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2010年8月

2010年8月31日 (火)

続・ホメオパシー 各会の反応

ちょうどネットで見かけた書き込みですけれども、なかなかケッサクだったので本日最初に紹介してみましょう。

ホメオパスの理論(笑)によると、
レメディは砂糖、砂糖以外のものは何も入ってないが
レメディを固める時に使う水が物質を記憶しているのでレメディは効くそうな。
つまり、地球を何十億年も循環している水は何でも記憶していると。
だから水道水さえ飲んでおけばあらゆる病気に効くはず。
原価1円程度の砂糖を1000倍の値段で買わずとも、自宅で水道水飲んでるだけでOKなんだよ!
ホメオパスの理屈では、だけどなw

先日も取り上げたように日本ホメオパシー医学協会側からの反論と言うものが出てきましたが、彼らの反論の内容を見ていてもう少し釈然としないものを感じているのは自分だけではないんだろうなと思います。
例えば彼らはホメオパシーは現代医療を否定するものではない、しかし医療にかかるまでもないような軽症の人にはまずホメオパシーを使ってみたらどうですか?と盛んに提案しるわけですが、医療にかかるまでもないような人というのは基本的に放っておいても勝手に治る人でもあるわけです。
ホメオパシー医学協会が我々は本当の病人はちゃんと病院へ行かせてます、放っておいても治るようなレベルの人たちだけを相手に商売しているのですと言うのであれば、彼らが真っ先に出すべきデータは放置しただけの場合と比べて(実際的には例えば単なる砂糖玉との二重盲検試験といった形になるのでしょうが)どれくらいホメオパシーの顧客満足度が高く、コスト的にも優れているかということなんじゃないかという気がしますが、そういう基礎的データには興味がなさそうですよね。
彼らの主張する「迫害の歴史」からして医療というものに敵対心を抱いているのは判りますが、一生懸命背伸びして医療と張り合おうとしているかのような独自の研究の矛先と、彼ら自身の主張する実際の使用の状況とがいささか食い違っているように思えるのも確かで、もう少し身の丈にあった方面で努力されてみた方がいいんじゃないかとも感じますね。

それはともかくとしても、いずれにしてもここまで公の筋から言われてしまっては彼ら推進派の方々とすればおもしろくなかろうことは容易に想像できる話で、実際各方面から反撃ののろしも次々と上がって全面戦争といった状態となりつつあるようです。
まずは日本ホメオパシー医学協会と非常に紛らわしい日本ホメオパシー医学会も関連団体として名を連ねていて、日本におけるそっち系の方々の総本山とも言えるような名前を持つ日本統合医療学会ですけれども、こちらから学術会議に対して宣戦布告がなされたようです。
ちなみに日本では学会というのは政府の諮問機関である日本学術会議の日本学術会議協力学術研究団体として登録していなければなりませんが、当然ながら学術会議に喧嘩を売るような日本統合医療学会がこんなところに登録しているわけもありませんから、どこかの宗教団体などと同様にあくまで学会とは自称であると考えておかなければならないのでしょうね。

ホメオパシー討論会、学術会議に呼びかけ 統合医療学会(2010年8月28日朝日新聞)

 西洋医学を中心として、伝統医学や代替医療などの統合を目指している日本統合医療学会(理事長=渥美和彦東京大名誉教授)は28日までに、ホメオパシーに科学的根拠がないとした日本学術会議の会長談話に対し、「実態と異なる内容が含まれ、誤解を生む」として、学術会議に公開討論会の開催を呼びかけると公表した。

 同学会は、今回問題となったのは一部団体の「不正事件」で、「助産師の職権を逸脱した医療行為」と指摘。一方、ホメオパシー自体は米国立衛生研究所でも代替医療として研究対象になっており、海外では有効性の報告が多くあるという見解を示した。

 日本統合医療学会のHPには、関連学会として日本ホメオパシー医学会が掲載されている。同医学会は、問題となっている日本ホメオパシー医学協会とは別団体

これを見ると何やらホメオパシー擁護に動いてきたかとも取れるような話ですが、実際に統合医療学会が発表した理事長見解を見てみますと「悪いのは本物のホメオパシーを知らない日本ホメオパシー医学協会とそのシンパ」という論調が徹底されている内容で、なるほど彼らにも彼らなりの流儀なり派閥なりがあるんだなと納得は出来る話です。
ただこの内容、悪いのは一部の間違った輩でこいつは処罰されるべき、ホメオパシー自体は何ら悪くないということを主張しているのはいいんですが、返す刀で「今後、この様な問題の発生を防止する為、国家は厳しい規制を考える必要がある」とか「各種の代替医療について、安全性、有効性、さらに経済性の3 点について調査研究する必要があ」るとか言っているのは要注目ですよね。
やや日刊カルト新聞」さんなどは「冒頭部分の「日本統合医療学会会員各位」という表現からわかるように、この「見解」は日本統合医療学会の会員宛のもの」と看破していますけれども、そうは言っても実際に彼らの主張通りのことが社会的に実現してしまうと、彼ら自身の会員の中でも被害が及ばない者の方が圧倒的少数派になりそうなんですが、いいんでしょうかね?

もう一つ言っておくとこの日本統合医療学会さん、例の宇宙人総理の音頭で厚労省が統合医療を研究してみようなんて話が出た時に日本医師会が(ややピント外れの)反対論を唱えた折りに、日医に対しても今回同様に公開討論会で白黒つけようと呼びかけているのですが、かわいそうな?ことに今日に至るまで全く黙殺されたままで終わっているようですね。
学術会議にしても所属学会でも何でもない有象無象の自称学会などいちいち相手にしていられるものでもないでしょうし、彼らの過去の宣伝のやり口を考えると日医同様に黙殺しておくのが正解なんでしょうが、今後こういう「いかにもそれらしい」名前をつけた連中が幾らでも湧いて出てくるでしょうから、まともな人間はうっかり勘違いしないようによくよく注意しておかなければならないでしょう。

さて、日本ホメオパシー医学協会の反論の中でも大きな分量を占めていて、彼らホメオパシー推進派にとって定説ともなっているらしい「既存の医学会がホメオパシーを潰しにかかっている」という考えですけれども、末端レベルにおいてもこの文脈から今回の一連の社会問題化を「陰謀だ!」と叫ぶ声が上がっているようです。
確かに前回紹介しました学術会議の副会長コメントにも現れているように、彼らは「日本が欧米諸国のようにホメオパシーに汚染されることがないように、今のうちに徹底して芽を摘んでいく」という覚悟で臨んでいるわけですから、その意味では既存の権威によってホメオパシーが潰されようとしているという言い方も成立するわけですよね。
実際に末端の方々も同様の感想を抱いているようで、現役ホメオパス諸氏は一斉に反発のコメントを出してきているようなんですが、面白いのは「バッシングを受けるのは由井会長のおっしゃっていた通りだ!これは世の中に広まっていくのに必要な試練なのだ!」なんて声もあるということで、まあ確かにこういった方々にとってはいつものパターンではあるのかなとも感じられるところですよね。

世界からのホメオパシー応援メッセージ(2010年8月28日ブログ記事)より抜粋

イギリスもドイツも、フランスでも、同じような目にあっているようで、
そもそも、ホメオパシーは疑似医療だというレポートの信憑性も疑わしいです。

では、なぜ、これほどホメオパシーがカルト扱いされて潰される程の圧力をうけるのか?

1.病気の人がいないと、病院、医者、製薬会社は儲からない

2.健康な人にも、不安な情報を煽って、予防接種等うけさせないと病院、医者、製
  薬会社は、儲からない

3.新聞、マスコミ各社、通信社の大手スポンサーは製薬会社。

4.政党も政治献金を、医師会、製薬会社等から受けている。見返りに、法律、法令等
  で、守ってもらう。共存共栄の仕組み

5.不安をあおって定期的に検査をさせて儲ける仕組み。(これは、悪い事ばかりでは
  無く、良い面もありますが、マンモグラフィー等では、微量の放射線を受けますし
  身体にはある程度の負担がかかります。)

6.薬に依存させて儲ける仕組み。(薬には依存性があります。)

以上を考えますと、代替療法、民間療法が流行ると双方が困る
(診療報酬も、薬代、処方代も入らなくなります。)

しかし、膨れ上がった医療保険料の累積赤字を減らし、本当に必要な重篤な患者さんが安く医療行為を受けられるという本来の医療保険のあり方を問うた時、代替療法、民間療法はむしろ、良い事のように思いますが、どうでしょうか?


一連のバッシングについて(^ー^)(2010年8月27日ブログ記事)
より抜粋

山口県で乳児が死亡した事件が発端となり、朝日新聞で
ホメオパシーに対するマイナスな報道が相次ぐ中、
クライントのみなさんから「先生も大変でしょう~?」とお声を
かけていただきました。
(略)
そこまで考えるか・・・(^^;)くらいの意見までありますが、悲しいかな
世の中お金の力は強いです。
(略)
私自身が今回の報道で感じたことは、
こんなに取り沙汰されるほど、ホメオパシーは広がっているんだ・・・」ということでした。

由井会長は、「ホメオパシーが広がっていく過程で、必ずバッシングを受けるときがくるだろう。
でもそれは世の中に浸透する上で必ず通る道であり、必要なことでもあるのだ」と
昔からおっしゃっていました。

だから、『とうとう来たか~! 』ってかんじです。

いやあ…ここにいらっしゃってるような方々はよくご存知でしょうが、少なくとも人手が足りなくて回らない、もうこれ以上患者来るなと大騒ぎしている崩壊間際の医療業界の中の人が、わざわざ電波な人たちまで手間暇かけて顧客として呼び寄せようと陰謀を巡らせてまで努力するなんてことはあり得ませんから(苦笑)。
と言いますか、ちょうど先日も書きましたように、今の医療業界では顧客をどんどん呼び込むことが業績アップにつながるんだという考えはとっくに崩壊していることは、三時間待ちの三分診療などと揶揄されるほど繁盛してそうに見える病院の多くが、医療じゃ全く儲からず赤字垂れ流しだという現実を見るだけでも十分判るはずですよね。
「別にこういう人たちが何にハマってどうなろうが知ったことじゃないけれども、好き放題やった結果どうしようもなくなった後で病院に迷惑かけるのはやめろ」という声もネット上などで根強いというのは、要するにトンデモ助産院からの搬送問題などとも共通する「反社会的な自由を主張するなら最後まで自己責任でやれ」という、他人の尻ぬぐいまでさせられますます多忙を極める現場の素朴な感情の反映であるわけです。

まあそうした話はともかくとしても、新興宗教などが好き放題やって社会的にバッシングを受けると、「こうして攻撃されること自体社会が我々の実力を認めているということだ!」なんて内部の団結を図るのはテンプレ的対応というものですけれども、今のところまさに予想通りで来ているという感じでしょうか。
今後は「先駆者は常に社会から迫害されてきたのだ!いずれ社会が我々に追いつく日が来る!」なんてこれまたテンプレ通りの教祖様の檄が飛び出してくると予想されますけれども、無論時代を超越した先駆者が迫害を受けたことがあったとしても、迫害を受けた者が必ずしも時代を超えた先駆者ではなかったことも当然であって、現状では治療効果としての彼らの方法論への評価が今後劇的に好転する可能性は限りなくゼロでしょうね。
とは言え、学術会議にボールを投げられた形の国としても今後何かしらの規制なりを考えるのであれば相応の根拠も必要となるでしょうし、その意味で長妻大臣が検証していきますというのは間違いではないのでしょうが、ホメオパシー医学協会の反論文でもその大臣発言を曲解?されて引用されているように、「ついに国も動かした!今や日本でもこんな存在感が!」などと変に利用されているなとも感じられるのも事実です。

そもそも宇宙人総理がホメオパシーを含む代替医療をもっと取り入れようなんてことを言い出した経緯があるように、ひと頃は国も本気でホメオパシーを推進しようとしていた気配があるわけですから、当時そのために一生懸命動いていた人たちは現状をどう見ているのかということも気になりますよね。
この方面の旗振り役として特に有名なのが鈴木寛・副文科相ですが、そもそもマニフェストにも統合医療推進、予算拡充をうたい日本が世界において統合医療の旗振り役となることを目指すなんて景気の良い話を打ち上げていた御仁が、いざホメオパシーが問題化するとこっそりマニフェストからもホメオパシーの表示を削除していたというのですから恐れ入ります。
その経緯を証拠画像まで保存されていたというのですからどう言いつくろうかと見ていたわけですが、驚いたことにもっと予算を増やせと言っていたご本人が、今度は一転して生まれついての反ホメオパシー派であったかのように主張しているというのですから、これはいささかどうなのかと感じざるを得ないところですよね。

ファイル:ホメオパシー効果否定に賛意(2010年8月27日毎日新聞)

 日本学術会議の金沢一郎会長が「ホメオパシー」と呼ばれる代替医療の効果を否定する談話を発表したことについて、鈴木寛副文部科学相は26日の会見で、「統合医療と称する偽薬が普及し、国民の健康に大きな悪影響を与える蓋然(がいぜん)性が高まりつつある警鐘だと思っている。大変適切だ」と述べた。

 鈴木副文科相は、民主党統合医療推進議連の幹事長として、代替医療を西洋医学と補い合う存在と位置づける統合医療の考え方を推奨。自らのホームページで、代替医療を「漢方やホメオパシーなど」と例示し、従事者の育成や研究予算の拡充、質を保証する審査・評価基準設定などを公約に掲げてきた

 金沢会長の談話発表後、漢方以外の言及を削除したが、会見で「本当に効く統合医療と、偽物の医療が混在していることで統合医療全体の信頼性を下げているとの問題意識を持ってきた。(談話は)私たちの言ってきたことともまったく反していない」と説明した。一方、日本薬剤師会は26日、「医薬品類似物が医療現場で使用されることは極めて重大な問題」などとするコメントを発表した。

鈴木氏としては思わぬところで冷や汗をかいたというところでしょうが、実のところこうした容易に転向するタイプは単に時局に乗って言っているだけですから、前述の揺るがぬ確信を持った方々に比べればさほど扱いに困るということもなさそうです。
それに比べて悲惨なのは、例えばこのご時世ですから食べていくために資格の一つもなければとなけなしのお金をはたいて資格を取った、ところがその資格というのがホメオパシーだったなんて方々にとっては泣くに泣けないという状況のようで、場合によってはそちら方面からも損害賠償請求が今後起こされてくる可能性もありそうな気配ですよね。
また助産院はもちろん一部医療機関においてもホメオパシーを取り入れている施設はあったわけですが、それぞれの業界団体が「今後会員にはホメオパシーを使わせません」と宣言してしまった以上は混乱は必至で、一部はすでに看板を降ろすという動きも出ていますが、それでもまだホメオパシーを続けるという施設ももちろんあるようで、これまた今後権威筋からの処分なり患者からの損害賠償請求なりもあるかも知れません(この場合、保険は下りるのかも要注目ですよね)。

中でも一番反応が興味深いのが同じ業界にあって日本ホメオパシー医学協会と対立する立場の方々なんですが、例えば同協会の声明では例の山口の助産師に対しては未だに擁護的な姿勢を貫いているのに対して、冒頭にも紹介しましたようにこれと対立する統合医療「自称」学会あたりではこれを「”或る団体”の不正事件」だと主張し、件の助産師はとんでもないやつだ、処分が必要だと息巻いているわけです。
以前にも同じホメオパシー一派の中で別系統のハーネマンアカデミーから、学長の永松昌泰氏による学術会議への批判のコメントが出ていましたけれども、今回の事件を引き合いに出してホメオパシー医学協会側もばっさり斬って捨てていることを見ても、やはり彼らの内部においても相応の対立があって、今回の一連の騒動がそれに火をつけた形となっていることを伺わせるものがあります。

朝日新聞 長野剛さんの電話取材(2010年8月24日ハーネマンアカデミー学長公式ブログ)より抜粋

前回書いたように、
医療ネグレクトの要因は簡単ではありません。

確かに私の方にも、「あちらの」治療を受けて、
その後、何かおかしい、ということで
こちらに来られる方が多くいらっしゃいます。

正直なところ、「医学協会」では、
びっくりするようなことを多くしていらっしゃっていて、
「とうていホメオパシーとは呼べないなー」、
「これをホメオパシーと思われたのでは、たまったものではないなー」、
と思うことしきりで、
医療ネグレクトに関しても、
さまざまな深刻な問題があることは確かなのですが、
必ずしも事実ではないこと、
一方的に悪者にされ過ぎているところも
あるかもしれません。
(略)
ただ、問題は、ホメオパスが直接言った、言わなかった、
ということではなく、
ホメオパスが直接言おうが、
本人が勝手にやったことであろうが、
「医学協会」が全体として強烈に発している
「メッセージ」「雰囲気」は、
「安易な医療ネグレクト」の方向に非常に導きやすい、
ということだと、改めて思います。

やはり、「医学協会」で行われているものは、
本物の、「本来のホメオパシー」ではないので、
そういうことが生じてしまうのでしょう。

ホメオパシーは、
人生における心身のあらゆる状態にも対応しえるものではありますが、
それは訓練をした、能力のあるホメオパスによってのみ可能であって、
セルフケアのレベルや、
「本来のホメオパシー」の教育は受けていない方が、
生半可な知識でできるものではありません

ホメオパシーには、
本来、セルフケアというものは存在しません。
ホメオパシーは、
長年の修練を積んだ人にのみ、
その十全の力を授けるものであって、
セルフケアは、本来は存在しないのです。
(略)
この一連の報道が始まった今、
あらためて、その大切さを、強く訴えたいと思います。

末端の信奉者の中にも同様な考え方は広がっているようで、あちこちで「やはりあれは間違ったホメオパシーだった!うちの流派こそが真実のホメオパシー だ!」と改めて宣伝活動が活発化している気配すらあります。
見ていると今回の件で「反・ホメオパシー医学協会」のスタンスを取る各勢力の中でも、セルフケアに対する考え方など明確な対立軸がまたあるようで興味深いんですが、いずれにしても今回の騒動がそのままホメオパシー自体の衰退に直結するかどうかはもう少し見ていく必要が あるのでしょうね。

ホメオパシー批判について(2010年08月25日ブログ記事)より抜粋

まず、現在の日本のホメオパシー業界は、
「ホメオパシージャパン」
「クラシカルホメオパシー」
という、2派が主流になっています。

内科医でもあり、クラシカルホメオパシーに所属する李先生は、
かねてから、一部ホメオパシー信奉者の「医療ネグレクト」「予防注射ネグレクト」を
繰り返し警告していました
そして、あくまでもセルフケアの範疇で使うべきであって、
西洋医学との併用の提唱や、ニュートラルな対応を主張されて、
以下のようなブログ記事を繰り返し書いたり、講座でも必ず強調されていました。
(略)
このように普段から繰り返し語る、李先生の元で学べば、
「ホメオパシー絶対主義」や「医療ネグレクト」にはならないはずですし、
あくまでもホメオパシーというのはセルフケアのおとも、というのが理解できるはずです。
(略)
そんな風に、「セルフケアの範疇」を理解した上で利用するのであれば、
わたし自身は、知っていて良かった、と本当に感謝しているし
自分や子どもたちの体調不良が理由で仕事を休んだことが、この5年間1度もないのは
食事だけでなく、ホメオパシーのおかげだと思っています。

狂信的利用への批判はあってしかるべきですが、
このような事件を気に、
「ホメオパシーのすべてを否定する論調」には
1利用者の実感として、
こんなに便利なのに、もったいないなあ、と感じてしまいます。

「医者にかかるよりも前にまずホメオパシーを」と主張する日本ホメオパシー医学協会の考え方が医療ネグレクトを招く原因となっているという点では、永松氏らも一見して学術会議らのスタンスに近いようにも感じられるかも知れませんが、その前提条件として彼らの場合ホメオパシーは良いものだ、正しく使えば安全で有効なんだと言う認識がある点が決定的な相違ということなんでしょうね。
もちろんまともな人々の側からも「あれは宗教だ」とかホメオパシー医学協会自体に対する批判も数あるわけですが、例えば学術会議の考え方としては同協会がどうのと言うことではなくホメオパシーそのものが広まるのが問題であると言っているわけですし、同様に日医を始め各業界団体もそうした学術会議のスタンスに対して賛意を示しているわけで、別に同協会だけが悪の巣窟であるなどと主張しているわけではないことには注意が必要でしょう。
推進派の側から見れば一部の過激な分派を切り捨てることで本体を安泰にというのはむしろ当然の発想だし、それによってホメオパシー医学協会側から流出した顧客を呼び込めれば願ったりかなったりだと思いますが、このように彼らの目的とするところを子細に見ていけば、単に同協会に対する批判を共有しているという一点だけで他の派閥とうっかり妥協するなどあってはならないことだと理解出来るでしょう。

そのうち「統合医療検証学会」だとか何やら微妙な名前の団体が出てきて、あちらこちらのまともな団体に「統合医療の実態について討論を通じて明らかにしませんか」なんて呼びかけてくる、つい釣られてのこのこ出かけてみたら実は電波な推進派の方々の宣伝イベントだった、なんて被害報告が出てくるかも知れませんから(苦笑)、くれぐれも用心だけは欠かさないようにしないといけないでしょうね。

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2010年8月30日 (月)

ホメオパシー医学協会 ついに学術会議への反論文を公表

しかし先日の学術会議の「ホメオパシー?なにそれ荒唐無稽じゃん?」という談話発表でホメオパシー関連の話題も一気に沸騰してきましたけれども、相変わらず朝日新聞は飛ばしてますね。
あまり単独ソースに頼ることはしたくないんですけれども、何しろかなりのメディアが奇妙なほどの沈黙を保っている問題だけに、今回も朝日ソースがかなり多くなってしまったことは最初にお断りしておきます。

さて、その学術会議の談話を受けて日本医師会(日医)や医学会、獣医学会といった医療系の業界団体が相次いで賛同のコメントを出してきたことで、苦しくなった推進派の助産師会すら「もうこれからは会員にホメオパシーは使わせませんから」と会員切り捨てとも取れるような見解を出してきたことは先日お伝えした通りです。
その後も同様の見解公表が相次いでいまして、歯科医師会薬剤師会が公式に賛同の見解を発表したことから、医療系の大手業界団体では未だ沈黙を続けている看護協会がだんだんと目立ってきたか?という状況です。
このあたりは看護師から助産師資格を取れるルートが用意されているのを見ても判るように、特に病院助産師などはすなわち看護師でもありますから、実際にも助産師会同様に看護協会主催のホメオパシー講習会なんてものをやっていたりするようですし、同協会内部にも助産師会同様の事情があるだろうことは想像出来るところですよね。

さて、その学術会議の談話について、かねて出す出すと告知はしてあった日本ホメオパシー医学協会のコメントなるものがついに公表されました。
ちなみに同協会には世界中から続々と応援メッセージが届いているんだそうですが、どれもこれも同業の同類ばかりじゃないかと言う突っ込みはなしなんでしょうかね?(苦笑)
何しろ学術会議がホメオパシー=論外と断言してしまったわけですから、同協会としてもさっさと何かしらのコメントは出すべきでしょうに、何日も予告だけで焦らしてきたといったあたりに嫌でも斜め上方向への期待感は高まるわけですが、とりあえず彼らがこの状況の中にあってどのようなことを言ってきたのかという点を確認していきましょう…と言いたいところなんですが、正直眺めているだけで疲れました。

何しろ医療の世界と言えば文字通り日進月歩、学生時代に使っていた古い教科書などむしろ参考にする方が有害というくらいな世界ですが、彼らが反論の根拠として挙げている話はどれもこれも今から100年以上も前の逸話ばかりなのですよ!
正直こういうものしか反論の根拠として持って来れないという時点で彼らの正気を疑…もとい、窮状に同情しますけれども、ただでさえ過去の論法の繰り返しばかりという内容でさすがにあまりに馬鹿馬鹿しいので、無駄な努力の総天然色見本とも言うべき熱弁をふるってくれた同協会担当者にはまことに申し訳ないんですけれども、興味深い部分だけに限って取り上げてみたいと思います。
ちなみに彼ら自身は自分たちが化石化しているこの状況を「個々の「近代的な医薬品」は必要なものですが、50年後も同じような薬品がそのまま使われていることはあまりないと思います」と、200年も前のやり方を今も変わらず固守していることをむしろ自慢に思っているくらいですから、自分では全く恥とも時代遅れとも思っていないということだけは言及しておかなければならないでしょう。

【参考】日本学術会議の声明文に対するJPHMAの見解2010年8月28日(日本ホメオパシー医学協会)より抜粋

アメリカでホメオパシーが衰退した背景には二つの理由があります。一つはアメリカ医師会によるホメオパシーの弾圧です。当時のアメリカ医師会はあからさまにホメオパシーを叩き潰すという目的のために設立された圧力団体であり、競合相手のホメオパシー医師たちを妨害し、廃業に追い込むという目的のために組織されたものです。これは推測ではなく、実際に米国医師会の設立目的として掲げられているものです。米国医師会がどのようにホメオパシー潰しを行っていたかの詳細は以下の文献をお読み下さい。

▼一九世紀アメリカにおけるホメオパスヘの攻撃
▼一九世紀ヨーロッパにおけるホメオパスへの攻撃
(略)
実際のところ、米国医師会はホメオパシーをはじめとする代替療法に強い嫌悪感を抱いていて、それらを衰退させるか一掃することできれば、主流派の医師の需要がぐんと増し、ひいては生活も潤うと考えていたわけです。

そう言いながらいきなり19世紀ネタかよ!と突っ込みを入れられそうで恐縮なんですけれども、とりあえずここで留意しておいていただきたいのが彼らはホメオパシーに対して医者が攻撃を行ってきたのだと言う、その目的としてホメオパシーがあまりに人気過ぎて困るものだから、「それらを衰退させるか一掃することできれば、主流派の医師の需要がぐんと増し、ひいては生活も潤うと考えていた」と彼らが認識しているということです。
商売敵が詐欺師紛いの連中だと判っていれば世論を背景に潰しておくなんてことは、別にいつどこの業界でもある話なんじゃないかと思いますけれども、まず彼らの基本認識としてこうした医療業界への強烈な敵意ないしは被害者意識というものが背後に隠されているのだということは、きちんと承知しておかなければならないでしょうね。
この点はまた後にも取り上げるとして、いつものごとくこの連中は文献引用の仕方もしらないらしいのでソースを辿るのも大変なんですけれども、その彼らが珍しく(苦笑)自信満々にソースを示してきたのがこれらの部分です。

日本学術会議は「物質が存在しないのに治療効果があるという主張には科学的根拠が無く、荒唐無稽としか言いようがない」と主張します。なにをもって科学的根拠と考えているのかわかりませんが、明らかにホメオパシーで治癒した数え切れないほどの事実以上に科学的根拠はないと考えます。しかしもし、日本学術会議がたとえば二重盲検査の結果をもって科学的根拠の一端と考えているとしたら、以下にHPに二重盲検査に基づきホメオパシーの有効性を示す論文がありますので参照してください。

http://www.jphma.org/fukyu/overseas_090522_ECCH.html
http://www.jphma.org/topics/pdf/evidences03.pdf

また、ホメオパシーの有効性を示す研究はたくさんあります。また、レメディーをテストした何百件もの臨床研究、生物活性を検証した何百件もの基礎科学研究もあります。また、エビデンスリストとして、たくさんあるなかからほんの一例として、アリゾナ大ベル氏の以下の100以上のエビデンス論文がありますので参照してください。

http://www.jphma.org/fukyu/overseas_100124_evidence.html

これだけホメオパシーの有効性が科学的に示されており、科学的にも証明されており、ホメオパシーの治癒効果が世界中で広く認められており、使われており、科学的実証も蓄積されているにもかかわらず、ホメオパシーを真摯に受け止めることもせず、レメディーをテストした何百件もの臨床研究に目を通すこともなく、生物活性を検証した何百件もの基礎科学研究を再検討することもせず、ましてや、おそらく自分自身試してみたこともなく、きちんと調査することなく、「荒唐無稽」と断定するというきわめて非科学的な態度にとても残念に思います。

リンクが張られている二番目のものである「 ホメオパシーの科学的エビデンス」および三番目のものである「アリゾナ大学薬学部 Iris R. Bell 医学博士によるホメオパシーのエビデンス集」なるものは以前にも紹介しましたように、彼らホメオパシー一派の身内の雑誌に掲載された論文ばかりを並べ立てて「どうだすごいだろう!」と言っているだけのもので、科学的には全く論ずるに値しません。
唯一まともそうなのが「Journal of Psychopharmacology(Impact Factor: 3.647)」に掲載された一番目の文献(ちなみに著者のH Walach氏はその筋にどっぷりの方のようですね)で、健康ボランティアにレメディーを投与するとプラセボと違う反応が現れたという、本当だとすれば興味深い結果ではありますけれども、「砂糖と塩で舐めた者の反応に差があった」というのと同様に「ホメオパシーの有効性を示す論文」ではないですね。
逆に彼らの言う通りホメオパシーの有効性を示す論文が実際星の数ほど存在しているのだとして、彼らがよりどりみどりの中から選び抜いた最良のものがこの程度なのだとしたら、ホメオパシーの有効性ということに関してどの程度科学的に立証されているのかが逆に明らかになってくる話ではあるようです。

■日本学術会議
過去には「ホメオパシーに治療効果がある」と主張する論文が出されたことがあります。しかし、その後の検証によりこれらの論文は誤りで、その効果はプラセボ(偽薬)と同じ、すなわち心理的な効果であり、治療としての有効性がないことが科学的に証明されています1。
1 Shang A et al. Are the clinical effects of homoeopathy placebo effects? Comparative study of placebo-controlled trials of homoeopathy and allopathy. Lancet 2005; 366: 726 2 Evidence Check

★JPHMA
ここで「有効性がないことが科学的に証明されています。」の根拠とされたLancetの論文については、内容的にも疑義のある論文であることが各方面からも指摘されているものです。

以下当協会のHPから引用します。

「ホメオパシーはプラシーボ以下」と結論づけた2005年ランセット論文は、「不備のある」調査結果を掲載、<ランセット>の学術誌としての価値をおとしめた。
http://www.jphma.org/fukyu/country_100804.html
「ホメオパシーはプラシーボ以上のものではない」と結論づけた医学誌<ランセット>2005年8月27日号論文は、欠陥論文であることを、科学雑誌「ニューサイエンティスト」誌のコンサルタント、マイケル・ブルックス氏が「まだ科学で解けない13の謎」(楡井浩一訳 草思社)で言及している。
「13 THINGS THAT DON'T MAKE SENSE THE MOST INTRIGUING SCIENTIFIC MYSTERIES OF OUR TIME」 (邦訳題 『まだ科学で解けない13の謎』)  
(略)
また、英女王担当ホメオパス ピーター・フィッシャー氏もランセット論文の信頼性を批判しています。
http://www.jphma.org/fukyu/country_100814.html
英国エリザベス女王担当の医師ホメオパス ピーター・フィッシャー氏が2006年に「エビデンスに基づく代替医療」誌でホメオパシーはプラシーボ効果以下と結論づけた 2005年ランセット誌の信頼性について批判しています。
タイトル:Homeopathy and The Lancet 著者:Peter Fisher  (Director of Research, Royal London Homoeopathic Hospital)
英語でのレポート原文はこちらのサイトからもご覧いただけます。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1375230/
ピーター・フィッシャー氏
http://commentisfree.guardian.co.uk/peter_fisher/profile.html
なお、ピーター・フィッシャー氏は、英国下院科学技術委員会が出したホメオパシーの有効性を否定し英国健康保険サービスからホメオパシーをはずすべきだとする調査レポートと勧告に反対するために英国会内で開かれたレセプションにもゲストとして参加しスピーチを行っています。

日本学術会議は、これだけホメオパシーの治癒効果が世界中で広く認められており、使われており、科学的実証も蓄積されているにもかかわらず、欠陥論文と言われているランセットの論文をたてにホメオパシーの有効性は科学的に否定されていると断言するわけです。このような事実と異なる声明が日本の学術界の最高峰と言われている日本学術会議から発表されることは誠に遺憾であります。

これまたすでに以前にも言及しましたけれども、まともな雑誌の論文に反論しようとするのであれば自著や査読もない身内の雑誌で好き勝手に吠えていても仕方がないのはこの世界の常識であって、そこまで自信があるのならきちんとデータなり論拠なりを添えて当のランセットに異論あり!と書いて送ればいいだけの話ですよね(実は送っていましたと言うのであれば、ますます笑えますけれども)。
これも彼らに言わせると「各方面からも指摘されている」というくらいですから星の数ほどソースがあるのでしょうが、その中から好き放題に一番よいものを選んだ結果がこんなものしかないと言うのであれば、これまた彼らの「ホメオパシーには有効性がないことが科学的に証明された」と言う命題に対する反証のレベルが知れるということになりそうです。

■日本学術会議
「プラセボであっても効くのだから治療になる」とも主張されていますが、ホメオパシーに頼ることによって、確実で有効な治療を受ける機会を逸する可能性があることが大きな問題であり、時には命にかかわる事態も起こりかねません3。
3 ビタミンKの代わりにレメディーを与えられた生後2ヶ月の女児が昨年10月に死亡し、これを投与した助産婦を母親が提訴したことが本年7月に報道されました。

★JPHMA
事実の相違から裁判で争っている事例を、あたかも、一方の言い分を事実であるかのような前提で話をするのは、いかがなものかと思います。現に、助産師は第1回口頭弁論にて、訴えを棄却し法廷にて争う立場であることを表明しています。まず、日本学術会議は「ビタミンKの代わりにレメディーを与えられた」と主張していますが、それは本当に事実でしょうか? またマスコミはK2シロップを与えないことで死亡したと断定していますが、それは本当に事実でしょうか? 事実が明確になっていない段階でこのような形でマスコミが報道したり日本学術会議が声名を出すことに問題はないのだろうかと思います。(略)この件はいずれ法廷で事実関係が明かされるものと考えています。

ホメオパシーに頼ることによって、確実で有効な治療を受ける機会を逸する可能性があることが大きな問題であるとしたなら、ホメオパシー療法は有効でないという嘘の情報を発信しそれを多くの人が信じることによって、多くの人々がホメオパシーを利用しないとしたら、その責任たるや想像を絶するものであると考えます。その責任を一体どのようにとるおつもりなのでしょうか。
(略)
長妻厚生労働相も8月25日、「仮に、本人の意思に反して病院に行かないようなことがあるとすれば問題。省内でよく議論し、実態把握の必要があれば努めていきたい」と述べていますが、これは裏を返すと、個人の尊厳がありますから、首に縄を付けて病院に連れて行くことはできないということでもあります。当然JPHMAとしも、本人の意思に反して病院に行かせないようなことがあれば問題であると考えます。

ここで特に留意しておいていただきたいのは、日本ホメオパシー医学協会としてはこの段階に至っても件の助産師に対する擁護姿勢を崩していないという点ですが、この点に関してはまた後ほど書くことになろうかと思います。
もう一つ、例によって自己責任論によってホメオパシーを選択する自由を主張していますけれども、その根拠の一つとして長妻厚労相の発言が取り上げられているということで、これは単なる長妻大臣の言葉足らずであったということなのか、それとも先日も危惧したように長妻大臣自身に何かしらの思惑があってのことなのか、このあたりもまた後ほど関連の話題を取り上げてみたいと思いますね。
とりあえずもの凄く端折った突っ込みだけで恐縮ですけれども、何しろ電波が強烈すぎていささか気疲れが過ぎるということも事実ですので、口直しの意味もあって今度は学術会議側の事情が分かる副会長インタビュー内容のポイントを、朝日新聞の記事から取り上げてみることにしてみましょう。

「ホメオパシー根拠がない」は世界の共通認識 学術会議副会長インタビュー(2010年8月28日朝日新聞)
より抜粋

 国内約84万人の科学者を代表する機関である「日本学術会議」が24日、欧州に起源を持つ民間療法の一つ「ホメオパシー」に関する「会長談話」を発表した。ホメオパシーは「科学を無視」したもので、「治療として有効性がないことは科学的に証明されている」とし、「荒唐無稽」と結論づけた。異例とも言える会長談話が出された背景は何か。日本学術会議の副会長を務める唐木英明・東京大名誉教授(毒性学)に聞いた。
(略)

――なぜ今、このタイミングで談話を発表したのですか。

 きっかけは、私が友人の外国人研究者から、海外でのホメオパシー事情を聞いたことです。2~3年前だったと思います。ホメオパシーに根拠がないことは、医学も含めた科学の世界では常識になっているのに、現実の社会では「医療」として保険適用がされていた。それが欧州での実態でした。

 発祥の地とされるドイツや、スイスなど、保険適用から外す国も出てきましたが、英国のように今でも保険適用されている国もあります。制度として国が認めているわけだから、国民の間に浸透することを止めることは難しい。科学的に何の根拠もないものが、医療として国民の間に広がってしまっている実態があるわけです。

 友人は科学者として、私に「日本は、そうならないうちに手を打つべきだ」とアドバイスしてくれました。そこで、金沢(一郎・日本学術会議)会長に相談し、関係機関との連携や、取るべきアクションを模索し始めました。これがちょうど1年半ほど前だったと思います。

 今年7月、山口県での事件が報道されたことで、我々は準備を急ぎました。そしてようやく、発表にこぎ着けたのです。

――英国では、議会がホメオパシーを公的医療から外すよう勧告して注目が集まりましたが、結局、政府は継続することを決め、7月末に発表しました。

 勘違いしている方も多いのですが、英国でもホメオパシーが効く・効かないの議論は既に終わっています。結論はもちろん、「効かない」です。政府も、その点は反論していません

 では、なぜ公的補助を続けるのか。それは先ほども申し上げたように、長い歴史の中でホメオパシーが国民に広く浸透してしまっている、という現状があるからです。街の開業医にかかったときに、ホメオパシーを求める国民も多い。そういう中で公的補助を打ち切ってしまうと、混乱が起きることが予想される。それを政治家が避けたわけです。きわめて政治的な判断と言えるでしょう。
(略)
 しかしその後、医学の進歩によって、我々は様々な知識を得ました。現代は、根拠のある治療を行うことを原則とする「エビデンス・ベースド・メディシン(EBM)」の時代です。そんな中でホメオパシーを使う合理性はありません。しかも、保険適用となると、大切な国民のお金が効きもしない治療に使われることになり、はっきりマイナスです。

 幸い日本は、ホメオパシーが国民に広く浸透している、ということはありません。だからこそ、今のうちに「ホメオパシーには科学的根拠がないこと」を広く周知する必要があるのです。

――プラセボ(偽薬)効果とはいえ、ホメオパシーが救いになっていると主張する人もいます。

 まず、ホメオパシーには科学的根拠はなく、医療ではないということを十分に理解することが大切です。その上で、安心感を得るため、といった理由で利用するのであれば、個人が自分の責任において何を選ぼうと、それは確かに自由です。

 ただ、その場合でも、同時に医療機関による治療も受けることが絶対条件になるでしょう。特に、自ら判断できない子どもや胎児が、ホメオパシーによって医療機関から遠ざけられることは、絶対にあってはいけません

――資格を持った医師がホメオパシーを提供するケースはどうでしょう。

 私はどんなケースであっても、ホメオパシーが「医療」として提供されることには反対です。医師が治療の現場でホメオパシーを使えば、いくら言い訳したところで、患者はそれを「医療」だと受け取ります。

 プラセボ効果を得たいのであれば、方法はいくらでもあります。何もホメオパシーやレメディーを使う必要などありません。「ホメオパシーが効いた」という誤解を招くリスクにつながるような行為は、やめるべきです。
(略)

唐木英明副会長自身は他にも色々と熱心に語ってくださっているのですが、ここで取り上げたいのはまず何故このタイミングかという問いに対して、今回の死亡事故発生というのは単なるきっかけであり、何より日本では未だホメオパシーが滲透していない今だからこそ国民への啓蒙が必要であり、「我々のようになっては手遅れだぞ」という海外からの警告もあって以前から準備を進めてきていたのだという答えですよね。
要するに個々の被害者よりも何よりも日本にホメオパシーの汚染を広げないことが第一であって、そのためにも「ホメオパシー=無価値どころか危険なもの」という認識を広げていこうと言う意図があるのでしょうが、前述の日本ホメオパシー医学協会側のコメントに見られる彼らの「被害者意識」と対応するものとしても非常に興味深い話です。
この目的を達成するために、とにかく医者を始め医療専門職がホメオパシーを使うということ自体に反対だというのが学術会議の基本姿勢なんだと思いますが、この点ではホメオパシー医学協会のみならず各種統合医療、代替医療と言われるものとの関わり合いをどう考えているのか、あるいは国が何かしら規制を考えてくるのかといったあたりも今後しっかり見ていく必要があるように思いますね。

さてもう一点、学術会議としては個人が自己責任でホメオパシーを選択することまでは制限することは出来ないということですが、その前提条件としてホメオパシーを受けたいのであれば「同時に」まともな医療にもかかることが必須であって、間違ってもホメオパシー単独で患者に対することがあってはならないということを強調していることに注目ください。
これに対して先の学術会議への反論文にも現れているようにホメオパシー医学協会側では繰り返しこのような「提案」をしていて、彼らとしてはまともな医療を受ける「よりも前に」ホメオパシーを受けましょうということをかねて持論としているのですね。

これらのことをふまえてJPHMAではひとつの提案をしています。体内への異物の侵入を阻止しようとして生じていると思われる症状や体内を浄化しようとして生じていると思われる症状に対しては、「近代的な医薬品」を使用する前に、まずはホメオパシーのレメディーを使ってみてはどうですか、という提案です。
もし「近代的な医薬品」が正しい使われ方をしないとしたら、それは症状の抑圧によって後の慢性疾患を作り出す原因になったり、「近代的な医薬品」のもつ副作用によって健康が損なわれる可能性があると考えています。
そのようなことから、第一に求められる療法とは、対症療法ではなく根本から治癒をもたらす療法です。つまり、それは化学物質で生体をコントロールする類の方法ではなく、自分のもつ自己治癒力を触発し、自ら健康になる自然療法が大切だと考えています。

これまた以前にも取り上げたところですけれども、ホメオパシーをやっている連中は自ら医療の素人であると公言していて、山口の死亡事例などでも最後まで全く病状を把握していなかったばかりか、「私は医師ではないので医学的所見は述べられない。検査をできるわけではないので、体の中で起きていることはわからない」と、素人であることをむしろ免罪符と考えているような言葉が出ているということです。
そもそも彼らを指導する同協会トップの由井寅子氏にしたところで、その講義内容と言えば「カルマ・霊魂」であったり、「アストラル体」であったりと、どこからどう見てもそれは肉体ではなく魂の救済だろうと思われるような内容なのですから、これは残念ながら俗物の現世的肉体的御利益を得るのにはいささかどうなのよと感じざるを得ないところで、果たしてこういう人たちに大事な初診を任せるのがどうなのかですよね。
もちろん医療が先かホメオパシーが先かは人それぞれの考え方もあるんでしょうし、今後場合によっては国がルールを決めてくるかも知れませんが、とりあえずこの由井氏らがやってることは科学とは縁遠い別の何かであることだけは否定しようもなく確実なわけですから、それならいっそ無理に科学風を装わずとも宗教法人格でも取って、堂々と斜め上方向に我が道を極めた方が世間の誤解も減っていいんじゃないかと思うんですけれどもね。

さて、こうしたところを把握した上でもうちょっと突っ込みを入れていく予定だったのですが、さすがにこれだけ電波をゆんゆん言わされると当方としてもいささか気力が続かないようで、残りは例によって明日以降に回させていただこうと思います。

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2010年8月29日 (日)

今日のぐり:「酔鯨亭」

先日(一部の人間にとって)非常に興味深い記事が出ていたのですが、御覧になった方は恐らく極めて少ないんじゃないかと思います。

注目を浴びていた「イギリス人でいること」という説明(2010年08月23日らばQ)

イギリスにどんなイメージを持っているでしょうか。

グローバル化した世界において、「イギリス人でいるということは、こんな生活をするということだ」と説明した画像が人気となっていたので、ご紹介します。

イギリス人でいるということは:

ドイツの車に乗って、アイリッシュ・パブへ行き、ベルギーのビールを飲み、インドのカレーかトルコのケバブを途中で買って家に帰る。スウェーデンの家具に座り、日本のテレビでアメリカの番組を見る。

イギリス人って何だろうと考えてしまうような文章ですが、すっかりメイド・イン・ジャパンが減ってきた日本も似たようなものですよね。気がつけば海外製のものであふれる家の中。

自国のものがほとんど無くなっていることに対して、海外サイトのコメントも盛り上がっていたので、抜粋してご紹介します。

・真実だからおもしろい。

・少なくともロンドンでは正しい。

・カレーのところは正しい。

・真実に一票。

・自分はデンマークの家具に座ってる。

・ケバブが欲しくなってきた。

・カレーも!

・アメリカ人でいるということは:
ドイツの車に乗って、アイリッシュ・パブへ行き、ベルギーのビールを飲み、インドのカレーかトルコのケバブを途中で買って家に帰る。スウェーデンの家具に座り、日本のテレビでイギリスの番組を見る。

・BBCはすごい。

・訂正すると、
アメリカ人でいるということは:
日本の車に乗って、スポーツ・バーへ行き、ベルギーのビールを飲み、メキシコのブリートかドイツのソーセージを途中で買って家に帰る。スウェーデンの家具に座り、日本のテレビでリアリティ・ショーを見る。

・アメリカ人でいるということは、それら他の国を地図で指せないということ。

・オーストラリア人でいるということは:
韓国の車に乗って、アイリッシュ・パブへ行き、ベルギーのビールを飲み、タイ・カレーか、トルコのケバブを途中で買って家に帰る。スウェーデンの家具に座り、韓国のテレビで、アラブのコーヒーをすすり、デンマークのアイスクリームを食べながら、アメリカの番組を見る。

・イギリスをフォローすると、彼らはコメディ、ロック・ミュージック、植民地化についてかなりの貢献をしてきた。

・アメリカ人としては笑えない記事だ……それは特にイギリス人ということでもない。

・みんな何かに得意なんだ。

・アイリッシュ・パブ以外は正しい、アイリッシュパブはアメリカ人観光者のためだ。

・アイリッシュ・パブがわからない。アイリッシュ・パブはそれほどなく、ブリティッシュ・パブであふれているぞ。

・え?俺らの最悪なアメリカの番組を見てくれてるの?イギリスで番組が作られて、俺らがパクってアメリカナイズしてるんだよ。

・トップ・ギアはすばらしい。

・ティーバッグはどうなったんだ。

考えて見れば日本では冠婚葬祭ごとに宗教が変わったりしますよね。結婚教会で、死ぬときは仏教という風に。

それに比べれば、異国のものであふれているくらいは、どうということもないのかもしれません。

インドのカレーかトルコのケバブなどを食するブリなどブリではないという意見もありますけれども、いずれにしてもブリであるということはどういうことなのかは(ごく一部の人間にとっては)非常に興味ある命題ですよね。
今日はこの疑問を追求すべく、いくつかのニュースを紹介してみたいと思いますけれども、まずは彼ら自身の主観がどうなっているのかというこちらの調査です。

イギリス人男性のあこがれナンバーワンはやっぱりジェームズ・ボンド(2010年8月10日シネマトゥディ)

[シネマトゥデイ映画ニュース] イギリス人男性7000人を対象に行われたアンケートで、ジェームズ・ボンドがあこがれナンバーワンに選ばれた。

 ライフスタイルを提案するAskMen UKの編集者によると、架空の人物で自分がなりたい人は? とのアンケートに答えた64パーセントの男性がジェームズ・ボンドを選んだという。「ここ数十年、ジェームズ・ボンドは世界中の男性の永遠のあこがれであり、2010年でもそれは変わらないようです。彼はクールで強く、自信があり、洋服をシャープに着こなし、ジョークの1つや2つも飛ばすことができる男性。それだけでなく、悪者をやっつけている合間に必ずゴージャスな女性とベッドを共にするというすごさを持っています」とのこと。

イギリス人男性があこがれる架空の人物トップ5は下記のとおり。

1. ジェームズ・ボンド (映画『007シリーズ』)
2. ドクター (テレビドラマ「ドクター・フー」)
3. スーパー・マリオ
4. ドン・ドレイパー (テレビドラマ「MAD MEN マッドメン」)
5. キック・アス (映画『キック・アス / KICK-ASS』(原題))

64%という圧倒的得票を見てもまあそうなんだろうなという気もしますが、ここはむしろ第三位につけている人物にこそ突っ込みを入れておくべきなんでしょうか?
ところでジェームズ・ボンドと言えば女無しでは寝られないというほどの女たらしとしても有名ですが、このジェームズ・ボンドにあこがれるブリ男性諸氏は何無しでは寝られないのかという興味深い調査の結果がこちらです。

英成人の3人に1人、クマのぬいぐるみ抱いて寝る(2010年08月18日国際時事新聞)

 ホテルチェーンのトラベルロッジは16日、英国の成人のうち3人に1人がクマのぬいぐるみを抱いて寝ているとの調査結果を発表した。

 調査は先月、英国の成人6000人を対象に行われた。それによると、回答者の35パーセントがクマのぬいぐるみとともに就寝している。安心感を得られるというのが主な理由で、ぬいぐるみの種類はいわゆるテディベアが最も多く、プーさん、パディントンが続いている。

 また、男性回答者の25パーセントは出張の際もぬいぐるみを持っていくとのこと。実際、トラベルロッジが忘れ物として宿泊客に返却したクマのぬいぐるみは、昨年1年間に7万5000個に上るという。

いやはや、何ともブリの真実について勉強になる調査結果ではありませんか?
総論はこれくらいにして、ここからはブリの何たるかという各論に入っていきたいと思いますけれども、まずはいかにもブリ的なと表現すべきニュースがこちらです。

生放送中に笑顔で中指立てる、英放送局BBCのお天気キャスターが謝罪。(2010年8月19日ナリナリドットコム)

英放送局のBBCといえば、90年近くの歴史を誇る同国の公共放送局。紳士の国たる英国の、さらに公共放送局ともなるとかなりお堅い印象が強いですが、そのイメージを吹き飛ばしてしまうようなアクシデントが起きてしまいました。

米放送局ABCや英紙サン、米通信社UPIなどによると、それは同局で放送されたニュース番組でのこと。キャスターのサイモン・マコイさんが、お天気コーナーに移る際に、冗談のつもりで「天気予報は、もちろん100%正確に当たりますよね。間違いなんか絶対ありません」(※欧米のジョークでは、お天気キャスターほどあてにならない人はいない、とよく言われています)とコメントしたあと、カメラは同局お天気キャスターのトマス・シャッファーネイカーさんを映し出しました。

しかし、カメラが切り替わったことに気がつかなかったトマスさん。なんと笑顔まじりで中指を突き立てるジェスチャーをしてしまったのです。

トマスさんは直後に、カメラに気が付き、あごをかくフリで誤魔化そうとしましたが、本人もビックリして動揺する様子がアリアリ。幸い、画面はまたすぐにメインデスクに戻り、隣の女性キャスターが「あらっ!?」と驚くも、サイモンさんは落ち着いた様子で「もちろん、時には間違いもありますがね。でもコレ1回きりです」と、場を和ませたのでした。

トマスさんとBBCは、直後に謝罪のコメントをそれぞれ発表。特にトマスさんは、かなり反省しているそうです。2006年から同局のお天気キャスターとして活躍する彼には、ファンも多いそうなので、どうか降板なんてことにはなりませんように。

全ての経緯を示している動画を見ずとも、この満面の笑みをたたえたトマスさんの写真一枚でブリ的諧謔とは何かということが見えてくるようにも思えますが、いかがでしょうか?
もちろんBBCのお天気キャスターレベルですらこの水準にあるわけですから、一国を代表するようなレベルの人物ともなるとブリ的紳士度はさらに洗練されたものとなってきます。

米英大使、着衣でプールに飛び込む W杯の賭けで(2010年08月08日AFP)

【8月8日 AFP】タジキスタンの首都ドゥシャンベ(Dushanbe)で、米国と英国の大使が着衣のままプールに飛び込んでいたことが明らかになった。その模様を撮影した写真が6日に公開された。

 ドゥシャンベに駐在する米国のケネス・グロス(Kenneth Gross)大使と英国のトレバー・ムーア(Trevor Moore)大使は、南アフリカで行われた2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)グループリーグの米国対イングランド戦で、負けたほうが服を着たままプールに飛び込むという賭けをしていた。

 しかし6月12日に行われた試合は1対1の引き分けだったため、両大使は7月23日にプールに飛び込んだ。招待客が証人となったという。服はびしょ濡れになったが、両大使はともに意気軒昂だったと伝えられている。

いや飛び込むまではともかく、わざわざ写真まで公開するなよと我々レベルでは考えてしまいますけれども、ブリ的に考えますと着衣のままなどと植民地人と同レベルの行動ではいささかどうかと思われそうですよね。
ジェームズ・ボンドにあこがれるという彼らですけれども、すでに一部のブリ的紳士は実生活でもそれに迫っているのではないかと感じさせられるのがこちらのニュースです。

アマゾン川を初の「踏破」2年4カ月で英国人男性「5万回蚊に刺された」(2010年8月10日産経新聞)

 南米アマゾン川(全長6516キロ)の水源のペルー奥地から河口のブラジル大西洋まで、川に沿って全行程を歩く初の「踏破」に英国人男性(34)が挑み、9日午前、約2年4カ月をかけてブラジル・パラ州の海岸に到達した。

 AP通信などによると、この男性は元英軍人のエド・スタフォードさんで、2008年4月に友人とともにペルー南部を出発した。友人は3カ月後に脱落したが、途中で出会ったペルー人の森林作業員が最後まで同行した。「踏破」は859日に及んだ。

 川で釣ったピラニアや、コメ、豆などを食べ、時には川の水につかりながら歩き、ワニや大蛇にも遭遇した。「5万回も蚊に刺された」といい、熱帯性の病気にかかったこともあった。(共同)

元英国軍人の気概を示したと受け止めるべきなのか、途中で出会っただけの縁で最後まで同行してしまうペルー人森林作業員こそ真にブリの暗黒面に転落した者と見なすべきなのか微妙なところですが、動画を見てみましてもまさしくジェームズ・ボンドにも匹敵する偉業とは言えそうですよね。
ブリとは後天的にブリとなるのか、あるいは生まれながらにしてブリなのかとはしばしば我々が抱く疑問ですが、わずか13歳の少年にしてこういう偉業もあるという点で、この徹底ぶりこそ真のブリたる者にふさわしいのではないかとも感じてしまいますがどうでしょう?

13日の金曜日13時13分、13歳少年が雷に打たれる/英(2010年08月15日国際時事新聞)

 英国で13日金曜日の13時13分ごろ、13歳の少年が雷に打たれたと、英デイリー・メール紙が報じた(Daily Mail 2010年8月14日)。

 落雷事故があったのはイングランド東部のサフォーク州ローストフト。13日午後1時13分ごろ、航空ショーを見に来た少年(13)が雷に打たれた。

 少年はやけどを負って病院に搬送されたが、意識はあり、命に別条はないという。

 事故当時は雨が激しく降っており、少年は傘を差していたという。

齢13にしてこれだけの奇跡を見せてくれたのですから、末はジェームズ・ボンドなどと言わずに是非Mr. ビーンの境地を目指していただきたいですよね。
ブリと言えばジャガイモを始め紳士たる者のたしなみは有名ですけれども、淑女も決して負けてはいないというニュースがこちらです。

ゴミ箱にネコ捨てる女性、監視カメラが録画 英国(2010年08月25日AFP)

【8月25日 AFP】英イングランド中部コベントリー(Coventry)の路上のゴミ箱にネコを捨てた女性の動画がインターネットで悪評を買っている。コベントリーの当局者は24日、この女性から事情を聞く方針だと発表した。

 動画にはコベントリーの路上で女性が立ち止まり、別の家の飼い猫で、生後1年も経っていないローラ(Lola)をなでる様子が映し出されている。ゴミ箱をちらっと見た女性は、周囲を急いで見回してからゴミ箱のふたを開け、ローラの首をつかんで投げ入れて立ち去った。

■15時間後にゴミ箱から救助

 ローラはゴミ箱に中に15時間にわたって閉じ込められていたが、鳴き声を聞きつけた飼い主のダリル・マン(Darryl Mann)さんとステファニー・マン(Stephanie Mann)さんに助け出された。

 泥酔して悪ふざけをした10代の若者の仕業だろうと思ったマンさんたちは、自宅に設置した監視カメラの映像を確認した。すると、ハンドバッグを持った白髪交じりの女性が登場した。

「最初は全く潔白に見えた」とダリルさんは英BBCテレビに語った。「大勢の人がローラをなでるために立ち止まる。彼女も同じだった。すると突然、彼女はローラを持ち上げてゴミ箱に捨てたんだ」

 また、ステファニーさんは地元紙コベントリー・テレグラフ(Coventry Telegraph)に「うちのネコにあんなことができるのなら、どこのネコにでも同じことをするのよ」と語った。

 マンさんは、犯人を見つけ出すために、インターネットに動画を投稿した。

 警察と、英王立動物虐待防止協会(Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals、RSPCA)は、すでにこの女性の身元を特定しており事情を聞く予定だと述べた。RSPCAの広報は、「コベントリー警察も調査に協力している。市民の皆さんには、適切な対応を当局にまかせてほしい」と語った。

いや、無事に助け出されてよかったと言うのが我々平凡な人間の感想ですけれども、さすがに全く潔白に見えてもブリ的淑女のたしなみを身を以て証明することだけは怠りなかったということでしょうか?
このニュース、動画が広く公開されたこともあって結構大きな話題になったようですけれども、その後の続報も入っているようですね。

<続報>猫をゴミ箱に投げ入れた女(44)、非を認めて謝罪(2010年8月26日ミラー)

猫をゴミ箱に投げ入れたところが監視カメラにキャッチされた女は銀行に勤務するメアリー・ベール(44)さんと判明した。昨日、彼女は事情聴取を受けるため、警察の警護のもとRSPCA(王立動物虐待防止協会)に向かった。

最初のうちは、ちょっとしたジョークに過ぎないと反論していた彼女だが、ついには「馬鹿なことをしてしまって、深く反省しています」と非を認めた。「あんな事をするつもりはありませんでした。償うために何でもするつもりです」。

RSPCAによると、彼女が4歳の猫ローラをゴミ箱に投げ入れた行為について、告発するかどうかの決定には一ヶ月ほどを要するという。

ここまで晒されてしまうと日本では「プライバシーの侵害だ!犯罪者にも人権がある!」なんて別な意味で大騒ぎになりそうですが、逆に猫の復讐編なんて動画までアップされてしまうのがブリ的ということなんでしょうかね?いはやは…

今日のぐり:「酔鯨亭」

日本三大がっかり名所の一つ、高知市のはりまや橋にほど近いのがこちら酔鯨亭ですが、鯨や鰹といった地元の料理を手軽に食べられるのでときどきお邪魔しています。
何やら龍馬人気とやらで観光客も増えているのでしょうか、夕食時ということもあって店内はすっかり満席状態でしたが、予約の席が入る前ならと席につけたのは幸運でしたね。
そんなこんなでやや気ぜわしい食事にはなりましたが、そろそろ戻り鰹の季節でもありますからやはりそちらを中心に、後は適当に幾つかを頼んでみました。

鰹のたたきは塩とポン酢ですが、この時期の鰹ですとポン酢タレがいよいよ本領発揮という感じで、土佐巻きをつまみながらたたきを口に運ぶともちもちした鰹の身の食感と味わいが一杯に広がり、いま鰹を食べてる!という感じになってきます。
うつぼの皮と身肉、間のゼラチン質の食感の取り合わせを楽しむなら唐揚げが一番だと思っているのですが、時期的な問題かややゼラチン質の部分に物足りなさは残ったものの、この独特の食感の三層構造はこの日も楽しめました。
鯨の竜田揚げや生姜焼き、たたきなどはごく定番の料理ですが、年中いつでもこういうものが食べられるというのはありがたいことだと思いますね。
締めは例によって尿酸値が跳ね上がりそうな(苦笑)鰹茶漬けですが、最近味が安定してきて定番という感じになってきたのはいいとして、もう少しスープがたっぷり入っているとよりお茶漬けらしくなっていいんでしょうかね?(その分余計にコストもかかるんでしょうが)

多忙な中にも接遇は比較的しっかりした水準を保っていて、ちゃんと顧客の声にも耳を傾けているのは好印象でしたが、これくらい混雑した状況になると店舗規模の割に少しトイレのキャパが不足気味に感じられるでしょうか?
別にここの味が一番だとかコストパフォーマンス最良だとか言うつもりもないですが、誰でも気軽に入りやすい雰囲気の中で手頃な価格で手軽に一通りのものを食べられるという点ではなかなか評価に値する店だと思いますね。

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2010年8月28日 (土)

困ったもんだというしかない、某業界最近の話題

そろそろ新聞週間ということで、どこの新聞社も何とか盛り上げようと必死になっているようですけれども、正直受け手である国民の側ではさっぱり盛り上がっているようには見えませんよね。
しかし「想像力をすぐかたちに出来る」は言い得て妙と言いますか、確かに新聞各社と言えば想像力はずいぶんと豊かそうですよね。

新聞週間の日程決まる 10月15日に東京で大会式典(2010年8月27日日本新聞協会)

 10月15日から始まる新聞週間の日程が決まった。メーン行事の第63回新聞大会は15日、第53回「新聞広告の日」記念式典と併せ、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京で開催する。広告式典では、新聞広告賞に新設した「新聞広告大賞」の贈賞などを行う。15~23日にかけ東京、大阪、名古屋、福岡の4地区で例年通り「記念の集い」を開き、読者を招く。東京では国民読書年記念祭典の一環として、パネル討議を公開する。

 新聞大会式典は15日午後1時に開会。内山斉会長のあいさつ、新聞大会決議の採択、新聞協会賞の授賞式に続き、諏訪中央病院(長野県茅野市)の鎌田実名誉院長が「新聞で救われる命」と題し記念講演する。
 続いて広告式典に移り、第30回新聞広告賞と、新聞広告クリエーティブコンテストの贈賞式を行う。新聞広告賞は今回から、広告主企画部門に大賞を創設。贈賞に合わせて、大賞作品を紹介する全15段広告を制作し、協会加盟各紙に掲載を依頼する。

 記念の集いは、新聞協会と当該地区の会員社との共催で開く。東京では、パネル討議「私の新聞活用術」を23日に開催する。テレビ朝日の吉沢一彦アナウンサーがコーディネーターを務め、朝日の一色清編集委員、タレントの麻木久仁子、デーブ・スペクターの両氏がパネリストとして登壇する。

 大阪では16日、「スポーツ報道の現場から―選手の思い、メディアの思い」と題したパネル討議を公開する。コーディネーターは共同の竹内浩論説副委員長。元陸上選手の朝原宣治氏らをパネリストに招く。名古屋(21日)は姜尚中東大教授、福岡(15日)は歌人の伊藤一彦氏が講演する。

 今年の新聞配達・新聞少年の日は17日。この日を中心に、全国各地で販売所従業員や新聞少年・少女慰労のための行事が催される。

日本新聞協会:加盟103紙が一斉広告 紙の価値再発見(2010年8月27日毎日新聞)

 日本新聞協会の加盟新聞103紙は27日、特別企画として、紙の価値を再発見してもらう広告「紙があって、よかった。」を北海道から沖縄県まで一斉掲載した。加盟社が同一日に同じ広告を一斉掲載するのは、3月29日朝刊の「住宅エコポイント」などを伝える広告に次いで2回目。

 今回は、漫画家の手塚治虫さんの未発表作品の下描きと、野口英世博士の母シカさんの手紙を紹介。下描きは、手塚さんが思いついたことを即座に紙に描きつけたという。手紙は、渡米中の野口博士に会いたい一心で、シカさんが子供のころに学んだ文字を思い出しながら「早く来てくだされ。一生の頼みです」と訴えたもの。新聞協会は「紙だから伝えられる人の思いがある。想像力をすぐに形にできる紙特有の価値を再認識してほしい」と話した。

しかしこうして無理矢理用意されたのが見え見えのイベントの数々を見るにつけ、休日の昼下がりに流される恐らく誰も見ていないだろう退屈なバラエティー番組のようなB級感が漂ってくるのですが、サクラでも社員家族でもない一般人が果たしてこんなものに参加するんでしょうかね?
各社共に経営は半端でなく厳しいはずですから、何とか売り上げ増に結びつけようという意図は分かるのですが、新聞独自の価値を認識するということが最近あったかというところから検証をしてみなければならないでしょう。
そこで最近の紙面から無理矢理に何かしら注目に値するニュースをと探してみましたところ、毎日新聞の社説にこんなものを見つけました。

社説:情報公開法 「知る権利」さらに尊重を(2010年8月26日毎日新聞)

 01年4月に施行された情報公開法について、政府の「行政透明化検討チーム」(座長・蓮舫行政刷新担当相)が、見直し案をまとめた。

 法律の目的に「知る権利」を明記し、行政側の恣意(しい)的な判断で行政文書が不開示とされる範囲を大きく絞り込む内容となっている。適切な公開を求める国民の側に立ったものとして評価したい。

 行政機関が保有する情報を、請求に応じて国民に開示するのが情報公開制度だ。だが、行政の裁量範囲が広く、国民の情報アクセスの手段として不十分だとの声が強い

 特に、外交・防衛や犯罪情報については、公開すれば国の安全などを害するおそれがあるとして、行政側の判断で不開示とする裁量が広く認められてきた

 見直し案は、一度出した不開示決定について、情報公開・個人情報保護審査会の答申後、さらに不開示にする場合、首相の同意が必要とする制度の新設を打ち出した。政治主導で、行き過ぎた不開示の決定に待ったをかけることが可能になる

 また、情報公開訴訟などの場で、裁判所が、行政側に文書を提出させて、裁判官が内容を直接確認できる「インカメラ審理」も導入する方針だ。従来に比べ、実効性のある司法判断が期待できる。

 他にも国民が使いやすい制度改革が盛り込まれた。例えば、不開示の場合、具体的な理由を文書で示すことを行政側に義務づける

 請求から開示決定までの期限が現在の30日以内から14日以内へ短縮され、手数料の原則廃止、コピー代の引き下げと併せ、国民にとってはるかに使い勝手がよくなるだろう。

 情報公開法の適用範囲も、今より広く独立行政法人などにも拡大される予定だ。

 開示の前提となる公文書の作成や移管、廃棄などについては、統一基準を示す公文書管理法が昨年、全会一致で成立し、来年4月に施行される。各省庁でばらばらだった管理基準が改められ、役人の勝手な判断で公文書が廃棄できなくなった

 今回の見直し案に沿って、政府は来年の通常国会で情報公開法を改正する方針だ。成立すれば、公文書管理法と車の両輪となり、国民の「知る権利」を実質的に保障する道具となることが期待できる。

 ただし、成立までの道のりは容易ではない。官僚側の抵抗が予想される。運用に関しても、開示請求の増加に対応する予算や人員の手当てができるのか懸念も残る。

 だが、行政を透明化し、より開かれた政府を実現することは、与野党で大きく対立するテーマではあるまい。前向きな国会審議を望みたい。

ま、一般論として国の情報は国益に反しない範囲で国民に対して開かれているべきだろうし、勝手に役人が重要文書を処分して知らぬ存ぜぬでも困りますから、ここいらで情報公開というものをもう一度考えてみることも重要なんだとは思います。
しかし問題は、そうまで情報公開に対して高い見識を持ち、国に対しても要求するという毎日新聞が、一方でこんな記事を書いていることなんですね。

金言:国家モデルの交代=西川恵(2010年8月27日毎日新聞)

 イラク駐留米軍戦闘部隊が撤退した。現在、ピーク時の3分の1の約5万人まで減り、来年末までに完全撤退する予定だ。イラク戦争から7年、振り返ると「国家モデルの交代」という点で、この戦争は一つの節目となったように思える。

90年代は民主主義拡大の時代だった。冷戦終結(89年)後、米欧を中心とした西側先進国は、民主主義、人権の価値を世界に広げていった。東欧、ロシア(旧ソ連)、さらにはアフリカ、アジアの独裁国家や権威主義の国に対しても、経済援助とからめ圧力がかけられた。そこには「民主主義国家で構成される世界秩序」への希求があった。

 その一つの頂点が99年のコソボ紛争である。当時のユーゴスラビアのミロシェビッチ政権が、セルビア共和国・コソボ自治州のアルバニア系住民を弾圧しているとして米欧は空爆に踏み切り、同政権を屈服させた。

 イラク戦争は民主主義と人権価値の中東への拡大という点でユーゴ空爆の延長線にある。人権抑圧を口実にした介入、国連決議のない武力行使も同じだ。

 しかしイラク国内の混乱は、理念的・介入的な米欧の人権外交に転機となった。再選直後の05年2月、訪欧したブッシュ米大統領(当時)は、欧州首脳に「民主主義改革はマラソンに似ていて、一度に実現すると期待したり求めてはならない」と述べ、性急な民主主義拡大を自戒した。

 興味深いのは、これと交錯するように台頭してきたのが中国の国家モデルということだ。民主主義的な権利は抑え、権威主義体制を維持しつつ、資源を経済に集中し経済発展、国富強化を図る。しかも内政不干渉で、経済支援を米欧のように民主化と絡めない。体制を維持し、国内の混乱を避けながら経済発展を実現したい途上国、権威主義の国にとって魅力を放っている。

 これは70、80年代の東南アジアの開発独裁モデルに通じる。ただ中国が世界第2の経済力を実現しようとし、国際政治舞台でも存在感を見せている今日、影響力は開発独裁モデルの比ではない。ベトナムやミャンマー、さらにアフリカの国々にこのモデルは浸透している。中国主導体制という意味で、北京コンセンサスという言葉も生まれた。

 米欧が人権外交を放棄したわけではない。ただイラク戦争の反省を経て、その手法は堅実的、説得的なものになっている。また米欧と中国の国家モデルの勢いの差は、経済が沈滞する米欧と躍進し続ける中国の今日の経済状況とも絡んでいる。しばらく中国の国家モデルは精彩を放ち続けるだろう。(専門編集委員)

いやいやいや、世界でもトップクラスの情報統制国家が国家モデルとして精彩を放ち続けてしまったのでは、情報公開を求める毎日新聞としては困るだろうという話なんですが、あるいは中国の報道規制はよい規制であるなんてダブスタめいたことを主張するつもりではないんでしょうね??
本気で毎日新聞が国家への情報公開を求めていくというのであれば、日本よりも何よりも真っ先に中国のような巨大な情報暗黒国家でこそそれを主張していくべきなんでしょうが、景気の良いことを言えるのは言論の自由がある日本だけなんてことではジャーナリズムとしてどうなのかということでしょう。

さて、夏と言えば高校野球が今年も熱戦を繰り広げましたけれども、どんな世界でも文句をつけないではいられないというタイプはいらっしゃるものです。
ちなみにこちらの記事なんですが、すでに「高校野球情報.com」の元記事にはアクセスできなくなっていますので、こちら引用する形で紹介させていただきましょう。

【高校野球】 スポーツライター、1塁までちゃんと走らなかった選手を記事で晒し者に(2010年08月23日痛いニュース2ちゃんねる)より抜粋

第92回選手権大会総括 レベルの低い大会――。
残念ながら、そう思わざるをえない大会だった。理由は、走らないから。打ち損なった時点であきらめ、凡打と決めつけて走らない。反対に、安打と決めつけてふくらんで走り、ファインプレーをされてアウトにされるケースも目立った。最後まであきらめない、自分で判断しない、勝手に決めつけないのは基本中の基本。全力疾走の意識が欠如している。

今大会では、まるでプロ野球選手のように凡打で一塁までダラダラと走る選手が目立った
一塁ベースまで到達せずにベンチへ戻る“不走”も多かった。選手たちには酷かもしれないが、代表にふさわしくないプレーをした代償として走らない選手リストを挙げておく

不走、一塁到達秒数ワースト10のリスト:省略

一塁ベースまで走らないなど言語道断

チームとしては、不走リストに3人も名前を連ねる佐賀学園、ワースト10に3人入っている成田の他に、不走2人を含む4秒75以上が4人の早稲田実、6人の松本工、4人のいなべ総合などが目立った。松本工、いなべ総合は初出場。初めての晴れ舞台でこのような姿勢では、二度目はないだろう
http://www.hb-nippon.com/report/524-hb-nippon-game2010/6889-20100821001

元記事では延々と選手の名前とタイムを列挙してさらし者にしているんですが、書いている田尻賢誉氏というのは普段からそういうスタンスのお方のようで、「田尻賢誉のコラムなどを見ると、高校野球における作戦、采配ミス、球児のマナーや姿勢など批判や説教ばかり」なんてことを言われちゃってしまっているようですね。
別に同氏の主義主張がそうであるということはどうでもいいんですが、高校野球の選手をこうして公の場で実名を出して晒し上げてみせるというのは、高校野球のお題目である教育の一環とは最も縁遠い行為であるように思えるのですが、いかがでしょうか?
ちなみにこの記事、取られた魚拓の数がまたすごいんですけれども、そのことごとくがすでに削除済みになっているというのがまた笑えるんですが(苦笑)、一体誰が手を回したんでしょうねえ?

ここからは一転してテレビの話題になりますけれども、まずはこちらの記事から紹介してみましょう。

テレビの収録事故が後を絶たない 3つの理由(2010年8月26日ゲンダイネット)

 番組収録中の事故がテレビからなくならない――。同じ過ちが繰り返される背景にはそれなりの理由があるという。

 問題となっているフジテレビのバラエティー「オレワンSP」。収録中に我が家の杉山裕之が左肩関節を脱臼骨折、陣内智則が肋骨にヒビ、さらにハイキングウォーキングの松田洋昌が左肋骨骨折――。1本の番組から3人も負傷者が出る異常事態。フジは今月22日に予定していた放送を中止し、お詫びのコメントを発表したが、当然のことだ。「オレワン」は安全対策が甘すぎた

「テレビ局は通常、収録時に体育大学の学生などを使って競技のシミュレーションを行う。『オレワン』も一応やったそうですが、体育大生がうまくできたとしてもオジサンの陣内や杉山にできるとは限らない。なのに、数字が取れそうな場合、シミュレーションの結果難しそうという意見が出ても、ディレクターがGOサインを出してしまうことがある。今回もそのケースかもしれません」(制作会社関係者)

同じ人物が同じミスを繰り返すこともある。「オレワン」みたいなアトラクションの要素を取り入れ、人気を博した番組といえばTBSの「筋肉番付」。しかし同番組は参加者が頚椎損傷という大事故が発生し、02年に打ち切りになった。その後、フジの「海筋肉王~バイキング~」では05年に出演者が左足首を骨折して問題に。さらに07年はブラックマヨネーズの小杉竜一を含む5人が「新SASUKE」(TBS)で重軽傷を負った。実はこれらの番組はすべて同じプロデューサーが関わっていた

 そして、今回はいずれもお笑い芸人が犠牲者だが、タレント側にも断れない事情がある。芸能評論家の金沢誠氏が言う。

「芸人は最近のお笑い番組の急減に危機感を募らせている。だから、制作サイドが多少無理な要求をしても体を張って応えてしまうのでしょう。ケガをしても被害を訴えにくいのもそのためだと思います」

 局側、プロデューサー、タレントそれぞれが抱える問題が解消しない限り収録事故は続く。

悪夢 フジは視聴率連続3冠王のおごりで事故続発か (2010年8月21日ゲンダイネット)

 そろそろ悪夢を思い出してもいいのではないだろうか。

 フジテレビのバラエティー「オレワンスペシャル」の収録で、ケガ人が続出している件だ。

 我が家の杉山裕之が左肩関節脱臼骨折、陣内智則が肋骨(ろっこつ)を負傷、さらにハイキングウォーキングの松田洋昌が肋骨骨折とあり得ない“事故”が続いている。これは明らかに局の問題で、ケガ人が小出しになっているのもまったく解せない

 だが、フジには収録事故の“歴史”がある。93年に大事件になった「ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!」で香港のロックバンドのメンバーが死亡、03年の「とんねるずのみなさんのおかげでした」で葛城ユキの胸椎(きょうつい)脱臼骨折……。イケイケで収録し、被害者もスタッフも局幹部もどんな嫌な思いをしたか。当時のさる関係者は「生きた心地がしなかった。震えが止まらなかった」と述懐したものだ。

タレントは使い捨てだから、何でもやるなんて思っていたら、エラい目に遭うぞ。どう考えても6年連続視聴率3冠王のおごりだ。

思うに収録事故が絶えないのはプロレス技がどんどん過激になっていくのと同じ理屈なんでしょうが、「これらの番組はすべて同じプロデューサーが関わっていた」というのでは局内の人事にも問題が隠されていそうですよね。
そして記事中で出てくるのが買い手市場になっているタレント側の危機感ですけれども、特に昨今ではテレビ局側も経営上の問題もあって、ひたすら安く買いたたけて文句を言わず働くタレントを使うという傾向にあるようですね。
浮き沈みの激しい業界で売る側のタレントも身体を張らざるを得ず大変だということなのでしょうが、これにつけ込んだかのような強引な番組造りが事故多発に結びついているということであれば、他人の弱みにつけ込む彼ら業界人のモラルが問われても仕方がないところでしょう。

モラルと言えばひと頃大変な騒ぎになったNHKの台湾偏向報道問題ですけれども、結局知らぬ存ぜぬで押し通したNHKの中にも骨のある人間はいた様子で、このあたりは結局幹部個々のモラルというものも大きく関わってくる問題なのかなという気がしてきます。
この小林古径英明氏のインタビュー、前半部分も停滞するNHKというものがよく判るなかなか興味深い内容で一度御覧いただければと思いますけれども、本日は台湾偏向報道問題に言及した後半部分から抜粋してみましょう。

【直言NHK】小林英明氏に聞く(下)台湾番組 執行部説明納得できぬ(2010年8月22日産経新聞)

 NHK経営委員を6月に退任した弁護士、小林英明氏(55)は、NHKが昨年4月に放送した日本の台湾統治を描いた番組について「放送法違反ではないか」と経営委の場で執行部にただしていた。しかし、その問題提起はきちんと議論されないまま経営委で立ち消えとなる一方、番組をめぐっては約1万人の集団訴訟がNHKに対して起こされる事態となった。インタビューの後半は番組問題と、経営委のあり方について聞いた。

                   ◇

 平成21年5月26日のNHK経営委。小林氏は4月5日放送の「NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー第1回 アジアの“一等国”」に言及し、番組で使われた「日台戦争」という表現について「歴史的事実がない」と指摘、「放送法違反ではないか」とNHK執行部に問うた。これに対し、日向英実(ひゅうが・ひでみ)理事(放送総局長)は「日本台湾学会の考え方だ」と反論、少数説や異説であることも否定した(別表に主な発言)。

 --執行部の回答に納得したか

 「私が言ったことの方が正しかったのではと思っている。日向理事は『日台戦争』という呼称が日本台湾学会の多数説として使われているという説明をされたと理解し、その後、私なりに文献で調べた。しかし、400人いるという学会員で『日台戦争』を使っているのは2人はいる可能性があるものの、その他は確認できなかった。少なくとも多数説という理解は正しくないというのが、私の研究の結果だった」

 --指摘に対しては「経営委員は個別番組について干渉すべきではない」という批判も起きた

 「放送法第3条は『放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない』と定めている。しかし、経営委員には放送法で執行部の職務執行を監督する義務があり、少なくとも放送法違反の疑いがある場合は『法律に定める権限』で個別番組にも発言できると解釈している。経営委がそれをできないとすると、NHK外部からの圧力や介入を招きかねず、むしろNHKの自律を脅かすことになる」

 --執行部の説明を、経営委は検証できないのか

 「それは議事運営の問題であり、日向理事の答えが正しいのかどうかという問題は議論されず、経営委員が個別番組に発言していいのかという問題も結論が出されなかった。代わりに、小丸成洋(こまる・しげひろ)委員長が記者ブリーフィングで『干渉は自制しなければならない』『(台湾番組に重大な疑義は)ないと思う』と個人的見解を述べただけで終わってしまった」

 「番組に視聴者から多くの疑義が寄せられた場合、これに真摯(しんし)に対応し、十分な説明をしなければ、肝心の受信料義務化について視聴者の理解を得ることも難しくなるだろう」

 --何が問題か

 「委員長交代後の1年半は、経営委は執行部が出した議案をいかに素早く議決するかという機関になっており、合議体としての意思形成ができていない。これを問題と思う委員は、私以外に何人もいた。また、現行法で委員は教育、文化など各分野から選ばれ、放送の知識が十分でない人が多い。重要な経営判断に関与するには、人選のあり方の見直しも必要ではないか」(聞き手 鵜野光博、佐久間修志)

                   ◇

【用語解説】NHKスペシャル・JAPANデビュー問題

 日本による台湾統治を描いた番組に対して、出演者らが「統治の悪い面しか描いていない」「取材で話したことを一方的に都合よく使っている」などと抗議。番組内容に偏向と歪曲(わいきょく)があったとして、視聴者を含む1万人以上がNHKに損害賠償を求め訴訟を起こし、係争中。台湾統治下の暴動を「日台戦争」と表現したり、先住民族が日英博覧会(1910年)に出演した企画を「人間動物園」と表現したことなどが批判されている。

あれだけ大騒ぎになったのに議論すらせずというのも笑える話ですけれども、結局NHK内部には自らに批判的な視点の存在を許容するような空気は存在していないということになるのでしょうか。
先のバラエティーでの事故続出の話に関してもそうですが、毎回毎回同じような問題ばかり繰り返して起こすというのは内部での検証システムに欠陥があるのではないかという疑惑があったところ、ことNHKに関しては検証という行為そのものがろくに存在していないということが明らかになったわけですね。
独立性を楯に放送内容に関して口出しするなというのであれば、放送する側にきちんろ自律のシステムがなければ単なる暴走ですけれども、どうやらNHKという組織ではあらゆる部署がお役所的に事なかれ主義、前例踏襲の場に陥ってしまっているんじゃないかという気配があるようです。

NHKも一報道機関ですから、自身独自のスタンスを持って報道に当たるということは決して悪いことではないでしょうが、同時に公的放送期間として他の民法と比べると一段と高いレベルの意識、あるいはモラルというものを持っていなければならないんじゃないかと思いますね。
別に教育放送ばかり充実させる必要はありませんけれども、NHKが俗悪なバラエティーばかりやってみたり芸能人のゴシップばかり流していたりではやはり何か違うと感じられるのも当たり前で、日本国民の誰にとってもよいものとなるような番組造りが求められているのではないかと思います。
その点から考えるとどうも最近のNHKと言うもの、妙に民放的意識が先走っているのでしょうか、いったい何をやっているんだと言いたくもなるような話が結構あるようなんですが、内部の意識改革というものの必要性が叫ばれてきた中で、それがこういうものなんだと勘違いされて進められているのだとしたら困ったものですよね。

NHKニュースでもトップ扱い…美脚“韓ドル”少女時代(2010年8月26日zakzak)

円高や民主代表選のゴタゴタを差し置いて、NHKが25日午後9時のトップニュースで報じたのは、韓国から上陸した“美脚台風”だった。

 真っ白なショートパンツからスラリと伸びた脚を揃えた19~21歳の9人組「少女時代」はこの日、東京・有明コロシアムで日本デビュー。1日3公演で計2万2000人動員と、デビューイベントでは史上最大規模となった。

 2007年に韓国デビューし、本国はもちろん、タイや台湾、フィリピンでもチャートで1位を獲得したアジアNo.1のガールズグループ。9月8日には日本デビュー曲「GENIE」の発売が控えている。

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2010年8月27日 (金)

続・学術会議がホメオパシー完全否定 助産師会の転向?

本日まずは、ついにキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!という話題から紹介していきましょう。

「ホメオパシー」への対応について(2010年8月26日日本助産師会)

今般、日本学術会議金澤一郎会長は8月24日付けで「ホメオパシー」の治療効果は科学的に明確に否定されており医療従事者が治療に使用することは厳に慎むべき行為という談話を発表されました。日本助産師会はその内容に全面的に賛成します。
 日本助産師会は、山口県で乳児がビタミンK欠乏性出血症により死亡した事例を受け、ホメオパシーのレメディはK2シロップに代わりうるものではないと警告し、全会員に対して、科学的な根拠に基づいた医療を実践するよう、8月10日に勧告を出しておりますが、一昨日出されました日本学術会議の談話を重く受けとめ、会員に対し、助産業務としてホメオパシーを使用しないよう徹底いたします。
 助産師は女性に寄り添い、女性の思いを受容し、援助することが使命ですが、医療現場にあり、命を預かるものとしての責務もございます。私たち助産師の言葉や行動は、女性にとって大きな影響力を持っているということも自覚しております。科学的に否定されているものを助産師が使えば、本来受けるべき通常の医療から遠ざけてしまいかねません。しかるべきタイミングで医療を受けられるようにすることは、助産師の重要な役割です。
 日本助産師会としては、現段階で治療効果が明確に否定されているホメオパシーを、医療に代わる方法として助産師が助産業務として使用したり、すすめたりすることのないよう、支部を通して会員に通知するとともに、機関誌及びホームページに掲載することで、周知徹底いたします。出産をサポートし、母子の健康を守ることができるよう、会をあげて、真摯にこの問題に取り組んでまいりたいと存じます。
 また、現在、分娩を取り扱う開業助産師について、ホメオパシーの使用に関する実態調査をしており、集計がまとまり次第公表いたします。
 なお、妊娠、出産、子育て期にある女性やそのご家族におかれましても、助産師が助産業務においてホメオパシーを使用しないことをご理解いただきたいと存じます。助産師は、皆様にとって不利益のないよう、正確な情報の提供に努めてまいります。

学術会議の談話を受けて、助産師会もホメオパシーは使うなと会員に通達したという話なんですが、これがどんなにいきなりすぎる方針の大転換であるかは、ちょうど今月号の機関誌「助産師」の特集が「産科における代替医療を考える」であることを見ても明らかな話で、現場は大混乱必至でしょうね。

「助産師」
<最新号 64巻3号(2010年8月1日発行)>

特集:「産科における代替医療を考える

特集:「産科における代替医療を考える
補完代替医療とリスクマネジメント・・・大野智
妊娠・分娩・産褥期におけるマイナートラブルに対する鍼灸療法
-助産技術を補完するツボ療法 ・・・矢野忠・安野富美子
マドレボニータの妊婦向けヘルスケアホメオパシー・・・渡辺愛
産科における代替医療を考える・・・早乙女智子

なにしろ全国開業助産師はおろか助産師会そのものがホメオパシーとずぶずぶの関係であるらしいですから、いきなりトップダウンでこんな通達をしたところでどれほど実効性があるものか、今後全国で通達違反が続出してきた場合に助産師会がどういう対応を取るのかと気になるところです。
もっとも、助産師会としてもこの状況で相も変わらず「当会としてはホメオパシーを否定するものではありませんが」なんてことを言っていたのではあまりに空気が読めないということになりますから、一応形ばかりは公式声明を出しておいて後は現場レベルで各自対応をということを考えているのかも知れません。
それでもこうして世間に対して公言してしまったことで、同会内部の勢力関係が今後変わっていく可能性は十分あるわけですから、同会の成り行きにも注目していかなければならないということでしょうね。

さて、本日は予告の通り昨日の話の続きということにしたいと思いますが、昨日紹介しましたところの学術会議のホメオパシー完全否定というコメントについて、個人的に見るところ会見におけるポイントはこんなところじゃないかという気がします。

1.医学的根拠のないホメオパシーを治療として用いるのは危険であり、専門家が使うべきではないと明言(ただし、個人が十分に理解した上で自己責任で使うことは否定せず)

2.代替医療全てを否定するわけではなく、科学的根拠のないことが証明されたホメオパシーを限定して否定(なお、資料にはホメオパシーのビジネス化への言及あり)

3.国民の科学リテラシーを向上させる主体は厚労省の側であり、同省の今後の活動を要望

1.についてはすでにコメディカルともパラメディカルとも言い難くなってきている一部開業助産師はともかくとして(本当はともかくとしてはいけないのでしょうが)、医者の間にもホメオパシー信奉者がいるということにも危機感を抱いただろうことは容易に想像できますが、これについては日医もさることながら医学会が傘下の学会に呼びかけるという話がどこまで実効性を持つかが注目ですよね。
例えば多くの学会がホメオパシー推進派医師は強制退会処分!なんてまずあり得ない対応を取ることまではないでしょうが、少なくとも学会の場で今後「ホメオパシーの奏功した○○の一症例」なんてものを出してくるのは気が引けるでしょうから、トンデモエセ科学が業績になるなんて妙なことは今後減っていくんじゃないかという期待はあるところです。
記事を見ると各社ともこの1.こそ今回のポイントのような報道ぶりですが、むしろ気になったのが個人がちゃんとホメオパシーについて(要するにその無効性を、でしょうが)十分に理解した上で、(単なる砂糖玉として?)自己責任で使うことまでは否定しないということですが、この蛇足的とも言えるコメントが何を意味するのかですよね。

今回ホメオパシー一派は新興宗教とまで断じてしまったわけですが、ホメオパシー医学協会の「教祖様」にしても何白が「発達障害の原因は予防接種である!」なんて公言してしまうようなレベルですから、そのはるか下流にいる一般信者レベルとなればどうなのか想像に難くないところです。
例えば以前からこのホメオパシー問題に警鐘を鳴らしていた「NATROMの日記」さんのところに「夫のアナフィラキシーショックをホメオパシーで治した!(というより、放置した)」という芸能人の非常に素晴らしい?実例が掲載されていますので、是非ご一読いただければと思います(幸いにして件のご主人さん、辛うじて生還されたようですけれども、よい子は絶対まねしちゃいけませんね)。

【参考】アナフィラキシーショックをホメオパシーで治した!スゴイでしょ!(2010年8月19日NATROMの日記)

これなど単なる個人レベルでの無茶無謀と言うべきものですけれども、海外ではもっとすごい世界になっていて、例えばホメオパシーの原理からして予想されたところではありましたがイギリスあたりでは「プルトニウムのメレディ」なんてものも平気で売っていて、何しろ先日もBBCの映像を紹介したようにブリというお国柄だけに保守系メディアでこんな取り上げられ方をされていたりするんですね。

Where in London can one purchase plutonium? In Covent Garden, at the Helios Homeopathy shop.
ロンドンのどこでプルトニウムを買えるだろうか? 答えはCovent Gardenにある"Helios Homeopathy shop"だ。
[Marc Abrahams: "Heavy shopping -- London, for all your plutonium needs" (2009/06/16) on Guardian]

それ以上に怖いのが社会的にこうしたものが蔓延するととんでもない脅威になってくるという実例がすでにあると言うことで、例えばただでさえ昨今アフリカ諸国ではHIV感染が蔓延しているなんてことが大問題になっていますけれども、ご存知のように抗HIV治療薬と言えば高い薬を延々と飲み続けなければならないということで、発展途上国の人々にとってはひどく荷が重いものです。
ひと頃南アフリカなどでも勝手に安価なコピー薬を使ったなんてことから製薬会社との間のトラブルにまで発展したことがありましたけれども、この間隙を縫うように「ホメオパシーでAIDSを治します!」なんて輩が勢力を拡大しつつあるという現実を「忘却からの帰還」さんが紹介していて、これは何とかしなければならないと誰しも思うところですよね。

【参考】「ホメオパス HIV 南アフリカ」(2010年08月22日忘却からの帰還)

結局のところこうした代替医療というものの弊害は二つに分けて考えるべきであって、発展途上国においてまともな医療にお金をかけられない人々に対してこういうものが蔓延していることはやむを得ない事情もあるのは判るのですが、同時に明らかに効果がないものに割安とは言えなけなしのお金をつぎ込むことはどうなのかということです。
その結果本人はもとより家族にどんな悲劇が訪れるか、そしてもちろん間違った治療によって例えば感染症などでは一層その流行が加速されるわけですから、単に個人の問題ではなく社会防衛としても考えなければならない問題だと言えるでしょう。

一方で日本のような先進国においてはそれよりも詐欺商法の類と強く結びついているようなところがあって、高額すぎるこの種の代替医療なるものを見ていくと必ずしも安くはない、むしろあり得ないほどに高いということが健康被害と並ぶ問題でもあるわけです。
これなどもかつて様々な詐欺商法が世の中を賑わせましたけれども、それらがどんな悲劇の数々を産んできたかと思えば、これまた単に「うまい話に騙される奴も悪い」なんてことを言って放置されてよいものではないですよね。
そこで前述の2.の観点に関連して、特にホメオパシーのビジネス化ということが言及されているのだと思うのですが、むしろゴシップ好きなマスコミ諸社にとってはこちらの方が興味を引きやすいテーマなのかなという気もするところです。

効果あるの? イマイチ信用できないもの「マイナスイオン」「パワーストーン」「ホメオパシー」(2010年8月25日ガジェット通信)

本当に効果あるかわからないけど、何故か気休め程度に試したり使ったりしてしまうものってないだろうか? そんな効果あるのか分からない物について、今回アンケートを採ってみたぞ。すると以下の様なアンケート結果が得られた。

ダントツではないが1位は「マイナスイオン」だ。見えないから出てると言われてもわからない。そんな感じなのだろう。そしてお次は「パワーストーン」だ。これも同じく石になんのパワーが秘められているのか科学的に解明されない限り信用できないと言った感じだ。

3位は「飲尿健康法」だ。あの漫画家の、さくらももこが飲尿健康法を実践したというのは有名な話だ。しかし効果がどの程あるのかはわからない。

4位は「携帯電波を増やすシール」これは効果あると言う人もいれば、全くないと言う人もいる。機種によるのだろうか。最近ではあまり見かけなくなったこのシールだが、実際効果はあったのだろうか。

5位は「顔をコロコロする奴(正式名称不明)」。そもそも何の効果があるのかわからない。気持ち良いのかそれともマッサージなのか。

そのた6位以下は「脂肪を燃焼させる飲み物」、「磁気ブレスレットなど(磁気系)」、「ガソリンの燃費が良くなる液体」となっている。どれも効果があるかわからないというより実感が湧かないものが多いようだ。

これに対するコメントは以下の通り。

いまいちどころか一切信用できないものばかりだな
・飲尿健康法やってた叔父は60歳の時に突然ぽっくり逝った。
あきらかに効果がないとわかってるのが結構ある
・パワーストーン。これはほんとに根拠がわからない。
・ホメオパシーは赤ちゃんの生死に関わる話があるのでいまいちどころではないです

と、シビアな意見が多いようだ。もちろんこれらは個人的意見で効果のあるないは各自判断して頂きたい。このほかにも項目になかったもので挙げられるのが、「スポーツ選手が首に巻いてるの」、「ミサンガ」、「ユニセフ」などだった。

実際に効果なくても気休めで効果あるように感じるだけでも良いような気がするのだが。それをいっちゃあ風邪薬だって効果あるかなんてハッキリわからないしね。

1位:マイナスイオン 143 (14.3%)
2位:パワーストーン 125 (12.5%)
3位:飲尿健康法 99 (9.9%)
4位:携帯電波を増やすシール 99 (9.9%)
5位:顔をコロコロする奴 74 (7.4%)
6位:脂肪を燃焼させる飲み物 69 (6.9%)
7位:磁気ブレスレットなど(磁気系) 68 (6.8%)
8位:ガソリンの燃費が良くなる液体 65 (6.5%)
8位:ホメオパシー 51 (5.1%)
10位:高級オーディオケーブル 40 (4%)
11位:花に音楽を聴かせる 35 (3.5%)
12位:暗記法 30 (3%)
13位:コラーゲン 30 (3%)
14位:銀イオン(臭い除去) 21 (2.1%)
15位:DHA(ドコサヘキサエン酸) 19 (1.9%)
16位:ニコチンシール 11 (1.1%)
17位:栄養ドリンク 11 (1.1%)
18位:風邪のときにポカリ 10 (1%)

いまいち信用出来ないもの(コッソリアンケート)

アンケートの結果を見てもホメオパシーの知名度は「いまいち」高くないようですけれども、それでもわざわざタイトルに名前を出してきたあたりに世間の注目度赤丸急上昇中であることをうかがわせますよね。
今後マスコミとしてどこまでこのあたりを突っ込んでいくのかですけれども、ちょうど良いタイミングと言っていいのか、一部方面で御高名な大槻教授が最近あのお方と絡めてオカルト商法相手に喧嘩する気満々になってきているということですから、あのお方もおすすめというパワーストーンあたりとも絡めて今後マスコミに取り上げられる機会が増えていくかも知れません。
いずれにしてもマスコミにしてみれば視聴率なり売り上げなりにつながるものこそ正義なわけですから、心ある一般市民の側にしても高い関心を持続させていくことが彼らの目をホメオパシーに向けさせる大きな原動力になり得るはずなんですよね。

ところでホメオパシー医学協会を始め、どうもこの手のトンデモ系の方々はプラセボ効果を否定しないどころか、プラセボだろうがなんだろうが効けば文句ないだろ?というスタンスのようですけれども、どうも彼らにとっては非常に商売に都合の良い研究というものもあるようなんですね。
有名なイグノーベル賞も受賞したという実証研究があって、カイロプラクティックの院長さん(この方面もまた限りなく…ですが)がわざわざブログに取り上げられていますので引用してみましょう。

安価なプラセボより高価なプラセボの有効性が高い(2008年5月13日ブログ記事)より抜粋

安価なプラセボより高価なプラセボの有効性が高い

〔米ノースカロライナ州ダーラム〕デューク大学(ダーラム)行動経済学のDan Ariely教授は,投与される同種のプラセボでも,10セントの錠剤より2.50ドルの錠剤のほうが鎮痛効果が大きいとする研究結果を JAMA(2008; 299: 1016-1017)に発表した。

パッケージに一工夫必要

 Ariely教授は「薬剤の効果を高めるのは薬剤自体であり,特定の薬剤に対する思い入れではないと医師は考える傾向がある。しかし,実際には患者と医師の間には微妙な相違があるようだ」と指摘している。
 同教授とマサチューセッツ工科大学(MIT,マサチューセッツ州ケンブリッジ)の共同研究者らは,標準的なプロトコルを設定し,82例を対象に2種類のプラセボの効果を検討した。被験者の手首に軽い電気ショックを与え,プラセボ投与前後の疼痛を主観的に評価した。なお,被験者の半数には,投与される錠剤は最近承認されたばかりの1錠2.50ドルの鎮痛薬だと記載されたパンフレットを,残りの半数には10セントに値下げされた鎮痛薬だと記載されたパンフレットを渡し,その理由は明かさなかった。
 その結果,高価な錠剤群では,プラセボ投与後に85%で鎮痛効果が認められたのに対して,安価な錠剤群では61%にとどまった
 同教授は「比較的小規模で単純化された試験だが,得られた知見は多数の大きな問題が存在することを示している」とし,「今回の結果は,患者が持つ薬剤の品質に対する印象と治療効果への期待感に関する既存のデータと一致する」と述べている。さらに,興味深いのは,価格に敏感な患者の期待感と,錠剤がよく効くと伝えられることによるプラセボの相乗効果である。
 同教授は,処方薬を特色のない褐色の瓶に入れて提供するのではなく,よく効くとの暗示が患者に伝わる容器に入れて提供したらどうかと提案しており,また「効果はないという先入観を患者に与えることなく,より安価な薬剤,すなわちジェネリック薬を患者に提供するにはどうすべきか」と問いかけている。
 同教授は「医師は,薬剤に対する自分の思い入れを治療の一部に利用できる。治療効果をより高めるには,例えば,医師が安くても品質に違いはないとの暗示を患者に伝えることである」と述べている。
 今回の研究はMITの助成を受けた。
[Medical Tribune  2008年4月3日(VOL.41 NO.14) p.77]

同院長さんも「一歩間違えれば、あまり効果が高くないものでも、高額にすれば、効く/売れるということにも」と懸念を表明していますけれども、まさにホメオパシーのビジネス化ということを考える際にもこの点が問題であって、単なる砂糖玉でも高く売りつけるほど儲かるのは当然ながら、副次的にプラセボ効果も高まるというのですから、やめられない止まらないとなるのは当たり前ですよね。
このあたりはモノが売っている単なる砂糖玉だけに法的にどんな規制が可能なのかは判りませんけれども、当然その主体となっていくのは規制を行う側である国の責務であるはずだという点で、今回学術会議からボールを預けられた形の厚労省らが今後どう動くのかということが冒頭の3.のポイントにつながってくるわけですが、ここで昨日も紹介しました朝日新聞の記事に長妻厚労相の短いコメントが紹介されていました部分をもう一度振り返ってみましょう。

ホメオパシー 日本医師会・医学会、学術会議に賛同(2010年8月25日朝日新聞)より抜粋

 長妻昭厚生労働相はこの日、患者を通常医療から遠ざけることになる恐れに対し「本人の意思に反して、病院に行かないようなことがあれば問題」と発言。省内で議論し、必要があれば調査に乗り出す意向を明らかにした。

一見読み流してしまいそうなありきたりなコメントのようにも見えますけれども、よく見ますとあくまで「本人の意志に反してということがあるなら」問題だと、どこかの協会の「全ては本人の自由意志による選択の結果」なんて主張と合わせて考えた場合に、なかなか含みのある発言とも受け取れますよね。
朝日の記事がどこまで長妻大臣の発言を正確に反映しているのかははっきりしませんけれども、この件と関連してホメオパシー検証のための研究班を立ち上げるというニュースがありますので先に紹介しておきましょう。

厚労相、ホメオパシー効果調べる 研究班組織へ(2010年8月25日47ニュース)

 長妻昭厚生労働相は25日、日本学術会議の金沢一郎会長が「ホメオパシー」と呼ばれる代替医療の効果を否定する談話を発表したことを受け「本当に効果があるのかないのか、厚労省で研究していく」と述べた。視察先の横浜市内で記者団に語った。

 同省は医学者らによる研究班を組織し、近くホメオパシーを含む代替医療に関するデータ集めを始める。

 ホメオパシーは植物や動物、鉱物などを希釈した水を染み込ませた砂糖玉を飲む療法だが、24日に出された会長談話は「(これに頼ることで)確実で有効な治療を受ける機会を逸する可能性がある」と警告した。推進団体は談話に反発している。

「効果があることは確認できなかった」なんて素人目によくわからないレポートを出すのであれば意味がないですから、公金を使ってやるのであればきっちり白黒つけるようにしてもらいたいところですが、ここでも深読みすれば学術会議が「荒唐無稽」「科学的に明確に否定されている」とまでケチョンケチョンに言い切ったホメオパシーについて、未だに効果がある可能性も否定していないかのようにも受け取れるコメントです。
長妻氏本人のスタンスは未だはっきりしませんけれども、ホメオパシーを始め代替医療をもっと取り入れようよなんて言い出した宇宙人総理が辞めた後でも、政府の側にはこういうものを推進したいという一派も残っているということなのか、あるいは元々推進派だった人間が今後どこまで政策に関わり合ってくるのかにも注目しておかなければならないでしょう。
最後の本丸とも言うべき厚労省自体のスタンスも気になりますが、この四月に開かれた厚労省の統合医療プロジェクトチームの第2回会合では、「統合医療に対する厚生労働省の取組について」という資料を出していまして、とりわけ中国政府の国策との関わり合い!で東洋医学というものの検証を真っ先に重視しているようですけれども、その中にもこんな一般論としても通じる文章があります。

5.将来展望。

西洋医学と東洋医学はパラダイムが異なっており、異なっているからこそ存在の意義がある。
国民の健康増進、疾病予防、疾病治療において統合医療の視点(パラダイム)は不可欠である。しかし、「不可欠」といくら唱えても科学的根拠がなければ、ある種の宗教信奉者と変わるところがない
科学的根拠の確立は複雑系の解明であり、容易ではないが、着実に進展させなければならない
また、統合医療を支える生薬資源の問題にも十分に配慮する必要がある。
統合医療に名を借りた商品があまた出回っているが、西洋医学の範疇に入らないとの理由でこれを放置しておけば、健康被害や重大な疾病の早期発見・早期治療の機会を逃す危険性を孕んでいる
国民の健康増進、疾病予防、疾病治療の中に統合医療をどの様に適切に位置づけるか、これは一つの文化論である。国民との十分な対話が求められる

西洋医学という表現がこの場合適切なのかどうかは判りませんが、いわゆる現代の標準的な医療というものに対する反発というものが国民の間に根強くあるというのは一面の事実であって、そこに代替医療がつけ込んでくる隙があったとも言えるわけですが、それでも「科学的根拠がなければ、ある種の宗教信奉者と変わるところがない」のもまた事実ですよね。
そして「西洋医学の範疇に入らないとの理由でこれを放置しておけば、健康被害や重大な疾病の早期発見・早期治療の機会を逃す危険性を孕んでいる」わけですから、単に効果がはっきりしないから当面放置しておこうでは駄目で、白黒をつけた上で無効なものは積極的に排除していかなければ国や厚労省も責任を問われても仕方がないということでしょう。
ボールを投げられた側の厚労省が今後どこまでやる気を見せられるのかが、自らここまで言っているわけですから、学術会議のみならず国民の等しく注目するところであるという自覚を持って仕事に当たってもらいたいと思いますね。

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2010年8月26日 (木)

「荒唐無稽」学術会議がホメオパシー完全否定 日医も全面的同意を表明

昨日から一斉にこういうニュースが出ていまして、すでに御覧になった方も多いんじゃないかと思います。
むしろここまで出さなかった方がおかしいとも言える内容ですが、権威筋が「全面否定」という形ではっきりと公式声明を出したのは悪いことではありませんし、世間的にもこの「異例の談話」の意味をくみ取っていかなければならないところでしょう。

ホメオパシー、学術会議が否定=「根拠なく荒唐無稽」と談話(2010年8月24日時事通信)

 日本学術会議は24日、最近広まっているとされる療法「ホメオパシー」について、「科学的に明確に否定されている。治療に使用することは厳に慎むべき行為」との金沢一郎会長(皇室医務主管)名の談話を発表した。
 ホメオパシーは、健康な人間に投与するとある症状を引き起こす物質を患者にごく少量投与することにより、似た症状の病気を治すという療法。植物や鉱物などを入れてかくはんした水を極めて薄く希釈、砂糖の玉に染み込ませて与えるなどする。
 国内では、医療関係者の間でも一部で使用が広がっているとされる。中には、頭蓋(ずがい)内出血防止に有効なビタミンK2シロップの代わりとしてホメオパシー治療を受けた乳児が死亡し、親と助産師の間で訴訟に発展したケースもある。
 談話は、ホメオパシーについて「科学的根拠がなく、荒唐無稽(むけい)。今のうちに排除しなければ、『自然に近い安全で有効な治療』という誤解が広がり、深刻な事態に陥ることが懸念される」としている。 

ホメオパシーは「荒唐無稽」 学術会議が全面否定談話(2010年8月25日朝日新聞)

 通常の医療とは異なる民間療法「ホメオパシー」について、日本学術会議(会長=金沢一郎東大名誉教授)は24日、「科学的な根拠は明確に否定され、荒唐無稽(こうとうむけい)」とし、医療従事者が治療で使わないよう求める会長談話を発表した。山口市の女児ら死亡例が出たことを重視。通常医療から患者を遠ざける懸念があるとして、一般に広まる前に、医療現場から排除する必要があると判断した。科学者の代表機関が、特定の療法を否定するのは極めて異例だ。

 金沢会長が会見で発表した。日本医師会や日本歯科医師会、日本獣医師会など6団体も談話に賛同し、会員に周知する方針だ。厚生労働省は、普及団体について、医師法や薬事法などの観点から注目し、情報収集を始めた。

 会長談話では「ホメオパシーが医療関係者の間で急速に広がり、養成学校までできていることに強い戸惑いを感じる」とした上で、「治療効果は明確に否定されている」と指摘した。さらに「今のうちに、医療現場から排除されないと『自然に近い安全で有効な治療』という誤解が広がり、深刻な事態に陥ることが懸念される」として、医療関係者が治療に使うことは厳に慎むよう呼びかけた。一方で、「十分理解した上で、自身のために使用することは個人の自由」としている。

 学術会議の唐木英明副会長は「(ホメオパシー治療で使うのは)『ただの水』で『副作用はない』のはもちろんだが、科学的に全否定されているものを医療従事者が使えば、患者を通常の医療から遠ざけかねず危険だ。『ホメオパシーは効かない』というメッセージを伝えることが重要と考えた」と説明した。

 日本学術会議は、約84万人の科学者の代表として選ばれた210人の会員と、約2千人の連携会員からなる日本の「頭脳集団」。政府に対する政策提言や社会への啓発などを行う。

 皇室医務主管で神経内科医の金沢会長や、東大名誉教授(毒性学)の唐木副会長らが約1年半前から、この問題を議論してきたという。今年に入り、ホメオパシーを受けている人の中で通常の医療を拒否して、死亡したり症状が悪化したりした疑いの濃い例が相次いで表面化した。

 山口地裁では5月、新生児が一般に投与されるビタミンKを与えられず死亡したとして、ビタミンK投与の代わりにホメオパシー療法を行った助産師を相手取り損害賠償を求める裁判も起きている。こうしたことを受けて、学術会議では急きょ、会長談話を出すことを決めた。

 談話の根拠として、2005年に英医学誌ランセットで発表された治療上の効果はないとする論文などを重視した。「物質が存在した記憶を水が持っている」などの主張も荒唐無稽だと指摘。英国下院科学技術委員会が出した科学的根拠がないとする勧告や、英国医学会が出した「ホメオパシーは魔術」という宣言も参考にした。

 国内では主に1990年代後半から、日本ホメオパシー医学協会など複数の団体が実践、普及を進めている。同協会は、この療法を指導、指示するホメオパシー療法家の養成学校を北海道から沖縄まで全国7カ所に設置している。利用者数など詳しい実態は分からないが、食品添加物や農薬など化学物質を避けようという「自然派」志向の女性らの間で広がっている。雑誌などで「効果」をPRする著名なタレントや歌手、俳優もいる。治療に導入している大学病院もある。医学協会は、計20以上の診療所や歯科医院、動物病院と提携している。(岡崎明子、長野剛)

    ◇

 会長談話について、日本ホメオパシー医学協会は「ホメオパシーの治癒効果は世界中で広く認められている。きちんと調査することもなく、荒唐無稽と断定する極めて非科学的な態度にあきれている。世界的にも普及しており、日本学術会議の見解、認識は世界の情勢と著しく乖離(かいり)している」などとするコメントを寄せた。

    ◇

 〈ホメオパシー療法〉植物や昆虫、鉱物などの成分を限りなく薄めた水にして砂糖玉に染み込ませた「レメディー」を、飲み薬のようにして使う民間療法。がんや皮膚病、精神疾患などほぼすべての病気を治療できる、と普及団体は主張している。

 欧州では200年の歴史があり、一部の国では公的医療保険も適用されてきた。しかし、治療上の効果はないとする研究が相次いで発表された。ドイツでは2004年から保険適用をやめた。


ホメオパシー 日本医師会・医学会、学術会議に賛同(2010年8月25日朝日新聞)

 日本学術会議(会長=金沢一郎東大名誉教授)が、通常の医療とは異なる民間療法「ホメオパシー」の科学的根拠を全面否定する会長談話を出したのを受け、日本医師会と日本医学会が25日、共同会見を開き、賛同する考えを表明した。治療でこの療法を使わないよう、会員らに周知徹底する考えも示した。他にも賛同する団体が相次ぎ、医療現場で排除しようという動きが広がりつつある

 会見には、日本医師会の原中勝征会長と日本医学会の高久史麿会長が出席。原中会長は「ホメオパシーが新興宗教のように広がった場合、非常に多くの問題が生じるという危機感を持っている」と、賛同の理由を話した。医師会の見解は、ウェブサイトに掲載し、会員への周知を図る。

 高久会長は「この療法に頼り、通常医療を受けずに亡くなった人も出ている。学会として全面的に学術会議の会長談話を支持する」と述べた。日本医学会には108の学会が加盟している。山口市で、ホメオパシーを実践する助産師が女児にビタミンK2を与えずに死亡したとして訴訟になっていることを受け、助産師が加入する日本看護学会にも個別に賛同を呼びかけるという。

 この日までに、日本獣医師会と日本獣医学会、日本薬理学会も賛同を表明。日本歯科医師会と日本歯科医学会も、26日に正式表明する予定で、賛同は計7団体に上る。

 また、ホメオパシーを実践していた東京都内の病院が、ウェブサイトから該当ページを削除する動きも出ている。

 長妻昭厚生労働相はこの日、患者を通常医療から遠ざけることになる恐れに対し「本人の意思に反して、病院に行かないようなことがあれば問題」と発言。省内で議論し、必要があれば調査に乗り出す意向を明らかにした。(岡崎明子)

ホメオパシーに関する学術会議談話に「全面賛成」―日医と日本医学会(2010年8月25日CBニュース)

 日本医師会の原中勝征会長と日本医学会の高久史麿会長は8月25日、東京都内で記者会見し、日本学術会議の金澤一郎会長が24日に発表した「ホメオパシー」に関する談話の内容に全面的に賛成するとの見解を発表した。

 ホメオパシーは、植物や動物、鉱物などを水で希釈して得た水を含ませた砂糖玉「レメディー」を用いる代替療法。同会議の会長談話では、「ホメオパシーの治療効果は科学的に明確に否定されている」として、医療関係者が治療に使用することは認められないと強調。ホメオパシーに頼ることで、「確実で有効な治療を受ける機会を逸する可能性がある」との懸念を示している。

 高久会長は会見で、「学術会議の唐木(英明)副会長から、ホメオパシーの問題について医学会でも検討してほしいとの申し出があった」と説明。これを受け、医学会に加盟する76の臨床系学会で会議を開き、「ホメオパシーは科学的根拠がない医療であることで一致した」という。また、ホメオパシーのみの治療によって死者が出たとの報道や同会議からの要請により、日医と共同で見解を出すことになった。

 原中会長は「全く根拠のないことが広がって、1つの新興宗教的な感覚で広がることに対する危機感を持たざるを得ない」との懸念を示した上で、「国民の皆様に警告として早くお話しておかないといけないだろう(と思った)。『これさえ飲めば治る』ということが蔓延して、病気が進行してしまう」と述べた。
 高久会長は「普通の治療とホメオパシーを併用しているところと、ホメオパシーだけをしているグループがある」と指摘。ホメオパシーのみでは治療効果がなく、「生命にかかわる問題が起こる」と述べた

 ホメオパシーを活用する会員がいた場合への対応を問われた原中会長は、「犯罪にならないような問題でも、医学的におかしいような行為をしていることに関しては、きちんと注意を与える医師会になっていこうと思う」と述べ、自浄作用を持つ必要性を強調した。
 原中会長はまた、長妻昭厚生労働相が25日、ホメオパシーなどの効果について厚労省内で研究する方針を示したことについて、「その動向、結論を興味深く見守りたいと思う」と述べた。

ちなみに実際の学術会議から発表されたコメントは日医獣医師会のHPで公表され、それぞれ「全面的に賛成(日医)」「賛意を表する(獣医師会)」という両会のコメントが付記されています。
会見で日医の原中会長が「新興宗教」という言葉を使ったことからも伺われるように、「科学的に明確に否定され、荒唐無稽」なものが「自然に近い安全で有効な治療」などと国民に誤解されてしまうことに対する強い危機感がにじみ出た内容で、無効であるでもなく有効でないでもなく「使うな」という明確なメッセージとして発信されたことは非常に意味があることだと思いますね。
この背景には「自然に近い」云々を旗印にホメオパシーにも傾倒してきた助産師グループの存在が念頭にあるだろうことは想像できるところで、例えば先日の死亡事故を受けて助産師会筋から出たコメントも何らホメオパシーを否定しないどころか、「山口の問題で、K2のレメディーを使うのは、自重せざるを得ない」などと、まるで「残念だがしばらくは大人しくしないと仕方がない」とも受け取れるようなものだったわけですよね。
今後医学会からも助産師会に働きかけるということですから経過を見守るとして、今回ホメオパシーに対して学術会議の方のスタンスがどういうものか、朝日新聞の記事から会見の様子を引用してみると判りやすいかと思いますが、一言で言えば「一刀両断」ということになるのでしょうか。

「ホメオパシー」についての日本学術会議会長談話の記者会見(2010年8月25日朝日新聞)より抜粋

 記者との懇談会という形で開かれた。前半は、勧告「総合的な科学・技術政策の確立による科学・技術研究の持続的振興に向けて」について。後半が、会長談話「ホメオパシー」について行われた。
(略)
唐木 一番大事なところは、たぶん会長談話の一番最後の3行になります。ホメオパシーの治療効果は科学的に明確に否定されています。それを「効果がある」と称して治療に使用することは厳に慎むべき行為です。このことを多くの方にぜひご理解いただきたいと思います――というのが、一番大事なところだと思います。
(略)
記者2 朝日新聞の岡崎と申します。2点ありますが、まず1点、なぜこのような会長談話をいまのタイミングで出されたのか、その背景について教えてください。

金沢 あの、これはですね、学術会議っていうのの役割と関係があるんですけどね、いくつか役割があるわけですが、たとえば政策提言ですとか、そのなかの一つに「科学リテラシーの向上」というのがあるんですよね。まあちょっと、リテラシーという言葉が適切ではないかもしれないけれども、国民のみなさんが科学に対してもっている力っていうかね、それを向上させた方がいいと。科学をもっときちんと理解していただくのがいいと。そういう役割があるんですね。そういう意味でですね、たとえばサイエンスカフェだとか、サイエンスアゴラだとか、いろいろやってはいるんですけどね。そうはいうものの、ものを申さなければならない場面というのがあるわけですよ。たとえば、これはいい例かどうかわかりませんけれども、当時の委員だった唐木先生がまとめられたんですが、BSEに対するまとめとか、最近まとめた遺伝子改変作物のまとめなどがあるわけですね。そういう科学を無視してくださらないでちゃんと理解してください、ということを言い続ける義務があるわけです。学術会議にはですね。

 その一環として、いろいろなものを見ていくんです、常に。そのなかの一つにホメオパシーがありました。えー、ところがですね、ご存じのように事件が起こった。で、これは放置するわけにはいかないと思って出したわけです。もちろん決着がついていない、ということはよく知っています。しかし、さきほど最後の3行が読まれましたけれども、やはり医療関係者がこれをすすめるというのは非常に問題がある、ということであります。

記者2 2点目の質問なんですが、この談話を出すだけでなく、たとえば実態調査なり、または厚労省への働きかけとか、学術会議として何かアクションをすることは。

金沢 わかります。大変わかるのですが、あの、談話を出すことがファーストステップだと思います。さきほど「科学リテラシーの向上」といいましたが、誰が向上するのかというとそれは厚労省の方なんで、向上してもらいたい。直接自分で聞いたわけではないですが、厚生労働大臣がなにか口走ったことがあるようで、それはやはり、向こうで考えてもらわないといけない。名指しをする必要はないでしょう。わざわざ反発を招く必要はない。むしろ理解してくださるのが本来の形ではないかと。
(略)
記者4 先生の眼から見ると科学的ではないものが、一方では日本でも世界でも多くの方に、まあ日本ではそれほど多くないと思いますが、世界で一定の影響力をもっているということは、どういう背景があるのだと、いま認識されていらっしゃるのか。

金沢 それは難しい質問ですね。社会学的な考察が必要かもしれませんね。ハーネマンがこういうのを考えついた背景には、当時は本当に西洋医学というものがほとんどない時代ですから、当然といえば当然かもしれないが。いったん、しかし、西洋医学がこういうものを排除した歴史はあるんですよね。最初ゼロからこういうものがスタートして育ってきている、というわけではない。いったんこれはしずまっているんですよ。それがまた盛り返してきている、というように見えるのがたぶん大事なポイントなんだろうと思います。

 それは、反省すべき点がないとはいえない。西洋医学が、患者さんたちに、苦しい思いをしている方々に、どういうアプローチをしてきたかということは、確かに問題になるかもしれません。ただそのこととですね、いいですか、そのことと、科学的に否定されていることだっていいではないか、ということは別物です。ここはあなた方には区別してもらわなければならない。科学を無視してはいけない。そういうことです。あえてここには入れておりませんが、そのほかの替わりになるいろいろなものがありますよね。それをあえて入れていないのはですね、必ずしもみんな、科学的に否定されているものではないからです。これはちょっと余計なことを言ったかもしれないけれども、科学的に否定されたものを、信じさせてはいけません。そういうことです。

記者5 日本ホメオパシー医学協会の「ホメオパシックジャーナル」をやっています。あの、今回…

金沢 議論はしませんよ。

記者5 議論ではなく、調査というのは、どのぐらいホメオパシーについてされたのでしょうか。具体的に、調査が世界中のホメオパシーについて。これを見ると、あまり深く調査されていないような。

金沢 これ見てください。

記者5 あの、、、

唐木 科学の世界では、ホメオパシーは100%否定されています。それで十分だろうと思います。

記者5 調査はどのぐらいされたのかを教えていただきたい。

唐木 調査って、何をおっしゃっているのですか?

記者5 ホメオパシーに関する。

唐木 ホメオパシーの何ですか。ホメオパシーの有効性ですか。

記者5 有効性かどうかわかりませんが、実態がどのようになっているのかという点と、あとホメオパシーが現在問題になっているといいますが、問題になっていることが事実なのかどうか、事実になっているかわかっていないものをあげられていますけども。そのへんについてどのようにお考えになっているのでしょうか。

唐木 会長がさきほどご説明されたように、科学でないものを治療と称して使うことは、適切ではない。というのが、われわれの見解です。

最後に当事者が登場して盛り上がるかと思えば歯牙にもかけずで終わったのが気の毒なような気もしますけれども(苦笑)、記者レベルで見てもこの人たちはこの調子なんだなと言うことがよく判ったという点では、大勢の一般紙記者達の目の前でいい実例を提示していただいた形になりましたかね。
ただこの一連の騒動に関して振り返ってみると、あやしい「新興宗教」で死人まで出て専門家集団が緊急声明を発表するなんていう、マスコミ的にこれほどおいしいネタはないという状況なのにも関わらず、どうも記事検索などをかけてみても今ひとつ食いつきが悪いようでほぼスルーしているところも多いですよね。
一部?のマスコミと言えば今までさんざんホメオパシーで儲けてきたところも多いでしょうから、過去のしがらみからもおいそれと批判に転じにくいという事情もあるのでしょうが、ジャーナリズムとしてそれでいいのかどうかはまた議論の対象となるところでしょう。

とは言え、一応日医や獣医師会といった各医療方面での統括団体(日医の求心力が云々はこの際別な話として)がこうして公式に「使うなよお前ら」と会員に示してしまったわけですから、一部のホメオパシー愛用派の医師らが今後どうしていくのか、あるいはお産絡みで開業助産師と産科医との関係がどうなのかといった問題が派生していくことが予想されますよね。
実際にすでに一部病院でホメオパシー関連の記述をHPから抹殺する動きも出てきているようで、これに対して当然ながらと言いますか、ホメオパシー推進派の側でも反論の声が上がっていますけれども、いつものホメオパシー医学協会のHPには未だ近日公開の告知だけしか出ていません(こうして告知だけでも即座に出してきたあたりが、彼らの関心あるいは危機感の高さを示しているのでしょう)。
というわけで今のところ同協会からのコメントとしては前述の記事にもありますように、「欧米の実績ですでに十分立証されている」といった従来の主張の繰り返ししかありませんけれども、同協会に対立する立場である日本ホメオパシー振興会系列のハーネマンアカデミー学長である永松昌泰氏が公式ブログでこんなコメントを公表しています。

日本学術会議の会長の談話(2010年8月25日永松学長のひとりごと)

突然、降って湧いたように、
日本学術会議の会長の談話が発表されました。

http://www.asahi.com/national/update/0824/TKY201008240373.html

「ホメオパシーは『荒唐無稽』 学術会議が全面否定談話」
談話内容にも、また、その異様に強い調子も、驚きでした。

記事にもあるように、
「日本学術会議が特定の療法を否定するのは極めて異例」です。
(実際には会長談話ですが)

日本学術会議会長といえば、
敬愛する朝永振一郎先生、伏見康治先生、
また、直接お会いしたことはありませんが、
近藤次郎先生、吉川弘之先生、と
錚々たる素晴らしい科学者が、
歴代の会長を務めてこられました。

ガリレオ、ニュートン、アインシュタイン、ニールス・ボーア、ハイゼンベルグ、
湯川秀樹、朝永振一郎・・・
という科学者の輝かしい系譜。

未知に対する畏敬の念を常に忘れないのが、第一級の科学者だと思います。

科学は、「未知」を一つ一つ「既知」に変えていく、粘り強い試みですから。
科学は、「系の限定」から始まるのですから。
科学は、「測定可能」なものしか対象にできないのですから。
科学は、もともと広大無辺な森羅万象の、
ごく一部だけを相手にしたものに過ぎないのですから。

金澤一郎会長が、どのような方なのか、
ご経歴以上のことは、よくは存じ上げません。
もちろんご経歴は、
大変ご立派な、非の打ちどころがない方でいらっしゃいます。
おそらく人格的にも素晴らしい方なのだと拝察します。

ただ、談話の内容を拝見いたしますと、
ホメオパシーについてもさることながら、
科学の本質、科学的態度という観点からも、
深刻な疑問を抱かざるをえません

単に、ホメオパシーを前近代的な遺物としてとらえ、
「科学の無視」「荒唐無稽」という
極めて強い調子で、ホメオパシーを全否定なさっています。
そこまで自信をお持ちになってお書きになられる根拠は、
それほど磐石なものでしょうか?
金澤会長は、ホメオパシーについて、
どこまで本当にご存知なのでしょうか?

残念ながら、書かれている内容で、
なるほど!と、首肯できるところは、
今のところ、私にはありません

当振興会では、
「本来のホメオパシーとは何か」
という根本的問題をまず明らかにすることを急務と考えていますので、
この談話についての正式なコメントは、
まだ先になりますが、
ホメオパシーの科学性については、
「本来のホメオパシーとは何か」をHP上に掲載した後、
既に予告していますように、
じっくりとブログに掲載しますので、
当面の間は、それをもって
今回の日本学術会議 金澤一郎会長の談話に対する、
「準コメント」とさせていただきます。

まあ、失礼ながら治療として行われている何かが有効かどうかを判定するという点からすると、ホメオパシーであれ何であれその深遠なる理論(笑)を熟知する必要など全くないわけで(刃物が切れるかどうかを比較検討するのに、その製法の秘伝を知る必要はないですよね?)、ホメオパシー医学協会を始めこうした方々の「彼らはホメオパシーを知らない」云々は全く的外れも良いところだと思いますけれどもね。
永松氏としては要するに今のところ系統だった反論もないのでじっくり考えますということなんですが、こうして見ますと今回の学術会議の談話というもの、個別にあれはどうだ、これはこうだと例を挙げてのものでもないだけに、実は意外に反論するにもとっかかりがないという意味ではやっかいなんだろうなとは思いますね。
ちなみに今後の素晴らしい反論が期待される永松氏の主張する「本来のホメオパシー」なるものがどのようなものなのか、以前にホメオパシーに傾倒する琉球大理学部の大瀧丈二氏(松本丈二の名の方が有名かも知れませんが)との対談が素晴らしい内容でしたので引用させていただきましょう(しかし相手をする松本氏の方も相当に電波濃いめで、見てるだけでくらくらしますけれどもね…)。

琉球大学理学部・大瀧丈二氏によるホメオパシーについての見解(2010年8月11日kikulog)より抜粋
【ホメオパシーと科学性】セミナーの対談を視聴しましたが、相変わらずの現代医学否定です。

松永氏の話の内容

・現代医学は例えば実際には存在しない(?)「糖尿病」を枠として捉えてしまって個々の患者を診ていない
・薬剤師さんの証言として数十万人から100万人の例を知っているけれど病院の薬で治ったと思える人は一人もおらず新たにどんどん重い病に罹っていく
・ホメオパシーには空理空論は一切存在しない
・分子が一つも残されていないことを理由に否定する科学教に取り憑かれた人達の狭量な愚かさ
統計は抽象であり条件を操作すればどんな結果でも導き出せる曖昧なものなので迂闊に信じてはいけない
・実験の再現性というのは実験する人の技量の問題があるので無意味
真の科学者である松本先生などはちゃんとこれらを知っている。


松本先生の話 

統計はトリックであり、ある一面しか示していない。特に生物学の場合はどういう視点で何を計るかが違うとガラッと変わるので科学者は統計に固執しない
・統計は"お化粧"であり自分の論を尤もらしく正当化するためのもので、それがサイエンスというもの
統計で差異がが出なくて否定されても、その研究者が何か違いがあると思うのならば、そこにはやはり何か違いがある
・統計はあくまでも、その研究者の主観や感性を反映させる為に使うもので、実際にそういう風にしか使えない

はい「真の科学者」認定出ましたね~…(苦笑)というところですが、しかし松本先生もこのレベルでよく学位取れましたねと別な意味では感心します(まあ、粗造な学位も多いですが…)。
個人的見解を言わせていただくなら、一応は学術的体裁を保とうと形を取り繕おうとしている気配のあるホメオパシー医学協会よりも、こちらの方が電波濃いめなだけ真面目に相手にするのも疲れるのかなという印象ですが、それでは無視すればいいだけかとはならないのがこの手の問題の難しいところですよね。
たとえば「日刊カルト新聞」などでも先日以来のホメオパシー医学協会の反論にいちいち突っ込んでいて笑わせていただいたのですが、逆にいえば一応科学を装う同協会の方にはソースをつけて突っ込みを入れる余地もあるということで、「それでもホメオパシーの効果は実在する!」一辺倒で押してこられた場合には神がいないことの立証が難しいのと同様、ホメオパシーも「効果は実証できない」としか言えないともなりかねません。
となると、とりあえず今回の学術会議の出してきた談話を受けて世間がどう動くべきかという部分が重要になってくるわけですが、いささか長くなったので明日以降に続けさせていただこうと思います。

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2010年8月25日 (水)

ちょっとそれはどうなのよという小ネタ

近頃では日本も観光立国を目指すということで、とりわけ近隣の東アジア諸国から顧客を呼び込もうとビザの発給緩和など色々とやっているところですが、その甲斐あってか実際に人的交流は大幅に促進されてきているようですね。

日中韓の交流人口2600万に 09年の倍増、観光相会合(2010年8月22日47ニュース)

 【杭州共同】中国で開かれている第5回日中韓観光担当相会合は22日、2015年に3カ国を相互に訪問する旅行者数(交流人口)を2600万人にするとの目標を盛り込んだ共同声明を発表した。

 目標は09年実績1350万人の約2倍。観光を成長戦略の柱に据える日本には追い風で、文化や医療など新しい観光商品の開発にも弾みがつきそう。前原誠司国土交通相は「3国のきずなの強化につながる」と成果を強調した。

 日中韓の交流人口は、国際的な景気後退や新型インフルエンザなどの影響で08年、09年は減少しているが、10年には第1回会合(06年)で決めた1700万人の目標が達成される見通しとして、新たな目標を定めた。

 共同声明は目標達成のため、観光プロモーションの協力を進め東アジアの旅行市場を拡大することを明記。具体策では、景勝地の紹介や広報宣伝での交流や協力に加え、医療やスポーツ、映画、アニメ、飲食などを観光資源として開発し利用することなどを挙げた。

 また大規模な自然災害や感染症の流行などが観光に必要以上の影響を与えるのを避けるため、3国で情報を共有することも盛り込んだ。

実際のところ中国なども昨今海外進出してくる富裕層が多いですし、日本からでも下手に国内観光地に行くより韓国あたりで遊んできた方が安いなんてことになっているようですから、当分この拡大基調の流れが続くということになるのでしょう。
最近は国を挙げてその推進に動いているという医療ツーリズムなどもこの延長線上にある話ですが、こちらも観光庁を旗振り役にして盛んに顧客を呼び込もうと頑張っているようです。

観光庁、訪日医療観光の推進 病院・開業医受け入れ体制強化(2010年7月27日産経ビズ)

 観光庁は26日、日本で医療サービスを受けるために訪れる外国人を増やすため、受け入れに意欲的な国内の医療機関や個人の開業医を対象に、支援を強化する方針を明らかにした。技術が高度で、価格競争力のある医療分野のほか、通訳を必要とせずに意思疎通が図れる医療サービスに関する情報を海外に向けて発信していき、訪日外国人の増加につなげるのが狙いだ。

 観光庁は、アジアなどの富裕層を対象に日本の医療機関を紹介するとともに、観光スポットについてもPRしていく考えだ。具体的には、海外で現地の旅行代理店と日本の医療機関による商談の場を設定、現地のニーズに適した医療サービスと観光をセットにして提案できる態勢の構築に取り組む。今年度は、先行事例の収集や市場調査、情報交換の場づくりなどに取り組む方針だ。

 「(医療と観光を掛け合わせた)医療観光はアジアでは大きな市場になっている。成長分野である医療と観光が連携をとってマーケットを拡大していくことは、まさに成長戦略の重要な柱だ」。観光庁の溝畑宏長官はこの日開かれた研究会で、医療観光に寄せる期待を、こうを語った。

 政府は新成長戦略で、2020年に医療観光分野で、アジアトップ水準の評価と地位を獲得する目標を掲げている。タイは既に約140万人の患者を受け入れ、市場規模は08年に約1920億円になっているという。

 同庁は、19年の訪日医療観光客数の目安を111万人と想定している。この日同庁で開かれた研究会では、旅行業関係者から「現在受け入れているのは大手だけで年間100人程度。実現はほど遠い」と政府の安易な見通しを批判する場面もあった。

 研究会ではこのほかに、「プロモーションを効果的に行うため、海外の富裕層が医療観光についてどのように情報収集しているのか分析する必要がある」との指摘も出た。

 旅行会社を想定したコーディネーターの育成や医療の専門用語を操る通訳の確保といった課題も洗い出された。(米沢文)

ま、今のところお役所仕事だけにあまりに甘すぎる見通しという気がしないでもありませんけれども、ひとたび民間で商売になると認識されれば今の時代ですから、案外とんとん拍子に規模の拡大が達成されてしまうのかも知れませんね。

この医療ツーリズムというもの、限りある医療資源を国外顧客に取られるだとか金持ち外国人が優先されるよになるとか、各方面から否定的な批判の声も出ているようですけれども、保険診療頼りの限界が指摘されている現在、やる気と元気のある一部医療機関にとっては大きなビジネスチャンスではありますよね。
タイなどもすでにこれだけの患者を受け入れているということですから、それならば日本でもと二匹目のドジョウをと狙いたくなる心境は理解できるし、実際にそれなりの需要もあるようですから商業的な成功を見込めると判断されればやればいいという話なんですが、当然無用の誤解から前述のような批判を呼ばないような配慮も必要だろうということです。
その意味で旗振り役の政府や実施担当の医療機関はもちろん、国民に対する直接的な広報役であるマスコミの役割というものも非常に重要になってくるわけですが、そこで先日出ていましたこちら毎日の記事を紹介してみましょう。

余録:観光医療(2010年8月17日毎日新聞)

 香港で、ベトナムからの密入境者が増えて問題になっている。いったん中国の広東省に潜入し、さらにコンテナトラックの荷台の底に隠れて香港に入ってくるのである▲普通の密境者はトラックを出るとすぐに街に姿を消すが、ベトナム人密境者はコンテナヤードをうろついて、警備員に見つかるのを待つ。警官に引き渡されると素直に密境を認め、「私は伝染病にかかっている。医療刑務所に収容してもらいたい」と申告する▲警察もよく心得ていて、パトカーではなく救急車で移送するそうだ。ほとんどが重症のエイズ患者なのだ。高額な医療費を払えない貧しい人の窮余の策だが、観光と医療を組み合わせたメディカルツーリズムの変形といえないこともない▲香港政府の統計によると、今年4月までに摘発された密入境のベトナム人は105人。昨年は年間447人だった。評判を聞いてアフリカ系の患者もやってくるようになったというから、政府の負担もばかにならない▲密境者は蛇頭と呼ばれるブローカーに日本円で数万円の代金を支払う。蛇頭といえば、かつては日本へ出稼ぎに来る中国人を密航させてもうけていた。いまはベトナムの貧しい病人がお客だ。ますます商売があこぎになった▲もっとも、ちゃんとしたメディカルツーリズムは観光業の世界的な流れ。とりわけシンガポールなどアジアの国々は、中国人の富裕層をねらった戦略だ。ホテルのような病室の豪華さを競うだけでなく、言葉の壁や生活習慣の違いによる文化摩擦を取り除くことが成功のカギらしい。この点、日本はまだメディカルツーリズムは後発国だ。

なるほど、毎日新聞的には貧しい人の密入国はメディカルルーリズムの変形であると…って、幾らなんでも変形しすぎだわ!と思わず突っ込みを入れたのは自分だけではないと思いますね。
この記事、医療ツーリズムと密入国とをこうして並べて取り上げることで、医療ツーリズムでやってくる外国人=潜在的犯罪者というイメージを植え付けようという戦略かとも受け取れる話ですけれども、下手すると国を上げて取り組んでいる一大事業がポシャるどころか、国際問題にもなりかねないとんでもない話ですよね。
医療ツーリズムというものをこういう理解で受け止めている人間がいるという点では一つの教訓にはなる記事ですが、そういうレベルの人間がこうして全国紙に記事と称する妄言を垂れ流し「文化摩擦を取り除くことが成功のカギ」などとおっしゃるというのはどうなのかだし、相変わらず毎日は斜め上方向に外してるなあと改めて思い知らされる一文ではありました。

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2010年8月24日 (火)

スキルアップは誰のため?

先日記事として出ていたのがこちらのニュースですが、見る人間によってずいぶんと解釈の余地のありそうな調査結果ですよね。

県内、通院中の転院4割も 医師の対応など理由 /熊本(2010年08月16日熊本日日新聞)

 地域流通経済研究所(熊本市)がまとめた県内での医療機関利用者の満足度調査によると、病気やけがの治療中に医療機関を替えた経験のある人は約4割に上った。理由のトップは「医師の応対(話し方や態度)」で、同研究所は「医師のコミュニケーション能力は“集客”を左右する経営上の課題」と指摘している

 調査は6月に実施。県内の肥後銀行営業店で調査用紙を配り、1069人が答えた。回答率35・6%。

 通院中に不満を感じ、医療機関を変更した経験のある人は41・3%。理由(複数回答)で最も多かったのは「医師の応対」の20・7%。「看護師の応対」の5・1%、「受付などスタッフの応対」の3・9%を上回った

 2位は「医師の診断や治療のレベル」で15・6%。「待ち時間が長い」は13・8%で、3位だった。

 医療機関を選択する情報源(同)のトップは「知人や通院患者の評判」の70・4%。「医療サービスを評価した情報」の38・6%、「医療機関に勤める友人、知人」の38・3%と続いた。「医療機関のホームページ」も25・1%と、利用する人が目立った。

 同研究所は「医療機関には医師のコミュニケーションを補う仕組みが求められる。患者に支持されるにはインターネットの活用も欠かせない」とみている。(田川里美)

通院先変更:4割が経験 対話不足が不信へ 医師の応対に不満…20.7% /熊本(2010年8月18日毎日新聞)

 ◇医療機関側に改善点も--民間研究所

 約4割の人が通院先の病院を変更した経験を持っていることが、肥後銀行系のシンクタンク、地域流通経済研究所の調査で分かった。替えた理由で最も多かったのは医師の対応に対する不満で、同研究所は「医師の多忙は理解できるが、日ごろから患者と対話して不満や要望を拾っていくことが重要。医療機関側にもコミュニケーション不足を補う仕組みづくりが求められている」と指摘している

 県内在住の20歳以上の男女3000人を対象に6月、アンケートを配布し、郵送で回答を得た。回答率は35・6%。病院を変更した経験のある人は41・3%で、男女別では女性が44・4%、男性が37・4%と女性の割合が多かった。年代別では30代が50%、40代が45・6%と高かった

 病院変更の理由は(1)医師の応対(説明する際の話し方や態度)20・7%(2)医師の診断や治療のレベル15・6%(3)待ち時間が長い13・8%--の順。上位2項目から、患者と医師とのコミュニケーションに問題があって、治療に不満や不信が生まれている様子がうかがえる

 医療機関への要望は、「他の医療機関と連携し、適切な紹介をしてほしい」が最も多かった。次いで「総合的に相談できる医療機関にかかりたい」「健康診断などで病気の予防をしたい」「家族の病気を相談できる窓口があれば利用したい」。

 同研究所は「医療機関側に改善できる点が多々あることが分かった。それらを怠ると、患者を失うという経営上の問題になる可能性もある」としている。【笠井光俊】

病院を変更した患者が4割というのはまあそんなところだろうなと思いますが、興味深いのは調査を行った地域流通経済研究所のコメントで、「医師のコミュニケーション能力は“集客”を左右する経営上の課題」で「日ごろから患者と対話して不満や要望を拾っていくことが重要」という総括になっていることですよね。
この前提になっているのが「患者を失うという経営上の問題になる」という認識ですけれども、それでは全国でこれだけ医者が忙しいと言い、世間でも三時間待ちの三分診療などと言われるくらいに顧客には不自由していないにも関わらず、そうした病院のほとんどが慢性的な赤字に悩まされ廃業の危機にさらされているのは何故なのかと考えなければならないでしょうね。
基本的に現代日本の保険診療は医療機関に薄利多売を強要していますが、多くの病院がこれ以上顧客は受けられないというほどキャパシティー一杯まで患者がやってきている、それでも経営は一向に上向かないとなれば、そこで求められる経営努力とは果たして顧客を増やすということなのかということです。

同研究所も認めるように全国の医者は忙しい、とりわけ実質年俸制のサラリーマンである勤務医とすれば仕事を楽にするほど生産効率が上がるわけですから、むしろいかにして不良顧客に居着かれないようにするかということが重要ですし、病院としても個々の医者の働きの総和が収入になっている以上、同じ利益を上げるのにより手間がかからない患者を優先し、その逆の患者を切り捨てていくことが経営戦略上重要であるということですよね。
例えば定額払いのDPC病院ともあれば特に「いかにコストを減らすか」で始終スタッフの尻を叩かなければならないわけですが、とりわけ昨今では経営者側にも「1%の不良顧客への対応が10%のリソースを消費し、0.1%の利益にしかならない」という認識が滲透してきていますから、よほどの粒クリででもない限り本当にどこの施設でも放浪客の手放しは極めていいです。
早い話が一時間かけて一人の顧客の理解を得るよりも、十分で済む患者を六人受けた方がよほど稼ぎにつながるわけですから、経営上の問題を云々するなら集客だけでなく利益がどうなのかと考えなければならないのは当然で、同研究所としては顧客とのコミュニケーション能力を向上させることがどう経営上のメリットにつながるのかも示さなければ有益な調査とは言えないですよね。

経営上の問題はともかくとしても、もちろん患者にしても医者とは仲良く出来ればその方が気分がいいでしょうし、実のところ医者にとっても患者と仲良く出来るならその方がいいというのも事実です(猫の手も借りたいほど多忙な時に、クレーマー対応なぞさせられた日にはどれほどストレスが溜まるか、客商売の経験があれば誰でも判りますよね?)。
どちらとも良好な関係が結べる相手ならそれを続けたいと考えているのは同じで、その実現方法として患者は相性の良い医者に出会うまで医療機関を流離い、医者の側はどれだけ優良顧客を増やしそうでない顧客を減らすかに各人なりの工夫を重ねるわけで、結局お互い手段は異なれど目指すところは同じではあるわけですよね。
となれば、お互いに共通するストレス軽減法として「自分に合わないと感じた相手とはさっさとおさらばする」という大原則が成立しそうに思うのですが、前述の地域流通経済研究所を始めとして世間ではこの逆を主張する人が意外なほど多くいて、患者と医者の双方を一生懸命不幸にしようと努力しているように見えるのは困ったことだと思います。

いったいお互いにストレスをため込まず快適に過ごせる関係というのはどんなものなのか、各人各様の感じ方、考え方もあるだろうし、中には「オレは今までいい医者なんて会ったことがない!」と断言できてしまうような困ったちゃんもいるかも知れませんが、かくあるべし論もさることながら現実を見なければどうしようもないというのは、とりわけ余裕のない医療現場には当てはまる話です。
例えばむっつりと無口な患者に「この人は機嫌が悪いのかな」といつも以上に懇切丁寧な顧客対応を心がけていると突然切れてしまった、なんてことが時折見られますけれども、この顧客の側にすると多忙で要点だけをさっさと伝えて手早く終わらせて欲しいと思っていたのに、だらだらぐだぐだとどうでもいいことばかり喋られていつも以上に長くかかってしまった、不愉快だと言う気持ちだったのかも知れませんよね。
もちろん全ての施設で相手を見ながらフレキシブルに対応を変えられる熟練したスタッフばかり揃っていれば一番いいのでしょうが、多忙な医療現場ではほとんどの場合は考える余裕もなくルーチン的対応にならざるを得ないとなれば、腰を据えて医者とゆっくり話したいのなら野戦病院でなく、最初からゆっくり話が出来るような病院を選ぶというくらいの分別は顧客の側にも求められるだろうと言うことです。

上質なくつろぎの空間を求めている時に早くて安いが売りの吉野屋に入っても仕方がないし、行列の出来る多忙な店でラーメン一杯で三時間居座ってだべっていたなんてことは犯罪的行為だと誰でも理解できるはずですが、何故か医療機関にやってくる人の中にはこういう極端に空気の読めない人がそこそこいるようなんですよね。
例えば風邪の流行期にそれらしい症状で病院に行った、長い長い行列待ちの末にようやく診察室に入った、医者は症状から処方を見繕って悪ければまた来てくださいねと診察を終わろうとした、ところがここから「実は先日の検診でこんなこと書かれてたんですが、これどういう意味なんですかね?」なんて話に持って行こうとする人間もいるわけです。
もちろんこれが例えば癌なりが見つかって入院した患者で、病棟の面談室に家族一同と医者らスタッフがそろって集まってじっくり話をしよう、ところん相談して治療方針を決めていこうという時であれば、自分の人生観を一から語り出してみるのもありだと思うのですが、外で行列待ちをしている苦しそうな人たちが大勢いる中でそういう空気を読まない行動に出るのはどうなのかです。

逆に医者の側にとって患者側との良好な関係を結ぶとはどういうことなのか、それぞれの勤務状況などによっても大きく変わると思いますけれども、とりあえずほとんどの医者が同意するだろうと思えることに、理解が悪い患者というのはどうも塩梅がよろしくないということは言えるんじゃないかと思いますね。
医者もその方面の専門家で特に職人タイプの人間も多い業界ですから、今日は満足のいく良い仕事をしたという充足感が得られる顧客には大概気分が良くなるものですけれども、逆に一生懸命懇切丁寧な説明をして「さあ、あなたはどうしますか?」と尋ねても「いやあ、自分ら素人なんでわからんから、先生が決めてくれ」では医者ならずともガックリなのは当然ですよね。
ちょうどロハス・メディカルさんで担当医についての患者側のコメントを掲載していて、慢性疾患ばかりで少し一般化しかねる部分もありますけれども、これを見ても顧客満足度が高いのは顧客の話をしっかり聞き、無理目な要求も受け入れてくれる、「話していて気分の良い」医者であるという傾向が見て取れるようで、専門家としての意見と素人である顧客の要求との間にどう折り合いをつけられるかも一つのポイントとなるのでしょうかね。

患者の本音 主治医と仲良しですか?(2010年8月18日ロハス・メディカル)より抜粋

 ロハス・メディカル誌9月号には、創刊丸5年を記念した特別企画として、日本慢性疾患セルフマネジメント協会のご協力のもと、患者さん50人に普段医療者には言えない本音を教えていただくアンケートを実施し、その回答を掲載しています(P16~19)。質問項目の中に「主治医と仲良しですか」というのがあり、その自由記述が非常に面白かったので、患者さんの個人情報は一切削除したうえで全員分をご紹介します。(川口恭)

・主治医と10年以上の付き合いになるので頼りにしています。 また、メールでいつでも質問に応じてくれる先生がいて、どんなことにもまた週末でも、メールで答えてくれるのですごく助かっています。
(略)
・何でも話せる主治医です。診察時間が短いので聞きたいことはメモにして行ったり、言いたいことは言ってきます

・意外と何でも話せる。先生の考えていることと自分の考えていることに違いがあっても、自分の考えていることを伝えられる。そういう雰囲気を先生も出してくださるからでしょうが、病気に関することばかりでなく、いろんな話をしている。
(略)
・私の性格上、言いたいことは言うし、聞きたいことも聞くので、主治医も何でも話してくれるし色んなことを質問してくれます。ときには、親子喧嘩みたいにもなったりしますが、大抵主治医が折れてくれます。私の年齢と、主治医の子供の年齢と近いせいもあって、私の主治医は(過去の主治医含め)いつも父親みたいになってしまいますが、それもまぁいいかな~とは思います。
(略)
・治療法(病気を良くすると言う意味で)がない病気ですから、あくまでも、私の意見を尊重して、過ごしやすくするためアドバイスをくれること。(もちろんコントロールが、そこそこの条件ですが)。合併症や、他の病気など、先生でわかることの検査を、しっかりWATCHしてくれてる所。患者がすべき所、先生が支えてくれる所、住み分けが、凄く心地いいので、お互い認め合いながら、受診できる所。だから、その他の生活や趣味などの話も、気軽にできるようになりました。

・初めて大学病院に行った日から20年以上のつきあい、主治医が地方病院に転勤し、その後開業してからも、3時間以上の通院時間をものともせず、" 追っかけ"をしている。誠実、公平、冷静、患者の利益・負担を優先に考えてくれる、丁寧な説明、手先が器用(縫合がアート!)、こちらの複合的な病状や性格も熟知しておられること、勉強熱心、......病気になってよかったと思える出来事の一つに、主治医との出会いがあり、目下の悩みは、もし悪化し大学病院に入院が必要になった場合に診てもらえなくなること。主治医に看取ってもらいたかったのに......。
(略)
・気さくな先生なので、いろいろ質問すると楽しそうに教えてくれます。 リンパ節が腫れていて、心配ですと言ったところ、「いや、大丈夫だよ」と模型を使って説明してくれました。「次は8月の終わりかな? 薬の飲み方上手だから頑張ってね!」と受診の目安とほめ言葉をくれるので励みになります
(略)
・私の主治医は、自分の気分で患者やスタッフを振り回さないので、長く通院すればするほど、すごくいい先生だなぁと思う。

・自分では仲良しだと思っているのですが、仲良しかどうかは、相手方の先生にも聞いてみないとわかりません。仲良しの秘訣は、主治医を信頼すること、そして、主治医にはっきりと症状を伝えるなど患者側も努力することだと思います。
(略)
・主治医が私の自主性を尊重して接してくれるのでありがたいです。一時的にコントロールが悪くなっても、私の自己分析や改善アイディアに耳を傾け、アドバイスを下さるので、プレッシャーを感じず前向きにやっていく力になります。
(略)
・診療科によって、微妙に、医師・患者間の距離が異なります。 A先生の場合、病院の食堂で昼食を取っていたら、偶然目の前に、先ほどまで診察していただいていた先生がお盆を持って座られて、「あらーー!!」「今日は、昼食の時間がとれて、良かったですね~」などという会話がありました。廊下でぱったり出会って、話し込んだこともありました。C先生とは、そういえば院内で出会ったことは、一度もありませんでした。しかし、 治療方針の希望を話して、怒らせてしまったが、先生がこちらの希望に添ってくださったこと、先生と本気でけんかしてしまったことなどがあったためか、初診時より無表情だった先生の顔の表情や口調が少しずつほぐれてきて、よく笑うようになりました。よく、医師との相性が大切と言いますが、その判断はとても難しいと思いました。C先生の第一印象は、パソコンを見ているだけで無表情と、決していいものではありませんでした。しかし、一定以上の期間お付き合いしていると、他の先生以上に患者の状態に関心を示すこと、コミュニケーションは不器用だけれども非常に熱心な診療姿勢であることが、強く伝わってくるようになりました。
(略)
・昨年、転院をしました。理由は病院の治療方針と医師に対する違和感からでした。転院してよかったと思います。

もちろん昨今話題のホメオパシーなどのように、明らかにそれは違うだろうと言うものは医者も責任上譲れないものがあるでしょうが、逆に何でもかんでも俺の言うことを聞け!では余計な摩擦を招くのも当然ですから、ちゃんと診療契約を結べるようなまともな患者相手であれば専門家だからとごり押し一方ではなく引くべきところは引く、譲れるところは譲るということもトラブル回避の上で重要だということでしょうね。
そういう顧客との駆け引きのスキルを世間では客あしらいと言いますけれども、特に一般外来に初診で来るような患者の多くは放っておいても大過ない上に二度と顔を見ないような方々であるだけに、このあたりのスキルを磨いておくことは顧客満足度向上より何より医者自身のストレスを軽減させる意味で大切なことではないかと思います。
医者が気分良く働けるくらいであれば当然患者にもそれは伝わりますから、「あの先生はなんとなく余裕がありそうだ」「なにか頼りになりそうだ」という信頼感につながっていく、そういう名医フィルターというものは最良のプラセボであることは臨床家なら誰でも知っていることですから、治療奏効率を引き上げる一番簡単な方法でもあるということですね。

患者とのコミュニケーションスキルを引き上げることが医者にとってどういうメリットがあるのかを明確にしないことには、「顧客満足度の向上のためにこれからは患者様とお呼びしましょう」の二番煎じでしかないわけですし、何より「それなら俺も一つ腕を磨いてやるか」という医者のスキルアップへのモチベーションにもつながらないということでしょう。
そして「むむ、こいつ結構努力しているな」と感じさせる医者には患者側からもそれはいいことだとメッセージを発信していくことが、多忙なあまり殺伐としがちな医療現場においてもお互い気持ちよく過ごすためのコツになるんじゃないかと思いますね。

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2010年8月23日 (月)

何をどう騒いだところで今後も高齢者は増える一方であるわけです

先日は医療費が七年連続で過去最高を更新したという景気の良い?ニュースが出ていましたけれども、御覧になりましたでしょうか?

09年度医療費、35.3兆円=7年連続で過去最高を更新-厚労省(2010年8月16日時事ドットコム)

 厚生労働省は16日、2009年度の医療費動向調査の結果を発表した。医療保険と公費から支払われた概算医療費は前年度比3.5%(約1兆2000億円)増の35兆3000億円となり、7年連続で過去最高を更新した。高齢化の進展に加え、医療技術の高度化が医療費膨張の要因となっている。
 70歳以上の高齢者医療費は4.6%増の15兆5000億円となり、全体の44.0%を占めた。この構成比率は統計を取り始めた2000年度(37.7%)から上昇を続けている

医療費増加は高齢者医療費が膨らんだことがその第一の原因であり、特に70歳以上の医療費に半分近くが投入されていると言われれば、年寄りを何とかしなければならないんだなと誰しも感じるところでしょうが、こうして見ると今や高齢者問題というのは誰かによって、すっかり社会のお荷物的ポジションに祭り上げられているのかなという印象は受けるところです。
逆に高齢者の側からすると俺たちは身体も悪い、長年働いてお国にも貢献しているんだから、その配当をこれから要求して何が悪いと考えるのも無理からぬところで、この高齢者の医療あるいは社会保障問題というものは今やちょっと手を加えるだけで、世代間対立を煽りやすい格好の道具にはなっているということですよね。
そうして煽りたい人間が誰かいるのか、あるいはそれで利益を受けるのが誰なのかと言うことにも興味は尽きませんが、逆にお年寄りが増える一方の時代なのに世代間で喧嘩してても仕方ないんじゃない?なんてことは、マスコミ諸社を初め誰も言わないですよね。

さて、先日以来この高齢者医療の話も何度か取り上げていて、いきなり後期高齢者医療を廃止して国保に組み込みというのは無茶なんじゃないかとか、高齢者ばかりでなく金を出す側の意見は無視していいのかとか、いろいろとやるべきことはあるだろうという指摘は各方面からも出ているところです。
そんな中で厚労省らの側では着々と話を進めているということで、この調子で現場を無視してやっていたのでは、またぞろ実施段階になって大騒ぎになるんじゃないかと今から心配になるところですよね。

後期高齢者医療制度の見直し案を了承 都道府県なお反発(2010年8月20日産経新聞)

 長妻昭厚生労働相の諮問機関「高齢者医療制度改革会議」は20日、75歳以上が対象の「後期高齢者医療制度」廃止後の新制度に関する中間報告を大筋了承した。ただ、運営主体を委ねられることになる都道府県は反発し、保険料計算などシステム設計のための検討会への出席を拒否。年末の最終取りまとめまで調整は難航しそうだ。

 中間報告では、後期高齢者医療制度の加入者1400万人のうち8割を国民健康保険(国保)に移行し、残る2割にあたる会社員とその扶養家族は企業の健康保険組合などに加入させる。市町村単位で運営される国保の財政基盤を強化するため、高齢者に限って都道府県単位に移管させ、将来は全年齢を対象に都道府県単位の運営を目指すとした。

 出席者の大勢は「国保を広域化しないと破綻(はたん)する」として中間報告に賛成したが、財政責任を負わねばならない全国知事会は「短期間の議論で結論が出せるものではない」と批判し、全年齢を対象に都道府県単位で運営するとした部分を削除するよう求めた

実際に国保の財政基盤が弱すぎるというのは今に始まった話でもなく、特にこういう不景気の時代では失業者や高齢者といった非生産人口が軒並み国保に回っていっているわけですから、いずれにしても少なくとも都道府県レベルくらいには拡大しておかなければ地域格差も馬鹿にできないことになってきそうですよね。
しかしそれは国保の抱える長年の課題と言うべきものであって、後期高齢者医療の抱き込みをさせるために国保の運営基盤を拡大するというのは目的と手段を入れ替えた話ではありますよね。
最近はどうも省内でもあまり良い立場にいないんじゃないかとか、先日は首を切ったはずの社保庁長官が復活していたりと何やら影響力低下が傍目にも見え隠れする長妻大臣ですけれども、万一にも自分の基盤を固めるために後期高齢者医療制度廃止という果実をもぎ取ることだけを優先しているのだとしたらどうなのよという話です。

そんな中でちょうど先日のテレビに出演したという長妻厚労相が、今後の福祉行政の行く末について語っているですが、ここで例として取り上げられているスウェーデンと日本との目先の税制や福祉の違いだけでなく、これだけ金をむしり取られているはずの現役世代の側から、高齢者に金使いすぎだ!なんて声があまり聞こえてこないことにも留意ください。

目指すは「高福祉・高負担」か「低・低」か「中・中」か―長妻厚労相に迫った(2010年8月19日J-CASTテレビウォッチ)

   きのうに続く玉川徹ディレクターの「安心と税金」特集は、再びスウェーデンを例に長妻厚労相に迫った。

   スウェーデン在住50年という田中久(88)、信子(78)=年齢は1年半前当時=夫妻の例。年金制度は日本と違って全国民がひとつのシステム。スウェーデンに住んで税金を払っていれば、だれでも同じ。たとえ納入が滞っていても、最低の年金・給付が保障されている

   年金月額は平均で男22万5000円、女14万1000円だ。夫妻はゆったりとした住宅に住み、「これが平均だ」と言う。信子さんの診療所通いを追うと、地下鉄のターミナルの4階が診療所。1回が約1500円だが、負担の上限が1万2000円と決まっていて、それを超えるとすべて無料だ。

   医師は当たり前のようにこう言う。

    「医療レベルは高い。病院による格差もありえない。30分以上待ったりもない。あったら、どれも大問題になる」

   田中さんも「金持ちでも貧乏人でも権利は同じ」と言う。

税金7割のスウェーデン年金暮らし

   介護の現場も日本とはずいぶん違う。早朝、ヘルパーが高齢者用の専用住宅に住む92歳の女性を訪ね、朝食を作って薬を飲ませる。住宅は質素なダイニング・キッチンと寝室、広々としたリビング。介護の基本は在宅なので、この住宅事情が支えだ。

無駄排除だけでは無理では?

ヘルパーは1日に6回訪れる。緊急用のブザーが手首に付けてあって、いつでもヘルパーを呼べる。女性は「子どもと住もうとは思わない。迷惑をかけたくない。彼らには自分の人生があるから」と言う。

   とにかく、日本とは違い過ぎて、絶句するばかり。日本で高齢者に「何が不安か」を聞くと、年金35%、医療22%、介護13%となる。制度を信用しきれない。だから自らの備えで貯蓄が多くなる。スウェーデンにはこの不安がほとんどない。これが「収入の7割税金」の結果だ。

長妻「選択する時期に来ている」

   玉川は長妻大臣に「日本はどこを目指しているのか」と聞いた。低福祉・低負担のアメリカ、高・高のスウェーデンとの間に、中・中のフランス。日本の現状はフランスよりちょっと低負担という位置だ。

   長沼は少子高齢化がいかに急速に進んでいるかを図で示した。以前は年金は1人の受給者を5人の現役で支えていたが、いま3人になり、2050年には1人になる

   「いまのままの小さな政府で乗り切るのは難しい。税制の改革をやらないといけない」と長妻は言う

   玉川「税がどう使われているかに疑問がある」

   長妻「ムダをなくすこと。これを実感すれば、増税も理解してもらえるはず」

   キャスターの赤江珠緒「民主党としては、高福祉高負担を目指すのか」

   長妻「家族のほころびはあるが、まだ機能している。家族でできないものは社会がやることに徐々になっていくだろう

   玉川が朝日新聞の調査結果を示した。大きな政府58%、小さな政府32%。「国民はわかっている。高負担になっていくんだろうなと」

   長妻「どういう社会を了解してもらえるか、国のあり方を選択する時期に来ている。与野党で議論していきたい」

   赤江「税金の無駄遣いをなくすのは当然だが、これだけでは無理では?」

   長妻「高齢化で毎年社会保障の自然増が1兆円あり、無駄遣い削減だけでは無理だ。政府がきちんと使っていると理解されないといけない」

   長妻大臣は来週の月曜日にも出演するという。この話はまだ続く。

この話、高齢者の医療問題とはすなわち高齢者の介護問題であり福祉問題であるということが示されていて興味深いなと思うのですが、ここで長妻氏自身の口から語られているのが少子高齢化の時代にあって高齢者の世話を家族だけでやるのは難しい、徐々に社会的に負担していく形になっていくだろうという予測です。
現実問題として日本のような大きな社会でスウェーデン式の高税率、高福祉をと言ってもなかなか無理があるだろうし、高齢者は家族と離れて勝手に暮らすのが当たり前という彼の地で必要とされるような水準のサービスが直ちに日本でも必要とされるのかどうかという疑問はありますが、逆に高齢者の介護なり医療なりがそれだけ産業規模として大きくなってくれば、現役世代の雇用先としても決して無視できないものになってきますよね。
その意味で高齢者は決して無駄に消費するだけの存在ではないし、民主党の言うところの医療・介護を牽引役にした経済成長論というものも、こうした国民の需要にこたえる形で自然に達成されていくなら望ましいところなのでしょうが、その実現を目指す上で目を引いた最近の記事を二つばかり紹介しておきましょう。

介護で仕事を断念 70%近く(2010年8月15日NHKニュース)

家族の介護をきっかけに仕事を辞めたり、転職したりした人の70%近くが、同じ職場で働き続けたいと希望していたものの、「介護との両立ができない」などとして断念していたことが厚生労働省の調査でわかりました。

この調査は、厚生労働省が民間の調査会社に委託して行ったもので、家族を介護している全国の30歳から64歳までの男女3676人から回答を得ました。
この中で、介護をきっかけに退職した人と転職した人に、同じ職場で働き続けたかったかどうかを尋ねたところ、「そう思う」、「どちらかというとそう思う」があわせて69%に上りました。
また、仕事をしながら介護をしている人に、仕事と介護が両立できているかどうか、聞いたところ、「できている」は46%で、54%は「できていない」と答え、このうち、「仕事も介護もおろそかになっている」という人が12%いました。

そして、「両立に必要な支援」は何か、複数回答で聞いたところ、「介護に関する情報の普及啓発」が48%、「緊急時に施設に短期間入所できるショートステイの拡大」が45%、「精神面の負担軽減のための相談の充実」が41%、「出社や退社の時刻を自分の都合で変えることができる仕組み」が31%でした。

この調査の検討会の座長を務めた東京大学社会科学研究所の佐藤博樹教授は「介護の必要性を上司や会社に言いにくい状況があり、企業もすぐに把握できない難しさがある。
介護に直面したときに相談しやすくすることが大切で企業は、社会のさまざまな支援サービスと組み合わせて情報提供することが大事だ」と話しています。

ニュース争論:人口減にどう向き合う 駒村康平氏/松谷明彦氏(2010年8月21日毎日新聞)より抜粋

 05年を境に日本は人口減少に向かい始めた。長期にわたる出生率の低迷で、若い世代の人口が減る一方、高齢者は激増していくという特徴を持つ。少子・人口減社会にどう向き合っていくべきか。立場の異なるお二人と考えた。【立会人・山崎友記子】
(略)
 ◇制度改革の是非

 立会人 なぜ少子化対策は必要だと思いますか。

 駒村 今の社会保障制度は、年金も医療も介護も、世代間の仕送り方式をとっているため、支え手の人数で、どの程度の規模の社会保障ができるかが決まる。支え手の数が急速に減れば、よほどのペースで保険料や税金を上げていくか、給付を引き下げなければもたない。社会保障制度を少子高齢化でも維持できるように変えていく必要はあるが、今のように極端に低い出生率が少しでも上がれば、人口構造の変化のスピードを抑えることができるし、その間に制度を切り替える時間も確保できる。特に超長期の財政の仕組みになっている年金制度は、まだ手遅れではない。

 松谷 出生率を多少上げても、人口構造の変化のスピードを抑えることはできない。これからの少子化は、出生率ではなく子どもを産む女性の数の急速な減少が原因だからだ。あと40~50年で、出産期にあたる25~39歳の女性人口は6割近く減る。出生率向上で対応できるレベルではない。加えて(年金などを)払う方ともらう方の割合が、今世紀の中ごろには5対5になる。高齢者対策の多くを、若い世代からの所得移転で賄うという考え方そのものが成り立たないと考えるべきだ。若い人の負担が重くなりすぎる。

 立会人 ではどうすればいいのでしょう?

 松谷 発想の転換が必要だ。所得移転で高齢者を支援するのではなく、高齢者の生活コストを引き下げ、もっとストック(蓄え)を活用するといった方向。公共賃貸住宅に力を入れるべきだろう。住まいが確保されることは高齢者にとって最大の安心だし、生活費も安く抑えられる。いま一つは、やはり賃金水準の向上だ。賃金水準が上がれば、若い人に負担を求めやすく、社会保障政策の自由度も増す。そのためにも企業の競争力を向上させる政策が望まれる。

 駒村 もちろん、社会保障以外でも工夫はいるが、財源が必要だ。低賃金は事実だが、経済成長がなければ賃金を上げることは難しく、人口減少社会で成長が高まるとは期待できない。社会保障の決定的な代替方法が見つからない中では、今のレベルは維持できないとしても、社会保障は国民生活の最後のとりでであるべきだと思う。

 ◇社会の責任範囲

 立会人 人口減社会を乗り切るにはどうすればいいのでしょう。

 駒村 あるところで年金の話をしたら、年配者から「2020年がどうなろうと、おれの知ったことではない。年金はともかく1円も下げるな」とか「子どもにお金を回すなら高齢者に回せ」という発言があった。有権者が高齢化すればこうした声はますます大きくなるのではないか。社会保障が世代間の助け合いのシステムだと理解しない人が増えている。人口減少はすべての世代にとってのコストだ。いかに若い世代と高齢の世代でコストを分担するかが重要。高齢化が進む前に分担のルール作りをすべきだ。

 松谷 人口減少は大きな環境変化だ。社会保障制度に限らず、現在の社会制度のかなりの部分が機能不全となるだろう。働く人の比率が上昇していた時と異なり、社会が個人の問題を解決する能力は大きく低下する。日本はこれからどんな社会を目指すのか、どこまでが個人で、どこからを社会の責任とするのか、まずその議論が必要だ。

 ■聞いて一言
 ◇若年層に光を

 少子化の流れは変わりそうにない。14歳以下の人口割合は、65歳以上を下回り、今後も下がり続けていく。高齢者の声が強くなれば、少子化対策の優先順位を高めていくことは難しいかもしれない。

 しかし、少数派の若年層が高齢者を支えていく仕組みが大きく変わらないのであれば、少数派に光が当たる政策をもう少し検討してもいいのではないだろうか。あるいは、世代間の仕送りには頼らないまったく新しい解決策をあみ出して、社会保障の仕組みを大胆に変えることはできないだろうか。人口減少社会への対応策の検討は、もう後回しできない段階にきている。(山崎)

日本の社会保障システムが大きく変わっていかなければどうしようもないと言う点について、総論として何となくコンセンサスはあるとしても具体論となるとこれだけ揉めるということの背景に、一つには例えば現役世代vs高齢者といった形で、日本ではともすると対立的構図として語られがちな事が背景にあるかと思いますね。
スウェーデンなども税金が高いということで高福祉高負担もほどほどにという政策への反対意見ももちろんあるのでしょうが、少なくとも年寄りが俺たちの金を使い潰しやがって!なんて声は今のところ聞こえてきたことがないのは、ある程度そうした政策が歴史を重ねて昔の人間もこれからの人間も基本的に同じような社会で生きているという永続性の実感があるからなのでしょう。
翻って日本では国民皆保険が導入され医療が誰にでもありふれたものになったのもたかだか半世紀、そして高齢者と言われる世代と言えば言うまでもなく先の世界大戦などで社会福祉どころではない国の大転換の時代を経験しているわけですし、若年者にとってはやれバブル崩壊だ、底なしの不景気だ、はたまた年金破綻だ、医療崩壊だと、これまた永続性などとはほど遠いという実感が骨身にしみているわけです。

こういう激変の日本という国にあって非常に面白いなと思うのは、今のようにほとんどの人間が病院で亡くなる時代になっても、こと介護に関しては家の中で看取っていた時代そのままの感覚が結構残っていたりするということですよね。
例えば日本もつい数十年前までは医者にかかるのは臨終の時だけで、お年寄りの息が止まってから村唯一の先生を呼びにいっていたなんて時代がありましたが、いつの間にか全くこれが逆転してかかりつけの近所の有床診療所なんかで看取っちゃ駄目だ、大きな県立病院にでも入れなければ親戚が納得しないなんて話になっているわけです。
親をまともな病院で死なせなければ下手すると見殺しにした、親不孝だと後ろ指さされるが、一方で親を施設に入れると人でなしででもあるかのように非難されるというのはダブスタとしか言いようがないと思うのですが、何やら親の面倒を見ないのは良くないことのような感覚だけが中途半端に残っているのも高齢者問題をややこしくしている一因だと思いますね。

いずれにしても今の時代高齢者が貧しいなんて簡単に言えるものではなく、むしろワープア化が進んでいる若年世代より確実にお金を持っている高齢者の方が多いという現実もあるわけですが、そうしてプールされているお金も生きていないのでは仕方がないわけで、それならそのお金を使って生きている間においしい目にあっておいた方がいいはずですよね。
高齢者の側も側で何しろ国なんて何の役にも立たない時代を肌身に知っているわけですから、とりあえず金はあるだけあった方が良い、手元に抱えていないと不安だという心理にもなるのは判りますが、そろそろ人生で使わなかったお金は若年者へ回し、その代わりに高齢者は現物給付を十分に受けるという世代間での流動性を高めていくべき時期ではあると思います。
どうせ幾ら余計な資産を残したところで墓の中にまで持って行ける訳でもなし、それどころか世界に冠たる日本の相続税でまるまる国庫に取られてどうでもいいことに使われかねないわけですから(苦笑)、むしろ自分たちで工夫して積極的に若年者に投資しておくくらいのお金の使い方を考えてみたほうが、高齢者自身にとっても社会にとってもよほどに生きたお金の使い方になりそうです。

若年者の側にしても今の時代お金はあまり出せないのは仕方がないわけですから、その部分に関しては受益者である高齢者にもしっかり持っているだけの分は負担していただく、その代わり身体は自分たちがしっかり動かしますというのが筋であって、高齢者のことなんて知らない、関わりたくもないではこれからの時代困るということです。
核家族化が若者の高齢者アレルギーを促進しているなんて話もありますけれども、例えば3Kだ4Kだと言われる介護の仕事にしても誰にでも出来る仕事は幾らでもあるわけですから、今後この領域の産業化を促進していく上で現場の業務の割り振りにももっと工夫が必要ではないかなという気はします。
そうした持ちつ持たれつの共存関係を構築していく上で、全ての前提として必須なのが世代間の信頼関係なのだとすれば、高齢者にとっても若年世代にとっても仲が悪くて良いことは何もないわけですから、お互いwin-win関係を目指して仲良くやった方が得でしょうと言うことでしょう。

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2010年8月22日 (日)

今日のぐり:「焼肉 千屋牛」

先日はちょっとほのぼのとする生き物のネタを中心に取り上げてみましたけれども、今日は同じ生き物ネタでも一転してややダークサイドな話題を中心に取り上げてみましょう。
まずはそれはちょっと怖いだろうというニュースを中国からですが、確かにこれはパニックになっても仕方がないですよね?

入浴中の女性、天井見上げれば「2mの大蛇」でパニック=北京(2010年7月26日サーチナ)

  女性は入浴をほぼ終え、身支度しようとして、なにげなく上を見た。すると、天井と壁の隙間をつたって、長さが2メートルはある派手な色の大蛇が這っていた。女性は絶叫――。北京市郊外で23日午後9時半ごろ、こんな騒ぎがあった。中国新聞社が報じた。

  女性が住む民家は北京市石景山区西黄村にある。浴室はレンガや石を積んだ簡単なつくりで、天井部分と壁には隙間が多い。蛇はその部分から忍び込んだとみられる。怯え(おびえ)と驚きで、女性は身動きできなくなった。叫び声を聞きつけた娘が、ようやくのことで、女性を浴室から連れ出したという。

  通報を受けた消防が駆けつけると、蛇は外に出ようとしていたが、天井と壁の隙間に太い体をはさまれ、動けなくなっていた。消防隊員が抵抗する蛇を、ビニール袋にいれた。

  女性によると、蛇は天井部分をぐるぐると這いまわっていた。驚きのあまり、「もうすこしで、気を失って倒れるところだった」という。(編集担当:如月隼人)

まあ村と言うくらいですから北京市と言っても田舎の方なんでしょうが、勝手に挟まって動けなくなって御用というのも間抜けと言えば間抜けですよね。
これなど実際のところは2mの蛇ならそれほどの脅威にはならないとも思えますが、こちら直接的な怖さは蛇に劣っても将来的な脅威度ではずっと上ではないかと思われるニュースです。

殺虫剤効かない「スーパーゴキブリ」 世代交代で次第に「耐性」強化(2010年8月7日J-CASTニュース)

   従来の殺虫剤が効かない「スーパーゴキブリ」が出現した。世代交代を重ねるうちに薬剤に対する耐性を身につけたらしい。毒エサタイプも効かないことがあるという。

   2010年春、ライオンがくん煙タイプの殺虫剤、「バルサン」の新商品を発売した。
耐性を獲得しやすいのはチャバネゴキブリ

   「バルサン プロEX」という商品で、「バルサン史上最強の効き目」が謳い文句。ライオン広報室によると、この30年ほど殺虫剤の効かない「薬剤抵抗性ゴキブリ」が都市部を中心に増加傾向にあるという。このバルサンプロEXは、薬剤抵抗性ゴキブリを想定して開発され、新成分を使用している。売れ行きも好調だ。

   ネット上には、ゴキブリに殺虫剤が効かないという「証言」がたくさん挙がっている。ミクシィの「ゴキブリ撲滅!」コミュニティにも、「ゴキブリ出た。2か月前にくん煙剤焚いたのに…」「殺虫スプレー使ったけど効かない様子」といった書き込みが見られる。

   横浜市衛生研究所によると、日本国内で普段よく見かけるゴキブリには、3センチ程度のクロゴキブリと1.5センチ程度のチャバネゴキブリがおり、薬剤耐性をもちやすいのはチャバネゴキブリ。同じ薬剤を使われているうちに、その薬剤に強い個体が生き残る。そうした個体同士が子孫を残すと、次第に薬に強くなっていく、という仕組みだ。

   チャバネゴキブリは生後2か月ほどで親になり、1年に3~4世代交代する。2~3か月程度の寿命の中で、メスは約50個卵の入った卵醤(らんしょう)を4~5回生む。

ゴキブリは毒エサの危険性も「学習」

   駆除業者の中には、こうしたゴキブリを「スーパーゴキブリ」と呼ぶ人もいる。

   都内の駆除業者「アルバトロス」の担当者は、「色んな薬剤で殺そうとするため、この5~6年、スーパーゴキブリが増えてきた」と明かす。

   殺虫剤だけでなく、近年主流になっている毒エサタイプの「ベイト剤」も効きにくくなっている。ゴキブリは0.5ミリの隙間があれば十分で、電気スイッチや電話の受話器の中にも入り込むことができる。そのため、中途半端に「見える所」だけにベイト剤を使っても、死んだ仲間から出た「フェロモン」で、ゴキブリが危険を「学習」してしまうのだという。

    「ゴキブリも賢いのです。弊社では壁の隙間などにも徹底的にベイト剤を打つことで、ゴキブリが『口コミ』を広げて警戒し始める前に、一気に殺すようにしています。ベイト剤の種類も、1種類ではなく数種類使い分けてなんとか食べさせるようにしています。何十年も前、スリッパで叩き殺していた時代には、そんなゴキブリはいませんでした。人間がゴキブリを進化させてしまった、ということでしょうね」

進化するのはいいのですが、この調子で進化していくと台所の攻防が大変なことになってしまいませんかね…
怖いというとこちらもかなりの怖さなんですけれども、その前に本当か?とも思ってしまうようなびっくりなニュースです。

肺腫瘍と思いきや実はエンドウ豆…しかも発芽 米の男性(2010年8月14日産経新聞)

 肺腫瘍(しゅよう)とみられた米マサチューセッツ州の75歳の男性の肺から、約3・8センチの発芽したエンドウ豆が発見される仰天事件が発生した。AP通信などが12日までに報じた。

 男性はロン・スヴィーデンさん。愛煙家のロンさんは血圧が低く肺炎や脱水症状を起こし、病院で受けたエックス線検査で、肺に悪性腫瘍らしき影が映った。だが、再検査したところ肺から見つかったのは発芽したエンドウ豆。取り除いた途端、すっかり元気を取り戻したという。

 ロンさんは「何かを食べたに違いない。それが誤って気管に入ってしまったんだ。(エンドウ豆が)物語っていることがすべてさ」と話した。

 医師によると、肺に食物の“微粒子”が入るのは珍しくないが、発芽にまで至ったのは驚くべきことという。ちなみに豆を摘出後、病院での最初の食事に豆が入っていたそうで、ロンさんは「笑ったさ。食べたよ」。

このおじさんがすごく良い顔で写っている記事の写真も気になるんですけれども、悪性腫瘍と思ったところがエンドウ豆だったで済んだわけですから笑いたくもなりますかね。
こちらももしかすると生物学的に非常に興味深い症例と言うかなんと言うかですが、それ以前にどこかで見たぞこの構図というニュースです。

ツルッと肛門からタウナギが潜り込んできた―広東省(2010年7月30日HEAVEN)

本人いわく「風呂場で体を洗っているときに、買ってきたタウナギを入れておいた桶の上にうっかり座ってしまったところ、ツルッと肛門からタウナギが潜り込んできた」という男性が開腹手術をうけ、無事、腸内からタウナギを取り出されるというできごとがありました。

この男性は、一昨日の晩、広東省東莞市にある鳳崗華僑病院で手術をうけた李常(30―仮名)で、開腹して取り出されたタウナギは、指を2本合わせたくらいの太さで重さは250グラムほど。
医師は、体を折って痛みを堪えながら病院を訪れた李常から出血がみられ、レントゲンで下行結腸のあたりまでタウナギが上っていたことから緊急手術をおこなったとしています。

李常に付き添ってきた職場仲間、毛の話によると、この日出た給料を受け取ろうとして夕方の5時ごろ、工場にやって来たときから顔色がおかしかったといいます。
ものも言わずにそろそろと歩いていた李常でしたが、突然しゃがみ込むと腹をおさえて叫びはじめたため、工場長は病院に行って診てもらうよう勧め、毛が付き添って連れてきたのでした。

李常の話によると、2日前に買ってきたタウナギを風呂場の桶にいれておいた、(工場に行く前に)体を洗おうとしたとき、うっかり桶の上に腰掛けてしまった、桶にはいつのまにか水がいっぱいになっていて、タウナギがツルッと肛門から潜り込んできた、ということです。

李常は今年30歳。結婚はまだで、部屋を借り、1人で住んでいました。
毛は、「人となりは温和で偏狭さもなく、ふだん異常な行動をする人とは思えない」と語っています。

まあなんと言いますか、記事の写真を見ても確かにこれは大変な事態だったのだろうなとは想像できる話ですが、このノリはブリだと感じてしまうのも自分だけでしょうかね?
そのブリからのネタですけれども、いったいこれは何なのだ?という怪生物の正体がついに判明したというのがこちらのニュースです。

イギリスで不気味な怪物が発見される! その正体が判明(2010年8月6日ロケットニュース24)

いまイギリスで不気味な怪物が発見されたとして大きな話題になっている生物をご存知だろうか? 正面から見るとひょうきんな表情をしており、ツルペタでニュルンとした表面をしていて、体のラインは丸みをおびている。

日本のテレビゲーム『MOTHER』に登場する人気キャラクターの『どせいさん』にソックリなこの生物の正体はいったい何!? 未確認の生物か? それとも異星からやってきた未知なる動物か!?

イギリスのニュースサイト『メトロ』によると、この『どせいさん』にソックリな生物はブロブフィッシュという深海魚であることが判明した。ブロブフィッシュは成長すると体長30センチほどになり、水深約300メートルで生活しているという。ゼラチン質の体で海のなかをプカプカと漂い、目の前を通るエサを待つことに人生のほとんどを費やしているという。

オーストラリアの深海に住んでいるため、以前は人間の目に触れることがあまりなかった。しかし、エビやカニを捕るために深海釣りをすることが多くなってからは、この奇妙な生き物が目撃される機会も増えた。

一方『どせいさん』は、任天堂のRPG『MOTHER』シリーズに登場するキャラクター。コピーライターの糸井重里さんがデザインを手がけたことでも知られており、乳白色の丸い体とネコのようなヒゲ、太めの眉毛が特徴だ。

『ブロブフィッシュ』も『どせいさん』も、どちらもかなりの癒やし系。その風貌は、ずっと見ていても飽きないほどユーモラスだ。夏の暑さでイライラする気持ちも少し和らぐ気がする。ただ『ブログフィッシュ』を手元に置いておくわけにはいかないので、『どせいさん』のゲームやグッズで遊ぶのが手っ取り早いだろう。

確かに怪生物としか言いようがない容貌ですけれども、最近では結構絶滅の危機に直面しているというくらいですから、おもしろ半分にいじめてはいけないということでしょうね。
さて、最後に控えますのは少し古いんですがまさにブリ的というしかないニュースで、まずは記事を紹介してみましょう。

「消えうせろ!」 口の悪いインコに動物園へきえき/英(2008年09月16日国債時事新聞)

 英国の動物園で飼育されている大型インコのヨウムが品のない言葉をしゃべり、飼育員らを困らせていると、英サン紙が報じた(The Sun 2008年9月15日)。

 飼育員らを困らせているのは、イングランド北部のダーラム州ダーリントンの鳥類飼育施設にいる5歳のヨウム。マックスという名前のこのヨウムは、しばしば「消えうせろ」などと乱暴な言葉を口にするという。

 マックスは声をまねるのがうまく、「ハロー」や「バーイ」などとあいさつをしたり、携帯電話の着信音をまねたりもするが、品のない言葉については子供たちが教えたものとみられている。

 マックスは飼育施設にもともといたのではなく、マックスのしゃべる言葉にうんざりした飼い主により、飼育施設に寄贈されたとのこと。飼育員は「いつ品のない言葉を口にするかわからない。小さい子供を連れた客がマックスのケージの前に立つたびにかたずをのむ」と話しているという。

なんというブリ的精神の発露!このインコこそブリを体現した存在であると言うしかないすばらしさですけれども、逆にブリ的に考えるならば当たり前に口が大人しいインコなど植民地人にでもくれてしまえということになるんでしょうかね?

今日のぐり:「焼肉 千屋牛」

JAあしんの運営する直販店に併設された焼肉屋がこちら「千屋牛」、その名の通りこの界隈のブランド牛である千屋牛を食べさせる店ということですが、たまたま所用でこちら方面に赴いた折に立ち寄ってみました。
こう見えて(どう見える?)休日などは結構ランチタイムに待ち時間が出るくらいに人気があるようですが、その秘密はそれなりに安い値段でランチメニューが充実しているというあたりにあるのでしょうかね?
この日はほとんど開店直後といった時間帯であったせいか待つことはありませんでしたけれども、あっという間に満席になった店内を見て引き返していくお客がちらほらといった具合で、相変わらず繁盛している様子であるのは良いことだと思います(ただし、場合によっては結構車が停めにくくなるのは困りものですが)。

ここは以前にもお邪魔したことがあって、いささかこれはどうよと思わされるほどの特選牛の霜降り加減に辟易した記憶がありますから、今度来るときには特選だけは外すということをしっかり記憶しておりました(苦笑)。
見てみますと牛丼、カルビ丼といったそれらしいメニューもそそられるものがありますが、ホルモンうどんというのは同じ岡山県北は津山界隈で最近ちょっとした話題になっているあれと同じものなんでしょうかね?
今回はこれらBグルっぽい品々に加えて最上級の特選セットの一つ下位グレードに位置するらしい「ふれあいセット」なるものを頼んでみましたが、実際に来てみるとこれらが意外にテーブルスペースを消費するという点だけは誤算でしたね(苦笑)。

さてこの千屋牛丼なるもの、牛丼といえばチェーン店の味に皆さん馴染んで今更だと思いますが、さすがに肉の味自体はこちらの方がまともという感じで味のバランスも悪くないもので、コストパフォーマンスも考えると今回の一押しはこれではないかという気がします。
いわゆる高級和牛を贅沢に…なんてものを想像していると微妙に肩透かしを食らいそうな程度にごく普通っぽくて、いわばそこらの店でちょっと良い肉を買ってきてレシピ通り作った家庭料理的な味と言うのでしょうか、この普通っぽさで価格的には今のデフレ牛丼の倍というのを世間でどう評価するかですが、まあしかし肉自体の味の差に加えて味噌汁とお漬物の値段を加えると決して高くはないと思うんですけれどもね。
一方の千屋牛カルビ丼の方は個人的には外れと言いますか、ただでさえ脂ぎってギトギトのこのカルビ肉をくどい味付けで食べさせるという胸焼けを起こしそうな味が特徴で、何かしら料理屋の味と言うよりは(こちらは悪い意味で)家庭料理的な印象を受けたのですが、そうしたこともあってギトギト好きといった方々でなければ牛丼の方が無難に一般受けしそうな味ではありますかね。
千屋牛ホルモンうどんの方はホルモンを加えて甘めの味噌ダレで調理した焼きうどんという見た目は津山ホルモンうどんそのままの様子ですが、やや味付けがぼんやりとして単品料理としては印象に残らない味である一方で、焼肉なんかと一緒に食べるサイドメニューとして考えるとこれくらいが程よいところなんじゃないかとは思います。

さて、一応肉屋なら肉を食べなければということで頼んだふれあいセットなんですが、期待した通りこの上牛肉は千屋牛セットの特選牛ほどサシだらけではなく、肉らしい味を楽しみたい向きにはむしろこっちがいいんじゃないかと思える程よい塩梅でコストパフォーマンスも高いとも思うのですが、問題はそのサーブの仕方でしょうかね。
とにかくこれでもかと色々な焼き物がどっさり出てくるのは良いとして、この日だけのことだったのかも知れませんがホルモンやカルビといった濃い味のタレ焼きに始まって次が塩タン、最後が海鮮焼き(当然ながら網の交換などありません)と、どうも出てくる順序が間違っているとしか思えないんですがどうでしょうか?
つけダレはなるべく使わずテーブルの塩コショウで食べたのですが、最後の方になってくると口の中に飽和する脂とタレの味に加えて、いささか満腹が過ぎてきたこともあってもはや繊細な海鮮の味など知ったことか状態でしたけれども、こんな山奥でこれほどシーフードテンコ盛りにする意味もさることながら、やはり一つのメニューとしての組み立てに何かしらの改善は期待したいところですよね。

以前にも感じた通り最上級よりは少し下位グレードの肉の方が肉らしい味の充実と価格的にもお得感があるという印象なのですが、一方で料理の面ではまだJAの副業というイメージが拭いきれない野暮ったさも残りますから、シンプルに中級グレードの焼肉適当量に白飯やドリンク類を組み合わせておけば一番満足度は高いのかなと思いますね(たぶんそういうセットメニューも用意してあるのでしょうが)。
他方では前回も感じたことですけれども接遇面の洗練度では決して褒められるレベルではありませんし、とりわけ忙しい時間帯にはしばしばフロアの顧客が放置状態になる傾向は残っていますから、その方面で寛容さを持ち合わせていない向きにはあまり向いているとは言えない店かも知れません。
これだけ食べてこの値段であればコストパフォーマンスは悪くない店なんだと思うのですが、総合的に見ると値段の割にそこそこの肉を食べさせるという以外にさほどの売りはないという印象も拭えないところで、素材以外の面でももう一皮むければとも思うんですけれどもね。

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2010年8月21日 (土)

例によってあの業界、最近の話題から

少し放置しておくとあっという間にネタがたまってしまうのがマスコミ業界ということなのでしょうが、今日も雑多なネタがあちらからもこちらからも集まっています。
さて、先日は終戦の日ということで各社から様々な社説、論説が出されていましたが、出るやいなやネット上で「お前が言うな」の大合唱となったこちらの記事から紹介してみましょう。

反射鏡:政治の劣化を防ぐため今、必要な辛抱=論説副委員長・与良正男(2010年8月15日毎日新聞)

 4年前、06年の終戦記念日は狂騒の一日だった。時の首相、小泉純一郎氏はこの日午前7時41分、東京・九段の靖国神社を訪れ、首相としては21年ぶりの「8・15参拝」に踏み切った。テレビは早朝から生中継し、新聞の夕刊もこのニュースで埋め尽くされた。靖国神社には午前9時段階で前年の5倍、1万人余の参拝の列が続いた。

 この日夕方、参拝に一貫して反対していた加藤紘一元自民党幹事長とともに、私はテレビの報道番組に出ていた。「小泉氏は決して保守のイデオローグではないけれど、この参拝はナショナリズムを過度にあおる心配がある」といった話をしたと記憶する。番組終了から間もなく、山形県の加藤氏の実家が後に右翼団体所属と分かる男に放火され全焼したと聞いて、言葉を失った。

さらに衝撃だったのは、その後、多くの若い人たちから「なぜ、あなたは参拝に反対するのか」と激しい抗議のメールをもらったことだった。

 共通していたのは「小泉さんは私たちに誇りを与えてくれた」というフレーズだ。中国は政治大国、経済大国になり、韓国の経済成長も著しい。にもかかわらず、日本は戦前の謝罪ばかりをし続け、中国などに遠慮して首相は靖国に参拝しない。そんな中で、小泉さんは毅然(きぜん)とした態度を示してくれた……。

 生まれてからほとんどの時期が不況という時代に育った若い人たちは、そんな思いだったのだろう。私は「誇りはまず自分や家族に持つようにしようよ」と書いたり、しゃべったりしたが説得力はなかった

 参院選からもう1カ月余。ずっと心に重く響いている言葉がある。7月13日の毎日新聞朝刊に掲載された識者座談会で、劇作家、山崎正和氏は選挙を振り返って、こう語った。

 「私はリーダーなきポピュリズムという矛盾する概念を立てているんですけどね。とにかく敵だけはいる。リーダーは誰でもいい。そういう変な政治になってくる可能性がある」

 そういえば、小泉氏は「改革抵抗勢力」など、敵を意識的に作り出して自らの政権浮揚を図った首相だった。「敵」を作れば、あらゆる不満のはけ口になる。靖国参拝でいえば、若い人たちにとって敵とは、これまた反日感情をあらわにする中国人や韓国人、あるいは同じ日本人でありながら参拝に反対する私だったのかもしれない。

 靖国参拝に賛成か反対か。郵政民営化に賛成か反対か。敵か味方かを単純に色分けする「小泉劇場」が終わり、今度は首相がほぼ1年ごとに代わるリーダー不在の政治が続く

 小泉劇場のようなサプライズがなければ、すぐに飽きられ、当初の期待はたちまち失望に変わる。そのスピードはますます速くなっているように思う。確かに佐藤卓己京大准教授が名付けた通り、ファストフードのような「ファスト政治」だ。

 首相になる人の資質の問題だといえばそれまでだ。だが、私たちメディアもそうした風潮づくりに加担してきたのではなかったろうか。

 最近、批判が強まっている新聞・テレビの世論調査がそうだ。各社が回数を競い合うように年中、調査を実施し、内閣支持率が下がれば大事件が起きたかのように報じる。それが世の中の失望感をさらに増幅させ、政治家もまた右往左往する。

 権力を厳しくチェックするのが私たちの仕事であるのは言うまでもない。しかし、戦後65年、とかく私たちは何か起きれば、政治が悪い、教育が悪い、社会が悪いと、単純に敵ばかりを作り、不満のはけ口にしてきたのではなかったか。そんな反省も私にはある。

 20年以上前の自民党政権のように権力が強大だったころと比べて、今の政治は本当にひ弱だ。だからメディアも日々、政治にいちゃもんさえつけていればいいという発想を変え、与党にせよ野党にせよ、評価すべき点は評価し、時に後押しすることが必要ではないか。そうでないと政治は劣化する一方だと思う。何より、短兵急に白か黒か決めつけず、じっくり国民一人一人が考える材料を提供するのが私たちの仕事だ。

 山崎氏は座談会で「まかり間違えばファシズムが出てくる可能性がある」とも付け加えている。近ごろは「強かった小泉さんが懐かしい」といった声もあちこちで聞くが、ある日突然、強力な指導者が現れてくれたらなどと期待しない方がいい。むしろ国民が辛抱強くリーダーを育てていく時代なのだと思う。

ひと頃はこういう話と言えば朝日が珊瑚を守ろう!なんて主張するのが「お前が言うな」の典型例みたいに言われていましたが、昨今ではどこのメディアにしろ手が白いなんて主張できるような立場でもないだけに、迂闊なことを書いたところでそっくりそのままブーメランということになりかねませんよね。

65 名前:暴支膺懲 ◆CeoD2zuluY [] 投稿日:2010/08/15(日) 14:22:25 ID:4iGLHqix0
| | | |  |侮日 GOMI 変態 ラッキーかもしれない/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   /__ むしろ国民が辛抱強くリーダーを育てていく時代だ
| | | |                        ∧_∧ \_______________
| | | |   ∧_∧∧_∧∧_∧   *~●  ( ´m` )        ∧_∧∧_∧∧_∧ . | | | |
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     ∧_∧  ∧_∧ 。O○お前が言うな ∧_∧  ∧_∧。O○お前が言うな
     (     ) (     )             (     ) (     )
  ∧_∧  ∧_∧  ∧_∧ 。O○お前が言うな ∧_∧ 。O○お前が言うな
  (     ) (     ) (     )             (     )
    ∧_∧ 。O○お前が言うな ∧_∧  ∧_∧ 。O○お前が言うな ∧_∧
    (     )             (     ) (     )             (     )
  ∧_∧  ∧_∧  ∧_∧ 。O○お前が言うな ∧_∧  ∧_∧。O○お前が言うな 
  (     ) (     ) (     )             (     ) (     )

毎日と言えば同時期にこんな記事も出していましたけれども、確かに毎日と言えば歴史を紐解けば例の「百人斬り」捏造報道で二人の人間を銃殺にまで追い込んでいるメディアですから、どうせまたとんでもない捏造を垂れ流すんだろう?くらいにしか見られていないのも当然ではあるのでしょうね。
メディアとそれに関わる人間というものの社会的信用が日々低下してきているということを実感できるような話という気がしますが、もともと新聞記者なんてものは「羽織ゴロ」なんて呼ばれていたくらいで、社会的信用など気にすることもないという考え方もあるのかも知れません。

の・ボール:取材を申し出たが、断られた… /愛媛(2010年8月13日毎日新聞)

 取材を申し出たが、断られた。太平洋戦争の激戦地に赴いた人から軍隊生活を聞きたいと思い、電話でお願いした。が、「思い出すと胸がふさがり、とても話せるものではありません」。強い拒絶の気持ちがこもっていた▼この時期は例年、戦争に関する取材が多い。1945年夏より前のあの時代、日本人は何を経験し、考え、何が残されているのか。戦争体験者は、どれだけ時が過ぎようと消化しきれない「塊」を抱えている。取材する我々には、受け止める覚悟、文章にする覚悟が必要だ▼今回断られたのは、別の取材で見知った人だった。正直、気楽さがあったかもしれない。私に軽薄さを感じたのか、覚悟が足りないさまを感じ取ったのか。私にとっての宿題になった。【津島史人】

羽織ゴロネタと言えばこういうものもありまして、ジャーナリズムというものの意味を考えた場合にこちらの方がずっと深刻な問題であるし、本来当事者が最大の危機感をもって対処しなければならないはずなのに、全くのところ黙殺しているというのはどうなんでしょうね?
この機密費問題というものは当「ぐり研」でもちょくちょく取り上げていますけれども、これだけの接待を受けて厳しい政治批判だのなんだのと息巻いてみたところで、それこそ「お前が言うな」で終わりという話ですから、なるほど冒頭の記事とはそういう開き直りの意味であったかと改めて納得はいくところです。

記者に手渡される怪しいカネ……メディア汚染の問題点とは(2010年08月13日Business Media 誠)

官房機密費から莫大なカネが、主要メディアの記者に流れていたことが暴露された。一体、誰にどのくらいのカネが渡されていたのだろうか。この問題を報じようとしない大手新聞社やテレビは、自ら内部調査すら行っていない

 また官房機密費だけにとどまらず、政治家の“懐”から記者に金品が流れていたようだ。この「記者とカネの問題」について、上杉隆氏、相場英雄氏、窪田順生氏の3人が語った。【土肥義則,Business Media 誠】

●クッキーの包装紙に御車代

上杉:小渕政権で官房長官を務めた野中広務さんは「現職の記者に金品を渡したことがない」と言っています。しかしボクが鳩山邦夫さんの秘書をしていたとき、実に多くの政治家が記者にお金を渡していたのを知っています。もちろん鳩山事務所の場合は、官房機密費ではなく、“子ども手当て”だったりしますが(笑)。

相場・窪田:ハハハ。

上杉:鳩山家の子ども手当てに対し、大手メディアが突っ込めないのは多くの人がその恩恵に与っているから

 ところで、官房副長官をした鈴木宗男さんは政治部長懇談会などを開いたとき、必ず「お土産と一緒にクルマ代を渡していた」と言っています。「クルマ代を渡さないなんてありえないだろう」と。ちなみにボクもクルマ代をもらったことがある。もちろんすぐに返しましたが。

相場:実はボクも1度、クルマ代をもらったことがありました。そのときはひっくり返りそうになりましたね。

上杉:ボクの場合、白地の封筒を見せられ、「御車代です」と言われました。相場さんはどのように?

相場:ある業界団体から、クッキーをもらいました。しかしよく見ると、包装紙に封筒がくっついていたんですよ。それがクルマ代。このことをキャップに言ったら「すぐに返してこい!」と怒鳴られました。

 しかし冷静になって考えてみると、当たり前の対応です。封筒は絶対に開けませんでしたから。
(略)

●永田町の感覚

相場:普通の記者であれば、お金をもらったらビックリしますよね。お金をもらったら「ちょっとマズイ」という意識が働きますから。

 ボクは経済部だったので、企業の広報から接待されれば、必ずおごり返していました。それが慣習としてありましたから。しかしお金をもらったときには驚きましたね。

上杉:相場さんの感覚は普通ですよ。むしろ永田町の感覚が、麻痺している。政治家はよくこんなことを言います。「ほら“お年玉”をあげるよ。これはね……社会通念上の問題だから」と。

相場・窪田:ハハハ。

上杉:でも、秘書時代の先輩から聞くと「A社の政治部長に10万円はちょっと少ないかなあ」と思ったりしたそうです。30万~50万円が多かったので「時事通信だと30万円でいいけど、読売新聞だと50万円かな」といった感じ。

 そういうことをしていると、永田町の通念が当たり前のように思えてくる。またもらう側の記者も、何の疑問も抱かずに受け取る。しかし一般の人の感覚からすると「なぜ政治家と一緒にご飯を食べただけで、30万~50万円の大金をもらえるのか?」と思うのが普通ですよね。

相場:永田町の感覚って……相撲界の“ごっつあん体質”に近いのかもしれない。

上杉:ボクの場合、ジャーナリストをする前に政治家の秘書をしていた。つまり配っている側からもらう側になってしまった。実際、ジャーナリストになると政治家の秘書たちがお金を持ってくるんですよ。彼らは平気な顔をして、机の上にお金を置いていく。しかしそのお金をきちんと返せば、相手は2度と渡そうとしません。

受けとろうとしない相手に、何度も何度も渡そうとする人なんていません。なので「自分は断っているのに、政治家が何度も何度も渡しに来る」と言っている人は、過去に1度は受けとっている可能性があるとみてしまう。

 あと高名な政治評論家に関しては「講演会」を絡めて、500万円くらいが相場でした。しかし、ある別の政治評論家はこんなことを言っていました。「これ金額が間違っていますよ」と。多すぎるんですか? と聞いたところ「これは半分だよ。半分しかない。1000万円だよ」と言ってきた。

窪田:政治評論家の先生って、スゴイですねえ。

上杉:相場さんがいらっしゃった時事通信社にも該当者はいます。『週刊ポスト』に詳細を書いたのでここでは控えますが、その人物にはずっと取材を依頼していた。ところが、いきなり怒鳴ってきましたよ。「そんな不愉快な質問をする奴とは2度と仕事ができない!」「オレの名前を出すな!」と。怒るのではなくて、きちんと説明してくれればいいのに。もしお金をもらっていなければ、怒らずに説明できるはず。自分がそういう立場だったら、きちんと説明しますね。

窪田:そのリアクションを見る限り、“クロ”と疑われても仕方がない(笑)。

上杉:その人物のことはすでに書いたのですが、こうなると他の該当者のこともすべて書かなければいけなくなる。ま、最後には書くかもしれませんが(笑)。

相場・窪田:ハハハ。

上杉:ハッキリ言えば、解説委員や編集委員クラスの名前が挙がっていますが、もっと無名の人でも金品を受け取っている。ボクは今、彼らが内部調査をするのを待っている状態です。しかし何もしなければ、いつかは彼らのことについても書くかもしれません。

窪田:読んでみたいなあ。楽しみにしていますので。

このところマスコミ業界では相撲協会あたりに向かって、盛んに「自ら業界内部の膿を出せ」なんて上から目線で言っていますけれども、それでは自己批判どころか問題点を公にも出来ないような自分たちが何様であるのか、そもそもジャーナリストとしての羞恥心などないのかという話でしょう。
このあたりの「他人には厳しく、自分には甘く」という彼らの気質がよく現れているなというニュースが最近多いような気がするのですが、ネットを初めとしてメディアも多様化した結果昔のようにおいそれと握りつぶすというわけにもいかなくなった事情もあるのでしょうか?
一方で彼ら既存メディア自体、どうも羞恥心の水準がますます低下しているんじゃないかという印象もあって、いずれ出るべくして出たゴシップというのも数多いですよね。
例えば昨年末にはネット上で「日経から脅迫状キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!」という記事が出まして、日経としては密かに言論圧殺を試みたのでしょうがむしろ天下に恥をさらす結果に終わったわけけれども、近頃では隠れてこそこそなんてこともなくて、むしろ衆人環視の元で派手に恥をさらして回るなんて時代になってきているようなんですね。

NHKと日本テレビがインターネット上でケンカ! 日本テレビ「NHKはただの腹黒」(2010年8月11日ロケットニュース24)

コミュニケーションサービス『Twitter』上でテレビ局の担当者らが、お互いを激しく罵(ののし)りあっていると話題になっている。ケンカをしているのはNHKと日本テレビの二者の間で、日本テレビがNHKを「腹黒」、NHKが日本テレビを「毛」と呼んで罵り合っているのである。

言い争いの発端は、あるユーザーの投げかけた素朴な質問だった。NHKとTBSに「2人(NHKとTBS)ともツンデレなひねくれのようだけども、ダベア(日本テレビ)は何になるのかな?」。この問いかけにNHKは「(日本テレビは)毛です」と答えている

毛とは、日本テレビのマスコットキャラクターの『ダベア』の外見を指しているようだ。熊でケムクジャラなので、一言「毛です」と言い捨てたのだろう。これに対して日本テレビは不快感を示し、「何か扱いおかしくないか!」と反発

さらに議論は続き、今度は日本テレビがNHKを「ただの腹黒」と反撃に出た。しかしNHKは議論につき合うのが面倒になったのか、真面目に返答をしたところ、日テレは「(NHKは)まじめに腹黒いんですよね」と、さらなる追い討ちをかけたのだ。

すると、二者の言い争いを見ていたユーザーから、「ダベア怖い!!」との声が。慌てた日本テレビは「怖くないダベア~ 」と弁解するのだが、底意地の悪さが覗いていて少し怖いという人も? この言い争いは結論のないまま、現在のところ収束している。

実はNHKと日本テレビのケンカは、頻繁(ひんぱん)に行われているようで、珍しい事ではないらしい。半分はあいさつ代わりなのかもしれない。だが、いつもケンカばかりしているのはいかがなものか? 本来の業務に影響はないのか気になるところだ。一度でもいいのでリアルに会って、新橋あたりの居酒屋で焼き鳥でも食べてリアルにケンカ……、じゃなくて語り合えばいいと思うのだが。

いや、別に当事者同士が半分挨拶代わりのような感覚でやりあっているというならそれはそれでいいんですが、一応社を代表するマスコットキャラとしてネット上に登場しているわけで、それがこういうことを公然とやっていてオッケーであると言う認識自体がどうなのよということなんですが…
日テレと言えば色々と話題にも噂にも事欠きませんけれども、昨今では自分自身をネタに仕立てる芸風を確立しつつあるようで、あちらこちらで良い感じにいじられているようですよね。

女子アナが陥る自殺シンドロームの病巣(2010年8月20日週間実話)

 7月27日、日本テレビ・山本真純アナ(享年34)が飛び降り自殺し、女子アナ界の過酷な環境が改めて浮き彫りとなった。

 日テレ出身では、'01年3月に急死した米森麻美アナ(当時フリー/享年34)、'07年2月に転落死をした大杉君枝アナ(旧姓鈴木/享年43)に続き、3人目の不審死だ。
 「米森アナは、第一子となる長男出産から3週間後のことで、親族も理由を明らかにしていないため自殺説が浮上しました。大杉アナは自宅マンションからの転落死。遺書らしきものも発見され自殺と見られていますが、彼女の場合は出産後に原因不明の線維筋痛症で苦しんでいました」(夕刊紙記者)

 この3人に共通しているのは、私生活での変化だが、それだけが原因ではないようだ。
 「山本アナの場合も、自殺の理由は“産後うつ”とされていますが、仕事に対する不安も大きいですよ。彼女たちの大半は、結婚、出産後も仕事を続けることを理想としていますが、それを許さない環境があるのです」(同)

 特に日テレの場合は、他部署への異動が頻繁に行われることでも有名だ。
 「昨年11月に結婚した脊山麻理子アナは、直後にコンテンツ事業部への異動を命じられ、退社しフリーとなっています。過去にも木村優子アナはコンプライアンス推進室視聴者センターへ、角田久美子アナは編成局マーケティング部、魚住りえアナは広報部への異動を断り独立しました。ただ、異動を蹴ってフリーになれば、出身局からの仕事はなかなか得られなくなるのが現実」(同)

 テレビ局関係者が言う。
 「今の女子アナ界は、若いうちは周囲にチヤホヤされますが、フジの高島彩のように“看板”にでもならなければ、それも30歳手前までの話。あとは隅に追いやられるだけです。さんざん働かされた揚げ句、踏ん張り時の中堅時代が結婚適齢期に当たる。しかも選択を誤れば後戻りもできませんから、精神的に切れてしまうのも分かります」

 これでは、いつ次の犠牲者が出てもおかしくない

業界内でネタを使い回して自己再生産できるとなればこれほどエコロな話もありませんけれども、そのたびに誰かが犠牲にならなければならないのだとすればこれは何とも不幸な話でもありますよね。
こうしたゴシップ系の各メディアと比べるとやや品がよいとも言われているNHKですけれども、先の日テレとのやりとりなどを見ても必ずしもそうとも言い切れないのも事実で、このメディアの場合すました顔でとんでもないことをやっていたりするので油断がなりません。
NHKと言えば例の台湾偏向報道問題を見ても歴史認識に関しては独自の解釈を有しているようですけれども、問題はそれを視聴者にどう押しつけるかという工夫に労を惜しまないところで、例えば最近話題になっているのが先日の日韓討論番組の一件です。
もともとは韓国人映画監督である崔洋一氏が同席した日本人の発言に反発して言論圧殺的発言をしたという事件で、これだけでしたら「なるほど韓国映画界には言論の自由というものはないんだな」と更なる日韓理解が進んで良かったというだけの話なんですが、どうもその背後では例によって例のごとくNHKが蠢動していたらしいのですね。

「韓国併合肯定なら歴史語るな」崔洋一監督の「言論封殺」(2010年8月16日J-CASTニュース)

   日本で活動している韓国の映画監督、崔洋一さん(61)が、NHKの討論番組で、韓国併合を肯定するなら歴史を語る資格はない、と別の発言者を批判して波紋を呼んでいる。番組は、未来志向の趣旨だったようだが、逆に日韓両国の溝の深さを浮き彫りにした。

   きっかけは、「アニオタ保守本流」というブログを書いているウェブデザイナーの古屋さん(27)が、自説を展開したことだった。

京大准教授「権力者の言論封鎖はいけない」

   NHKで2010年8月14日に3時間近く放送された「日本の、これから ともに語ろう日韓の未来」。そこで、日本側の一般市民として選ばれた古屋さんは、韓国と日本は、同じ大日本帝国の一員だったとして、一緒に英米と戦った戦友だと主張した。韓国併合のときは、韓国人を虐殺したわけではなく、帝国主義の時代でやむを得ずにやっただけだともした。

   これに対し、崔洋一さんは、そうしたイデオロギーが日本を支配していたのは認めたものの、そのために韓国併合があったというのは、とんでもない史観だと指弾。そして、顔を紅潮させながら、次のように語気を強めたのだ。

    「36年間にわたる植民地支配がそれによって肯定されるという考え方は、基本的に歴史を語る資格がない!」

番組司会者は、慌てて話題を変えたが、そこに口を挟んだのが、京大准教授の小倉紀蔵さんだ。崔さんのこの発言は間違いだとして、歴史にはどんな考え方もありうると指摘した。正さないといけないのは、間違った事実に基づいて自分の歴史観を構築したときだけだ、というのだ。

   すかさず、崔さんは、韓国併合には、客観的な歴史的事実があるとして、それを歪めることは間違っていると否定するのが大人の責任だと反論した。小倉さんも、権力者の言論封鎖はいけないと言い返し、議論は平行線のまま終わった

NHKに電話やメール約1800件が殺到

   崔洋一さんの主張について、ネット上では、理解を示す声もあったものの、異論も噴出している。2ちゃんねるでは、スレッドが乱立する祭り状態になっており、「映画監督が言論封殺しようとするとはw」「なら討論番組に出るな」「自分自身の首を絞める事になる発言」といった書き込みが相次いでいる。

   NHKの広報局によると、番組への電話やメールは、2010年8月16日夕までに約1800件にも達しているという。

   崔さんの怒りを買った古屋さんは、自らのブログで、番組には編集でカットされた別の部分があることを明らかにした。

   それによると、日本側出演者の1人が、日本と韓国は過去に恋人関係にあり、日本が浮気したから韓国が怒っているなどと発言。会場内では受けたものの、崔さんが「歴史とはそいういうものでない! 君はこの場所に一番場違いな人間だ!」と烈火のごとく怒ったという。

   また、古屋さんは、2ちゃんでも質問を受け付けたといい、そのスレでは、件の「歴史を語る資格なし」発言は、この「場違い」発言の直後にあったと言っている。怒りモードのまま、矛先が古屋さんに向けられたというわけだ。

   この場面のカットについては、崔さんが切れすぎたためテレビ的にNGだったのではと言う。ただ、NHKは変わってきており、番組ディレクターは、中道保守的でネット言論にも理解があったとする。そして、古屋さんは、その証拠に「資格なし」発言が放送されたとして、「日本人に不利な編集はしてません」と断言した。もともとは、5時間の録画だったという。

   NHKでは、取材に対し、「番組の編集に関わることについては、お答えしておりません」とコメントしている。

物事の認識や考え方なんてものは血を分けた家族の中でも違っているのが当たり前で、こういう番組を見ている人間は何より日頃目にすることの出来ない韓国人の生の考え方や反応を知りたくてテレビの前に座っているわけですよね。
ところがNHKでは最も生々しい反応は視聴者の目から隠蔽しようとする、わざわざ隠そうという狙いがどこにあるのかはこれだけでははっきりしませんけれども、一見してお互いの生の意見をぶつけ合っているように見せながら実はNHKフィルターによる検閲がなければ表に出すことすら許さないというのであれば、これはどんな茶番かという話です。
NHKのこの手の番組と言えば、以前から一般市民と称して出演している人間が実はプロ市民だったとか、特定の話題に話を進めようとした途端露骨に妨害されるだとかの噂には事欠きませんけれども、最初に結論ありきで異論は全てカットというのはどこのマスコミでもやっている当たり前のやり方であって、NHKもまた同じ穴の狢だということを自ら立証しようと努力しているということなのでしょう。

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2010年8月20日 (金)

ホメオパシー 問われるその社会的責任

週刊誌もようやく問題を取り上げ始めたりと(聞く限りでは全く不十分なもののようですが…)何かと最近世間の注目を集め始めているホメオパシー問題ですが、毎日新聞も「朝日さんってすごい!こんな記事を書けるなんて!」と妙にヨイショしながら参戦してきたことはすでにお伝えした通りです。
先日もその続編と言うのでしょうか、こんな記事が掲載されていましたけれども、なるほどこちらにつなげてきたかと感心すべきなのか、よく判っていないけれども取りあえずアリバイ的に時事問題に言及したと取るべきなのか、なんとも微妙なのが毎日らしい?ということなんでしょうかね(ちなみにリンクは管理人の挿入です)。

水説:代替医療と民主党=潮田道夫(2010年8月18日毎日新聞)

 「ホメオパシー」という療法があるのを最近初めて知った。同僚の小島正美記者の解説(15日付「なるほドリ」)によれば、病気と同じような症状を起こす物質を投与し、人体の反発力=自然治癒力を引き出すものらしい。

 ここまでなら「そういうこともあるか」と思うが、話はそれで終わらない。その物質は水で繰り返し薄められる。最終的には残留物ゼロのただの水に等しいものとなる。

 ただの水なのになぜ効くかというと、水には物質を記憶する力があり、それが効果を発揮するのだという。水に記憶力があるって? ちょっとついていけない。

 山口県の助産師がこの療法の実践者で、ビタミンKを与えるべき乳児にホメオパシーの錠剤(レメディー)を与え続け、赤ちゃんがビタミンK欠乏性出血症で死亡、民事責任を問われるに至った。

 問題点はいくつもあるが、大阪大学の菊池誠サイバーメディアセンター教授が、SYNODOSというブログで、「害のないものによる害」を指摘しており、まことにその通りだと思った。

 このレメディーは、実際のところ無害なただの水に過ぎない。しかし「積極的には害をおよぼさないはずのものでも、本来必要とされる薬や治療を遠ざけるという消極的効果によって、害をおよぼしうる」ことをいま、わたしたちは目にしている、と。

 こういうのが近年、増えてきたような気がする。

 数年前、水について「ありがとう」などと美しい言葉をかけると美しく結晶し、汚い言葉だと汚い結晶になってしまうという説がはやったことがあった。その証拠と称する写真集も出た。

 それだけなら「やれやれ」で済むが、道徳教育の教材につかわれ出した。「人間も水でできているから美しい言葉を話すようにしよう」と教えるようだ。こういう授業がダメなのは自明だが「どこが悪いの?」という先生が少なくないそうだからコワイ

「主流派」が行き詰まるといつも「オルタナティブ(代替)」が登場する。いつからか判然としないが、オルタナティブを求める気分が続いているように思う。民主党政権の誕生もその流れだろう。

 その出自のせいだろうか、この政党はオルタナティブなものへの親和性が強い。昨年の総選挙のマニフェストでは「統合医療の確立ならびに推進」をあげた。漢方はもとよりさまざまな代替医療を「統合医療として科学的根拠を確立する」としている。

 「ホメオパシー」の扱いをどうするのか、知りたいところだ。(専門編集委員)

ま、何故この手のトンデモ説が「近年、増えてきた」のか、トンデモ説流布には絶大な実績をお持ちの毎日新聞さんであれば一家言ありそうですけれども(苦笑)、結局のところ社会がそれを受け入れているからということに尽きるのでしょうね。
一昔前であればトンデモさんは狭く小さな地域社会の中で「あの人はまあアレだから」と後ろ指を指されながら肩身の狭い思いをして暮らしていたものが、今やネットを初め全国的にコミュニティーを形成する手段には事欠きませんから、どんなマイナーなジャンルであってもあっという間に同好の士が大勢集まって賑やかに語り合うということが出来てしまうわけです。
もちろん自分たちはニッチでマイナーな存在であると自覚して楽しんでいる人々が大多数なのでしょうが、中には「あの人もこの人もみんなイイ!って言ってる!みんながそう言うんだからホンモノなんだ!」なんて調子で、自分たちがメジャーであると勘違いをしてしまう人も出てくるだろうことは特に想像に難いことではありません。
当然ながらそうした誤解を助長してきたメディアの責任論というものも今後追求されていってしかるべきであるし、彼らが前言を撤回して一転バッシングに走るのか、それともなおも擁護を続けるのかも興味深いところですけれども、今後煽情的報道を旨とする週刊誌あるいはテレビなどで今後どのような言説が出てくるのかは非常に楽しみではあるところです(苦笑)。

さて、先日以来朝日新聞とやりとり?を交わしているらしい日本ホメオパシー医学協会ですけれども、また朝日新聞記者の質問に対する回答というものを公表してきています。
おそらく彼らとしてはこの冗長で退屈な一文で反論したつもりになっているのでしょうが、この中に語るに落ちるとも言うべき言葉が随所にあるようですので、とりあえずポイントだけを抜粋してみましょう。

朝日新聞社科学医療グループと日本ホメオパシー医学協会とのやりとり(2010年8月17日日本ホメオパシー医学協会)
より抜粋

●2010年8月6日AM(FAX) 朝日新聞社 科学医療グループ 長野 剛記者の質問その1

「日本ホメオパシー医学協会 事務局さま

お世話になっております。朝日新聞の長野と申します。先日は、由井会長に取材対応頂き、ありがとうございました。
さて、私は今、貴会認定ホメオパス、○○氏(JPHMA認定ホメオパス○○)が5月までホメオパシー治療対応をしておられた、患者さんの□□さんに関して、取材をしております。ご承知かと思いますが、□□さんは5月26日、悪性リンパ腫でご逝去されました。
関係者にお話を伺った結果、□□さんは昨年春ごろから体調不良を訴えておられ、○○氏よりレメディを提供されていました。○○氏の元でスタッフとしても働きながら、ホメオパスを目指して勉強中だった□□さんはレメディだけで体調不良を治そうとご努力されたと伺っています。そして5月15日に母の■■さんが救急車を呼ぶまで病院に行くのを拒否され、病院では「手遅れ」との判断がなされました。

そこで、以下について、ご意見を伺いたいと思います。

①:□□さんは「今、病院に行くとホメオパシーでの努力が無駄になる」とおっしゃっていました。6月に由井会長に取材させて頂いた折りは、「好転反応を西洋医学で緩和すると、自己治癒力が抑えられ、寿命を短くすることになる」旨のお考えを頂いております。□□さんの場合も、最後までホメオパシー治療を続けていたら、快癒されたとお考えでしょうか。

②:近親者の方々は、□□さんが西洋医学の観点では「手遅れ」の状態にまで至った理由を、「ホメオパシーで治すと信じ切り、治療を受けるのが大幅に遅れたため」とお考えです。これについて、いかがお考えですか。

③:□□さんが逝去されたのは、ホメオパシー治療を最後まで行わなかった□□さん側の判断が原因で、○○氏には□□さんを治癒させられなかった責任は無いのでしょうか。

以上です。ご多忙の中、大変恐縮ですが、本日6時までにご回答をいただけないでしょうか。ご検討頂ければ幸いです。なお、ご回答が無理な場合も、その旨、ご連絡くださるよう、お願い申し上げます。また、できましたら、ご連絡はメールでいただけると幸いです。」

●2010年8月6日PM(FAX) 朝日新聞社 科学医療グループ 長野 剛記者の質問その2

「日本ホメオパシー医学協会 事務局さま

お世話になっております。朝日新聞記者の長野です。
大変恐縮ですが、6月の取材で由井会長がおっしゃられた考え方について、現在も変更がないか、ご確認をさせて頂きたいと思います。
由井会長は、西洋医学について、以下のように述べていらっしゃいました。

①「西洋医学は治癒ではなく緩和である」
②「レメディで自己治癒力が触発され、出てきた好転反応を薬で抑えるのは偽ホメオパスである」
③「レメディを入れて出ようとした悪いものを薬で抑えるといういたちごっこを続けていると、寿命が短くなる」
④「西洋医学を受けなくてはまもなく死んでしまうような人ならば、受けなくては仕方がない」

大変勝手ながら、本日午後8時までにご回答頂けませんでしょうか。よろしくお願いいたします。」
(略)

●2010年8月6日 21:45(メール) 日本ホメオパシー医学協会

「朝日新聞 東京本社 科学医療グループ 長野 剛殿
日本ホメオパシー医学協会の○○と申します。
一次回答します。

ご返信、ありがとうございました。
> おっしゃる通り、由井さんは取材の間、西洋医学の必要性を述べており、必要となる条件について、質問にお書きした言葉の「西洋医学を受けなくてはまもなく死んでしまうような人ならば、受けなくては仕方がない」をおっしゃっておられました。

いえ そのようなことではありません。このように言ったのです。

(※下記は、6月17日(Be report取材)時点での由井会長と長野剛記者の取材のやりとりより抜粋)

『[長野剛記者]
ということはこちらのお考えではレメディーを使っているときというのは基本的に西洋医学を受けないほうがいいということになるのですか。
[由井会長]
西洋医学を受けるとか受けないじゃなくて、ホルモンがなければ死んでしまう人が、そんなの受ける受けないは関係なくやらなければ仕方がないじゃないですか。それはお医者さんが決めることじゃないですか。
本人が決められる範疇のもの、たとえば風邪をひいたら風邪薬にはしるものをじゃあ風邪でというならこのキットの中の鼻水が出るからじゃあ鼻水に合うNat-m.とか岩塩のレメディーをとってみたらと言う指示はしますよ。
[長野剛記者]
そのレメディーを普通の病気、まあ交通事故とかあって……。
[由井会長]
それはすぐに病院です。
[長野剛記者]
ですよね。あるいは、たとえば肺炎で高い高熱……。
[由井会長]
それは病院
[長野剛記者]
ということは、由井先生、要するにこのまま放っておいたら病気と闘う症状によって死んでしまうと、これは西洋医学で……。
[由井会長]
もちろん。緩和させないといけない。彼らのものは治癒ではなくて緩和なのですよ。
緩和って大事ですよ。緩和の医学も。だからそれはちょっとばかりの熱、ちょっとばかりの下痢、ちょっとばかりの湿疹に現代医学を使うのではなくて最も安全な副作用のない、赤ちゃんでも妊婦さんでも使えるものを先に使ってみたらどうか
これは自己治癒力でできるのだったら自己治癒力でやってみたらいいじゃないですか。
このようなことをヒポクラテスは 2500年前に言っているのですよ。
自分の体に100人の名医がいると書いているのですよ。ヒポクラテス全集の中に。
だからこの名医を使わない手 はないと。この逆療法、緩和ですけれど、現代医学ですけれど、と、同種療法をうまく使い分けたらいいと彼は書いているのですよ。』

これが由井会長が話した事実です。
(略)
★解説します。
長野剛記者は、次のように主張します。
「おっしゃる通り、由井さんは取材の間、西洋医学の必要性を述べており、必要となる条件について、質問にお書きした言葉の「西洋医学を受けなくてはまもなく死んでしまうような人ならば、受けなくては仕方がない」をおっしゃっておられました。」
しかし、JPHMAで録音を聞き、「西洋医学を受けなくてはまもなく死んでしまうような人ならば、受けなくては仕方がない」という部分を探しましたが見つけることができませんでした。そこで何度か注意深く聞いて、おそらくここが該当するのではないかという部分を見つけることができました。それが上記に書いたやりとりです。
そして長野剛記者は、由井会長が西洋医学の必要性を述べていたことを認めつつも、「西洋医学が必要となる条件を述べていた」と主張します。そしてその条件とは、「西洋医学を受けなくてはまもなく死んでしまうような人」であると由井会長が述べていると主張します。しかし実際、上記のやりとりを読めばわかるように由井会長はそのような条件を主張していません。

由井会長は次のように述べています。
「だからそれはちょっとばかりの熱、ちょっとばかりの下痢、ちょっとばかりの湿疹に現代医学を使うのではなくて最も安全な副作用のない、赤ちゃんでも妊婦さんでも使えるものを先に使ってみたらどうか。これは自己治癒力でできるのだったら自己治癒力でやってみたらいいじゃないですか。」

つまり条件を言っていたと長野剛記者が主張するのであれば、それは西洋医学を行う条件ではなく、西洋医学を行わない条件であり、しかもそれは条件というより提案と言えるものです。そしてそれは、日常のちょっとした症状には、第一に西洋医学ではなくホメオパシーを使ってみたらどうかという提案です。
(略)

ここで注目していただきたいのは、同協会の公式の回答としてホメオパシーとは西洋医学に「先行してまず第一に」行うべきものであるという「提案」がなされていることですよね。
当然ながら彼らの立場上公式に「西洋医学に関わるな」などと言うはずがないわけですが、彼らの言う「西洋医学を行わない条件」に適合しているのであればまず砂糖玉を使ってみましょうという、ではその西洋医学を使う、使わないの条件と言うのを誰が設定するのかと言えば、素人である本人の主観と同じく素人であるホメオパシー治療師の判断でしかないということです。
彼らがたびたび取り上げる「ホメオパシーが保険医療に取り上げられている国」イギリスなどでは、ホメオパシーを使って良いのは放置しておいてもいいようなごく軽い症状に限られ、本物の病気に対して医師に無断でホメオパシーを使うなと言っているわけですが、これなどもまさに素人が勝手な主観で医者にかからずホメオパシーに流れることのないように保険診療という縛りを入れているわけですよね。

となれば、ホメオパシー第一主義を掲げる同協会としては、どのような時に信者を病院に送るのかという明確なガイドラインがなければ、信者が勝手に主観的な判断で「これはホメオパシー程度で十分なんだ」と誤解したままでいる可能性があるということであって、実際に今回の悪性リンパ腫の事例などまさしくそうした誤解が死という結果にまで結びついた一例だったはずです。
ところが同患者を担当していたホメオパシー治療師は最後まで病院に行けとも何とも指示することなくホメオパシーだけを継続した、そして先日ご紹介いただきました同事件の経緯を問いただす「「あかつき」問題を憂慮する会」の質問状によれば、事後にこんな発言までしているということですから恐れ入ります。

さらに恐ろしいことは、竹沢氏が結局最後まで、Aさんの病状について何も知り得なかったことである。
死後、荒瀬が竹沢氏に面会した際、最初に「彼女は何の病気によって亡くなられたと認識しておられますか」と尋ねたところ、「悪性腫瘍でしょうね」と答えるのみであった。
どこの腫瘍であるかを問うと、「私は医師ではないので医学的所見は述べられない。検査をできるわけではないので、体の中で起きていることはわからない。私はただ、患者さんの望んだテルミーとホメオパシーの治療をしてさしあげるものなのだ」と開き直ったような返事であった。
3月の時点でも、Aさんに会った多くの人が、体力の著しい低下、息切れ、黄疸、むくみに気づいて心配していた。素人でもわかることを、最も近くで見ており、最も詳細に報告を受けていた竹沢氏がわからなかった。それでは諸症状はなぜ起こると考えていたのかと荒瀬が尋ねると、竹沢氏は「治療師的な直感として、好転反応であると見ていた」と回答している。

前述の朝日記者とのインタビューの中で由井会長は自ら「西洋医学を受けるとか受けないじゃなくて、ホルモンがなければ死んでしまう人が、そんなの受ける受けないは関係なくやらなければ仕方がないじゃないですか。それはお医者さんが決めることじゃないですか。」と公言していますけれども、これはこういう風に言い換えることも出来ますよね。

「西洋医学を受けるとか受けないじゃなくて、ビタミンがなければ死んでしまう人が、そんなの受ける受けないは関係なくやらなければ仕方がないじゃないですか。それはお医者さんが決めることじゃないですか。」

まさに今回の事例の最大の論点を由井会長自らが語っているという構図ですけれども、問題は西洋医学嫌いの同会長ですらこうまで公言している「仕方がない」ことが何故今回実施されなかったかということであって、その理由を突き詰めていくと同協会らホメオパシー推進派の方法論(というより、経営戦略?)に構造的欠陥があるということが見えてくるわけです。
例えば開業助産所のお産にまつわる死亡事例で、異常妊娠であるにも関わらず手遅れになるまで助産所が妊婦を抱え込み続けた結果手遅れとなり妊婦が亡くなった、そして何故こんなことになる前に病院に送らなかったのかと問われた助産師がこう答えたとすればどうでしょう?

「私は医師ではないので医学的所見は述べられない。検査をできるわけではないので、体の中で起きていることはわからない」

そもそも正常妊娠のみを扱っていいことになっている助産師として法を犯していることになるわけですから、当然ながらそんな同助産師はしかるべき処分なり社会的非難なりを受けることになるでしょうが、逆にいえばそうした法的、社会的規制のしくみがあるからこそ、なんだかんだと問題点・危険性が多々指摘されながらも開業助産所というものが今なお存続を許されているわけですよね。
イギリスなどで敢えて批判数多かつ効果がないことが公認されているホメオパシーを、保険診療という枠の中に留めている理由の一端も同じところにあるわけですが、日本では今のところ全くそうした公的規制が存在しない、そしてホメオパシーの現場にも協会にも現状のやり方を問題視し、改善しようとする意識すら見られないというところが今回の事件の根本原因でしょう。

「当協会は現代医療を否定してはおらず、現代医療と協力してやっていくという立場をとっており、協会会員に周知徹底しております」という同協会であるのに、いつ、どんな時に現代医療に引き渡すかというその具体的指標を一切示していない、彼らの規約を見ても「病院での検診が必要と判断される場合は、速やかにその旨をクライアントに伝えなければならない」と抽象的に書いているだけです。
ならば必要性の有無についてどんな判断基準があるのかと言えばそんなものは存在しない、そもそも判断する主体となるのは顧客たる利用者はもちろんトップの会長以下、自ら医学には素人で何も判らないと自認されている方々ばかりであるということですから、これはまさに「正常分娩か異常分娩かを判断することも出来ないのに、正常分娩であるという前提で取り扱う」ということと全く同じですよね。
助産師が本業であるお産絡みでそんなことをやれば刑事事件にもなるというのに、同じ人間がホメオパシーに関しては同じことをやっても何らお咎めなしで済むというのでは、これは著しく法的・社会的な正義を欠くということになりはしないでしょうか?

同協会では「協会としては現代医療の必要性について周知徹底しておりますが、万一もし末端において周知徹底されていないという事実があるようでしたら、今後、調査してより一層の周知徹底をはかってまいる所存です」などと言ってお茶を濁していますが、今後どのように周知徹底をしていくつもりであるのか興味が出てきますよね。
末期の悪性リンパ腫となると素人目にも重症感はあったはずですが、経験豊富な治療師的直感としては単に好転反応であると解釈していたそうですから、彼らの素人度は本物の素人以下であると考えて対処する必要があるし、それを指導している同協会としてもそうした前提に立って素人以下でも間違えようのない指針を提示するのが社会的義務というものでしょう。
いっそ今後は同協会も規約を改正して、ホメオパシー療法を希望する方には事前に必ず「あなたの健康には何の問題もなく、ホメオパシー療法にも十分耐えられる」という医師の診断書を持参するよう義務づけるくらいのことをしてくれないことには、社会的責任を放棄していると言われても否定できないんじゃないでしょうかね?

ちなみに、同協会では同じく週刊新潮の記事に関しても反論?を掲載していまして、こちらの方は冒頭にも紹介しました通り元々の記事が批判一点張りという内容でもないだけに、「なかなかいいことを言うではないか」なんて態度も見え隠れしているもののようですね。
反論先の元記事がそんな調子であるだけにむしろホメオパシーの宣伝が中心と言った内容で見るべきところは少なく、「世界中でこんなセレブ達に愛されてます!」なんてずらずらと名前をリストアップしているのは「お前は週刊誌裏表紙の広告か!」と思わず突っ込んでしまいますけれども、中に一点だけ見過ごせない内容が含まれていましたのでチェックを入れておきましょう。

週刊新潮の記事(「ホメオパシー」にハマっている有名人)に対しての見解(2010年8月19日日本ホメオパシー医学協会)より抜粋

週刊新潮記事から引用
「一方、日本ホメオパシー医学協会は、朝日の報道に反発し、見解を公表した。 <ホメオパシー叩きを目的とした情報操作であるように考えられます>」(週刊新潮記事から引用)

今回の週刊新潮の記事では、朝日新聞社科学医療グループのようなホメオパシーならびにJPHMAたたき一色の一方的な記事とは異なり、マスコミでもはじめて、ホメオパシー新聞に書かれたJPHMAの見解がとりあげられました。また、取材を受けたJPHMA提携クリニックの山崎クリニック(佐賀県唐津市)の山崎実好院長のコメントも掲載されています。

週刊新潮記事から引用
「私は西洋医学の医者ですが、現段階ではアトピー性皮膚炎も喘息もアレルギー性鼻炎も治せない。でもホメオパシーによって、そうした慢性的な症状に苦しむ患者さんの状態が明らかに改善されたんですよ」

このようにホメオパシー療法を実際に使った多くの臨床経験がある医師の声を紹介するということは、ホメオパシーの有効性に対して正当な判断を下す適正な材料になると同時に、公正な報道において必要なことであると考えます。

ちなみにこの山崎実好氏は日本ホメオパシー医学協会の日本ホメオパシーセンター佐賀唐津センター長を務めるくらいにどっぷりな方で、産婦人科の先生がどういう経緯で「当診療所では小児への投薬をなるべく行わないという診療方針のもとで外来診察を行っています。そこで治療は、副作用のないホメオパシー療法が中心となります」なんてことになったのかは興味あるところですが、それはともかく発言主が医者として考えると非常に興味深いコメントですよね。
山崎氏が「治せる」という言葉をどういう定義で使っているのか判りませんが、今日の医療では例えば喘息などずいぶんと治療法が進んでいて(まさか同氏はステロイドは全て悪だ!と未だに気管支拡張剤一択なんてトンデモ医師でもないんですよね?!)、多くの症例で発作自体を起こさせないというレベルでの非常に良いコントロールが得られているわけです。
ホメオパシーにおいても「状態が明らかに改善された」患者が中にはいるのかも知れませんが、そんなことは今日の医療ではごく当たり前の話であって、当然同氏も医師免許を持っているくらいですからそんな常識的知識を持った上で「でもホメオパシーもよく効くんだよ」と主張しているのだと想像されますよね。
そうなるとホメオパシーとはそれほど高い効果を誇っていて、世界中にこれだけ信者を抱えている以上は症例を集めるにも不自由はないでしょうから、当然ホメオパシーの奏効率が幾らで通常の医療よりもこれだけ優れているんだというデータをもって語られているわけですよね??

素人が「これで癌が治った!」式の商売をやることは、最悪正しい効果の検証のやり方を知らないからだと言い逃れが出来るかも知れませんが、仮にもエヴィデンスに基づく医療が求められている現代の医療において根拠もなく効く!と主張しているのであれば、失礼ながら一体いつの時代のどんな医学教育を受けたのかと疑問に感じざるを得ません(昭和59年医籍登録ということですから、今50歳くらいの先生でしょうか?)。
ホメオパシーに限らずこうした商売をやっている方々に共通する傾向ですが、いわゆる「私もお勧めします!」と言ってる人たちが揃いも揃ってこういうレベルの方々ばかりというのは、逆にむしろ宣伝上マイナスになっているんじゃないかと他人事ながら心配なんですが、世間的にはそういうところよりは「医学博士(だけど医者じゃない)も推薦!」なんてシンプルな売り文句にばかり目が行くということなんですかね?
最近いわゆる超科学なんてものの検証本をおもしろおかしく読んでいるのですけれども、「根拠とする議論の多くが、時代遅れか、信頼できない文献からの引用か、証明不可能なもの」で「数学が使われることがめったになく、論理的な議論が欠けていることが多い」なんて点は、やはりこういう人たち全般に共通しているものなんだなと改めて思い知った見解ではありました。

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2010年8月19日 (木)

また当直手当ネタかと何気なく見過ごしそうなニュースですが

小児科医過労自殺の件で遺族が病院に損害賠償請求をしていたものの高裁では認められなかったという民事訴訟の件ですが、先日最高裁で「異例の」和解勧告が出されようやく決着したということはすでに紹介した通りです。
特に「日本のよりよい医療を実現するため」だという最高裁の和解勧告の持つメッセージ性が非常に注目されましたけれども、先日の日経メディカルにそのあたりの解説記事が出ていましたので紹介してみましょう。

医師過労自殺、「最高裁での和解」の背景 裁判所主導の異例の結末(2010年8月9日日経メディカル)

 当直勤務は過重だったか否か─。1人の医師の自殺を巡り、勤務医の労働環境について議論されてきた裁判が、最高裁での和解という形で幕を下ろした。なぜ和解での決着となったのか。

 7月8日、うつ病だった勤務医の自殺が、過重労働によるものかどうか争われてきた民事裁判が、和解という形で幕を閉じた。最高裁で和解に至るケースは極めて珍しい

  1999年8月16日、宗教法人立正佼成会が運営する佼成病院(東京都中野区)に勤めていた小児科部長代行の中原利郎氏(当時44歳)が、病院の屋上から投身自殺した。中原氏は、小児科常勤医が6人から3人に減り、月8回の当直と月80時間の時間外勤務を行いながら、部長としての職務も果たし、うつ病を発症した。そのため遺族は、「自殺を予見できなかったのは、病院の安全配慮義務違反に当たる」とし、損害賠償を求めて民事訴訟を提起していた。

 同じ事件で労災認定が争われた行政裁判では、2007年3月に東京地裁で遺族側が勝訴。国が控訴しなかったため、判決が確定している。だが民事訴訟では、07年3月の東京地裁、08年10月の東京高裁ともに病院の責任は認めず、遺族が最高裁に上告受理を申し立てていた。

 自殺した中原氏の妻、のり子氏は上告受理申し立ての理由について、「高裁では過重労働の実態は認定されたものの、病院が夫の自殺を予見できた可能性はないとし、過失は否定された。病院に責任を認めてもらいたかったし、こうした判例が残っては、家族が過労死して労災で争っているほかの遺族にも迷惑がかかると思った」と話す。

裁判所主導だった和解

 今回の和解内容は、病院が中原氏に哀悼の意を示すとともに、700万円を支払うというもの。事件について公表する際には、これまで裁判で認められた事実を前提とし、相互の誹謗中傷はしないこととされた。

 和解文には、病院からの謝罪はなく、過重労働に関する病院の責任にも触れられていない。原告側が上告受理申し立てで求めてきた内容とは異なる。一方、病院側にとっても、地裁、高裁で責任が否定されており、和解に応じなくても最高裁で負ける可能性は低いと思われていた。

 では、なぜ和解に至ったのか。実は今回の和解は裁判所からの強い勧めによるものだった。「最高裁は、より良い医療を実現させる観点から見て判決ではなく、和解が望ましいと考えたようだ」と、原告側弁護団を務めた川人博氏は見解を示す。

 もちろん、裁判所が和解を勧めても、原告、被告双方にその意思がなければ成立しない。その点、原告側は和解文に、「医師不足や医師の過重負担を生じさせないことが国民の健康を守るために不可欠」という文章が入った点を評価。のり子氏は、「病院に謝罪を求めることは、私から放棄し、和解額にもこだわらなかった。過度な対立は望まないという夫の生き方に沿う結論を尊重した」と語る。

 一方の病院側も、争いの場ではなく、和解の席で対面して話をする意義は大きいと考えた。立正佼成会の代理人を務めた弁護士の安田修氏は、「事実を理解してほしかった。和解ならば、相手にこちらの思いを伝えられるし、病院として裁判を引きずることなく診療の最前線に戻れる。双方のためによいと思った」と話す。

 今回の裁判が、勤務医の労働環境、特に当直のあり方について一石を投じたのは間違いない。判決まで至れば、当直の業務過重性とそれに対する病院の責任に1つの“物差し”ができるのは明らかだった。

 最高裁があえて和解というまれな方法を選んだのは、その“物差し”が医療界に与えるインパクトを憂慮したとも考えられる。当直のあり方について、最終的に司法の見解が示されないままに裁判は終わることになった

最後の一行にある「当直のあり方について、最終的に司法の見解が示されないままに裁判は終わることになった」というあたりが今回の裁判についての一つのポイントだと思いますが、要するにここではっきり線を引いてしまうと日本の医療が立ちゆかないからと「空気を読んだ」ということなんでしょうね。
それが医者にとって良いことか悪いことかはともかくとして、最高裁としては自分たちの判決次第でこの国の医療が完全に終わってしまうかも…なんて選択を委ねられるよりは、国なり医療業界なり、あるいは主語のはっきりしない何かなりの努力目標ということにしておいた方が気が楽であると言う事情はあったのでしょう。

この当直業務の違法性ということに関しては過去にも何度も問題になったところで、その背景には法律をそのまま読めば明らかに違法行為であるのに、長年それが常習的に行われているという業界の慣習があるわけですよね。
そしてそれを知っていながら労基署などは見て見ぬふりを続けてきた、それどころか例えば愛育病院の一件などでは厚労省医政局長が病院に「こうやればもっと医者を酷使できるのでは?」なんて「抜け道」を助言したと言うくらいですから、国が率先して医者には人権などありませんよと言ってきたにも等しいということです。
それが最近になって世間の目がようやく医療現場の実態に向くようになり、それに合わせたかのように今さら労基署からも「それ違法」と何十年も黙認されてきた慣習を否定するような指導が入っていますし、奈良の賃金未払い訴訟でも「医者の当直は時間外労働」であるという画期的な司法判断が示されたりと、ようやく少しばかり是正への動きが見られるようになってきたというところなんですよね。

要するに「医者なんて実質年俸制扱いで、可能な限り酷使した方が得だ」という旧来の発想が、「どうせ来年になれば新しい医者が送られてくるんだし」という前提条件の崩壊と共に成立しなくなった、そうした時代の変化に対応出来なかった旧体質の病院では当然ながら医者が逃げ出していき「医者不足だ!国は早く医師強制配置の実現を!」なんて叫んでいるのが医療崩壊という現象の一側面でもあるわけです。
当然こういう状況ですから病院側にしろ医者の側にしろ昔と比較にならないくらい医者の労働環境というものに注目している、言葉を換えればいささか神経質になってきているとも言えるわけで、あちらでもこちらでもニュースになると言えば「○○病院に是正勧告が入った」だの「労働環境改善のために○○を改めた」だのと言った話がほとんどであるわけですが、もちろん例外もないわけではありません。
中でも先日はこんな記事が出ていまして、一見何気ない話のように見えてこれはまた揉めそうな話だなと思いながら拝見したところなのですが、まずは記事を紹介してみましょう。

小田原市立病院が医師に不適切手当 4年で1500万円(2010年8月18日読売新聞)

小田原市は17日、同市久野の市立病院で、緊急処置を患者に施すため自宅などから駆け付けた循環器科の勤務医17人に対し、本来支払う1万2000円の「オンコール手当」ではなく、2万円の宿直手当を誤支給していたと発表した。過払い額は今年6月までの約4年で約1500万円に達し、市は医師に全額返還を求めると共に原因を調査する

 市によると、同病院の循環器科は2006年8月に医師の宿直勤務(午後5時15分~翌日午前8時半)を廃止。代わりに、病院に30分以内に駆け付けられる自宅などに待機するオンコール制を導入した。しかし、その後も宿直手当は変わらず支給されていたという。

 今年7月、「循環器科医が宿直手当を不正受給している」などと書かれた告発文が市などに届き、市は調査を開始。その結果、同科医への過払いが判明した。

市立病院医師17人に宿日直手当過払い、退職者含め4年で計1500万円/小田原(2010年8月17日カナロコ)

 小田原市は17日、市立病院の循環器科医師計17人に支給した宿日直手当について、この4年間で約1500万円の過払いがあった、と発表した。宿日直手当の不正を指摘する匿名の文書が7月、市に郵送されたことから内部調査していた。

 宿日直手当の過払いがあった期間は2006年8月から10年6月までの3年11カ月。対象は循環器科の医師計17人で内訳は在職者6人、退職者11人。過払い総額は約1500万円。

 同病院の宿日直手当は(1)日直(2)宿直(3)オンコール(待機)―の3種類。支給額は(1)(2)が2万円、(3)が1万2千円。

 市によると、内科系病棟には循環器系特定集中治療室(CCU)が置かれ、循環器科医師が宿日直を担当していた。

 しかし、06年7月のCCU廃止に伴い、循環器科医師はCCU分の宿日直がオンコールに変更されたが、翌月以降も宿日直との差額分8千円を差し引くことなく、そのまま支給していた。支給にあたって宿日直手当は(1)(2)(3)と分類されず、合算後の総額だけが明示されているため、不正との指摘を受けるまで過払いに気付かなかったという。

 市は医師や看護師、事務職員など計24人から事情を聴くなどしたが「既に退職した職員もおり、現状では原因を特定できていない」と説明するにとどまっている

 市は、過払いのあった全医師に全額の返還を求める手続きを進めるだけでなく、内部調査を継続して原因の究明を急ぐ一方、医師の宿日直の実態が確認できるような改善策を検討する方針という。

市立病院の宿日直手当 小田原市、1500万円過払い(2010年8月18日東京新聞)

 小田原市は十七日、市立病院循環科医師への宿日直手当支給について、三年十一カ月間で延べ十七人に計約千五百万円の過払いがあった、と発表した。市は退職者を含む医師全員に返還を求める

 市によると、二〇〇六年八月、看護体制充実を図るためCCU(冠疾患集中治療室)を廃止。同科医師は土日の日直と平日の宿直に加え、当番制の自宅待機体制(オンコール)に切り替えた。CCU時の宿日直手当二万円がオンコールでは一万二千円となるが今年六月まで二万円が支払われていた。

 オンコールによる宿日直手当は、同科の当番表に基づき同病院経営管理課職員が計算していたが、市は「中間調査段階でミスの原因が事務方か診療側かは明確ではない」としている。

 この件について、先月と今月、二回にわたり、内部告発とみられる文書が市や報道機関などに届けられたため市が調査していた。 (長崎磐雄)

いきなり返金を求められる医者の側もいい迷惑なんでしょうが、この一件で注目されるのが「内部告発とみられる文書が市や報道機関などに届けられた」云々のくだりですよね。
要するに誰かが循環器科の連中がずるいことをやっている!と主張していた、しかもそれを隠れようのない形で世間に知らせて回ったということになりますが、記事だけを見ていますとこんなものは当番表に基づいて手当を計算していた事務方の初歩的なミスで、現場の医者の知ったことかというのがごく一般的な感覚になるんじゃないかと思います。
ところが単なる事務作業のミスでしょ?と思われる事例なのに市側は原因がはっきりしないと曖昧なことを言う、それどころか東京新聞の記事によりますと市側が「中間調査段階でミスの原因が事務方か診療側かは明確ではない」なんてことまで言っているというのが、何やらそうなってくると気になるところですよね。

ここからは全くの個人的推測ですが、前述のような事情もあって今どきの病院は医者に対して以前より腰が低くなってきている場合が多く、特にこの病院の場合循環器系が一つの中心にもなっているようですから同科の医者の機嫌を損ねたくはないという状況でしょうに、わざわざ市側がこんな微妙な説明をしているのが単なる空気を読まない市側担当者の失言であったのかどうかですよね。
通常こういう話で診療側がミスとしたと考える人間はそうそういないし、おそらく事務の単純ミスでしたゴメンナサイで済ませたかっただろう状況であったのに、敢えて診療側にも責任があるかもと言及する理由があったのだとすれば、例えば「内部告発とみられる文書」には医師側の関与を示唆される具体的な記載があって、それを報道機関側から突っ込まれたため言い逃れ出来なかったという可能性があるのかなとも思います。
いずれにしてももう少し事情がはっきりしてこないことには全て邪推でしかありませんけれども、たとえ完全なうっかりミスで決着したとしても面白くはない話ですし、どう転んでも今後何かしら診療の現場への影響は避けられないような気がするのですがどうでしょうかね?

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2010年8月18日 (水)

どこの業界でも質の維持には四苦八苦しているようですが

司法試験のシステムが変わって法科大学院が乱立した結果、司法試験合格率が極端に低いロースクールが問題になったりだとか、突発的に発生した弁護士余りで弁護士の平均年収がわずか3年で以前の4割水準にまで急降下しただとか、あちらの業界も何かと最近賑やかですよね。
弁護士業界の急変ぶりがようやく社会的話題となってきた中で、先日読売新聞からこんな記事が出ていましたが、御覧になりましたでしょうか。

氷河期の弁護士…司法修習生4割が就職先未定(2010年8月13日読売新聞)

 今年末に司法修習を終える修習生の約4割の就職先が決まっていないことが、日本弁護士連合会の先月の調査でわかった。

 弁護士人口が急増して競争が激化し、法律事務所に新人を雇い入れる余裕がないためで、このままでは多数の新人弁護士が、不安定な独立開業に踏み切らざるを得ない状況だ。弁護士の活動分野を広げる努力も今まで以上に必要になっている。

 「もう70以上の事務所から採用を断られた」。弁護士希望の男性(34)は、昨年の司法試験に合格し、司法修習が終わる今年末以降の開業を目指すが、就職のめどが全く立たない。

 男性が思い描いていたのは、首都圏の法律事務所に入り、固定給をもらいながら、事務所が引き受けた案件を先輩弁護士とともに担当する「イソ弁(居候の弁護士)」。事務所で数年間経験を積み、取引先を開拓したうえで独立すれば収入の心配もないはずだった。

 男性は、「事務所の場所だけを借りる『軒弁(のきべん)』も考え始めた」という。これだと固定給は支給されず、依頼人探しも事務所は頼れない。法科大学院の奨学金など700万円以上を返済しなければならず、不安は募る。

 この男性と同期の司法修習生(約2000人)を対象に日弁連が先月調査したところ、回答した約1200人のうち43%の就職先が未定で、昨年の同時期の30%を大きく上回った。最終的に「イソ弁」「軒弁」にもなれず、いきなり独立開業した弁護士は昨年末の司法修習終了者で58人。日弁連は、こうした「ソクドク(即独)」の新人弁護士がさらに増加すると予想する。

 就職難の背景には、弁護士の急増がある。2000年以降、「国民への司法サービスを充実させる」とした司法制度改革で法曹人口の拡大が図られ、司法試験合格者は年間約1000人から2000人台に倍増。今年3月末の弁護士数は2万8789人で、10年前の1万7126人から1万人以上も増えた。日弁連の高橋理一郎副会長は「先輩からの指導がないまま開業するケースが増えると、市民の権利を守るという点で支障が生じる」と話している。

司法試験に通ったばかりで経験もない新米弁護士がいきなり借金を抱えて独立開業する、そうせざるを得ない状況に追い込まれつつあるということ自体がすでに恐ろしい話ですけれども、問題はそれが何を意味するかということです。
せっかく弁護士が増えたんだから田舎の自治体がある程度補助金を出してでも「おらが町の弁護士」を抱え込んで市民の用に供する、なんて話ならまだ健全で救いがありますが、多くの過剰人員は恐らく都市部で少しでも仕事がないかと徘徊しているはずですから、その結果多少?ヤバ目の仕事にでも手を出す人間が増えてくるのは当然ですよね。

日弁連、「過払い金」返還請求で規制強化へ(2010年8月14日産経新聞)

 払い過ぎた金利を貸金業者から取り戻す「過払い金」の返還請求で、債務整理を行う弁護士が法外な報酬を得たり、過剰な広告宣伝を行うなどの問題が多発していることを受け、日本弁護士連合会が規制強化に乗り出すことが13日、分かった。

 現在のガイドラインに強制力がないため、懲戒も科せる「規程」に格上げする。19日の理事会で詳細を詰め、弁護士業務の手数料などについて「原則、規制しない」とする公正取引委員会が規制強化を「独占禁止法違反に当たる」と判断しないよう調整に入る。日弁連は今年度内の臨時総会で承認したい考えだ。

 債務整理をめぐる顧客と手続きを代行する弁護士のトラブルが増えたのは、平成18年の最高裁判決による「グレーゾーン金利」の廃止がきっかけだ。「過払い金」の返還請求が急増した結果、日本貸金業協会によると、返還額など業界全体のコストは19年に約8500億円、20年に1兆120億円を超えた

 請求が増えるにつれ、顧客から「戻った金額が少ない。弁護士の手数料が高い」といった苦情が増加。昨年11月、全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会が行った電話相談によると全国から130件近い相談が寄せられた。今年3月、日弁連は債務整理事件に関するガイドラインを改正。弁護士に顧客との個別面談を義務づけ、手数料を説明するよう求めたが、実効性が課題になっていた。

 同様のガイドラインを5月に改正した日本司法書士会連合会も、懲戒を含む規制強化を検討している。

訴訟大国アメリカなどでは「弁護士=金の亡者」的なイメージが定着しているようですけれども、日本でもとうとうそんな社会になってきたのか?とも思わせるような記事ではありますよね。
ただここで注目していただきたいのが、2000年以降の一連の司法制度改革からわずかばかりの短期間で弁護士業界がこれほどの激変にさらされているということ、そして何よりこれだけ弁護士過剰だと大騒ぎされながら、未だにアメリカは元より欧州主要国より弁護士の数としては少ないという事実ですよね。
もちろん将来国内需要に対して非常にバランス良く弁護士が配置されるような安定的状況になればもう少し違ってくるのかも知れませんが、とりあえず少ないなりにバランスを保っていた弁護士業界にとっては一連の弁護士急増政策は、経済的にもモラル的にもかなり破壊的な衝撃となったとは言えるかと思います。

さて、今や有資格の専門職を急増させてみたら一気にワープア化したなんて話はあちこちから聞こえてきますけれども、難関をうたわれた医学部の世界においてもこのところの定員急増や地域枠等の特別枠導入によって入試難易度が降下中であるとか、医学部大量留年が問題になったりとかいった弊害が出てきているところで、やはりこちらも質をどう担保していくかは課題となりそうですよね。
別に多少試験の点数が低かろうが志のある学生が大勢来てくれた方がいいじゃないかという声もあるかも知れませんが、先の弁護士業界の例にも見られるように難関専門職における急な定員増加というと懸念されるのがモラルの低下というもので、安かろう悪かろうではいくら頭数が増えてもかえって医療のレベルが低下してしまうという危惧があるわけです。
そもそも地域枠というものは卒業後地域医療に従事するということで入試でもある程度優遇すると共に在学中の学費を支援する制度ですが、裏を返せばお金で将来を縛られるという現代の人買い制度でもありますから何とか義務逃れを図りたくなるのは人情としても、中にはちょっとした裏技的な逃げ道を使っているという事例もあるようですね。

医学部の地域枠、16大学で定員割れ…読売調査(2010年8月17日読売新聞)

 地域の医師不足解消を目的に、ここ数年急増した医学部の地域枠が、16大学で2010年度、定員割れだったことが読売新聞の調べでわかった。

 地域枠全体の定員から見ると9割以上確保できたが、地域によって明暗が分かれた。

 地域枠は主に、地元出身者を対象に推薦などで選抜し、奨学金と引き換えに一定期間の地域勤務を義務づける場合が多い。文部科学省によると、07年度には79大学中21大学(定員計173人)だったのが、地域の医師確保策として、10年度には(入学後に希望者を募る方式も含む)65大学(同1076人)に急増。医学部の全入学定員(約8800人)の1割以上を占める。

 調べでは10年度、16大学で募集定員に満たず、不足分は計80人だった。不足分は一般枠の合格者を増やすなどして対応していた。長崎大では5人の地域枠に3人しか志願がなく、合格者はゼロ。宮崎大では10人の枠に24人が志願したが、センター試験の成績が合格ラインに達せず、合格者は2人だった。定員通りの合格者を出したが、入学を辞退され結果としてゼロという大学があったほか、定員には達したものの、合格後に奨学金を辞退した例のあった大学が複数あった

 入学定員(約110人)の半分近くを地域枠に充てている旭川医大は、募集50人に合格者は22人だった。吉田晃敏学長は「地域枠は、地元の学生を大切にしているメッセージとして意義がある。今後も続けたい」と、11年度から合格基準を引き下げて確保に努める考えだ。

 医学教育に詳しい平出敦・近畿大医学部教授は「入学前に地域勤務を約束させるより、入学後に地域の現場を体験させて、希望者を育てることが大切ではないか」と指摘している。

地域枠が埋まらないこと自体は人生の選択ですから、おいそれと一時のお金で他人に人生を売り渡してはならないと考える真っ当な学生が多いということの現れなのでしょうが、問題は地域枠に応募する学生=通常の入試では合格ラインに達しない水準の学生という構図がすでに出来上がっていること、そして何とか水増しして合格をさせたものの奨学金供与を辞退された例が結構あるという点ですよね。
一見するとせっかく地域枠で合格したのにもったいないと思うかも知れませんが、いわば地域枠の低い合格ラインだけを利用して入学した上で、奨学金供与による将来の勤務地縛りという義務だけは回避しているのだとすれば、これは制度の盲点を突いてなかなかうまい裏技?を考えたものだと率直に感心しますが、世間的にどう受け止められるかでしょう。
今後こういう「おいしいとこ取り」のケースが増えてくるようですと何かしらのペナルティ(最悪、合格取り消し?)なども検討されるようになるかも知れませんし、医学生の試験の点数がいくらか下がるくらいならともかくせっかく地域枠まで作ったのに医者は来ないとなれば、世渡り上手ばかりが医者になってくれても困るなあと考える国民も結構いるかも知れないという視点は持っておくべきなんでしょうね。

いずれにしても未だ現場では医師余りなんて状況にはないし、仮にそうなるとしても少なくとも数年先以降となりそうですが、すでに医学教育を行う大学の側ではそろそろ学部定員増加はキャパシティー的にも質の維持的にも限界だという声が上がり始めているようです。
そうなると医師不足の現場にどれくらい行ってくれるか判らない盲目的な学生の数的拡大はもうこれくらいにして、これからは少しでも臨床現場で役立つような使える人材をどう育てていくかということが重要じゃないかという声もあって良いと思いますが、医学教育を担当する側からこんな意見が出ているという話を紹介しておきましょう。

マジに(2010年8月14日ブログ記事)

東京居残り組の友人の教授2名と、いとものPetit飲み会ならぬGuchi飲み会。

その際、「看護師の医大へ入れる補助制度」の話しを切り出し、
自分の考えを長々と説明
(中略)
最初はそれは無理だと言っていた二人も、最後はやってみようかと説得
名前も仮称ながら「ドクトル・ナース・プロジェクト」

その理由は、

1.大学病院(含む系列)で働く看護師の目標となる。
2.院内推薦とすることにより、看護レベルの向上が期待出来る。
3.試験内容は簡単な筆記テストと教授会の3回ほどの面接(これまでの勤務評価と面接が主)。
4.定員は3名として、2名は大学病院&系列病院、1名は公募。
5・待遇は入学金、学費免除。別途MBIの奨学金給付を依頼予定。

4番の公募としたのは文部科学省の関係で学長推薦が関係先だけだと難しいため。
5番のMBIの奨学金は元々専門医教育で海外留学する際の給付。今回、その転用を
お願いしてみる事に

出来るか、出来ないか?
判りませんが、やらねば始まらないとのことで
休み明けから、全員(でもたったの3名)でプロジェクト始動。

真夏の夢で終わらないように
頑張らなくては

「大学病院で働く看護師の目標となる」よう院内推薦とするというくらいですから、基本的に大学病院にいるような看護師をターゲットにしているんでしょうが、その時点でどうだかねえ…と首をひねりたくなる人も大勢いるのやも知れず、ですかねえ?
ブログ主のBlackJack先生がどれほど本気で言っていることかは判りませんけれども、下手に入試の偏差値だけで使えるかどうか判らない学生を取るくらいなら、ある程度現場で使えることが判っているコメディカルスタッフからでも引き抜いた方がマシじゃないかという意見が世に一定の支持を得ているらしいことは、例えば特定看護師制度が導入に向けて着々と話が進んでいることを見ても判りますよね。
特に最近では高い技能や知識を持っていても「いやもう俺は老健管理者でいいや」なんて先生も増えていますから、それだったら多少個々のスペックは低めでも確実な実働が期待できるメンツで固めた方が、現場の医療の質を保つという意味ではより有効だも言えるでしょうから、そもそも質が高い、低いと言う場合の質とは単に個人の質か、それとも組織としての質かという議論もまた必要なのでしょうね。

個人的に考えるところではひたすら個々の医者に求める質的要求水準を高めるばかりですと、いずれ普通の人間にはおいそれと手の出せない特殊な人々の業界になってしまいかねない危惧もあって、今後当分の間医療への社会的需要は増える一方だろうと予想される中で、ごく例外的で特殊な人間にしか関われない閉鎖的な業界になってしまうというのは非常にリスキーな話だと思います。
例えば医療事故などの原因を調べていくと、最終的にもっと高いレベルの注意を払うべきだったなんて結論に陥りがちですが、本来であれば人命がかかってバタバタしている余裕のない現場でも取り間違えることのないような平易なシステム構築をこそ目指すべきであって、その意味で現場にちょっと危なっかしい人々が大挙して押しかけてくるというのは業界内部の構造改革を図る好機でもあるはずなんですよね。
個々の能力が粒ぞろいで大抵のことには対処できてしまうが故に、日常的にちょっと働きにくいんだけどまあ何とかなるからと放置されてきたところがあちこち見直されるようになって、慎重に意識を集中してやっていた作業が鼻歌交じりでこなせるようになれば、それだけでも平均的な医療の質というものはずいぶんと上がりそうに思います。
何より優秀なスタッフにしてもそんな職場の方がストレスなく気分良く働けるだろうということは想像できるところで、こういう外圧もうまく現場の状況改善に結びつけられるというのであれば、決して悪いことばかりではないということですかね。

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2010年8月17日 (火)

次第に強まるホメオパシー包囲網 しかし何故今になって?(追記あり)

先日「Not so open-minded that our brains drop out.」さんの「やる夫で学ぶホメオパシー」を4まで読んでいまして、ホメオパシー信奉者になってしまったやる夫がいよいよ反撃か?!と思っていましたら、あっさり論破されてしまい最改宗というのは豹変の度も過ぎるんじゃないかという気がしますが、こういう素直な方々ばかりなら話は簡単だったのだろうなと思います。
もちろん実際の信者の方々はと言えばそう単純なものでもないのは当然で、たとえば「NATROMの日記」さんあたりは以前から熱心に啓発的な記事を書いてらっしゃいますけれども、信者の方に言わせるとその内情はこういうことになるんだそうです。

NATROMの日記を書いている最低な医師グループ達。 (2010年3月19日ブログ記事)より抜粋

NATROMの日記と言うブログを書いている内科医グループが、シモンチーニ博士も含め、代替医療のすべてを徹底的に批判しています。

彼らは、数名の医師達のグループ、若しくは、内科医と称している免疫療法などのベンチャー会社のグループが、癌で設けるために、目の上のタンコブになりそうなすべての代替医療を目の敵にしているグループであるといわれています。
コンピューター技師などにお金を払い、癌を治してしまう可能性の強い代替医療に関しては、徹底的に悪く書くという手法を使用しているそうです。

がん患者の中では、有名な連中です。
こんな事をしたら、ますます、医師や医療関係者が代替医療やシモンチーニ博士の治療を恐がっているという事が見え見え状態で、かえってシモンチーニ博士の治療方法に効果がありそうな感じがしてきます。
(略)

いやいやいや、わざわざコンピューター技師などに外注?してまでブログをやっている人間もそうそういないでしょうけれども、逆にこうまで電波ゆんゆんだといったいどこから突っ込んでいいものやら迷うところですよね。
いちいち全部を引用しませんけれども、こういう人たちが決まって取り上げる「ある医師はこう言った」式の証言を見ても、どう考えてもまともな医者の発言とも思えないだけに、こういうものは類は友を呼ぶと言うのか、あるいは朱に交われば赤くなると言うのか、いずれにしてもお仲間同士で手に手を取り合って斜め上方向に全力で疾走中ということなのでしょう。
ただご本人達はそれで満足だとしても、周囲の人間がどうかというのはまた別問題であるわけで、このホメオパシー問題に関しては何より今回の事件のように、無抵抗で拒否の意志も表明できない子供が親の信仰の犠牲になったということが救われないというのは多くの方々が指摘するところで、そうであるからこそマスコミもとうとう批判記事を出してきたということなのでしょう。

ホメオパシーを巡る問題(その4) 赤ちゃんは治療法を選べない(2010年8月13日朝日新聞アスパラクラブ)

東京本社科学医療グループ  岡崎明子

みなさん、長野剛記者のブログにたくさんのコメントをありがとうございます。
8月5日付の朝刊「『ホメオパシー』トラブルも 日本助産師会が実態調査」の記事と、 11日付の朝刊「代替療法ホメオパシー利用者、複数死亡例 通常医療拒む」の記事を長野記者と一緒に取材した岡崎明子です。

助産師の間でホメオパシーが広がっている
そんな話を聞いたのは、代替補完医療の科学的根拠について研究しているある大学の先生との雑談でした。山口市の助産師の訴訟については知っていましたが、それは特異なケースだと思っていました。

助産師がかかわる「自然なお産」は、ちょっとしたブームです。
会陰切開をしない、ベッドの上にこだわらず、自分の望んだスタイルで産む――
雑誌で特集されたり、芸能人がインタビューにこたえたりしているのを読むと、産科医が管理する病院での出産は、自然の摂理に背くことのように思えてしまいます。複数の友人に「いい助産院、知らない?」と聞かれた経験もあります。

確かに、戦後しばらくまでは自宅の布団の上で、「産婆さん」の助けを借りて産むのが普通でした。しかし、そのころの新生児死亡率は、現在の死亡率と比べると20~30倍も高いのです。出産の時間さえも決めてしまう病院の行き過ぎた管理出産には私も反対ですが、リスクの高い出産でも「自然なお産」にこだわるのはどうかと思います。

話が少しずれてしまいましたが、「自然なお産」の流れに、ホメオパシーの言う「自然治癒力を高める」というキャッチフレーズは、大きな親和性があるのでしょう。日本助産師会への取材でも、ホメオパシーを実践しているのは、比較的若い助産師が多いとのことでした。

日本助産師会のスタンスは、「ホメオパシーを含む代替補完医療を全否定はしないが、通常医療を行わないのはおかしい」というものです。実際の現場でも、妊産婦さんに「ホメオパシーではこういうことを行う。通常医療ではこういうことを行う」と選択肢を示した上で、本人に選んでもらうとのことでした。

でも、ホメオパシーを信じている助産師からの説明は、公平でしょうか。その説明を受けた妊産婦さんが、いわゆる自然なお産を志向していれば、ホメオパシーを選択してしまうのは、容易に想像がつきます。

日本助産師会の機関誌の8月号では、特集記事として「産科における代替医療を考える」が掲載されています。この中で、ある助産師がホメオパシーを薦める原稿を載せており、こんな一文で締められています。
ホメオパシーと助産師ケア、その考え方の根拠にあるものが共通だから、助産師はホメオパシーに惹かれてしまうのではないかと思います」

赤ちゃんは、治療法を選べません。
日本助産師会は根本的に、この問題に対処すべきではないでしょうか。

別に大人の信者はどうでもいいと言えば言い過ぎなんでしょうが、世の中様々な思想信条があって身体に悪いと判りきっている酒やタバコも熱心な信奉者には事欠かないわけですから、自己判断能力があると見なされる大の大人が最終的にどうなろうが結局は自己責任だとは言えるかも知れません。
しかし「こどものおいしゃさん日記」さんがすでに2005年の段階で予防接種忌避問題に関連して、ワクチン接種の「1番目の目的は、「我が子を殺人者にしないこと」」であり、「麻疹で死んだ子がいれば、その子に麻疹をうつして殺した人」がいるのだと看破しておられるように、ホメオパシー問題でも否応なく命を奪われてしまうのは信仰と無関係なはずの子供であり、殺人者になるのは騙した側ではなく騙された親となるわけです。
そうであるからこそ仮にも一応の専門的知識を提供することが求められている助産師が、今回積極的に子を殺し親を殺人者にしてしまったことこそが最も責められるべきであって、助産師会は「当該助産師が補完代替医療の一つであるホメオパシーによる効果を過大に期待したため」などと、半端なコメントでお茶を濁すようなことをしていても仕方がないと思うのですけれどもね。

いずれにしても朝日新聞が今回妙にやる気を見せているらしいということはすでに各方面でも注目され始めているようで、例えば毎日新聞などにもこんな記事が掲載されているようです。

きび談語:朝日新聞の長野剛記者がホメオパシーという… /岡山(2010年8月13日毎日新聞)

朝日新聞の長野剛記者がホメオパシーという代替医療行為について、科学ベースの批判記事を書き続けている。すごい仕事で尊敬している。ただ忘れてはいけないのは、インターネットではかなり以前からこうした批判が出ていたことだ▲例えば「NATROMの日記」を読んでほしい。ネット上には良質な専門的知識がそこかしこに点在している。私は、記者の取材力と読者の専門知を結びつけることが次世代の新聞に必要だと思う。長野さんの記事に『次』を考えるヒントがある。【石戸諭】

地方版などでは結構呉越同舟的にライバル紙同士の相乗りは珍しくないことだと言いますが、こうまで直接的に他紙ヨイショの記事というのも珍しい気がしますね。
しかし逆に考えればずっと以前からネット上では批判が噴出していて、良質な専門的知識がそこかしこに幾らでも点在もしている、要するにどんなド素人でも書きたい放題の材料が一式揃っていたというわけなんですが、じゃあなんで取材力を誇る毎日さんはずっとだんまりを決め込んでいたのか、マスコミの使命を忘れた単なる怠惰でなければいったいどんな圧力が…?と余計気になるような話ではあるのですけれどもね(苦笑)。
毎日新聞としても今さらながらに放置は出来ないと考えたのか、ホメオパシー問題のQ&Aなども出してきたのはいいのですが、どうもその内容を見てもどこか歯に物が挟まったような言い回しと言いますか、何かしら遠慮でもしているのか?と言いたくなるような気がするのは自分だけでしょうか?

一方で日経などもネット媒体ではこんな記事を出してきていますけれども、現代医療への反発やら助産院問題とも絡めてなかなか意欲的な記事です(陣痛促進剤問題との関連はもう少し突っ込んで見た方が面白かったのでしょうが)。
視点としては前述の朝日の記事にも見られる「自然なお産を主張する助産師とホメオパシーとのシンパシー」ということに着眼しつつ、やはりその自然回帰とは果たして良いことなのですか?問いかける内容で、少し長いのですが引用してみましょう。

ホメオパシーと自然なお産の奇妙な関係(2010年8月16日日経BP)

 今回は電子書籍と図書館の関係を書く予定だったが、以前に新型インフルエンザに関係して解説したホメオパシーの問題が急速にクローズアップされてきたので、話題を変更することにする。

 事の発端は、1つの裁判だった。乳幼児を亡くした母親が、助産師を訴えたのである。

 昨年10月、1人の乳幼児が脳内出血で死亡した。新生児は血液凝固を助けるビタミンK2を体内で十分に生成できない。そのままでは、新生児 2000~4000人に1人の割合で頭蓋内出血などが原因で死亡する可能性がある。そこで厚生労働省は、新生児には生後1カ月以内にビタミンK2シロップを3回服用させることとする指針を出している

 乳幼児は病院ではなく助産院で生まれた。そこの助産師が、ホメオパシーの実践者だったのである。助産師はビタミンK2シロップの代わりに、ホメオパシーのレメディ(独自の薬剤)を投与し、母親には「同等の効果がある」と説明したのだという。母親は、助産師を相手取り、山口地方裁判所に損害倍総請求の訴えを起こした。

 ホメオパシーのレメディとは、様々な物質をその物質の分子が1つも残らないほど希釈して、糖に染み込ませたたものだ。そのようなものが、ビタミンK2の薬効を示すはずもなく、結果として乳幼児死亡事故が起きてしまったのである。

 この問題は、読売新聞と朝日新聞が積極的に報道を続けている。それら報道によれば、助産院の現場にはすでにかなりの割合でホメオパシーが浸透しているという。

信じてはいけないホメオパシーで解説したように、ホメオパシーはプラシーボ(偽薬)でしかない。洗練された手法を持つものの、それは西洋における「イワシの頭も信心」というべきものであって、イワシの頭を拝む以上の薬効はない

 ここでは、「西洋イワシの頭も信心」であるホメオパシーが、なぜ助産院で広く受け入れられたかということを問題にしたい。

助産院は正常分娩のみを扱う施設である

 現在、出産は病院か助産院で行うのが普通だ。助産院というものは、医療法の定める、不特定多数の妊産婦の保険指導や分娩を行う施設だ。施設の管理者は医師ではなく助産師である。

 助産師は医師ではないので、医療行為は法律で禁止されている。扱えるお産は正常分娩のみで、逆子などの危険な分娩を扱うことはできない。出産時に異常が発生して医療行為が必要になった場合、助産院は連携している産婦人科医院や総合病院・大学病院などに妊婦を搬送する。

 様々な助産院のホームページを見ていくと、そこには妊娠適齢期の女性の「自然なお産」というニーズを、助産院が満たしていることが分かる。例えば、ある助産院のホームページには、こんなことが書いてある。

    「自然なお産とは、いろいろありますが、医療介入をなるべく少なくした、母親自身と、赤ちゃんの産むチカラを、最大限に引き出したお産のことをここではいいます。」

 女性には本来的に子供を出産する能力が備わっている、というわけだ。

 「自然なお産」という考えには、当然裏返しの「自然ではないお産」という概念がある。端的に言えば病院での出産だ。特に忌避されるのは陣痛促進剤による計画分娩である。「医師の勤務時間内に、機械のように出産させられるのはいやだ」というのが、妊婦たちを助産院に向かわせる大きな要因のようである。「産ませられる」のではなく「自分で産むという実感を持ちたい」という意識が、助産院での「自然なお産」を望む根底にはある。

 では「自然なお産」の実態はどのようなものか。それは歴史に聞けばいい

かつて出産は命がけの行為だった

 厚生労働省が出しているわが国の妊産婦死亡率(出産10万対)の年次推移(pdfファイル)という資料を見てもらいたい。1900年ころは出産10万回に対して400人以上の妊婦が死亡していた。それが時代を経るに従って急速に下がり、1980年代には20人を切り、2007年には3.1人にまで減少している。

 近代医学が不十分で、あまりお産に関与できなかった時代、つまりは「自然なお産」が当たり前だった時代、お産は命を賭けねばならない危険な行為だったのだ。

 なぜ危険なのか。それは人体の構造が不完全だからである。
(略)

自然は決して人間にとって心地よいだけのものではない

 老荘思想の「無為自然」をはじめとして、人工を廃した自然の中に真理があるという考え方は、古代から根強い。しかし、自然の中に真理があるとしても、それが人間の生存にとって良いものか、人間の感覚にとって心地よいものかとは別問題である。

 ひとたび山に入れば、あるのは爽快な山歩きの感覚だけではない。毒を持つ草やキノコは多いし、ヒルに吸い付かれることもあるし、場合によってはスズメバチに襲撃されることだってある。安全なはずの家庭にいても、蚊やハエ、ゴキブリは遠慮無くやってくる。これらの昆虫はすべて大自然の一部である。

 そもそも私たちは自然災害という言葉だって持っている。台風も自然だし、竜巻も自然、大雨も強風も河川の増水も崖崩れも自然だ。火山の噴火も自然だし、夏の肌を灼く太陽からの紫外線だって自然だ。さまざまな細菌やウイルスもまた自然だ。コレラもペストも自然だし、新型インフルエンザだって自然である。

 人が作り出した災厄である原子爆弾だって、主成分の一つはウラニウム235、つまり自然に存在する元素である。もう一つの主成分であるプルトニウム239は人工的な手段で作り出されるが、そのプロセスは核物理学という自然の摂理に従ったものだ。

 このように考えてくると、「自然なお産」という言葉の意味は、いわゆる「自然」とはあまり関係のない、「自分が産みたいように産む、しかも安全・安心のうちに」という産む側のニーズであることが分かる。しかし、すでに述べたように、自然が作り上げた人体は、本質的にお産を危険なものとする設計となっている。

 そして、妊産婦死亡率の統計が示しているのは、近代医学がお産を安全なものにしようと100年以上も奮闘を続け、ほぼ目的を達成しているという事実である。

ホメオパシーがもたらす「根拠のない安心」と「根拠のない安全」

 ここまで考えてくると、「自然なお産」という言葉の示す、「自分が産みたいように産む、しかも安全・安心のうちに」という妊産婦のニーズに対して、ホメオパシーは何を提供したのかが、問題の根幹であることが分かる。

 その答えは「安心感」であろう。ホメオパシーは、徹底的な希釈という特徴を「だから安全」「効き目が穏やかで安心」と説明する。それが、陣痛促進剤による自分の体調と無関係の出産を経験した経産婦にはかなり強力にアピールするようだ。

  しかし、ホメオパシーの本質がプラシーボである以上、その安心感はあくまでプラシーボ程度の「根拠のない安心感」であり、提供するものは「根拠のない安全」なのである。

 通常の出産において、その根拠のなさが表面化することはまずない。ビタミンK2シロップを投与しなくとも、3999~1999人の赤ちゃんは健康に成長する。1900年においても、10万人中9万9600人の妊婦は出産を乗り切っていた。現在はそれが9万9997人だ。そこに、ただの水を染み込ませた砂糖玉を「効き目の穏やかなレメディ」として紛れ込ませても、問題が起きる可能性はごく低い。レメディは薬効あるものとして相応の価格で販売でき、カスタマーである妊婦は精神的満足を得て感謝するのだから、ビジネスとしては悪くないとすらいえる。

 しかし、ひとたび我が子を失うような事態になれば、「4000人中3999人は安全だから」というのは何の言い訳にもならない。我が子を失った母親にとってはそれがすべてだからだ。「あなたの子供以外の3999人の赤ん坊が健康に成長する」という事実は、何の慰めにもならない。

 私は、「陣痛促進剤で産ませられるのはいやだ」という妊産婦の願いを無視していいとは思わない。

 病院側としても、単に効率で考えているわけではない。ただでさえ足りない産婦人科医のシフトの中で、最も安全な出産手法を考えて、陣痛促進剤を使ったお産を選択している。それでも、産むという行為が女性にとって全存在を賭ける重大事である以上、妊産婦の精神的満足もまた重要だ。そのニーズを正常分娩に関しては、助産院が引き受けるというのは意味あることだと思う。

 しかし、助産院が提供する精神的ケアの中に、ホメオパシーという「西洋のイワシの頭も信心」が紛れ込み、無意味に潜在的危険性を助長する事態にははっきりと反対する。

 ホメオパシービジネスは、助産師を対象とした資格商法で、かなりの収益を上げているようだ。資格取得に多額の経費を注ぎ込んでしまった助産師が、引くに引けなくなってしまい、「まずい」と思いつつもホメオパシーを出産の現場に適用し続けることを、私は憂慮する。

助産師がなぜこうまでホメオパシーにはまるのかということは色々と諸説あって、例えば開業助産師にとっては現代医療の範疇に留まっている限り助産師は何ら医療的な行為は行えないという法律上の縛りがある、そこへホメオパシーなどという自分の裁量で幾らでも治療(らしき行為)を行えるのが魅力的であるからだという説も根強くあります。
しかしそうした「わたしってこんなにすごいのよ」的自己満足で患者側に根拠のないものを提供し、何かあれば否定していたはずの現代医療に丸投げで尻ぬぐいをさせるというのであれば、これは世の産科医の先生方が一部のカルトな開業助産師らと嘱託関係を結ぶのを嫌がるというのも当然ではありますよね。

ホメオパシーに限らずこの種の代替医療推進派の方々は、非常に稀な副作用を取り上げ「だから現代医療は危険なのよ!」と強調してみせる一方、ほとんど治療効果云々と関連性のなさそうな例外中の例外のような症例を取り上げて「ほらこんなに代替医療はよく効くのよ!」なんてことを言いますけれども、決して奏効率などの具体的数字を挙げてということはしませんよね。
こういうものの効果があるのか無いのかは未来永劫決着がつかないのかも知れませんが、とりあえず言えることは現代医療と言うものは少なくとも一部領域では結構高いレベルに到達していて、大昔ながらの天然自然のやり方に比べるとすでに文字通り桁違いの成果を収めているという事実があるわけです。
要するに手元になけなしのお金があってこれをどう運用しようか、高利率で堅実な投資先はどこだろうかと資料を見比べて検討している時に「いや宝くじなら一攫千金、一等前後賞が当たれば三億円だよ」といきなり運を天に任せて全額ぶっ込めと勧めてくるような連中が果たしてまともか?と言うことですよね。

何千人に一人くらいはホメオパシー愛用者の中にも「奇跡」が起きることはあるかも知れませんが、そんなものは男性雑誌の裏表紙の「私はこれでセイコウしました」なんて怪しげなアイテムの広告と同じようなものであって、うっかり引っかかってお金をどぶに捨てた人の方が大多数であってコストパフォーマンスはタンス預金にも遙かに及ばない、しかもその場合なけなしの元本もあっさり消えてしまうわけです。
もちろん何とかストーンを四六時中身につけていたところで特に有害なことはないのかも知れませんが、一方でかなり高い確率でうまくいくとデータが出ている方法論が身近に存在しているのであればまずはそちらを試してみて、それでもどうしても駄目だとなってから改めて一か八かにチャレンジする方が、単に効率のことだけを考えてもよほど頭が良いやり方だろうという話ですよね。
最終的に満足を得ることが目的となる末期癌などはまた別の話かも知れませんが、少なくとも周産期に関して言う限りにおいては現代医療と「自然そのまま」との間にはそれだけの圧倒的な格差があるわけで、敢えてハイリスクローリターンな方法論を選ぶという方々は「自然ってやっぱり素敵」という自分のひとときの満足感のために、いったい何をドブに捨てることになるのかと言うことをもう一度考え直さなければならないでしょう。

もっとも、オレオレ詐欺なんて怪しいものにも引っかかる人間が未だに後を絶たないのと同様、古来世の中に詐欺のネタが尽きたことなどないわけですから、現実問題こうした事例も今後いつまで絶っても消えてなくなるということはまず考えられないでしょう。
そうであるからこそ少なくとも有り金全てを失って一家心中なんてことにだけはならないよう、最低限の救済策なり公的規制というものが必要なんじゃないかという話であって、長妻厚労相も「厚生労働省といたしましてもこれまで以上に、その効果も含めた研究というのに取り組んでいきたい」なんて悠長なことを言っている場合ではないと思うのですけれどもね。

  *  *  *

以下、追記ですけれども、ホメオパシー医学協会から再び朝日新聞の記事への反論文が出ています。

【参考】8/11付 朝日新聞の誤解を招く報道に対しての見解

今回とりわけ内容がアレで、今までは一応ソースを挙げて論理を構築しようと見せかけている気配はありましたけれども、もはや文字面を追っての屁理屈をこねているようにしか見えないというのはネタが尽きたということなんでしょうか。
いちいち突っ込んでも仕方がないんですけれども、下記の部分のあまりに的外れな反論に関してはよほど国語の読解力に不足しているか、あるいは思い切り痛いところを突かれて敢えて論点ずらしを試みているのかのどちらなんでしょうね?

2010年8月11日、朝日新聞東京本社 科学医療グループ 長野剛、岡崎明子記者
(4)「さいたま市では昨年5月、生後6カ月の男児が体重5千グラム前後の低体重のまま死亡した。両親は助産師の勧めでホメオパシーに傾倒。市によると、 病院での男児のアトピー性皮膚炎の治療や予防接種も拒否していたという。市児童相談所は、病院の受診拒否などを虐待と判断。保健師の指導で男児が4月に入 院した際、両親が連れ戻さないよう病院に要請していた。男児は5月2日に死亡した。」

本ケースは司法解剖も行われており、事件性がないことが明らかになっています。すなわち、乳児の死亡とホメオパシーの因果関係がないことはもちろん、虐待 もなかったということが判明しています。このようにホメオパシーと関係のないことをあたかもホメオパシーとの関連において死亡したかのような印象をもつよ うに記事全体が構成されています。
 
このケースは、児童虐待の事実がしっかりと確認できない中、虐待の通報が児童相談所になされ、その延長線上で、一方的に母子が引き離された後に容態が急変 し亡くなった事例です。まだ赤ちゃんなのですから、突然母親と引き離されてしまったらやっぱりとても不安で恐怖になったと思うのです。母子が一緒にいるこ とがとても大事なことだったと思います。

(略)

2010年8月11日、朝日新聞東京本社 科学医療グループ 長野剛、岡崎明子記者
(5)「アトピー性皮膚炎の治療や予防接種も拒否していたという。市児童相談所は、病院の受診拒否などを虐待と判断。保健師の指導で男児が4月に入院した際、両親が連れ戻さないように要請していた。」
 

「アトピー性皮膚炎の治療や予防接種も拒否していたという。」と あたかも、このこと自体が虐待に当たるような書き方をしています。実際、予防接種をしていなかったとしても、予防接種は1994年、予防接種法改正によ り、義務接種でなく任意になっていますので、本人の責任において判断するものになっています。またアトピー性皮膚炎の対処で代替療法を親が選択したことが 「虐待」と判断されるのでしょうか


いやですから、「アトピー性皮膚炎の対処で代替療法を親が選択」し病院の受診拒否などを行ったことが「「虐待」と判断される」のですよ。
親が子にまともな治療を受けさせないこと自体が虐待であって児相の介入対象となり得ることは、すでに宗教的輸血拒否の事例における親権停止の家裁判断などでとっくに世間に示されていることで、海外ではごく当たり前の話なのですが、記事のどこをどう読めば身体的虐待があったか否かが事件の論点であるように読めるというのでしょうね?
まさか由井会長以下同協会の方々がその程度の日本語の理解力もないとは思えませんから、よほど論点ずらしをしなければならないほどこちら方面からの攻撃には困っているということなんでしょう。

普通に考えるとホメオパシーにはまった親が子にまともな治療も受けさせず虐待認定されようが、単に親に選択枝を提示しただけの同協会などに直接的なダメージはないはずなんですけれども、「ホメオパシーに関わると虐待親認定されちゃうわよ」なんて噂が広がれば、当然ながら新たな信者獲得にはマイナスですよね。
多くの場合単に無知であるが故に騙されている(だろう)親を悪者にするということがどうなのかですが、結局のところ一番の犠牲者である子供を守るためにはその直接の加害者である親対策が欠かせないのは当然であって、その結果カルト教団そのものへの対策にもなるというのであれば児相の介入もやむなしということなのでしょう。
昨今ではこうした虐待問題というものは世間の注目を集めていて、ゴシップ好きのマスコミなども盛んに取り上げていますけれども、同時にこうしたメディアは過去ホメオパシーら代替医療の宣伝に一生懸命貢献してきたところでもあるわけですよね。

彼らメディアが今後反ホメオパシーに矛先を転じてくるのか、あるいは最後までホメオパシーと一蓮托生を決め込むのかが注目ですけれども、何しろ売れればなんでもいいという業界だけに、「危険なホメオパシーなど粗悪なまがい物だ!本物の代替医療とはこんなに安全で素晴らしいんだ!」なんてトカゲのしっぽ切りで終わりというのも一番ありそうな気がします。

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2010年8月16日 (月)

何か本物キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!という感じですが

先日ごく小さな記事として出ていたこちらの話題なんですけれども、御覧になりましたでしょうか。

客室乗務員が緊急脱出用滑り台で逃亡「もううんざり」(2010年8月11日産経新聞)

 米ピッツバーグからニューヨークのケネディ国際空港に到着したジェットブルー航空の客室乗務員が9日、機内で乗客と口論の末に興奮状態に陥り、緊急脱出用の滑り台を勝手に作動させて機内から滑り降りた

 警察は、ニューヨークのクイーンズ区にある自宅に戻っていた同客室乗務員、スティーブン・スレーター容疑者を逮捕。警察によると、同容疑者は機体が完全に停止する前に荷物をいじり始めた乗客と口論になり、ドアが開く前に機内放送でその乗客をののしり、脱出用の滑り台で機内から滑り降りたという。

 ニューヨークのデーリー・ニューズ紙は同容疑者が乗客をののしった後、「28年間この仕事をしてきた。もううんざりだ。以上」と言い放ったと報じている。(ロイター)

これだけだと何か知らないが突然CAが切れた?!としか読めない程度の記事なんですが、どうもその背後には乗客自体の側にも多分に問題なしとしない行動があったようで、それだけにあちこちから同情の声が上がっているということなんですね。

緊急脱出用滑り台で逃亡した客室乗務員、ネットで同情集める(2010年8月11日産経新聞)

 機内放送で女性乗客をののしった後、緊急脱出用の滑り台を勝手に作動させて逮捕されたジェットブルー航空の客室乗務員が10日、保釈金2500ドル(約21万2500円)で保釈された。

 スティーブン・スレーター容疑者(39)は9日、ニューヨークのケネディ国際空港で機体が完全に停止する前に荷物を取り出し始めた女性乗客と口論になった後に逃亡し、戻った自宅で逮捕されていた。

 同容疑者の行動は機内でのマナー悪化に不満を抱く旅行者や航空関係者から同情を集めており、同容疑者のフェイスブックページでは約3万人が「好評価」を付けている

 弁護士によると、女性乗客は離陸前にも別の乗客と荷物を置くスペースをめぐって口論となり、仲裁に入った同容疑者に対し暴言を吐くなどしたという。(ロイター)

別に航空業界に限らず昨今利用者マナー低下が叫ばれているのはどこの世界でも珍しくない話ですが、注目すべきは他の同業者は元より同じ旅行者の側からも同容疑者に同情が集まっているということですよね。
以前にも大学でモンスター学生対策が始まった、なんて末期的な記事を紹介しましたけれども、近頃ではこのモンスター対策ということはどこの業界でも喫緊の課題となっているようで、医療業界に限っても病院警備に警察OBを入れるとか「患者様」はやめようとか、様々な対策が講じられつつあるという話は過去にも繰り返し取り上げてきたところです。
文句をつける顧客の側にももちろんいろいろと言いたいことはあるのでしょうが、結局のところ他の顧客にとっても迷惑な行為とはすなわち反社会的な行き過ぎた行為であると言うのが最大公約数的な解釈として落ち着きつつあるようですから、今後は「自分はモンスターじゃない!」と自認している方ほど他の顧客に対する迷惑を最小化するよう配慮する必要があるということでしょうね。

さて、そんなこんなで「お客様は神様です」から近頃では少しばかり風向きが変わってきているわけですが、やはり少しばかり前の黄金時代?を経験した人間ほど未だに時代の変化について行けていないという側面もあるようです。
先日こんなニュースが各紙で報道されていまして、これだけの報道であれば外来でどこにでもあるようなささやかなトラブルの一つで済んでいそうな話にも見えますよね。

外務省職員の女、医院事務員殴った容疑で逮捕(2010年8月12日読売新聞)

 神奈川県警逗子署は12日、同県逗子市新宿、外務省アジア大洋州局地域政策課職員、羽根由香容疑者(47)を傷害容疑で逮捕した。

 発表によると、羽根容疑者は5月27日、同市内の耳鼻科医院で、医療事務員の女性(28)の顔を平手で殴り、4日間の軽傷を負わせた疑い。

 同署幹部によると、羽根容疑者は同日、以前通院した際に忘れた健康保険証を取りに行ったが、事務員から「金庫に保管してあり、カギが手元にないので取り出せない」と言われ、腹を立てたという。

 同署は羽根容疑者が呼び出しに応じなかったことから、逮捕に踏み切った。羽根容疑者は調べに「事務員の態度が気に入らなかった」と供述しているという。

外務省女性職員、病院の事務員にビンタ…反省なし(2010年08月13日スポニチ)

 耳鼻咽喉(いんこう)科医院の女性事務員を平手打ちしてケガをさせたとして、神奈川県警逗子署は12日、傷害の疑いで外務省アジア大洋州局の事務官羽根由香容疑者(47)を逮捕した。

 逮捕容疑は5月27日午前8時半ごろ、逗子市の医院で受付の女性事務員(28)のほおを平手で1回殴って、4日間のケガをさせた疑い。5月24日に「診断書の安静・加療に必要な日数を増やしてほしい」などと依頼して医師らと口論になり、健康保険証を忘れて帰った。同27日に取りに行ったが、事務員から「始業前で金庫のカギを持つ者が来ていないので取り出せない」と言われ激怒。「おまえらは幼稚園児か」などと怒鳴り平手打ちしたという。

 被害届が出され、再三の呼び出しに応じなかったことから同署は逮捕に踏み切った。羽根容疑者は調べに「軽く1回叩いただけ。態度が気に入らなかった」と供述、反省の様子はないという。

読売の記事などを見るといかにも事務員の不手際が原因であったようにも見える話ですし、少し詳し目のスポニチの記事でもいったいこれは何があったのかとよく分からないような話ですよね。
実際ネット上でも当初は「どうせ事務員の態度が横柄だったんだろ?」なんて意見も多かったわけですが、あちらこちらのメディアが詳細を取り上げてくるに及んで「なんじゃこりゃ?!」と一同唖然と言うことになってきたわけです。

外務省100キロ女が大暴れ!病院で女性事務員に暴行(2010年08月13日夕刊フジ)

 「この世のものとは思えない光景だった」-現場を目撃した女性は、そう証言したという。神奈川県逗子市内の病院で、体重100キロはあろうかという外務省アジア大洋州局事務官、羽根由香容疑者(47)が受付嬢をビンタして、逗子署に傷害容疑で逮捕された事件。羽根容疑者は「お前は幼稚園児か!」など、現場で暴言を吐いた揚げ句の犯行だった。

 羽根容疑者は5月27日午前8時30分ごろ、逗子市内の耳鼻咽喉科医院で、受付の女性事務員(28)の左顔面を右手で張り、全治4日のけがを負わせた疑いで、今月12日に逮捕された。

 同署によると、鼻炎を患っていた羽根容疑者は5月24日、「診断書の安静必要期間を延長してほしい」と来院した。内容を変更した診断書がすぐに発行されると思い込んでいたようで、「新たな診断書発行は再診が必要」とする病院側の説明に立腹。同日の診断料こそ払ったが、診断書作成料の支払いを拒否。保険証も医院に忘れて帰宅した。

 医院からの連絡を受けた羽根容疑者は5月27日午前、保険証を取りに再来院した。その際、「誰が保険証を渡し忘れたんだ! (受付の)髪の長い奴か? 短い奴か?」と暴言を繰り返した

訪れたのは午前9時の診療開始前で、病院には院長がおらず、「保管金庫の鍵が手元になく、保険証が取り出せない」と説明した女性事務員に「社会人としてなっていない。お前は幼稚園児か?」「生意気だ」と怒鳴り上げてビンタした。

 捜査関係者によると、羽根容疑者は体重100キロはあろうかという“ヘビー級”。本人は「軽くたたいただけ」と供述しているが、女性事務員のほおや唇はかなり腫れあがったという。また、一部始終を目撃した70代の女性患者は「この世のものとは思えない光景だった」と同署に証言するほどだった。

女性事務員から被害届が出され、受理した同署の再三の呼び出しに応じないため、今回逮捕に踏み切った。逮捕後も「『(女性事務員は)殴られて当然だった。けがをさせるようなことはしていない』と供述しており、まったく反省していない」(同署幹部)。

 羽根容疑者はアジア大洋州局地域政策課のノンキャリアで、英語が堪能。関係者によると、内縁の夫と子供がいるが、仕事は休みがちだったという。

外務省女事務官プッツン ビンタで逮捕(2010年8月13日日刊スポーツ)

 神奈川県警逗子署は12日、耳鼻咽喉(いんこう)科医院の女性事務員に平手打ちしてけがをさせたとして、傷害の疑いで外務省職員の女(47)を逮捕した。診断書の日付書き換えを求めるなどむちゃな要請をした末、医院側の対応に一方的にキレたという。女は声が大きい上、太って体格がよくド迫力。「幼稚園児か!」などと罵声(ばせい)を浴びせたり、政治家の圧力をにおわせるような脅し文句まで発しつつ“ヘビー級ビンタ”を放つプッツンぶりだったという。

 逮捕されたのは、同県逗子市、外務省アジア大洋州局地域政策課の事務官羽根由香容疑者。逮捕容疑は5月27日午前8時半ごろ、逗子市内の医院で、受付をしていた女性事務員(28)の左ほおを右手で平手打ちし、4日間のけがをさせた疑い。「軽く1回たたいただけ。事務員の態度が気に入らなかった」と供述しているという。

 逗子署などによると、羽根容疑者はこの医院に4月ごろから通院。5月24日に医院を訪れた際、過去にもらった診断書の日付を書き換えてもらうようむちゃな要求をした。院長は日付を書き換えることはせず、新しい診断書を書いて渡したところ、同容疑者は、要求が伝わらなかったことが内部伝達ミスと考えたのか、激怒。「日付を変えろと言ったじゃないか」「社会人としてできてない」などと医院内に響き渡る怒声でクレームをつけ、健康保険証を医院に置いたまま帰ってしまった

 そのため3日後の同27日、診察開始時間前の午前8時半ごろ、保険証を取りに医院を再訪。しかし金庫のかぎを管理している院長がまだ不在だったため、事務員がすぐ返却しなかったところ、同容疑者はまたも怒り出したという。

 結局、院長と連絡をとった女性事務員が直後に保険証を返却したが、プッツン状態は止まらず「態度が悪い、生意気だ」「何やってんだよ、お前は幼稚園児か!」とののしった末、この事務員にビンタを見舞った。その後院長に電話をかけ「職員が変なことをしようとしているなら、永田町と市会議員に連絡をとって対策をたてますから」などと、政治家を使って圧力をかけるかのような“脅し”までまくしたてたという。

 羽根容疑者は声が大きい上、体格もよく、怒鳴り続ける姿はかなりの迫力。周囲の患者らも恐怖を感じたようだ。「身長は160センチ前後だが、体重は90キロぐらいあるように見える」(捜査関係者)。“重量級ビンタ”を受けた事務員の左ほおや口元は腫れ、病院で治療を受けるはめになった。

 逗子署の呼び出しを約2カ月半無視し続けたため、逮捕に踏み切った。逮捕後も反省した様子は少なく「お仕置きをした」とうそぶいているという。羽根容疑者は外務省では、アジア地域の外交政策などに携わっている。同省では「容疑が事実とすれば遺憾。捜査の状況を見つつ厳正に対処したい」と話した。

いや、どう見てもDQNです本当に(rで済ませてしまいたくなるくらいにアレな話ですけれども、よく見れば見るほど幾らでも突っ込みどころがあり過ぎてどこから突っ込んで良いのやら迷うような珍症例ではありますよね。
まずそもそもの発端となったのが羽根由香容疑者が過去に出た診断書の書き換えを要求したということですが、この珍妙な要求が何を意味するのかですよね。
よくよく見てみると事件のあった耳鼻科医院にこの四月頃から事件の起こる五月末まで通院していて仕事は休みがちだった、そんな中で診断書の安静療養期間の変更を強硬に主張したと言うのですが、診察も受けずにさっさと日付書き直せゴラ!と言い張るくらいですから、ハハン、公務員なら診断書さえあれば幾ら休もうが給料は出るし…と納得はいく話ですよね。
しかもここまで好き放題やっただけでなく診断書の文書料支払いすら拒否したと言うのですから、社会人としてなってないのはいったい誰なのかという話ですが、本人はいたって当然のことを言ったまでという態度を崩していないというのですから救われません。

そして営業時間前から勝手に押しかけて外来で独演会をやらかした訳ですが、仮に百万歩譲って同容疑者の言うことにも一分の理があったとしても、他の患者が恐怖を感じているという時点で全く同情の余地はないということは言うまでもありません。
「職員が変なことをしようとしているなら、永田町と市会議員に連絡をとって対策をたてますから」などと事後に隠蔽工作?じみた脅迫をしているというからには何かしら自分としても罪の意識はあったのかですが、いずれにしてもこうまでやりたい放題をやってしまっては単なる傷害だけで済むのかどうかです。
こんな人物に担当されるアジア地域の外交政策とは大丈夫なのかと心配になる話ですし、外務省としてもここまでやりたい放題をした人間にどう始末をつけさせるのかで鼎の軽重が問われることになるでしょうが、今回の件で評価しておきたいのはこうした脅迫にめげずきちんと被害届を出して事件化しているというところでしょうね。

ひと頃患者サマは弱者であり、どのような主張・行動であれ無条件に認められて当然といった妙なことが流行ったことがあって、医療従事者が何をどうされようが黙って耐えるのが当たり前、病院上層部は現場スタッフを守るどころか事件もみ消しを図るといったおかしな風潮もありましたけれども、結局そうした態度は一部のモンスターを増長させ、大多数の善良な顧客にかえって迷惑を及ぼすことになるわけです。
顧客の文化背景などに個人差が大きいアメリカなどでは顧客対応の研究も進んでいて、例えば買った品物に文句があればどんな理不尽に思えるクレームでも即座に対応して新品に交換してくれるということに驚く日本人が少なくありませんけれども、それが顧客対応として一番低コストで手間暇がかからないからです。
そしてそれで解決できない一部顧客に対してはいきなり本社の専門家スタッフに丸投げされて以後は非常にドライかつシステマチックな対応をしてくる、ある意味で訴訟社会の裏側とも言うべき一面ですから日本人にはなじみにくいですが、学ぶべきところも多々あるように思いますね。

医療も客商売ですからまず性善説的に全ての顧客に対して十分な誠意をもって対応する、これはいわゆる接遇の範疇に含まれる話でこのレベルでまともな対応が出来ていない施設は今どきどうなのよですが、同時にちゃんと対応をしているにも関わらず第二段階の対応が必要な顧客に対しては、必要な時点できちんと対応能力のあるスタッフに引き継ぐというルールも徹底しなければなりませんよね。
そして未だに外来で大声で怒鳴り合っているなんて状況が見られますけれども、こうした患者の場合他の患者にとっても迷惑であるということは前述の通りですから、他業種におけるクレーマー顧客対応で普通に行われているように、まず別室に誘導して他の顧客から切り離すことも重要でしょう。
顧客とのトラブルに関しては昨今各業界でも注目度が高いのか、あちらこちらで書籍が出たり講習をやっていたりもするし、ネット上を眺めているだけでも参考になる話が沢山ありますけれども、まず第一段階としては現場の人間全員が一つ間違えればいつでも自分もトラブルの当事者になり得るのだと、緊張感をもって日々の業務にあたる必要があるのかなと言う気がします。

しかし特に零細医療機関の場合はトラブルが拡大するもしないも現場当事者の対応能力次第ということになりがちですが、これだけ各業界でモンスター問題が言われるようになってきているわけですから、セキュリティー契約などと同じような感じでクレーマー対応請け負いますなんて商売も成立しそうな気がしますが、弁護士余りも叫ばれているような時代の新業種として誰かやってないものですかね?
ま、実際にそんな商売をやる側としては、それこそストレスが溜まりまくって仕方がないということになりそうですが…

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2010年8月15日 (日)

今日のぐり:「七厘家倉敷店」

先日こんなちょっとほのぼのした話題が出ていましたけれども、御覧になりましたでしょうか。

オランダの五輪選手、オランウータンに木の渡り方を伝授(2010年8月13日産経新聞)

 オランダの動物園で、木から木へとスイングしながら渡る方法が分からなくなっているオランウータンに対し、五輪体操選手が「コーチ役」として呼ばれた。

 同国中央に位置する動物園では先に、オランウータンが見物客の頭上で木から木へと渡れるよう、屋外設備を新たに設置した。だが、当のオランウータンはその渡り方が分からないようだという。

 コーチ役に選ばれたのは、2008年の北京五輪に出場したユプケ・ゾンダーランドさん。地元ラジオ局の取材に対し、オランウータンたちは新たな環境に少しおびえているのではないかとし、「類人猿を教えた経験はないが、リラックスして私の真似をしてくれるといいね」と語った。(ロイター)

いやあ、オランウータンの師匠とは人間もずいぶんと進歩したものだなあと感慨しきりですけれども、何にしろうまいこと行くようですといいですよね。
今日は動物ネタの中でも明るい話題を選んで取り上げてみようかと思いますが、まずはこんな話題をいってみましょう。

早朝の住宅街で「メェー」、迷いヤギ5匹保護 岐阜(2010年7月30日朝日新聞)

 岐阜市郊外の閑静な住宅街で29日早朝、5匹の迷いヤギが現れた。いったんは住宅の車庫内に「確保」したが、いつの間にか脱走。警察官ら約15人が1時間かかって、やっと捕まえた。

 岐阜市芥見7丁目に住む荻野十三子さん(36)が「メェ、メェ。メェー」という鳴き声に気づいたのは、午前4時半ごろ。最初は気のせいかと思ったが、外を見ると、屋根付きの車庫内に5匹のヤギがいた。

 110番で駆けつけた岐阜中署員が、いったんは車庫内に閉じ込めたが、5匹はアルミ製のフェンスを押して突破。近くの空き地で草を食べ始めた。正午ごろ、署員らが5匹を取り囲み一斉に捕まえようとしたが、2匹が逃走。1匹はすぐに捕まったが、もう1匹は、1メートルほどの大ジャンプで署員を振り切るなど約1時間逃げ続けた。

 大捕物から約8時間後に飼い主が判明し、ヤギたちは無事に帰宅した。隣接する同県各務原市の土建業の男性(60)がペットとして飼っていたが、フェンスを壊して逃げたと話しているという。(贄川俊)

記事についている写真を見ても立派なヤギばかりで、これは少々のフェンスなど越えてでも逃げるだろうと納得ですけれども、ふと窓から外を見るとヤギがいたというのもなかなかシュールな光景だったでしょうね。
こちらも同じく迷い込みネタですけれども、住宅地と違ってこういう場所ですといささか近所迷惑ということになったようです。

カルガモ親子、名神横断 南区 車に一時50キロ規制 京都(2010年07月27日京都新聞)

 京都市南区の名神高速道路下り線で、カルガモの親子2羽が道路を横断しているのを、京都府警高速道路交通警察隊の隊員が見つけた。同隊は付近を走る車に一時50キロ規制をかけ、親ガモに取り残された子ガモを保護した。同隊は「事故がなくて良かった」と胸をなで下ろしている。

 高速隊によると、23日午後6時15分ごろ「カルガモ親子が歩いている」と運転手から110番があった。京都南インターから大阪方向に約600メートルの地点で、路肩から中央分離帯まで約10分かけて約11メートル横切り、親ガモは飛び立った。子ガモはトラックの風圧で転んだが、西日本高速道路の職員が捕まえた。カモに気付いて路線変更する車もあったという。

 子ガモを引き受けた、東近江市でミニ動物園を運営する府警OBの有城覚さん(66)は「子ガモは生後1?2週間。水辺への移動中に外敵に追われて迷い込んだのでは」と話している。

これまた記事の写真を見ると確かに道路を歩いているのですけれども、親も転んだ子を放置せずにちゃんと見ていろよという話ですよねえ。
こちらは大学実験室レベルでの気の遠くなるような努力がついに結実したというなかなかプロジェクトXな話題ですが、まずは記事から紹介してみましょう。

ほぼノーミス「天才ラット」誕生 東海大、30年かけ(2010年7月28日朝日新聞)

 賢いラットを実験で選び出し、95世代かけ合わせて、「天才ラット」を誕生させた。東海大学が30年がかりで育てた。普通のラットは学習能力の実験で360回中、多い時は8割以上失敗するが、「天才」はほぼノーミス。殺虫剤や農薬など化学物質が学習能力に与える影響などを調べる実験に役立ちそうだ。

 「天才」は、30秒ごとにレバーを押さないと軽い電気ショックを受ける実験で、学習能力の高かった個体同士を繰り返し、交配してつくった。「賢さ」が安定するまで約20年かかったという。

 天才ぶりはこの実験で実証済みだ。普通のラットは、毎日30分、レバーの押し方を教えても、360回のうち100~300回は失敗する。一方、「天才」は360回中、失敗は平均で5回ほど。

 水の中を泳いでゴールを探す記憶力の実験などでも、一貫して好成績を出すという。

 「天才」を使えば、化学物質の影響が効率的に調べられると期待される。化学物質を与えて失敗が増えれば、学習能力に影響があったと判定できるからだ。普通のラットは1匹ごとに知能の差が大きく、数十~数百匹で実験しないと影響が分からない。一方、「天才」は学習能力に悪影響があれば、失敗がはっきり増えるので、少ない数で影響が分かるという。

 子どももほぼ例外なく、「天才」なので、妊娠中の親に化学物質を与えて、生まれた子どもの能力を調べれば、胎児への影響も調べられるという。シックハウス症候群を起こすホルムアルデヒドを親が取り込むと、子どもは成長してから学習能力や平衡感覚が落ちることが分かったという。

 東海大の渡辺哲教授(公衆衛生学)は、研究機関やメーカーに共同研究を呼びかけている。(杉本崇)

     ◇  ◇

 ラット 野生のドブネズミから生まれた。成長すると、大きいものは体重500グラムを超える。大きく、生きたまま観察しやすいため、薬の実験などに使われる。体重が10分の1ほどのマウス(ハツカネズミ)は、遺伝子の研究など幅広い実験に使われる。

なにか逝っちゃってる目がイマイチと言うのでしょうか、このレバーを押すラットの図というものがもう少し劇的であって欲しいような気もするのですけれども、とりあえず単なる個体レベルではなく系統だって天才の家系というのは大変なものですよね。
同じく研究ということでこちらも全世界に大きな波紋を呼びかねないような話題なんですが、正直余計なことを…と思わないでもないというニュースです。

猫の飼い主の方が犬の飼い主よりも教育レベル高い説(2010年7月25日アメーバニュース)

 喋る猫、「だるまさんが転んだ」をする猫、「たま駅長」など、ネットで人気の動物といえば、いつも猫。グーグルで「猫」を検索すると約 1億4千万 件がヒット。犬の約2倍である。(7月3日現在)ところが、実際の飼育率で見ると犬が18.3%に対して猫は11.2%と、犬のほうが高い(日本ペットフード協会調べ/2009年)。

 米テキサス大学心理学部のサム・ゴスリン教授が行なった調査では、自分のことを「犬型」だと思う人が46%、「猫型」は12%、という結果が出ており、こちらでも、犬派が多数だ。リアルの世界では犬の方が人気なのに、何故インターネットでは猫が好かれるのだろうか?

 前出の米テキサス大学のアンケートでは、人の性格の特徴を複数因子で測る「ビッグ・ファイブ」というテストを実施。テストの結果では、「犬型」は「猫型」に比べて外向性が高く、「猫型」は「犬型」に比べて情緒不安定性が高いという結果が出たという。この結果についてネットでは、「結局自宅を汚したくないだけなんだよ奴らは。散歩と称して糞尿撒き散らす行為を絶対にやめない」「犬は散歩が面倒。勝手に動き回る猫のほうが楽」といった猫派らしい批判の声が上がっている。

 また、英ブリストル大のマーレイ教授によって2980人を対象に行われた「猫と犬の飼い主比較調査」によると、犬よりも猫の飼い主の方が教育レベルが高かったという。これについては「俺完全に猫派だけど学歴はそこそこ高いな」「つまらない人間は犬派なんだろうな」などの猫を称賛するコメントが寄せられている。

 そんな猫好きの心を刺激するような動画がネットで話題になっている。壁をものすごいスピードでひっかく猫と、うらやましそうに見つめる猫。引かかれた壁には見事な魚の彫刻ができている。普段は迷惑な爪とぎの新たな魅力を描いたこの動画に「凄い!声も可愛いwww」「職人みたいな顔してるな」などの声が上がり、やっぱり猫が人気のようだ。

いやだからですね、こういう大きな社会的影響を呼びそうなことをうかつに世に出すなとあれほど…
まあこういう無用無益な対立を拡大しかねない話題はとりあえず後世の批判に委ねることにしておきまして、最後は「難解すぎる!」と最近ちょっと話題になったニュースを紹介しておきましょう。

どこにいるか全然ワカラナイ!「写真のなかにネコがいます」(2010年7月25日ロケットニュース24)

海外のインターネット上で、だまし絵のような1枚の写真が話題になっている。ちょっと見ただけでは何の面白みもない河原の写真。しかしよく見てみると、写真のなかにネコがいるというのだ。

韓国の猫ニュースサイト『No cut news』が報じたところによると、あるネットユーザー が『このなかにネコが隠れています』というタイトルで写真を投稿。その後、13時間で9000人余りが閲覧するほど注目を集めた。多くの人がウェブ検索をしたため、韓国では人気急上昇キーワードにもなったそうだ。

問題は、一体どこにネコがいるのか? という点だが、何度見ても分からない……。多くのインターネットユーザーたちが「もうあきらめた」とコメントしたり、「とんでもないところにいるのでは」と想像し、コラージュ画像を作ったりする人が続出した。

見事、猫を発見した人によると「一度見つけてしまうと、ネコの姿がハッキリと見えるようになる」とのこと。また「写真を保存して拡大する探し方が効果的」だそうだ。ネコは写真中央あたりに座っているのだが、なぜかなかなか見つけられない。時間があるときに探してみてはどうだろうか?

ちなみにこちらが問題の写真ですけれども、あまりに反響が大きかったということなのか上記記事には「正解」も掲載されることになったようです。
しかしこれはこれで猫っぽいのも確かですけれども、ネット上では他の「正解」も見つけられていて、果たしてどれが本当なんだろうか、そもそも片方が正解であるならもう一方はいったい…と新たに謎が謎を呼んでいるのは困ったものですよね…

今日のぐり:「七厘家倉敷店」

以前から看板には気がついていて一度行ってみようかと思っていたのがこちら「七厘家」なんですが、西日本で何店舗か展開しているチェーン店らしいですね。
駐車場が奥の方で広がっていて、玄関あたりが表通りから見えにくいこともあって今まで気がつきませんでしたが、実際に入ってみると大変な人の入りで、実は結構行列店だったのかと改めて思い知らされたという状況です。
待つことしばしでようやく席に着くことが出来ましたが、店内のお客は家族連れやら若い人などが中心で、いわゆる昔ながらの焼き肉屋的な脂ぎった肉食系!という気配は希薄なのが今風ということなんでしょうか。

こちらの特選肉が写真で見る限りでもいかにもサシまみれという感じでしたので遠慮申し上げることにして、とりあえず肉はおすすめと書いてあるのを片っ端から選んでみることにしましたが、ジューシーハラミやら炙りロース、七厘家上カルビあたりのグレードの肉は期待した通り赤身中心で、噛みしめるとちゃんと肉の味がするというのは、サシばかりの肉に食傷気味な人間にはありがたいものです。
全般に肉自体の味は値段相応で特記するようなものではありませんが、このレベルの肉をひと工夫してちゃんと食べさせるものにしていたのが印象的で、例えばネギ塩タンは焼いた塩タンに刻みネギベースのトッピングを載せて食べるんですが、これがなかなか絶妙な加減で、正直こういう薄切り系の塩タンというものはさほどうまいとも思っていませんでしたが、これは料理として見ると結構いいんじゃないかと思います。
梅しそカルビなども、ともすれば口の中が脂の味で飽和してしまいそうになるのを、しそ風味と梅肉ソースがいい案配に中和してくれるんですが、逆に肉の味が判らなくなってしまうのは良いのか悪いのかですかね。
タレも何種類か用意してあるようですが、せっかくですからテーブルに塩や胡椒も置いていただけるとなおありがたかったかなと言う気もします。

街の焼き肉屋としてはそんな感じで普通に食べられるといったところだと思いますが、その他の料理の方が意外に(といったら失礼ですが)どれもなかなかしっかりしたもので良かったですね。
ユッケなど自分ではあまり食べないのですが、料理としてはもう少し油の風味が効いていてもいいんでしょうが、逆にこれくらいの方が肉の味はシンプルに楽しめて悪くないですし、チヂミというと素材頼りの高い料理でもないだけに料理屋としてのセンスも問われますが、ここの海鮮チヂミは焼き加減、具材の案配、そしてタレといいバランスで、これはなかなか良い出来だし食べ応えもあって満足できます。
店名を冠した七厘家サラダは見た目ごくシンプルで平凡そうな野菜サラダなんですが、揚げたトッピング(スナック菓子?)のかりかりした食感がいいアクセントになっていて、お金をかけずに意外に楽しめるいいアイデアだと感心させられました。
大家石焼ぴびんばというのは単に二、三人前分くらいに相当する大きな石焼きピビンバということなんですが、単純にお値段的に見てお得であるのと、この馬鹿でかい器自体がちょっとしたネタにはなりそうですし、内容量に対して器の熱容量が大きいのか、ちょうどいい具合の焼き具合になっていて味もまず無難に合格というところなんですが、ただテーブルの上での扱いには正直困りました(苦笑)。
野菜たっぷりスープは名前通りシンプルに野菜の味が出ているという感じで、これだけだったら少し物足りないんでしょうが、濃い味が続く中でこういうさっぱり味も口直しに悪くないですし、逆に豆腐チゲなどは味噌など発酵調味料とスープ自体のこくがあいまって素直にうまい!と感じられる味でしょう。

食後のメニューもいろいろと取りそろえてあるのは客層に見合っているのでしょうが、ゆずシャーベットなどはすっきり系と思いきや意外とこくもありますし、小さなパフェは確かにパフェとしては小さいんですが、食後のデザートとしては結構ボリュームあって、基本的にバニラアイスのチョコレートソースかけなので見た目通りの味でごく普通と言いますか、もう少しトッピングに工夫してもいいのかなという印象です。
少し珍しい感じで食べて見たのが白玉とバニラの抹茶スープ仕立てなるものですが、味の組み立ては悪くないんですけれども、この抹茶スープが生温かいのが何とも微妙な感じで、これは温度差を楽しむようわざとやっているのかも知れませんけれども、案外混雑している中で冷やし加減が不徹底だったなんて落ちがあるのかとも思うような中途半端な温度差ではありました。

接遇面ではスタッフのマンパワーがそれなりに充実しているせいか士気も高そうなのは好印象で、やはりこれだけ大混雑ということになりますと正直目が行き届いていないところもないわけではありませんが、この種の店としては十分水準はクリアしているレベルだと思います。
気になったのは目の前に七輪がでんと置いてあって熱いとか、テーブルに皿が並ぶと邪魔だとか言うのは我慢できるんですが、排煙設備が不十分なのかとにかく店内が煙で充満しているのはどうなのかで、お客は結構おしゃれして来ている女の子も多いでしょうに後でクレームものになりませんでしょうか?
純粋に肉の味だけを楽しみたいという向きにはもっと良い店もいくらでもあるのでしょうが、日常的にちょっと外で晩御飯をといった用途には悪くない選択枝だと思いますし、サイドメニューだけ食べていても普通に料理として楽しめますから、これはこれでいいんじゃないかと思いますね。

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2010年8月14日 (土)

今日のぐり:「やまと」

今日はもっぱら乗り物に関わる話題を取り上げてみようと思いますが、先日見ていてちょっといいなと思ったのがこちらの記事です。

ペダルこいで動かす潜水艦 仏エンジニアが開発(2010年8月3日産経新聞)

 フランスのエンジニアらが、ペダルをこいで動かす潜水艦を開発した。潜水艦は長さ3・5メートルの1人乗りで、ペダルのベルトにつながるプロペラで進む。

 操縦士は酸素ボンベとマスクを使用し、最高で時速8キロ、水深6メートルに到達することもできるという。

 ただ、商業的に成功するかどうかはまだ不明。開発者は、ヨット所有者などの関心を集めると期待しているが、もし売れなかった場合には、来年米国で行われる国際的な潜水艦レースに出場するつもりだと話している。

リンク先の写真などを見ていますと潜水艦というより屋根付きの水中自転車という感じですけれども、素朴な疑問としてこの構造ですと船殻に水圧がかかるということもないでしょうに、6mという半端な潜行深度は主に人間側の要因で決定されてでもいるのでしょうかね?
人力でもこういう金持ちの道楽的なものですと楽しいのかも知れませんが、これが強制されて嫌々ということになるとどうなのかですよね。

自転車こいで自家発電、電力不足のフィリピン刑務所(2010年 07月 8日ロイター)

[マニラ 7日 ロイター] フィリピン・マニラ首都圏のマカティにある刑務所では、受刑者がバッテリーにつながれたサイクリングマシンをこいで発電している。

 フィリピンでは、干ばつで水力発電のダムが影響を受け、電力供給が不足している。

 この刑務所では、受刑者がペダルを踏んで得られた電力を、所内の電灯や電化製品を動かすために使っているという。

一応自分たちの使う電気のために自家発電しているということで、自分自身を納得させるしかないということなんでしょうか?
人力と言いますとこちらも人力ということではあるのでしょうが、これはいったい何がどういうことなのでしょうね?

鉄の檻に6人の子を入れて放浪する家族、父親は棍棒を手に-北京(2010年6月6日サーチナ)

  北京市豊台区でこのほど、6人の子どもを鉄の檻(おり)に入れ、街を放浪する家族が目撃された。鉄の檻の中にいた子どもは最年少は1~2歳ほど、一番大きな子どもは10歳ほどで、子どものほかに犬も入れられていた。環球網が伝えた。

  家族を目撃した女性によると、檻の中にはやせ細った子どもたちが入れられ、子どもたちは鉄格子をつかみながら外を見つめていたという。子どもたちが着ていた衣服はボロボロ、体は垢(あか)にまみれていた。

  女性は、「檻の近くには同じような身なりの男女が座っていたため、なぜ子どもを犬と同じ檻に入れているのか?と尋ねたところ、男は棒を持って怒鳴り声をあげた」と語った。

  子どもが鉄の檻に入れられているという異様な光景に、現場には多くのやじ馬が集まった。やじ馬たちが写真やビデオを撮り始めると、男は棒で人びとを威嚇(いかく)し始めたという。

  現場に駆けつけたメディアの記者によれば、家族のあるじと見られる男性は誰の質問にも答えようとしなかったばかりか、記者が写真を撮ろうとすると、男性は再び棒を手に持ったうえで数百メートルにわたって記者を追い掛け回したという。その後、集まったやじ馬が警察に通報した。現在、警察によって調査が進められている。(編集担当:畠山栄)

いやそこは写真撮ったり記者を呼んだりする前に真っ先に警察呼べよと言いたくなりますけど、わざわざ日本にやってきてまで小児の人権問題に熱心なあの方なども、たまには祖国でのこうした惨状にも目を向けて見られるべきではないのでしょうか?
同じく中国発のニュースということでいささか眉につばをつけて聞くべきなのかも知れませんが、定期的に出てくるこの手の話題が今年もまた出てきたという記事がこちらです。

“ノアの方舟”を発見か、捜索グループは「99.9%間違いない」と自信。(2010年4月28日ナリナリドットコム)

旧約聖書「創世記」の中に書かれている“ノアの方舟”。神が悪い行いをする人間たちを洪水で滅ぼそうとするところ、ノアが家族や動物を方舟に乗せて難を逃れたというのが、大まかな話の流れだ。洪水に襲われること40日間、地上から水が引くまで150日間かかった末に、方舟がたどり着いた先は現在のトルコ東部にあるアララト山と言われている。そのアララト山の山頂付近で、このたび中国とトルコの探検グループが方舟に使用されたと思われる木の一部を発見したと発表。測定の結果、木は4,800年前の物と見られることから、中国人メンバーは「(ノアの方舟の一部に)99.9%間違いないと思う」と確信しているという。

トルコ紙ナショナル・ターク英字版によると、発見したのは香港を拠点に活動する団体「Noah's Ark Ministries International」所属の中国人とトルコ人のグループ。同紙は彼らが行った今回の捜索で「ノアの方舟に入ったとさえ主張した」と伝え、現場とサンプルの写真を掲載している。また、トルコ英字紙ハリエット・デイリーニュースも、メンバーがアララト山の山頂付近で発見し、船と見られる構造物から木を回収したと報道。放射性炭素年代測定法により、木が4,800年前の物であると分かったそうだ。

団体の公式サイトでは、2008年10月から2009年10月にかけて行われた捜索の際、海抜4,000メートルを超えた地点で今回の木でできた構造物を発見したと説明。中国人メンバーの1人は「それがノアの方舟であるとは、100%言い切れない。しかし我々は99.9%そうであると思っている」とコメントしている。グループが考えている根拠のひとつは、アララト山の周辺地域では3,500メートルを超える一帯に人間が定住しておらず、この点からも発見した構造物がノアの方舟の可能性を高めている――というものだ。

実は過去にもノアの方舟の痕跡と思われるものは、この付近で多く報告されている。1959年にはトルコ空軍のパイロットが上空からボートのような対象物を目撃。また、2006年にはアララト山北西部を写した衛星写真に、船のような形をした物が写っていた。しかし、「誰もノアの方舟がどこにあるのか、説明できなかった」(ナショナル・ターク紙より)のが、これまでの実情だったようだ。

また、多くの探検家が方舟の痕跡を探し、たびたび発見したと主張するも「誰も証明できなかった」(カナダ紙トロント・スターより)という歴史も。ただ、今回の発表は少なくとも発見された木の年代が、伝説があったと考えられている時期に近いとあって、メディアの関心も高いようだ。

報道はトルコや欧米、そして「Noah's Ark Ministries International」がある香港でも伝えられている。この発見を受けて、団体は発掘場所を世界遺産に登録するよう、トルコ政府へユネスコに申請するよう働きかけているそう。果たして歴史を紐解く1ページとなるのか、今後の成果も注目されるところだ。

これ、興味深いのは確かに木材で出来た構造物と言うしかないものが写真公開されているのですが、本当に5000年も前のこんなしっかりした構造物が今まで残っていたとすれば、これはこれで奇跡的な現象であるようにも思えるのですが…
人類史に残るかも知れない偉大な発見?とはまた遙かに遠い次元で、どこの世界の記録にも残らないだろうけれども何人かの記憶には確実に残っただろうこんな事件も起きていました。

AT車じゃなかったために、カージャック断念(2010年4月7日ロケットニュース24)

最近は以前に比べて、自動変速車(以下、AT車)限定の免許証を持つ人が増えている。AT車の普及が進んでいるためだ。海外でもAT車しか運転出来ない人も増えているようだ。2日(現地時間)、米ペンシルバニア州に現れた強盗も、AT車しか運転出来なかったようで、手動変速車の強奪を諦めたそうだ。

事件は深夜過ぎに起こった。ドミノピザの宅配をしていた女性が、ブロードウェイのある交差点で、信号待ちをしていると、後方から2人の男が駆け寄って来た。1人の男が女性に近付き、胸倉を掴んで「金を出せ」と脅した。そして、もう1人の男が助手席に乗り込んで来た。

2人組は車ごと奪うつもりだったようだが、車がAT車でないと気付くと、そのまま逃げて行ったそうだ。お金を奪われたかどうかは不明である。2人組は共に背が高く、1人は白いTシャツに野球帽を着用、もう1人は黒いTシャツを着ていた。スペイン訛りの英語を話していたとのことだ。警察は現在も行方を追っている。

近年はあらゆる車両でAT車が増加傾向にあるという。国内ではすでに、手動変速型を生産していない車種も増えつつあるそうだ。将来的には全ての車両がAT車になるのかも知れない。いずれにしてもこの強盗が早く捕まることを願う。

昨今確かにAT限定免許の人なども増えているようですが、注目すべきはこの事件がAT車比率が限りなく100%に近いアメリカで起こったということで、なるほどこういう簡単な自動車泥棒対策もありなのかと思わされるところですよね。
車絡みのニュースが続きますけれども、中国から車に関連して「それはちょっと…」という話題を二つばかり紹介してみますがまずはこちら、今まさに夏まっさかりというところで大変なことになってしまったというニュースです。

熱でアスファルト溶け「ごきぶりホイホイ状」、バスもSOS―河南(2010年7月7日サーチナ)

  河南省鄭州市で6日、猛暑で道路のアスファルトが溶けて車輪に粘りついたため、通行中の自動車が立ち往生した。後続車が問題の個所をよけて通ったため、周辺で渋滞が発生した。鄭州晩報が伝えた。

  アスファルトが溶けたのは、同市内の興花南街と政通路の交差点付近。同日早朝に舗装をしなおした部分で、アスファルトが溶けて車輪にまつわりついた。

  アスファルトは2-3センチメートルの厚さしかなく、下に敷いてあった小石とともに、自動車の車輪に巻きついた。約200メートルの区間で、バスやタクシー、自家用乗用車、救急車の計6台が動けなくなった。

  自家用車の運転手によると、午前10時ごろに現場を通過しようとしたところ、「車が重くなった」感じがして、しまいに進めなくなった。降りて確認したところ、前輪ふたつに、小石混じりのアスファルトの帯が、包帯を巻きつけたようになっていた。ナイフを使っても取ることができず、タイヤを交換するしかないという。

  バス3台は、救援の車を要請した。救急車の運転手は、「急患を乗せていない時で助かった。もしも搬送時で遅れが出たら、だれが責任を取るのだ」と憤慨した。救急車は車輪にアスファルトが巻きついたことでハンドルを取られ、他の車と衝突しそうになったという。

  路面の異変を知った後続車は、問題の車線をよけて通ったので、現場付近の道路で渋滞が発生した。(編集担当:如月隼人)

いや、まあ…道路工事自体もどうなのかという話ですけれども、アスファルトが熱に弱いのは常識ですから、こういう熱い地方では最初からコンクリート舗装にしておいた方がよかったんじゃないかとも思うのですけれどもね…
これなどはまだしも天災絡みで言い訳が効くところですが、明らかな人災というかなんと言うかなのがこちらのニュースです。

ただの道路に駐車スペースを生みだして駐車している女性(2010年06月05日GigaZiNE)

北京市内のメインストリート・長安街は、やはり都会の中心ということもあって路上駐車が多発。ちょっとした荷物の積み降ろしはともかく、あまり長く駐車されるととても迷惑です。これは、そんな路上駐車をしている人の中でも特に悪質な事例を見つけたというムービーです。

ムービーの再生は以下から。

長安街牛姐停?完整版大公開!!!最后的?接讓真相大白!

一ヶ所だけパーキングメーターのようになっている場所を発見。
ちょうど車の持ち主の女性が帰ってきたので、撮影者はその空きスペースに止めようとしたのか後ろに停車。
車は動き始めるとすぐに停車し、運転手が出てきました。

何をするのかと思いきや、駐車スペースを回収し始めました。
電柱に取り付けられていた標識も回収。まさかダミーだったとは……。

こうして、女性は駐車スペースを片付けると颯爽と走り去っていきました。
なんというか、まさに「その発想はなかったわ」という感じです。

リンク先の写真を見ているだけでもどういう状況なのかは一目瞭然なのですが、正直ここまで手回しよく準備を整えられるなら、その労力をもっと有意義な方向へ向けろよと思ってしまいますよねえ…
最後も同じく車の話題ですが、すごいと言えばすごいのかも知れませんが何やら少しばかりアレなニュースを紹介してみましょう。

動力はコーラとメントス、67mを走行(2010年6月7日レスポンス)

コーラの中にミント菓子、『メントス』を入れると、急に中身が噴き出すことを、通称「メントスガイザー」現象と呼ぶ。米国でこのメントスガイザー現象を利用して、車を動かした2人組が話題となっている。

この2人組は、ステファン・フォルツ氏とフリッツ・グローブ氏。2人が結成した「Eepybird」は2006年、動画共有サイトに、メントスガイザーを利用したパフォーマンス映像を投稿し、一躍有名となった。

そんなEepybirdの最新パフォーマンスが、メントスガイザーによって車を動かそうというものだ。

2人の大胆な実験には、2リットル入りの『コカ・コーラ ゼロ』108本と、メントス648個を使用。強烈なスタートダッシュによって、約67mを走行する映像は、動画共有サイトで見ることができる。

いや待て、確かにすごい偉業なのかも知れないが、この動画といいノリは明らかにブリだぞと思わず感じてしまうところですが、この「Eepybird」という二人組は過去にもいろいろと実績があるようですね。
日本などでもやってきてパフォーマンスをすれば受けそうに思うのですが、問題はバラエティーのスタジオなどでやるには後始末が恐らく大変なんだろうなということでしょうか。

今日のぐり:「やまと」

およそ岡山市内でラーメン屋と言えばこれを知らなければモグリと言うくらいに名高いのがこちら「やまと」ですけれども、昔の臭くて小汚かった店が(失礼)久しぶりに来てみると何か妙にすっきり小綺麗になっているというのもどうなんでしょうね?
見た目的にもメニューの構成的にもラーメン屋というより洋食屋の気配があるこちらのお店ですが、鰹出汁の効いたラーメンとそのスープを使っているというデミカツ丼とが特に人気ということで、今回は中華そば小とカツ丼小とを頼んで見ました。
ちなみに作ってくれたのが若いお兄さんなんですが、後継者ということなんでしょうか、これだけの人気店ですからファンの期待に応えていくためにも、順調に世代交代が進んでいけばいいがなと思いますね。

さてそのラーメンの方ですがこれが若さということなんでしょうか(苦笑)、こういう老舗のラーメン屋としては良い方に期待を裏切られたと言いますか、麺がしゃっきりと今風の茹で加減になっているのにはまずちょっと驚かされましたね(機会があれば今度は親父さんの茹で加減も食べられたら良いかなと思いますが)。
スープはこうして飲んでみると何十年かぶりで一周して今風の魚出汁系としても通じる味わいなのはいいとして、どうも見た目も味も記憶の中にあるものと結構違っているのかなという気がしてしかたがないんですが、時代に合わせて相応にリファインしてきているということなんでしょうか?
もうふた昔も前にここに来たことがあって、その頃は本気で臭くて小汚い店で(失礼)ろくにアクもすくっていない泡立つように魚臭い癖の強いラーメンを出す店だなという印象が強烈だったものですから、その頃の味の記憶からすると何か妙に普通と言いますか、これだったら普通に万人受けしそうな印象を受けますね(それでも比較的魚臭い方ではあると思いますが)。

こうした老舗の常でトッピングにはさほど印象に残るところがないんですが、スープは今でも十分オリジナリティーもある仕上がりですし麺も決して悪くないとくれば、これは今も並んで食べる価値はありそうだなというところですよね。
ところがこれに比べると個人的にちょっと…だったのがカツ丼の方なんですが、この酸っぱくて薄っぺらい味のソースがちょっと自分などには口に合わないかなと再認識させられたところで、このカツも揚げ立てなのはいいんですがもともとが脂だらけの肉なものですから、とにかく一口二口と食べ進めるうちに胸にこたえるこたえる…もうこういうものは受け付けないと再認識させられる味でした。
スープの癖が減ったとは言ってもラーメンスープ自体が全般的に個性的になったという時代の変化もあっての話で、普通でしたらこういう味をデミグラスソースのベースにしようなんて思わないはずなんですが、まあこれに関してはこういう味が好きな人は好きなんだと考えるしかないんでしょうね。

ラーメン屋で接遇がどうのと言うのもナンセンスだという人もいますけれども、こちらのお店のフロア担当の場合は行列店のいかにもそれらしい(悪い意味での)ステレオタイプといった感じの顧客対応ぶりで、これでしたらいっそ終始無言で通しておいた方がいいんじゃないかという気もしないでもありません。
カツ丼に関してはこういうデミカツ丼タイプであれば近隣の「だて」の方が好みに合うかなと言う印象を改めて受けたのですが、まあ別にラーメンだけ食べていても十分というレベルではありますから、やはりこの界隈での定番の一つとして外せない店という地位は当面不動ということなんでしょうかね。
それにしてもかれこれ半世紀も前から高めの店だったなんて噂は聞いていたんですけれども、確かに今の目で見てもラーメンとしては結構高価格帯ではありますかね?

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2010年8月13日 (金)

ホメオパシーと朝日の戦い、ますます激化の一途へ

スレタイの件に取りかかる前に、最近ホメオパシー、レメディーと言うことで少しばかり調べていて、幾つか気になった話題をまず紹介しておきましょう。

まず一つ、ホメオパシー派の助産師にかかった挙げ句不幸にして死産となった妊婦さんの事例があったのですが、直接的なホメオパシーの犠牲者というべきなのか、単に以前から指摘されている開業助産師問題と捉えるべきなのか(この両者が往々にして不可分であるという話は別として)、これだけの情報では何とも言い難いのかなとも思えます。
ただその助産師とのやりとりの中で、コメントなどでも議論の的になっている助産師の「死ぬことは悪いことですか?」という言葉をどう解釈すべきか、何かしら生存率や予後延長ということを指標に成長してきた側面が否定できない現代医療に対する反駁から来るものなのだとすれば、人一人を死なせなければならないほどの反発を持つのが彼らの基本姿勢なのか?という疑問は感じますね。
現在のホメオパシー一派(というより、由井寅子氏?)の基本姿勢として「予防接種が心身を問わず多くの病気や副作用を引き起こす原因の一つとなっている(日本ホメオパシー医学協会の見解より)」といった現代医療への否定的立場が存在することは言を待ちませんが、ホメオパシーの元々の出発点ではこうした反医学的思想が売りと言うこともなかったように思えるのですよね。
それを現在に至るまでにいったい誰が(何が)変質させたのかと考えた場合に、「その方が世間の食いつきがよかったから」という可能性も大いにありそうに思うのですが、そうなると彼らをここまでに育て上げたのは現代医療否定に快哉を叫び、ホメオパシーに群がった国民の側であったということになるのでしょうか。

彼らの主張ということに関連してもう一つ、一連のホメオパシー関連の話題で朝日とホメオパシー医学協会が何やらやりあっているという話題が続いていますけれども、その協会側が出した反論文に隠された文言があった(しかも何故か、削除ではなく隠されていた)ということがちょっとした話題になっていて、「新小児科医のつぶやき」さんなどでも独自の考察を加えられていて興味深く拝見しました。
しかしこの部分、「繰り返しますが、当協会として、ビタミンK2の使用やワクチン接種を否定することはありません。同様に、ビタミンKのレメディーを使いたいお母さんがたにも、それを止めることはしていません」なんてことを言いつつも、実際に全体を読んでみますとVt.K2ってほんとに有用なのか疑問だよね?という研究を紹介するという形で、彼らの真意がどこにあるのかは明らかですよね。
逆にそうであるからこそさすがにこれはまずい、この状況下でVt.K2不要論を唱えているように受け取られてはますます世論の反発を受けてしまうという配慮をしたということなのかも知れませんが、おそらく文章の最終案に至るまでこういうものが残っていたということ自体が、彼らの内部においてこうした見解がどれほど重要なものであるのかを示す結果となったようにも思います。

加えてこの部分に関して「Not so open-minded that our brains drop out.」さんが詳しく考察をしていて、彼らの主張の根拠となっている引用元の代替医療系ウェブサイト『What Doctors Don't Tell You』は元より、原著論文にわざわざ当たっているという労力には本当に頭が下がりますけれども、その結果非常に興味深いことが判明しています。
驚くことにBMJの元論文を辿ってみれば、これがホメオパシー擁護の根拠だと言う引用元の代替医療系サイトの要約(あるいは捏造)とは全く逆の内容で、「すべての乳児はビタミンKの予防的投与を受けるべき」「頭蓋内出血が乳児自身とその家族、社会全体に及ぼす影響を考慮すれば予防措置は正当化される」として、「現時点では、ビタミンKの非経口予防的投与が唯一の安全な選択肢」と言い切っているものだったのです。
同ブログでは「日本ホメオパシー医学協会の中の人が元論文を読まずに代替医療系ウェブサイト『What Doctors Don't Tell You』の論文を180度曲解した記事を鵜呑みにしてしまったのか、BMJの元論文までチェックした上で敢えてその内容に言及しなかったのかは分からない」と言いますけれども、これはOパーツなどトンデモ系の方々の常套手段である「ソースロンダリングによる捏造」であることは明白ですよね。
彼らにとって基本的な主張のソースにおいてすらここまでの根本的な捏造が平然と行われているわけですから、今後同協会の主張する内容に関しては全てが捏造ソースに基づくものである可能性を念頭において対応する必要があるということでしょう。

そしてもう一つ、少し古い話になりますけれども「SPA!」が「新型インフルはウィルステロだった!」という記事を掲載したことがありまして、この際にインタビューを受けているのが陸上自衛隊小平学校人事教育部長の職にある池田整治一等陸佐です。
そもそも何故こういう畑違いの方が「新型インフルの真相を語る!」なんてインタビューを受けているのかがよく判らないのですが、問題はこの「隊員の健康を守るのが上官の最も大切な仕事と言い「国民の健康は、国防に直結する重要なテーマとして認識」しているというお方が、熱心なホメオパシーの推進論者であるらしいということですよね。
幻影随想」さんがいちいちに事を分けて解説してくださっていますけれども、要するにそのインタビュー内容というのがホメオパシー思想?に基づいて予防接種否定論を展開するというトンデモぶりで、しかもその対策として「自然治癒力を高めるアプローチが最善の策です。(略)体内に入れてしまった毒素などを除去するには、英国王室の信任も厚いホメオパシーが良いでしょう。」と宣伝まで入れているのですから驚きます。
この方に関してはあちらこちらでかねて持論を展開されているようですけれども、自衛官からも「語りたくない人物」「ある意味アンタッチャブルな人」なんて言われてしまう方が自衛官の教育に当たっているというのは、これは自衛隊内でのホメオパシー滲透とも絡めて非常に空恐ろしい話ではないかという気がします。

さて前置きはそれくらいにしまして、先日も「アスパラクラブ」に「ホメオパシー療法、信じる前に疑いを」という妙にまともな…もとい、なかなか教育的な記事を書かれていた朝日新聞の長野剛記者ですが、表の朝日新聞の方にも先日こんな記事を書いているようですね。
前述のアスパラクラブの内容とも関連したもので、これまた「どうした朝日?!」と言いたくなるようなホメオパシー問題の背景事情がよく整理された記事ですけれども、まずは内容を紹介しておきましょう。

問われる真偽 ホメオパシー療法(2010年7月31日朝日新聞)

気が遠くなるほど薄めた「毒」を飲むことで病気を治す、という欧州生まれの代替医療ホメオパシーが「害のない自然な療法」と日本でも女性層を中心に人気が高まりつつある。だが、この療法が公的医療の一角を占める英国は今年、議会委員会がその効果を全面否定、公的医療から外すよう政府に勧告した。日本でも裁判が起こされるなど、その効果を巡ってホメオパシーは批判対象にもなってきている。(長野剛)

◇ 自然派ママの心つかむ ◇

 「本当にいいものだから、みんなに知って欲しいんですよ。(中略)病名のつかない症状やメンタルな問題まで対応できる自然療法なんです」

 女優の沢尻エリカさんはホメオパシーについて、講談社のファッション誌「グラマラス」5月号のインタビューでそう語った。作家の落合恵子さん経営のクレヨンハウスが出す育児誌「クーヨン」も2007年以降、ホメオパシー関連の記事を掲載している。

 クーヨン編集長の吉原美穂さんは「自然な子育てに関心が集まり、化学物質が入った医師の薬に不安を持つ人が多い」と、育児の最中の母親らがひかれる理由を説明する。

 国内の代表的なホメオパシー業界団体のひとつ、日本ホメオパシー医学協会(東京)によると、ホメオパシーは今年だけで20回近く雑誌などで紹介され、利用者は国内に数十万人はいるとみられるという。

 ホメオパシーの原理は200年前、ドイツの医師ハーネマンが確立。彼がマラリア治療薬を飲んでみたら、マラリアと同様の症状が起きた。そこで「病気と同じ症状を起こせる物質なら、病気を治せる」という着想を得た。

 似た症状を起こす物質が、似た病気を治すというので「同種療法」と呼ばれる。一方、西洋医学の場合は逆に、病状を消すための治療を行うので「異種療法」とされる。

 ホメオパシー治療は「レメディ」と呼ばれる丸薬のようなものを飲んで行う。「症状を起こす毒」を、よく振りながら水などで薄め、砂糖粒に染み込ませたものだ。薄める毒は、毒草のトリカブトや昆虫、鉱石など約3千種類

 ホメオパシーでは「薄めるほど効く」ともされる。その薄め方は半端ではない。一般的なレメディでは、10の60乗(1兆を5回掛け合わせた数)分の1に薄める。

 ここまで薄めると毒の物質は、事実上もう入っていないが「薄める時によく振ることで、毒のパターンが水に記憶される」と、協会会長の由井寅子さんは解説する。

 「自己治癒力が病気と闘っている時に現れるのが病気の症状。西洋医学は症状を緩和するが、治癒はさせない」。ホメオパシーで治せる病気は精神病から皮膚病まで多種多様で、がん治療も可能かと聞くと、由井さんは「そうです」と力強く答えた

◇ 効果否定、「被害」訴えも ◇

 しかし、ホメオパシーは本当に効くのか。

 ニセ科学に詳しい大阪大学の菊池誠教授は「分子が1個も残らないほど希釈するのだから、レメディは単なる砂糖粒」とした上で「最大の問題は、現代医学を否定し、患者を病院から遠ざける点にある」と指摘する。

 今年5月、ホメオパシーが効かず「乳児が死亡した」という損害賠償請求訴訟が山口地裁で起こされた。乳児を自宅出産した母親が、助産師を訴えた。訴えによると、乳児が生まれた昨夏、助産師は一般に多く使われているビタミンKを乳児に投与せず、代わりにホメオパシーのレメディを投与。乳児はビタミンK欠乏性出血症と診断され、約2カ月後に死亡したという。

 インターネット上にも「被害」の訴えは多い。

 6月には都内の医師のブログに「悲劇を繰り返さないため何かできないものでしょうか」と訴える書き込みがあった。血液のがんの悪性リンパ腫で友人を失ったという人物の書き込みで、友人はホメオパシーでがんを治そうと通常の治療を拒否。結果、病院に運び込まれた時には、すでに手遅れになっていたという。

 このブログを開設する大塚北口診療所の梅沢充医師は「自分が実際に診た人のなかにも、ホメオパシーに頼った結果、手遅れになったがん患者がいる」と証言する。

 梅沢さんは患者を病院から遠ざける一因に「好転反応」という用語を挙げる。

 好転反応について、ホメオパシー医学協会の由井さんは「症状は有り難い」との持論で説明する。ホメオパシー治療では、病気の症状がかえって激しく出ることがあるが、それは治療で自己治癒力が向上したことの証しの「好転反応」で、有り難いことなのだ、という理論だ。こんな極論を信じた結果、患者は症状が悪化しても「良くなっている」と思いこみ、病院に行くのを拒否する、というのが梅沢さんの指摘だ。

 ホメオパシーの効果については、玉石混交の論文が多数書かれている。05年にスイスのベルン大学のチームが、110件の研究から極めて良質な8件を選び出し、ホメオパシーの効果の有無を総合判定する論文を英医学誌ランセットに報告した。チームは、良質な論文群を包括的に分析した結果、「ホメオパシーはプラセボ(偽薬)効果に過ぎない」と結論づけた。

 偽薬効果とは、薬効が全くない物質でも、本人が「効く」と信じて飲めば効くことがあるという効果のことだ。つまり、ベルン大の結論は「ホメオパシー自体には、治療効果は全くない」ということを意味している。

 さらに今年2月、英国議会下院の委員会は、ベルン大の報告など多くの報告例を調査検討した結果「ホメオパシーには偽薬以上の効果はないので、英国の公的医療の対象から外すべきだ」とする270ページをこす勧告を英政府に提出した。効果がないことについては「再調査の必要すらない」とまで強調している。

 一方、日本の厚生労働省は今年、ホメオパシーを含む代替医療を現在の医療体制に取り込むことを検討するため、鳩山前首相の所信表明演説に基づき作業班を発足させた。

 がんの代替医療の検証を行っている埼玉医科大学の大野智講師は「日本の行政はホメオパシーを含む代替医療について、ずっと当たらず障らずの立場を続けてきた。効かないものは効かないということも、国は責任を持って情報発信すべきだ」と指摘する。

◇ 担当した長野記者より ◇

 この記事の掲載作業が終わった直後の7月26日、英国政府は、ホメオパシー療法への公的補助を続けると発表した。上記記事にあるように英国議会下院の委員会が、「ホメオパシーには偽薬以上の効果はないので、英国の公的医療の対象から外すべきだ」と勧告を出していた。英国政府は「ホメオパシーに医療上の効果がない」ことに関しては全く反論せず、「委員会の結論の多くについては同意する」としている。勧告に従わなかったのは「患者の選択の自由は、妨げられないから」などと説明した。

しかし「西洋医学は症状を緩和するが、治癒はさせない」なんてこの種のトンデモさん達のそろって口にする誤解が、なぜこうまで世に広まっているのか理解出来ないんですけれども、それでは臨床医学の下に膨大な基礎研究というものが存在していて、人間本来の身体の仕組みやら病因や疾患動態を日夜解明しようと多くの人間が汗を流していることを、この連中はどう説明するつもりなんでしょうね?
まあ信者さん達の主張に関しては信仰は事実とは無関係で信じるか信じないかだけの問題ではあるのですが、先日も「被害報告があればどんどん送ってください」なんて呼びかけてしまった長野記者が新たなるターゲットにならずにすむはずがないと思っていましたら、予想通り日本ホメオパシー医学協会からの反論がありました。
これがまた例によって無駄に長いものですのでリンク先をご一読いただきたいのですが、そのほとんどが長野記者の取材態度を非難する内容(それはそれで興味はありますけれどもね)ですのでその部分はなるべくカットさせていただいて、要するに何をもって反論としているのかの部分だけを抜き出してみましょう。

2010年7月31日付 朝日新聞東京本社朝刊Be report取材における朝日新聞東京本社 科学医療グループ長野剛記者の取材方法と報道の公平さに関する問題点について(2010年8月11日日本ホメオパシー医学協会)より抜粋

日本ホメオパシー医学協会(略称JPHMA)は、2010年7月31日付けで掲載された記事(http://www.asahi.com/health/feature/homeopathy.html)は、先入観や偏見なく、事実を公正・公平に報道するという倫理を逸脱した記事であったと判断します。

またこの記事を書いた朝日新聞東京本社 科学医療グループ 長野剛記者の取材方法ならびに報道姿勢については、取材目的を隠蔽し、先入観と長野剛記者の個人的な片寄った信条により、公正でない取材活動と、片寄った情報の報道になっていると判断します。

長野剛記者が書いた記事内容(朝日新聞社内の長野剛記者のブログを含む)と、実際の長野剛記者の取材の過程の両方から、JPHMAが問題と考える点を以下に取り上げて説明していきます。

(略)

8月3日 朝日新聞 医療サイト「アピタル」(長野剛記者)
(3)「私がホメオパシーの記事を書こうと思ったのはかなり昔です。近所のお母さんで、お子さんの食物アレルギーをホメオパシーで治そうとしていた方がいたのです。「アナフィラキシーが起こってもホメオパシーで治すの? 死ぬんじゃないか?」と思いました。
具体的な「被害」の例がつかめず、なかなか書けなかったのですが、「be」の流行紹介のコーナー(be report)で書くという手を思いつき、6月中旬に着手した次第です。ただ、もっと具体的な「被害例」を集め、ホメオパシー治療の実際について、もっと世間に発信したいと思っています。」
https://aspara.asahi.com/blog/kochiraapital/entry/kNKQFuNbTK

上記のコメントからわかるように、朝日新聞 科学医療グループの長野剛記者はホメオパシーに対する偏見と予断をもって、今回の記事を作成するための取材をすすめ、必然的にホメオパシーの効果に否定的な見解をもつ人物への取材とホメオパシーの効果に否定的な情報だけを集め記事にしたことがわかります。こうして本来の公正な視点から報道するという記者が行うべき立場を逸脱した報道姿勢によって、ホメオパシーの歪んだ報道へと繋がってしまったと考えます。

なお、アナフィラキシーショックを起こしたとき、JPHMAではもちろん、救急車を呼び然るべき医療機関に行くことをすすめます。しかし、同時に救急車を待っている間、レメディーをとることをすすめます。なぜなら、ホメオパシーのレメディーには、そのような症状に合うレメディーがあり、実際にそのような状況において多くの命がホメオパシーのレメディーで救われたという事実があるからです。最近山でスズメバチに刺されショック死した人がいましたが、その人もしくは、一緒にいた人が基本的なレメディーをもっており(たとえばミツバチから作られたApis[エイピス]というレメディーが基本的なレメディーとしてあります。またスズメバチから作られたレメディーもあります)、救急車を待っている間にそのレメディーをとることができたら、助かっていた可能性があります

治癒原理を科学的に説明できないという理由だけでホメオパシーを否定するならば、現代医療を受ける機会を逸しさせる責任があるとしたら、ホメオパシー療法を受ける機会を逸しさせた責任も同様にあると考えます。なぜならホメオパシーの有効性を示す文献は過去200年の歴史のなかでやまほど存在し、ホメオパシーの有効性については疑う余地がないからです。

おそらく彼らの教義に染まった多くの信者は一刻を争うアナフィラキシーだろうが「救急車を呼ぶよりも前」にレメディーを使うのだろうと思いますが、レメディーで助かった可能性があるというのであればその使用の有無で救命確率が向上したという「まともな」データくらい出さないことには話にならないでしょうね(恐らく、その逆のデータは幾らでも集まるでしょうが)。
もちろんホメオパシー一派からすれば「全ては各自の自己責任で行っていること」で済ませるつもりでしょうが、何しろ教祖さまが「血液中の異物は、生命力を低下させ、その影響が次の世代に遺伝として受け継がれます。血液がにごる原因として真っ先にあげられるのは、予防接種です」だとか「アトピーを薬で抑圧したことがあったならば、ホメオパシーの疥癬マヤズム治療をしませんと、治ることはない」なんてはっきり公言する団体です。
子供が喘息発作を起こして「苦しい、苦しい。。。助けて。。。」と泣き続けようが、「やはり鬼門は日曜日。。そしてそこから3晩はかかりますね」なんて砂糖玉を舐めさせて放置している虐待親がいるような世界で、こういう団体の信者が医療を受けるということにどういう考え方を持っているのか容易に理解出来るというものですよね。

7月31日 朝日新聞(Be report 長野剛記者)
(6)「05年にスイスのベルン大学のチームが110件の研究から極めて良質な8件を選び出し、ホメオパシーの効果の有無を総合判定する論文を英医学誌ランセットに報告した。チームは、良質な論文群を包括的に分析した結果、「ホメオパシーはプラセボ(偽薬)効果に過ぎない」と結論づけた。偽薬効果とは、薬効が全くない物質でも、本人が「効く」と信じて飲めば効くことがあるという効果のことだ。つまりベルン大の結論は「ホメオパシー自体には、治療効果は全くない」ということを意味している」

科学雑誌「ニューサイエンティスト」誌のコンサルタント、マイケル・ブルックス氏は、医学誌「ランセット」が、「ホメオパシーはプラシーボ以上のものではない」と結論づけたシャン氏の2005年8月27日号の論文は、欠陥論文であり、「ランセット」の学術誌としての価値を貶(おとし)めたとして、以下の本の中で言及しています。

13 THINGS THAT DON'T MAKE SENSE THE MOST INTRIGUING SCIENTIFIC MYSTERIES OF OUR TIME(邦訳題 『まだ科学で解けな13の謎』)」(楡井浩一訳 草思社) この本の中で、ブルックス氏は、ベルン大学のシャン氏とその研究チームがランセットで発表した上記論文については、ホメオパシー共鳴者でないクラウス・リンデとウェイン・ジョナスなど、複数の科学者が欠陥論文であると指摘しています。「ランセット」ともあろうものが、この手の「不備のある」調査結果を掲載したことに愕然としていたことに触れています。第13章(304ページ)以降もこの件について触れられています。 

同書は、まだ科学では解明されていない13のテーマを取り上げて論じていますが、12番目は、プラシーボ効果(ニセ薬でも効くなら、本物の薬はどう評価すべきか?)、13番目に、ホメオパシー・同種療法(明らかに不合理なのになぜ世界じゅうで普及しているのか?)を取り上げ、ホメオパシーについて、賛否両論の立場から論じています。そして、そこには非常に示唆に富む内容が含まれています。

長野剛記者には、事前にランセットの論文に疑問を投げかけた複数のコメントについてお知らせしたにもかかわらず記事に反映されることはなく無視されました。

ちなみに「まだ科学で解けない13の謎」という書籍は、トンデモさんも含めて昨今の世に広まっているアヤシゲな学説を紹介し、それに対する賛否両論を併記しつつ紹介していくというスタイルの書籍ですから、これにホメオパシー肯定の意見が含まれているということは何の意味もなく当然のことです。
さて、まともなソースの引用の仕方も知らないまま(あるいは、意図的に行わないまま?)「世界中でこんな権威がホメオパシーを認めているのだ!」と主張するのはホメオパシー医学協会に限らずこうしたトンデモさん達の常套手段ですけれども、その目的が冒頭に取り上げたようなソースロンダリングによる捏造であることは繰り返しておかなければならないと思いますね。
例えばここで「ホメオパシー共鳴者ではない」科学者として名前が取り上げられているクラウス・リンデなる人物の正体がどんなものかと言えば、ハーブの一種である「セントジョーンズワート」による代替医療を熱心に研究している御仁であり、同じくウェイン・ジョナスと言えばホメオパシーを含む治療バイオエネルギーを研究している人物です。
我々からすると「同類じゃねえか!」と思わず突っ込みたくなりますけれども、彼らの中にも派閥とか流派とか言ったものは当然に存在しているでしょうから、とりあえず「同種のトンデモさん達からは必ずしもホメオパシーは全否定されているわけではない」という程度の意味に捉えておけばよろしいかと思いますけれども、だから何だと言うんでしょうね?

7月31日 朝日新聞(Be report 長野剛記者)
(7)「偽薬効果とは、薬効が全くない物質でも、本人が「効く」と信じて飲めば効くことがあるという効果のことだ。つまりベルン大の結論は「ホメオパシー自体には、治療効果は全くない」ということを意味している」

朝日新聞社の一連の記事において気になることは、ホメオパシーの効果を否定するような論調になっていることです。ホメオパシーの有効性の科学的メカニズムについては確かに現段階においては解明されていないかもしれませんが、ホメオパシー療法の有効性については疑う余地のないものであり、それは赤ん坊、動物においてもその有効性が顕著に見られるという事実からもプラシーボ以上のものであることは疑う余地がなく、「本人が「効く」と信じて飲めば効く」というレベルのものではない、膨大な治癒実績があります。

JPHMAが長野剛記者に提示したホメオパシーの有効性を示す文献は、世界中にある文献のごく一部に過ぎず、きちんとホメオパシーの調査をする意志があるならば、いくらでも見つけることができるものです。公正な報道とは、ホメオパシーの有効性を示す文献をきちんと調査した上で行うべきであると考えます。

今後は、ホメオパシーの有効性に関する科学的根拠がないことと、ホメオパシーの有効性がないことは全く別のことですから、事実として、ホメオパシーが有効であるという記事を書いていただきたいと思います。

これがもうすごいとしか言いようのないと言いますか、彼らのトンデモ主張の中心命題なんだと思いますけれども、「ホメオパシーの有効性に関する科学的根拠がないことと、ホメオパシーの有効性がないことは全く別のこと」だと言う彼らにとって、それではホメオパシーの有効性とはいったい何を以て立証されるのかという問いかけは誰でもしたくなりますよね。
ましてそれが何故「事実として、ホメオパシーが有効である」ということにつながるのかは信者以外の誰にも理解できない彼ら独自のロジックが存在しているのでしょうけれども、とりあえず理解出来ることは彼ら相手に事を分け理を以て行う議論などと言うものは成立しないんだろうなということでしょうか。

さて、こちらが長野剛記者からの質問に答え、42ページにわたる資料を提出しました後、英国政府がホメオパシーのNHS適用継続を決定という新事実が判明したことを以下のように7月28日に長野剛記者に伝えました。

7月28日 メール内容(JPHMA)
朝日新聞 科学医療グループ 長野様
お世話になります。英国NHSでのホメオパシーの保険適用について新しい情報が入りました。英国政府は、国民健康保険におけるホメオパシーへのアクセスを維持する事に決定しました。本件、ホメオパシー国際評議会(ICH)のトップページに以下の文章が掲載されております
http://www.homeopathy-ich.org/

【和訳(JPHMA)】
英国議会下院に提出された、科学技術委員会のホメオパシーに関する報告書に対して、英国政府の正式な対応が発表されました。英国政府は、患者が、十分な説明を受けた上で自分の治療法について選択することができ、家庭医が患者に代わって、複数の療法を選択する権利を持つべきであるという姿勢で回答しています。
英国議会下院科学技術委員会は、3月、ひどく落ち度のある取調べの末、例えば、ロイヤル・ロンドン・ホメオパシック・ホスピタル(王立ロンドンホメオパシー病院)などの外来クリニックで適用されている国民健康保険(NHS)は、今後はホメオパシーには適用すべきではないと推奨しました。
科学技術委員会の報告書では、ホメオパシーの有効性に関して証拠がないため、国民健康保険の適用をすべきでないというものでした。「国会議員によるホメオパシーの適用停止推奨」というような大見出しの下でPRされたその報告は、実は、これがたった一人のホメオパシーに懐疑的な国会議員に煽られて始められ、 10名以下の国会議員によって実行に移され、最終的にはたったの3名(そのうちの2人は調査に参加したかどうかさえ分からない)の議員によって承認される、といった慌ただしい調査の結果でした。その懐疑的な国会議員は、5月の英国国会選挙で既に議席を失っています。
この報告書に対して、政府の回答は、以下のようなものでした。「患者は、十分な説明を受けた上で自分の治療法を選択することができ、医師は、法律によって定められている規制と方針の枠組みの中で、特定の状況において、その患者に最も適切と思われる治療法を施す事ができるべきである。」さらに次のように述べています。「ホメオパシーに対する国民健康保険(NHS)適用を引き続き支持する私たちの立場として、ホメオパシーのような補完治療、代替療法を含む、どのような治療法が、患者にとって適切なのかを判断し、その上で提供するのに、最も相応しい立場にいるのは、ホワイトホール(英国政府)よりも、むしろ、各地のNHSと医師たちである、というものである。」政府の回答文書は、以下のウェブサイトに掲載されています。
http://www.dh.gov.uk/prod_consum_dh/groups/dh_digitalassets/@dh/@en/@ps/documents/digitalasset/dh_117811.pdf 

JPHMA事務局

これに対し、長野剛記者から以下の返信がありました。

7月28日 メール内容(長野剛記者)
(8)「メール、ありがとうございます。大変参考になりました。
でも、英国厚生省の文書も「ホメオパシーに効果がある」ということは示せていませんね。 今後、英国でどのような議論が展開されるのか、大変興味があります。
先日取材させて頂いた要素を盛り込んだ記事はお伝えした通り、31日の弊紙別刷りbeに掲載予定ですが、残念ながら、すでに印刷が始まっており、お伝え頂いた内容は盛り込むことが出来ません。一般紙面と違うため、前もって印刷してしまうのです。
ご承知の通り、貴会認定ホメオパスの助産師さんを相手取った山口の訴訟も始まるなど、国内でもホメオパシーを巡る議論が始まりそうな雰囲気ですし、今後、続報を書く時に是非参考にさせて頂きたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。長野剛 」

こうして、新聞発行日までに、3日もあったにもかかわらず、事実でないことが報道されました。「英国会 ホメオパシーにNO!」という文字の大きく目立つイラストを入れて、また記事のリード中にも、「だが、この療法が公的医療の一角を占める英国は今年、議会委員会がその効果を全面否定、公的医療から外すよう政府に勧告した」と掲載し、英国国会内のホメオパシー懐疑派の一議員(前回の総選挙で議席を失っています)が中心となって行った一委員会の勧告があたかも英国国会全体の決定であるかのように報道となり、英国国会全体が、ホメオパシーを否定したかのような印象を持たせる形で掲載されたことは海外事情の正確な取材不足にも原因があると考えます。

もし、3日前に記者が知ったのであるなら、最新の事実を報道するよう、刷り直したり、訂正文章を本誌や広告を入れたりして正確に報道しようとするのが本来の新聞社の報道姿勢ではないかと思います。このことで、あたかも英国でホメオパシーが公的医療からはずされるような誤解や、英国会が全面否定したような事実と異なるイメージを多くの読者に与えたという事態を招き、はなはだ遺憾です。

加えて、記事掲載前には、朝日新聞長野剛記者からの追加質問に答え、当該の下院勧告に対しては、議員から反対の動議が出されており国会全体の総意でもないことや、英国国会がホメオパシーが最も安全な代替療法と認められた証拠となる資料の提出を求められ、英国貴族院のWebサイトのアドレスに公開されている情報をアドレスつきで送信していますが、それが記事に反映されることはなく、ここにも先入観と予断に基づいた朝日新聞 長野剛記者の報道の姿勢に問題があると考えます。

ホメオパシー推進派とすれば英国王室御用達であり、イギリスでは公的医療にも採用されていますということが何より「イギリス政府も認めている!」という錦の御旗になっているわけですが、これが何の規制もせず放置しておくと地下に潜ってどんなことになるのか判らないからという、現状悪化を防ぐ苦肉の策であることは彼らが決して言及しないところです。
そうであるからこそ法律で決められた診療のルールとして、ホメオパシーを使って良いのは放置しておいても大差ないようなごく軽い症例に限られ(indications are limited to the relief or treatment of minor symptoms or minor conditions.)、深刻な疾患には使ってはいけない(Indications for serious conditions are prohibited.)と言うことになっているわけですね。
実際にホメオパシーを「使ってはいけない」疾患のリストというものがずらずらと列挙されているわけですが、このリストを見てみれば要するに命に関わるような病気というのはほとんど適応外ということになっているわけで、逆に日本のホメオパシーというものがどれほど勘違いしているかということが明らかになってくるようにも思われます。

Bone diseases 骨疾患
Cardiovascular diseases 心血管疾患
Chronic insomnia 慢性的な不眠
Diabetes and other metabolic diseases 糖尿病および他の代謝性疾患
Diseases of the liver, biliary system and pancreas 肝臓、胆管および膵臓疾患
Endocrine diseases 内分泌疾患
Genetic disorders 遺伝性疾患
Joint, rheumatic and collagen diseases 関節、リウマチおよび膠原病
Malignant diseases 悪性腫瘍
Psychiatric conditions 精神疾患
Serious disorders of the eye and ear 目および耳の重篤疾患
Serious gastrointestinal diseases 胃腸の重篤疾患
Serious infectious diseases including HIV-related diseases and tuberculosis HIV関連疾患(エイズ等)および結核を含む重篤な感染症
Serious neurological and muscular diseases including epilepsy てんかんを含む重篤な神経および筋疾患
Serious renal diseases 重篤な腎疾患
Serious respiratory diseases 重篤な呼吸器疾患
Serious skin disorders 重篤な皮膚疾患
Sexually transmitted diseases 性感染症
Treatment and Prevention of malaria マラリア予防

ま、単に風邪を引いたとか言う場合には大抵が寝ていれば治るわけですから、その意味で砂糖玉でも舐めながら家で大人しくしていることは合理的という考え方もありますが、その砂糖玉が原価から考えるととんでもなく高価であったり、心不全なりを見逃していたということになれば大変なことだという話ですよね。
少なくともイギリス流の考え方に従って日本でもホメオパシーを行うのであれば、まずこうした禁忌の対象をしっかり除外診断してから砂糖玉を舐めさせるのが筋であって、その逆ではないだろうということではありませんか?

8月3日 朝日新聞 医療サイト「アピタル」(長野剛記者)
(9)「さて、今回の取材では、ホメオパシー団体からも「効く」とする「学術的」な論文を頂きました。英国のホメオパシー病院で「ホメオパシーを利用した人の7割が健康が良くなった」とするものです。ダブルブラインドの観点からすれば、突っ込みどころ満載でした。」

最初の長野記者の取材時に、たまたま、英国ブリストルのホメオパシー病院の来院者追跡調査のレポートが話題になり、長野剛記者がぜひ詳細を知りたいので送ってほしいということを言われましたので、原文を送りしました。

その時は、長野剛記者からダブルブラインドの調査結果の論文を求められたという事実はありません。あくまでも話の流れの中でたまたま英国ブリストルのホメオパシー病院の来院者追跡調査のレポートが話題になり、その資料を長野剛記者が要求されたのでお送りしたものです。

上述した通り、長野剛記者には、下記リンクにあるように、JPHMAからダブルブラインドテストでホメオパシー有効と判断された複数の論文を含め送付していますがその内容は無視されています。

http://www.JPHMA.org/topics/pdf/evidences03.pdf

※詳細は、JPHMAホームページリンクで紹介しています。
長野剛記者のブログでは、「ダブルブラインドテストを経て「効く」となれば、ホメオパシーは本物です。記事中に紹介したのは、2005年に発表された英医学誌ランセットの論文。ランセットは医学雑誌の中でも最も権威ある論文誌のひとつです。」と発言しています。このランセットの記事の信憑性に関しては上述した通りです。長野剛記者は、権威あるものは、中身をしっかりと検証せずに正しいとし、ホメオパシーの効果に肯定的な成果を見い出した論文はしっかりと検証せずに否定したものと思われます。

科学の世界で複数の対立する見解が並んでいる時、どちらが世間で受け入れられるかと言えばやはり再現性、つまり客観的な検証に耐えられるかという点が最重要ですが、その際に一つの簡単な目安になるのが論文発表の過程においてどの程度まともな審査を受けているかということです。
要するにろくな査読もないような身内だけの雑誌やら、そもそも客観的チェックなど存在しない書籍として幾ら自説を発表したところで誰からも相手にされないという理屈で、その意味で掲載に当たって厳しい審査が必要な一流紙である「ランセット」の反ホメオパシー論文に彼らがこうまでこだわるというのも、ある意味で当然ではあるわけですよね。
さて、それに対する反証として彼らが出してきた根拠とは如何なるものなのかと、「ダブルブラインドテストでホメオパシー有効と判断された論文」なるものの掲載誌を見てみますと、 「the American Homoeopathic ophthalmological, otological, and laryngological society, 1906」だの「Journal of the American institute of homeopathy. 37(1944)」だのと、それ系の雑誌名ばかりがずらずらと…
ネタかよ!と思わず突っ込みそうになりますけれども、逆にこういうトンデモ系な身内の雑誌でしか相手にされなかったものくらいしか反証がないということを、これ以上ない形で示してもいるわけですよね。

ホメオパシー推進派の方々は何かと言うと「200年の歴史があるのだから間違いない!」と古いことに何やらプライドを持っていらっしゃるようですが、傷口が化膿するのは微生物によるものだからと言っている時代に、「いや!500年前の文献に傷が腐るのは悪魔のせいだと書いてある!500年の歴史があるんだから間違いない!」なんて叫んだところで何の意味があるのかという話ですよね。
それでも「喘息にはゴキブリホメオパシー、埃のあるところが好きだから」「悲しいときは青い豆のホメオパシー、なぜならブルーだから」だの、あるいは「プレッシャーには金のホメオパシー、なぜなら土の中で鉛に押されて出来るから」なんてことを言って回っているトンデモ教祖さん達が、社会的に一定の信者を獲得しているというのは危険な兆候だと思います。
最近はさすがに心ある助産師の方々も助産師会の態度はおかしいと考えているようで、ホメオパシー派の役員は解任または辞任が常識だろうと声を上げている方もあるようですが、理事会など上層部には全くそんな動きがないらしいと言ったあたりに問題の根深さを感じさせられますね。

医者の世界などでも決して人ごとではなく、未だ集団とはいかないにせよ一部で精神汚染が進んでいる個人などは散見される状況のようですが、そろそろ単に黙殺するだけでなく医者業界としても何かしらの態度を明確にしていかなければならない時期なのかとも思いますね。
そしてもちろん、今までさんざんあちらこちらでホメオパシーなどトンデモ系を宣伝してきたマスコミにしてもその責任は逃れられないところで、過去の振る舞いに対してどういう総括をしているのかといったあたりを今後の活動で見せていただく必要があるのでしょう。

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2010年8月12日 (木)

強まるホメオパシー包囲網 というか、朝日どうした(苦笑)

先日紹介しましたホメオパシー批判の記事でも妙にがんばっていた朝日新聞ですが、このところ相次いでこんな記事を出しちゃっているようですね。
朝日どうした?何か悪いものでも食べたのか?と考えるべきなのか、一部の記者だけが暴走しているのかは判りませんけれども、こうなると近い将来また名指しでホメオパシー推進派の反論が出てきそうで、そちらの方にも期待が集まりますよね。

代替療法ホメオパシー利用者、複数死亡例 通常医療拒む(2010年8月11日朝日新聞)

代替療法ホメオパシーを利用している人の中で、病気が悪化して死亡する例が相次いでいる。通常の医療は末期になるまで受けていなかった。東京では5月、国立市の女性(当時43)が、がんで死亡した。埼玉でも昨年5月、男児(同生後6カ月)が死亡した。女性の遺族らは先月、「憂慮する会」を設立し、ホメオパシー療法家らに真相解明を求めて運動を始めた

 5月16日、東京都東大和市内の病院の集中治療室。女性は、悪性リンパ腫が悪化して人工呼吸器を付け、声も出せない状態だった。親交のあった荒瀬牧彦牧師=めぐみ教会(東大和市)=が見舞うと、手話で3回、「ごめんなさい」と訴えた。ホメオパシーに頼り、前日に救急搬送されたばかり。入院から11日後に死亡した。

 荒瀬牧師は「最後の最後になり、自分の誤りに気づいたのかもしれない」と話す。

 両親によると、女性がホメオパシーを始めたのは3年前。離婚直後で精神的に不安定な時に友人に紹介された。昨春から体調を崩し、全身の痛み、強い肌荒れを訴え始めた。荒瀬牧師は何度も病院受診を勧めた。だが女性は「今までのホメオパシーの努力が無駄になる」と拒み続けたという。

 5月には外出も困難に。激しい胸の痛みに母親(69)が救急車を呼ぼうとすると、「西洋医学はダメ」と最後まで拒んだ。気を失いかけたすきに、母親が救急車を要請。搬送先で、初めて悪性リンパ腫と診断された。

 さいたま市では昨年5月、生後6カ月の男児が体重5千グラム前後の低体重のまま死亡した。両親は助産師の勧めでホメオパシーに傾倒。市によると、病院での男児のアトピー性皮膚炎の治療や予防接種も拒否していたという。

 市児童相談所は、病院の受診拒否などを虐待と判断。保健師の指導で男児が4月に入院した際、両親が連れ戻さないよう病院に要請していた。男児は5月2日に死亡した。

ホメオパシーでは、病気の症状が重くなっても、自然治癒力が増した証拠の「好転反応」ととらえる。これが患者を病院から遠ざけているとの指摘がある。

 女性や男児の両親が頼った療法家を認定した日本ホメオパシー医学協会は取材に「現代医療を否定してはいない。(女性が死亡した)案件は調査中」と回答した。(長野剛、岡崎明子)

ちなみに長野記者は同社のネットサービスでこんな記事も出していまして、すでに結構コメントが集まっているところですからそちらもご一読されてみるのもいいかも知れません。
とりわけ一部コメントに見られる完全に染まっちゃってる系の方々は別として、こういうところをのぞきに来ているようなライトユーザーの方々というのはどこのカルトでもそうですけれども、なるほどこういう純朴な無知とも言うべき人間が一番引っかかりやすいんだろうなと納得できそうなコメントが並んでいます。

ホメオパシー療法、信じる前に疑いを(2010年8月4日朝日新聞アスパラクラブ)

東京本社科学医療グループ  長野 剛

「私はホメオパシーを使っています。実際に良さも悪さも実感しています」

そんなお便りを頂きました。7月31日付の朝日新聞土曜別刷り「be」に書いた「問われる真偽 ホメオパシー療法」に対してです。

ホメオパシーとは、欧州生まれの代替医療で、最近、国内でも流行りつつあります。記事は「効かない」ことを示す報告や、効くと信じて使った結果、重大な健康被害を受けた例があるとみられることを報じたものです。

ですが、お便りをくださった方のように「実際に使った。効いた」という意見は、インターネットでもよく見ます

あえて言います。あなたが自身の経験で「効いた」というのは、客観的な根拠には全くなりません。実は、放っておいても治ったかもしれない。ホメオパシー以外で受けている通常治療のおかげかもしれません。

実際に「効く」かどうかを確認するには、検証が必要です。

効果の検証は、医学の世界ではダブルブラインドテスト(二重盲検試験)という手法が、最上の手法とされています。「医学の世界」というと難しげですが、特に難しい理屈ではありません。

テストの原理は、患者さんに本当の薬と偽の薬を使ってもらい、効果を比較するものです。このとき、患者さんが「偽の薬だからどうせ効かない」とか「本当の薬だから効くだろう」と思うと、「病は気から」の原理で効くものも効かず、効かないものも効く、ことが起こりえます。

これを避けるために、患者さんには使う薬が本当の薬か偽薬かは言いません。さらに、お医者さんが「この人は薬を使っているから良くなるはず」と思っていると、実際よりも病気が良くなって見えるかもしれないので、お医者さんも、誰が偽薬を使っているか知らずに、テストを行います。患者さん、お医者さん双方が「本物か偽物か」を知らないので、ダブルブラインドというわけです。

良くできた検証法でしょ?

「私には効いた」というご個人の感想では、絶対的な効果を保証するものではない、ということは分かって頂けたでしょうか。

さて、今回の取材では、ホメオパシー団体からも「効く」とする「学術的」な論文を頂きました。英国のホメオパシー病院で「ホメオパシーを利用した人の7割が健康が良くなった」とするものです。ダブルブラインドの観点からすれば、突っ込みどころ満載でした。

ダブルブラインドテストを経て「効く」となれば、ホメオパシーは本物です。記事中に紹介したのは、2005年に発表された英医学誌ランセットの論文。ランセットは医学雑誌の中でも最も権威ある論文誌のひとつです。「ホメオパシーの効果」に関するテストを紹介した論文を集め、「ダブルブラインドテストがしっかりできているか」などの観点でふるい分けを行います。その上で内容を分析したところ、「ホメオパシーは効いていない」と結論づけました。

この論文では、評価する手法についても検証しています。「こんなに厳密な評価だとすべてが否定されかねないのではないか」という批判を想定したのでしょう。通常の医療で使う薬を調べた時の手法を同様に検証したところ、「薬は効く」と判断。つまり、誰もが認める結果をもたらすことから、この論文の検証手法が正しいことを示しました。

また、このランセット以外にも、多数の研究報告を分析し、「ホメオパシーは効かない」と報告した論文があり、少なくない論文がホメオパシーの効果を否定しています。

記事中に、英国会の委員会が「ホメオパシーには効果がないので、公的医療の対象から外せ」と英政府に勧告をした旨も紹介しました。

実は、beの印刷が始まったあとの7月28日、英政府が議会の勧告に従わなかったことを知りました。すぐに英政府の26日付の回答文を読んだのですが、実は、「効果がない」ことには、全く反論がありませんでした。英政府としても「ホメオパシーの医療効果上の根拠は弱く、あるいは存在しない」という認識で、勧告に従わなかったのは「患者や現場医師らには選択の自由がある」ためとのことでした。

なんだか、納得いかないのですが、ホメオパシーの業界団体によるとホメオパシーは英王室御用達だそうなので、なかなか難しいのでしょう。英議会事務局の担当者によると普通、議会の勧告には60日程度で政府の返答があるようですが、ホメオパシー問題では半年近くかかったのもそんな特殊事情のせいかもしれません。勧告をまとめた英国会の議員さんたちは、かなり思い切った行動だったのでしょう。一種、尊敬を感じます。

くどくどと書いてきましたが、何が言いたいのかというと、大事なお命や健康を守るため、もっと注意深くなって頂きたいのです。

記事で紹介したようにホメオパシーで「治る」と信じたのに治らず、なくなるケースさえもありそうだ、ということです。なので、まず、ホメオパシーを含む代替医療に頼る場合、「信頼できるものかどうか」をしっかり考えて頂きたい、と思うのです。特に重い病気を患っていらっしゃる場合、「効かない」と思えたときにはすでに手遅れ、ということもありえます。

私がホメオパシーの記事を書こうと思ったのはかなり昔です。近所のお母さんで、お子さんの食物アレルギーをホメオパシーで治そうとしていた方がいたのです。「アナフィラキシーが起こってもホメオパシーで治すの? 死ぬんじゃないか?」と思いました。

具体的な「被害」の例がつかめず、なかなか書けなかったのですが、「be」の流行紹介のコーナー(be report)で書くという手を思いつき、6月中旬に着手した次第です。

ただ、もっと具体的な「被害例」を集め、ホメオパシー治療の実際について、もっと世間に発信したいと思っています。「治る」と信じた結果、かえって通常医療を受ける機会を逸してしまったような方は、いらっしゃいませんか? ぜひ、お話をお伺いしたいと思います。お心当たりのある方はぜひ、アピタル編集部(apital&asahi.com)=&を@に変えてください=までご連絡ください。よろしくお願いいたします。

また、記事に対する通常のブログコメントもどうぞ。

しかしネットサービス限定とは言え朝日が被害報告まで集計を始めたというのは、これは本気で全面対決の姿勢を示したと考えたくなるような話ですけれども、本当に朝日にいったい何があったんでしょうね?(苦笑)
育児など特にそうですが、昨今おそらく一番この世代に影響力を持っているのはネットなども介した口コミ情報だとも思われますから、新聞社など名のある媒体が中心核になって否定的なネット世論を盛り上げていくというのは割合効果があるかも知れませんね。
ただテレビや雑誌媒体など各メディアともいろいろと今までのしがらみがありますし、とりわけホメオパシー推進派の助産院などを「カリスマ!」なんて取り上げてきた方々にとっては視聴率や部数を稼がせてもらった恩人を裏切るということにもなりかねませんから、正直対応に苦慮しているというところもあるのかも、ですかね(というより、せめてどうすべきかと迷っていて欲しいものですが)。

ただ改めて考えてみると、例えばホメオパシーを推進する側では一貫して「我々は何も強制していない。全ての選択は本人の自由である」という態度を続けているわけですから、危険性の方面からホメオパシー側の非を鳴らすということはなかなか難しいようにも思いますし、むしろ信仰の境界線上で迷っている人たちを感情的反発から向こう側に押しやり一致団結させるかもという危惧もありそうです。
ホメオパシーの危険性というのは無益であっても有害でもないレメディーなどという砂糖玉にあるのではなく、前述の記事についたコメントに現れているようにその思想(あるいは、洗脳)そのものにあるわけで、そうした思想が広まってきた根本原因の一つとして朝日らメディアが一生懸命普及に励んできた「近代医療=悪」という構図があるとなれば、たまたま名前が表に出た一カルトを叩いて終わるというものでもないはずですよね。
何より子供が適切な医療を受けられなかったという今回の事例においても、虐待をしたとして罪に問われるのは選択枝を提示したホメオパシーの側ではなく、自ら選択した親の側であるということになるわけですから、結局騙す側より騙された側が悪いのかと何やら釈然としない方も多いんじゃないかと思いますが、そのあたりとも関連してちょうどこんな記事が出ていたので紹介しておきましょう。

【赤木智弘の眼光紙背】子供に危害を加えるのは悪意だけではない(2010年7月22日サーチナ)

  赤木智弘の眼光紙背:第142回

  ニュースを探していたら、たまたま同じような事件を目にした。
1つが、助産師が「ビタミンKの代わりの錠剤」というものを子供に投与したが、子供がビタミンK欠乏性出血症で無くなった事件。(*1)もう1つが、親が病気の乳児を病院に連れて行かずに、手かざしで治そうとして死亡させた事件である。(*2)
方や、助産師が勝手な判断で乳児にホメオパシーを実施し死亡させた事件。方や、親が勝手な判断で乳児に手かざし療法を実施し死亡させた事件。ホメオパシーと宗教という、いずれも科学的なエビデンスに基づいているとは言えない治療に関わる問題である。
こうした事件における被害者が「乳児」であることは、決して偶然の一致ではない。ホメオパシーにしても、宗教にしても、こうした「自然治癒力を高める」と謳っている代替医療の多くは、出産に関わる親や子供を、積極的にターゲットにしている。「ホメオパシー」という言葉を検索してみれば、子供に対してホメオパシーを実施している親たちの体験談をいくらでも見つける事ができる。
出産や子育てという、人生における大事において、親が不安であるというのは十分に理解できる。そこに「西洋医学のクスリは副作用もあるし怖いですよ。我々の使っている○○は、子供が本来持つ自然治癒力を高めて、病気のしにくい子供にしてくれますよ」と囁きかける人がいれば、それに乗ってしまう親がいるのも、気持ちとしては分からなくもない。上記のような体験談を書く親も、当然子供のためを思っているのだろう。
ただ、いくらそれが親や子供の周囲の人間によって「良いと思える事」であっても、それが実際に子供に害を与えるのであれば、それはやはり遠ざけなければならないだろう。

  我々は「子供が殺される」というと、真っ先に「不審者」や「変質者」といった「悪意の犯罪者」の問題ばかりを考えがちである。
不審者から子供を守ろうと、ここ十数年で、町には「安全安心」のなのもとに監視カメラが溢れるようになった。私自身は、監視カメラが町に溢れる事によって、子供の安全安心が確保できるとは、まったく考えていないのだが、子供を悪意から守ろうという意欲が旺盛なことは認めよう。
だが、その一方で、今回触れているような「子供に対する善意が、子供を殺す事件」に対しては、ほとんどの人が、その存在すら意識してないのではないか?
当たり前の話であるが、子供に「ビタミンKの代わりの錠剤」を投与した助産師も、子供に手かざしをしていた親も、決して子供を殺そうとしていたわけではない。しかし、現実の結果として、そのどちらの乳児も死亡してしまった。
乳児は、自分自身が成長し、自分の意見が言えるようになるまで、自分の運命を親や周囲の人間に託すしかない。彼らによって乳児の運命は大きく揺り動かされる。
子供に対して「より良く育って欲しい」と思う気持ちは、親はもちろん、周囲の大人たちも同じだろう。しかしそれが、根拠のない思い込みや、親にとって都合のいい成長を望む気持ちで行われるのならば、子供は心身の危機に晒される。
実際こうして、二人の乳児が、親や助産師の信仰告白の道具にされ、殺されてしまったのだ。

善意であれ、悪意であれ、殺された子供にとって、その結末は同じ事である。
悪意のある犯罪に向ける視線と同じぐらい、こうした善意の犯罪についても、目を向けて欲しい。

*1:「ビタミンK与えず乳児死亡」母親が助産師提訴(読売新聞)http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20100709-OYS1T00214.htm
*2:乳児遺棄致死、手かざしで治ると信じた両親に執行猶予(読売新聞)http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20100717-OYS1T00247.htm(情報提供:眼光紙背)

ホメオパシーに関していえばほとんど唯一にして最大の売りが「レメディーそのものには害がない」ということなんですが(天漢日乗さんの引用、笑わせていただきました)、こういう事件が出てきますとそれ自体は無害な単なる砂糖玉であっても、結局のところ大きな健康被害を呼んでいるのだということが誰の目にも明らかになってくるわけですよね。
それでも信者がそこから抜け出せないというのは、まさに冒頭の記事にもあるように「今までのホメオパシーの努力が無駄になる」という「今までの自分を否定したくない」という人間の自然な感情が存在するからであって、損をすると判っていてもギャンブルから抜け出せないといった事例と共通する、ごく普遍的な人間心理の問題であるとも言えるんじゃないでしょうか。
となれば、信者本人はもう仕方がないのかも知れませんが、せめて周囲にまで不幸が及ばないようにしなければならない、少なくとも何も知らない子供が親の信仰の犠牲になるようなことは避けなければならないということで、そこに緊急で社会的な対策を講じる余地もあるように思いますし、信者も当然に持っているだろう子供への情に訴えかけることも出来るかも知れませんよね。

それにしても子供が犠牲になるという先日のキャッチーな事件の余波ということなのか、探してみれば最近ホメオパシー関連の記事というものが朝日に限らず増えている様子で、しかもそれらが総じて危険性に警鐘を鳴らず否定的なものであるということは、ひと頃の「自然=善」というマスコミお得意の構図からすると何やら興味深い現象だなと感じるところですよね。
先日は毎日新聞においてもこんな記事が掲載されていましたが、こうして代替医療肯定派自身の口からある程度は否定的なことまで語らせて見せるというのは、やはり彼らなりに現状には危機感を抱いているということなのでしょうか?

時代の風:「病は気から」=東京大教授・坂村健(2010年8月1日毎日新聞)

 ◇白黒付けないという知恵

 「代替医療のトリック」という本を最近読んで、結構ショックを受けた

 この本の共著者の一人サイモン・シンは私が最も信頼する科学ライター。一方、腰痛で立てなくなったとき、劇的に効いて翌日大事な講演をキャンセルしないですんだはり治療にも深く感謝している。これは結構ジレンマだ。ちなみにここでいう代替医療とは「主流派の医師の大半が受け入れていない治療法」。「はり」「カイロプラクティック」「ハーブ療法」などだ。

 誤解を受けないために言うと、この本は決して「代替医療」を頭から否定するという本ではない。壊血病に対するレモン療法が実はビタミンC治療だった、というように「代替医療」でもちゃんと後世で「医療」になりうることも認めている。そういう公平な目で、いままでたまった膨大な臨床試験の結果書かれたのがこの本だ。この本の各代替医療に対する評価にはほとんど文句のつけようがない。

 では、私が感激したはりの劇的鎮痛効果はなんだったのだろうか。ここで出てくるのが「プラセボ効果」。プラセボは、ただの水でも薬と信じて飲むと治ることがあるといった心理効果を指す。実は代替医療の真の効果を測定するときに最もやっかいなのが、このプラセボ効果なのだ。

 同じ症状の人を二つの群にわけて、ある治療をした群と、しなかった群で比べると明らかに差がある。では、本当の意味で効果があるかというと、ニセ薬でも同じ効果が出たりする。「何もしない群」「治療をする群」以外に「治療をしたように思わせる群」という三つの患者群で比較する「盲検法」という試験をしてはじめて治療法の本当の力がわかるわけだ。

 その点、はりは刺さるところが見えるし感触もある。「代替治療をしたように思わせる」のは難しい。それを手品のようなニセはりで可能にし、そのデータが集まってきて最近やっとはりのプラセボ効果の判定ができるようになった。で、結局見た目の劇的さから「はりはきわめてプラセボ効果を引き出しやすい」治療法だということらしい。

 ここで出てくるのが「それだけ高い効果があるなら、プラセボでも使えばいいじゃないか」という疑問だろう。ここで本は道徳哲学の話になる。プラセボ効果を治療に使うということは、結局は医師が患者にうそをつき続けること--それは結局は医者の不誠実であり、長い目で見て医療の現場をゆがめる。この本の最終章「真実は重要か?」はそのように、プラセボ効果利用の問題点を指摘する。

 その章の前までは豊富なデータを背景に高い説得力を持っていたこの本に異論がでるとしたらここからだろう。

長い目でみて社会全体のために重要な「真実」をないがしろにする行為でも、目の前にいる信じやすい心を持つ患者の平安のためには許されるのではないか。この話は「がん告知の是非」にもつながる重い問題だ。

 さらに言えば、将来プラセボの働きが解明され、脳に働きかけて「思い込み」と無関係に同じ効果を確実に作り出せる機器が開発されたら--それはもう立派な医療。では「その機器と偽はりはどうちがうのか」という哲学的な疑問も生まれる。

 実はこの本は、多数の興味深い逸話や明晰(めいせき)な科学的姿勢といういつものサイモン・シンらしさだけでなく、道徳とは何か、社会正義とは何かという事を考える本でもあるところが興味深い。ハーバード大学のサンデル教授の道徳哲学の講義がNHKで放映されて好評、というような時代の風にあった本とも言える。

 ところでこの本がメーンで取り上げる代替医療の中では、はりに対する評価は「一部効果あり」ということでむしろ高いほうだ。

 同書によると、はりに比べ盲検法の容易な--まさにタダの水を治療薬として売りつけるホメオパシーなど、まったく治療効果がないと判明しているにもかかわらず、米国では1987年から00年までに、3億ドルから15億ドルと売り上げが拡大している。英国ではロイヤル・ホメオパシー病院が2000万ポンドかけて改装される一方、同じ英国国家医療制度トラストに属する別の部門が同額の赤字を抱えて看護師を解雇している。この本で最終的に代替医療に厳しい批判が並ぶのは、そういう西洋の代替医療事情をバックにしているからかもしれない。シンにしては、この本の「真実は重要か?」の章は、ちょっと感情的--もしくは白黒はっきりさせようとしすぎではないかと思えるからだ。

 日本には「いわしの頭も信心から」「病は気から」という言葉もある。それはプラセボ効果をそれと半分わかった上で白黒付けず、変にハマリもせず利用する良い意味の「いいかげん」さでもある。

 私はこれからもはりに頼るだろう。「はり治療の効果は、気によるものです」という説明も不誠実ではないと思う。「気」が「プラセボ効果」のことなのか、東洋医学の「気の流れ」のことなのか--それの白黒を付けずに流すのが、まさに「東洋の知恵」なのだから。=毎週日曜日に掲載

ま、針治療などというものは物理的な干渉が生理学的効果を生む可能性があるという意味でなかなか興味深い研究の対象だとは思いますけれども、坂村氏も言及しているようにプラセボ効果を回避する方法論が難しいという意味では効果判定なども困難ではあるのでしょうね。
ちなみにその「まったく治療効果がないと判明している」ホメオパシーですけれども、ホメオパシー推進派の方々が「海外ではこんなに広く普及しています!」なんて宣伝材料に使ってきたのは周知の通りですが、彼らが盛んに「NHSもご採用!」と喧伝するイギリスにおいてもNHSの対象から外すべきだと勧告が出たことは全く言及しませんよね。
もともとかの国が効果がないことが判っていながらホメオパシーを保険診療に組み入れていたというのは、公的な縛りを外してしまうと地下に潜ってしまい何をやりだすか判らないという懸念から、監視の意味で最低限の抑制をかけるためであったという話がありますけれども、決してホメオパシーって素晴らしい!という認識から行われていたわけではないことは、BBCのこんな動画を見ても判ります(しかしさすがブリ、容赦ないですな…)。

■英国議会は「NHSでホメオパシーはもう扱わない」と言う(食品安全情報blog)

Science NOW
"End Homeopathy on NHS," Say British MPs
February 22, 2010
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2010/02/-end-homeopathy-on-nhs-say-briti.html?etoc

英国下院科学技術委員会は本日発表した報告書で、ホメオパシーはただのプラセボであり、NHSで提供されるべきではない、と結論した。1948年からNHSでホメオパシーを扱っている。さらに委員会は医薬品安全性担当機関である MHRAに対し、無作為対照化試験で有効性が示されていないホメオパシー医薬品の薬局での販売承認を中止すべきであると助言した。

この結論は驚くべきことではない。委員会はさらに「ホメオパシーは十分な試験が行われており、ホメオパシーには効果がないというたくさんの根拠がある」と結論してさらなる研究の要請も否定した。

また委員会に根拠を提出した英国ホメオパシー協会British Homeopathic Association (BHA)に対しても、恣意的選択と誤解を招く提示を非難した。

報告書本文
House of Commons
Science and Technology Committee
Evidence Check 2:Homeopathy
Fourth Report of Session 2009?10
http://www.publications.parliament.uk/pa/cm200910/cmselect/cmsctech/45/45.pdf

かなり明確に否定している

ホメオパシーについてはもう調査や研究すら必要ない、と完全否定。
Sense about science
Publication of Sci&Tech Select Committee’s report on Evidence Check:Homeopathy
http://www.senseaboutscience.org.uk/index.php/site/other/457

英国メディアは一斉に報道

一方日本では厚生労働大臣が
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1265989441

かくしてようやくその危険性・無益性が公に認識されフルボッコ状態になりつつあるホメオパシーという構図ですが、先日朝日新聞の記事に対して日本ホメオパシー医学協会が反論文を掲載したのはすでにご紹介した通りで、しかもわざわざ「その1」と銘打っているからには続編があるのかと期待が高まりますよね。
そのホメオパシー医学協会の反論文中で「医者でなくとも治療はやっていい」なんて公言してしまったことからあちこちでまた叩かれていますけれども、中でもJ-CASTニュースの批判記事に対しておかんむりのようで、またしても反論文を掲載しています。

J-CASTが配信した「朝日新聞VSホメオパシー協会 治療に医師免許必要なのか巡り」のインターネット記事について(2010年8月11日日本ホメオパシー医学協会)

8月10日11時12分配信 J-CASTニュースに掲載され、Yahooニュース、エキサイトニュース、MSNニュース、ライブドアニュースなどに転載されている上記記事の中の(1)~(5)の記事内容について、日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)からコメントします。
(略)

(1)J-CAST掲載記事より
「しかし、朝日新聞社の広報部に取材すると、コメントは明確だった。「当該記事は確かな取材に基づいて掲載したものです」というのだ。」

マスコミとして、表現の自由が尊重されるのは当然ですが、確かな取材に基づいたかどうかは、取材の経過も含めて、朝日新聞社の定める「行動基準」にも照らし、偏見なく、公正・公平な報道がなされたかという点を吟味し、検討する必要があります。この点については、日本ホメオパシー医学協会のホームページにて、今後、詳しく説明していきます。

(2)J-CAST掲載記事より
「医師免許がなくても治療できるというのは、本当のことなのか。」

これだけを読むと、当協会が、医師免許がなくても誰でも治療できると主張しているかのように述べていると誤解されるおそれがありますので、説明します。

当協会ホームページに以下のように書きました。

「治療法は現代医学の治療法以外にもたくさんあり、それぞれの治療法を習得したプロフェッショナルであれば、その知識と技能を用いることを生業としてよいわけです。」

つまり無条件に医師でなくても誰でも治療できるということではなく、ある治療法を専門に学びその知識と技術を習得し、それが権威ある認定機関によって試験され合格し、職業保険を有する職業団体に加入することをもってプロフェッショナルな職業人とし、その治療法を職業としてよいということを述べているものです。もちろん職業としてよいかどうかは、その治療法が実績あるものであるかどうか、安全性の程度もかかわってくると考えます。そういう観点から、「ホメオパシーは200年前から世界的に膨大な治療実績がある治療法であり、日本ホメオパシー医学協会が認定するホメオパスは、プロの基準を満たしているので、ホメオパシー治療を職業とするのに何の問題ない」というコメントをしたわけです。 安全性に関しては、過去に英国国会が代替療法の中でホメオパシーは最も安全な療法であると結論付けたことがあるからも問題がないと考えます。

(3)J-CAST掲載記事より
厚労省の医事課によると、医師法では、医学的な判断や技術をもってするのでなければ、患者の人体に危害を及ぼすかその恐れのある行為は、医師しかできない。これには、現代医学であるかどうかの線引きはないという。そして、「治療とは、一般的に医師の判断が必要なものを言います。」とする。ただ、医師しかできないかどうかは、治療の内容によるという。個別具体的に見ていくしかないというのだ。

厚労省が実際に何と説明したのかはわかりませんが、上記だけを読むと、「治療とは一般的に医師の判断が必要なものをいうが、治療の内容によっては必ずしも医師しかできないということはなく、つまり医師以外でも治療することができるが、一般論化できるものではなく、個別に具体的に見ていく必要がある。」と判断できます。
上記については正しいと考えます。

(4)J-CAST掲載記事より
「医学的な判断や技術をもってするのでなければ、患者の人体に危害を及ぼすかその恐れのある行為は、医師しかできない。」

上記に関しては、現代医療の知識が必要な医学的診断や現代医療を用いた治療行為などのことを指していると考えます。たとえば、聴診器をあてる、薬を処方する、手術をする、検査をするなどです。そうであれば全くその通りであり、当協会会員はそういうことは全くしておりません
当協会は現代医療や薬は疑う余地もなく重要なものであり、医師、薬剤師等の職業の重要性、専門性を十分認識し尊重しています。

(5)J-CAST掲載記事より
「これには、現代医学であるかどうかの線引きはない」

上記に関しては、法律上は明確に線引きしていないというのはその通りと思いますが、常識的に考えて、他の治療法を十分に習得していない、あるいは全く習得していない医師が、医師であるという理由だけでその治療法を自由に使う権利があるということにはならないと考えます。

いわゆる代替療法については、食事・栄養療法、音楽療法、ヨガや気功、整体などを含め、その安全性が確認され、十分な治癒実績があれば、その療法を業として為してよい可能性があると考え、また、それを職業とすることは、憲法の職業選択の自由の当然の要請であると考えます。

またその療法を受けるかどうかは、国民が選択する自由を有するものであり、安全性を確保しながら、国民の選択の自由の幅を尊重することが、全体としての医療の発展及び公衆の利益に合致するものと考えます。そして、現代医学を行う医師と代替療法の専門家が手に手をとって協力して、ぞれぞれの専門性を生かし、国民の健康に貢献していくことが大切であると考えます。

ここでも「国民の選択の自由の幅を尊重」と、あくまで騙される人間が悪いのだという姿勢は崩すつもりはないようですけれども、やはり「最も安全な治療法であると結論づけた”ことがある”」などと微妙な文言を並べてくるのを見ても、長年の歴史(笑)があるだけにこうした批判に対する反論は手慣れているなという印象は受けるところです。
最終的に同協会の主観がどうあれ厚労省がどう判断するかといったあたりを待たなければならないのでしょうが、実のところこのあたりの代替医療に関して言えば各方面で利権が絡みすぎて迂闊に手を出せないような状況でもありますから、同省としても軽々に口出しをするのも憚られる状況なのではないかとは推察しますね。
ただ社会的に考えますと今まで一生懸命「自然な○○!」式の宣伝に荷担してきたマスコミがそろって手のひらを返すようですと、既存の熱心な信者はまだしも新規入信の激減という形で経営的にも大きな影響はありそうですから、当面働きかけるとすればそのあたりからというのも手ではあるのでしょう。

加えて非常に面白いのは、ホメオパシー信者内部でも路線の対立と言うのでしょうか、「今回の事件は日本ホメオパシー医学協会一派だからこそ起きたことだ!あんなものは本当のホメオパシーじゃない!」なんて主張する人々も存在していることです。
およそこの手のカルト団体が解体に至るための方法の一つとして、内部対立から分裂した各集団が相互に争い自壊する状況に追い込むというのは歴史的にも数多くの成功例があるわけですが、こうした方達は逆に外部からの強圧に対しては小異を捨てて一致団結してしまう側面がありますから、単に力押しで攻撃するのではなく一工夫していかなければならないということなのでしょうね。
何にしろこうしている間にも新たな犠牲者が日々生まれているのだと考えてみると、冷静かつ慎重な議論を経て早急な社会的対応策を検討していく必要があるのでしょうし、政府や厚労省としてもこの問題に何かしらの動きを見せないではいられないはずですが、仮に今も宇宙人総理が在職中であればこの状況にどんなコメントを残していたか…なんて後ろ向きの興味も募ってくるのはどうしたものなんでしょうね(苦笑)。

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2010年8月11日 (水)

「昔はアメリカまで臓器をもらいにいってたんだよ」なんて時代が来ますかね

先日ひっそりとこんな記事が出ていたことを御覧になりましたでしょうか。

腸移植の1歳女児、古谷美香子ちゃん死亡 募金で渡米、帰国できぬまま

全国からの募金で渡米して小腸と大腸の移植を受けた古谷美香子ちゃん(1)=東京都渋谷区=が7日(日本時間8日未明)、米国の病院で亡くなった。「美香子ちゃんを救う会」が9日、明らかにした。

 救う会によると、美香子ちゃんは4月、米国の病院で小腸と大腸の移植を受けたが、術後の体調が安定せず、小児集中治療室(PICU)から出られない状態が続いていた。

 美香子ちゃんは腸の一部が機能しない「ヒルシュスプルング病」のため移植が必要と診断された。昨年秋からの募金活動で約1億2千万円が集まり2月に渡米。入院が長引き治療費が不足したことから6月から再募金が行われ、さらに約7千万円が集まっていた。

 救う会の中岡洋一代表(42)は「皆さまの期待に応えられず本当に悔しい気持ちだ」と話した。

大勢の方々による支援の甲斐無くこういう結果になったことは、関係者の皆さんにとってもさぞや無念なことであったと思います。
国内では臓器移植は様々な障害の存在もあってまだ一般化しているとまでは言えませんが、とりわけ小児の移植術に関しては子供からの臓器提供が認められていなかったこともあって、これまでは完全に海外頼りとなっていた現実があります。
しかし海外の人間からすれば大金をかき集めた日本人が横から移植待ちの行列に割り込んで来るように見えるわけですから、あまりおもしろい話でもないだろうとは誰しも想像がつくところですよね。
こうした諸問題を改善して国内でも移植医療を進めようということで、先日は臓器移植法が改正されたのも未だ記憶に新しいところですが、さっそくその第一号症例が出てきたということで大きな話題となっています。

家族の承諾だけで初の脳死・臓器移植へ(2010年8月9日読売新聞)

 日本臓器移植ネットワークは9日、交通事故で入院していた20代の男性患者が脳死判定され、臓器提供されることが決まったと発表した。

 家族の承諾だけで脳死判定と臓器提供ができるとした改正臓器移植法が7月17日に全面施行されて以来、初の適用例。男性は生前に書面での提供意思を示していなかったが、家族が承諾した。脳死での臓器提供者は1月下旬を最後に現れなかったが、改正法施行後わずか約3週間余りでの提供申し出となった。

 関係者の話によると、男性が搬送されたのは関東地方の病院。5日に診断した結果、脳全体の機能が失われた可能性が高いことが判明。主治医や移植コーディネーターの説明を受けた家族が8日夜、臓器提供を承諾した。法的脳死判定は8日午後9時半に始まり、9日午前11時55分に終了した。

 改正前の臓器移植法は、本人が臓器提供意思表示カードなどで提供意思を示すことが求められるなど、世界で最も厳しい提供条件とされていた。この結果、これまでの脳死臓器提供例は約13年間で86例にとどまっており、改正法が成立した。

 法的脳死判定は1997年の臓器移植法施行後、今回で88例目。臓器提供が今回行われれば87例目となる。

 同ネットワークによると、男性の場合、生前に口頭で家族に臓器提供の意思があると伝えていた提供を拒否する意思表示は確認されなかったため、家族が話し合い、男性の臓器を提供することを決めたとしている。

 臓器の摘出は10日未明から開始される予定。心臓は国立循環器病研究センター(大阪府)で20代男性に、肺は岡山大病院で20代男性に提供される予定。肝臓は東京大病院で60代女性に、腎臓は群馬大病院で10代男性に、もう一つの腎臓と膵臓(すいぞう)は藤田保健衛生大病院(愛知県)で50代女性に提供される見通し。

 小腸は医学的理由で断念し、眼球の提供先は今後決める。

 ◆日本臓器移植ネットワーク=脳死や心停止となった人から提供された臓器を移植希望患者にあっせんする国内唯一の機関。1997年に前身の日本腎臓移植ネットワークを改組する形で発足。臓器提供者の家族への説明などを担う移植コーディネーターや医師などで構成する。

 改正臓器移植法の主な変更点

 〈1〉本人の生前の意思が不明でも、家族の承諾で脳死臓器提供を認める

 〈2〉15歳未満の子どもからの提供を認める

 〈3〉家族に臓器を優先的に提供できる親族優先提供制度の創設

移植ネット理事の一問一答 (2010年8月9日共同通信)

 厚生労働省で9日記者会見した、日本臓器移植ネットワーク理事の小中節子医療本部長の一問一答は次の通り。

 ―臓器の提供病院が明らかになっていない理由は。

 「家族の要望で、個人を特定されないよう公表を控えてほしいと言われた」

 ―提供に至る経緯は。

 「本人が家族との会話の中で『万が一のことがあったら臓器を提供してもいい』と話していた。本人の口頭による意思表示を尊重して、臓器提供することを家族の総意として決めた

 ―臓器提供という選択肢を病院側が提示したのか。

 「把握していない

 ―本人は脳死からの臓器提供を希望していたのか。それとも心臓死後の臓器提供を希望していたのか。

 「脳死とか心停止とか明確に言ったかどうか、把握していない

 ―本人が臓器提供意思を持っていたとしても、脳死判定に従う意思を持っていたかどうかは確認していないということか。

 「確認していない

 ―家族とは具体的には両親か。

 「どういう家族かは言えない。人数は数人以上。3~4人ぐらい」

 ―男性が家族に話してから翻意した可能性はないのか。

 「会話した後の本人の意思に変化がないと家族が判断されたと受け取っている」

 ―書面による意思が不明な中で、脳死下の臓器提供が行われた意義は。

 「意思不明ではなかったと考えている。過去にも本人が口頭で意思を示していたのに移植ができなかった例があった。そういう方の意思を尊重できる新しい一歩になったと認識している」

「移植承諾、家族の決断に敬意」 厚労相   (2010年8月9日日本経済新聞)

 長妻昭厚生労働相は9日午後、厚労省内で「ご家族の決断に敬意を表するとともに、移植を受けられる方の手術も成功してほしい。今後も法律をもとに、適切に移植が行われるよう我々としても色々な施策・行政を進めたい」と話した。

 男性が生前に口頭で示した臓器提供の意思が、脳死後の提供を指すものか不明だった点については、「家族もお考えのうえでの決断だと思うので、それを尊重するのが法律の趣旨だ」と述べた。

 改正法施行後から1カ月未満で家族承諾による脳死判定が行われたことには、「早いとも遅いとも言えないが、適切な運用が必要だ」と話した。

臓器移植:家族承諾で移植 臓器ネット、意思表明時期「言えぬ」 難しい透明性確保(2010年8月10日毎日新聞)

 「新たな一歩になる」--。9日午後5時40分ごろから厚生労働省で開かれた記者会見で、日本臓器移植ネットワークの小中節子・医療本部長は強調した。だが、提供者本人の意思表明の時期など詳細については、「把握していない」「家族の要望で言えない」など約1時間続いた会見では歯切れの悪さが目立ち、透明性確保とプライバシーを両立させる難しさが改めて浮かんだ

 先月17日に全面施行された改正臓器移植法では、書面による意思表示がなくても、家族の承諾で法的脳死判定や、脳死後の臓器提供が可能になった。一方、これまで書面があることで担保されていた本人意思の確認や決断した時期などは、家族やネットワークの判断に委ねられる。

 小中本部長は「男性の家族が『本人の意思を尊重したい』として(家族内の)総意をまとめた。推測ではあるが、男性に脳死後の臓器提供の意思があったと思っている」と話した。

 しかし、どのように男性の意思を確認したかという点に質問が集中すると、男性や家族のプライバシーを理由に、ほとんど明らかにせず、言葉を選んだり、熟慮する場面が何度も見られた。

 脳死判定に至る手続きについて、もともと主治医が家族に臓器提供についての情報提供をしたのか、家族から申し出があったのかという質問に対しては「明確に把握していない」(小中本部長)と応じるにとどまった。また、提供に至る手続きが適正だったかどうかを検証するために、本人の意思を判断した経緯を公表できるかどうかについても、「ご家族は今非常につらい状況にある。家族の中だけの思いという面もある。どこまで情報を出せるか、(家族に対する)これ以上の確認は難しい」と語った。【大場あい】

特に今回の改正で注目されるのが読売の記事でも掲載されている三点ですが、家族の一存だけで脳死状態の子供から臓器提供を行え、その提供先として親族に優先権を設定しているといったあたりが、性善説頼りのかなり危なっかしい制度設計ではないかという声は聞かれるところです。
今回の場合も詳細な事情はプライバシーの関係もあってほとんど不可視となっているわけですが、悪い想像をすれば今後もし何かしら犯罪的な行為が隠れていたとしても事後検証も出来ないという可能性はあるということですし、それもあって各メディアも(無論、商売柄もあるのでしょうが)もっと情報開示をと連呼しているわけですね。
ただし、そうした一定のリスクを背負ってまでも国内での移植医療を早急かつ大々的に推進していかなければならないという事情が、こちらWHOから出されたかなり厳しいコメントによっても伺えるということで、これはもう何を置いても始めてみなければ仕方ないという状況であるのも事実なんですね。

WHO 日本の脳死移植に期待(2010年8月10日NHK)

改正臓器移植法の施行後初めて、書面での意思表示がない状態で臓器提供のための脳死の判定が行われたことについて、WHO=世界保健機関で移植問題を担当する責任者は、国内で移植手術を受けられない日本人の患者が海外の病院に渡航してきた実態が改善されることに期待を寄せました。

WHOは、ことし5月の総会で、各国で臓器の提供が進んでいないなか、自国で臓器提供が受けられないことを理由に、海外に渡って臓器提供を受けるのは望ましくないとして、外国での臓器移植を自粛するよう各国に求める新たな指針を承認しています。こうしたなか、今回、日本で初めて、書面での意思表示がない状態で臓器提供のための脳死の判定が行われたことについて、WHOで移植問題を担当する責任者のルーク・ノエル氏は、NHKの取材に対し、「日本が国内で臓器移植システムを確立できるようになる大きな一歩だ」と述べ、国内で移植手術を受けられない日本人の患者が、アメリカやドイツなどの海外の病院に渡航してきた実態が改善されることに期待を寄せました。さらにノエル氏は、今後の課題として「臓器提供の際、提供者の個人情報や尊厳をいかに保てるかが大切だ」と述べ、移植医療の信頼性を確保するためにも、一連の手続きに細心の注意が必要だと指摘しています。

この臓器移植問題に関しては以前にも取り上げましたが、こうまで国内移植推進が急がれている背景には、今や世界中で臓器移植ということが盛んに行われるようになってきてドナーが足りない、その結果「自分の国の患者の臓器は自分の国でまかなうようにしよう」という臓器ナショナリズムとも言うべき発想が台頭しているという事情があります。
すでに以前から外国患者に対して厳しい受け入れ制限を課してきている国が続出していて、実際に日本から移植を希望していたのに受け入れを断られたなんて話がどんどん出てきている、そしてWHOからも「海外渡航による臓器移植は自粛するように」という勧告が出てしまっている状況ですから、今後海外に渡っての移植というのは極めて例外的な事例に限られることになりそうです。
要するに一部マスコミなどを初めとして制度の不備があるから拙速に進めるべきでないと主張するべき人は、きちんとした制度が出来るまでにタイムリミットが来てしまった患者さんは天寿だと思ってあきらめてくださいと言っていることになるわけで、議論をするならまず大前提となる状況を明確にしてからでないと、結局何もしないでただ人が死んでいくのを見ているだけということになりかねないということですよね。

これとは別に移植医療の透明性ということで言えば、今回の改正で特に家族への優先権が認められているという点にも言及しないわけにはいきませんが、この点も含めて国内メディアは情報開示を進め移植医療の透明性を保てと専ら主張していることに対して、先の記事でWHOの移植担当責任者ノエル氏はむしろ「提供者の個人情報や尊厳をいかに保てるか」ということに細心の注意を払うように言っていることに留意ください。
このあたりは国ごとのメディア事情というものも大いに関わっているでしょうし、正直ジャーナリズムとしてあまり成熟しているとは思えない日本の各メディアに対する信頼性ということもあるかと思いますが、世界標準で見ると何よりまずドナーら当事者の尊厳が保たれるということが最優先であって、何かしら細々とした問題が懸念されるとしてもそれは二の次に位置するものであるというのが大原則であるということですね。
日本と海外では恐らく個人と社会というものの比重の置き方が違うということもあるのでしょうが、いよいよ日本でも移植医療が本格化していくべきこの時期に、臓器提供の意志を示すことが何かしら悪いことだとか、後ろめたいことであるかのような社会的雰囲気が形成されてしまうことだけは避けなければならないし、あくまで各個人が中立的な情報を元に判断し主体的に決定していくというプロセスが保証されなければならないでしょう。

いずれにしても国内での移植が定着するかどうかは、今後どの程度の数の移植医療が実施されてくるかに関わってくると想像されるところで、早い話がどこそこで移植が行われたなんていちいち大々的に騒がれないような状況になれば、日本人の特性からしてほどほどに社会に根付いてきたんだと考えていいんじゃないかと思いますね。
身近にドナーになった人が出た、あるいはレシピエントになった人がいるという実例がこれから次第に一般化してくるんだと思いますが、いたずらに興味本位の視線を向けるなんてことがないよう、社会的にも成熟した節度ある態度で各個人の決定を見守っていかなければならないでしょうし、何よりいつ自分が当事者になるかもという心構えが必要だと言うことです。

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2010年8月10日 (火)

今、ホメオパシーが熱い!

先日は新生児にビタミンK2を与えるかわりにレメディーなる砂糖玉を与えビタミンK欠乏性出血症で死に至らしめたとして、ホメオパシー推進派の助産師が親から訴えられたという一件を紹介しましたが、各ブログなどでも一斉にその危険性が取り上げられてきているようですね。
この時にも助産師会がホメオパシー講習会を主催するなど、同業界とホメオパシーが(ごく控えめな表現をすれば)ずいぶんと密接な関係を保っているのだなと推測されるところでしたが、さすがに社会的にもこの状況に対して危惧する声が上がり始めたようです。
ただ、ああいうものにハマっている開業助産師の人たちにこうしたまともな学会からの声がどの程度届くものなのかはっきりしないだけに、今後公的に何かしらの対応が取られるものなのかどうかが注目されますよね。

ビタミンK2投与を 周産期・新生児医学会が緊急声明(2010年8月6日朝日新聞)

 日本周産期・新生児医学会(理事長=田村正徳・埼玉医科大総合医療センター教授)は5日、新生児の頭蓋(ずがい)内出血を防ぐため、ビタミンK2シロップ投与の重要性を再確認するよう、会員の産婦人科医や小児科医、助産師らに求める緊急声明を出した。代替療法「ホメオパシー」を実践する一部の助産師が、シロップの代わりに「レメディー」と呼ばれる砂糖玉を渡し、新生児が死亡し訴訟になったことを受けた。緊急声明は長妻昭・厚生労働相にも提出、厚労省として積極的に指導するよう求めた。

「ホメオパシー」トラブルも 日本助産師会が実態調査(2010年8月5日朝日新聞)

 「ホメオパシー」と呼ばれる代替療法が助産師の間で広がり、トラブルも起きている。乳児が死亡したのは、ホメオパシーを使う助産師が適切な助産業務を怠ったからだとして、損害賠償を求める訴訟の第1回口頭弁論が4日、山口地裁であった。自然なお産ブームと呼応するように、「自然治癒力が高まる」との触れ込みで人気が高まるが、科学的根拠ははっきりしない。社団法人「日本助産師会」は実態調査に乗り出した。

 新生児はビタミンK2が欠乏すると頭蓋(ずがい)内出血を起こす危険があり、生後1カ月までの間に3回、ビタミンK2シロップを与えるのが一般的だ。これに対し、ホメオパシーを取り入れている助産師の一部は、自然治癒力を高めるとして、シロップの代わりに、レメディーと呼ぶ特殊な砂糖玉を飲ませている

約8500人の助産師が加入する日本助産師会の地方支部では、東京、神奈川、大阪、兵庫、和歌山、広島など各地で、この療法を好意的に取り上げる講演会を企画。2008年の日本助産学会学術集会のランチョンセミナーでも、推進団体の日本ホメオパシー医学協会の会長が講演をした。同協会のホームページでは、提携先として11の助産院が紹介されている。

 日本助産師会は「問題がないか、実態を把握する必要がある」として、47支部を対象に、会員のホメオパシー実施状況やビタミンK2使用の有無をアンケートして、8月中に結果をまとめるという。

 また、通常の医療の否定につながらないよう、年内にも「助産師業務ガイドライン」を改定し、ビタミンK2の投与と予防接種の必要性について記載する考えだ。日本ホメオパシー医学協会にも、通常の医療を否定しないよう申し入れた。

 助産師会の岡本喜代子専務理事は「ホメオパシーを全面的には否定しないが、ビタミンK2の使用や予防接種を否定するなどの行為は問題があり、対応に苦慮している」と話している。

 助産師は全国に約2万8千人。医療の介入を嫌う「自然なお産ブーム」もあり、年々増えている。主に助産師が立ち会うお産は、年間約4万5千件に上る。

 

テレビ番組で取り上げられたこともある有名助産師で、昨年5月から日本助産師会理事を務める神谷整子氏も、K2シロップの代わりとして、乳児にレメディーを使ってきた

 取材に応じた神谷理事は「山口の問題で、K2のレメディーを使うのは、自重せざるを得ない」と語る。この問題を助産師会が把握した昨年秋ごろまでは、レメディーを使っていた。K2シロップを与えないことの危険性は妊産婦に説明していたというが、大半がレメディーを選んだという。

 一方で、便秘に悩む人や静脈瘤(りゅう)の妊産婦には、今もレメディーを使っているという。

 ホメオパシーをめぐっては英国の議会下院委員会が2月、「国民保健サービスの適用をやめるべきだ。根拠無しに効能を表示することも認めるべきではない」などとする勧告をまとめた。薬が効いていなくても心理的な効果で改善する「偽薬効果」以上の効能がある証拠がないからという。一方、同国政府は7月、科学的根拠の乏しさは認めつつ、地域医療では需要があることなどをあげて、この勧告を退ける方針を示している。

 日本では、長妻昭厚生労働相が1月の参院予算委で、代替医療について、自然療法、ハーブ療法などとともにホメオパシーにもふれ、「効果も含めた研究に取り組んでいきたい」と述べ、厚労省がプロジェクトチームを立ち上げている。(福井悠介、岡崎明子)

マスコミと言えば今まで何かと自然なお産って素晴らしい!的な記事を連発してきた印象が強い中で、とりわけ朝日のようなメディアがこういう批判的(なんですよね?)な記事を取り上げてきたというのもおやおや?と思うところですけれども、助産師会のこれまでの姿勢に対する突っ込みがまだまだ甘いかなという気もするところで、今後このあたりをもっとつつき回していく必要がありそうですよね。
この方面でのホメオパシーと言えば院内助産師ではなく開業助産師中心に広められてきた印象があって、周産期・新生児医学会にしても正直こういう疎遠な方面には手を出しにくいのでしょうが、そろそろ医者側としても専門家として何かしらの態度表明を求められている時期ではあると思います。
ちょうどこの件について、日本におけるホメオパシーの総本山とも言うべき日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)が前述の朝日新聞の記事に対して反論を出していまして、これがなかなか興味深い内容ですので引用させていただきましょう。

朝日新聞等のマスコミによるホメオパシー一連の報道について その1 (2010年8月7日日本ホメオパシー医学協会)

8月5日付朝日新聞朝刊、社会面にトップに掲載されている(1)~(8)の記事内容について、日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)からコメントします。
http://www.asahi.com/national/update/0804/TKY201008040482.html

この山口地裁の訴訟については、昨日 (8/4)、第1回の口頭弁論があり、JPHMA会員の助産師側は、損害賠償請求の棄却を求めています。つまり、原告の請求事実を認めず、裁判の場で争い、事実を明らかにしていくというプロセスに入ったので、真相は裁判を通じて今後明らかになっていくものです。このように事実に争いがある中で、予断をもったマスコミの報道姿勢に基づく一方的な内容の記事には、大きな問題があると考えています。

また、本件に関連したマスコミ報道の中で、あたかも乳児死亡がホメオパシーに原因があるかのような印象をもつような記事も見かけますが、そもそもホメオパシーレメディーをとって死亡することはありません
この記事を読んだ読者が誤解しないように、誤解しそうな部分を抜粋し以下にひとつひとつ説明していきます。

なお、山口での訴訟に関係する内容については、現在民事訴訟が進行中ですので、JPHMAとしては現段階でのコメントを控えさせていただきます。

朝日新聞8月5日付 福井悠介、岡崎明子記者
(1)「ワクチンを打つなとか、薬を飲むななどと主張する過激なホメオパシーグループも存在する」

ホメオパシーを医者だけに推進している、川嶋朗准教授の発言として掲載されていますが、この記事を読んだとき、人はJPHMAがあたかもそのグループであると誤認してしまうことが懸念されます。川嶋氏は以前にも、このように事実でないことをJPHMAの問題責任のように、ある雑誌に発言していたことがありました。
川嶋氏に、その事実の確認を依頼しましたが、なかなか回答が得られず、弁護士を通じて、回答するように抗議をした結果、最終的には、JPHMAの問題ではないということを明らかにした事例がありました。

JPHMAは、法律的に義務化されていない限り、国民1人1人がワクチンやクスリの害と効用をしっかりと知り、選択すべきものであると認識しています。当然、ワクチンを打つなとか、薬を飲むななど主張する立場でもなく、そのような主張を行っているという事実も全くありません。国民1人1人が判断する材料として、ホメオパシーの考え方や臨床経験から情報提供しているのみです。

また、JPHMAは、協会倫理規定にも書かれている通り、現代医学とホメオパシー医学の両者の長所を生かして医療機関との協力体制を理想とする姿勢を1998年の設立以来一貫して打ち出しています。
現在、川嶋氏に上記発言の事実確認、事実である場合、過激なホメオパシーグループは本当に実在するのか?実在するとしたらそれはどのグループなのか確認しているところです。

朝日新聞8月5日付 福井悠介、岡崎明子記者
(2)「レメディーを投与するのは医療行為である。」

川嶋氏の発言として掲載されていますが、この発言が事実であれば、川嶋氏は、医師法17条の解釈を間違って解釈していると考えられます。すなわち、医師法の17条「医師でなければ、医業をなしてはならない」の解釈として、治療してよいのは医師だけであると川嶋氏は判断していると考えられます。しかしそうすると、日本国憲法の職業選択の自由に抵触しますから、必然的に、医師法17条が意味するのは、「現代医学を修得した医師しか、現代医学に基づく治療をしてはならない」と解釈しなければなりません

治療法は現代医学の治療法以外にもたくさんあり、それぞれの治療法を習得したプロフェッショナルであれば、その知識と技能を用いることを生業としてよいわけです。

ホメオパシーは200年前から世界的に膨大な治療実績がある治療法であり、日本ホメオパシー医学協会が認定するホメオパスは、プロの基準を満たしているので、ホメオパシー治療を職業とするのに何の問題ないというわけです。なお、川嶋氏に発言の事実確認および事実であるなら発言の根拠を求めていきます。

朝日新聞8月5日付 福井悠介、岡崎明子記者
(3)「薬の処方権がある人以外がホメオパシーを使うのは大きな問題だ。」

川嶋氏の発言として掲載されていますが、ホメオパシーのレメディーは、薬ではなく食品となっており、レメディーを与えることは医療行為に当たりません。レメディーがあたかも薬であるかのような表現をすることは、事実誤認であり、多くの人に誤解を与える表現です。

ホメオパシーは現代医学とは全く異なる考え方をし、専門知識が必要であり、ホメオパシーをしっかり学んで資格をとったものがプロのホメオパシー療法家としてホメオパシー療法を行うべきであり、現代医学の医師や歯科医師といえども、ホメオパシーをしっかり学んでいないものが行うべきではありません。

一方で、全世界的にもホメオパシーは代替医療の主流と認められており、世界各国の空港、スーパーマーケット、ドラッグストア等で誰でもレメディーを購入することができ、セルフケアの方法としても一般的です。川嶋氏の医師しかホメオパシーを扱うべきではないという考えは世界的な流れに逆行するものです。

朝日新聞8月5日付 福井悠介、岡崎明子記者
(4)「日本ホメオパシー医学協会にも、通常の医療を否定しないよう申し入れた。」

これは日本助産師会の発言として掲載されていますが、JPHMAは日本助産師会からそのような申し入れを受けたという事実を有しておらず、今、日本助産師会に事実確認を行っているところです。このような書き方をした場合、あたかもJPHMAが通常の医療を否定しているかのような印象を人々がもってしまいます。事実は前述した通り、JPHMAは通常医療を否定しておらず、現代医療と協力してやっていくという立場をとっています。

朝日新聞8月5日付 福井悠介、岡崎明子記者
(5)「ホメオパシーを全面的に否定しないが、ビタミンK2の使用や予防接種を否定するなどの行為は問題があり、対応に苦慮している」

これは日本助産師会の岡本専務理事の発言として掲載されていますが、これもこの記事を読んだ場合、JPHMAがビタミンK2の使用や予防接種することを否定しているかのような印象をもってしまいます。事実は前述(1)した通りです。

朝日新聞8月5日付 福井悠介、岡崎明子記者
(6)「元の物質の分子が残らないほどに希釈した水を含む砂糖玉が体に作用を及ぼす」との考えが科学的におかしいのは明らか。」

大阪大の菊池氏の発言として掲載されていますが、もしこれが事実としたら、研究もせずに、自分の持つ価値観、自分が学んだ範囲でのみ考えて結論を出し、頭から否定するというのは、科学者として頭が固すぎるといわざるを得ません。過去の歴史からも、未知のものを既知としていくところにこれまでの発見があり、発展があるということを学ぶことができるのに、そのことさえも認識されていません。
科学的に根拠に関しては、以下のRAHUK体験談の管理人のコメントが参考になると思います。
http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?mode=allread&no=2329

朝日新聞8月5日付 福井悠介、岡崎明子記者
(7)「限りなく薄めた毒飲み「治癒力高める」

あたかも毒が入っているような表現であり、ホメオパシーに関する誤解を生じかねません。この記事の中で毒が強調されているように思いますが、レメディーの原料として確かに毒物もありますが、毒物でないものもたくさんあります。また原料として毒物として使うものも最終的には無毒化されており、薄めた毒という表現は適切ではありません。

朝日新聞8月5日付 福井悠介、岡崎明子記者
(8)100倍に薄めることを30回繰り返すなど、分子レベルで見ると元の成分はほぼ残っていない

100倍希釈を30回繰り返した場合、10の60乗倍希釈となり、原成分はほぼ残っていないのではなく、1分子も全く、残っていません

※約10の24乗倍希釈で原成分は1分子もなくなります。

まあ、いちいち突っ込むのも空しいと言いますか…何やら電波ゆんゆん過ぎて頭がくらくらするだとか、いったいこいつらはどこの世界の言葉でしゃべっているんだと感じられた方、おそらくあなた方はまだ正常な部類なんだと思います…。
同協会の医師法解釈の下りなどはあまりに独自の電波を飛ばしすぎていて、なるほどこういう解釈を取るのであればこれは現代医学に基づく行為ではない、これは薬ではないと主張する限りにおいて、エセ医療的に何をどうしようが誰にとっても自由であると解釈出来る大胆な説ですよね。
ときどき重病人にまともな医療も受けさせずに亡くなって、今やすっかりミイラ化したようなご遺体を「この方は亡くなっていない!いずれ復活する!」なんて主張しているような人々の記事が出てきますけれども、その前提としてこういう解釈をしているのかと勉強にはなった気がします。

「そもそもホメオパシーレメディーをとって死亡することはありません」なんて言い回しは、判って言っているのであれば非常に巧妙で何かしらこの種の係争に手慣れた感じがしますけれども(「手かざしで死亡することはありません」というのと同じですよね)、一般的に当然に行われている医療上の処置を受けさせなかったことが問題だとされているのに対して、これは何とも的外れな反論ですよね。
一応世間の非難に対する答えらしき部分を何とか日本語に翻訳してみますと「個人の勝手でしょう?誰も強制してませんが何か?」ということになるように思うのですが、別な言い方をすればその結果何が起ころうと選んだ当人の自己責任であって、当方の知ったことではないということなのでしょう。
ちなみに「RAHUK体験談の管理人のコメント」云々に示されているように、彼らホメオパシーな方々が金科玉条のように唱える「科学的な根拠」なるものが如何なるものであるのか、ここでは講師やる夫先生の素晴らしくためになる講演を紹介するだけにとどめておきましょう(それにしても、ここでも諸悪の根源はブリかよと…orz)。

【参考】英科学誌ネイチャーにフルボッコにされるホメオパシー(やる夫で学ぶホメオパシー2)

何にしろ昨今では国からしてこの種の民間療法に保険適用を検討しましょうなんて言っているくらいですし、医大の関連施設でも自然療法なるものを専門に扱っているところがあるというくらいですから、その蔓延ぶりは留まるところを知らないという勢いですけれども、これがいったい何を意味するのかということですよね。
単に「なにこのカルト?!気持ち悪い!」と心情的に排除するだけではその被害は拡大していく一方ですから、社会にとって何が害悪なのか、社会に対する悪影響をどうやったら最小化できるのかという実際的な方向から対策を考えていかなければならない時期なのでしょう。
度を超えてある種信仰的にこういうものにハマってしまうタイプの人というのは、おそらくこれが無くとも早晩他の何かに同じようにハマってしまっているのでしょうし、信仰の問題というのはそもそも議論するような対象でもないでしょうが、客観的指標として「それはちょっとどうよ?」と言える説得材料というものはないのかということですね。

例えばこの手のものは無益であるところまではあきらめるにしても、総じて効果に対して高額であるというのは原価を考えると釈然としないものがありますから、不景気な時代だけに「それって無茶苦茶損じゃないの?」というアプローチはありかなとも思います。
ただ使っている人間にとっては効果があると信じているわけですから高いという不満は感じていないわけですし、それどころか少なくとも末端レベルで売っている人にもそういう自覚は全くないようで、むしろ脳天気なほどの善意の塊という顔でとんでもないことをやっていたりすることがままあるわけですから、儲けようとやっている人と単なる素朴な信仰心からやっている人とは区別しておかなければならないのでしょう。
それでも医薬品なり医療行為なりの代替として行っている以上は、それが医療経済学的評価の対象として捉えていくことが可能でしょうから、期待される効果に対してそのコストは高いのか安いのかという評価付けは可能であると思いますが、問題は彼らを客観的評価基準に乗せるということが極めて困難であるということです。

こうしたものについては幽霊がいないことを証明することが出来ないように、科学でははっきり否定することは出来ないと言う声も一部にありますけれども、少なくとも医療に関して言えば薬の効果の評価には決まり切った方法があるわけですから、二重盲検なりできっちり検証すれば効能の是非に関しては白黒つくじゃないかという考えもあるでしょう。
ところがこういうものを商っている人たちに「今の時代医薬品開発競争がすごいんですから、本当にそんなに効果があるものなら世間に認められる形でデータを出しましょう。その方がもっと多くの人にとっての幸福につながりますよ」などと言っても、「いや医薬品扱いになったら医者の処方箋が必要になって、多くの人が自由に利用できなくなる」なんてもっともらしいことを言って、断固として拒否するものなんですよね。
今のところ世間一般で認められたまともな方法で効果が実証されたことはないわけですが、「いや!確かに効くんだ!」と主張する人が科学的検証という同じ土俵に乗ることを断固拒否する自由も認めなければならないとすれば、「科学で否定はされていない」と言い続けることは少なくとも嘘ではないと言うことになるわけですし、定量的評価が出来ない以上その効能はpricelessであるとも言えるわけです。

こうして考えてきますと元々が単なる砂糖玉であるだけに、その副作用もDHMO並みであろうと予想されるわけですから、今回のような特殊な状況での事故でも起こらなければ被害者も「訴えてやる!」なんて話にもなりにくいでしょうし、仮にそんな状況に至ったとしても信者の方はレメディーが悪いんだと考える可能性は低いでしょうね(実際、レメディー自身は無益であっても限りなく無害であるわけですから)。
その意味でホメオパシーなるものはなかなか手強い相手であるとも言えるかと思いますが、今後問題になる可能性が高いのは今回の事例のように、何かしら必要なことをやらないことが悪いことにつながったという領域ではないかと思われますし、その場合例えば自己決定権のない小児科領域あたりでは、信仰上の理由による輸血拒否の事例などに対する対応というものが参考になるかも知れません。
しかしこうして様々な被害(当の本人達は別に被害とも思っていないんでしょうが)を見るにつけ、ほとんど児童虐待とも言えるような事例も散見されるだけに、こうした問題で声を出さずにはいられないだろうアグネス大明神あたりが何かしら言わないものかと、不謹慎ながら今から楽しみで仕方がないんですけれどもね(苦笑)。

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2010年8月 9日 (月)

また詐欺の被害者が出たそうです

先日は県立宮古病院の偽医者問題が発覚したばかりですが、あちらの場合は医者とつきあいがあっただとか患者歴が豊富だったといったキャリアがあったせいでしょうか、院長すら騙してしまうほどそれは見事な偽物ぶりであったようです。
今回ふたたび偽医者問題が発覚しましたが、こちらは素人にも気付かれるほどのお粗末ぶりだったようで、どうももう少し質的向上を図れよと言いたくなりますよね(本気で図られてもそれはそれで困りますが)。

ニセ医者、1府2県で健診 詐欺未遂容疑で無職男逮捕(2010年8月6日共同通信)

 医師免許がないのに診療所などで健康診断をし、診療報酬をだまし取ろうとしたとして、大阪府警枚方署は6日までに、詐欺未遂容疑で、同府交野市藤が尾1の4、無職加藤義勝容疑者(43)を逮捕した。

 枚方署によると、加藤容疑者は「わたしは偽医者です。医師免許は持っていません」と供述。医師の人材紹介会社大手「リンクスタッフ」(東京)に医師として登録し、7月中に大阪、滋賀、鳥取の1府2県の計6カ所で健康診断をしていた

 逮捕容疑は7月27日、医師免許があると虚偽申告してリンクスタッフから紹介を受けた大阪府の民間診療所で、団体職員の問診や聴診をし、診療報酬約6万円を自分の銀行口座に振り込ませようとした疑い。この日はほかの医師と2人で約200人を診断していた。

 枚方署によると、紹介先からの苦情や面接での受け答えに不審な点があったため、リンクスタッフが110番した。

 リンクスタッフは「捜査中なのでコメントできない」としている。

偽医者健診、詐欺未遂で逮捕=専門人材会社が派遣-大阪府警(2010年8月6日時事通信)

 医師と偽って人材派遣会社に登録、健康診断を行って診療報酬をだまし取ろうとしたとして、大阪府警枚方署は6日までに、詐欺未遂容疑で同府交野市藤が尾、無職加藤義勝容疑者(43)を逮捕した。
 同署によると、「一回も医師免許を取ったことはない」と容疑を認めているという。加藤容疑者は医師専門の人材派遣会社「リンクスタッフ」(東京)に医師と偽って登録。7月中に少なくとも大阪、滋賀、鳥取の1府2県で6回の診療行為を行っていたという。同署は、同社に登録した経緯を調べている
 逮捕容疑では、加藤容疑者は7月27日、リンクスタッフから派遣され、大阪府の診療所で行われた団体職員の健康診断で問診や聴診を実施、診療報酬として約6万円をだまし取ろうとした疑い。健康被害などの訴えはないという。
 リンクスタッフは、登録の際には医師免許の提示を求め面接を行うなどとしているが、今回の件については「捜査中なのでコメントを差し控える」としている。

苦情多い派遣医師、やはり免許なかった 詐欺未遂で逮捕 大阪(2010年8月6日産経新聞)

 医師免許がないのに診療報酬を得ようとしたとして、大阪府警枚方署が、詐欺未遂の疑いで、交野市藤が尾、無職、加藤義勝容疑者(43)を逮捕していたことが6日、捜査関係者への取材で分かった。

 逮捕容疑は、医師免許を持っているように装って、医師や看護師の紹介を業務とする大阪市中央区の派遣会社に登録。今年7月27日、府内の民間診療所で健康診断に伴う問診を行い、診療報酬約6万円をだまし取ろうとしたとしている。

 加藤容疑者の 派遣先からの苦情が相次いだため、派遣会社のスタッフが同月30日、加藤容疑者の自宅に赴き免許の有無を確認。免許を持っていないことが発覚したため、枚方署に110番し、加藤容疑者は翌31日に逮捕された。

 加藤容疑者は調べに対し容疑を認めているという。7月中に少なくとも6回の診療行為を行った疑いがあり、同署は医師法違反容疑でも調べる。

無資格で市の健康診断か 報酬詐欺未遂容疑で逮捕(2010年8月6日朝日新聞)

 医師を装って医療報酬をだまし取ろうとしたとして、大阪府警枚方署は、同府交野市藤が尾1丁目の無職加藤義勝容疑者(43)を詐欺未遂容疑で逮捕した。加藤容疑者は公的機関で実施された健康診断で医療行為をした疑いがあるといい、同署は医師法違反容疑でも捜査している

 枚方署によると、加藤容疑者は医師の資格がないのに、7月27日に同府摂津市役所であった職員健診で問診などをし、報酬約6万円を詐取しようとした疑いがある。加藤容疑者は大阪市内の人材紹介会社に医師として登録し、大阪や鳥取、滋賀の企業など計6カ所で健康診断をしていたという。

「手際が悪い」などのクレームを受けた同社が調べたところ、加藤容疑者が無資格を認めたため、警察に通報したという。加藤容疑者の名前は厚生労働省の医師免許取得者のデータベースになかったが、加藤容疑者は会社側に「個人情報を悪用されないように登録していない」と説明していたという。同社は朝日新聞の取材に「捜査中なのでコメントできない」としている。

しかし各社の記事では医療報酬あるいは診療報酬をだまし取ろうとしたとして云々と言っていますけれども、別にこの偽医者氏は医師と偽って診療に従事したり健診の報酬を搾取しただけで、診療報酬をだまし取ろうともしていないしだまし取ってもいないように思いますが、例によって捏造なんですかね?(苦笑)

それはともかく、こういう記事を見ていて「医療現場はそこまで人材が枯渇しているのか」と感じる人もいるのでしょうが、逆に健診なんて「誰も行きたがらない仕事」だからこそつけ込む隙があったという考え方も出来るでしょうね。
現場診療に忙しい医者にとっては「病人の相手だけでも大変なのに、この上健診なんてやっていられるか」ですし、しがらみで断り損ねた人か健診以外に出来ないような人、あるいはよほどリスクマネージメントを優先する御仁くらいしかなり手が見つかりにくいものです。
派遣を受ける側にしても所詮健診という意識がありますから医者であれば誰でもいいという感覚になりがちで、そこいらあたりの事情までくみ取った上で行けるとふんで仕掛けた詐欺だとすれば、案外業界事情に通じた上での犯行ということなんでしょうか?

一方で記事を読んでいてよく判らないのが「リンクスタッフは、登録の際には医師免許の提示を求め面接を行うなどとしている」というのに、素人でも判るようなレベルの低い詐欺師に騙されるだけならともかく、医師免許の確認をした気配がないのはクレームがついた後で免許の有無を確認した云々という話からも明らかですよね。
もしや登録時の規定には医師免許の提示を「求め」るだけで、拒否された場合に敢えて確認をすることまでは求めていなかったという斜め上な事態も予想されますが、いったいそれではこの偽医者氏は何をどうやって派遣会社を騙したのかとは気になるところで、スポニチの記事からそのあたりを引用してみましょう。

ウソだらけの偽医者「海外でボランティア」「私鉄大手の一族」(2010年8月6日スポニチ)

 無免許での健康診断による診療報酬詐取未遂事件で、大阪府警が逮捕した無職の男(43)が、医師の人材紹介会社に登録した際「大阪市の総合病院で心臓外科と内科を担当」などと偽の経歴を伝えていたことが6日、医療関係者への取材で分かった。

 逮捕容疑となった7月27日の健康診断は、大阪府摂津市役所の職員健診だったことも判明。枚方署は紹介会社「リンクスタッフ」(東京)が加藤容疑者の医師免許や経歴の確認を怠った可能性もあるとみて調べている。

 医療関係者によると、容疑者は同社に経歴を申告。同社から紹介を受けたクリニックでは「インドネシアやカンボジアで医療ボランティアをしていた」「私は関西私鉄大手の創業者一族」などと話していたという。

いやまあ、敢えて事細かには突っ込みませんけれども…こういう突っ込みどころ満載な売り込みというものが、世間的にはいかにも「これは素晴らしい先生だ!医師免許確認などすっ飛ばしてでもすぐキープしておかなければ!」と思わされるような説得力を持っているということであれば、これはこの世界の何がどう間違っていたということなんでしょうかね?
しょせんこうした健診なんて偽医者だろうがなんだろうが誰だろうが関係ないじゃないかという意見もあるだろうし、健診というのは治して欲しい人間だけがやってくる病院業務と違って健常人相手ですから、偽医者だろうが本物だろうがクレームが来るときは来るという難しさもありますけれども、一応専門職としての給料を支払うという以上は資格確認もしなかったのは弁護の余地がないミスとは言えるでしょう。
一昔前であればこういう仕事は大学医局などが割り振りをしていたわけで、いわば黙っていても保証書付きの人材が送られてきていたわけですが、今の時代この手の民間派遣会社などから医師派遣を受けるという局面も増えているわけですから、派遣会社側のみならず派遣を受ける側もどこでどうチェックをかけていくかというのを早急に考えていかなければならないですよね。

道義的・刑事的には詐欺師である当の偽医者氏が罪に問われるべきなのは当然ですが、民事賠償ということで考えると「医師を派遣してくれ」という要求に対して偽医者を送りつけてきた派遣会社が契約違反をしたということになりますし、そもそも無職の偽医者氏が損害賠償に応じられるはずもない以上はどこに損害賠償の請求書が回るかは火を見るよりも明らかなように思えます。
今回は大手が引っかかったわけでお粗末と言うしかありませんが、派遣業界というところも質的格差が著しいとは聞くところで、今ちょうど医療業界が人材不足である一方脱医局でフリーの医者も増えてきている、これは大きなビジネスチャンスだと軽い気持ちで参入しているようですと、後になって思いがけないツケを払う羽目になるかも知れないということでしょう。
もちろん医療の側でも最低限医師免許原本確認や医籍登録確認などの確認作業は必要ですし、今のところ騙されているのはそうした基本的作業すら怠ったあまりに杜撰な人たちであったのも確かですが、このあたりの身分保障はいかにも性善説的にシンプルなもので、詐欺師が本気でやる気なら幾らでも騙しようがありそうなだけに、こういう時代の変化に応じてより実効的な資格確認法を制度としても考えていく必要があるのでしょうね。

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2010年8月 8日 (日)

今日のぐり:「味司 野村」

先日ロシアの鉄道では事故が多発していて、民衆が列車に投石や銃撃まで行っているという話を紹介しましたけれども、どうも事故多発の根本的原因として別なものがあるような気がする記事がこちらです。

【海外】“ロシア少女たちの超危険な遊び”…線路内に寝て列車を通過させる「度胸試し」に英当局もカンカン(2010年8月2日メトロ)

ティーンエイジャーの女の子たちが高速列車の下に寝そべる――。死と隣り合わせのゾッとするような危険行為に、安全運動員たちは怒っている。
この写真(下掲)は、身体の数インチ上を列車が通り過ぎた後、ブロンドヘアーの少女が起き上がってきたところである。
インターネットのブログに掲載されたこの出来事はロシアで起きたことだが、「度胸試し」ゲームに夢中になる若者たちの最近のトレンドを示す一例だ。
イギリス鉄道警察は、もしイギリスの鉄道で同様の危険行為が見つかれば逮捕、起訴することになると警告した。

RoSPA(イギリス王立災害防止協会)のビッキー・フレーザー氏は、「鉄道線路は遊び場でもなければ人が歩いて通る場所でもありません。こんなところでふざけあったり自慢ごっこをしてはいけません」と語る。

ロシア人の行為になぜイギリス人がカンカンになるのかよく判らないのですが、イギリスにおいても同様な危険行為の需要が潜在的に存在しているということなんでしょうかね?
今日は思わず怖い!と叫んでしまいそうな危険な香り漂うニュースを紹介してみますが、まずはこのところ全国各地で被害者が相次いで発生しているというこちらの問題からです。

トイレでうめき声…48歳女性、熱中症で死亡(2010年8月1日読売新聞)

 1日午後2時頃、埼玉県ふじみ野市の無職女性(48)が、自宅2階のトイレで前かがみになってうめいているのを父親(78)が発見し、119番した。

 女性は病院に搬送されたが、熱中症で死亡した。女性は7月30日にも2階の自室で具合が悪くなり、搬送先の病院で熱中症と診断されていた。

 県警東入間署の発表によると、トイレの時間を長く感じた父親が、女性に声をかけたところ様子がおかしかったためドアをこじ開けた。女性は洋式便器に座ったままうなっていた。持病はなかったという。

熱中症で61歳男性死亡 寄居(2010年8月2日産経新聞)

 1日午後11時ごろ、埼玉県寄居町内の無職男性(61)方で、男性がトイレの便座に座ったまま前かがみになっているのを母親(87)が見つけ、119通報した。男性はすぐに病院に搬送されたたが、すでに死亡していた。死因は熱中症だった。

 寄居署の調べによると、男性がトイレに入ったまま出てこないため、心配した母親がドアを開け、男性がぐったりしているのを見つけた。男性は母親と2人暮らしだった。

この二つの事件、熱中症で死んだというだけですとまあそういうことも同じ日の数時間以内に同じ埼玉で全く同じ状況で二人が相次いでなくなったという事実に思いを馳せるとき、思わず何それ怖い!と言いたくなりそうな話ではないでしょうかね?
以前に山林近くで熊に噛まれたと言う岩手の記事を紹介して、そういうところでは熊にも注意しなければいけないと書いたところでしたが、どうやら岩手県内での熊の浸潤度というものをいささか過少評価していたようです。

住宅街の公園にクマ 男性大けが(2010年08月01日岩手放送)

きょう午前宮古市の住宅街の公園で男性がクマに襲われ顔や頭に大けがをしました。
きょう午前10時45分ごろ宮古市西ヶ丘のさくら公園の藪からクマが突然現れ、一人で散歩をしていた近くに住む63歳の男性が襲われました。男性は「頭をかじられた」と話していて顔には引っかき傷があり、現在病院で治療を受けていますが、警察によりますと全治1?2ヶ月の大けがだということです。クマは体長1メートルくらいと見られています。

町中の公園においても熊にかじられてしまうという現実を考えた場合に、岩手県内ではもはや熊の脅威から安全な場所など存在しないのだとすれば、これはやはり怖い!と言わざるを得ない気がします。
海外からは先日こんな一歩間違えると大惨事なニュースが飛び込んできていますが、まずは記事から紹介してみましょう。

戦闘機が墜落!パイロットは九死に一生(2010年7月24日読売新聞)

 カナダ西部アルバータ州レスブリッジの空港で23日、週末に予定された航空ショーに向けて練習中だった同国空軍の戦闘機CF18ホーネットが墜落、炎上した。

 この戦闘機を操縦していたパイロットは墜落直前に緊急脱出し、負傷したが命に別条はないという。

記事だけではよく判らないと思いますが、実際の状況を示す写真を見てみますと、半瞬でも遅れていれば脱出装置を作動させても地面にたたきつけられていたという状況であったことが判りますし、それ以前にすぐ足下で機体が爆発しているという時点で怖いと言うしかない状況ですよね。
お次はある意味でお国柄ではあるのですが、その結果そこまでやるかという衝撃のニュースを紹介してみましょう。

記録的猛暑のロシアでウォッカ飲んで行水、事故も多発(2010年7月16日産経新聞)

 ロシアの非常事態省は14日、連日の猛暑の影響で、酒に酔ったまま水遊びをして死亡する人の数が急増していると明らかにし、市民らに注意を呼び掛けた。

 この3週間熱波が続く首都モスクワ周辺では、今週末も気温37度の記録的な暑さが見込まれ、湖などの水場で酒盛りをする人の姿も多くみられる。

 非常事態省によると、水の事故による犠牲者は13日だけで子ども2人を含む49人に上り、6月には国内で1200人以上が水死したという。

 水死した人の多くはウォッカなどを飲酒しており、酒に酔った親が注意をしていなかったために、子どもがおぼれたというケースもあるという。

 ロシアの猛暑は農作物にも深刻な被害を与えており、政府は16地域で非常事態を宣言。これら地域を合わせると、ポルトガルの国土面積に匹敵するという。

ロシアと言えば今年は記録的猛暑で何やら大変な騒ぎになっているそうですが、しかしこの暑さの中でもやはりノドが焼けるようなウォッカを浴びるほど飲まずにはいられないという彼らの執念は怖い、ですかね。
最後に控えますのはこちら台湾からのニュースですが、見ている側は笑えそうになったかも知れませんが我が事となるとどうなんだという事件です。

生放送のニュース中断、口に入った蚊でキャスター窒息寸前に 台湾(2010年07月23日AFP)

【7月23日 AFP】台湾で、テレビのニュースキャスターが、口の中に迷い込んだ1匹の蚊(カ)が原因で呼吸困難になり、病院に運ばれるというハプニングがあった。番組は中断を余義なくされた。

 21日の台湾紙「中国時報(China Times)」によると、中国電視公司(China Television)のニュース番組の生放送中、1匹の蚊がキャスターのHuang Chingさんの口の奥深くまで侵入し、気管にまで達した。この瞬間Huangさんは激しくせき込み、窒息寸前に。別のキャスターと交代するまでの間、ニュースは中断され、コマーシャルが4分間流れ続けた。

 病院で一夜を過ごしたHuangさんは、「1匹の蚊にこんなにパワーがあるとは思ってもみませんでした。さんざんな1日でしたよ」と、前週の出来事を振り返った。

もちろん蚊で窒息という状況自体も恐怖ではあるのでしょうが、何よりこんなことで本当に命でも落としてしまった日には、弔いにどんなことを言われるか判らないという意味でも怖いとしか言いようのない話ですよね。
夏と言えば怪談や肝試しの盛んな時期ですが、皆さんも自分の人生がリアル怪談になってしまわないようご注意ください。

今日のぐり:「味司 野村」

昨今のB級グルメブームというものに便乗…もとい、あやかってか、岡山界隈でもデミカツ丼というものを売り込み中であるようなんですが、このデミカツ丼というものはこの手のご当地ものにしては珍しく出自がはっきりしているんですね。
広く知られている伝承によればこちら「野村」の創始者の方が東京で洋食修行中に考案したものが始まりであったということなんですが、今や岡山市内外のあちこちのお店に広まっていて、とりわけデミグラスソースの味のベースとなるスープを共用してラーメン屋のサイドメニューとして定着していることは広く知られているところです。
今ではラーメンよりもカツ丼の方で人気だという店も結構あったりしますけれども、やはり本家本元の味を評価しておくということで今回はこちらにお邪魔してみることにしました。

さて、お昼向けのメニューはシンプルで基本的にデミグラスソースのカツ丼と普通の玉子とじのカツ丼のみ、ぞれぞれにロースカツ丼とヒレカツ丼を用意しているというのは判りやすくありがたいところで、今回はヒレカツでデミカツ丼という組み合わせで頼んでみました。
落ち着いた店内の雰囲気はいかにも和食のお店という感じで、実際にカツ丼以外は座敷での鍋のコースや会席料理が中心と言うことのようですが、なるほどこういう商売で最初に洋食屋修行を思い立った創業者の方というのは真面目な料理人さんだったのだなと感じさせられますね。
こういうお店であれば卵とじのカツ丼の方もうまいんだろうなと思いつつ待っていますと、やがて運ばれて来たカツ丼の器から何とも言い難い香りが…これこれ、これがまた食欲を刺激するじゃありませんか!

実際に食べて見ますと特別な飛び道具などはありませんけれども、飯にカツを乗せてデミグラスソースをかけたらこういう味になるんだなという、洋食屋修行をした料理人が思いついた料理として納得できる味ですが、逆に見た目からの想像通りで意外性はない味という評価も出来るかも知れませんね。
現在デミカツ丼と言えば半ばラーメン屋の文化と言う感じになっていますけれども、あれも各店自慢のラーメンスープをベースにしているだけあってよく言えば個性的ですがデミソースとして見るとちょっとクセのある味が多くて、個人的にはこういう純洋食屋的な味の組み立ての方が食べやすいですね。
最近脂っこいものを食べるとてきめんに胸焼けしたりすることがままあるのに、結構肉にソースと脂質もたっぷりしている割にはするすると入ってしまったのは意外でしたが、やはり料理として考えるとデミカツ丼というのは卵とじのカツ丼と違って大盛りで食べてみようと言う気にはならない料理で、単品で供するよりはラーメン屋なりのサイドメニュー程度にとどめておくのがいいものなのかも知れませんね。

味以外の面では会席もやっているまっとうな店らしく、店内の作りも器のセンスも(昼飯にカツ丼を食いに来る店としてはちょっと違うかも知れませんが)特に悪くないんですが、食卓に置かれたドレッシングの安っぽいプラ容器だけがあからさまに周囲の雰囲気から浮いていて、一体どこの餃○の王○だよと思わずツッコミを入れてしまいましたね(苦笑)。
接遇面もこういう雰囲気に見合った落ち着いたもので、いわゆるカツ丼と言う料理から想像するようなバタバタしたところがないのはいいとも言えるし、こういうところでカツ丼を食うのも落ち着かないと考える人もいるかも知れずなんですが、実際にこういう地元ローカルなB級グルメの元祖とも言える店でありながら、入っている顧客はそれなりに年齢層高めであるのは印象的でしたね。
最近はどこでもB級グルメと言うと若い人が山のように押し寄せて大騒ぎという傾向がないでもないんですが、たまにはこういうちょっと落ち着いた雰囲気の中で老舗の味を楽しむのも悪くないかも知れません。

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2010年8月 7日 (土)

今週も斜め上の話題がてんこ盛りです

暑さで熱中症が全国的に頻発しているようで、さすがにそろそろこたえたという人も多い今日この頃なのでしょうが、世の中すかっと気分良くなるような話題というのはなかなかないようで、とりわけかの業界が絡むネタとなりますと何故こうまで首をひねるような話ばかりが続くんでしょうね?
先日毎日新聞の社説にこういうものが掲載されていまして、さすがに経験者の言葉には重みがあると捉えるべきなのか、お前が言うなと突っ込みを入れておくべきところなのか、迷う人も多かったのではないでしょうか。

社説:クラスター爆弾 禁止条約発効で弾みを(2010年8月4日毎日新聞)

 1発の爆弾から多数の子爆弾が飛び散り、不発弾だと地雷のように長期にわたって子供を含む市民を殺傷し続ける。そんなクラスター爆弾の使用や生産、保有などを禁じる条約(オスロ条約)が発効した。

 06年の第2次レバノン戦争でイスラエル軍が大量使用して批判が強まった後に、ノルウェーなどの有志国と非政府組織(NGO)が始めたクラスター爆弾禁止への取り組みが、とうとう確かな実を結んだ。

 しかし、これはゴールでなく、新たなスタートである。

 これまでに107カ国が禁止条約に署名したが、批准したのは38カ国に過ぎない。問題の焦点と言える米国、ロシア、中国、イスラエルといった諸国は、条約に加わる気配さえない。まずは署名、批准を呼びかけ、締約国を増やす努力を、粘り強く続ける必要がある。条約の発効で弾みがつくことを期待したい。

 NGOによれば、クラスター爆弾は34カ国が生産し、85カ国が数十億発を保有している。

 条約発効から180日以内に、締約国は保有するクラスター爆弾の総数を国連に報告し、原則として8年以内に廃棄する義務がある。

 条約作りの旗振り役となったノルウェーは、既にこの爆弾をすべて破壊した。英国やドイツは保有数、廃棄数、今後の廃棄スケジュールを公表している。

 一方、日本はこれらのデータが未公開だ。もっと透明性を高めて早期廃棄を進めるべきではないか。

 条約の義務を前倒しで果たそうとする諸国の目的は、廃棄の加速化で締約国の増加を図るとともに、参加していない大国などがクラスター爆弾を使いにくい状況を作ることだ。

 99年に発効した対人地雷禁止条約の場合、米国は署名していないものの新たな対人地雷の使用を控えてきた。こういう効果を狙っている。

 また、英国は国内に貯蔵されている米軍のクラスター爆弾を撤去することで米国と合意した。日本も、国内の米軍基地にクラスター爆弾があるなら撤去を申し入れ、さらに条約参加を促すのが筋だろう。

 一方、条約には被害者支援の条項が盛り込まれた。日本は既にこの分野に取り組み、地雷や不発弾の処理でも国際貢献の実績がある。岡田克也外相は条約発効の歓迎談話で、今後も「積極的な役割」を果たすと表明した。ぜひそうあってほしい。

 11月にはラオスで第1回締約国会議が開かれる。ベトナム戦争の際、ラオスやカンボジアも米軍に猛爆撃され、クラスター不発弾の被害が今も続く。この典型的な犠牲の地から新たな結実への大きな一歩が始まるよう、日本は支援すべきである。

ま、元から絶たなきゃダメという言葉もあるくらいですから、日本政府としても国民としても何をどう支援していくのが世界に貢献する道であるのか、よくよく考えておかなければならないでしょうね。
このように平素から愉快すぎる記事を世に提供していることでは定評のある毎日新聞ですけれども、先日はまた何とも言いようのないこんなネタ…もとい、記事を書いてきてくれましたので紹介しておきましょう。

<学力テスト>「新聞記事」と「コラム」、半数が区別できず(2010年7月30日毎日新聞)

 12年度から完全実施される中学校の新学習指導要領に「新聞活用」が明記されたことを踏まえ、今回、中学の国語B(活用)に新聞記事を読ませて読解力をみる問題が初めて出題された。太宰治の生誕100年にまつわるニュース記事と、読書に関するコラムを掲載した架空の新聞を読んだ上で、設問に答えるという内容。

 二つの記事の書き方の違いを選ばせたところ、「記事は事実を中心に客観的に書いているが、コラムは事実だけではなく書き手の意見や感想も交えて書いている」という正答を選んだのは50.2%にとどまった。客観的な文章と主観的な文章の区別がつかずに戸惑う生徒が多くいたとみられ、文科省は「さまざまな文章に触れさせる必要がある」と指摘している。【井上俊樹】

いや「記事は事実を中心に客観的に書いている」って、それネタかという突っ込みは当然予想されるところですけれども、一応出題者としては現実世界にはあり得ないような架空的な新聞なるものを設定した上で、社会常識にとらわれない深い出題意図への洞察を問うといった狙いがあったということなんでしょうかね?
言ってみれば西から昇ったお日様が東に沈むような物語世界において西日が差すといった描写がある、これを見て勝手に時刻は夕方なんだなと思い込んでいたら 実は朝の話だったと言う引っかけにやられたようなものですけれども、この場合設問の文章に対する読解力が足りないと中学生を責めるだけでよいのかという疑 問は誰しも抱くところではないでしょうか。
正答率半分ということは問題が難解すぎるか 問いの立て方自体が間違ってるかのいずれの可能性もあるかなと解釈出来そうですけれども、やはり実生活で毎日新聞のような素晴らしいネタソースに親しんで風の息づかいなどを感じている人間ほど、こういう非現実的な設問についつい現実を反映した答えを選んで失敗するということなんでしょう。

先日はTBSの「サンデーモーニング」において江川紹子氏と張本勲氏との間にトラブルがあり、これを契機にしてTBS側から江川氏が降板を求められているといったネタを紹介しましたけれども、いよいよそれが本決まりになったということです。

江川紹子氏「サンデーモーニング」降板(2010年8月2日デイリースポーツ)

 ジャーナリストの江川紹子氏(51)が1日、自身のツイッターでTBS系情報番組「サンデーモーニング」(日曜、前8・00)で野球解説者・張本勲氏(70)とあつれきが生じた騒動についてコメントし、不定期出演していた同番組を“降板”したことを明かした
 閲覧者からの「まだ復帰しないんですか?」という質問に、「張本さんがお出になっている間、私の復帰はない、とのことです。数日前、正式に通告がありました」と回答。番組関係者は、デイリースポーツの取材に「江川さんとは年間契約などをしているわけではない。コメンテーターとしての出演をお願いしないということです」と説明した。
 江川氏は5月23日に出演した際、張本氏の意見に反論。それが張本氏の怒りを買い、6月20日の出演をキャンセルされたことをツイッターで打ち明けていた。

江川紹子氏「サンデーモーニング」を“正式に降板”とTwitterで明かす(2010年8月2日RBB TODAY)

 TBS系情報番組「サンデーモーニング」内で野球評論家の張本勲氏と対立、番組を無期限休養していたジャーナリストの江川紹子氏が同騒動についてTwitterで発言。番組を“正式に”降板したことがわかった。

 Twitterで正式降板に触れた部分は、8月1日午前8時23分に書き込まれたもので、「張本さんがお出になっている間、私の復帰はない、とのことです。数日前、正式に通告がありました」というもの。番組を観ていたフォロワーからの「今日から8月ですが、まだ復帰しないんですか?」との問いに答えた。

 同氏は6月18日にTwitterで同番組の出演に関して書き込んでおり、「出演予定だった6月20日のサンデーモーニングにできなくなりました。5月 23日の放送での私の言動について、張本勲氏が立腹し、江川を番組に出さないようTBS側に求めたためです。TBSは、張本氏の主張を受け入れ、私を出さない、と決めました。7月も同様の理由で出演できません」としていた。

今回の一県はご本人のTwitterでの発言がなければ何ら表に出ずに終わっていた話だったのでしょうが、今の時代隠れて何をどうやったところであっという間に世間に広まってしまうというのはつくづく怖いものだなと思いますね。
TBS側とすれば張本氏と江川氏を比較検討した結果張本氏を取ったということなのでしょうが、こうしてTBSの情も理も感じられない仕打ちが公になってしまうと、何より金看板として温存したはずの張本氏すら無傷ではいられないということに気がつかなかったのでしょうか?
世間の判断は視聴率ではっきりしてくるんじゃないかと思いますけれども、何にしろこういう会社だと改めて世間に宣伝して回る形になったことが同社の今後にどんな影響を与えるのか、それとも「やはりTBSか」で終わってしまうのかも注目というところでしょう。

さて、最近密かに世間で注目を集めているらしいのが日本テレビなんだそうですが、まずはこちらの記事から紹介してみましょう。

日テレにトラブルが続く理由は?(2010年08月03日リアルライブ)

 日本テレビがトラブル続きだ。先週は山本真純アナが仙台市内の高級マンションから転落して死亡。今年2月に第一子出産後、産後うつを患った末の自殺とみられている。

 1日には、埼玉県秩父市の山中で、防災ヘリコプター墜落現場の取材に向かい遭難した同局の記者北優路さんとカメラマン川上順さんが死亡しているのが見つかった。埼玉県警は2日に司法解剖を行い、2人の死因はいずれも水死と判明したと発表した。
 あまりにもトラブル続きの日テレ局内では「お稲荷さんの祟りだ」とまことしやかにささやかれているというからシャレにならない。
 「麹町の旧社屋の屋上には祠(神をまつった小さなやしろ)があった。当初は新社屋の汐留の屋上に移設する予定だったが、担当者のミスで移設し忘れた。そして、汐留に移ってからトラブルが続いている」(日本テレビ局員)
 東京・汐留の日テレ新社屋は03年5月に竣工。同年10月に機能が移転し業務がスタートしたが、移転直後からトラブル続きだった。
 「まず番組プロデューサーの視聴率不正操作事件が発覚。夕方の看板番組だった『ニュースプラス1』のやらせ事件、06年には男性アナの盗撮事件が発覚し、 09年3月には日曜日の情報番組『バンキシャ』の虚偽証言事件など不祥事が続々と発覚した。そのせいもあってか、かつて君臨した『視聴率四冠王』の座はフジテレビに奪われたまま」(放送担当記者)

 さらに、またまた日テレにまつわる“火種”がくすぶっているというから穏やかではない。
 「先月放送された『バンキシャ』で、ニンテンドーDS用恋愛シミュレーションゲーム『ラブプラス+』(コナミ)の舞台となる熱海温泉に、多くの男性ファンが2次元の“彼女”を同伴(=DS持参)して訪れる様子を特集したが、その男性ファンのインタビューについてねつ造疑惑が浮上している」(同)
 ここまでトラブルが続いてしまっては、旧社屋の祠を一日も早く持って来て新社屋に祀るか、新たな祠を建立するしか手の施しようがなさそうだ。

山本アナ自殺で「パワハラ体質」浮き彫り(2010年08月02日東スポ)

日本テレビの山本真純アナウンサー(享年34)が飛び降り自殺。テレビに出演した実兄がうつ病(産後うつ)の症状を見せていたことを明かした。だが日テレ関係者らの間では「ほかにも理由があったのでは?」とささやかれている。すでに本紙が昨報した「不倫の噂を流され、相当悩んでいた」という証言だけではなく、日テレ局内のうっ屈したムード、そしてアナウンス部に存在する〝パワハラ〟を指摘する声も出ている。

日テレ女子アナに相次いで悲劇が

「これは尋常ではない。いったい何人、日テレから自殺者が出るんだ!」と憤りを隠せないのは、ある日テレ関係者だ。
山本アナの前にも、2007年には育児休暇中の大杉(旧姓鈴木)君枝さん(享年43)が東京・渋谷区内の自宅マンションから転落死。自殺とみられている。 01年にも、すでに退社していたとはいえ、元アイドルアナの米森麻美さん(享年34)が大手食品メーカー創業家御曹司と結婚、長男を出産した直後に謎の死を遂げた。日テレ女子アナに相次いで悲劇が起こっている。
前出の例と関係があるかは不明だが、制作会社関係者は「ここ数年、日テレ局内の空気は非常に悪い。団結力が欠けちゃっている。企業として病んでいる。うつ病の人間も多い。会社の診療室も、うつ病専門のドクターは一時期、予約が取れないほどだったことも。成果主義に追い込まれている」と証言する。

好き嫌い人事とパワハラ

確かに03年には視聴率不正操作問題、昨年には「真相報道バンキシャ!」の虚偽証言報道事件など、次々に問題が発覚している。
山本アナが在籍していた編成局アナウンス部も、決して風通しがよかったとは言えない状況だったという。日テレ関係者は「日テレが放送する大きなイベントなどがあった時は、よく局幹部がアナウンス部に現れるんです。そこでちょっとでもミスをしたアナウンサーに、『お前、(アナウンス部から)出すぞ!』と恫喝まがいのことをしていました」と、パワハラの存在を明かした。
アナウンス部内でも、大きな問題を抱えていたようだ。
好き嫌い人事があったんじゃないかな。アナウンス部から突然、ほかの部署に配属となって、泣いている人も多かったし…。ある女子アナが結婚した時には、上から『なんでこんな忙しい時期に結婚するんですか』と責められることもあったそうだよ」と芸能プロ幹部。山本アナが自殺した時も「『部内で何かあったのでは』という噂が流れた」(別の日テレ関係者)ほどだった。
「今の日テレの状態は本当にひどい。拝金主義で全然視聴者の方を向いていない。生まれ変わらないといけない」(前出の日テレ関係者)と指摘する声は、幹部たちに届くのだろうか?

確かに日テレさんもずいぶんと儲けていらっしゃるのは確かでしょうが、それだけなら他のマスコミ各社も同様の事情があるわけで、これだけ好き放題に無茶苦茶なことをやって単に祟りだのと言って済まされるはずもなく、捏造は悪いことだという報道機関として当然の倫理観の欠如こそが根本原因のような気がします。
日テレと言えばちょうど先日もバンキシャ!の『ラブプラス+』捏造報道問題というものが有志によって発掘されたところですけれども、これまた誰しも予想された通り、「ファンとしてあり得ない行動!」「どうせ日テレのやらせだろ?」と見切られてしまっていた番組登場の自称男性ファンが、件の旅館に宿泊した事実は存在しないということまですでに明らかになってしまっているのですね。

また「バンキシャ」不審点多数…熱海1泊“ねつ造”疑惑とは(2010年8月2日zakzak)

 日本テレビ系の報道番組「バンキシャ」に対し、ゲームファンの間で“ねつ造”批判が出ている。人気恋愛ゲームの美少女キャラクターと“同伴”して、熱海温泉の旅館に1泊する男性ファンの様子を取り上げたルポで、取材を受けた「Aさん」なる男性の行動が、ファンとして当然の手順を踏んでいないというのだ。さらに、取材を行ったとされる日にAさんが宿泊していないことも明らかになった。

 問題の放送は先月25日。ニンテンドーDS用恋愛シミュレーションゲーム「ラブプラス+」(コナミ)の舞台となる熱海温泉に、多くの男性ファンが2次元の“彼女”を同伴(=DS持参)して訪れる様子を特集した。「おととい、バンキシャは温泉で有名な静岡県熱海市へ」というナレーションで始まったことから、撮影日は23日とみられる。

 ファンらのお目当ては、「ラブプラス+」に登場する実在の旅館「大野屋」。ここで和室に1人で泊まると、2人分(=ゲーム内の“彼女”の分)の布団を用意してくれるサービスがある。当然、宿泊するファンは和室を予約するが、同番組に登場した「仙台から来たAさん(40)」は、「手違いでシングルになっちゃった」とつぶやき、洋室シングル部屋の宿泊を余儀なくされた

 そして夜。Aさんは携帯端末「iPhone」に表示した“彼女”をベッドに置き、「(まだ)ちょっとそういった(ベッドを共にする)関係ではないので」と言い残し、タオルケットを巻いて床に寝てしまった。

 二次元キャラをベッドに寝かせ、自分は床に寝る。テレビ的には“おいしい絵”だが、この内容にゲームファンらは反発。批判は「DSではなくiPhoneに表示するのはおかしい」「なぜ、和室を予約しなかったのか」といったもので、「日テレのねつ造ではないか」との声も出ている。そこで、このAさんについて夕刊フジが大野屋に確認すると、意外な答えが返ってきた。

 「客室でのインタビュー撮影は、当館のスタッフはもちろん、撮影に帯同していたコナミの方も放送当日までまったく把握していませんでした。23日の宿泊名簿を確認しましたが、シングル部屋利用者は3人で、いずれも仙台の方ではありません。当日は和室も十分空いており、変更にも対応できたと思います」(大野篤郎・大野屋専務)

 放送を見た一部のファンは、「予約を取り違える旅館」として大野屋をネットで批判しているが、大野屋にとっては寝耳に水の話というのだ。

 「撮影前日の22日には仙台の男性がシングルに1泊されていますが、この方は7月上旬から予約されています。事前に、このお客さまにインタビューされた可能性はありますが、真相は分かりかねます」(同)

 ネット上の批判について、日本テレビ総合広報部は「当社では、番組制作の詳細に関するご質問にはお答えしておりません」としている。

いやもうね、捏造するにしても何にしても町おこしも兼ねて一生懸命ブームを盛り上げようとしているのに、これではテレビ局の手になる悪質な営業妨害じゃないかという話ですけれども、他人に対しては説明責任を果たせなんて景気の良いことを言っているマスコミさん達も、こういうときだけは決まってダンマリを決め込むというのは社会的にどうなんでしょうね?
社会的にと言えば先日は日テレ記者が事故死したという話が世間を賑わせていましたけれども、これも同じく捏造報道バンキシャ!!による犠牲者と言えるような話ですよね。

ヘリ事故取材の2人 心肺停止(2010年8月1日NHKニュース)

埼玉県警察本部などに入った連絡によりますと、埼玉県秩父市の防災ヘリコプターの墜落事故の現場近くの川で、男性2人が心肺停止の状態で見つかり、先月31日から取材に入っている日本テレビの記者とカメラマンが行方不明になっていることから、警察はこの2人とみて、確認を急いでいます。

埼玉県警察本部などに入った連絡によりますと、1日午前9時すぎ、秩父市の、防災ヘリコプターの墜落事故の現場から2キロほど離れた川で、男性2人が心肺停止の状態で見つかりました。この現場付近には、先月31日から、日本テレビの記者とカメラマンの2人が取材に入っていて、行方不明になっていると日本テレビから警察に連絡が入り、捜索をしていました。警察はこの2人とみて確認を急いでいます。日本テレビの総合広報部によりますと、ヘリコプターの墜落現場に取材に入っていたのは、報道局の記者で北優路さん(30)と、カメラマンの川上順さん(43)の2人です。2人は、先月31日夜、下山の予定時刻を過ぎても戻らず、連絡が取れなくなったため、警察に連絡し、1日朝から捜索を行っていたということです。また、詳しい状況についてはわかっておらず、日本テレビでは、「現段階では申し上げられない」としています

日テレ取材陣2人が遭難死か(2010年8月1日デイリースポーツ)

 1日午前9時10分ごろ、埼玉県秩父市の山中で、日本テレビ報道局の記者北優路さん(30)=さいたま市浦和区=とカメラマン川上順さん(43)=東京都江東区=とみられる2人が心肺停止状態で倒れているのを県警山岳救助隊員が発見。2人は同日午後、搬送先の病院で死亡が確認された。

 北さんらは7月25日に起こった防災ヘリコプター墜落事故の現場を取材しようと、山岳ガイドの男性(33)と7月31日午前6時半ごろに入山。Tシャツにジャージーのズボン姿だったため、ガイドが「軽装で危険」として引き返させたが、「(墜落したヘリの)機体が見える場所がないか探す」と午前10時前、2人だけで再び山に入ったという。県警は「険しい山岳地帯」として、報道各社に墜落現場の取材を自粛するよう求めていた

 ガイドによると、2人は「『真相報道 バンキシャ!』(日曜後6・00)の取材で来た」と話したという。日テレの報道局幹部は「取材はガイドをつけることなどを指示した上で認めた」などと説明した。川上さんは山岳取材のベテランだったという。

 秩父署などによると、2人は墜落現場から約2キロ離れた沢付近で、下半身が水に漬かった状態で発見された。約50メートル離れた場所にリュックサックがあった。

そもそも報道各社に取材を自粛するよう求めていたというとんでもない場所にわざわざ取材を送り込むというバンキシャ!の意図もどうなんだというところですが、どうも状況を聞いてみますとどう考えてもそれは無理だろうと思われるような取材を敢行していたようで、これは起こるべくして起きた事故と言わざるを得ません。
しかも地元ガイドの忠告も警察の取材自粛勧告も無視して勝手に危険地帯に押し入った上に、日テレ側は例によって自分たちは悪くないかのように捏造しようとしたというのですから、これはもう何を言っていいやら判らないような斜め上方向への逸脱ぶりです。

【日テレ取材班遭難】「まさに自殺行為だ」 軽装の入山にベテランガイド絶句(2010年8月1日産経新聞)

 「素人だけで行くような場所ではない。まさに自殺行為だ」。埼玉県秩父市の山中で発生した県防災ヘリコプターの墜落事故現場を取材中の日本テレビ記者、北優路さん(30)=さいたま市浦和区=と、同カメラマン、川上順さん(43)=東京都江東区=の2人が遭難し死亡した事故で、周辺などで約20年にわたり山岳ガイドを続ける男性(44)は、軽装で山に挑む危険を指摘した。

 男性によると、2人が見つかった場所の周辺は、この時期でも川の水温は5~6度程度だという。「長時間水に漬かると低体温症になり、体が動かなくなる。防水加工をほどこした装備が必要になる」

Tシャツとジャージー姿だった2人の発見現場は、墜落現場まで4~5キロ離れた川の岩場地帯で、近くの登山道からも約500メートル離れている。男性は、上流の墜落現場へ向かうためには、ロープなど沢登り用の十分な装備が必要だと指摘。「2人はとにかく軽装だ」と絶句する。

 県警によると、死亡した2人と日本山岳協会の男性ガイド(33)の3人は7月31日午前6時半ごろ、ヘリ墜落現場から直線距離で約5キロ離れた駐車場に車を止め、林道を約1.5キロ歩いて現場へと向かった。林道近くの川の様子を見た男性ガイドは「危険だから引き返そう」と2人に入山の自粛を求め、一度は3人で駐車場付近まで下山したが、2人は「写真を撮ってくる」などと言い残して再び入山したという。

 山岳ガイドの男性は「同行してたガイドも危険は熟知していたはず。なのになぜ2人から離れてしまったのか」と首をかしげる。

自粛要請でなぜ入山!?日テレ記者遭難(2010年8月2日サンスポ)

 日本テレビの記者ら2人が遭難した、埼玉県秩父市の山中の現場は、埼玉県警が取材自粛を要請するほど険しい山岳地帯だった。1日午後、緊急会見した日本テレビ幹部は「なぜ2人で…」と沈痛な表情をみせたが、同行ガイドの証言とは食い違いもあり、遭難の経緯はなぞに包まれている

 北優路さん(30)と川上順さん(43)の遺体発見現場について、約20年にわたり現場周辺などで山岳ガイドを続ける男性(44)は「素人だけで行くような場所ではない。まさに自殺行為」と言い切る。

 県警の自粛要請に応じず取材に踏み切った点について、1日に会見した日本テレビの杉本敏也報道局次長(49)は、「適正な装備、態勢を取れば可能と判断した」と説明。遭難時、2人はTシャツにジャージー姿だったが「不適切な服装とは考えていない。荷物には上着もあり、沢歩きとしては適正」(杉本局次長)とした。

 埼玉県警秩父署は「水が冷たく、軽装で危険」とガイドが判断したと説明。一方、日テレ側は「(ガイドから)天候が崩れると助言があった。否定する要素はないが『軽装だから危険』という話ではない」と言い分に食い違いを見せた。

 「地上撮影したい」という今回の取材は、報道現場からの要望だったという。「(取材を)1日で終える」「ガイドを付ける」などの条件付きで社会部長、報道局次長が取材を了承した。

 だが、2人は引き返した後で、ガイドをつけずに2人だけで再入山。この点について杉本局次長は「なぜ、事前の打ち合わせと違う行動をしたのか分からない」と述べ、「結果として判断が甘かったという、そしりは免れない」と話した。

 一方、ガイドの水野隆信さん(33)は1日夜に会見。「前日(7月30日)夜に記者の装備をチェックして、不十分だと思った。2人と出会って服装などを見た時から、(墜落)現場まで行くのは無理だと思った」などと振り返った。

 最初の入山の際は川上さんが先頭、最後尾に水野さんという形でロープを使い沢を下りたが、2人が再び山に入る時にはロープを持っていなかった。また、川上さんが「山の尾根まで見てきたい。少し見てくるだけなので」と話していたことを明かした。水野さんは「止めた方がよかったかなと思うが、報道の方なので迷った」と話した。

ガイドの方にもマスコミ関係者にまともな理性や判断力を期待するという落ち度があったとは言え、少し見てくるだけで済ませるような現場の状況ではないことが明白であるにも関わらず、県警の自粛要請を無視してまで突き進んだ理由は何なのかということですよね。
こんなトンデモな危険取材を観光したのは「報道現場からの要請だった」「なぜ、事前の打ち合わせと違う行動をしたのか」などと、まさに現場に責任を押しつけて死人に口なしを地でいくようなことをやっていますけれども、もちろんその背後にはあらかじめ決められたシナリオ通りにニュースを「創作」していくという基本姿勢があったことは想像に難くないところで、現場の二人もいわば日テレの被害者であるわけです。
悲惨な結果を生んだ今回の一件で最終的に誰が責任を問われるのかは判りませんが、日テレもどうせ今以上に評判が下がることもないわけですから、いっそ「言う通りにやらなかった現場の連中が悪い!うちは何も悪くない!」とヒールに徹して開き直ってみせるくらいの方が、チョイ悪なんてものが人気だと言う昨今の世情では案外余計に視聴率が取れるようになるかも知れないですかね。

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2010年8月 6日 (金)

ミスター年金氏、今度は本業の方で大ピンチ?!

先日は後期高齢者医療制度廃止の余波を受けて何やら困ったことになりそうだという話を紹介しましたけれども、そうでなくとも最近は長妻厚労相も自身の身辺でいろいろと賑やかなことになっているようで、これは落ち着いて良い政策を遂行できる環境にあるのかと心配になってきますよね。
そんな中でまた長妻氏には頭の痛い問題が浮上してきていますが、さすがにミスター年金と言われこちら方面で名を売ってきた御仁だけに、今度ばかりは素人だからと言い逃れは出来そうにない難題です。

国民年金:未納4割超す 過去最高、悪化歯止めかからず--09年度(2010年8月6日毎日新聞)

 日本年金機構は5日、09年度の国民年金保険料の未納率が40・02%(08年度37・9%)となり、過去最悪になったと発表した。納付率は59・98%で初めて6割を割った。未納率の悪化は4年連続。年金機構は悪化理由を「年金記録問題への対応に人手を割かれた」と説明するが、未納率悪化に歯止めが掛からないだけでなく、「ねじれ国会」の下、民主党の主張する制度改革の行方も不透明で、無年金・低年金者増大の懸念は強まるばかりだ。

 年金機構は納付率が高い団塊の世代のうち49年生まれが60歳に達し、受給者側に回ったことも悪化の原因に挙げる。未納率を世代別に見ると、25~29歳は52・9%と最も高く、最低の55~59歳(26・7%)の倍近い。若い世代を中心に年金制度への不信が高まっているのに加え、非正規雇用労働者が増え、定額保険料(10年度は月1万5100円)を払えない人が急増していることも影響している。

 こうした事態を踏まえ、民主党は所得に応じた払いやすい保険料とし、国民年金の代わりに全額税による最低保障年金を創設するとしている。しかし依然具体性に欠け、国民の不信解消には結びついていない。同党は年金機構と国税庁を統合した歳入庁をつくり、徴税ノウハウを用いて未納を減らすとも言う。だが、徴税していない課税最低限より低い所得の人から保険料を集める能力があるのかどうかも未知数だ。

 国民年金保険料の未納率は92年度の14・3%を底に年々上昇し、02年度に当時過去最悪の37・2%まで悪化した。年金機構の前身、旧社会保険庁は「納付率80%」の目標を設定し、一時は回復に向かったものの、07年度に年金記録問題が発覚、納付担当職員の6割を記録問題に充てたことが響き、毎年約2ポイントずつ低下している。

 年金機構は当面の納付率目標を「現状維持」とする意向だが、年金記録問題を重視することが、制度の劣化を招くという皮肉な状況に陥っている。【鈴木直、山田夢留】

年金財政が火の車なんて今に始まった話でもなんでもなく、以前にはあまりの未納率に業を煮やした当時の社保庁が未納者の資産を差し押さえ?!なんてニュースも出ていましたけれども、長妻氏お得意の年金記録問題などに留まらない構造的問題が隠されていることが記事からも伺えます。
政府は繰り返し給付水準を切り下げないとアナウンスして年金制度への信頼を求めていますけれども、何しろこれから支えられる側の世代は増えるばかり、一方で支える側の現役世代は人数的にも先細りな上に、収入的に現状ですら負担が重すぎると青息吐息な状況ですから、どうしたって保険料の収支バランスが今後大きく改善するとは思えないわけですよね。
そうなるといずれにせよ給付を切り下げるか保険料を引き上げざるを得ない、それならば保険料分を現在の生活費に回して将来は生活保護でももらった方がよほど金額も高いし、医療費や住宅など様々な公的補助も充実していて得じゃないかと考え始めている若者が日々増えている、そしてそれが更なる未収率引き上げにつながっているわけです。

年金生活者と生保生活者の逆転現象はそろそろ社会問題化してきていますから、近い将来なにかしらの是正策が検討されるかも知れませんが、年金側を引き上げるなどという状況にはとてもない以上生保側を切り下げる方向でバランスを取らざるを得ないとなれば、これは社会保障充実をうたってきた民主党政権にとっては到底表立って主張できるような話でもありませんよね。
いずれにしてもおいそれと解消できそうにない国の社会保障政策に対する不信感が完全に国民に定着しているという現実から目を背けて、これは年金記録問題が未だ解決していないからだ!なんて目先の原因対策にばかり労力をつぎ込んでいるようですと、こちらも医療行政同様に取り返しのつかない領域に足を踏み入れてしまいそうな気配が濃厚に漂ってきます。
中でも先日出てきましたこんな話があって、これは下手をすると将来の制度崩壊確定か?!ともなりかねない話であるのにあまり世間で騒がれないのもどうなんでしょうね。

年金積立金取り崩し案浮上 11年度予算編成(2010年8月5日共同通信)

 政府の2011年度予算編成で、公的年金の受給者に給付される基礎年金の財源確保策として、約123兆円の年金積立金の一部を取り崩す案が浮上していることが4日、分かった。

 基礎年金は給付費約21兆円の2分の1を国庫(税)で負担しており、09、10年度の2年間は財政投融資特別会計の「埋蔵金」の充当でしのいだが、11年度は不足の財源約2・5兆円をどう捻出するか、全くめどが立っていないため。しかし、積立金の取り崩しは年金財政の持続性や将来世代の給付水準に影響しかねず、年末の予算案決定まで調整はもつれそうだ。

 基礎年金は現役世代が支払う保険料と国庫で賄う。国庫負担は以前は3分の1だったが、年金財政の安定化のため徐々に増やし、09年度から2分の1に引き上げた。だが、引き上げに要する財源として当初見込んでいた消費税増税は先送りされた上、埋蔵金はもう残り少なく、活用は困難だ。

 そこで政府は苦肉の策として、厚生年金と国民年金の積立金を最大で2・5兆円取り崩し、国庫(一般会計)に貸す形にした上で財源をひねり出す案を検討。同様のやりくりは過去にも行ったことがあるため、「理屈は通る」(厚生労働省幹部)との考えだ。

将来は返すから問題ないと言う話ですけれども、すでに国債など国の借金が返せず破綻だ破綻だと世界的にも注目されているような状況で、いったい何をどうやったら「理屈は通る」なんて話になるのかと疑問に感じるのは自分だけでしょうか?
地方自治体レベルでも近頃では基金を切り崩して当座をしのぐなんて話は幾らでもありますけれども、当座をしのいだ結果将来何かしら劇的に改善するような目処が立っていないわけですから、いずれにしてもどこかで財政収支全般に対する抜本的な再検討が必要になるんじゃないかという気がします。
その場合はどうしたって民主党政権にとってはあまり面白くない話になってきそうですが、国民の不興を買ってでもやるべきことをやる腹があるのかどうか、一歩対応を誤ると何しろミスター年金とまで言われたほどに年金問題が金看板の長妻大臣だけに、自身はおろか政権の基盤すら揺るがしかねない大問題にもなりかねません。
何より下手をすると国の社会保障の行く末が崩壊してしまいかねない危惧すらありそうなんですが、くれぐれも目先の帳尻合わせだけで話を進めていくなんてことがないように頼みたいですよね。

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2010年8月 5日 (木)

最近少し気になった小ネタを幾つか

全くの私事ですけれども、最近いささか夏ばて気味です…

さて、地方の医師不足は今さらという話題ですけれども、せっかく大学の定員を増やしても卒業生が県外に流出してしまうという話はよく聞きますよね。
ただその根本原因は出口側ではなく入り口側にこそあるんじゃないかと、改めて考えさせられる記事がこちらです。

明日へのカルテ:第1部・医師不足解消の道/1 都会に帰る研修医(2010年8月2日毎日新聞)

 日本の医療は今、転換期にある。民主党政権は今年度、診療報酬を10年ぶりにプラス改定。野党も医療費や医師数の増加を掲げ、医療を巡る政策は一変した。だが、カネと人を増やすだけで医療現場の問題がすべて解決するわけではない。だれもが、いつでも、より良質で安全な医療を受けられるようにするには、何が必要なのか。まずは医師不足問題から考えたい。

 ◇育てる地方、恩恵薄く

 楽しみにしていた買い物は、何も買わずに終わってしまった。「好きなブランドの店がない……」。神奈川県内の大学病院の女性研修医(29)は秋田大医学部在学中、初めて出かけたJR秋田駅前で途方に暮れた。車の免許がなく、「車社会」の地方では外出もままならない。「連休があれば、逃げるように実家に帰っていた

川崎市出身で慶応大法学部を卒業後、法医学に興味を持って秋田大に入った。15大学を受験し、「医師免許を取れるならどこでも良かった」。唯一合格したのが秋田大だった。

 秋田大の教育環境は気に入っていた。だが今春選んだ研修先は、実家近くの病院だった。「やっぱり、どうしても東京近辺に住みたかった」と振り返る。

 東京都内の大学病院の男性研修医(24)も今春、秋田大を卒業した。東京都出身で、脳外科医を志望。「自分の学力で受かる大学」と秋田大を選んだ

 暮らしは快適で、教育環境も気に入った。だが、研修先は東京を選んだ。きっかけは5年生の時の祖母の死だった。「おばあちゃん子だったし、すぐ駆け付けたかった」というが、帰京は訃報(ふほう)の2日後。長男として、家族のいる東京に住みたいとの思いを強くした。「東京の方が最先端の研究や専門的な症例に触れる機会が多いとも思った」と話す。

 秋田大から今春国家試験に合格した新人医師100人のうち54人は県外へ出た。研修プログラム策定に携わる長谷川仁志教授は「教育内容は他大学に引けを取らないはず。さらに充実させ、地道にアピールするしかない」と語る

 かつて新人医師の多くは出身大学で研修を受けたが、04年度の新医師臨床研修制度導入で研修先の選択の幅が広がり、大学病院、特に地方の大学で研修する医師が激減した。人手の減った大学は地域の病院に派遣していた医師を引き揚げ、医師不足問題が顕在化した。国や自治体は「医師不足の主因の一つ」として対策を進めるが、状況は変わらない。

 毎日新聞は5月、全国の80大学医学部のうち、卒業後の進路が制約されている自治医大と防衛医大を除く78大学を調査した。今春の国試合格者が、出身大学の付属病院か大学がある都道府県内の病院で研修している割合は、東京、大阪、愛知の大学では平均7割を超えるが、地方では5割以下の大学が多いことが判明。最高の順天堂大(東京)は90%に達する一方、最低の宮崎大は19%にとどまる。

 今春国試合格者のうち、大学がある都道府県内の高校の出身者の割合は、横浜市立大67・3%、名古屋市立大57・9%など大都市圏では4割を超える大学が多いが、鳥取大4・5%、山梨大8・7%など地方では2割以下が珍しくない。一方、地元高校出身者が出身都道府県内で研修を受ける割合は、地域を問わず大半の大学で7割以上に達し、地元出身者の割合が都道府県の医師確保の成否に直結する現実が浮かぶ。

 今春の合格者67人のうち、1人しか大学病院に残らなかった鳥取大。能勢隆之学長は言う。「地方の医大は、とりあえず医師免許を取るために都会から来る人が多い。最初から、いずれは帰るつもりなんです

    ◇

 この連載は高木昭午、河内敏康、福永方人、田村彰子が担当します。

いや、どう見ても出て行く学生側は秋田の研修プログラムの内容など全く興味も関心もないとしか読めない話なんですが、「さらに充実させ、地道にアピール」するしかない」って、長谷川先生は学生のニーズというものを全く理解していないで我が道を突き進んでいるとしか言いようがないですよね。
そもそも学生の多くが将来は地元に帰るというのであれば、はるか遠隔地の学生を合格させればさせるほど卒後の定着率が下がるのは当然ですから、大学側が卒業生の残留率を何より優先したいというのであれば入試の段階で「医師免許を取れるならどこでもいい」なんて他県の学生ではなく、地元出身かどうかを最優先考慮して合否を決めないことにはどうしようもないでしょう。
最近はようやく医学部入試にも地元枠ということを言い出していますけれども、これも全国相手の競争から県内相手の競争に変わるわけですから学生の質の低下を来すことは避けられないところで、将来的には地域の医療レベルを引き上げたいならまず高校生のレベルを引き上げろという話になってしまうのでしょうかね?

千葉県と言えば公立基幹病院がいきなり破綻したりと、近年何かと医療関連で話題の多い地域ですけれども、松戸市内の二市立病院も例によって耐震化対策で立て替えをという話が浮上し、ついでに市内の二病院を統合しようという話が出ていながら未だにまとまっていないと言うことですよね。
全国各地で病院を統合しなければやっていけないと言われながら一向に話が進まないのは、今や病院存続問題は自治体主張の首をも飛ばしかねないくらいの大きな社会的関心を呼んでいるという背景があるわけですが、その松戸市から先日出ていました記事がこちらです。

松戸市の病院管理者が辞職(2010年7月24日読売新聞)

後任に医師

 松戸市の本郷谷健次市長が23日に記者会見し、中島道博病院事業管理者の辞表を受理したことを明らかにした。辞職は25日付。後任には、医師である植村研一病院事業総長が来月1日付で就任する。

 同市の病院事業管理者は2000年以降、市職員OB3人が務めていた。本郷谷市長は「新市立病院の建設という重要な問題で、医師たちの意見を反映することが必要」と説明した。

 本郷谷市長は、植村氏、江原正明病院長の2人と新病院の建設について22日に話し合ったことを明らかにし、「現地建て替えをベースに、技術的に建設が可能か検討することで意見が一致した」と述べた。来月にも庁内に病院建設検討委員会を設置する考えを示した。

 中島氏以外では、清水正己土地整備公社理事長、新病院建設担当官(嘱託)2人の辞表を受理。一方、山根恭平教育長、池田明代表監査委員、山田常基水道事業管理者の特別職3人は辞表を撤回した。

 本郷谷市長によると、市長が交代したことによるけじめの意味での辞表提出で、話し合いの結果、辞任の理由はないと判断したという。

この先日行われた松戸市の市長選というもの、今どき巨額の金をつぎ込んで新病院を移転・新築しようなんて昔ながらなハコモノ計画に対して、現在地での立て替えと病院事業規模縮小を訴えた新市長が当選したことで市民がノーを突きつけた形ですが、この政権交代に伴って関連する諸部門で一斉に人事の入れ替わりが起こっているようですね。
いやしかし「新市立病院の建設という重要な問題で、医師たちの意見を反映することが必要」と言いますが、裏を返せば今の今まで現場の医師達の声など無視して話を進めてきたということなんでしょうか、この調子では立て替えを機にまたぞろ医師一斉退職なんてことも起こりそうな予感ですよね。
ただでさえ公立病院の運営は難しいこのご時世に、病院管理者という重要ポジションが単なる役人の天下り先では金をどぶに捨てているようなものではないかという突っ込みもありそうですが、他方では市長自らが全国に知られることになった大失態の尻ぬぐいに奔走する自治体もあるようです。

助っ人医師は前市長 熊坂さん 古巣 宮古病院に(2010年7月15日読売新聞)

 岩手県宮古市で昨年まで市長を務めた内科医の熊坂義裕さん(58)が、かつての勤務先である県立宮古病院で18日から日曜診療の当番に入ることが決まった。同病院は5月、無資格で医師を名乗った女性が着任寸前までこぎ着けた事件の舞台となるなど深刻な医師不足に悩んでおり、日曜や祝日の診療は地元開業医が交代で手伝っている状況となっている。23年ぶりとなる古巣への“復帰”に、熊坂さんは「少しでも病院の医師の負担が軽減できれば」と意気込んでいる。

 熊坂さんは、弘前大学医学部を卒業後、同医学部付属病院に勤務。1985年に、妻の故郷である宮古市に赴任し、宮古病院の内科科長に着任した。

 2年後には市内に個人医院を開設、97年に市長に初当選すると、昨年まで3期12年間を務めた。引退後は、医院で診察をこなしつつ、盛岡市の私立大学教授として管理栄養士の養成にもあたっている

 医師不足に悩む県内では、厚生労働省がまとめた10万人あたりの医師数(2008年)が191・9人と全国37位に沈む。都市部への偏在も顕著で、盛岡市から車で約2時間の宮古医療圏は、120人とさらに少ない。

 こうした中、宮古市では開業医ら地元医師会有志が一昨年12月から、日曜や祝日診療の応援を始めた。今年4月からは、市の休日急患診療所を休止する代わりに、宮古病院の日曜診療にほとんどの医師が参加する仕組みになった。

 熊坂さんの医院も、7月から2か月に1度、応援医師に加わることになった。熊坂さんは「自分もかつてお世話になった病院。勘も取り戻したし、少しでも力になりたい」と話す。

 一方、宮古病院の菅野千治院長は「開業医の応援のおかげで、勤務医は病棟回りや書類整理の時間ができた。本当に助かる」と歓迎している。

県立都病院と言えば当「ぐり研」でも大きく取り上げさせていただきましたあの事件で有名ですが、この事件に関して同院OBでもある熊坂義裕前市長は当時「病院側が、どんな技量を持っているのかわからない人たちと、独自に交渉していたのがそもそもの原因。県が早い段階で資格をチェックしていたら、こんな恥ずかしいことにはならなかった」なんて厳しいコメントを出していたのは記憶に新しいところですよね。
臨床医としてはなかなかこの年齢、ブランクからの現場復帰というのは大きな決断だったのではないかと推察しますが、経歴から拝見するところ同病院は元より地域の開業医、そして当然ながら市政界と多方面に顔の利くなかなか珍しいキャリアをお持ちのようですから、うまく間を取り持つようですと興味深い連鎖反応が期待できるのかも知れません。
しかし田舎に行くと医者なんてものは下手すれば「おらが町で一番の分限者」で地域への影響力も大きいだけに、第一線を退いたベテラン医師が政界へというのは地方自治体レベルでは決して珍しいことではありませんけれども、逆にそこからのカムバックも十分可能であるという実例が出来たというのは、例えば厚労省の医系技官などにはよいモデルケースになりますかね?(苦笑)

その厚労省ですけれども、今回の診療報酬改定で原則発効義務化となった明細書問題は、事前にはなんだかんだと大騒ぎされながらも現場はそれなりに落ち着いてきている様子ですよね。
この明細書発行を長年の悲願としてきた勝村委員あたりは、汚く散らかった部屋は無理矢理にでも他人が踏み込んでやって初めてキレイにしようという気になるものだ、なんて率直すぎる(苦笑)言い回しをしていましたが、おかげさまで見なくてもすんでいたはずのものが見えるようになってきたなんて話もあるようです。

明細書で治療内容歴然 がん未告知患者にどう説明 (2010年6月18日神戸新聞)

 多くの医療機関で治療や検査の内容を詳しく記した「明細付き領収書」が4月から無料発行されるようになったことに伴い、家族の同意を得て本人に告知していなかったがん患者や、薬物依存を防ぐため偽薬を処方していた患者から、医師らが説明を求められるケースが出ている。いずれも領収書をきっかけに事実を知ったためだ。一部の医師は「患者との信頼関係が崩れかねない」と心配するが、患者への病名や治療内容の告知が一気に進む可能性がある。

 神戸市内の開業医によると4月、60代の女性患者が、領収書を手に「ここに書いてあるのは肺がんの薬ではないか」と説明を求めてきた。

 女性は高血圧の治療で通院していたが、約2年前に検査で肺がんの疑いが判明し、別の病院を紹介。病院側は女性の夫と相談し、ショックで治療を受けなくなる心配があるなどとして本人には告知せず、抗がん剤治療を続けてきた。しかし、女性は病院が発行した領収書を基にインターネットで調べ、抗がん剤と知ったという。

 また、統合失調症の70代の男性は処方の頭痛薬では不足だとして、市販薬を大量に服用する状態が約8年間続いた。このため家族の要望を受け、開業医は2年ほど前から偽薬として消化剤を処方していた。しかし、領収書で頭痛薬ではなかったと知り、男性は「だましたな」と激怒。開業医は家族を同席させ、事情を説明した。

 開業医は「病名や偽薬を知ることで自暴自棄になったり、医師を信頼できなくなったりして、治療が中断されないか心配だ」と漏らす。

 これに対し「医療情報の公開・開示を求める市民の会」世話人で、中央社会保険医療協議会(中医協)委員として領収書発行を訴えてきた勝村久司さんは「そもそも患者本人に本当の病名や薬を伏せることは、あってはならない」と指摘。「明細付き領収書は自分の医療情報にアクセスする大切なきっかけだ」と発行の意義を強調する。

 厚生労働省保険局の担当者は「患者の健康のために家族と医師が納得して病名や薬の告知をしていない場合、領収書も本人の代理人として家族に渡すことは現場の知恵。患者側に渡るという意味では違反ではない」としている。

(金井恒幸)

 【明細付き領収書】無料発行は診療報酬のオンライン請求が義務付けられている医療機関に規則で義務化され、病院全体の約9割、診療所ではほぼ半数が該当する。薬害や医療事故の表面化を受け、患者側に医療情報の公開を求める機運が高まったことが背景にある。

今どきインフォームドコンセントもなしで治療をやってきたなんてこと自体が、勝村氏あたりに言わせると「一番大事なことを医療関係者がしてこなかったから医療が信頼されなくなった」ということになるのかも知れませんが、いずれにしても昔ながらの「本人だけが何も知らない」式の医療は通用しない時代になってきているということは現場の医者も承知はしておかなければならないでしょうね。
その上でここでそれ以上に注目しておきたいのが、厚労省保険局の担当者が「患者の健康のために家族と医師が納得して病名や薬の告知をしていない場合、領収書も本人の代理人として家族に渡すことは現場の知恵。患者側に渡るという意味では違反ではない」なんて裏技まがいのことを公言してしまっているということですよね。
恐らく勝村氏のお許しも得ていないでしょうに、こんなことを堂々と言っちゃっていいの?などと人ごとながら心配してしまいますけれども、これが厚労省の公式見解ということであれば何やら応用も利きそうな知恵ではあると思います。

しかしこういう記事で担当者の実名を書かないというのは後で説明責任だの何だのと言われないよう、マスコミ当局と阿吽の呼吸でやっていることなのかも知れませんが、記事の匿名発言を信じて現場の知恵を働かせて後でトラブった時には当局は一切関知しないということになるんでしょうかね?

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2010年8月 4日 (水)

最近の話題はお年寄りなんだそうです

高齢者の所在不明者が全国的に相次いでいるということで騒ぎになっていますけれども、とりわけ大都市圏では家族等による善意の申告がない限りは生きているものとして扱うという「放置プレー」が行われてきたという現実があるようですね。

「不明100歳超」拡大 都市部 実態把握は困難(2010年8月4日産経新聞)

 役所が「存命」としながら、実は長期にわたり所在不明となっている100歳以上の高齢者が全国で相次いで確認されている。東京都で113歳の女性の所在不明、111歳の男性の死亡が明らかになったのに続き3日、東京都荒川区、静岡県熱海市などで少なくとも11人に関し同様の事態が明らかになった。なぜ事態を把握できなかったのか-。高齢者の周囲を取り巻く、核家族化や地域コミュニティーの崩壊などが要因として浮かびあがる。

 「高齢者の方々がどこにいて、どういう状況なのか。把握するのは重要な課題だ」

 長妻昭厚生労働相は3日、国が全国的な調査に乗り出す考えを明らかにした。110歳以上の年金受給者(全国で50人程度)を対象に、年金機構と市区町村が家庭訪問するなどして、月内にも結果をまとめる。菅直人首相も同日、「地方自治体にも協力を求めて、しっかり状況の把握に努めていきたい」と記者団に語った。

 厚労省によると、現在、国が高齢者の実際の安否を確認するような制度は存在しない。唯一、国が安否確認するのは、100歳になった人に祝状と記念品を贈呈するときという。100歳以外の年齢については、住民基本台帳を基に人数を把握しているのみという。

 実態把握を困難にしている最大の原因は、平均寿命が延び、高齢者が爆発的に増加している点にある。

 国が今回、緊急調査の対象を110歳以上に限定するのも、100歳以上にすると、全国で4万人規模の調査をする必要が生じるためだ。昭和38年度に153人だった100歳以上の高齢者は、平成21年度は4万399人にまで急増した。

 個別に実態把握をしている自治体もある。例えば日本一の長寿県・沖縄では毎年、訪問や電話による調査を実施している。

 しかし、大都市部の自治体ではそこまでの細かな安否確認は難しい。東京23区の各自治体では、個別の接触はせずに、介護保険や医療保険の使用実態から安否を確認しているケースが大半だ。入院したり、老人ホームに入所するなど居所が頻繁に変わる点も調査を困難にしているという。

 家族関係、地域コミュニティーの変化も、安否確認を難しくしている。

 東京都台東区の担当者は「隣近所の目が届かなくなっている。核家族化や独居老人増加の影響も、問題の遠因にあるのかも」と指摘する。福岡市の担当者は「地域コミュニティーが希薄になり、高齢者の実態が地域にいても見えにくくなってきた」と明かす。

 東京のある区の担当者は「プライバシーを保護する考えが過剰に浸透。行政は安否把握に慎重になり、家族らも個人情報に立ち入られるのを嫌がる」と話している。

世界最高水準を維持している日本人の平均寿命もとんだ水増しならぬミイラ増しだったんじゃないかとか、いろいろと考えなくてはいけない問題が派生してきそうですけれども、やはりこういうことになって来ますと年金等お金絡みの問題ということも考えずにはいられません。
ただ黙っているだけで少なくとも年間数十万単位の収入が続くわけですから、貧困ビジネスなどが成立している今の時代何かしらの不法行為にも結びつきかねない話ですけれども、そうでなくとも本人が100歳超と言えば家族もかれこれいい年でしょうから、申告したくても誰も申告する者がいないなんて事態も当たり前にあっておかしくないですよね。
思わぬ制度の不備を突きつけられた形で各自治体としても何らかの対策を取らざるを得ないところだと思いますが、結局この国の医療や介護における諸問題と同様に、関係者全ての善意が前提でかろうじて成り立ってきたシステムの問題が顕在化してきたという気もするところです。

余談はそれとして、本日は高齢者絡みで先日出ました後期高齢者医療制度関連の話題を取り上げてみますけれども、民主党はこの制度を潰して後期高齢者も国保に組み入れるなんてことを言っていて、ちょっとそれはどうなのよと各方面から異論無しとしない状況は先日も紹介しました通りです。
未だ新たな高齢者医療制度は確定というところにまでは至っていないようですけれども、例によって厚労省ではこれから各地で公聴会を開く予定であるということで、これはまたぞろ同省お得意のアリバイ工作か?と疑ってしまいたくもなるような話ですよね(苦笑)。
先日はその第一弾として福岡で初めての公聴会が開催されたそうですが、こちらの場で幾つか面白い話が出てきたようなので記事から紹介してみましょう。

現役世代の声反映を=新高齢者医療で公聴会-厚労省(2010年8月2日時事ドットコム)

 厚生労働省は2日、75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度に代わる、新制度についての第1回地方公聴会を福岡市で開催した。出席者からは新制度創設に当たり「高齢者を支える現役世代の声を反映してほしい」などの要望が出た。
 公聴会はまず、新制度の中間報告案をまとめた高齢者医療制度改革会議座長の岩村正彦東大大学院教授が新制度の方向性を説明。続いて、厚労省の吉岡てつを高齢者医療課長が制度改革のポイントを解説した。
 この後の意見交換では「新しい高齢者医療制度では、都道府県が運営主体になるべきだ」などの意見も出された。同省は2013年4月の新制度施行を目指している。地方公聴会は今後、宮城県や大阪府など5都府県で開催される。

高齢者医療新制度で初の公聴会 将来は税金投入増と厚労省(2010年8月2日47ニュース)

 厚生労働省は2日、75歳以上の後期高齢者医療制度に代え2013年度から導入する予定の新制度について、初の公聴会を福岡市で開いた。参加者から「(高齢者医療を支援する)現役世代の保険料負担が過重にならないか」との質問があり、厚労省の担当者は「そうならないよう、将来的には公費(税金)負担を増やす方向で財務省と調整する」との考えを示した。

 公聴会には老人クラブの会員や健康保険組合の関係者、自治体職員ら約800人が参加。新制度を検討している有識者会議の座長、岩村正彦東大大学院教授や厚労省の担当者が、会議の中間報告案をもとに参加者と意見交換した。

 新制度案について、参加者からは「働き方によって加入先が国民健康保険と健保組合などに分かれると、かえって高齢者間で負担の不公平が生じる」「ねじれ国会で新制度の法案は本当に成立するのか」といった声があった。

 公聴会は10月まで7回、各地で開かれる予定。

新高齢者医療制度:公聴会に760人参加 福岡市で初開催 /福岡(2010年8月3日毎日新聞)

 後期高齢者医療制度廃止後の新制度に国民の意見を反映させようと、厚生労働省は2日、福岡市で初の公聴会を開いた。新制度を検討する同省の「高齢者医療制度改革会議」は、月内にも中間とりまとめをする予定。公聴会は10月まで全国6会場で開催、13年4月の新制度施行を目指す。
 中央区天神の会場には約760人が参加。新制度の方向性やポイントについて同省側の説明に耳を傾けた。
 新制度は、75歳以上を切り離した現行制度を改め▽年齢で保険証が変わらないようにする▽窓口負担を適切な負担にとどめる▽年金天引きを強制しない▽公費を適切に投入する--などの方向で検討されている。
 会場からは財源を懸念する声が寄せられ、ある参加者が「負担増を生じさせないのなら公費の投入や財源が課題。長続きする理念を持った制度にしてほしい」と訴えたのに対し、同省高齢者医療課の吉岡てつを課長は「公費を少しでも増やせるように努力したい」と応じた。一方、別の参加者からは「費用の問題ばかりではなく、高齢者にどういう医療を提供できるのかをもっと真剣に考えるべきだ」との声も上がった。【松本光央】

「新たな高齢者医療制度公聴会」のトップ=アクロス福岡イベントホール(2010年08月03日PJニュース)

【PJニュース 2010年8月3日】民主党は後期高齢者医療制度の即時廃止をかかげて政権についたが、廃止後の新制度を検討するということで、先延ばししている。このたび、「高齢者のための新たな医療制度等について」の中間とりまとめが出来上がり、厚生労働省は全国6ヶ所で公聴会を計画している。福岡県はそのトップバッターである。

8月2日、アクロス福岡イベントホールでその公聴会が開催された。定員900名はほぼ満席であった。これだけ関心が高いのかと驚いているが、後部の方の座席に着いてみると、どうも同じ組織の仲間同士の様子だ。確認はしなかったが、県、市の役所関係者のように見える。

それはともかく、私の場合は申し込んで抽選で当たったのであるが・・・・

公聴会は、今後、宮城県、大阪府、愛知県、広島県、東京都と10月5日まで予定されている。

主催者挨拶は唐澤剛氏(厚生労働省保険局審議官)。「高齢者医療制度改革の方向性」と題して岩村正彦氏(高齢者医療制度改革会議座長、東京大学大学院法学政治学研究科教授)、「高齢者医療制度改革のポイント」と題して吉岡てつを氏(厚生労働省保険局高齢者医療課長)が報告した。

世の反発を呼んだ「後期高齢」という呼び方も姿を消している

中間とりまとめ(案)の10のポイントは以下のとおりである。

1 年齢で保険証が変わることはなくなる。
2 新制度に移る際、保険料のアップはできるだけ生じないようにする。
3 高齢者の保険料の伸びが現役世代の伸びを上回らないことを基本とする。
4 窓口負担は適切な負担にとどめる。
5 年金天引きを強制しない。
6 公平で納得のいく支え合いの仕組みにする。
7 大幅な負担増が生じないようにする。
8 国保の広域化を実現する。
9 公費を適切に投入する。
10 保険者機能が十分に発揮できるようにする。

内容の検討はこれからの課題だが、運営についてだけ一言する。

私も、10分間の休憩時に配布されている「意見調査票」に意見を書き提出した。公聴会の後半の運営では、会当日ではなく事前に寄せられた質問意見が紹介され、それに対応した回答が述べられた

この日「意見調査票」に記入提出した人は、170名であると発表された。その中から、5名が指名され意見を述べた。どのように選んだのか不明だが、福岡県の人、東京の人、大分県の人が指名されたので福岡に偏らないように参加県で抽出したのかもしれない。

勿論、討論会ではないからこうした運営にならざるをえないかもしれないが、本当の声がこれで聞こえるのか心もとない気がした

PJニュースの記事などを見てもいかにもシナリオに沿ったアリバイ作りという感じが濃厚に漂っていますが、問題は厚労省が何を目指しどんな目的でアリバイ工作をやろうとしているのかということですよね。
表向き出ている新制度のポイントに関してはおおむねすでに出ている通りかという感じですが、わざわざ年金天引きを強制しないなどと書いてあるというのもそもそも後期高齢者医療制度が躓いたきっかけが年金天引き問題であったことを考えますと、こちらを何とかしなければ他の問題はいざ知らずまとまる話もまとまらないのでしょう。
しかし記事を見ていて思うことに、会場からの意見の方によほど鋭い指摘が潜んでいるように見えるのですが、とりわけ「高齢者にどういう医療を提供できるのかをもっと真剣に考えるべき」なんて指摘は、本来後期高齢者医療制度を導入した際に国民皆で真剣に考えておかねばならなかったことではないかなとも思いますね。

そんな中で注目しておくべき点としては「保険料のアップはできるだけ生じないように」「高齢者の保険料の伸びが現役世代を上回らないこと」「窓口負担は適切にとどめる」といった、被保険者側の負担は今より上げませんよと言い切っているように見える点ですが、少なくとも高齢者自身に関して言えば今以上の大きな負担増は求めないということが基本路線であるということでしょう。
一方で旧後期高齢者医療制度において保険料の大部分を負担してきた現役世代の若年者に関しては、なにやら努力目標的な文言が並んでいるばかりという印象も受けるところですが、いずれにしても現状ですでに厳しい運営を強いられている国保に医療費支出の多い高齢者を組み込もうと言うわけですから、これはどうしたって保険者側の支払い負担は今以上に増えて当然ですよね。
これに対して負担増を緩和するために国保の都道府県単位への広域化や基金整備などという話がこれまでにも出ていたところですが、今回厚労省高齢者医療課の吉岡てつを課長が「将来的には公費(税金)負担を増やす方向で財務省と調整する」と言い切ってしまっているのが注目を集めるところではないでしょうか。

そもそも厚労省としては医療など所轄する方面が大きくなるほど自前の権力基盤が強化されていく道理ですから、民主党の医療成長戦略論などには反対する立場でもないのでしょうが、あるいは今までの医療費抑制政策は財務相などを中心として金を出す側の論理に心ならずも押し切られたのだということを主張したいのでしょうか。
今回の後期高齢者医療制度廃止はいわば民主党政権が目の敵にしてきた看板でもありますから、そのためにこれだけ金がかかるんです!これ以外は国民が納得しません!と主張すれば通ると踏んでいるのかも知れませんが、そもそも医療費亡国論なんてものを唱えて底なしの医療費増加を何とかしなければ国が滅ぶ!と最初に言い出したのは厚労省の側だったはずなんですけれどもね。
そう考えますと今さら「いや、やはり我々としても皆さんの健康第一という立場ですから」なんて正義の味方面をしてどうするのよ?という気もしますが、最近はネットなどで医療関係者が盛んに厚労省の過去を暴き立ててバッシングするものですから、彼らとしても自分たちの依って立つところに関して某かの自己弁護の必要性を感じてはいるのかも知れません(苦笑)。

いずれにしてもこの公聴会の参加者を見るといわば受益者の側ばかりで、国保を運営管理する自治体側であるとか、公的支出を司る財務省側であるとか、金を出す側の声というものは含まれていないように見えますから、こういう場での議論ではかくあるべし論ばかりが先行して財政上非現実的な結論にまで至ってしまう危険性もありますよね。
民主党の医療経済成長戦略なども言ってみれば保険診療外の話ばかりで、保険診療部分に関しては相変わらず吝い支出しかする気はなさそうだということがすでに明らかになっているわけですから、この新高齢者医療制度なるものも最終的には限られた財源の中でどうつじつま合わせをしていくかと言ったあたりが今後の焦点となってくるのでしょうか。

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2010年8月 3日 (火)

ドラッグラグ解消 簡単な抜け道というのはないようです

先日東京で開かれた癌の研究会についてロハス・メディカルさんが取り上げていますが、どうやらこの手の討論会を今後も何度か開催して広く問題を掘り下げていこうという意図があるようですね。
今回は最初と言うことで何やら感情的な部分でのもつれもあったようですけれども、最後のまとめをした野田先生曰く「正直、開けてみるまで、どんな方が来るか分からなかった。一回やって勝手が分かった」と言う通りで、今後次第に実のあるディスカッションが繰り広げられるようになっていくのでしょう。

率直に話し合ってみたら、役者が足りなかった(2010年7月30日ロハス・メディカル)より抜粋

 7月25日午後、東京・有明の癌研究会で<癌研オープンアカデミー『日本のがん医療の未来を考える』>が開かれた。冒頭に野田哲生・研究所長が「がん治療・研究に関するあらゆるステークホルダーが集まって一緒に話をしようという趣旨」と説明したように、医療者はもちろん、患者、政策担当者、企業人、メディア人など150人あまりが集まり、歯に衣着せぬ活発な議論が行われた。今までにないほど率直な議論ができた時に皮肉にも見えてきたのは、隠れた最大のステークホルダーである「医療費を払ってくれる健康な人々」が、その場にいないということだった。(川口恭)

 この日のプログラムは非常に盛りだくさん。講演の数々も面白かったのだが、要約するのが難しいほど内容が濃く、片木美穂・卵巣がん体験者の会スマイリー代表が、癌研有明病院を受診していた複数の患者から「見放された」とか「免疫細胞療法や重粒子線治療を勧められた」という相談を受けていると語ったことだけ記しておき、最後の総合討論をかいつまんでご紹介する。

 進行役は16日に教授に昇任したばかりの上昌広・東大医科研特任教授。パネリストは、向かって左から中村祐輔・東大医科研ヒトゲノム解析センター長、宮野悟・東大医科研教授、嘉山孝正・国立がん研究センター理事長、野田哲生・癌研究会研究所長、土屋了介・癌研究会顧問。冒頭に上教授が「手前の2人は国際的なスーパースター、向こう側の方々は政治力の凄い人たち。いわばイチローと清原のような感じ」と紹介したことが、嘉山理事長の逆鱗に触れたようで、以後、険悪なムードのまま進んだのだが、その結果生じた小競り合いなどは省いて各人の発言要旨を淡々とつなぐことにする。
(略)

ディスカッション事態は医療現場でのコミュニケーションということを考える上でもなかなか示唆に富んでいて、医療の提供側も受ける側も是非一度目を通していただければと思いますけれども、ここで規制緩和という話の流れの中でドラッグラグ解消という話が出てきます。
話の中では例の55年通知というものが出てきますが、これは当時日医会長であった武見太郎氏の「医薬品の用途は薬理作用によって決まるべきで、適応症病名によって決められるのはおかしい」というクレームに対して、厚生省保険局長が社会保険診療報酬支払基金理事長あてに出した通知です。

1.保険診療における医薬品の取扱いについては、厚生大臣が承認した効能又は効果、用法及び用量(以下「効能効果等」という。)によることとされているが、有効性及び安全性の確認された医薬品(副作用報告義務期間又は再審査の終了した医薬品をいう。)を薬理作用に基づいて処方した場合の取扱いについては、学術上誤りなきを期し一層の適正化を図ること。

2.診療報酬明細書の医薬品の審査に当たっては、厚生大臣の承認した効能効果等を機械的に適用することによって都道府県の間においてアンバランスを来すことのないようにすること。

要するに医者が薬の薬理作用からしてこの薬はこの疾患に有効であると処方したところで、それが認可された薬の保険病名に載っていなければばっさり保険で切られても文句は言えないというのはおかしいということで、こうした事態を回避するためいたずらに保険病名ばかりを羅列させるのではなく、薬の効能効果もよく考えて柔軟に査定しなさいよということですよね。
言い方を変えれば適応症に病名記載がなくても薬を使って良いし、それを診療報酬支払いの対象にしてもいいということですから、保険診療における医薬品の適応外投与も理屈に合っていればやってもいいとお墨付きを得た形であったわけです。
こういうものをもっと活用してドラッグラグ解消に役立てられるのではないかというのが最近のちょっとした流行りではあるのですが、まずロハス・メディカルさんの記事から議論の流れを引用してみましょう。

嘉山
「山形大学時代に文科省には言って機能特区というのを進めさせている。完全な混合診療解禁にすると、医者の中には金儲けに走る人もいるので、国家戦略としてやる部分を明確にすべき。ドラッグラグの問題に関して言えば、55年通知をもっと活用するよう中医協でも働きかけている

土屋
「基本に立ち返ると、なぜ通知の所で議論しなきゃいけないのかという問題がある。規制改革会議に行ってみて分かったことだが、厚生省には課長通知があまりにも多い。他省庁では大抵が局長通知だし、昭和55年の通知なら、とっくのとうに法律になっているはず。それは厚生省が悪いというのではなく、そのように医療界が要求してこなかったせいだ。法律に則って、専門家が自律していかないとうまくいかない」

嘉山
「医者は55年通知を結構使ってた。でも保険支払基金がチェックしてしまう。彼らの言い分は、承認されてない使い方を認めて、もし何か起きたら責任を問われるのでないかということだった」


「要するに、根っこはお金の問題。子宮頸がんワクチンの運動がよい例だが、なぜこんなに盛り上がっているかと言えば、三原じゅん子さんや仁科亜季子さん、森昌子さんたちが登場したから。あの手法は見習うべきで、我々と患者の間に1枚入る必要があるのでないか」

やや議論が発散しているように見えますけれども、要するに通知の文言だけを見ていると現状でもある程度の抜け道はある、ところが実際上の運用では何かと保険診療上の縛りがきつくて難しいと言うことで、確かに「根っこはお金の問題」というのは広い意味でその通りなのではないかという気もします。
ところが嘉山先生がドラッグラグ解消のために「55年通知をもっと活用するよう」働きかけているという中医協では、この通知は厳密で抜け道などないのだと宣告されてしまったようなのですね。

ドラッグ・ラグ解消、「55年通知では無理」?(2010年7月29日ロハス・メディカル)より抜粋

 「この通知でやるのは無理だろう」─。薬事法上の承認を受けた適応以外でも一定の場合に保険支払いを認めるとした旧厚生省保険局長の「55年通知」の活用によるドラッグ・ラグの解消は厳しい状況にある。(新井裕充)

 厚生労働省は7月28日の中央社会保険医療協議会(中医協)で、「55年通知」の対象となる診療行為や判断権者などを整理した一覧表を示した。

 その中で、「55年通知」の対象となる診療行為について「再審査期間が終了した医薬品の適応外使用」と明記。副作用の報告義務期間や再審査期間が終了して有効性や安全性が担保された医薬品であることを改めて確認した。

 その上で、「再審査期間」について保険局医療課の磯部総一郎薬剤管理官はこう説明した。
 「新薬は現在、通常8年の再審査期間を付けている。オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)は10年。最初の新有効成分のときの再審査期間が効いている期間はこの(55年)通知が適用されないので、『最初に薬価収載されてから8年間はこの通知が実質適用されない』とご理解いただきたい

 この説明に診療側の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は理解を示し、こう述べた。
 「今の抗がん剤の新しい疾患への適応という実態には合わない通知。この通知でやるのは無理だということは確かにそうだろうと思う。ですから、『55年通知的なもの』が、がんの特性と抗がん薬の特性での、いわゆる臓器がん対象の適応症を超えたがんの横断的な適応の在り方についてどうかと、さらに必要なのかどうかということの議論が必要だ」
(略)

55年通知とは現在Aという疾患に対して用いられている薬をBという疾患にも(理屈にあっていれば)使って良いよという話で、海外で開発された新規抗癌剤をさっさと日本で使えるようにしろといった事態を想定しているわけではないということですから、それに関しては確かにその通りとしか言いようのない内容ではありますよね。
ただここでの問題は厚労省側が新薬がただちに55年通知の対象となるわけではない、十分な期間をかけて安全性を確認してから初めて適応外使用が認められると改めて宣言していることで、確かに前述の通知の文言を見てもそうなっているわけですが、要するに厚労省としてはこの通知をドラッグラグ解消目的で拡大解釈するつもりはないということです。
厚労省側のそうしたスタンスは今回提出された資料にも明記されているところですが、当然ながらそこにかみつくのが「55年通知をもっと活用するよう中医協でも働きかけている」嘉山先生ということで、これが見ているとなかなか面白いですよね。

[嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)]
 3ページの厚生省保険局長の通達(=55年通知)で、1番の3行目。
 「副作用報告義務期間又は再審査」と書いてある。その「終了した医薬品」を対象にするということなので......。

 この再審査......。普通は4、5年......ですよね?

 (佐藤課長と補佐らが顔を見合わせて何かつぶやいている。「そうではない」と言いたげな様子なので、嘉山委員が強い口調できき直す)

 何年ですか?
(略)

[保険局医療課・磯部総一郎薬剤管理官]
 新医薬品の再審査期間......、これ新有効成分の場合は現在、通常8年の再審査期間を付けている。オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)のようなものは10年。

 法律上は「10年以内で厚生労働大臣が定める」となっており、8年か、オーファンの場合は10年。また、新有効成分でないものについては若干短いものも確かにあるが、「通常は8年」とご理解いただければと思う。
(略)

[嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)]
 そうすると、適応はもう認められていて、適応外に使う場合にはこの......、これはどういう足かせになるか?

 再審査はいらないんでしょ? 終わってないから駄目なの?

[保険局医療課・磯部総一郎薬剤管理官]
 (語気を強めて)いえ、ですから、この問題は再審査期間が終了しないといけませんから

 新有効成分出てきて、「その新有効成分の医薬品がほかの適応に使えるんじゃないか」ということでしょうから、最初の新有効成分のときの再審査期間が効いている期間はこの(55年)通知が適用されないということですから、「最初に薬価収載されてから8年間はこの通知が実質適用されない」というふうにご理解いただければと思う。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 ですから、すぐには出てこない。その間は使えない。ただ、その間にいろいろエビデンスを揃えてということ。「それをどうするか」というのは今後のご議論になる。

要するに現状で55年通知をドラッグラグ解消に使えるというのはごく限定的な領域に限られてしまう、ならば制度そのものを変える必要があるんじゃないかというのが今回の議論のスタートであるということをようやく再確認したという話ですが、これだけを見ていると嘉山先生の理解がいささかアレなのか、役人が舌足らずなのか、どちらとも判断しかねるところですよね。
そこでようやく制度をどう変えていけばという話になってくるわけですが、記事を見る限りでは「積極的な議論を」という言葉とは裏腹に、何ともやる気のなさそうな遠藤会長の仕切りぶりが目につくという感じですかね?

[嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)]
 その際、(資料)4ページ(比較表)は会長がおっしゃったように、非常に分かりやすい。

 「55年通知」、従来スムーズに機能していなかったというよりは......、ほとんど認められていなかったのはこの(比較表の)「判断権者」のところですね。

 ▼ 資料によると、判断権者は「審査支払機関の各審査委員会」(※支部間格差の解消の観点から審査情報提供委員会でも審議)となっている。

 医師のオートノミー(裁量)で使っても、その後の審査支払機関で認められていないことが多かった。それが都道府県の差などで出てきたので、その辺はやはり......、支払権者がいらっしゃるので......。

 ドラッグ・ラグをなんとか解消することを......。会長がいまおっしゃったように、この中医協で認められるのであれば......、決めていただきたいなと考える。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 (冷ややかな口調で)それは今後の議論ということ。

 (適応外医薬品への)アクセスを短くするということの裏腹で、安全性の担保という問題とも絡んでくる。そのバランスをどう取っていくかということになる。

 無制約に決めるということは当然できないし、他の部局で決めなければいけない内容にどこまで踏み込めるかという問題もある。

 ま、それはそれとして(中医協では決められないが)議論はできるということなので、ぜひ積極的な議論をしていきたいと思う。
(略)

[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
 会長がおっしゃったとおり、これだけの議題がある中の最後の一部で資料の整理だけなので......。

 恐らく、この案件だけで総会が1つ、この議題だけで議論していただかないと、あるいは1回で済まない話だと思うということをまず申し上げる。「これを早急にやりたい」ということをまずお願い申し上げたい

 この「55年通知」で一番大きいのは抗がん剤使用の問題。これについては(厚労省側の)説明に納得したように、再審査の終わった薬剤が対象。
 今の抗がん剤の新しい疾患への適応という実態には合わない通知なんですね。この通知でやるのは無理だということはもう......、確かにそうだろうと思う。

 ですから、「55年通知的なもの」が、がんの特性と抗がん薬の特性での、いわゆる臓器がん対象の適応症を超えたがんの横断的な適応の在り方についてどうかと、さらに必要なのかどうかということの議論が必要だということが1つ。

 もう1つは、公知申請にしても......。認められてからまた治験が必要になって、薬価収載されるまでに時間が掛かるところでまたタイムラグができる。

 実質上のドラッグ・ラグを生むという問題が起こり得るので、その場合、公知申請で行く場合に、そこのところを速やかに薬価収載できる方法論はあるのか、どこを変えればあり得るのかという具体的な事例はできれば次回、事務局(保険局医療課)に示していただければありがたい。

 もう1点は、抗がん剤の「55年通知」を超えた新たな問題とは別に、私が申し上げている「55年通知」そのものの問題がある。これは、現在の薬剤の使用法における用量の上限設定という問題。そのことを超えた使用についてどうするのか。

 これは現在の「55年通知」そのものの議論なので、これについてもこの際、一緒にきちっと結論を出す方向でやっていただきたいということをお願い申し上げておきたい。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 ありがとうございます。そういうことも含めてご議論いただきたいと思う。公知申請はあくまでも保険外併用療養の対象となっているということなので、保険収載するためにはまたその期間、ラグがあるというお話。

 はい、具体的な中身に入っているが、そういうことで今後ご議論いただきたいと思う。本日は共通の知識の認識ができたということで、私は非常に良かったのではないかと思う

遠藤久夫氏と言えば医療経済学者を名乗っていますけれども、医療アクセスの公平性を損なうという立場から混合診療反対派であり、低所得者は不利益を受けるという立場から医療費増大に否定的見解を示している方ですから、新規抗癌剤への保険医療適応などにはあまり熱心でないんだろうなとは想像がつくところではありますよね。
いずれにしても会長がこの調子である、そして厚労省としても別に積極的にやりましょうという気配でもないとなれば、嘉山先生なりがよほど尻を叩かなければ議論もおいそれと先に進まないんじゃないかと予想は出来ますけれども、このあたりは前回の中医協でも「癌患者の命がかかっている!」と積極推進派の嘉山先生らに対して、とりわけ支払い側代表である他委員には温度差も見られるところですから難しそうですよね。
遠藤会長自身が繰り返し「中医協で議論は出来るが、基準を作ることは出来ない」と語っているわけですが、逆に言えば基準を作る立場にある人たちが停滞する中医協を飛び越して決断することも可能だとも取れるわけで、結局推進派の人たちにとっては世間的にもっと大きな声を出してこの問題をアピールしていくのが一番の早道ということになるのでしょうか。

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2010年8月 2日 (月)

世の中善男善女ばかりなら話は簡単なんですが

先日ロハス・メディカルで面白い記事が出ていたので紹介してみますが、まずは冒頭部分から引用してみましょう。

赤信号みなで渡れば合法になる(2010年7月27日ロハス・メディカル)より抜粋

  3連休ど真ん中だった7月19日午後、都内で『市民と医療を考える1-川崎協同病院事件から医と法を考える』というシンポジウムが開かれた。自分や家族の死が避けられない状況になった時、私たちは医療にどこまで求めるのか。直球ど真ん中の問題を考える会になった。(川口恭)

川崎協同病院事件とは、同病院で医師が患者の気管内チューブを抜き、筋弛緩剤を投与して死亡させたとして、最高裁で殺人罪の執行猶予つき有罪判決が出た事件。シンポジウムの趣旨は、主催者によると『体に入っている管を抜いてほしいという家族の願い、死を迎えるならせめてより良い死に方を願う医療従事者の思い、積極的な治療の中断のタイミング、――医療現場で直面し日々悩んでいる問題である。川崎協同病院事件で司法が判断を下した。しかし司法界だけで結論が出る問題だろうか。もちろん医療界だけでは正解が出せる問題でもない。市民が望む死に方、そして医療者に患者や家族は何を求めるのか。司法界に丸投げしてきたことを反省し、タブー無き議論に挑んでみたいと、このシンポジウムを企画しました』とのことだった。

 前半は、須田セツ子医師の実兄である須田年生・慶應大教授が、兄の立場から事件の経過を説明し、「東海大安楽死事件で司法から示された4条件を金科玉条のように扱っているが、もっと十分に議論する必要があるのでないか。市民がどうのこうのと言う前に、医療者がどういうコミュニティを作っていくのかが問題だ」などと述べた。

 続いて医師と弁護士の2つの資格を持つ大磯義一郎氏が「治療中止を医師主導で行うことはあり得ない。むしろ患者家族の手足となって役割を果たしているのでないか。司法が裁くことによって、患者家族の手足となりづらくなることも懸念される。それは国民にとってよいことなのか。また現行の刑法上有罪とするしかないにしても、それをそのまま機械的に行政処分につなげてはならない事例だろう」と述べた。

 3番目に登壇した小松秀樹・亀田総合病院副院長の発言は色々と感じる所が多かったので長めにご紹介する。
「医療と法は基本的に噛み合わない。法は原理主義的で適応性に欠ける。刑法は特に適応性が悪い。医療は事実からの帰納で自ら変わるので適応性がかなり高い。日本の刑法はドイツ観念論の系譜をひき、徹底した演繹構造。人間の生命の価値を無条件で高く評価する。医療現場の現実として、1人の人間の生命を最優先の価値とすると、残った人間の生活を脅かすことがある。人間は遅かれ早かれ必ず死ぬ。生命を救うことにあらゆる手立ては実際には講じられていない。適当なところで努力を止めているのが現実だろう。人間の社会は死を前提にできている。次々に人は生まれてくるのだから、死ぬ人がいないと社会が成立しない。これを直視すべきだ。最近『救児の人々』という本を読んで感銘を受けた。新生児科の医師は患児の生命至上主義にかなり支配されていて、徹底して努力をする。人工呼吸器の付いた子供が家庭に戻されると、多分2、3人付きっきりの生活になる。妊娠中絶が許されている国なのに、共存していけるのか。嚥下障害のある高齢者に対して胃ろうを設けたり経管栄養をしたりするのも、本当に必要なのか。私の父がこの状態になって、胃ろうは相談されたからやめた方がいいと言ったら、ほぼ強制的に鼻からチューブを入れられた。本人が嫌がって抜いたら、母親が見に行った時には管を入れられて手足を縛られていた。いずれにせよ、演繹的に考えるのでなく、個々の状況に応じて判断すべきで、何かまとめてどうこうというのはしない方がよいのでないかと思う。法と医療とでは、法の方が権力がある。法に頼らず、法に逆らわず、法と距離を保って、したたかに医療を守る必要がある。『赤信号みんなで渡れば怖くない』というのは病院では通用しないが、法には通用する。患者家族や医療チームの多数の人間の合意で事実を積み上げること、社会の認識の変化を促すこと、時間をかけて多段階で対応するということが必要だろう。何か規範を作ってもらって、それで解決などということは考えない方がよい」

 残る演者はあと3人。濱木珠恵・墨東病院医長は
「もう積極的な治療はないという説明をすることは未だに好きでない。しかし、きちんと引導を渡してあげないと、本人もつらい思いをするし、家族も暗い希望を持ち続けることになる。状況を引き受け、どういう死に方を選んでもらうかという芯を医療者は持っていなければならないし、本当は誰もがみな持っているべきだと思う。その感覚を法に規定してほしくない」と述べた。

 看護師の常松佳代子氏は、療養病床で実際にあった事例を元に
「もういいよ、痛いのはイヤだと言っていた患者さんの言葉を聴いていたが、しかしそれを看護記録に付けていなかったために、急変時に医師に伝えても聴く耳を持ってもらえず、恐らく本人が望んでいなかったであろう挿管・延命措置をしてしまい、看護師が葛藤に悩んだという実例がある。このようなことは起こりがちだ」と述べた。

 最後に登壇したのは須田セツ子医師の患者だという齋藤武敏氏。
「須田先生には、母親がお世話になった。あの世へ行くまで、一度も入院せず、88歳で大変幸せな逝き方ができたと思う。何か問題が起きた時には、大変に適切な判断をスピーディーにその場その場で付けていただいてありがたかった。何はおいても一番信頼できるお医者さんだ。医療界の皆さんにもお願いしたいのは、常に我々患者の目線に立った活動をしていただきたいということ」としめくくった。

小松先生も亀田に移られていたとは知りませんでしたが、いずれにしても演者の顔ぶれを見るだけでもなかなか興味深そうに思えるシンポジウムではありそうですよね。
この場の参加者は各人が各人なりに終末期医療というものに対して自分なりのビジョンを持っているでしょうが、その中で小松先生の言うところの「生命を救うことにあらゆる手立ては実際には講じられていない。適当なところで努力を止めているのが現実」という話も確かなのですが、問題はそこに何らかの基準があるわけではなく、個別に患者と医療従事者との関係で決めていくしかないだろうという話になってくるところだと思います。
きちんとそのあたりの作業を普段から突き詰めてやっている側の人間にすれば、ガイドラインなり法律なりで縛られてはたまらんと言うのも事実でしょうが、一方で必ずしも「常に患者の目線に立った活動」が出来ているとも言い切れない多くの凡人にとって、「そんなこと言われたって困るよ。俺にはそんな見切りなんて出来ないよ」なんて話にもなりかねませんよね。

このあたりは単に患者とのコミュニケーション能力の不足がどうというだけでなく、最後に登場した患者側の齋藤氏の言葉に表れているように、終末期医療というものは患者に向かって汗を流しているようでいて目線は実は後に残る家族に向いている、その場合に患者目線とはいったい何なのか、それは家族目線とどう違うのかという認識があまり公に語られて来なかったことも問題だと思います。
家族の側としては「さらぬ別れもなくもがな」と何でも出来るだけの事をと希望していても、患者本人からすれば人生で一番苦痛に満ちた時間をいたずらに引き延ばされているだけに感じているかも知れない、あるいは逆に「もうこれ以上は結構ですから」と家族はナチュラルコースを希望していても、患者本人は生に対する執着を捨てきれずにいるかも知れない。
例えば患者と長いつきあいがあったり、今までの同様の経過を辿った患者を多数診てみれば医者の側としては患者の心情に対してはある程度推理を働かせることが出来る一方、家族に対しては基本的に話してみなければどんな人かも知らないわけであり、そして後でトラブルになった時に訴えるのが家族である以上、医者の側としては最後には患者より家族の意志を尊重しなければ「あの先生は患者目線」という評価は得られないという矛盾があるわけです。

そしてさらに生臭いことを言えば、ちょうど世間でもミイラ化した遺体を三十年間抱え込んで年金を不正受給していたなんて話が出ているところですが、今どきどこに行っても老人を自治体病院に押し込めて、年金だ恩給だで家族が暮らしているなんて話はまったく珍しいことではありません。
それでも百姓仕事をしているとか食い扶持仕事をもっている上で生活の足しにというのであればともかく、昨今では無職の高齢ニートなんて方々も増えてきているわけですから、収入源である親が生きているかどうかなんてことはそのまま家族の明日の生活に直結するわけで、生活がかかっている以上「あそこの家族は何かあるとクレームばかりで」と言われるくらいに切実感があっても仕方ない話ですよね。
こうした場でディスカッションに参加しているような方々は言ってみれば性善説にたって医療を見ている側面が濃厚に感じられますけれども、世の中そうした方々との行き違いの中で裁判沙汰になっていくような事態ばかりではなくて、もっと生々しい背後事情がトラブルに結びついている場合も多いのだという現実も、また直視していかなければならないように思います。

いずれにしても医療従事者というものは人間相手の商売である以上、相手を見て対応することが求められる、自分の行為が患者目線なのか家族目線なのかといった区別の自覚もさることながら、時にはより深く相手の懐に入り込んでアピールすることも必要だろうし、逆に相手との間にきちんと距離を保つことこそ要求される局面もあるわけですが、そのあたりが個人の経験だけに依存してきたのは従来の医学教育上の欠点ですよね。
たとえ患者なり家族なりと良好な距離感を維持出来ていたとしても、しばしばそこに全くコンセンサスが成立していない第三者が乱入して全てをぶちこわしてしまうなんてことはままあることで、「そこへ遠い親戚が突然現れて」なんて話は日常的に誰しも経験しているところではないかと思います。
中でも究極的な第三者としてあげられるのが川崎協同病院事件などでも見られる通り、警察や検察が医者と患者の間に割って入ってくることだと思いますけれども、後半のディスカッションの中でこのあたりに関する幾つか興味深い話が出ているようですので引用してみましょう。

内田
「現場の医師としてはどうか」

濱木
「患者さんにとってよい方向に向くように仕事しているつもりだが、その時々の状況やバクグラウンドを共有しない人が入ってくるかもしれないと思ったら、普段から動きづらくなって、かえって患者さんによい方向で動けなくなる。正直イヤだ」

内田
医療そのものの方向も歪められそうだ」

大磯
イヤだから入ってほしくないというのでは理由にならない。警察という権力がわざわざ出てきて、それが国民の利益になるのかならないのかということを考えないといけない。この10年は明らかに警察・検察が不当に入りすぎていた。だからといって一切入るなというのはいかがなものか。殺人罪とか業務上過失致死のような医療を想定していない法律でやるから歪になる。どこまでやるべきか区分けする必要はあるだろう」

小松
「警察も法に従って動いているので、入るなと文句を言うのは気の毒な感じがする。検察もこの10年でもの凄く傷ついた。彼らの考え方の基本の、あるべき論にムリがある。別の決め方やルールが必要なんだろうと思う。医療者と患者がしっかり話をできるように、医療者の側でも自分たちで決めないといけない

医師であり弁護士である大磯氏の単に医療現場側の都合だけで語ってよい話ではないという指摘もさることながら、小松氏の「警察に文句を言うのは気の毒」「検察もこの10年でもの凄く傷ついた」という視点は非常に新鮮に感じられたという方も多いんじゃないかと思いますけれども、その解決策として何かしらのルールなり基準なりは必要である、そしてそれは法律でやるべきことではないというコンセンサスは成立しそうですよね。
厚労省と言えば昔から法律によらない局長だのの通達が多いことでさんざん非難もされていますけれども、教科書の記載もしょっちゅう書き換わるというくらい進歩と変化のスピードが速い医療の世界において、時に明治時代のものが未だに通用しているような法というシステムが対応困難であったという事情もあったわけです。
それならば一つの考え方として法律にはなるべく介入させないでやっていくというのもありだと思いますが、具体的に誰がどう管理をすべきかという点で話はまとまっていない、一方で法律できちんと「ここから先はok」という基準を示してもらわなければ困るじゃないかという意見もまた双方に根強くあって、話が錯綜しているのが現状であるということですね。

そして小松氏の言葉にもあるように、警察や検察にしても別にそんな医療の世界に好きこのんで手を出しているわけではないのも事実で、そうであるからこそ医療と司法というものはむやみに敵対的関係としてとらえるべきでなく、むしろ協力の道を探っていく方がお互い幸せになれるんじゃないかという考え方もあるということでしょう。
このあたりは幾人かの参加者が言葉を変えながら述べているところですけれども、結局司法とは法律があるからこそそれに従って活動する(と言うより、せざるを得ない)、そして法律を変えるのは国民が動き出さなければどうしようもないという側面があるわけで、何よりも人生がかかっている患者やその家族の側がもっと積極的に動き出してもいいはずなんですよね。

会場
医師が自律すれば司法の介入は防げるか。それを誰が担当すべきか」

小松
「司法の介入を防ぐためでなく、医療の質を高めることを自分たちでやりましょうということ。最近ずっと言っているのは日本医師会を改組して、そういう組織にしようということ」

内田
司法や警察、検察の判断は医療側でコントロールできることではないだろう。我々にできることは現場で行われたことが患者さんにとって適切なことだったか見ることだけ。我々がどうこう言ってもコントロールできないものはできない
(略)

事務局の松村有子・東大医科研特任助教
信頼関係がない場合、どうしてルールすらないのかと言われることが多い。医師の裁量をそんなに重視するのかと」

小松
「それに答えること自体が無理。お上頼みで誰かが決めてくれるべきというマインド
(略)
濱木
「ルールを要求するような人は、そういうものがあっても、今度はそのルールを気に入らないと言いそうな気がする」
(略)

会場
「患者は、どうしたら主治医を殺人者にすることなく、終末期に望んだことをしてもらえるのか。確実な仕組みがないではないか」

大磯
「現状の法システムでは、こういう手続きを踏めば刑法に問われないんですよというのはない。ただし、先ほど小松先生が言われた『赤信号みんなで渡れば怖くない』というのは確かに司法には通用する。法律は国民が決めるものだから、国民が皆で行動すれば法が変わる、運用も変わる。成文法だけで変わるものではなく、民意で変わるのが司法だ」

いずれにしても当座医療の世界で出来ることとして参加者から提案されてきた中で、その主体に関してはともかく何らかの自律的システム構築は必要であろうということ、そして医学教育というものをもっと変えていかなければ話にならないということに関しては、ある程度コンセンサスが得られたんじゃないかと思いますね。
自律的システムの主体として昔から弁護士会のように全医師が参加する組織が必要だとか言った意見は根強くあって、その一方でその中心として既存の日医という団体を持ってこようという声もこれまた根強いわけですが、失礼ながら特定方面に向いた政治的団体としても一部階層の代弁者と見られがちな利権団体としても、世俗的手垢がつきすぎた日医を使うというのもデメリットが大きすぎるんじゃないかと思います。
産科領域などでは倫理違反と認定されれば学会から除名なんて話を結構聞きますけれども、現実問題それで医者として活動するのに何かしら困るということもそうそうないようですから、このあたりは小さく専門領域でまとまってしまいがちな医者という人種に全科横断的な巨大組織が根付いていなかったことで、強制力を発揮するほど権力のある団体が存在していなかったことの欠点とは言えそうですよね。

しかし参加者の皆さんは真面目に医療と患者側の関わりを追求する中でこういう話を出してきているのは判るのですが、この医者の自律的なシステムというのは当然賞罰の権限とも直結するだけの強い権力を持つでしょうから、例えば昨今盛んに一部の人たちが主張する医師強制配置論などにも非常に使い勝手がよさそうなシステムだけに、仮に実現に至ったとしていつの間にか妙な思惑が入り込んで歪められていたなんて話はありそうですよね。
最近このあたりの強制力発揮というものに敏感になっている人も多くて、医療現場を改善するのではなく改悪する方向に乱用される権力だとしたら、そんなものは最初からない方がいいと考える声も出るだろうと予想されますから、いざ実現をと言い出すと総論賛成だが現状では反対といういつものパターンに陥りそうな気配も濃厚であるし、反対論を抹殺してでも拙速にやるべきことでもなさそうに思えます。
そうなると当座現場レベルで誰も異論がなく実行できそうなこととしては、臨床現場で各人が培ってきた実践的ノウハウをいかに教育現場にフィードバックするかということではないかと思うのですが、医療の本筋から離れたこういう話は表だって語られる機会も少なかっただけに、どう教育カリキュラムに組み込んでいくかが今後の課題でしょうかね。

こういうところのノウハウはインパクトファクターがどうとか症例数が幾らだとか、従来の医学の世界での指標では評価し難いスキルであって、むしろ普段昼行灯と呼ばれているようなタイプの先生こそ素晴らしいスキルを持っていそうで、いったい誰を講師に呼ぶべきかなんてところから議論していかなければならないのかも知れません。
しかし確かに経験とは時に極めて有用なものですけれども、自分は安全な場所にいる人たちが「いやあ君たち、百聞は一見にしかずだよ。ワッハッハ」なんてうまいことを言って、またぞろ何も知らない純真無垢な若者達を地雷原に送り出すようなことにならなければいいんですけれどもね(苦笑)。

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2010年8月 1日 (日)

今日のぐり:「おか泉」

誰もがそうなんだろうなと予想しつつ、結局やはりそうだったのねというのがこちらのニュースです。

W杯惨敗の北朝鮮代表に帰国後「思想批判」、RFA(2010年7月27日連合ニュース)

【ソウル27日聯合ニュース】サッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で、1次リーグ3試合を連敗した北朝鮮代表チームが帰国後、思想批判にさらされている。米政府系放送局のラジオ自由アジア(RFA)が27日に報じた。

 同放送は、北朝鮮内部事情に詳しい中国人事業家の言葉を引用し、「平壌の人民文化宮殿で2日にW杯に出場した選手らを集め、思想闘争会が開かれた」と伝えた。在日韓国・朝鮮人の鄭大世(チョン・テセ)、安英学(アン・ヨンハク)の2選手は除外されたという。

 また、RFAの平壌市情報筋は、朝鮮労働党組織指導部の副部長、朴明哲(パク・ミョンチョル)体育相らが参加するなか、代表選手らに関する論争の集まりがあったと明らかにした。

 集まりは非公開で行われ、体育省傘下の各種目選手のほか、平壌体育大学、金日成(キム・イルソン)総合大学、金亨稷(キム・ヒョンジク)師範大学の体育学部生400人余りが出席した。北朝鮮代表チームのキム・ジョンフン監督と選手らを舞台に上げ、相次ぎ批判を述べ、サッカー解説者が個別選手のミスを指摘。最後には代表選手一人一人にキム監督を批判させたという。 

 新義州の情報筋は、金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継者とされる三男ジョンウン氏の信頼を損ねたというのがこの論争の内容だと説明し、「誰かが責任を取らなければならないが、おそらくキム監督は責任を問われるだろう」と伝えた。 

 北朝鮮は、昨年6月に44年ぶりのW杯出場が決まると、講演会などを通じジョンウン氏の領導の結果だと宣伝したと伝えられる。

すでに同監督は工事現場で働かされているとかいった話も聞こえてきますけれども、まあこれもかの国の伝統ということなんでしょうかねえ?
今日は世界のネタのようだが洒落にならないというニュースを紹介してみますが、まずは昨今日本でも何かと話題に上ることの多いこちらの地域から物騒なニュースです。

ソマリア大統領が戦闘指揮、首都での武装勢力掃討(2010年7月1日CNN)

(CNN) 暫定政府軍とイスラム武装勢力の交戦が続くアフリカ東部のソマリア情勢で、アハメド大統領の側近は6月30日、大統領が同日、自動小銃を携えて首都モガディシオの戦闘を指揮したと述べた。地元ジャーナリストが明らかにした。

側近によると、大統領は政府軍や暫定政府を支援するアフリカ連合(AU)軍とともにイスラム過激派シャバブを掃討する大規模作戦の前線に現れ、戦闘に加わったとしている。

アハメド氏は昨年、大統領に就任しているが、2006年6月に首都に進軍、制圧したイスラム強硬派「イスラム法廷連合」軍の指導者の1人で、戦闘経験は少なくない。その後、国連の後押しを受ける暫定政府を支持し、大統領に就任している。

シャバブはソマリア東部や南部に主要拠点を築き、首都でも勢力を広げ、政府軍と交戦している。モガディシオの緊急医療当局者によると、戦闘は30日にも首都の2カ所で発生し、砲弾が飛び交うなどして少なくとも5人が死亡、8人が負傷した。

シャバブは国際テロ組織アルカイダとの関係が指摘され、米政府はテロ組織に指定している。また、暫定政府への資金援助や武器支援を加速させている。

しかし大統領直々に参戦というくらいですから国内情勢も大変なことになっているとは理解出来ますけれども、同地付近は海賊問題などでも最近賑やかなだけに早期の安定化を期待したいところですよね。
一方でロシアなどでもこんな物騒な話題があるようですが、いくら住民運動と言ったところでこれは洒落にならない話ではないでしょうか。

ロシアの高速鉄道「サプサン」、沿線住民から投石や銃撃の嫌がらせ(2010年04月27日AFP)

 モスクワ(Moscow)-サンクトペテルブルグ(St. Petersburg)間を3時間45分で結ぶ、ロシア初の高速列車「サプサン(Sapsan)」。前年12月の運行開始以来、裕福な通勤客にはおおむね好評だが、沿線住民からは投石などの嫌がらせを受けるほどまでに嫌われている。

 ロシア鉄道(Russian Railways、RDZ)によると、サプサンに不満をもつ住民らによる攻撃は、これまでに少なくとも14件発生しており、投石などのほかに銃撃までも発生しているという。

 今年1月には、トベリ(Tver)地域のある村で、氷の塊がサプサンに向け投げつけられ、窓ガラスが割れる事件があった。氷を投げつけた男は警察に対し、時速250キロで走行するサプサンによって発生した突風で驚かされたことが理由だと供述した。

 サプサンは在来線と同じ線路を走行するが、ロシアでは線路の周りにはフェンスなどなく、近隣住民は線路を歩道代わりに使用するため、特に危険度が高い。ロシア内務省高官によると、運行開始以来、4人がサプサンにはねられ死亡しているという。

 内務省運輸関連法規部門のアレクサンドル・ブレブノフ(Alexander Brevnov)氏は、サプサンが高速運転中もほとんど音がしないことや、住民が不便な場所にある踏切を使わずに線路上を横切ることなどが原因だと指摘。その上で、「イーゴリ・レビチン(Igor Levitin)運輸相は、サプサンは他の在来線とは全く別の線路を使用するべきだと言い続けている。まったくその通りだ」と語った。

 ロシア国内の線路上では、前年だけで2953人が死亡、1494人が負傷している。

中国などでも同種の問題があるようですけれども、年間数千人の死傷者が出るとあっては穏やかならぬ問題で、これは単に鉄道側だけが悪いとも言えない話かとも思うのですけれどもね。
その中国では何やら物騒な事故が発生しているようですが、これも根本的には土建技術の問題ということになるのでしょうか?

中国の高速道路で巨大な穴が出現!穴に自動車がハマる(2010年6月14日ロケットニュース24)

中国の高速道路を車で走行中、いきなり巨大な穴が出現して車両もろともはまり、立ち往生したというニュースをイギリスのインターネットニュースサイト『Daily Mail』が伝えている。ちなみに、車のドライバーは幸運にも脱出したとのことだが、この巨大な穴、実はここ最近、中国などでよく見つかっているようなのだ。

今回のその巨大な穴の大きさは、幅が約13フィート(約4m)。ドライバーによると、高速道路にできた巨大な穴は、車で走行中に突然目の前に現れ、そして車の前輪がはまって立ち往生、まったく身動きが取れない状態になった。記事では、穴が過去2週間のうちに中国で見つかったのは 8個目といい、今回は、中国中東部の江西省南昌市で起こった。実は、中国では2010年4月以降、35個以上の穴が見つかっている。

2010年5月、南米のグアテマラでは熱帯低気圧の影響で、深さ100フィート(約30m)、幅66フィート(約20m)もの穴ができ、工場と交差点が穴にのみ込まれた。そして中国では、4つの巨大な穴によって、広西省で600人もの村民が避難している。また今年5月、四川省南西部、あの約80,000人が犠牲になった大地震の震源地からたった80マイル(約130km)ほどの地点で3つの小さな穴が発見された。さらに、浙江省の高速道路ではトラックが、道路中央にできた穴にはまって横転してドライバーが負傷。この穴も深さ20フィート(約6m)、幅27フィート(約8m)あったという。

同じ四川省宜賓市では、大地震の震源地から約260マイル(約420km)の地点で26個もの大きな穴がここ2か月でできたとのことだ。中国の高速道路管理事務所の広報担当者は、現場での専門家によると、侵食された石灰岩で作られた地下のカルスト洞穴が突然崩壊して巨大な穴になったといい、調査はまだ進行中とコメントしている。

中国の方は記事中の写真からしますといかにも道路工事の欠陥か何かのように見えるのですけれども、グアテマラで突然出現した穴というのはえ?なにこれ怖いという感じなんですが、こうも丸い穴がぽっかり開いてしまうというのも何やら不思議な感じではありますよね。
お次は犯罪ネタを幾つか取り上げてみますけれども、まずは日本でもこんな事件があるのかという話題からです。

日本に拳銃350丁誤配 独であて先間違え(2010年4月11日中日新聞)

 ドイツからトルコに輸出される予定だった軍用拳銃約350丁入りの航空貨物が昨年、誤って成田空港に到着し、日本国内に持ち込まれていたことが10日、空港関係者への取材で分かった。

 ドイツの運送業者が間違えて日本のあて先を書いたラベルを張ったことが原因。このラベルはもともと通関での信用度が高い日本の国内業者あてに発行されたもので、関税のかからない物品とされていたため、成田空港の通関検査を書類検査のみで通過していた。

 受け取った千葉県の業者が県警に通報し、拳銃は無事回収され、国内の犯罪組織などに流れることはなかった。大量の拳銃が国内に誤って持ち込まれたのは極めて異例。

 東京税関は「個別の事案の内容については答えられない」としている。空港関係者によると、昨年3月、拳銃約350丁が入った木箱3箱が航空貨物として成田空港に誤って到着後、税関審査を通過した。

 いずれも包装済みの軍用拳銃で、通関後、金物などを扱う千葉県内の業者へ配送されたが、不審に思った業者が千葉県警に通報し、連絡を受けた東京税関が押収した。

 この業者は、関税のかからない金物の輸入を予定していたが、そのラベルが誤って拳銃入りの木箱の表面に張られていた。

 関係者によると、拳銃は税関の押収品としていったん保管され、検証の結果、犯罪や反社会的組織に使われる恐れはないと判断されたため昨年11月、配達元に返還されたという。

しかしとんでもない誤配もあったものですけれども、こんなものを送りつけられた方も開けてびっくりという話だったんでしょうね。
一方でこちらはある意味で「らしい」話なのかなという気もするのですが、ここまで滲透してしまってよいのかと言う話でもあります。

小学校教室でヘロイン小包を同級生に配る、8歳の男子生徒(2010年4月21日CNN)

(CNN) ペンシルベニア州ウィルキンスバーグの警察は14日、同地の小学校で3年生の男子生徒(8)がヘロインが入った小包を数十個持ち、学校のクラスで同級生に配っていた事件が発覚したと発表した。
地元署によると、年少のため刑事責任は問われない見通し。

ウィルキンスバーグの教育行政区当局によると、事件は13日朝、「ターナー小学校」で発生した。地元警察によると、この生徒がポケットの中を探すような挙動をしているのを教師が見つけて調べたところ、ヘロインを発見したという。

約60個の小包があり、包みにはそれぞれ「トラスト・ミー(信用して)」の字句をもじったスタンプの模様があったという。
また、教室のゴミ箱の中から既に開けられていた包み18個も見つかった。
現場での検査で、中にはヘロインとみられるものが入っていたことが判明した。他の小包の中身も詳しく調べている。

この事件に絡み、逮捕者などは出ていないが、捜査を続けている。

教育行政区当局は、担当区内で子供を持つ両親に書簡を送り、この8歳生徒との関係やヘロインの情報の有無などを質し、適切な処置を講じるよう求めた。

ウィルキンスバーグはピッツバーグ近くにある小さな町。

どういう考えでヘロインを配っていたのかは判りませんけれども、どこぞの総理がプチ流行語にした言葉が入っているあたり、いったいこれは何なんだともらった方も驚いたでしょうね。
続いてこちら、過ぎたるは及ばざるがごとしを地でいったという話ですけれども、結局目的は達成できなかったということでいいんでしょうかね。

火薬の量を間違った?銀行を丸ごと爆破した強盗団 ドイツ(2010年05月26日AFP)

【5月26日 AFP】ドイツ北部シュウェリン(Schwerin)近郊のマリス(Malliss)村で25日、銀行強盗を企んだグループが、犯行に使おうとした火薬の量を間違い、銀行全体を爆破してしまう「失態」を犯した。地元警察が同日、発表した。

 爆発による負傷者はいなかったが、近隣の建物や駐車中の車などが吹き飛んだ破片の被害にあった。

 報道によると、現場付近では炎上する建設作業車が放置されており、強盗団は銀行のATMを爆破するつもりだったとの見方が強まっている。地元警察は、「初動捜査の段階では、現金が奪われた形跡はない」としている。

 この建物には、銀行以外の店舗も入っていた。周辺の道路は数時間にわたって閉鎖された。(c)AFP

どこぞの映画でもこんなシーンがありましたけれども、誰にとっても不幸な結末に終わったというこの犯罪行為で被害者がなかったことだけが幸いだったということでしょうか。
最後はこれまた先頃サッカーW杯が開催された南アフリカから、ネタなのか本気なのか判断に迷うようなニュースです。

牙をむくコンドームでレイプに対抗 南アの医師が開発(2010年6月21日CNN)

(CNN) 南アフリカの医師がレイプ犯罪に対抗するための女性用コンドームを開発し、サッカー・ワールドカップ(W杯)会場の各都市で無料配布を計画している。

ソネット・エラーズ医師は40年前、ひどく傷ついたレイプ被害者女性を診察したことをきっかけに、何か対策が必要だと思い立ったという。

40年を経て出来上がったコンドームはラテックス製で、女性がタンポンのように装着する。内側には先がとがった歯のようなギザギザが並んでおり、挿入した男性の性器に食い込む仕掛け。開発段階で婦人科医や心理学者の助言も得て、安全性は保証付きだという。

いったん食い込むと、歩くことも用を足すこともできないほどの痛みを伴い、外そうとするとさらに深く食い込むという。医師にかからなければ外すことは不可能で、これが犯人逮捕の手がかりになればとエラーズ医師は期待する。

このプロジェクトのために自宅も自家用車も売り払ったというエラーズ医師は、W杯の期間中に3万個を無料配布し、試験期間終了後は1個あたり約2ドルで売り出すことを計画している。

ただ、レイプ犯罪に対する長期的な対策にはならず、こういった仕掛けにより相手がさらに凶暴になる可能性もあるなどの指摘もある。

人権保護団体のヒューマン・ライツ・ウォッチによると、南アフリカのレイプ犯罪率は世界最悪級となっている。同国の医療団体の2009年の調査では、調査対象となった男性の28%が女性をレイプしたことがあると答えていた。

そういえばそんなB級映画もあったな…と思わず遠い目をしてしまいますけれども、いくら何でも斬新すぎるだろうJKと誰か突っ込まなかったんでしょうかね?
この計画が実行されたのかどうかは判りませんけれども、せめて家も車も売り払ったというエラーズ医師に幸いあれと言いたくなる話ではありました。

今日のぐり:「おか泉」

数ある讃岐うどん店の中でもかなり高価格帯のお店で、どちらかと言えば地域密着型というよりはよそ行きのお店と言う感じの濃厚なのがこちら「おか泉」さんですけれども、相変わらずすごい人気のようで店外は長い行列が連なっています。
高価格帯と言っても他県水準並みという程度ですしスタイル的にも一般店形式で違和感がない、そして味は間違いなくしっかりしていると言っていい店なんですから他県からのターゲットになり易いのも納得ですが、行列対策なのか玄関先に外向けの空調まで用意してあるのにはびっくりしましたね。
これだけ繁盛して儲かっている分を顧客にも還元していくという姿勢は正しいと思いますが、今後は例えば工場の方でもうどんを食べさせてみたりするような展開もあっても面白いかなとも思うんですけれどもね(あちらの方は機械打ちですから、あまり食べさせたくないのかも知れませんが)。

まあそうした話はともかくとして、この日は「ぶっかけ天ぷら」と「わかめうどん」を頂いてみましたけれども、同行者からもなかなか評判もよく良かったと思いますね。
こちらの場合基本的に硬めのうどんではあるんですが、見た目につやつやとして良いのはもちろんのこと、食べてみてもしっかりした噛みごたえの中に充実したコシもあって、これを暖かいうどんにするとちょうど良い感じで食感が調和して「これはうまい!」と思える塩梅なんですが、人気メニューのぶっかけでこのゴツい食感を楽しむというのももちろん良いですよね。
ただこの日に関しては心なしかうどんの食感にムラがあるような印象もあったのですが、見たところ伸ばしや切りの工程にそう問題がありそうにも思えないので、あるいは多忙な状況で幾らかの茹でムラが出たということなんでしょうか?

こちらの場合はいつ行ってもほぼ同じ味が食べられるというのは個人的に結構ポイント高いかなと思っているんですけれども、割合遅くまでやっていることも含めて、遠方からのお客さんを案内するようなときにもあまり時計を気にする必要がないというのは助かるんだろうなと思いますね。
ただお客が多い分店員さんも新しく入ってきているのでしょうが、一部の店員さんが必要最低限の声が出ていないというのは客商売としては困りもので、このあたりの接遇面では少し以前より悪化しているようなところも垣間見えました。
しかしいつも思うのですが並んでいるお客さんもいかにも県外客らしい若い方たちばかりなんですが、一方では讃岐うどんブームというものがこれだけ盛り上がっているのは結構ではあるにしても、地元の年配の方々にとっては痛し痒しな側面もあるんじゃないかと言う気もしますよね。

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