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2010年5月25日 (火)

一見選挙のキャスティングボートを握ったかにも見える日医、しかし実は追い込まれているのは…

先日は日医連がとうとう民主党支持を公式表明という話題を紹介しましたけれども、この件に関して異論が錯綜する中で最終的に一任を取り付け話を決めたと言われるのが原中勝征日医会長その人です。
しかしマスコミなどの話を聞いていますと日医が何をどう支持するかで日本の政局が左右されるかのようにも思えてきますけれども(苦笑)、今のところ日医側としても選挙協力によって与党に恩を売るくらいのつもりでいる様子で、もはや誰からも相手にされない以上与党の言いなりにでもならなければ二度と日の目を見ないかも、なんて後ろ向きな考え方はしていない様子ですよね(笑)。
ちょうど先日のCBニュースに原中氏のインタビュー記事が載っていましたので、少し長いのですが引用させていただきますが、なかなかに意気軒昂でこれはこれでいいんじゃないかと思います。

民主中心の政権のうちに理想の医療を実現【第106回】原中勝征さん(日本医師会会長)(2010年05月22日CBニュース)

 4月1日に投開票が行われた政権交代後初の日本医師会会長選挙。最大の争点となったのは、政権との距離感だった。結果、民主党との太いパイプを強調した茨城県医師会長(当時)の原中勝征氏が当選。従来型の「キャビネット選挙」が行われなかったため、ほかの会長候補を支えたメンバーが混在する新執行部がスタートした。新生日医は、政権との距離感をどう保っていくのか―。夏の参院選に向けた対応なども含めて原中会長に話を聞いた。(木下奈緒美)

■診療報酬「次も当然引き上げ」

―今年度の診療報酬改定の評価をお聞かせください。

10年ぶりに総額が上がったことは評価できます。また、やっと最近、民主党が医療と介護を「消費」ではなく「投資」だととらえ始めたことは、大変よかったと思います。
 ただ、たった0.19%の増加と薬価引き下げ、後発医薬品の使用拡大によって浮いたお金のほとんどが大病院のために使われてしまったのは、医療全体を見ていなかったからだと思います。現在の地域医療の崩壊は、決して大病院の崩壊ではなく、中小病院の崩壊です。中小病院のほとんどを占める民間病院の努力に対する評価は全くなく、人件費も抑制されている。そのせいで、民間病院の従事者が結婚もできない、子どもも産めないという環境では、やがて日本は滅びてしまいます。
 再診料の病診統一は、大きな誤りだと思います。診療所の収入は診療費だけだから高くなければいけない、病院は入院費や大きな手術などがあり、それらを重視すればいいということで、病診に差がついていました。そういった歴史を全く分かっていません。

―次の報酬改定に向けてはどのように取り組んでいきますか。

 今まで日医には民主党とのパイプがありませんでしたが、鳩山由紀夫首相も小沢一郎幹事長も「現場の声を教えてほしい」と言っています。今後、民主党とよく話をして、医療費の配分をどうするのか、きちんと話し合って決めることが大切だと思います。もちろん、トータルの医療費は当然上げてもらわないといけません。
 政治家はこれまで、官僚がつくったデータを基に議論をしていたと思いますが、その中で「診療所の医師が楽をしてもうけている」といった誤った調査結果が故意に出されてきました。次回改定時にはこうしたことがないよう、わたしたちと国民が納得できるデータをきちんと提示し、医療費増の実現や、必要があれば医療法や介護保険法の改正も主張していきます。

― 医療費財源の確保はどうしていくべきでしょうか。

 わたしは増税しないのは間違いだと思っています。国民感情があるので難しいですが、消費税を増やすなら増加分が医療に回るよう議論した上で手当てしてほしい。そうすれば、国民のためにきちんと使われるのではないでしょうか。国債を発行して後世につけを回すよりも、今高い税金を払って将来の負担を減らした方がいいと思います。
 このままでは、2055年には現役世代1.3人で1人の65歳以上の人を支えなければいけません。国の借金が増加する一方、人口が減少し、しかも生活保護の人が多くなってきている高齢者1人を1.3人でカバーすることなど、この国にできるはずがありません。今のうちから対応を変えていく必要があります。
 また、高額所得者の保険料や税金に関する上限をなくし、所得に応じた支払いをお願いするのも一つです。高額納税者に対して国民が感謝の気持ちを示すような社会にすれば、納めがいもあります。景気がよくなって税収が多くなることも期待しています。

■理想実現には「政権政党とのつながり」が不可欠

―日本医師連盟が決定した参院選への対応では、民主党公認の安藤高朗氏を推薦、自民党の西島英利参院議員と、みんなの党から出馬する清水鴻一郎前衆院議員を支援することになりました。やはり民主党との関係を重視したということでしょうか。

 国民にとってよい医療制度を目指さなければならないという思いは、どの政党も同じです。しかし、わたしたちの理想を実現したり、恒久的な制度をつくったりするには、政権政党とのつながりがなければできません。自民党が政権を取っていれば、自民党が推す人を選ばざるを得なかったと思います。ただ、はっきり言えば、自民党が与党だった時代にいくら応援しても、一つも制度がよくならなかったことも確かです。だから、わたしではなく、前会長の唐澤祥人先生が今、会長だったとしても、安藤先生を推薦しないことはなかったでしょう。政権政党を優先するのは仕方がないことであり、そこにパイプがあれば、日医の医療政策を実現しやすくなります。

―もう一度政権交代があり、仮に自民党が政権政党に返り咲いた際には、どのような対応をされますか。

 その時はまた考えないといけないと思いますが、民主党を中心とする政党が政権を取っている間に、本来あるべき医療制度をきちんとつくっていこうと思っています。そうすれば、政権政党が代わっても、揺るぎのない医療制度が確立されるでしょう。

―先の日医会長選では、3候補に票が割れました。分裂した印象がありましたが、日医連の方針決定の際にその影響は出ましたか。

 現執行部は全く一つになっています。それが、日医連で参院選に向けた方針を決定する際、委員長のわたしに一任していただく流れをつくったのではないかと思います。
 役員には年長者が多く、自民党との付き合いを「変えろ」と言っても変えられない人がいるのは当然です。しかし、それでもなお、「変えなければいけない」と皆に対して言うのが、会長の責任でもあります。
 わたしとしては、われわれの仲間である安藤、西島、清水の3氏の中から1人だけを決めて、2人を外すことはしてはいけないと思いました。医師の団体にとっては、当選することよりも、選挙運動の過程で考え方の異なる人を交えて議論することの方が大切だという気がしました。それで1人に絞らず、3人に順番を付ける結果になりました。参院選までの期間は短いですが、われわれの仲間が当選するための応援はできる限り急いでやろうと思っています。

■会長選の見直し、月内にも議論開始

―原中会長がおっしゃる「強い日医」を実現するために、どのような改革を進めていくのでしょうか。

 まず、会員一人ひとりが日医会員としての意識が持てる医師会にしないといけません。そのための取り組みの一つとして、日医会長選の直接選挙について検討するプロジェクトチームのメンバーが決定したので、5月末から6月初めには議論を開始します。メンバーには、勤務医、病院長、開業医、弁護士などいろいろな人を入れました。立場が違う先生方に、会長選挙がどうあるべきか、直接選挙で当選者を決めるのか、あるいは代議員制がある限りは代議員の票と合わせて当選者を決めるのかなどを検討してもらいます。会長選にとにかく全会員が参加することは確かです。間に合えば、次の会長選から直接選挙にしたいと思います。

―日医の今後の政治的スタンスについてお聞かせください。

 政権政党とのパイプを強くしていきます。もちろん、医師会の意見はあくまでも国民が望むことでなければならず、「国民医療を守る医師会」ということを全会員が確認する必要があります。国民のために発言すると同時に、日本の医療保険制度が世界的に高い評価を得ているにもかかわらず、国民の満足度が低いことを考えると、国民に対しても発言しないといけません。世界中でタクシーの初乗り料金よりも医療費が安い国はどこにもない。それで病院がつぶれない方がおかしいのです。国民も医療崩壊について責任を持って考えるよう提案していこうと思います。
 国民と共に医療を考えていくためには、例えば大集会を開いたり、アンケートを実施したりするなど、いろいろな方法があります。自殺者も増えているので、「生命倫理」という観点から命の大切さを教育することも必要です。それらを踏まえて医療政策を提案していくためにも、われわれの判断資料を作成する日医総研をもっと活性化しようと思っています。

しかし会長が変わっても日医は相変わらずと言いますか、こうして原中氏の話を聞いていると何も知らない多くの国民は「やっぱり日医って開業医の利権団体だったんだね」と思いを新たにしそうで、「医師会の意見はあくまでも国民が望むことでなければ」なんて同氏の思いとはかけ離れたものとなっていきそうにも思えるのはどうしたものでしょうね。
原中氏の場合は反自民的立場なのはコメントからも明確ですが、一方で民主党とのパイプと言うよりは小沢氏個人へのパイプではないかとはしばしば噂されるところで、実際話を聞いていても出てくる名前と言えば小沢氏だの鳩山総理だのといった医療行政と縁遠い方々ばかり、実際に医療行政に関わっている民主党系議員の方々の名前は聞いたと言う記憶がありません。
また原中氏は会長選の時から直接選挙制導入ということを言っていますけれども、果たして直接選挙になった場合に同氏の考え方が多数派を占めるものなのかどうかは微妙なところだと思う一方、さりとて他にどんな有力候補がと名前が出てこないのも事実であって、これは日医という組織もなかなか難しい局面にはあるのかなという気がします。

いずれにしても参院選では日医としては民主党支持、しかし各地区の医師会が他候補を推すことは妨げないということで方針は決したということですが、実際各地で選挙に向けての推薦の動きが活発になってきているようです。
見ていますとあっさりと民主党支持への鞍替えを表明する医師会もあればやはり今回も自民党支持というところもある、はたまた自主投票してくださいというところもあって珍しく賑やかになっていますけれども、実際問題医師会が会員の投票活動に及ぼす影響力を考えた場合にどれほどの意味があるのかとも思う一方、それぞれの理由付けを聞いているとなかなか背後事情が伺われて面白いなとも思いますね。

自民やめ民主候補を推薦 参院選で栃木県医師連盟/栃木(2010年5月8日産経新聞)

 栃木県医師会の政治団体である県医師連盟は8日、夏の参院選の比例代表で、自民党現職西島英利氏(62)に昨年1月に出した推薦の白紙撤回と、民主党新人安藤高夫氏(51)の推薦を決めた

 先月の日本医師会の会長選挙で、親民主党の立場から西島氏推薦を白紙に戻すとした原中勝征氏を応援したためと説明している。

 また栃木選挙区(改選数1)では民主党現職の簗瀬進氏(60)と、自民党新人の県議上野通子氏(52)の推薦を決定。改選数が1なのに2人を推薦したことについて、同連盟は「各支部の事情も踏まえた」などとしている。

県医師連、選挙区・比例で自民候補推薦 参院選で日医連と“ねじれ”/静岡(2010年5月21日中日新聞)

 静岡県医師会の政治団体「静岡県医師連盟」は20日、静岡市内で執行委員会を開き、夏の参院選静岡選挙区で自民党新人の岩井茂樹氏、比例代表で自民党現職の西島英利氏を推薦することを決めた。上部組織の日本医師会(日医)の政治団体「日本医師連盟」(日医連)は、比例代表でこれまでの西島氏への推薦を撤回し、民主党から立候補予定の新人安藤高夫氏の推薦を決めており、対応が分かれることとなった。

 会議終了後、鈴木勝彦委員長が取材に応じた。西島氏の推薦について「6年間しっかり働き、日本の医療のために信頼できる人材。自民党ではなく“西島党”」と、人物本位で推薦したことを強調。岩井氏の推薦は「比例で自民候補を推薦している以上、混乱のないようにした」と説明した。会議では異論は出なかったという。

 日医連との“ねじれ”が生じた形だが、鈴木委員長は「日医連は、各都道府県の組織が西島氏を推薦することを妨げず、『推した以上、一生懸命やってほしい』と言っている。ねじれではない」と語った。民主党候補を推薦しない理由を「今の政権はあやふや。民主党の医療政策はまったくなってない」と説明した。

 西島氏は医師で日医の組織内候補として2004年の参院選で初当選。日医連は昨年1月、西島氏の推薦を機関決定していたが、今年4月の日医会長選で親民主の原中勝征氏が勝利。今月11日に開かれた日医連の執行委員会で安藤氏の推薦を決め、西島氏の推薦を撤回し、支援とした。

参院選 県医師連、初の自主投票へ/福井(2010年05月11日朝日新聞)

 県医師会の政治団体「県医師連盟」は9日、執行委員総会を開き、今夏の参院選福井選挙区(改選数1)は、特定の候補を推薦せず自主投票とすることを決めた。同連盟はこれまで自民を支持し、同公認候補を推薦することが多かったが、自主投票は今回が初めて。県内各地域の医師連盟については自主判断に委ねるという。

 県医師連盟によると、自民現職の山崎正昭氏(67)と民主新顔の井ノ部航太氏(35)の双方から推薦依頼が出ていた。政権交代後、自民支持を見直す方向で議論が進んできたが、政局が不安定な情勢を受け、総会では「政治的中立を保つ」という慎重な意見に落ち着いたという。

 同連盟は日本医師連盟(日医連)に自主投票の方針を報告した。全国から意見集約後、日医連は11日に方針を決定する。同連盟はそれに合わせて最終的に対応を決める。

 比例代表では、立候補予定の医師3氏(民主、自民、みんなの党)全員の推薦を確認した。

しかし定数一の栃木選挙区で民主と自民の両候補を共に推薦なんて無茶だとも思うのですが、なにやら昔の戦国時代の「一族が敵味方にそれぞれ別れて必ず誰かが生き残る」なんて話を思い出しますね。
いずれにしてもこの医療政策に関する問題では、自民党にしろ民主党にしろどちらが一方的に優れているというわけでもないと明らかになってきた、あるいは期待値が大きかった分民主党への失望感が過剰に広がっている感もありますから、政権与党というネームバリューも込みでどちらを選ぶかは確かになかなか難しい判断だと思いますね。
逆に言えば政党側からすれば大胆な医療政策の提示によって医療票を期待できる好機とも言えるわけですが、さっそく両政党から公約大盤振る舞いとも言えるような状態になっているようです。

診療・介護報酬の「大幅引き上げ」盛り込む―自民・公約原案(2010年5月14日CBニュース)

 自民党は5月14日、参院選マニフェストの原案を発表した。診療報酬と介護報酬を大幅に引き上げ、社会保障の財源に消費税の全額を充てるなどの内容。同党は今月末までパブリックコメントを募集し、6月前半の取りまとめを目指す。

 医療分野では、調剤報酬を含む診療報酬全体を大幅に引き上げ、医療供給体制の再生を図るとしている。

 党本部で同日記者会見した石破茂政務調査会長は、「費やした労力にふさわしい診療報酬体系に変えなければならない」などと語った。

 原案では、1000人体制の「県境なき医師団」を国が創設し、医師不足地域に派遣する仕組みを提案。また、チーム医療を推進医師の負担軽減や地域医療の再生につなげる方向も掲げた。看護師不足への対策としては、労働環境や処遇の改善を図る。
 医療関連の施策にはこのほか、▽65歳以上が対象の「高齢者医療制度」の創設▽高額療養費の限度額引き下げ▽患者を確実に受け入れられる救急医療体制の構築ドクターヘリの全国配備―などを盛り込んだ。

 一方、介護関連では、質の高い介護体制を実現するため、次の報酬改定での大幅引き上げを明記。介護従事者の処遇のさらなる改善も盛り込んだ。施設関連では、▽介護型療養施設の在り方や参酌標準の見直し▽特別養護老人ホームなど20万床の整備―などを掲げた。
 このほか、介護保険の公費負担の割合(現在は50%)を増やし、介護保険料の上昇の抑制を図る方向も示した。

診療報酬引き上げ、民主が公約に明記へ(2010年5月24日読売新聞)

 民主党の夏の参院選公約に、診療報酬の2012年度改定での引き上げが明記される方向となった。

 党マニフェスト企画委員会(委員長=仙谷国家戦略相、高嶋良充筆頭副幹事長)が決めたもので、医師不足や医療過疎の解消には一層の医師らへの支援が必要だと判断した。25日にまとめる公約案に盛り込み、最終的な公約を決定する「政権公約会議」(議長・鳩山首相)に提出する。

 2年に1回改定される診療報酬は、前政権まで社会保障費の抑制方針のもと、「マイナス改定」が続いた。鳩山政権は、これが「医療崩壊の危機」につながったとみて、10年度予算では0・19%増と、10年ぶりにプラス改定とした経緯がある。ただ、プラス改定には巨額の財源が必要で、参院選公約には引き上げ幅などを示さず、予算編成時の財政状況を見て決めるとする。

 医療政策ではほかに、医療産業を雇用創出のための成長分野と位置づけ、「メディカル・イノベーション(医療技術の革新)」への支援や地域における医師数確保の方針も盛り込む。
(略)

どちらもずいぶんと気前のよい話にも聞こえる一方で、こういうものは表向きの話としては聞こえがいいことを言うのは常ですから、口に出して言わない言葉の裏側を読まなければならないと思いますが、そう考えて見てみますと何となく両党の目指す方向性の違いというものが見えてくる気もしますよね。
例えば自民党案では「チーム医療の推進」「医師、看護師の労働環境改善」「確実に受け入れる救急医療体制の構築」といった華々しい話が並びますけれども、こうした話を総合してみますと見えてくるのは医療資源の集約化というキーワードに結びついてくるんじゃないかと言う気がしてきます。
そう考えてみますと「県境なき医師団」だとか「ドクターヘリの全国配備」といった話も、裏を返せばいわゆる医療僻地には常勤的なスタッフとしての医療資源を割くつもりはなく、非常勤医師の公的な確保であるとか搬送体制の整備といったもので対応して行くという、厚労省が以前から進めるところの医療資源の集約化論と密接につながる話なんだなと言うことが見えてきます。

一方で民主党案を見てみますと一見して医療の成長産業化などと規模拡大路線を突っ走っているかにも見えますが、医療費増を唱えて票を獲得しながら実質ゼロ改定だった今回の改訂と同様、参院選公約でも注意深くプラス改定の数字目標を明らかにしなかったことに注目していくべきでしょう。
「予算編成時の財政状況を見て」などと言いますが、日本経済の先行きを考えても向こう数年どころか下手すると数十年レベルで財政が豊かになるなんてことはあり得ない話ですから、どう言葉を偽ってみても国庫支出を増やすつもりはないということが明らかですよね。
国の金はこれ以上出さない、一方で医療自体の規模はどんどん大きくするということであれば、無保険者である外国人患者を巨大な規模にまで呼び込むなどというあり得ない話ででもなければ、これはどうしたって混合診療導入を大規模に推し進めていきますといった方向につながってくるということになってきそうです。

面白いのは民主党の言うところの混合診療導入はもちろんですが、自民党による医療の集約化(要するに、中小医療機関潰し)にしても要するに支持基盤の否定ですから、かねて日医が強硬な反対論を貫いてきたのは彼らにしても当然のことであったと思います。
一方で「混合診療になぜ反対?」とかねて声をあげている亀田病院の亀田隆明理事長あたりと民主党との距離がどんどん縮まっているわけですが、民主党の人々にとっても亀田理事長の描くような規制緩和による成長論は耳に快く響くもののようで、そうなりますとこの道も日医の代弁している(つもりの)小さな町医者の先生方にとってはあまりありがたくない話なんだろうなとは想像出来るところですよね。
要するに今度の選挙、どちらに転んでも積年の日医の立場からすると好ましくない将来像が待っていそうなんですが、逆に日医の会員の中でも今や少なからぬ数が存在しているはずの勤務医会員にとってみれば、何が悪いの?いい話じゃないと考えている人もいておかしくない話でもあるわけで、これこそが日医の抱える本当のねじれ現象だと思いますね。

長年日医の掲げてきた公の立場と言うものが、その会員の生の声の集約されたものでは決してなかった(意外に地方医師会の役員をされているような開業の先生ほど日医に対する不満も大きいものです)と言うことが医者の日医離れを招いた一因でもあるわけですが、逆に考えればこれは改めて日医とは何か、どのような人々の代弁者たるべきかと基本的なところに考えを及ぼす好機でもあるはずですよね。
せっかく会長選で激しく票が割れて内部が全く一枚板に程遠いということが世間の目にも明らかになり、もちろん単に医者であるというだけの共通項でくくれるほど医者の世界が一枚板でないことも明白なんですから、単に会長選は直接選挙にしますなんてレベルの話ではなく、本格的な日医改革の議論に結びついてもいい時期ではあると思います。
しかし会長自ら「10年ぶりに総額が上がったことは評価できる」なんて目先の金勘定以外に何のビジョンもないのかとも思えるようなコメントをまず出してくるあたり、もしかして日医の、いや日本の医療の将来像なんてあまり深く考えてもいないんじゃないか?という疑問も湧いてくるのですが、どうなんでしょうね?

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コメント

キャスティングボー「ト」です。英語の「Casting vote」から来ています。

投稿: おじゃまします | 2010年7月11日 (日) 22時34分

おおっ!これは恥ずかしいタイトル間違いっ!
さっそく直させていただきました。

投稿: 管理人nobu | 2010年7月12日 (月) 07時44分

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