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2010年5月 1日 (土)

久しぶりに環境テロリストネタですが

ちょうど先日久しぶりに環境テロリスト絡みの記事が一般紙に掲載されていましたけれども、本日まずはこちらから引用してみたいと思います。

シー・シェパード代表に傷害容疑などで逮捕状(2010年4月30日産経新聞)

 環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」メンバーによる調査捕鯨妨害事件で、東京海上保安部が、傷害や威力業務妨害の容疑で、同団体代表、ポール・ワトソン容疑者(59)=カナダ国籍=の逮捕状を取ったことが30日、分かった。近く警察庁を通じて国際刑事警察機構(ICPO)に国際手配を求める。

 一連の妨害事件で、海保はSSの組織的な関与を捜査。逮捕・起訴されたメンバーの供述などから、ワトソン容疑者が指示していた疑いが強まった。

 逮捕状の容疑は、今年2月、南極海で、SS抗議船「アディ・ギル号」元船長のピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)=傷害や威力業務妨害などで起訴=と共謀、日本の調査捕鯨監視船「第2昭南丸」に、異臭を放つ酪酸入りの瓶を撃ち込み、乗組員にけがをさせるなどの妨害行為をした疑い。その後の海保の調べで、ベスーン被告から、妨害行為についてワトソン容疑者と協議した、といった趣旨の供述が得られたほか、調査捕鯨船団が撮影したビデオ映像で、一連の妨害行為に使われた抗議船にワトソン容疑者が乗船していることも確認されたという。

 海保は、国際手配でICPO加盟各国に対し、ワトソン容疑者の所在確認を要請、条約締結国で確認できれば、犯罪人引き渡し条約や外交ルートを通じて身柄引き渡しを求める方針。

 ワトソン容疑者は、米国の環境保護団体「グリーンピース」を路線対立から脱退。1977年にSSを設立、「直接的な行動」を掲げて過激な抗議活動を繰り返してきた。

 SSは昨年12月以降も、日本の調査捕鯨活動を執拗(しつよう)に妨害。今年1月にはベスーン被告が乗るアディ・ギル号が、第2昭南丸に衝突し大破した。捕鯨船団は97日間にわたる調査期間のうち31日間の調査中断を強いられた。中断日数はSSの妨害行為が始まった17年以降最長で、21年度の捕獲頭数は予定の約半数の507頭と、18年度に次ぐ低水準にとどまっていた。

 SSをめぐっては、平成19年の妨害行為で、警視庁が翌年、米国籍の男ら4人を威力業務妨害容疑で国際手配している。


シー・シェパード代表、容疑を否定 (2010年4月30日MBSニュース)

 現在ニューヨークに滞在中のワトソン容疑者はJNNの取材に応じ、今回の容疑を真っ向から否定しました。

 「海上保安庁の信頼性はゼロだ。(逮捕状は)政治劇で、法に基づくものではない」(シー・シェパード代表 ワトソン容疑者)

 日本時間の午前9時前、ニューヨークの港に停泊中のシー・シェパードの船でインタビューに応じたワトソン容疑者は、「妨害行為に使った酪酸は人体に無害なものだ」「日本の船の方が我々にぶつかってきたのに、何の責任も問われないのはおかしい」などと、容疑を全面的に否定しました。

 「シー・シェパードは誰も傷つけていない。彼らは自分でけがをし、我々を非難している」(シー・シェパード代表 ワトソン容疑者)

 船の甲板にやってきました。シー・シェパードは放水銃を使って、日本の調査捕鯨船などを妨害するということです。ワトソン容疑者らはこの後、主に日本に輸出されているクロマグロの漁を妨害するために地中海に向かうということです。

 「これから地中海に行き、クロマグロ漁を妨害する。その後はまた南極海で日本の捕鯨妨害キャンペーンの準備だ」(シー・シェパード代表 ワトソン容疑者)

自覚がないどころかまだまだやる気まんまんという当事者のコメントですけれども、命令に従うだけの末端構成員だけを処罰して肝腎の司令塔を放置していたというのでは法の正義が問われるというものですから、このあたりはきちんとした対処をしていくのが当然ではないかと思いますね。
日本ではシーシェパードだ、ポール・ワトソンだと言えば限りなく悪党悪人とイコールなイメージが強いんじゃないかと思いますが、一方で海外ではこの悪人顔を頼もしい、格好良いとヨイショする風潮が強いというのは面白いなといつも思うのですが、文化的背景の差異などにとどまらず長年の宣伝活動がそうした下地を作ってきたことは言うまでもありません。
少し前の記事ですけれども、日本におけるそれとひどく乖離した欧米諸国における彼らの位置づけというものがよく判るこちらの記事から、試みに関係するあたりを引用してみましょう。

海外レポート/エッセイ第440回 「クールジャパンの悲劇と再生」(2009年12月19日JMM)より抜粋

(略)
 面白いのは、捕鯨問題の文化摩擦はこれと正反対なのです。私は依然として岡田外相よりも鳩山首相の感覚に近く、ムリに捕鯨肯定論で摩擦を拡大するのは得策でないという立場ですが、それはそれとして、日本の中に捕鯨肯定論があり、欧米からの非難がされる構図は如何ともしがたい現状としてあると思います。そうした摩擦が拡大する中で、日本の中に「そこまで言われる筋合いはない」という感情が拡大するのは、十分に理由があるのです。

 日本の中の捕鯨擁護論は「アングロサクソンに文化的に屈服していた日本人が、唯一自らに反抗を許している分野」で「鬱屈した自尊感情のガス抜き」なのだとか「下関の捕鯨条約会議の際に外務省がナショナリズムを煽ったのが発端で、それまでは鯨食はマイナーだった」とか、色々な解説があります。私もそんなことを申し上げたことがありました。ですが、こうした説明は全て間違っているのではないか、最近そう思うようになりました。

 というのは、アメリカ側の報道(代表的なものは例の「シー・シェパード」を英雄に仕立てた、アニマル・プラネット社の「鯨戦争」というドキュメンタリー)を注意深く見ての結果なのですが、例えばこの「鯨戦争」では、シー・シェパードの連中は「知的能力が高く種の存続が危ぶまれているクジラを守るのは正義」という単一の価値観(モダン)を信じてしまっているのです。

 番組が良くできているのは「かわいそうな鯨」が「邪悪な日本の攻撃に傷ついて血を流しながら捕鯨船に収容されていく」のは「戦いの敗北」であり「無垢なクジラの犠牲の物語」という演出がされているという点です。悪名高い船長さんや、女性乗組員(欧米では結構人気があるようです)がボロボロと涙を流す中でバカバカしいほど荘厳な音楽が流れ、銛(もり)を打ち込まれ血を流しているクジラが日本船に引き上げられていく、そうしたシーンを背景に連中は「二度とこんなマネはさせない」などと言って「より過激な戦いへの決意」をすると実に劇画タッチ、プロレス的な趣向です。

 シーシェパードは「バットマンカー」のような派手な船を投入したりやりたい放題ですが、その背景にはTVでの効果を狙っているのは間違いありません。かなりのビッグビジネスになっているようです。そろそろ日本のイメージを守るためには外交ルートなりで圧力をかける何かしないといけないのではないでしょうか。最低限でも最近就役させた海保の真っ白な船体に「ジャパン・コーストガード」などと連中の分かる字で書いて「TVの演出に協力する」ような行為は止めるべきだと思うのです。

 やや脱線しましたが、日本人がこうした「シー・シェパード」に対して怒るのは「何もそこまで自分たちを悪者にしなくても良いだろう」という思い、あるいは「鯨ナショナリズム」ではないのだと思います。日本人の発想は「食文化の多様性は確保されるべきだ」というポストモダンの枠組みから来ているのです。オバマ大統領がオスロでのスピーチで言っていたように、現代という時代は文化の多様性が認められる、つまり一つの文化が他の文化を屈服させることは悪であるという思想が浸透した時代なのです。

 その最先端の文化多元主義の発想(ポストモダン)から控えめな捕鯨は許してもらいたいと言っているのに、自分たちのことをまるで「前近代の野蛮」だと決めつけて、単純な近代(モダン)の立場から「前近代の暴力には暴力で立ち向かっても構わない」とばかり攻撃してくる「それはないだろう」ということなのだと思います。自分たちはポストモダンだと思っているのに、プリモダンにされてモダンの立場からバッシングされるのは理不尽ということです。

 そもそも、「シー・シェパード」とTV番組「鯨戦争」のファンがカッカして怒る「銛を打ち込まれ、血を流すクジラ」の「無垢なる犠牲者」イメージというのは、私には宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』に出てくる「銛を打ち込まれ体液を流す王虫(オウム、オリジナルは虫の三つ合わさった旧字)」に重なって見えます。そもそも絶滅危機種への保護とか、自然との共生という思想(ポストモダン)に関しては、日本の方がはるかに先行しているのにどうして「前近代」だとバッシングを受けなくてはならないのか、日本人が怒るのは当然という面があると思います。
(略)

結局ここにも背後にあるのは商業主義であって、要するにそれを放送すれば視聴率が取れる、スポンサーもつくという金の問題が背景になるわけですから、未だに日本国内に見受けられるところの文化の違い論や差別主義に結びつけた議論というのは少なくとも彼らの側からすれば「はあ、だから何?」という話であって、何ら問題の解決に寄与するものではなさそうだと言えるかと思いますね。
その意味ではひと頃の自動車輸出や牛肉・コメの自由化問題などと同様の経済摩擦問題にこそ範を求めるべきであるのかも知れませんし、同時に国内における彼らのシンパにしても「残酷だからやめよう!」なんていったパフォーマー系よりは、この問題を商業活動に結びつけてくる手合いにこそ注意を払っていく必要があるんじゃないかという気がします。
水産庁なども一生懸命捕鯨問題を正論的にアピールしていますけれども、正直そういうお固く真面目な話よりは先日韓国などで新手のクジラ料理が登場したなんて話題が出ていたように、鯨肉食がブーム化するくらいにその消費を増やす方策を考えていった方がよほど捕鯨を正当化する強力な根拠になりそうですけどね。

さて、確実な消費市場が存在するということになれば、当然ながらクジラ資源の持続的な利用というIWCの本来の目的とも合致する恒常的な商業捕鯨再開という話になってくるわけですが、最近大きな話題となったのがIWCで新たな議長案が出てきたということです。
今のところ捕鯨国、反捕鯨国ともに(控えめな表現をしても)慎重に議論の行く末を見守っているという段階で、いずれもとうてい諸手を上げて歓迎といった様子でもありませんけれども、今後の交渉の叩き台としては結構面白い爆弾投下になったのではないかと言う気がします。

IWCが捕鯨枠の大幅削減案発表 6月の年次総会に向け合意目指す(2010年4月23日産経新聞)

 【ロンドン=木村正人】国際捕鯨委員会(IWC、事務局・英ケンブリッジ)は22日、調査捕鯨の枠組みを撤廃し、南極海での日本の捕鯨枠を当初の5年間は年405~410頭、その後の5年間は205頭に縮小して容認する議長・副議長提案を発表した。日本は同案を受け入れるか慎重に検討中だが、英国やオーストラリアなど反捕鯨国から「事実上の商業捕鯨の再開だ」と反発が出そうだ。

 捕鯨国と反捕鯨国の対立で機能停止に陥っているIWCは同案をたたき台に調整を続け、6月にモロッコで開く年次総会での合意を目指す。

 同案では、南極海での日本の捕鯨枠についてミンククジラは2010~14年度が年400頭、15~19年度が年200頭(現行の調査捕鯨枠年850頭前後)、ナガスクジラが10~12年度が年10頭、13~19年が年5頭(同50頭)。ザトウクジラはゼロ(同50頭、一時延期中)となっている。

 北太平洋では日本沿岸のミンククジラの捕獲を11年度以降、現行と同じ年120頭容認。沖合のミンククジラは年40頭(同100頭)▽イワシクジラ年50頭(同100頭)▽ニタリクジラ年12頭(同50頭)▽マッコウクジラがゼロ(同10頭)にまで削減された。

 同案は商業捕鯨や調査捕鯨の枠組みを撤廃し、今後10年間で捕鯨の総量を大幅に減らす内容。南極海でのミンククジラ捕獲を6年目から半減させることに日本が合意するかどうかは微妙だ。調査捕鯨で南極海のミンククジラの捕獲実績(09年度)は約500頭にとどまっている。

 反捕鯨国の中でも米国は調査捕鯨の継続を懸念して譲歩する構えだと伝えられるが、英国のイランカデービス漁業担当閣外相は今年3月、本紙に対し「(イヌイットなど)先住民捕鯨を除き、すべての形態の捕鯨に反対する」との立場を鮮明にしており、今後の協議は難航しそうだ。

もちろん今のところ今後の議論の叩き台程度の話ですけれども、この話で一応注意しておくべきなのはクジラやマグロといった回遊生物というものは緯度帯に沿って分布していて、同じ緯度帯で広く回遊コースが取れる海域ほど潜在的に沢山の海産資源を養うキャパシティーがあるということです。
その意味では日本沿岸を含む北太平洋は経度的な幅が限られている大西洋などよりは恵まれてはいますけれども、地球一周コースが取れる南半球と比べれば潜在的な資源量では限られているわけですから、そこに大きな捕鯨国である日本が押し込められるということは、北太平洋のクジラ資源保護の観点からすると現状よりはずっと悪い状況になりかねないということですよね(ちなみにお隣韓国も捕鯨国ですから、更に悪い話になりかねませんが)。
案では捕鯨頭数を大幅削減し今以上の環境負荷をかけないようにするという話になっていますけれども、この案に従って削減をしていったのでは国内消費もまかなえないということになりますから、IWCの本筋に従って考えれば南極海捕鯨を続けていくことこそクジラ資源保護の本旨にかなうということをはっきりさせてもらわないとならないでしょう。

このあたりはもともと南極の海は俺の海だという主張を展開して日本の捕鯨船団を追い出したがっているオーストラリアあたりにすればウェルカムでしょうが、反捕鯨活動はクジラ資源の保護が目的であると主張する反捕鯨団体こそ一番大きな声で反対していてもおかしくない話だと思うんですけれどもね(苦笑)。
現行案では日本にとって実利に乏しいだけにこのまま丸呑みということはないと思いますが、今後の交渉過程においてどのあたりを優先して要求していくかを見れば日本が何を目指しているのかも見えてくると思いますし、国としての戦略も問われてくるということでしょう。

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