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2010年8月 4日 (水)

最近の話題はお年寄りなんだそうです

高齢者の所在不明者が全国的に相次いでいるということで騒ぎになっていますけれども、とりわけ大都市圏では家族等による善意の申告がない限りは生きているものとして扱うという「放置プレー」が行われてきたという現実があるようですね。

「不明100歳超」拡大 都市部 実態把握は困難(2010年8月4日産経新聞)

 役所が「存命」としながら、実は長期にわたり所在不明となっている100歳以上の高齢者が全国で相次いで確認されている。東京都で113歳の女性の所在不明、111歳の男性の死亡が明らかになったのに続き3日、東京都荒川区、静岡県熱海市などで少なくとも11人に関し同様の事態が明らかになった。なぜ事態を把握できなかったのか-。高齢者の周囲を取り巻く、核家族化や地域コミュニティーの崩壊などが要因として浮かびあがる。

 「高齢者の方々がどこにいて、どういう状況なのか。把握するのは重要な課題だ」

 長妻昭厚生労働相は3日、国が全国的な調査に乗り出す考えを明らかにした。110歳以上の年金受給者(全国で50人程度)を対象に、年金機構と市区町村が家庭訪問するなどして、月内にも結果をまとめる。菅直人首相も同日、「地方自治体にも協力を求めて、しっかり状況の把握に努めていきたい」と記者団に語った。

 厚労省によると、現在、国が高齢者の実際の安否を確認するような制度は存在しない。唯一、国が安否確認するのは、100歳になった人に祝状と記念品を贈呈するときという。100歳以外の年齢については、住民基本台帳を基に人数を把握しているのみという。

 実態把握を困難にしている最大の原因は、平均寿命が延び、高齢者が爆発的に増加している点にある。

 国が今回、緊急調査の対象を110歳以上に限定するのも、100歳以上にすると、全国で4万人規模の調査をする必要が生じるためだ。昭和38年度に153人だった100歳以上の高齢者は、平成21年度は4万399人にまで急増した。

 個別に実態把握をしている自治体もある。例えば日本一の長寿県・沖縄では毎年、訪問や電話による調査を実施している。

 しかし、大都市部の自治体ではそこまでの細かな安否確認は難しい。東京23区の各自治体では、個別の接触はせずに、介護保険や医療保険の使用実態から安否を確認しているケースが大半だ。入院したり、老人ホームに入所するなど居所が頻繁に変わる点も調査を困難にしているという。

 家族関係、地域コミュニティーの変化も、安否確認を難しくしている。

 東京都台東区の担当者は「隣近所の目が届かなくなっている。核家族化や独居老人増加の影響も、問題の遠因にあるのかも」と指摘する。福岡市の担当者は「地域コミュニティーが希薄になり、高齢者の実態が地域にいても見えにくくなってきた」と明かす。

 東京のある区の担当者は「プライバシーを保護する考えが過剰に浸透。行政は安否把握に慎重になり、家族らも個人情報に立ち入られるのを嫌がる」と話している。

世界最高水準を維持している日本人の平均寿命もとんだ水増しならぬミイラ増しだったんじゃないかとか、いろいろと考えなくてはいけない問題が派生してきそうですけれども、やはりこういうことになって来ますと年金等お金絡みの問題ということも考えずにはいられません。
ただ黙っているだけで少なくとも年間数十万単位の収入が続くわけですから、貧困ビジネスなどが成立している今の時代何かしらの不法行為にも結びつきかねない話ですけれども、そうでなくとも本人が100歳超と言えば家族もかれこれいい年でしょうから、申告したくても誰も申告する者がいないなんて事態も当たり前にあっておかしくないですよね。
思わぬ制度の不備を突きつけられた形で各自治体としても何らかの対策を取らざるを得ないところだと思いますが、結局この国の医療や介護における諸問題と同様に、関係者全ての善意が前提でかろうじて成り立ってきたシステムの問題が顕在化してきたという気もするところです。

余談はそれとして、本日は高齢者絡みで先日出ました後期高齢者医療制度関連の話題を取り上げてみますけれども、民主党はこの制度を潰して後期高齢者も国保に組み入れるなんてことを言っていて、ちょっとそれはどうなのよと各方面から異論無しとしない状況は先日も紹介しました通りです。
未だ新たな高齢者医療制度は確定というところにまでは至っていないようですけれども、例によって厚労省ではこれから各地で公聴会を開く予定であるということで、これはまたぞろ同省お得意のアリバイ工作か?と疑ってしまいたくもなるような話ですよね(苦笑)。
先日はその第一弾として福岡で初めての公聴会が開催されたそうですが、こちらの場で幾つか面白い話が出てきたようなので記事から紹介してみましょう。

現役世代の声反映を=新高齢者医療で公聴会-厚労省(2010年8月2日時事ドットコム)

 厚生労働省は2日、75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度に代わる、新制度についての第1回地方公聴会を福岡市で開催した。出席者からは新制度創設に当たり「高齢者を支える現役世代の声を反映してほしい」などの要望が出た。
 公聴会はまず、新制度の中間報告案をまとめた高齢者医療制度改革会議座長の岩村正彦東大大学院教授が新制度の方向性を説明。続いて、厚労省の吉岡てつを高齢者医療課長が制度改革のポイントを解説した。
 この後の意見交換では「新しい高齢者医療制度では、都道府県が運営主体になるべきだ」などの意見も出された。同省は2013年4月の新制度施行を目指している。地方公聴会は今後、宮城県や大阪府など5都府県で開催される。

高齢者医療新制度で初の公聴会 将来は税金投入増と厚労省(2010年8月2日47ニュース)

 厚生労働省は2日、75歳以上の後期高齢者医療制度に代え2013年度から導入する予定の新制度について、初の公聴会を福岡市で開いた。参加者から「(高齢者医療を支援する)現役世代の保険料負担が過重にならないか」との質問があり、厚労省の担当者は「そうならないよう、将来的には公費(税金)負担を増やす方向で財務省と調整する」との考えを示した。

 公聴会には老人クラブの会員や健康保険組合の関係者、自治体職員ら約800人が参加。新制度を検討している有識者会議の座長、岩村正彦東大大学院教授や厚労省の担当者が、会議の中間報告案をもとに参加者と意見交換した。

 新制度案について、参加者からは「働き方によって加入先が国民健康保険と健保組合などに分かれると、かえって高齢者間で負担の不公平が生じる」「ねじれ国会で新制度の法案は本当に成立するのか」といった声があった。

 公聴会は10月まで7回、各地で開かれる予定。

新高齢者医療制度:公聴会に760人参加 福岡市で初開催 /福岡(2010年8月3日毎日新聞)

 後期高齢者医療制度廃止後の新制度に国民の意見を反映させようと、厚生労働省は2日、福岡市で初の公聴会を開いた。新制度を検討する同省の「高齢者医療制度改革会議」は、月内にも中間とりまとめをする予定。公聴会は10月まで全国6会場で開催、13年4月の新制度施行を目指す。
 中央区天神の会場には約760人が参加。新制度の方向性やポイントについて同省側の説明に耳を傾けた。
 新制度は、75歳以上を切り離した現行制度を改め▽年齢で保険証が変わらないようにする▽窓口負担を適切な負担にとどめる▽年金天引きを強制しない▽公費を適切に投入する--などの方向で検討されている。
 会場からは財源を懸念する声が寄せられ、ある参加者が「負担増を生じさせないのなら公費の投入や財源が課題。長続きする理念を持った制度にしてほしい」と訴えたのに対し、同省高齢者医療課の吉岡てつを課長は「公費を少しでも増やせるように努力したい」と応じた。一方、別の参加者からは「費用の問題ばかりではなく、高齢者にどういう医療を提供できるのかをもっと真剣に考えるべきだ」との声も上がった。【松本光央】

「新たな高齢者医療制度公聴会」のトップ=アクロス福岡イベントホール(2010年08月03日PJニュース)

【PJニュース 2010年8月3日】民主党は後期高齢者医療制度の即時廃止をかかげて政権についたが、廃止後の新制度を検討するということで、先延ばししている。このたび、「高齢者のための新たな医療制度等について」の中間とりまとめが出来上がり、厚生労働省は全国6ヶ所で公聴会を計画している。福岡県はそのトップバッターである。

8月2日、アクロス福岡イベントホールでその公聴会が開催された。定員900名はほぼ満席であった。これだけ関心が高いのかと驚いているが、後部の方の座席に着いてみると、どうも同じ組織の仲間同士の様子だ。確認はしなかったが、県、市の役所関係者のように見える。

それはともかく、私の場合は申し込んで抽選で当たったのであるが・・・・

公聴会は、今後、宮城県、大阪府、愛知県、広島県、東京都と10月5日まで予定されている。

主催者挨拶は唐澤剛氏(厚生労働省保険局審議官)。「高齢者医療制度改革の方向性」と題して岩村正彦氏(高齢者医療制度改革会議座長、東京大学大学院法学政治学研究科教授)、「高齢者医療制度改革のポイント」と題して吉岡てつを氏(厚生労働省保険局高齢者医療課長)が報告した。

世の反発を呼んだ「後期高齢」という呼び方も姿を消している

中間とりまとめ(案)の10のポイントは以下のとおりである。

1 年齢で保険証が変わることはなくなる。
2 新制度に移る際、保険料のアップはできるだけ生じないようにする。
3 高齢者の保険料の伸びが現役世代の伸びを上回らないことを基本とする。
4 窓口負担は適切な負担にとどめる。
5 年金天引きを強制しない。
6 公平で納得のいく支え合いの仕組みにする。
7 大幅な負担増が生じないようにする。
8 国保の広域化を実現する。
9 公費を適切に投入する。
10 保険者機能が十分に発揮できるようにする。

内容の検討はこれからの課題だが、運営についてだけ一言する。

私も、10分間の休憩時に配布されている「意見調査票」に意見を書き提出した。公聴会の後半の運営では、会当日ではなく事前に寄せられた質問意見が紹介され、それに対応した回答が述べられた

この日「意見調査票」に記入提出した人は、170名であると発表された。その中から、5名が指名され意見を述べた。どのように選んだのか不明だが、福岡県の人、東京の人、大分県の人が指名されたので福岡に偏らないように参加県で抽出したのかもしれない。

勿論、討論会ではないからこうした運営にならざるをえないかもしれないが、本当の声がこれで聞こえるのか心もとない気がした

PJニュースの記事などを見てもいかにもシナリオに沿ったアリバイ作りという感じが濃厚に漂っていますが、問題は厚労省が何を目指しどんな目的でアリバイ工作をやろうとしているのかということですよね。
表向き出ている新制度のポイントに関してはおおむねすでに出ている通りかという感じですが、わざわざ年金天引きを強制しないなどと書いてあるというのもそもそも後期高齢者医療制度が躓いたきっかけが年金天引き問題であったことを考えますと、こちらを何とかしなければ他の問題はいざ知らずまとまる話もまとまらないのでしょう。
しかし記事を見ていて思うことに、会場からの意見の方によほど鋭い指摘が潜んでいるように見えるのですが、とりわけ「高齢者にどういう医療を提供できるのかをもっと真剣に考えるべき」なんて指摘は、本来後期高齢者医療制度を導入した際に国民皆で真剣に考えておかねばならなかったことではないかなとも思いますね。

そんな中で注目しておくべき点としては「保険料のアップはできるだけ生じないように」「高齢者の保険料の伸びが現役世代を上回らないこと」「窓口負担は適切にとどめる」といった、被保険者側の負担は今より上げませんよと言い切っているように見える点ですが、少なくとも高齢者自身に関して言えば今以上の大きな負担増は求めないということが基本路線であるということでしょう。
一方で旧後期高齢者医療制度において保険料の大部分を負担してきた現役世代の若年者に関しては、なにやら努力目標的な文言が並んでいるばかりという印象も受けるところですが、いずれにしても現状ですでに厳しい運営を強いられている国保に医療費支出の多い高齢者を組み込もうと言うわけですから、これはどうしたって保険者側の支払い負担は今以上に増えて当然ですよね。
これに対して負担増を緩和するために国保の都道府県単位への広域化や基金整備などという話がこれまでにも出ていたところですが、今回厚労省高齢者医療課の吉岡てつを課長が「将来的には公費(税金)負担を増やす方向で財務省と調整する」と言い切ってしまっているのが注目を集めるところではないでしょうか。

そもそも厚労省としては医療など所轄する方面が大きくなるほど自前の権力基盤が強化されていく道理ですから、民主党の医療成長戦略論などには反対する立場でもないのでしょうが、あるいは今までの医療費抑制政策は財務相などを中心として金を出す側の論理に心ならずも押し切られたのだということを主張したいのでしょうか。
今回の後期高齢者医療制度廃止はいわば民主党政権が目の敵にしてきた看板でもありますから、そのためにこれだけ金がかかるんです!これ以外は国民が納得しません!と主張すれば通ると踏んでいるのかも知れませんが、そもそも医療費亡国論なんてものを唱えて底なしの医療費増加を何とかしなければ国が滅ぶ!と最初に言い出したのは厚労省の側だったはずなんですけれどもね。
そう考えますと今さら「いや、やはり我々としても皆さんの健康第一という立場ですから」なんて正義の味方面をしてどうするのよ?という気もしますが、最近はネットなどで医療関係者が盛んに厚労省の過去を暴き立ててバッシングするものですから、彼らとしても自分たちの依って立つところに関して某かの自己弁護の必要性を感じてはいるのかも知れません(苦笑)。

いずれにしてもこの公聴会の参加者を見るといわば受益者の側ばかりで、国保を運営管理する自治体側であるとか、公的支出を司る財務省側であるとか、金を出す側の声というものは含まれていないように見えますから、こういう場での議論ではかくあるべし論ばかりが先行して財政上非現実的な結論にまで至ってしまう危険性もありますよね。
民主党の医療経済成長戦略なども言ってみれば保険診療外の話ばかりで、保険診療部分に関しては相変わらず吝い支出しかする気はなさそうだということがすでに明らかになっているわけですから、この新高齢者医療制度なるものも最終的には限られた財源の中でどうつじつま合わせをしていくかと言ったあたりが今後の焦点となってくるのでしょうか。

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