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2010年5月12日 (水)

岩手県立宮古病院、実は意外に斜め上だった(らしい)真相

先日紹介しました岩手県立宮古病院の医師詐称事件ですが、その後も続報が相次いでいるというくらいですから全国的にもそれなりに注目されているようですよね。
しかし三回も直接面談している院長は専門用語を駆使し偽物と見抜けなかったと言う一方で、同席した事務局長は「医師の雰囲気はなかった」と言う、これはどういう状況なのかと関係者の証言だけでも疑問は湧くところではあります。

ニセ医師事件 医療経験なし、免許偽造(2010年05月11日朝日新聞)

 県立宮古病院が「医師」として採用を決めていた女が無資格だったとされる事件で、宮古署は10日、自称大阪市の無職一宮輝美(いち・みや・てる・み)容疑者(44)を医師法違反容疑で盛岡地検宮古支部に送検した。宮古署によると一宮容疑者は容疑を認めて反省を口にしているというが、「なぜ医師になろうとしたのか」は、まだ謎に包まれている

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 宮古署などによると、一宮容疑者は調べに対し、「医療関係の仕事はしたことがない」「婚約者と一緒に勤務するために2人分の医師免許証を偽造した」などと供述しているという。同署では、一宮容疑者から同病院へ送受信されたメール文などを押収して調べを進めているとみられる。
 同署などによると、一宮容疑者は8日午後6時半ごろ、宮古市和見町の県立宮古病院官舎で、菅野千治院長や東山昭事務局長らと話し合った時に、無免許にもかかわらず「私は医師だ」と言った疑いが持たれている。
 一緒にいた「婚約者」の男性は10日も任意の事情聴取に応じているが、「医者として働くつもりで来たわけではない」と事件への関与は認めていないという。

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 同病院によると、一宮容疑者は携帯電話のメールアドレスを二つ持っており、両方のアドレスを使いながら、2007年11月から約1年半に100回以上のメールを前事務局次長に送っていたという。電話も一宮容疑者から多くかかってきていた。

 病院側には「兵庫県芦屋市出身、年収3千万円」などと説明していた。だが、病院側が「手続きができないから」と、再三、履歴書や医師免許証などの提出を促すと、はぐらかし続け、4月30日にようやくファクスで自身と男性の2人分の公印のない医師免許証を送信してきたという。

 8日の大阪から花巻空港までの交通費は2人の自腹だった。東山事務局長は「電話代だけでもかなりの出費だったと思う。一体、何がしたかったのか」と首をかしげた。

 県のホームページでは、県立病院の医師の年収は医師免許取得から約20年で1750万円以上となっている。

 一宮容疑者を迎え入れるため、病院側は同市内の病院官舎を計約200万円かけて改装や備品購入をしていた。8日夜には、一宮容疑者の荷物の段ボール8箱が官舎に届き、翌日には男性の荷物数個が届いた。

 8日に一宮容疑者が菅野院長らと顔合わせをした時は、おかっぱの髪形でクリーム色系のスカートを身につけていたという。「婚約者」の男性はポロシャツ姿の軽装で、ほとんどしゃべらなかったかったという。同席した東山事務局長は「医師の雰囲気はなかった」と話す

 一宮容疑者が「医師」であれば、10日から循環器科の常勤医が復活するところだった。この日、同病院に受診にきた男性(28)は「もう少し早くわかっていればよかったのに」。山田町の自営業女性(70)は「人の命を守るのが医師なのに、人の心を痛めたのは許せない」と怒っていた。

いや許せないと言われましても、詐欺師相手に許すも何も最初からないものでしょうけれどもね…

さて、この一宮容疑者のバックグラウンドについてもそろそろあちこちで判ってきているようですが、情報が錯綜していてどこまで本当のことなのかまだハッキリしていないようですね。
少なくとも医療関係者とある程度の接点はあったと考えるべきなんでしょうが、逆にこの程度の接点だけであったということであれば、これは院長をも騙せる程度に相当の自習をしてきたということなんでしょうか?
一方で同行していた婚約者なる男性の方では医者と名乗ったこともなければ医者として勤務するつもりもなかったと主張しているようで、これは県警が今のところ医師法違反(医師以外が医師の名称を使った)で攻めて来ていることに対応しているのでしょうが、実際病院側に医者であると自称した形跡もないのに当初医師二人を確保!なんてニュースが流れたのはどうなのかということですかね。

逮捕の女、医学用語多用 医師詐称容疑 岩手県警(2010年5月11日河北新報)

 岩手県立宮古病院の勤務医になろうと、免許がないのに医師を名乗ったとして、宮古署が医師法違反の疑いで逮捕した自称大阪市、無職一宮輝美容疑者(44)は、採用に関する病院側との交渉の際、医学用語を頻繁に使っていたことが10日までに、病院関係者への取材で分かった。同署は一宮容疑者の職業や経歴について確認を急いでいる。

 病院関係者によると、一宮容疑者から勤務医として働きたいとの電話があった2008年11月下旬以降、菅野千治院長ら病院職員は同容疑者と数回交渉を重ね、その都度、多数の医学用語を聞いたという。100件以上にわたった電話やメールの中にも、医学知識の深さをうかがわせる用語の使用があった
 宮古署は、一宮容疑者とともに循環器科の医師として着任予定だった自称大阪市の男性(38)についても、関与の可能性があるとみて立件を視野に調べている。同署は10日、一宮容疑者を送検した。

 一方、病院関係者らの話では、一宮容疑者は病院側に接触した当初、別名の「村井」という名前で連絡を取っていた。今年1月にようやく本名を名乗り、「患者とトラブルがあり、弁護士の指示で名前を伏せるよう言われていた」と説明した。
 病院は着任準備にかかった約260万円の費用について、近く被害届を提出する方針を固めるとともに、詐欺容疑での刑事告訴も検討し始めた。

 達増拓也知事は10日の定例記者会見で「チェック機能が働いたので、水際で阻止できた。現行制度の中で、今回のようなリスクが生じるのはやむを得ない」と述べ、病院側の対応に不備はなかったとの見解を示した。

「生活保護受けていた」「勤務先」実は受診病院(2010年5月11日読売新聞)

ニセ女性医師容疑で逮捕

 県立宮古病院に医師として着任予定だった一宮輝美容疑者(44)が無資格だったとされる医師法違反事件で、一宮容疑者は、宮古署の調べに対し、「借金があった。生活保護を受けていた」と動機につながるような供述を始めた。「勤務先」と説明していた大阪赤十字病院(大阪市天王寺区)も、実際は、患者として受診していた「通院先」だった。言葉巧みに宮古病院側を信用させ、有利な条件を引き出していった様子が、関係者らの話から浮かび上がってきた。

 大阪赤十字病院によると、一宮容疑者は、約1年前まで通い、受診科は複数にまたがっていたという。同病院幹部は「医師や看護師として当院に勤めていたことはない」と話した。

 宮古病院側には、このうそが発覚しないよう、言葉巧みに説明していた。大阪赤十字病院のホームページに一宮容疑者の名前が載っていないことを指摘された際には、「患者から暴力を振るわれている。弁護士と相談している最中で、名前は伏せてある」と説明したという。

 着任前には、入居予定先の公舎に入れる家電製品について、「大阪ではBMWに乗っている。家にあるテレビは50インチ」などと話し、薄型テレビはせめて40インチ台にするよう宮古病院側に求めていた

 交渉の末、病院は「さすがに高価すぎる」と、20万円相当の30インチ台を用意した経緯があった。また、洗濯機については「左腕に力が入らない」などと言い、最新式の斜めドラム式を調えた

 県医療局によると、宮古病院で仮に勤務していた場合、経験などに応じて年収2000万円程度が見込まれていた。県は、医師の偏在解消を図るため、盛岡市と比べ医師が不足している宮古市など沿岸部の地域手当を手厚くしている。

過去に医師と婚姻歴 医師法違反容疑の女(2010年5月11日岩手日報)

 宮古市の県立宮古病院(菅野千治院長、387床)に循環器科医として着任予定の男女2人が無免許だったとされる事件で、医師法違反(名称使用の制限)容疑で逮捕された自称大阪市天王寺区上本町、無職一宮(いちみや)輝美容疑者(44)が、過去に医師との婚姻歴があったとみられることが10日、捜査関係者への取材で分かった。宮古署は専門用語を話すなど一宮容疑者が一定の医療知識を持っていた点や、犯行動機の解明につながる可能性もあるとみて調べている。

 捜査関係者らによると、これまでの供述などから一宮容疑者は病院に勤務した経歴はなかったとみられる。医師と偽って宮古病院に勤務しようとした動機についてはあいまいな供述を続けている

 しかし、複数回の婚姻歴のうち1人が医師だったとみられるという。一宮容疑者は菅野院長らと面会した際に「心カテ(心臓カテーテル)ができる」などと専門用語も交えて虚偽のキャリアを述べるなど医療への関心や知識を持っていた

まあこの件に関しては警察も動くくらいですから、本来病院側は被害者ですと言っていれば済む立場なのかも知れませんが、どうも見ていますとそれだけでもない事情もあったようで、むしろこれだけ全国的な話題になるほどのニュースダネを提供していながら当事者は仕方がなかったといい、監督する県当局では何ら問題がなかったと言っているのは面白いですよね。
これだけのお金を使い込むまでまともな検証システムも機能していなければ医師確認の方法論も知らなかったらしいということですから、突っ込みどころ満載の低レベルな詐欺師相手にここまでの公金を支出した挙句「やむを得ないリスク」では県民も納得し難いのではないでしょうか?

ニセ医者に困惑 「つけ込まれ、反省」岩手県立宮古病院(2010年5月10日河北新報)

 着任寸前の医師がニセ医者だとして医師法違反の疑いで逮捕された事件で、被害に遭った岩手県立宮古病院と県医療局は9日、事件の把握と対応に追われた。

 宮古病院などによると、逮捕された一宮輝美容疑者(44)と、共犯の疑いのある男性(38)は大阪大医学部出身を名乗り、大阪市の日赤病院の循環器科に勤務していると話していた。医師免許の提出を求めると、「患者とトラブルがあり、弁護士の指示で出せない」などと拒んでいた。
 病院側の実害は公舎のリフォームや家財購入にかかった約200万円と、下見の際の交通費・宿泊費など約10万円。2人は結婚する予定ということで、公舎は1室のみ。準備金などの金銭要求はなかった。

 一宮容疑者らの経歴照会について、宮古病院は大阪大や日赤病院に確認していなかった。「病院は医師の個人情報を教えない」(東山昭事務局長)というのが理由で、2人の機嫌を損ねたくないとの配慮もあった。
 県医療局によると、医師の採用は通常、各病院が個別に医師側と接触。今回の交渉の進め方に落ち度はなかったとみている。

 ただ医師不足という弱みにつけ込まれた事態に関係者はショックを隠さない。交渉に当たった宮古病院の菅野千治院長(63)は「だまされて怒りを覚える。医師が欲しいというこっちの甘さ、気持ちにつけ込まれて反省している」と謝罪した。
 県医療局の田村均次局長は「あってもらっては困る事態だ。(免許確認の)詰めるタイミングが遅かったかもしれない。医師が来ると思って喜んでいた地域の人たちをがっかりさせてしまい、申し訳なく腹立たしい思いだ」と話した。

 一方、山本正徳宮古市長は「残念の一言。市民のショックも大きい。県立病院だから医師免許の確認は当然していると思ったが、確認が遅かった」と悔しがった。

ニセ女医事件、病院は医師検索システム知らず(2010年5月12日読売新聞)

 岩手県立宮古病院に医師として着任予定の一宮輝美容疑者(44)が無資格だったとして医師法違反容疑で逮捕された事件で、インターネットで医師資格の有無を確認できる厚生労働省のデータベースの存在を病院が知らなかったことが11日、わかった。

 病院は、一宮容疑者の希望した家電製品購入などに約200万円を支出したが、着任直前に無資格と気付いた。データベースを活用していれば、多額の公費支出を防げた可能性があり、県のチェック態勢のあり方が問われそうだ。

 厚労省のデータベースは2007年度に開設され、医師法で義務づけられている2年に1度の届け出をしている医師を網羅している。姓名を打ち込めば、医師免許の有無や免許取得年が表示される仕組みで、だれでも使用できる。異体字や旧字体は、そのまま入力する必要があるが、医師免許がなければ、「条件に該当する医師等は検索できません」との表示が出る。

 県立宮古病院の事務局長は11日、「私たちは、そもそもそのシステムを知らなかった」と述べた。

 県医師支援推進室は、同病院からの相談を受けた今月7日、このデータベースを使って調べた。すると、一宮容疑者は該当がなく、一緒に着任するとされていた「婚約者」を名乗る男性(38)は、同姓同名が数件ヒットしたという。

 一宮容疑者とのやりとりは約100回のメールや電話で進められた。一宮容疑者は「村井」と名乗り、実名は今年1月に明かした。「患者に暴力を振るわれた」などと説明して、名刺や履歴書は出さなかった

 病院幹部は「頭の片隅でおかしいとは思ったが、宮古に来てくれる貴重な先生だから、確認は最後で良いと思った」と明かした。

 民間の医療人材紹介会社キャリアブレインの吉岡政晴会長(40)は「偽医師の問題があるので、このデータベースで必ず確認している。このシステムを知っていれば今回の事件も防げたのではないか」と話している。

県立宮古病院・偽医師事件:「やむをえないリスク」知事が見解 /岩手(2010年5月11日毎日新聞)

 医師と偽った無職の女が県立宮古病院に勤務しようとした事件を巡り、達増拓也知事は10日の定例会見で「医師免許がない人が働くことはあってはならないが、食い止めるチェック機能は働いた」と述べ、県医療局や病院側に問題はなかったとする見解を示した。

 さらに「相手の意向に沿う形でしか交渉できず、今回のようなリスクもやむを得ない」と説明した。

 医師不足問題については「全国的に公的に(医師の偏在を)是正する仕組みが必要だ。早く実現するよう政府への働き掛けを強めたい」と語った。また、事件については「県民の期待が裏切られ、非常に残念だ。憤りを感じている」と述べた。【山口圭一】

いやいやいや、自分らの対応のまずさを棚にあげて「問題はなかった」なんて安易な総括をする一方で、さらっとこんなことになるから医師強制配置論実現を政府に迫らなければ!なんて、一体どの面下げて言っているのかという話ですけれども、この場合はさすがに憤りを感じるならまず自分たちの間抜けさ加減に対してであるべきではないんですかね?
逆にここまで抜け穴だらけのずさんな対応をしてきてこれが当たり前のことをやった、何ら問題はなかったと総括されるというのであれば、現行のシステム自体が幾らでも無駄金使い放題を許容しているということになってしまいますけれども、こんな低レベルの相手に毎回200万以上も無駄金を使い込んで平然としていられるほど岩手県の財政も裕福であるとも思えないのですがどうでしょうか?

野球などでも良いピッチングをやった日こそ舐められるから調子が良かったと言うな、むしろ今日は悪かったと言っておけなんてことを教えるコーチもいるようですが、何ら問題がなくてもこの調子ですと今後も岩手は全国同業諸氏から「良い鴨」と付けねらわれかねないんじゃないでしょうかね?
と言いますかそれ以前に、こんな実態が全国に知れ渡ってしまったのでは肝腎の本物の医師達からも岩手県はますます敬遠されてしまいそうですが…

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