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2010年8月17日 (火)

次第に強まるホメオパシー包囲網 しかし何故今になって?(追記あり)

先日「Not so open-minded that our brains drop out.」さんの「やる夫で学ぶホメオパシー」を4まで読んでいまして、ホメオパシー信奉者になってしまったやる夫がいよいよ反撃か?!と思っていましたら、あっさり論破されてしまい最改宗というのは豹変の度も過ぎるんじゃないかという気がしますが、こういう素直な方々ばかりなら話は簡単だったのだろうなと思います。
もちろん実際の信者の方々はと言えばそう単純なものでもないのは当然で、たとえば「NATROMの日記」さんあたりは以前から熱心に啓発的な記事を書いてらっしゃいますけれども、信者の方に言わせるとその内情はこういうことになるんだそうです。

NATROMの日記を書いている最低な医師グループ達。 (2010年3月19日ブログ記事)より抜粋

NATROMの日記と言うブログを書いている内科医グループが、シモンチーニ博士も含め、代替医療のすべてを徹底的に批判しています。

彼らは、数名の医師達のグループ、若しくは、内科医と称している免疫療法などのベンチャー会社のグループが、癌で設けるために、目の上のタンコブになりそうなすべての代替医療を目の敵にしているグループであるといわれています。
コンピューター技師などにお金を払い、癌を治してしまう可能性の強い代替医療に関しては、徹底的に悪く書くという手法を使用しているそうです。

がん患者の中では、有名な連中です。
こんな事をしたら、ますます、医師や医療関係者が代替医療やシモンチーニ博士の治療を恐がっているという事が見え見え状態で、かえってシモンチーニ博士の治療方法に効果がありそうな感じがしてきます。
(略)

いやいやいや、わざわざコンピューター技師などに外注?してまでブログをやっている人間もそうそういないでしょうけれども、逆にこうまで電波ゆんゆんだといったいどこから突っ込んでいいものやら迷うところですよね。
いちいち全部を引用しませんけれども、こういう人たちが決まって取り上げる「ある医師はこう言った」式の証言を見ても、どう考えてもまともな医者の発言とも思えないだけに、こういうものは類は友を呼ぶと言うのか、あるいは朱に交われば赤くなると言うのか、いずれにしてもお仲間同士で手に手を取り合って斜め上方向に全力で疾走中ということなのでしょう。
ただご本人達はそれで満足だとしても、周囲の人間がどうかというのはまた別問題であるわけで、このホメオパシー問題に関しては何より今回の事件のように、無抵抗で拒否の意志も表明できない子供が親の信仰の犠牲になったということが救われないというのは多くの方々が指摘するところで、そうであるからこそマスコミもとうとう批判記事を出してきたということなのでしょう。

ホメオパシーを巡る問題(その4) 赤ちゃんは治療法を選べない(2010年8月13日朝日新聞アスパラクラブ)

東京本社科学医療グループ  岡崎明子

みなさん、長野剛記者のブログにたくさんのコメントをありがとうございます。
8月5日付の朝刊「『ホメオパシー』トラブルも 日本助産師会が実態調査」の記事と、 11日付の朝刊「代替療法ホメオパシー利用者、複数死亡例 通常医療拒む」の記事を長野記者と一緒に取材した岡崎明子です。

助産師の間でホメオパシーが広がっている
そんな話を聞いたのは、代替補完医療の科学的根拠について研究しているある大学の先生との雑談でした。山口市の助産師の訴訟については知っていましたが、それは特異なケースだと思っていました。

助産師がかかわる「自然なお産」は、ちょっとしたブームです。
会陰切開をしない、ベッドの上にこだわらず、自分の望んだスタイルで産む――
雑誌で特集されたり、芸能人がインタビューにこたえたりしているのを読むと、産科医が管理する病院での出産は、自然の摂理に背くことのように思えてしまいます。複数の友人に「いい助産院、知らない?」と聞かれた経験もあります。

確かに、戦後しばらくまでは自宅の布団の上で、「産婆さん」の助けを借りて産むのが普通でした。しかし、そのころの新生児死亡率は、現在の死亡率と比べると20~30倍も高いのです。出産の時間さえも決めてしまう病院の行き過ぎた管理出産には私も反対ですが、リスクの高い出産でも「自然なお産」にこだわるのはどうかと思います。

話が少しずれてしまいましたが、「自然なお産」の流れに、ホメオパシーの言う「自然治癒力を高める」というキャッチフレーズは、大きな親和性があるのでしょう。日本助産師会への取材でも、ホメオパシーを実践しているのは、比較的若い助産師が多いとのことでした。

日本助産師会のスタンスは、「ホメオパシーを含む代替補完医療を全否定はしないが、通常医療を行わないのはおかしい」というものです。実際の現場でも、妊産婦さんに「ホメオパシーではこういうことを行う。通常医療ではこういうことを行う」と選択肢を示した上で、本人に選んでもらうとのことでした。

でも、ホメオパシーを信じている助産師からの説明は、公平でしょうか。その説明を受けた妊産婦さんが、いわゆる自然なお産を志向していれば、ホメオパシーを選択してしまうのは、容易に想像がつきます。

日本助産師会の機関誌の8月号では、特集記事として「産科における代替医療を考える」が掲載されています。この中で、ある助産師がホメオパシーを薦める原稿を載せており、こんな一文で締められています。
ホメオパシーと助産師ケア、その考え方の根拠にあるものが共通だから、助産師はホメオパシーに惹かれてしまうのではないかと思います」

赤ちゃんは、治療法を選べません。
日本助産師会は根本的に、この問題に対処すべきではないでしょうか。

別に大人の信者はどうでもいいと言えば言い過ぎなんでしょうが、世の中様々な思想信条があって身体に悪いと判りきっている酒やタバコも熱心な信奉者には事欠かないわけですから、自己判断能力があると見なされる大の大人が最終的にどうなろうが結局は自己責任だとは言えるかも知れません。
しかし「こどものおいしゃさん日記」さんがすでに2005年の段階で予防接種忌避問題に関連して、ワクチン接種の「1番目の目的は、「我が子を殺人者にしないこと」」であり、「麻疹で死んだ子がいれば、その子に麻疹をうつして殺した人」がいるのだと看破しておられるように、ホメオパシー問題でも否応なく命を奪われてしまうのは信仰と無関係なはずの子供であり、殺人者になるのは騙した側ではなく騙された親となるわけです。
そうであるからこそ仮にも一応の専門的知識を提供することが求められている助産師が、今回積極的に子を殺し親を殺人者にしてしまったことこそが最も責められるべきであって、助産師会は「当該助産師が補完代替医療の一つであるホメオパシーによる効果を過大に期待したため」などと、半端なコメントでお茶を濁すようなことをしていても仕方がないと思うのですけれどもね。

いずれにしても朝日新聞が今回妙にやる気を見せているらしいということはすでに各方面でも注目され始めているようで、例えば毎日新聞などにもこんな記事が掲載されているようです。

きび談語:朝日新聞の長野剛記者がホメオパシーという… /岡山(2010年8月13日毎日新聞)

朝日新聞の長野剛記者がホメオパシーという代替医療行為について、科学ベースの批判記事を書き続けている。すごい仕事で尊敬している。ただ忘れてはいけないのは、インターネットではかなり以前からこうした批判が出ていたことだ▲例えば「NATROMの日記」を読んでほしい。ネット上には良質な専門的知識がそこかしこに点在している。私は、記者の取材力と読者の専門知を結びつけることが次世代の新聞に必要だと思う。長野さんの記事に『次』を考えるヒントがある。【石戸諭】

地方版などでは結構呉越同舟的にライバル紙同士の相乗りは珍しくないことだと言いますが、こうまで直接的に他紙ヨイショの記事というのも珍しい気がしますね。
しかし逆に考えればずっと以前からネット上では批判が噴出していて、良質な専門的知識がそこかしこに幾らでも点在もしている、要するにどんなド素人でも書きたい放題の材料が一式揃っていたというわけなんですが、じゃあなんで取材力を誇る毎日さんはずっとだんまりを決め込んでいたのか、マスコミの使命を忘れた単なる怠惰でなければいったいどんな圧力が…?と余計気になるような話ではあるのですけれどもね(苦笑)。
毎日新聞としても今さらながらに放置は出来ないと考えたのか、ホメオパシー問題のQ&Aなども出してきたのはいいのですが、どうもその内容を見てもどこか歯に物が挟まったような言い回しと言いますか、何かしら遠慮でもしているのか?と言いたくなるような気がするのは自分だけでしょうか?

一方で日経などもネット媒体ではこんな記事を出してきていますけれども、現代医療への反発やら助産院問題とも絡めてなかなか意欲的な記事です(陣痛促進剤問題との関連はもう少し突っ込んで見た方が面白かったのでしょうが)。
視点としては前述の朝日の記事にも見られる「自然なお産を主張する助産師とホメオパシーとのシンパシー」ということに着眼しつつ、やはりその自然回帰とは果たして良いことなのですか?問いかける内容で、少し長いのですが引用してみましょう。

ホメオパシーと自然なお産の奇妙な関係(2010年8月16日日経BP)

 今回は電子書籍と図書館の関係を書く予定だったが、以前に新型インフルエンザに関係して解説したホメオパシーの問題が急速にクローズアップされてきたので、話題を変更することにする。

 事の発端は、1つの裁判だった。乳幼児を亡くした母親が、助産師を訴えたのである。

 昨年10月、1人の乳幼児が脳内出血で死亡した。新生児は血液凝固を助けるビタミンK2を体内で十分に生成できない。そのままでは、新生児 2000~4000人に1人の割合で頭蓋内出血などが原因で死亡する可能性がある。そこで厚生労働省は、新生児には生後1カ月以内にビタミンK2シロップを3回服用させることとする指針を出している

 乳幼児は病院ではなく助産院で生まれた。そこの助産師が、ホメオパシーの実践者だったのである。助産師はビタミンK2シロップの代わりに、ホメオパシーのレメディ(独自の薬剤)を投与し、母親には「同等の効果がある」と説明したのだという。母親は、助産師を相手取り、山口地方裁判所に損害倍総請求の訴えを起こした。

 ホメオパシーのレメディとは、様々な物質をその物質の分子が1つも残らないほど希釈して、糖に染み込ませたたものだ。そのようなものが、ビタミンK2の薬効を示すはずもなく、結果として乳幼児死亡事故が起きてしまったのである。

 この問題は、読売新聞と朝日新聞が積極的に報道を続けている。それら報道によれば、助産院の現場にはすでにかなりの割合でホメオパシーが浸透しているという。

信じてはいけないホメオパシーで解説したように、ホメオパシーはプラシーボ(偽薬)でしかない。洗練された手法を持つものの、それは西洋における「イワシの頭も信心」というべきものであって、イワシの頭を拝む以上の薬効はない

 ここでは、「西洋イワシの頭も信心」であるホメオパシーが、なぜ助産院で広く受け入れられたかということを問題にしたい。

助産院は正常分娩のみを扱う施設である

 現在、出産は病院か助産院で行うのが普通だ。助産院というものは、医療法の定める、不特定多数の妊産婦の保険指導や分娩を行う施設だ。施設の管理者は医師ではなく助産師である。

 助産師は医師ではないので、医療行為は法律で禁止されている。扱えるお産は正常分娩のみで、逆子などの危険な分娩を扱うことはできない。出産時に異常が発生して医療行為が必要になった場合、助産院は連携している産婦人科医院や総合病院・大学病院などに妊婦を搬送する。

 様々な助産院のホームページを見ていくと、そこには妊娠適齢期の女性の「自然なお産」というニーズを、助産院が満たしていることが分かる。例えば、ある助産院のホームページには、こんなことが書いてある。

    「自然なお産とは、いろいろありますが、医療介入をなるべく少なくした、母親自身と、赤ちゃんの産むチカラを、最大限に引き出したお産のことをここではいいます。」

 女性には本来的に子供を出産する能力が備わっている、というわけだ。

 「自然なお産」という考えには、当然裏返しの「自然ではないお産」という概念がある。端的に言えば病院での出産だ。特に忌避されるのは陣痛促進剤による計画分娩である。「医師の勤務時間内に、機械のように出産させられるのはいやだ」というのが、妊婦たちを助産院に向かわせる大きな要因のようである。「産ませられる」のではなく「自分で産むという実感を持ちたい」という意識が、助産院での「自然なお産」を望む根底にはある。

 では「自然なお産」の実態はどのようなものか。それは歴史に聞けばいい

かつて出産は命がけの行為だった

 厚生労働省が出しているわが国の妊産婦死亡率(出産10万対)の年次推移(pdfファイル)という資料を見てもらいたい。1900年ころは出産10万回に対して400人以上の妊婦が死亡していた。それが時代を経るに従って急速に下がり、1980年代には20人を切り、2007年には3.1人にまで減少している。

 近代医学が不十分で、あまりお産に関与できなかった時代、つまりは「自然なお産」が当たり前だった時代、お産は命を賭けねばならない危険な行為だったのだ。

 なぜ危険なのか。それは人体の構造が不完全だからである。
(略)

自然は決して人間にとって心地よいだけのものではない

 老荘思想の「無為自然」をはじめとして、人工を廃した自然の中に真理があるという考え方は、古代から根強い。しかし、自然の中に真理があるとしても、それが人間の生存にとって良いものか、人間の感覚にとって心地よいものかとは別問題である。

 ひとたび山に入れば、あるのは爽快な山歩きの感覚だけではない。毒を持つ草やキノコは多いし、ヒルに吸い付かれることもあるし、場合によってはスズメバチに襲撃されることだってある。安全なはずの家庭にいても、蚊やハエ、ゴキブリは遠慮無くやってくる。これらの昆虫はすべて大自然の一部である。

 そもそも私たちは自然災害という言葉だって持っている。台風も自然だし、竜巻も自然、大雨も強風も河川の増水も崖崩れも自然だ。火山の噴火も自然だし、夏の肌を灼く太陽からの紫外線だって自然だ。さまざまな細菌やウイルスもまた自然だ。コレラもペストも自然だし、新型インフルエンザだって自然である。

 人が作り出した災厄である原子爆弾だって、主成分の一つはウラニウム235、つまり自然に存在する元素である。もう一つの主成分であるプルトニウム239は人工的な手段で作り出されるが、そのプロセスは核物理学という自然の摂理に従ったものだ。

 このように考えてくると、「自然なお産」という言葉の意味は、いわゆる「自然」とはあまり関係のない、「自分が産みたいように産む、しかも安全・安心のうちに」という産む側のニーズであることが分かる。しかし、すでに述べたように、自然が作り上げた人体は、本質的にお産を危険なものとする設計となっている。

 そして、妊産婦死亡率の統計が示しているのは、近代医学がお産を安全なものにしようと100年以上も奮闘を続け、ほぼ目的を達成しているという事実である。

ホメオパシーがもたらす「根拠のない安心」と「根拠のない安全」

 ここまで考えてくると、「自然なお産」という言葉の示す、「自分が産みたいように産む、しかも安全・安心のうちに」という妊産婦のニーズに対して、ホメオパシーは何を提供したのかが、問題の根幹であることが分かる。

 その答えは「安心感」であろう。ホメオパシーは、徹底的な希釈という特徴を「だから安全」「効き目が穏やかで安心」と説明する。それが、陣痛促進剤による自分の体調と無関係の出産を経験した経産婦にはかなり強力にアピールするようだ。

  しかし、ホメオパシーの本質がプラシーボである以上、その安心感はあくまでプラシーボ程度の「根拠のない安心感」であり、提供するものは「根拠のない安全」なのである。

 通常の出産において、その根拠のなさが表面化することはまずない。ビタミンK2シロップを投与しなくとも、3999~1999人の赤ちゃんは健康に成長する。1900年においても、10万人中9万9600人の妊婦は出産を乗り切っていた。現在はそれが9万9997人だ。そこに、ただの水を染み込ませた砂糖玉を「効き目の穏やかなレメディ」として紛れ込ませても、問題が起きる可能性はごく低い。レメディは薬効あるものとして相応の価格で販売でき、カスタマーである妊婦は精神的満足を得て感謝するのだから、ビジネスとしては悪くないとすらいえる。

 しかし、ひとたび我が子を失うような事態になれば、「4000人中3999人は安全だから」というのは何の言い訳にもならない。我が子を失った母親にとってはそれがすべてだからだ。「あなたの子供以外の3999人の赤ん坊が健康に成長する」という事実は、何の慰めにもならない。

 私は、「陣痛促進剤で産ませられるのはいやだ」という妊産婦の願いを無視していいとは思わない。

 病院側としても、単に効率で考えているわけではない。ただでさえ足りない産婦人科医のシフトの中で、最も安全な出産手法を考えて、陣痛促進剤を使ったお産を選択している。それでも、産むという行為が女性にとって全存在を賭ける重大事である以上、妊産婦の精神的満足もまた重要だ。そのニーズを正常分娩に関しては、助産院が引き受けるというのは意味あることだと思う。

 しかし、助産院が提供する精神的ケアの中に、ホメオパシーという「西洋のイワシの頭も信心」が紛れ込み、無意味に潜在的危険性を助長する事態にははっきりと反対する。

 ホメオパシービジネスは、助産師を対象とした資格商法で、かなりの収益を上げているようだ。資格取得に多額の経費を注ぎ込んでしまった助産師が、引くに引けなくなってしまい、「まずい」と思いつつもホメオパシーを出産の現場に適用し続けることを、私は憂慮する。

助産師がなぜこうまでホメオパシーにはまるのかということは色々と諸説あって、例えば開業助産師にとっては現代医療の範疇に留まっている限り助産師は何ら医療的な行為は行えないという法律上の縛りがある、そこへホメオパシーなどという自分の裁量で幾らでも治療(らしき行為)を行えるのが魅力的であるからだという説も根強くあります。
しかしそうした「わたしってこんなにすごいのよ」的自己満足で患者側に根拠のないものを提供し、何かあれば否定していたはずの現代医療に丸投げで尻ぬぐいをさせるというのであれば、これは世の産科医の先生方が一部のカルトな開業助産師らと嘱託関係を結ぶのを嫌がるというのも当然ではありますよね。

ホメオパシーに限らずこの種の代替医療推進派の方々は、非常に稀な副作用を取り上げ「だから現代医療は危険なのよ!」と強調してみせる一方、ほとんど治療効果云々と関連性のなさそうな例外中の例外のような症例を取り上げて「ほらこんなに代替医療はよく効くのよ!」なんてことを言いますけれども、決して奏効率などの具体的数字を挙げてということはしませんよね。
こういうものの効果があるのか無いのかは未来永劫決着がつかないのかも知れませんが、とりあえず言えることは現代医療と言うものは少なくとも一部領域では結構高いレベルに到達していて、大昔ながらの天然自然のやり方に比べるとすでに文字通り桁違いの成果を収めているという事実があるわけです。
要するに手元になけなしのお金があってこれをどう運用しようか、高利率で堅実な投資先はどこだろうかと資料を見比べて検討している時に「いや宝くじなら一攫千金、一等前後賞が当たれば三億円だよ」といきなり運を天に任せて全額ぶっ込めと勧めてくるような連中が果たしてまともか?と言うことですよね。

何千人に一人くらいはホメオパシー愛用者の中にも「奇跡」が起きることはあるかも知れませんが、そんなものは男性雑誌の裏表紙の「私はこれでセイコウしました」なんて怪しげなアイテムの広告と同じようなものであって、うっかり引っかかってお金をどぶに捨てた人の方が大多数であってコストパフォーマンスはタンス預金にも遙かに及ばない、しかもその場合なけなしの元本もあっさり消えてしまうわけです。
もちろん何とかストーンを四六時中身につけていたところで特に有害なことはないのかも知れませんが、一方でかなり高い確率でうまくいくとデータが出ている方法論が身近に存在しているのであればまずはそちらを試してみて、それでもどうしても駄目だとなってから改めて一か八かにチャレンジする方が、単に効率のことだけを考えてもよほど頭が良いやり方だろうという話ですよね。
最終的に満足を得ることが目的となる末期癌などはまた別の話かも知れませんが、少なくとも周産期に関して言う限りにおいては現代医療と「自然そのまま」との間にはそれだけの圧倒的な格差があるわけで、敢えてハイリスクローリターンな方法論を選ぶという方々は「自然ってやっぱり素敵」という自分のひとときの満足感のために、いったい何をドブに捨てることになるのかと言うことをもう一度考え直さなければならないでしょう。

もっとも、オレオレ詐欺なんて怪しいものにも引っかかる人間が未だに後を絶たないのと同様、古来世の中に詐欺のネタが尽きたことなどないわけですから、現実問題こうした事例も今後いつまで絶っても消えてなくなるということはまず考えられないでしょう。
そうであるからこそ少なくとも有り金全てを失って一家心中なんてことにだけはならないよう、最低限の救済策なり公的規制というものが必要なんじゃないかという話であって、長妻厚労相も「厚生労働省といたしましてもこれまで以上に、その効果も含めた研究というのに取り組んでいきたい」なんて悠長なことを言っている場合ではないと思うのですけれどもね。

  *  *  *

以下、追記ですけれども、ホメオパシー医学協会から再び朝日新聞の記事への反論文が出ています。

【参考】8/11付 朝日新聞の誤解を招く報道に対しての見解

今回とりわけ内容がアレで、今までは一応ソースを挙げて論理を構築しようと見せかけている気配はありましたけれども、もはや文字面を追っての屁理屈をこねているようにしか見えないというのはネタが尽きたということなんでしょうか。
いちいち突っ込んでも仕方がないんですけれども、下記の部分のあまりに的外れな反論に関してはよほど国語の読解力に不足しているか、あるいは思い切り痛いところを突かれて敢えて論点ずらしを試みているのかのどちらなんでしょうね?

2010年8月11日、朝日新聞東京本社 科学医療グループ 長野剛、岡崎明子記者
(4)「さいたま市では昨年5月、生後6カ月の男児が体重5千グラム前後の低体重のまま死亡した。両親は助産師の勧めでホメオパシーに傾倒。市によると、 病院での男児のアトピー性皮膚炎の治療や予防接種も拒否していたという。市児童相談所は、病院の受診拒否などを虐待と判断。保健師の指導で男児が4月に入 院した際、両親が連れ戻さないよう病院に要請していた。男児は5月2日に死亡した。」

本ケースは司法解剖も行われており、事件性がないことが明らかになっています。すなわち、乳児の死亡とホメオパシーの因果関係がないことはもちろん、虐待 もなかったということが判明しています。このようにホメオパシーと関係のないことをあたかもホメオパシーとの関連において死亡したかのような印象をもつよ うに記事全体が構成されています。
 
このケースは、児童虐待の事実がしっかりと確認できない中、虐待の通報が児童相談所になされ、その延長線上で、一方的に母子が引き離された後に容態が急変 し亡くなった事例です。まだ赤ちゃんなのですから、突然母親と引き離されてしまったらやっぱりとても不安で恐怖になったと思うのです。母子が一緒にいるこ とがとても大事なことだったと思います。

(略)

2010年8月11日、朝日新聞東京本社 科学医療グループ 長野剛、岡崎明子記者
(5)「アトピー性皮膚炎の治療や予防接種も拒否していたという。市児童相談所は、病院の受診拒否などを虐待と判断。保健師の指導で男児が4月に入院した際、両親が連れ戻さないように要請していた。」
 

「アトピー性皮膚炎の治療や予防接種も拒否していたという。」と あたかも、このこと自体が虐待に当たるような書き方をしています。実際、予防接種をしていなかったとしても、予防接種は1994年、予防接種法改正によ り、義務接種でなく任意になっていますので、本人の責任において判断するものになっています。またアトピー性皮膚炎の対処で代替療法を親が選択したことが 「虐待」と判断されるのでしょうか


いやですから、「アトピー性皮膚炎の対処で代替療法を親が選択」し病院の受診拒否などを行ったことが「「虐待」と判断される」のですよ。
親が子にまともな治療を受けさせないこと自体が虐待であって児相の介入対象となり得ることは、すでに宗教的輸血拒否の事例における親権停止の家裁判断などでとっくに世間に示されていることで、海外ではごく当たり前の話なのですが、記事のどこをどう読めば身体的虐待があったか否かが事件の論点であるように読めるというのでしょうね?
まさか由井会長以下同協会の方々がその程度の日本語の理解力もないとは思えませんから、よほど論点ずらしをしなければならないほどこちら方面からの攻撃には困っているということなんでしょう。

普通に考えるとホメオパシーにはまった親が子にまともな治療も受けさせず虐待認定されようが、単に親に選択枝を提示しただけの同協会などに直接的なダメージはないはずなんですけれども、「ホメオパシーに関わると虐待親認定されちゃうわよ」なんて噂が広がれば、当然ながら新たな信者獲得にはマイナスですよね。
多くの場合単に無知であるが故に騙されている(だろう)親を悪者にするということがどうなのかですが、結局のところ一番の犠牲者である子供を守るためにはその直接の加害者である親対策が欠かせないのは当然であって、その結果カルト教団そのものへの対策にもなるというのであれば児相の介入もやむなしということなのでしょう。
昨今ではこうした虐待問題というものは世間の注目を集めていて、ゴシップ好きのマスコミなども盛んに取り上げていますけれども、同時にこうしたメディアは過去ホメオパシーら代替医療の宣伝に一生懸命貢献してきたところでもあるわけですよね。

彼らメディアが今後反ホメオパシーに矛先を転じてくるのか、あるいは最後までホメオパシーと一蓮托生を決め込むのかが注目ですけれども、何しろ売れればなんでもいいという業界だけに、「危険なホメオパシーなど粗悪なまがい物だ!本物の代替医療とはこんなに安全で素晴らしいんだ!」なんてトカゲのしっぽ切りで終わりというのも一番ありそうな気がします。

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コメント

イタコ「口寄せ」癒やしに効果…国助成で研究
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100814-00000396-yom-soci
 故人の霊を呼び寄せて言葉を伝えるイタコの「口寄せ」に、自殺者の遺族(自死遺族)が癒やされるケースが多いことに注目し、その理由を探る文部科学省の補助金助成研究が、今月末からスタートする。

投稿: もはやなんでもあり | 2010年8月17日 (火) 11時58分

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