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2010年6月12日 (土)

ベスーン被告の公判結審

先日はテロリスト船長ピーター・べスーン被告の第3回公判の様子をお伝えしましたが、その後当のベスーン被告がシー・シェパードから除名されたりと面白い状況になってきていることもお伝えした通りです。
本日は先日10日に開かれた最終弁論の様子をお伝えしますが、まずは微妙なスタンスの違いも伺われる各社報道から見ていきましょう。

シー・シェパード元船長に懲役2年を求刑(2010年6月11日読売新聞)

 南極海で2月、調査捕鯨をしていた捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」に侵入したなどとして、艦船侵入や傷害など五つの罪に問われた反捕鯨団体「シー・シェパード」の元船長、ピーター・ベスーン被告(45)の第4回公判が10日、東京地裁であり、検察側は「長年にわたり組織的に行われてきた妨害活動の一環で、危険で悪質な犯行だ」として懲役2年を求刑した。

 一方、弁護側は「乗組員がいない場所を狙って酪酸入りのガラス瓶を発射した」として、傷害罪については無罪を主張。「被告は今後、他人を傷つける可能性のある活動に参加しないと表明している」として執行猶予付き判決を求め、結審した。

 判決は7月7日。

 結審に先立ち、ベスーン被告は用意したメモを手に、5分余りにわたって日本語で最終意見陳述。「南極海での違法な捕鯨をやめさせようとして今回の行為をとったが、けがをさせることは全く望んでいなかった」と涙ぐみ、「私は日本の皆さんに敵意を持っていない。違う考えを持った友人だと思っている」と述べた。

ベスーン元船長に懲役2年求刑 調査捕鯨船侵入など(2010年6月11日朝日新聞)

 調査捕鯨船への艦船侵入や乗組員への傷害など五つの罪に問われた反捕鯨団体シー・シェパード(SS)の小型高速船元船長ピーター・ベスーン被告(45)=ニュージーランド国籍=の論告求刑公判が10日、東京地裁であり、検察側は「SSによる組織的な妨害行為の一環で、再犯の恐れも大きい」と述べて懲役2年を求刑した。弁護側は傷害罪については無罪だと主張したうえで、執行猶予付きの判決を求め、結審した。判決は来月7日に言い渡される。

 ベスーン被告は用意していた書面を取り出して日本語で最終陳述し、「信念に従ってSSの活動に参加したが、けがを負わせたことは申し訳なく思っている。捕鯨をめぐる日本人との意見の対立が、一日も早く終わることを願っている」と読み上げた。

 SSは被告を除名すると発表している。

 起訴状によると、ベスーン被告は2月11日午後11時ごろ(日本時間)、他のSS関係者と共謀し、南極海を航行中の調査捕鯨船・第2昭南丸に、皮膚のただれを起こす酪酸入りのガラス瓶を、圧縮空気を使った装置で発射。妨害行為を排除するために甲板にいた乗組員(25)の顔などに酪酸を浴びせて1週間のけがを負わせ、警備業務も妨害したとされる。また、同月15日午前7時半ごろ、所持していたナイフ(刃渡り約19センチ)で防護ネットを切って第2昭南丸に侵入したとされる。


調査捕鯨:シー・シェパード妨害問題 元船長に2年求刑(2010年6月11日毎日新聞)

 艦船侵入や傷害など5罪に問われた反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の抗議船「アディ・ギル号」元船長、ピーター・ベスーン被告(45)=ニュージーランド国籍=に対し、東京地検は10日、東京地裁(多和田隆史裁判長)で開かれた第4回公判で懲役2年を求刑した。弁護側は「人体に危害を加える意図はなかった」と傷害罪については無罪を主張、執行猶予付き判決を求めて結審した。判決は7月7日に言い渡される。

 ベスーン被告は日本語で最終意見陳述し「調査捕鯨は国際法が禁じる商業捕鯨に当たり、違法で残酷な行為」と持論を展開した。一方で「捕鯨する日本人を嫌っていたが、間違った考えだったと気付いた。(日本人は)思いやりがあって寛容で尊敬できる。今後は誰も傷付けたくない」と述べた。

 検察側は論告で「(被告の行為は)SSが長年続けてきた組織的な妨害活動の一環で、危険かつ悪質。化学薬品を目に浴びた乗組員は失明の恐れも感じており、厳罰を望むのは当然」と指摘。弁護側は弁論で「酪酸入りのガラス瓶は人のいない場所を狙って発射した」と主張した。【伊藤一郎】

ま、ベスーン被告的には友人と意見の食い違いがあれは有毒物質の詰まった瓶を投げつけるのが当然というお考えをお持ちだということですが、多くの日本人の価値観からすれば「そんな友人いらねえ!つか勝手に友人面すんじゃねえ!」というのが率直な感想ではないかと思うのですが、どうでしょうかね?
例によってこの問題の特集を続けている産経新聞が詳細な経過を掲載していて、特に双方の主張のまとめである論告最終弁論に関しては一読いただきたいと思いますけれども、検察側の主張の主要点をまずは抜き出してみましょう。

【SS元船長 求刑(2)】「犯情は悪質。懲役2年を…」 検察官の言葉に表情変えぬベスーン被告(2010年6月10日産経新聞)より抜粋

(略)
 《続いて検察官は「傷害罪が成立することについて」とする一文を読み上げた。公判の最大の争点はここにある。ベスーン被告と弁護側は、威力業務妨害など起訴された5つの罪のうち、傷害罪についてのみ「けがをさせる意図はなかった」と争う姿勢を示している》

 検察官「ランチャーを発射したのは、(第2昭南丸の)乗組員の近くで酪酸入りの瓶を破裂させ、その悪臭によって業務を妨害しようとしたのであって、乗組員がいないところに発射しても意味がない。また、当時は甲板上に計16人の乗組員がいたが、いずれも蛍光色の救命胴衣などを着ており、被告のいた場所からもその位置は確認できた

 《さらに検察官は、ランチャーの性能についても言及した》

 検察官「ランチャーはSSのメンバーによる手製のもので照準器もない。さらに、被告は上下しながら海上を走るゴムボート上からランチャーを発射しており、(酪酸入りの)瓶を狙った場所に命中させることは困難。つまり、被告は乗組員の近くで瓶を破裂させることで、瓶の破片や酪酸が乗組員に悪影響を及ぼすことを意図して行為に及んでおり、乗組員に対する暴行の意図を持っていたことは明らかだ」

 《また、検察官は「傷害についても未必の故意が認められる」と主張した。明確に「傷つける」ことを意図していなくても、「傷つくかもしれない」「傷ついても仕方がない」と思って行為に及べば「未必の故意」があったとみなされる》
(略)
 《最後に、検察官はベスーン被告の情状についても述べた》

 検察官「本件は、SSが長年にわたって組織的に行ってきた調査捕鯨への妨害活動の一環で、犯情は悪質である」

 《検察側の冒頭陳述などによると、ベスーン被告は昨年7月ごろからSSの活動に参加していたという。しかし、ベスーン被告は被告人質問で、他の妨害活動について「ノーコメント」と繰り返しており、詳しくは語っていない

 《また、検察官は「酪酸は熱傷被害が多発している危険な化学物質で、人体に重大な傷害を発生させるおそれが大きかった」「第2昭南丸は調査船団からの離脱を余儀なくされ、調査業務に重大な支障をきたした」などと、犯行を厳しく指弾。さらに、傷害罪について否認していることについてもこう述べた》

 検察官「傷害については自身の犯行によるものではないと述べている。また、共犯者であるSSメンバーらについての供述も拒んでいる。現在もなお、SSの暴力的で危険極まりない妨害行為の正当性を主張している」

 《検察官は「被告の反省は十分でなく、同様の再犯に及ぶおそれがある」として懲役2年を求刑し、論告を終えた。ベスーン被告は、いすの背もたれに背中をつけたまま、検察官の方をじっと見つめている。通訳によって求刑が伝えられているはずだが、その表情は変わらない》
(略)

外洋を走る不安定なボートの上からガラス瓶を人の多数いる船上へロケットランチャーで打ち込むなどと言う行為を行うということであれば、その危険性はありがたくもニュージーランドヘラルド紙が引用してくださったように”any primary school kid understands”だと思いますけれども、万一にも小学生以下のお○鹿だから罪が成立しないと言うのではベスーン被告に対しても失礼というものですよね。
これに対して被告側弁護士の答えはこのような感じになりますけれども、そもそも傷害が発生したこと自体信ぴょう性に欠けるという立場ですから、傷害罪の成立など認めるはずもありません。

【SS元船長 求刑(3)】「SSには軍人や警官、消防士もいる。被告も正義感から…」 情状求める弁護人(2010年6月10日産経新聞)より抜粋

(略)
 《さらに弁護人は、けがの程度について、「○○さんは、あいまいな証言に終始している」と主張。○○さんが診断を受けたのが、けがをしてから2日後であることなどについても、「船医の診断結果にも疑いが残る」という主張を繰り広げた》

 弁護人「被告は第2昭南丸(酪酸を撃ち込まれた日本の妨害監視船)の乗組員に本件ガラス瓶が直撃したり、破片が当たったりしないように、あらかじめ人のいない個所を狙っています。狙いがはずれる可能性も否定できませんが、被告は事前に着弾性能の実験をして、誤差が生じないよう準備していました…」

 「被告がSSの活動に参加したのは平成21年7月ごろで、被告はそれ以前のSSの活動内容や日本の調査捕鯨船の被害状況などに関する知識を有していませんでした。被告の酪酸に関する知識は、『人体に害を与えるものでなく、成分はオーガニックで、酸性度はオレンジジュースと同程度』というものでした」
(略)
 弁護人「SSのメンバーには、軍人や警察官、消防士もいます。被告は純粋な正義感から活動に参加したものであり、また、生命や身体を害することを目的としたことはなく、『人を傷つける可能性があれば、発射しなかった』と述べています」
(略)
 弁護人「被告は正義感を持って、SSの活動に参加したが、今後、他人を傷つけるような可能性のある活動には参加しないと表明しています。この表明は、刑事事件に発展した自らの行為について、真摯(しんし)に反省していると評価できます」
(略)
 《弁護人は、ベスーン被告が「普通の市民」であることも強調する》

 弁護人「被告はエンジニアリングなどの学士号を有しており、石油開発会社への勤務経験もあるインテリです。母国には妻と2人の子供もおり、ごく普通の家庭生活を営んできました。今後、母国で平穏に暮らしていくつもりです」
(略)

あの~…もしやこの弁護人氏は、全く家庭を顧みることもなくわがまま勝手に生きてきたベスーン被告に対して、家族が「あんなselfishな男にはついていけない!」ととっくの昔に離婚してしまっているといった基本的なことすら把握していないのでしょうか…?(それとも、ごく普通の家庭生活すら営めなかったベスーン被告に対する皮肉…なんてはずはないか)
人を傷つける可能性があれば発射しないと申していますけれども、現実に人を傷つけた後でさえ「全歴史の中でいかなる人も傷つけたことがないのが我々の誇りだ!」なんて声明を出すようなトチ狂った組織なわけですから、そもそも「人を傷つける」という言葉自体の定義がおよそまともな人間とは異なっている方々なんだなと考えるしかない話ですよね。
ベスーン被告も被告ならこの弁護人もさすがにトンデモぶりではかなりぶっ飛んでいらっしゃるなという気がするところですが(それでも一応はシーシェパードがこれ以上ない!と保証した強力弁護団なんですよね?)、検察もそのあたりをもっとネチネチと突っ込んでみれば面白かったのにとも思うんですけれどもね。

いずれにしても当のシーシェパード自体がベスーン被告の行動は「誰もケガをさせない」という団体の方針に反するとして除名にしているわけですから、今さらそんなつもりはなかったもないものだろうと誰しも思うところですよね。
しかも三億もかかった船を失ったことが被告を狂わせたと言わんばかりですけれども、船自体の資金はほぼ全額スポンサーが出したわけですから、何のことはない自分で起こした事故で他人を傷つけたことが莫大な借金の原因となっているという、なんとも自業自得な話であるわけです。
その保証金を払うために家まで担保に入れたと言うくらいですから、普通の人間であれば今頃死ぬ気で働いているところでしょうが、奥さんに内職をさせて稼がせる一方で自分は仕事もせず、一銭の金も出ない(同被告談)というテロ活動に邁進していたのですから一体どこの浪花節かと言う話で、これで事情を汲みとって情状酌量しろと言う方が無理があるのではないでしょうか?

ちなみに記事にもあります通り、最後に法廷に立ったベスーン被告は自ら日本語で(!)用意したコメントを読み上げたということですが、この中で注目していただきたいのは以下の「思わず本音が出ちゃった?」言い間違いの部分ではないかと思います。

【SS元船長 求刑(4)完】「日本人に敵意」… 日本語言い違え、慌てて「世界で最も尊敬できる人」 (2010年6月10日産経新聞)
より抜粋

(略)
 被告「南極海は、私たちニュージーランド人にとってとても身近な海です。そこで違法な捕鯨活動をするのはとても攻撃的なことです。私は違法な捕鯨活動をやめさせようとして抗議活動をしました」

 《ベスーン被告はここで一度、読み上げを止める。そして、急に声のトーンを落とし、涙声になった

 被告「ご迷惑をおかけした人には申し訳ない気持ちです。罪を軽くするためにおわびをする気持ちはありません。乗組員にけがをさせることは望んでいません。また、日本の皆さんに調査の実態を知ってもらい、捕鯨活動を中止してもらうことを希望しています」

 「アディ・ギル号は、私にとって特別なものでした。3億円のお金を出して、アイデアも自分で出して造りました。世界を何度も回りました。沈没したときは、心情的にも財産的にも大きなものを失いました

 《アディ・ギル号への強い執着心を語るベスーン被告》

 被告「私は日本の皆さんに敵意を持っています

 《こう言った後、ベスーン被告は、すぐに動揺したような様子を見せた。何か言い間違えたようだ。弁護人も気づいたのか、驚いた様子でベスーン被告を見る。ベスーン被告が慌てて言い直す

 被告「敵意を持っていません。捕鯨活動をする人には敵意を持っていましたが、日本に来る前にそれが間違っているのに気づきました。今では、日本人は寛容で思いやりがあり、世界でもっとも尊敬できる人だと思っています。今では、(日本人に)敵意を抱くことはなく、違う考えを持っている人だと思っています」
(略)

結構良い話をしているのに、肝心なところでコケちゃって一気にコメディーになるタイプっているものですがそれはともかく、全般の話の組み立てに沿ったいかにも芝居っ気たっぷりの態度といい、言い間違えた時のリアクションといい、同被告がかなりのところまで日本語を理解しているのでは?とも感じさせられるように思うのですがどうでしょうか?
かねてこの問題を扱っている産経新聞の佐々木記者も、ベスーン被告との接見を通じて「彼は日本語をよく勉強していました」と語っていますけれども、日本へと送られる船中でも船員から日本語を学んでいたという話もありますから、こうした場面に備えて以前から用意周到に地道な努力を積んできたということなんでしょうかね?
残念ながら今回の裁判には裁判員が付きませんから同被告の努力がどの程度実るかは分かりませんけれども、7月7日に出る予定という判決の争点は執行猶予がつくか、それとも実刑判決となるかといったあたりになりそうですし、この前後にかけてのシーシェパード側の更なるパフォーマンスにも注目していかなければならないのでしょうね。

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