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2010年6月17日 (木)

残すことは目的ではなく手段であるはずなんですが

本日まずはこちら、少し以前の記事を含めて二つばかり紹介しておきましょう。

地域医療機能推進機構法案、「何としても成立させたい」―足立政務官(2010年6月14日CBニュース)

 厚生労働省の足立信也政務官は6月14日の政務三役会議後の記者会見で、今国会で同省として「最低限、何としても成立させたい法案」として、「予防接種法及び新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」のほか「独立行政法人地域医療機能推進機構法案」を挙げ、「(同会議で)必ず成立させたいという意思確認をした」と述べた。その上で、長浜博行副大臣と足立政務官が中心となり、成立に向けて各政党に対し積極的に働き掛けていく考えを示した。

 今国会で継続審議となっている同法案では、同機構が新たな受け皿として厚生年金病院や社会保険病院などの運営を引き継ぎ、地域の医療などの重要な役割を担うとしている。同機構の設立は来年4月1日で、それまでの間は「年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)」の存続期限(今年9月30日)を延長する。

 足立政務官は、同法案が成立せずにRFOが9月末で解散した場合の厚生年金病院や社会保険病院などについて、「存在の根拠がなくなる」「存在があやふやというか、宙ぶらりんになる。極めて地域医療に対する影響は大きい」などと指摘。その上で、「(今国会での成立しか)あり得ないと思っている」と強調した。
(略)

厚生・社保病院存続で各党要請行動-全国連絡センターなど(2010年2月23日CBニュース)

 「厚生年金病院存続運動全国連絡センター」(丸山和彦代表世話人)など2つの市民団体と大分県由布市など3市の代表者らは2月23日、今国会で継続審議となっている「独立行政法人地域医療機能推進機構法案」の早期成立を求め、各党や国会議員らへの要請行動を行った。

 要請行動では、同法案の早期成立を訴える共同要望書を衆参両院議長や各党の党首などにあてて提出した。要望書は2つの市民団体と31自治体の連名

 この日は自民党の石破茂政調会長らと面談。3市の代表者らが現状を説明し、同法案の成立に向けて協力要請した。面談後、丸山氏は「感触として、自民党は反対しないということは間違いないと思う」などと述べた。

久しく以前から売る、売らないで方針が二転三転していた社保病院ですが、民主党政権ではとにかく存続させるという方針のようで、社保病院、厚生年金病院の運営を「独立行政法人地域医療機能推進機構」なるものを新設して引き継ぐという法案を提出していました。
医師出身で民主党医療行政の司令塔役とも言える足立氏は無論この法案成立に力を入れているし、これら病院の存続を求める全国関連諸団体からも各党に陳情相次ぐという状況で、基本的に与野党ともに成立させる方向で話が進んでいた感触ではあったようなのですね。
ところがここへ来て国会の会期延長がなくなった関係でということなのでしょうか、急転直下とも言える勢いで同法案が不成立になってしまったというニュースが飛び込んできました。

社保病院存続法案の成立断念 臨時国会に先送り(2010年6月15日日経新聞)

 政府・与党は15日、独立行政法人を新設して地方の社会保険病院などの受け皿にする独立行政法人地域医療機能推進機構法案について、今国会での成立を断念した。民主党が国会会期を延長しないと決めたため、参院厚生労働委員会で審議時間を確保できなくなった。いったん廃案として、今秋にも開く臨時国会での成立を目指す。

 法案は地域医療を支える全国の社会保険病院52カ所、厚生年金病院10カ所などを公的施設として存続させる狙いだった。現行制度では社会保険病院などを運営する独法年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)の設置期限が9月末。それまでに臨時国会を開き、法案を成立させないと、社会保険病院などが運営の法的根拠を失う可能性が高い。厚労省は「病院が存在しても診療できない事態が生じかねない」(年金局)と懸念する。

 地域医療の再生を掲げる菅政権が、参院選日程への配慮から国会を延長せずに法案成立を先送りしたことには批判が集まりそうだ。

社保・厚生年金病院存続法案が廃案(2010年6月16日CBニュース)

 社会保険病院と厚生年金病院などを公的存続させるため、政府が今国会での成立を目指していた独立行政法人地域医療機能推進機構法案が廃案となった。同法案は6月15日の参院厚生労働委員会で審議される予定だったが、同委員会の開催が急きょ中止。同法案の採決をめぐり、会期末を迎えた16日の参議院は紛糾し、結局本会議が開かれないまま閉会した。政府は今年秋の臨時国会での成立を目指すことになるが、両病院を所管している独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)は9月末で設置期限を迎えるため、今後の動向は不透明だ。

 同法案では、来年4月1日に独立行政法人を設立し、それまでの間、RFOの存続期限を延長させるとしており、今後、運営母体が無くなることも懸念される。厚生労働省の足立信也政務官は6月14日の記者会見で、「極めて地域医療に対する影響は大きい」と危機感を示し、「何としても成立させたい」としていた。

社保病院、運営法人設置法案が廃案 受け皿どうなる(2010年6月17日朝日新聞)

 全国の社会保険病院や厚生年金病院を存続させるため、新たな独立行政法人を設置する法案が16日、国会の閉会に伴って廃案となった。現在病院を運営している独立行政法人は9月末に解散するため、病院の運営母体が無くなりかねない事態となっている。

 社会保険病院は全国に53カ所(1カ所は売却手続き中)、厚生年金病院は10カ所ある。地域医療を担うため、旧政府管掌健康保険(現・協会けんぽ)や公的年金の保険料で整備されてきた。国から病院の運営を移管されている「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFO)は、法律で今年9月に解散することが決まっている。

 このため、政府はRFO解散後の受け皿となる新たな独法「地域医療機能推進機構」をつくり、RFOから運営を引き継ぐ法案を国会に提出。衆院は通過し、参院厚生労働委員会で審議中だったが、首相交代などのあおりで審議時間が取れず、廃案となった

 RFOは9月末で解散し、土地や建物などの財産は国に返すことが決まっている。9月末までに臨時国会を開き、新たな受け皿組織の設立を決めなければ、病院を運営する主体が無くなってしまう。先行きの不安から医師や看護師がやめるなどの混乱を引き起こす懸念もある。

 このため長妻昭厚生労働相は、各病院長あてに「臨時国会に法案を再度提出して速やかな成立を図る。地域住民に安心してもらえるよう、また医療の現場に不安や混乱が生じないよう最大限の努力をする」とする文書を送った。

 年金保険料などで各地に作られた福祉施設に対して、「保険料の無駄遣い」などの批判が出たため、自公政権は福祉施設とともに病院も売却する方針を決定。一昨年10月にRFOに運営が移管された。政権交代後、鳩山政権は地域医療の拠点として病院の公営を維持する方針に転換した。(石村裕輔)

もともと半公的病院ということもあって採算性が怪しいと言われていた施設が多いわけですから、こうして法的根拠もなくなるということになってきますとますます存続が難しくなる可能性も出てきそうですが、そもそもこの社保病院・厚生年金病院については拙速に「求められているから一律存続で」と決めてしまっていいものかという疑問は残るところです。
今回は法案の内容がどうとか言う以前の選挙がらみの流れで審議が行われなかったということですが、確かに地域の基幹病院として社会に貢献している施設も幾つもある一方で、無駄が多いんじゃないかと言われていた運営体制に対しては無批判なまま、ただ地域のために存続させなければとその方法論しか議論にならないというのもどうなのかなという気がしますね。
このあたりは今や医療が錦の御旗化してきて、地方自治体レベルのみならず国政選挙の結果にまで影響を与えるようになってきたということの反映なんでしょうが、少なくとも独法化していく段階できちんと内部体制の整理・改変も検討していかなければならないでしょうね。

いずれにしても厚労相時代の薬害問題で庶民の味方的ポジションで名を売った菅総理にしてみれば、いきなり出発段階からのつまづきとなったのが医療問題というのも因縁めいていますけれども、議会で多数派を占めている以上いざとなれば何とでもやりようがあると言うことは、同時にこうした場合に責任もあるということでもあります。
ある意味で根底に流れる思想が(良い悪いは別にして)一貫していた旧政権までの医療政策を一つづつひっくり返していくのはいいんですが、民主党政権下での医療政策はどうも求められてるから続けましょう式のやり方が多い印象で、どうもその結果将来に何が起こるのかというところが見えてこない印象があるのは気になるところですね。
政権が変わって医療政策も大幅に変えていくと言っているわけですから、「命に関わるから」とまともな議論もしないでとにかく採決だけすればいいでは困るわけで、病院が潰れるなど珍しくもない時代にあってなぜ全ての施設の一律維持が必要なのか、身の丈に合った規模への縮小や診療所化は検討しなくていいのかといったところに立ち返っての議論は必要でしょう。

そしてなにより、地域医療にどうしても必要だという施設が赤字経営が続いていて人も集まらないというのはどういうことなのか、みなさんから集めたお金が少なからず投入されてきた施設であるだけに、この機会に国民にも考えていってもらわなければならないでしょうね。

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コメント

 10月1日になりました。
 世間で全然話題にならないのですが、私が知らないだけで、既に解決しているのでしょうか?

投稿: JSJ | 2010年10月 1日 (金) 10時54分

とりあえず二年先送りになったようですが、何も解決にはなっていませんしねえ…

年金・健康保険福祉施設整理機構法改正案を了承 厚生労働部会 (2010年7月30日自民党HP)
http://www.jimin.jp/jimin/daily/10_07/30/220730b.shtml
 厚生労働部会は30日、全国に62カ所ある社会保険病院と厚生年金病院を運営する独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFO)を当面存続させる改正案を了承した。改正案は議員立法で、今年9月末のRFOの解散時期を平成24年までの2年間延長するというもの。政府は、この間に社保病院と厚年病院の売却を進め、地域の医療体制を損なうことがないようにする。政府は、先の通常国会にRFOとは別の独法をつくり、これらの病院の運営を移管する法案を提出していたが、総理交代の混乱により成立を断念、廃案となっていた。このままでは、社保病院、厚年病院を運営するための法的根拠が無くなり、病院は不安定な状況におかれることになるため、今回の改正案を取りまとめた。厚生労働委員長提案として今国会成立を目指す。

投稿: 管理人nobu | 2010年10月 1日 (金) 16時38分

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