面白いんじゃないかと、近頃の元気なお年寄りを見ながら密かに考えているところです。

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2010年9月16日 (木)

相次ぐ負担増加に国保はいつまで保つのか?

市町村が運営する国民健康保険(国保)において、この四月から失業者に対して保険料を減免する制度が始まっていますが、世が不景気という時代だけにこれだけでは未だ十分ではないという判断があるのでしょう、高額医療費の払い戻し制度なども低所得者の負担限度額を月4万円まで引き下げようなんて話も検討しているようで、国として相次いで対策を打ち出してきているようですね。
先日以来さらにもう一段階の低所得者向け医療費対策を講じるという報道がなされていますが、すでにこの六月から基本方針は伝えられていた医療費自己負担分の軽減措置がこのたび入院医療費分から実施されることになったということで、まずは幾つか関連するニュースから拾い上げてみましょう。

医療費の窓口負担減免に財政支援/国保の低所得者向け(2010年6月22日四国新聞)

 厚生労働省は22日、国民健康保険に加入する低所得者が医療機関にかかった際、医療費の窓口負担(原則3割)の減免を受けられるよう、国保6件を運営する自治体に来年度から財政支援する方針を決めた。

減免分が全額市区町村負担となるため、財政的に余裕のある自治体でないと実施しづらいのが現状。厚労省は半額を交付金で手当てし、実施自治体を増やしたい考えだ。医療費の未払いを防いで医療機関の負担を減らすとともに、景気悪化で生活に困窮する人を救済する狙いもある。

 本年度中に数十自治体でモデル事業を実施し、その結果を踏まえて統一的な運用基準を定める。

 厚労省によると、減免のための条例や規則を定めているのは、2007年時点で全体の55%に当たる1003自治体。減免を認める理由は自然災害の被害などが多く、低所得を理由に認めているのは155自治体だけだった。

 しかし、厚労省が全国の病院を対象に昨年実施した調査で、病院側は医療費の未払い額のうち22・6%が「患者の生活が困窮して資力がないため」と回答。減免制度を設ければ、未払いの抑制につながることがうかがえた。

 財政支援には、加入者の収入格差などを調整するため国が自治体に交付している国保6件の「調整交付金」の基準を見直して、一部を充てる。

国保加入失業者らの医療費減免へ 入院3カ月まで(2010年9月13日47ニュース)

 厚生労働省は13日、失業などで一時的に収入が減った国民健康保険(国保)の加入者が医療機関に入院した際、3カ月まで医療費の自己負担(原則3割)の減免を受けられるよう、財政支援することを決めた。対象者の基準を定め、国保の運営主体である市町村に同日付で通知した。

即日実施し、減免した分の半額は国が交付金で補助する。景気悪化に伴う生活困窮者の支援や、医療費滞納による病院の負担解消が狙い

 患者負担の減免はこれまで全額が市町村の負担だったため、多くの市町村は二の足を踏んでいた。厚労省は国が半額を持つことで実施自治体の増加を期待しているが、財政難の市町村にとっては残り半分でも負担が重く、どこまで広がるかは不透明な面もある。

 対象となるのは(1)災害や事業の休廃止、失業などで収入が著しく減少(2)月収が生活保護基準以下で、かつ預貯金が1カ月の生活保護基準の3倍以下―の条件をいずれも満たした場合。個別の事情に応じて減免期間が3カ月を超えることも認める。

国保の負担減免、基準を明確化=「生活保護以下」と通知-厚労省(2010年9月14日時事ドットコム)

 市町村が運営する国民健康保険(国保)の加入者が失業などで一時的に収入が下がった場合、医療費の窓口負担(原則3割)を減免する制度について、厚生労働省は14日までに、対象者を「生活保護水準以下」など基準を明確にして都道府県に通知した。減免額などは市町村が決める
 同省が通知した減免の対象は、入院を前提とし、(1)生活保護基準以下の収入(2)預貯金が生活保護の3カ月分以下-のいずれも満たすことが条件。期間は3カ月を基本とし、長期化する場合は生活保護制度の適用を検討する。

記事を見ますとこの制度、もちろん経済的に困窮する患者救済ということもあるのでしょうが、そもそもの発端としては病院未払い医療費問題が大きく取り上げられ始めたことから行われた調査結果によるものと言うことで、医療機関側の救済ということがまず先にあった話であるようです。
この未収金問題、最近では専門業者に委託する動きも進んでいますけれども、回収できた医療費は2.6%に留まるなんて数字もあるようにあまり捗っている様子でもなく、民間医療機関などでは対策を講じないことには自分が潰れてしまうと言う状況となれば、それは現場で働くスタッフにしたところでそれなりの対応は考えざるを得ないのも当然ですよね。
もちろん制度が検討されはじめた当時は例の「たらい回し」報道が盛んだった頃でもあったわけですが、こうして経済的側面から病院側が被るリスク要因を減らしていくことが患者の受け入れ促進につながり、結局は患者自身にとっても利益になるという判断も当然あっただろうと思われます。

そんなこんなで病院にとっても患者側にとっても悪い話ではないということではあるのでしょうが、問題はこの時期行政の側としても金が余っているということでもないでしょうに、財源負担はどうするのかという話ですよね。
恐らく政府としては対象者の数を計算して「この程度ならやれる」という試算はしているのでしょうが、例えば昨年厚労省自身が出したデータによっても年収200万円以下の国民が1000万人は存在するということですから、生活保護の患者よりもはるかに大勢が対象になりそうだと考えれば決して少なくない数になりそうだとは思えるところです。
もちろん国としては我々も半額を出すのだから自治体も出せと言う話なのでしょうが、先日以来お伝えしているようにただでさえ後期高齢者医療制度廃止で国保に抱え込まされる形となった自治体は悲鳴を上げているという現状で、これ以上の負担をしていくだけの余力があるのかどうかですよね。

2009年の調査では国保加入世帯の平均保険料負担額が32.5万円と言いますが、自治体ごとの最高額(50.4万円)と最低額(14.0万円)とでは実に3.6倍に及ぶ市町村格差があったと言いますから、現在でもそれぞれの国保加入者の内訳によって必要とされる医療費の額は大きく変わるものであることは明らかであるわけです。
一般に所得水準が高い人ほど健康状態が良いとされていることに加えて、日医などが長年主張しているように早期受診の制限は初診時に重篤化している可能性を高めるのだとすれば、病院にかかることも憚られるような低所得者層は平均よりも医療費がかかると言う予測も立ちますから、公費の医療費負担も無視できないものになる可能性は十分ありそうですよね。
自治体側としては勝手に国が負担増を言い出してきたという形ですから、どこまでの自治体が追随するものなのか、実際の減免額が幾らになるのかはやってみないと判りませんけれども、こうして新聞でも報道されてしまった以上は市民の側としても「なんでうちの自治体は減免制度がないんだ?」なんて疑問も生じるだろうし、現場での混乱が生じかねない話です。

政府の側とすれば「自分たちはこんなにも貧困対策をやった」と得点になるつもりでやっていることでしょうし、実際社会的にそれで助かるという人間もいるのは確かでしょうが、昨今かなり危ないことになってきている国保に更なる負担を押しつけるということであれば、やはりもう少し自治体側としても配慮が欲しかったというのが本音なんだろうなと思います。
低所得者対策は社会的急務なのも事実ですが、一方で国保が破綻し保険料大幅値上げとでもなれば、結局はその影響を被るのも国民の側であるわけですから、小手先のやりくりだけではいずれ限界ということになれば、最終的には抜本的な健康保険制度の見直しという話も必要になってくるのでしょうね。
どうせ必要なことならとことん追い詰められてどうしようもなくなってから慌てて移行するよりも、まだしも幾らか余力のあるうちにやった方が被害は少ないということになりそうですが、何しろ異論百出で紛糾すること必至なだけに、国がどの程度の青写真を描いているのかが気になります。

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2010年9月15日 (水)

押尾事件公判、ちょっとそれはどうなのよと

あまり芸能界事情を知りもしないし興味もないものですから、今まで裁判だなんだと世間が騒いでいても全く関心がなかったのですが、ちょうど昨日結審した例の押尾被告の公判における検察側、被告側双方の証人証言がなかなか興味深いことになっているようです。
客観的に見て押尾被告に道義的に責められるべき点は多々あるんだろうとは思いますが、問題は今回の裁判の争点が保護責任者遺棄致死に当たるかどうかということで、最終的にその点が認められなければ検察としては負けとなってしまうわけですよね。
そうであるからこそ、検察側の証人が「きちんと対応していれば助かっていた」と主張したのは当然ではあったわけですが、改めて証言を見てみますとこの時点ですでにいささかどうなのよ?という気がしないでもないところです。

【押尾被告 裁判員5日目(7)】「病院なら100%、救急隊が駆け付けていれば9割近い」医師は高い救命率を提示(2010年9月10日産経新聞)より抜粋

 《保護責任者遺棄致死などの罪に問われた元俳優、押尾学被告(32)の裁判員裁判第5回公判は、専門医への証人尋問が続いている。焦点は合成麻薬MDMAを服用して深刻な急性中毒症状を発症した田中香織さん=当時(30)=を救命できた可能性はどれほどあったかという点だ。向かって左から2番目の男性裁判員が質問した》

 裁判員「心肺停止の手前で救急隊員が治療を行えば、助かる可能性は高いですか」

 証人「心臓がまだかすかでも動いている状況で心臓マッサージなどをすれば、かなり高いです。1分たつと生存の可能性が6~7%減るとすると、6、7分で生存可能性は半分近くになります」
(略)
 裁判官「MDMAの症状は(急にでなく)プロセスを経て悪化すると説明されましたが、どのような段階があるのでしょうか」

 証人「気分の高揚状態や意識水準の深さでさまざまですが、3段階ぐらいをへて、自立神経の症状が深刻となり、心肺停止につながります。一気に行くわけではなく、一定の時間がかかります」

 裁判官「5~10分はかかるということですか」

 証人「幻覚やもうろうとした状態が1分で終わるということは、外から静脈注射などをしない限り、人体のメカニズムとしては考えにくい。10~20分の時間をへて次の段階に行く」

 裁判官「心肺停止まで10分程度ではいかない」

 証人「そう思います」

 裁判官「幻覚症状から心肺停止まで30分ぐらいはかかるということですか」

 証人「現状の医学的な見地からいえば、私はそう思います」

 《裁判官は症状の経過に伴う救命可能性について質問を続ける》

 裁判官「病院に搬送中に心肺停止状態になった場合はどの程度助かるのでしょうか

 証人「病院であった場合は100%に近いといえますが、9割方といえるかもしれませんまた、救急隊員が心臓マッサージを現場で行っていれば、8割方助かっていると思います

 《向かって左隣の男性裁判官に尋問者が変わり、症状の変化と時間経過に不自然な点がないか詳細に聞く》

 裁判官「救急隊員が現場にいってすでに心肺停止だった場合、どれくらいの時間で救命可能性は変わってくるのですか」

 証人「1分間で7%近く生存可能性は下がります。5分だとしたら、35%減るという計算で65%の可能性で助かるだろうと思われます」

 裁判官「65%というのは単純な生存可能性ということですね」

 証人「そうです」
(略)

専門医が「9割方助かる」と明言したというこのあたり、世間ではいよいよチェックメイトかなんて盛り上がっていたところだったわけですが、新聞の見出しを斜め読みするだけでも「いや、急性薬物中毒で心肺停止というシビアな状況でほとんど全員が助かるなんて、そんな安易に言い切ってしまっていいのかね?」と懸念は感じていたところでした。
ところがそれから数日を経ずして被告の弁護側も証人を立てて反論してきた、しかもこれが「救急医療の専門家」である検察側証人と違って「薬物中毒の専門家」であるということが非常に興味深いところだったわけですが、ある意味予想通りと言いますか「ヤク中なめんなゴラ!」とでも言うべき証言の内容であったということですから話が穏やかではありません。

押尾学被告第6回公判:被告側の証人、救命の可能性「極めて低い」(2010年9月14日スポニチ)

 【押尾学被告第6回公判】押尾被告の裁判員裁判で弁護側証人として出廷した救命救急医は、田中香織さんの救命の可能性について「極めて低い」と証言した。「本件で唯一確かなのは薬物の血中濃度」とし、田中さんのMDMAの濃度が異常に高かった点を指摘。これまでの公判に検察側証人として出廷した救急医2人の「100%近く助けられた」という証言を真っ向から否定した。

 押尾被告にとっては“地獄に仏”だった。

 証人の救急医は「田中さんの容体を分かっているのは押尾さんだけ。その押尾さんも薬物の影響下であいまい」とし、「唯一確かなのは薬物の血中濃度。血中濃度はうそをつかない」と断言した。死亡鑑定書や医師の調書によると、田中さんの薬物(MDMA)の血中濃度は8~13マイクログラム/グラム。この救急医によると、通常の中毒患者は1~2、致死量は3・1マイクログラム/グラムというデータもあり「田中さんの血中濃度で過去に助かった人はいません。救命の可能性は極めて低い」と証言した。

 同救急医は日本救急医学会で指導医を務めるかたわら、日本中毒学会の評議員でもある薬物中毒の専門家。検察側証人として出廷した救急医について「薬物中毒の専門ではない」とその証言を疑問視。「致死量の3倍以上のんだのに助かるというのは学問的にどうなのかと思った」と証言台に立った理由を説明した。

 裁判長の「救急隊が死亡前に田中さんに接触したらどうだったか」の質問には「濃度を下げる手段はない。それは病院に行っても同じ」と返答。いち早く119番すれば救命できたかどうかが最大の焦点の公判で、極めて重要な証言をした。

 また押尾被告が田中さんに心臓マッサージを施した点についても「日本で人が倒れたところに居合わせた人が心臓マッサージなどの手当てをするのは20~30%程度。評価されてもいいのでは」とした。元東京地検公安部長の若狭勝弁護士はこの日の証言について「裁判に大きな影響を与える。前回までは検察側が大きく押していたが、この証言によって微妙になってきた」と話した。

 同救急医は「(救命措置を)一つでもしたならば、私がお釈迦(しゃか)さまならカンダタにクモの糸を1本垂らすと思う」と、芥川龍之介の小説「蜘蛛の糸」で地獄に落ちた悪党を引き合いに出した。獄中で「地獄の入り口から戻ってやる」とノートに書きなぐった押尾被告。ただ、その後の被告人質問で自ら“クモの糸”を切ってしまいそうになっている。

【押尾被告 裁判員6日目(4)】「『助かる可能性低い』と説明しなければ」出廷理由明かす医師 (2010年9月13日産経新聞)より抜粋

(略)
 裁判長「証人は日本中毒学会に所属しているのですか」

 証人「そうです」

 裁判長「どのようなことをしている学会なのですか」

 証人「中毒は幅広く、医師や薬剤師、法医学者、警察関係者も所属しています。生きている人を扱うのが一般的ですが、死んでいる人も取り扱います。通常、医療の場で中毒症状の人をみて、原因や治療方法、予防方法などを考えていくということをやっています」

 裁判長「証人は救急医学学会にも所属していますか」

 証人「はい」

 裁判長「非常にうかがいづらいことなのですが、検察側請求の医師についての中毒症状の知識はどう思われますか

 証人「救命救急については詳しいと思いますが、中毒に関しては造詣が深いということではないと思います」

 《証人は恐縮するようなそぶりを見せながら、検察側請求の証人として出廷した医師の専門性を疑問視する回答をした》

 裁判長「本日、証人には遠いところからお越しいただきましたが、出廷していただいた経緯はどういうところですか」

 証人「弁護側から人を介して『検察側請求の医師はこういうことを証言するらしい』ということを聞いたのですが、『(早くに通報していれば)100%助かる』という内容を聞いて、致死量の3倍以上を飲んだのに助かるという話が裁判記録として残るのは学問的にどうなのか…。『助かる可能性は低い』ということを法廷できちんと説明をしなくてはいけないと思ったからです」

 裁判長「『致死量』とはどういう意味でしょうか」

 証人「動物実験で薬物を一定量与え、50%以上死ぬ量を致死量と言います。ただ、人間とは違うのであくまでも目安ということです。また、過去の症例を調べてグラフなどにし、大体この先、さらに投与すると助からないのではないかという要素もあります。もちろん薬剤によって違うので臨床的な経験値ということです」

 《検察側証人の医師の証言内容の誤りを指摘する証言を、傍聴席の人たちも緊張した面持ちで聞き入っていたが、押尾被告は身動き一つしないまま、前を見据えていた》

一応双方の証言内容を詳細に比較してみると、検察側証人が「心肺停止が起こる前の早期に病院に運び込んでいたなら」高い確率で救命出来たと言っているのに対して、被告側証人の言う救命可能性は低いというのは、心肺停止が起こった時点で搬送された場合の話であるという点には注意いただきたいと思います。
こういう微妙に前提条件の異なる問いかけで「救命確率は低い」という証言を引き出したのは被告側弁護士の質問の仕方がうまかったとも言えますが、それでは仮に検察側証人と同条件で押尾被告が早期に救急隊を呼び、直ちに病院に搬送されて最善の医療を行った場合にどのような経過を辿っていたと考えられるものなのか、中毒医療の専門家としての立場からこんな証言を行っています。

【押尾被告 裁判員6日目(5)】「長期的でも、3、4割しか助からない」医師は低い救命率を提示(2010年9月13日産経新聞)より抜粋

(略)
 裁判長「死に至るメカニズムを説明してくれましたが、田中さんが死亡した際の(MDMAの)血中濃度が、あれ以上に高くなると死亡するということでしょうか」

 証人「あの現場で死に至るのは、不整脈や高血圧とか肺水腫で呼吸が止まる場合です。またその後に死ぬ場合は、これらの症状を切り抜けても、高体温で脳や心臓がダメージを受けて多臓器不全になる可能性が高いです。田中さんは短期的でも厳しいですが、長期的でも、3、4割しか助からず、病院に行っても5、6割は厳しかったと思われます」

 裁判長「急性という部分では、(MDMAの)量が増えると交感神経の興奮が高まるということですか」

 証人「低いより高い方が高まるのは確かです」

 裁判長「致死という部分にこだわりますが、(交感神経の興奮が高まり)頻脈になると助からないということですか」

 証人「現場であれば、AED(電気ショックを心臓に与える機器)がなく、助かるのは困難です。病院なら助かる可能性もあります。高い濃度で早い脈や心停止、高血圧が出れば治療のしようがないので、どこの段階で救命できないと判断するのかで、救命の可能性があるかは変わると思います」

 裁判長「血中濃度が高濃度だと死亡するということですか」

 証人「薬剤によって違いますが、シアン中毒は解毒剤もあり、睡眠薬は血液透析で治ります。MDMAは解毒剤もないですし、血液透析でも下げられません

 《血液透析とは、汚染された血液を機械を通して濾過(ろか)する治療法。MDMAは血液透析などの治療の効果があまりないことを、証人の男性医師は説明していく》

 裁判長「血液透析でMDMAの濃度は下げられないのですか」

 証人「血液内からはとれても、体にしみこんだものはとれません。MDMAは血液から体内にすぐにとけ込んでしまうので、体内にとけ込んだものはとれないのです」

 裁判長「ごらんになった鑑定書の血中濃度は、(田中さんが)死亡したときのもので、救急隊が死亡前に田中さんに接触したときに、濃度が上がらないようにできたのでしょうか

 証人「ありえません。治療方法がないので。早く病院に運んでも下げられないので、早かったか遅かったかは関係ないのです」

 裁判長「救急隊が血中に酸素を入れても、MDMA濃度が高くなるのは止まらないということですか」

 証人「おっしゃるとおりです」

 《検察側の申請した救急救命の専門医師らは、早く119番通報していれば「十中八九、助かった」などと話したが、弁護側が申請した医師は、これに真っ向から対立する意見を述べた格好だ。裁判長からの質問は終了した》
(略)

要するに一度こうまでの量のMDMAが吸収されてしまうと病院であれどこであれそれを下げることは出来ない、そしてこの濃度であれば経験論的に考えても助かる可能性は低かったということですから、被害者の状態が急変した後で早期に救急車を呼ぶかどうかは生命予後とはあまり関係がないということですよね。
こうして証言の内容を聞く限りでは救急医療の専門家としての見解を述べた検察側証人の証言内容よりは具体性もあり、現場の状況をより詳細に検討した結果での証言であるという印象を受けるところなんですが、それでは検察側証人が「ほとんど100%助かったはずだ」なんてちょっと非現実とも思えるような数字を出してきたのは何故なのかということですよね。
この点を読み解くためには本件裁判の争点が保護責任者遺棄致死が問えるかどうかということにあることを思い返さなければならないわけですが、この罪状の意味するところは朝日新聞の解説によればこういうことになっています。

保護責任者遺棄致死罪(2010年1月4日朝日新聞掲載解説)

幼児やお年寄り、身体障害者、病人を保護する責任がある人が、これらの人を放置したり、生存に必要な保護をしなかったりした結果、死亡させた場合に問われる罪。傷害致死罪と同じ懲役3年以上の有期懲役に処される。裁判員が参加するのは「死刑または無期懲役になる可能性がある罪」か「故意の犯罪により人を死なせた罪」で起訴された被告の裁判で、後者にあたる。保護責任者遺棄罪は3カ月以上5年以下の懲役が法定刑で、裁判員裁判の対象とならない。

朝日の解説を見ていただくと、この法律の「生存に必要な保護をしなかったりした結果、死亡させた」云々の文言を非常に緩く解釈してしまうと、瀕死の状態で運ばれて来た患者を救えなかった救急医師が罪に問われるなんてことになりかねませんが、もちろん世の中そんなことにはなっていないわけです。
とりわけ遺棄致死という罪を問うともなれば判断が厳密であって、保護責任者が放り出してしまったこと自体が生命等の危険にとって決定的であったということが大前提で、具体的に言えばきちんと普通に当たり前の対応をしていれば「ほとんど100%助かったはずだ」という状況に限られるということになっているようなのですね。
そう考えると先の検察側証人の証言というものが極めて検察側にとって都合の良いものなんだなと思えてきますが、もちろん検察の要請に応じて事実を曲げたということではなく、そういう証言をしてくれる証人を検察側が選んだということなのでしょうけれども、「致死量の3倍以上を飲んだのに助かるという話が裁判記録として残る」のは学問的以前に、臨床的に困ったことになりかねないですよね。

押尾被告がなにやら反社会的な行為を、それも日常的に行っていたらしい、その結果亡くならずにすんだはずの命が失われてしまったということも確かなんでしょうが、司法的に無理筋の罪を押しつけるために医療現場の真実までも歪めるというのであれば、これは世に言う「トンデモ鑑定」ということにもなりかねないのではないでしょうか。
今回の裁判で有罪が確定し検察側証人の証言が法廷で受け入れられたということになれば、今後救命救急に携わる医者達は重症薬物中毒の患者を受け入れるたびに「助けて当然、助けられなければ…」と悩まなければならないということにもなりかねません。
悪いことをしたという個人への罪の問い方とはまた別な次元の話で、どうやらそのあたりの社会的影響というものにも注目していかなければならない事件ではあるようですね。

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2010年9月14日 (火)

ホメオパシーと弁護士業界との関わり合いとは

悪性リンパ腫を患いながらホメオパシー療法家にのみかかり続けた結果ついに亡くなった女性の遺族らが、ホメオパシー療法家に対して説明を要求したところ「私は医師ではないので医学的所見は述べられない。検査をできるわけではないので、体の中で起きていることはわからない」と堂々と主張されたという話を以前に紹介しましたが、その後遺族らは当該療法家の所属するホメオパシー医学協会と接触したようです。
関連サイトでは先日協会本部に訪れた際の様子をネット上で公開しているのですが、これがなかなかに興味深い話ですので本日まずはこちらを紹介させていただきましょう。

ホメオパシー医学協会との話し合い(2010年9月9日めぐみ教会 牧師の日記)より抜粋

(略)
訪問の様子について、ちょっとだけ記しておきます。

9月4日、土曜日の夕方、亡くなられたAさんのご両親と、「憂慮する会」のYさん、KJさん、KCさん、僕、そしてW弁護士とK弁護士の計8名で、池尻にあります協会本部に伺いました。
(略)
2階にある広いお部屋(会議室でしょうか)に通していただきました。協会側からは理事長さん他、9名ぐらいの理事さんが並んでおられました。Aさんがかかっていた療術所のホメオパス、そしてAさんのテルミー・ホメオパシー仲間であったBさんがホメオパスの横にすわりました。(Bさんは療術所スタッフでないのになぜ協会側にいるのかという問いがAさん父からなされましたが、結局、ホメオパスを擁護する役割をなさいました。)
また、大阪など遠隔地の理事の方がテレビ画像を通して(発言はありませんでしたが)会議に参加、そのための技術的なサポートをする本部の方数名がおられました。
理事長(会長)さんが取り仕切るという形で会が進行しました。
なお、理事さんのうちのお一人は弁護士さんで、この方が理事長さんと、当事者のホメオパスの間に座り、たいたび発言されました。5時半から8時過ぎまで長時間の話し合いで、神経もはっていることですから、とても疲れました。御両親はさぞお辛かったのではないかと案じます。

結論から言いますと、わたしたちが文書で申し入れを行っていることについては、その場でのお答えはいただけませんでした。後日、文書で回答するということで、今それを待っている状態です。
また、Aさんが亡くなる前に、面会に行った父親に対してホメオパスが約束したことのうち、「カルテはすべてお渡しします」は、すみやかに実行してくださることが約束されました。また、父親とホメオパスのやり取りをBさんが筆記していたので、その記録をくださるということも同意されました。

私たちが事前に送付してあった事件の記録に基づき、W弁護士がホメオパスに、「なぜ、どのように、こう言ったのか。なぜこれをやったのかorやらなかった」といった形で、時系列にそって確かめていくという形で問答がなされました。ホメオパスが答える前に、向こうの弁護士さん、また会長さん、会長秘書役の理事が遮るということもたびたびありました
(略)
病院受診を指示したか、あるいは勧めたか、という点については、わたしたちが記録や証言に基づいて認識していることと、ホメオパスの記憶が大きく食い違っています。この点については、ホマオパシー協会側がスタッフや元スタッフの方々にも聞き取り調査を行って、また、メール記録や「カルテ」を丹念に調べて、事実を明らかにしてくださることを期待しています。
(略)

細々とした話の内容に関してはいずれ改めて整理されたものがアップされることでしょうし、正直協会側の見解としては予想の範囲内と言った内容に見えますから省略させていただきましたが、協会側ではきちんと弁護士を入れて話を進めようとしているということ、うかつな言質を取られないようずいぶんと慎重な対応に終始していることなどが感じられる内容ですよね。
肝腎の人の命を預かる部分でもこれくらいの慎重さを発揮していればもう少し違った結果になっていたのかも知れませんけれども、ホメオパシー被害の広がりとともに各方面から被害者の追求が始まっているという現状ですから、当然これくらいの対応はしてきてもおかしくないわけです。
日本でも朝日新聞などが中心になって各地の被害を取り上げるようになってきていますけれども、実際それだけトラブルも多いということなのでしょうか、近頃では実施の現場においてもこんなものを用意してきているようなんですね。

ホメオパシー健康相談のご案内(2009年9月6日日本ホメオパシー医学協会他)より抜粋

(略)
■同意書について
●日本ホメオパシー医学協会は,日本で唯一ホメオパシー職業保険を持つ非営利団体です。この職業保険適用のための手続の1 つとして,下記のとおり,同意書のご著名ご捺印をお願いしておりますので,どうぞよろしくお願いします。
●「ホメオパシー健康相談のご案内」を熟読され、ご理解の上、同意書にご署名・ご捺印ください。なお、同意書を提出いただけない場合は、健康相談をお受けいただけません
●未成年の方の場合は、保護者の方のご署名・ご捺印も必要になります。なお、小さいお子さまの場合は、保護者の方の代筆にてお願いいたします。
(略)
下記の場合、ホメオパシーに対するご家族の理解と同意が必要となります。

1. 精神的問題を抱えている場合
2. 長期に渡って薬を摂られてきた場合
3. 難病等で、好転反応の時にご家族の介護が必要な場合

未解決の身心の問題や過去の記憶・感情が戻って来る場合も多く、また強いお薬を長期で摂られた方は激しい排出が起こる場合もあり、ホメオパシー療法による改善にはかなりの忍耐と時間が要求され、ご家族のサポートが必要不可欠となります。ご家族のサポート無しの改善は難しいことを何卒ご理解ください。
そのため、上記の1. 2. 3. に該当する方には、ご家族の同意書もあわせて、ご提出をお願いしております。
(略)

同意書

1.ホメオパシー療法は、医師などの有資格者による医学的治療の代替をするものではなく、滞った自然治癒力を揺り動かし、自分で自分の健康を取り戻す健康法であることを確認します。
2.レメディーは、病気治療を目的とする薬ではなく、自然治癒力を揺り動かす為のものであることを確認します。
3.ホメオパシー療法の質問は、医学的診断を目的としたものではなく、自然治癒力の滞りを知り、レメディーを選択する為に行われるものであることを確認します。
4.私は、自分もしくは家族が、医師などの有資格の専門家に相談することが必要であると判断したときは、それを実行することを約束します。
5.医師から出された薬に関して、また今後薬をとることに関しても、自分もしくは家族が判断し、責任をもつこととします。
6.ホメオパシー療法での改善が難しいと判断された場合、ホメオパシー健康相談を受けられないこともあるということを了承します。
7.健康相談が担当ホメオパスと信頼関係のもと継続して良好に行われるために、不用意にその内容を公表しないことを約束します。
8.私は「健康相談のご案内」を読み、十分理解した上で、ホメオパシーの健康相談を受けます。
9.この同意書は、今後のホメオパシー相談においても有効とします。
私は「健康相談のご案内」を読み、十分理解した上で、上記の事項に同意します。
(略)

要するにホメオパシーで何が起ころうがあくまで自己責任でやることと同意をしなければ相手にしませんよという、従来の同協会の主張に沿った内容の同意書と言うべきものなのですが、興味深いのは健康相談に関して「不用意にその内容を公表しないことを約束」させているということで、よほどに後ろめたいことでもやっているのかと気になりますよね(苦笑)。
もうひとつ非常に興味深いのは、この同意書が発行元であるホメオパシー医学協会ではなく別サイトに掲載されているということなんですが、この文書の掲載urlを削って行きますと「ロータス法律特許事務所」なる弁護士事務所のサイトにたどり着きます。
これまた興味深いのはこちらの弁護士サイトからは当該文書へもアクセスできないし、そもそも秋山佳胤弁護士のプロフィールを見てもホメオパシーと関連があるかのような記述は一切ないのですが、面白いことにホメオパシー医学協会のサイトには同弁護士がロイヤル・アカデミー・オブ・ホメオパシーを卒業した立派な「認定ホメオパス」であることが誇らしげに掲載されているのですね(双方の経歴を見比べてみると面白いですが)。

冒頭に紹介したようにホメオパシー医学協会の中枢にも弁護士が入っているし、市井の弁護士の中にも(表向きはそうであることを隠しながら)ホメオパシーと密接なつながりを持っている人々がいて、つまりはそうした人々がホメオパシーの被害者サイドに対する同協会の防波堤として機能しているということなのでしょう。
実際にホメオパシー医学協会に限らず、同協会の商売敵とも言うべき他のホメオパシー推進団体においても、薬剤師出身の弁護士を講師に招いて「どうすれば法の網をかいくぐって商売をやれるか」なんてセミナーまで開いているというくらいですから、そこらの安っぽい詐欺師集団など及びもつかないほどに本格的にやっているということはおわかりいただけるかと思います。
医師免許を持っている人間の中にもホメオパシーを堂々と推進している人間がいるくらいですから、弁護士の中にも同じような人間がいてもおかしくはない理屈ですが、医者や助産師と比べて弁護士稼業というものはホメオパシーと縁遠いようには思えるのに、どこからこんな世界にはまったものなのかという素朴な疑問は出てくるところですね。

そうした疑問はさておき、医者や助産師の世界でも業界団体が公式にホメオパシーを否定し、所属する会員がホメオパシーを用いるなんてとんでもないと公式見解を出している時代にあって、ここまでホメオパシーと深く関わっている弁護士の世界では何かしらの動きはないのかと気になってきます。
今のところ弁護士会などから特にコメントなりは出ていないようなのですし、一般的に考えれば詐欺師だろうが人殺しだろうが顧客としては平等に扱うべきなのが弁護士という仕事ですから個別に言及すべき筋でもないのでしょうが、極めて蛇足ながらこの件を調べていて面白いなと思ったのが、日弁連が電磁波被害のシンポジウムなんてものも開いているということなんですね。
ま、これ自体は今の時代ですから広く考えていかないといけない問題なのかも知れませんが、見ていてちょっと大丈夫なのか?と思ったのがその告知のページにあった記述です。

シンポジウム「身の回りの電磁波とその問題」(日本弁護士連合会ホームページ)より抜粋

私たちは、送電線や携帯電話・家電・パソコンなどの電気機器により便利な生活をしています。

しかし、これらから発せられる電磁波に囲まれてもいます。欧米では電磁波過敏症や子どもなどへの影響を考えた規制や対策がとられている国がありますが、わが国では電磁波に関する情報が少なく、まして対応策についての議論もされていないのが現状です。

本シンポジウムでは、被害実態や国際的動向、国・自治体の取り組みなどをふまえて、将来取り返しのつかない被害が発生しないよう、今後わが国で電磁波の問題にどのように取り組むべきか、また、電磁波に関する情報公開やリスクコミュニケーションはいかにあるべきかについて考えます。
(略)
電磁波に過敏な方の来場が予想されますので、フロアでの電波を発する機器の使用はご遠慮ください。携帯電話等の電磁波で動悸・頭痛・吐き気等の症状が現れ、体調を崩される場合があります。
香料(香水、整髪料等)の使用、ドライクリーニング直後の衣類等の着用はお控えください
(略)

電磁波の問題点についてシンポを開くことの主体として弁護士団体である日弁連が関わることの是非はさておくとしても、何やらこうして見ていますとどこぞの団体と似たような方向性を感じると言いますか、微妙に怪しげな空気が漂っているように思われるのは自分だけでしょうか?
ま、日弁連あたりの内情がどういう方向に向いているのかはこれだけでは外野からは何とも言えませんけれども、少なくとも末端の弁護士レベルで見ればホメオパシーの蔓延に危機感を感じている人もいるし、社会的に警鐘を鳴らし続けている人もいるというのは幸いなことなのでしょうね。

薬九層倍どころではない、ホメオパシーの「レメディ」(2010年9月1日弁護士山口貴士大いに語る)
より抜粋

癒しフェア2010 in 東京に行ってきました。

ホメオパシージャパンのブースが出ており、レメディーを販売していました。早速、36バイタルエレメントキットを買ってみました。
定価1万4700円の2割引き(癒しフェア価格)ということで、1万1760円でした。高い!
ちなみに、領収書は手書きでした。手書きの社名部分は最初空白で、そのまま渡されたのですが、作成者不明の領収書では困るので、その旨を伝えたところ、スタッフの人が手書きをしてくれたものです。

領収書が手書きなのはいいのですが、先ほど紹介した36バイタルエレメントキットの写真には写っていない成分表示のところを見てましょう。
ちょっと見難いのですが、

●名称:砂糖  ●原材料名:テンサイ糖  ●内容量:54.0g(1.5g×36本) ●原産国:フランス
●輸入者:ホメオパシー研究所株式会社 静岡県熱海市伊豆山1170-17

と書いてあります。

輸入費、包装料等がかかるとしても、ただの砂糖「54.0g」を1万4700円で売っています
1gあたり、約272.2円として、キロあたり、27万2000円!

原価は幾らでしょうか?
ちなみに、楽天市場で検索して見ると、日新製糖 白砂糖 1kg がキロ当たり206円でした。しかも、これは小売ですから、仕入れで買う場合にはもっと安いでしょう。
薬九層倍どころではありませんね。

健康問題で悩む人に対し、高額で砂糖玉を売りつける商売
この事実をホメオパシー問題を考えるに際して見過ごしてはならないと思います。
(略)

ホメオパシーに限らない話ですけれども、あの種の商売をしている人達はまず真っ先に「医学博士○○氏も推奨!」なんて権威付けをしたがりますが、多くの場合医者でもなければろくに業績もない博士先生が何を言おうがそれがどうした?と感じるのは「博士号なんて足の裏についた飯粒だ」なんて思っている業界人だからであって、素人さん達は何やらそうしたものに有り難みがあると思ってしまうのも現実ですよね。
特に今回問題となっているホメオパシーのように、二百年にもわたる歴史と伝統を持った世界的広がりを持つ団体であれば、当然ながらその内部に各方面の自称、他称専門家を大勢抱え込んでいるわけですから、同業の専門家集団としてはそれなりの対応を示すことが社会的責任ということになってくるのでしょう。
学術会議のコメントを受けて医療業界の各団体は軒並みホメオパシーに反対するとの見解を公にしていますけれども、今後は各方面の被害者から民事訴訟などにもなってきそうな気配があるだけに、早晩一方の専門家たる弁護士業界としても直接的にホメオパシーと向き合うことが求められるようになりそうですね。

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2010年9月13日 (月)

村上先生、またしても北海道新聞に吠える

以前に心肺停止状態の救急患者の受け入れ問題に関して、北海道新聞を始めとする一部マスコミと「夕張希望の杜」の村上先生との間で激烈なバトルがあったらしいということはお伝えしました通りです。
もっとも怒り心頭に発しているのはもっぱら村上先生の側で、北海道新聞の方ではまるで気にした様子もないということなのでしょうか、先日には再びこんな記事が掲載されていたようですね。

心肺停止患者を診療所受け入れ 夕張市が確認(2010年9月9日北海道新聞)

 【夕張】夕張市立診療所が今年5月に心肺停止患者の搬送を受け入れなかった問題について、夕張市は8日の市議会行政常任委員会で、診療所を管理する医療法人財団「夕張希望の杜(もり)」との間で、心肺停止患者を「出来る範囲で受け入れる」という方針を確認したことを報告した。

 両者の確認事項では、患者を受け入れられるかどうかについては「医師の責任ある判断」によるとしている。同市は「いろいろなケースがあり、今後も協議は継続していく」と話している。

 同市は昨年10月に、希望の杜側と心肺停止患者を直近の医療機関が原則受け入れるという方針で合意していたが、今年5月の事例を契機に、あらためて受け入れ要請を行っていた

村上先生も「救急医療はセンター本来の仕事に入っていない」と言い切ったというのに、結局以前と同じことになったのかと疑問に感じるような内容で、記事を見るだけでも「出来る範囲で」なんて曖昧な文言ではまた同様なトラブルがあるだろうことは誰にでも予想される話ですよね。
ところでよくよく見ますとこの記事、あくまで夕張市側がそう報告したというだけの話であって、肝腎の当事者である夕張希望の杜側の話が全く出ていないことに気がつくと思いますが、どうやら予想通りと言いますか、今回もまた大いなる火種を抱え込みかねない話ではあるようです。
当の夕張希望の杜の公式ブログでこの記事に関してまさに言及されていますので、これを引用させていただきますが、しかし素朴な突っ込みとして報道は一方の視点からだけの一方的内容であると批判するのであれば、他方の主張がどうなのかということは「別として」はならないのではないでしょうか?

北海道新聞(2010年9月9日夕張希望の杜医師ブログ)

北海道新聞の今日の紙面で以下の記事が掲載されています。

おそらく市役所からの情報提供によるものだと思いますが、
明らかに市役所サイドから見た一方的な内容です。

診療所サイドの主張がどうかということは別として
もし、両者が相反する主張をしているのであれば、
双方の主張を聞いてから記事にするのがメディアとしての良心ではないでしょうか。

親や学校の先生でも同じこと。

この件に関し、北海道新聞は希望の杜に一切取材に来ていません

民主党代表選の報道にしても、
既存のマスコミの情報はまったく信用出来ないということが白日のもとに晒されつつあります。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/250200.html
心肺停止患者を診療所受け入れ 夕張市が確認(09/09 08:58)
(記事略)

北海道新聞続編(2010年9月10日夕張希望の杜医師ブログ)

記事を書いた北海道新聞ですが、
事務に電話はしてきたようです。

その時に

「そもそも救急指定を取り下げたのは夕張市で、
医療センターとの契約に救急医療を入れていないのは夕張市自身なので、
その事を市民にきちんと伝えてえほしい。
自分達の決断を人のせいにしないで欲しい」
と市長にお願いし、市長が責任を認めたことを
北海道新聞の記者さんに話しました

もちろん、そのことはまったく書かれていません

このマスコミの誤った情報により、
救急をしない夕張希望の杜がいけないという
一部市民の声になっています。

マスコミが普通に正確な情報を出せば、
夕張市から救急指定をなくした市が問題であることが
夕張市周辺の人々にも分かってもらえるのですが、
残念ながら無理なのかもしれません。

みなさんの声が便りです。

僕らが事実を語るマスコミになるしかないかなと思っています。

北海道新聞あたりは最初からシナリオ通りに記事にしているのでしょうから、村上先生が何をどう言おうとシナリオ上使えないネタを掲載することもないでしょうが、ブログで見る限り事務に電話をしてきたという北海道新聞に対し、長々と事情説明をした主体が誰であるのかがはっきりしませんよね。
「話しました」というくらいですから村上先生自身が語られたのだとすれば、いくら直接には事務に電話をしてきたにしても相手が誰であるかも知らずに長々と喋るというのもおかしな話ですから、「事務に電話はしてきたようです」なんてまるで自分の知らない世界での出来事のように語るというのも奇妙な話で、あるいは取材に対し事務レベルで勝手にこういうことを答えましたと事後報告してきたのでしょうか(そうであれば社会常識的にも、平素から「取材もしないで!」と言っている村上先生的にもおかしな話ですが)。
そもそも当該記事に対する反論的内容なのかと思いきや、内容を見てみると記事の記述が正しいのか、正しくないのかということは何ら言及されているわけでもなく(嘘だとも言及されていないということは、文字通りの意味においては正しいということなんでしょうか?)、ただ取材方法、報道のやり方が間違っていると主張するだけなのですから、外野からは何が「誤った情報」なのかということが見えてきません。

一体に村上先生のコメントはいつも言葉足らずな印象があって、各方面向けに発信される断片的な言葉を拾い上げつなぎ合わせていかないと話が見えてこない傾向があるのですが、今回の記事の内容にある「診療所を管理する医療法人財団「夕張希望の杜(もり)」との間で、心肺停止患者を「出来る範囲で受け入れる」という方針を確認した」ということに関しては結局どうなのかですよね。
以前から救急は希望の杜の義務ではなく努力目標である的な言い方をされていた村上先生ですから、これからも全く受け入れないということではなく可能であれば受け入れる場合もあるという、以前と変わらぬ見解を表明されただけなのかも知れませんが、すでに二度にわたって同じような事例を繰り返しているだけに、ご本人の信念には何ら揺るぎないとしても社会的に見て立場上この対応でよいのかと言う疑問はあるでしょう。
こころみに村上先生のtwitter上での発言を追ってみましたが、これはこれで夕張市の内情というものがなかなか興味深いところではあるのですが、今回の報道に関連しそうな話を見ますと前述の取材に対するコメントというのは、村上先生の不在時に事務が受け答えした内容であると受け取れ、これ以外はコンタクトがないというのであれば、どうも北海道新聞としても(子供の使いではないのなら)まともに取材をする気がないのか?とも感じられる話ではありますよね。

今日夕方に市長との定期的な話し合いがありました。理事の皆さんもも同席して「そもそも救急指定を取り下げたのは夕張市で、医療センターとの契約に救急医療を入れていないのは夕張市自身なので、その事を市民にきちんと伝えてえほしい。自分達の決断を人のせいにしないで欲しい」とお願いしました。     12:20 AM Sep 7th  webから 

以前に比べたら、余計なマスコミの干渉も無く、定期的に市長や担当者と直接話し合う時間が出来たので進歩したと思います。険悪というよりざっくばらんに話が出来て、ストレスは減りました。(あちらは相当のストレスかも知れませんが・・・)     1:16 AM Sep 7th  webから 

@224hiro ここのマスコミは、何故か市役所の都合の悪い事は報道しないですから仕方ないです。この町に報道関係の方が常駐する意味など無いと思います。     8:41 AM Sep 7th  webから  224hiro宛

厚生労働省へ行って、担当者と話をしていて一番感じたのは、マスコミの伝え方が一番問題だと思いました。夕張でもそうですが、売るため平気で嘘を書き、イメージを作っていると思います。     10:58 PM Sep 9th  webから 

今日は中野先生と話をしていてやはりマスコミの話になりました。あまりにも嘘ばかり報道しすぎです。ネットの情報がその事を明らかにするようになりました。北海道新聞は相変わらず私に一切取材は無く、私が居ない時に事務に言い訳の様に電話して「取材の努力をはした」と言い張ります。     1:16 AM Sep 11th  webから 

そう言えば夕張の朝日新聞の記者の方は他の地域に御栄転になるという噂を聞きました。何処へ行っても同じ気もしますが、本当なら夕張市にとっては喜ばしい事です。私は二度と取材は受けたくないです。     9:21 AM Sep 10th  webから 

見るからにしかし、北海道新聞と朝日新聞に対しては相当にたまっているものがあるのでしょうねえ…(苦笑)
つぶやきというのはその瞬間に言いたいことをつぶやくのが本筋であって、その意味では正しくこれは村上先生のつぶやきだなとは思うのですが、こと今回の記事の主題であるところの救急受け入れ合意の事実関係に関してはあまり具体的な話が出てこないというのは、何やら物足りない感じではありますよね。
その点では夕張希望の杜のメールマガジンが次回9月13日発行の予定だと言うことなのですが、あるいはこちらに何かしらの「真相」の言及があるのかどうかが注目されるわけですが、いずれにしても村上先生側では以前と大きく対応を変えたというわけでもなさそうですから、果たして今後二度あることは三度あるということになるのでしょうか?

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2010年9月12日 (日)

今日のぐり:「蒜山山菜茶屋」

少し前の話なんですが、見て妙にツボだったというのがこちらのニュースです。

家に帰ると妻が死んだふりするんです! 軍服を着て戦死したり口から血を流した演出(2010年7月22日ガジェット通信)

『Yahoo!知恵袋』に面白い投稿があったので紹介。その投稿は「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています」というもので、家に帰るなり妻が死んだふりをするという。更に日に日にエスカレートし口から血を流したり白いシャツが血まみれになったりとやりたい放題。更には頭に弓矢が刺さって突き抜けていたり、軍服を着て銃を抱えたまま戦死したりと演出がエスカレート。

どうやって小道具をそろえるのかも気になるが、何のためにこんな演出をするのだろうか。更には「この間など頭に弓矢が貫通したまま夕飯を作っていました」とある。ただ構って欲しいだけなのだろうか。

この書き込みに対する意見の多くは「構って欲しいんでしょうね」というものだ。400件以上もの回答数が寄せられて投稿者も驚いており、追記で「軍服はアーミーショップで揃えたようです。無駄遣いしないようにと注意しましたら今日はお手製のワニと思われる生き物に食べられていました」と書いている。

ちょっとお茶目な奥さんだが、家庭を明るくするために頑張ってくれているのではないだろうか? こういう人が家庭に居ると明るくて良いと思うけどなあ。個人的にはアリだ。中には家庭でコスプレする家だってあるというのに!

元々の知恵袋の投稿は反応がすごいことになっていますけれども、何一つ状況が改善してもおらずむしろエスカレートしていく一方であるのに、すでに解決済みになっているというのがいいのかどうかですよね。
今日は世界からちょっとそれはどうなのよという話題を紹介しましたけれども、確かにある種の行為に仕込みは重要であるということは判りますが、失敗するとこうまで悲惨なことになる場合もあるかというニュースがこちらです。

独女性、「牛のふん入り爆弾」作成中タンクに落下し裸で逃走(2008年6月30日ロイター)

 [ベルリン 27日 ロイター] ドイツ北部の村でストッキングに肥料を詰めた「肥料爆弾」を作っていた女性が、牛のふんの入った肥料タンクに落ち、裸で逃げ出すという出来事があった。警察が27日発表した。

 地元警察のスポークスマンによると、女性2人は25日に農場に侵入し爆弾作りを開始。うち1人がタンクに落ち、もう1人が落ちた女性を引き上げた。現場に衣類が残されていたことから、「1人は全裸で、もう1人も下着姿で現場から逃げたとみられる」と述べた。

 警察によると、女性らがなぜ肥料を盗み「爆弾」を作っていたかは不明。しかし、サッカーの欧州選手権で25日、ドイツがトルコを破ったことから、勝利を祝うために用意された可能性を示した。

いや、勝利を祝うために何を作っていたと…まあ、こういうことに関して理解しようとするのも無意味であるということなんでしょうかね?
お次は話のネタとしては非常にありそうなんですが、実際にいるところにはいるのだなというニュースです。

空港に出現した変なおじさん「なぜこの男の搭乗を認めたのか? まるで変態じゃないか」(2010年8月27日ロケットニュース24)

アメリカのダラス・フォートワース空港に変なおじさんが出現し、話題を呼んでいる。このおじさんはとても奇抜な格好をしており、ホットパンツにストッキングを履いていたうえに、お尻が半分見えていたそうだ。

おじさんは飛行機のファーストクラスに乗り込み空港を後にしたのが、インターネットユーザーの間では「航空会社はなぜ彼を飛行機に乗せたのか?」と疑問の声があがっているという。

おじさんはダラス・フォートワース空港で飛行機の搭乗待ちをしていたところを目撃された。50~60歳代の男性なのだが、おなかを出してホットパンツをはいていた。さらに黒いストッキングを着用しており、お尻も「プリンプリンッ!」と半分見えていたそうだ。当然ながら、人目につかないわけがない。おじさんを目撃したある男性がうしろ姿を撮影し、アメリカのニュースチャンネル『CNN』のユーザー参加ページに映像を投稿。またたく間に話題となったのだ。

アメリカの航空乗客ガイドラインには他の客を不快にさせる格好をしていた場合、搭乗を断わることがあるという。それにも関わらず、この男性はファーストクラスに乗り込み空港を飛び立った。「なぜ、この男性の搭乗を認めたのか? まるで変態じゃないか」と、インターネットユーザーの間で航空会社の対応に疑問の声があがっている。空港関係者だけでなく、警察に注意を受けてもおかしくない格好だ。

変態のニュースといえば、『気合で出す男の母乳』や『日本の携帯ストラップが韓国で話題に! 男性用? それとも変態用?』、『フランス人は亀仙人を変質者だと思っている』などが過去に注目を集めていた。

タイトルだけで十分ネタバレと言いますか、元記事の写真を見るだけでももうお腹いっぱいという感じなんですが、どこからどう見ても変態です本当に(略
こうした今を生きる変態さんには変態さんなりの生き方というものがあるのでしょうが、何かしら後代まで伝えられるほどの逝き方というのもあるのだなというのがこちらのニュースです。

全裸のアイルランド人男性、ひき逃げされ死亡(2010年8月22日読売新聞)

 22日午前3時20分頃、群馬県富岡市一ノ宮の国道254号で人が倒れているのを、通りがかった男性トラック運転手(35)が気付き、110番した。

 富岡署の発表によると、倒れていたのは同市神農原、アイルランド国籍で小中学校の英語指導助手バックレイ・アラン・ジェイムスさん(32)で、約1時間後に死亡した。

 同署幹部によると、バックレイさんは全裸で、背中にタイヤの跡があった。近くの歩道には衣類や缶ビールが散乱していた。同署は酒に酔ったバックレイさんが車にはねられたとみて捜査している。

 市教委によると、バックレイさんは昨年7月に英語指導助手として採用され、市内の中学校1校と小学校2校を受け持っていた。

一応これは日本国内の話題ということになってはいるのですが、遠い東の果ての島国までやってきて何をやっていたのかと、一体どこをどう突っ込んで良いものやら判らないような話ではありますよね…
変態と言えば変態ならざるものは紳士に非ずとまで言ったか言わないかというのがブリですが、こういう性的倒錯など変態と呼ぶにも足らないというレベルなんでしょうかね?

英外相に同性愛不倫疑惑 25歳の特別顧問が辞職 同宿認めるも…(2010年9月7日産経新聞)

 英国のヘイグ外相(49)に、自身が任命した特別顧問の男性(25)との同性愛不倫疑惑が持ち上がり、英メディアを騒がせている。外相は「全くのうそ」と否定、男性が「家族の精神的負担」を理由に辞職するなど、外相側は疑惑打ち消しに必死。キャメロン首相は外相更迭はないとしているが、与党保守党から進退の判断を求める声も出ている。

 英メディアによると、男性は今年1月、野党議員だったヘイグ氏のアフガニスタン訪問に公費で同行。今春の総選挙中にはホテルのツインルームを2人で利用した。政権発足後、外相は特別顧問に男性を任命。外相には13年連れ添った妻がいる。

 うわさは8月20日ごろからネット上で広がり、外相は9月1日、同じ部屋に泊まったことを認めた上で「不適切な関係」はなかったとの声明を出した。(共同)

お二人のツーショットまで記事には掲載されているのですが、さすが議会政治発祥の国と言うだけに日本などとはスキャンダルのレベルが違うと見るべきなのか、そもそも日本人感覚で言えば存在自体が不適切とも言えるブリ的紳士の世界において、不適切な関係とはどのような行為をさすのかも気になるところです。
ただヘイグ外相にとっても言いたいことが多々あろうと考えるのは、別にブリにおいてこうした話は稀少でもなんでもないらしいという現実があるということなんですね。

英サッカー、4人にひとりが「同性愛者の選手を知っている」と回答(2010年9月9日スカパーサッカー)

現地時間8日、選手や監督、審判を含むイギリスサッカー界の関係者のうちの4人にひとり以上が、個人的に同性愛者の選手と知り合いだと答えたことが分かった。ロイター通信が報じている。

今回この調査を行なったのは、スタッフォードシャー大学のエリス・キャッシュモア教授ら2名。FA(イングランドサッカー協会)やPFA(イングランド・プロサッカー選手協会)、そしてファン3000人を対象に調査を行なったところ、対象となった選手、監督、審判のうちの「4人にひとり以上(27%)」が個人的に同性愛者の選手と知り合いだと答えたという。

そんななか、自らが同性愛者であることをカミングアウトしている選手はひとりも存在せず、キャッシュモア教授はそのような閉鎖的な状況を問題視している。

キャッシュモア教授は「世界には約50万人のプロサッカー選手がいる。しかしゲイであることをオープンにしている選手はひとりもいない」とコメント。なお、調査対象者の多くは、同性愛者の選手が差別的な扱いを受けることを避けるために、代理人やクラブが事実を公表しないよう口止めしていると考えているという。

「サッカー界の閉鎖性の陰には商業的なプレッシャーが存在する」と語ったキャッシュモア教授。「しかし、ゲイであることは俳優やミュージシャン、そして政治家のキャリアを損なうことはない」と指摘し、サッカー選手も積極的に事実を公表するべきであるとした。

なお、イギリスのプロサッカー界で唯一現役中に同性愛者であると告白したジャスティン・ファシャヌ氏は、観客席から差別的な野次を受けており、1998年に37歳の若さで自殺している。

四人に一人が同性愛の選手と知り合いでありながら、誰も自分がと言わないのが興味深いですけれども、前述の記事を見れば「キャリアを損なうことはない」というのが本当なのか嘘なのか微妙なところだと思う一方、プレミアリーグが非常に厳しい外国人への受け入れ制限をしているという理由の一端が見えてくるような気がします。
ブリとはこういうお国柄ですから、少々のことでは今さら驚くようなこともないということなのでしょうが、最後にこちらの記録的なニュースを紹介してみましょう。

英国の遊園地、全裸100人がジェットコースターに(2010年8月9日ロイター)

 [サウスエンドオンシー(英国) 8日 ロイター] 英エセックス州南部の都市サウスエンドオンシーの遊園地で8日、裸でジェットコースターに乗る人数の世界記録挑戦が行われた。

 このイベントは、当地にある病院の乳がん病棟への寄付金を募るためのもの。裸でジェットコースターに乗り込んだ参加者は合計102人となり、それまでの世界記録を更新した。

この無駄に良い笑顔でジェットコースターに乗っている人々がまた素晴らしいんですが、しかし世界記録挑戦というくらいですから、こういうことでも記録に挑戦している人々が他にもいるということなんでしょうかね?
仮に日本などでこういう寄付金集めにイベントを企画するとしても、間違ってもこういうアイデアは出てこないんでしょうから、このあたりがさすがに世界に冠たる大英帝国と呼ばれた所以なのでしょうが、同性愛に意味不明の記録挑戦と、ブリが今や没落しつつある大国などと噂される理由もわかる気がするのは自分だけでしょうか。

今日のぐり:「蒜山山菜茶屋」

蒜山の道の駅はホテルと併設になっていて、食事をする人はそちらのレストランに入ることも出来るし、同じ敷地内にあるこちらのお店に入ることも出来るようですね。
ホテルの方も少し見てみたのですが、どうもメニュー的にいささかありきたりな感じでもあったのと、少し軽めにという気持ちもあってこちらにお邪魔することにしました。
茶屋などと言う名前からも判る通りメニューも非常にシンプルで、基本的にうどん、そば中心の軽食メニューという感じのようですね。

季節的にちょっとそばもどうなのよと言う気もしましたので、こちらの定食なるものを頼んで見たのですが、おかずに天ぷら盛り合わせとマスの甘露煮がつくという、これはこれで手軽に田舎っぽいかなと思われる組み立てです。
甘露煮の方はまあこういった土地のお土産ものによくありそうな味と言いますか、特別にどうこうと印象に残るようなものでもなく普通にいただきましたが、揚げたての天ぷらの方はそれなりにボリュームもあり、土地の野菜や山菜も使われておりで意外に(失礼)悪くない感じでしたね。
量的にはさほど多くはないもので他のそばやうどんとバランスを取っているのかとも思うのですが、こういう観光地でこの値段で出す料理としては手軽でもありいいんじゃないでしょうか。

山菜蕎麦というものも少しばかりつまんでみたのですが、この時期でしようがないにしてもしなびたトッピングの山菜にしろ、どう見てもお土産にも売っているそばを湯がいただけと思われるそばにしろ、見た目通りの出来と言うところでしょうかね?
全般にこういうところで食べるにしてはもう少し飛び道具と言いますか、いかにも土地のものを食べているというメッセージ性も欲しかった気がしますが、道の駅に併設の食べ物屋として考えた場合にはコストパフォーマンスはそう悪いというほどでもなく、立ち食い蕎麦的に考えて細かいことを言わなければ特別大きな不満もなくほどほどにお腹はふくれそうです。
唯一こちらで出しているお茶はお土産でも扱っているものらしいんですが、ちょっと独特の風味があってお代わりしてしまいましたけれども、あまり噂にも聞かないくらいですからはたして販売の方ではどうなのかと気になったところでした。

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2010年9月11日 (土)

かの業界の最近の話題 捏造は国の行く末も左右する?!

最近ではテレビ業界も大変な苦境にあるということですが、単にネットの発達がどうとか言うだけではなく、同じテレビというメディア内部でも厳しい競争があるようですね。
今まで業界を牽引してきた地上波各局も苦労しているようですが、果たして今の時代少々の番組改編程度で劇的な業績回復に至るものかどうか、以前から言われているCM出稿の激減などとも併せて考えると疑問無しとしません。
厳しい競争で勝ち組、負け組の差がつくどころか、下手すると業界全部共倒れで負け組なんてこともあるのかも知れませんね。

秋の番組改編で民放テレビ 地上波ならではのカラー模索(2010年9月10日東京新聞)

 秋の番組改編で民放テレビ二局がドラマ枠を新設する。テレビ東京は視聴率を左右する五十代以上、フジテレビは元来テレビが存在感を発揮してきた日曜日のお茶の間がターゲットという。完全デジタル化を来夏に控え、BSなどが視聴率をじりじり伸ばす中、「地上波ならでは」の魅力を打ち出すことが各局の大きなテーマとなりつつある。 (早川由紀美)

 月曜午後十時に、十年ぶりの連続ドラマ枠を新設するテレビ東京。福田一平編成部長は「M3、F3(視聴率区分でそれぞれ男性、女性の50歳以上)をいま一度、この手に取り戻したい」と、狙いを切実に語る。

 八月一日、地上波のNHKと民放キー局五局を除いた、BSやCSなどの「その他の局」の視聴率の合計が、関東地区で過去最高の10%を突破。デジタルテレビの普及が進み、「民放各局は“その他視聴”に痛い目にあっている」と、背中から忍び寄る足音に危機感を募らす。

 「流出しているのは主に五十代以上。その年代層に、視聴率至上主義のガチャガチャしたものが飽きられ始めているのではないか」。その反省のもと、「目の肥えた大人」をターゲットに据えた改編の目玉が社会派ドラマという。

 時代劇に挑戦して撤退、昼帯に挑戦して撤退…と、同局のドラマ史は苦渋に満ちているが「今回は粘ります」と意気込む

 六年連続で年間視聴率三冠王のフジテレビも、日曜午後九時の「エチカの鏡」を終了してドラマ枠を新設。同時間帯のTBSの老舗ドラマ枠「日曜劇場」とガチンコ対決となる。

 「日曜九時という、家族がリビングルームに集まる最高の環境で、ドラマを楽しんでもらおうと考えた」(現王園佳正編成部長)。ドラマは近年、大ヒット作が少なくなっているが「タイムテーブルを強化しないと、お客さんがついてきてくれない。勝算があるわけではないが、新しいものを見せたい」(小川晋一編成担当局長)という。

 一方、「四月改編では残念ながら結果が出ていない」とするTBSは、これまで「ROOKIES」などのドラマを放映してきた土曜午後八時を十一月からバラエティー枠に。「かつての土曜八時はドリフ(TBS)、ひょうきん族(フジ)のバラエティー戦争だった。原点に戻ってやっていきたい」とする。

 日本テレビは「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中」などを終了して、金曜午後七~九時に「金曜スーパープライム」と題した二時間枠を新設。バラエティーや情報、ドラマ、報道、スポーツなど、ジャンルにかかわらず「新しいものづくりのチャンスのある枠としたい」という。

 テレビ朝日は四月改編で、プライムタイム(午後7~11時)の視聴率が上昇。好調を維持しており、今回の改編は小幅となっている。

まあしかし、何事も手早くなっている今の時代に、テレビの前にぼんやり何時間も座って時間を潰すというスタイルが果たして今後も続くのかどうか、これは考え時ではあるのでしょうけれどもね。
地上はならではの魅力とは何かと言うことを各社とも模索しているということですが、何しろネタソースとしては非常に魅力的な放送が多いですから、いきなり地上波が消えてなくなってもらっても楽しみが減るというものですよね。
サンゴと言えばその昔に朝日新聞が「KY」で大騒ぎになった事件がありましたけれども、どうやらこうした環境破壊行動は朝日新聞のみならずテレビ局にも広がっているようです。

フジテレビ謝罪…契約スタッフがサンゴ無断採取(2010年9月8日読売新聞)

 フジテレビは8日、契約スタッフが三宅島(東京都三宅村)でサンゴを無断で採取していたことを公表、謝罪した。

 同局によると、三宅島の噴火と島に暮らす家族をテーマにしたオリジナル映画の撮影準備のため、先月24日から31日にかけて三宅島に滞在した美術スタッフの男性(43)ら3人が、海底からサンゴ片19個を採取した。現地で借りていた倉庫内にサンゴ片があるのを島民が見つけ、都三宅支庁に連絡したことで発覚した。3人は「死んだサンゴだと思って拾った。撮影の資料に使うつもりだった。反省している」と話しているという。

 三宅島周辺の海域は、今年4月施行の改正自然公園法で、環境大臣が指定する生物の採取が禁止されている区域だが、指定生物はまだ公示されていない。環境省関東地方環境事務所では「たとえ指定外でも生き物を採るのは慎んでほしい」としている。

しかし島で暮らす家族をテーマにした映画でサンゴを拾ってどんな撮影の資料に使うつもりだったのか、何しろフジテレビだけにどうせよからぬでっち上げにでも活用するつもりだったのかと想像たくましくするところですけれども、反省はしても二度とはしないとは言わないあたりが実は根は正直な人たちなのでしょうかね?(苦笑)
このあたりですとマスコミにしてはまだしも社会的被害は軽い方だと言えてしまうのが残念なのですが、もう少しひどい話になってきますといつもの調子の報道がとんでもない二次被害を呼んでいるという話なんですね。

テレビ朝日が被害者を実名で報道し、なぜかその後年齢だけ消して再掲載(2010年8月24日POP UP)

23日に札幌市で女性がワゴン車にはねられた後、そのまま連れ去られ、1時間後に意識不明の重体で見つかった事件で、テレビ朝日が被害者を実名で報道していたことが分かった。

この事件が起きたのは、23日の午前5時過ぎ。風俗店従業員の女性が自宅近くでワゴン車にはねられ、そのまま連れ去られるところを近くの住人が見ており通報。それから1時間後に約7キロ離れた郊外で、はねられたとみられる女性がほぼ全裸で意識不明の重体の状態で見つかったとされている。

テレビ朝日はこのニュースを被害者の実名を記載して報道したのだ。テレ朝がHPにこの記事を掲載したのは23日の14時52分。その時の記事がこれだ。⇒魚拓

画像では名前をあえて消しているが、フルネームで被害者を紹介している。

その後テレビ朝日は批判があったのか記事を変更するが、なんと名前はそのままで年齢だけ消して再掲載。これがその時の記事の状態だ。⇒魚拓

なぜ年齢だけ消したのか。プライバシーに配慮するのなら名前も消すのが当然で、この行動はまったく意味が分からない。現在は名前も消してはいるが、テレビ朝日はおよそ一日の間被害者を実名で晒し続けた

実はこの被害者の実名報道は現在禁止されてはいない。1980年頃から被害者を保護するために実名報道を避けようとする動きが市民から出たが、報道各社が反発し、規制されるまでには至っていないのだ。

しかし、これで本当にいいのだろうか。報道各社は被害者を実名で報道することは報道の自由だと思っているのかもしれないが、被害にあったことをさらに実名で報道されるということは、ある意味日本中にこの人が被害にあったんだと晒されていることと同じである。ある意味これは報道による暴力ではないのだろうか。

この問題は今後も議論されるべきだろう。

朝日と言えば実名報道主義を標榜しているとも聞きますけれども、こんなところで実名報道主義というのもどうなのかと率直に感じてしまった人も少なくないでしょうし、そもそもその後訂正したというくらいですから問題意識はあるでしょうに、あまりに対応がいい加減過ぎるという印象を受けます。
この件では二次被害、三次被害も発生しているようですけれども、普段は市民の権利を盛んに云々しているマスコミ各社が、こういう件に限っては被害者の権利擁護に揃ってそっぽを向くというのもなかなか興味深い現象だとは思いますね。

経営厳しいテレビ業界の中でも、すでに昨年の段階で「もう何をやっても駄目なのか?」なんてひどいことを言われていた放送局と言えばTBSで、何しろ昨年の段階ですでに全ての番組が視聴率一桁、一番売れているのが水戸黄門の再放送というのですから、これは尋常なことではありませんよね。
その後も番組大改変を繰り返すも全く鳴かず飛ばずという末期的状況の同局ですが、またもや今回も恒例の大改変に踏み切るようで、もはやこうなれば運を天に任せるしかないという心境でしょうか?

またも大改編に踏み切るTBSには「頑張れ!!」というしか…(2010年9月6日日刊ゲンダイ)

 TBSが秋改編でまた大幅なテコ入れに乗り出す。改編率はゴールデン枠が40.6%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)、プライム枠が37.6%。すでに“大改編”を発表したテレビ東京がそれぞれ30.5%、33.2%だから、TBSの突出ぶりは一目瞭然(りょうぜん)。

 TBSといえば09年春に「総力報道!THE NEWS」をスタートさせ、G枠の改編率が71.4%を記録。「総力報道――」がコケて再びバラエティーにシフトした今年春も60.3%となった。もはや2、3年前と比べたら原形をとどめていないかもしれない。

 主な新番組としては、「ザ・ミュージックアワー」の後枠で「解禁!(秘)ストーリー~知られざる真実~」がスタート。80~90年代に活躍した注目人物をドキュメンタリータッチで描く情報バラエティーだ。

 水曜は19~21時台をすべて入れ替え、さまぁ~ず司会の「激変!ミラクルチェンジ」、爆笑問題の「爆問パニックフェイス!」、志村けんの「くらべるくらべらー」がスタート。また、土曜20時のドラマ枠が終了し、新企画が始まる。

「今回のTBSの改編で特徴的なのは制作、企画ともに“実績”にこだわった点です。火曜の『解禁――』は数々のドキュメンタリーをヒットさせたCPが担当し、土曜の新企画も『学校へ行こう!』『がっちりマンデー!!』のCPが担当します。さまぁ~ずと爆笑問題の新番組は過去の特番で高視聴率を記録した人気企画。これまでみたいな“出たとこ勝負”ではなく手堅い編成の印象です」(関係者)

 ここまで来たら、頑張れTBS!!

ここまで来たら頑張れもないものだと思いますけれども、確かに「またTBSか!」なんて言葉がすっかり定着しているくらいですから、失われた社会的信用とはいかほどかと想像もつかないレベルでしょう。
そんなTBSですが、さすがに「またTBS!」と呼ばれるだけはあるということについては日々証明を怠っていないようで、今回は近頃の代表選とも絡んで渦中の人であるあのお方に関してお得意の捏造報道をしてしまったそうです。

TBSまたやっちゃった!「なりすまし」小沢氏ツイッターを「本物」と紹介(2010年9月7日スポーツ報知)

 民主党代表選(14日投開票)で、小沢一郎前幹事長(68)と、菅直人首相(63)がガチンコバトルを繰り広げる中、TBSの情報番組「ひるおび!」が6日、「小沢氏がツイッターを始めた」と報じた。ところが、紹介したツイートは小沢氏によるものではなく「なりすまし」だったことが発覚。番組内でおわびをする事態となった。小沢氏はこの日、高知県で街頭演説。自らをご当地の英雄・坂本龍馬に例え「自らの命を懸ける」と意気込んだ。

 報道も過熱する民主党代表選で“やっちゃった”のはTBS系「ひるおび!」だった。「安東弘樹のひるトク!」コーナーで、安東アナが「小沢氏がツイッターを始めた」と紹介。示されたのは小沢氏の写真と「ozawaichiroh」の名前で「今日からツイッターを始めました」とつぶやく画面だった。フォローされている数は約9000、フォローしているのは鳩山由紀夫前首相(63)だけ。

 「一兵卒として半年間、微力ながら民主党を支えて参りましたが」。小沢氏が話したことがあるようなフレーズとともに、「代表戦への立候補をさせていただきました」と出馬表明もしている。

 ただし、つぶやいた日時は実際の出馬表明より5日前の8月26日。代表選を「代表戦」と書き間違いもあった。これには安東氏が「選が戦になっているのは意図的でしょうか」という旨のコメントをし「戦う剛腕」の解釈につなげてみせた。

 ところが小沢氏の事務所によると「ツイッターはやってません」。コーナーの放送後、TBSから「小沢さんご本人のものですか」と確認する電話があり「違います」と返答したという。

 番組終盤、安東氏が「ご本人が書いたものではないということです。訂正しておわび申し上げます」と謝罪した。

小沢氏の「なりすまし」は先月末からツイッターで騒がれていた。小沢氏は4日、「ニコニコ動画」に生出演し、ツイッターについて「ボクわかんないの、そういう操作」と言いつつも「(小沢氏の)ニセがいるんですよ」と指摘され「あっそうなの。アッハハ」と苦笑していた。

 小沢氏は代表選に突入するや、露出作戦に出ている。報道各社の世論調査では苦戦中だが、インターネット上では菅首相を上回る人気。街頭演説には「ツイッター仲間で声を掛け合って集まった人もいるようだ」(小沢陣営)。そんな状況もあってか、TBSは本人のツイッターと信じてしまったようだ。

 140文字でつぶやくツイッターは、オバマ米大統領(49)が行っていることでも有名で、日本の国会議員にも浸透。その半面「なりすまし」も頻繁。鳩山氏もツイッター開始前からニセ者が登場。菅首相は始めていないが、ニセ者は多数存在している。

 小沢氏は同日夜、TBS系「NEWS23クロス」に出演。代表選に負けた場合は「一兵卒でも全面協力する」と述べた。

 ◆最近のTBSの“失態”メモ
  ▼ゴルフ誤報(2010年5月)赤松農相が海外出張先でゴルフをしていたと報道。赤松農相が否定。報道番組で謝罪。報道に関与した4人を懲戒処分に。
  ▼急死誤報(10年4月)くも膜下出血で倒れ、救急搬送された巨人・木村拓也内野守備コーチを夕方のニュースの字幕スーパーで「急死」と表示。夜のニュース番組で訂正。
  ▼不適切取材(10年1月)「報道特集NEXT」内で制作会社の担当者が取材対象の男性の郵便物を無断開封していたことが発覚。車に発信機器を付けたことも分かり、謝罪。
  ▼突撃取材(09年11月)英女性死体遺棄事件で市橋達也容疑者が千葉県警行徳署から地検へ移送される際、同局社員が署員を振り払ったとして公務執行妨害で逮捕される。
  ▼カート暴走(09年11月)男子ゴルフ中継で機材を載せたカートが観客に突っ込む。30代女性が左眼窩(か)底骨折。
  ▼遼くん盗聴未遂(07年6月)情報番組「ピンポン!」で、プロゴルファー石川遼のラウンド中の声を拾おうと、同組の選手に、マイク装着の依頼をしたことが発覚。

しかしこのTBSという放送局、テレビで放送する前に裏取りをするなんて習慣は全くないんでしょう、放送が終わった後で「ところであのつぶやきの件なんですけど、本物なんですよね?」なんて問い合わせて見事に否定されるなんて、受けを狙っているとしか思えません。
いわば同業者である新聞からも「またやっちゃった!」なんていじられてしまうくらいですから、すでにマスコミ業界においてもTBSと言えば捏造と定評があるのだと言うことが判りますが、こういう小技も絡めての仕事ぶりにはまだまだ衰えを見せませんね。
ところでその代表選ですが、どうも大規模な捏造報道が行われているのではないかということが今あちこちで話題になっているようなのですが、まずはこちらの記事を紹介してみましょう。

新聞とネットであまりに異なる菅vs.小沢の支持率(2010年9月6日フリーマガジンR25)

14日に投開票が行われる民主党代表選。菅直人総理(63歳)と小沢一郎前幹事長(68歳)の一騎打ちとなったが、現在マスコミやネットの各サイトでは「管vs小沢、どちらを支持するか?」の世論調査が行われている。だが、その結果はメディア(サイト)によって大きな違いがあり、特に新聞・テレビなどの大手マスコミとネットメディアのかい離が大きい

通信社や新聞社、テレビ局の電話調査の調査によると、7割前後が菅直人派。たとえば、共同通信社(8月28日)は菅氏69.9%、小沢氏15.6%、読売新聞(8月29日)は菅氏67%、小沢氏14%、日テレNNN(9月3日)は菅氏72.0%、小沢氏16.1%だ。

一方、ツイッター、Yahoo! JAPAN、ニコニコ動画といったウェブサイトにおけるネット投票では、小沢氏への支持が多い。たとえば、infoseek楽天が行っているツイッター経由のアンケートでは、菅氏の5%に対し、小沢氏は95%。ニコニコ動画では4日に同サイトに小沢氏が登場した際には、78.5%の支持率を集めた。ツイッター経由の別の投票vriendでは、5日現在、1185票のうち、菅氏が20.9%なのに対し、小沢氏は73.4%だ。

大手マスコミと、ネットでの調査結果にここまで差がついたことについて、ネットニュース編集者で『ウェブはバカと暇人のもの』著者の中川淳一郎氏はこう見る。

「どちらが本音かということについては、よく分からないが、ネットユーザーの中には、テレビや新聞の大手マスコミが報じることを良しとしない人が少なからず存在する。そして、マスコミ報道を『マスゴミの捏造報道』と言いたいがために、新聞やテレビ各社の世論調査と反する投票をすることはよくある

小沢氏は5日に出演したテレビ番組で、フジテレビの調査における菅氏支持の高さについて聞かれた際、ネットでの支持率の高さをあげ、「それぞれ、結果は違う」と語った。だが、中川氏は「2009年の衆議院選挙の際、ニコニコ動画の投票でも自民党の方が優勢だったが、結局民主党の圧勝になったことに見られるように、ネット上の数字をあまり鵜呑みにしない方がいい。ふざけたい暇人も簡単に参加できるネット投票はあまり参考にならない。2009年の衆院選の時、ネットでの人気を間に受け、麻生総理(当時)はネットユーザーを重視すべく、秋葉原から街頭演説を始めたほどだったが、結果はご覧の通り」と語る。

そして、今回の件については、「民主党の代表選は基本的には民主党の国会議員と党員サポーターによるもの。国民全体の民意が反映されるわけではない以上、世論調査・ネット調査は『参考程度』の扱いでいいのでは。メディアもことさらに数字をあおらない方がいい」とも語る。

事実上の「首相選び」でもある今回の民主党代表選だが、国民は「世論」という形でしか意思表明できないのも事実。そうしたフラストレーションが「支持率」報道を加速させているのかもしれないが、いずれにせよ「マスコミによる世論調査」と「ネットによる世論調査」のかい離は興味深い。民主党員たちは、どちらの「世論」に近い結果を選ぶのだろうか。

昨年の衆院選においても各種世論調査がそれぞれ数字が違いすぎるなどと話題になりましたけれども、今回のそれはそれと比べてもはるかに極端なようで、一体何が真実なのかすっかり藪の中という状態のようですよね。
この不思議な現象に関しては様々な方面で注目され、独自の解釈が加えられているようですが、幾つか主だった記事を紹介してみましょう。

民主党議員よ、官報複合体に作られた「世論」に惑わされることなかれ【週刊 上杉隆】(2010年9月9日ダイヤモンドオンライン)

「独裁」の足音が聞こえてきた。「世論独裁」という新しい足音が…。

 霞ヶ関と記者クラブメディアで作られる「官報複合体」、そこに絡め取られた菅内閣のなりふり構わぬ戦いの様子が垣間見えてきた。

 彼らの振りかざす「世論」という怪物は、あらゆる声を掻き消し、もはや「独裁」の様相を呈している。それは「世論独裁」と呼ぶにふさわしい、半ば暴力的な政治状況を生み出している。

 民主党代表選の投票を、来週に控えて、永田町、とりわけ民主党議員の動きは激しい。

 新人議員は、日々の情報に右往左往しながら、相手陣営の様子を探ったり、あるいは後援会などの声を聞いて、支持を決めようと悩んでいる。

 仮に、民主党議員が、新聞やテレビに触れれば、「政治とカネ」という文言が目に付き、耳に飛び込み、連日のように行われる世論調査の圧倒的な数字を前に「菅支持」に傾くことになるだろう。

 一方で、立会演説会やネットのサイトを訪れた議員は、驚くべき「小沢コール」の前に圧倒され、記者クラブメディアとは全く逆の空気を知って、「小沢支持」に流れることになるかもしれない。

「国民は説明を求めているんですよ」

「世論を無視することは許されない」

 いま、筆者は、札幌で開かれる菅首相と小沢前幹事長の立会演説会に向かっている。北海道に向かう飛行機の搭乗直前、筆者の観たテレビ番組では、いつものように評論家やコメンテーターたちが頼まれもしない「世論」の代弁者として熱弁を奮っている様子が飛び込んでくる。

 その批判の矛先は、ほとんど例外なく「小沢一郎」に向かっている

民主党代表選、なぜ異なる結果 ネット投票と報道機関の世論調査(2010年9月9日産経新聞)

 民主党代表選をめぐる世論調査では、新聞やテレビで菅直人首相が圧倒的に優勢なのに、投票方式のインターネット上のウェブサイトによる調査では小沢一郎前幹事長が上回るという逆転現象が珍しくない。小沢氏は「新聞、テレビの調査と正反対の調査がいっぱいある」と強調、後者を重視する姿勢だ。この違いの背景を検証した。

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の8月末の調査で、どちらが首相にふさわしいか聞いたところ、首相が60・1%で小沢氏の16・4%を大きく上回った。他の報道機関の調査でも、小沢氏は首相に大きく引き離されている

 一方、ウェブサイトでの調査では小沢氏の支持率が高い傾向がある。1日から投票を開始した「Yahoo!JAPAN」では9日午後3時の累計で、小沢氏が59%、首相28%で約2倍の差がついた。8月26日から続けている「Infoseek楽天」では、小沢氏の93%に対し、首相はわずか6%にとどまった。

 小沢氏が4日に登場した動画配信サイト「ニコニコ動画」では、出演中の約2分間に約9千人がネットで投票。その結果、小沢氏が78・5%、首相が21・5%となり、小沢氏は「こうやって意思疎通できるのは面白い」と喜んだ。同サイトでは8月31日の時点で、首相が34・7%と小沢氏の8・1%を上回っていたが、完全に逆転した格好だ。

 こうした結果について、「Yahoo!JAPAN」は「ネットの投票者は自らID(本人証明)を登録して政治コーナーに入り支持候補を選択する。政治に積極的にかかわりたい人たちの声だ」と分析する。特に小沢氏が出演した番組では、熱心な小沢氏のファンが視聴、投票した可能性がある。

 一方、新聞・テレビの世論調査は、電話や面接調査の対象を無作為・広範囲に選んで、回答に政治的傾向が出ないようにしており、こうした違いも背景にありそうだ。

一般紙などでは菅総理有利と言いつつ拮抗しているというのが正直なところでしょうから、いくらなんでも93%が小沢氏支持というのも極端すぎるデータではないかなという気もしますけれども、問題はこうした世論調査の結果と代表選投票の結果とがそのままイコールとはならないシステムであることで、どんな結果であれ誰が正しく誰が間違っていたのか正確な検証も出来ないということになってしまいますよね。
いわゆる世論調査なるものがどれほどイカガワシイものであるかは以前にも取り上げましたけれども、大手メディアがこうして一生懸命世論を誘導しようとしている、その結果誰にどんなメリットがあるのかということも考えてみなければならないのでしょう。
かつての椿事件を始めマスコミの政治介入の実例は幾らでもありますけれども、近頃ではネットなど反マスコミ的勢力も力を付けているだけに、今回の代表選は彼らの国政に対する影響力というものも世に示す結果になってくるのかも知れませんね。

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2010年9月10日 (金)

ホメオパシー 各方面に広がっている根深いしがらみとは

ホメオパシー問題に絡んでついに総本山も転向したか?と噂されている助産師会ですが、やはりまだまだ一筋縄ではいかないというのが実際のところでもあるようです。
先日ちょうどこんな調査結果が出ていましたけれども、単に末端にはこれだけホメオパシーが滲透しているというだけではない話にもなりそうなんですよね。

36助産所でホメオパシー ビタミンK2投与せず(2010年9月7日産経新聞)

 日本助産師会(加藤尚美会長)は7日、会員の開業助産所433カ所のうち36カ所で、過去2年間に新生児に必要とされるビタミンK2を投与せず、ホメオパシーと呼ばれる代替医療で使われる砂糖玉を投与していたケースがあったと発表した。

 ホメオパシーに使われる砂糖玉をめぐっては、日本学術会議(金沢一郎会長)が8月24日、その科学的根拠を全面否定する異例の会長談話を発表。助産師会もすでに「助産業務としてホメオパシーを使用しないよう徹底する」との声明を出している

 乳児期にビタミンK2が欠乏すると、頭蓋内出血を起こすリスクが高まるとされ、日本小児科学会は生後1カ月検診までに計3回の投与を行うようガイドラインで定めている。

 しかし、7月に助産師会の会員の助産師が、女児にビタミンK2を与えずに死亡させたとして、母親から民事訴訟を起こされていたことが発覚した。助産師は女児に砂糖玉を与えていたとみられる。

 こうしたことから助産師会は会員の開業助産所433カ所を対象に実態調査を実施。分(ふん)娩(べん)業務を休止している19カ所を除く414カ所から回答を得た。

 その結果、ビタミンK2の投与はすべての助産所で行われていたが、砂糖玉のみを投与し、ビタミンK2を投与しなかったケースが過去2年間に36カ所であった。砂糖玉のみを投与した理由は「薬剤拒否の妊婦からの強い希望があった」「ビタミンK2と砂糖玉の両方を説明した結果、妊婦が砂糖玉を選択した」などだった。

 調査結果受け、助産師会は改めて、助産師の方から砂糖玉を勧めることがないよう、会員に徹底を図る。厚労省もビタミンK2投与の有効性を会員に徹底するよう助産師会に求めた。

助産所の1割でホメオパシー ビタミンK2与えぬ例(2010年9月7日朝日新聞)

 社団法人・日本助産師会は7日、加盟助産所の1割弱にあたる36施設で民間療法のホメオパシーが行われ、新生児に必要なビタミンK2を与えない例があったと発表した。山口では5月、ビタミンK2を与えられずに新生児が死亡したとして訴訟も起きており、厚生労働省は同日、同会会長あてに注意を求める通知を出した

 新生児は、ビタミンKが欠乏すると頭蓋(ずがい)内出血を起こすため、ビタミンK2シロップを与えるよう、厚労省研究班が指針を出している。しかし、山口市の助産師が、K2シロップの代わりにホメオパシー療法で使うレメディーという砂糖玉を与え、生後2カ月の女児を死亡させたとして、損害賠償を求められた。

この訴訟を受け、助産師会は7月下旬から8月まで、全国433の助産所を対象に過去2年以内に、K2シロップを与えず、レメディーを与えていたケースがなかったか調査した。お産をしていない19施設をのぞく、414施設から回答を得た。

 この結果、レメディーしか使わなかったケースがあったとする助産所は36施設に上った。複数の助産師が所属する助産所もあり、ホメオパシーを実践している助産師は36人を大きく上回る可能性が高いという。レメディーを与えた理由として、助産師がK2シロップとレメディーの両方を説明し、妊産婦がレメディーのみを選んだり、妊産婦からどうしてもと頼まれたりしたからと説明している。

 助産師会は「ホメオパシーに傾倒するあまり、通常医療を否定するのは問題」として、助産所にK2シロップを使うよう指導した。今後は研修などを通じ、通常の医療に代わるものとして、ホメオパシーを使用したり勧めたりしないよう会員に周知徹底するという。今回の調査時点では、全助産所でK2シロップを使っていたという。

 厚労省医政局も同日、新生児には、K2シロップが有効として、適切にシロップを使い、望まない妊産婦には、そのリスクを十分に説明することが重要とする通知を出した。

 助産師は全国に約2万8千人。主に助産師が立ち会うお産は、年間約4万5千件で、「自然なお産ブーム」で年々、増えている。

 日本助産師会の岡本喜代子専務理事は「K2シロップは当然与えるものと認識していたので、36という数字は多いと思う。会員には、お産の現場でホメオパシーを使うことがないよう指導する。また、助産院のホームページなどでホメオパシーについて記載しないよう求めた」と話している。(岡崎明子)

全国助産所の一割という数字をどう捉えるかですが、少なくとも病院等に比べると圧倒的に高い比率であるということは言えそうですし、この調査にしてもレメディー使用の有無ではなくレメディーのみしか使わなかった施設が一割であるということですから、実際にホメオパシーを使っている施設ははるかに多いのでしょうね。
助産師会としては一応公式に使用禁止の通達は出しましたという形ですが、非常に興味深いのはこの調査の方法自体で、決して「ホメオパシーを使っているかどうか」ではなく、単に「K2シロップを使わずレメディーだけを与えたかどうか」と非常に限定的になっている点が興味を引きますが、敢えて滲透の実態を明らかにしたくない心理も働いているのかなと考えてしまいそうです。
一応今回の調査は訴訟を受けての7月下旬からのものと言うことですが、その後の段階で出された助産師会としての通達がきちんと厳守されているものかどうか、特に「どうしても」と妊婦から求められるという助産所がどうやって(あるいは、本当に)断りを入れているのか、改めて確認のための再調査実施が求められているのではないかという気がしますね。

さて、先日以来社会的にもホメオパシーに対する視線が厳しくなってきていることを実感しますが、その背景としてこれだけの騒ぎになり感心も高まったせいなのか、各地で告発めいたことも行われているようになってきた結果、行政も放置出来なくなってきたという事情もあるようですね。
このあたりの代替医療だの健康食品だのは昔からホメオパシーに限らず限りなくグレーゾーンで、れっきとした大新聞にも薬事法違反は疑われるような広告が当たり前に載せられていますから、一度手を付け始めると果たしてどこまでやるべきなのか判断が難しいところだとは思います。
ただ朝日新聞などはかねてネット上でホメオパシー被害報告を募集していたりと今回すっかりやる気になっている様子ですが、今後こうした大手メディアが主導して「これも違反か?!」と騒ぎ始めれば、取り締まる側としても放置するわけにはいかないでしょうね。

ホメオパシー効能広告の疑い 販売会社に都が立ち入り(2010年9月8日朝日新聞)

 民間療法・ホメオパシーで使われている砂糖玉のレメディーをめぐり、東京都が、同療法普及団体「日本ホメオパシー医学協会」関連の販売会社「ホメオパシージャパン」(本社、東京都世田谷区)に、薬事法に基づく立ち入り検査をしたことがわかった。同社の商品広告に、特定の病気に対する効き目をうたったとみられる表記がみつかり、都が改善を求めた。

 薬事法は、同法で承認されていないのに、病気に効く医薬品であるかのように広告することを禁止している。都などによると、ホメ社の広告方法などについての情報提供が厚生労働省に寄せられ、都が8月に立ち入り検査を行った。

 立ち入り検査にはホメ社側も同意した。都薬事監視課は、レメディーのパンフレットなどの商品広告について調査。その結果、病気に効くように受け止められかねない表現が一部に見つかったといい、改善を求める行政指導をしているという。

 都は、2003年ごろにも、ホメ社に同様の検査をし、広告方法について改善を指導したという。

 ホメ社は立ち入り検査に関し「薬事法の解釈・運用も徐々に変化しているようであり、お互いの認識合わせをし、指導があればその都度、変更を行ってきている。今回もその一環。法律を順守した企業活動の徹底をはかっている」とコメントしている。

 日本ホメオパシー医学協会は、ホームページに「レメディーは食品であり、医薬品ではない」「レメディー自身が病気や体の部位に効果があるという記載は×」などと記している。

 一方、同協会関連の出版社の書籍の中では「学問として情報を提供する」(同協会)として、レメディーの種類ごとに「大特徴 高熱のNo.1レメディー」「場所 皮膚、リンパ腺、脳」などと解説している。(福井悠介)

ホメオパシーHP相談、医師法抵触か レメディーを助言(2010年9月8日朝日新聞)

 日本ホメオパシー医学協会関連の療法家育成組織「ザ・ジャパン・ロイヤル・アカデミー・オブ・ホメオパシー」のホームページ上での健康相談が、医師法に触れる疑いがあると指摘する声が、専門家から上がっている

 今年7月、女性からの相談が、ホームページの「体験談紹介」に掲載された。10歳の子どもが腎臓病で免疫抑制剤を服用してきて、今は病院の薬は飲ませていないという。

 「毒だしのレメディをとると、すごい好転反応が出てしまいます。顔、特に目がはれてパンパン、足もむくみ、蛋白尿(たんぱくにょう)がでて、見ているのが辛(つら)くて断念してしまいます」という内容。「むくみや蛋白尿が出たときのレメディを教えてください。このままレメディで腎臓をケアしていきたい」と求めていた。

 これに対し、アカデミー側の「先生」と名乗る人物が、「むくみや蛋白尿に対するレメディー」として3種類をあげ、担当のホメオパシー療法者「ホメオパス」に相談するよう促す返答を掲載した。

 インターネット上でこのやりとりをみた千葉県四街道市の高畑紀一さん(39)は、子どもの保護を求めて警察に通報した。子どもの病気予防の活動をしている。「病名も治療経過も明らかでないのに、何でアドバイスが出来るのか。『先生』は医師ではなさそうだし、通常の医師なら主治医のところに行くよう促すのではないか」と考えたからだ。

 警察からは「調査した結果、体験談投稿者と連絡がとれ、投稿にあるような深刻な病状ではなく、児童も無事であることが確認できました」と返答があったという。

 国学院大法科大学院の平林勝政教授(医事法)は、「体験談紹介」のやりとりが医師法に触れる可能性を指摘する。「レメディーが薬品でないにせよ、症状を訴えてきた病人に、あたかもそれが効いて疾病に効果があるように勧めれば、実態は薬を処方するのと同じではないか」と説明。「仮にレメディーに一定の効果があったとしても、医師による治療を受ける必要があるかどうかを判断することは、医師でないと出来ない」と話す。

 これに対し、日本ホメオパシー医学協会は「薬を処方することは医業にあたる。しかし、薬でないもの(=レメディー)をすすめることは医業にあたらない。したがって違法であるとは考えない」と文書で回答。医師法については、「ホメオパシーを対象にはしておりません」としていて、「先生」に医師が含まれるのか明らかにしていない。

ホメオパシー医学協会側の公式見解はいつも通りの内容で、さすが200年の歴史と伝統を誇るだけに法律の網をくぐるのも達者なものだなという感じではあるのですが、なかなかこの問題は法律的側面を考えても微妙な話ではありますよね。
昨今では児童虐待との絡みでこうした行為は放置出来ないと考える人間も増えているご時世でもあり、医療従事者でも何でもない自称療法家あたりが何も知らない子供に好き放題やるのを取り締まるのも当然でしょうし、法的不備があるというのであればきちんとそのあたりを正していかなければ同様の悲劇が繰り返されていくわけです。
健康食品などというものは元より効果効能に対して明らかに高すぎだろうというものが幾らでもありますが、そうした詐欺的要素以外に直接的に人命に関わる危険性が高いということであれば、これは早急に議論し規制を検討していかなければならないでしょう。

そしてもう一点、この場合助産師は元より一部医師も含めて、世間的には医療の専門家と見なされている側にもホメオパシーを愛用している人間がいるという事実が話をややこしくしています。
医者でもない人間が薬でもないものを治療と称して出すことに対する法的規制は存在しますが、医者が薬でもないものを治療と称して出すことが何ら規制されていないことは、まともな臨床の現場においても単なる無害な粉や薬効成分のない注射用水などが治療の一環として盛んに用いられているという現実を見ても判りますよね(そして、実際によく効いたりします)。
ただ逆に考えればホメオパシー推進派の方々が盛んに主張する「レメディーは単なる砂糖玉ではない!二百年に渡る治療実績がある!」という話も、医療従事者からすれば「はい?単なる水にもこんな素晴らしい治療実績がありますが何か?それを世間ではプラセボ効果と言いますが何か?」と言うだけの話で、専門家も単なる盲目的な砂糖玉の否定と受け取られないようアナウンスに注意は必要なのかなと言う気はします。

余談はそれとして、ひと頃は朝日新聞だけが突出して突っ走っていた感もあるこのホメオパシー問題、不幸な一つの死亡事故から思いがけない大きな話になってきた結果ということなのでしょうか、ようやく他社も追随する動きを見せてきているようですが、実はそのことが各社とホメオパシーとの根深いつながりを暗に示す結果ともなってきているようなのですね。
ひと頃こうしたものの宣伝に一役買って儲けてきたテレビなどでも一部に否定的な論調が見られるようになってきた一方で、相変わらず「公平に両者の言い分を取り上げなければ」と言いつつ過去のお得意先にしっかり配慮しているのが見え見えなんですが、無理矢理好意的に解釈すればテレビしか情報源がないというレベルの視聴者に対して「あれ?何かあったの?」と注意を喚起する程度の効果はあるかも知れませんね。
活字メディアに目を転じてみますと、最近ネットなどで記事検索をしてみますと意外に目立つのが産経新聞発のニュースなのですが、産経と言えばかねて医療報道に関しては素晴らしく定評のあるところだけに、何かしらとんでもない電波を飛ばしてくるんじゃないかと実はかなり楽しみに注目していたりもしますが(笑)、まずは記事を引用してみましょう。

ワイドショー通信簿 「ホメオパシー」サイド反論「癒しで心理効果ある」/とくダネ!(2010年8月26日J-CASTテレビウォッチ)

  「ホメオパシーって知ってます?」と訊くプレゼンター笠井信輔アナに、「エステとかでよく聞きますね」とコメンテイターの真鍋かをり。番組によれば、ホメオパシーは多くの女性にその存在が浸透しているという民間療法だ。ただ、最近、日本学術会議などから「科学的根拠がない」などと批判を受けている。

   「水を砂糖にくっつけたものをレメディーと称して、それを飲むとどんな病気でも治るという。科学的にはありえない」(日本学術会議副会長)

学術会議「科学的にありえない」と批判

   こうした批判はわりと大きく報道されてるが、ホメオパシー側の話はあまりメディアに載っていない。番組はマスメディアの原則に忠実に、もう一方の当事者の「言い分」をかなりの時間を割いて伝えた

   クリニックでホメオパシーを取り入れている医師は、「一般の薬を併用し、心理効果に期待」しているという。「『癒し』の部分で、ホメオパシーは大いに役に立つと思う」

   日本ホメオパシー医学協会会長は「現代の科学が計り知れないものが水のなかにある」「200年もヨーロッパで歴史がある。効かないんだったら、なぜ200年も続くのか考えるべき」などと主張。

   「続くものは効くものなのか」という点では、ヨーロッパには「光るものすべてが金とは限らない」ということわざもある。

代替医療「ホメオパシー」 日本学術会議の談話が波紋 「荒唐無稽」vs「治療症例ある」(2010年9月8日産経新聞)

 日本の科学者の代表組織「日本学術会議」が、植物などを希釈した水を含ませた砂糖玉を飲む代替医療「ホメオパシー」の有効性を全面否定する異例の会長談話を発表したことが波紋を呼んでいる。日本医師会などが賛同する声明を出す一方、一部の推進団体は「有効性は証明されている」と対立。ホメオパシーに傾倒して通常医療を受けずに死亡したとみられるケースもあり、代替医療のあり方が問われることになりそうだ。(長島雅子)

 ■「科学の無視」

  発端は8月24日、日本学術会議の金沢一郎会長名で出されたホメオパシーに関する会長談話だ。

 ホメオパシーについて「(物質を)極端に希釈した『ただの水』に副作用も治療効果もあるはずがない」と全面否定。「水が、かつて物質が存在したという記憶を持っている」などとする推進団体の主張を「科学の無視」「荒唐無稽(むけい)」と切り捨て、「ホメオパシーに頼ることで、有効な治療を受ける機会を逸する可能性があることが大きな問題」とした。

 一方、ホメオパシー推進団体の一つ「日本ホメオパシー医学協会」は「数え切れないほどの治療症例があり、論文も多数存在する。従来の理論で説明できないから、効果がないと説明する姿勢こそ、非科学的であきれている」と反論する。

 ■死亡例も…

 日本学術会議の唐木英明副会長(東大名誉教授)は1年半ほど前から日本でホメオパシーが広がる状況に危機感を抱いていた。

 山口県で新生児の頭蓋(ずがい)内出血の予防に必要とされるビタミンK2の代わりにホメオパシーで使われる砂糖玉を投与されていた乳児がビタミン欠乏性出血症で死亡したとして、母親が助産師を相手に損害賠償を求めて提訴していたことが今年7月に発覚し、異例の談話発表につながった。

 東京の多摩地区では5月、ホメオパシーに傾倒していた悪性リンパ腫の女性=当時(43)=が通常の医療をほとんど受けずに死亡したとみられるケースもあった。女性を知る牧師の荒瀬牧彦さんによると、周囲は病院に行くよう勧めたが、女性は「ホメオパシーでやってきたことが無駄になる」と拒否したという。

 日本医師会など9団体は日本学術会議の会長談話に賛同する声明を発表。厚生労働省も代替医療の使用実態を調査している。

 ■近代医療への不満

 9月に沖縄県名護市の公立中学校で、養護教諭が生徒に砂糖玉を渡していたことが発覚。日本助産師会の会員である開業助産所433カ所のうち36カ所でホメオパシーが行われ、ビタミンK2が与えられていなかったことも分かった。

 ホメオパシーはなぜ広がるのか。8月下旬、大阪市中央公会堂(大阪市北区)で行われた普及団体「クラシカルホメオパシー京都(CHK)」の入門セミナー。医師から「治療法がない」と見放された膠原(こうげん)病の高齢者や、「薬の副作用で夫の体毛がすべて抜けてしまった」と悩む女性ら5人がCHKを主宰する荻野哲也さん(55)の話に聞き入っていた

 荻野さん自身、17年前に脳卒中で倒れ、痙攣(けいれん)発作の後遺症をホメオパシーで克服したという。「救命医療で助けられ、現代医学には感謝している。ただ、現代医学にも限界がある。ホメオパシーは傷ついた心身を健康に導き、現代医学を補完するものだ」と語る。

 学術会議の唐木副会長は「ホメオパシーを施す人は患者の話をじっくり聞くという。一方、医師は忙しくて話を聞く時間がない。こうした状況が近代医療への不満を生み出している可能性がある」と話している。

ま、「とくダネ!」はやはりとくダネ!だったなという話なんですが、一見して朝日の一連の記事を要約しただけに見える産経の記事なども、最後に医療の現状への批判とホメオパシーに擁護的な意見を並べて読者の誘導を図っているあたりが同社のスタンスを示していると考えてみれば、今になってこんなアリバイ的記事を出してきたことの意味が見えてくる気がします。
実際に日本ホメオパシー医学協会が過去に掲載してきた各メディアへの反論文を並べてみれば、個々の内容以前にその対象を見比べるだけでもメディア毎の対応の温度差は一目瞭然ですが、要するに彼らが本気で敵視しているのはホメオパシーとの全面対決姿勢を崩さない朝日だけと言うことは、裏を返せば他社との間には魚心あれば水心的な予定調和が確定しているのか?とも勘ぐれる話ですよね。
このままアリバイ的に当社でも批判の声は取り上げてみましたが格好だけです、ほとぼりが冷めればまたお取引よろしくという態度が続くようなら、彼らのやっているのは報道ではなく報道の体裁を取った営業活動に過ぎないということも明らかになりそうですが、砂糖玉を売る側もそれを報じる方も単に商売で馴れ合っているだけということであれば、そこにはジャーナリスト的な批判精神など全く存在しないということでしょう。

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2010年9月 9日 (木)

医療現場への外国人医療スタッフ参入 超えるべきハードル

医療専門職の不足も今に始まった話ではありませんが、医学部定員増・新設の件ほどには話題にならないながら、こちらも着実に新設が進んでいるということのようですね。
そんな中で、かねて絵に描いた餅ではないかとささやかれていた外国人看護師の呼び入れですけれども、さすがに今春の国試受験でも合格者わずか三人という事態を受けて、さらなる対策が進められているようです。

看護師試験、病名に英語併記へ 外国人支援で(2010年8月24日47ニュース)

 経済連携協定(EPA)に基づいて看護師国家試験を受験する外国人候補者支援のため、厚生労働省の有識者委員会は24日、病名に英語名を併記し、文章の表現を分かりやすく言い換えるなどの対策をまとめた。

 来年2月の試験から反映される。将来、介護福祉士国家試験についても、同様に見直される方針だ。

 医学や看護の専門用語については、英語に慣れている候補者が理解しやすくするため「糖尿病」のような病名や外国人名などに限り、日本語の下に英語名を併記する。

 日本語での平易な言葉への言い換えについては、医療現場で別々の単語が飛び交い混乱を招く恐れがあり見送った。そのため「褥瘡」(床ずれ)などの専門用語は、言い換えや振り仮名を付ける対象とはしない

 専門用語に当たらない一般的な用語では、「症状を呈する」のような難解な言葉を「症状がある」と分かりやすく表現。「脆弱」のように常用漢字ではなく、言い換えが難しい言葉は振り仮名を付けるほか、主語や述語を明示するなどして読みやすい表現に工夫する。

看護師試験、外国人に配慮…厚労省検討会(2010年8月25日読売新聞)

難解漢字にルビ・硬い表現易しく・主語は省略せず

 EPA(経済連携協定)に基づいてインドネシアとフィリピンから受け入れた看護師候補者の国家試験合格率が極めて低い問題で、厚生労働省の検討会は24日、理解しやすい試験問題文作りの基本方針をまとめた。来年2月に行われる国家試験から反映され、日本人も同じ試験を受ける

 まず漢字。医学、看護学の専門用語を除く難解な漢字には仮名を振る。「脆弱(ぜいじゃく)」「惣菜(そうざい)」などとなる。

 次に、現場や教科書で使われる難解で硬い表現を平易にすること。例えば「体重増加をきたしやすい」は「体重が増加しやすい」、「手すりを設置する」は「手すりを付ける」と書き表す。

 日本語の文章は主語を省略することが多く、外国人の理解を阻む一因になっている。このため、問題文では、主語や述語がはっきりわかるような文章にする

読売の記事などを見てみますと単に外国人に云々というより、元々の日本語レベルでも問題が多々あったことがおわかりいただける話でしょうが、実際この種の試験問題というのは日本語としていささかどうよ?と思われるような部分が昔から少なからずあるものですし、判りやすい表現を出題者の側でも心がけるようになるのであれば、これは日本人受験者にとっても決して悪い話ではありませんよね。
ただ個人的に思うことには、外国人看護師に国試を受けさせるということの意味が実際看護師として必要な知識を所持していることの担保だと言うのであれば、日本語研修の後で日本語の試験を受けさせる以前に、来日を希望する時点で英語なり母国語なりで国試相当の試験を受けさせる方が無駄がないんじゃないかと言うことです。
まず最低限必要な医学と看護の知識があるというのが受け入れの前提であり、スキルがある人間であれば多少日本語能力がどうであれ実際の現場レベルで配慮ができるはずだと考えれば、まず真っ先に国がチェックしておくべきところは何より医療専門職としての能力なんじゃないかという気がするのですけどね。

そもそも外国人看護師受け入れの話は医療現場のニーズがどうと言うより、日本とこれら諸外国の経済的関係の中で出てきた話ですから、どうも医療業界の諸団体からは制度を緩くしてもっと受け入れを促進せよなんて声は出てきません。
現状で政府と主導的に話をしているのは看護協会であり、加えて看護師を使う側の日医なども関わってくる話ですが、基本的にどちらもあまり積極的とは言えない姿勢のようですから、結局実質的に受け入れ拒否と同じような高い壁になってしまっているわけですよね。
そうは言っても業界外の人間からすれば、「普段からあれだけ人手が足りない足りないと言ってるんだから、当然早く外国人看護師が活躍できるよになった方がいいんだよね?」と思える状況ですから、国の背中をもっと押さなければと(たぶん)ありがた迷惑な援護射撃もしておこうかと言うことにもなるわけです。

【社説】外国人看護師 試験の見直しはまだ不十分だ(2010年9月7日読売新聞)

国と国の約束で受け入れを決めた以上、漢字を読めないことが障壁となっている現状は、政府の責任で改めなければならない。引き続き改善策を探るべきだ。

 厚生労働省の検討会が、外国人の受験者でも試験問題を理解できるようにと、看護師の国家試験を見直す指針をまとめた。

 見直しのきっかけは、経済連携協定(EPA)に基づいてインドネシアとフィリピンから受け入れた看護師希望者の試験合格率が、極端に低かったことだ。1年目は1人も合格せず、2年目の合格率もわずか1%だった。

 このため、「漢字の読解能力で不合格というのはおかしい」という批判が高まり、厚労省が3月から見直しを進めていた。

 新たな指針では、病名には英語を併記し、カルシウムは「Ca」などと、国際的に認定されている略語を記載する。EPAで来日した人たちは、母国で看護師の資格を持っている人たちだ。英語や略語の併記は助けとなるだろう。

 指針は難解な漢字にルビを振ることも容認したが、床ずれの意味の「褥瘡(じょくそう)」や、あおむけの「仰(ぎょう)臥(が)位(い)」など、医療・看護の専門用語は対象外とした。平易な表現への言い換えも見送った。

日本看護協会が、重大な医療事故を防ぐには、日本人スタッフとの意思疎通のために専門用語の漢字読解能力が不可欠と主張し、検討会もこれに沿った形だ。

 医療上の安全を確保するのは当然だが、日本人でも読めないような漢字にルビを振ることも、許されないのだろうか

 新指針は、来年2月の試験から適用される。問題は、これに不合格なら帰国を余儀なくされる人たちが100人近くいることだ。

 本来なら、見直しが十分かどうか検証してから実施すべきところだ。再来年も受験可能とするなど特例措置の検討も必要だろう。

医療や介護の人手不足は依然、深刻である。意欲も能力もある人材を、「漢字の壁」を設けて締め出すべきではない

 政府は、がん検診などの分野で外国人患者を日本の病院に積極的に受け入れていく方針だ。英語を話せるフィリピン人看護師などは外国人患者とコミュニケーションを図る上で役立つに違いない。

看護師や介護福祉士の受け入れはベトナムやタイも求めており、いずれEPA改定の議論が出てくる。最初の受け入れでつまずくことのないよう、政府は受け入れ環境の整備に努めてほしい。

まあ読売さんも関係諸団体の態度くらいは目を通しているでしょうから、各団体が嫌がっているのを判っていて書いている可能性もありますけれども、確かに政府が昨今進めているメディカルツーリズムにおいて外国人スタッフの需要が高まるというのも一つの考えではありますが、同時にそれが必ずしも医療専門職である必要もないのではないかという気もするところです。
正直日本における看護師の数や看護学部の定員などを考えてみた場合に、年間せいぜい数百人程度の外国人看護師が入ったところで誤差範囲というのも事実でしょうし、そのために払われる様々な労力と照らし合わせて(広い意味での費用対効果とも言えますが)果たしてどうなのかということも考えてみたくはなりますよね。
ただ前述のように国と国との約束事でもあり、海外からは「日本製品を売りつけるばかりで、我が国の人材は受け入れないというのか!」とクレームも押し寄せている状況ですから、最終的には大赤字の持ち出しになることが判っていてもやらざるを得ないというのが本音ではあるのかも知れません。

さて、看護師の話はそれくらいにして、ここからは外国人医師受け入れ問題について考えて見たいと思いますが、外国人看護師受け入れ問題と外国人医師受け入れ問題というもの、一見してどちらも医療専門職ということで共通する部分も多々あるんだろうなとも思えますよね。
その一方で、医師というのはいわば医療現場の司令塔役であるわけですから、指示の受け手側にあたる看護師と同列に語るだけで良いのかと言えば、現場の感覚的にも患者の側の受け取り方にしても何かしら違いはありそうです。
ただどちらにも共通しているのが、人材不足で大変なことになっているはずなのに当事者の業界団体は受け入れに強く反対しているということなんですが、この外国人医師の受け入れ問題に関して先日の日経ビジネスの詳しい記事が出ていまして、歴史的経緯なども含めて興味深いところも多々ありますのでまず引用させていただきましょう。

外国人医師の受け入れを拡大すべき?(2010年9月7日日経ビジネス)より抜粋

医師不足を解消する手段の1つとして、外国人医師の活用を訴える声が上がり始めたのは、5年ほど前からでしょうか。2006年に岩手医科大学が後述の「臨床修練制度」の下で中国人医師を招へいしたり、2007年に新潟県が外国人医師活用のための規制緩和を目的とした構造改革特区案を提出するなど、具体的な動きもいくつか見られました。ただ、行政の腰は重く、外国人医師の受け入れを巡っては、その後も大きな進展はないままです。

 ところが最近、その風向きが変わりつつあります。そこで今回は皆さんと、外国人医師の受け入れについて議論してみたいと思います。
(略)

外国人医師受け入れに関する日本医師会の見解

 診察や治療は、人体に侵襲を及ぼす行為である。そのため、高度な医学的判断及び技術を担保する資格の保有者によるものでなければならない。外国人医師の資質がそのような要件を満たしているかどうかは、各国の医療における教育・技術レベルが保障されたものでなければならず、その判断基準として日本の医師免許の取得が求められている
 諸外国でも同様の制約がある。医師不足対策のひとつであるならば、まず、医師不足そのものを解決すべきである。

(2010年4月14日定例記者会見「現政権の最近の医療政策について」より)

 そうした中、厚労省も、慎重な姿勢を崩しませんでした。一方、受け入れ拡大に積極的だったのは、経済界などの意を汲むいわゆる“規制改革派”です。例えば、自民党政権下の規制改革・民間解放推進会議(現・行政刷新会議の前身組織)が2006年末に取りまとめた最後の答申では、高度な技能を有する外国人医師の受け入れ促進を盛り込んでいます。

 なお、日本の医師免許を持つ外国人医師が、在留許可を得て日本で診療に従事することは問題ありません。以前は、(1)僻地での診療、(2)大学卒業後6年以内の大学付属病院などでの研修――に限られていましたが、現在ではそうした条件は撤廃されています。

風向きを変えた仙谷国家戦略相の発言

 さて、一向に進展が見られなかった外国人医師の受け入れ拡大問題ですが、ここに来て、新たな動きが出始めています。きっかけは、仙谷由人国家戦略相の発言です。今年3月、仙谷国家戦略相が、「『日本の医師免許を持っていなくても、一定の技術がある外国人医師に国内での診療を認める制度改正を検討する』と発言した」と報道されました。ただし、その狙いは、医師不足対策というよりは先端医療研究への活用で、以前の規制改革派の考え方と同様のようです。

 また、菅直人内閣は今年6月、「新成長戦略」を取りまとめましたが、その中にも、外国人医師・看護師による国内診療などの規制緩和の実施が盛り込まれています。目的の1つは、先でも触れた先端医療研究への貢献にありますが、今年に入って突如脚光を浴び始めた、いわゆるメディカルツーリズムも大きく影響しているようです。医療を目的とした海外からの渡航者を多く受け入れるには、外国人医師の存在が重要となるからです。

 地方自治体からも、政府に呼応した動きが出始めています。今年6月、大阪府は、外国人医師による医療行為に関する医師免許制度の規制緩和を求める構造改革特区申請を、政府の構造改革特別区域推進本部に提出しました。医療技術の国際交流を通じた技術進歩と、外資系企業誘致の促進がその目的とされています。

 つまり、外国人医師の受け入れ拡大に関する論点は、(1)先端医療研究への貢献、(2)メディカルツーリズム促進のための環境整備、(3)医師不足対策――の3点があり、最近の動きは、主として(1)と(2)が焦点になっているわけです。

254人受験し合格者3人だった外国人看護師

 外国人医師の受け入れを拡大した場合、患者にとっての最大の懸念材料は、彼らの診療レベルと言葉の問題でしょう。

 診療レベルだけに関して言えば、日本人医師と同等以上である海外の医師は多くいるはずです。しかし、日本語を流暢に使いこなせる外国人医師はそうはいません。高い診療技能を持っていたとしても、言葉が通じなければ大きなトラブルを引き起こす恐れがあります。最大のネックになると考えられるのは、やはり言葉の問題です。

 今年3月、経済連携協定(EPA)に基づいて来日し、日本で研修を積んでいたインドネシアとフィリピンの看護師が初めて日本の国家試験に合格したとして話題になりましたが、その数は、受験者数254人中たった3人でした。この結果に関しては様々な視点から報道されていますが、日本人の合格率が9割程度であることを考えると、やはり言葉の問題が高いハードルになっているのは間違いないでしょう。

 となると、仮に外国人医師の受け入れを拡大するなら、日本語のレベルには少々目をつぶる覚悟が必要かもしれません。ただし、先端研究医療への貢献やメディカルツーリズムにおける外国人患者への対応を主たる業務とする外国人医師であれば、それほど高い日本語能力を求めなくてもいいという判断もあり得ます。

 一方、日本の医師にとっては、外国人医師の受け入れ拡大は、同業者が増えることにつながります。これについては、長時間労働の改善につながるという見方もあれば、海外からの“新規参入”により就業機会が脅かされ、賃金の低下を招きかねないといった受け止め方もあるでしょう。

医師不足対策としては期待薄

 北海道大学予防医学講座公衆衛生学分野客員研究員の江原朗氏によれば、米国と英国においては、外国で教育を受けた医師が3割以上存在するそうです。一方、在留資格「医療」により日本で働いている外国人医療者(医師およびその他の医療職、特別永住者を除く)の数は毎年100~200人程度で、臨床修練制度により日本で働く外国人医師も100人に満たないとのことです。日本の医師数は現在約29万人ですから、その差は歴然としています。

 英国の場合、医療崩壊により自国医師の海外流出が進んだ結果、外国人医師比率が高まったと言われています。ただし、受け入れが進んだ大きな要因の1つとして、海外に同じ言語圏の国が多く存在していることも見逃せません。これは米国も同様で、その点では、日本は大きなハンデを負っています。

 北海道大学の江原氏は、「医師不足対策としての外国人医師活用は、現実的ではない」と主張しています。外国人医師の資質の問題はさておき、言葉の壁に加え、低賃金・長時間労働といった日本の厳しい労働環境を考えれば、外国人医師にとって日本は魅力的な働き場所ではないからです。そのため、仮に受け入れ条件を緩和しても、多くの外国人医師が来日することはないだろうと結論づけています。私も同意見です。

厚労省は受け入れ拡大を検討中

 とはいえ、私は、外国人医師が日本国内で診療に従事するうえでの条件はもう少々緩和してもいいと考えています。

 日本の国家試験に合格しないと国内では診療できないという基本ルールは、これまで通りでいいかもしれません。例えば英国では、外国人医師の言語・診療レベルがしばしば問題になっているようです。医療という命にかかわる仕事においては、人材確保と質の担保のバランスがとりわけ難しく、ハードルを安易に下げるべきではないでしょう。

 ただ、臨床修練制度や医師免許互換制度の柔軟な活用による受け入れ拡大なら、検討の余地は十分にあるのではないでしょうか。例えば、臨床修練制度の期間を現行の2年より延長したり、従事する業務の対象を「修練」以外に広げたりするといった選択肢もあり得ます。また、医師免許互換制度の対象国や許可定員、従事可能な業務の拡大なども考えられます。先端医療研究やメディカルツーリズムなどの分野では効果が期待できますし、医療における国際交流を促進するうえでも、条件の緩和は必要ではないでしょうか?

 厚労省は現在、外国人医師の受け入れ拡大に向けて検討中だそうです。どのような結論に至るか、興味深く見守りたいと思います。
(略)

結局ここでも出発点は医療現場からの要請ではなく、外野それも経済界筋からの鶴の一声だったという話なんですが、要するにこれも自民党から民主党へと政権担当者が変わっても脈々と受け継がれている、現代日本における国策の一つであるということなんでしょうね。
この仙谷氏の「横やり」については以前にもネット上での否定的な声を取り上げたことがありますけれども、下手をすると裏技的に医者の地位がゲット出来てしまうという話にもなりかねないだけに、無制限な拡大に走る前にそれなりの検討作業が必要なのは確かですよね。
ただ出発点はそうであっても、最近になって自治体や地方の医療現場レベルから「もっと外国人医師が働きやすくなるように制度を整えてくれ」という声が相次いでいるのも事実であって、その意味ではとにかく数がいる看護師と比べると、現場に一人いるかいないかで大きな違いがある医師の場合はいささか話が違いそうだということが見えてくると思います。

以前に朝日新聞が全国各地で中国人医師がすでに活躍しているという話を記事にしていましたが、日本人であってもコミュニケーションスキル的にいささかどうよ?と感じられる医者が意外に少なくないという現実を見ても判るように、医者稼業というものは腕さえしっかりしていれば案外日本語が多少怪しくてもやれる仕事は幾らでもあるし、周囲もそうした事情を承知して仕事の割り振りは出来るわけです。
そう考えるとえてして部外者は「いきなり外国人医師はハードルが高そうだ。それならまずは看護師あたりから」なんて考えてしまいがちですが、実際にはむしろ医者の方が人材輸入のハードルが低いとも言えるわけで、それが判っているからこそ日医なども予防線的に熱心な反対運動を続けているという考えも出来そうですね。
日医がどうあれ国策である以上いずれ導入を前提に話は進んでいくのでしょうが、日医の見解が現場の医師達の見解というわけでもないし、第一線で働くスタッフにしたところで皆が皆同じ考えを持っているわけでもありませんから、いっそ全国一律に話を進めるより前にどこか熱心な地域に医療特区でも設けて、先行試験を兼ねて実際にやってみるのがいいんじゃないかという気がします。

実際に外国人を呼んできましょうということになった場合、看護師以上に医者という稼業の実態を考える上で重要なことに、今のところは皆日本語能力ばかりをどうこう言っていますけれども、もっと重要なコミュニケーションギャップが発生する危険性が高いということも考えておかなければならないでしょうね。
もちろん患者や同僚との会話能力も重要なのですが、特に医療現場の最終的な判断を下す役である医者にむしろ求められるのは、その判断の背後にあるだろう文化的基盤、ものの考え方の基本となる民族的背景とでも言うべきものであって、正直その発露である日本語表現の部分だけを取り上げて大騒ぎしても仕方がないんじゃないかと思っています。

例えば福祉先進国の北欧あたりでは高齢者に食事を配膳するところまではやってくれますが、自力で食べられなくなれば寿命だとしてそのまま衰弱死させられてしまう、その結果「この国には寝たきりの御老人やチューブにつながれている方など一人もいません!なんて素晴らしい地上の楽園!」と何も知らない日本人レポーターから絶讚されるわけですが、そうした国の医師が日本に来て何をどう考え行動するかです。
最近では日本でも改めてそういう生き方(逝き方)が見直されつつある気配ももちろんありますけれども、「生き物は食べることが出来なくなれば寿命である」という考えを当たり前だと思っている文化的背景を持つ人間は、日本人が当たり前にこうするだろうという局面で全く別な判断を下す可能性もあるわけですよね。

あるいは日本などでは支払い能力のない人間でも病院が受け入れ拒否なんてしようものなら大騒ぎですけれども、世界的にみてそうした患者は最初から門前払いなのが当たり前で、病院が赤字覚悟で引き受けることを強要される応召義務なんて妙な制度があるなど知らないだろうし、医療現場がいくら何とかしてくれと叫んでも国は見直しの議論さえ出来ないと拒否しているなんてことは夢にも思わないわけです。
例えば前述の朝日の記事などでも中国から大勢の医者がやってきて活躍しているわけですが、あちらでは治療費を前払いしない限り何もしないのが当たり前というくらいに医療とコスト意識とが密接に結びついているわけで、日本のように医者は幾らかかるか知らない、患者は見積もりも取らず全てお任せしますなんて言ってしまう医療環境とではずいぶんと常識が違うだろうとは想像出来ますよね。
だからと言って「それじゃあなた、まず会計窓口でお金を払ってきてください」なんていきなり言い出すとも思いませんけれども、医療はお金の有無に縛られるべきではないなんて考えがいつしか当然視されるようになった日本と外国とでは、ずいぶんと判断の前提になる常識自体が違うということは理解出来る話だと思います。

もちろん日本人の中でも考え方なんて人それぞれではあり、地域による文化的背景の差というものも当然ありますから、そうした個体差レベルのバリエーションに収まる程度に日本的考え方に合わせてもらえるということであれば問題はないわけですが、少なくともそれは国家試験に英語のルビを振ろうなんて話で判断出来ることではありませんよね。
日本人の得意な阿吽の呼吸と言いますか、口に出して言わずとも伝わるという部分は医療現場のような後のない局面でこそ非常に大事になってくるわけですが、はっきり言わなければ伝わらない、あるいは思いがけない行き違いを生じてしまうような相手を前にしたとき、患者の側にも大きな意識改革が必要になってきそうです。
しかし日医なども頭から反対、反対と念仏のように唱えているのではいずれ国策に押し切られることが目に見えているわけですから、少しは現場の実情に即した実際的な受け入れ策でも提案してみるくらいのことはやってみれば多少は見直されるかも知れないというのに、まあそれが出来ないからこそ日医であるということなんでしょうがね(苦笑)。

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2010年9月 8日 (水)

ホメオパシー医学協会 なおも攻めの姿勢を崩さず

本日はホメオパシー問題を再び取り上げてみたいと思います。
さて、先日取り上げさせていただきました「養護教諭が中学生に砂糖玉」という問題について、朝日新聞が例によって記事にしていたことは記憶に新しいところですが、その裏事情と言いますか補足の記事がネット上に掲載されています。
同社としても今回妙にやる気を出しているらしく、今後もまだまだ追及の手を緩めませんといった気配が濃厚に伝わってきますけれども、まずは記事を紹介しておきましょう。

ホメオパシーを巡る問題(その6)  「思いこみ薬」という判断力(2010年9月5日朝日新聞アスパラクラブ)

東京本社科学医療グループ 長野剛

同僚の岡崎記者と私の署名で、9月2日の朝日新聞朝刊に記事が載りました。「保健室でホメオパシー」です。公教育の場で、少なくとも「科学的根拠が示されていない」民間療法が実践されることは、生徒にとって誤解を生む教育になっているのでは、という問題提起として書いたものです。

この記事の取材、執筆でも、皆さまからお寄せ頂いたメールの情報やブログのコメントが、大きな力となりました。改めて感謝の意をお伝えいたします。

ネット上では、この問題が数年前から指摘されていました。様々な現場にいらっしゃる方々が発信する情報は、非常に真に迫ったものも多く、重要だと思います。一方、現場や関係者の方々にお話をうかがい、事実確認をしたり、さらなる事実の発掘をしたりすることが私たちの仕事です。

高い問題意識を持った方々のネットなどでの発信と、私たちの職業上の機能をうまくあわせることで、社会により有益な情報を発信していけるのではないか。そんな可能性を、ホメオパシーの取材を通じて、感じております。皆さま、今後ともよろしくお願いいたします。

さて、岡崎記者と私は8月30日から沖縄入りしました。観光客で混み合う那覇空港から、岡崎センパイを乗せたレンタカーを運転し、現場に向かったのです。正直なところ、風景は素敵な亜熱帯。これからの取材で解き明かそうとした問題とは、ほど遠いムードでした。

そんな中、現場の中学校区に着き、見かけた生徒さんに声をかけると「レメディーをもらっています」との言葉が出て、びっくり。レメディーとはホメオパシー療法で用いられる砂糖玉ですが、他の生徒さんにも聞いていくと、こちらが「レメディー」という単語を口にする前から「レメディー」について語ってくれるなど、校内での浸透ぶりがよく分かり、非常に驚きました

ホメオパシーの理論や効果を信じていたと疑われる例や、生徒が自宅でも使用していた例もありました。「保健室の先生」が用いることで、科学的根拠のないものを「根拠がある」と誤認させていた可能性があります。「(普通の)薬はダメ」という養護教諭の発言も、生徒さんたちは聞いていました

これまで私たちが伝えてきた「ホメオパシー利用者の死亡例」は、現代医学を否定して末期まで病院にかからなかった方々でした。現代医学の否定の程度には差はあるかもしれませんが、やはり「薬はダメ」とすることは危険だと思います。

一方で感心したのは、取材に応じてくれた生徒さんたちの判断力です。

記事でもご紹介したように、レメディーを「思いこみ薬」と呼ぶ生徒さんたちがいました。腹痛などの時に養護教諭に与えられるものの、疑いを持つ自分にはさっぱり効かない。でも「効く」という生徒もいる。「効くと思いこんでいるから効くんじゃないの」という訳で、「思いこみ薬」なのだそうです。

科学の世界では「レメディーの効果は偽薬(プラセボ)効果」と指摘されます。「効くと思うことで一定程度出る効果」です。生徒さんたちは、自身と周囲の経験を客観的にとらえて考えた上で、偽薬効果だと判断していたことになりそうです。

薬剤などの効果を確認するには、緻密に計画された検証実験が必要です。その基礎となる「客観性」を備えた考え方をする生徒さんたちに、本当に感心しました。

ホメオパシーに限らず、どんな案件でも、それを受け入れる前には「判断」が必要だと思います。思いこみを廃し、できるだけ多くの情報を客観的に判断することが、どんな局面でも、自分自身を守る最大の武器ではないでしょうか。

「判断力」を伸ばしていくことこそ教育には大事なんだ、と感じさせられた取材でした。それを教えてくれた生徒さんたちにも、感謝の気持ちでいっぱいです。

蛇足ですが今回、「レメディーを作る装置」があることも確認できました。製法は「ただの砂糖玉」を機械に入れて「電磁波」(?)をかけると、「効果を持ったレメディー」になると、生徒さんたちは聞いていました。どうやら、「症状を起こす物質」を気が遠くなるまで薄めた水を砂糖玉にかけて作る本来の製法とは違うようです。養護教諭は、保健室でこの装置を使っていたそうです。

いろいろな疑問に答えていただきたい、「レメディーを作る装置」を見せていただきたいと取材をお願いしました。ですが、養護教諭からは、校長先生でも教育委員会でもなく、「ホメオパシー普及団体を通して取材を」と要請され、直接お伺いすることはできませんでした。

現場の中学生がまだまともな判断力が残っていたということですけれども、しかしこの養護教諭氏は自分がどんなところに所属しているのかという帰属意識に、どうもいささか問題があるのではないですかね?
彼の地では結構大々的にホメオパシー講習会なども開かれ洗脳が進んでいるという話は先日も紹介した通りですけれども、一体職務上の義務を無視して何を勝手な事をやっているのかと感じると同時に、こういうことを今まで何も知らなかったとも思えない管理責任者の側は何をどう考えていたのかということも問われそうです。

イギリスなどではホメオパシーが広がり過ぎた結果、今さら一掃するのは無理であるという現実的な判断のもとで、とにかくまともな?病気にかかった患者はホメオパシーを勝手に使うな!と法的規制をかけているわけですが、実際問題彼らも商売でやっているわけですから、効かなかろうが法で規制されようが売れるものなら売るという態度でいるということです。
日本ではそのような末期的状況になる前に何かしらの公的規制をというのが学術会議のスタンスなのでしょうが、これに対して政党レベルにおいても反応してきたところがあるようですね。

主張 ホメオパシー 「科学の無視」は危うすぎる(2010年8月30日しんぶん赤旗)

 日本学術会議が、民間療法の「ホメオパシー」について、「治療効果は科学的に明確に否定されてい」るとし、「『効果がある』と称して治療に使用することは厳に慎むべき行為」だとする会長談話を発表(24日)したことが、話題を呼んでいます。

 談話は、「ホメオパシー」が医療関係者のなかで急速に広がり、「ホメオパス」という施療者の養成学校までできている現状を「科学の無視」と批判しています。日本の科学者を代表する公的機関が疑似医療行為の排除を求めたことは、重く受けとめる必要があります

際立つ荒唐無稽ぶり

 「ホメオパシー」は、いまから200年ほど前、まだ近代的な医療が確立する以前に、ドイツ人医師が生み出し、欧米各国に広がりました。病気と似たような症状を引き起こす物質を少しずつ使い、「自然治癒力」を触発するという触れ込みです。

 投与する「レメディー」(治療薬)は、「ある種の水」を含ませた砂糖玉です。これでアレルギーも精神病も、がんも治せるという魔法のような話です。この「水」は、植物、昆虫、鉱物を極端なまでにくり返し薄めてつくります。実際には元の物質など存在しない「ただの水」でしかありません。

 それでも効果があるという論者は「水が、かつて物質が存在したという記憶を持っている」といいます。「科学的な根拠がなく、荒唐無稽(むけい)としか言いようがない」(談話)説明です。

 有名タレントが公的な場で「ホメオパシー」を推奨する発言をするなどの動きもあり、「自然志向」とあいまって流行現象が起きています。昨年10月には、頭蓋(ずがい)内出血を防ぐためのビタミンKの代わりに「レメディー」を与えられた生後2カ月の女児が死亡し、投与した助産師を母親が提訴する問題も起きています。

 「ホメオパシー」は、当然受けるべき通常の医療から、患者を遠ざける危険性があります。談話がいうように、いまのうちにこれを排除する努力が行われなければ、「自然に近い安全で有効な治療」という誤解が広がり、欧米のような深刻な事態になりかねません

 重い病に苦しむ人ほど、さまざまな民間療法、健康食品などに救いを求めるものです。わらにもすがりたい切ない思いからの行動が、結果として、効果が得られないだけでなく、受けるべき治療を遅らせ、そのうえ大きな経済的負担まで強いられるというのでは、患者にとっても、関係者にとっても悲劇です。科学を無視するほど危ういことはありません。

政権の姿勢が問われる

 この問題では、民主党政権の姿勢も問われます

 鳩山由紀夫前首相は1月の施政方針演説で、西洋医学と伝統医学の「統合」の推進を表明しました。長妻昭厚労相は国会答弁で、この伝統医学の中に「ホメオパシー」を位置づけることを明言しました(1月28日、参院予算委員会)。さらに厚労省内に2月に設置された「統合医療プロジェクトチーム」も、「ホメオパシー」を、今後の検討の対象として明記しています。

 日本学術会議が会長談話でいましめた内容に、文字通り逆行するものです。「ホメオパシー」を政府の名で公認し、市民権を与えることへの懸念を禁じえません。

共産党など弱小政党じゃないかという声もありますけれども、しかし社会的に考えてみますと同党などは熱心な党員が多いということで知られている組織ですから、党としてこういうスタンスを打ち出してきたことはそれなりに大きな意味を持っているだろうし、当然国会運営上も政府与党に対する働きかけも期待できるわけですよね。
今回の代表選で実は未だに結構な影響力を党内に保持していることが明らかになった宇宙人前総理ですけれども、そうなりますと政権与党である民主党としては今後前総理路線を継承していくのか、あるいは同総理の影響下から離れてホメオパシーと対決姿勢を取るのか、場合によってはこのあたりもそれなりの争点になっていくのかも知れません。

これに対して先日の学術会議の声明発表以来医療系の各種団体からこれに賛同するコメントが相次いだわけですが、中核的推進派とも見られた助産師会すらホメオパシー禁止を打ち出している中で、なぜか相変わらず沈黙を守り続けているのが看護協会です。
もともと助産師と看護師と言えば非常に近い関係にあり、実際各地で看護協会も関わったホメオパシー講習会なども開かれていたということですから、立場として同協会が助産師会に近いんだろうなとは予想されるところですよね。
当然各方面からも大きな勢力を持つ看護協会がどういう態度を取るのかは注目されているようで、あちらこちらで電突が繰り広げられているようなのですが、結論から言うと「現段階ではノーコメント」という態度を貫いているということのようです。

【参考】日本看護協会に学術会議会長談話やホメオパシーについて聞いてみた(2010年9月3日保健師のまとめブログ2)

ちなみに上記参考サイトの電突によれば、看護協会と助産師会とはそんなに仲が良いわけでもないということなんですが、とりあえず同サイトのまとめにもあるように看護協会の公式対応として、

    * 会長談話については厚労省の調査結果をまってから協会として対応する
    * それまでの看護職による業務でのホメオパシー使用については、「ホメオパシーを含めた代替医療全般」について特にアクションはとらない
    * ただし、何かあった場合何もしないというわけではない

ということのようですので、これはどう考えても「ホメオパシーに対して否定的な立場を取っている」とは見なされ難い行動ではありますよね。
失礼ながら看護協会と言えば圧力団体としては確かに強大ですけれども、学術団体としてはあまり高いレベルを誇っているとも見えない組織であるだけに、非常に好意的に解釈すれば自前で用意できない以上は他人の出したエヴィデンスに基づいて行動するという慎重な姿勢とも言えますけれども、何しろ日本統合医療学会の公式サイトから看護協会へのリンクが張られているというくらいですから、口でどう否定しようが関係は隠しようがないということでしょう。
厚労省が本気で調査するとすれば、普通に考えてこれから年単位の時間がかかるわけですから、要するにほとぼりが冷めるまで目立たず有耶無耶にしたいとも受け取れる対応なんですが、こうなってしまうとむしろ看護協会だけが悪目立ちしてしまう結果となっているのもどうなんでしょうね?

さて、今やホメオパシー他流派からも悪の総本山扱いの日本ホメオパシー医学協会ですけれども、この期に及んで未だに徹底抗戦の意志は潰えていないようです。
同協会の公式サイトには相次いで団結を呼びかけるコメントが掲載されていますけれども、この状況でこうまで強気に攻めてくるというのはよほど脳天気と言っていいほど前向きということなのか、あるいは単に空気を読めていないということなのか、果たしてどちらなんでしょうね?

ホメオパシー国際評議会(ICH)の国際電話会議による、定期ミーティングが行われました。(2010年9月3日日本ホメオパシー医学協会)
より抜粋

2010年9月2日(木)、国際電話システムを使ったICH定期ミーティングが日本時間の13:00から1時間以上にわたり行われ、ICHの理事として、日本、ニュージランド、オーストラリア、アメリカ、カナダ、英国、ノルウエーの代表者が参加しました。

日本の代表として参加したJPHMA由井会長からは、この会議の中で、以下のようなコメントが伝えられました。

日本は現在、様々なホメオパシーバッシングに関する報道をされていますが、このたびの報道はホメオパシーが広がる良い機会になり、またこのプロセスは世界のホメオパシーが普及している様々な国でも行われているように、一度は通らなければいけない登竜門であることと理解しています。これを経験することによって非常に強い組織になって行きますし、これを経験することによって非常に強いメンバーになって行きます

ホメオパシーバッシングが広がったと言えども、これを有効利用することができ、また、これを有効利用したいと思っています

今回のことは、ホメオパシーが広がっていくにあたり非常によいチャンスになったと思っています。そして全世界のホメオパスの皆さんからのエールとサポートは大変有り難く、とても感謝していますと由井会長は伝えました。
これに対して各国理事より、さらに、みなでエールを送りましょう!という返答がありました。

これからは、ICHの存在意義でもある国境を超えて、世界のホメオパスたちが連携し、助け合ってこの素晴らしいホメオパシーの普及活動をすすめていく時代に入ったのです。
(略)

日本にホメオパシーを根付かせよう「HOMOEOPATHY YES」署名のお願い(2010年9月4日日本ホメオパシー医学協会)より抜粋

皆さん、私たちは、自己治癒力を触発し自らの力で健康になっていく「ホメオパシー」を推進している日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)です。日本ホメオパシー医学協会は1998年に「副作用がなく安全なホメオパシー」を日本に根付かせるために設立された非営利団体で、2010年9月現在、1,000名を超える認定会員、専門会員がいます。

この度の日本学術会議によるホメオパシー全面否定の声明文とそれに賛同する多くの医療団体の声明文、朝日新聞社による一連のホメオパシー報道は、明らかに公正を欠くものでありとても残念に思っています。この背景には、既得権益を保持しようとする人々のホメオパシーの高まりゆく人気への脅威と焦りの現れがあることは想像に難くありません。事実、これまでに海外においては、権益団体と一部のマスコミが手を組み、世論を誘導するやり方でホメオパシー潰しが行われてきました。今回の日本で起こっている状況に対しての海外からの反応の多くは、「いよいよ日本でもはじまりましたね」というものでした。海外においてはこれまでそのようなホメオパシーの危機においてホメオパスが立ち上がり、また多くの国民が立ち上がり力を合わせて乗り越えていっています。
(略)
残念なことに日本では、「医師しかホメオパシーをしてはならない」と表明している団体がありますが、最も大切なことは、日本国民からホメオパシーを取り上げることではなく、自己治癒力を触発し、自らの力で治していくホメオパシーを国民の皆さまが誰でも自由に使えるようになることであります。ホメオパシーがセルフケアとして普及し、症状が生じたときの第一選択肢として活用することこそが、日本国民の健康に繋がると考えております。そのためにも今、ホメオパシー医師、認定ホメオパス(ホメオパシー療法家)の垣根を越えてホメオパシーを日本に根付かせるために力を合わせるときであり、ホメオパシーは効果がないという間違った日本学術会議の声明や報道を正し、ホメオパシーや職業ホメオパスが社会的にも信頼され必要とされているということを周知にしていくことが何より大切なときであると考えます。

ホメオパシー製品をお使いの方、ホメオパシーという療法を大切に思う方、ホメオパシー的な生き方に賛同される方など、ホメオパシーが日本でますます普及していくことを支持される方々に10万人を目標に署名をお願いしており、2010年9月4日現在、12627名の署名が集まっています。

「ホメオパシーは、人間本来の自然な生命を取り戻すためのものでもあり、皆様一人一人の真の健康を促進していくものである」という主旨にご理解・ご賛同いただける方にご署名いただくことで「ホメオパシーへの支持」を「HOMOEOPATHY YES」という形で表わしていただければと存じます。以下のホームページに具体的な方法が書かれていますので、ご参照ください。皆さま一人一人の署名が大きな力となります。ホメオパシーを全国に根付かせていくためにご協力のほど宜しくお願いいたします。

https://www.jphma.org/php2/action_homoeopathy.php?m=action_homoeopathy

「ホメオパシーバッシングが広がったと言えども、これを有効利用することができ、また、これを有効利用したいと思っています」とはどれだけ前向きなんだよという話ですが、これだけ世間や被害者の声に背を向けてなお我が道を盲目的に突き進むと宣言しているわけですから、これはもはや狂信としか言いようのない行動ではないかと思いますね。
目標署名数が10万人ということですから、さすがに売りつける側だけではこの人数はいないのではないかと考えると、どこまで国民の間に彼らが滲透しているのかということの一つの目安にはなるかとも思いますが、果たして何人くらい集まるものでしょうかね?
「自然なお産」なんてことを主張する助産院などの利用者は潜在的な賛同者であると考えると、結構こういうところで呼びかけられれば簡単に署名してしまいそうな人たちもいそうに思うのですが、その場合会員にホメオパシー禁止を徹底しますなんて宣言した助産師会が何らかの行動に出るのか、あるいは見て見ぬふりをするのかも気になるところでしょうか。
そしてもちろん同協会に対して反対の立場を取る他流派ホメオパスの皆さんにしても、この行動に対してどういう反応を見せるのかは興味深いですが、ホメオパシー自体の否定と世間に受け取られないよう理論武装には苦労されているんじゃないんですかね?

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2010年9月 7日 (火)

テロとの戦いはいよいよ国内へ

本日は久しぶりの捕鯨ネタを取り上げるわけですが、先日こんな記事が出ていましたが、御覧になりましたでしょうか。

鯨肉給食 5000校超 小中校18%で復活(2010年9月5日東京新聞)

 一九八七年の南極海での商業捕鯨中止などで激減した鯨肉の学校給食が徐々に復活、給食を実施している全国の公立小中学校約二万九千六百校のうち、二〇〇九年度に一度でも鯨肉の給食を出した学校は、18%に当たる五千三百五十五校に上ったことが四日、共同通信のまとめで分かった。

 鯨肉の給食は一九七〇年代まで大半の小中学校で一般的だったが一時激減。復活したのは日本鯨類研究所が調査捕鯨で捕獲した在庫がだぶつき、消費拡大のため給食用に割安で提供されていることや、食文化を継承したいとの自治体側の思惑が背景にあるようだ。

 調査期間は六~八月。給食に出した学校の内訳は小学校が四千九校、中学校が千三百四十六校で、四十都道府県に上った。

 使われる鯨肉は南極海で捕れたクロミンククジラなどで、特定の業者を通じ学校に渡っている。鯨研によると、昨年の市価は一キロ当たり二千六十円だが、給食用は三分の一に割り引いた。捕獲量の3~4%に当たる約百五十トンが学校給食枠。

 まとめでは、鯨肉の給食再開は〇五年ごろから増え始めた。鯨研は同年、生息数増加などを理由に捕獲数を拡大している。

 メニューは竜田揚げが目立ち、ケチャップなどでつくるオーロラソースあえやカツもあった。捕鯨で知られる和歌山県や長崎県は「食文化を伝えるため提供している」と説明。出していない自治体からは「単価の面で提供が困難」(仙台市)などの理由が挙がった

 都道府県や政令市、学校給食会に取材し、そのレベルで把握していない二十五県については八百六十九市町村に直接尋ね、二市以外から回答を得た。

◆需要なく給食処理

 環境保護団体「グリーンピース・ジャパン」の星川淳事務局長の話 調査捕鯨で捕れた鯨肉の在庫は常に一年分程度あり、ニーズがないのに捕獲し続けていることは明らかだ。一般には買ってもらえないので、学校給食を狙い需要があるように見せ、処理しているのではないか。国際問題になっていることや、税金を投入した完全な国営事業であるという背景がきちんと子どもたちに伝えられているか疑問だ。

◆食文化勉強の機会

 総合地球環境学研究所の秋道智弥副所長(生態人類学)の話 日本人は縄文時代には既に鯨を食べている。鯨食は野蛮だとの意見もあるが、食は地域の文化であり、何が特殊かは一概に言えない。他の民族が食べない動物を食べる民族もいるため、食は文化の偏見につながることもある。小中学生が鯨をめぐる問題や背景を知って、時代を読み解く勉強の機会にすべきだ。

鯨肉の在庫がだぶついているかどうかはまた諸説あるんでしょうが、とりあえずコスト的に使えるようなら積極的に使っていきたいと考えている自治体が増えてきたというのは良い傾向でもあるし、社民党も連立から離脱した以上は妙な遠慮もいらないということなんでしょうかね(苦笑)。
いずれにしても昨今鯨肉を食べた事もないという人間が増えているのは驚くほどで、地域によってはほとんど見た事も聞いた事もないという場合もあるようですが、逆に捕鯨文化が伝えられている地域では現役世代に至るまで今も定期的に食べているという人が多いようで、やはり行政も含めた理解と継続的な努力が重要ということなのでしょう。
とりあえずは国も捕鯨活動にばかり金と人材をつぎ込むのではなく、こういう消費の側にももっと手間暇をかけていくべきなんじゃないかと思いますけれども、例によって例のごとくそれを妨害しようとしている人々がいらっしゃるわけですよね。

グリーンピースメンバー2人に有罪 鯨肉窃盗事件で地裁(2010年9月6日朝日新聞)

 調査捕鯨船の船員らが土産名目で自宅あてに送った鯨肉を運送会社から持ち出したとして、窃盗と建造物侵入の罪に問われた環境NGO「グリーンピース・ジャパン」(GPJ)のメンバー2人に対し、青森地裁(小川賢司裁判長)は6日、懲役1年執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)の有罪判決を言い渡した。2人は即日控訴した。

 判決によると、GPJメンバーの佐藤潤一(33)と鈴木徹(43)両被告は2008年4月16日、青森市の西濃運輸青森支店の配送所に侵入し、塩漬けの「ウネス」と呼ばれる鯨肉が入った段ボール箱(23・1キロ)を盗んだ

 GPJ側は「船員が鯨肉を無断で持ち帰る『横領行為』を告発するための証拠を確保した。自分たちで利用する意思はなく、箱を持ち出したのは正当な行為」として無罪を主張していた。

 これに対し判決は、持ち出した事実は「段ボールを開けるなど、段ボールの所有者しかできないことをした」として、不法に自らのものにする意思があった認定。検察側の「告発という自らの目的で利用するため盗み出した」との主張をほぼ認めた。

 また、行為の正当性については「いかに公益を目的とした正当なものだとしても、刑罰に触れて他人の権利を侵害することまで法と社会は許容していない」として、正当性はないとした。

 一方で、船員による鯨肉の持ち出しについて「一部不明朗な点があったのは確か」だと認めた上で、「今回の行為でその点が見直された」と執行猶予をつけた理由を説明した。

グリーンピースメンバー2人、鯨肉窃盗事件で有罪(2010年09月06日AFP)

【9月6日 AFP】(写真追加)青森地裁は6日、運送会社から鯨肉を持ち出したとして窃盗と建造物侵入の罪に問われた環境保護団体グリーンピース・ジャパンのメンバー佐藤潤一(Junichi Sato、33)、鈴木徹(Toru Suzuki、43)両被告に、それぞれ懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。両被告は、盗んだ鯨肉について、調査捕鯨船乗組員の不正な横領を暴く証拠だと主張していた。

 判決を受けてグリーンピースのグレッグ・マクネビン(Greg McNevin)広報は、「執行猶予がついたとはいえ、2人は私的利益ではなく公共の利益のために行動したのだから、全体として不相応な判決だ」と述べた。

例によって執行猶予付きの有罪判決というものをどう考えるかですけれども、とりあえず言えることは日本の司法が彼らの主張するところの「目的のために手段を選ばず」という手法を否定したと言うことであって、今回の判決が確定すれば日本国内においても彼らは犯罪者団体として公式認定ということになるわけですね。
別に緑豆に限らず自分たちは正しいんだから何をやっても許されるんだなんて考えは一般に狂信者と言われるもので、まともな人間からすればあまり近寄りたくもない類の連中ということになりますけれども、こちらがそう思っていても向こうから近づいてくる分には降りかかる火の粉は払いのけなければなりません。
遠い南氷洋で繰り広げられていたテロとの戦いもこれから土俵を移して、いよいよ近場での戦いになりつつあるというニュースがこちらなんですが、まずは彼らの犯行声明から紹介してみましょう。

「イルカ漁を妨害せよ」SS、太地町に活動家(2010年9月3日読売新聞)

 【シンガポール=岡崎哲】米国の反捕鯨団体シー・シェパードは3日、和歌山県太地町で2日に始まったイルカの追い込み漁を妨害するため、豪州、ニュージーランド、米国、日本の活動家計6人を現地に送り込んだことを明らかにした。

 同団体の豪州人活動家マイケル・ダルトン氏(44)が本紙に語った。シー・シェパードは今後さらに20~30人を派遣し、他の動物保護団体も合流する見通しだという。

 ダルトン氏は、実力行使をするかについて、「漁師たちの(追い込み漁の)やり方次第だ」と語った。太地町では、2003年に、シー・シェパードの活動家2人がイルカ漁妨害のために網を切断して和歌山県警に逮捕されている。

「イルカ漁中止に圧力を」、オバマ米大統領に要請 『ザ・コーヴ』出演者ら(2010年09月02日AFP)

【9月2日 AFP】米アカデミー賞受賞の映画『ザ・コーヴ(The Cove)』に出演したリチャード(リック)・オバリー(Ric O'Barry)氏ら日本のイルカ漁に反対する環境保護活動家のグループが2日、都内の在日米大使館を訪れ、日本政府に圧力をかけるようバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領に要請した。

 オバリー氏は、「オバマ大統領に対し、この問題に関与し、定期的に繰り返される時代錯誤で残酷なイルカの殺りくを止めさせるべく、日本政府に働きかけることを求める」との声明文を読み上げ、約150か国から集めた170万人分の署名を大使館職員に手渡した。

 オバリー氏と米、加、豪などの環境保護活動家ら70人あまりは今回、「コーヴ」の舞台である和歌山県太地町で伝統のクジラ・イルカ追い込み漁が解禁となったのに合わせて来日した。太地町での抗議行動も計画していたが、右翼団体から脅迫を受けたため断念したという。

色々と風の噂に聞くところでは現地では見かけない外国人風の人々の姿がちらほらだとか、今のところまだ目立った妨害活動はなさそうだとか言うのですが、右翼団体なるものもさることながら何しろ地中海では漁師と全面戦争をやった後ですから、彼らも海の男に対してはそれなりに警戒するところがあるのかも知れません。
当然こういう連中が大挙して押しかけてくると迷惑するのが現地の人々ということですが、少なくとも公的には「我関せず」の態度でやっていくようで当面静かな出だしだとは言え、今後実際に衝突が起こってくるようだと一気に連鎖的な反応が出てくる可能性もありますよね。
テロリストにすれば好き放題やればやるほどスポンサーから金が入ってウハウハという話でしょうが、現地の漁師達にとっては生きていくための手段ですから営業妨害は文字通りの死活問題ということでしょうし、場合によっては行政なりの公的支援も考えていかなければならないくなるのかも知れませんね。

「ザ・コーヴ」を相手にせず、太地町で来月イルカ漁-漁業存続に必要 (2010年8月27日ブルームバーグ)

8月27日(ブルームバーグ):今年のアカデミー賞を受賞した米映画「THE COVE (ザ・コーヴ)」で取り上げられた和歌山県太地町で、9月からイルカ漁が行われる。映画で漁の残酷さやイルカ肉の人体への危険性を指摘され、世界的な注目を集めたが、比較的に利益が出るイルカ漁は高齢化に悩む地元漁業の存続に不可欠で今後も続く見通しだ。

  400年の歴史がある太地町イルカ漁の漁場となる入り江は、家族連れでにぎわう「くじら浜海水浴場」から泳いで10分足らず。三方を岩山に囲まれた湾の突き当たりが幅20メートルほどの浜辺になっている。入り江に通じる陸路は封鎖され、周囲には人影もなくひっそりとしているが浜辺に設置された監視カメラが「コーヴ騒動」の余波を物語る

  映画のタイトルにもなったこの入り江で、9月1日から例年通りイルカ追い込み漁を始めると、太地町漁業協同組合の杉森宮人参事(59)は25日、ブルームバーグの取材に話した。「法令に基づいた正当な漁業で、来年以降もやめるつもりはない」という。

  杉森氏によると、漁協所属の組合員は約500人で町人口の約14%を占める。実際に漁業に従事する正組合員はそのうち200人。平均年齢は68歳と高齢化が進むなか、イルカを含むクジラ漁に関しては「若手が親の代を引き継ぐなど、後継者が育っている」という。他の漁に比べれば実入りがよいからだ。

  カツオやイセエビなどほかの漁も手がける同漁協の収入に占めるクジラ漁の割合は「3分の1程度」だが、「クジラと他の漁業を両方やってなんとか1年間やっていけるが、他の漁業だけだと1人200万円ぐらいの年収にしかならず、若い人は生活できない。クジラ漁がなくなったらこの漁協自身も運営していけなくなる」と窮状を訴える。

             なぜ殺すのか

  東京商工リサーチによると、同漁協の前身の太地漁協は2007年4月に破産手続きを開始。負債額は約66億3000万円だった。近年は水揚げの伸び悩みから業績が低迷したうえ、老朽化していたスーパー施設を建て直したことで借入が膨らみ、余裕が乏しい資金繰りが続いていたとしている。

  一部の外国人や環境保護に携わる人々にとって、イルカ漁は許容できない習慣のようだ。クジラやイルカが好きで太地町にある「町立くじらの博物館」を訪問していたカナダ人高校生のアレックス・サーキッシアンさん(17)は「イルカ漁が日本の文化とは知らなかった。なぜ太地の人々がイルカを殺すのか理解できない。牛などほかの動物とは知能の水準が違い、同じレベルで語れない」と語った。

  追い込み漁は音でイルカを入り江に誘いこみ、捕獲する漁法で、水産庁遠洋課の昼間信児氏によると、現在は全国で太地町だけで行われている。映画では追い込み漁の現場を隠し撮りし、イルカがほかの動物と比べて知能が高いことなどを理由に、漁をやめるよう求めている。
(略)
  太地町の三軒一高町長(62)は、24日に町役場で行ったインタビューでザ・コーヴについて「0点」との評価を下した。「ドキュメンタリーは真実を追求するものなのに、事実に基づいていない。基本的なことが間違っている」と述べた。具体的な問題点については「弁護士と相談のうえ、抗議している」と述べるにとどめた。

  三軒氏自身、小学生のころは毎日のように家庭でイルカやクジラ肉を食べていたと明かす。特にすき焼きのときはイルカを使うのが定番で「中学で東京に出てきて初めてすき焼きに牛肉を使うのを知った」と言う。周囲を山に囲まれ「産業も何もない、米も獲れない、野菜も獲れない、水も少ない」という悪条件がそろうなかでクジラ漁をしなければ「生きられない町だった」と話した。

  町の資料によると、05年にサービス業に従事する人の割合は人口の44%を占めるまでになったが、三軒氏は「町ぐるみで捕鯨をやっていた時代の名残」として、町民の苗字にいまだに「漁野」「遠見」「筋師」などクジラ漁の職種に由来する名前が多いことを挙げ、「今回のように面白おかしくとりあげられて、先人たちに対してあいすまんという思いがある」と述べた。

  映画で批判を受けたことについても「何の影響もないし、外国にどういわれようと町は変わらない」と今後も引き続き、行政の立場からイルカ漁を支持する考えを示した。

ところで、太地町と言えば捕鯨問題がなければ注目されることもないような小さな漁師町で、確かに日本で唯一の追い込み漁をやっているという売りはあるにしても、水揚げ高としては決して多いというわけでもないわけです。
テロリスト団体シーシェパードがこの小さな漁師町をことさら目の敵にするのは、もちろん映像メディアと結託した彼らにとって追い込み漁という視覚的に優れた題材があるからという側面もあるのでしょうが、どうもそれだけではない背後事情というものもあるようなんですね。
ちなみにこの「超映画批評」の内容、三軒町長が「面白おかしく取り上げられて先人たちに対してあいすまんという思い」とまで言わせた経緯についても鋭く踏み込んでいて、さすが同映画とはつきあいが古いと言うだけになかなか興味深いもので是非ご一読いただきたいのですけれども、今回は該当部分だけを手短に引用させていただきましょう。

『ザ・コーヴ』60点(2010年8月20日超映画批評)より抜粋

さて、そろそろ映画の内容についてだが、私が始めてこれを見たとき笑ったのは、サーフボードにのって抗議活動をしていた金髪美少女二人が、太地町の屈強な漁師に力づくで排除され、泣かされる場面である。太地町漁師たちの、ヤクザで暴力的な性格を知らしめようというシーンだ。

だが、顔を見ればこの二人はシー・シェパードの支援活動家として名をはせる有名なハリウッド女優。もちろん、泣く演技などお手の物だ。ヘイデンさん、何してるんですかと私は思わず声をかけたくなった。顔にモザイクをかけるなら、彼女らにかけなければ(プロパガンダの)意味がない

このほかにも、トンデモ度合いの高いインタビューを受けている者は、ほぼシー・シェパード(SS)関係者といっていい。しかし、ポール・ワトソン代表はあまりに有名すぎて隠せなかったが、他のメンバーの肩書きにSSの文字はない。これはSSの名前を出せば誰にも相手にされない事を、作り手自身が自覚している証拠である。

ちなみに中心となるリック・オバリー元調教師などは、太地町で抗議活動をしたいから、形式上SSの名簿から名前を削除した人物。SSは賞金の名目で、金も出している。こういうことは、SSの公式サイト(英語)に書いてある。過激な行動をすることで注目と資金を集めるビジネスモデルであるから、栄えあるオスカー受賞作に自分たちが深くかかわっていたこれらの「不都合な真実」は、いまだに削除される気配もない

また、この映画が描いてない(この映画の出来事の直前に起きた)重要な事実がある。シー・シェパードが2003年11月に太地町に破壊活動家を送り込み、漁師の網を切り裂き、15頭ものイルカを逃がした刑事事件である。「ザ・コーヴ」によれば、イルカは一頭最大15万ドルで売れるそうだから、SSは最大 225万ドル(約2億円)もの太地町漁師たちの収入・財産を一方的に奪ったわけだ。とんでもない犯罪集団である。

さすがにこの時は実行メンバーが逮捕され、地元警察に拘留されたのだが、実はその活動家の一人がポール・ワトソンの愛妻アリソンであった。私は、SSが太地町に執拗に絡む理由のひとつは、このときの私怨があるのではと考えている。そもそも太地町のイルカ捕獲数は、日本全国のわずか10%にすぎない。(大半は岩手県沿岸)
(略)
もっとも、こうした事情を知らずとも、本作にだまされる人はそうそう多くあるまい。アカデミー長編ドキュメンタリー賞を取った作品としては記録的に少ない興行収入(米国)からは、アメリカの一般市民の無関心の冷笑が聞こえてくるようだ。ただし、SSが太地町を本気でつぶそうとしている事だけは間違いない

要するにわざわざメンバー総動員でプロパガンダ映画を作り上げるくらいにシーシェパードとしては「太地町を本気でつぶそうとしている」、そして何故そうなのかという理由の一端として、ワトソン代表の愛妻が地元警察に拘留されたからだと言う推測があるということなんですが、確かに偏執狂的で私怨は忘れないというタイプの面構えではありました。
ちなみに今回の捕鯨に関してなんですが、シーシェパードの必死なプロパガンダに関わらず太地町の側ではこんな予定にしているということですから、これはどこからどう見ても鯨類の虐殺などといった話とは縁遠い行為ですよね。

イルカ漁解禁 太地に活気(2010年9月 2日産経新聞)

 国内捕鯨の発祥地、和歌山県太地町で伝統漁法「追い込み漁」が解禁され、2日、今シーズン初めてバンドウイルカ約20頭が捕獲された。漁を隠し撮りし批判的に描いた米映画「ザ・コーヴ」が米アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞して反響を呼んだが、この日は反捕鯨団体などによる抗議活動はみられず、混乱はなかった。

 午前5時半ごろ港を出た漁船6隻は、同町沖約25キロの熊野灘で群れを発見。鉄パイプをたたくなどして誘導し、バンドウイルカを畠尻(はたけじり)湾に追い込み、仕掛けた大網で取り囲んだ。

 追い込み漁は国際捕鯨委員会(IWC)の規制対象外で、国の指導で県が許可している。シーズンは9月1日から始まり、イルカ類が来年2月末、クジラ類が同4月末まで。合わせて計約2200頭の捕獲が認められている。太地町漁協は「水族館などから購入の予約がある分だけ捕獲し、残りは海へ返す」と話している。

というわけで、今回鯨を殺すなんてことは全く行われていないんですが、何故かシーシェパードから「太地町から最新映像!血まみれのイルカたち!」なんて画像が公開されているというのはどうしてなのか、是非テロリストたちの言い分を聞いてみたいものなんですがね(苦笑)。

【参考】【動画】  Blood Dolphins: Return to Taiji (4/4) (2010年9月2日SeaShepherdSecurity)

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2010年9月 6日 (月)

迷走する上野原市立病院 最近の話題

「最近の話題」なんて言ってしまってから恐縮ですが、これもボケているということなのでしょうか、とっくに取り上げた事があると思い込んでいたネタでも改めて調べなおしてみるとまだだったということが時にあるようで、今回は山梨県の上野原市立病院の話題を取り上げてみますけれども、どうもこの病院は今回が当「ぐり研」初出だったようなんですね。
とりあえず今までの経緯の概略から紹介してみようかと思いますが、元町立病院から市立病院になったこちらの病院、お約束のように医師減少とそれに伴う診療科の減少、施設老朽化と患者数の減少などといった要因が相まって、今や赤字垂れ流し状態ということなのですが、そのあたりの経緯を過去の記事から拾い上げてみましょう。

公立病院改革:国の見直しガイドライン、県内3病院が該当 診療所転換迫られ /山梨(2007年11月30日毎日新聞)

◇来年度中に改革案作成

 3年連続で病床利用率が70%未満の公立病院に抜本的な見直しを求めるガイドラインが国から示され、県内では公立全14病院のうち、大月市立中央病院と上野原市立病院、山梨市立牧丘病院の3病院が該当していることが分かった。病床数の削減や診療所への転換などが求められる見通しで、病院側からは「医師不足解消が先ではないか」と不満の声も出ている。【吉見裕都】

 ガイドラインは12日、経営が悪化している公立病院のあり方を検討している総務省の「公立病院改革懇談会」が策定。ガイドラインを基に、全国の自治体は来年度中に改革プランを作成することが求められる。
 06年度まで3年連続で病床利用率が70%を切るのは、全国の公立病院の15%にあたる146病院。06年度の病床利用率は大月市立中央病院が45.2%、上野原市立病院が40.8%、山梨市立牧丘病院が69.0%だった。
 病床利用率が低迷する理由について、大月、上野原の2市立病院は常勤医師の減少を背景に、小児科や産婦人科など5診療科で入院患者を受け入れられなくなったと説明。山梨市立牧丘病院は、小規模なうえ山間地にあるため、利用率が低いとみられる。

◇「医師不足解消が先」の声も

 上野原市立病院は「病床利用率の低下はもとをたどれば医療費抑制や新研修医臨床制度といった国の政策による医師不足が原因で、その解消が先ではないか」と疑問を呈している。

患者数、ピークの半数以下 07年度 上野原市立病院 /山梨(2008年7月25日山梨日日新聞)

 上野原市立病院(両角敦郎院長)の2007年度の入院と外来患者数は約8万9000人で、過去10年で最多だった02年度の半数以下に落ち込んだ。常勤医の減少により外来の診療日数や、入院患者の受け入れが減ったことが主な要因。経営状態も旧上野原町立時代の03年度から5年連続で単年度赤字となる見込みだ。
 同病院によると、昨年度の患者数は8万8564人で、前年度に比べ2万291人減少。ピークの02年度(18万2624人)からは52%減り、同年度から5年連続で前年度実績を下回っている。一方、経営状況は06年度の総収入が約16億8800万円だったのに対し、総支出は約18億4600万円で、純損失は約1億5800万円。07年度も患者数減少が影響して純損失は拡大、約3億6000万円に達する見込み。

 同病院は、04年度当初に17人いた常勤医が、山梨大医学部などからの医師派遣が縮小したこともあり06年度から一けた台に減少。昨年度当初は内科2、脳神経外科1の3人だった。ただ、今年10月から指定管理者制度の導入が決まり、導入に先駆けて4月に内科の常勤医を新たに4人採用し、計7人体制となった。同月の患者数は7459人で、前年同月に比べ796人増加している。
 同病院の和田正樹事務長は「指定管理者の導入が決まり、医師確保も進んでいるので今後は患者数増加が見込める。指定管理者の計画に基づき、病院再生に努めたい」と話している。

選択の構図:上野原市長選/下 市立病院 /山梨(2009年2月19日毎日新聞)

◇高度医療にどう対応

 上野原市の中心商店街から北へ坂道を上ると、古ぼけた4階建ての建物が見える。市民の健康・福祉を守る最後の砦(とりで)ともいえる病院だ。
 上野原市立病院(両角敦郎院長、病床数150床)は1970年に開設され、山梨大学医学部付属病院から医師派遣を受け、地域医療を担ってきた。ところが、医師不足の影響で、17人いた常勤医が一時3人にまで減少。産婦人科の休止など診療科の縮小、病棟の再編が行われ、病床利用率が70%未満の公立病院に見直しを迫る国のガイドラインに抵触。今年3月までに改革プラン作成を求められるまでに追い込まれた。
 市の調査では「職員の対応が悪い」「説明が不足」「待ち時間が長い」など、現状に不満を示す市民の声も多かったという。隣接する東京都など市外の医療機関に入院している人も多い。地元の医療機関に不安や不満を抱いていることが推測される。

 市は07年、市立病院に指定管理者制度を導入し、自治医大の卒業生らが設立した地域医療振興協会(東京都千代田区)に経営を委託。公設民営化した
 今月10日、同病院は公設民営移行後の経営状況を発表。移行直前の経常収支の赤字(月間ベース)が、07年10月には黒字に転換したと説明した。だが、内実は民営化をソフトランディングさせるため、市からの運営交付金が一時的に手厚く交付されているのが主な要因で、厳しい経営状況には変わりない

 市は老朽化した建物を新たに建て替える計画だ。旧上野原中学校跡地に総事業費約40億円をかけ、150床規模の新病院を建設し、11年7月の開院を目指している。診療科は外来が内科など10科、入院が外科など4科の計画。しかし、市民からの要望が多い小児科や産婦人科は設置されない
 市民の間では、市の財政規模に合った病院建設を求める意見がある一方、産科、小児科を備えた高度医療を行える病院を求める意見もあり、関心が高い。 東京都に隣接する地理的環境から、高度医療については県域を越えた病院との連携・分担ができると考えるか、または地域内で完結できる医療を目指すか。根底には大きな思想の違いがある。【田上昇】

150床で40億と言えば一床あたり2700万、民間病院の平均が1600万程度と言いますから、ろくに医者もおらず高度な医療をしているようにも見えない田舎病院にしては、ずいぶんと豪勢な計画だなという印象は受けますよね。
同市としては金の使い道に困っているというのであればこのご時世にうらやましい話ですが、このあたりに関しては後々にもまた言及するところですので留意いただきたいところです。

しかし全ては医者が来てくれないことが原因だ!これも国が悪いせいで我々は悪くない!なんてまさにらしい弁解が並んでいますけれども、医者もおらずわずか病床利用率4割という悲惨な現状で診療所への転換も検討しろとせっ突かれている中、例によって巨額の公費を投じてのシン病院建設というハコモノでお茶を濁そうというあたり、まさに地方公立病院のテンプレと言ってもいいような経過ですよね。
そうは言ってもこれだけでしたらあまりにテンプレ通り過ぎて、世に数多ある公立病院の中に埋もれて終わっていたところだったのでしょうが、この病院が一気に全国区の知名度を獲得したのは病院建設を巡って市長と医師会との間に全面戦争が勃発した事件が今春に発生してからのことでした。
医師会や地元の意向を無視して市長が話を進めているということで、医師会が以後は一切市に協力せずとの方針を打ち出した結果、春からの学校医すら不在になってしまったということで大騒ぎになったということなんですね。

この事件自体は「勤務医 開業つれづれ日記」さんなどが取り上げていますように、記事からすると「妙に頑なな市長だなあ」という程度の印象なんですけれども、自身も元医師だという市長はかねて市議や地元企業の贈賄問題などを告発してきた御仁だという話もあるようですから、これまた地方のハコモノ行政に特有の問題(苦笑)に絡んでの何かしら背景事情があったのかも知れません。
実際に同市長は「新病院の建設費は異常に高すぎる!これを民間病院並みの値段にまで切り下げてスタッフ確保のために使えばいいじゃないか!」と言っているようですから、何かしら根っこの部分でそのあたりのトラブルが暗示される展開ではあるのですが、問題は全国紙で「医師会がゴネて子供が困っている!」なんて話が広まった結果、面白からぬ思いをしているだろう人間も大勢出ただろうということでしょうね。
何しろ世界に冠たる独特の価値観を常々紙面に誇示せずにはいられないあの変態新聞にすら「医者の価値観は独特だ」なんてことを言われてしまったくらいですから、それは事の経緯はどうあれ現場での感情的対立はどんなものかと想像に難くないところがあって、いずれにしてもこの春の時点でも今後に十二分な?不安を感じずにはいられないという状況だったわけですね。

泉:麻生前首相発言の真理 /山梨(2010年4月20日毎日新聞)

 「(医師は)社会的常識がかなり欠落している人が多い」。08年11月、全国都道府県知事会議で、こう発言した当時の麻生太郎首相は翌日、首相官邸に抗議に訪れた当時の唐沢祥人・日本医師会長に謝罪した。軽率な発言で、謝罪は当然だろう。
 ただ、上野原市で取材をしていて「医師の価値観は独特だ」と感じざるを得なかったのは、市内の学校医が不在になっていることを分かっていながら、対立を続けた江口英雄市長と上野原医師会の「内輪もめ」だ
 江口市長は医師でもある。新市立病院という地域医療の核の建設を巡って地元医師会を無視し、医師会は学校医委嘱を辞退した。その結果を招いた江口市長の行政手腕には疑問符が付く。一方、江口市長の手法がどうあれ、選挙という市民の審判を受けてもいない医師会が、子供の健康診断の日程を左右してはいけない
 医師は人とあまり折り合わなくても貫ける職業かな、とも思う。麻生さんの発言も一面の真理がある、と思えてくる。【富士吉田通信部・福沢光一】

いや、医師会が健診日程を左右してはいけないと言いますけれども、学校保険法で児童生徒への健診を義務づけられているのは設置者や教育委員会の方々であって、本来なら医師会風情が口を出す義務も義理もない話なんですけどね(苦笑)。
ま、今さら羽織ゴロに何を言われようが気にしないという医者も増えているご時世ではありますけれども、当の上野原医師会の皆様にとってはまた別な見解があるやも知れず、改めて変態新聞の購読部数が下落の一途を辿っている理由の一端を垣間見たようにも思えます。

さて、ようやくここからが本日の本題に入って、その上野原市の新病院建設に関わる新展開がまた記事に出ていましたので紹介させていただきます。
前述のように国からは「どうせ誰も使わないんだし」と身の丈にあった運営への改組を進められている状況にあって、市長としては医療の充実という公約もあって診療科の拡大路線へ意欲的であり、これに対して公設民営化された病院管理者らとしては少し現実を見据えていこうじゃないかと言っている状況のようですね。

上野原市、新病院建設へ暗雲 市長「産科を再開」 VS 管理者「赤字膨らむ」 「撤退困る」市民に不安 /山梨(2010年9月4日山梨日日新聞)

 上野原市が計画している新市立病院の診療体制をめぐり、江口英雄市長と病院を運営する指定管理者・社団法人地域医療振興協会の主張が対立している。江口市長は公約を実現させようと産科の再開などを掲げ、基本設計に盛り込んだ。協会は「ニーズが少ない産科を設ければ赤字が膨らむ」と運営面から反論する。着工が来春に迫る中、両者が歩み寄る姿勢は現状で見られない。同病院は医師不足から経営が悪化、協会が運営に乗り出してから改善の兆しが出ていた。市民からは「市長が公約を実現したい気持ちは理解できる。ただ協会とゴタゴタして撤退されては困る」と不安の声も出ている。
 「市立病院に産科を設置するのが行政の責任」。江口市長は3日の定例会見で、新市立病院に産科を設ける考えを強調。「市長選は人口減少に歯止めをかけたい思いで立候補した。『産める、育てるまちづくり』という公約を新病院で実現したい」と述べた。
 市関係者によると、新病院の設計は、江口市長から指示を受けた協会側が内容を詰めた。しかし江口市長は(1)産科の設置(2)救急循環器診療体制の確立を含む血管造影室の設置-などについて再検討を求めたことで対立が深まった。
 協会側が産科設置に難色を示すのは、県計画で東部地域の産科は都留市立病院という方向性が出ているため。「産科があるに越したことはないが、医師確保は困難。市内の出生数を踏まえると、施設があっても赤字が膨らむ」との指摘が出ている。
 これに対し、市長サイドは医師不足で2006年秋から産婦人科を休止していることを踏まえ、「市民への説明会でも、産科の再開を望む声は多かった。公立病院だからこそ、不採算部門も設置できる」(病院対策課)と主張。医師確保は、市が進めるという。血管造影室について、市長サイドは重度の心筋梗塞(こうそく)や狭心症などに対応する救急循環器の診療体制を充実する狙いがあった。ただ協会側は「実現には数人の医師チームが必要」との理由から困難との見解。
 同病院をめぐっては、03年に15人だった常勤医が大学からの派遣縮小で、07年には3人に減少して存続の危機に陥った。08年に同協会が指定管理者となり、常勤医は9人に増えた。両角敦郎院長は「この病院は危機的な状況を乗り越えて常勤医が増え、経営が改善してきた再生途上の段階。まずは身の丈にあった医療を提供し、充実することが大切」と話す。江口市長は、3日の会見で「指定管理者にも努力してもらうようお願いする」と述べた。
 市内の男性(61)は「市長の公約達成は重要だが、現実問題として可能かどうか検討する必要がある。協会を無視するような強引な進め方は撤退という望ましくない結果につながるかもしれない」と懸念する。

このところ市の人口は横ばいから減少に転じているということですから、今さら産科などを拡充したところで仕方ないんじゃないかという意見もあるのでしょうが、逆にこういうところの体制がしっかりしていないと安心して子供を生み育てられないという考え方もあるでしょうから、これはこれで為政者として何が正しいということもない問題なのでしょう。
ただ現実問題として考えると、すでに一度撤退した産科をこのご時世にわざわざこんな地雷原めいた公立病院で再開するとなれば、いったいどこの誰が行きたがるのかということは気になるところですし、県の計画でもすでに産科施設としては見切られているとなれば、医者確保の問題は置くとしても今後県のバックアップも見込めない中、市単独で赤字の産科を維持していくだけの覚悟はあるのかということでしょう。
三顧の礼で産科医を招いたはいいがやはり無理でした、産科やめますでは全国産科医はおろか全科医師を敵に回しかねない話ですし、ましてやこんな病院で循環器救急をなどと気勢を上げてみたところで、常識的に考えて身の程を知れと突っ込まれて終わるのが当たり前ですよね。

この件を見ていて非常に面白いなと思うのは、一般的にこういう話になりますと現場の状況を無視した市民の声とやらに行政が振り回されて、無茶苦茶をやった結果崩壊に至るということが多いのですけれども、ある意味市長が必要以上に熱くなって暴走している結果なのでしょうか、むしろ市民の側からは「いやそんな無理でしょ普通に考えて」と妙に冷めた声が聞こえてきていることですよね。
現地ではかつて建設されたニュータウンも住人の高齢化が進んできてオールドタウンになりつつあるなんて話も聞こえてきますけれども、要するに地域としてこれからどんどん新規人口が増えていくという状況にはすでにないのだとすれば、150床規模の地域の中小病院として産科や循環器救急を充実させることが本当にニーズに合っているのかですよね。
市立病院の受診者数がどんどん減ってきたことからも見えるように、市民の側では今までも病院の身の丈に合わせて何とか折り合いをつけてきたのも事実でしょうから、この財政も厳しい折にここで無理に一足飛びに冒険をするよりは…と現実を見ている側面はあるのかも知れません。

そもそも公設民営というくらいですから民間が知恵を絞って一生懸命黒字化を目指して頑張っているというのに、肝腎の行政当局(というより、市長個人でしょうか?)が強権をもって新たな赤字要因を押しつけるというのであれば、一体何のための民営化かと感じずにはいられない話でしょう。
公設民営化後の行政介入と言いますと夕張の村上先生もずいぶんと文句を言っていましたけれども、公営時代にろくな経営も出来なかった人々が民営化後も経営が悪化するよう余計な口出しをしてくるのは悪しき伝統というものなのか、それともまさか「俺たちでさえうまくいかなかったものを民間人風情にうまくやられてたま るか」なんて、今どき時代錯誤の妙な意識でもあるのか、いずれにしても困ったものだなと思いますね。
同市長の奮闘ぶりなどは国民生活重視を掲げて政権を取ったはいいが、いざやってみると何やら公約に振り回されている感もある政権与党にも通じるところがあるような話ですけれども、公約というものが政治家のメンツのためなのか市民の生活改善のためなのかということもよく考えた上で、市民も納得できるような結論を出していただきたいところですよね。

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2010年9月 5日 (日)

今日のぐり:「王府古食坊(ワンフーグーシーファン)倉敷店」

夏の暑さのせいなのか、最近ちょっとそれもどうなのよと思われるようなニュースが相次いでいるようですが、これなど同情するべきなんでしょうが何かしら笑えてしまう話でもありますよね。

「暑くて、断食できない」政府へ怒り 電力不足のイラク(2010年8月28日朝日新聞)

 【バグダッド=貫洞欣寛】真夏に迎えた今年のラマダン(断食月)は、イラクのイスラム教徒にとって厳しいものになっている。日中の最高気温は50度近くにもなるが、電力不足からエアコンや扇風機は満足に使えない。猛暑の中、生命の危険すらあるとして、禁を破り日中に水を口にする人が絶えない。信仰の義務すら守れないことに市民はいらだち、怒りの矛先は政府に向けられている。

 バグダッド東部の製パン所で働くラスール・シャンマリさん(25)は、12日のラマダン初日、暑い職場で水を飲まずに仕事を続けていると、昼過ぎに脱水症状を起こして倒れた。しかたなく水を飲み、断食を初日から破る羽目になった。

 職場には高熱を発するガスのパン焼き窯がある。簡易式の冷房装置があり、満足に動けば、何とかしのげるはずだった。だが、1日2時間ほどしか電気が使えず、頼りの冷房を動かせない。室内温度は「何度か分からないが外よりはるかに暑い」。

 携帯電話会社で働くイサム・ファイクさん(36)も、今年は断食をあきらめた。通信施設の整備などの外回りの仕事が多いうえ職場のエアコンも動かず、水を飲まないと危険と判断した。周囲にも断食をあきらめる人が多いという。

 シャンマリさんとファイクさんは「国民が宗教的義務を果たせない状態を放置するなんて、政府は何をやっているんだ」と口をそろえる。

 イラクの電力インフラは、イラク戦争とその後のテロ攻撃などで破壊された。再建は遅れ、戦前の発電量を上回るようになったのは2008年からだ。

 だが、1990年のクウェート侵攻後に科されていた国連制裁が旧政権の崩壊とともに解除され、電化製品が自由に買えるようになったことなどから電力需要が飛躍的に増加、供給能力は需要の6割程度にとどまっている。さらに、送電網の未整備から、適切な供給ができず、人口密度の高いバグダッドの住宅街では1日数時間しか電気がこない状態が続く。

 代わりに繁盛しているのが、大型の発電機で、近所に電気を供給する「発電ビジネス」。バグダッドではあちこちで発電機がうなりを上げ、私設の電線がくもの巣のように張り巡らされている。だが、軽油不足のため料金が高騰しており、一般市民が十分な電力を得ることは難しい。

イスラム教というものは結構実際的な側面があるらしいですから、命に関わると言うことにもなればアラーの神もお許しくださるんじゃないかと思いますけれども、むしろ許してくれないのは同じ人間の側であるようです。
先日びっくりしたのが2004年のアジア最優秀選手で、アジア屈指のファンタジスタとして日本でも名が知られているカリミ選手がチームを解雇されたなんてびっくりニュースなんですが、その背景にもこうした問題があったようなんですね。

イランサッカーのスター選手、断食怠りチームを解雇(2010年8月17日CNN)

テヘラン(CNN) イランサッカー界のスタープレーヤー、アリ・カリミ選手(31)が、イスラム教が定めるラマダン(断食月)中の断食を破ったとして、所属チームのエスティルアジンから解雇された。同チームがウェブサイト上で発表した。

ウェブサイトでは、カリミ選手がチーム当局のたび重なる警告を無視したため解雇に至ったと説明。さらに、カリミ選手がイランサッカー協会の幹部を侮辱したとして非難している。

イラン学生通信(ISNA)によると、カリミ選手は協会幹部を侮辱したとされる問題について、何も誤ったことはしていないと主張しているという。

カリミ選手はイランスポーツ界で最も有名な選手の1人で、「アジアのマラドーナ」、「テヘランの魔術師」などの異名を持つ。ドイツのバイエルン・ミュンヘンでプレーした経験もある。

イランの法律では、ラマダン中、すべてのイスラム教徒に断食の実践が義務付けられている。

幸いにも同選手はすぐに再雇用されたようですが、まあ社会的批判を避けるためのパフォーマンスだったとしても、やはりスポーツなどの世界では少しばかりのお目こぼしもあっていいんじゃないかという気がしますがどうなんでしょうね。
今年は日本でも異常な猛暑だというくらいで、何やら暑いせいなのか頭がぼーっとなっている方も多いんだと思いますが、そのせいか各地で遭難事件も多発しているようですね。

あめ玉7個で13日間…遭難の30歳会社員救助(2010年8月28日読売新聞)

 27日午後3時5分頃、埼玉県小鹿野町の両神山(1723メートル)の七滝沢で、東京都大田区、会社員多田純一さん(30)が動けなくなっているのを、捜索中の小鹿野署の山岳救助隊員が発見した。

 多田さんは14日に入山して遭難し、13日ぶりに救助された。左足を骨折し、衰弱も激しいが、命に別条はない。「あめ玉7個と沢の水で飢えをしのいだ」と話しているという。

 発表によると、多田さんは13日夜に自宅を出発。14日朝、母親(63)の携帯電話に「天候が悪いけど、これから登ります」とメールしたのを最後に連絡がとれなくなった。日帰りの予定だったが、戻らないため、母親が15日未明に捜索願を出していた。

 発見現場は、標高1200メートル付近を流れる沢の脇で、救助隊員が呼び掛けると、涙を流して隊員の手を握ったという。多田さんは今年山登りを始めたばかりで、両神山への登山は初めてだったという。熊谷地方気象台によると、同山のある秩父地方では23日以降、連日、雷と大雨洪水注意報が発令されていた。

このびっくりニュース、もとより無謀な行動でもあるのでしょうけれども、装備もない素人が山でかれこれ二週間も過ごして何とか生還できたというのも、1200mの山の上ではあっても暖かだった気候のせいもあるかもですね。
一方こちらも同様に遭難ネタでやはり暖かな時期で助かったという話なんですが、これは非常にGJと言うしかない良いニュースなんでしょう。

警察犬が不明77歳を発見 県警が表彰(2010年8月28日読売新聞)

 県警は27日、行方不明になった高齢者を山中から見つけ出したとして、警察犬「ウイン号」(雄、2歳)と鑑識課警察犬係の吉留康正警部補(57)、中村悠太巡査長(27)に生活安全部長賞を授与した。

 ウイン号は19日、前日に外出して行方不明になった男性(77)の捜索に出動。男性の枕カバーのにおいを基に、最後に目撃された久留米市の山のふもとから約750メートルの竹林に倒れているのを発見した。

 表彰式で白石幸一・生活安全部長が吉留警部補、中村巡査長に表彰状を授与。「発見が遅れれば生命の危険もあった。功労は大きい」とたたえ、ウイン号には好物の牛のあばら骨約20キロが渡された。

 吉留警部補はウイン号に代わり、「発見した後、男性の家族が涙ながらにお礼を言って体をなでてくれたのがうれしかった」と笑顔で話していた。

記事の写真、お手柄のウイン号が神妙に表彰状を受けているというシーンのはずなんですが、どう見てもウイン号の目線が牛骨の方に釘付けになっているのがなんと言うかですね(苦笑)。
このあたりですとまだかわいげがある遭難ニュースですが、海外からはいささか欲の皮がどうなのかという記事が出てきているようです。

キノコ大発生のイタリア、山の幸に夢中で18人死亡(2010年8月30日ロイター)

 [ミラノ 29日 ロイター] イタリア北部の山岳地帯では、キノコ狩りに夢中になるあまり安全手順を無視する人が増え、これまでに18人以上が転落するなどして命を落としたことが分かった。現地紙レプブリカが29日報じた。

 同紙は、キノコ狩りをする人は「不注意な行動をする人が非常に多く、残念な結果につながっている」という救助隊員のコメントを掲載した。

 イタリア北部では8月に入って続いている雷雨や暑い天候のため、キノコが大量に発生しており、キノコを探す人の死亡事故も増加。9日間に計17人が転落するなどして亡くなったほか、ANSA通信によると、29日にもキノコ狩りに出かけたまま行方不明になっていた男性が遺体で発見された。

これも異常気象の犠牲者という言い方も出来るのかも知れませんけれども、さすがにキノコを狙いすぎて事故死ではそれどんなマ○オ?と突っ込みが入りそうですよね。
一方でこちら中国でもある種の異常が続いているということなんですが、これはどちらかというと人災と言うべきものではないのでしょうか?

割ってびっくりニセ卵、価格高騰で出現―中国・青島(2010年9月2日サーチナ)

 中国山東省青島市では卵の値段が4.2、4.5、4.7元と連日値上がりしており主婦の頭を悩ませているが、少しでも安く買いたいという心理をついて、ついにニセモノの卵が出現した。1日付人民網が報じた。

 ある女性は朝8時、青年が市場の前で500グラム3.6元という掛け声がありスーパーでの特価よりも安いため早速購入した。午後、女性はトマトと一緒に炒めるつもりで卵を割った後、卵白と卵黄が混ざって変質しており、しかもわずかに異臭も放っていることに気付いた。残りの10数個の卵を調べてみたところすべてそのようなものだったので、すぐ市場に戻ったが青年は姿をくらましていた。

 ニセ卵は炭酸カルシウム、パラフィン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、色素などを合成して作られるが、もちろん食べることはできない。(編集担当:中岡秀雄)

いや色々と言いたい事はあるんですけれども、取りあえずまがい物を売るにしてもせめて食べられるものを売れよと考えてしまうのは自分だけでしょうかね?
人間界のみならず自然界でも暑さでどうかしたのかと思わされるのが、こちらの何とも奇妙な出来事なんですが、しかし今は良いとして後でどうなるんでしょうね?

<チョウ>猛暑で異変!? 秋に南へ移動するアサギマダラ、涼しさ求め?北へ(2010年9月3日毎日新聞)

 海を渡るチョウとして知られるアサギマダラの生態解明のため、「群馬の蝶(ちょう)を語る会」(広沢隆一代表)が8月下旬、嬬恋村でマーキングして放した2匹が、約20キロ北の長野県高山村で捕獲されたことが分かった。アサギマダラはこの時期、秋の南への大移動に備え、少しずつ南下すると言われているが、北への移動が確認された。マーキングした同会の田島茂さんは「暑すぎるため涼しい地を求めて北に行ったのではないか」と話している。

 同会によると、アサギマダラは8月21日の「マーキング会」で、嬬恋村の桟敷山林道から放した510匹のうちの2匹。4日後の25日に長野、群馬県境の毛無峠付近で嬬恋村在住の平井博さんが捕獲した。羽には、放した場所と人を示す「サジキ C136」などとマーキングされており、同会の田島さんと伏島済さんが放したものと判明した。平井さんは反対側の羽にマーキングして再び放したという。

 捕獲の連絡を受けた田島さんは「短距離の移動についてのデータがあまりないので、生態を解明するのに貴重な資料になる」と話している。

 アサギマダラは、前羽の長さが4~6センチで日本全国に分布。夏は標高1000メートル前後の高原に生息し、秋になると海を越え1000キロ以上の「渡り」をするチョウとして注目されている。愛好者は羽に捕獲者や場所などを「マーキング」して放し、インターネットで情報交換も行われている。【増田勝彦】

しかし素朴な疑問なんですが蝶なんて無茶苦茶な数がいるでしょうに、よく放したものがまた捕まったなと感心しますね。
最後に控えますのはご存知ブリからの素晴らしいニュースですけれども、英国人男性あこがれの対象とも言うジェームズ・ボンドがこんな死に方をしたとしたらものすごく嫌ですよね…

変死のMI6職員、現場から「SMセット」発見?英報道(2010年08月30日AFP)

【8月30日 AFP】英ロンドン(London)で英秘密情報部(Secret Intelligence Service、SIS)、通称「MI6」職員の変死体が見つかった事件で、現場から「ボンデージ」などSMプレー用の道具が発見されたとの報道が物議を醸している。

 事件は23日、MI6職員だったガレス・ウィリアムズ(Gareth Williams)さん(30)が、本部そばの自宅アパートの浴槽に置かれたカバンの中から遺体で見つかったもの。遺体は死後、2週間ほどが経過していた。

 この事件をめぐり英紙タイムズ(The Times)が27日までに、現場アパートから警察がSMプレーに使用するボンデージの道具一式を発見したと報道、ウィリアムズさんと同性愛者のエスコートサービスとの関連を示唆した。

 これにウィリアムズさんの遺族らは、苛立ちをあらわにしている。親戚の女性は「根も葉もない報道」と反論。「ガレスの両親はひどくショックを受けている。わたしもガレスがそんな人間だとは想像したこともない。それに私生活で何が起ころうと、それは彼自身の問題」と話した。

 捜査当局は、捜査の詳細は明かせないとして報道に関するコメントを避けている。

■「控えめ」「数学の天才」に何が起きたのか?

 遺体発見直後の検死で死因が特定できなかったため、捜査当局では現在、アルコールや薬物の痕跡がないか調べている。アパートには、無理やり押し入ったような形跡はなかったという。

 殺害されたウィリアムズさんは、数日内にも1年間のMI6での任務を終えて、
チェルトナム(Cheltenham)の政府通信本部(Government Communications Headquarters、GCHQ)に復職する予定だった。

 ウィリアムズさんの人柄について友人らは、控えめで数学の天才と評している。また、幼なじみの男性は夕刊紙イブニング・スタンダード(Evening Standard)に対し、「非常に賢かったが、他人に影響されやすかった。他人と関係を築くのが苦手なタイプだった」と証言。ウィリアムズさんの数学の教師だった男性は、「教え子の中でも間違いなく一番の秀才で、1度の説明で全てを理解した」と語っている。

日本であれば少なくとも一般紙でこうまで突っ込んだ記事が掲載されることはまず考えがたいところですが、タイムズと言えば世界最古の日刊紙と言われるくらい歴史も伝統もある高級紙でしょうに、やはりブリの呪縛からは逃れられなかったということなのか、それともあの有名なるボスの趣味ということなんでしょうかね?
まあしかし、知性と性癖というのは全く無関係であるということをこれ以上ない形で明快に示した事例という事に、これはなるんでしょうか…本人はともかく、家族にとってはものすごく嫌な死に方ではありますけれども。

今日のぐり:「王府古食坊(ワンフーグーシーファン)倉敷店」

倉敷市街地から少し外れた場所にあるこちらのお店はなかなかの人気店のようで、普段は結構行列が出来ていたりすることもあるようなんですが、この日は良い具合にさほど待たされることもなく席に着くことが出来ました。
しかし暑い夏なのにやたらと鍋を囲んでる人が多いなと思いましたら、しゃぶしゃぶの食べ放題があるんですね。
何故にわざわざ中華料理屋でしゃぶしゃぶなのかとも思いますが、スープなり味付けなりに工夫がしてあるということなんでしょうか、食べ放題としては値段も手頃なようですし人気なのでしょう。

この日は季節の彩りコースなるものを頼んでみましたが、いろいろと品数も多いことに加えていわゆる定番ばかりではなく少しひねった料理も多いというのは楽しいコース設定だと思いますね。
こちらの店は以前にもお邪魔したことがあって、麻婆豆腐などを始めメリハリのきいた濃い味の料理が中心なのかなと感じていたのですが、前菜の冷菜盛り合わせや野菜スープなどから入っていくとすっきりした味わいの組み立てになっていて、この時期胃が疲れ気味という方にもいいんじゃないかという気がします。
焼売などはありきたりな味で正直もう一つ面白くないかなと思ったのですが、例えば大ぶりの海老は臭みもなくぶりぶりした食感も保たれているし、野菜料理などもしゃきしゃき感をきっちり残した火の通り加減と、基本的な調理技術はしっかりしているなというのは以前来た時と変わらない印象です。
わりあい素材の味が表に出てくるすっきりした淡口の味が多かったのですが、後半になると徐々にしっかり濃い味わいも楽しめる、しかしコース後半でそろそろ口も胃も疲れてきた時期ではあっても重すぎない程度だし、中華粥から甘いもの(これもちゃんと低脂肪系が用意されているのはありがたいです)につながっていく最後まで口飽きせずに楽しむことが出来ました。

それなりに季節の野菜も食べられる内容で同行者の評価も悪くなかったですし、実際経営的には順調に流行っているということなのでしょうが、味の組み立てからするとスープの味をもっと前面にどんと押し出してくるような案配の方が好みでもあるので、今のところこの界隈の中華料理店の中では「娘娘」に一歩を譲るという評価になるのでしょうか。
もっともあちらは初期の「こんな値段でこんな料理が!」的な驚きはなくなって妙に高級路線っぽくなってしまったことを考えると、価格帯的にも店の雰囲気的にもこちらの方は未だに大衆路線を保っているというのは好印象ではあるところで、「ちょっと外で食事を」なんて日常的な用向きにも気軽に使いやすいですよね。
それなりに忙しい時間帯にも関わらず顧客対応もまずまずで、それなりに気がつくスタッフがそろえられているのも良い印象ですし、こちらのように味と価格のバランスをきちんと取っていて、そして食べ放題など大食い系にも手厚い対応といったあたりが、今の時代にはあっているということなんでしょう。

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2010年9月 4日 (土)

またまた斜め上な話題がてんこ盛りな、とある業界の話題

ネットというものの発達もあってすっかり新聞社は元気がない、それどころかテレビまで見ない人間が増えてきたなんて話を聞く今日この頃ですが、既存メディアの求心力は日々低下してきていると言うことなのでしょう。
そんな中で当「ぐり研」でも何度か登場いただいている上杉隆氏らが、最近すっかり経営状態が怪しいとされている新聞社の未来について対談をしていますけれども、本日まずはこちらから引用させていただきましょう。

最後に残る新聞社はどこなのか(2010年08月30日ビジネスメディア誠)

 ジャーナリスト・上杉隆氏、作家/経済ジャーナリスト・相場英雄氏、ノンフィクションライター・窪田順生氏の鼎談連載9回目。購読部数や広告費の減少などにより、新聞社に“逆風”が吹き荒れている

 激変する環境の中で、一体どこの新聞社が生き残っていくのだろうか。この問題について、3人が語り合った。【土肥義則,Business Media 誠】

●最後に残る新聞社

相場:通信社での仕事は一瞬で記事をまとめる――いわば職人技が求められます。「このネタはダメだ」と判断したときには、速報を流しません。しかし最近はネットの発達によって、各社の速報競争に拍車がかかってきた。これは複数の現役記者から聞いた話なのですが、記事にするか判断に迷っていると、上司から「書いてしまえ!」と命令が飛んでくるそうです。昔だったら、確実に書かなかったことでも、最近では突っ走る傾向があるようですね。

上杉:通信社の仕事というのは、それなりの職業訓練が必要になってきますよね。新聞社もまた別の訓練が必要となります。

相場:そうですね。

上杉:なのに大手新聞各社は、ネット上で速報記事を流している……。それは通信社の仕事、危ないなあ朝日新聞は(笑)。

相場:ハハハ。

窪田:朝日新聞の記者は、通信社が行う訓練を受けていませんからね。

上杉:新聞各社は生き残り策を模索しなければいけないのに、まだ合従連衡がうまく進んでいない。しかし最後に残るのは逆に現在の弱者の毎日新聞や産経新聞ではないか、という話をホリエモン(堀江貴文)としました。いまの記者クラブを中心としたメディアシステムは、すでに破たんしている

 また 1つの事業者が多くのメディアを傘下に置くクロスオーナーシップの制度の下では、読売グループが強かった。しかしこうした制度がなくなってくると、これまで強かった読売新聞などのメディアが一気に瓦解するかもしれない。その一方で、なんとか生き残ろうと必死にもがいている毎日新聞や産経新聞が残るかもしれません。

●プチスピンドクターがいない

相場:今の菅政権はどのくらいヒドイのでしょうか? 

上杉:官邸内の話でいうと、とてもヒドイですね。その理由は2つあって、1つ目は官邸官僚を使いこなせていないこと。もう1つは記者クラブ制度を中途半端にしてしまっていること。中途半端に開放するという選択肢はなく、もうオープンにするかクローズにするしかない。しかし中途半端なままにしているので、ヘンな敵まで作ってしまった。

 そういう意味ではスピンコントロール(情報操作などを行うこと)が全くできていない。メディアコントロールはとても大切なのに、日本の政権だけができていない。

窪田:なんでこんなにコントロールされていないんだろう、といった感じですね。

上杉:スピンコントロールを意識的に行っていたのは、小泉政権のときの飯島勲さん。小泉政権が強かった背景の1つに、飯島さんの力が大きかったのではないでしょうか。あとは石原都知事の特別秘書を務めている高井英樹さんも、スピンコントロールを行っている。

窪田:官房機密費を手にしていた“大物”解説委員たちは、これまでプチスピンドクターのような役割を果たしていた。しかし今は、彼らのような後継者が育っていない。プチスピンドクターもいることはいるのですが、みんな小物ばかりなので、中途半端なスピンしかできていないですね。

上杉:以前、窪田さんと対談したときに「日本は記者クラブがスピンドクターだ」という話をしました。しかしその記者クラブが崩壊しつつあるので、今はスピンがきかなくなっている状態ですね。

相場:1990年代の半ば、銀行はスキャンダルまみれでしたが、ある銀行の行員は情報操作がものすごくうまかった。もちろん本人は「自分はスピンドクターだ」という意識はなかったと思うのですが、直に頭取と記者をつないでくれたりした。なので、その人にあたれば、記者は情報をとることができた。また情報操作がうまい人がいる銀行では、問題が起きても、あまり傷が大きくならないんですよ。

窪田:頭取という意思決定ができる人間と直にやりとりができる情報参謀みたいな人がいたわけですね。それを政治で例えると、自民党の派閥のボスにくっついていた政治記者になる。しかしそうした政治記者も、かつての輝きを失ってきている感じがしますね。

相場:例えば出版社から「菅政権のことについて書いてくれ」という話が来ても、誰に取材すればいいのか分からない。つまり、キーになる人が見えてこないんですよ。

 しかし民間企業であれば、ニオイで分かったりする。この人を抑えておけば、記事にすることができる、といった感じで。

上杉:菅さんと(官房長官の)仙谷さんに関しては、記者クラブ制度に関する理解がない。そもそも多くの政治家は、記者クラブに問題があることすら理解できていない。なぜなら政治家も一緒になって、“洗脳”されてきたから。問題がそこにある、ということすら分かっていない。

窪田:政治家になったときからスピンコントロールされているので、理解することができないんでしょうね。

上杉:官邸システムのことを一番よく分かっているのは、古川元久官房副長官ですね。彼とは記者クラブ制度のことをよく話をしていたので、完璧に理解している。しかしマスコミ担当からはずれてしまった。で、福山哲郎官房副長官が担当することになったのですが、古川さんと比較すると記者クラブの問題点を完璧に理解しているとは言いがたい。

 菅さんについては、スピンコントロールのことを言っても「はあ!?」といった感じ。彼はネットをうまく使いこなせていないし、そもそも記者クラブ問題を理解しようともしない。だから、なぜネット上で記者クラブ問題が盛り上がっているのかが分かっていない。ただ 40代の枝野幸男幹事長は違う。情報公開の意味を認識し、記者クラブ制度に問題があることも分かっている。なので政治家の間にも、世代による差がものすごくありますね。

 これは政治の世界だけではなく、メディアでも同じことが言える。日本民間放送連盟の広瀬道貞会長は正しいことを言っている。正しいことを言っているんだけど、それは1980年代であれば正しい、といった内容。要するに時代から遅れてしまっているのに、そういう人たちがメディア界を牛耳っていることが問題です。

こういう話を聞いてみますと、今の新聞社の窮状というのは単に末端消費者に情報を売るという部分だけの問題ではなく、一次ソースをきちんと仕入れる、そしてそれを売れる状態に加工して流すという全てのステップでどうもうまく回っていないんじゃないかという気がしてきますよね。
日本の大手新聞社のような大メディアが何故そうまで取材力、発信力が低下してしまったのか、記者クラブ制度に趺坐をかいて官製情報をそのまま垂れ流すことに専念してきたツケが回ってきているのかも知れませんが、いずれにしても近い将来新聞業界においても既存のヒエラルキーを崩壊させるような事態が発生してくるのかも知れません。
ちょうど先日その一端を垣間見せるような記事が出ていたのですけれども、かつて「受験のために朝日新聞を読め」なんて言われていた世代にとってはなかなか感慨深い話ではないでしょうか?

日本の高級紙は「朝日」ではなく「読売」に?(2010年8月28日アメーバニュース)

 「芦屋などの阪神地区、横浜の山手地区、鎌倉などを崩すのはなかなか難しい」

 こう話すのは全国紙の販売社員。富裕層やインテリ層が多く住む地区では朝日新聞が強いとされており、日本でクオリティペーパーといわれる所以である。

 ところが、最近は少し違った調査結果が出たようなのだ。それは、朝日よりも読売新聞の方が、収入や社会的な地位の高さが逆転したというのだ。

 週刊新潮によると、2009年度の「全国新聞総合調査」(ビデオリサーチ社)の結果で、数パーセントながら読売が朝日を逆転したという。読売、朝日、日経の3紙を比較すると、役職、勤務先の規模、小遣いなどの項目で、読売が他者に勝ったそうだ。

 日本でクオリティペーパーと言えば、これまでは朝日新聞が代表的な存在であった。しかし、富裕層やインテリ層も趣向が多様化しているということか、朝日独特の反権力のカラーは変わらずとも、読者の趣向は時代とともに変化しているようだ。

今の人間には全く考えもつかないかも知れないですが、確かに内容はともかく朝日と言えば読者は良いところ育ちのインテリであったり、文章自体もクオリティーが高く、小論文と言えば朝日の天声人語を学んでおけなんてことを言われていた時代もあったのですが、時代も変われば変わるものです。
そもそも朝日と言えば反権力指向が昔から一つの売りですけれども、全盛期の自民党という圧倒的な権力が表舞台から退場してしまっては、足下の頼りない民主党相手に喧嘩を売ってみたところでサマになるとも思えず、そのあたりも昨今いかにも朝日らしいアイデンティティーが怪しくなりつつあることの原因なのかも知れませんね。
昨今では電波ソースとしても価値も毎日あたりにお株を奪われてしまった感すらありますが、ひと頃のもの凄く強烈に電波をゆんゆん言わせていた朝日を知っている人間としては、もう少し頑張ってみてもらいたいという気もするところですね。

新聞業界の話はともかくとして、本日は専らテレビ業界に関わる話題の方を取り上げてみたいと思いますが、先日放送されました恒例の24時間テレビなど、今年も期待に違わずなかなか素晴らしい内容であったように聞き及んでいます。
当然ながら毎年恒例のイベントですから突っ込みどころには事欠きませんけれども、この番組について世間はこう見ているのだという話を紹介してみましょう。

日テレ24時間番組に対してYahoo!のコメント欄が大荒れ 「チャリティーの割にギャラ入るとか矛盾してる……」(2010年8月30日ガジェット通信)

毎年この季節に恒例の番組と言えば日本テレビの『24時間テレビ33 愛は地球を救う(以下、24時間テレビ)』だ。2010年8月28日、29日に放送され今年のマラソンのランナーは、はるな愛。無事完走することもでき母と抱き合う場面もあった。チャリティー番組『24時間テレビ』のゴール時点での募金額は2億7992万6839円という集計が発表されている。尚、この数字は番組終了間際の仮集計で、最終的にはこの番組を通し例年9億円~10億円の募金が集まっているようだ。

そんな『24時間テレビ』に対しYahoo!ニュースのコメント欄では約1200件もの投稿がされており批判が相次いでいる。そんな批判の一部を紹介したいと思う。

三億円弱の募金集めるのに、15億円かける馬鹿な番組。
・日本テレビは、数億円のCM収入料とタレントのギャラを、全額募金するべき
・なぜ午後8時45分にゴールなんだ? 完璧に計算されてる。
・そろそろこの企画止めない? わざとお涙頂戴誘ってるようで、わざとらしい。
・チャリティーの割にギャラ入るとか矛盾してるよな。
・次から次へと障害者を餌に涙をさそうのはやめようや 度が過ぎるといやになる
・不謹慎かもしれないけどこの番組は障害者を”見世物”にしてるとしか思えないんだよね。
・最後徳光さんの実況がかなりウザいウルサい耳障りだった!黙れ!
・24時間テレビを1秒も見ませんでした。
感動の押し売りはやめてほしいですね。
・AKBの前田って奴は感情が現れないのがよくわかりました。
・その番組制作費を募金しろ

と、ほとんどが批判コメント。このようなコメントでの批判にもかかわらず視聴率は上々で例年通り良い数字が取れたとの話も。例年の批判で根強いのは出演タレントがギャラをもらっている点への指摘だ。人によって感じ方は違うかもしれないが、チャリティー番組でギャラを受け取るタレントがいるという話をきくと、違和感を覚えてしまう人も多いのではないだろうか。実際、海外のチャリティー番組では豪華な出演者を揃えた上にノーギャラだという話もある。

このようなネットの声は例年この時期『24時間テレビ』が放送されると沸き上がってくる。ネットの普及につれこのような声も徐々にテレビ視聴者層へ浸透し始め、『24時間テレビ』のスタイルに対する批判が伝わってしまうのも時間の問題ではないだろうか。そうなれば出演者のギャラの扱いも今後変わってしまうのだろうか?

ま、チャリティー番組とはどうあるべきかということに関してもテレビ局なりの見解はあるのでしょうが、この番組の場合チャリティーに名を借りた何かとかいった話に留まらず、どうも舞台裏ではずいぶんとえげつない事もやっているらしいと噂にはなっているようですね。
昔と違って今は当事者自身がネットなりつぶやきなりで幾らでも暴露ネタを公開してくれるような時代ですけれども、もしこうしたとんでもない話が事実であるとしたら、チャリティー番組を表看板にした組織的詐欺行為と言っても過言ではないような気がするんですが、どうなんでしょうかね?
日テレと言えばこれ以外にも最近話題になった話として労組がストを打ったという件がありまして、もちろんスト自体は当然の労働者の権利でむしろやるべきなんだろうと思うのですが、こちらもいろいろと物議を醸してはいるようですね。

日テレ労組、24時間ストへ アナウンサーは除外検討(2010年9月1日朝日新聞)

 チャリティー番組「24時間テレビ」を放映したばかりの日本テレビの労働組合が、賃金制度改革をめぐり、1日正午から全職場で24時間のストライキを決行する見通しだ。日本テレビ労組には社員約1200人の過半数が加入しているが、アナウンサーなど一部の組合員についてはスト参加を除外し、放送への影響は最小限にとどめたいとしている。

 日本テレビでは今年3月、新たな賃金制度を会社側が組合に提示。昇給ペースの抑制や残業単価の切り下げなど、「不利益変更」と見られる内容が盛り込まれていたため、労組は受け入れを拒否し、5月には2時間の時限ストを実施した。会社側は当初予定していた7月の導入を見送り、協議が続いてきたが、8月31日の交渉でも合意に至らなかった。

 労組幹部は「社員の努力で2009年は増益を実現した。将来への備えという理由だけで、さらに賃金を抑制するのは不当だ」としている。

「“24時間スト”テレビ局」から見えてくるもの(2010年9月2日リアルライブ)

 「24時間テレビ 愛は地球を救う」を放送した日本テレビが昨日、正午から24時間ストライキをはじめた。社員の過半数が加入する日本テレビ労働組合が、賃金制度改革の撤回を求めて行っている。ちなみに、テレビ局のストライキというのは決して珍しいことではない。昨年もTBSでストライキが行われている。

 「いったいこっちの何倍の給料をもらってるって話ですよ」と語るのは制作会社社員。ただ、「局の社員たちの要求とは別に、これは局の現状を世間に示すのによかったと思いますよ」とも語る。アナウンサーや取材現場に関わる組合員は除外されているとのことだが、ストに入ったといっても放送にはなんら影響はない。「結局、現場レベルは外部の制作会社が担当しているので、放送に影響は少ない。なので別に局の正社員がいないところで変化は特にない」(制作会社社員)。

 また、この外部の会社へ番組制作を振ってしまうというシステムも経費削減以外に、実は今回のストライキのような時のための防御策でもあるという話もある。「テレビ制作の現場は過酷な時もある。そのたびに社員にストライキを起こされたら経営陣が持たない。そこで外部の会社に振って、もし労働環境で文句が出たら“それはあたなの会社の経営陣に言って”と回答できる。ある意味で労使関係の抜け穴」(業界紙記者)。

 実際にストライキを行っている組合員たちの思惑とは別に、局内のリアルな構図が見えてくる。果たして、「ストはテレビ局を救う」ことができるのだろうか。

テレビ局の収入がいいなんて話は別に今さらな話題で、例えば経営厳しいという日テレにしても全業種を通じた生涯給与ランキングでベスト10入りしているというくらいですが、それにしても「正社員がいないところで変化は特にない」とまで言われてしまうようでは、一体何のために高い給料を取っているのかとは思わされる話ですよね。
かの業界ではとりわけ下請けいじめ、搾取といった問題が激しいようで、何しろそういう話を一番好きそうなテレビ局が自らやっていることですから表に出る機会もそうそうない話題なんですが、それにしてもスト回避といったことまでも下請け会社に回そうなんてことを考えていたとは恐れ入りました。
ちなみに昨年はストをやったというのがTBSなんですが、こちらは視聴率競争でもすっかり惨敗中だけに「社員の努力で増益を実現した」なんて言えるだけの材料もないのか、今年はすっかり意気消沈している気配ですよね。

全米プロゴルフでも顰蹙「残念なテレビ局」TBSの哀しい視聴率( 2010年08月30日週刊現代) 

 TBSがゴルフファンの怒りを買う「大失態」を犯した。石川遼、池田勇太の日本が誇る二大スターが出場した全米プロゴルフ選手権。

 8月13日の初日は濃霧で試合開始が遅れたとはいえ、石川のプレーをすべて映像でフォローすることができず、飛び飛びの放送になってしまったうえ、ホールアウト後のインタビューも放送時間内に間に合わなかった。2日目は石川が3ホール目まで進んだところで、あえなく放送時間終了。

 最終日、大接戦となった白熱の優勝争いも、ナマ放送の時間設定を間違えたためか、最終盤の競り合いをまったく放送できなかった(深夜に録画放送)。お盆休み中の早朝、テレビの前に座ったファンには「裏切り」とも言える中継だった。

社内の沈滞ムードは深刻です。14日に放送した倉本聰が脚本を手がけた終戦特番『歸國』は、ビートたけしら大物を集め、鳴り物入りで番組宣伝に努めたにもかかわらず、視聴率は14・7%にとどまった。ところが局内では、『いまのTBSなら上出来(の数字)。考えていたより良かった』という声が大勢なんです」(放送作家)

 TBS社内でいま、もうひとつ話題になっているのが、「魔の水曜日」と呼ばれる視聴率問題である。

「以前から水曜は視聴率が10%を超える番組がひとつもないことがほとんどなんですが、ついに夕方4時からの『水戸黄門』再放送がゴールデンタイムの番組を上回り、終日視聴率の1位になってしまったんです」(TBS社員)

 調べてみると、6月23日水曜の『水戸黄門』再放送の視聴率は7・3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。ゴールデンタイムに放送されたドラマやバラエティを抑え、堂々の視聴率1位だった。最近でも8月4日は「番組終了時点」視聴率で、『黄門』が1位となっている。

 社内では、「こうなったら黄門の再放送をゴールデンタイムでやろうか」なんてヤケクソ気味の声も出ているという。TBSは赤坂の一等地に広大な土地を持ち、多大な不動産収入があることで知られるが、「番組力」を高めることこそが最優先だろう。

TBSと言えば以前にもゴルフの試合中にカートを暴走させて被害者を出したというとんでもない前科がありますけれども、何かしらゴルフというスポーツに対して含むところでもあるということなんでしょうかね?
未だに水戸黄門しか頼るものがないなんてことでは社業もガタガタなんだろうとは想像できますけれども、番組力とやらを高めると言う以前に人としてジャーナリストとして守るべきことがあるのではないかという記事がこちらです。

TBS:官房機密費報道で謝罪 野中氏から指摘受け(2010年8月28日毎日新聞)

 TBSテレビは27日夜の報道番組「NEWS23クロス」で、7月に放送した官房機密費のニュースの中で「報道の公平中立性を欠き、視聴者に誤解を与えかねない」点があったとおわびした。

 同番組は7月21日に、鈴木宗男・衆院外務委員長の「沖縄県知事選に官房機密費から3億円を投入したことがある」との証言を放送したが、当時官房長官だった野中広務氏には「証言内容について取材していなかった」という。野中氏から事実誤認と指摘されたことを受け、この日の番組内で「野中氏は沖縄県知事選挙に官房機密費を支出したことはないと話しています」と伝えた

この機密費問題というものも以前から取り上げているところですが、各社とも相当に後ろ暗いところがあるのかろくに追求もしていないようですし、うっかり口を開けばこのように華麗なカウンターを決められてしまうと言うことなんですが、取材もせずに報道するなどと言う論外の行為もさることながら、そもそも自分たちがたっぷり金を受け取っておきながらどの面さげて他人を批判しているのかという話でもありますよね。
こういうことを言い出すと「だからマスコミ人は金銭で堕落させられないように優遇しておかなければならないんだ!」なんて妙な正当化をされても困りますが、他人に対して必要以上にモラルの倫理のと追究するくらいならまず自分たちが何とかしろと言うことではないかと思います。
何とかしろと言いたくなる点では、最近ネット界隈などでも大人気?のアグネス大明神なども相当なものだと思いますが、先日大槻教授の「予告」に引き続いて、とうとう犯罪行為の弁明に追い込まれてしまったようですね。

アグネス・チャンのパワーストーン 薬事法抵触で表現を削除へ(2010年8月27日J-CASTニュース)

   アグネス・チャンさん(55)の所属事務所が運営している商品サイトに、薬事法などに抵触する可能性のある表示があることが分かった。アグネスさん本人がデザインしたパワーストーンや輸入元が販売している健康食品の霊芝で、病気に効くことをうたっているからだ。アグネスさん側は、「誤解を与えるのは本意ではない」として、指摘のある表現を削除するとしている。

    「オーナー アグネスより皆様へ」

   パワーストーンなどが販売されているのは、こんな紹介がある楽天のショッピングサイト「チャンズ」だ。

霊芝でも「目を治し、肝臓の機能を補う」

   そこでは、タレントのアグネス・チャンさんが顔写真付きで、ファンらの利用を呼びかけている。

   風水を取り込んだという開運グッズのパワーストーンは、紹介コーナーで、色ごとなどに11種類のブレスレッドを写真付きで掲載。すべて3780円の商品で、「ピンクは恋愛運、病気緩和に効くそうです」「黄緑は健康運、仕事運、家庭運を呼び込む」などとうたってある。

   また、健康食品コーナーでは、きのこの霊芝をエキスにしたもの60粒入りの商品を2万円弱で販売。中国の医薬書を引用して、「目を治し、肝臓の機能を補い、心を落ち着かせ、寛容な心のも持ち主にする」などと紹介したほか、肝機能にいい影響があったという利用者の体験談も載せた。12箱セット20万円弱のもある。

   ネット上では、こうした商品販売について、「怪しい」などと批判する声が相次いでいる。

   オカルト批判で知られる早大の大槻義彦名誉教授は、自らのブログで2010年8月25日、アグネス・チャンさん側の商法を批判した。読者から疑問を示すメールが来たといい、慈善活動や教育を隠れ蓑にしているとして、27日もブログで批判的に取り上げた。

「健康、恋愛にいいと言って売る商法をやるつもりはない」

   大槻義彦名誉教授は、取材に対して、こう指摘する。

    「パワーストーンとして病気の緩和や健康運などをうたうのは、これまでの霊感商法とまったく同じです。霊芝は、食用に適さず、摂取によっては副作用があると専門家が警告しています。2万円近くするというのは、すごく高価ですよ。極めて不適切な商売であり、教養もあるタレントがなぜこんなことをするのか、不思議ですね」

   アグネスさん側の商品販売方法は、法的に問題がないのか。

   厚労省の監視指導・麻薬対策課では、パワーストーンや霊芝で病気に効くとうたったことについて、薬事法に抵触するとの見方を示す。中国の医薬書を引用したりしても、同じことだという。健康運を呼び込むなどのうたい文句は、薬事法に引っかからなくてもありえない表示であり、景品表示法に抵触するとしている。

   所属事務所トマス・アンド・アグネスの金子力代表は、取材に対し、パワーストーンについて、「健康、恋愛にいいと言って売る商法をやるつもりはまったくありません」と主張。その誤解を招くのは本意ではないとして、こうした表現を2010年8月27日中にも削除することを明らかにした。

   また、霊芝についても、同様な理由から、27日中にも削除するとした。商品そのものは、医学者をしているアグネスさんの姉らが開発したもので、「変なものではありません」という。故郷の中国・香港では1万円ほどの商品を輸入したもので、決して高くはないとしている。

   パワーストーンの記述や中国医薬書の引用は、ファンサービスの一環で、1つの情報として付けていたという。

   こうした商品販売について、金子代表は、「たいして売れている商品ではありませんし、トラブルは一度もありません。アグネスは、カトリック信者ですので、オカルトには興味もなく、むしろ批判的です」と強調している。


アグネス・チャンがブログで弁明 「薬事法抵触全く知らなかった」(2010年8月30日J-CASTニュース)

  タレントのアグネス・チャンさん(55)が2010年8月29日、薬事法などに抵触する可能性がある買い物サイト表示の問題で、ブログなどで弁明した。

   アグネスさんの所属事務所では、運営する楽天上の買い物サイト「チャンズ」で、ブレスレッドをパワーストーンとして「病気緩和に効く」とうたったり、きのこの霊芝をエキスにした粒状商品を「目を治し、肝臓の機能を補う」とPRしたりしていた。

「霊感商法は大嫌いです」

   このことについて、アグネス・チャンさんは、「薬事法抵触の事も全く知らなかった」と主張した。そんな商法をする気もまったくなかったとして、事務所から報告を受けたときは驚いたという。表示を削除したことも聞いたが、それでもショックだったと明かしている。

   アグネスさんは、早大の大槻義彦名誉教授がブログで霊感商法と同じと指摘したことやこの問題を取り上げたJ-CASTニュースの報道に触れながら、「霊感商法は大嫌いです。絶対にやりたくないです」と強調した。

   そのうえで、「私は有害なオカルトは反対。クリスチャンなので、オカルト関連の活動など全くしていません。誤解を与え、ファンの皆さんに心配をさせて本当に悔しい」と心情を明かした。そして、「今後、こんな誤解を招く事がないように、私も、スタッフも気をつけます」と説明している。

「儲けようとかは全くしてないです」

   アグネスさんは、ツイッター上でも、この問題に触れ、買い物サイトについて、東京・お台場にあったグッズショップを止めてネット上に販売を移行した経緯を明かした。

    「ファンのためだけのサイトで、管理人も今は居ない。正直なところ、指摘された商品もサイト通しては売れていない。CDや本が時々売れるくらいだそうです。儲けようとかは全くしてないです」

   そして、「今まで、一度も指導受けた事もなく、苦情もなかった」と説明した。ファンらからは励ましの言葉をたくさんもらったとして、「微笑みで頑張ります」と決意を語っている。

注意して見ていただきたいのですが、アグネス氏の側では霊感商法だのオカルトだのは嫌いだと言い、問題の記述も削除したからこれでいいんでしょ?という態度なんですが、大槻教授はその商品自体がパワーストーン?!なんじゃそりゃ?!と主張しているのに対して、アグネス氏には商品自体を否定するつもりは全く無いらしいと言うことらしいのですね。
パワーストーンなど詐欺商法の最たるものですけれども、それを「身内が開発したもので変なものでもないし、高くもありません」と売っていること自体がどうなのかという問題点を(意図的に?)すり替えたかのような話ですが、さすがに大槻教授もこの点には突っ込みをいれずにはいられなかったようです。

アグネス チャンの謎(2010年8月30日大槻義彦のページ)より抜粋

私どもの霊感商法との指摘に対して、すばやい対応を示して、商品を撤去したという。そのこと自体はいいことで評価できる。しかし、その後彼女自身が私自身に送ってきたメールや彼女のTwitterを読むにつけ、きわめて不自然で多くの疑問を感じる

その中で彼女は言う。
『(このこと)事務所から報告を受けビックリ。。。霊感商法は大嫌い。。。サイトから表示を削除したとスタッフから報告、それでもショック。。。誤解を与え本当に悔しい。。。本当にビックリした。。。』
『。。。誤解を招くような表現があったとすればとっても不本意です。。。』

つまり、指摘してきた霊感商法は『誤解』なのか?それはパンフレットの表現が悪かったに過ぎないのか。『五色霊芝』は病気に効くのだがパンフレットの表現が悪かったのか?
それならその表現の訂正したものを提示せよ。例えば『霊芝』は病気に効きません、と。そのとき合わせて香港のアグネスの姉が発明したというこの霊芝の効能もまったく否定するのは当然である。

それならあの、『風水、パワーストーン』でお金がたまり、健康を回復し、恋愛が成就するという記述はどうか。このうちの、どの表現が悪かったのか?
『こんな石ころ、毒にも薬にもなりません』とでも表現を改めるのか?そのとき、この石ころ『アグネス自身がデザインした』という表現はどうするのか

要するに『誤解を与えた』などということは大嘘。これは表現が悪かったなどと言い逃れは見苦しい。霊感商法は彼女が確信してやってきたこと。その証拠に私の最初の指摘に対するアグネスからの第1回目のメールではどこにも『大槻よ、それは誤解だ、パンフレットの表現の読み違いだ』などという文章がなかったではないか!これらの個人的メールは公表を控えるが、言い逃れしてはいけない。

楽天市場やCHAN'Sの広告、アグネス大学の動画などで、繰り返しアグネス自身が登場して、製品・商品の推薦をやっていた事実があるのだから。知らない、知らなかったでは済まされない

昨今では当「ぐり研」でもホメオパシー問題などを繰り返し取り上げていまして、読者の皆さんにしても感心が高まっているところだと思いますけれども、子供の犠牲者まで出て虐待にも相当するような話が幾らでも出ているというのに、そうした話題には出てこずにはいられないアグネス氏が今回に限って沈黙を守っているというのも、あるいは何かしらの背景事情があるんでしょうかね。
この件に関してもまた続報待ちと言うことで、アグネス氏の再度の弁明なりと出てくるのかどうか楽しみに経過を注目していきたいと思います。

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2010年9月 3日 (金)

ホメオパシー 中学生からも「思い込み薬」と看破される

本日最初に少しばかり古いのですが、こういう話題を紹介させていただきます…と言いたいところなのですが、確かにこれは心が痛すぎるのでリンクだけで勘弁していただきましょうか。

【参考】痛いニュース(ノ∀`) : 電源コード替えたら音が格好良くなった - ライブドアブログ(2008年01月07日2ちゃんねる痛いニュース)

マニアとはこういう人種なんだと言うしかないのかも知れませんが、これだけ大金を無駄にして失敗し続けていくその過程の中においても、当事者は極めて自然に自己正当化が出来ている、あるいはそうせざるを得ないのだということにこそ注目していただきたいところです。
人生が破綻しない範囲での話であればこれもマニアのこだわりなどとおもしろおかしいネタで済んでいられるところですが、人生の多くを犠牲にして何かにはまるほど人はより一生懸命自己正当化のネタを探してこなければならないわけで、何であれ一度深みに落ちてしまった人間をそこから脱出させるというのがいかに困難であるかがご理解いただけるかと思います。。
そんなこんなで本日のイントロダクションとさせていただいたところで、先日に続いてホメオパシーネタというものがまた出てきていますので紹介してみましょう。

保健室でホメオパシー 沖縄の養護教諭、生徒に砂糖玉(2010年9月2日朝日新聞)

 沖縄県名護市の公立中学校の養護教諭が5年以上前から、保護者や校長、校医の了解を得ずに、民間療法「ホメオパシー」で使う「レメディー」という砂糖玉を、保健室で生徒に日常的に渡していたことがわかった。複数の生徒や卒業生によると、教諭は「普通の薬はいけない」と話していたという。保健室に特別の装置を持ち込み、砂糖玉を加工していたという。校長や同市教育委員会は本人から事情を聴き、中止するよう指導した。

 この養護教諭は、普及団体「日本ホメオパシー医学協会」が認定する療法家。卒業生によると、この中学校に赴任した2006年度当時から、体調不良を訴える生徒にホメオパシー療法で使うレメディーという砂糖玉を渡していたという。レメディーは、植物や昆虫の成分など「症状を起こす物質」を水に薄めて、しみこませた砂糖玉。

 日本学術会議は先月下旬、ホメオパシーについて「科学的根拠がなく荒唐無稽(こうとうむけい)」とする会長談話を出している。

 生徒や卒業生は「頭痛や生理痛で保健室に行くと、『レメディーは副作用がない』と言って渡された」「普通の薬はダメと言われた。部活の遠征にもレメディーを持たされた」などと話している。ある生徒は「熱が出た時も『家で飲みなさい』と渡された」という。

 新型インフルエンザが流行した昨年、「インフルエンザを予防できるレメディー」を渡され、予防接種を受けなかった生徒もいる

 また、この養護教諭は、砂糖玉をレメディーに変換するという装置を保健室に持ち込んでいた。縦横が約30~40センチほどの装置で、症状に応じて生徒の目の前で砂糖玉を加工していたという。

 一部の生徒は、このレメディーについて「思いこみ薬」と呼んでいた

 この養護教諭は、沖縄の全小中学校の養護教諭約440人が加入する任意団体「県養護教諭研究会」の元会長で、07年12月には、日本ホメオパシー医学協会の由井寅子会長を沖縄に招き、養護教諭向けの講演会も開いている。同協会の会報誌に「教育現場で利用して10年になる。改善したことは多々あるが、トラブルは一度もない」と書いている。

 養護教諭は朝日新聞の取材に「直接の取材は受けない。質問は文書でホメオパシー医学協会に」と話した。同協会からは回答がなかった

 同校の校長は「許可した覚えはない。砂糖玉であっても『病気が治る』と言って渡しているのであれば問題」と話し、即、中止するよう指導した。校医も「効果があるかわからないものを、生徒に勧めるのはよくない」と話した。(岡崎明子、長野剛)

WHOからも「ホメオパシーなんてインフルエンザに効かないんだぞ」と警告されるような時代にあって校医のコメントもずいぶんとのんびりしたものですが、養護教諭の暴走にも被害者たる子供達は「思い込み薬」だと至って醒めているのは救われるところでしょうかね。
ただ問題はこの記事にある通り同教諭もまた日本ホメオパシー医学協会に連なる人物であるということで、別に狙って取り上げているわけでもないのに問題症例を辿っていくと必ずと言っていいほど同協会とつながってくるあたり、他流派ホメオパスの言うことじゃありませんが同協会の体質にも問題なしとはしないんでしょうかね。
持ち込んだ装置なるものは同協会のトップでもある由井何某のところで売りつけているこんなものなんでしょうが、アメリカあたりでこういうことをやっている連中は犯罪者として処遇されているわけで、日本においてもきちんとした法的対応も考えていかなければますます被害は拡大する一方でしょう。

さて、ネット上でいろいろと話を聞いていますと、記事に出てくる養護教諭というのは同協会認定ホメオパスということになっているこちらの方のようですが、同協会公認というだけあって何やら素晴らしく斜め上方向に邁進されているようで、賽の河原で石を積むかのようなその努力には頭が下がります。

予防接種に反対する養護教諭たち(2008年10月12日保健師のまとめブログ2)より抜粋

学校保健を担う職種と言えば「養護教諭」、いわゆる保健室の先生ですが

その一部がホメオパシーとかいう代替医療にはまっているようです。
(略)
養護教諭研究会のなかで、ホメオパシーの権威を呼んで「予防接種とフッ素の害における、ホメオパシー的アプローチ」というテーマの講演会を行ったようですが、講演後のアンケートがすごかった・・

ホメオパシーイベント体験談 【2007年12月 沖縄養護教論研究会】(於:金武町公民館) ホメオパシージャパン

    2007年12月21日、沖縄・金武町公民館の大ホールにて300名以上の参加者を集め、大好評のうちに終了した沖縄養護教論研究会での講演後、みなさまから寄せられたお声のごく一部をご紹介致します。

    (管理人注:さらに抜粋しています)

    ●予防接種に含まれる水銀、アルミニウム、歯科治療で使用されるフッ素が人間に沈積し、体を毒するだけでなく性格まで変えてしまうことを知り、本当に驚きました。社会は、予防接種や水道水にフッ素を入れることを推奨していますが、この動きを阻止しなくてはいけないと思いました。

    ●これまで予防接種の集団接種を100%にしようと頑張ってきましたが、今日の講演を聴いてつくづくバカだったと思う。西洋医学どっぷりだった自分が恥ずかしい。

    ●(略)予防接種の害、あまりにも衝撃的な内容で、今までの活動や自分の子供への接種も何だったのか・・・

    ●由井先生のホメオパシーを日本に広げるという 「魂の仕事」は(略)

    ●(略)西洋医学を学んだ者としては不思議に思うことが多いです。

    ●ホメオパシーはこれからの養護教諭の歩むべき道を示しているようです。

    ●とらこ先生のバイタリティーに圧倒された時間でした。

    ●とらこ先生の人間性に強く惹かれた

とらこ先生という方の熱狂的ファンがいるようです。
(略)

熱狂的ファンと言いますか、これはもう信仰ですから理屈でどうこうというものでもないのでしょうが、今回のように公人が立場を利用して他人に自分の主義主張を強要しているということになれば、公務員服務規程違反になるのか薬事法違反になるのかは判りませんが何かしら法的社会的制裁は必要でしょうし、逆にこの一件をどう扱うかで教育現場でのホメオパシーの滲透具合が判りそうですよね。
冒頭にも引用しましたようにこういうことに一度はまってしまうと本人は幾らでも幸せでいられるわけですが、客観的に見れば単なる非常識な痛い人であることは言うまでもないことで、特に今回の場合は勝手に妙なものを使って他人を巻き込むことの弊害もさることながら、もし学校の備品として公のお金で買っていたのだとすれば、そちら方面からも今後追求される可能性もあるでしょう。
同養護教諭はホメオパシー医学協会に聞けといい、同協会では回答を拒否していると言いますけれども、この人たちは単なる砂糖玉を市場の相場とかけ離れたとんでもない高値で売りつけるというあくどい詐欺(的)商法をやっているわけですから、社会的責任としてきちんとした説明義務というものはあるように思いますがどうでしょうかね?

それでも日本人は国際的に見ると豊かなものですから、少々砂糖玉に無駄なお金を使ったところで経済的な面から言えばそうそう大騒ぎにもならなかったのでしょうが、実のところこれからの時代にはそう笑って済ませるというわけにもいかなくなりかねない状況なのですね。
先日も少しばかり紹介しましたようにアフリカ諸国ではHIVが蔓延して国家的危機とも呼ぶべき状況になっている中で、高価なHIV治療薬を買えない貧困層がホメオパシーに手を出して社会問題化しているという現実があるわけですが、実はお金がなくてまともな治療を受けられないということは日本においても決して他人事ではなくなってきています。
医療と言うものがどんどん進んで昔なら助けられなかった人々も助かるようになってきた、ただその結果何がどうなったのかということは一部の医療従事者も敢えて目を向けずにいることのようにも見えますが、最近の記事からそのあたりの現実というものを拾い上げてみますと、日本でも命の沙汰は金次第ということが実際にあるということがご理解いただけるでしょう。

障がい児受け入れ施設不足 家族の介護負担重く(2010年8月28日琉球新報)

 呼吸しやすくするために気管切開をしたり、人工呼吸器を装着しているなど日常的に医療的ケアを必要とする障がい児の親のうち、67%が短期入所、訪問看護などの受け入れ先が少なすぎると感じていることが小児在宅医療基金「てぃんさぐの会」(高良吉広会長)の調査で27日までに分かった。母親が働けず経済的に破綻(はたん)しかねないと答えた親も65%に上った
 医療の高度化で助かる命が増えた一方、その後の子どもたちや家族を支える仕組みが不十分なため、介護の負担が家族に重くのしかかっている現状が浮き彫りとなった。アンケートはことし4~5月に医療機関や福祉施設などを通じて実施。医療的なケアを必要とする子を在宅で見る保護者63人が答えた。
 痰の吸引や胃瘻(いろう)への注入、人工呼吸器管理などの医療行為は法律上、医師、看護師、保護者しかできない。そのため、医療的ケアの必要な子を預けるには医療行為ができる人が配置されていることが条件となる。
 短期入所や一時預かりは重症心身障害児施設が主に担っているが、同施設も満員に近い状況が続いたり、医療度の高い子どもを見るための体制が整っていないなどの理由で、受け入れが難しい状態となっている。
 保護者からは「短期入所、一時預かりなど安心して預かってもらえる場所があると親も休む時間ができて助かる」などの意見があった。
 68%が障がい児のきょうだいへの心理面が心配と答え、きょうだい支援の必要性も浮き彫りとなった。経済的な面では、介護者の負担軽減を含む就労支援の必要性を求める声があった。
 調査にかかわったNPO法人「療育ファミリーサポートほほえみ」の福峯静香理事長は「介護をする親は大変だが、8割以上が必要な支援を受けられ、その子らしくいられる環境を求めている。制度上の問題を訴える声も多い」と指摘し、関係者が連携して環境をつくっていくことが必要だとした。てぃんさぐの会は今回のアンケート結果を基に、9月5日午後1時半から浦添市のてだこホールでシンポジウムを開催する。
(玉城江梨子)

命を削る:高騰する薬/上 増える開発費、患者ら悲鳴(2010年8月29日毎日新聞)

◇新薬、のしかかる負担 血液難病、年4500万円

 「命をつなぐ薬なので心から待っていました。治療法がほぼ尽きていましたから」。免疫をつかさどるリンパ球が異常増殖する血液のがん「多発性骨髄腫」の患者、東京都の無職、本多良和さん(62)は顔をほころばせた。だが、笑顔は続かず、ため息に変わった。「新しい薬はどんどん高くなるんですよね」

 今年6月に厚生労働省に承認された多発性骨髄腫の新薬「レブラミド」。薬の値段は月約93万円もする。本多さんの自己負担(3割)は約28万円。国の高額療養費制度を使えば、上限の4万4400円を超えた分は還付されるが、一時的な立て替えが必要だ。

 本多さんは05年、仕事中にものを足の指に落として大量出血。1週間以上たっても出血が止まらず、血液検査の結果、多発性骨髄腫と分かった。自分の造血幹細胞を移植する手術をしたが効果は長続きせず、09年8月ごろから承認薬のサリドマイドを使い始めた。それ以降医療費の支払いが頻繁に月10万円を超えるようになった。

 今年に入り、より高い効果が期待される高価な薬「ベルケイド」も併用し始め、支払いはほぼ倍に。その薬も最近は効きが悪くなった。9月から使う新薬レブラミドで支払いはさらに増える。

 年金暮らしの本多さんは、月18万円の収入を医療費のほか自宅のローン返済や税金、国民健康保険料の支払いなどに充てる。生活は妻の収入でしのぐが、不安はぬぐえない。

 今年6月には毎年首都圏で家1軒が買えるほど高額な承認薬も発売された。血液難病「発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)」の治療薬「ソリリス」。年間の薬代は約4500万円に達する。PNHは血中の赤血球が早く破壊される病気。治療薬がなく、重い貧血などを起こし、発症後5年以内に約3分の1が死亡していた。

 製造元のアレクシオンファーマのヘルマン・ストレンガー社長は高額化の理由を「開発費が大きいうえ、製造費や次の新薬開発に向けた費用などが必要。それに対し(国内約440人と)患者が非常に少なく、1人あたりの薬代が高くなる」と説明する。

 薬の高額化は、薬価を審議する中央社会保険医療協議会でも「高額な薬剤を一生使い続けるのは、患者も大変な負担だが、(各健康保険組合など)保険者にとっても相当な負担だ」(白川修二・健康保険組合連合会専務理事)と深刻に受け止められている。ソリリスを使う患者は「薬ができたのはありがたい。でも、病気で働けなくなり、収入が減ったときが心配」と語る。

 国民の2人に1人がかかるがんや、患者が約100万人に上る関節リウマチなど、治療が難しく、患者数が多い病気でも新薬の高額化が目立っている

 国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)の島田安博・消化管内科長は「抗がん剤の改善で生存期間が少しずつ延びてきた」と評価する一方、「完全な治癒が難しいのも現実」と話す。診察の際、薬の延命効果や自己負担などを患者や家族に丁寧に説明する。「治療効果は上がったが患者の経済的負担も増した。患者が延命にどこまで金をかけられるのか」。医師にとっても悩みながら患者と向き合う日々が続く。
(略)

医療費:新薬、膨張に拍車 月1000万円超す患者、22年で10倍(2010年8月29日毎日新聞)

 患者の生活を圧迫する薬の高額化は、近年加速する医療費の拡大を生んでいる。一定規模以上の企業が加盟する「健康保険組合連合会」(健保連)の調査では、医療機関が発行する1カ月に1000万円以上の高額レセプト(診療報酬明細書)の件数が年々増加。その背景には、画期的な新薬の登場がある。経済的負担から治療中断に追い込まれる患者も後を絶たず、命を巡る負の連鎖が浮かんだ。【大場あい、河内敏康、永山悦子】

 「医療費が1人で月1000万円以上の患者は、22年で10倍以上に増えた。今後もこの傾向は続くだろう」。各健保から集まるレセプトに基づき、高額医療費の実態を分析する健保連の担当者はそう話す。1カ月で1000万円以上のレセプトが初めて登場したのは86年度。この年12件あった。07年度に過去最多の140件、08年度は134件に上った。これまでの最高額は4007万3310円だった。毎月のように1000万円超の医療費がかかり、「年1億円を超す人もいる」(健保連)という。高額な血液製剤を使う血友病患者では、医療費の9割以上を薬剤費が占めることもある。

 厚生労働省がまとめた昨年度の医療費の概要によると、7年連続で過去最高を更新し、35兆3000億円に達した。そのうち外来患者が使う薬の費用を示す調剤費は全体の約2割を占め、前年度比で7・9%伸びた。調剤費は04年度以降、一貫して増加している。

 厚労省によると、2年に1度の薬価改定は、薬の公定価格を市場の実勢価格に近い値段に引き下げる「減額方向」で実施される。それにもかかわらず調剤費が伸び続ける理由は「新薬の単価が上昇していることが一因」(厚労省)という。新たな治療によって延命につながるなど、患者の利益は確かに大きい。だが、薬剤の高額化は医療費の拡大に大きな影響を及ぼしている

 医薬品市場や新薬開発に詳しい吉川徹・吉川医薬研究所代表は「がんなどの画期的な治療薬として注目される分子標的薬などの新薬は、従来の薬に比べて格段に高い。国内の薬剤1剤あたりの単価が上昇しているのは間違いない。今後、このような新薬が国内の医薬品市場全体を拡大させる状況になるかもしれない」と話す。

 ◇「負担理由に患者が薬拒否」 開業医らの4割経験

 医療費の自己負担が重いため、治療をやめたり、受診を控えるケースが全国で相次いでいる

 開業医が中心の「全国保険医団体連合会」が今年5~6月に実施した会員対象の調査(回答3242施設)によると、「主に(患者の)経済的理由」から治療を中断・中止した経験があると答えた施設が約4割あった。「家族の薬を共有する」「インスリンを使う患者から内服薬だけにしてほしいと訴えられた」などの声が寄せられた。「医療費負担を理由に検査や投薬を(患者から)断られた」との回答も4割を超えた。保団連は「患者負担のあり方を改善し、長期治療が必要な病気の患者負担を軽減できるよう、負担上限額を引き下げるべきだ」と訴える。

 海外でも、高額医療による受診抑制が問題視されている。今月5日の米医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」で、米カリフォルニア大の研究チームが、「景気悪化でイマチニブ(製品名グリベック)を中断」との題で、患者の治療中断実態を報告した。小売価格が月4500ドル(38万2500円)を超えるグリベックは、一部の患者にとって経済的負担が難しい法外な値段となっており、慢性骨髄性白血病などの患者の約30%が治療を中断していると指摘した。

 厚労省は、高額療養費制度での患者負担軽減を目指して新たな仕組みを検討しており、年内には結論をまとめる予定だ。

重症患者が悲鳴を上げた時には様々な公的補助制度も用意されているとは言え、例えばいくら熱心に治療を受けても一向によくならない、仕事も出来ず生活にも悩んだ時に「あなたはこのまま一生高いお金を払い続けなければならないんですよ?それで本当に良いんですか?」なんてささやかれたりすれば、思わず妙な方向に逸脱してしまうような人もいるだろうことは理解出来ますよね。
ホメオパシー推進派にとっては「現代医療で治すことが出来ないこうした患者にこそ、我々ホメオパシーが求められているのだ!」ということになるのでしょうが、例えば日本ホメオパシー医学協会の由井何某に言わせればまず現代医療の毒を抜くことがホメオパシーの第一歩だと言いますから、こうした人々が医療側の手から離れてしまうこともまた想像出来るわけです。
大金をかけなければ生きていけないような人々が、その医療サポートをいきなり中断してしまうとどうなるのか…マスコミ的には「医師にも見放された難病の人々がホメオパシーでがんばっている」なんて絵になる構図なのかも知れませんが、本人達がそれで納得できて幸せを感じていられるのであれば構わないで済ませてよい問題なのでしょうか?

さらに言えば今のところ日本ではお金がないからホメオパシーに走るという例は幸いあまり聞かれなかったようですが、例えば今やワープアあるいは失業層の増加に伴って無保険者が社会問題化しつつあり、国民皆保険制度が崩壊しつつあるなんて言われるほどの状況になっている中で、実際に「とても治療代が払えないから病院にいけない」という人は着実に増えてきているわけです。
せいぜいがコンビニ薬局で売薬を買ってしのいでいたこれらの人々が、どうもそれじゃ駄目だとなったときに目の前にホメオパシーなんてものをぶら下げられたらどうするか…もちろん冷静に「単なる砂糖玉に効果などあるわけがない」と切って捨てる常識人も多いでしょうが、こうした貧困層ほど社会的情報から切り離されている以上は容易に騙される可能性もあるだろうとは想像出来ますよね。
こうした人たちにとっては他に手段がないからすがったホメオパシーだったとしても、結果として単なる法外な値段の砂糖玉のためになけなしの金をドブに捨てる結果になることが目に見えているわけで、こうして考えてみると現代の日本社会は単なる医療への反発からホメオパシーへの感心がなどと言う話では済まされないほど、代替医療が入り込む隙が幾らでもあるのだと言う現実が見えてきます。

国民生活に余裕が無くなっている時代だからこそ、悠長に「ホメオパシーにも効果があるのかないのか検討したい」なんて言っていられる状況なのかどうか、長妻大臣も少し真剣に考えて見た方がいいんじゃないでしょうかね?

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2010年9月 2日 (木)

悪徳医者をこらしめる正義の権力、なんて構図は判りやすいんですが

医療業界における伝説的英雄として当「ぐり研」でも何度か登場いただいている前高知医療センター院長の瀬戸山元一氏に対する収賄事件の有罪判決が、先日とうとう確定したということです。
収賄については単なる犯罪行為であって当「ぐり研」で敢えて取り上げるべきものでもないかと思いますが、何しろ高知医療センターと言えば「公立病院PFI化すなわちこれ破綻の前兆」という全国的ムーブメントを創造した歴史的施設であるだけに、倫理面のみならず経営面からも落ちた偶像の責任が問われずにはいられないところでしょうね。

高知医療センター汚職、前院長の有罪確定へ(2010年8月27日読売新聞)

 高知医療センター(高知市)を巡る贈収賄事件で、収賄罪に問われた前院長で元同志社大教授瀬戸山元一被告(66)の上告審で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は被告の上告を棄却する決定をした。

 決定は25日付。被告を懲役2年、執行猶予4年、追徴金約185万円とした1、2審判決が確定する。

 1、2審判決によると、瀬戸山被告は2004年12月と05年1月、同センターの建設工事の設計を変更する際、工事を担当した特定目的会社「高知医療ピーエフアイ」(解散)のコストを抑えるよう便宜を図った見返りに、同社の元工事監督職員からソファやプラズマテレビなど約30点(計約300万円相当)を受け取った

ところで最高裁にまでもつれ込んだ一連の事件の顛末はともかくとして、この瀬戸山氏にしても休診ばかりだったとは言え一応院長外来を持とうなんて気概があった医者でもあるわけですから、この判決確定を受けて何かしらの行政処分が下されるのかどうかですかね。
瀬戸山氏の今後の行方はともかくとして、最近この行政処分というものに関して面白い記事が出ていましたので紹介しておきますが、以前にも東京女子医大の医療事故で無罪判決が出た医師に対して厚労省医療政策局医事課長「のみ」が行政処分を行使しようとしているという件を紹介しました。
その時にも書きましたけれどもこの行政処分というもの、法的根拠も何もなくお上(というより、官僚個人?)が好き放題に下す事が出来るということも問題ながら、彼ら自身が「厳しくやっていくつもりなので覚悟するように」なんて堂々と通達まで出しているのだということを考え合わせながら記事を御覧ください。

保険医取消に「違法」判決の背景 行政の裁量権逸脱を認めるも、二審は不透明(2010年8月26日日経メディカル)

 甲府地裁は今年3月末、無診察処方などで開業医の保険医登録を取り消した行政処分を違法とする判決を下した。ただ、兵庫県の同様の裁判では昨年9月、医師が勝訴した一審判決が二審で破棄された。

 「甲府地裁は、行政による取消処分の裁量権逸脱を認めてくれた。その判断を評価したい」──。

 保険医への行政指導を正す会と指導・監査・処分取消訴訟支援ネットの共催で、7月3日に東京で開かれた「保険医訴訟支援──7.3 全国集会」。山梨社会保険事務局(現・関東信越厚生局)による保険医登録と保険医療機関指定の取消処分の撤回を求めて提訴していた小児科医の溝部達子氏は、安堵感をにじませて地裁での勝訴をこう報告した。

 ただ、国が敗訴後すぐに控訴したため、二審が近々始まる。「法廷内外で闘いを進めたい」。同氏は気を引き締めるように言葉を結んだ。

「悪質性は高くない」と判示

 溝部氏は1995年、甲府市でみぞべこどもクリニックを開業した。同氏が山梨社会保険事務局から保険指導を受けたのは2004年9月のこと。同年3、4月の保険請求のうちインフルエンザ感染症の確定病名が多く占めていたことがきっかけだった。

みぞべこどもクリニックには、取消処分を受けた後も多くの患者が来院している。

 その個別指導の際、無診察投薬やタミフルの予防投与といった保険請求の疑義が生じ、同事務局は監査に移行。結果、約45万円の不正・不当請求が認められたため、05年11月、溝部氏の保険医登録と保険医療機関指定の取消処分を実施した。

 これに対して溝部氏は、不正・不当請求を一部認めながら、「違反内容に比べて処分が重すぎる」とし、国を相手に処分取り消しを求める訴訟を提起。不正・不当請求は「患者のためだった」と主張した。その判決が、3月に甲府地裁で下された。

 同地裁はまず、保険請求内容を個別に検討(表1)。例えば、親を診療したことにして小児にリレンザを投与した例では、溝部氏は小児に投与できなかった当時の規則のためとし、医学上もタミフルドライシロップよりリレンザの方が有用性が高く、架空請求ではないと主張した。現に06年2月以降は、小児へのリレンザ投与は保険診療上認められている。

 これに対して同地裁は、親を診療したように装って小児にリレンザを処方し、初診料などを請求した以上、架空診察に当たると判示。このほかの請求も大半を不正・不当請求とした。それでも、患者のための行為で悪質性は高いとまでいえないと判断。取消処分は、社会通念上著しく妥当性を欠くとし、社会保険事務局の裁量権の範囲を逸脱したものとして違法と判じた(表2)。

二審で覆った医師勝訴判決

 実は、行政の取消処分を違法とした判決はこれが最初ではない。同じ事情から保険医登録を取り消された眼科医の細見雅美氏が処分撤回を訴えた裁判では、神戸地裁が08年4月に細見氏勝訴の判決を下した。無診察処方などが問題になり、故意の不正があったことは認めたが、不正請求額が高額ではなく悪質とはいえないとし、保険医登録まで取り消すのは酷であると判断した(表3)。
 今回の甲府地裁判決は、これを踏襲した形となった。ただ、今後の二審では一審判決が破棄される可能性もある。細見氏の例では昨年9月、大阪高裁が一審を覆したからだ。

 大阪高裁は、争点の各請求内容については、「故意による不正請求」などとした一審とほぼ同じ判断を下したが、悪質性に関しては、「悪質とはいえない」とした一審とは全く逆の認定をした。そして、「取消処分が、裁量権を逸脱・濫用した違法なものとはいえない」と結論付けた(表3)。

 細見氏は高裁での敗訴後、上告を断念。代理人弁護士の小牧英夫氏は、「最高裁は社会的影響が大きい事案などでなければ審理しない。判決が覆る可能性は低かった」と話す。保険医再登録は取り消しから原則5年間できないが、細見氏は既に5年を経過している点も考慮したようだ。

 小牧氏によれば細見氏は今、自由診療の傍ら保険医の再登録を待っているという。近畿地方厚生局が、地元医師会の理事らを委員とする地方社会保険医療協議会に諮問し、答申があれば再登録される予定だ。

曖昧な取消処分基準

 それでは、細見氏の事件ではなぜ一審と二審で異なる判決となったのか。溝部氏の弁護を担当する石川善一氏はその理由として、取消処分の基準の曖昧さと、行政の裁量を規制する法律がないことを挙げる。

 現在、保険医登録・保険医療機関指定の取消処分基準は、表4の4つのみ。どの程度の故意や重大な過失、不正・不当な診療や報酬請求の場合、取消処分になるか、具体的な基準がないほか、不正を行った医師の動機や悪質性、それまでに個別指導を受けた経験などは考慮されない。各地の厚生局が独自に処分を判断しているのが現状だ。実際、溝部氏や細見氏と同じような不正・不当請求が個別指導・監査で見付かっても、取消処分に至らない例もある。
 さらに、監査後の措置には「取消処分」「戒告」「注意」の3つしかなく、取消処分と戒告・注意との中間に位置する措置がない上、厚生局の裁量や権限を規制する法律もない

 このため各裁判所は、「悪質性」や「社会通念上著しく妥当性を欠くこと」といった、漠然とした基準でしか取消処分の違法性を検討できず、それぞれの判断も違ってきてしまうわけだ。医師以外でも、同様の事情で福島県の歯科医が訴えた訴訟では、一審は行政処分の違法を認めたが、二審では逆転判決が出されている。

厚労省「見直す予定はない」

 だが、厚生労働省医療指導監査室は「取消処分のあり方を見直す予定はない」という。「不正請求などの実態を綿密に調べ、社会保険医療協議会にも諮問しているから」というのが理由だ。高裁で「適法」の判決が下されたのも背景にあるようだ。

 同省は5月末、医療給付費の適正化を目的に、個別指導件数を08年度の3410件から8000件に今後増やす方針を示した。これが実行に移されれば、溝部氏や細見氏のような例が全国で増加する可能性もある。

 指導・監査・処分取消訴訟支援ネットの代表世話人の高久隆範氏は冒頭の集会で、「指導・監査を改善する闘いは行政の強大な裁量権との闘い」と述べ、医師に関心を持つよう呼び掛けた。溝部氏の高裁判決は来年にも下される予定だ。

45万円の不正請求で保険医取り消し処分というのが妥当なのかどうか、見るものの立場によっても色々と違ってくるんだろうと思いますが、病院などではこんな金額ではない不正請求をやっているというのに開業医だけ不公平だ!なんて考える人もいるかも知れませんし、これをきっかけに自由診療に踏み切れてせいせいしたなんて人もいるのかも知れません。
この不正請求なるものも以前から何度か取り上げてきましたけれども、マスコミなどが盛んに取り上げる犯罪的行為じみたイメージと違って、その実態はかくのごとく医療の側にはたいしたメリットもないとか、あるいはやった以上報酬を請求して当然であるのに保険者の支払いを減らすという目的のために無理矢理不正行為扱いされているものが大部分であるということは、内部の人間であれば誰でも知っていることです。
もちろん今の時代顧客の利便性を図るためにお上の定めたルールを破るなどとリスクマネージメント上どうなのよと、別な意味で社会的非難を浴びかねないような行為ではあったにせよ、それが、「悪質」であるとか「社会通念上著しく妥当性を欠く」とか言われるのも何かしら違うという気はするところですよね。

ただ今回の記事で注目しておいてもらいたいのは、どうも世間の人間の目から見てもこういう行政処分というものの実態を知れば知るほど何かおかしいという疑問が出てくるようなシステムであるのに、当の厚労省の方では全く問題なしでスルーしようとしている、しかも医療給付適正化を旗印に、個別指導件数を倍増させるとまで言っているわけですね。
個別指導というと知らない人間にはまるで単なる注意かイエローカードか何かのように聞こえますけれども、これが入るということは「おたくの施設は診療報酬取りすぎじゃないですか。返してもらいますよ」という意味で限りなくレッドカード的存在であるわけですから、何の事はない診療報酬を増やしたと言いつつこうやって回収する分も増やして実質横ばいを目指しているのかと勘ぐりたくもなります。
個別指導という行為自体が単に金勘定のことばかりに終始していて、医療を正しい方向に向けるなんて崇高な理念とは無関係どころか逆に有害でさえあるとは多くの人間から指摘されるところですけれども、どうも厚労省にはそういう視点は全くなさそうだということが判る記事ではありますよね。

ものすごく邪推をしてみますと、厚労省としては以前から地域の医療機関に対してこれを整理し、集約化したいというプランを持っている、このための道具として例えばごく恣意的に特定医療機関だけをターゲットとして何かしらの強権を発動できる制度というものは、極めて使い勝手がいいんだろうなとは想像出来ますよね。
とりわけ経営が傾いてきた医療機関ほどもっと顧客数を増やし、顧客単価を引き上げなければと世間並みの経営努力をするものですが、顧客単価引き上げとはすなわち個別指導への呼び水ということですからお上としてはいつでも手を入れやすい、そしてこんな行き詰まった施設が不正請求だ!さっさと自主返納しろ!と言われれば、それは店をたたまずにはいられないということにもなるでしょう。
このあたりの邪推と関連して、最近少し興味深い記事を見ましたのであわせて紹介しておきましょう。

診療所10年で155カ所増 県内 病院は7カ所減 都市部の開業医「飽和状態」 勤務医は依然不足(2010年8月30日下野新聞)

 今年4月現在の県内診療所(病床数19床以下)数は1461カ所で、10年前に比べ155カ所増えたことが29日までに下野新聞社の調べで分かった。診療所のほとんどは開業医で、宇都宮市など人口が多い地域は「飽和状態になっている」(県医師会)という。一方、病院(同20床以上)数は110カ所で、10年間で7カ所減少)。勤務医数は回復傾向にあるが、まだまだ不足している状態で、一部病床を休止したままのところも多い。

 「開業医はベンツに乗っているとか、羽振りが良いイメージがあるかもしれないが、実際は違う」。県央地区で診療所を開設した男性医師は、病院勤務医からの“転職組”。地域の開業医が健康上の理由で後継の医師を探していたため、引き継いだという。

 土地建物の購入代金やリフォーム費用、運転資金などで借金は1億円。来月からは月50~60万円の返済が20年間続く。男性医師は「今は事務員や看護師の給与を払い、何とかやれているが、相当頑張らないといけない。患者を引き継いでなければ、食べていくのも大変だった」と話した。

 県医師会によると、2000年1月~10年1月までの10年間に、同会加入の県内診療所は155カ所増加。中でも宇都宮市医師会は53カ所、小山地区医師会は47カ所増えた。

 診療科目別では内科が最も多く40カ所増加。次いで整形外科28カ所、小児科17カ所、眼科15カ所、皮膚科13カ所の順で増えた。外科は訴訟リスクの影響からか9カ所減った。県医師会の太田照男会長は「人口の多い地区では飽和状態で、今年は開業数が少ない。患者の奪い合いではないが、経営が大変な所がある」と説明した。

 開業医が増えた背景には、04年に導入された新臨床研修制度がある。大学病院が各地の病院から医師を引き上げたたため、残された勤務医が過重労働になり、開業に流れたとされる。

 06年に818人にまで減った県内主要30病院の常勤医師数は、大学病院の支援などにより、今年は920人にまで回復したが、同会勤務医部会長の福田健獨協医大教授は「日本の医師総数そのものが少ない。医師が確保できず、病床、病棟を閉鎖したままの所もある」と、勤務医不足の実態を訴えた。

実際に開業医が余っているのかどうかはまた議論のあるところでしょうが、昨今ではあまりの激務から勤務医を逃散して開業に走る医者が多いとは言われていて、しかも近年の開業医締め付けで開業医がウハウハだなんて言っていたのははるか遠い昔の話、継承開業でもなければ食っていくだけで精一杯どころか、せっかく開業しても借金も返せずまた勤務医に逆戻りなんてことも珍しくない時代ではあるわけです。
そういう経営基盤の極めて脆弱な粒クリでは当然ながらなるべく顧客をかき集め、来た顧客を引き留めるべく必至にならざるを得ない、行き着くところが前述の記事で出てきたような、今どきそれはと思われるような過度に顧客にすり寄ったかにも見えるほどの過剰サービスということになりかねませんが、当然そういうことをやっているとお上にとっては良いターゲットですよね。
そしてそういう開業医では当然医者なんて一人しかいない零細開業が多いでしょうから、行政処分で保険医登録取り消しなんてことになれば即座に廃業に直結する可能性が極めて高いわけで、なんだ査定を厳しくすればするほどドロップアウトした開業医を勤務医無間地獄に逆戻りさせることになるのなら、誰にとっても良い話じゃないかと考えているかも知れませんよね。

こういう話とも関連してのことですが、新臨床研修制度と言えば世間では大学医局が医者を引き上げる原因になった、医師不足の諸悪の根源だなんてことしか言いませんけれども、実はこれにはもう一つあまり言われていない側面があるわけですね。

臨床研修新旧制度の比較(厚生労働省HP)より抜粋

旧制度

・     医師でない者が診療所を開設しようとするときは、開設地の都道府県知事等の許可を受けなければならない。(医療法第7条)
・     病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所が医業をなすものである場合は医師に、これを管理させなければならない。(医療法第10条)


新制度

・     臨床研修修了医師でない者が診療所を開設しようとするときは、開設地の都道府県知事等の許可を受けなければならない。(医療法第7条)
・     病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所が医業をなすものである場合は臨床研修修了医師に、これを管理させなければならない。(医療法第10条)

要するに今後病院や診療所をやっていくには臨床研修というものを受けていなければならないようになっていくと言うことですが、その臨床研修制度というものの定義をよくよく読んでみますとこんなことが書いてあります。

臨床研修    

・     診療に従事しようとする医師は、2年以上、医学を履修する課程を置く大学に附属する病院又は厚生労働大臣の指定する病院において、臨床研修を受けなければならない。(医師法第16条の2)

例えばの話ですが、今後これまた法律でも何でもなく厚労省のどこぞの課長なりの通達によって、「臨床研修が二年間では臨床医として十分な能力を養成するには不安がある。今後は臨床研修期間を暫定的に○年間に延長すること」なんてことを突然言い出したりと言ったことがないとは言い切れないわけです。
実際に二年次研修生に対する厚労省の調査では臨床研修の目標が達成できたと考えている者は自己判断でも全体の六割強に留まり、不満の理由として「一分野あたりの研修期間が短い」「プライマリ・ケアの能力がよく身につけられない」と言う声が非常に多いわけですから、「ローテータ-は使えない」という指導医側の声を聞くまでもなく「これはどう見ても研修期間短すぎでしょ」と結論するには容易い話ですよね。
既存の開業医を絞り上げるのも、医者に開業させずいつまでも飼い殺しにするのもお上の胸先三寸という道具立てはとっくに用意されているということになりますけれども、それを実行して誰かが困るかと言えば、たぶん奴隷労働している医者がいくらか文句を言うくらいなもので済んでしまいそうなんですよね(苦笑)。

こうして考えてみると実際にこれからの医療業界で何がどうなるかは判りませんけれども、思い通りに好き放題できるだけの権力を握った者にその権力の行使を自制させるための社会的縛りというものが、権力行使の容易さに比べると極めて乏しいという現実があることだけは間違いがなさそうですね。

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2010年9月 1日 (水)

近頃の公立病院における労働問題 その背後にあるものは

今日は公立病院を取り巻く最近の労働問題に関連したニュースを取り上げてみましたが、今どき公立病院と言うとこうまで予想通りと言っていいような話題が並んでしまうのはどうなんでしょうね?
さて、長く続いた小児科医自殺訴訟が先日ようやく最高裁で和解に至ったと思いましたら、またしても新たな犠牲者が生まれたようです。

八鹿病院の外科医自殺、公務災害と認定(2010年8月30日神戸新聞)

公立八鹿病院(養父市)の整形外科の男性医師=当時(34)=がうつ病になり、自殺したのは長時間勤務が原因として、地方公務員災害補償基金兵庫県支部(支部長・井戸敏三知事)は30日、男性医師の死亡を公務災害と認定した。

 医師は鳥取県出身で、2007年10月に同病院に着任。同月は190時間、11月は160時間程度の時間外勤務をしてうつ病を発症し、12月に宿舎で練炭自殺した。

 遺族側の弁護士によると、同支部が公務災害を認定した理由として、過密勤務による強度の肉体的疲労や精神的ストレスによって精神疾患を発症し自殺したことを挙げたという。遺族は意見書で「自殺の原因は、上司のいじめなどパワーハラスメントもあった」と主張していたが、同支部は判断しなかった。

 認定を受け遺族は「日本の医療現場が抱える現状を変えなければ、医師や患者にとって安心な医療は提供できない」と訴えた。同病院は「重く受け止めている。この様な災害が二度と起こらないよう万全の対策を講じる」とコメントした。

「パワハラ」 医師の自殺 公務災害と認定/兵庫(2010年8月31日MBSニュース)

 兵庫県養父市の公立病院に勤めていて自殺した医師について、過重労働による公務上の災害と認定されました。

病院側の調査では、上司からの暴言などいわゆるパワーハラスメントがあったと報告されていましたが、自殺との因果関係については触れられませんでした

 養父市の公立八鹿病院では3年前、整形外科の男性医師(当時34)が赴任して2か月後に自殺しました。

 地方公務員の労災を審査する災害補償基金は30日、医師の自殺は月に190時間にも及ぶ時間外勤務をしていたことが原因だとして公務上の災害と認めました。

 「どれだけつらい中で生きたのか・・ 第2、第3のこのような事件が起きて欲しくない」(遺族)

 病院側の調査では、上司からの暴言や暴力などパワーハラスメントがあったと報告されていましたが、審査では、これと自殺との因果関係については触れられませんでした。

外科系だけに上下関係にも色々とあったのかも知れませんけれども、時間外労働が190時間というのは当然過労死基準をはるかに突破していますし、この認定は当然だろうなと誰しも思うところですよね。
以前にも紹介しましたが、日医の調査によると医師のうち自殺について考えた事があるのが6%と言いますから、およそ中規模以上の急性期病院であれば一人以上の自殺予備軍が存在している計算ですが、こうして相次いで病院側の管理責任も問われかねない事例が起こってくると、こうした公立病院も今までのような感覚で「医者など使い潰せばいい。代わりは幾らでも来る」ではやっていけないはずだし、やってもらっては困るわけです。
ところが肝心の医者の側に未だに昔ながらの感覚でやっている方も多いようで、現場が幾ら無理だと言っても「医者が休みたいとは何事か!我々の若い頃は(以下略」なんてことを言う老管理職が上に居座っていたりなんてことがままあるわけですが、世間的には医者の利権の代弁者であるかのようにも見なされている医師会なども同様の傾向があるようですよね。

労働改善訴え 広島県医師会(2010年8月30日中国新聞)

 広島県医師会は9月、ベッド数が500床以上ある県内の7病院に、医師の当直明け勤務日の残業をなくすよう呼び掛ける。医師の負担軽減策の一環。3カ月間試行し、効果を検証する。

 対象は、広島市民病院(広島市中区)や県立広島病院(南区)、呉医療センター(呉市)など。各病院長に、10~12月に当直明けの医師が午後5時までに帰宅できるよう口頭で要請する。試行期間後には、実際に帰宅時間が早まったか、医師にアンケートする。

 県医師会の勤務医部会が、昨年の勤務医アンケートの結果を踏まえ、提案した具体策の第1弾。過重労働で退職者が増え、さらに医師不足が進むという悪循環を断ちたいとの狙いがある。

 アンケートは昨年、県内の勤務医2940人を対象に実施。回収率は40・6%で、当直明けに通常勤務をこなす医師は86・6%を占め、当直中の仮眠を十分に取れるのは26・2%にとどまった。また勤務時間が週60時間以上の医師は34・9%に上った。

 県医師会常任理事の荒木康之・広島市民病院副院長は「勤務医が不足すると、1人の医師の負担が増え、結果的に救急医療体制の存続を危うくしかねない。市民の暮らしを守るために過重労働対策は急務だ」と指摘。「まず大病院で試行し、各病院で勤務医の働き方を見直す動機付けを図りたい」と話している。

いや、当直中に仮眠を十分取れるのがわずか26%ということは、医者の3/4は当直中休みも取れずに働いて疲れ切っているということになるわけなんですが、そういう「酩酊状態と同等レベル」の判断能力しかない医者に翌日もぶっ通しで仕事をさせてやってくださいとお願いするとは、一体どんな業界利権団体かという話ですけどね(苦笑)。
医師会あたりを牛耳っている老開業医の先生方からすれば、こういう奴隷が下手に労働者の権利なんてものに目覚めてしまうと面倒な患者の送りつけ先がなくなって困るじゃないか!ということなのかも知れませんが、患者の命を預かる現場でのスタッフの過労が最終的に誰に跳ね返ってくるのかということを真剣に考えれば、「勤務医の働き方を見直す動機付けを図りたい」などと悠長なことを言っていられるはずがないのです。
最近は長年黙認を決め込んでいた労基署あたりもようやく医療現場へ立ち入ってくるようになりましたけれども、未だに現場では不当な労働慣習が根強く残っているのも確かで、たとえば「聖地」奈良からこんなニュースを拾ってみましょう。

過労死の研修医「補償に時間外労働も」判決/奈良(2010年8月26日読売新聞)

 奈良県立三室病院(奈良県三郷(さんごう)町)で2004年に過労死した内科の男性研修医(当時26歳)の遺族(同県宇陀市)が、公務災害で支給される遺族補償一時金などの算定に時間外労働を含めないのは不当として、地方公務員災害補償基金を相手に支給決定の取り消しを求めた訴訟の判決が26日、奈良地裁であった。

 一谷好文裁判長は「院内にいた時間から一定の時間外労働が存在したのは明らか」として、同基金に取り消しを命じた。

 一谷裁判長は時間外労働について、「勤務報告が存在せず、具体的な特定は困難だが、休憩も満足に取れず、休日呼び出しも多く、多忙を極めていた。正規の勤務時間内の処理では困難な業務を担当していた」と指摘。「在院時間を前提に合理的な時間外労働を算定し、未払い手当を考慮するべきだ」とした。

 同基金は、判決が確定すれば、時間外労働手当を算定して支給額を決定し直すことになる。

いや、どうせ時間外なんてバレなきゃ死人に口なしなんだから、記録もないのをいいことに黙っとこう…と思ったのかどうかは記事からは定かではありませんけれども、こういうところでせこくけちくさいことをやっておくというのが聖地の聖地たる所以なんでしょうかね?
ただ同県立病院の肩を持つわけではありませんけれども、およそ研修医風情に対する田舎公立病院の時間外手当など昔からとんでもなくいい加減なもので、せいぜいがよくても月24時間までで全て打ち切りといったものがザラですし、少なからぬ施設で超勤簿なんてものが存在することすら公表されず、事務方が毎月末にまとめて他人のハンコを押して「捏造」するなんて実態があるわけです。
当然こういうことをやっていたのではいったい超勤がいくらあったのか労働管理も不可能ですし、そもそも医者生活のスタートたる研修医時代に「医者なんて働けば働くだけ損」だなんて感覚を叩き込んでいいものかとも思うのですが、さすが聖地奈良ともなればいっそ開き直ったかのような態度を見せてくれるらしいのですね。

県立3病院の時間外労働:労使協定を締結 法規定大幅超過、労基署が縮減指導 /奈良(2010年8月27日毎日新聞)

 ◇上限1300~1440時間

 県立3病院が労使協定を結ばずに医師らに時間外労働をさせていた問題で、病院側が7月末までに労使協定を締結した。ただ、医師の時間外労働の上限が1300~1440時間という内容で、近畿の府県立病院と比べても突出している。労働基準法の違反状態は解消されたものの、同法が定める上限を大幅に超えており、労働基準監督署は縮減を求めている。背景には、医師不足などによる過酷な勤務実態があり、改善の見通しは立っていない。【阿部亮介】

 奈良労働監督署などは今年5月、労使協定を結ばずに医師や看護師に時間外・休日労働をさせていたとして、県立奈良病院(奈良市)、県立五條病院(五條市)と運営する県を労働基準法違反容疑で奈良地検に書類送検した。同様に協定を締結していなかった県立三室病院(三郷町)を含め、3病院は7月末までに労使協定を締結し、労基署に届け出た。

 協定では、医師の年間の時間外労働は、奈良が1440時間▽三室が1440時間▽五條が1300時間を上限とし、「特別な事情」があれば協議のうえさらに360~460時間延長できる

労基法は、時間外労働の上限を年間360時間としているが、労使双方が合意すればこれを超えて上限を決められる。3病院は、救急医らの勤務実態に基づいて上限を決めたという。しかし、「過労死ライン」とされる月の超過勤務80時間を超えており、労基署に届け出た際に縮減するよう指導を受けた。県立病院の担当者は「医師の確保など、縮減できるよう努力したい」と話す。

 毎日新聞が近畿の府県立病院と府県庁所在地の市立病院に聞いたところ、労使協定で医師の時間外労働の上限は年間360~800時間だった。ただ、360時間とした病院の担当者は「実際には協定内容を順守できていない」としている

この件に関しては「新小児科医のつぶやき」さんが労基法とも照らし合わせながら懇切丁寧に解説してくださっているので是非ご参照いただきたいんですが、有り体に言って労基法の精神を踏みにじる行為の何者でもないにも関わらず、「勤務実態に基づいて上限を決めた」などとまるきり勝手に働いている現場の連中が悪いかのような口ぶりなのがさすが聖地ということなのでしょうか?
「新小児科医のつぶやき」さんの解説の通り、36協定で限度時間を超えて働かせるためには労基署の承認が必要であるわけで、断固として現状維持のラインは譲れないと言う固い決意の見えるトンデモ協定を労基署が認めるかどうか、仮に認められるというのであればそもそも労基法なんて何のために存在しているのかとその意義すら問われかねません。
仮に今後労基署の指導に従っていくらか時間が削られたとしても、何しろ「診療をしていない待機時間は労働時間から外すべきby県知事閣下」という土地柄の県立病院なのですから、現場が幾ら勝手に残業しようが事務方は知らなかったで押し通しそうですけれどもね(苦笑)。

さて、その事務方は知らなかったという話とも関連することですけれども、先日は循環器科医師に過払いした当直料を回収という話題で登場いただいた小田原市立病院から、その続報となるこちらの記事も紹介しておきましょう。

小田原市立病院 循環器科医以外も手当調査へ/神奈川(2010年8月28日読売新聞)

 小田原市立病院(小田原市久野)で循環器科の勤務医の手当が過払いされていた問題で、同病院は27日、他の診療科でも同様のケースがないか調べる方針を決めた。

 調査するのは、小児科や産科、呼吸器科など約20診療科。宿直勤務や、自宅などに待機し緊急時に病院に駆け付ける「オンコール勤務」の実態について、各科の責任者に聞き取り調査し、勤務実態通りに正しく手当が支給されているか確認する。

 循環器科では、2006年8月に宿直勤務がなくなってオンコール体制に変わったが、事務方ではオンコール手当(1万2000円)より8000円多い宿直手当の支給を続けていた。

 同病院は「事務方は、医師がどんな勤務をしているのか書類でしか知らず、過払いが起きた。他の診療科も調べる必要がある」としている。

え?給料支払いを計算しているのに医者がどんな勤務をしているのか我々は何も知らないって、まるで公務員事務は5時になったら帰るから後のことは知ったことじゃないと言いたいんだろうかと言う話なんですが、こんなことを公言してしまうと労基署からチェックされたら困るんじゃないかと懸念してしまいます。
これ、勤務実態通りに正しく手当が支給されているか確認するなんてことを言っていますけれども、そうなると残業手当やら様々なものについても正しいかどうか確認しなければおかしいということになりそうですが、こんな事務方のいる病院ですからどうせ超勤簿は勝手に捏造してんじゃないかという疑惑も浮上してきそうなんですが、どんな勤務実態が出てくるものやらですね。
しかしこの病院、前回にも単純な事務方のミスなのかどうかといった疑惑?を書いた記憶がありますけれども、こうして際限無しに話を広げていくと当然ながら全科の医者を敵に回しかねないことは必至なわけですから、そもそもの経緯がどうあれ死亡フラグがかなり確定しつつあるということなんでしょうか。

さて、こうして公立病院の悪行の数々を書き立てた形になりましたけれども、もっとも救われないことは、

別にこれが公立病院の問題点をあげつらおうと探してきたネタでもなんでもなく、単に最近の病院における労働問題関連のニュースを集めてきたところが、そのことごとくが公立病院絡みの話題であっただけ

にすぎないという事実ですよね。
公立病院というところはどこもかしこもほぼ例外なく赤字垂れ流しで、今の時代病院が黒字を目指すにはまず医者を一人でも多く確保しなければどうにもならないのは常識ですから、それでは医師確保のためにどれだけ優遇しているかと言えば優遇しているのは事務方ばかりで、医者に対する態度といえば相変わらずこんな調子であるわけです。
そんな公立病院ですから医者など逃げていくのが当たり前、せいぜい今どきどこの病院も取ってくれなくて大学医局にでも所属するしかない医者が嫌々派遣されて行くような地雷病院となっているところも多い、そんな病院が全国から口をそろえて「医師不足で病院が立ちゆかない!国が強制的に医者を送り込んでくれないと困る!」なんて大合唱しているわけです。

医者一人の人権を守るということは結局その背後にいる何百、何千という患者を守ることであって、逆に今どき医者など使い潰してよしとしているような病院は結局患者に対しても診療報酬を運んでくれる存在としか見ていないということにもなりかねませんが、そんな優良と対極にある施設を強力な公的支援を行ってまで存続させることが本当に患者のためになるのかどうかですよね。
いやそんなことはない、どんな糞病院でもないよりはあった方がいいはずだという意見もあるかも知れませんが、この種の公立病院がどうしようもない理由の大きな部分が糞とわかっているスタッフをも親方日の丸の壁に守られて切れないという現実にあるわけですから、腐った林檎を抱え込んだままいくら枝葉末節の改革を叫んだところでどうなのよということでしょう。
近年では厚労省などが音頭を取って各地の公立病院でも統廃合が進んでいますけれども、本当に改革を推し進めようと言うのであれば馬鹿高い金をつぎ込んで幾らハコモノを新しくしても駄目で、革袋の中に注ぐ酒をこそ新しくしていかなければならないはずなんですよね。

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