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2010年8月20日 (金)

ホメオパシー 問われるその社会的責任

週刊誌もようやく問題を取り上げ始めたりと(聞く限りでは全く不十分なもののようですが…)何かと最近世間の注目を集め始めているホメオパシー問題ですが、毎日新聞も「朝日さんってすごい!こんな記事を書けるなんて!」と妙にヨイショしながら参戦してきたことはすでにお伝えした通りです。
先日もその続編と言うのでしょうか、こんな記事が掲載されていましたけれども、なるほどこちらにつなげてきたかと感心すべきなのか、よく判っていないけれども取りあえずアリバイ的に時事問題に言及したと取るべきなのか、なんとも微妙なのが毎日らしい?ということなんでしょうかね(ちなみにリンクは管理人の挿入です)。

水説:代替医療と民主党=潮田道夫(2010年8月18日毎日新聞)

 「ホメオパシー」という療法があるのを最近初めて知った。同僚の小島正美記者の解説(15日付「なるほドリ」)によれば、病気と同じような症状を起こす物質を投与し、人体の反発力=自然治癒力を引き出すものらしい。

 ここまでなら「そういうこともあるか」と思うが、話はそれで終わらない。その物質は水で繰り返し薄められる。最終的には残留物ゼロのただの水に等しいものとなる。

 ただの水なのになぜ効くかというと、水には物質を記憶する力があり、それが効果を発揮するのだという。水に記憶力があるって? ちょっとついていけない。

 山口県の助産師がこの療法の実践者で、ビタミンKを与えるべき乳児にホメオパシーの錠剤(レメディー)を与え続け、赤ちゃんがビタミンK欠乏性出血症で死亡、民事責任を問われるに至った。

 問題点はいくつもあるが、大阪大学の菊池誠サイバーメディアセンター教授が、SYNODOSというブログで、「害のないものによる害」を指摘しており、まことにその通りだと思った。

 このレメディーは、実際のところ無害なただの水に過ぎない。しかし「積極的には害をおよぼさないはずのものでも、本来必要とされる薬や治療を遠ざけるという消極的効果によって、害をおよぼしうる」ことをいま、わたしたちは目にしている、と。

 こういうのが近年、増えてきたような気がする。

 数年前、水について「ありがとう」などと美しい言葉をかけると美しく結晶し、汚い言葉だと汚い結晶になってしまうという説がはやったことがあった。その証拠と称する写真集も出た。

 それだけなら「やれやれ」で済むが、道徳教育の教材につかわれ出した。「人間も水でできているから美しい言葉を話すようにしよう」と教えるようだ。こういう授業がダメなのは自明だが「どこが悪いの?」という先生が少なくないそうだからコワイ

「主流派」が行き詰まるといつも「オルタナティブ(代替)」が登場する。いつからか判然としないが、オルタナティブを求める気分が続いているように思う。民主党政権の誕生もその流れだろう。

 その出自のせいだろうか、この政党はオルタナティブなものへの親和性が強い。昨年の総選挙のマニフェストでは「統合医療の確立ならびに推進」をあげた。漢方はもとよりさまざまな代替医療を「統合医療として科学的根拠を確立する」としている。

 「ホメオパシー」の扱いをどうするのか、知りたいところだ。(専門編集委員)

ま、何故この手のトンデモ説が「近年、増えてきた」のか、トンデモ説流布には絶大な実績をお持ちの毎日新聞さんであれば一家言ありそうですけれども(苦笑)、結局のところ社会がそれを受け入れているからということに尽きるのでしょうね。
一昔前であればトンデモさんは狭く小さな地域社会の中で「あの人はまあアレだから」と後ろ指を指されながら肩身の狭い思いをして暮らしていたものが、今やネットを初め全国的にコミュニティーを形成する手段には事欠きませんから、どんなマイナーなジャンルであってもあっという間に同好の士が大勢集まって賑やかに語り合うということが出来てしまうわけです。
もちろん自分たちはニッチでマイナーな存在であると自覚して楽しんでいる人々が大多数なのでしょうが、中には「あの人もこの人もみんなイイ!って言ってる!みんながそう言うんだからホンモノなんだ!」なんて調子で、自分たちがメジャーであると勘違いをしてしまう人も出てくるだろうことは特に想像に難いことではありません。
当然ながらそうした誤解を助長してきたメディアの責任論というものも今後追求されていってしかるべきであるし、彼らが前言を撤回して一転バッシングに走るのか、それともなおも擁護を続けるのかも興味深いところですけれども、今後煽情的報道を旨とする週刊誌あるいはテレビなどで今後どのような言説が出てくるのかは非常に楽しみではあるところです(苦笑)。

さて、先日以来朝日新聞とやりとり?を交わしているらしい日本ホメオパシー医学協会ですけれども、また朝日新聞記者の質問に対する回答というものを公表してきています。
おそらく彼らとしてはこの冗長で退屈な一文で反論したつもりになっているのでしょうが、この中に語るに落ちるとも言うべき言葉が随所にあるようですので、とりあえずポイントだけを抜粋してみましょう。

朝日新聞社科学医療グループと日本ホメオパシー医学協会とのやりとり(2010年8月17日日本ホメオパシー医学協会)
より抜粋

●2010年8月6日AM(FAX) 朝日新聞社 科学医療グループ 長野 剛記者の質問その1

「日本ホメオパシー医学協会 事務局さま

お世話になっております。朝日新聞の長野と申します。先日は、由井会長に取材対応頂き、ありがとうございました。
さて、私は今、貴会認定ホメオパス、○○氏(JPHMA認定ホメオパス○○)が5月までホメオパシー治療対応をしておられた、患者さんの□□さんに関して、取材をしております。ご承知かと思いますが、□□さんは5月26日、悪性リンパ腫でご逝去されました。
関係者にお話を伺った結果、□□さんは昨年春ごろから体調不良を訴えておられ、○○氏よりレメディを提供されていました。○○氏の元でスタッフとしても働きながら、ホメオパスを目指して勉強中だった□□さんはレメディだけで体調不良を治そうとご努力されたと伺っています。そして5月15日に母の■■さんが救急車を呼ぶまで病院に行くのを拒否され、病院では「手遅れ」との判断がなされました。

そこで、以下について、ご意見を伺いたいと思います。

①:□□さんは「今、病院に行くとホメオパシーでの努力が無駄になる」とおっしゃっていました。6月に由井会長に取材させて頂いた折りは、「好転反応を西洋医学で緩和すると、自己治癒力が抑えられ、寿命を短くすることになる」旨のお考えを頂いております。□□さんの場合も、最後までホメオパシー治療を続けていたら、快癒されたとお考えでしょうか。

②:近親者の方々は、□□さんが西洋医学の観点では「手遅れ」の状態にまで至った理由を、「ホメオパシーで治すと信じ切り、治療を受けるのが大幅に遅れたため」とお考えです。これについて、いかがお考えですか。

③:□□さんが逝去されたのは、ホメオパシー治療を最後まで行わなかった□□さん側の判断が原因で、○○氏には□□さんを治癒させられなかった責任は無いのでしょうか。

以上です。ご多忙の中、大変恐縮ですが、本日6時までにご回答をいただけないでしょうか。ご検討頂ければ幸いです。なお、ご回答が無理な場合も、その旨、ご連絡くださるよう、お願い申し上げます。また、できましたら、ご連絡はメールでいただけると幸いです。」

●2010年8月6日PM(FAX) 朝日新聞社 科学医療グループ 長野 剛記者の質問その2

「日本ホメオパシー医学協会 事務局さま

お世話になっております。朝日新聞記者の長野です。
大変恐縮ですが、6月の取材で由井会長がおっしゃられた考え方について、現在も変更がないか、ご確認をさせて頂きたいと思います。
由井会長は、西洋医学について、以下のように述べていらっしゃいました。

①「西洋医学は治癒ではなく緩和である」
②「レメディで自己治癒力が触発され、出てきた好転反応を薬で抑えるのは偽ホメオパスである」
③「レメディを入れて出ようとした悪いものを薬で抑えるといういたちごっこを続けていると、寿命が短くなる」
④「西洋医学を受けなくてはまもなく死んでしまうような人ならば、受けなくては仕方がない」

大変勝手ながら、本日午後8時までにご回答頂けませんでしょうか。よろしくお願いいたします。」
(略)

●2010年8月6日 21:45(メール) 日本ホメオパシー医学協会

「朝日新聞 東京本社 科学医療グループ 長野 剛殿
日本ホメオパシー医学協会の○○と申します。
一次回答します。

ご返信、ありがとうございました。
> おっしゃる通り、由井さんは取材の間、西洋医学の必要性を述べており、必要となる条件について、質問にお書きした言葉の「西洋医学を受けなくてはまもなく死んでしまうような人ならば、受けなくては仕方がない」をおっしゃっておられました。

いえ そのようなことではありません。このように言ったのです。

(※下記は、6月17日(Be report取材)時点での由井会長と長野剛記者の取材のやりとりより抜粋)

『[長野剛記者]
ということはこちらのお考えではレメディーを使っているときというのは基本的に西洋医学を受けないほうがいいということになるのですか。
[由井会長]
西洋医学を受けるとか受けないじゃなくて、ホルモンがなければ死んでしまう人が、そんなの受ける受けないは関係なくやらなければ仕方がないじゃないですか。それはお医者さんが決めることじゃないですか。
本人が決められる範疇のもの、たとえば風邪をひいたら風邪薬にはしるものをじゃあ風邪でというならこのキットの中の鼻水が出るからじゃあ鼻水に合うNat-m.とか岩塩のレメディーをとってみたらと言う指示はしますよ。
[長野剛記者]
そのレメディーを普通の病気、まあ交通事故とかあって……。
[由井会長]
それはすぐに病院です。
[長野剛記者]
ですよね。あるいは、たとえば肺炎で高い高熱……。
[由井会長]
それは病院
[長野剛記者]
ということは、由井先生、要するにこのまま放っておいたら病気と闘う症状によって死んでしまうと、これは西洋医学で……。
[由井会長]
もちろん。緩和させないといけない。彼らのものは治癒ではなくて緩和なのですよ。
緩和って大事ですよ。緩和の医学も。だからそれはちょっとばかりの熱、ちょっとばかりの下痢、ちょっとばかりの湿疹に現代医学を使うのではなくて最も安全な副作用のない、赤ちゃんでも妊婦さんでも使えるものを先に使ってみたらどうか
これは自己治癒力でできるのだったら自己治癒力でやってみたらいいじゃないですか。
このようなことをヒポクラテスは 2500年前に言っているのですよ。
自分の体に100人の名医がいると書いているのですよ。ヒポクラテス全集の中に。
だからこの名医を使わない手 はないと。この逆療法、緩和ですけれど、現代医学ですけれど、と、同種療法をうまく使い分けたらいいと彼は書いているのですよ。』

これが由井会長が話した事実です。
(略)
★解説します。
長野剛記者は、次のように主張します。
「おっしゃる通り、由井さんは取材の間、西洋医学の必要性を述べており、必要となる条件について、質問にお書きした言葉の「西洋医学を受けなくてはまもなく死んでしまうような人ならば、受けなくては仕方がない」をおっしゃっておられました。」
しかし、JPHMAで録音を聞き、「西洋医学を受けなくてはまもなく死んでしまうような人ならば、受けなくては仕方がない」という部分を探しましたが見つけることができませんでした。そこで何度か注意深く聞いて、おそらくここが該当するのではないかという部分を見つけることができました。それが上記に書いたやりとりです。
そして長野剛記者は、由井会長が西洋医学の必要性を述べていたことを認めつつも、「西洋医学が必要となる条件を述べていた」と主張します。そしてその条件とは、「西洋医学を受けなくてはまもなく死んでしまうような人」であると由井会長が述べていると主張します。しかし実際、上記のやりとりを読めばわかるように由井会長はそのような条件を主張していません。

由井会長は次のように述べています。
「だからそれはちょっとばかりの熱、ちょっとばかりの下痢、ちょっとばかりの湿疹に現代医学を使うのではなくて最も安全な副作用のない、赤ちゃんでも妊婦さんでも使えるものを先に使ってみたらどうか。これは自己治癒力でできるのだったら自己治癒力でやってみたらいいじゃないですか。」

つまり条件を言っていたと長野剛記者が主張するのであれば、それは西洋医学を行う条件ではなく、西洋医学を行わない条件であり、しかもそれは条件というより提案と言えるものです。そしてそれは、日常のちょっとした症状には、第一に西洋医学ではなくホメオパシーを使ってみたらどうかという提案です。
(略)

ここで注目していただきたいのは、同協会の公式の回答としてホメオパシーとは西洋医学に「先行してまず第一に」行うべきものであるという「提案」がなされていることですよね。
当然ながら彼らの立場上公式に「西洋医学に関わるな」などと言うはずがないわけですが、彼らの言う「西洋医学を行わない条件」に適合しているのであればまず砂糖玉を使ってみましょうという、ではその西洋医学を使う、使わないの条件と言うのを誰が設定するのかと言えば、素人である本人の主観と同じく素人であるホメオパシー治療師の判断でしかないということです。
彼らがたびたび取り上げる「ホメオパシーが保険医療に取り上げられている国」イギリスなどでは、ホメオパシーを使って良いのは放置しておいてもいいようなごく軽い症状に限られ、本物の病気に対して医師に無断でホメオパシーを使うなと言っているわけですが、これなどもまさに素人が勝手な主観で医者にかからずホメオパシーに流れることのないように保険診療という縛りを入れているわけですよね。

となれば、ホメオパシー第一主義を掲げる同協会としては、どのような時に信者を病院に送るのかという明確なガイドラインがなければ、信者が勝手に主観的な判断で「これはホメオパシー程度で十分なんだ」と誤解したままでいる可能性があるということであって、実際に今回の悪性リンパ腫の事例などまさしくそうした誤解が死という結果にまで結びついた一例だったはずです。
ところが同患者を担当していたホメオパシー治療師は最後まで病院に行けとも何とも指示することなくホメオパシーだけを継続した、そして先日ご紹介いただきました同事件の経緯を問いただす「「あかつき」問題を憂慮する会」の質問状によれば、事後にこんな発言までしているということですから恐れ入ります。

さらに恐ろしいことは、竹沢氏が結局最後まで、Aさんの病状について何も知り得なかったことである。
死後、荒瀬が竹沢氏に面会した際、最初に「彼女は何の病気によって亡くなられたと認識しておられますか」と尋ねたところ、「悪性腫瘍でしょうね」と答えるのみであった。
どこの腫瘍であるかを問うと、「私は医師ではないので医学的所見は述べられない。検査をできるわけではないので、体の中で起きていることはわからない。私はただ、患者さんの望んだテルミーとホメオパシーの治療をしてさしあげるものなのだ」と開き直ったような返事であった。
3月の時点でも、Aさんに会った多くの人が、体力の著しい低下、息切れ、黄疸、むくみに気づいて心配していた。素人でもわかることを、最も近くで見ており、最も詳細に報告を受けていた竹沢氏がわからなかった。それでは諸症状はなぜ起こると考えていたのかと荒瀬が尋ねると、竹沢氏は「治療師的な直感として、好転反応であると見ていた」と回答している。

前述の朝日記者とのインタビューの中で由井会長は自ら「西洋医学を受けるとか受けないじゃなくて、ホルモンがなければ死んでしまう人が、そんなの受ける受けないは関係なくやらなければ仕方がないじゃないですか。それはお医者さんが決めることじゃないですか。」と公言していますけれども、これはこういう風に言い換えることも出来ますよね。

「西洋医学を受けるとか受けないじゃなくて、ビタミンがなければ死んでしまう人が、そんなの受ける受けないは関係なくやらなければ仕方がないじゃないですか。それはお医者さんが決めることじゃないですか。」

まさに今回の事例の最大の論点を由井会長自らが語っているという構図ですけれども、問題は西洋医学嫌いの同会長ですらこうまで公言している「仕方がない」ことが何故今回実施されなかったかということであって、その理由を突き詰めていくと同協会らホメオパシー推進派の方法論(というより、経営戦略?)に構造的欠陥があるということが見えてくるわけです。
例えば開業助産所のお産にまつわる死亡事例で、異常妊娠であるにも関わらず手遅れになるまで助産所が妊婦を抱え込み続けた結果手遅れとなり妊婦が亡くなった、そして何故こんなことになる前に病院に送らなかったのかと問われた助産師がこう答えたとすればどうでしょう?

「私は医師ではないので医学的所見は述べられない。検査をできるわけではないので、体の中で起きていることはわからない」

そもそも正常妊娠のみを扱っていいことになっている助産師として法を犯していることになるわけですから、当然ながらそんな同助産師はしかるべき処分なり社会的非難なりを受けることになるでしょうが、逆にいえばそうした法的、社会的規制のしくみがあるからこそ、なんだかんだと問題点・危険性が多々指摘されながらも開業助産所というものが今なお存続を許されているわけですよね。
イギリスなどで敢えて批判数多かつ効果がないことが公認されているホメオパシーを、保険診療という枠の中に留めている理由の一端も同じところにあるわけですが、日本では今のところ全くそうした公的規制が存在しない、そしてホメオパシーの現場にも協会にも現状のやり方を問題視し、改善しようとする意識すら見られないというところが今回の事件の根本原因でしょう。

「当協会は現代医療を否定してはおらず、現代医療と協力してやっていくという立場をとっており、協会会員に周知徹底しております」という同協会であるのに、いつ、どんな時に現代医療に引き渡すかというその具体的指標を一切示していない、彼らの規約を見ても「病院での検診が必要と判断される場合は、速やかにその旨をクライアントに伝えなければならない」と抽象的に書いているだけです。
ならば必要性の有無についてどんな判断基準があるのかと言えばそんなものは存在しない、そもそも判断する主体となるのは顧客たる利用者はもちろんトップの会長以下、自ら医学には素人で何も判らないと自認されている方々ばかりであるということですから、これはまさに「正常分娩か異常分娩かを判断することも出来ないのに、正常分娩であるという前提で取り扱う」ということと全く同じですよね。
助産師が本業であるお産絡みでそんなことをやれば刑事事件にもなるというのに、同じ人間がホメオパシーに関しては同じことをやっても何らお咎めなしで済むというのでは、これは著しく法的・社会的な正義を欠くということになりはしないでしょうか?

同協会では「協会としては現代医療の必要性について周知徹底しておりますが、万一もし末端において周知徹底されていないという事実があるようでしたら、今後、調査してより一層の周知徹底をはかってまいる所存です」などと言ってお茶を濁していますが、今後どのように周知徹底をしていくつもりであるのか興味が出てきますよね。
末期の悪性リンパ腫となると素人目にも重症感はあったはずですが、経験豊富な治療師的直感としては単に好転反応であると解釈していたそうですから、彼らの素人度は本物の素人以下であると考えて対処する必要があるし、それを指導している同協会としてもそうした前提に立って素人以下でも間違えようのない指針を提示するのが社会的義務というものでしょう。
いっそ今後は同協会も規約を改正して、ホメオパシー療法を希望する方には事前に必ず「あなたの健康には何の問題もなく、ホメオパシー療法にも十分耐えられる」という医師の診断書を持参するよう義務づけるくらいのことをしてくれないことには、社会的責任を放棄していると言われても否定できないんじゃないでしょうかね?

ちなみに、同協会では同じく週刊新潮の記事に関しても反論?を掲載していまして、こちらの方は冒頭にも紹介しました通り元々の記事が批判一点張りという内容でもないだけに、「なかなかいいことを言うではないか」なんて態度も見え隠れしているもののようですね。
反論先の元記事がそんな調子であるだけにむしろホメオパシーの宣伝が中心と言った内容で見るべきところは少なく、「世界中でこんなセレブ達に愛されてます!」なんてずらずらと名前をリストアップしているのは「お前は週刊誌裏表紙の広告か!」と思わず突っ込んでしまいますけれども、中に一点だけ見過ごせない内容が含まれていましたのでチェックを入れておきましょう。

週刊新潮の記事(「ホメオパシー」にハマっている有名人)に対しての見解(2010年8月19日日本ホメオパシー医学協会)より抜粋

週刊新潮記事から引用
「一方、日本ホメオパシー医学協会は、朝日の報道に反発し、見解を公表した。 <ホメオパシー叩きを目的とした情報操作であるように考えられます>」(週刊新潮記事から引用)

今回の週刊新潮の記事では、朝日新聞社科学医療グループのようなホメオパシーならびにJPHMAたたき一色の一方的な記事とは異なり、マスコミでもはじめて、ホメオパシー新聞に書かれたJPHMAの見解がとりあげられました。また、取材を受けたJPHMA提携クリニックの山崎クリニック(佐賀県唐津市)の山崎実好院長のコメントも掲載されています。

週刊新潮記事から引用
「私は西洋医学の医者ですが、現段階ではアトピー性皮膚炎も喘息もアレルギー性鼻炎も治せない。でもホメオパシーによって、そうした慢性的な症状に苦しむ患者さんの状態が明らかに改善されたんですよ」

このようにホメオパシー療法を実際に使った多くの臨床経験がある医師の声を紹介するということは、ホメオパシーの有効性に対して正当な判断を下す適正な材料になると同時に、公正な報道において必要なことであると考えます。

ちなみにこの山崎実好氏は日本ホメオパシー医学協会の日本ホメオパシーセンター佐賀唐津センター長を務めるくらいにどっぷりな方で、産婦人科の先生がどういう経緯で「当診療所では小児への投薬をなるべく行わないという診療方針のもとで外来診察を行っています。そこで治療は、副作用のないホメオパシー療法が中心となります」なんてことになったのかは興味あるところですが、それはともかく発言主が医者として考えると非常に興味深いコメントですよね。
山崎氏が「治せる」という言葉をどういう定義で使っているのか判りませんが、今日の医療では例えば喘息などずいぶんと治療法が進んでいて(まさか同氏はステロイドは全て悪だ!と未だに気管支拡張剤一択なんてトンデモ医師でもないんですよね?!)、多くの症例で発作自体を起こさせないというレベルでの非常に良いコントロールが得られているわけです。
ホメオパシーにおいても「状態が明らかに改善された」患者が中にはいるのかも知れませんが、そんなことは今日の医療ではごく当たり前の話であって、当然同氏も医師免許を持っているくらいですからそんな常識的知識を持った上で「でもホメオパシーもよく効くんだよ」と主張しているのだと想像されますよね。
そうなるとホメオパシーとはそれほど高い効果を誇っていて、世界中にこれだけ信者を抱えている以上は症例を集めるにも不自由はないでしょうから、当然ホメオパシーの奏効率が幾らで通常の医療よりもこれだけ優れているんだというデータをもって語られているわけですよね??

素人が「これで癌が治った!」式の商売をやることは、最悪正しい効果の検証のやり方を知らないからだと言い逃れが出来るかも知れませんが、仮にもエヴィデンスに基づく医療が求められている現代の医療において根拠もなく効く!と主張しているのであれば、失礼ながら一体いつの時代のどんな医学教育を受けたのかと疑問に感じざるを得ません(昭和59年医籍登録ということですから、今50歳くらいの先生でしょうか?)。
ホメオパシーに限らずこうした商売をやっている方々に共通する傾向ですが、いわゆる「私もお勧めします!」と言ってる人たちが揃いも揃ってこういうレベルの方々ばかりというのは、逆にむしろ宣伝上マイナスになっているんじゃないかと他人事ながら心配なんですが、世間的にはそういうところよりは「医学博士(だけど医者じゃない)も推薦!」なんてシンプルな売り文句にばかり目が行くということなんですかね?
最近いわゆる超科学なんてものの検証本をおもしろおかしく読んでいるのですけれども、「根拠とする議論の多くが、時代遅れか、信頼できない文献からの引用か、証明不可能なもの」で「数学が使われることがめったになく、論理的な議論が欠けていることが多い」なんて点は、やはりこういう人たち全般に共通しているものなんだなと改めて思い知った見解ではありました。

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コメント

>「ホメオパシー」の扱いをどうするのか、知りたいところだ。

今さら口をぬぐって推進を前提に検討しますなんて言い出したらむしろ笑うところだが…

投稿: | 2010年8月20日 (金) 17時32分

て言うか、すごいことになりそう

★<民主党>「平賀源内研究所」構想 国がタイムマシン助成?

・奇想天外、反主流の研究大歓迎--。民主党の文部科学部会が、こんな科学研究拠点の
 創設を提言した。その名は「平賀源内記念研究所(仮称)」。新たに発行する「科学宝くじ」の
 収益を、タイムマシンなど実現不可能とされる研究や常識にとらわれない研究に投じる。
 事業仕分けで「投資に見合う研究成果を」と強調してきた民主党が、成果主義で買えない
 「夢」を育てることができるか。

 提言は19日、同部会の科学技術チームがまとめた。欧米では研究機関に偉人の名を
 付けることが多い。

 チーム主査の首藤(すとう)信彦衆院議員(元東海大教授)によると、静電気発生器
 「エレキテル」など数々の発明をなした平賀源内(1728~79年)を研究所の名に頂く。
 日本は明治維新以降、西洋科学を欧米から輸入し発展させてきたが、それ以外の手法や
 日本独自のテーマについても再評価して育て、次世代の発展につなげたいという。

 原資は、受け取り手が現れないまま有効期限を迎えた宝くじの「時効当せん金」の一部を
 活用するほか、新たに「科学宝くじ」を創設して年間10億円程度を調達。国内外から
 50人程度の「異才、奇人」を集め、自由に研究してもらう。

 実現性は未知数だが、首藤議員は「タイムマシン研究でもいい。欧米に追いつけ追い越せの
 理工学以外から、新たな分野が開かれる可能性がある」と夢を膨らませる。

 ◇平賀源内
 江戸中期、高松藩(現香川県)出身の蘭学者、発明家。蘭学の知識を基に静電気発生器
 「エレキテル」を復元、石綿を使った「燃えない布」などを発明したほか、薬学・植物研究や
 鉱山開発、浄瑠璃創作、陶芸「源内焼」の創始、「土用丑(うし)の日」にうなぎを食べる
 習慣を提案したりと多方面で異才を発揮した。
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100820-00000052-mai-soci

投稿: 通りすがりのただの人 | 2010年8月20日 (金) 21時15分

無介助分娩を理解しない実母と義母
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2010/0823/341290.htm?o=0&p=0
妊娠7ヶ月ぐらいの妊婦です。
「ぐらい」と書いたのは、予定日を最終月経から自己計算したためです。

昔から自然なお産に憧れているので、自宅で誰の手も借りずに出産します。
妊娠出産に関してたくさん本を読み、ネットでも勉強しました。

そのため、医師や助産師の手など借りなくても出産できます。
また、病院や医療行為がいかに危険なのかも把握しています。

どこかの自然派出産の先生が「女性には本来生む力が備わっている」と仰っていました。
しっかり体を動かし、食事に気をつければ一人で元気な子を生めます。
医療行為に頼って生むのは、怠け以外のなんでもありません。

しかし、この考えに義母と実母が大反対します。

「母子手帳の交付を受けなさい」
「産婦人科の検診に行きなさい」
「自宅で生むなら、せめて信頼のおける助産師に…」

そもそも母子手帳なんて、病院にかかる人のためにあるものですよね?
他人に自分の体の状態をさらすなんて嫌です。

妊娠出産は病気でもなく順調なのに、なぜ病院に行かなければならないのでしょうか?

助産師だって他人ですので、医師と同じです。
医療従事者という他人に、自分の体を把握されたくないです。

先日、義母が知り合いだという助産師を紹介しようとしました。
余計なお世話です。

ちなみに、夫はこの件に関して一切口を出して来ないのでありがたいです。
出産や育児に関して、男性は不必要ですので。

無介助分娩を経験された方、周りの反対にあいませんでしたか?
なぜ、自分の出産に関して自分で決められないのでしょうか。
経験者の意見をおきかせ下さい。

病院に行けとかの批判は結構です。

投稿: もしかして釣り? | 2010年8月23日 (月) 19時24分

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