« 今日のぐり:「酔鯨亭」 | トップページ | 続・ホメオパシー 各会の反応 »

2010年8月30日 (月)

ホメオパシー医学協会 ついに学術会議への反論文を公表

しかし先日の学術会議の「ホメオパシー?なにそれ荒唐無稽じゃん?」という談話発表でホメオパシー関連の話題も一気に沸騰してきましたけれども、相変わらず朝日新聞は飛ばしてますね。
あまり単独ソースに頼ることはしたくないんですけれども、何しろかなりのメディアが奇妙なほどの沈黙を保っている問題だけに、今回も朝日ソースがかなり多くなってしまったことは最初にお断りしておきます。

さて、その学術会議の談話を受けて日本医師会(日医)や医学会、獣医学会といった医療系の業界団体が相次いで賛同のコメントを出してきたことで、苦しくなった推進派の助産師会すら「もうこれからは会員にホメオパシーは使わせませんから」と会員切り捨てとも取れるような見解を出してきたことは先日お伝えした通りです。
その後も同様の見解公表が相次いでいまして、歯科医師会薬剤師会が公式に賛同の見解を発表したことから、医療系の大手業界団体では未だ沈黙を続けている看護協会がだんだんと目立ってきたか?という状況です。
このあたりは看護師から助産師資格を取れるルートが用意されているのを見ても判るように、特に病院助産師などはすなわち看護師でもありますから、実際にも助産師会同様に看護協会主催のホメオパシー講習会なんてものをやっていたりするようですし、同協会内部にも助産師会同様の事情があるだろうことは想像出来るところですよね。

さて、その学術会議の談話について、かねて出す出すと告知はしてあった日本ホメオパシー医学協会のコメントなるものがついに公表されました。
ちなみに同協会には世界中から続々と応援メッセージが届いているんだそうですが、どれもこれも同業の同類ばかりじゃないかと言う突っ込みはなしなんでしょうかね?(苦笑)
何しろ学術会議がホメオパシー=論外と断言してしまったわけですから、同協会としてもさっさと何かしらのコメントは出すべきでしょうに、何日も予告だけで焦らしてきたといったあたりに嫌でも斜め上方向への期待感は高まるわけですが、とりあえず彼らがこの状況の中にあってどのようなことを言ってきたのかという点を確認していきましょう…と言いたいところなんですが、正直眺めているだけで疲れました。

何しろ医療の世界と言えば文字通り日進月歩、学生時代に使っていた古い教科書などむしろ参考にする方が有害というくらいな世界ですが、彼らが反論の根拠として挙げている話はどれもこれも今から100年以上も前の逸話ばかりなのですよ!
正直こういうものしか反論の根拠として持って来れないという時点で彼らの正気を疑…もとい、窮状に同情しますけれども、ただでさえ過去の論法の繰り返しばかりという内容でさすがにあまりに馬鹿馬鹿しいので、無駄な努力の総天然色見本とも言うべき熱弁をふるってくれた同協会担当者にはまことに申し訳ないんですけれども、興味深い部分だけに限って取り上げてみたいと思います。
ちなみに彼ら自身は自分たちが化石化しているこの状況を「個々の「近代的な医薬品」は必要なものですが、50年後も同じような薬品がそのまま使われていることはあまりないと思います」と、200年も前のやり方を今も変わらず固守していることをむしろ自慢に思っているくらいですから、自分では全く恥とも時代遅れとも思っていないということだけは言及しておかなければならないでしょう。

【参考】日本学術会議の声明文に対するJPHMAの見解2010年8月28日(日本ホメオパシー医学協会)より抜粋

アメリカでホメオパシーが衰退した背景には二つの理由があります。一つはアメリカ医師会によるホメオパシーの弾圧です。当時のアメリカ医師会はあからさまにホメオパシーを叩き潰すという目的のために設立された圧力団体であり、競合相手のホメオパシー医師たちを妨害し、廃業に追い込むという目的のために組織されたものです。これは推測ではなく、実際に米国医師会の設立目的として掲げられているものです。米国医師会がどのようにホメオパシー潰しを行っていたかの詳細は以下の文献をお読み下さい。

▼一九世紀アメリカにおけるホメオパスヘの攻撃
▼一九世紀ヨーロッパにおけるホメオパスへの攻撃
(略)
実際のところ、米国医師会はホメオパシーをはじめとする代替療法に強い嫌悪感を抱いていて、それらを衰退させるか一掃することできれば、主流派の医師の需要がぐんと増し、ひいては生活も潤うと考えていたわけです。

そう言いながらいきなり19世紀ネタかよ!と突っ込みを入れられそうで恐縮なんですけれども、とりあえずここで留意しておいていただきたいのが彼らはホメオパシーに対して医者が攻撃を行ってきたのだと言う、その目的としてホメオパシーがあまりに人気過ぎて困るものだから、「それらを衰退させるか一掃することできれば、主流派の医師の需要がぐんと増し、ひいては生活も潤うと考えていた」と彼らが認識しているということです。
商売敵が詐欺師紛いの連中だと判っていれば世論を背景に潰しておくなんてことは、別にいつどこの業界でもある話なんじゃないかと思いますけれども、まず彼らの基本認識としてこうした医療業界への強烈な敵意ないしは被害者意識というものが背後に隠されているのだということは、きちんと承知しておかなければならないでしょうね。
この点はまた後にも取り上げるとして、いつものごとくこの連中は文献引用の仕方もしらないらしいのでソースを辿るのも大変なんですけれども、その彼らが珍しく(苦笑)自信満々にソースを示してきたのがこれらの部分です。

日本学術会議は「物質が存在しないのに治療効果があるという主張には科学的根拠が無く、荒唐無稽としか言いようがない」と主張します。なにをもって科学的根拠と考えているのかわかりませんが、明らかにホメオパシーで治癒した数え切れないほどの事実以上に科学的根拠はないと考えます。しかしもし、日本学術会議がたとえば二重盲検査の結果をもって科学的根拠の一端と考えているとしたら、以下にHPに二重盲検査に基づきホメオパシーの有効性を示す論文がありますので参照してください。

http://www.jphma.org/fukyu/overseas_090522_ECCH.html
http://www.jphma.org/topics/pdf/evidences03.pdf

また、ホメオパシーの有効性を示す研究はたくさんあります。また、レメディーをテストした何百件もの臨床研究、生物活性を検証した何百件もの基礎科学研究もあります。また、エビデンスリストとして、たくさんあるなかからほんの一例として、アリゾナ大ベル氏の以下の100以上のエビデンス論文がありますので参照してください。

http://www.jphma.org/fukyu/overseas_100124_evidence.html

これだけホメオパシーの有効性が科学的に示されており、科学的にも証明されており、ホメオパシーの治癒効果が世界中で広く認められており、使われており、科学的実証も蓄積されているにもかかわらず、ホメオパシーを真摯に受け止めることもせず、レメディーをテストした何百件もの臨床研究に目を通すこともなく、生物活性を検証した何百件もの基礎科学研究を再検討することもせず、ましてや、おそらく自分自身試してみたこともなく、きちんと調査することなく、「荒唐無稽」と断定するというきわめて非科学的な態度にとても残念に思います。

リンクが張られている二番目のものである「 ホメオパシーの科学的エビデンス」および三番目のものである「アリゾナ大学薬学部 Iris R. Bell 医学博士によるホメオパシーのエビデンス集」なるものは以前にも紹介しましたように、彼らホメオパシー一派の身内の雑誌に掲載された論文ばかりを並べ立てて「どうだすごいだろう!」と言っているだけのもので、科学的には全く論ずるに値しません。
唯一まともそうなのが「Journal of Psychopharmacology(Impact Factor: 3.647)」に掲載された一番目の文献(ちなみに著者のH Walach氏はその筋にどっぷりの方のようですね)で、健康ボランティアにレメディーを投与するとプラセボと違う反応が現れたという、本当だとすれば興味深い結果ではありますけれども、「砂糖と塩で舐めた者の反応に差があった」というのと同様に「ホメオパシーの有効性を示す論文」ではないですね。
逆に彼らの言う通りホメオパシーの有効性を示す論文が実際星の数ほど存在しているのだとして、彼らがよりどりみどりの中から選び抜いた最良のものがこの程度なのだとしたら、ホメオパシーの有効性ということに関してどの程度科学的に立証されているのかが逆に明らかになってくる話ではあるようです。

■日本学術会議
過去には「ホメオパシーに治療効果がある」と主張する論文が出されたことがあります。しかし、その後の検証によりこれらの論文は誤りで、その効果はプラセボ(偽薬)と同じ、すなわち心理的な効果であり、治療としての有効性がないことが科学的に証明されています1。
1 Shang A et al. Are the clinical effects of homoeopathy placebo effects? Comparative study of placebo-controlled trials of homoeopathy and allopathy. Lancet 2005; 366: 726 2 Evidence Check

★JPHMA
ここで「有効性がないことが科学的に証明されています。」の根拠とされたLancetの論文については、内容的にも疑義のある論文であることが各方面からも指摘されているものです。

以下当協会のHPから引用します。

「ホメオパシーはプラシーボ以下」と結論づけた2005年ランセット論文は、「不備のある」調査結果を掲載、<ランセット>の学術誌としての価値をおとしめた。
http://www.jphma.org/fukyu/country_100804.html
「ホメオパシーはプラシーボ以上のものではない」と結論づけた医学誌<ランセット>2005年8月27日号論文は、欠陥論文であることを、科学雑誌「ニューサイエンティスト」誌のコンサルタント、マイケル・ブルックス氏が「まだ科学で解けない13の謎」(楡井浩一訳 草思社)で言及している。
「13 THINGS THAT DON'T MAKE SENSE THE MOST INTRIGUING SCIENTIFIC MYSTERIES OF OUR TIME」 (邦訳題 『まだ科学で解けない13の謎』)  
(略)
また、英女王担当ホメオパス ピーター・フィッシャー氏もランセット論文の信頼性を批判しています。
http://www.jphma.org/fukyu/country_100814.html
英国エリザベス女王担当の医師ホメオパス ピーター・フィッシャー氏が2006年に「エビデンスに基づく代替医療」誌でホメオパシーはプラシーボ効果以下と結論づけた 2005年ランセット誌の信頼性について批判しています。
タイトル:Homeopathy and The Lancet 著者:Peter Fisher  (Director of Research, Royal London Homoeopathic Hospital)
英語でのレポート原文はこちらのサイトからもご覧いただけます。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1375230/
ピーター・フィッシャー氏
http://commentisfree.guardian.co.uk/peter_fisher/profile.html
なお、ピーター・フィッシャー氏は、英国下院科学技術委員会が出したホメオパシーの有効性を否定し英国健康保険サービスからホメオパシーをはずすべきだとする調査レポートと勧告に反対するために英国会内で開かれたレセプションにもゲストとして参加しスピーチを行っています。

日本学術会議は、これだけホメオパシーの治癒効果が世界中で広く認められており、使われており、科学的実証も蓄積されているにもかかわらず、欠陥論文と言われているランセットの論文をたてにホメオパシーの有効性は科学的に否定されていると断言するわけです。このような事実と異なる声明が日本の学術界の最高峰と言われている日本学術会議から発表されることは誠に遺憾であります。

これまたすでに以前にも言及しましたけれども、まともな雑誌の論文に反論しようとするのであれば自著や査読もない身内の雑誌で好き勝手に吠えていても仕方がないのはこの世界の常識であって、そこまで自信があるのならきちんとデータなり論拠なりを添えて当のランセットに異論あり!と書いて送ればいいだけの話ですよね(実は送っていましたと言うのであれば、ますます笑えますけれども)。
これも彼らに言わせると「各方面からも指摘されている」というくらいですから星の数ほどソースがあるのでしょうが、その中から好き放題に一番よいものを選んだ結果がこんなものしかないと言うのであれば、これまた彼らの「ホメオパシーには有効性がないことが科学的に証明された」と言う命題に対する反証のレベルが知れるということになりそうです。

■日本学術会議
「プラセボであっても効くのだから治療になる」とも主張されていますが、ホメオパシーに頼ることによって、確実で有効な治療を受ける機会を逸する可能性があることが大きな問題であり、時には命にかかわる事態も起こりかねません3。
3 ビタミンKの代わりにレメディーを与えられた生後2ヶ月の女児が昨年10月に死亡し、これを投与した助産婦を母親が提訴したことが本年7月に報道されました。

★JPHMA
事実の相違から裁判で争っている事例を、あたかも、一方の言い分を事実であるかのような前提で話をするのは、いかがなものかと思います。現に、助産師は第1回口頭弁論にて、訴えを棄却し法廷にて争う立場であることを表明しています。まず、日本学術会議は「ビタミンKの代わりにレメディーを与えられた」と主張していますが、それは本当に事実でしょうか? またマスコミはK2シロップを与えないことで死亡したと断定していますが、それは本当に事実でしょうか? 事実が明確になっていない段階でこのような形でマスコミが報道したり日本学術会議が声名を出すことに問題はないのだろうかと思います。(略)この件はいずれ法廷で事実関係が明かされるものと考えています。

ホメオパシーに頼ることによって、確実で有効な治療を受ける機会を逸する可能性があることが大きな問題であるとしたなら、ホメオパシー療法は有効でないという嘘の情報を発信しそれを多くの人が信じることによって、多くの人々がホメオパシーを利用しないとしたら、その責任たるや想像を絶するものであると考えます。その責任を一体どのようにとるおつもりなのでしょうか。
(略)
長妻厚生労働相も8月25日、「仮に、本人の意思に反して病院に行かないようなことがあるとすれば問題。省内でよく議論し、実態把握の必要があれば努めていきたい」と述べていますが、これは裏を返すと、個人の尊厳がありますから、首に縄を付けて病院に連れて行くことはできないということでもあります。当然JPHMAとしも、本人の意思に反して病院に行かせないようなことがあれば問題であると考えます。

ここで特に留意しておいていただきたいのは、日本ホメオパシー医学協会としてはこの段階に至っても件の助産師に対する擁護姿勢を崩していないという点ですが、この点に関してはまた後ほど書くことになろうかと思います。
もう一つ、例によって自己責任論によってホメオパシーを選択する自由を主張していますけれども、その根拠の一つとして長妻厚労相の発言が取り上げられているということで、これは単なる長妻大臣の言葉足らずであったということなのか、それとも先日も危惧したように長妻大臣自身に何かしらの思惑があってのことなのか、このあたりもまた後ほど関連の話題を取り上げてみたいと思いますね。
とりあえずもの凄く端折った突っ込みだけで恐縮ですけれども、何しろ電波が強烈すぎていささか気疲れが過ぎるということも事実ですので、口直しの意味もあって今度は学術会議側の事情が分かる副会長インタビュー内容のポイントを、朝日新聞の記事から取り上げてみることにしてみましょう。

「ホメオパシー根拠がない」は世界の共通認識 学術会議副会長インタビュー(2010年8月28日朝日新聞)
より抜粋

 国内約84万人の科学者を代表する機関である「日本学術会議」が24日、欧州に起源を持つ民間療法の一つ「ホメオパシー」に関する「会長談話」を発表した。ホメオパシーは「科学を無視」したもので、「治療として有効性がないことは科学的に証明されている」とし、「荒唐無稽」と結論づけた。異例とも言える会長談話が出された背景は何か。日本学術会議の副会長を務める唐木英明・東京大名誉教授(毒性学)に聞いた。
(略)

――なぜ今、このタイミングで談話を発表したのですか。

 きっかけは、私が友人の外国人研究者から、海外でのホメオパシー事情を聞いたことです。2~3年前だったと思います。ホメオパシーに根拠がないことは、医学も含めた科学の世界では常識になっているのに、現実の社会では「医療」として保険適用がされていた。それが欧州での実態でした。

 発祥の地とされるドイツや、スイスなど、保険適用から外す国も出てきましたが、英国のように今でも保険適用されている国もあります。制度として国が認めているわけだから、国民の間に浸透することを止めることは難しい。科学的に何の根拠もないものが、医療として国民の間に広がってしまっている実態があるわけです。

 友人は科学者として、私に「日本は、そうならないうちに手を打つべきだ」とアドバイスしてくれました。そこで、金沢(一郎・日本学術会議)会長に相談し、関係機関との連携や、取るべきアクションを模索し始めました。これがちょうど1年半ほど前だったと思います。

 今年7月、山口県での事件が報道されたことで、我々は準備を急ぎました。そしてようやく、発表にこぎ着けたのです。

――英国では、議会がホメオパシーを公的医療から外すよう勧告して注目が集まりましたが、結局、政府は継続することを決め、7月末に発表しました。

 勘違いしている方も多いのですが、英国でもホメオパシーが効く・効かないの議論は既に終わっています。結論はもちろん、「効かない」です。政府も、その点は反論していません

 では、なぜ公的補助を続けるのか。それは先ほども申し上げたように、長い歴史の中でホメオパシーが国民に広く浸透してしまっている、という現状があるからです。街の開業医にかかったときに、ホメオパシーを求める国民も多い。そういう中で公的補助を打ち切ってしまうと、混乱が起きることが予想される。それを政治家が避けたわけです。きわめて政治的な判断と言えるでしょう。
(略)
 しかしその後、医学の進歩によって、我々は様々な知識を得ました。現代は、根拠のある治療を行うことを原則とする「エビデンス・ベースド・メディシン(EBM)」の時代です。そんな中でホメオパシーを使う合理性はありません。しかも、保険適用となると、大切な国民のお金が効きもしない治療に使われることになり、はっきりマイナスです。

 幸い日本は、ホメオパシーが国民に広く浸透している、ということはありません。だからこそ、今のうちに「ホメオパシーには科学的根拠がないこと」を広く周知する必要があるのです。

――プラセボ(偽薬)効果とはいえ、ホメオパシーが救いになっていると主張する人もいます。

 まず、ホメオパシーには科学的根拠はなく、医療ではないということを十分に理解することが大切です。その上で、安心感を得るため、といった理由で利用するのであれば、個人が自分の責任において何を選ぼうと、それは確かに自由です。

 ただ、その場合でも、同時に医療機関による治療も受けることが絶対条件になるでしょう。特に、自ら判断できない子どもや胎児が、ホメオパシーによって医療機関から遠ざけられることは、絶対にあってはいけません

――資格を持った医師がホメオパシーを提供するケースはどうでしょう。

 私はどんなケースであっても、ホメオパシーが「医療」として提供されることには反対です。医師が治療の現場でホメオパシーを使えば、いくら言い訳したところで、患者はそれを「医療」だと受け取ります。

 プラセボ効果を得たいのであれば、方法はいくらでもあります。何もホメオパシーやレメディーを使う必要などありません。「ホメオパシーが効いた」という誤解を招くリスクにつながるような行為は、やめるべきです。
(略)

唐木英明副会長自身は他にも色々と熱心に語ってくださっているのですが、ここで取り上げたいのはまず何故このタイミングかという問いに対して、今回の死亡事故発生というのは単なるきっかけであり、何より日本では未だホメオパシーが滲透していない今だからこそ国民への啓蒙が必要であり、「我々のようになっては手遅れだぞ」という海外からの警告もあって以前から準備を進めてきていたのだという答えですよね。
要するに個々の被害者よりも何よりも日本にホメオパシーの汚染を広げないことが第一であって、そのためにも「ホメオパシー=無価値どころか危険なもの」という認識を広げていこうと言う意図があるのでしょうが、前述の日本ホメオパシー医学協会側のコメントに見られる彼らの「被害者意識」と対応するものとしても非常に興味深い話です。
この目的を達成するために、とにかく医者を始め医療専門職がホメオパシーを使うということ自体に反対だというのが学術会議の基本姿勢なんだと思いますが、この点ではホメオパシー医学協会のみならず各種統合医療、代替医療と言われるものとの関わり合いをどう考えているのか、あるいは国が何かしら規制を考えてくるのかといったあたりも今後しっかり見ていく必要があるように思いますね。

さてもう一点、学術会議としては個人が自己責任でホメオパシーを選択することまでは制限することは出来ないということですが、その前提条件としてホメオパシーを受けたいのであれば「同時に」まともな医療にもかかることが必須であって、間違ってもホメオパシー単独で患者に対することがあってはならないということを強調していることに注目ください。
これに対して先の学術会議への反論文にも現れているようにホメオパシー医学協会側では繰り返しこのような「提案」をしていて、彼らとしてはまともな医療を受ける「よりも前に」ホメオパシーを受けましょうということをかねて持論としているのですね。

これらのことをふまえてJPHMAではひとつの提案をしています。体内への異物の侵入を阻止しようとして生じていると思われる症状や体内を浄化しようとして生じていると思われる症状に対しては、「近代的な医薬品」を使用する前に、まずはホメオパシーのレメディーを使ってみてはどうですか、という提案です。
もし「近代的な医薬品」が正しい使われ方をしないとしたら、それは症状の抑圧によって後の慢性疾患を作り出す原因になったり、「近代的な医薬品」のもつ副作用によって健康が損なわれる可能性があると考えています。
そのようなことから、第一に求められる療法とは、対症療法ではなく根本から治癒をもたらす療法です。つまり、それは化学物質で生体をコントロールする類の方法ではなく、自分のもつ自己治癒力を触発し、自ら健康になる自然療法が大切だと考えています。

これまた以前にも取り上げたところですけれども、ホメオパシーをやっている連中は自ら医療の素人であると公言していて、山口の死亡事例などでも最後まで全く病状を把握していなかったばかりか、「私は医師ではないので医学的所見は述べられない。検査をできるわけではないので、体の中で起きていることはわからない」と、素人であることをむしろ免罪符と考えているような言葉が出ているということです。
そもそも彼らを指導する同協会トップの由井寅子氏にしたところで、その講義内容と言えば「カルマ・霊魂」であったり、「アストラル体」であったりと、どこからどう見てもそれは肉体ではなく魂の救済だろうと思われるような内容なのですから、これは残念ながら俗物の現世的肉体的御利益を得るのにはいささかどうなのよと感じざるを得ないところで、果たしてこういう人たちに大事な初診を任せるのがどうなのかですよね。
もちろん医療が先かホメオパシーが先かは人それぞれの考え方もあるんでしょうし、今後場合によっては国がルールを決めてくるかも知れませんが、とりあえずこの由井氏らがやってることは科学とは縁遠い別の何かであることだけは否定しようもなく確実なわけですから、それならいっそ無理に科学風を装わずとも宗教法人格でも取って、堂々と斜め上方向に我が道を極めた方が世間の誤解も減っていいんじゃないかと思うんですけれどもね。

さて、こうしたところを把握した上でもうちょっと突っ込みを入れていく予定だったのですが、さすがにこれだけ電波をゆんゆん言わされると当方としてもいささか気力が続かないようで、残りは例によって明日以降に回させていただこうと思います。

|

« 今日のぐり:「酔鯨亭」 | トップページ | 続・ホメオパシー 各会の反応 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

忘れちゃいけないのが、ホメオパシーも商売だということ

患者に利益与える代償として対価をもらっているという点では、普通の医療と同じ

ただ、ホメオパシーには、その患者利益が存在しない。
ということで、実質的には詐欺そのもの

ホメオパシーが安いというのは誤解で、相談料がやたらと高い

単なる金額の問題でもない。

本当の費用は、機会費用と言われるもので、本来は少ない医療費で治る筈のものが治らなかったり、治療期間が長引いて収入が落ちたり、苦しんでしまったり・・・・全てがホメオパシー利用者が支払う被害です
裏返せば、この被害を自分たちの利益に付け変えて、ヌクヌクと”人助け”と嘯いているのが、ヒトデナシの代替医療屋、統合医療屋ということが言えます

投稿: Med_Law | 2010年8月30日 (月) 23時34分

引用開始

以前大学病院に勤務していた医師から聞いたある患者さんの話です。
その医師は当時大学病院の「骨軟部腫瘍」の専門グループに所属していました。骨腫瘍は10代の若年者に多い傾向があるのですが、その方は10代前半の患者さんで、近医から紹介されてきたそうです。初診時は四肢(大腿骨か下腿骨だと思います)のみに病変があったため、
化学療法と切除手術(切断ではありません)の適応と御両親にICを行ったそうです。しかし、
手術当日に御両親から病院での治療を拒否され、
手術は急遽中止になりました。おそらくは何かの宗教の影響だと思われるのですが、その後独自の治療を行われていたようです。
半年を過ぎたころに再診された時は疼痛のコントロールが困難になっており、肺メタ、肝メタで手の施しようがない状態だったそうです。その後御両親の希望により転院していかれたそうですが、
転院後にこの「24時間テレビ」に出演したのだそうです。その時の紹介が「医師にも見放された」ガンの子供が(医学的には肉腫ですが)がんばっている、というものだったそうです。それをたまたま見ていた担当医師たちはものすごい脱力感に包まれたと言っていました。
このエピソードには医療的に痛い点と、マスコミ・テレビ的に痛い点があるように思われます。私はこの話を聞いていから24時間テレビは一切見ていません。

引用終わり

さて、この場合誰が一番悪いんだろう?

投稿: | 2010年8月31日 (火) 10時37分

そのうちホメオパシー被害者が、テレビなりを訴えるかも知れませんね

投稿: 通りすがりのただの人 | 2010年9月 1日 (水) 07時02分

英国ホメオパシー協会がいんちきな文献引用なドキュメントを英国議会に提出
http://transact.seesaa.net/article/140703068.html
引用された4本の論文のうち2本(Boissel et al; Cucherat et al)の著者のひとりであるJean-Pierre Boisselと話した。彼は自分のレビュー論文の解釈のされように驚いていた。「私のレビュー論文は、ホメオパシーとプラセボには差異があるという結論には到達していない。私と共著者たちが実際に見つけたのは、結果にバイアスのある証拠であり、クウォリティの高い実験をやれば、ホメオパシーに有利でない結果が出るだろうというものだった。

4本のうちの3本目のKleijnen et alは「確定的な結論を出すには不十分なデータ」だと結論していた。1997年に発表されたLinde et alは2年後にアップデートされ、よりホメオパシーに批判的になっていたが、これは引用されていなかった。

Boissel はさらにひどり誤りを指摘した。彼が関与した2本の論文は同じ分析を書いたものだ。言い換えるなら、著者たちがホメオパシーを支持しないという一つの研究をMathieが2つの研究として提示しようとしたものだ。私はBoisselに、自分の研究がホメオパシーの証拠して市民に提示されていたことについて、どう思うか質問した。Boisselの返答はシンプルなものだった「まったくノー!!」

おそらくホメオパシーに効果がないことがわかっていて、英国ホメオパシー協会は意図的に間違えた文献引用を行ったと思われる。

投稿: | 2010年9月 3日 (金) 07時43分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/49292451

この記事へのトラックバック一覧です: ホメオパシー医学協会 ついに学術会議への反論文を公表:

« 今日のぐり:「酔鯨亭」 | トップページ | 続・ホメオパシー 各会の反応 »