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2010年6月 3日 (木)

夕張診療所がまたニュースに取り上げられていますが

以前に首吊り自殺で受け入れトラブルが有ったという村上先生の夕張診療所で、また同種の事例が発生していたとちょっとした話題になっています。
同診療所はこの春からとうとう常勤医が一人になってしまったということに加えて、これも以前に紹介したことですけれども元より救急指定など取っていない、休日・夜間の受診は受け付けていない(かかりつけ患者を除く)ということが告示されているということはあらかじめ紹介しておきます。

夕張市立診療所:自殺図った男性の救急受け入れ拒否 「外来に対応」 /北海道(2010年6月2日毎日新聞)

 夕張市は1日、市立診療所が先月、自殺を図り心肺停止状態になった市内の50代男性の救急受け入れを断っていたと発表した。昨年9月にも同様のケースがあり、市は同診療所の村上智彦医師から事情を聴いた
 市の説明では、5月19日午前8時前、「首をつり、自殺を図った男性がいる」という119番通報があった。救急隊員が駆けつけると、男性は心肺停止状態で、診療所に受け入れ要請したが、外来患者診療のため、対応不可能として断られたという。男性は市内の別の医療機関で死亡が確認されたという。
 村上医師は「首つりと聞いて検案(死亡確認)のケースと判断した。緊急性が低く、自分は外来もあったため、他の医療機関で対応してもらいたいと伝えた」と話している。
 同診療所は昨年9月27日夜、同様に首をつった状態で見つかった男子中学生の受け入れを断った。市と診療所は、二度と同じような事態が起きないようホットラインを設けるなどしている。藤倉肇市長は「誠に遺憾という思い。市立診療所の開設者として総括が必要だ」と話した。【吉田競】

救急受け入れ、また拒否 夕張市立診療所 心肺停止の男性(2010年月2日北海道新聞)

 【夕張】医療法人財団「夕張希望の杜(もり)」(村上智彦理事長)が運営する夕張市立診療所が5月、自殺を図り心肺停止だった男性の救急搬送受け入れを断っていたことが明らかになり、夕張市の藤倉肇市長は1日、医師の村上理事長から事情を聴いた。男性は市内の別の診療所に運ばれ、死亡が確認された。

 関係者によると、5月19日朝、同市内で首つり自殺で心肺停止となった患者がいると通報があり、救急隊は最も近い市立診療所に受け入れ要請を行ったが、村上医師は4月から常勤医師が1人となったことや、ほかに外来診療があることを理由に断ったという。

 市立診療所は昨年9月にも、心肺停止の患者受け入れを断った経緯があり、市と協議した結果、心肺停止患者の原則受け入れを確認し、5月上旬の別のケースでは受け入れた

 藤倉市長は1日、夕張市役所で記者会見を開き、「昨年9月の事故を受け、二度とこのようなことがないようにと協議してきたので、今回のケースは誠に遺憾だ」と述べた。

 村上医師は市に対し、「首つり自殺と聞いて緊急性が低い死亡確認のケースと判断した。常勤医が自分一人なので外来などに対応しなければならなかった」と話しているという。

各社報道を見ていますと首吊りと報道していないところも結構多いですが、この場合村上先生の言うように蘇生処置など行う意味はなく緊急性には乏しい、死因も明らかですから解剖などに回ることもまずないということで、実は外来の片手間仕事で十分出来る程度の作業量です(そもそも診療所でまともな心肺蘇生はできませんから、救急隊も確認だけしてくれという気持ちでコールしていたものと思われますしね)。
トリアージとして考えても夕張のように需要に対して明らかに医療資源が不足している状況で黒タグにマンパワーをつぎ込むべきではないということになっていますから、ささっと死亡確認だけして速やかに警察に引き渡すのが正解だったということになりそうですし、実際そうしていればこんな騒ぎになることもない日常診療の一こまで終わっていただろう話です。
昨年のケースでもそのあたりで揉めた経緯があって、市と協議の上で心肺停止(死亡確認するまではどんな死体でも心肺停止ですよね)に関してはとりあえず一番最寄の施設で引き受けることで合意したということですから、その点で言えば村上先生にしても小の手間を惜しんだばかりに大の手間を引き受けることになったわけで、このあたりは前回の時にも感じたことですけれども今ひとつ脇が甘いのかなとも思われるところです。

いずれにしても前回の時点で「情報伝達のミス」という苦しい言い訳を使ってしまった関係で市と協議を行う羽目になり、受け入れないと言う選択肢を自ら捨ててしまった形の村上先生としては今回どう弁解したものか悩ましいところだと思いますが、最寄施設で無条件受け入れだと思っていた市の方では「話が違うじゃないか!」と怒り心頭状態だと言うことです。
市長がテレビに出てまで唯一のお抱え常勤医を批判すると言う構図はどうなのかとも思いますが、村上医師としても春から常勤医が減るということはとっくに分かりきっていたことですから、それなら何故受け入れ不能の通知を出しておかなかったかと批判される余地はあるでしょうね。

夕張で“救急”めぐり対立(2010年6月1日HBC NEWSi)

救急患者の受け入れをめぐり、夕張市と市立診療所が深刻な対立です。
藤倉市長は会見で、診療所の村上医師が心肺停止の患者受け入れを拒否したと批判…村上医師は、反論しています。
厳しい表情で、怒りを見せる夕張市の藤倉市長
市長は先月19日、夕張で心肺停止になった患者の受け入れを、診療所の村上医師が断ったことを批判しました。
夕張市は、心肺停止の救急患者の受け入れをめぐり、去年9月にも診療所が受け入れを拒否したことから、診療所と話し合い、一番近い医療機関が受け入れることになったと主張しています。
これに対し村上医師は、4月以降、事実上、1人で外来や入院などに対応していて、患者の受け入れには、限界があると反論しています。
藤倉市長と村上医師は、午後5時から話し合っていますが、夕張の診療所の先行きが不透明になってきました。

夕張市立診療所、救急搬送断る 市長「誠に遺憾」(2010年6月1日47ニュース)

 北海道夕張市は1日、財政破綻後に市立病院から公設民営化した市立診療所が5月、心肺停止だった男性の救急搬送受け入れを断っていたことを明らかにした。男性は別の診療所に運ばれ、死亡が確認された。

 藤倉肇市長は同日、記者会見で「誠に遺憾」と話した。市立診療所を運営する医療法人「夕張希望の杜」から事情を聴き対策を協議する方針

 夕張市などによると、5月19日午前8時ごろ、同市旭町で50代の男性が自殺を図り、心肺停止となったと119番があった。救急隊は診療所に受け入れを要請したが断られた。希望の杜は市に対し「自殺と聞いて回復が望めないケースと判断した。医師1人で外来などへの対応があった」と説明しているという。

 診療所は昨年9月にも同様に断ったことがあり、その後、心肺停止患者は市内で最も近い医療機関が受け入れることで合意していた。希望の杜は3月に常勤医3人が退職し現在は常勤医1人。5月19日はほかに非常勤医1人が来る予定だった。

 藤倉市長は「夕張市が立ち上がろうとしている時に、市民の不安が募れば再生に水を差す」、希望の杜は「話せることはない」としている。

村上先生は回復不能と判断したから他に仕事もあるし断ったと言っていますが、そもそも回復可能な症例の方がはるかに手間暇もかかる上に同診療所の手に余ることは目に見えている、そして同市内には他に医者が余っているような施設など存在していないのは最初から判っていることですから、これはまた前回に続いて自ら退路を断つかのごとく余計な事を言ってしまったんじゃないかと言う気もするところですね。
市長にしても「市立診療所の開設者として総括が必要」「再生に水を差す」とまで公言してしまっては今さら引くに引けないでしょうが、村上医師も公設民営施設で働く以上は言行を一致させるべく努めなければならないだろうし、どうしてもそれが出来ないということであれば市立診療所というポジションから外れざるを得ないでしょう。
もっとも唯一の常勤医まで辞めた結果市立診療所が消えるということになれば、後任など見込みのないだろう夕張市としてもいろいろな意味で困る(苦笑)でしょうから、最終的にどのあたりで双方が手を打つことになるのかと言う話でしょうが、それにしても村上先生と言えば色々としゃべることに関してはお得意だと定評のある先生でしょうに、もう少し後の事まで考えた思慮深い発言を心がけられた方がよさそうに思うのですけれどもね。

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