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2010年8月25日 (水)

ちょっとそれはどうなのよという小ネタ

近頃では日本も観光立国を目指すということで、とりわけ近隣の東アジア諸国から顧客を呼び込もうとビザの発給緩和など色々とやっているところですが、その甲斐あってか実際に人的交流は大幅に促進されてきているようですね。

日中韓の交流人口2600万に 09年の倍増、観光相会合(2010年8月22日47ニュース)

 【杭州共同】中国で開かれている第5回日中韓観光担当相会合は22日、2015年に3カ国を相互に訪問する旅行者数(交流人口)を2600万人にするとの目標を盛り込んだ共同声明を発表した。

 目標は09年実績1350万人の約2倍。観光を成長戦略の柱に据える日本には追い風で、文化や医療など新しい観光商品の開発にも弾みがつきそう。前原誠司国土交通相は「3国のきずなの強化につながる」と成果を強調した。

 日中韓の交流人口は、国際的な景気後退や新型インフルエンザなどの影響で08年、09年は減少しているが、10年には第1回会合(06年)で決めた1700万人の目標が達成される見通しとして、新たな目標を定めた。

 共同声明は目標達成のため、観光プロモーションの協力を進め東アジアの旅行市場を拡大することを明記。具体策では、景勝地の紹介や広報宣伝での交流や協力に加え、医療やスポーツ、映画、アニメ、飲食などを観光資源として開発し利用することなどを挙げた。

 また大規模な自然災害や感染症の流行などが観光に必要以上の影響を与えるのを避けるため、3国で情報を共有することも盛り込んだ。

実際のところ中国なども昨今海外進出してくる富裕層が多いですし、日本からでも下手に国内観光地に行くより韓国あたりで遊んできた方が安いなんてことになっているようですから、当分この拡大基調の流れが続くということになるのでしょう。
最近は国を挙げてその推進に動いているという医療ツーリズムなどもこの延長線上にある話ですが、こちらも観光庁を旗振り役にして盛んに顧客を呼び込もうと頑張っているようです。

観光庁、訪日医療観光の推進 病院・開業医受け入れ体制強化(2010年7月27日産経ビズ)

 観光庁は26日、日本で医療サービスを受けるために訪れる外国人を増やすため、受け入れに意欲的な国内の医療機関や個人の開業医を対象に、支援を強化する方針を明らかにした。技術が高度で、価格競争力のある医療分野のほか、通訳を必要とせずに意思疎通が図れる医療サービスに関する情報を海外に向けて発信していき、訪日外国人の増加につなげるのが狙いだ。

 観光庁は、アジアなどの富裕層を対象に日本の医療機関を紹介するとともに、観光スポットについてもPRしていく考えだ。具体的には、海外で現地の旅行代理店と日本の医療機関による商談の場を設定、現地のニーズに適した医療サービスと観光をセットにして提案できる態勢の構築に取り組む。今年度は、先行事例の収集や市場調査、情報交換の場づくりなどに取り組む方針だ。

 「(医療と観光を掛け合わせた)医療観光はアジアでは大きな市場になっている。成長分野である医療と観光が連携をとってマーケットを拡大していくことは、まさに成長戦略の重要な柱だ」。観光庁の溝畑宏長官はこの日開かれた研究会で、医療観光に寄せる期待を、こうを語った。

 政府は新成長戦略で、2020年に医療観光分野で、アジアトップ水準の評価と地位を獲得する目標を掲げている。タイは既に約140万人の患者を受け入れ、市場規模は08年に約1920億円になっているという。

 同庁は、19年の訪日医療観光客数の目安を111万人と想定している。この日同庁で開かれた研究会では、旅行業関係者から「現在受け入れているのは大手だけで年間100人程度。実現はほど遠い」と政府の安易な見通しを批判する場面もあった。

 研究会ではこのほかに、「プロモーションを効果的に行うため、海外の富裕層が医療観光についてどのように情報収集しているのか分析する必要がある」との指摘も出た。

 旅行会社を想定したコーディネーターの育成や医療の専門用語を操る通訳の確保といった課題も洗い出された。(米沢文)

ま、今のところお役所仕事だけにあまりに甘すぎる見通しという気がしないでもありませんけれども、ひとたび民間で商売になると認識されれば今の時代ですから、案外とんとん拍子に規模の拡大が達成されてしまうのかも知れませんね。

この医療ツーリズムというもの、限りある医療資源を国外顧客に取られるだとか金持ち外国人が優先されるよになるとか、各方面から否定的な批判の声も出ているようですけれども、保険診療頼りの限界が指摘されている現在、やる気と元気のある一部医療機関にとっては大きなビジネスチャンスではありますよね。
タイなどもすでにこれだけの患者を受け入れているということですから、それならば日本でもと二匹目のドジョウをと狙いたくなる心境は理解できるし、実際にそれなりの需要もあるようですから商業的な成功を見込めると判断されればやればいいという話なんですが、当然無用の誤解から前述のような批判を呼ばないような配慮も必要だろうということです。
その意味で旗振り役の政府や実施担当の医療機関はもちろん、国民に対する直接的な広報役であるマスコミの役割というものも非常に重要になってくるわけですが、そこで先日出ていましたこちら毎日の記事を紹介してみましょう。

余録:観光医療(2010年8月17日毎日新聞)

 香港で、ベトナムからの密入境者が増えて問題になっている。いったん中国の広東省に潜入し、さらにコンテナトラックの荷台の底に隠れて香港に入ってくるのである▲普通の密境者はトラックを出るとすぐに街に姿を消すが、ベトナム人密境者はコンテナヤードをうろついて、警備員に見つかるのを待つ。警官に引き渡されると素直に密境を認め、「私は伝染病にかかっている。医療刑務所に収容してもらいたい」と申告する▲警察もよく心得ていて、パトカーではなく救急車で移送するそうだ。ほとんどが重症のエイズ患者なのだ。高額な医療費を払えない貧しい人の窮余の策だが、観光と医療を組み合わせたメディカルツーリズムの変形といえないこともない▲香港政府の統計によると、今年4月までに摘発された密入境のベトナム人は105人。昨年は年間447人だった。評判を聞いてアフリカ系の患者もやってくるようになったというから、政府の負担もばかにならない▲密境者は蛇頭と呼ばれるブローカーに日本円で数万円の代金を支払う。蛇頭といえば、かつては日本へ出稼ぎに来る中国人を密航させてもうけていた。いまはベトナムの貧しい病人がお客だ。ますます商売があこぎになった▲もっとも、ちゃんとしたメディカルツーリズムは観光業の世界的な流れ。とりわけシンガポールなどアジアの国々は、中国人の富裕層をねらった戦略だ。ホテルのような病室の豪華さを競うだけでなく、言葉の壁や生活習慣の違いによる文化摩擦を取り除くことが成功のカギらしい。この点、日本はまだメディカルツーリズムは後発国だ。

なるほど、毎日新聞的には貧しい人の密入国はメディカルルーリズムの変形であると…って、幾らなんでも変形しすぎだわ!と思わず突っ込みを入れたのは自分だけではないと思いますね。
この記事、医療ツーリズムと密入国とをこうして並べて取り上げることで、医療ツーリズムでやってくる外国人=潜在的犯罪者というイメージを植え付けようという戦略かとも受け取れる話ですけれども、下手すると国を上げて取り組んでいる一大事業がポシャるどころか、国際問題にもなりかねないとんでもない話ですよね。
医療ツーリズムというものをこういう理解で受け止めている人間がいるという点では一つの教訓にはなる記事ですが、そういうレベルの人間がこうして全国紙に記事と称する妄言を垂れ流し「文化摩擦を取り除くことが成功のカギ」などとおっしゃるというのはどうなのかだし、相変わらず毎日は斜め上方向に外してるなあと改めて思い知らされる一文ではありました。

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