« 思いがけないところから飛び出した思いがけない話 | トップページ | 結局何ら決まらずに終わったIWC総会 しかし結果として悪くもない? »

2010年6月25日 (金)

お金にまつわる最近の話題

日本代表ベスト16進出おめでとうございます!&お疲れさまでした!
いや、デンマークあたりの欧州中堅相手に、W杯本番でこういう試合が出来るようになるとは大変なものだと感じ入りましたが、本当にいい試合を見せていただきました。
ちょうど数日前に「ファンタジスタ」を読み返していたのですが、今日の三点目となった美しいゴールなど「お前らは漫画か!(笑」と思わず突っ込んでしまいました。
Yahoo!UKの試合速報における終了間際のこの一言が、今大会の日本代表の献身的な戦いぶりを示しているように思いますが、今にして思うと前回大会の悪夢の三連続失点が今大会いい緊張感を維持させているんじゃないかという気がします。

90+3' Japan still running.

余談ついでに先日も書きました沖縄県は国頭村の診療所問題に関する続報も紹介しておきますが、やはりと言いますか完全決裂でFAということのようですね。
この件に関しては色々な噂や怪情報が飛び交っていますけれども、そうした話を抜きにして真面目に医者を呼んで診療所を開こうとしていたのだとすれば、あまりにお粗末過ぎる経緯ではなかったかなという気はしますが、こうなりますと新たな医師探しを続けるのか、県当局の方針に従って巡回診療を受け入れるのかが国頭村としても思案のしどころですね。

医師の復帰交渉断念 国頭村・安田診療所問題(2010年6月22日沖縄タイムス)

 【国頭】国頭村安田の村立東部へき地診療所の中路丈夫医師(65)が村との雇用契約が結ばれないことを理由に、実家のある熊本市へ戻っていた問題で、村は同医師との交渉を断念したことが21日、分かった。

 宮城馨村長らは10日、同市を訪れ、中路医師への謝罪とともに診療所に戻るよう説得。その後も電話で要請を続けてきたが、同医師が要請を断ったため、村は交渉を断念した。

 中路医師は沖縄タイムスの取材に対し「へき地での新たな医者の確保は困難だと思う。医者が赴任するときは雇用条件を整え、辞令を出すことが行政の基本ということを忘れないでほしい」と話した。

国頭村の件は今後の展開を生暖かく見守るとして、今日は最近拾い残した話題の中からお金がらみの医療の話ということで目についた話題を取り上げてみますが、一体に政権の掛け声で医療は国をあげて大きく育てようなんて機運が盛り上がりつつあり、世間的にもこれだけ需要過多、供給過少が叫ばれているというくらいの有望産業であるにも関わらず、当の業界内からは景気のいい話も聞こえないのは面白いですよね。
病院はどこも徹底的に体力をすり減らし今さら新しいことにチャレンジする余力もない、開業医は年々診療報酬が切り下げられる一方で子供には絶対あとを継がせないと決意を固めているというくらいですから、これでは成長産業にと掛け声をかけたところで急に走り出すわけにもいかないだろうとも思いますが、そうは言ってもまだまだ業界内で改善の余地も無しとはしないところです。
最近はとりわけ経営改善が急務と言われる公立病院にしても独法化だ、いや公設民営化だ、はたまた事業管理者だと色々とチャレンジしているという話で、それはそれで良いことなんじゃないかとは思うのですが、そんな中である意味逆の方向性でいきなり結果を出した?と目についたのがこちらのニュースです。

近江八幡市:病院事業、PFI解約で経営大幅改善 /滋賀(2010年6月17日毎日新聞)

 近江八幡市は16日、09年度の病院事業決算について「(民間企業の資金やノウハウを活用する)PFIの解約などで経営が改善に向かい、4億9500万円の黒字が見込まれる」と発表した。

 医業収益は91億2850万円の見込みで大きな変化はないが、PFI解約によりSPC(特別目的会社)への委託料15億4600万円が不要になるなど出費が抑えられたという。市は、昨年総務省に出した改革プランの7億2700万円の赤字に比べ、収支が大幅に改善されたとしている。【斎藤和夫】

近江八幡医療市立センターといえば、以前にも「全国初のPFI契約解除!」とちょっとしたニュースになったものですけれども、初のPFI病院として話題になった高知医療センターの破綻といい、やはりあれは病院経営にはよくないものだという評価が定着しつつあるようにも感じますね。
このPFI方式というもの、鳴り物入りで導入されたわりには全国各地の公立病院で駄目だったという話こそ多い割に、一つとしてうまく行ったという話を聞かないのはどうなのかですが、実のところこうしたPFI病院の失敗事例は先行するイギリスでのそれを丸々なぞっただけとも言え、どうも安価な医療が根づいている国ではうまく回らない制度なんじゃないかという印象を受けています。
「PFIなんて結局おいしいところだけ民間に甘い汁を吸われて終わる」なんて声が当時から結構ありましたけれども、PFI導入自体の是非、あるいはその委託料が果たして妥当だったのか、そしてなぜその金額になったのかといったあたりをしっかり検証していかなければならないし、すればするほど面白い新事実も出てくるんじゃないかという気もしますね。

さて、金がないのは医療の提供側ばかりの話ではなくて、息の長い不況下で利用者側である患者の方でも医療費支払い困難だ、いやそもそも保険料が払えないといった騒ぎで、「安全と健康はタダ」なんて神話があった日本とは思えないような時代になってきています。
先日は患者側の経済的理由による治療中断を四割の医療機関が経験しているなんて記事も出ていましたが、これも四割もと考えるべきか四割しかと考えるべきか評価は分かれるところだとしても、医療を提供する医者の側としても病院経営的な意味でのコスト意識のみならず、患者負担が幾らになるのかといった意味でのコスト意識も求められる時代になってきたとは言えるでしょうね。
そんな中で話としては正しいのかも知れませんが、文字通りに受け取るとこれはちょっと厳しいなあという話がこちらのニュースです。

患者に負担させHIV検査 横浜の病院、3年前から(2010年6月10日47ニュース)

 横浜市保土ケ谷区の聖隷横浜病院がエイズウイルス(HIV)院内感染防止のため、3年前から入院患者の大半に自己負担で感染の有無を調べる検査をさせていたことが10日、病院への取材で分かった。病院は今年に入って厚生労働省から「自己負担は不適切」と指摘を受け、患者約5千人に検査費用を返金することを決めた。

 病院は、検査が院内感染予防の目的と患者に説明し、同意書も取っていた

 厚労省関東信越厚生局神奈川事務所が1月に実施した同病院への立ち入り調査で「一律の検査で強制的になっている可能性がある」と指摘。検査目的が治療でなく、医師らへの感染防止なら病院が費用負担すべきだとして、1回約1300円の検査費を返金し、事実を公表するよう促した。

 返金対象患者は3年間で約5千人に上るとみられる。

これ、術前検査などで肝炎やら梅毒やら一通り調べるのが、おそらく全国ほとんどの施設で当たり前ということになっていたと思いますけれども、「検査目的が治療でなく、医師らへの感染防止なら病院が費用負担すべき」というロジックを押し立てて来られると結構大変な問題になりそうに思うのですけれどもね(逆にHIVだけ特別扱いだと言うのなら、それはそれでまた大変な問題ですが)。
感染症検査というものはやらないなら感染症ありという前提で対策をしておきなさいと言うことになっていたと思いますが、実際に全例クロ扱いで対策をしていくとなるとそのコストや手間も決して馬鹿にならないものになりますから、どちらに転んでも医療機関側としては今まで以上に負担が増えるということになりそうです。
ちょうどこの一件は「勤務医 開業つれづれ日記」さんも書いていますけれども、「医者がまたセコく金儲けを!」なんて言っている場合ではなくて、社会全体として考えてみた場合にどちらがお得なのかということを考えていくべき話なんじゃないかと思えて仕方がないんですが、どうもそんな大所高所の判断ではなくて監査のイチャモンつけレベルでやっているように見えてならないんですけれどもね。

このあたりの話のバカバカしさは今に始まったことでもありませんし、その結果どれだけの無駄な労力が新たな現場負担となっているかも今さらですが、ちょうど菅さんが総理になっただけにHIVネタと言えばニュースバリューがあるとでも言うことなんでしょうか?(苦笑)
ま、菅さん云々は冗談ですけれども、ちょうどその民主党が以前から主張してきた後期高齢者医療制度の廃止に関わる話題で、予想されたような方向で話がまとまりつつあるらしいというニュースが出ていましたね。

新医療制度案 高齢者も国保に(2010年6月23日NHKニュース)

後期高齢者医療制度を廃止したあとの新たな制度を検討する有識者会議が開かれ、75歳以上の多くの人は、国民健康保険に入る方向で、具体案を取りまとめることになりました。

政府は、75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度を廃止すると同時に、平成25年4月から新たな制度を導入する方針です。これについて、23日厚生労働省で開かれた「高齢者医療制度改革会議」は、新たな制度の基本的な枠組みについて、これまでの議論の整理を行いました。その結果、後期高齢者医療制度を廃止した場合、75歳以上の多くの人は、自営業者などが加入する国民健康保険に入る。ただ75歳以上であっても、サラリーマンとして働いている場合は、家族も含め、健康保険組合などの被用者保険に入る方向で具体案を取りまとめることになりました。また、事務局側から、国民健康保険については、財政基盤を維持するため、少なくとも75歳以上が加入する部分については、運営主体を市町村から都道府県に切り替えるべきだという考え方が示され、検討を進めることになりました。有識者会議は、年末をめどに最終の取りまとめを行う予定で、政府は、来年の通常国会に必要な法案を提出することにしています。

後期高齢者医療制度に関しては当「ぐり研」でも繰り返し取り上げてきた経緯がありますけれども、世界的にも「日本はうまいことを考えた」と評価されているこの制度を、単に語呂が悪いからだとか不祥事が相次いだからといった理由で廃止にするのは果たして良い事なのかどうかと思いますね。
その一方でこの記事の意味するところはもう少し現実的な問題というのがあって、これまた以前から取り上げていますように昨今の不景気でいわゆる定職を失う人と言うのがどんどん増えてきていて、その中で低所得層を吸収する役割を果たしてきた国民健康保険はその財政状況が極度に悪化してきているという現実があるわけですね。
一般的に高齢者というのはそれなりに資産もあるということになっていて収納率も高い「上顧客」であるという声もありますけれども、実際に後期高齢者ともなれば医療費もそれなりにかかるという点で大きな支出源にもなるわけですから、ただでさえ財政的に青息吐息の国保に入れてしまうのが本当によいのかどうか、きちんとした試算結果を示してもらう必要がありそうです。

これと併せて後期高齢者医療がもう一つ評判が悪かった原因が「年寄りからも金を取るのか?!」といったところだと思いますけれども、自己負担分免除ということになれば国保側としても一方的な持ち出しになりかねませんから応分の負担を求めざるをえず、そうなると結局は制度の名称が変わるだけで同じじゃないかという話にもなりかねませんよね。
そもそもこの一連の騒動、病院に預けておくのが一番安上がりで手間もかからないという日本の高齢者医療というものがおかしかったと考えれば、自宅<介護施設<病院と社会的資源・マンパワーを投入する強度に応じて負担額が増して行く方が自然な話であって、これを逆にしてしまうと幾ら病床があっても足りないという話になってしまいます。
実際、国際比較で日本は病床数が非常に多いということは以前から指摘される通りですし、その一因としていわゆる社会的入院というものがあることもこれまた言われてきた通りですが、世論の反発を受けて目先の人気を追いかけた挙句、本筋の部分で後退するということになるとまたぞろ「その分の医療費を他の部分から捻出しなければ」なんて話になりますから、よくよく熟慮が必要なんじゃないかと思います。

このあたりはどういった終末期を迎えるのが良いかという死生観の話とも結びついてくるところですが、日本人の平均寿命もこれだけ伸びて多くの人々が大往生と呼べるくらいに長生きする時代になったからこそ、畳の上で看取るという昔からの価値観が再び見直されていくべきなのかも知れませんね。

|

« 思いがけないところから飛び出した思いがけない話 | トップページ | 結局何ら決まらずに終わったIWC総会 しかし結果として悪くもない? »

心と体」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/48716719

この記事へのトラックバック一覧です: お金にまつわる最近の話題:

» 国頭村安田の医師復帰交渉は決裂… [うろうろドクター]
[http://gurikenblog.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-e829.html ぐり研ブログ]さんからの情報です。 [http://blogs.yahoo.co.jp/taddy442000/31580149.html 国頭村安田の話]はこういう結末を迎えてしまいました… 仕方ないのでしょうね… http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100625-00000005-ryu-oki ..... [続きを読む]

受信: 2010年6月25日 (金) 13時29分

« 思いがけないところから飛び出した思いがけない話 | トップページ | 結局何ら決まらずに終わったIWC総会 しかし結果として悪くもない? »