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2010年6月16日 (水)

IWC総会が始まっています

先日はシーシェパードから除名されてしまったテロ実行部隊のベスーン被告ですが、その除名行為についてシーシェパード内外でも相応の反響はあるようですね。
ベスーン被告の行動がシーシェパード自身の意志を反映したものではないというのがワトソン代表の描いたシナリオなのでしょうが、世間的にはこうした場合上位者の監督責任が免れないのは当然であるだけに、単に末端分子に罪をかぶせて切り捨てればよしと考えているのであれば意外な結果に終わるかもしれません。

シー・シェパード、ベスーン被告を除名、メンバーや支持者に動揺(2010年6月10日サーチナ)

  米国の反捕鯨団体シー・シェパード(SS)は4日、ウェブサイト上で声明を出し、南極海で日本の調査捕鯨船に侵入し、東京地裁で公判中のニュージーランド人、ピーター・ベスーン被告(45)を除名することを明らかにした。

  同被告は、シー・シェパードの小型高速船「アディ・ギル号」に弓矢を持ち込んだが、その行為が団体の「非暴力の活動方針」に反するとし、今後の抗議活動には参加させないと発表した。ただし、同被告に対する日本での裁判への支援は続けるという。

  ニュージーランドの地元新聞によると、ベスーン被告の父親、ドン・ベスーン氏は、「息子がシー・シェパードの立役者になり、組織で高い地位にある人たちより、国際的に目立ったことに対する嫉妬心から除名されたのではないか。彼は、組織のどんな規則も断固として守っていたので、シー・シェパードの発表に驚いている」とその心中を明かした。また「ほかのメンバーも組織の決定に動揺している」と語った。

  またベスーン被告の妻、シャリン・ベスーンさんは、ラジオ局「ラジオ・ニュージーランド」のインタビューで、ベスーン被告を将来の任務から外す、除名というシー・シェパードの決定は、「組織内の対立を引き起こしている」と語った。シャリンさんは、さらに、「シー・シェパードの支持者が組織の上層部の発表に賛同しているか不明であり、この決定が障害となり、今後、支持者は組織から離れるかもしれない」との見方を示しているという。(編集担当:田島波留・山口幸治)

この問題に関して世界中が捕鯨国日本の暴虐を非難しているのだと言うのがシーシェパードの言い分ですけれども、実際のところ世の中そう単純なものでもないのですね。
捕鯨問題に関しても賛成派(容認派)と反対派がある、そして反対派と言っても様々なスタンスが存在するわけで、これを一括りにまとめて語ると言うこと自体がそこに何らかの意図がある行為とみなすべきなのですが、例えば日本と同様アザラシ猟などでテロ組織と長い戦いの歴史を持つカナダあたりではこんな感じの声も出ています。

【加国ブログ】シー・シェパード代表逮捕、カナダでは「刑務所に服役すべき」(2010年5月1日サーチナ)

  東京海上保安庁は、傷害や威力業務妨害の容疑で、反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の代表でカナダ人のポール・ワトソン容疑者(59)の逮捕状を取得した。

  この事件は2月に、南極海で日本の調査捕鯨船への違法行為で、抗議船アディ・ギル号の元船長ピーター・ベスーン被告が逮捕・起訴された。その後の取り調べで、ベスーン被告は一連の妨害行為がワトソン容疑者の指示で行われたと供述したから、逮捕状の取得に至った。

  カナダのCTVニュースは、この事件をトップニュースとして報じている。記事のコメント欄には、「日本に犯人を引き渡すことを望む」「この変わり者は刑務所に服役したほうがいい」といった、逮捕に賛同するコメントが多く寄せられた。

  また、必要以上に鯨を捕獲し、生態系が破壊されるのは好ましくないが、そういったことが起こらないように法律がある。シー・シェパードはテロ行為で妨害を行っている。このようなグループを見て見ぬふりをしている社会にうんざりしている。ポール・ワトソンはテロリスト以外の何者でもない、といったコメントも見られる。

  ワトソン容疑者は、逮捕状については「政治的な動機によるもので、気にしていない」とし、今後も鯨を救うため南極海での活動を続けると述べているという。(編集担当:桐山真帆子・山口幸治)

実際のところ反捕鯨の主張自体の是非はともかく、テロリストに賛同するなんてことはあり得ないだろという声が結構な数存在していることは確かであって、そういう人間たちにとっては自分たちがあたかもテロ支持者であるかのようなシーシェパードの主張こそ「冗談じゃない」という話ですよね。
さらには反捕鯨活動が実を結び世界的に捕鯨が下火になればなるほど、捕鯨及び反捕鯨活動に対する世間の関心もまた下火になっていく道理で、捕鯨国は元より反捕鯨国においてもこうした世論の注意喚起ということが非常に重要になってきているわけです。
例えば今回のIWC総会では議長提案になる捕鯨総数大幅削減とセットでの実質商業捕鯨再開が議論されると言われていますが、これに関しても各国とも一生懸命世間の注目を集めようとメディアを巻き込んでの報道合戦を繰り広げている最中なのですね。

【日々是世界 国際情勢分析】来月IWC総会 日本を報じ出した反捕鯨国(2010年5月25日産経新聞)

 今後10年間の捕鯨の枠組みを決めようとする来月の国際捕鯨委員会(IWC)年次総会を前に、日本の捕鯨を批判する報道が各国で相次いでいる

 5月15日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、小型捕鯨が行われている宮城県石巻市鮎川浜発の記事で、地元住民らが「長年抱いてきたタブー」を打ち破り、国が主導して南極海で行っている捕鯨を批判しているとの現状を報告した。

 「南極海での調査捕鯨は文化を守っていることにはならない」(地元市会議員)と、調査捕鯨自体が国際的な批判を浴び、この地域で行われてきた伝統的な捕鯨が脅威にさらされていると、地元住民が不満を抱いていると指摘したうえで、日本の捕鯨が置かれている状況をこのように論じた。

 「日本政府は、調査目的と呼ばれている捕鯨の急激な(IWCの議長提案である)規模縮小に対して、国内外で新たな圧力に直面している。政府は、国粋主義者の情熱と、かつて30年間にわたって捕鯨の枠組みを制限するためのいかなる行動をも遮断してきた官僚の既得権益のはざまでまひしているように見える」

 オーストラリアの有力紙シドニー・モーニング・ヘラルド(電子版)は14日付で、捕鯨に関して国内で行われた世論調査の結果を伝えた。

 それによると、南極海での捕鯨に対し、94%が反対と回答。同国のラッド政権は、日本の調査捕鯨をやめさせるために、国際司法裁判所への提訴も辞さない構えを見せている。世論調査では、こうした豪州政府の取り組みについて、90%が支持すると答えた。

 しかし、18~24歳の層で、捕鯨問題に関心があると答えたのは35%にとどまった。同紙に対して調査会社のスポークスマンは「若い世代は、(捕鯨にまつわる)状況を把握していないようだ」と話し、捕鯨への関心が薄れていることへの懸念を明らかにした。

 一方、IWC年次総会に向け、捕鯨国と反捕鯨国での駆け引きも表面化し始めている。

 アルゼンチン、ブラジル、コスタリカなどの中南米11カ国は議長提案について反対を表明。19日のフランス通信(AFP)の記事ではコスタリカのIWC担当者の「われわれは捕鯨に対して断固たる自然保護の立場を取る」との言葉が紹介された。

国が率先してこうした世論工作をしかけるような状況となってきますと、売上げ増が目標のメディアまで参入して何がなにやら分からないという話になりがちですが、案の定海外からはこんな話が出てきているようです。
この一件で面白いのは国内メディアと海外メディアとで随分と報道の内容に違いがあるということですが、各メディアの報道と併せて元記事である英保守系紙サンデー・タイムズの内容とも見比べてみるとなかなか面白いかなと思いますね。

【参考】Revealed: Japan’s bribes on whaling(2010年5月13日サンデー・タイムズ)


日本がIWC捕鯨同調票“買収” 英紙が報道(2010年6月13日47ニュース)

 【ロンドン共同】13日付の英日曜紙サンデー・タイムズは、日本が国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会で日本の投票行動に同調させるため、キリバスなど各国代表に現金を渡したり、総会出席のための交通費や滞在費を負担していたことを認める各国代表らの証言を実名と顔写真入りで報じた。

 1982年から続く商業捕鯨の一時停止を解除し、商業捕鯨の再開を目指してきた日本については「小国の投票行動を買収している」とのうわさが絶えなかったが、同紙はこれを裏付ける具体的な証言を初めてビデオカメラで撮影したとしている。モロッコで今月開催される年次総会の行方にも影響しそうだ。

 捕鯨に関心はなかったが、日本に説得されてIWCに加盟したというアフリカのギニア漁業省高官は、年間約105万円のIWCへの分担金を日本が支払っているほか、総会出席のための航空券やホテル、食事代も日本が負担したと証言。閣僚に渡すためのドルの現金入りの封筒も日本代表団から受け取ったという。

 キリバスの高官も滞在費は日本持ちだと述べたほか、マーシャル諸島の漁業政策アドバイザーは「日本の支援を受けているからこそ日本を支持している」と明言した。

日本が捕鯨同調票“買収” 英紙が各国高官の証言掲載(2010年6月13日産経新聞)

 13日付の英日曜紙サンデー・タイムズは、日本が国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会で日本の投票行動に同調させるため、キリバスなど各国代表に現金を渡したり、総会出席のための交通費や滞在費を負担していたことを認める各国代表らの証言を実名と顔写真入りで報じた。

 1982年から続く商業捕鯨の一時停止(モラトリアム)を解除し、商業捕鯨の再開を目指してきた日本については「小国の投票行動を買収している」とのうわさが絶えなかったが、同紙はこれを裏付ける具体的な証言を初めてビデオカメラで撮影したとしている。モロッコで今月開催される年次総会の行方にも影響しそうだ。

 同紙は、IWCに関して日本以外の加盟国のいかなる費用も負担していないとする日本外務省のコメントも掲載した。(共同)

日本、捕鯨再開に向けあの手この手の工作=英紙(2010年6月14日朝鮮日報)

 今月15日から25日まで、モロッコで行われる国際捕鯨委員会(IWC)の第62回総会に向け、日本はあの手この手を使って、商業捕鯨の再開に関する決定を引き出そうとしている。

 イギリス紙「タイムズ」日曜版は、鯨肉の消費量が世界一の日本が、 IWCの六つの加盟国にわいろを贈ったり、捕鯨の許可を支持する票を買ったりしている、と報じた。同紙によると、日本は一部の国の代表団に対し、性的な接待までしたという。

 同紙は13日、「セントクリストファー・ネイビス、マーシャル諸島、キリバス、グレナダ、ギニア、コートジボアールの6カ国の官僚に対し調査を行った結果、日本側からかなりの額の金銭支援を受け、捕鯨の許可に賛成する方針を固めていたことが分かった」と報じた。また同紙は、関係者の証言を録音したという。

 同紙によると、ギニアのある高官は、「日本政府は以前、IWCの会合が開かれていたとき、わが国の水産相に対し、1日1000ドル(現在のレートで約9万円)以上の宿泊費や雑費などをすべて負担した」と語った。また、マーシャル諸島の官僚も、「日本政府の支援があったため、わが国の代表団は日本を支持する票を投じる方針だ」と話した。一方、タンザニア出身のIWCの調査官は、「わが国の代表団が日本のホテルに泊まったとき、日本政府が派遣した女性たちが常に待機していた」と語った。だが、日本政府は同紙の報道内容を否定している。

面白いなと思ったのはこの記事、紙媒体に出た共同の記事では元記事にある「記者は身分を偽って取材した」云々という一文が入っていたのですが、こうしていつの間にか消えてしまっているのは誰の意図を反映しているのかなと思いますね。
記事の信憑性はともかくとして、こうした多数派工作というものは今に始まったことでもないし、そもそもIWCなどという鯨資源の持続的活用を討論する場に何らの捕鯨実績もない国々がこうまで多数加わってきていること自体が、長年の多数派工作の結果であるわけですよね。
例えばこの手の工作と言えば世界に冠たる(苦笑)英国などではすでに久しく以前から捕鯨問題に全く無関係な国々を反捕鯨派としてIWCに参加するよう後押ししてきた実績がありますし、そもそも今に至る捕鯨問題の歪みの根本とも言うべきモラトリアムなんてものもアメリカの多数派工作の結果「一夜の逆転劇」で成立したものですよね。

いずれにしてもこうして謀略合戦紛いのことまで行われているという現実を前にしたとき、日本人も黙って見ていたのでは世界各国の理解を得られるはずもないわけで、主張すべきことはきちんと主張し地道に支持者を増やして行くというこの世界で当たり前のことをやっていかなければなりません。
折からの総会ではちょうど反捕鯨派のIWC議長が病欠しているなんて話も出ているようですが、代理の副議長は捕鯨派だと言いますから日本にとっては悪くない話ですし、ここは攻めの姿勢で日本の積極果敢な戦いぶりを世界に見せつけて欲しいところですね。

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コメント

タイムズのオーナーが豪州人のルパート・マードックであることから背後関係は明瞭ですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF

投稿: | 2010年6月16日 (水) 12時46分

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