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2010年5月

2010年5月31日 (月)

失礼ながら思わず失笑してしまいました

以前にちょっとした話題になったことがありますが、こういう企画を覚えていらっしゃる方も多いのではないかと思います。

高齢化する豪雪地帯、奥会津は除雪ボランティアを募集(2006年12月18日読売新聞)

 本格的な降雪シーズンを前に、東北や北信越などの豪雪地帯で、昨冬の「平成18年豪雪」を教訓に、新たな除雪対策に知恵を絞っている。

高齢化率が50%超の村もある福島県・奥会津地方では首都圏の若者らをターゲットに雪かきボランティアを募集。青森市は、優秀な除雪業者に契約額の5%相当の報奨金を支払う。

 このほか、除雪車に全地球測位システム(GPS)を搭載し、除雪作業の進行状況を瞬時に把握する(秋田市)など、情報技術を駆使して過酷な雪を乗り切る作戦も考案されている。

 昨シーズンの最大積雪が約170センチに達した福島県・奥会津地方の金山町と、近隣の柳津町、三島町、昭和村と県は近く、雪かきを手伝う「奥会津雪かたし交流ボランティア」の募集を始める。

 4町村の高齢化率(11月1日現在)は37・3%(柳津町)~54・1%(昭和村)。金山町は、住宅の周りの消雪装置の設置工事費を補助したり、除雪機材を地区ごとに貸し出したりしてきたが、昨シーズンはそれでも間に合わず、県がNPO法人や自衛隊に除雪を依頼した。

 雪かたし交流ボランティアの参加者は県会津振興局に登録。交通費や宿泊費などは自己負担だが、町村は、温泉や雪祭りに招待し、「感謝の気持ち」を表すことを検討している。県会津振興局は「スキーなどと組み合わせて楽しみ、住民との交流も広げて」と話す。

 気象庁が先月発表した3か月予報では、日本海側各地とも降雪量が「少ない」可能性は40%、「平年並み」が40%、「多い」が20%。昨冬も同時期の予報では今冬とほぼ同じ数字だった。

何が話題になったかといってこの福島県で募集された雪かきボランティア、募集しているNPOのホームページを見ると二泊三日のコース設定で参加費が郡山駅からの往復交通費、宿泊費、食費込みで26000円+ボランティア保険加入料が必要で、その結果何が得られるかと言えば「感謝の気持ち」を表わしていただけるんだそうです。
ネット上では「ただ働きどころか金まで取るw」だとか「雪かきさせた上に地元に金まで落としてくれるなんてウハウハ杉だろjk」だのと色々言われていましたけれども、幸いなことに?このボランティアツアーは好評らしく現在にいたるまで続いているということですから、会津の方々にとっては良いことだったということなのでしょうね。
それでもボランティアというのはあくまで自発的意思で参加する好意の現れというものですから、傍目にどんなトンデモに見えても当事者が納得しているということであれば何も問題はないわけですが、これが業務の一環として強制参加と言うことになりますと話がややこしくなってきます。

研修医の農作業「待った」=厚労省「医療に該当せず」-大分大、中止へ(2010年5月29日時事ドットコム)

 大分県九重町の町立飯田高原診療所が大分大学付属病院から受け入れた研修医に行っていた農家や旅館での研修について、厚生労働省が「内容が研修目標に当てはまらない」として、中止を指示したことが29日、分かった。これを受け、大分大は研修を取りやめるとともに、既に研修した2人には別の医療機関で再研修させる方針を決めた。
 飯田高原診療所は今年度、大分大付属病院の研修医4人を受け入れる予定だった。4月にはこのうち1人が1週間、九重町の農家で搾乳や苗代づくり、ラベンダーの植え替え作業などを体験。もう1人も5月に2週間程度、温泉旅館に泊まり込んで接客や配膳(はいぜん)、風呂掃除をしたり、自然保護施設での活動を経験したりした。
 野瀬善明所長は「医師が患者の心情を理解できないと信頼関係は生まれない。地域の人と触れ合うことで、人間性を磨く機会になる」と研修の狙いを説明する。
 これに対し、厚労省医事課は同省局長通知「臨床研修の到達目標」で規定した「地域医療」に該当しないと判断。28日に九州厚生局を通じて大学側に中止を求めた。

まあ、短期の僻地研修にやってきたど素人の研修医に田んぼや牛の世話をさせたところでさして労力の助けになるとも思えませんから、これは純粋に学習というつもりでやったことなんだろうとは思いますけれども、上記の「雪下ろしさせてやるぞツアー」と併せて、何かしら僻地というと体験学習だの住民との交流だのという発想しかないのかと、思わず突っ込みたくなる話ではあります。
「でもそれって医療行為じゃないよね?」という厚労省の冷静なツッコミがなかなかナイスだと思いますけれども、往年であれば馬車馬のように使い潰されていただろう研修医という身分でこうものんびりした生活を送ることが出来る田舎時間というものを実感する一方で、率直にいって高原診療所での暮らしはよほど仕事もなくて暇なのか?とも言いたくなりますよね。
同期の人達が日々多忙な中で研鑽に勤しんでいる中、こんな僻地で研修の実を上げることもなく無為に時間を潰すことを強いられた挙句、「それは研修として認められない」と再研修を命じられた研修医達こそ随分と悲惨な境遇だったとも言えそうですが、一方でこの所長のコメントはなかなか興味深い示唆を含んでいるようにも思えますね。

「医師が患者の心情を理解できないと信頼関係は生まれない」とは一面の真理なのかも知れませんが、要するに所長としては地域住民はこんな生活をしている、その日々生活の中で何をどう考えているのかを知るべきだと言う考え方ではあるのでしょう。
もちろんこうした知識というのはそれなりに役に立つ局面があるのは同意ですが、地域の人と触れ合い人間性を磨くなんてことは仮にも専門職たる研修医となってから行うべきことでもなくて、学生時代の通過儀礼としてでも済ませておくべき話だと思いますね(色々な職種のアルバイトなどを経験している人間ほど結構潰しが効くものです)。
所長の考え方は田舎に限らずどこの職場に行っても通用する話で、それなら街の病院の研修医達も地域のあらゆる職種を経験し患者の心情を理解することに努めなければならないという話になりますし(そうなると歓楽街の病院などは色々と、その…)、逆に地域医療研修としてわざわざ僻地に出向いてまで学ぶべきものだという根拠も乏しいという気がします。

そして素朴な疑問ですけれども、僻地研修の一環とは言えせっかくやってきた研修医が毎日こんなことをやっていると言う状況を目の当たりにして、地域住民がどう考えるだろうかということですよね(僻地公立病院勤務医ともなれば、その一挙手一同に到るまで地域住民に注目されていると考えておかなければなりませんからね)。
「なんだあの新しい医者は!ろくに仕事もせずに何やってるんだ!」なんて面と向かって言う人間もいないでしょうけれども、町立施設に研修医を受け入れるという話を聞いてOKを出した側もまさかこんなことをやりにやってくるなどとは思わなかったでしょうし、話が違うじゃないかと釈然としないものを感じた人も大いにいそうに思います(案外、そういうところからこうして指導を受けることになったのかも知れませんが)。
そして何より、都市部の多忙な基幹病院では研修医の一人と言っても遊ばせておくような余裕はないという施設が多いと思いますが、こんなところで仕事もなく囲いこんでいるくらいなら一人でもこっちに回せと、こんな事情を知るほどに恨み節の一つも言いたくなりそうなものでしょうね。

色々な意味で突っ込みどころ満載の話で、おそらく野瀬善明所長としてはそれなりにポリシーもあってやっていることなのでしょうが、正直医療現場の実情というものに関してもう少し理解と考えの及ばないところがあったのではないかなとも思うところで、妙なところで全国に名が知られてしまった九重町の住民こそ一番の迷惑だったのかも知れませんね。

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2010年5月30日 (日)

今日のぐり:「こだわり麺や 丸亀田村店」

先日ちょっとした話題になって一般紙などでも紹介されたので、こちらの記事をご存知の方も多いんじゃないかと思います。

「70年間飲食していない」と主張する男性、現る(2010年4月30日ロケットニュース24)

インドに70年もの間、何も食わず何も飲まないで生きていると主張する男性が現れ、医学関係者に衝撃を与えている。82歳の男性は現在、アーマダバード市内の病院に招かれ、防衛研究開発機構の研究員によって男性の身体状況について研究が進められている。

このニュースは28日(現地時間)『Telegragh.co.uk』などが報じた。プララド・ジャニさん(82歳)はアーマダバードの北120kmのアンバジで洞窟に住み、隠遁(いんとん)生活を送っているという。ジャニさんは70年間、飲まず食わずで今まで生きて来た。彼によると、8歳の時に女神様に祝福を受け、特殊な能力を授かったそうだ。彼は口の中から飲食せずに生きていける『万能薬』が出ていると語る。

【プララド・ジャニさん(82歳)の動画を見る】

研究開始から6日を過ぎたが、その間ジャニさんは何も口にしていない。しかし、飢えに苦しむこともなく、脱水症状も起こしていない。研究者らはこの特殊な能力が科学的に解明されれば、戦場の兵士や災害被害者が危機の時に、生き延びる方法を発見出来るかも知れないと期待している。また、関係者は「彼の主張が正しいのなら、医学は飛躍的に進歩するだろう」とも述べた。

しかし、この研究にオーストラリアの栄養学者ジョアンナ・プライス博士は「危険で無意味なこと」だと忠告している。「ジャニ氏が精神的に強い側面を持ち、生きる本能をコントロールしているのかも知れない。しかし、精神が水や食べ物の代わりを果たす訳ではない。この考えは滑稽(こっけい)だ」と研究は役にも立たないと語った。

実はジャニさん、過去にも同じような研究を受けている。2003年にアーマダバードの医師らが研究団を結成し、24時間体制で10日間にわたって精密検査を行った。その時の研究団の代表も「彼の存在は、もしかしたら人体の理解と医学の新しい次元へのきっかけになる可能性がある」と今回の研究とほぼ同じ期待を寄せていた。だが、これといって研究の成果はなかった。

ちなみに余談だが、03年当時、ジャニさんは「65年間飲まず食わずの男」と言われたり、「68年間飲まず食わずの男」と言われたりしていたという。従って、今回の「70年間」と報じているのも、若干疑わしい。

果たして研究成果はどのような形で、今後の医療に生かされるのだろうか。ひょっとしたら飲食せずに生きて行ける『万能薬』が開発されるかも知れない?

小児期にこういう状態になったと言うことですから事実とすれば質量保存則もひっくり返す快挙?ということになりますけれども、続報などを見てみますと何やら検証自体が怪しげなところもあるようですから、よくあるビックリさんの一種と考えておいてよさそうなんですかね?
本日はこのジャニさんにちなんでこれぞ記録級!という食べ物の話題を取り上げてみようかと思いますけれども、まずは文字通り世界新記録を樹立してしまったというこちらの記事です。

巨大豆料理でイスラエル破る レバノンで世界記録、10トンの「ホムス」(2010年5月10日産経新聞)

 AP通信などによると、中東レバノンで8日、約300人の料理人がヒヨコ豆などをペースト状にした料理「ホムス」約10トンを作った。今年1月に隣国イスラエルのアラブ人の村で作られた約4トンを上回り、ギネスの世界記録になるという。

 パンなどにつけて食べるホムスは中近東で一般的な料理。レバノンでは「イスラエルがアラブの伝統料理を盗み、自国料理として世界に広めようとしている」との批判が出ている。

 レバノンでは、アラブ諸国のほかイスラエルでも愛されている豆のコロッケ「ファラフェル」でも世界記録を狙った計画があるという。(共同)

このホムス(フムス)なるもの、要するに豆のペーストと言ったもののようですから原料次第で幾らでも量は作れるのでしょうが、一人100gを食べるとしても10万人分になる計算でどのように消費されるのかも興味深いところですよね。
こういう量的な記録破りでなく質的に頂点を極めるとどうなるのかということは食に興味のある人間なら誰しも抱く疑問ですが、ちょうど先ごろ米誌でこんな記事が掲載されているようです。

絶対に食べてみるべき世界の料理 米経済誌フォーブス(2010年5月20日大紀元)

異国へ旅するなら、ぜひその国の人が食べているものに挑戦してみたい。美味しい料理に言葉の隔たりはないし、文化の違いを超えてその国の人々と繋がりが持てる。ローカルな場所へ行くのなら、地元の人々が並ぶようなお店に入ってみよう。たとえ「鉄の胃ぶくろ」が求められるような料理にあたっても、全く新しい味覚をお土産に持って帰れるだろう。

 米経済誌「フォーブス」は11日、日本を含めた9カ国の「絶対に食べてみるべき料理」を発表した。海外へ旅する人たちへ向けて、隠された地方の料理や伝統の国の味を紹介している。今回フォーブスがとりあげた9カ国は、アルゼンチン、ブラジル、インド、中国、日本、イタリア、レバノン、ロシア、スペインだ。

 アルゼンチンをはじめ南米では、牛肉を使った料理や「エンパナダス(Empanadas)」という揚げパンが有名。またアルゼンチンは「世界一美味しいアイスクリームが食べられる国」と、旅行に詳しい専門家のLeah Reilleyさんは言う。特にマルベック種ブドウとドゥルセ・デ・レチェ(キャラメル)味がオススメだという。

 ブラジルからは、300年の歴史を持つ伝統のシーフード料理「ムクェッカ・ペイシェ(Moqueca de peixe)」が選ばれた。インドではタンドリーチキンを使った料理の定番として「シシケバブ(Seekh Kebabs)」、沿岸地域料理としてマサラをたっぷり使ったシーフード料理がリストにあがった。

 中国からは、モンゴルのラム火鍋(フォーグォーと非常に辛い四川省の麻辣鍋(マーラーグォー)と、上海のスープ入り蒸し点心の「小籠包(シャウ・ロン・バオ)」、蒸し焼き肉まんの「生煎包(シェン・ジェン・バオ)」が選ばれた。

 イタリアでは、ランプレドットという牛の胃袋にトマト・パセリ・セロリなどを塩コショウで煮込んだものを挟んだパニーニが上げられた。これはフィレンツェでよく食べられている。またイタリア政府お墨付きのナポリのピザも名前にあがった。

 レバノンでは、前菜または軽食の一種である「メゼ」、ロシア料理は、香辛料を多用した味の濃いスープ「ソリャンカ」、スペインではチーズの「マンチェゴ」とフライドポテトの「パタタス・ブラヴァス」など。どれも各国へ旅行するなら見逃したくない料理だ。

 日本からは「寿司」と「お好み焼き」である。フォーブスのインタビューに対して「和の鉄人」の森本正治氏は、個人的な好みで「広島風お好み焼き」、「アナゴめし」、「うな重」、北海道の「とんこつラーメン」をすすめた。

確かにどれも食べてみればうまいんでしょうが、この日本からの寿司とお好み焼きというのは誰の選定になるものなんでしょうか、今となってはいささか俗っぽい気もするんですがどうなんでしょうねえ?(しかし森本氏、広島出身だけに郷土愛に満ちあふれた選定が素敵です…)。
世界を跳び回ってこういうものばかり食べていますと自然とカロリー過剰が心配になってきますが、行き帰りの飛行機でこういうものを利用しておけば相殺されてちょうどいいんじゃないかという話題がこちらです。

腹ぺこな時に見てもわりと平気な史上最悪の機内食ワースト5(2010年05月12日GigaZiNE)

機内食の写真を収集しているサイトに送られてきた数多くの写真の中から、フライトの高揚感を見事に打ち崩す、がっかりな機内食ワースト5が紹介されていました。

ぎりぎり給食レベルと思えるものから、もはや食べ物かどうかも怪しい謎の物体Xまで、空腹時に見てもあまり苦しくない奇跡のラインナップとなっています。

詳細は以下から。
Doug Lansky: The 5 Worst Airline Meals Of All Time (PHOTOS)

1:エストニアン・エアの機内食

左上の具入りご飯は冷たく、その下のメインディッシュとおぼしきニシンはぬるっとしていたそうです。パンは温かかったので喜んだのもつかの間、レンジでチンし過ぎていたため数分後にはかっちかちに。全体的に量が少ないのにポテトサラダ(らしきもの)のボリュームだけが目立つので、これを出された人は「これだけ再利用してるんじゃないか」と疑いを抱いたとか、いないとか。

2:エア・ボツワナの機内食

何らかの肉と野菜のようなものがざっくりと盛られた皿。そして蛍光グリーンのソーダと献立の組み合わせはかなりフリーダム。個人的には右上の四角いものが何なのか気になります。

3:アエロフロートの機内食

メインディッシュのサーモンが、見るも無残なパサパサ加減に。ほかのメニューも新鮮さに欠けていたということです……。

4:アリタリア‐イタリア航空の機内食

「これはナス、だと思う……」というコメントだけが添えられているのが悲痛さを際立たせています。もはや機内食の体をなしていないので、上の方のメニューがましに見えてきます。コーヒーも提供されたらしいのですが、それも飲めたものではなかったというのがさらに追い打ちをかけています。

5:ウクライナ国際航空の機内食

目が覚めるほどに鮮やかな黄色のオムレツと、プラスチック同然のウインナーがメインの食卓。しかし、ダノンのヨーグルトなど無難なものがある分、4番の食事よりはまだいいんじゃないかと思えてきます。

元記事の写真を見てみますと確かにこれはちょっと乱気流でシェイクされすぎとちゃうか?とも思うような何かが並んでいるのですが、少なからず意外だったのは食に対しても享楽的であるはずのイタリア人がこんなものを食べさせられて文句がないのかということですかね。
最後に控えますのがこちら、これもある意味で記録的と言いますか常識破り過ぎてすごいという話ですが、お食事を控えていらっしゃる方々には注意いただいた方が良さそうですよね。

【アジア発!Breaking News】料理にゴキブリ!飲み込んで証拠隠滅しようとした仰天マネージャー。(中国)(2010年5月18日テックインサイト)

レストランの料理の中からゴキブリの死骸が出てきた。あろうことか、レストランマネージャーが証拠隠滅のためにそれを飲み込んでしまうという仰天事件が起きた。

クレーム主は中国武漢市に住む男性。友人8人とレストランで食事をしていたところ、底の見え始めた鍋の中に黒いものが見えた。箸で取ってみると、なんとゴキブリの死骸。友人たちも途端に気持ちが悪くなってしまったという。

驚くべきは、クレームを聞きつけやってきたマネージャーである。
笑みを浮かべながら「ゴキブリは既に高温消毒されているので汚くない」「体に害はない」などと並べ立てたという。
“開いた口が塞がらない“とはこのことだ。

更に、自分の解釈を並べ終わったマネージャーは、ゴキブリをつまみ上げると口に放り込み、飲み込んでしまった。
店内の客たちの中には、あまりにもショッキングな光景に吐いてしまった人もいたという。

通報を受けた衛生署員が現場に着くと、マネージャーは事実を否認。しかし、店内に居合わせた客たちが皆、証言したため、しぶしぶ、返金を要求されるのを恐れて飲み込んだことを認めた。

レストラン側が男性らの食事代金570元(約7,700円)を無料にする形で事態は収拾した。

中国では以前、ゴキブリを故意に料理に混入させてクレームを出し、無銭飲食を謀った男たちが逮捕されている。
男たちはクレームを出す際、「食べて無害を証明しろ!」と店員にゴキブリを食べさせ、その店員は泣く泣く食べたという。

自らゴキブリを食べる道を選んだマネージャー。決死の決断も、客足を遠のけるという、目先の返金よりも厳しい結果を生み出してしまったようだ。

さすが何でもたべるという中国人、こんなところにまで…って感心するところちゃうわ!と言う話なんですが、確かに言っていること自体はその通りなのかも知れませんが、お客の前でこういうことをやればそれは引きますよねえ。
さすが昨今ブリに並ぶネタの供給源とも言われるお国柄だけのことはあると、妙なところで感心する話ではありました。

今日のぐり:「こだわり麺や 丸亀田村店」

こちらのうどん屋、香川県内で手広くやっていらっしゃるチェーン店なんだそうですが、見ていて面白いのはその営業時間ですよね。
チェーン店化した場合往々にしてより長く、より遅くまでという経営スタイルになっていく店が多いように感じていたのですが、こちらの場合早朝から昼までという昔風のうどん屋のスタイルを維持しているようです。
今回のように朝早くに何かうどんが食べたくなったといった場合にはこの6時台からやっているというのは便利なものですが、そんな時間にも関わらずすでに満席状態というのが地域性を現しているようで面白いですよね。

店内のつくりはごく一般的なセルフのうどん屋と言う感じで、他県の人間が注意するところがあるとすれば窓口近くで独自の存在感を発揮している田楽の扱いくらいだと思いますが(笑)、この日は腹が減っていたこともあって冷たいぶっかけうどんの大にチャレンジしてみることにしました。
このうどんの量というのも店ごとに扱いが多少違っていて、中が一玉半で大が二玉という店もあるようですけれども、こちらでは大と言うと堂々の三玉入りになるらしく、窓口でもいちいち「三玉ですがよろしいですか?」と確認されるのは初心者にも安心?です。
窓口ではこの他にかつお節をどれくらい入れるかも聞かれるのですが、ぶっかけうどんにはこれに薬味におろし大根とレモンの小鉢が付き、おろし生姜やネギ、揚げ玉と言った一般的な薬味は各自勝手にどうぞということになっています。

さてこのうどん、見た目はなかなか色つやもよく別嬪さんっぽいなりで、食べてみると硬さはやや柔らかめの中程度、コシも強いというより程よいという感じでしょうか、時にあるゴツイほど過剰な食感を主張するというタイプではなくすんなり滑らかな食感と喉越しで食べさせるといったもので、このうどんであれば冷でいただくのがちょうどいいんでしょうかね。
自分などの感覚からするとこの汁はぶっかけ用としてはいささか薄口であっさりしすぎではないかなとも思うのですが、これはぶっかけうどんという概念が地域によって多少異なっているという背景もあるようで、そのあたりを考慮してみればこのうどんとの相性も悪いものではなく、時々あるやや過剰なくらいにイリコ風味が効いたものよりは万人受けする味なんじゃないかなと思います。
ちなみにこの三玉というのは見た目のボリューム感は相当なものがあって「ちょっとやりすぎたか?」と一瞬引いてしまいますが、これが食べてみると意外なほどあっさり食べてしまえるもので、むしろ何も考えずにつるつると食べてしまって後で胃袋の負荷に驚くということになりかねない危険性はありそうですね(笑)。

全般として考えるとこれが個人店の味だったとして考えると逆に癖がなさすぎて無難すぎるところが面白くないのかも知れませんが、チェーン店として見ればこのレベルのうどんがこの値段で食べられるのであればおいそれと文句もでないでしょうし、他県から来た人にとっては入門編にもちょうどいいんじゃないかとも思いますね。
この日も朝早くからずいぶんと繁盛していますがスタッフの士気もかなり高く保たれているようで、キビキビと元気よく働く様子がなかなか好印象ですし、チェーン店とは言ってもわが街のうどん屋として地元の人にも愛用されているんじゃないかという気がします。

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2010年5月29日 (土)

始まったベスーン被告の公判

先日初公判が開かれたテロ船長ピーター・べスーン被告の第二回公判が28日に開催されましたので、併せて紹介してみたいと思います。
まずは検察側の主張が並べ立てられた初公判の話題からですが、事実関係が明白なだけに概ね予想されたような話が出たと言う感じでしょうか?

SS元船長、調査捕鯨妨害認める…傷害罪は否認(2010年5月27日読売新聞)

 南極海で調査捕鯨をしていた捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」(712トン)に侵入したなどとして、艦船侵入や傷害、威力業務妨害、銃刀法違反(所持)など五つの罪に問われた反捕鯨団体シー・シェパードの元船長、ピーター・ベスーン被告(45)の初公判が27日、東京地裁(多和田隆史裁判長)で開かれた。

 ベスーン被告は、酪酸入りのガラス瓶を発射して乗組員を負傷させたとされる傷害罪について、「いかなる人も傷つける意図はなかった」と否認。ほかの四つの罪については起訴事実を認めた

 調査捕鯨への過激な妨害行為で知られるシー・シェパードのメンバーが日本の刑事裁判で裁かれるのは初めて。傍聴席には外国メディアの記者の姿もあった。

 ベスーン被告は午前10時、黒いスーツに白いワイシャツ姿で入廷。警備担当職員8人が配置され、多和田裁判長が冒頭、傍聴者に「不規則発言や、みだりに席を立つ行為をすれば退廷を命じます」と宣言した。

 ベスーン被告は、多和田裁判長から職業を問われると、「キャプテン」と即答。罪状認否では「背景には色々な事情や正当な理由がある。審理の中で明らかにします」などと早口の英語で述べた。

 検察側は冒頭陳述で、ベスーン被告が昭南丸に侵入した動機について昭南丸の船長らと接触する場面をドキュメンタリー番組のカメラマンに撮影させるためだったと指摘。「甲板上に多数の乗組員がいるのを見ながら危険な液体である酪酸入りのガラス瓶を乗組員の近くに発射した」として、傷害罪が成立すると主張した。

 一方、弁護側は傷害罪について、「乗組員がいない場所を狙ってガラス瓶を発射しており、酪酸が人体に傷害を及ぼす可能性があるとの認識もなかった」と主張した。

 起訴状では、ベスーン被告は2月11日、南極海を航行中の昭南丸に向け、ボートから酪酸入りのガラス瓶を発射して破裂させ、甲板にいた乗組員(24)の顔に軽いやけどを負わせたほか、同15日には、水上バイクで昭南丸に近づき、侵入防止用の網をナイフで切って船内に侵入したとされる。公判は28、31日にも開かれ、6月中に結審する見通し。


【SS船長初公判】 笑顔を浮かべる余裕も 入廷のベスーン被告(2010年5月27日産経新聞)

 「(艦船侵入には)正当な理由があった」「背景にはいろいろあり、これからの審理で明らかにしたい」

 米団体「シーシェパード(SS)」による調査捕鯨妨害事件で初めて裁かれることになったピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)。午前10時前に黒っぽいスーツ姿で入廷すると、検察官による起訴状の朗読が終わると、自身が問われた罪状に落ち着いた口調でこう答えた。

 法廷内ではやや緊張した表情をたたえるベスーン被告。罪状認否後に被告人席に着席すると、知人を見つけたのか、傍聴席に向かって笑顔を浮かべる瞬間もあった。

 東京地裁には18の一般傍聴席を求めて427人が並んだ。また、正門前には、朝から日本人の団体が詰めかけ、SSに対する批判を展開。一方で、懸念されたSSによる抗議活動は行われなかった

SS代表が監視船侵入を提案…元船長初公判(2010年5月27日読売新聞)

 南極海で2月、調査捕鯨をしていた捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」に侵入したなどとして、艦船侵入や傷害などの罪に問われた反捕鯨団体「シー・シェパード」の元船長、ピーター・ベスーン被告(45)の初公判は27日午後も東京地裁で続き、検察側の証拠説明が行われた。

 この中で、検察側は、シー・シェパードのポール・ワトソン代表が昭南丸への侵入を提案したとするベスーン被告の供述調書を法廷で読み上げた。

 それによると、犯行計画が立てられたのは、1月にベスーン被告が船長をしていた小型高速船「アディ・ギル号」が昭南丸と衝突して大破した事故がきっかけだった。

 ベスーン被告が「昭南丸の船長に責任を問いたい」と考えていたところ、ワトソン代表が「逮捕すると言って(昭南丸に)乗り込んだらどうだ」と提案。2人は電話や電子メールで相談して、計画を詰めたという。

確かにベスーン被告の波乱万丈に過ぎる半生を考えれば、背景に色々とあったとも言いたくはなるのも理解できますが、だからといって他人を傷つけることが正当化されるかと言えば全くの別問題ですよね。
とりあえず事実関係については大きな争いがなさそうにも見えますが、船長がワトソン代表から提案された作戦だったことを証言したということは、今後ワトソン代表に対する対応を考えていく上でのポイントになるのでしょうかね。
産経新聞が実際の公判の様子を詳細に伝えていますけれども、なかなか生々しい状況が伝わってくる一方で、やはりこの人達は何かしら…と首を捻るような話も出てきているようです。

【SS元船長 初公判(2)】“カメラ”が来るまで船内待機 通訳に身を乗り出す被告(2010年5月27日産経新聞)より抜粋

(略)
 検察官「被告は、SSによる妨害排除業務を行っていた乗組員らの近くに酪酸入りのガラス瓶をランチャーで投擲して破裂させ、強い異臭や刺激をもたらす酪酸の影響で乗組員らの業務を妨害しようと企てました。そこで21年2月1日午後11時ごろ、ゴムボートで第2昭南丸の左方から接近し、甲板上に多数の乗組員がいることを現認しながら、ランチャーを使い、目や皮膚に接触すると熱傷の原因になる危険な液体である酪酸入りのガラス瓶を発射したのです」

 《この公判では、調査捕鯨船団の乗組員にけがをさせたという傷害罪の成否が争点となっており、ベスーン被告が酪酸を危険な液体と認識していたかどうかが焦点だ》

 検察官「これにより、○○(乗組員、法廷では実名)は顔面に全治1週間の化学熱傷を負い、他の乗組員らも痛みで目が開けられないほどの症状でした」

 《ベスーン被告はこの妨害行為にとどまらず、さらに第2昭南丸へ侵入する。その動機について、検察官はこう指摘した》

 検察官「第2昭南丸とアディ・ギル号が衝突した責任を追及するという名目で、第2昭南丸の船長らと接触する場面を、SSを取材するために同行していたドキュメンタリー番組のカメラマンに撮影させるなどの目的で、同船に無断で侵入することを企てました」
(略)
 弁護人「被告は人に傷害を負わせようという気持ちはなく、酪酸を投擲することで乗組員がこの異臭を除去する業務に追われ、第2昭南丸がスティーブ・アーウィン号(SSの抗議船)に接近することを阻止しようとしたのです。また、被告は酪酸が人体に傷害を及ぼす可能性のある物質との認識はなく、むしろリンゴやレモンよりも酸度が弱いものとSSのメンバーから知らされていたのであり、酪酸が人体に傷害を及ぼす危険性についての認識はありませんでした」
(略)

【SS元船長 初公判(4)】ランチャー発射 「ヒャッホー」とガッツポーズ(2010年5月27日産経新聞)より抜粋

(略)
 《白波をたてながら、急速に接近するアディ・ギル号。中央付近にベスーン被告の姿があった》

 《乗組員「AG号の船長を確認しました」

 「平行しています。近寄ってきています」》

 《ここでベスーン被告が動き出す。画面からは何をしているかは把握できないが、乗組員が緊迫した状況を伝える》

 《乗組員「ランチャーのようなものを準備しています。ランチャーのようなものを構えています」》

 《併走するアディ・ギル号がさらに近づく》

 《乗組員「ランチャー発射。AG号は離れていきます」》

 《落ち着いた声で状況を説明する乗組員。船内では「大丈夫?」「何か落ちてきた」という声が飛び交い始める》

 《乗組員「何か被弾しました」「酪酸を乗組員がかぶったようです。酪酸入りのものが投げ込まれました。乗組員に当たったようです。下に行って確認してきます。終了します」》

 検察官「これは乗組員がマストから撮影したビデオです。被告はランチャーで酪酸入りの瓶を発射して、『ヒャッホー』と歓声を上げて立ち去っていきました。続いて、(撮影の)乗組員が(マストから)下りて船内の状況を撮影した映像を映写します」

 《洗面所が映し出される。男性乗組員3人が蛇口の前に立ち、顔や目を懸命に洗っている。先ほど撮影していた男性乗組員が説明を始める》

 《乗組員「顔が赤くなり、目にも入ったようです。清水で洗っています。とても危険です。危険です」

 「上着を脱いだほうがいい。上着にもついているから」》

 《3人は指示に従い、上着を脱ぎ始める》

 《乗組員「顔がだいぶ腫れ、赤くなっています。ヒリヒリ痛いようです」》
(略)

別に酪酸などという面倒くさい薬品でなくとも、単なる水の入った瓶を人のいるところにロケットランチャーで撃ち込んだだけでもどれくらい危険なことであるか、小学生以上のまともな人間であれば誰でも理解できそうな話だと思いますが、ベスーン被告にとっては認識に困難を覚えるほどの難問であったそうです(苦笑)。
ここまで詳細に映像が残っているわけですからベスーン被告らの目的も十二分に達成されたと見るべきなのでしょうが、しかし思わず例のAAを思い出したのは自分だけでしょうか?(そのうち誰かコラでも作りそうですけれども)
当然ながら第二回公判ではこのあたりにツッコミが集中するということになるわけですが、その中心になったのが当事者である被害者の証言です。

シー・シェパード元船長公判 酪酸を浴びて軽傷を負った船員が出廷し証言(2010年5月28日FNNニュース)

日本の調査捕鯨船に侵入するなど、5つの罪に問われた反捕鯨団体「シー・シェパード」の元船長の裁判で、酪酸を浴びて軽傷を負った船員が出廷し、「失明するかもしれないと思った」と証言した。
「アディ・ギル号」の元船長、ピーター・ベスーン被告(45)は、 2月15日、南極海を航海中の「第2昭南丸」に侵入したほか、有毒な酪酸入りの瓶をランチャーで撃ち込み、船員(24)に軽傷を負わせた傷害など、5つの罪に問われている。
酪酸を顔に浴び、全治1週間のけがをした第2昭南丸の船員が証人として出廷し、「目が燃えるような激しい痛みで、失明するかもしれないと思った」と証言した。
そして、ベスーン被告が傷害の罪を否認していることについて、「まったく反省していない。厳しい処分をお願いしたい」と述べた。
ベスーン被告は時折、弁護士にメモを渡すなど落ち着かない様子だった。
31日には、被告人質問が行われる予定。

【SS元船長 第2回公判(3)】「くやしい」「頭にきている」 証人の怒りを平然と聞くベスーン被告(2010年5月28日産経新聞)より抜粋

(略)
 《ベスーン被告はやや前かがみの姿勢で証人をじっと見ている》

 検察官「最後に被告人に対する気持ちについて質問します。被告人を含むシー・シェパードが、調査捕鯨を妨害したことについてどう思いますか」

 証人「くやしいし、やめてほしいです」

 《それまで小さい声で答えていた証人は、はっきりとした声で発言した》

 検察官「やけどをしたことはどう思いますか」

 証人「頭にきています

 検察官「被告人は、この法廷で妨害を認めていますが、傷害は争っているのを知っていますか」

 証人「はい」

 検察官「その主張について君は知っていますか」

 証人「全く反省していないと思います」

 検察官「最後に処罰についてどう思いますか」

 証人「本人が反省できるような厳しい処罰をお願いしたいです」
(略)

当然ながら被害者感情は相当に厳しいようですが、例え今回の傷害事件がなかったとしても過去の経過を考えるならば当たり前の話ではあるのでしょうね。
もっとも妨害行為自体に関してはベスーン被告の方では特に自己弁護の必要性も良心の呵責も感じていないようで、公判前の読売新聞の取材に対してこう言い切っています。

「妨害は私の仕事」SS元船長、拘置所から手紙(2010年5月27日読売新聞)

 「妨害は私の『仕事』だった」――。

 反捕鯨団体シー・シェパードの元船長、ピーター・ベスーン被告(45)は12日、読売新聞の取材に対し、東京拘置所内から、現在の心境などをつづった便せん7枚の手紙を寄せた。

 2か月以上にわたる拘置所での生活について、「職員は私をとてもよく扱ってくれ、食べ物も大丈夫。(船長だった)アディ・ギル号で航海する方がひどい。何の不満もないが、退屈で家族が恋しい」とする一方、「日本に連れて行かれることは予期していなかった」と明かした。

 法廷では「正しいと信じていることを主張するつもりだ」とし、活動の正当性を訴える考えを示した。第2昭南丸の業務を妨げたとされる点については、「それがあの場での私の仕事だった」と主張。昭南丸の網を破損したとされる器物損壊罪については、アディ・ギル号が昭南丸と衝突して大破した事故に触れ、「3億円の船が昭南丸に破壊されたのに、13万円の網を破損した罪を科すのは不公平だ」と不満も記した。

 ただ、「どんな刑でも受け入れるつもりだ。執行猶予がつけばいいが、10年にわたって拘束されても不平を言うつもりはない」と裁判の結果を受け入れる考えものぞかせた。

 日本の調査捕鯨については、「調査という口実で捕鯨をするのは武士道の精神に反する。南極海は私の裏庭であり、日本にはそこで捕鯨する文化や伝統はない」などと持論を展開。今後については、「家族と過ごしたい。恐らくニュージーランドに戻り、ビジネスをするだろう」と、シー・シェパードの活動とは距離を置く意向を示唆した。

べスーン被告としてはあくまで金が第一であるという話ですが、結局金が稼げなかったことを後悔はしていても他人を傷つけたことは毛ほどにも気に掛けるようなそぶりもないわけですから、被害者ならずとも「全く反省していない」と言いたくなるのも当然でしょうかね。
映像をはじめ証拠も明白で被告人自身も行為の実行は認めており、被害者の証言も揃っているということから、今後は故意犯として傷害罪が認められるのか、それとも過失傷害罪のようなことになるのかといったあたりが蒼天になるのでしょうか。
今後の公判ではベスーン被告自らも証言台に立つことになるわけですが、厳しい被害者感情を目の当たりにした同被告が一転して謝罪と反省の態度を示して見せるのか、あるいは自分はどこまでもワトソン代表に指示された単なる実行犯であると主張するつもりなのか、さらには公判中に自分たちの正当性を訴える云々と言ってきた同被告だけに、どのような主張を展開してくるのかも気になります。

一方で自らは平和に豊かな生活を送っているワトソン代表の方では、すでに結論は出ていると言わんばかりにこんなことを言っているようですが、別の面から見ればベスーン被告一人がどうなろうが自分には関係ないとも受け取れるようなコメントでしょうかね。

【SS元船長初公判】シー・シェパード代表は「結論は分かっている。公正な裁判ではない」 (2010年5月27日産経新聞)

 米国の反捕鯨団体「シー・シェパード」のニュージーランド人元船長ピーター・ベスーン被告の27日の初公判について、同団体のポール・ワトソン代表は共同通信の電話取材に対し「有罪率98%の日本では、最初から結論は分かっている。公正な裁判と言えない」と、日本の司法システムを批判した。

 代表は「日本の右翼勢力が彼を『反捕鯨』『反日』に対する見せしめとして、政治的に利用しようとしている」とも述べた。

 シー・シェパードは南極海での今年12月の調査捕鯨シーズンに向け、現在の2隻の抗議船に加え、もう1隻を準備中だと表明。既に3千人の乗船応募があり、この中にはベスーン被告のように調査捕鯨船侵入を買って出る希望者がいると強調した。

 ワトソン代表に対して、東京海上保安部は傷害などの容疑で逮捕状を取っている。(共同)

SS代表「たとえ有罪でも活動に影響ない」(2010年5月27日読売新聞)

 【バンダルスリブガワン(ブルネイ)=岡崎哲】反捕鯨団体シー・シェパードのポール・ワトソン代表は27日、滞在先の豪州ブリスベーンで本紙の電話取材に応じ、元船長のピーター・ベスーン被告(45)の初公判について、「たとえ有罪でも我々の活動にはまったく影響はない」などと語った。

すでに第二、第三のベスーン被告を用意しているというくらいですから、これは逮捕状の出ているワトソン代表をさっさと片付けないことには同じような事件がいくらでも起こってくるという話ですけれども、こうして同代表が遠くで吠えている限りは「日本に出向けば逮捕される我が身可愛さにベスーン被告を見捨てる」と自ら語っているに等しいとも言えるわけで、テロ組織の構成員はこれをどう見ているかでしょうか。
また万全の弁護体制を敷くなどと大変な勢いだったことを考えると、今のところさほど目立った弁護側のパフォーマンスもないようですけれども、あるいは今後何かしらのウルトラCでも飛び出してくるのかどうか、そのあたりも注目しながら公判を追っていきたいですね。

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2010年5月28日 (金)

一見お涙頂戴の陳情劇に見えて、その背後を覗いてみると?

先ごろようやくこういう調査が行われることが決まりまして、何にしろ対策を立てるにしても元になるデータがなければ話にならないわけですから、まずは調査が行われたということ自体は評価しておくべきでしょうね。

初の医師不足実態調査の内容が判明―厚労省( 2010年05月27日CBニュース)

 全国的な医師不足の実態を把握するため、厚生労働省が初めて行う調査の具体的な内容が明らかになった。

 調査は病床数に関係なく行われ、全国の医療機関10358施設(病床を有しない分娩取り扱い施設も含む)が対象。調査項目は大きく3つに分かれており、「必要医師数」「勤務形態」「分娩取り扱い医師」となっている。
 このうち「必要医師数」の項目では、地域医療において各施設が担うべき診療機能を維持するために確保しなければならない医師数を前提とした上で、調査時点で求人しているにもかかわらず充足していない「必要求人医師数」と、求人していない「必要非求人医師数」を調べる。
 「勤務形態」では、各医療機関が雇用している医師について、正規雇用、短時間正規雇用、非常勤の別にそれぞれの人数を、「分娩取り扱い医師」では、医師の総数のほか、正規雇用の医師総数と、それぞれの中に占める女性医師数などを問う内容になっている。

 厚労省では医療再生計画の一環として、地域医療再生交付金2350億円を予算に計上。5年計画で医療再生に向けた医師の養成や人材確保を進めるため、すべての都道府県に50億円を交付することになっている。しかし、これまで医師不足をめぐってどのような現状にあるのかを体系立てて調査した事例は、都道府県単位で独自に調査した数例があるのみで、各自治体が抱えている課題などが具体的に明らかになっていないのが実情だという。
 同省では、すべての病院を対象に統一したフォーマットで調査することで、隣接する自治体同士での比較など、同一項目について横断的に分析することができるのがこの調査の特長としている。また自由記載欄を設け、医師を求人しなければならなくなった理由や医師が充足しない背景などを記述してもらうことで、医師不足に至る理由や地域が抱える課題を具体的に把握・分析したい考えだ。

 同省では、来週にも都道府県の関係部署を通じて全国の医療機関に調査票を配布することになっており、9月をめどに結果の概要を公表する方針。最終的な結果の取りまとめは年末ごろを見込んでいる。

今どきの医療といえば医師や看護師といった専門職スタッフが多いほど診療報酬も多くなることから、経営を考えるならまず人手を集めるところから始める必要があるという事情もあって、こういう調査になりますとどうしても過大な数字が出てくる可能性もありますけれども、現場の不足感がどの程度となっているのかをこうして大規模に調べてみるのは意味があることだとは思います。
ただ調査項目の実際を見てみますと非常に恣意的と言いますか、例えば医師不足を感じていないという施設の実態が非常勤名目のスタッフに週100時間も奴隷労働をさせているだけだった、なんてことがあっても表に出てこない可能性もあるわけですが、そのあたりは労働を所轄する省庁でもある厚労省としてはあまり突っ込まれたくないということかと深読みしてみたくもなるところです。
一方で、このあたりの医師不足の実態なるものを読みとく上で一つのポイントとなるのが、相前後して出されたこちらの全自病からの要望書なのですけれども、まずは記事から引用してみましょう。

医師確保対策などで要望書-全自病など( 2010年05月25日CBニュース)

社団法人全国自治体病院協議会(全自病)と全国自治体病院開設者協議会はこのほど、医師確保対策など12項目から成る要望書を長妻昭厚生労働相らにあてて提出した。

 要望書では、「医療の貧困」とも形容すべき状況を打開し、医療の質を確保しつつ持続可能な医療提供を行うため、要望書に掲げた諸施策を速やかに実行に移すとともに、医療分野に必要かつ十分な資源配分が行われるよう、総力を挙げて取り組むよう強く求めている

 具体的には、医師確保対策のほか、▽新型インフルエンザなど新興・再興感染症対策▽社会保険診療報酬の改定▽医師の臨床研修の円滑な推進▽公立病院改革プラン等▽看護師確保対策▽定員合理化計画▽精神科医療▽財政措置等▽医療機関連携の推進▽地方公営企業会計制度の見直し▽高度な放射線治療の推進-の11 項目を要望。
 医師確保対策については、医師不足の一因として「我が国に医師の適正配置の仕組みがないこと」を指摘。各都道府県に設置されている「地域医療対策協議会」を活用し、きめ細かな制度的な措置を講じるなどの仕組みを早急に構築することなどを要望している。
 また診療報酬改定では、今年度の改定が10年ぶりにネットでプラスとなったことについて「一定の評価ができる」としながらも、「200床未満の中小規模病院への評価が十分とは言い難い状況」と指摘。「地域特性の考慮」などの課題について、自治体病院が担っている診療機能を十分評価した上で、医療技術の適正な評価と医療機関の機能的コストなどを適切に反映した診療報酬体系にすることなどを求めている。

見てみれば例によって医師計画配置政策の催促かと言う話なんですが、ここではこうした話が出てくるのが決まって公立病院の側からであるということには留意いただきたいところですよね。
さて、色々な意味で医師不足と表裏一体の関係にあるとも言われるのが医師の過剰労働問題ですけれども、この件に関しては医療スタッフの過剰労働は何より医療の安全性を低下させ、患者に危害を及ぼす可能性のある最大の危険因子であるという認識をきちんと持っておかなければならず、医師のみならず国民全てに関わる重大な問題です。
先年発足したばかりの日本初の医師の労組である全国医師ユニオン(以下ユニオン)などはこの問題に当初から警鐘を鳴らしてきた団体ですが、こちらからこんな話が出ているということを併せて御覧下さい。

勤務医の過剰労働是正を―2団体が要望書(2010年05月18日CBニュース)

 勤務医の勤務超過の是正や適正な賃金支払いなどを求め、全国医師連盟(全医連、黒川衛代表)と全国医師ユニオン(植山直人代表)は5月17日、共同で厚生労働省に要望書を提出した。勤務医が医療機関の間で横断的に意見を取りまとめ、国に要望するのは初めて

 要望書は厚労省医政局と労働基準局の担当者に提出。具体的な要望として、▽公立医療機関での三六協定の締結状況と内容の公表▽医師の「当直」と「宿直」との業務の厳正な判別▽拘束性のあるオンコールへの適切な賃金支払い▽三六協定の不適切な自動延長を認めない▽勤務医の労働環境の改善および労働基準法順守に関する検討会を厚労省内に設置―など、14項目が盛り込まれている。
 これに対して厚労省側は、三六協定の締結状況の公表は困難としつつも、労働基準法に基づく是正や指導を行い、検討会の設置については「ぜひ参考にしていきたい」と回答した。
 全医連の黒川代表はその後の記者会見で、要望書の意義を強調した上で、「今後も継続的に厚労省への陳情を行っていきたい。また、国会議員や地域住民に対してもさまざまなチャンネルを通して訴え、勤務医の労働環境の改善を進めたい」と述べた。

■時間外労働が月100時間超の73病院を公表

 今回の要望書提出と併せて全国医師ユニオンは、全国の公的病院に三六協定の開示請求に基づく調査を行った結果、1か月当たりの時間外労働が100時間を超えていた73の病院名を公表した。
 調査は2008年末から09年1月にかけて行われ、全国の主要な1549病院を対象に、労働基準監督署に直近の1年半についての協定の開示請求を行い、その結果をまとめた。
 それによると、公表された73病院のうち、時間外労働時間が最も長かったのは国立病院機構災害医療センター(東京都立川市)で「3か月600時間」。以下は、国立病院機構長野病院(長野県上田市)の「3か月420時間」、国立病院機構東京医療センター(東京都目黒区)と国立病院機構舞鶴医療センター(京都府舞鶴市)の「3か月360時間」などとなっている。調査結果は、週内にも全国医師ユニオンのホームページに掲載する。
 病院名を公表した理由について植山代表は、「各医療機関を責めるのが目的ではなく、根本の原因は国の医療政策にあると考える。公表した医療機関については、労使間での話し合いによってできるだけ早期の改善を目指してほしい」と説明した。

ここで注目されるのが要望書と併せて提出された全国病院での調査結果なるものですけれども、冒頭の記事で厚労省の行う調査では含まれていなかった労働時間に関する調査も含まれていることに注目ください。
記事からも特に名前が上げられて施設のトンデモな状況には気がつくと思いますが、実際にユニオンのHPから同調査結果のまとめを引用してみるとこんなことが書いてあるのですね。

医療機関における36協定全国調査結果(全国医師ユニオンHP)より抜粋

私たち全国医師連盟と全国医師ユニオンは、勤務医の労働条件改善活動の一環として、医療機関における36協定(時間外労働や休日労働に関する協定)の合同調査を行った。

日本には約8000の病院があるが、この調査では全国の主要病院1549箇所を対象とした。大学附属病院、国・公立、労災、赤十字、済生会、JA厚生連、国保、民間病院を含む、公的かつ地域における拠点となっている病院である。

調査は2008年末から2009年初頭に、全国の労働基準監督署に直近の1年半の間に行われた協定の開示請求を行い、開示された1091病院に関して集計・分析を行った。開示がなかった458病院はこの1年半の間に、協定の締結が行われなかったものと解される。

1、集計結果

①ほとんどが救急を担当している拠点病院にもかかわらず、36協定の締結・開示は7割にとどまり、岩手・三重・奈良・愛媛・沖縄では約半数が開示されず、この間協定が締結されていなかったと考えられる。

②全国集計の結果(別紙)から、職種欄が黒塗りされ医師を判別することができなかったものが約30%みられた。医師又は医師を含むと明記され確認できたものは57%であった。

1日の最大延長時間は20時間、1ヶ月の最大延長時間は200時間、1年の最大延長時間は1470時間であった。

④また、36協定で定められている1ヶ月の時間外の延長が45時間以下のものは54%であった。

いわゆる「過労死ライン」と呼ばれる月80時間以上の時間外労働を定めた協定が41都道府県168病院(15%)あり、特に東京の都立病院では全て120時間となっていた。
(略)
3、今回の調査から明らかになったこと

公的な医療機関における全国的な労基法違反が明らかになった。また、労基法の趣旨から逸脱した協定が全国の公的な病院に多数みられた。これらの違法は法治国家として許されることではない。また、病院管理者はもとより監督官庁の法律遵守に対する意識の欠落を指摘することができる。さらに医師の過重労働は、医療安全を脅かし、国民への利益に反することは明らかである。
(略)

救急指定を取っている大きな病院主体の調査ですけれども、ここで注目したいのは医師に関して36協定などというものが全く有名無実化しているということ、そしてとりわけ全国公立病院であまりにひどい環境での奴隷労働を強いられているという実態があることです。
しかも長年それを放置してきた労基署はじめ監督省庁の責任も免れないところで、そう考えてみますと冒頭の調査で厚労省が実労働時間は幾らかと言ったことを決して言い出さなかった理由が見えてくるわけですよね。
こうした事実を総合してみますと全国公立病院では医師たちに法律無視の違法労働状態を長年強いてきた、その結果当然ながら真っ先に医師たちはこうしたトンデモ病院から逃げ出して言っているわけですが、それに対して公立病院側では我々が使いつぶせる奴隷がいなくなって困るじゃないか、国はさっさと強制的に医者をラーゲリにぶち込めるようにしろと迫っているという構図が見えてくるわけです。

何度も繰り返しますが、現在の診療報酬体系では(その是非はまた別として)専門職スタッフを多く抱えるほど報酬が増えて行くシステムになっていて、例えば医者が一人増えると病院にとって一億円ずつ売上が増えるとされていますから、まともな病院ほど増収のためにスタッフの待遇を改善し一人でも多くの優秀なスタッフを集めようと努力しているわけですよね。
ところが公立病院にとって医者というのは毎年春になれば黙っていても大学医局から送られてくるもので大事にしようなどと言う意識はさらさらない、むしろ如何に安く使い潰すかがが経営の腕の見せ所というくらいなものですから、医師の勤務環境は限りなく悪く、その給与は限りなく低く、その分を永年勤続の公務員事務様達が全部吸い上げていくという構図になっているというわけです。
長年こうした公立病院をつけあがらせてきた主因でもある大学医局の権威なるものが、昨今世論のおかげですっかり廃れてくれたのは全国の奴隷医師達にとっては福音とも言うべきものですが、今再びそうした奴隷派遣業務の国家権力による復活を画策しているのが彼ら公立病院であるということで、これが普通の業界であれば今頃週刊誌などでさんざんバッシングされていてもおかしくない話だと思いますがどうでしょう?

最近ではようやく勤務医も「誰も自分たちの労働環境のことなど考えてなどくれない」と考え始めたということなのか、先のユニオン発足などもその一つですけれども、何より自分たちで主張し環境改善を図っていこうという機運が出てきたのは良い傾向だと思います。
例えば地方の国立大学でもこういう話が出ているのですけれども、まず最初に出てくる設立の目的なるものが極めて身近で切実な「勤務医の労働環境改善」であるというのが時代なのかなと思いますね。

岡山大学勤務医が医師会設立…労働環境の改善目指す(2010年5月25日読売新聞)

 岡山大学(岡山市北区)と岡山大病院(同)に勤務する医師による「岡山大学医師会」の設立総会が24日、同大学医学部記念会館(同区鹿田町)で開かれた。勤務医の労働環境を改善するための提言や情報収集、勤務医同士の連携を強化するのが目的で、県内で大学の勤務医が独自に医師会を設立するのは初めて。

 総会では、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の小出典男教授を会長に選出した。この日、約130人でスタートし、約50人が加わる予定で、さらに会員を募る。

 同医師会は、郡や市などの単位で構成する地区医師会と同格で、県医師会に加盟する。日本医師会(東京都)によると、2009年8月1日現在、医学部がある全国80大学のうち61大学で独自に医師会を設立している。

 小出会長は「県や県内の他の医師会と連携し、地域医療の発展に努めたい」としている。

医療という現場は非常に高い顧客からの質的要求にさらされていることは今さら言うまでもありませんが、その質を保つために最も簡単かつ有効な手段がスタッフの過労を避けるということで、とりわけ日本の公立基幹病院のような労働環境ではこの方法の有効性は疑う余地がありません。
とすれば患者側である国民にとっても医師の労働環境改善は決して他人事ではないわけで、何より当事者として「俺は疲れて居眠りしそうな医者に診てもらいたくはないんだ!」と声を上げていかなければならないし、医療側としてもそうした国民の支援というものを大いに期待し世論を盛り上げて行く必要があるでしょうね。
本来そうした役目を果たすべきなのは世間的に医師達の利益団体と言うことになっている(らしい)医師会の役目のはずなんでしょうが、総本山の日医がどうやら新会長になっても相変わらずそういう方面には全く興味がなさそうに見えるだけに、ここは現場の医師たち自らが末端からのボトムアップ的手法による問題解決を図っていくべきだということなんでしょうか。

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2010年5月27日 (木)

患者対策には何より患者側の協力と努力が必要です

医療業界に限らず昨今ではどこでもモンスターだ、クレーマーだと言われるような方々には事欠かないご時世ですが、ことが一刻を争うような現場でしかも慢性的にリソース不足であるということになれば、これはしばしば人の命にも関る話になってきます。
少し前の記事ですけれども、今どきこんな話はどこでも珍しくないと言う現場の状況が判るこちらモンスター対策の話から引用してみましょう。

シンポジウム:“モンスターペイシェント”など、救急医療現場の取り組み報告 /岡山

 救急医療現場の課題を話し合うシンポジウムが20日、北区奉還町2の岡山国際交流センターで開かれた。日本医療マネジメント学会県支部主催で、医師や看護師ら4人が“モンスターペイシェント”対策など現場の取り組みを報告した。

 同支部では06年から毎年、学術集会を開いており、今回のテーマは「人間中心の医療」。シンポジウムでは、川崎医科大付属病院事務部の森定理参与が、病院に不当な要求をする“モンスターペイシェント”が夜間の救急外来に1週間当たり数回程度訪れ、診療の妨害となるケースもある現状を紹介。「救急車が勝手に搬送したから医療費を支払わないと主張したり、宿泊場所や費用がないためホテル代わりに利用したがる患者もいる。警察や福祉事務所などの公的機関や顧問弁護士を活用し、(暴力を振るうなど)危ないと感じたら110番通報するなど組織的に対応している」と話した。
(略)

何を以てモンスターと呼ぶのかは非常に難しい問題ですけれども、これに関しては一律の判断基準でどうこう出来るものではなく、あくまで時と場合によるということなんだと思いますし、受診時の態度などが直接問題になるようなものではなくとも状況によっては大迷惑ということがあり得るわけです。
例えば駅の喫茶店に飛び込んで「コーヒー!急いで!」なんて言うのはどこにでもある光景ですし、別にそれが直ちにモンスター扱いされるものでもありませんけれども、例えばこれが沈みかけたタイタニック号で皆が生き残ろうと必死になっているような状況で同じようなことを要求している、なんて場面を想像してみれば「おい兄ちゃん、ちょっとは空気読めや」とも言いたくなりそうですよね。
需要に対して一般に供給というものはそうそう急には増減出来ないものですが、需要に対して供給が明らかに過小である時にはおとなしく列に並んで待ちましょう、緊急性のある人を優先するため譲りあいましょうというのが医療に限らず社会の基本的マナーであって、この意味では安易なコンビニ受診などもそれ自体はささいなことのように見えても、リソース不足の現場においては大迷惑顧客になりかねないわけです。

ただ医療業界においては話が少しややこしくなるのは、例えば長年医師の団体と社会的に認識されてきた医師会という組織が早期受診の重要性を主張してきた、これは主にアメリカとの比較において医療費の患者負担を安くすることが患者が我慢せず早期に受診することにつながり、病気が早い段階で見つかることで結局は総医療費が安上がりになると言う論拠に結びつけられていた経緯があることですよね。
小児科なども未だに「夜中でも何でもおかしいと思ったらすぐ病院に行きなさい!子供は大人とは違うんです!」なんてことを熱心に「患者教育」していらっしゃる先生がいて、それが結局小児科医の24時間365日の激務を招き絶滅危惧種などと言われる現状をもたらしているわけですから、自分で自分の首を絞めているようなものだという言い方も出来ますよね。
この辺りは医療に限らずコストやマンパワーを無視して質的最善、最良だけを追求している人間の口にする正論なるものが、リソースの限られた現実社会では必ずしも通用しないという好例だと思いますけれども、そのおかげかどうか未だに釣りか?と思うような声が定期的に出てくる状況が続いているわけです。

【発言小町】4日前からの熱で夜に病院に行ったら(2010年5月15日読売新聞)

4歳の子供が3日前から熱がありました。昼間は36度台なのですが、夜になると37.6度から38度くらいに熱が上がります。朝に熱がないので、治ったかな?と思っていると、夜に熱が上がります。全然熱がない日もありました。そのようなことが続いて心配になり、4日目の夜22時ころに小児科の救急病院を受診しました。
すると、そこの小児科の医者に「夜に来るな、もっと早く昼間に来い」と言われました。
治るかな?と思い様子を見ていたのに。だけど長く続いて、また夜になって熱がでたので心配になって受診したのに。
なぜそんなことを言われるのか、納得できません。とても腹立たしい思いをしました。
以前からの病気で、救急病院を受診してはいけないのでしょうか?
また、薬が1日分しか出ない、というのも困ります。なぜそんなに短い日数しか出ないのでしょうか?
病院はもっと利用者のことを考えてください

発言小町にもたびたびこういうものが掲載されて、そのたびに同じようなレスが並んでフルボッコ状態というのは、あるいは読売さんも教育的効果期待しているのか?と好意的に解釈はしてみたいところですが、このあたりは医療側においても方針がばらついていることが患者の混乱を招いてきたという経緯を理解しておかなければならないでしょうね。
昨今では現場でいわゆる奴隷労働に勤しむ医師らを中心に「いい加減リソース相応の医療を追求していかなければ日本の医療はもたないのでは?」という認識が広がってきていて、どのあたりが最適解なのかと試行錯誤が続いている真っ最中ですけれども、社会的にも医療崩壊などと騒ぎになっている延長で受診はもう少し抑制的にしていこう、特に不要不急の時間外・救急受診は控えようという動きが出てきています。
ちょうど先日はこういうニュースが各社で報道されまして、もちろんどのあたりの負担額が一番良いのかといった検討は今後の課題だとしても、試みの一つとして面白いと思いますね。

救急車有料化で初会合 県市長会作業部会 富士宮(2010年5月26日静岡新聞)

 県市長会が設置した救急車有料化検討作業部会の初会合が25日、富士宮市役所で開かれた。緊急度が低い場合の有料化などを軸に協議を重ね、9月をめどに報告書をまとめ、県市長会に答申する。
 静岡、富士宮、沼津、藤枝、湖西市の救急医療担当課職員と消防職員10人で構成。発起人の小室直義富士宮市長は「地方の医療現場が抱える問題を共有し、解決策を一緒に考えていきたい」と提起した。

 有料化を検討する背景には、救急車の出動件数の急増と「タクシー代わり」と呼ばれる不適切な利用がある。県内でも過去10年で出動件数が36・6%増加し、自家用車を持っていない▽タクシー代を払えない―などの理由で出動を要請する事例が後を絶たない。「もう少しで家事が終わる」「病院に行く前にトイレによる」などと救急隊員を待たせる人もいるという。
 救急搬送された患者の51・7%は軽症(07年、全国平均)で、利用増に伴う到着時間の遅れや重症患者の後回しが指摘されている。検討部会では今後、県内の現況を調査しながら有料化の効果と問題点を整理し、「コンビニ受診」と言われる救急医療機関の安易な利用についても意見交換する。

救急車:安易に要請、抑制へ有料化検討 県市長会、9月末めどに答申 /静岡(2010年5月26日毎日新聞)

◇富士宮で県市長会作業部会が初会合

 急を要する事態ではないのに、救急車を安易に呼ぶ問題が深刻化しているとして、県市長会は25日、救急車を有料化できないか、作業部会を設けて検討を始めた。9月末をめどに結論をまとめ、市長会に答申する。総務省消防庁によると、救急車を有料化した自治体は過去、例がないという。

 この部会は「救急車有料化検討作業部会」で25日、富士宮市役所で初会合を開いた。

 メンバーは湖西、静岡、藤枝、沼津と富士宮5市の行政、消防の担当者計10人。今後、答申の取りまとめに向け、救急車の利用状況や1件あたりの出動費用などを調べる。

 部会設置を唱えた富士宮市の小室直義市長は初会合に出席し「救急医療の現場、救急車のあり方について一定の考えを示してほしい」と述べた。その後、記者団に、緊急ではないのに救急車に出動要請する問題を指摘し「抑制する手段として有料化を考えたい」との認識を示した。

 作業部会では「出動要請があった時、救急車が出払っていた」「指の逆むけで救急車が呼ばれた」などの事例が報告された。

 富士宮市によると、年間の救急車の出動件数のうち約4割は軽症あるいは軽傷で、出動の必要はなかったという。また、県危機管理部のまとめでは08年、県内での救急車出動は13万7374件あったが、このうち急病による出動は8万2176件(59・8%)だった。

 こうした事態を踏まえ総務省消防庁は昨年度、救急車の適正な運用のため、愛知県、奈良県と大阪市をモデル地区に設定し、電話応対で出動の必要性を見極める救急安心センターを運用した経緯がある。【安味伸一】

救急車有料化問題も各方面で久しく議論が続いていて、例えば「有料化すればお金が心配で重症患者の受診が遅れるかも知れない」なんて声がありますけれども、そういう方々は救急車が無料でも診療費が心配で受診が遅れる可能性もあるわけですから、重症患者の診療費よりもよほど安いと思われる救急搬送料金だけを取り上げて云々するのもどうなのか?と思います。
また「有料化したところでどれくらい実効性があるのか」だとか「軽症患者だけ有料にすると判断する段階でトラブる」だとか、「下手に有料化するとかえって居丈高に出るのが増える」だとかいった声もありますけれども、このあたりは実施してみての状況や先行する救急時間外料金加算などを参考にしながら金額などを修正して行くのがいいと思いますね(ただし私見ながら、料金は万人に同額でと言うのが良いかと思いますが)。
救急時間外料金加算の方では少なくとも受診抑制には大いに効果があって受信者数が半減したといった報告も珍しくないようですし(救急搬送の軽症者比率とほぼ同じです)、この制度によって受診を躊躇った結果大変なことになったといった事例も(恐らく探せばないことはないのでしょうが)特に問題となってはいませんから、この救急搬送有料化も料金設定にもよりますがやってみれば案外うまくいったということになるのかも、ですかね。

そもそも本家コンビニならずともいつでもどこでも同じサービスをというのは時代の要請であって、医療業界だけが相変わらず夜になったら店じまいというのはケシカランという考え方も当然にあっていいことだと思います。
このあたりは診療報酬などの設定からしても夜に営業したところで赤字がかさむだけという事情もありますし、昼も夜も休日も同じように開けるようなマンパワーがないという背景もありますが、何より医療従事者自身も積極的に夜営業をやる、あるいは出来るように制度改革を希望してこなかったのは、恐らく本当に夜でも来なければならないような人間は世の中そういないという経験論もあるんじゃないでしょうかね。
そもそも何を目的に夜営業をやるべきなのかと言うことが患者側でも医療側でもそれぞれ複数の意見が錯綜していて、例えば昼間は仕事で来られないから夜に外来をやってくれという人間にいやそれは無理だ、理由はこれこれと説明していると、横から24時間いつでも急患は診てくれないと困るじゃないかとクレームが付くといった塩梅で、一度きちんと状況を整理しておいた方が良さそうだとは感じています。
そして一方で救急崩壊と言えば多忙を極める現場からやむなくスタッフが逃げ出していくという現象もあり、他方では不要不急の患者受診が現場のモチベーションをボディブローのように削いでいるという現実もあるわけですから、コンビニ受診の軽症者ならさして手間も掛からないはずだなんて言ったところで、現場が「もうやってられない」と言っている以上は対策を取らなければ士気が維持出来ないわけです。

結局のところ救急医療の崩壊を防ぐという観点から見れば実効性もさることながら、現場に対するメッセージ性というものも重視していかなければモチベーションを保てないわけですが、何しろ医者らスタッフも木石ならぬ人間ですから「患者側もこれだけ努力しているんだから」と言えるだけの患者対策を取ることは、単なる数的な受診抑制効果以上の意味があるとも言えますよね。
一方で患者たる国民にすればまた別の考え方も当然にあるわけですから、こちらは現場がどうすれば今以上によく働くようになるかと言った方向から医療政策の行方を判断していかなければならないということでしょうが、その際にもモラル(士気)の低下はモラル(道徳性)の低下を招きやすいということも考慮して、目先の利便性追求のみならず結局何が一番自分たちにとって得なのかという観点を持つ必要があるでしょう。
現状の医療現場はある種殺伐とした空気の中で患者側と医療側が対立的関係にあるような側面も見られますが、これがもう少し余裕を持ってお互いに良い契約関係を結べるようになればスタッフの士気や顧客の満足度も上がるでしょうし、クレーマーやモンスターと呼ばれる人々も自然に減っていくようになるのかも知れませんね。

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2010年5月26日 (水)

5月27日はテロ船長の初公判です

いよいよ明日5月27日はテロリスト船長ピーター・べスーン被告の初公判ですが、それを目前にしてこんなニュースが飛び込んできました。

シー・シェパード抗議船、2隻ともオランダ籍に(2010年5月25日20時49分  読売新聞)

 【バンダルスリブガワン(ブルネイ)=岡崎哲】日本の捕鯨船団への妨害活動を繰り返す米反捕鯨団体シー・シェパードは25日、抗議船ボブ・バーカー号がオランダの船籍を取得したと発表した。

 日本政府は同船に船籍を与えないよう繰り返しオランダに要請していた。これでシー・シェパードの2隻の抗議船はいずれもオランダ船籍となった。

 シー・シェパードは声明で「日本の首相は船籍剥奪を要請したがオランダは屈しなかった」としてオランダに「謝意」を表明。12月から日本の捕鯨船団への妨害を再開すると宣言した。

 ボブ・バーカー号はトーゴ船籍だったが、トーゴは2月、日本の要請を受け船籍を剥奪。妨害活動を防ぐため、日本はバーカー号に船籍を与えないよう各国に働きかけていた。

元々強力な反捕鯨派諸国の一つとして知られているオランダですが、昨年末には日本政府の要請を受けて「捕鯨を妨害すれば船籍剥奪」とする船籍法改正案が提出され、今春にも成立する見込みと言われていました。
オランダ政府としてもテロ支援国家の肩書きは避けたいと言うポーズを示した形でしたが、残念ながらこの2月で同国政権が崩壊したことから同法案の成立の見込みは当面立たない状況となったと言うことで、いわばその間隙をついての今回の事態であるということです。
もちろん「法律がない以上は申請されれば船籍を与えざるを得ないじゃないか」などと言い訳のネタは色々とあるのでしょうが、何にしろ同国政府の意志や国民感情といったものがこうした事態の背景にあったと考えておいてまず間違いはなさそうですよね。

国連海洋法条約によれば、公海上で船舶の取り締まりを行う場合は船籍国の同意が必要なっていて、要するに船というのはそれ自体が他国の領土と同じような扱いになっていることから取り締まりも非常に面倒くさい手続きがいるというわけですが、これが船籍がないということであれば無国籍であるのと同じことですから、海保なども扱いが非常に簡単であるということになります。
もともと同船が船籍を置いていたトーゴに対して日本が強力に働きかけたのもそういう事情があるわけですが、仮に今後オランダで船籍剥奪法が成立したとしても「法律の不遡及の原則と言うものがあって」云々とまた処分を避ける言い訳を色々と言ってくるようであれば、これはオランダとしても旗色を鮮明にしたと解釈するしかなさそうですから、日本としても外交上何らかの更なる対応が必要でしょうね。
いずれにしても次の捕鯨再開までにはまだ少し時間がありますが、この間に以前紹介しました「商業捕鯨再開か?!」という例のIWCでの議長提案の行方がどうなるのかといったことを含めて、国際的に議論を進めておくべき話題は多々あるわけですから、こちらの方面にも注目しておかなければならないでしょう。

さて、ちょうど同時期に日本と海外で同じような趣旨の記事が掲載されましたけれども、並べて見てみますと何やら面白いところもあるように思いますね。

起訴されたシー・シェパード活動家、NZ紙に心境語る(2010年05月23日AFP)

【5月23日 AFP】日本の調査捕鯨船団の監視船に侵入して障害など5つの罪で4月に起訴された米環境保護団体「シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation Society、SS)」のピーター・ベスーン(Peter Bethune)被告が、ニュージーランド紙に現在の心境を明かした

 同被告は東京拘置所(Tokyo Detention Centre)からニュージーランド紙サンデー・スタータイムズ(Sunday Star-Times)に対し、「95%の確率で」有罪になり、長期の懲役刑を受けるだろうと語った。

 また100人を超える捜査当局者が参加して侵入時の様子を調べた実況検分の際に頭からフードをかぶせられたことについて、自分が「性格異常の殺人鬼」のように扱われたのは異様だと述べた。

 ベスーン被告は最高で15年の懲役刑を受ける可能性がある。

「シー・シェパード代表は間違っている」「家族恋しい」拘留の被告が激白(2010年5月23日産経新聞)

 調査捕鯨妨害事件で東京拘置所勾留され、27日に初公判を迎える米団体シー・シェパード(SS)のメンバー、ピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)=ニュージーランド国籍=は23日までに、産経新聞との接見に応じた。同被告は、自身を「ラストサムライ」と呼び徹底した法廷闘争を叫ぶSS代表のポール・ワトソン容疑者(59)=カナダ国籍=は「間違っている」と語り、ミゾをうかがわせた

 ワトソン容疑者はベスーン被告が拘束されて以来、「日本は違法な捕鯨を終わらせるための(抗議行動の)結集地となる」と主張し、法廷闘争のための寄付を募り、各国の日本大使館で抗議デモを行うよう支持者らに呼びかけてきた。ベスーン被告には「クジラのために命をかけることを誓ったのであれば、刑事被告人として扱われる脅威など些細(ささい)なものだ」と、徹底した法廷闘争を求めていた。

 だが、度重なる接見で同被告は「日本の捕鯨は許せないが、私は家族をもつ普通の人間であり、サムライのような闘士ではない。ワトソンは間違っている」と述べた。

 被告のもとには各国から数千通もの便りが寄せられ、そのほとんどは日本を強く非難する内容だ。しかし、同被告は「日本人は礼儀正しく、過酷な扱いを受けたことは1度もない。憎むべき国ではないと言いたい」と話した。拘束から3カ月が経過し「家族が恋しい」とも漏らし、「法廷では真実を話すが、裁判のことを考えると不安になる。できれば長く勾留されたくない」と裁判の長期化は避けたいとの考えを示した。

 また「私は自分の信じる道を突き進んだ余り、多くのものを犠牲にした。妨害はボランティアであり、昨年は収入が全くなかった。生活を考えなくてはならない」と話し、捕鯨妨害活動に参加し続けることに否定的な考えも示した。

 ベスーン被告の言動について、かつて捕鯨船団の団長として南極海でSSから妨害を受けた日本鯨類研究所の石川創・調査部次長は「SSのクルーは長期間、船に乗っている間にワトソン船長にそそのかされ、善悪の判断が麻痺(まひ)していく。被告は、危険な行為を行ったことを、冷静に見つめ直しているのではないか」と話している。(佐々木正明)

一見するとかなり対照的なコメントのようにも見えるこれら二つの記事ですが、一つの考え方としては自国民が逮捕・起訴されているニュージーランドとしては元々反捕鯨派であることもあって、今回の一件を面白からぬ思いで見ている、そうであるが故に否定的なコメントをことさらに抜き出してみせているという可能性もあって、両記事の情報量の差がそうした推測を裏付けるという考え方も出来るでしょう。
逆にベスーン被告としては本音では「ふざけんなこの糞野郎!」と思っていても、裁判をやる日本での心証を考えると日本紙の取材に対しては猫をかぶって見せざるを得ないという可能性もあって、一部には「後日の宣伝活動のために”日本人に無理やりこんなことを言わされた!奴らは俺を脅したんだ!”なんて言うためのネタが欲しいのだ」との見方もあるようで、どちらが正しいのかは現時点で何とも言えません。
この記事を書いた産経の佐々木正明記者は以前からテロリスト問題を追求してきていて、同記者のブログなどにも随時情報がアップされているのを紹介させていただいたりもしましたけれども、記事からも伺われる通り佐々木記者の見解によればこれはベスーン被告の真情そのものであって、同被告の行動においては主義主張より何より経済的問題が大きな要因となっていたのだという立場のようです。

SS船長ベスーン被告の妻「昨年、彼とは別れた」「2人の娘がいるのに、彼はセルフィッシュ」(2010年5月25日ブログ記事)より抜粋

(略)
 シー・シェパード代表のポール・ワトソンは、ベスーン被告の裁判を、日本の捕鯨に圧力をかける国際キャンペーンの場にしようと画策していました。
 ホームページ上では、大々的にキャンペーンを行ってきました。
 しかし、肝心のベスーン被告はそのつもりはないようです。
 彼がワトソンと初めて会ったのが昨年夏です。ベスーン被告ももともと船乗りであり、ワトソンと深い意思疎通を図っているわけではなく、バリバリの活動家でもありません

 ベスーン被告と妻、シャリーンさんの間には2人の子供がいます。
 ベスーン被告は、シー・シェパードの活動に参加する前、アースレース号という船(その後、アディ・ギル号に名前を変えた)に乗り、世界一周最速航行の冒険にチャレンジしていました。
 そこで、彼は世界記録を打ち立てるのですが、その分、大きな代償も払いました。
 グアテマラで死亡海難事故を起こし、多額の補償を背負うことになったのです。ベスーン被告とシャリーンさんは、家を担保にいれて、資金をまかないました

『グアテマラの死亡海難事故』

 ベスーン被告は家を空けることが多く、家庭を省みませんでした。妻は献身的に彼の冒険をサポートし、様々な仕事を行って、家計も支えていました
 日本船への乗り込みも、事前に知らされていたわけではなく、家族はニュースで事件を知っています。 
 ニュージーランド紙に、妻、シャリーンさんが家族についてこう激白しています。

Finally, the pressure of having an absent husband proved too much, and in September last year the couple separated, Sharyn revealed during an interview with the Sunday Star-Times last week.
 夫がいないプレッシャーと金銭的な問題を抱えて、妻は昨年9月、夫と別れることにしたのです。(★文中のseparateには、別居または離婚の意味があります)

 しかし、シャリーンさんは日本の拘置所にいる夫のことを今でも支えています。このように言っています。

「まだ、彼を支えています。今でも良い友達として。でも、5年間のうち彼と会ったのはたった6カ月ぐらいだった。彼は自分の道を歩むことにした。だから、私も動いたの」

 激白はさらに続きました。きっと、この記事を書いた記者は、あせらずに時間をかけてゆっくりと、シャリーンさんの人間関係を深めてから、インタビューしたのだと思います。

"It's for a single man without responsibilities. He's got two daughters, he's been away from them five years. He's got no life insurance or anything. To me it is a little bit selfish, but the girls fully support what he's doing.
 責任を持たなかった1人の男性なのです。彼には2人の娘がいる。5年間、娘たちから遠ざかったのです。彼には、自分の生活について何の補償もない。私にとってはちょっと、セルフィッシュに思えます。でも、娘たちは夫が行っていることを十分に支えています。

 ベスーン被告は、私との接見で、今後のシー・シェパードの活動に参加することについては否定的な見解を述べていました。

 「私には、昨年、何の収入もなかった。今後の生活については考えなくてはならない」

 やはり、ベスーン被告にとって、日本船への乗り込みは、無鉄砲な行動だったようです。
 きっと、抗議船スティーブ・アーウィン号に乗っている内、言葉巧みなポール・ワトソンに唆されたのでしょう。
 拘置所に入って、自分の理想の追求よりも、家族のことが大事だと思い直したのかもしれません。
 彼の言葉から、そうした後悔にも近い気持ちを強く感じました。
(略)

以前にも書きましたが、テロ組織シーシェパードはスポンサーから巨額の資金をかき集め非常に裕福な団体でありながら、南氷洋その他で過酷なテロ活動を行う現場スタッフには全く給与など支払っていないわけですが、集めた巨額の資金は一部は装備の更新につぎ込まれる一方、代表であるポール・ワトソン容疑者一人の懐にたっぷりとお金が入るという「親が総取り」の構図になっているわけです。
ベスーン被告が元々テロ組織の活動にシンパシーをどの程度感じていたのかは不明ですが、少なくとも筋金入りのテロ要員として洗脳されてきた一般構成員とは異なっていて、操船技術を見込まれて仲間に加わった専門技術職であると考えることもできそうですよね。
おそらく同被告としてはテロ組織=金満団体という認識はあったか、あるいはワトソン容疑者から巨額の報酬を約束されていたなどといった見返りを期待していたのかも知れませんが、結局船は失った上に金銭的にも何らの見返りもなかった、挙句にはテロ組織の中で自分一人だけ逮捕されてブタ箱入りという、要するに他人に良いように利用されて終わったという惨めな境遇であったとは言えるかも知れませんね。

行動力はあってもいささか頭の使いように問題があったと考えるべき御仁なのか、あるいは後先考えず突っ走る性格だからこそ良きにつけ悪きにつけ目立つことになるのだと見るべきなのか何とも言えませんけれども、こうしたベスーン被告の経歴と現在の心中を察してみるに、今後の話の持っていき方次第では面白い話が色々と聞けるようになるかも知れませんね。
そうした点にも注目しながら、明日以降の公判がどんな展開を見せていくのかを興味深く見守っていきたいと思います。

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2010年5月25日 (火)

一見選挙のキャスティングボートを握ったかにも見える日医、しかし実は追い込まれているのは…

先日は日医連がとうとう民主党支持を公式表明という話題を紹介しましたけれども、この件に関して異論が錯綜する中で最終的に一任を取り付け話を決めたと言われるのが原中勝征日医会長その人です。
しかしマスコミなどの話を聞いていますと日医が何をどう支持するかで日本の政局が左右されるかのようにも思えてきますけれども(苦笑)、今のところ日医側としても選挙協力によって与党に恩を売るくらいのつもりでいる様子で、もはや誰からも相手にされない以上与党の言いなりにでもならなければ二度と日の目を見ないかも、なんて後ろ向きな考え方はしていない様子ですよね(笑)。
ちょうど先日のCBニュースに原中氏のインタビュー記事が載っていましたので、少し長いのですが引用させていただきますが、なかなかに意気軒昂でこれはこれでいいんじゃないかと思います。

民主中心の政権のうちに理想の医療を実現【第106回】原中勝征さん(日本医師会会長)(2010年05月22日CBニュース)

 4月1日に投開票が行われた政権交代後初の日本医師会会長選挙。最大の争点となったのは、政権との距離感だった。結果、民主党との太いパイプを強調した茨城県医師会長(当時)の原中勝征氏が当選。従来型の「キャビネット選挙」が行われなかったため、ほかの会長候補を支えたメンバーが混在する新執行部がスタートした。新生日医は、政権との距離感をどう保っていくのか―。夏の参院選に向けた対応なども含めて原中会長に話を聞いた。(木下奈緒美)

■診療報酬「次も当然引き上げ」

―今年度の診療報酬改定の評価をお聞かせください。

10年ぶりに総額が上がったことは評価できます。また、やっと最近、民主党が医療と介護を「消費」ではなく「投資」だととらえ始めたことは、大変よかったと思います。
 ただ、たった0.19%の増加と薬価引き下げ、後発医薬品の使用拡大によって浮いたお金のほとんどが大病院のために使われてしまったのは、医療全体を見ていなかったからだと思います。現在の地域医療の崩壊は、決して大病院の崩壊ではなく、中小病院の崩壊です。中小病院のほとんどを占める民間病院の努力に対する評価は全くなく、人件費も抑制されている。そのせいで、民間病院の従事者が結婚もできない、子どもも産めないという環境では、やがて日本は滅びてしまいます。
 再診料の病診統一は、大きな誤りだと思います。診療所の収入は診療費だけだから高くなければいけない、病院は入院費や大きな手術などがあり、それらを重視すればいいということで、病診に差がついていました。そういった歴史を全く分かっていません。

―次の報酬改定に向けてはどのように取り組んでいきますか。

 今まで日医には民主党とのパイプがありませんでしたが、鳩山由紀夫首相も小沢一郎幹事長も「現場の声を教えてほしい」と言っています。今後、民主党とよく話をして、医療費の配分をどうするのか、きちんと話し合って決めることが大切だと思います。もちろん、トータルの医療費は当然上げてもらわないといけません。
 政治家はこれまで、官僚がつくったデータを基に議論をしていたと思いますが、その中で「診療所の医師が楽をしてもうけている」といった誤った調査結果が故意に出されてきました。次回改定時にはこうしたことがないよう、わたしたちと国民が納得できるデータをきちんと提示し、医療費増の実現や、必要があれば医療法や介護保険法の改正も主張していきます。

― 医療費財源の確保はどうしていくべきでしょうか。

 わたしは増税しないのは間違いだと思っています。国民感情があるので難しいですが、消費税を増やすなら増加分が医療に回るよう議論した上で手当てしてほしい。そうすれば、国民のためにきちんと使われるのではないでしょうか。国債を発行して後世につけを回すよりも、今高い税金を払って将来の負担を減らした方がいいと思います。
 このままでは、2055年には現役世代1.3人で1人の65歳以上の人を支えなければいけません。国の借金が増加する一方、人口が減少し、しかも生活保護の人が多くなってきている高齢者1人を1.3人でカバーすることなど、この国にできるはずがありません。今のうちから対応を変えていく必要があります。
 また、高額所得者の保険料や税金に関する上限をなくし、所得に応じた支払いをお願いするのも一つです。高額納税者に対して国民が感謝の気持ちを示すような社会にすれば、納めがいもあります。景気がよくなって税収が多くなることも期待しています。

■理想実現には「政権政党とのつながり」が不可欠

―日本医師連盟が決定した参院選への対応では、民主党公認の安藤高朗氏を推薦、自民党の西島英利参院議員と、みんなの党から出馬する清水鴻一郎前衆院議員を支援することになりました。やはり民主党との関係を重視したということでしょうか。

 国民にとってよい医療制度を目指さなければならないという思いは、どの政党も同じです。しかし、わたしたちの理想を実現したり、恒久的な制度をつくったりするには、政権政党とのつながりがなければできません。自民党が政権を取っていれば、自民党が推す人を選ばざるを得なかったと思います。ただ、はっきり言えば、自民党が与党だった時代にいくら応援しても、一つも制度がよくならなかったことも確かです。だから、わたしではなく、前会長の唐澤祥人先生が今、会長だったとしても、安藤先生を推薦しないことはなかったでしょう。政権政党を優先するのは仕方がないことであり、そこにパイプがあれば、日医の医療政策を実現しやすくなります。

―もう一度政権交代があり、仮に自民党が政権政党に返り咲いた際には、どのような対応をされますか。

 その時はまた考えないといけないと思いますが、民主党を中心とする政党が政権を取っている間に、本来あるべき医療制度をきちんとつくっていこうと思っています。そうすれば、政権政党が代わっても、揺るぎのない医療制度が確立されるでしょう。

―先の日医会長選では、3候補に票が割れました。分裂した印象がありましたが、日医連の方針決定の際にその影響は出ましたか。

 現執行部は全く一つになっています。それが、日医連で参院選に向けた方針を決定する際、委員長のわたしに一任していただく流れをつくったのではないかと思います。
 役員には年長者が多く、自民党との付き合いを「変えろ」と言っても変えられない人がいるのは当然です。しかし、それでもなお、「変えなければいけない」と皆に対して言うのが、会長の責任でもあります。
 わたしとしては、われわれの仲間である安藤、西島、清水の3氏の中から1人だけを決めて、2人を外すことはしてはいけないと思いました。医師の団体にとっては、当選することよりも、選挙運動の過程で考え方の異なる人を交えて議論することの方が大切だという気がしました。それで1人に絞らず、3人に順番を付ける結果になりました。参院選までの期間は短いですが、われわれの仲間が当選するための応援はできる限り急いでやろうと思っています。

■会長選の見直し、月内にも議論開始

―原中会長がおっしゃる「強い日医」を実現するために、どのような改革を進めていくのでしょうか。

 まず、会員一人ひとりが日医会員としての意識が持てる医師会にしないといけません。そのための取り組みの一つとして、日医会長選の直接選挙について検討するプロジェクトチームのメンバーが決定したので、5月末から6月初めには議論を開始します。メンバーには、勤務医、病院長、開業医、弁護士などいろいろな人を入れました。立場が違う先生方に、会長選挙がどうあるべきか、直接選挙で当選者を決めるのか、あるいは代議員制がある限りは代議員の票と合わせて当選者を決めるのかなどを検討してもらいます。会長選にとにかく全会員が参加することは確かです。間に合えば、次の会長選から直接選挙にしたいと思います。

―日医の今後の政治的スタンスについてお聞かせください。

 政権政党とのパイプを強くしていきます。もちろん、医師会の意見はあくまでも国民が望むことでなければならず、「国民医療を守る医師会」ということを全会員が確認する必要があります。国民のために発言すると同時に、日本の医療保険制度が世界的に高い評価を得ているにもかかわらず、国民の満足度が低いことを考えると、国民に対しても発言しないといけません。世界中でタクシーの初乗り料金よりも医療費が安い国はどこにもない。それで病院がつぶれない方がおかしいのです。国民も医療崩壊について責任を持って考えるよう提案していこうと思います。
 国民と共に医療を考えていくためには、例えば大集会を開いたり、アンケートを実施したりするなど、いろいろな方法があります。自殺者も増えているので、「生命倫理」という観点から命の大切さを教育することも必要です。それらを踏まえて医療政策を提案していくためにも、われわれの判断資料を作成する日医総研をもっと活性化しようと思っています。

しかし会長が変わっても日医は相変わらずと言いますか、こうして原中氏の話を聞いていると何も知らない多くの国民は「やっぱり日医って開業医の利権団体だったんだね」と思いを新たにしそうで、「医師会の意見はあくまでも国民が望むことでなければ」なんて同氏の思いとはかけ離れたものとなっていきそうにも思えるのはどうしたものでしょうね。
原中氏の場合は反自民的立場なのはコメントからも明確ですが、一方で民主党とのパイプと言うよりは小沢氏個人へのパイプではないかとはしばしば噂されるところで、実際話を聞いていても出てくる名前と言えば小沢氏だの鳩山総理だのといった医療行政と縁遠い方々ばかり、実際に医療行政に関わっている民主党系議員の方々の名前は聞いたと言う記憶がありません。
また原中氏は会長選の時から直接選挙制導入ということを言っていますけれども、果たして直接選挙になった場合に同氏の考え方が多数派を占めるものなのかどうかは微妙なところだと思う一方、さりとて他にどんな有力候補がと名前が出てこないのも事実であって、これは日医という組織もなかなか難しい局面にはあるのかなという気がします。

いずれにしても参院選では日医としては民主党支持、しかし各地区の医師会が他候補を推すことは妨げないということで方針は決したということですが、実際各地で選挙に向けての推薦の動きが活発になってきているようです。
見ていますとあっさりと民主党支持への鞍替えを表明する医師会もあればやはり今回も自民党支持というところもある、はたまた自主投票してくださいというところもあって珍しく賑やかになっていますけれども、実際問題医師会が会員の投票活動に及ぼす影響力を考えた場合にどれほどの意味があるのかとも思う一方、それぞれの理由付けを聞いているとなかなか背後事情が伺われて面白いなとも思いますね。

自民やめ民主候補を推薦 参院選で栃木県医師連盟/栃木(2010年5月8日産経新聞)

 栃木県医師会の政治団体である県医師連盟は8日、夏の参院選の比例代表で、自民党現職西島英利氏(62)に昨年1月に出した推薦の白紙撤回と、民主党新人安藤高夫氏(51)の推薦を決めた

 先月の日本医師会の会長選挙で、親民主党の立場から西島氏推薦を白紙に戻すとした原中勝征氏を応援したためと説明している。

 また栃木選挙区(改選数1)では民主党現職の簗瀬進氏(60)と、自民党新人の県議上野通子氏(52)の推薦を決定。改選数が1なのに2人を推薦したことについて、同連盟は「各支部の事情も踏まえた」などとしている。

県医師連、選挙区・比例で自民候補推薦 参院選で日医連と“ねじれ”/静岡(2010年5月21日中日新聞)

 静岡県医師会の政治団体「静岡県医師連盟」は20日、静岡市内で執行委員会を開き、夏の参院選静岡選挙区で自民党新人の岩井茂樹氏、比例代表で自民党現職の西島英利氏を推薦することを決めた。上部組織の日本医師会(日医)の政治団体「日本医師連盟」(日医連)は、比例代表でこれまでの西島氏への推薦を撤回し、民主党から立候補予定の新人安藤高夫氏の推薦を決めており、対応が分かれることとなった。

 会議終了後、鈴木勝彦委員長が取材に応じた。西島氏の推薦について「6年間しっかり働き、日本の医療のために信頼できる人材。自民党ではなく“西島党”」と、人物本位で推薦したことを強調。岩井氏の推薦は「比例で自民候補を推薦している以上、混乱のないようにした」と説明した。会議では異論は出なかったという。

 日医連との“ねじれ”が生じた形だが、鈴木委員長は「日医連は、各都道府県の組織が西島氏を推薦することを妨げず、『推した以上、一生懸命やってほしい』と言っている。ねじれではない」と語った。民主党候補を推薦しない理由を「今の政権はあやふや。民主党の医療政策はまったくなってない」と説明した。

 西島氏は医師で日医の組織内候補として2004年の参院選で初当選。日医連は昨年1月、西島氏の推薦を機関決定していたが、今年4月の日医会長選で親民主の原中勝征氏が勝利。今月11日に開かれた日医連の執行委員会で安藤氏の推薦を決め、西島氏の推薦を撤回し、支援とした。

参院選 県医師連、初の自主投票へ/福井(2010年05月11日朝日新聞)

 県医師会の政治団体「県医師連盟」は9日、執行委員総会を開き、今夏の参院選福井選挙区(改選数1)は、特定の候補を推薦せず自主投票とすることを決めた。同連盟はこれまで自民を支持し、同公認候補を推薦することが多かったが、自主投票は今回が初めて。県内各地域の医師連盟については自主判断に委ねるという。

 県医師連盟によると、自民現職の山崎正昭氏(67)と民主新顔の井ノ部航太氏(35)の双方から推薦依頼が出ていた。政権交代後、自民支持を見直す方向で議論が進んできたが、政局が不安定な情勢を受け、総会では「政治的中立を保つ」という慎重な意見に落ち着いたという。

 同連盟は日本医師連盟(日医連)に自主投票の方針を報告した。全国から意見集約後、日医連は11日に方針を決定する。同連盟はそれに合わせて最終的に対応を決める。

 比例代表では、立候補予定の医師3氏(民主、自民、みんなの党)全員の推薦を確認した。

しかし定数一の栃木選挙区で民主と自民の両候補を共に推薦なんて無茶だとも思うのですが、なにやら昔の戦国時代の「一族が敵味方にそれぞれ別れて必ず誰かが生き残る」なんて話を思い出しますね。
いずれにしてもこの医療政策に関する問題では、自民党にしろ民主党にしろどちらが一方的に優れているというわけでもないと明らかになってきた、あるいは期待値が大きかった分民主党への失望感が過剰に広がっている感もありますから、政権与党というネームバリューも込みでどちらを選ぶかは確かになかなか難しい判断だと思いますね。
逆に言えば政党側からすれば大胆な医療政策の提示によって医療票を期待できる好機とも言えるわけですが、さっそく両政党から公約大盤振る舞いとも言えるような状態になっているようです。

診療・介護報酬の「大幅引き上げ」盛り込む―自民・公約原案(2010年5月14日CBニュース)

 自民党は5月14日、参院選マニフェストの原案を発表した。診療報酬と介護報酬を大幅に引き上げ、社会保障の財源に消費税の全額を充てるなどの内容。同党は今月末までパブリックコメントを募集し、6月前半の取りまとめを目指す。

 医療分野では、調剤報酬を含む診療報酬全体を大幅に引き上げ、医療供給体制の再生を図るとしている。

 党本部で同日記者会見した石破茂政務調査会長は、「費やした労力にふさわしい診療報酬体系に変えなければならない」などと語った。

 原案では、1000人体制の「県境なき医師団」を国が創設し、医師不足地域に派遣する仕組みを提案。また、チーム医療を推進医師の負担軽減や地域医療の再生につなげる方向も掲げた。看護師不足への対策としては、労働環境や処遇の改善を図る。
 医療関連の施策にはこのほか、▽65歳以上が対象の「高齢者医療制度」の創設▽高額療養費の限度額引き下げ▽患者を確実に受け入れられる救急医療体制の構築ドクターヘリの全国配備―などを盛り込んだ。

 一方、介護関連では、質の高い介護体制を実現するため、次の報酬改定での大幅引き上げを明記。介護従事者の処遇のさらなる改善も盛り込んだ。施設関連では、▽介護型療養施設の在り方や参酌標準の見直し▽特別養護老人ホームなど20万床の整備―などを掲げた。
 このほか、介護保険の公費負担の割合(現在は50%)を増やし、介護保険料の上昇の抑制を図る方向も示した。

診療報酬引き上げ、民主が公約に明記へ(2010年5月24日読売新聞)

 民主党の夏の参院選公約に、診療報酬の2012年度改定での引き上げが明記される方向となった。

 党マニフェスト企画委員会(委員長=仙谷国家戦略相、高嶋良充筆頭副幹事長)が決めたもので、医師不足や医療過疎の解消には一層の医師らへの支援が必要だと判断した。25日にまとめる公約案に盛り込み、最終的な公約を決定する「政権公約会議」(議長・鳩山首相)に提出する。

 2年に1回改定される診療報酬は、前政権まで社会保障費の抑制方針のもと、「マイナス改定」が続いた。鳩山政権は、これが「医療崩壊の危機」につながったとみて、10年度予算では0・19%増と、10年ぶりにプラス改定とした経緯がある。ただ、プラス改定には巨額の財源が必要で、参院選公約には引き上げ幅などを示さず、予算編成時の財政状況を見て決めるとする。

 医療政策ではほかに、医療産業を雇用創出のための成長分野と位置づけ、「メディカル・イノベーション(医療技術の革新)」への支援や地域における医師数確保の方針も盛り込む。
(略)

どちらもずいぶんと気前のよい話にも聞こえる一方で、こういうものは表向きの話としては聞こえがいいことを言うのは常ですから、口に出して言わない言葉の裏側を読まなければならないと思いますが、そう考えて見てみますと何となく両党の目指す方向性の違いというものが見えてくる気もしますよね。
例えば自民党案では「チーム医療の推進」「医師、看護師の労働環境改善」「確実に受け入れる救急医療体制の構築」といった華々しい話が並びますけれども、こうした話を総合してみますと見えてくるのは医療資源の集約化というキーワードに結びついてくるんじゃないかと言う気がしてきます。
そう考えてみますと「県境なき医師団」だとか「ドクターヘリの全国配備」といった話も、裏を返せばいわゆる医療僻地には常勤的なスタッフとしての医療資源を割くつもりはなく、非常勤医師の公的な確保であるとか搬送体制の整備といったもので対応して行くという、厚労省が以前から進めるところの医療資源の集約化論と密接につながる話なんだなと言うことが見えてきます。

一方で民主党案を見てみますと一見して医療の成長産業化などと規模拡大路線を突っ走っているかにも見えますが、医療費増を唱えて票を獲得しながら実質ゼロ改定だった今回の改訂と同様、参院選公約でも注意深くプラス改定の数字目標を明らかにしなかったことに注目していくべきでしょう。
「予算編成時の財政状況を見て」などと言いますが、日本経済の先行きを考えても向こう数年どころか下手すると数十年レベルで財政が豊かになるなんてことはあり得ない話ですから、どう言葉を偽ってみても国庫支出を増やすつもりはないということが明らかですよね。
国の金はこれ以上出さない、一方で医療自体の規模はどんどん大きくするということであれば、無保険者である外国人患者を巨大な規模にまで呼び込むなどというあり得ない話ででもなければ、これはどうしたって混合診療導入を大規模に推し進めていきますといった方向につながってくるということになってきそうです。

面白いのは民主党の言うところの混合診療導入はもちろんですが、自民党による医療の集約化(要するに、中小医療機関潰し)にしても要するに支持基盤の否定ですから、かねて日医が強硬な反対論を貫いてきたのは彼らにしても当然のことであったと思います。
一方で「混合診療になぜ反対?」とかねて声をあげている亀田病院の亀田隆明理事長あたりと民主党との距離がどんどん縮まっているわけですが、民主党の人々にとっても亀田理事長の描くような規制緩和による成長論は耳に快く響くもののようで、そうなりますとこの道も日医の代弁している(つもりの)小さな町医者の先生方にとってはあまりありがたくない話なんだろうなとは想像出来るところですよね。
要するに今度の選挙、どちらに転んでも積年の日医の立場からすると好ましくない将来像が待っていそうなんですが、逆に日医の会員の中でも今や少なからぬ数が存在しているはずの勤務医会員にとってみれば、何が悪いの?いい話じゃないと考えている人もいておかしくない話でもあるわけで、これこそが日医の抱える本当のねじれ現象だと思いますね。

長年日医の掲げてきた公の立場と言うものが、その会員の生の声の集約されたものでは決してなかった(意外に地方医師会の役員をされているような開業の先生ほど日医に対する不満も大きいものです)と言うことが医者の日医離れを招いた一因でもあるわけですが、逆に考えればこれは改めて日医とは何か、どのような人々の代弁者たるべきかと基本的なところに考えを及ぼす好機でもあるはずですよね。
せっかく会長選で激しく票が割れて内部が全く一枚板に程遠いということが世間の目にも明らかになり、もちろん単に医者であるというだけの共通項でくくれるほど医者の世界が一枚板でないことも明白なんですから、単に会長選は直接選挙にしますなんてレベルの話ではなく、本格的な日医改革の議論に結びついてもいい時期ではあると思います。
しかし会長自ら「10年ぶりに総額が上がったことは評価できる」なんて目先の金勘定以外に何のビジョンもないのかとも思えるようなコメントをまず出してくるあたり、もしかして日医の、いや日本の医療の将来像なんてあまり深く考えてもいないんじゃないか?という疑問も湧いてくるのですが、どうなんでしょうね?

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2010年5月24日 (月)

まだまだ先は長いという最近の話題二題

何かこのところ妙に蒸し暑くなってきて、すこしばかり体調維持に苦労していますが、皆さんもおかわりはないでしょうか?
さて、本日は最初はそんなものなんだろうなという最近の話題を二件ほど紹介してみたいと思いますが、まずはこちら産科補償制度初年のまとめが出たという話題からです。

産科医療補償まだ34件…剰余金数十億円発生も(2010年5月21日読売新聞)

 出産事故で脳性まひになった子どもに医師の過失がなくても3000万円の補償金を支給する産科医療補償制度で、昨年1月の導入以降の支給件数が34件にとどまっていることがわかった。

年500~800件という当初の見通しに比べると著しく鈍い出足で、今後、支給件数が大幅に増えない限り、数十億円規模の剰余金が発生する可能性がある。制度の周知徹底が求められるほか、要件緩和や補償金額など見直しの議論も浮上しそうだ。

 同制度は患者の早期救済と、医療訴訟を減らして産科医離れを食い止めることを目的に導入された。申請ができるのは、脳性まひの診断が可能になる生後6か月から5歳の誕生日まで。運営する日本医療機能評価機構によると、昨年初めに生まれた赤ちゃんが生後6か月を迎えた昨年7月以降、今年4月までの10か月間に申請があったのは35件。書類の不備で継続審査になった1件を除き、支給が決まったのは34件だった。

 補償金は医療機関が同機構を通じて損害保険会社に支払う保険料(出産1件3万円)で賄う。

 国内の出産は年100万件余あり、保険料は年約300億円集まる。保険会社との契約で、件数が予想より少ない場合の剰余金は、支給が年300人を超えれば全額が同機構に返還されるが、300人未満なら、300人分の額と実支給額の差額は保険会社の取り分になる。同機構は、現時点で件数が少ない要因として、〈1〉成長して症状が変化することもあるため医師が診断に慎重になっている〈2〉制度の認知度が十分でない――などを挙げる。

以前にも取り上げましたようにこの制度、もともとの予測件数の試算が少し甘いのではないかという疑惑もありますけれども、取り敢えず初年としては周知徹底の不足といった事情が最も大きい要因になっているだろうことは容易に想像できるわけで、そうなりますと今後どのあたりで需要が横ばいになってくるのかが重要ですよね。
仮に予測より少ないところで横ばいになったと言うことであれば、補償金額を引き上げるとか保険料を減額するといったことではなく、より広範な対象が補償を受けられるように要件の緩和に回してもらいたいものですが、特に年間3000人とも試算される脳症児のうちごくごく限定された一部分しか補償が受けられないのはどうかと言う話です。
こうした制度の理念としてより広範な救済を行っていくことが望ましいのは言うまでもないことですし、より現実的な問題として補償を受けられる、受けられないで現場に新たな火種を持ち込むような話にもなりかねませんから、早めに支給要件の見直しを検討していただきたいと思います。

以前から繰り返していることですが、広範な無過失保証制度の導入によって医療紛争や、紛争化せずともそれ以前の段階で不毛な医療と患者側との対立関係が発生することを防げる可能性があります。
もちろん金銭的補償によって救済が得られるということもありますが、無過失保障を受けるために患者側と医療側とは自然と同じ目的に向かって自然と協力関係を構築することになる、それが両者の間での感情的対立を防止するとされていて、むしろ産科領域に限らずより広範に対象を広げていくべきではないかと思いますね。
このあたりは制度の規模を拡大して保険会社や天下り団体が儲かることはあっても、国庫支出がさほど増えるというわけでもなさそうですから、国とりわけ財務省あたりにしても積極的反対論を唱えるような状況にもなさそうに思えるのですがどうでしょうね?

さて、一方でいわゆる安楽死、尊厳死の問題とも絡めてこんな話題が出てきていますけれども、まずは記事から紹介してみましょう。

延命中止想定で脳死判定 民主が立法化へ(2010年5月20日47ニュース)

 民主党は20日、人工呼吸器などの生命維持装置が装着されたまま「臨床的脳死」と診断された患者に限り、特別な脳死判定を経た上で医師に延命治療の中止を認めることの立法化に向け、党内での検討を始めた。

 桜井充・党参院政審会長が「試案」として骨子を作成、国会内で同日開かれた党政策研究会で示した。ただ、臓器移植ではなく延命治療の中止想定で脳死判定を行うことについて党内には慎重論も根強く、今国会の法案提出は困難な情勢だ。

 試案によると、医師が「臨床的脳死」と診断した後、患者や家族の意向を確認。延命治療の中止を求める場合、臓器移植の際の法的脳死判定に近い形で「特別脳死判定」(仮称)を実施する。これで「脳死」と判定された場合、医師が患者への医療行為を中止し、心停止に至った時点で死亡宣告を行うとしている。

患者本人が事前に治療継続を望んでいた場合は、家族が希望しても延命中止はできず、逆に本人が中止を希望していた場合でも、家族が治療継続を望めば中止できない本人の意思が不明で家族が存在しない場合も中止できない

こうした話に関しては絶対反対と言う人もいるだけに、法制化の最初のとっかかりとしてまずはこんなところからスタートするのもやむなしなんでしょうが、救急学会のガイドラインが「家族の意思が明らかでない場合や家族が判断できない場合は、家族の納得を前提に、医療チームが治療中止を決めることができる」としているのと比べると、ずいぶんと消極的な内容に留まっているとは言えると思いますね。
もちろん「勝手に人を死体扱いするな」と言う人たちと、「本人や家族の意志が判らなければ永遠に続けるのか?」という現場との間に何らかの妥協点を探る必要があるわけですが、人の死を法的に規定するという作業になるだけに最初はかなり厳しい基準になるだろうとは当然予想できたところで、むしろ注目すべきはこういう法律ができてから警察や検察が実際どう対応を変えてくるのかですよね。
法律でこういうきちんとしたルールができたんだからその枠内からはみ出したのはケシカランとなるのか、あるいは法律上も延命中止を認めているのだからと周辺のグレーゾーンも含めてある程度対応を緩くしてくるのか、過去の事例からするとこの方面に関してはかなり謙抑的な運用がなされている印象ではありますが、今後どうなってくるのかが要注目だと思います。

この件に限らず民主党政権になって医療に関わる部分でも結構色々な動きが出ていて、恐らく彼らとしても何かしらの危機感あるいは突き上げがあって「何かをしなければ」という気持ちはあるのでしょうが空回りしていると言うのでしょうか、今のところ衆院選で鞍替したという人も多いだろう医療現場の人間から見ていて、期待されたほど現場の声が届いていないのではないかという印象もあるんじゃないかと思います。
定期的に開かれている同党の「介護を考える議員連盟」の勉強会においても、100人を超える加盟議員数に対して毎回参加者は10人そこそこという寂しい状況が続いているようですけれども、こういう調子ですと「なんだ、医療・介護を重視するなんて言ってたけれども、結局票集めのためのアピールだったか」と言われかねない気配にもなってきますよね。
昨今医療現場からの要求というのはやれ不要不急の受診抑制だ、やれ医療費削減見直しだと、受益者である国民から見てみると現状改悪とも言えるような話も多く、そうした意味では医療従事者の声に耳を傾けるということは国民に背を向けることにもなりかねない側面もありますから、今後どちらに顔を向けていくつもりなのかと選挙絡みでも各方面から注目が集まるところでしょう。

しかし小沢さんの平素の言動から推察するに、「釣った魚に餌はやらない」と言われて日医涙目なんてことも十分ありそうかなとも思っているんですが(笑)。

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2010年5月23日 (日)

今日のぐり:「讃岐弘法(さぬきこうぼう)」

先日ひょんなことからちょっとした話題になったのがこちらのニュースですが、まずは記事から紹介してみましょう。

「宇宙人と遭遇」発言の共和国大統領が物議、ロシア(2010年5月7日AFP)

【5月7日 AFP】ロシア連邦南部の仏教共和国、カルムイキア共和国の大統領が「UFOに乗った宇宙人に自宅を訪問された」と発言し、連邦議員が機密漏えいに関する質問状を政府に送るなど物議を醸している。

 国際チェス連盟(World Chess Federation、FIDE)の会長でもあるカルムイキア共和国のキルサン・イリュムジーノフ(Kirsan Ilyumzhinov)大統領は4 月下旬、著名人を招く国営放送のトークショーに出演した際、心底まじめな様子で1997年に宇宙人に会ったことがあると語った。

 発言の奇妙さをあおるように、民族主義政党・ロシア自由民主党の国会議員アンドレイ・レベデフ(Andrei Lebedev)氏はドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)連邦大統領に、イリュムジーノフ大統領の「宇宙人との遭遇」に関し、国家機密を漏らしているのではないかとの懸念を示す書簡を送った。

 ロシア大衆紙などが引用した書簡には「連邦大統領閣下--カルムイキア共和国大統領が宇宙文明を代表する者との接触について閣下に正式報告したということですが、イリュムジーノフ氏のように機密にアクセスできる高位の人物が、そうした接触を報告する際に確立した手続きがあるのかどうかをうかがいたい。また、まったく無邪気に見えた(番組での)会話の中で、彼は機密情報を漏らしてはいなかったのかどうかをお答えいただきたい」と記されていた。

 トークショー内でイリュムジーノフ大統領は、モスクワ(Moscow)のマンションのバルコニーに透明のチューブに入った宇宙人が現れたと語っていた。近くにいた運転手、閣僚、側近の3人も目撃したという。

 熱烈なチェス愛好家のイリュムジーノフ大統領が地球外生物との接触について口にしたのはこれが初めてではなく、2001年にもUFOに乗せてもらって飛んだことがあると発言している。

「宇宙人に連れ去られた経験がある」と大統領が激白!/ロシア(2010年5月9日サーチナ)

  ロシア南西部のカルムイク共和国の大統領が、宇宙人に連れ去られた経験があることを激白し話題になっている。先週(現地時間)、ロシアの国営放送に出演し、この事実を証言したのだ。

  カルムイク共和国のイリュムジーノフ大統領は、4月26日(現地時間)に出演したロシアの国営放送チャンネル1で、宇宙人に連れ去られた経験について明かした。

  大統領によれば、1997年9月18日にモスクワのアパートに宇宙人は訪れたという。半透明のチューブ型の宇宙船で現れた。ベッドで眠りに就こうとしていたところ、バルコニーから誰かが呼ぶ声がして、出て見るとそこには黄色い服を来た宇宙人がいた。宇宙人は人間と変わらない容姿をしていた。彼らは言語ではなく、テレパシーのようなものを使って大統領に語りかけたそうだ。そして、宇宙船を目撃した人物は大統領だけではなかった。「私の運転手と大臣、それから補佐官がいた。3人の目撃者がいなかったら、私自身も宇宙人に遭遇した事実を信じることは出来なかっただろう」とイリュムジーノフ大統領は述べている。

  この証言を聞いたアンドレ・レーベジェフ議員は、ロシアのメドベージェフ大統領に報告し、ロシア軍警察にこの事実の調査を依頼した。レーベジェフ議員は、「大変重要な内容であり、厳正に調査されなければならない」と語っている。

  ちなみにこのニュースを報じている『digitaljournal.com』には、宇宙人に連れ去られたことのある他の国家要人が紹介されている。米大統領候補者だったデニス・クシニッチ氏。元大統領ジミー・カーター氏。ごく最近の例として、鳩山幸夫人の名も挙がっている。

  黄色い服の宇宙人事件は、ロシア政府によって今後調査が進められる予定だ。

いやまあ、内容自体は結構電波ゆんゆん言わせてるのかなという感じなんですが、宇宙人に連れ去られたことのある国家要人としてここにさりげなく登場している「鳩山幸夫人」って、すでに各国公認かよおい!
今やご本人こそが宇宙人なんじゃないかなんて噂もある某国総理夫妻はともかくとして、本日は各国の政治家の話題を紹介してみますけれども、最初はなかなか味のある?こちらのニュースです。

「風はある残念ながら髪はない」EU大統領(2010年1月10日読売新聞)

俳句好きで知られる欧州連合(EU)のヘルマン・ファンロンパイ欧州理事会常任議長(EU大統領)(62)の句集を出版する構想が浮上している。

ベルギー出身の詩人ジェルマン・ドローゲンブロート氏が発起人で、欧州と日本での俳壇デビューを本人に働きかけている。

「髪に風 何年たっても風はある 残念ながら髪はない」(本紙訳) 

「ハエが飛ぶ うなる 回る 部屋をさまよう 誰にも害は与えない」(同)

ファンロンパイ氏の句は、独特の哀愁とユーモアを特徴とする。
ベルギー首相在任中を含め約5年間にわたり個人ブログに作品を書きつづり、現在も毎月3句前後のペースで創作を続けている。

昨年11月にEU大統領に選出された後は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルで作品が紹介され、俳人としても脚光を浴びた。欧州では「ハイク・ヘルマン」の異名が定着しつつある。

句集は原語のオランダ語に英訳や和訳を付け、日欧で売り出す計画だ。
出版の打診に対し本人は未回答だが、ドローゲンブロート氏は「EU大統領のおかげで短詩という表現手法に関心が高まっている。世界中で詩歌愛好者を増やすチャンス」と意気込んでいる。

同氏の俳句サイトにご風貌が掲載されているんですけれども、サイトトップの写真が微妙なところでカットされているのは意図的なんでしょうかね(笑)。
何かと話題も多く今も注目されているのがこちらロシアのプーチン首相ですが、(個人として)世界最強の国家元首とも言われるその数々の武勇伝にまた新たな一ページが書き加えられたようです。

ホッキョクグマの保護訴え プーチン首相が北極圏訪問(2010年4月29日産経新聞)

 ロシア主要メディアは29日、プーチン首相が北極圏のロシア領フランツヨシフ諸島を訪れ、絶滅の恐れが指摘されているホッキョクグマの保護活動に参加、北極の環境保全の必要性を訴えたと伝えた。

 首相は動物学者らと共に、特別に捕獲されたホッキョクグマに生態を観察するための発信機を取り付ける作業を体験。「(温暖化のため)氷が減少し、ホッキョクグマの生息は危機にさらされている」と指摘し、北極の環境保全のためには近隣諸国の協力が不可欠だと述べた。

 その一方で、北極圏はロシアの海軍基地が点在し、貴重な鉱物資源が存在する戦略的に重要な地域だとも指摘。北極でのロシアの権益を確保していく姿勢を強調した。(共同)

ちょうど写真が出ているんですが、プーチンさんとうとうシロクマまで押さえ込んじゃって、またこのシロクマのすっかり観念しきった顔が素敵です。
捕鯨問題などで昨今何かと日本でも話題になることの多くなったケビン・ラッド豪首相ですけれども、遠くアメリカでも妙なところで話題になってしまったようですね。

ロビン・ウィリアムス「豪州は南部の田舎者」、豪首相が激怒(2010年4月1日AFP)

米俳優・コメディアンのロビン・ウィリアムズ(Robin Williams)が米テレビのトークショーで、オーストラリア人のことを「レッドネック(南部の田舎者)」と呼んだことに対し、オーストラリアのケビン・ラッド(Kevin Rudd)首相が、まずは自分の国の心配をすべきだとかみついた。

 ウィリアムズは、米CBSテレビ人気司会者のデビッド・レターマン(David Letterman)氏の番組に出演し、「オーストラリア人は基本的に英国における南部の田舎者だ。あっちへ行くと『よお元気!やあやあ!こんちわ!』みたいな感じだろ」と語り、さらに「仮にダーウィンがオーストラリアに上陸していたとしたら、『おれは間違っていた』と思っただろうね」とたたみかけた。

 これに対し、ラッド首相は前月31日、「南部の田舎者ということで誰かを非難するのならば、ロビン・ウィリアムズは(米南部の)アラバマ(Alabama)州に行って少し滞在してからにするべきだね」とメルボルン(Melbourne)のラジオで批判した。

 ちなみに、進化論の父、ダーウィンは19世紀にオーストラリアに滞在したことがある。

しかしこの記事、日付が日付だけにあるいはネタなのかという可能性もあるかと思うのですが、この微妙さ加減は一応マジネタということでよろしいんですかね?
一方で豪州と言えばご存知世界に冠たるブリを旧宗主国に仰ぐというお国柄ですから、そちら系のネタにも事欠かないようです。

「わたしは政治家、信用するな」、豪野党党首が開き直り(2010年05月20日AFP)

年内に総選挙を控えるオーストラリアの最大野党・自由党のトニー・アボット(Tony Abbott)党首が18日、「わたしは政治家だ。信用するな」と発言し、政界で物議を醸している。

 豪ABCテレビの人気キャスター、ケリー・オブライエン(Kerry O'Brien)氏から新税導入はしないと約束した1か月後に発言を翻したことを詰め寄られたアボット氏は、「議論が白熱すると落ち着いて思慮深く準備した原稿のある発言より、多少言い過ぎることもあるだろう。絶対的真実のようにとらえる必要があるのは、慎重に準備された原稿のある発言だけだ」と開き直りとも聞こえる発言をした。

 与党は世論調査で人気の高いアボット氏を攻撃する格好の材料ととらえ、指導者としての資質に疑問を投げかけた。

 ABCラジオに答えたリンゼー・ターナー(Lindsay Tanner)予算・規制緩和相は発言を皮肉り、「商品のパッケージの底を見たら小さな字で『どうぞこの商品をご使用ください。ただしあなたを殺す危険性があります』と書いてあるようなものだ」と語った。

 率直な物言いが自分の長所だと公言しているアボット党首は、今回も国民に対して「正直」でいようとしているだけだと語った。

 カトリック司祭になる教育を受けた経歴もあることから「マッドモンク(狂った僧侶)」ともあだ名され、荒唐無稽な発言が多いという評判を裏切らないアボット氏だが、なかなか揺るぐことのなかった与党・労働党への支持を減らすことでは成功している。政治的には右寄りで、派手な人柄の「フィットネスおたく」としても知られる。

これはしかし「それを言っちゃあおしめえよ」と寅さんならずともこぼしたくなるような話ではありますけれども、某国総理閣下なども「trust meは詐欺師の常套句」なんてことを言われたりしているようですから、案外正直でいいじゃないかという見方も出来るのかも知れません。
一方で正直と言えば宗主国の方でもこれ以上正直な話はないというような話題が出ているようですけれども、これがブリ一流のブラックジョークと思わせておいてどうやらネタではないから困るという話ですよね。

本気?ジョーク?英財務省高官「もうお金はない」と引き継ぎ(2010年05月18日AFP)

【5月18日 AFP】英国の新内閣が直面する経済問題がどれほど深刻なのか、前政権の財務省主席担当官が後任への引き継ぎの手紙でたった1文で表現していたことが明らかになった。

 デービット・キャメロン(David Cameron)首相率いる新内閣で財務省主席担当官に就任したデービッド・ローズ(David Laws)氏は17日、記者団に対し、前任者のリアム・バーン(Liam Byrne)氏から受け取った手紙について語った。

 ローズ氏は、「主席担当官として初登庁した日、デスクには前任者からの手紙が置いてあった。今後、どう舵取りをしていくかについてのアドバイスだと思った」という。

「だが、手紙にはたった1文しか書かれていなかった。『主席担当官殿、残念ですが、お金はもう残っていません』とね。正直ではあるけれど、期待していたアドバイスではなかったね」

 バーン氏は、このメッセージについて、単なるジョークだと強調している。

 キャメロン首相率いる連立政権は、過去最大規模にまで膨らんだ財政赤字削減を最優先事項としており、来月22日には緊急予算案を発表する見通しとなっている。

前任者からの手紙と言えば思わず古いジョークを思い出してしまったのは自分だけでしょうか?

とある国家元首が就任したとき、前任者に3通の手紙を渡された。
「何か重大な問題があったとき、一通ずつ開けなさい」
そしてその時がやってきた、「1」と書いてある封筒を開けると中から
「すべて私の責任にしなさい」
その場はすべて収まった。
それからしばらくして、また問題が起こった。「2」と書いてある封筒の中には
「すべて部下の責任にしなさい」
なんとかその場も凌ぐことができた。
そしてまた問題が起こった、今度は今までとは違う最大の難関だ。
すがるような思いで最後の封筒を開けると中から
「君も3通の手紙を用意しなさい」

しかし考えてみれば、我が国の総理閣下も既に二通目までの手紙を開封してしまっているわけですから、これはそろそろ三通めの用意も必要ということなんでしょうか?
昨今では経済問題や財政赤字など各国とも課題が山積していますから、むしろ何らの問題もなく政治が安定している国の方が珍しいのでしょうけれども、さすがブリだけにこうした政治の混乱すらもジョークのネタにしてしまうということなのでしょう。

既存政治家やっつけろ!英総選挙に出馬した「ベークドビーンズの化身」(2010年5月1日AFP)

【5月1日 AFP】来週に迫った英総選挙は、与党・労働党と2大野党の保守党、自由民主党の三つどもえの戦いが注目を集めているが、西部ウェールズ(Wales)地方のポートタルボット(Port Talbot)では、ちょっと変わった「スーパーヒーロー」が議会を通じて変革の風を吹かせようと立候補している。

 どぎついオレンジ色の全身に金色のマントをひるがえす彼の名は、「キャプテン・ビーニー(Captain Beany)」。英国人がこよなく愛するトマトソース漬けの缶入りベークドビーンズの「化身」だ。有権者は政治家たちに愛想を尽かしており、こうした政治家たちを「やっつける」スーパーヒーローが求められている、というのがその主張だ。

 ちなみに正体は、以前はコンピューターのオペレーターとして働いていたバリー・カーク(Barry Kirk)さん(55)。地元ではちょっとした有名人だ。

■マニフェストならぬ「豆フェスト」で勝負

 キャプテン・ビーニーが立候補した「故郷アベラボン(Aberavon)」――本人曰く「ポートタルボットの上品な名前」―― の選挙区は、ウェールズ南部沿岸の経営難にあえぐ製鉄所の町で、与党労働党(Labour Party)の地盤。俳優のリチャード・バートン(Richard Burton)やアンソニー・ホプキンス(Anthony Hopkins)を輩出した土地としても知られる。

 同地選出の国会議員を目指すキャプテン・ビーニーは、選挙対策本部であるパブ「レッドライオン(Red Lion)」でAFPの取材に応じ、「変革の風は近づいている。空気の中にそのにおいがするぞ!」と語った。「選挙の熱狂を感じるだろう。ほら、豆のソースの中に!」

「政治家たちはでたらめなやつらばっかりだ。誰か少し違うタイプの人を入れてみて、変化が起きるか確かめてみるべき時が来た」

 そんなキャプテン・ビーニーの「新世紀豆党(New Millennium Bean Party)」のマニフェストならぬ「豆フェスト(beanyfesto)」は、すべての入れ墨(タトゥー)を英語とウェールズ語の「2か国語表記」にすることや、歩道にこびりついたチューンガムを削り落とし、それで道路の穴を補修すること、汚職に関与した政府高官の顔をトイレットペーパーに印刷することなど。もっとも、税制度やアフガニスタン政策、教育政策などでまじめな提案もしている。

 キャプテン・ビーニーは、英国の奇人変人候補者の伝統を受け継ぐ1人だ。過去の選挙では、「モンスター・ レイビング・ルーニー党(Monster Raving Loony Party、怪物・狂乱・間抜け党)」のスクリーミング・ロード・スッチ(Screaming Lord Sutch、スッチ絶叫卿)など、多くの奇抜な衣装に身を包んだ候補者たちが立候補している。

まあこういう話題先行の泡沫候補って出るもんですよって、すでにブリでは伝統芸かいっ!と思わずツッコミを入れてしまいますけれども、変化が起きるかどうか確かめるのはいいとして、それは「少し違う」程度の話で済むのかと思ってしまうのは日本人の悲しい性ですかね?
さすがに議会制民主主義の長い伝統を誇る国だけに、こういう方面での寛容ぶりにはまだまだ見習うべきところもあるようですが、間違って(失礼)これが当選してしまった日にはこの奇抜な豆フェストがどうなってしまうのかと、今後に妙な興味もひかれるところではありました。

今日のぐり:「讃岐弘法(さぬきこうぼう)」

山口市と言いますと香川県からもずいぶんと遠いですけれども、なぜかその山口市内の一角に忽然と出現しているのがこちらの讃岐うどんのお店です。
昨今では全国各地で讃岐うどんを名乗る店は多いですし、失礼ながらどこがどう讃岐うどんなのかよく判らないようなお店も多いようですが、こちらはカウンターに天ぷらやおにぎりが並んでいるよくあるスタイルのセルフ店でメニューもそれなりに多種多様に揃っているのですが、食べてみた結論から言うと味自体はなかなかにしっかり讃岐うどんをしているようですね。

この日はぶっかけうどん(冷)に釜玉うどんをそれぞれ並で頼んでみましたが、具沢山のアレンジメニューはともかくこういうベーシックなメニューになると非常にシンプルにうどんそのもので、これに好みでネギやら揚げ玉やらを載せていくというスタイルになっています。
このぶっかけ(冷)の場合はガラスの器ごと冷蔵庫で冷やされたダシがついてくるというのも気が利いているなと思うのですが、食べてみるとやや甘口でたっぷりしたイリコの風味が口に広がる(ついでに、ぶっかけうどんとしてはやや薄口)という、きちんとかの地の基本線を守った味になっているのは良いことだと思いますね。
うどんはきちんと角がたち見た目の色つやもよいもので、やや硬めの加減でコシは中等度といったところでしょうか、もちろん締めて冷たいうどんで食べてみてもいいですが、この塩梅ですと暖かいうどんとしてもいけるんじゃないかと言う気がします。

そこで登場するのが釜玉うどんなんですが、熱々の釜揚げうどんにテーブルに用意されたかけ醤油をひと垂らし、ふた垂らし、玉子と一緒にがーっとかき混ぜて口に運んでみますと、これが予想通りにちょうどいい加減でするすると喉に入っていきます。
メニューを見てみますと色々とトッピングに凝ったものもあるようですけれども、これくらいのうどんであればなるべく素に近いものにしておいた方が素直にうどんの味が楽しめるんじゃないかとも思うんですが、まあそのあたりは地域のうどん食文化の有り様にも関わってくるということなのでしょうかね。
見ていますと若いお客さんなどは結構シンプルなうどんを中心に頼んでいるようですから、このあたりは今の時代ローカルな食の流儀でも幾らでも広く伝わっていくものでもありますし、なるべくシンプルにうどんそのものの味を味わうという讃岐の基本のところをもっとアピールしてもよさそうに思います。

全般的にはうどん自体決して悪くないですし、味の組み立てもきちんといりこの風味がたったダシがそれらしさを感じさせ、他地域で開業している讃岐うどんのお店としてはごくごく真っ当なものなんじゃないかという気がします。
バイト的店員さんも入っているのか接遇面ではさほど気の利いたところは感じられませんけれども、それ以前に天ぷら類などは食べてはみませんでしたから味の評価はおくとしても、開店時間が来てお客もどんどん入っているのにまだうどんの準備が出来ていない、天ぷらなどの類も揃っていないということが常態化しているのであれば、オペレーションの面ではもう少し改善の余地はありそうですかね。
まあこういうセルフの店というのはあまり濃厚なサービスをやり過ぎてもかえって鬱陶しくなってしまう場合もありますから、これくらいのゆるさ加減で普段から業務が廻っていると言うのであればそう問題ではない話なのでしょうが、一方で値段の方は讃岐系セルフ店らしからぬ(苦笑)高値安定なのは、これも地域のうどん食文化とも関連しているのでしょうか。

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2010年5月22日 (土)

今日のぐり:「多田水産 須崎道の駅店」

サッカーのワールドカップも近づいてきていますけれども、ちょうどタイムリーなこんな話題が出ていましtあ。

W杯優勝のためなら「1週間、食を断つ」93%(2010年04月25日スポニチ)

 「サッカーW杯で勝利が見られるなら、あなたは何を犠牲にできる?」。ある企業が、北米在住のW杯出場国出身者2万人にこんな調査をした。優勝できるなら「1年間、デートをあきらめる」が40%以上、「職をなげうつ」は7%。イングランド出身者の93%は「1週間、食を断つ」と回答した。

 最も冷めていたのは初出場のスロバキア出身者。何かを犠牲にできると答えたのは3%だった。

一週間ブリ食を断つというのは犠牲を払った事になるのかどうか、フットボール発祥国における情熱の示し方としていささか疑問の余地なしとしないんですが、これがもし一週間お茶を絶つなんて選択肢であったとすれば、彼らもこうもやすやすと決断できたかどうかですよね。
本日は時事ネタをいくつか取り上げてみようと思いますが、まずはこちらW杯開催国の南アフリカからちょっとアレな話題です。

【アフリカ発!Breaking News】「女性をレイプしたことある」。ありえない南アフリカ大統領、HIV検査を受けていた。(2010年4月28日テックインサイト)

3人の妻、1人の内縁妻、1人のフィアンセ、総計20人の子供を持つ南アフリカの大統領ジェイコブ・ズマ。来年の6月末までにHIV検査受診者 1500万人を目指すというキャンペーンでズマ大統領もテスト対象者となった。果たして結果は?

4月8日、ズマ大統領は4度目の検査を受けた。そしてその結果をヨハネスブルグにあるナタルスプラウト病院で公開した。

「慎重に考慮した結果、私の検査結果を全ての南アフリカ国民と分かち合おうと決意した。HIV検査結果は・・・ネガティブである。」と述べると、拍手が沸き起こった。さらに、過去3回のテストも陰性であることを発表。過去にHIV陽性の女性をレイプし、「レイプ後すぐにシャワーを浴びたので大丈夫。」と堂々と発言したズマ大統領。今回の結果を公表したのもネガティブであったからだと言われている。

HIVネガティブである今、ズマ大統領の演説も大胆になっている。
「検査の結果を無理やり公表する必要もない。全ての人にプライバシーと尊厳は与えられるべきだ。」
「南アフリカ国民はHIV検査の結果を尊重するべきであり、陽性、陰性にかかわらずHIV感染拡大を抑えるために共に助け合うべきである。」
「HIVは犯罪ではなく、もはや死の宣告でもなくなった。」
など、HIV陽性の人々を保護する発言が目立った。

現在、HIV/Aidsの感染を防ぐための国家対策として10億個のコンドームが散布されている。今回のキャンペーンを通じてのメリットとして HIV/Aids教育向上、HIV保持者の人権や尊厳の助長などが挙げられる。また、『病気の多い国』という汚名、マイナスイメージの払拭も試みている。保健省はARV(抗レトロウイルス薬)治療を行う施設が500から1000施設に増えたことを発表、HIV/Aids検査を積極的に受けていこうと推進した。

HIVネガティブと判明した今、ズマ大統領に怖いものはない。

いや、えらく前向きなコメントが並んでいますけれども…大丈夫なんですかねこの国は?
まあ南アフリカのことは南アフリカ国民に委ねるとして、昨今国が破産したと大騒ぎになっているギリシアからニュースを二題紹介してみましょう。

ギリシャ空軍パイロット100人「病欠」 事実上のスト(2010年4月27日朝日新聞)

 【アテネ=南島信也】財政危機に陥り欧州連合(EU)のユーロ圏諸国と国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請したギリシャで、同国空軍のパイロット100人以上が26日、訓練飛行をキャンセルした。政府の財政再建策の一環による給与削減に抗議した事実上の「ストライキ」という。

 空軍では、諸手当などが最大で35%カットになり、年収が約6千ユーロ(約75万円)減るパイロットもいる。関係者によると、パイロットらは「肉体的にも精神的にも飛べるような状態ではない」として、訓練飛行を拒否したという。法律上、軍隊にはスト権は認められていないため、表向きは「病気」を理由にしている。

 ベニゼロス国防相は声明を出し、「職業的責任感のない恥ずかしい行為」と批判した。しかし、海軍と陸軍のパイロットも同様の抗議行動を計画しているという。

 またアテネ近郊にある同国最大のピレウス港では同日、船員・港湾労働者組合が24時間ストを行った。大型客船など約20隻が港内に閉じ込められたまま出航できず、観光客ら数千人が影響を受けた。政府の緊縮策や金融支援要請などに対する国民の反発が本格化し始めた。

しかしこれ、「職業的責任感のない恥ずかしい行為」と言いますが、体調不良によって訓練に参加出来ないということであれば、これは正当な権利であって何ら恥じるところでもないことであろうかとも思いますけれどもね。
一方で国民レベルでもでも活動が盛んになっているとも側聞しますが、そんな中でこんな微笑ましい?話題もあるようです。

ギリシャ 「デモ犬」が人気者に(2010年5月18日毎日新聞)

 マスク姿で投石するデモ隊とともに、一匹の犬が戦う姿勢を見せている、今月5日撮影。ギリシャの首都アテネでは緊縮財政に抗議するデモが繰り広げられているが、なぜかデモ隊と一緒に行動するこの野良犬が街の人気者となっている。

 「デモは文化」とも言われるギリシャでも、今回は近年にないほど過激化し、死者が出る事態に発展。そんな中、「デモ犬」は主要メディアでも話題となり、殺伐とした雰囲気を和ます存在として一役買う。インターネットのブログでは「格好いい」「大衆の味方だ」などの書き込みも。

 愛称は好物にちなんで「ソーセージ」。かつても「シナモン」と呼ばれたデモ犬がいたが、2年前に死んだという。【岩佐淳士】

代々のデモ犬がいるというあたりに歴史を感じますが、犬の写真を拝見しますと体格もなかなか立派であるのもさることながら、このしっかりと伸びた背筋と言い単なる野良犬とも思えない風格が感じられますね。
話は変わってアメリカでは原油流出事故が大騒ぎになりましたが、この問題に対する画期的解決法が提案されたというのがこちらのニュースです。

「メキシコ湾原油流出は核爆弾で止められる」と露新聞報道(2010年05月13日Slashdo)

ある Anonymous Coward 曰く、

    ロシアで一番売れているという日刊紙 Komsomoloskaya Pravda が「現在メキシコ湾で起きている大規模原油流出 (WIRED VISION の記事、Wikipedia の項目) は核爆弾で止められる」と報じているそうだ (本家 /. 記事より) 。

    ソビエト時代には原油流出事故は管理された核爆発で止められてきたとのこと。「地下爆発によって岩を動かし、圧力をかけ、経路を塞ぐ」という方法で、ソビエト時代にはこの方法を 5 回実践しており、1 度を除き成功しているとのことだ。

    コメントも寄せられている。

    この「地獄の門」、1971 年の掘削作業中に起きたメタン爆発事故によるガス穴だそうで、有害なガス漏れを防ぐために火が放たれたという。地質学者らはいずれ鎮火するものと予想していたそうだが、今日まで燃え続けているとのことだ。

この「地獄の門」の動画が出ているんですが、一体これはなんだ?と思わざるを得ないような不可思議な状況で、ロシアといえば寒い土地柄でしょうにこの熱量をもっと有効に使えないものかと感じてしまいますね。
何にしてもあらゆる方法論が何ともワイルドでおそロシアとしか言いようがないんですが、幸いにも今に到るまでこんなロシア的方法論がとられたと言う話も聞かないようですよね。

今日のぐり:「多田水産 須崎道の駅店」
近頃では全国どこに言っても道の駅で特産品の直売というのは何も珍しくはない話ですけれども、こちら高知県須崎市の道の駅「かわうその里 すさき」もそういったよくある施設の一つのようですね。
この施設の場合二階にもレストランがあるようなのですが、今回のお目当ては建物内の一番奥に位置する多田水産さんの直売所で、この日も朝から出かけてみますとスタッフ総出で鰹をさばき、藁の火で焼いて一生懸命タタキを仕上げている様子を間近で見ることが出来ます。
どこからどう見ても単なるおみやげ品を買うお店にしか見えないんですけれども、こちらお願いすれば一人前500円というなかなかお得な価格で出来立ての鰹のタタキを食べさせてくれるという、ちょっと穴場めいたお店でもあるということなんですね。

というわけでレジで注文を済ませお店横の通路に並べられているテーブルで待つことしばし、程なくお皿に載せられたタタキが運ばれてきましたけれども、見た目はそこらの居酒屋で出てきそうなごくありきたりなタタキという感じで、多少器やもりつけの塩梅などにそっけなさを感じる程度でしょうか?
軽く粗塩を振ってあって、そのまま塩タタキ的に食べてもよし、一緒に出てくる醤油差しのポン酢をかけていただいてもよしというスタイルのようですが、まずはそのままで最初の一切れを口にしてみました。
さすがに出来立てということでほのかに暖かな身肉はこの時期らしく脂気の少ないさっぱり味ですけれども、妙な生臭さなどなくいい感じの初鰹らしい味を保っているというところでしょうか、残る半分ほどはポン酢をかけて食べてみてこれも悪くありませんでしたけれども、この時期の鰹であれば塩の方が塩梅がいいのかも知れませんね。

こちらの場合自ら「基本的にかつおのたたき専門の魚屋ですので、かつお以外の魚もご飯もドリンクもありませんので、昼ご飯でのご利用でしたらご飯類は持ち込みでお願いします」と言うくらいで、要するに魚屋の副業ということなんでしょうけれども、それゆえに鰹自体はもちろん悪くないにしても焼き加減は真っ当な料理屋のレベルには達していないのは仕方がないところでしょうかね。
さっぱりした初鰹ですからこういう新鮮なものなら刺身的感覚で食べても悪くはないのですが、これが濃厚な戻り鰹であればおそらくもう少し炙った香ばしさもあった方がよりうまいでしょうし、料理屋で出てくる皿として見れば少し物足りないもの確かですが、おみやげ屋の試食の延長線上として考えておけば特に文句はないとも感じるところです。

ちなみに飲食店というわけではないのでそういう方面でのサービスは評価の対象外ですけれども、もともと狭い上に場所柄結構込み合うことも予想されるところでもあり、顧客の方でもそれなりに協力するくらいのつもりでいた方がいいんじゃないかとは思いますね。
まあしかし、こういう賑やかな場所で焼きたての鰹を食べるというのも滅多に無い経験になるのは確かで、観光なりのついでにちょっと立ち寄るという道の駅本来の使い方をするのであれば、これくらいの手軽さがあった方が構えずに済んでありがたいとも言えそうです。

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2010年5月21日 (金)

久しぶりに出た夕張の話題 しかしそれはちょっと待った?

かれこれ数年前になりますが、東大生がコンビニクリニックを開業なんてニュースが流れたのをご存知でしょうか?
当時はまだ今ほどマスコミや一般人に医療崩壊という危機感がなかった時代だったせいでしょうか、「さすが東大生!患者のニーズを的確にリサーチしている!」「こんなこともできないから医療業界はダメなんだ!」なんてことを言って、一部方面ではずいぶんとヨイショされていたような記憶があります。
こういう取組み自体はそこにビジネスチャンスがあると参入する医師がある人間がいるならどんどんやってみればいいと思うんですが、先日伝え聞くところではどうも廃業に追い込まれていたらしいですね。

賢者の知恵 灘高 元生徒会長 城口洋平の頭脳(2010年5月7日現代ビジネス)より抜粋

 日本最高の中学、高校、大学を卒業し、さらに世界最高の企業の内定を手に入れたといわれる若者。しかし彼はそこで、既存の組織に属することを止め、自分の手で企業を作ることにした。その真意は。
(略)
 灘高の生徒会長だった僕にとって「東大法学部現役首席合格」というのが、ある意味ノルマでした。ものすごいプレッシャーでしたね。自分の感じとしては、まさに命を削って勉強した。首席は無理でしたが・・・。

 大学に入った城口氏は、持ち前の好奇心と行動力でさっそく動き出す。参議院議員で東大医科学研究所客員研究員でもあった鈴木寛氏のゼミで触発され、日本にもアメリカのような「医療界のコンビニ」をつくろうと立ち上がり、資本金わずか120万円で、手軽に受診できる夜間診療のコンビニクリニックを、学生など20人の仲間と一緒に開院したのだ。

 代表には僕が手を挙げました。18~19歳の現役東大生が代表ならメディアが飛びついてくれるという計算も、いま考えると関係者内ではあったかと思います。

正解が分からない世界で生きる

 実際、新宿に第1号のクリニックをオープンした当初は、狙いどおり週何本もの取材を受け、クリニックとともに僕の顔と名前も一気に世間に知れ渡りました

 でも、現実は甘くなかった。何とか最終的に黒字にはなったものの、チェーン展開などは夢のまた夢で、最後は他の医療法人にお譲りする形でなんとか収めるしかありませんでした

 大きな挫折でした。自分で勝ち取ったと思っていたポジションも、周りに持ち上げてもらっていただけで、自分には実力も覚悟もなかった、と今では恥ずかしく思っています。
(略)

今の時代新規開業にはとことん軽装で初期投資を徹底的に抑えるしかないとはよく聞くところですが、失敗と言いながら大きなダメージも無く撤退しえたということは医者が始めた仕事と違ってビジネスとしてきちんと評価していたということもあるでしょうし、最初に「若い医師が退職金でクリニックを開けるモデルに」と予算120万円以内という制限をつけた出資者の鈴木寛参院議員も相応の慧眼であったということなんでしょうか。
そんなこんなで今回は民間によるトライアンドエラーがまた一つ行われたということで無事済んだ話ではありますけれども、これが小回りのきく民間主導ではなく国がという話になってきますと、往々にして大失敗で赤字垂れ流しを続けながら撤退の決断も出来ずズルズルという話になりがちですよね。
以前から色々とこの業界関連でも話題になる夕張市ではかつて村上先生が「これだけ好き放題やっていれば夕張の破綻は当然。しかし実は夕張は可能性に満ちている」なんて感動的な大演説をブチあげたことがありましたけれども、どうもその可能性の追求が国主導ということになってきますと、これは果たしてまたぞろいつか来た道を逆戻りなんてことにならないかと心配になってきます。

夕張市を医療情報網整備のモデル都市に 原口総務相語る(2010年5月20日朝日新聞)

 原口一博総務相は国会内で朝日新聞の取材に応じ、準備中の財政再生団体・夕張市への支援策の概要を明らかにした。人口減少と高齢化が進む同市を、ICT(情報通信技術)の整備によって辺地でも質の高い医療サービスを受けられる「医療クラウド(情報の雲)」のモデル都市にし、「集中的に支援したい」と語った。市が要望してきた医療・介護サービスを受けられるケア付き住宅の建設も、「国として最大限の支援」を事務方に指示した。

 原口総務相は支援の重要分野を「医療と教育」とし、東京都23区より広い地域に高齢者が分散して暮らす市内に、医療クラウドを整備。ICTを活用した遠隔医療を可能にし、医師が不足する地域の不安の解消を目指す

 また、同市では学校統廃合で今年度から中学校が1校になり、来年度からは小学校も1校化されて子どもたちが長距離の通学を強いられる。こうした教育環境についてもICT整備で改善をめざし、参院選後には同市を再訪問し、前回の視察で果たせなかった学校訪問をして「子どもたちの声も聴きたい」という。

 廃校舎を活用した福祉・介護の専門学校の誘致やケア付き住宅の導入などについては、「広く学校団体や各種団体にも協力を呼びかけていきたい」と話した。

 また職員を大幅に削減した市の行政執行体制にも懸念を表明。財政再生計画策定時には沖縄県の離島村との比較も持ち出した職員給与の全国最低水準維持には、「生活が成り立たない」「長く勤め続ける希望が持てないのでは」とする市側や地元住民、労働団体の心配を考慮し、職員の処遇改善に前向きな姿勢を見せた。職員の新規採用についても市は「再生計画にある採用の前倒し実施」を求めており、原口総務相はこれにも理解を示した。

 また今夏の再訪問の際には「夕張支援コンサート」を開催し、「交流人口の定着化にも一役買いたい」。基本的な考え方として原口総務相は「一次的な財政支援ではなく、地域の創富力を育てるような支援を考えている」ことを強調した。(本田雅和)

話を聞いている朝日新聞の記者自体何が何やら判っていないのかツッコミ不足と言いますか、実態のつかめない言葉が並んでいるだけの記事という印象ですけれども、しかし素朴な疑問としてこの場合の遠隔医療とはどのようなものを想定しているのかとは思いますよね。
広い地域に高齢者が分散して云々と言うからには、夕張診療所で遠隔画像診断をといった話ではなく各地区別、あるいは各戸別での医療サービスを想定しているのでしょうが、ここで昨今流行りの医療クラウドなんて話が出てくるところを見ると、あるいは地域内の全住民を入院患者的に扱うようなシステムをも想定しているのかも知れませんね。
ただこうした僻地高齢者には下手すると「数字が読めないから電話なんて使えない」レベルのびっくりさんがいたりすることもありますし、基本的に何やら難しそうなもの=自分と無関係と思考回路が直結してしまう人々も多いわけですから、むしろ需要が高いのは受話機をとればいつでも医療相談が受けられる直通回線と言ったレベルのローテクの方なんじゃないかという気がするんですけれどもね。

いずれにしても後で引込みがつかなくなった、なんてことにならないようきちんと評価と検証のシステムを組み込んだ上でやってみるには面白い話ではあると思うのですが、一方でこの記事を見て思い出したのが先日普天間移設問題で徳之島側住民から出てきたと言う受け入れ条件の項目です。
前述の夕張の記事に出てきた「廃校舎を活用した福祉・介護の専門学校の誘致」云々の話も市側が要望していたとも受け止められる文脈ですけれども、徳之島でも地域から出てきたのは「看護学校、専門学校の設置」という要望で、田舎では看護学校誘致が流行っているのか?と思うような話でしたよね。
実際に看護師という職業は昔から貧しい女性が自立するための数少ない選択肢の一つであったという歴史的経緯もあり(それもあって、今でも看護師の御礼奉公なんて習慣が残っているわけですが)、21世紀の今になっても未だに地域で一定の需要があるようですけれども、最近ではどうも地域の看護師志望者を他所に流出させないよう抱え込むための看護学校設置という生臭い側面もあるようなんですね。

もちろん需要があって志願者もいるということであれば施設を建設するのも結構なんですが、こうした医療僻地でもある地域で現代医療に必要とされるレベルの実践的看護知識を身につけるためには、当の本人にも単にカリキュラムをこなすのみならず相当な努力を要求されることになるはずで、教育機関として敢えて厳しい立地を選ぶのもどうなのかと言うことです。
一方でそうやって苦労して看護師になった向上心の強い人達が、失礼ながらろくな医療機関もない医療僻地に残ってまで地域に貢献してくれるのかという疑問もあるわけですが、「せっかく学校まで立ててやったのになんだ!この恩知らずどもめ!」なんて後日糾弾される、なんてことにならなければいいんですけれどもね(医者の世界では「高い税金かけて医者になったのになんだ!この恩知らずめ!」とはよく言われていますが(苦笑))。
そもそも今の時代高齢者に対しては医療よりも介護の方を主体にというのが世間の流れなんですから、ここは別に固定観念で看護師看護師と言わずとも介護職養成などを行っていった方が話が簡単かつ実際的なメリットも大きいような気もしますが、このあたり結局ニーズと言うよりは見栄に近いものが先走っているのかも知れません。

小さなコミュニティを対象にいろいろと実験的なことをやってみるというのは確かに面白いこともできそうな気もするのですが、その下地になっているのが旧態依然とした発想ということでは、いくらIT活用だの何だのと言っても変わったのは見てくれだけにもなりかねないという話で、結局本当に変わるべきものは何なのかと考えてしまいます。
加えてこうしたモデル都市での成果を全国的に広げていくためには、ビジネスとしての収益性は無視するとしてもその効率性、言葉を変えれば目標を達成で来たかどうかを考えないわけにはいかないですけれども、朝日の記事から読み取る限りでは評価ポイントをまさか「地域の不安の解消」なんて曖昧模糊としたものに置いているというわけではないでしょうね?
いずれにしても夕張の場合もともと問題点山積とも言われた中、それを解消することなく安易に底の抜けたバケツに水を注ぐようなことをやってしまっては意味がないし、少なからぬお金を使って行う作業が単なる政治家の支持集めで終わるということでも困るわけですから、国費をつぎ込もうと画策する側には「今度は違う。これなら上手くいく」と納税者を納得させるだけの説明責任があるように思うのですけれどもね。

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2010年5月20日 (木)

包括支払いの罠 自戒を込めてちょっと復習

制度が出来上がってそれなりの期間運用もされてきているにも関わらず、相変わらず大きな落とし穴にはまっていく人々が後を絶たないということは結構ありますよね。
先日ネットの掲示板を読み流していて、思わず「あ~、あるある」とつぶやいてしまったのがこちらの書き込みでしたが、この場合いつまでも穴にはまる人間が出てくることが問題なのか、そんな穴をいつまでも放置しておく方が問題なのかと、ふと考え込んでしまう話ではあります。

927 投稿日:2010/05/18(火)

他の医療機関に入院中の患者家族が代理で薬処方希望で
来た時、説明するのが大変。

928 投稿日:2010/05/18(火)

>927
それ困るね。うちも精神病で自殺未遂の患者が入院中に
ドクターも薬剤師も知らないうちに
家族が勝手に2週間分の精神病の薬をかかりつけ医からもらって来やがった。

うち、DPC何だけど、これって、10割分かかりつけ医から請求来るんだよなあ。
勘弁してほしい。

よくDPCと言いますが、厳密に言えば包括払い制度が正しい呼び方で、DPC(Diagnosis Procedure Combination)というのはその支払額を決めるための診断群分類の意味ですから誤用なんですが、慣習的に包括払い自体をDPCと呼んでいることもあってここでもその呼称で統一します。
さて、冒頭の書き込みなども一体何のことやらと思われる方も多いと思いますが、DPCで入院中はその間の薬代も込みで報酬が出ているという建前ですから、他院での投薬などDPCの支払い範疇に含まれる医療行為を受けた場合には、いわば保険の二重取りになるという理屈です(そこでしか出せないような特殊な投薬などは別ですが)。
厚労省ではこうした場合「包括部分を出来高算定は出来ず、(当事者間の)合議で精算するように」と言っているようですが、実際問題としては受診先の医療機関では保険で全部査定されてしまうわけですから、その分を丸々入院先に請求してくるということになるわけですよね(保険制度上はDPC側に対して一括で支払いを行っている理屈ですし)。

さて、現実的な問題はこうしたことが起こった場合誰が悪かったのかという話で、患者をDPCで入院させていながら他院を受診させた入院先が悪いのか、他院でDPCで入院していることを確認もせず処方した受診先が悪いのか、それとも場合によっては入院先も知らない間に勝手に他院に薬を受け取りに現れた患者が悪いのかと言うことです。
意外にDPC病院の人もシステム自体を知らないことが問題をややこしくする場合もあるようですが、考えてみればDPC病院にいるような先生は言ってみればサラリーマンで、あまり保険診療の細々とした計算などする機会もなかろうとまだしも同情の余地はあるものの、実際にそのあたりの計算・管理を預かっているはずの事務方がそれを知らないということでは問題ですよね。
開業をされている長尾和宏先生がそのあたりのやり取りに憤慨されてブログに書かれていますけれども、一応は病院の医事担当者でしょうに「知りません。そんなことは聞いたこともありません。」では一体この病院の経営はどうなっているのかと心配になってくる話です。

DPC病院入院中患者さんへの投薬を巡る無用なバトル(2010年2月17日ブログ記事)

ある有名なDPC(包括払い)病院に膝の手術で入院中の患者さんのご家族が、午前中の最後に糖尿病の薬を取りにきました。DPC病院に入院中の患者には診療所からの投薬は禁止されています。もし投薬すればあとで必ず問題にされペナルテイを科せられます。しかし、ご家族は納得されません私が意地悪をしていると思っているようです。その病院の看護師が取りに行くよう指示したそうです。さっそく病院の医事課に電話しました。事務担当者さえもそのルールを知らないようです。情けない話です。バトルになりました。

病院担当者「もうすぐ退院するのだから投薬してあげればいいじゃないですか?
私「それは法律で禁じられています。そんな基本的なことを、看護師さんもお宅も知らないのですか?」

病院担当者「知りません。そんなことは聞いたこともありません。先生が初めてです。
私「とにかく入院中はダメなのです。今から、保険者か近畿厚生局に電話をしてどちらが正しいか調べてください。院長先生も知らないようですので言ってあげてください」

2時間後、私の携帯電話に院長先生からかかってきました。

院長「調べてみたら長尾先生の言うとおりでした。こちらが間違っていました。すみません」
私「他意はありませんから、気を悪くしないでください。どうか職員みんなに教えてあげてください」
院長「しかし、なんであかんのやろ?
私「知りません・・・」

このようなバトルは時々しますが、今日のように院長まで巻き込んで徹底的にしたのは初めてです。その病院のために私が悪者になってやろうと思いました。

DPCの病院は投薬すれば持ち出し(=損になる)になりますから、出来るだけ投薬したくありません。気持ちは分かります。しかしこちらもお上からみすみす処分を受けるような行為をするわけにもいけません。入院中か否かは処方箋の日付けから足がつきます。

しかし、そもそも、包括性の医療機関と出来高の医療機関が連携すれば、必ずこのような押し付け合いが起こります。予想された自然の摂理です。病院が悪いのではなく、実は規則がおかしいのです。地域医療連携を進めるにはこのような根本的な部分の整合性を確保する必要があります。いまの医療政策にはここらが全く抜け落ちています。

実現可能な提案として病院から依頼のFAX1枚があれば、かかりつけ診療所から一定範囲内の投薬可能となるよう規則を変えればいいだけなのです。厚労省はそんな知恵すらないのでしょうか?それとも現場を全く知らないのでしょうか?すべては患者さんに利便が図れる制度にちょっと変えればいいだけなのに、誰もそれができない。不思議です。

DPC時代、投薬を巡る無用なバトルはなんとかして欲しいものです。時間の無駄です。なにより患者さんとご家族に迷惑をかけます

制度的な問題点は長尾先生がほとんど指摘されているところですが、元々DPCが導入された当時から各病院内で「いったん入院させたら最低限のことしかやらないように。それまでに必要なことはなるべく外来ですませておけ」とお金に厳しい病院ほど医者を厳しくしつけているわけですから、入院中にかかりつけの薬が切れたなんて言われれば「あ、それ向こうでもらってきて」とも言いたくなるのが自然ですよね。
昔は大病院などでは一旦入院させたら来る日も来る日も検査漬けで、こっちは大病で入院しているのにいったいいつになったら治療が始まるのかと患者さんが切れた、なんて話もごく普通にあったわけですが、近頃では逆に入院させるのは手術前日から術後最低限の期間だけ、入院前には連日外来に通って検査漬けなんてことが当たり前で「面倒くさくてかなわん」とこれまた患者さんには不評のようです。
甚だしきは糖尿病など基礎疾患のコントロールはあらかじめそちらの病院でお願いしますなどと言ってくるくらいはまだ理解可能ですが、〇〇日に手術しますからそれに合わせてあらかじめ○単位ほど輸血しといて下さいねなんてことを言ってくる病院もあったりで、ある意味そこまで徹底すると感心するしかありませんよね。

このあたりは長尾先生の提唱するような話がいいのか、それでは抜け道が多すぎて(その気になれば内科入院などほぼホテルコストだけでやれる理屈ですからね)DPCの意味がなくなるからと別な方法論を考えるべきなのか、制度設計上の議論も必要ではあるのでしょうが、何にしろ現場の人間にとっては今更ながらに厄介な話ではあります。
当座こういう無用のトラブルを避けるためにどうしたらいいのかと誰しも思うわけですが、当然ながらまず第一にDPC病院側は制度をしっかり承知してコストの取れない患者を外に出さないということが一つでしょうけれども、万一それに漏れた患者がやって来た場合には長尾先生のようによほど腹をくくって(笑)かからないと、患者さんは病院の許可を得て来ているつもりですからなかなか対応が難しい場合も多そうに思えます。
調べていましたらちょうど岐阜県保険医新聞にこの場合どうすべきかと言う話が出ているのですけれども、地域開業医の外来診療での現実と比べてこの対処法なるものをどう考えるべきか、まずはそのまま引用してみましょう。

解説「DPC病院の入院患者に投薬は可能か?」 -かかりつけ医としての対処法-(2009年8月10日岐阜県保険医新聞)より抜粋

 「これまで当院を受診していた患者がDPC対象病院に入院した。患者の家族が薬を出してほしいとやって来たが、出してよいか」。DPC対象病院の増加に伴い、ここ最近、こうした相談事例が増えている。本稿では、DPCの仕組みとかかりつけ医療機関に求められる対処法を紹介する。
(略)

かかりつけ医の対処法

 では、DPC対象病院に入院する患者又はその家族が薬を出してほしいと来院した場合、かかりつけ医療機関はどう対処すればよいのか。別掲で明らかなように、投薬の費用はDPC対象病院の入院料の中に包括評価されている。つまり投薬についてはDPC対象病院が責任を持って対応しなくてはならないということだ。もし、患者や家族の求めに応じて投薬してしまうと、患者は入院先とかかりつけ医療機関双方から薬剤料を二重に請求されることになる。また、かかりつけ医療機関が薬剤料をレセプト請求しても後日保険者による再審査請求により査定され、持ち出しになるなど問題点が多い。
 以上を踏まえ、かかりつけ医療機関として求められる対処法を述べる。①ほとんどのケースにおいて患者や家族から入院中の投薬の申し出があるものと考えられるので、入院先を聞き出すことが重要である。②聞き出した情報からDPC対象病院であることが明らかな場合には、患者や家族に対して当院では投薬できないので、入院先から投薬してもらうように説明する。③入院先がDPC対象病院か分からない場合は、病院に直接電話で確認する。④患者がDPC対象病院に入院していたことが査定などによって後に判明した場合は、査定分をDPC対象病院に実費請求する必要も生じる。⑤上記④を防ぐための手段として、患者が入院中の場合には窓口に申し出るよう院内掲示物などにより周知するのも1つの方法と考えられる。
 以上によりある程度の対処は可能と考えるが、複雑なケースなどでお困りの場合にはいつでも相談に応じるのでお気軽に協会までお問い合わせいただきたい。(F)

なんと言いますか、「ここの道路には穴が空いていて時々落ちる人がいます」と言う現実を前にして、やれ警備員を立てるべきか足元注意の看板を目立つようにすべきかと議論しているような感じで、これでは確かに「時間の無駄」としか言いようがありません。
「ほとんどのケースにおいて患者や家族から入院中の投薬の申し出があるものと考えられるので、入院先を聞き出すことが重要である」とはそのとおりなんでしょうが、外来にやってきた患者全てに「あなたは今現在DPC病院で入院加療を受けていますか?」と聞いて回るわけでもないでしょうから、実のところこの前段階として入院していることを外来で患者が申告するかどうかという問題があります。
これが意外に思われるでしょうが患者自身が何も言わないことがあったりして困るわけですが、入院していることが判ったとして特に長尾先生のケースのように先方から指示されて来院しているような場合、わざわざお金と時間をかけてやってきた患者さんが制度がそうなんだからと素直に納得するかどうかです。
最終的に納得したにしてもその説明と同意に要するマンパワーはコスト請求するわけにもいかないわけですから、忙しい中で時間を割いた先生にとっては文字通りの泣き寝入りという話でしょうけれども、やはりこの辺りは単に制度を周知徹底していくというだけでは今後も幾らでも犠牲者がでそうな話で、早いところ制度的に穴自体を何とかしていただくというのが筋ではないのでしょうかね?>厚労省さん

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2010年5月19日 (水)

今日は人間の話ではありませんが 宮崎口蹄疫問題の余波

宮崎県で発生した口蹄疫問題はますます大変な騒ぎになっているようで、一方ではこれを赤松農相や東国原知事の対応遅れが悪い!と攻撃するネタに使っている向きもあるようですね。
とりわけ以前から同知事に批判的目線を向けてきた方々にとっては良い機会ということなのでしょうが、正直ようやく対策も本格化しシステムが動き出した時点で言っても仕方がないような後ろ向きな報道も目立つのが気がかりです。
無論今後のためにも事後の検証と再検討は後日十二分に行うべきですが、関係者が今も大変な目にあいながら苦労しているこの状況でこういう口汚い言葉を並べてみたところで、何かしら建設的な意味があるのかとも思えてきます。

東国原浮かれ知事に天罰 口蹄疫大被害と疫病神知事(2010年5月18日日刊ゲンダイ)

お笑い芸人失格人間を知事に選んだ宮崎県民に責任があるのに国の税金で救済は虫が良過ぎないか

 どこまで調子がいい男なんだ。これまで散々、民主党を批判してきた宮崎県の東国原知事が、「口蹄疫」の被害に見舞われ、鳩山政権に泣きついている。

 宮崎県を訪ねた平野官房長官に「関係者の無念は尋常じゃない」と訴え、鳩山首相あてに具体的な要望項目をズラズラと並べた「要望書」を手渡した。さすがに、宮崎牛のブランドを支える「種牛」49頭が殺処分されることになり、真っ青になっているらしい。

 残る種牛は、避難させているエース級の6頭だけ。もし、6頭が感染したら宮崎の畜産は終わりだ。鳩山首相は、予備費から1000億円規模を拠出することを決めた。

 しかし、家畜の伝染病対策は法律上、県の責任だ。エラソーに「地方分権」を言ってきたのだから、すぐに国に泣きつかず、自分で解決したらどうなんだ

 「そもそも、ここまで被害が広がった責任の一端は、知事にあります。公式には、最初の感染牛は4月20日に確認されたことになっているが、すでに4月9日の時点で口蹄疫と疑われる牛が見つかり、獣医が家畜保健衛生所に鑑定を依頼していた。4月9日に対策を取っていたら、ここまで被害は広がらなかったはずです」(県政関係者)

テレビ出演にうつつを抜かし、片手間で県政をやってきた東国原知事には「いつか重大なミスを犯すのではないか」と危惧する声が強かったが、とうとう宮崎県が破滅に向かいかねない事態が勃発である。

 県民からは「チャラチャラ浮かれてきた知事への天罰だ」なんて声も上がっている。 (後略)

いやゲンダイさん、この状況下で「江戸の敵を長崎で」ですか…
「勝手に自分で解決しろ」というゲンダイさんの御高説を賜るまでもなく、全国各地から支援が殺到している状況で、これらを処理する同県財政課の担当者は「こんなに宮崎県のことを思っていてくれる人がいたとは」と多忙を極めながらも感激しているという話ですが、こうして支援の輪が予想外の広がりを見せているのも同県のセールスマンを自認する知事によって、同県の全国的な注目度が高まってきた成果であるとは言えるかと思いますけれどもね。
宮崎と言えば全国にも仔牛を出荷しているということですから、回りまわって自分たちにとっても決して他人事ではなくなりそうだという危機感もあるようで、ネット上では宮崎県を支援するために義援金などを呼びかけるような動きも広がっていますけれども、全国からの応援は同県にもしっかり届いているようです。

4 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2010/05/19(水) 00:08:24 ID:pqujyDpg0

おいらも微力ながらお手伝いさせてもらったぜ
もともと青申だから手間がちょろっと増えるだけだし

13 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2010/05/19(水) 00:13:33 ID:lAJJ0fpU0

ふるさと納税じゃないけど宮崎県庁のホームページの口座に1万募金してきた。
使ってくれ!

22 名前:名無しさん@十周年[sage] 投稿日:2010/05/19(水) 00:16:32 ID:p5qzGbSS0

というか宮崎県が金が尽きるなり心が折れるなりの状態になって、防ぐのを諦めたら全国に被害が広がるわけで・・・

日本人なら基本的に他人事じゃないわな

28 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2010/05/19(水) 00:22:28 ID:6jxVD4RA0

お前らありがとうな!

同級生に県職いるが、本当に悲惨らしい…

33 名前:名無しさん@十周年[sage] 投稿日:2010/05/19(水) 00:26:31 ID:suc+i9wy0

よーしお前らこの財政課の担当者を家に帰れないぐらい仕事増やしてやろーぜwwwwwざまぁwwwwwwww

35 名前:名無しさん@十周年[sage] 投稿日:2010/05/19(水) 00:27:47 ID:gma0nJtg0

宮崎県民です
ありがとう
本当にありがとう

一部の報道や政治家の方が宮崎県の初期対応が悪いから殺処分予定の牛豚が11万4千頭にまで広がったのかと
責任を全て押し付ける様な発言や報道内容ばかりで心が折れそうになっていました

また頑張る事が出来ます

いずれにしても地元の方々の戦いはまだまだ続くと思われますし、全国に広がっていくかどうかの瀬戸際でいわば最前線を担当しているわけですから、自らのお体にも気をつけながら頑張っていただきたいものです。
しかし一方でこの問題に対しても例によって心ないマスコミ発言が相次いでいるようで、例えばテレビではこんなことを言っている人もいるようですね。

「口蹄疫」人に感染しないなら食べても大丈夫?(2010年5月17日J-CASTテレビウォッチ)

  感染拡大が止まらない宮崎県の口蹄疫をトップニュースで取り上げた。都農町の畜産農家で牛の感染が発見されたのが4月20日。1か月近くたってまだ感染が止まらないのは、県や国の初動対応に問題があったとしか考えられない。

対応の遅れは政府か東国原知事か

   番組の冒頭、立花裕人レポーターが口蹄疫について解説した。病原体はウイルスで、口や蹄(ひずめ)のまわりに水疱瘡のようなものができてエサを食べなくなる。肉質が落ち、乳も出なくなるという。

   宮崎県では2000年にも発生したが、この時は感染力が弱く、発病したのは牛だけだったが、今回は感染力が強く豚にも広がっている。

   16日午後10時半現在、牛8212頭、豚7万7511頭のあわせて8万6000頭に被害が出ており、被害総額は110億円に及ぶとみられている。

   とくに深刻な被害とされているのは、高級ブランド『宮崎牛』の種牛に感染が飛び火したことで、16日には県家畜改良事業団が飼育している種牛 55頭のうち49頭の殺処分を決めた。10年かけて大事に育てられるという種牛。残った特別の種牛6頭は避難したが大きな痛手だ。

   また、『宮崎牛』は子牛として出荷され、高級ブランドの近江牛や松阪牛、佐賀牛として育てられて食肉用として販売されており、各産地への影響も心配されている。

   急速に被害が急拡大したのはGWだったのに、外遊中だったとかで赤松農水相が宮崎入りしたのは5月10日。自民党の地元選出議員が「何しに来たんですか」と食ってかかっていたが、それまで県は何をしていたのか、番組では触れなかった。

   スタジオでは「人に感染しない、食べても大丈夫。ならば、なぜ(殺処分など)そこまで厳重にするのか」(ジャーナリストの鳥越俊太郎)、「結局、人間のご都合で、罹っていないのに大きくまとめて処分は可哀そう」(弁護士の田中喜代重)と素朴な疑問が出た。
(略)

しかし「人間に感染しないんだからそこまで厳重にしなくてもいいじゃないか」って、鳥越氏もたまには基礎的なことくらいは勉強してからしゃべってみればとは思うんですが、逆にこの軽薄なノリと無謀な勢いがあるからこそ長年こうしてテレビ業界で重宝に使われているんでしょうねえ…
口蹄疫という疾患は非常に感染力が強いことに加えて、ウイルス性疾患のくせに非常に宿主が広範であるというなかなか面白い性質をもっているようですが、幸い人間には感染しないとは言っても動物にとっては発育障害や乳汁分泌障害などが発生するものですから、要するに家畜としての価値が激減するということで、そうであるからこそ世界的に極めて厳重な対応がとられるわけです。
特に日本の畜産業の場合はほとんどが牧草地での放牧ではなく配合飼料で行われているわけですが、身近な業界の人に聞いても飼料代は高いわ商品としての肉・乳価格は上がらないわでもともと利益率が極めて低いという構造的な苦境に長年置かれている、そんな中でこんなものが広がればあっという間に大赤字で廃業続出するしかないという程度のことも理解できないのでしょうか?

まあ鳥越氏のようなキャラで売っている人間であればこれくらいのことは言わなければむしろ商品価値が下がるというものですが、一方で単に取材をするだけではなく自らネタを作り出そうと努力していらっしゃるらしいのがフジテレビです。
また後先も考えずにずいぶんな振る舞いに及んでくれたようですが、まずは事実関係として地元県議会議員である横田照夫氏のブログと記事から、フジテレビの暴虐に対する県民の怒りの声を紹介しておきましょう。

マスコミに怒り(2010年5月17日横田照夫議員ブログ)

今朝、佐土原町の田ノ上地区の自治会長さんから電話がありまして「地区としても口蹄疫に対して何かしたいので、どうすればいいのか教えてほしい。」と聞かれました。
そこで、地区内にウイルスを持ち込まないための手段を何項目か報告させていただきました。
また、不安な毎日を送っておられる畜産農家への気遣いや配慮をしていただけるようお願いもしました。
地区全体で口蹄疫に対しての取り組みをしていただけるとのことで、本当にありがたいと考えます。

今日の午後、その地区に、フジテレビの取材陣が、なんのコンタクトもなく、いきなり畜舎に来て取材を始めたそうです。当然、カメラも回したそうです。

それに対して、別の畜産農家が「消毒はしているんですか?」と聞いたら、「していない。消毒ポイントがどこにあるのか知らない。」と答えたそうです。

地区全体で口蹄疫から畜産を守ろうとしているのに、何という配慮のない行動でしょうか。農家も自治会長もカンカンに怒っておられるようです。

今まで、ニュース等で流される映像は、宮崎県提供のものです。直接、現場にマスコミが入ったことはないと思います。佐土原町には、まだ発生はありませんが、搬出制限区域内には入っています。昨日は新富町に発生の確認がされて、だんだん近づいてくることに農家は戦々恐々としておられます。
当然、マスコミは自らが感染媒体になる可能性もあることを考えていなければいけません。マスコミにも自制が必要だと考えます。

何でも報道の自由で片づけられてはたまりません。マスコミの横暴さには心から怒りを感じます。

フジテレビ、消毒せずに地元住民に取材しトラブルに(2010年5月19日スポーツ報知)

 フジテレビの取材スタッフが宮崎県の家畜伝染病の口蹄疫を取材する際、消毒をしなかったとして地元住民とトラブルになっていたことが18日、分かった。

 フジ広報部によると17日午後、同局スタッフが宮崎市佐土原町の畜産農家で取材を行った。その際、地元住民から「橋の向こう側(口蹄疫発生場所の川南町)の方から来た人は消毒しなくてはいけない。消毒はしたのか」との指摘を受けたが、スタッフは「橋の向こうには行っていないので消毒はしていない」と話し、消毒場所については「知らない」と答えたという。感染拡大にナーバスになっている地元住民はフジ側の対応に不信感を抱き、宮崎県議の横田照夫氏もブログで批判している。

 県では、報道各社に対し、口蹄疫が確認された農場、近隣農家、防疫作業現場周辺での取材は口蹄疫のまん延を引き起こすおそれもあるとして、取材自粛の協力を求めている

 佐土原町では、まだ口蹄疫感染は確認されていないが、県は「畜産農家への取材は控えてほしい」とし、役場などを取材する場合でも消毒措置が必要としている。今回もフジ側から取材の問い合わせがあったため、同様の説明をしたという。

 フジ広報部によると、県とは直接、話はしておらず、系列局のテレビ宮崎と相談し、県の要請に沿った形で取材したと説明。畜産農家への直接取材も、農家の了解を得て行ったという。最終的にスタッフが消毒をしたかどうかについては、「確認が必要なので今は分からない」と話している。

他人に向かってはやれ対応が遅いだの、やれ事実を明らかにしろだのと賑やかなマスコミの皆さんが、取材先のルールすら把握していない上に、たった数人のスタッフの行動すら知らぬ存ぜぬで済ませるとは面白いことですよね(苦笑)。
ちなみに事件のほんの数日前にも同局「とくダネ! 」でおなじみの大村正樹氏が徳之島取材の帰り道に宮崎にも立ち寄ったそうで、「あちこちに消毒所が設置され口蹄疫の発生地周辺を走った車が消毒されててびっくり」などと御気楽なことを言っていますけれども、情報共有も行わず毎回毎回行き当たりばったりで取材をしているということなんでしょうか?
テレビ局にすればますます感染が広がってくれた方が新たなネタになって視聴率も稼げるという計算もあるのかも知れませんが、つい先日新型インフルエンザ騒動があって伝染病対策というものがどれほど大変かということを思い知ったところでしょうに、未だにこういうレベルのことをやっているのはよほど学習能力に問題でもあるということなのかと疑問にも思われますね。

さて、今のところ各社報道では基本的に政府何をしている!とバッシング一色という感じになっていますけれども、そんな中で唐突にこんな記事を出してきたのが毎日新聞です。

25時:場違いな追及 /宮崎(2010年5月14日毎日新聞)

 赤松広隆農相が、口蹄疫(こうていえき)問題で東国原英夫知事と意見交換するため来県した。県の要望を受けて国の支援策を示した後のこと--。

 知事応接室に同席した県選出国会議員5人のうち、自民党の古川禎久衆院議員が突然立ち上がり「大臣。江藤拓議員は、心痛極まり緊急入院した……」と発言し始めた。赤松農相からたしなめられても「じゃあ、何しに来たんだ。現場は災害だ」と収まらない

 政府対応が不満のようで、川村秀三郎衆院議員が「回答したじゃないか。PRの場なのか」と反論すると「何がPRだ!」と声を荒らげ、知事が「冷静に」となだめる事態に。だが赤松農相は「参院選の前だから、言いたいこともあるだろうけど」と続け、今度は松下新平参院議員が「選挙目当てじゃない」と詰め寄った。

 被害拡大には誰もが心を痛めている。初動態勢の検証も必要だ。だが、古川氏は直前まで別室で赤松農相らと静かに待機していたという。中村幸一・自民県連会長が「あの場にそぐわない」と指摘するように、批判ありきのパフォーマンスに思えた。【石田宗久】

この記事を書いた石田宗久氏、検索してみると結構あちこちで面白い記事も書いている御仁で、赤松大臣らに批判一色という現状に憤慨し警鐘を鳴らすという純然たる意図もあったのかとも思うのですが、その一方でこういう事実関係を見せられてしまうとあれ?もしかして今大きな声で与党批判できないような社内的事情でもあったの?と勘ぐりたくなるのも人情ですよね(苦笑)。

小沢幹事長、次期参院選宮崎県選挙区公認候補に元毎日新聞記者の渡辺創氏擁立を発表(2010年5月7日民主党HP)より抜粋

 小沢一郎幹事長は7日午後、宮崎市内で記者会見し、次期参議院議員選挙の宮崎県選挙区に、民主党公認候補予定者として、元毎日新聞政治部記者の渡辺創氏を擁立することを決定したと発表した。

 はじめに小沢幹事長から挨拶があり、「渡辺さんは、皆さんと同じ(報道の)職業であったが、これからは、皆さんからご批判、ご判断を頂く立場になった。攻守立場を変えてのことだが、意識の転換を図らなくてはならない。そうでなければ県民の心をつかめない」と述べ、覚悟を持って取り組んでほしいと求めた。

 さらに小沢幹事長は、民主党は昨年の選挙で国民から政権を任されたとしたうえで、「国の内外ともに難題を抱えている。特にここ宮崎県では、口蹄疫が問題となっている。渡辺さんには、地域の皆さんとともに、地域の皆さんのために可能な限りの努力をし、県民の皆さんの理解を頂き、ご支持を頂くよう頑張ってほしい」と激励した。

 また、小沢幹事長は、「本日、社民党、連合、労組にもご挨拶し、連立の枠組み、選挙の協力体制を維持していくとの激励を頂き大変感謝している」とし、一致団結して選挙戦に臨むとした。

 続いて渡辺氏は、「これまでの会見でも繰り返したが、政治を志したのは、一人一人の人間を見つめ、暮らしを守り、それぞれの皆さんが幸せを追求できる、そういう社会を創っていきたい」との思いからであると語り、自らの立脚点として「これからも現場にこだわり、社会の実像を国政の場にダイレクトに届けていきたい。今の閉塞感と不安感の漂う社会のあり方を打破し、新しい社会のあり方を構築していきたい」と、決意を表明した。
(略)

ま、元同僚が政権与党公認候補になったからと言って政権批判に手心を加えるような社会の木鐸(苦笑)でもなかろうとは思いますけれども、こんな時代だけに世間のあらぬ誤解を受けるような行為は謹んでおいた方がいいのかも知れませんね。

いずれにしてもこういう伝染病問題はセンセーショナルな売らんかな的報道など百害あって一利なしと心得ておくべきで、報道を利用する側にとっても良い報道、悪い報道を見分ける目を養う必要もあるだろうし、悪い報道ばかり行っているマスコミに対してもきちんと選別と淘汰を行っていくことが要求されることになるのでしょう。
そういう意味では再度の流行が懸念される新型インフルエンザを始め、人間界での大規模感染症発生に対する予習機会とも捉えられるものでもあるし、こうしたところから社会的な経験値を高めておくことも必要なんだと思いますね。

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2010年5月18日 (火)

医療の人手不足 その抜本的な対策とは

医療業界の人手不足ネタはいまさらという話ではありますけれども、先日相次いでこういう記事が出ていました。

医師・看護師とも「充足」の病院は87.5%―厚労省調べ(2010年5月14日CBニュース)

 厚生労働省は5月14日、医療法25条に基づく病院への立ち入り検査の結果を公表した。公表したのは、2008年度に立ち入り検査を行った病院8292 施設の検査結果。それによると、医療法に規定された医師と看護師の標準数を共に充足している病院は全体の87.5%で、前年度の85.4%より2.1ポイント増えた。

 立ち入り検査は、病院が医療法や関係法令で規定された人員や構造設備を備え、適正な管理を行っているか調べるもので、各都道府県が行った検査結果を厚労省が取りまとめて、年度ごとに集計する。

 今回の検査結果によると、医療法に規定された医師の標準数を満たしている病院は88.3%で、前年度(86.9%)より1.4ポイント増えた。地域別に見ると、「近畿」95.7%、「東海」93.1%、「関東」92.9%、「九州」89.9%、「中国」87.4%、「北陸・甲信越」84.9%、「四国」 84.8%、「北海道・東北」73.1%で、すべての地域で前年度から増加した。ただ、「北海道・東北」は全国平均を15.2ポイントも下回っている
 病床規模別では、200床以上で90%を超えており、500床以上では98.1%となっている。

看護師(准看護師を含む)の標準数を満たしている病院は98.9%で、前年度の98.8%から微増。地域別に見ると、「四国」で100%に達したほか、「九州」99.8%、「中国」99.7%、「東海」「近畿」98.8%、「北陸・甲信越」98.7%、「北海道・東北」98.5%、「関東」97.9% で、「近畿」を除いて軒並み前年度より増えた。
 病床規模別では、「20-49床」が98.4%で最も低かった一方、「200-299床」「400-499床」「500床以上」で100%となった。

 また、医師と看護師の充足率が共に100%以上の病院は87.5%で、共に100%未満の病院は0.3%だった。
 病院規模別に見ると、共に100%以上の病院は、「99床以下」82.6%、「100-199床」87.8%、「200-299床」91.4%、「300-399床」91.9%、「400-499床」93.5%、「500床以上」97.9%で、規模が大きくなるほど割合が高くなっている

看護職員4人に3人辞めたい/青森(2010年5月16日NHK)

 県内の病院や介護施設に勤務する看護職員を対象にした調査で4人に3人は人手不足による負担増加などに苦しみ、仕事を辞めたいと思った経験があることがわかりました。

 県内の医療機関に勤務する労働者が作る団体、「県医療労働組合連合会」は、病院や介護施設に勤務する看護職員を対象に去年11月から今年1月にかけて調査を行い、428人から回答を得ました。

 それによりますと、「仕事を辞めたいか」という問いに対して「いつも思っている」と答えたのは、15.9パーセント、「ときどき思う」と答えたのは60パーセントに上り、4人に3人は仕事を辞めたいと思った経験があることがわかりました。

 理由については、多い方から「賃金が安い」、「人手不足で仕事がきつい」、「思うような看護ができず仕事の達成感がない」、「夜勤がつらい」などとなっています。
また、「この3年間に仕事でミスやミスをしそうになったことがある」と答えたのは82.2パーセントに上り、理由については、ほとんどが「人手不足による忙しさ」をあげています

 調査を行った団体は、安全で安心できる医療や介護の実現のため、国などに対して看護職員を大幅に増やすことを強く求めています。

ちなみに医療法の言うところの医師法定定数というのは大昔の病院=じっと寝て安静にしている場所という時代に決まったような最低限度の基準で、今どきのまともな急性期医療をするには全く不足する基準ですけれども、それにしてもとりわけ地方の中小病院では非常勤医まで総動員して何とか定数維持を目指しているという状況のところが多いようですね。
医師に比べればまだしもお上の目の敵にされることの少なかった看護師にしても、例の7:1看護基準の導入などで看護師囲い込みが進んだ余波でしょうか、やはりこちらも中小病院を中心に深刻な不足感が発生しているようです。
当然こういう基準を満たせない施設では診療報酬上も低い評価になってきますから、病院収入が少ないことがスタッフ待遇改善を困難にしてますますの人材不足を招く、結果としてついには病院そのものの経営も傾き廃業に追い込まれていくという、まさに国策推進という視点からは狙い通りの効果を発揮していると言えるわけです。

しかしこうした地域の中小病院に対する需要というものは根強くある、そして当然病院側としても需要に応えるために人材は欲しいというわけですから、基本的にこの業界では人手は多くて困るということはまずないと言うことで、医療を提供する側はもとより医療を受ける側からも人材をもっと増やせという圧力は強まる一方です。
一方で医師にしろ看護師にしろ国家資格の専門職である以上その増減は国が管理しているわけですが、民主党政権となり医療主導による成長戦略なんてことを言い出した手前もあって、いまさら「いやあまり増やし過ぎるとお金もかかりますから」なんてことを言える状況にもなさそうですよね。
もちろん医学部定員増などと言った中長期的な話も地道に進んでいる一方で、当座の人手不足を何とかしろという圧力が高まるのは当然で、例えば先日の看護師試験では鳴り物入りで導入された外国人看護師の合格がわずか3人だったこともあってか、昨今ではマスコミなども「医療にももっと外国人を導入しろ!余計な障壁は撤廃しろ!」なんて論調がトレンドになってきているようですね。

医療の人手不足 外国人の就労制限撤廃は当然(2010年4月26日読売新聞)

 医療や介護の人手不足は深刻だ。資格を持つ外国人の就労制限をなくすのは当然と言えよう。

 法務省が先月末に策定した第4次出入国管理基本計画に、医療分野の在留資格で看護師や歯科医師として働く外国人に課している就労年数制限の見直しが明記された。
 外国人の場合、日本の国家試験に合格して免許を取得しても、看護師は7年、歯科医師は6年を超えて日本で働き続けることができない。保健師や助産師にも4年までの制限がある。

 日本で働き続けたいと希望する外国人は多い。日本語能力のハンデを乗り越えて試験に合格したのだから、正当な要望だろう。
 就労年数制限は、日本人の雇用に影響を及ぼすことを懸念して設けられた側面が強い。以前から過剰な規制との批判があり、医師については4年前に撤廃された。
 法務省は省令を改正し、看護師など残る職種すべての制限を撤廃するという。必要な是正である。改正作業を急いでほしい。

 基本計画は、日本国内の大学卒業と国家試験の合格を条件に、介護分野でも外国人の受け入れを検討することを盛り込んだ。
 介護を受ける高齢者は加速度的に増加する。約124万人の介護職員は、2025年にはほぼ2倍必要になると推計されている。
 一方、介護福祉士の資格を持ちながら働いていない日本人が数多くいる。心身ともに大変な仕事であるのに報酬が低いためだ。

 人手不足解消のためには、まず日本人の労働環境の改善に努めるべきだが、日本人職員を急激に増やすのは限界がある。介護分野でも外国人の受け入れに道を開くのは、妥当な判断といえる。
 インドネシア、フィリピンとの経済連携協定(EPA)に基づいて受け入れている看護師・介護福祉士希望者への対応も必要だ。
 試験問題に難解な漢字が頻出することもあり、先月の看護師試験でも、受験した254人のうち合格者は3人にとどまった。

 彼らは母国で資格を取り、看護や介護に必要な知識を身につけている人たちだ。日本人の合格者が9割近いことを考えると、合格率が極端に低いのは漢字が障壁となっているのは間違いあるまい
 厚生労働省も試験の見直しに着手し、「褥瘡(じょくそう)」は「床ずれ」という具合に、平易な表現に言い換えることを検討している。歓迎できる動きだ。漢字にルビを振ることや、辞書の持ち込みを認めるなどさらに工夫を図ってほしい。

社説:外国人看護師 締め出し試験の愚かさ(2010年4月15日毎日新聞)

 経済連携協定(EPA)に基づきインドネシアとフィリピンから来日している受験生が初めて看護師国家試験に合格した。ただし、わずか3人。両国の受験者は254人で、合格率は1・2%だ。一方、日本人の合格者は約9割に上る。外国人受験生にとっての壁は、難解な漢字や専門用語だ。本当に看護師の仕事に必要なのか。わざと締め出そうとしているようにしか思えない。

 関税を撤廃し貿易の活性化を目指す枠組みが自由貿易協定(FTA)で、これに投資や知的財産保護を加えた幅広い自由化のルール作りをするのがEPAだ。インドネシア人候補者は08年8月から、フィリピン人は09年5月から受け入れ始め、これまでに看護師候補約360人、介護福祉士候補約480人が来日した。

 看護師候補者は半年間の日本語研修を経て、病院で働きながら国家試験の勉強をする。期限は3年間で3回の受験機会に合格すれば日本で働き続けることができる。試験は今年で2回目で、昨年は82人全員が不合格だった。第1陣は来年の試験に不合格だと帰国しなければならない。自国では看護師資格のある人々なのにである。

 試験問題の文中には「誤嚥(ごえん)」「臍動脈(さいどうみゃく)」「塞栓(そくせん)」「喉頭蓋(こうとうがい)」「喘鳴(ぜんめい)」「落屑(らくせつ)」などの難しい漢字がたくさん登場する。どうしても必要ならば仕方がないが、たとえば「眼瞼(がんけん)」は「まぶた」、「褥瘡(じょくそう)」は「床ずれ」に言い換えた方が患者もわかるし医療現場でも便利ではないだろうか。「創傷治癒遅延」は「傷の治りが遅い」ではだめか。「腹臥位(ふくがい)」「半坐位(はんざい)」「仰臥位(ぎょうがい)」「砕石位(さいせきい)」は診察や治療の際に患者に取ってもらう姿勢だが、イラストを付けるとわかりやすくなる。医学用語である「企図振戦」はintention tremorという英訳を付けてはどうか。

 日本人の受験生もこうした業界用語を習得する勉強に時間を費やしているのだろうか。患者とのコミュニケーションや医療事故を起こさないスキルの獲得に励んだ方が有益ではないか。患者や第三者の監視の目を立ち入らせないようにする閉鎖性がこういうところに表れるのではないかとすら思えてくる。

 形式的な公平だけでなく、実質的な公平を実現しなければならないことを「合理的配慮義務」という。国連障害者権利条約などにある概念で、障害や宗教、人種などによる目に見えない障壁を取り除くために用いられる。看護師を目指す外国人に対する日本の国家試験はまったく合理的配慮に欠けている。高齢化が急速に進んでいく一方で、就労人口は減っていく。外国人看護師にたくさん来てもらわなければ困るのに、いったい何を考えているのか。

個人的な見解として外国人もどんどん入れたらいいと思いますし、英語を公用語とするフィリピン人看護師の半数が日本を勤務志望先に選ばないなんて話を耳にすれば、誰しも「日本語の小難しい用語を何とかすればいいんじゃないの?」なんて考えたくもなるものですが、一方で試しにフィリピン人受験者に英訳した試験問題をやらせてみたところ合格基準に達したのは四割にも満たなかったという話もあります。
要するに医療というものは一方ではエヴィデンスだ、国際標準だと共通化が進んでいる一方で、とりわけ現場レベルにおいては未だそれぞれの国情に応じた慣行が当たり前に行われているわけですから、「母国で看護師をやっていたのだから日本で働いても問題ないはずだ」とは必ずしも言えないということは認識しておかなければ、門戸を広げたは良いが後で思いがけない結果を招く可能性もあるということですよね。
むしろそうした方面から考えていくとこれは拙速に進めるべき当座の対策というよりは、中長期的な対策に属するべき課題であるという気がしますし、人手不足だから外国人をさっさと入れろ!では後日人手が足りてきた時にはせっかくの専門職スタッフを使い捨て同然にお引き取り願うのかという話にもなり、新たな国際紛争の火種にもなりかねないわけです。

これらに対してこの人手不足の機会に大いに推進すべきだと思っているのが「専門職はその専門分野の仕事に専念させるのが一番効率がいい」という当たり前の話で、悪名高い国立大学病院における医師使い潰しなどを見れば誰しも「こんな無駄をやらせて医師不足って何それ?」と感じるでしょうし、一般病院においても専門職であるはずの看護師が大挙してシーツ交換などしているのは無駄としか言いようがないわけです。
無論専門職にしか出来ないことは専門職がやるしかありませんが、そうでないものはなるべく非専門職に下請けに出す方がトータルのコストも抑えられ、何より不足しがちな資格職スタッフを誰にでも出来る雑用で過労に追い込むリスクも減らせる道理で、その意味から最近特に注目されているのが高齢者層の増加で需要が増える一方の介護職です。
医師や看護師に比べれば専門性が低く参入への敷居も越えやすい、一方で医療のバックアップとも言うべき介護分野がしっかりと仕事をしてくれれば急性期、慢性期を問わず病院の専門職も直接間接両面で非常に助かるのは当然ですから、今や関係各方面からこちらでの規制緩和の道が探られつつあるわけです。

仙谷担当相:「介護福祉士試験を柔軟に」認識示す(2010年4月19日毎日新聞)

 仙谷由人国家戦略担当相と枝野幸男行政刷新担当相は19日、神奈川県海老名市の養護老人ホームを訪れ、経済連携協定(EPA)に基づき来日中の、インドネシア人介護職員と面会した。仙谷氏は介護福祉士の国家資格試験について「コミュニケーションと技術さえしっかりしていれば問題ない」と述べ、ひらがなでの受験を認めるなど柔軟に対応すべきだとの認識を示した。日本はEPAにより、インドネシアとフィリピンから看護師、介護福祉士の候補者を受け入れているが、日本で働き続けるためには、3年以内に国家資格を取得する必要がある

特養介護職に医療行為=「たん吸引」など来年度から-厚労省(2010年3月25日時事ドットコム)

 厚生労働省は25日、「たんの吸引」など医師や看護師にしか認められていない医療行為の一部について、特別養護老人ホーム(特養)の介護職員に一定の条件下で認めることを決めた。容認する医療行為のガイドラインや研修の内容などを詰めた上で、特例的に認める通知を出し、来年度初めにも解禁する。特養で介護職員に医療行為が認められるのは今回が初めて
 この日開かれた厚労省の検討会で了承された。認められるのは口元でのたんの吸引と、胃に通じたチューブで栄養補給する「経管栄養」の二つ。たんの吸引はのどの手前までに限定し、経管栄養のチューブ接続は看護師が行うのが条件。

日医などは先のナースプラクティショナー制度導入への反対論などを見ても全く逆の立場で、極論すれば「万一にもなにかあったら困るから全部医者がやるべき」といういかにもお暇な方々らしい考え方のようですけれども(苦笑)、では特養でずっと寝たきりのお爺ちゃんお婆ちゃん相手に多少痰の吸い方が下手だったところで現実問題誰が困るのかという話ですよね。
近年の流れで医療は万一に備えた過剰防衛気味な方向にやや話が流れていて、「緊急手術が必要です!今すぐやらないと死にます!」なんて外科医が説得して手術にこぎつけたところが麻酔科医が全麻のリスクを説明して同意を取るのに一時間かかった、なんて笑い話のようなことも聞こえてきますけれども、その方向に進んでいく限りは万のうち9999の無駄が増えていくばかりで、決して効率向上にはつながっていきません。
より多くの人々に安定的に医療を提供するメリットのために敢えて質を妥協するとは、つまるところ総体として利益が上回るなら一定のリスクは甘受すべきと言う話でもあって、そうであるからこそ公の権威が率先して「もっと専門職をうまく使いこなしましょう!」と受益者教育をしていくべきだと思うのですが、お金で考える国はともかく学会などは未だにコストもマンパワーも度外視で最善を追求するのが当然という考えが多いようですからね(苦笑)。

医療を一部の出来る人材の献身的努力に頼るのではなく、それぞれ足りないところのある個人個人が集まって集団として過不足のない質を確保していく、増え続ける医療需要に対して優秀な人材を医療業界だけが独占するわけにも行かないのは当然ですから、こうした医療の構造改革は医療を産業化していく上でもいずれ必ず必要となるし、またそうでなければ医療提供の永続性、安定性は担保できないでしょう。
世間が医療=人手不足産業と認識しつつある今日はまさに改革の好機なのですが、もちろんそこには万一の場合にはきちんと個人ではなく、組織として対応し責任を取っていくという大前提が必要であることは言うまでもないことだし、なにかあった時のためにも無過失保証制度のようなシステムも拡充も必要でしょうし、何より医療を受ける側の意識改革というものも要求されることは言うまでもないところでしょう。
その意味では真夜中にふらりと病院にやってきて「当直の研修医?!わしはいつも院長にかかっとるんじゃ!院長を出せ院長を!」なんて無理難題を吹っかけてくるような方々の問題と、少なからず根っこの部分では共通するものがありそうにも思いますね。

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2010年5月17日 (月)

一向に減る気配のない未受診妊婦、そろそろ背後にあるものにも目を向けなければならないのでは

本題とはあまり関係ないのですが、ちょっとした記事をまず一つ紹介しておきましょう。
「産科医、事故」とキーワードが並びますと、ひと頃なら「またリピーター医師の犠牲が?!」なんてマスコミさんやら市民団体やらのの格好の餌という時代もありましたけれども、同じキーワードでこういうものが引っかかってくることもあるのだなと考えさせられたのがこちらの記事です。

車事故、記憶失い台風で証拠消え…保険金求め医師が提訴(2010年5月16日朝日新聞)

深夜、緊急手術の呼び出しで病院に向かう途中に事故を起こし新車が全損。一時、意識を失いながら、なんとか病院にたどり着くも、患者の容体が安定して手術の必要はなし。おまけに台風と記憶喪失で事故現場が分からなくなり、保険金の支払いを拒否――。そんな「不運」な40代の産婦人科医の男性(岐阜市)が、東京の大手保険会社を相手取り、保険金など約880万円を求めて岐阜地裁に提訴した。

 訴状などによると、男性は岐阜市内の産婦人科医院の院長。2009年9月28日午前1時40分ごろ、「緊急帝王切開が必要な患者が出た」との呼び出しがあり、約20キロ離れた愛知県犬山市の関連医院へ自分の車で向かった。

 しかし、途中でハンドル操作を誤った男性は草むらにつっこみ意識を失う。意識が戻ったのは約30分後。何とか病院に到着したが、すでに患者の容体は落ち着き、手術の必要はなかった

 この事故で、男性の車は全損。英国の「ロータス」社製の車は、2カ月前に約800万円で購入したばかり。保険の支払いを求めたが、男性の記憶があいまいで、さらに事故の10日後に通過した台風のせいで証拠が散逸。「現場が特定できない」と車両保険の支払いを拒まれた

 男性側は「調査が速やかになされていれば現場は特定できた」と訴えた。保険会社側は「訴状が届いたばかりなので、詳細を確認してから対応を決めたい」としている。(贄川俊)

不謹慎ながらまるでマンガのような展開と思ってしまいましたが、ご本人にすれば真夜中に呼び出された挙句事故には遭って新車が潰れるわ保険金は出ないわで、ふんだりけったりとはまさにこのことなんでしょうが、開業の先生で他の開業医の応援に行っていたということなんですかね?
これで患者さんまで大変なことになっていたら泣きっ面に蜂どころの話ではなかったところでしょうが、幸いにもそちらは大過なかったようで文字通り不幸中の幸いだったということでしょうか。
しかし産科がいろいろな意味でハイリスクであるのはこういう思わぬアクシデントのみに限ったことでもなく、先ごろこんな調査結果が公表されて社会的にも少しばかり話題になっているところですが、こういう話はもはや産科医を少々増やした程度でどうこうなるようなものではないことは明らかですよね。

未受診出産152例 大阪府が昨年初調査(2010年5月13日産経新聞)

 妊婦検診をほとんど受けないまま分娩(ぶんべん)したり、全く検診を受けないで飛び込み出産したケースが平成21年の1年間で、大阪府内で152例あったことが12日、分かった。府内でお産する人の500人に1人の割合で、未受診の理由について33%が「お金がない」などの経済的理由をあげたという。飛び込み出産は近年、増加する傾向にあるといわれているが、実態は分かっておらず、都道府県が全数調査を行ったのは全国で初めてという。

 妊婦検診は母体と胎児の健康を確保することを目的に、出産までに14回程度の検診を受けることが望ましいとされている。しかし、医療機関などによると、検診を受けないまま出産するケースが増加しているといい、府が初めて実態調査に乗り出した。

 調査は府内で分娩を取り扱うすべての施設にあたる約160施設が対象。妊婦検診の受診回数が3回以下か、最終受診から3カ月以上受診していないケースを調べた。

 未受診妊婦の152例のうち、妊婦の年齢は13歳から43歳までの平均28・3歳で、未成年は24人。中学生も2人いたという。40%が初産で、69%が未婚だった。母体の41例に妊娠高血圧症候群などの合併症があったほか、早産や子宮内感染など、新生児の健康に問題がある事例も73例。死産も3例あった

 妊婦検診を受けなかった理由については「お金がない」「失業し経済的に苦しかった」といった経済的理由を挙げる人が最も多く33%で、「妊娠に気づかなかった」「どこにいってよいか分からなかった」という知識の欠如をあげた人が21%。また、育児の多忙や不倫、離婚といった複雑な家庭事情を理由にあげた人もいた。

飛び込み出産:昨年152件 500人に1人、未受診妊婦 /大阪(2010年5月13日毎日新聞)

◇府と大阪産婦人科医会が初調査

 妊婦健診を十分に受けず、分べんに至る「飛び込み出産」(未受診妊婦)が09年1月からの1年間で府内で152件あったことが、府と大阪産婦人科医会の調査で分かった。医師の処置の必要な出産が69%を占めたほか、育児放棄(ネグレクト)などが懸念される例もあり、未受診妊婦が医学的だけでなく、社会的にもハイリスクである実態が浮かび上がった。「飛び込み出産」について都道府県レベルの調査は全国初めてという。【佐藤慶】

 府内の全産婦人科医療機関166施設に依頼し、95施設から調査協力の回答を得た。回答していない施設は過去に受け入れ実績がなく、府内の事例をほぼカバーした。調査では、「受診回数3回以下」「最後の受診から3カ月以上未受診」のいずれかに該当する妊婦を「未受診妊婦」と定義した。

 調査結果によると、29施設で152件の未受診妊婦の報告があった。府内で出産する500人に1人の割合で、未受診妊婦の69%が未婚、40%が初産婦だった。

31・7%の新生児が新生児集中治療室(NICU)を利用したほか、死産も3例あり、周産期死亡率19・7は08年の全国値4・3を大幅に上回った。受診しなかった理由は「経済的な理由」が33%で最も多く、妊娠に気づかなかったり、どこに行ってよいか分からないなどの「知識の欠如」が21%で続いた。府は「制度を知らない人や社会的に孤立している人に対して妊婦健診を周知し、受診率向上につなげたい」としている。

どこの自治体であれ少なくとも数回以上は無料での健診枠を確保しているはずですから、検診受診三回以下というのは経済的側面だけでの対応では限界があることを伺わせる話ですが、注目すべきは未受診妊婦という集団は様々な意味での訳あり妊娠がかなり多いということ、根本的な妊娠に対する知識が欠如している人々も相当数いるということですよね。
こうした若年世代では物心ついてから病院にかかったことがないという人間も多いでしょうから、これらは単に医療機関の努力でどうこうなるものではなく、学校現場におけるきちんとした性教育や行政による広報活動、社会的な支援策など地域社会全体が関わった対応が必要となるということでしょう。
一方で注目されるのが未受診妊婦の比率が全体の1/500という比較的少ない比率であるにも関わらず、合併症や周産期死亡率の高さなど医学的な問題は非常に多いということですが、この点は昨年末に別件で報告された東京都のデータでも未受診妊婦は搬送に手間取るとされている件と合わせて、非常にハイリスクな出産環境に置かれているということがわかる話です。

一般通報の4割が未受診妊婦-都の搬送コーディネート業務実績(2009年12月23日ロハス・メディカル)

 東京都が8月末に開始した妊婦や新生児の救急搬送コーディネーターについて、11月30日までに93件の実績があったことが22日、都が公表した調査で分かった。コーディネーターが通報を受ける経路は、119番通報から直接コーディネートにつなげる「一般通報」と、産科クリニックなどから産科救急の機能を持つ施設に搬送を依頼をする「転院搬送」があるが、「一般通報」でコーディネートされた妊婦の約4割がかかりつけ医のいない「未受診妊婦」だった。都の担当者は「何かあった時にスムーズに受診できるように、妊娠が分かったら母子手帳を持ち、かかりつけの産科医療機関を持ってもらいたい」と話している。(熊田梨恵)

 昨年都内で起こった妊婦の救急け入れ困難の問題を受け、都は受け入れ先を迅速に探すための搬送コーディネート業務を8月31日から開始している。東京消防庁内で119番通報を受ける指令室に席を置く助産師がコーディネーターとして交替勤務で24時間対応し、受け入れ先が決まらない妊婦や新生児の搬送について、医療機関や119番からの問い合わせを受けている
(略) 
 都によると、8月31日から11月30日までにコーディネーターが行った搬送は93件で、このうち転院搬送が52件、一般通報が41件だった。

 かかりつけ対応ができないために一般通報となった41件の内訳を見ると、「未受診」が41%と最多で、次に「かかりつけが遠方」27%、「かかりつけがビル診などのため夜間対応なし」12%、「受け入れ不能」10%などだった。

 転院搬送の理由では、「切迫早産」60%、「前期破水」26%、「PIH(妊娠高血圧症候群)」6%、「IUGR(子宮内胎児発育遅延)」4%、「切迫流産」2%、「胎児機能不全」2%など。

 都が同日開いた周産期医療関係者の集まる有識者会議で、杉本充弘委員(日本赤十字社医療センター産科部長)は「未受診妊婦が前より増えていると思う」と発言し、都内の外国人などの人口についての実態把握を都に求めた。杉本委員は会合終了後に取材に応じ、「コーディネーターからの搬送依頼を受けていても未受診妊婦が多くなったと感じている。妊婦検診は14枚の券で補助されている【編注】が、病院に行く時間的な余裕もないのかもしれない。社会の不況や経済的な状況の一部の断面かもしれないと思う。また、東京独特で、妊婦さんが地域や周囲とのご近所付き合いがなくなっていて、状態が悪そうでも声を掛け合ったりするような感じではなくなっているのでは」と話した。

【編注】「妊婦検診は14枚の券で補助」...東京都では、母子手帳に付いている14枚の受診票を産科医療機関の窓口で提出することで、一定の検査については都内の病院ならどこでも無料で受けられる。

土地柄による未受診者比率の差というものを考慮に入れたとしても、いまさらご近所づきあいがどうとかいうレベルの話でもなくなってきているのかとも思えますが、当然ながら未受診妊婦は受け入れにもこうして手間取る、受け入れられても切迫した状況下で一からデータを集め方針を即座に決定しなければならないと言う状況が、先程の記事にも出たような周産期の各種問題が高率に発生する原因ともなっていそうです。
これらはいずれも単なる事実の提示としてはいまさら感の強いニュースでしかありませんけれども、未受診妊婦を減らしていくことが医療現場のみならず地域社会全体としての課題だと考えるならば、いずれの記事も物足りないなという印象が拭えないところですよね。
未受診妊婦問題の根本的解決は一朝一夕になることでもありませんが、一方で将来に向けて問題解決を図るためには厳しいことを言うようですけれども、まず社会的に未受診というのは悪いことであって許されないのだというコンセンサスをもっと作り上げていかなければ、いわば一番最後の瞬間に関わるだけの医療現場に近いあたりだけで騒いでいても仕方がないという気がします。

例えば無免許運転というものはバレれば社会的に大きなバッシングを受けて当たり前だというコンセンサスが成立していて、お金がなくて教習所に通えなかっただとか、仕事が忙しくて更新出来なかったなんて言い訳は通用しないわけですが、一方で未受診妊婦ということになると今のところ上記の記事におけるスタンスでもわかるように、同様のケースであっても非難というよりは同情的というに近いですよね。
一方で免許証がなくてもきちんと運転技術が伴っていれば事故などで社会に迷惑をかける確率は一般ドライバーとそう変わらないかも知れませんが、未受診妊婦が社会と、何より生まれてくる子供に迷惑をかける確率は確実に高いというデータがこうして出ているわけですから、どちらが社会的正義からより遠い存在かと言えばこれは明らかなように見えます。
だからと言って未受診妊婦は見つけ次第逮捕しろなんて話にもなりませんけれども、まずこうした行動が子供に対する無責任というだけでなく、自分自身にとっても社会にとっても悪い行為であるという認識を広めていかないことには、経済情勢も性習慣もおいそれと改善する見込みがない時代だけにいつまでたってもこの問題は解決しそうにありません。

調査によれば妊娠にまつわる様々な知識や制度を知らなかったという人も多いですけれども、全ての人が全ての法律に通じているわけでもないのに法に違反すれば裁かれるのが法治社会の常識で、言ってみればそれは「知らない方が悪い」と言われても仕方がないところですし、一方では若年者妊娠の増加などを見ても学校教育できちんとした知識を授けておくことは極めて重要な社会的義務だとも言えそうです。
いまさら「おしべとめしべが…」という時代でもないでしょうけれども、せいぜいが妊娠する行為をすると妊娠してしまうことがあります、なんてレベルの性教育では全く意味がないことは明らかなわけですから、そもそも妊娠の兆候とはどんなものか、妊娠かなと思った時にどういう対応をしなければならないかといった実際的な知識は、妊婦検診システムの周知ともセットで取り上げておくべきではないかという気がします。
このあたりは一見すると昔ながらの性教育問題の延長であって、未受診妊婦受け入れ問題で大騒ぎに成っている医療現場からはるかに遠い世界のようにも見えますけれども、結局のところそういう社会的背景を地道に改善していくところから始めていかないと仕方がないんじゃないでしょうかね。

幸い?こういう医療現場と遠いところでの社会的構造的な未受診妊婦対策というものは、いくら熱心にやったところで医療費を減らすことはあっても増やすということは全くない道理ですから、未だ医療費増に神経を尖らせている方々にとっても受け入れやすい方法論なのではないかという副次的効果もありそうですしね。
何にしろ医療費を減らすために病気になる前の対策が重要なんだと、昨今ではメタボだなんだと大騒ぎしながら社会的に対策をやってきているわけですから、未だ解決の見通しが全く立っていたい未受診妊婦問題においても同じように、広く社会を巻き込んだ大掛かりな対策をやっても何らおかしくはないんじゃないかと言う気はしています。

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2010年5月16日 (日)

今日のぐり:「旬彩・鮨処 和(なごみ)」

昔から有名なコピペの一つに、こういうものがあります。

犬は思う。
この家の人たちは、餌をくれるし、愛してくれるし、
気持ちのいい暖かいすみかを提供してくれるし、
可愛がってくれるし、よく世話をしてくれる・・・。
この家の人たちは神に違いない!

猫は思う。
この家の人たちは、餌をくれるし、愛してくれるし、
気持ちのいい暖かいすみかを提供してくれるし、
可愛がってくれるし、よく世話をしてくれる・・・。
自分は神に違いない!

先日こんなニュースを見かけた時、真っ先に思いついたのが上記のコピペでした。

猫をかぶる? 助けたのに…([2010年04月29日大分合同新聞)

 先日の夕方、「大分市府内町で、側溝の中にネコが閉じ込められて鳴いている」と近所の女性から大分市消防局に119番通報があった。
救助隊が駆け付けると、「ニャー、ニャー」とおびえたような鳴き声。どこからか迷い込んでいた。
かわいそうに思った隊員が急いで側溝のふたを外すと、途端に鳴きやみ、何事もなかったかのように路上に飛び上がり、スタスタと去っていった。
「せっかく急いで助けてあげたのに、ネコは僕らが思うほどありがたみを感じていないのかな」と肩を落とす隊員。

この記事の挿絵の呆然と見送る人々がまたなかなかいい味を出していると思うんですが、まあ猫であればこんなものかなとも思いますよねえ(苦笑)。
本日は猫にちなんだ話題を幾つか紹介していきたいと思いますけれども、世の中とにかく猫!と言う情熱的な人間はいるものだなと感じさせられるのがこちらのニュースです。

「出会ってすぐ恋に落ちた」?!飼い猫と結婚式を挙げた男性(ドイツ)(2010年5月5日テックインサイト)

ドイツ東部のザクセン州に住む男性が飼い猫と恋仲に落ち、なんとこの1人と1匹が結婚したと伝えられた。公式では無いものの、花婿花嫁ともに正装し結婚式を挙げたという。

ドイツ東部に位置するザクセン州。郵便局で働くUwe Mitzscherlichさんが、彼の飼い猫である15歳のCeciliaと結婚したと「daily Bild」が伝えた。

Mitzscherlichさんと飼い猫のCeciliaは、約10年前にバルト海岸で出会ったという。2人(1人は猫である)はすぐに恋におちたそうだ。「Ceciliaはとても信頼でき、また2人の間には強い絆があります。」とMitzscherlichさんは言う。彼は喘息を患っており、また Ceciliaは肥満気味でこの先もう長くは無いと悟り、この2人の関係を公にしようと決めたのだという。

ドイツ当局では、当然ながら人間と猫の結婚式は執行しない。Mitzscherlichさんは、女優のChristin-Maria Lohriさんに有料で2人の結婚式を取り仕切るように依頼した。依頼されたLohriさんは、「最初は冗談かと思った。」という。いよいよ結婚式の日、 Mitzscherlichさんはタキシードにシルクハットと正装し、また花嫁のCeciliaは小さいウェディングドレスを着ていたという。式典は花、結婚行進曲、誓いとキス、全てが完璧だったと伝えられている。

しかしこれも世間的にはどうなのという話題なのかも知れませんが、肥満気味云々という以前に猫の十五歳と言うとかなりの御高齢なだけに、人(猫)生最後の一花を咲かせたということなんですかね?
同様に猫との情熱的な愛を貫き通したと言うこちらの御仁ですけれども、こちらの場合は残念ながら恋に盲目過ぎたためか?法の裁きを受けてしまう羽目になってしまったようですね。

猫に会いたい…偽パスポートで渡米 会社役員に有罪判決(2010年4月28日朝日新聞)

 米国に残したペットの猫が心配だった――。飼い猫に会うため、偽のパスポート(旅券)で米国へ渡航を繰り返したとして、旅券法違反の罪に問われた岐阜市の会社役員の女(48)に対し、岐阜地裁は27日、懲役1年6カ月執行猶予4年(求刑懲役1年6カ月)の判決を言い渡した。

 判決によると、女は2005~08年、偽造旅券で9回にわたり出入国を繰り返した。宮本聡裁判官は「軽率な犯行だが、組織的背景はない」と述べた。

 公判でのやりとりなどによると、女は約20年前に米国に語学留学して以来、アパートを借りて猫の親子数匹を飼っていた。しかし、1998年ごろに入国を拒否され、理由を十分に説明されなかったため、自分の旅券では渡米できないと思い込んだという。

 そこで女は、幼なじみの女性に頼んで名義を借り、自分の顔写真を張って旅券を申請。渡航の際はこの旅券を使っていたという。

 公判で「テロなどでアメリカは敏感になっている。大騒ぎになるところだった」と諭す宮本裁判官に、女は「猫が心配で仕方なかった。どうしても帰りたかった」。猫は他人が引き取るなどしたといい、「軽はずみなことをした」と反省していた。

米国の入国は厳しいことになっているようですから、この場合は猫のほうを連れてきてもらうなりした方が話が簡単だったような気がしますが、それだけ回りが見えなくなるほど必死だったということなんでしょうかね。
さてお次は最後のニュースですけれども、同じ猫絡みの話題でもこれがブリの話題ともなりますと、一転して何やら怪しげな気配が漂ってくるのは仕方のないところなのでしょうか。

19歳の老猫が襲ってくるので、もう配達しません…イギリスの郵便局(2010年04月18日らばQ)

仕事をボイコットするには、何らかの理由があるものです。

イギリスの郵便局が、ある家への配達を停止したそうです。
その理由ですが、なんと19歳になる飼い猫が配達員を攻撃してくるため、配達できないと言うのです。

イングランド北部のリーズに住むトレイシー・ブレイショーさん(43歳)は、19歳になるオス猫のタイガーを飼っています。
しかし郵便局側によると、この数週間で3人の配達員がタイガーに襲撃され、腕や足に怪我を負った人もいると言います。
配達を停止されてしまったトレイシーさんは、仕方なく郵便局まで配達物を直接取りに行っているそうですが、「人間に換算すると90歳という高齢の猫が、人を襲うなんて信じられない」と驚きを隠せないでいます。

1日に20時間は寝ていると言うタイガーですが、郵便配達の音を聞きつけると猫用ドアから飛び出してきて、うなり声をあげて威嚇し、道の向こう側まで追っかけていくこともあるそうです。
猫の平均寿命は15年程度なので、19歳の猫が人を襲うことにビックリですが、確かにタイガーという名前に負けない迫力がありますね。

郵便局側では怪我人が出ないよう対策を練り、解決すれば配達を再開する意向だとのことです。

ブリと言えばトンデモな話題には事欠きませんけれども、これはしかしいろいろな意味でどんなトンデモ猫かと思うような話ではありましたね。
しかしどうせ一日中ほとんど寝ているというくらいなら、いっそ猫用扉を閉ざしておいてもさほど不都合はないような気もするのですが、飼い主のトレイシーさんとしてそれは譲れないということなんでしょうか。

今日のぐり:「旬彩・鮨処 和(なごみ)」

高知城から追手筋を通って歩いていくと道路脇にあるこちらのお店、今まで入ったことのない店にと思いつつたまたま通りがかって、何となく鼻にピクピク来るものがあって入ったんですが、結果からするとこれが割合に居心地が良かったですね。
店構えからしても内装にしてもいかにも最近出来ましたという感じなんですが、後で調べてみますと2010年2月開店と言いますからつい三ヶ月ばかり前のできたてホヤホヤで、まだまだ固定客がついていないらしく開店直後の時間帯であったことも手伝って、店内の客の入りはさほどでもありませんでした。
寿司屋と言うことでカウンターに座ってもよかったんですが、同行人の都合に合わせたことに加えてちょうど出始めた初鰹を中心に楽しんでみたいという気持ちもあって、小奇麗に整った座敷の方へ案内していただきました。

まずは鰹のたたきを塩とポン酢で、これまた(個人的に)定番のウツボの唐揚げに土佐巻き(こちらでは山芋を加えた新土佐巻きなるものもあるようですが、この日は標準のものを頼んでみました)に、握りは今日のおすすめというものを一通り頼んでおいて、後は各人で勝手にやってくれと言うことにしてみました。
たたきの方は塩にしろポン酢にしろ程よい香ばしさだけで嫌な風味が全くないなかなか良い焼き具合で、すっきりしたこの時期の鰹のさわやかな味わいを楽しめるものですから、これでしたらポン酢より塩たたきの方が塩梅がいいように思いますね。
ウツボの唐揚げは塩味でそのまま頂くというスタイルで、個人的にはこの料理にはポン酢に紅葉おろしといったやや強めな味が合うのかなと思っていましたところ、このウツボはしっかりした歯ごたえの皮とさくさくホクホクの食感を提供する身もさることながら、それらの間のブリブリのゼラチン質が今までで一番と言うくらいに見事なもので、揚げたてでこの食感の三重奏を楽しむには確かにポン酢では勿体無いかも知れません。
土佐巻きは細巻きが本来のやり方だそうで店によっては太巻きにして出すところもあるのですが、この店のそれはたっぷりの鰹を巻き込んだやや太めの巻き加減になるのでしょうか、太すぎず細すぎずこれくらいの飯と鰹とのバランスがちょうどいいんじゃないかという気がします。

握りの方で珍しいなと思って楽しみにしていたのがカマスの握りで、生のものを皮目を香ばしくあぶって出してきているのですが、干物にして旨い魚というくらいでもともと少し身質に水分過剰なところがあるようですから、ネタとして合わせるのには生そのままよりこういう扱い方がいいということなんでしょうね。
定番のヒラメやアジ、ヒラマサも時期からすると悪くないもので、ウニなどネタの味が勝ちすぎる気がして普段はほとんど頼むことがないんですが、さすがに妙な薬品臭いような風味などなく濃厚な旨みが楽しめますから、たまにはこういうものも悪くないですね。
旬を外れているはずなのに鯖がおすすめに取り上げているのでおや?と思ったのですが、なんでもこの土佐の清水鯖というのはちょうど今ブランドとして売り出し中なんだそうで、脂こそないもののスッキリした嫌味のない味はこれはこれでありかなと思いますが、一方でこの時期であればやはり鯖よりは鰆なんじゃないかなと言う気もします。

握りの鰹はたたきではなく生のものを薄目にスライスしたもののようですが、鰹の血の風味も強すぎず弱すぎず、こういう食べ方をするなら脂が強すぎないこの時期のカツオの方が相性がいいかも知れないと思う味でした。
ただ上に載っていたにんにくスライスはそのまま食べてしまいましたが、この場合にんにくの味がいささか強すぎる印象で、これを無しにするか他の薬味の方がよいようにも思いましたけれどもね。
この日の握りということで個人的に実は一番気に入ったのがこちらの玉子で、一つ一つに店の名前が焼入れしてあるのでこちらで焼いたものなんでしょうが、たっぷりした大きさの玉子が均一に火入れされ絶妙の火入れ加減と非常に滑らかな食感を持ち、なおかつ噛みしめるとジューシーな玉子の味わいもたっぷり残しているという、昨今食べた中で一番というくらいの上出来の玉子だと思います。
料理にしろ寿司にしろそれもなかなか素材がよく、仕事ぶりもしっかりしたものですから雰囲気も込みで我々には満足出来る味なんですが、なかなか個性的な土地の食材を濃いめの味で食べることに慣れている高知の人たちの舌にとって、この一味控えめの味加減がどう受け止められるかが今後のポイントでしょうかね。

全般の味のレベルや価格帯からすると、ちょうど近隣で定評を得ている「おらんく家」あたりと競合しそうかなと思うのですが、今はちょうど子供からお年寄りまで誰でも受け入れてもある程度余裕を持って対応できる程度の入りであるのは、込むことが多いあちらのお店よりはゆったりとした気分でおいしいものを食べたい時にはいいんじゃないかとも思いますね。
とりわけ接遇面は特筆すべきだと思うのですが、寿司屋らしく鬱陶しくない程度の活気に加えて、押し付けがましくない範囲での丁寧さがあり、比較的声の届きにくい奥まった座敷席でも声を張り上げる必要のない顧客との近さを保っているのが好印象で、あまりそういう方面を気にしない同行者も「何か気持ちがいい店」と言うくらいですから、これは今のところ店一番の売りとして高評価を与えておきたいところです。
これから周辺競合店と競い合いながら固定客を得ていく途上と言うことになるのでしょうが、今より繁盛してきても今の雰囲気を維持してくれていればいいかなと感じた今日のぐりでした。

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2010年5月15日 (土)

環境テロリスト包囲網 その背後にある実態とは

先日は環境テロリスト「シー・シェパード」のポール・ワトソン代表にも逮捕状が出たという話題を紹介しましたけれども、この件について同団体の反捕鯨活動の実質的母港となっている豪州政府がこんなことを言ったということです。

反捕鯨団体捜査 豪法相が協力表明(2010年5月6日産経新聞)

 中井洽国家公安委員長は6日、連休中に訪問したオーストラリアで会談したマクレランド法相が、調査捕鯨船妨害事件で東京海上保安部が傷害容疑などで逮捕状を取った反捕鯨団体「シー・シェパード」代表のポール・ワトソン容疑者に関する捜査への協力を表明したと明らかにした。

 中井氏の協力要請にマクレランド法相は「捕鯨に対する考えは(日豪間で)別だが、破壊行為は断固許すべきではない。日本側の立場を断固支持し、協力したい」と述べたという。

犯罪行為に対して国境を超えて協力し対処するのはごく普通のことではありますけれども、今になってこういうことを言い出してきたかの国の真意と言うものに関しては様々な思惑がささやかれているようですね。
それはともかくこのワトソン代表なる人物、反捕鯨国においては妙にカルト的人気を誇っているということで、とにかくその資金力というものは全く馬鹿にできるものではありませんが、単にそれをテロ活動のために用いるのみならず個人的に懐も暖かくするという抜け目の無さも兼ね備えているようで、小児的正義感に染まって活動に勤しんでいる手下達こそいい面の皮という話なのでしょう。

シー・シェパードの日本人女性「給料ない」 代表は年収1億円なのに(2010年2月24日うらたん)

先月6日の衝突事故を皮切りにシー・シェパードの執拗な妨害行為により負傷者が続出している今期の調査捕鯨。今月15日にはアディ・ギル号の元船長が第2昭南丸に侵入、日本語による抗議の書簡を持参するなどその活動は日に日に大胆さを増している。
また驚くべきことにシー・シェパードの乗組員には「日本女性」がいるという情報も。

「日本人女性メンバーが拡声器を使って、書簡に書かれている内容を読み上げていた。」(J-CAST

日本の船をこれだけ執拗に妨害するシー・シェパードに日本人女性がいる。にわかに信じがたい話だが、水産庁ではこれを事実として認識。「メンバーに日本人がいるのは知っている。ただどのような人物で、どのような経緯で入ったかはわからない」としている。

日本の捕鯨船を攻撃するエコテロリストとも呼ばれるシー・シェパードになぜ日本人女性がいるのか。「FLASH」3/9号に「マリコ」と呼ばれる日本人メンバーのインタビューが掲載された。それによると

・SSの活動は今回の乗船が初めて(通訳として乗船)
・個人情報は答えられない
・日本にいたときは教師をしていた
・スポンサーサイドの人々と出会いSSに参加するきっかけに
・SSはエコテロリストではない
・乗組員はふつうの人たち30人ほど
・ボウガンは鯨肉の質を落とすために射たと聞いている
・陸と違い体力が削られ家に帰りたいという人もいる

など、いままで明かされることのなかった船内での様子、メンバーの気持ち考え方などがわかった。中でも興味を引いたのは給料や生活についての話

経験豊富な乗組員たちにはおそらく、非常に安い給料をあげていると思いますが、ほかの人たちには出ていません。ただ、ここでの生活にお金はかかりません。この船の食べ物はすべて、ベーガンといって、いっさい動物性を摂らない。でも、とてもおいしい。イタリア料理から中華から和食までいろいろな料理を食べさせてもらってます。」(同誌より)

そう、彼らは基本的にボランティアであり、ただ働き。ご飯は食べさせてもらってるとはいえ過酷な南極海での長期航行に妨害行為、かなり過酷な労働条件だと思うのだが、そもそもSSの資金繰りはどうなっているのだろうか?

彼らの資金源は寄付や支援金で(グッズも一応売ってる)年間2~3億もの予算があるという。日本船への妨害を行いニュースに流れれば流れるほど募金が集まるという。
たとえばこんな動画が流れれば「SS頑張れ!新しい船を買うんだ!」と募金が集まる。
そして集まった資金を武器や妨害アイテム、さらには船につぎ込む。

たとえば先日沈没した「アディ・ギル号」なんかは3億4千万円くらいでかなり高価な代物。しかし船の場合はその都度大口の寄付があったときに購入しており、予算の積み立てプラス臨時収入での購入のようだ。
いずれにせよかなりの資金があるようで、かなり潤っているのは確か。SS代表のワトソン氏の報酬は公称で約720万円。しかし水産ジャーナリストの梅崎義人氏によれば

ワシントン条約事務局長から聞いた話では約1億円」(同誌より)

とのことで、完全に一人勝ちしているもよう。親の総取りといったところか。

明らかな武力行使と違法行為により日本の捕鯨船乗組員の生命を幾度となく脅かしてきたシー・シェパード。自分達は正義だと嘯いているがどちらがおかしい行為をしているのかは明らか。所詮は反捕鯨という旗を立ててスポンサーから金を得たいだけの営利団体であり、次々と激しいことをしてお客を満足させようと努力するパフォーマー。

海賊王ポール・ワトソンの私腹を肥やすための団体。

エコ(笑)に興味のある人をたくみに取り込み、ウマイ汁をすっているだけなのだ。

「マリコ」氏のインタビュー内容もまさにソレ系テンプレ通りという感じで、こういうのにはまる人たちのバックグラウンドを考える上で非常に興味深いところではあるのですけれども、やはりこうした執拗なテロ活動の背景にはそれだけのウマミがある、それもどうやら同代表一人にとってのウマミであって、テロ組織の掲げる崇高な理念(笑)に踊らされる「マリコ」氏ら末端工作員はよく言ってショッ○ーの一般戦闘員並の扱いということなのでしょうね。
実際捕鯨という行為が今や採算性を無視して行われているなんて批判もあるくらいに商業的利益からは縁遠いものとなりつつあるのに比べ、どうやらこの反捕鯨活動というものは先進国における一つの新興産業と化してきている気配すらあるようで、先のアカデミー賞などを見ても世間的にもそれだけ大きな注目と資金が集まるところとなってきているわけです。
当然ながらこうした人達にすれば更なる布教活動を進めるためにも、何であれ世間に話題が広まるほどウハウハという理屈ですから世の中の商業主義に便乗したい道理ですが、それに乗る人たちも元より商売なんですから「話題作だから日本でも流します」とでも言っておけばいいものを、妙に律儀に理論武装をしようとするから「商売気以外にも何か理由が?」と胡散臭さが増すと言うものですよ。

日本人に大バッシングのイルカ漁映画『ザ・コーヴ』、配給会社社長が反論!「日本人の手で撮影されなければならなかった作品」(2010年5月7日シネマトゥディ)

 [シネマトゥデイ映画ニュース] その内容から集中バッシングを浴びている、第82回アカデミー賞ドキュメンタリー長編賞を受賞した映画『ザ・コーヴ』について、この映画の日本での配給を決めたアンプラグドの加藤武史社長が独占インタビューに応じてくれた。

 本作は、クジラの町、和歌山県・太地町の入り江でひそかに行われているイルカ漁を、隠し撮りで撮影したドキュメンタリー映画。アメリカ人写真家のルイー・シホヨスがメガホンを取った本作には、アカデミー賞受賞後、「反日だ」「人種差別だ」とのバッシングの傾向が強まっていた

 すでに複数の配給が断っていたという本作を「世界の主要国すべてから非難されていると言ってもよい問題をどう解決するか考えることは環境面からも、外交面でも、意味がある」という思いで、配給することにしたという加藤氏。映画を観た人からのバッシングもある本作だが、映画を観ていない人からのバッシングが多いことに困惑している様子だった。

 加藤氏は「ハリウッドセレブではヘイデン・パネッティーア、ロビン・ウイリアムズ、ベン・スティラーなどが映画への応援メッセージを寄せています。レオナルド・ディカプリオも自身のサイトでこの映画を紹介しています」とハリウッドでの反響を話したが、日本と欧米ではこの映画に対する見解の違いは否めない。加藤氏は、日本が捕鯨の問題などを「食べるか食べないか」の水産問題でとらえていることを指摘し、反捕鯨国は、「環境をどう守るか」の環境問題としてとらえているため、両国の間で擦れ違いが起きてしまうのは必然だとした。

 その上で、「『いただきます』という言葉は生きとし生けるものの命をいただくということの感謝を表していると言いますが、実際には必要以上の命をいただいているわけです。日本人の謙虚さをもう一度思い出すべきではないかと思います」と配給するにあたって、本作に込めた思いを告げた。

 最後に、「『ザ・コーヴ』は本来、日本人の手で撮影されなければいけなかった作品だ」と述べた加藤氏。観客一人一人が、映画公開をきっかけに、賛否両論をぶつけて考えを深めることができる本作をプラスにとらえているようだった。

人様の商売にケチを付けるのも道義に反していることなのかも知れませんけれども、取り敢えず「実際には必要以上の命をいただいている」なんて文脈でこの映画を捉えるべきだと言うのであれば、世界に冠たる肥満大国のアメリカ人から説教される筋合いの話でもないだろうとは思いますけれどもね(苦笑)。
欧米的視点ではこれは環境保護問題だと言いますが、古来イルカを放置すると魚を食い漁具を荒らして漁師の生計が立たなくなるという事実がまず先にあって、漁業資源を保護するためにも漁師町ではイルカを殺すということは世界中どこででも行われてきたことですし、反捕鯨を主張するオーストラリアなども同様のロジックでカンガルーも大量処分していますよね。
日本人は害獣だからと言ってもただ殺すだけではイルカに申し訳ないと、それを余さず食べる文化を発達させてきたわけですが、これはアメリカ人が鹿を撃って頭を飾るだけでは勿体ないと鹿肉料理を発達させているのと同じことであって、子孫代々永続可能な環境を守るためにこそ行ってきたという経緯を考えるなら、それを妨害しようとする側にこそ何を以て環境保護と言うのかと反証責任がある道理です。

イルカを殺すのが道義上ケシカランと言うのなら世界中の漁師町に出向いて、ご当地のイルカ殺しをドキュメンタリー映画に仕立てて回らなければならないはずなんですが、日本だけを一生懸命叩くというのはレイシズムでなければ「イルカを食べるのがケシカラン」と言っているのと実質同じことじゃないんですかね。
この件もいくら理論武装をしてみたところで行動が伴っていなければ見え見え過ぎて興をそぐという典型だと思いますけれども、面白いことに先の記事にも出たような日本人テロ要員のようないかにも私洗脳されちゃいましたが何か?な方々というのは別に日本人特有でもなんでもなくて、むしろ世界的に一定割合で分布しているらしいということですよね。
例えば欧米で素朴に捕鯨反対!鯨を守れ!なんてテロリストを支援しているような人々の中には、客観的視点で見るとあまりに突っ込みどころ満載過ぎてむしろネタか?と思うような方々も目立ちますけれども、実はネタでもなんでもなく天然らしいという気配もあって、その一例として作家の藤島泰輔がこんな「ネタのようでネタでない」経験談を語っています。

「欧米の論理」に惑わされるな(勇魚1996年15号)より抜粋

(略)
 パリで日仏関係のあるシンポジウムに出席したとき、たまたま捕鯨の話になった。一人の強硬な反捕鯨論者のフランス人が「日本のように物資文明に恵まれた国が、貴重な鯨資源に執着するのは奇妙だ」というので、私は「物資文明の発達と食文化の伝統維持とは論理的に関係がない」と指摘した。捕鯨がメインテーマではなかったので議長がすぐに話題を転じたが、先方はぶつくさと私語を洩らしていた。そのとき感じたのは、捕鯨問題はやはり「日本叩き」の一環であるということであった。
 かつて日本映画「楢山節考」がカンヌの映画祭でグランプリをとったとき、フランスのジャーナリストの一部が「日本は自動車やVTRを洪水のように輸出しながら、農村部で『楢山節考』のような貧困を放置している」と批判したことがある。「楢山節考」を日本の現実と単純に誤解したものだが、当時の駐仏大使もこれらの批判には往生したと私に述懐していた。
(略)

ちなみに今村昌平監督の手になる楢山節考二回目の映画化は、1983年のカンヌ国際映画祭で最高賞(パルムドール)を受賞したというくらいで、当時あちらの知識人の間でも大きな反響を呼んだようですが、逆にそれが現代の日本批判に結びつくというのも面白い話だと思いますね。
自動車が走り回る時代にお山へ入らされてはおりん婆さんも成仏できそうにありませんけれども(苦笑)、こういう素朴な人たちが素朴な勘違いを前提に反捕鯨世論というものを作り上げているということを、とりあえず日本人としても知っておいた方がいいようには思います。

別に捕鯨問題を語る全員が「勇魚」を読んでおけとも言いませんが、やはり根本的な知識の欠如があっては底の浅い議論にしかならないということは我々も他山の石とすべき教訓ですし、同時に日本文化というものを広く知らしめていくということがこの場合何よりも良い援護射撃になるんじゃないかなとも思える話ではありますよね。
そういう意味では水産庁などの主導する捕鯨関連の広報活動というもの、あれはあまりに真面目過ぎて面白くも何ともないのが非常に残念なんですけれども、もう少しなんとかならないものですかね(苦笑)。

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2010年5月14日 (金)

行き着くところは現代の姥捨て山かと、思考停止してしまうのが一番よくありません

もっと大きな話題になってもよさそうなのに意外に軽く流されたなと感じていたこちら国民健康保険法改正のニュースですけれども、さすがに各紙とも一通りの記事にはしてきたようです。
色々な意味合いがありそうな今回の改正ですけれども、非常にキャッチーなコピーで攻めて来たのがこちら毎日新聞の記事で、まずは最初に紹介してみましょう。

健康保険法改正案:保険料「肩代わり」法、あす成立 健保組合が反発(2010年5月11日毎日新聞)

 大企業中心の健康保険組合(約1460組合)の負担を増やし、中小企業の従業員らが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ、約162万事業所)の保険料アップ幅を抑える健康保険法改正案が12日の参院本会議で成立する見通しだ。財政難の折、協会けんぽ支援に要する税金(1800億円)の半分近い850億円を、事実上健保組合や公務員の共済組合に「肩代わり」させる内容で、7月にスタートする。だが、健保側も不況にあえいでおり、強く反発している。

 不況下での給与減に伴い、保険料収入は激減している。中小・零細企業の多い協会けんぽは影響が大きく、09年度は6000億円の赤字を見込む。年収の8・2%の保険料率(全国平均、労使折半)を9・9%にアップしないと財政が破綻(はたん)する見通しとなり、政府は現在13%の国庫補助率を16・4%に高め、保険料率を9・34%に抑えることにした。

 ただ、国も補助率を増やす財源を、所要額の半分、900億円しか捻出(ねんしゅつ)できなかった。そこで健保・共済組合が75歳以上の後期高齢者医療制度に拠出している支援金について、健保は500億円増、共済は350億円増とし、それで浮く税を新たに財源とすることにした。税で賄えない分を健保と共済に「つけ回し」する構図だ。

 具体的には、後期医療への支援金(10年度計3兆5500億円)の算定方法を変える。今は健保、共済とも加入者数に比例した支援金額となっているが、一部を給与に応じた金額とし、人数にかかわらず給与総額が高ければ負担が増える仕組みに改める。中小企業中心の協会けんぽの支援金(1兆6600億円)は850億円減る。

 協会けんぽの支援金も16・4%は国費だ。新制度では、給与総額に応じて支払う支援金への国庫補助がなくなるため、900億円分の国費が浮く。これを協会けんぽの保険料率抑制に充てる。

 全体では500億円の負担増となる健保組合も、給与水準の低い3分の1強は負担減となる。しかし、健康保険組合連合会(健保連)によると、10年度は新制度抜きでも約9割、1295組合が赤字という。赤字総額は過去最大の6600億円に上り、352組合は保険料アップを予定している。健保連の白川修二専務理事は「国の責任で賄うべきだ」と批判している。【鈴木直】

まあ身も蓋もないと言ってしまえばそれまでなんですが、やはり世間が一番注目するポイントとしては大企業主体の健保組合に協会けんぽの負担を肩代わりさせるという、以前から健保組合側としては断固反対と主張してきた部分に他ならないということでしょうね。
その健保組合にしても昨今では「こんなに保険料を高くしなければならないのであれば自前で持つ意味がない」と解散して政管健保に移行する動きも出ているくらいですから、あまり負担を押し付けすぎると結局は国庫で全部を丸抱えしなければならなくなるというなかなか難しい話です。
弱者の味方的立場が好きな(笑)朝日新聞などは当然という考えなのか比較的軽い記事を掲載しているだけのようですが、こういう話になりますとさて日経あたりの反応はどうなのかと気になりますよね。

改正健保法成立、健保6割強が負担増  (2010年5月12日日本経済新聞)

財政難の協会けんぽ救済

 改正健康保険関連法が12日、成立した。中小企業の会社員らが加入する協会けんぽの財政難を助けるため、7月から大企業の会社員らが加入する健康保険組合と公務員などの共済組合に負担増を求める。全国の健保組合のうち6割強が負担増になる見通し。だが健保と共済に「肩代わり」を求めることには批判も強い。高齢化社会に対応した制度の再設計を急ぐ必要がある

財政に比較的ゆとりのある健保と共済の負担を増やし、協会けんぽの財政負担を減らすことが法改正の狙いだ。協会けんぽは景気低迷に伴う保険料収入の減少などで2009年度は約6000億円の赤字見通し。

 具体的には75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度への被用者保険の支援金(3兆6000億円)の算定方法を変える。現在は健保、共済、協会けんぽが加入者数に応じて負担しており、加入者数が最大の協会けんぽ(3470万人)が1兆6600億円(47%)を負担している。

 これを支援金総額の3分の1に当たる1兆2000億円について、加入者の年収に比例して負担する仕組みに変える。協会けんぽより健保と共済の方が年収水準は高く、結果的に多くの支援金の拠出を迫られる

 10年度は改正法が施行される7月から8カ月分の適用となり、健保と共済はそれぞれ330億円、230億円の負担が増える。11年度からはそれぞれ500億円、350億円を負担する。一方で協会けんぽの負担は850億円減る。

 協会けんぽへの国庫補助率を13%から16.4%に上げる内容も改正法に盛り込まれた。国は協会けんぽへは10年度に610億円、11年度には920億円の公費(税金)を投入する。

 厚生労働省は1478組合ある健保のうち、6割強の922で負担増になると試算。年収の低い556の組合では負担は逆に減る見込み。

 協会けんぽの救済策は10年度から3年間適用する。厚労省は13年度から後期高齢者医療制度を廃止した後の新しい高齢者医療制度に移行する方針だ。

 大企業の健保組合の運営に与える影響は大きい。たとえばある大手家電メーカーの組合は10年度に約5億円の負担増になると試算する。日産自動車やNECなど352組合は保険料率を引き上げる見通し。事業主、加入者ともに負担増になる。

 「協会けんぽへの助成は国が負担すべきだ」などと法案成立に反対運動してきた健康保険組合連合会の平井克彦会長は12日、「成立は遺憾」とのコメントを発表した。健保連によると、10年度の健保全体の予算は6600億円の赤字になる見通し。赤字は3期連続法改正の影響で赤字幅はさらに膨らむとみられ、負担を肩代わりする余裕のないところが多い。

 改正法には会社員に扶養されていた75歳以上の保険料の軽減措置を続ける内容や、保険料の滞納世帯でも高校生以下には短期の被保険者証を交付し、医療機関の窓口で3割を負担して医療を受けられるようにする項目などが盛り込まれた。

基本的な論調としては予想通り批判的というところですけれども、一応それでも協会けんぽよりは健保組合の方が余裕があるということは認めているようで、その上で「こっちも厳しいんだから他人のツケを回すな!」と言っているわけですから、これはこれで筋が通っている話ではあるように見えます。
健保組合に余裕があるといっても実態は赤字続きで随分と厳しいものであると言うことは記事からも判りますけれども、筋論からしても運営実態からしてもこれは新たな破綻の芽をうむようなものだという指摘は、日経ならずとも根強いようですね。

大企業サラリーマンら負担増?改正健保法成立(2010年5月12日読売新聞)

 75歳以上の後期高齢者医療制度に対する支援金を、高収入の人がより多く負担するよう算定方法を改める改正国民健康保険法が、12日午前の参院本会議で与党などの賛成多数で可決され、成立した。

 来週にも施行される。

 改正法は、2010~12年度の3年間、支援金総額3・6兆円のうち3分の1に関し、定額だった負担を被保険者の年収に比例する負担に変える内容だ。同時に、中小企業のサラリーマンらが加入する全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)への国庫補助を10~12年度、13%から16・4%に引き上げる。その結果、協会けんぽは850億円の負担減となる。一方、大企業のサラリーマンらが加入する組合健康保険は500億円、公務員らの共済組合は350億円の負担増となり、保険料増につながる可能性が出てくる。

 健康保険組合連合会によると、組合健保の10年度の赤字額は、今回の措置がなくても6600億円と過去最悪になる見通しで、同連合会では「負担を肩代わりさせられるのはおかしい」と反発している。この日の採決でも自民党が反対し、同党の中村博彦参院議員は「一時しのぎのつけ回しだ」とする反対討論を行った

一応このあたりの反対論に対する弁解のつもりなのか長妻大臣などは、独立行政法人が加入している健保組合では法人側が保険料を負担しているのはケシカラン、是正しろとツッコミを入れたりしているようですが、理屈がつけにくい話であるというのは確かでしょうね。
アメリカの自動車業界などでは給料は増やせない代わりに医療保険を手厚くしましょうということで、長年の労使協議の結果一度業界に入ると死ぬまで手厚い医療を受けられるようなシステムが出来上がってしまったことが過度の人件費負担増大の大きな要因になったとは指摘されるところで、先のGMの破綻なども結局このあたりのこじれを一度リセットするために行われたことだとも言います。
日本でもそのあたりを間近で見ていたトヨタなど自動車業界では、こういうところで同じ轍を踏まないよう警戒感が根強いとも聞きますが、そうなりますと今回の改正の一つの主要要因ともなった後期高齢者医療制度の行方がどうなるのかということにも議論が及ばずにはいわれませんよね。

民主党では衆院選のマニフェストにおいて後期高齢者医療制度はさっさと止めますと言っていた、一方でいざ政権についてみるともう少し続けますなんてことを言い出した、金銭的負担の割り当てなどの面はともかく海外からも日本はうまい制度を考えたと評価されるこのシステムも、よくよく見れば実は結構悪くないんじゃないかと改めて気がついたということなのかも知れません。
そうは言っても一応は政権公約という扱いであればいつまでも華麗にスルーを決め込むわけにもいかないのでしょうが、ようやくそのあたりについても話が実務的な方向へ進み始めているようで、ちょうど先日こういう記事が出ていました。

後期医療の後継に4案、国民意識調査も実施へ 厚労省(2010年4月14日朝日新聞)

 75歳以上が対象の後期高齢者医療制度(後期医療)を廃止した後の新たな制度について、厚生労働省は14日、四つの案をまとめた。新制度を検討している有識者の意見を踏まえたもので、夏までに骨格を決める。5月には、高齢者医療制度に対する国民意識調査を実施する方針も打ち出した。

 4案は、この日の高齢者医療制度改革会議で示された。後期医療は、75歳という年齢で分けることが批判を浴びた。今回の4案は、大企業の会社員らが入る健康保険組合(健保組合)などの被用者保険の加入者が高齢者になった場合の仕組みが異なる

 「都道府県一本化」案は、被用者保険の加入者は現役で働いている場合は被用者保険に残る。被用者保険、自営業者らが入る国民健康保険(国保)は、それぞれ都道府県単位で運営する。ただ、加入者の年齢構成や所得によって財政の格差が出るため、被用者保険と国保の間で財政調整をする。

 「突き抜け方式」案は、被用者保険の加入者が退職した場合、新設する退職者健康保険制度に入る。この新制度は、被用者保険が共同で運営する。この方式は、労働組合でつくる連合が提案した。

 一方、65歳になった段階で、新たな制度に加入するのが「65歳以上別建て」案。この案は、健保組合でつくる健康保険組合連合会が示した

 「国保に一体化」案は、65歳の高齢者が国保に入る。65歳以上は別会計で保険料などを軽減。国保の運営は都道府県単位にする。

 国民意識調査は、65歳未満の成人4千人と65歳以上の4千人、さらに有識者らを対象に5月に郵送で実施する。新制度の骨格を取りまとめた後の9月には、成人3千人を対象に面接方式で調査する。

まあ健保組合とすれば退職された方々まで面倒見切れませんというのも正直なところなんでしょうが、国とすれば企業に金を出させて国庫支出を増やしたくないというのも本音でしょうし、そうなりますと企業側は組合自体を解散させるかどうかという話にもなりと、まだまだ紆余曲折は残りそうですよね。
ただしこうした制度改革の議論があくまで原資をどうするのかというレベルにとどまっているのは問題で、せっかくこの制度を契機に高齢者は単なる年齢を重ねた若年者ではないという認識にまで至ったのですから、実際に議論すべきは単にお金の問題のみならずその行うべき医療給付の内容にまでも踏み込むべきなんじゃないかと思います。
この後期高齢者医療制度の場合、とにかく拙速と言うほどに政府主導で話が進められたということが今に至る感情的反発の根本原因になっていると思いますが、それでは改めて冷静に考え直した場合に高齢者医療にとっていったいどんな制度がいいんですかという問い掛けは絶対に必要なはずなんですよね。

櫻井よしこ氏なども強力な後期高齢者医療制度擁護の論陣を張られていますが、子どもが小さな大人ではないというのと同じくらいに高齢者もまた別の存在であって、その求められる医療の実像が若年層とは全く異なる以上、単に窓口支払額の多寡や保険料負担の方法論などで話を終わってしまっていても仕方がないわけです。
若年者においては是非とも行うべきものであっても高齢者においてはさほど必要とされない医療もあれば、その逆に高齢者に特有と言ってもいいような必須の医療もあるわけですから、これらを一括りに同じ保険点数と同じ査定の基準で論じるということ自体、本来ひどく乱暴な議論であるはずなのです。
いずれにしても最初は金銭的な面での区別から始まったことが明らかな後期高齢者医療制度ですけれども、この制度に関して深く考えるほどに高齢者医療そのものに関しても色々と議論の余地があると思うし、そこをこの機会に皆で考えていかないのは非常にもったいない話なんじゃないかなという気はします。

このあたりはまさに医療の現場を知る業界団体こそが、年代別に求められている医療給付のあり方とはどうあるべきなのかと声を出していくべきところだと思いますが、高齢者切り捨てだ、混合診療導入だとこれまで反対の論陣を張ってきたあたりと非常に交錯してくる話題だけに、問題意識を持っていても迂闊に声を出すに出せないという事情もあるのかも知れませんね。
しかしこういう患者個々の状態に応じた医療給付なんてことは、本来テーラーメイド医療をなんてことを主張している患者団体あたりがもっと主張してもよさそうな話なんですけれども、あまりそういう話をしている人も見たことないのは何故なんですかねえ?
何にしろこの話題、まだまだ当分先まで尾を引きそうではありますので、また機会をみて取り上げてみたいと思います。

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2010年5月13日 (木)

ついに日医が転んだと、小沢さんはご満悦かも知れませんが

先日も少しばかり日医の参院選への対応に関する混乱ぶりを紹介しましたけれども、4月初めの会長選で親民主党と言われる原中氏が当選し、その路線変更が注目されていた日本医師会(日医)の政治団体である日医連が、このたびついにかねての噂通り民主党支持に大きな方針変更をしたようです。
各紙とも一斉に報道するくらいですから世間ではそれなりに大きな影響力を持つ話と受け取っているようですが、先の参院選でも推薦候補が落選するなど求心力低下が著しいとも言われる中で、実際の選挙に与える影響がどの程度になるのか読み難いところがありますよね。

日医連、民主候補推薦へ方針転換 参院選比例区(2010年5月11日朝日新聞)

 日本医師会(日医)の政治団体・日本医師連盟(日医連)は11日、参院選の比例区で、民主党から立候補予定の医療法人理事長・安藤高夫氏の推薦を決めた。自民党現職の西島英利氏については推薦を撤回して「支援」とし、格下げする形となった。長年自民党の支持母体だった日医連が、政権与党の民主支援に方針転換した。

 この日開かれた日医連の執行委員会では、都道府県組織2カ所以上から推薦があった安藤、西島、みんなの党から立候補予定の医師・清水鴻一郎の3氏について対応を協議。原中勝征委員長が一任を取り付けて決定した。清水氏の支援も決まった。

 日医会長を兼ねる原中委員長は記者会見で、安藤氏推薦の理由について、「私たちがいろんな思いを実現しようとしたとき、政権政党を考えずに実行できない」と説明した。

 ただ、都道府県組織が独自に西島氏や清水氏を推薦することは妨げず、「各県で推した候補が通るように全力を挙げてもらう」という。

 西島氏に対する日医連の推薦は昨年1月、自民党支持だった前執行部のときに決定。しかし、4月の日医会長選で「親民主」の原中氏が当選し、参院選の対応について見直しを進めていた。

 今回の参院比例区への対応について都道府県レベルでは、栃木県が西島氏の推薦を撤回して安藤氏の推薦を決めるなど、独自の動きも見せ始めている

 日医連の候補は、2004年の参院選で25万票を獲得して当選。ただ、07年は自民党現職が19万票弱で落選している。

日医連が民主推薦、自民現職は「支援」に(2010年5月12日読売新聞)

 日本医師会の政治団体「日本医師連盟」は11日、都内で執行委員会を開き、次期参院比例選に民主党から出馬予定の医療法人理事長、安藤高夫氏の推薦を決めた。

 すでに機関決定していた自民党の西島英利参院議員の推薦を撤回し、みんなの党の清水鴻一郎・前衆院議員とともに「支援」とした

 日医連が参院比例選で民主党候補を推薦するのは初めてだ。ただ、同時に西島、清水両氏を支援することを決めたことで、「組織内候補」として1人だけを応援する形をとらずに参院選に臨むことになった。

 日医連委員長を兼ねる原中勝征・日医会長は執行委終了後の記者会見で、「政権政党という立場は一枚上で、優位に立つという判断だった」と安藤氏の推薦理由を説明した。

 参院比例選をめぐっては、昨年1月に日医連は、自民党候補の西島氏の推薦を決定。しかし、4月に民主党に近い原中氏が新委員長に就任したため、対応が注目されていた。前回の執行委員会では意見が割れ、結論を先送りにしていた

 日医連では一時、民主、自民の両党の顔をたてるため、安藤、西島両氏を推薦することなども浮上した。今回、原中氏が安藤氏の単独推薦を押し切る格好となったのは、「2人推薦は認められない」という民主党側に配慮した結果といえる。

 ただ、「非原中系」幹部が多数を占める日医内の不協和音を懸念し、応援する候補を一本化しなかったため、票が分散し、共倒れとなる懸念も指摘されている。

 一方、西島氏は11日、都内で記者団に対し、「支持してくれた都道府県医師会がかなりあるので、そこと一緒に戦っていく。降りることはない」と述べ、出馬を断念しない意向を示した。

日医連:民主公認の新人を推薦 自民現職は支援に格下げ(2010年5月11日毎日新聞)

 日本医師会(日医)の政治団体「日本医師連盟」は11日、東京都内で執行委員会を開き、今夏の参院選比例代表で、民主党公認で出馬予定の新人、安藤高夫氏(51)の推薦を決めた。すでに決めていた自民党現職の西島英利氏(62)への推薦は取り消し、支援に格下げした。「親民主派」の原中勝征・日医新会長の判断で方針転換した。長年の支持政党だった自民党以外の候補を推薦するのは初めてで、参院選に大きな影響を与えそうだ。【鈴木直】

 各都道府県医師連盟からは10日までに安藤、西島両氏のほか、みんなの党の元衆院議員、清水鴻一郎氏(64)の推薦があった。執行委員会では最終決定を委員長一任とし、原中氏が最終判断を下した。原中氏は執行委員会後の記者会見で「規約上、推薦候補は1人。日医の思いを実現するためには政権政党との関係を考えないといけない」と述べ、安藤氏推薦の理由を説明した。

 安藤氏推薦の決定に民主党の石井一選挙対策委員長は首相官邸で記者団に「政権与党と日医の関係がスムーズでなければ国民の健康は守れない」と歓迎の意向を示した。

 民主党側の狙いは、日医から自民党側に人とカネが流れるルートを遮断すること。当初は両氏とも推薦しないよう原中氏側に求めていた。しかし、両氏とも推薦しない場合、日医連としての存在感が薄れる懸念があった。また、関係者によれば、約20の地方組織が西島氏を推しており、これを撤回すれば組織内にしこりが残るのは必至。このため、地方組織の判断で西島氏の応援も認めることで安藤氏の推薦を確保した格好だ。

 ただ、会見に同席した藤川謙二常任執行委員は「中央の考えも踏まえて活動していただけるようになると思う」と述べ、安藤氏への支持の広がりに期待感を示した。

 これに対し、西島氏は毎日新聞の取材に「全国に支援を呼び掛け、応援してくれる仲間を増やしていきたい」と出馬の意思に変わりないことを強調した。

 事実上、地方組織を奪い合う構図だが、日医の集票力は年々、落ちており、07年には推薦候補が1人でも落選している。ある参院自民党幹部は「相当、厳しくなった」ともらした。

日医連、民主候補の安藤氏推薦を決定(2010年5月11日CBニュース)

 日本医師連盟(日医連)は5月11日に開いた執行委員会で、今年夏の参院選比例代表で推薦する候補について議論し、民主党の比例代表候補として出馬する医療法人社団永生会の安藤高朗理事長を推薦する方針を決定した。これまで推薦していた自民党の西島英利参院議員と、みんなの党から出馬する清水鴻一郎前衆院議員は「支援」する。

 日医連では昨年1月、自民党の西島氏の推薦を機関決定。しかし、その後の政治状況の変化などにより、改めて対応を協議することになった。今年4月20日の同委員会で推薦候補について議論したが結論に至らず、各都道府県医師連盟の意見を集約した上で最終決定することになっていた。

 同委員会後の記者会見で、原中勝征委員長は「本当に苦渋の選択をした」と発言。各都道府県医師連盟からの意見を集約し、2県以上から推薦された安藤、西島、清水3氏の扱いについて議論したものの最終決定が難しく、「最終的に委員長に一任することを認めていただいた」と述べた。その上で、「(医師会の)いろいろな思いを実行しようとした時に、やはり政権政党という立場を考えないで実行はできない」と、最終的に安藤氏の推薦を決定した理由を説明。「政権政党という立場はやはり一枚上。立場上は優位に立つのではないかと判断した」と述べた。
 原中委員長はまた、3人全員が当選するよう日医連として支援する考えを示した。各都道府県医師連盟から要請があれば、資金面での支援も行うという。

 さらに原中委員長は、「国民の医療」について民主党と討論する場をつくる考えを示し、「これからの少子化時代、人口減少の時代に、日本の医療、社会保障をどう維持するかが今後の大きな問題。国民の医療と社会保障をどう構築していくか、一生懸命議論していきたい」と語った。

 日医連の決定を受け、安藤氏は自身の公式ホームページで、「原中委員長をはじめとする政治連盟役員各位のご英断に対して心より御礼申しあげます」などとするコメントを発表した。

つい数日前までは「いや野党(自民党)にも金は出しますし」なんて煮え切らないことを言っていた原中氏ですが、これは反原中派の多い中で足場固めに苦労していただけで原中氏本人としては既定の路線だろうとも思える一方、自民党をも切り捨てるわけにはいかないという内部事情も見え隠れします。
その点で気になるのが読売などの記事にもありますように、当初は両者推薦などというどっちつかずの立場で乗り切ろうともしていたらしいところを、民主党側から「2人推薦は認められない」と言うクレームがついた結果こういう形になったと言うところで、このあたり民主党支持と言えば一見偉そうにも見えますけれども、単なる使い走りに転落しているんじゃないかという気配も感じられるところです。
こうした民主党側からの圧力は未だ内部で民主支持派、自民支持派が入り乱れる日医のみならず、昨年の衆院選の段階ですでに民主党支持を打ち出し診療報酬改定でも勝ち馬に乗ったと言われた歯科医師会の方にも及んでいたようで、選挙の司令塔役である小沢氏あたりからかなり強烈な圧力が掛かっていたことを感じさせる話も漏れ聞こえてきています。

日本医師連盟:参院選「推薦なし」模索…民主側の要求受け(2010年5月7日毎日新聞)

 日本医師会(日医、原中勝征会長)の政治団体・日本医師連盟は、参院選比例代表への対応について、民主、自民両党の候補を2人とも推薦しない方針を模索している。民主党幹事長室が原中氏に求めているためだ。親民主を掲げる原中氏は、日医連の推薦候補を自民党現職の西島英利氏(62)から民主党新人の医療法人理事長、安藤高夫氏(51)に切り替えることを狙ったものの、組織内には民主全面支持に流れることには抵抗が強い。このため、民主党側は「政治的中立」を大義名分に2人とも推さない形を取ることで西島氏の推薦を取り消し、日医連と自民党との関係を断ち切りたい考えだ。【鈴木直】

 日医連委員長でもある原中氏は7日、東京都内で開かれた日本記者クラブ主催の記者会見で参院選の対応を問われ、「最終の結果は微妙なので、今は差し控えたい」としつつ、「私の判断は政権政党とのパイプを大事にすることだ」と述べ、安藤氏を推薦したい考えを示した。

 しかし、民主党政権の支持率が急落する中、日医内には同党支持に傾斜することへの警戒が根強くある。先月20日の日医連執行委員会では、原中氏が狙った西島氏の推薦撤回案に賛同を得られず、原中氏の日医内での基盤の弱さを露呈した。

 一方、安藤氏の陣営では西島氏とともに2人推薦に持ち込もうとしている。既に複数の都道府県から推薦が出ており、11日の日医連執行委員会では安藤氏の推薦も議題に上るとみられる。

 だが、結果的に西島氏の推薦が残るという双方推薦案には、民主党側に「日医から自民党にカネと人が流れるチャンネルを断ち切れない」(党関係者)との不満がある。そこで民主党に偏ることで政治に強い影響を受けることを嫌う日医連の空気を逆手に取り、「両方推薦しない」との奇策を考え出した。西島氏には「日医連の推薦がなければ出馬は難しい」との見方が強く、西島氏の推薦を取り消すことにより、日医連の自民支持団体としての機能を喪失させることも可能となる。

 ただ、自前候補の当選よりも自民党支持基盤の切り崩しを優先する考えには民主党内にも異論がある。基盤の弱い原中氏が民主党の意向通り、「双方推薦せず」を貫けるかどうかを疑問視する声も強く、実現できるかどうかは微妙だ。


民主 アメ ムチ 業界工作 診療報酬改定 日歯幹部の前で次官に“指示”(2010年5月10日しんぶん赤旗)

小沢幹事長「参院選わかってるな」

 目前に迫った参院選にむけ、与党・民主党による業界団体への露骨な締め付けが行われていることが、本紙の取材でわかりました。巨大与党の権限をアメとムチのようにつかって、選挙協力を求める民主党の姿勢に、関係者からは怒りと困惑の声が広がっています。(矢野昌弘)

 「小沢さんからどう喝に近い言葉で『夏の参議院選挙のことはわかっているでしょうね』と言われた

 東日本地域のある歯科医師会会長は、ホテルで面談した小沢一郎幹事長から強圧的な態度で要請を受けたと、周辺に語りました。

 自民党を支援してきた業界団体の中でも、日本歯科医師会(日歯)や日本医師会は資金面、集票力ともに有力な団体です。民主党は、その切り崩しに躍起です。「会長は、『言われるべくして言われた』と受け止めているようだった」と、歯科医師会関係者は話します。

 民主党が切り札にするのが、今年度の診療報酬改定で医科本体は1・74%のアップだったのにたいし、歯科本体では2・09%引き上げたことです。

 民主党国会議員と東日本の地方都市の歯科医師会が開いた懇談会。この席で、小沢氏側近の国会議員は「診療報酬改定の内幕」と言って、こんな話を得意げに披露しました。

 ――国会内の民主党幹事長室に大久保満男会長はじめ日歯の幹部が訪ねてきた。小沢幹事長は、日歯幹部がいる前で、水田邦雄厚生労働事務次官に電話をかけ、「医科よりも歯科の改定率をあげるように」と言っていた

 この民主党議員は「この電話が今回の改定に反映した」と示唆した――。

 民主党では、各団体の陳情を党幹事長室が一元的に受け付けるというシステムをとっています。“小沢詣で”とも揶揄(やゆ)され、小沢一郎幹事長への権力集中が指摘されています。

 懇談会に同席した歯科医師は「組織内候補を自民党から擁立することになっていた日本医師会は、診療報酬改定などを審議する中医協の委員を外されるハメになった。我々にたいしても『協力しなければこうなるよ』という暗黙のメッセージだ。診療報酬が与党幹事長の胸先三寸で決められるのは恐ろしい」と話します。

 こうした動きに合わせるように、日歯の政治団体、日本歯科医師連盟は1月、全国の会員向けにアンケート調査を実施。「民主党の歯科医療政策に今後期待しますか」などの設問からは、民主党支持への“地ならし”とも言える動きがうかがえます。

 民主党が全国で行っている業界への締め付け工作。民主党国会議員から、協力要請を受けたある業界団体の役員は、こう民主党の強引なやり方を批判します。

 「アメとムチを使えば、業界団体がすり寄ってくるだろうという手法は、自民党と変わらないではないか」

小沢氏も長年それで食ってきた選挙のプロとも言える御仁ではあるわけですからプロらしい方法論もあるのでしょうが、逆に言えばせいぜいが診療報酬にコンマ数%の色をつける程度しか医療行政に影響力はない素人とも言えるわけですから、その思惑に踊らされてばかりにも見える日医執行部の姿が全国の会員の眼にどう写るかですかね。
失礼ながら民主党も別に往年の自民党のような磐石の態勢を築いているというわけでもなく、せいぜい目一杯長持ちしても次の衆院選まで最大限四年間の天下という空気も濃厚にただよって来ていますから、本来であればこうまで強い態度に出られるような立場でもないようにも思うのですが、政治素人の医者にそうは感じさせないところが小沢氏のプロたる所以なのでしょう。
しかし自民党政権が続いていた時代にはこういう日医幹部ら御老人たちの醜態ぶりも関係者の間だけのネタになるだけで、こうして一般マスコミに取り上げられるようなこともそうそうなかったことを考えれば、これは日医=強力な圧力団体などという妙な世間の幻想を粉砕するには良い時代になってきたとも言えるのでしょうかね?

選挙運動に会員を動員できるような看護協会に比べれば日医の会員に対する政治的影響力など微々たるもので、実際このところ選挙のたびに日医執行部の思惑とは逆の結果(笑)が出ているという声もありますから、先の診療報酬改定も受けて今度の参院選あたり「やはり民主党ではダメじゃないか!」と医師票が一斉に反民主陣営に回る可能性も高いんじゃないかと思いますね。
となると小沢氏らが頼みにすべきは日医の政治的影響力ではなくその資金力ということになりそうですが、反原中派が多数派を占めるとも言うかの団体が民主党さんに全部!と大盤振る舞いするとも考え難いところで、せいぜい与野党どちらにもという玉虫色の決着になりそうです。
そして仮に民主党に金が流れるにしても小沢氏を始めとする民主党中枢に流すよりは、実際に医療行政に携わっている関係者に流した方がよほど効率的だと考えるのが当然だと思いますが、こういう人達と言えばたいがいがいわゆる反小沢派などと言われている方々だけに、小沢氏にとって日医の転向がそう甘い未来絵図に結びつくのかどうかですよね。

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2010年5月12日 (水)

岩手県立宮古病院、実は意外に斜め上だった(らしい)真相

先日紹介しました岩手県立宮古病院の医師詐称事件ですが、その後も続報が相次いでいるというくらいですから全国的にもそれなりに注目されているようですよね。
しかし三回も直接面談している院長は専門用語を駆使し偽物と見抜けなかったと言う一方で、同席した事務局長は「医師の雰囲気はなかった」と言う、これはどういう状況なのかと関係者の証言だけでも疑問は湧くところではあります。

ニセ医師事件 医療経験なし、免許偽造(2010年05月11日朝日新聞)

 県立宮古病院が「医師」として採用を決めていた女が無資格だったとされる事件で、宮古署は10日、自称大阪市の無職一宮輝美(いち・みや・てる・み)容疑者(44)を医師法違反容疑で盛岡地検宮古支部に送検した。宮古署によると一宮容疑者は容疑を認めて反省を口にしているというが、「なぜ医師になろうとしたのか」は、まだ謎に包まれている

    ◇

 宮古署などによると、一宮容疑者は調べに対し、「医療関係の仕事はしたことがない」「婚約者と一緒に勤務するために2人分の医師免許証を偽造した」などと供述しているという。同署では、一宮容疑者から同病院へ送受信されたメール文などを押収して調べを進めているとみられる。
 同署などによると、一宮容疑者は8日午後6時半ごろ、宮古市和見町の県立宮古病院官舎で、菅野千治院長や東山昭事務局長らと話し合った時に、無免許にもかかわらず「私は医師だ」と言った疑いが持たれている。
 一緒にいた「婚約者」の男性は10日も任意の事情聴取に応じているが、「医者として働くつもりで来たわけではない」と事件への関与は認めていないという。

    ◇

 同病院によると、一宮容疑者は携帯電話のメールアドレスを二つ持っており、両方のアドレスを使いながら、2007年11月から約1年半に100回以上のメールを前事務局次長に送っていたという。電話も一宮容疑者から多くかかってきていた。

 病院側には「兵庫県芦屋市出身、年収3千万円」などと説明していた。だが、病院側が「手続きができないから」と、再三、履歴書や医師免許証などの提出を促すと、はぐらかし続け、4月30日にようやくファクスで自身と男性の2人分の公印のない医師免許証を送信してきたという。

 8日の大阪から花巻空港までの交通費は2人の自腹だった。東山事務局長は「電話代だけでもかなりの出費だったと思う。一体、何がしたかったのか」と首をかしげた。

 県のホームページでは、県立病院の医師の年収は医師免許取得から約20年で1750万円以上となっている。

 一宮容疑者を迎え入れるため、病院側は同市内の病院官舎を計約200万円かけて改装や備品購入をしていた。8日夜には、一宮容疑者の荷物の段ボール8箱が官舎に届き、翌日には男性の荷物数個が届いた。

 8日に一宮容疑者が菅野院長らと顔合わせをした時は、おかっぱの髪形でクリーム色系のスカートを身につけていたという。「婚約者」の男性はポロシャツ姿の軽装で、ほとんどしゃべらなかったかったという。同席した東山事務局長は「医師の雰囲気はなかった」と話す

 一宮容疑者が「医師」であれば、10日から循環器科の常勤医が復活するところだった。この日、同病院に受診にきた男性(28)は「もう少し早くわかっていればよかったのに」。山田町の自営業女性(70)は「人の命を守るのが医師なのに、人の心を痛めたのは許せない」と怒っていた。

いや許せないと言われましても、詐欺師相手に許すも何も最初からないものでしょうけれどもね…

さて、この一宮容疑者のバックグラウンドについてもそろそろあちこちで判ってきているようですが、情報が錯綜していてどこまで本当のことなのかまだハッキリしていないようですね。
少なくとも医療関係者とある程度の接点はあったと考えるべきなんでしょうが、逆にこの程度の接点だけであったということであれば、これは院長をも騙せる程度に相当の自習をしてきたということなんでしょうか?
一方で同行していた婚約者なる男性の方では医者と名乗ったこともなければ医者として勤務するつもりもなかったと主張しているようで、これは県警が今のところ医師法違反(医師以外が医師の名称を使った)で攻めて来ていることに対応しているのでしょうが、実際病院側に医者であると自称した形跡もないのに当初医師二人を確保!なんてニュースが流れたのはどうなのかということですかね。

逮捕の女、医学用語多用 医師詐称容疑 岩手県警(2010年5月11日河北新報)

 岩手県立宮古病院の勤務医になろうと、免許がないのに医師を名乗ったとして、宮古署が医師法違反の疑いで逮捕した自称大阪市、無職一宮輝美容疑者(44)は、採用に関する病院側との交渉の際、医学用語を頻繁に使っていたことが10日までに、病院関係者への取材で分かった。同署は一宮容疑者の職業や経歴について確認を急いでいる。

 病院関係者によると、一宮容疑者から勤務医として働きたいとの電話があった2008年11月下旬以降、菅野千治院長ら病院職員は同容疑者と数回交渉を重ね、その都度、多数の医学用語を聞いたという。100件以上にわたった電話やメールの中にも、医学知識の深さをうかがわせる用語の使用があった
 宮古署は、一宮容疑者とともに循環器科の医師として着任予定だった自称大阪市の男性(38)についても、関与の可能性があるとみて立件を視野に調べている。同署は10日、一宮容疑者を送検した。

 一方、病院関係者らの話では、一宮容疑者は病院側に接触した当初、別名の「村井」という名前で連絡を取っていた。今年1月にようやく本名を名乗り、「患者とトラブルがあり、弁護士の指示で名前を伏せるよう言われていた」と説明した。
 病院は着任準備にかかった約260万円の費用について、近く被害届を提出する方針を固めるとともに、詐欺容疑での刑事告訴も検討し始めた。

 達増拓也知事は10日の定例記者会見で「チェック機能が働いたので、水際で阻止できた。現行制度の中で、今回のようなリスクが生じるのはやむを得ない」と述べ、病院側の対応に不備はなかったとの見解を示した。

「生活保護受けていた」「勤務先」実は受診病院(2010年5月11日読売新聞)

ニセ女性医師容疑で逮捕

 県立宮古病院に医師として着任予定だった一宮輝美容疑者(44)が無資格だったとされる医師法違反事件で、一宮容疑者は、宮古署の調べに対し、「借金があった。生活保護を受けていた」と動機につながるような供述を始めた。「勤務先」と説明していた大阪赤十字病院(大阪市天王寺区)も、実際は、患者として受診していた「通院先」だった。言葉巧みに宮古病院側を信用させ、有利な条件を引き出していった様子が、関係者らの話から浮かび上がってきた。

 大阪赤十字病院によると、一宮容疑者は、約1年前まで通い、受診科は複数にまたがっていたという。同病院幹部は「医師や看護師として当院に勤めていたことはない」と話した。

 宮古病院側には、このうそが発覚しないよう、言葉巧みに説明していた。大阪赤十字病院のホームページに一宮容疑者の名前が載っていないことを指摘された際には、「患者から暴力を振るわれている。弁護士と相談している最中で、名前は伏せてある」と説明したという。

 着任前には、入居予定先の公舎に入れる家電製品について、「大阪ではBMWに乗っている。家にあるテレビは50インチ」などと話し、薄型テレビはせめて40インチ台にするよう宮古病院側に求めていた

 交渉の末、病院は「さすがに高価すぎる」と、20万円相当の30インチ台を用意した経緯があった。また、洗濯機については「左腕に力が入らない」などと言い、最新式の斜めドラム式を調えた

 県医療局によると、宮古病院で仮に勤務していた場合、経験などに応じて年収2000万円程度が見込まれていた。県は、医師の偏在解消を図るため、盛岡市と比べ医師が不足している宮古市など沿岸部の地域手当を手厚くしている。

過去に医師と婚姻歴 医師法違反容疑の女(2010年5月11日岩手日報)

 宮古市の県立宮古病院(菅野千治院長、387床)に循環器科医として着任予定の男女2人が無免許だったとされる事件で、医師法違反(名称使用の制限)容疑で逮捕された自称大阪市天王寺区上本町、無職一宮(いちみや)輝美容疑者(44)が、過去に医師との婚姻歴があったとみられることが10日、捜査関係者への取材で分かった。宮古署は専門用語を話すなど一宮容疑者が一定の医療知識を持っていた点や、犯行動機の解明につながる可能性もあるとみて調べている。

 捜査関係者らによると、これまでの供述などから一宮容疑者は病院に勤務した経歴はなかったとみられる。医師と偽って宮古病院に勤務しようとした動機についてはあいまいな供述を続けている

 しかし、複数回の婚姻歴のうち1人が医師だったとみられるという。一宮容疑者は菅野院長らと面会した際に「心カテ(心臓カテーテル)ができる」などと専門用語も交えて虚偽のキャリアを述べるなど医療への関心や知識を持っていた

まあこの件に関しては警察も動くくらいですから、本来病院側は被害者ですと言っていれば済む立場なのかも知れませんが、どうも見ていますとそれだけでもない事情もあったようで、むしろこれだけ全国的な話題になるほどのニュースダネを提供していながら当事者は仕方がなかったといい、監督する県当局では何ら問題がなかったと言っているのは面白いですよね。
これだけのお金を使い込むまでまともな検証システムも機能していなければ医師確認の方法論も知らなかったらしいということですから、突っ込みどころ満載の低レベルな詐欺師相手にここまでの公金を支出した挙句「やむを得ないリスク」では県民も納得し難いのではないでしょうか?

ニセ医者に困惑 「つけ込まれ、反省」岩手県立宮古病院(2010年5月10日河北新報)

 着任寸前の医師がニセ医者だとして医師法違反の疑いで逮捕された事件で、被害に遭った岩手県立宮古病院と県医療局は9日、事件の把握と対応に追われた。

 宮古病院などによると、逮捕された一宮輝美容疑者(44)と、共犯の疑いのある男性(38)は大阪大医学部出身を名乗り、大阪市の日赤病院の循環器科に勤務していると話していた。医師免許の提出を求めると、「患者とトラブルがあり、弁護士の指示で出せない」などと拒んでいた。
 病院側の実害は公舎のリフォームや家財購入にかかった約200万円と、下見の際の交通費・宿泊費など約10万円。2人は結婚する予定ということで、公舎は1室のみ。準備金などの金銭要求はなかった。

 一宮容疑者らの経歴照会について、宮古病院は大阪大や日赤病院に確認していなかった。「病院は医師の個人情報を教えない」(東山昭事務局長)というのが理由で、2人の機嫌を損ねたくないとの配慮もあった。
 県医療局によると、医師の採用は通常、各病院が個別に医師側と接触。今回の交渉の進め方に落ち度はなかったとみている。

 ただ医師不足という弱みにつけ込まれた事態に関係者はショックを隠さない。交渉に当たった宮古病院の菅野千治院長(63)は「だまされて怒りを覚える。医師が欲しいというこっちの甘さ、気持ちにつけ込まれて反省している」と謝罪した。
 県医療局の田村均次局長は「あってもらっては困る事態だ。(免許確認の)詰めるタイミングが遅かったかもしれない。医師が来ると思って喜んでいた地域の人たちをがっかりさせてしまい、申し訳なく腹立たしい思いだ」と話した。

 一方、山本正徳宮古市長は「残念の一言。市民のショックも大きい。県立病院だから医師免許の確認は当然していると思ったが、確認が遅かった」と悔しがった。

ニセ女医事件、病院は医師検索システム知らず(2010年5月12日読売新聞)

 岩手県立宮古病院に医師として着任予定の一宮輝美容疑者(44)が無資格だったとして医師法違反容疑で逮捕された事件で、インターネットで医師資格の有無を確認できる厚生労働省のデータベースの存在を病院が知らなかったことが11日、わかった。

 病院は、一宮容疑者の希望した家電製品購入などに約200万円を支出したが、着任直前に無資格と気付いた。データベースを活用していれば、多額の公費支出を防げた可能性があり、県のチェック態勢のあり方が問われそうだ。

 厚労省のデータベースは2007年度に開設され、医師法で義務づけられている2年に1度の届け出をしている医師を網羅している。姓名を打ち込めば、医師免許の有無や免許取得年が表示される仕組みで、だれでも使用できる。異体字や旧字体は、そのまま入力する必要があるが、医師免許がなければ、「条件に該当する医師等は検索できません」との表示が出る。

 県立宮古病院の事務局長は11日、「私たちは、そもそもそのシステムを知らなかった」と述べた。

 県医師支援推進室は、同病院からの相談を受けた今月7日、このデータベースを使って調べた。すると、一宮容疑者は該当がなく、一緒に着任するとされていた「婚約者」を名乗る男性(38)は、同姓同名が数件ヒットしたという。

 一宮容疑者とのやりとりは約100回のメールや電話で進められた。一宮容疑者は「村井」と名乗り、実名は今年1月に明かした。「患者に暴力を振るわれた」などと説明して、名刺や履歴書は出さなかった

 病院幹部は「頭の片隅でおかしいとは思ったが、宮古に来てくれる貴重な先生だから、確認は最後で良いと思った」と明かした。

 民間の医療人材紹介会社キャリアブレインの吉岡政晴会長(40)は「偽医師の問題があるので、このデータベースで必ず確認している。このシステムを知っていれば今回の事件も防げたのではないか」と話している。

県立宮古病院・偽医師事件:「やむをえないリスク」知事が見解 /岩手(2010年5月11日毎日新聞)

 医師と偽った無職の女が県立宮古病院に勤務しようとした事件を巡り、達増拓也知事は10日の定例会見で「医師免許がない人が働くことはあってはならないが、食い止めるチェック機能は働いた」と述べ、県医療局や病院側に問題はなかったとする見解を示した。

 さらに「相手の意向に沿う形でしか交渉できず、今回のようなリスクもやむを得ない」と説明した。

 医師不足問題については「全国的に公的に(医師の偏在を)是正する仕組みが必要だ。早く実現するよう政府への働き掛けを強めたい」と語った。また、事件については「県民の期待が裏切られ、非常に残念だ。憤りを感じている」と述べた。【山口圭一】

いやいやいや、自分らの対応のまずさを棚にあげて「問題はなかった」なんて安易な総括をする一方で、さらっとこんなことになるから医師強制配置論実現を政府に迫らなければ!なんて、一体どの面下げて言っているのかという話ですけれども、この場合はさすがに憤りを感じるならまず自分たちの間抜けさ加減に対してであるべきではないんですかね?
逆にここまで抜け穴だらけのずさんな対応をしてきてこれが当たり前のことをやった、何ら問題はなかったと総括されるというのであれば、現行のシステム自体が幾らでも無駄金使い放題を許容しているということになってしまいますけれども、こんな低レベルの相手に毎回200万以上も無駄金を使い込んで平然としていられるほど岩手県の財政も裕福であるとも思えないのですがどうでしょうか?

野球などでも良いピッチングをやった日こそ舐められるから調子が良かったと言うな、むしろ今日は悪かったと言っておけなんてことを教えるコーチもいるようですが、何ら問題がなくてもこの調子ですと今後も岩手は全国同業諸氏から「良い鴨」と付けねらわれかねないんじゃないでしょうかね?
と言いますかそれ以前に、こんな実態が全国に知れ渡ってしまったのでは肝腎の本物の医師達からも岩手県はますます敬遠されてしまいそうですが…

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2010年5月11日 (火)

万人に平等な医療で皆が満足できる時代は過ぎ去りました

珍しく仕事が立て込んでいる中でちょっと眠いこともあって、今日は少しばかり気分的にも低調だと自覚しながら書いてます(苦笑)。
さて、先日小さな記事で出ていまして、読んであれ?と思ったのがこちらのニュースです。

消費者庁、医療事故も公表 「不安あおる恐れ」の声も(2010年4月30日47ニュース)

 消費者庁は30日、これまで電化製品や食品に関連するものが多かった消費者安全法に基づく重大事故の公表事案に、今後、医療機関で起きた事故も含めると発表した。

 「リハビリ中に骨折」「リモコン操作のベッドに体を挟まれた」などのほか、「手術中に容体が急変し死亡」といった原因究明に高度な専門知識が必要なものも含む

 消費者庁は「横断的に情報を明らかにすることで再発防止に結び付く」としているが、事故の詳しい経緯や発生日時、場所、個人名は公表されておらず、「情報が少なくあいまいで不安を招く恐れもある」との消費者団体の指摘もある。

 消費者庁によると、3カ月に1回程度、記者会見やホームページで公表していく。厚生労働省や地方自治体が公表していないケースも、内容次第で明らかにする

これ自体色々と議論を呼びそうな話ではあるのですけれども、とりあえず今回は予想される今後の事態だとか細かいところはスルーして話を進めたいと思います。
消費者庁設立に推進した福田内閣曰く、消費者庁とは「消費者行政の司令塔として、消費者の安全、安心にかかわる問題について幅広く所管し、消費者の視点から監視する強力な権限を有する」組織だそうですから、患者の側からすれば何をいまさらな話とも受け取れるとも思いますが、見方を変えれば医療とは消防や警察のような社会資本ではなく一産業であると考えているのだとも取れる話ですよね。
医療事故というとこれまで裁判になった、勝った負けたといった話が中心になってきましたけれども、こうして医療が他産業と同じ視点で評価される時代になってきますと紛争化以前のもう一つ厳しい要求水準にさらされるようになってきたとも言えるでしょうし、言葉を変えるならば医療従事者にも今まで以上に顧客満足度という概念を理解することが求められるようになったと言ってもいいかも知れません。

従来の日本では国民皆保険・混合診療禁止が前提であって、金銭的な面で差をつけるわけにはいかないこともあって専ら質の向上というものを追求してきたわけですが、その質の追求なるものも実は医療の質(これ自体は国民皆保険では全国どこでも同じという前提になっているものです)向上さえ目指していればそれでいい的な、悪い意味での職人気質に染まった医者も数多く見られました。
飲食産業であれば「俺の飯が一番うまいんだ。ごちゃごちゃ言わずに黙って食え」といった頑固親父の店のようなもので、もちろんそういう店も時には面白いんですがいつもそればかりでは気疲れがする、それよりゆったりとくつろいだ良質のサービスが欲しいだとか、ファーストフード的な安かろう悪かろうでも気軽に利用できるものがいいとか、純然たる商品の質以外の部分に価値を見出す顧客の方が実は多いようにも見えます。
最近では混合診療解禁が既定路線のように語られるようになっていて、一方で国民皆保険という前提も崩壊しつつある以上、多様な顧客に対応出来る多種多様なサービス提供というものが医療業界の側にも求められるようになってくるはずですし、そのために必要な現場の意識改革というものも個人的に大いに興味を引かれるテーマです。

サービスの多様化と言えば聞こえはいいですが、混合診療導入などの議論で語られる余分なお金を出してもっといい医療を式の話ももちろんある一方で、お金がないから標準的医療ではとても支払いできないといった顧客層へのサービス提供も考えておかなければいけないわけですよね。
中でも急ぎの課題と思われるのが保険証をもっていないだとか、自己負担分ですら払えないといった低所得者層への医療サービスをどうするかという話でしょうが、とりわけ昨今では医療機関の側も多少の持ち出しは構わないなんて悠長に構えていられないだけに、万人に平等な医療を提供するという建前維持の是非という議論は実は結構深刻な問題になってきています。
先日ネット界隈で妙に共感を伴って語られていたのがこちらの記事ですけれども、いつもながらの大先生の御高説垂れ流しであるのは置くとしても、そろそろ日本でも本気で低所得者への医療提供をどうするのかと考えていかなければならない事情の一端は垣間見えるのではないかと思いますね。

ついに“健康格差”が広がり始めた!?   がんでも病院に行けないワーキングプアたち(2010年5月7日ダイヤモンド・オンライン)

 世界一の長寿命国といわれる日本。だがひょっとすると近い将来、その地位から転落するかもしれない。経済格差が拡大するにつれ、“健康格差”の影が広がりつつあるからだ。

「医療費が支払えず相談に来られる方で、重度の糖尿病を患っているケースがけっこう多いんですよ」

と打ち明けるのは、石川県にある総合病院のソーシャルワーカー、Aさん。糖尿病といえば、“金持ち病”というイメージがあるが、Aさんは「むしろ、貧困を抱える人に多いのでは」と言う。

「独り暮らしのワーキングプアはお金がないと、安いジャンクフードでおなかをふくらませるしかない。そんな生活をずっと続け、体重が増えてしまった人は結構見受けられますよ。その結果、糖尿病や心臓疾患を患う方が少なくないですね」

 米国や英国ですでに健康格差が存在するのは周知の通り。低所得者層は食生活や健康管理に気を配る経済的ゆとりはなく、肥満になりやすいという。同じようなことが、ここ日本でも起こりつつあるのだろうか――。

もはや健康保険証はぜいたく品?

 ワーキングプアが直面しているのは、食生活の劣悪化だけではない。病院に行かず、死の直前まで病魔を放置せざるをえない人々もいる。

 全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)が加盟医療機関を対象に行った調査によれば、経済的な理由から受診が遅れ、死亡に至った事例は2009 年の1年間だけで少なくとも47件にのぼっているそうだ。

 40歳の非正規雇用の男性は、病院を訪れた日から、なんとわずか4日後に亡くなっている。原因は肺結核だ。神奈川県にある会社の寮に住み込んで働いていたが、健康保険証は持っていなかった。体調が悪化しても病院に行かずにいたが、そうこうするうち症状が重篤化。受診したときには、完全に呼吸不全に陥っていた。

 引っ越し代で貯金が底をつき、国民健康保険に加入できなかった男性(47歳)は、もとトヨタの期間工だった。リーマンショックで解雇され、寮を出てアパートに越した。そんなとき、以前から抱えていた体の不調が一気に悪化。それでも「お金がないから」と診察をためらい続けていた。ようやく受診すると、尿管ガンと診断される。ガンはすでに骨や脳に移転しており、たった4ヵ月の闘病生活の末に亡くなってしまった。

 パナソニックの本社のある大阪府門真市が工場の海外移転で空洞化。国保滞納率が約70%にまで上り、話題になったのは記憶に新しい。同じような顛末をたどる企業城下町が、今後増えても不思議はないだろう。

 実際、2008年度の国保の納付率は88%。国民皆保険制度が始まって以来最低の割合だ。一部の失業者や非正規雇用の人々にとって、健康保険証は “ぜいたく品”となりつつあるのかもしれない。

日本の医療費は“パチンコ市場”と同程度

 だが、医療が受けられず健康格差にさらされているのは、無保険の人ばかりではない。

 同連合の調査では、健康保険証を持っているにもかかわらず、経済的な事情で受診が遅れ、死亡した例が10件、報告されている。中には正社員の人もおり、ワーキングプアが非正規雇用だけでなく、正規雇用にまで広がっていることをうかがわせる。

 国の医療制度には、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される「高額療養費制度」もあるが、窓口で払う3割の自己負担金そのものに耐えられない、という人が少なくないようだ。

 そもそも、「フリーアクセス」「平等給付」が国民皆保険制度の身上。健康保険証1枚あれば、いつでも誰でもどの医療機関でも受診でき、患者にとってはありがたい制度といえる。おかげで、日本の医療はWHOの健康達成度総合評価でも世界第1位だ。

 だが、そんな表向きの平等性とは裏腹に、医療格差は着実に進んでいるようだ。「国民皆保険制度はとっくに崩壊している」と指摘する有識者もいる。済生会栗橋病院副院長 本田宏氏だ。

「だいたい3割という自己負担率は、じつは世界の中でもトップクラスの高さなんです」

 たしかに、同じように社会保険制度を導入しているフランスやドイツでは、自己負担率は5%程度。北欧では基本的にゼロだ。

「国民皆保険が達成された1961年当時は、まだ国が貧しく、自己負担率は5割でしたが、その後サラリーマンは1割となりました。それが一気に3 割へと引き上げられたのが2003年です。

 このとき政府は『高齢化で医療費が増えるため、国民の皆さんにも負担をお願いしたい』と説明した。国民も、日本の医療費は高いからしかたがない、と涙を飲んで納得しました」

 しかし、ほんとうにそうなのか。じつは“情報操作”されているだけなのでは、と本田氏。

「日本の医療費はGDP比8%程度で、先進7ヵ国中最低なんですよ。規模にして34兆円ですが、これ、パチンコ業界の市場規模とさほど変わらないんです。他業界と比べても突出しているわけじゃない。

 しかも、これから高齢化がどんどん進むわけだから、医療費は上がるのが自然です。ところが小泉政権は、2002~06年度まで社会保障費を1.1 兆円、その後5年間にわたって年2200億円削減する自然増抑制策を取り決めた。国民の負担が増えるのは当たり前でしょ」
(略)

財政赤字が強調されると医療の自己負担が増える

 日本の財政赤字は世界一。だから医療費はなんとしても削らねばならない――

「医療費亡国論」は4半世紀が過ぎた今も生き続けているようだ。だが、「諸外国では財政赤字を算出する際、資産から借金を相殺しているのに対し、日本では資産は公開せず、借金の額だけを示して諸外国の数字と比較している」と本田氏は指摘する。

 経済学者の菊池英博氏によると、800~1000兆円とされる日本の財政赤字は、他国と同じ方法で計算すると、256兆円に圧縮されるという。

 ともあれ、財政赤字が強調されればされるほど、「医療の自己責任論」がさかんになる。その結果、病院に行けないワーキングプアが生み出されているといっても、過言ではない。

「考えてみてくださいよ、税金も健康保険料も国民のお金なんですよ。財務省は、俺たちの金だと思ってるかもしれないけど(笑)。そのうえ窓口で3 割もの自己負担金を支払わなきゃいけない。どこが国民皆保険なのか、という話です。

 ある試算によれば、欧州では税金100万円あたり、社会保障などで国民に戻ってくるのが70万円ほど。ところが、日本の場合は40万円しかリターンがない。残りは天下りやコンクリートに流れているんじゃないですか」

「病気になれない未来」を食い止める

 国民皆保険制度の崩壊を憂える声がある一方、「医療の悪平等」を指摘する人々もいる。

 たとえば「混合診療」解禁への声だ。混合診療とは、保険診療に保険外診療(自由診療)を併用すること。今のところ原則として禁止されているが、差額ベッドや高度先進医療についてのみ、部分的に認められている。

 ガンや難病に苦しむ人々の中には、1日も早い全面解禁を待ち望む人も多い一方で、「解禁されれば保険外診療に比重を移す医療機関が増え、従来の保険診療の質が落ちて医療格差が広がる」と危惧する人もいる。

 どちらが正しいとも言いきれないが、「その前に、海外では使用されている薬が日本ではまだ未承認となっている状態“ドラッグラグ”を解決することが先決。もちろん、安全性を十分考慮したうえでの話ですが。また、混合診療の解禁にあたっては、エビデンス(科学的根拠)を示し、どのくらい効果のある医療なのか明らかにしたうえで、国民みんなで議論することが必要では」(本田氏)

 また、ごく一部だが、自己負担金を支払えるのに不払いを決め込む、悪質な患者も皆無とはいえない。

 群馬県の総合病院に勤務する精神・神経科医師は「多額の未払い金を溜めているのにパチンコで遊んでいる患者さんも。こうした人が増えると、本当に必要としている人に適切な医療を提供できなくなってしまいます」とため息をつく。

 水の豊かな日本では、蛇口をひねればいくらでも水道水が出てくる。それと同じ感覚で、医療もかつてはタダ同然で受けられると信じられていた時代があった。もちろん、医療はタダではなく、水と同様、濫費されることがあってはならない。

 とはいえ、水道料金が今の10倍に跳ね上がれば、たちまち生活に困る人々が現れるのと同じように、健康保険料や自己負担率が上がれば、“病気になるわけにはいかない人”が増える

 また、今後の経済情勢によっては、現行の健康保険料、自己負担率が2倍、3倍もの重みとなって、私たちの肩にのしかかりかねない。事はけっして一部の人々だけの問題ではないのだ。

「低福祉、高負担」の国で経済格差が広がれば、“命の格差”はますます進んでしまう。

日本の医療政策の問題点の一つに、基本的には低負担を目指した皆保険制度を導入しているのにも関わらず患者側に全くアクセス制限を行っていないということがあって、このため受診抑制を図るためにも医療費抑制のためにも自己負担を高くするという、何やら皆保険の意味がないようなことを行ってきたという歴史的経緯があります。
とりわけひとたび生活保護になれば保険料も医療費負担も全てタダ、長く入院するほど保護費が貯まってお得という妙な役得がある一方で、その一歩手前の低所得者層では保険料負担に窓口負担のダブルパンチを強いられているわけですから、これでは真面目に歯を食いしばって働くほど損だと言う良からぬ風潮も世に蔓延して、結局はお国のためにもならないと思うのですけれどもね。
そんなこともあって医療のみならず、経済成長の面から考えても今最も緊急の患者向け政策はこうした低所得者層医療だとも言えそうですが、大先生のように国民等しく全てが最善の医療を受けられて当然であるという方々が大きな声で世論を導く限りは、財政支出も厳しいおりだけに国民皆が等しく我慢するしかないという話にも終わりかねない危惧もあるところです。

医療は万人に対して平等であるべきの前提を維持したまま今後も続けていくのなら金銭以外での受診抑制動機を設定しなければ医療現場が崩壊するだろうし、金銭負担によって格差をつけることを是とするならお金を気にせず出来る限りの医療をなんて無茶なことはもうやっていてはいけないのだと、患者は元より医療従事者の側も意識改革をしていかなければならないでしょう。
余談ながらこのあたりの低所得者層向けに健康保険よりは安上がりに最低限の医療だけを保証するようなニッチなマーケットが出来てくるのかどうかとか、その場合何かあったときに値段相応で仕方がないと受け止めるだけの国民合意は形成出来るのかとか、今後の課題として興味深いテーマは幾らでもありそうに思っています。
一方で今後も医療へのフリーアクセスを続けるなら、お金がないから受診しないという自己責任もまた国民は受け入れなければならない道理ですが、低所得者救済のために保険料や窓口負担の免除・軽減を大幅に拡充していくのか、あるいは保険料の税負担方式への変更なども考えて行くのか、現場負担など考えず財政的な面だけをとっても政府としても頭が痛いところでしょうね。

それでも勤労意欲もあり今後数十年税金を払ってくれるだろう現役ワープア層へお金を使うということになれば、それは後で何倍にもなって戻ってくる生きた投資になると思うのですが、民主党政権の方でも全く無策でいるつもりはないということなのか、最近になってこういう話が出てきたというのは注目に値するんじゃないかと思います。

医療自己負担、上限4万円に軽減…来年度にも(2010年5月8日読売新聞)

 政府は8日、医療費の窓口負担が一定額を超えた場合に払い戻す高額療養費制度について、70歳未満の年間所得約300万円以下世帯(住民税非課税世帯は除く)の負担上限額を現行の月額約8万円から月額約4万円に引き下げる方向で検討に入った。

 年内に厚生労働相の諮問機関「社会保障審議会」で具体案をとりまとめ、2011年度にも実施したい考えだ。

 新制度の適用を受ける対象者は、3000万人程度と想定している。

 現行制度では、70歳未満の高額療養費の自己負担の月額上限額は、所得に応じて、「住民税非課税世帯」は3万5400円、「一般所得世帯」(年間所得600万円未満)は約8万円、「高額所得世帯」(年間所得600万円以上)は約15万円となっている。

 高額療養費の対象となるのは、がんや神経性難病などの患者が多く、過去12か月以内で3回以上、高額療養費の支給を受けた場合は4回目から半額程度に軽減する特例が設けられている。

 しかし、最近は景気低迷で医療費負担に苦しむ患者も増えていることや、効き目が大きい高価な抗がん剤が普及してきたことから、一般所得世帯のうち、約3分の1を占めると見られる所得世帯の負担軽減が必要だと判断した。

 厚生労働省によると、高額療養費は、医療費ベースで年1・6兆円(2007年度)。同省の試算では、年間所得約300万円以下の世帯の上限額を半額に引き下げることで、医療費ベースで4000億~5000億円程度、国庫ベースで1000億円以上の財源が必要となるという。実現に向けては財源の確保などの課題がある

 ◆高額療養費制度=1か月の医療費が自己負担の上限額を超えた場合、超過分が払い戻される制度。現行では自己負担の上限額は所得水準によって、70歳未満で3段階、70歳以上で4段階に区分されている。例えば、60歳の患者が腹痛により7日間救急病院に入院すれば、医療費は約42万円、3割負担で約13万円かかるところ、自己負担は約8万円にとどまることになる。

ワープア層というのは入院して働けなくなった時点で一切の稼ぎがなくなったり、元より貯蓄など最初からなく支払いのしようもない場合も多いという事情を考えれば正直いささか半端な話なのではないかとも思うのですが、何もしないよりは多少なりとも負担が減るというのは良いことでしょうね。
このあたりはもう少し大胆な政策を打ち出してくれば医療重視で票を集めた民主党としてももっと広範な支持が得られるのではないかと思いますが、逆にこの程度のことでも結構大きな財源が必要になるというわけで、先ごろ揉めた開業医冷遇策で稼いだ分などあっという間に吹っ飛んでまだまだ足りないとも言えるのですから大変ではあるのでしょう。
個人的に面白いと思ったのは民主党と言えば後期高齢者医療を目の敵にしていて、政権を取ったらさっさと潰しますなどと言っていたように記憶しますが、実際に政権を取ってみると早々に廃止は先送りしますなどと宣言してしまった、一方で今回の件もいわば現役世代向けの話からこうして出てきたということで、案外地に足がついて見えるのは医療系のブレインの献策なんでしょうかね?

このあたりは結局のところ国民も政府も医療にあまりお金を出せなくなっているという大前提を認めるというのであれば、結局誰かが我慢して誰かの救済に回すというやりくりをしていくしかないんじゃないかと思いますが、その場合の救済対象として誰を優先するのかという議論が、そもそも医療などを必要とする人々は一般的にいって誰もが社会的弱者であるといえるだけに難しいところですよね。
そうは言っても日本の医療は寝たきり高齢者にも濃厚治療をやり過ぎるなんて国民の側からも批判されてきたくらいなんですから、元気になれば社会的価値も大きい現役世代優先で行くというのは論理的な結論だとは思うし、諸外国でも高齢者医療と若年者医療に差をつけることは普通に行われている以上、そろそろ社会的にもそういうコンセンサスの形成を目指していってもいい頃だとは思います。
何にしろ参院選も控えて医療政策の方面でも、ちょっとそれはどうよと思うようなあからさまな空手形も含めて今後色々と出てくる時期ではあるのでしょうが、同じ語るにしてもお年寄りはさっさと死ねと言うのか!なんて単に感情論に訴えるだけの話ではなく、医療現場や国民生活に与える影響まで考えての政策の応酬をやってもらえれば実のある議論になるんじゃないかと思いますね。

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2010年5月10日 (月)

県立宮古病院の(ちょっと笑える)不幸な出来事

その時はなんとなく見過ごしていたような話でも、あとになってみると実は大きな出来事の伏線であったということはままあるものです。
先日地方紙に出ていた何ということはないこちらの記事も、このときはさほどのニュースバリューもないものだろうと見過ごしていた話の一つではありました。

環器科に常勤医2人着任へ 県立宮古病院(2010年5月1日岩手日報)

 2007年から常勤医が不在となっていた県立宮古病院(宮古市崎鍬ケ崎、菅野千治院長)の循環器科に常勤医2人が確保され、今月10日から救急患者と紹介患者の診療を開始することが、30日分かった。宮古・下閉伊地域では常勤医不在の間、心筋梗塞(こうそく)など重症患者は主に盛岡市内の病院へ救急車などで搬送されていた。常勤医2人が診療を約3年ぶりに再開することで、患者らの負担軽減が期待される。

 新しい常勤医は大阪市内の病院勤務の男女2人の医師。県立宮古病院によると、2人は循環器科の常勤医が不在という窮状を知り、「手助けしたい」と同病院で勤務することとなったという。

 同病院の循環器科は07年7月以降、派遣元の東北大の医師引き揚げなどで常勤医が不在となり、外来を休診。県立中央病院(盛岡市)や東京女子医大(東京)などから診療応援を受けて救急や入院患者に対応してきた。

これだけでしたら今のご時世に良かったねで終わっていた話なので、世間的にはさして注目もひかずに埋れていた小さな町の小さな話題に過ぎなかったと思います。
これがわずか数日後には地元紙の一面トップを飾り、全国ニュースでも一斉に取り上げられるような大事件に発展しようとは誰も思わなかったわけですが、大阪出身だけにきれいにオチが付いたということなんでしょうか?

着任予定の“医師” 実は無免許(2010年5月9日NHKニュース)

医師不足が深刻な岩手県の県立病院に着任する予定だった44歳の女が、医師免許を持っていないことがわかり、医師法違反の疑いで警察に逮捕されました。

逮捕されたのは、自称、大阪市在住の無職、一宮輝美容疑者(44)です。医師不足が深刻な岩手県では、宮古市の県立宮古病院で、おととしから循環器科の常勤の医師が不在になっています。
病院などによりますと、おととしの秋ごろ、一宮容疑者から「テレビ番組で岩手県の医師不足の現状を知り、ぜひ手助けしたい」と連絡があり、院長などが3回にわたって面接して採用を決めたということです。
ところが、一宮容疑者がファックスで送ってきた医師免許の写しに、厚生労働大臣の印鑑がないことなどを不審に思った担当者が、以前、勤めていたという大阪の病院に問い合わせたところ、勤務の実績がないことがわかったということです。

相談を受けた警察が、10日の着任を前に岩手県を訪れた一宮容疑者から事情を聴いたところ、医師免許を持っていないことを認めたことなどから、医師法違反の疑いで逮捕しました。
警察は、事件の背景などについて、一宮容疑者を調べるとともに、循環器科の医師としていっしょに着任する予定だった38歳の男も医師免許を持っていない疑いがあるとみて事情を聞いています。
岩手県立宮古病院の菅野千治院長は「詳しい医療知識があったので、着任で合意した。常勤の医師が確保できたと思っていただけに残念だ」と話しています。

念願の常勤医、採用したらニセ医者 容疑の女性逮捕(2010年5月9日朝日新聞)

 無免許にもかかわらず医師をかたったとして、岩手県警は9日、自称大阪市天王寺区上本町5丁目の無職、一宮輝美(いちみや・てるみ)容疑者(44)を医師法違反の疑いで現行犯逮捕したと発表した。2007年7月から循環器科の常勤医がいない岩手県立宮古病院(同県宮古市)に「婚約者と2人で医師として常勤する」と申し入れ、病院側は10日付での採用を決めていた

 菅野千治院長や県によると、一宮容疑者は「テレビの報道番組で病院の窮状を知った。手助けしたい」と申し入れてきたという。菅野院長は「医学用語を交えて話す姿に医師だと信じてしまった。住民の期待を損ねる形となり申し訳ない」と話した。

 県警の発表によると、一宮容疑者の逮捕容疑は、8日午後6時半ごろ、宮古市内で菅野院長らの面接を受けた際、免許をもっていないのに「私は医師だ」と申告したというもの

 一宮容疑者は09年末から先月にかけ、菅野院長らと3回面談した。しかし、4月30日に一宮容疑者がファクスで送ってきた医師免許証に公印が押されていないなど不審な点があり、病院側が県警に相談していた。県警の調べでは、一宮容疑者に病院での勤務歴はないという。 医師法は、医師でない者が医師と名乗ったり、紛らわしい名称を使ったりした場合に50万円以下の罰金を科すと定めている。県警は、一宮容疑者の「婚約者」の男性も同法違反の疑いがあるとみて調べている。

「常勤医いない…」テレビで窮状知り、免許ないのに手助け志願(2010年5月9日産経新聞)

 医師不足に悩む岩手県宮古市の県立宮古病院で、10日着任する予定だった男女2人が、医師免許を持っていなかったことが判明。県警宮古署は8日夜、医師法違反の疑いで、自称・大阪市在住の無職、一宮輝美容疑者(44)を逮捕し、男(38)からも事情を聴いている。一宮容疑者は容疑を認めているという。

 宮古署によると、一宮容疑者の逮捕容疑は、8日夕、宮古市内で宮古病院の職員に対し、医師免許がないのに医師と偽った疑い。

 同署や病院関係者によると、一宮容疑者は平成20年11月、テレビ番組で循環器医がいない病院の実情を知り、勤務を名乗り出た。「大阪大医学部出身で大阪市内の赤十字病院の救急専門医だ。手助けしたい」とうそをついていたという。

 宮古病院や県医療局によると、面接などを経て2人の採用を決めたが、2人は免許提示を求めても、「職場に置いてある」などと出し渋っていたという。また「もめるから大学に照会するな」「患者とトラブルがあり勤務先は自分の氏名を公表しない」とうそを繰り返し、発覚を逃れていた

 病院に免許のコピーが届いたのは今月6日。ところが、登録当時の厚生相の公印がなく、医政局長の氏名も別人だった。通報を受けた宮古署は、2人が“着任”のため市内のホテルに投宿した8日、事情聴取を行った。

 菅野千治院長は「詰めが甘かった。住民の高い期待を裏切る結果となり申し訳ない」と話している。

 宮古病院は約3年前から循環器の常勤医がおらず、心臓疾患の救急患者は、約2時間かけて盛岡市に搬送されている。


医師法違反:ニセ女医をうっかり採用 常勤医不足に悩む岩手・宮古市の病院(2010年5月9日毎日新聞)

 医師不足に悩む岩手県宮古市の県立宮古病院(菅野千治院長、387床)に医師と偽り勤務しようとしたとして、県警宮古署は8日夜、自称大阪市天王寺区上本町5、無職、一宮輝美容疑者(44)を医師法違反容疑で現行犯逮捕した。共に勤務予定だった知人男性(自称38歳)も偽医者だったとみて事情を聴いている。

 逮捕容疑は8日、宮古市和見町の同病院官舎前で、職員に対し、医師免許がないのに循環器科の医師と虚偽の申告をした疑い。2人は10日から勤務予定だったという。

 同病院によると、一宮容疑者は08年11月ごろ大阪市内の病院の医師と名乗って宮古病院に電話し「ニュースで岩手の医師不足を知り、手助けがしたい」などと話した。このため同病院は一宮容疑者と知人男性を09年末から2、3回面接し、4月中旬に採用を決めた。だが2人は医師免許や履歴書の提示に応じず、今月6日にようやくファクスで医師免許を送ってきたが、厚生労働大臣印が無いことなどから、県医療局を通じ宮古署に相談していた。

 県医師支援推進室によると県内の人口10万に対する医師数は191・9人(08年)で全国37位。同病院は循環器科の常勤医が不在のため、他病院から派遣を受けていた。常勤医は年収約2000万円。

 菅野院長は「常勤医が欲しいとの思いから、疑問点も見過ごしてしまった。市民の期待や安心を踏みにじる結果になってしまい申し訳ない」と話した。【宮崎隆】

宮古病院、十分な確認怠る(2010年5月10日読売新聞)

「婚約者」も着任寸前

 宮古市崎鍬ヶ崎の県立宮古病院(387床)に、循環器科の医師をかたって勤務しようとしたとして、医師法違反(名称の使用制限)容疑で自称大阪市の無職一宮輝美容疑者(44)が逮捕された事件で、一宮容疑者は、婚約者と名乗る男性(38)と、10日の着任を控え、同市に到着したところだった。医師不足に焦る病院や県医療局は、十分な確認を怠ったまま信じてしまい、着任寸前まで話を進めた。一宮容疑者は宮古署の調べに「自分が計画を考えた」と供述。同署は動機を調べるとともに、男性からも事情を聴いている。

 同病院などによると、今月6日、免許のコピーがファクスで届いたが、公印がなく、当時の厚生省の担当局長名が違うなど不審な点が目立った。前任地とされる病院の勤務実績も確認できなかったため、翌7日に、県医療局を通じて県警に相談した。

 病院によると、一宮容疑者から最初に連絡があったのは2008年11月頃。「医師不足を報じたテレビ番組を見た。手助けしたい」と電話してきた。院長が「1人ではなく2、3人雇いたい」と伝えると、間もなく「婚約者がいるので2人で行く」との返事が来たという。

 その後、一宮容疑者が「父親が亡くなった」などとして院長との面談希望を拒んだため一時連絡が途絶えたが、09年秋には、一宮容疑者は「別の婚約者ができたが、同じく循環器科医なので、一緒に宮古病院に行く」と伝えてきた

 病院側は面談の席などで再三医師免許の提示を求めたが、一宮容疑者は拒絶。前任地を大阪市内の病院と偽った上、院長の前で、この病院から電話がきたふりをしたという。

 事件を知った宮古市西町の自営業男性(61)は「資格のない人が診察していたらと思うとぞっとする」と憤った。元宮古病院内科科長で、前宮古市長の熊坂義裕氏(58)は「病院側が、どんな技量を持っているのかわからない人たちと、独自に交渉していたのがそもそもの原因。県が早い段階で資格をチェックしていたら、こんな恥ずかしいことにはならなかった」と指摘した。

何やら産経の見出しなどまるで人助けのようにも見えるのが面白いですが、この院長も確かにいいキャラしているという印象は受けるものの、読売の記事に唐突に登場する前市長の総括もどうなのかとも思うところですけれどもね。
ちなみにこの院長のコメントというものが出ていますので、今後の参考までに拝聴してみたいと思いますが、いずれにしてもやはり心情的な切迫感というものが事態をここまで進めてしまったという背景はありそうですよね。

専門用語信じてしまった…宮古病院院長一問一答(2010年5月10日読売新聞)

 医師と偽り、岩手県立宮古病院に勤務しようとしたとして、自称大阪市天王寺区、無職一宮輝美容疑者(44)が医師法違反(名称の使用制限)の疑いで逮捕された事件で、県立宮古病院・菅野千治院長が語った主な内容は以下の通り。

 ――一宮容疑者の医師免許を確認しようとしたのか

 「今年2月に病院見学に来て以降、免許のコピーを送るよう繰り返し求めてきた。4月に大阪で面会した際も、履歴書などと合わせて持参する約束だったが、持ってこなかったため、その後も催促した」

 ――既に正式採用していたのか

 「免許を確認してから採用する予定だった。まだだ」

 ――なぜうそを見破れなかったのか

 「循環器科医が普段行う治療行為の専門用語を口にしたり、勤務元の病院から電話がかかってきたそぶりを見せたりしたため、信じてしまった

 ――10日に着任していたらどうするつもりだったか

 「10日以降も応援医師は継続して頼んでいた。着任を焦った訳ではない

 ――今後の反省点は

 「疑う余地はあったが、確認を怠ったのは事実。医師不足とはいえ、身元確認はもっと慎重に行わないといけない

しょせん医師免許などは紙切れ一枚を偽造すれば済むだけに、今回はたまたま相手の偽造のレベルが低かったために疑われたというだけで、全国どこででも同種の事件が起こる可能性がある(あるいは、すでに起こっている?)とは言えると思いますね。
二人が本気で勤務するつもりだったのか、契約金なりの名目でお金だけ取って消えるつもりだったのかは判りませんが、実際にはまだ医療行為をしていなかったようですから、医師という名称の独占を規定した医師法第18条の「医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。」違反だけになるのかと思うのですが、いわば名称詐称だけですからごく微罪に終わりそうです(今後詐欺や民事も出るかも、ですが)。
しかしこういうものを採用までしてしまうというのは事務方の確認もまともでなかったということもあるんでしょうが、いくら医師不足のご時世だとは言え直接三回も面談していながら信用しきってしまった院長もどうかと思う話ですが、実のところ今のご時世であればこそこういうことはあり得るんじゃないかと思いますね。

最近医師不足でどこの病院でも質を問わず免許所持者を高給で集めているせいか、中には臨床医としての適性はどうよと疑問符の余地無しとしない方々も大勢現場復帰されていらっしゃるようで、そうでなくても卒後すぐに結婚して現場を離れたとか、何十年も研究畑一筋で臨床は全く素人であるとか、本物の医師免許所持者であっても臨床力は学生レベル以下という人も時折見かけるところですよね。
「そんな医者で大丈夫か?!」と思うかも知れませんが、法律上の問題で医師免許所持は必要とされるものの、実際に臨床能力を問われることのない職場というものは幾らでもありますから、逆にそういう環境にまともな臨床医を飼い殺しにしておくよりは、社会全体にとっては有益な資源再配分になっているという見方も出来るかも知れません。
余談ながら医者の世界は面白いところで、こういう仕事もなく楽な職場ほど給料も良かったりする一方、なぜかそんな天国のような職場にはあまり誰も行きたがらないという世間の常識と真逆なことがまかり通っていましたけれども、近頃では時代も変わってこういう職場こそおいしいんじゃないかと、第一線の臨床医が次々と薄給激務の奴隷病院からドロッポして鞍替えするという世間並みのことも起こるようになってきてはいます。

そうした余談はともかくとして、こういう偽医者問題というものは時折報道されるくらいですから実際あちこちでバレずにやっている偽医者も多いということなんでしょうが、よくあるのは薬剤師などある程度医療の事情に通じている業界関係者のようで、院長すら騙し通したと言うほどの専門用語をあやつったという今回の方々のバックグラウンドはどうだったのかと興味はわくところですよね。
最近では医師免許確認は全般に厳しくなったとは言えあれもしょせん紙切れ一枚ですから、その方面のプロが本気になれば幾らでもそれらしいものは偽造できておかしくないでしょうし、実際話をしてみて現職ベテラン医師ですら見抜けない知識がある、あるいは仮に知識がなくとも病院の都合上雇わざるを得ないという状況となった場合に、こうした犯罪を完全に防ぐというのはなかなか難しいのかも知れませんね。
厚労省の医籍登録検索もひと頃は「とっくに鬼籍に入った人まで出る!」と話題になった反動か、ちゃんと二年ごとの登録をしていないと削除することにしたとも聞きますが、あれも普通勤務医であれば病院が勝手に登録をするものですから、現在どこにも勤務していない医師であれば本物でも登録が漏れている可能性はあるかも知れず、無論名前まで詐称されてはどうしようもないわけです。

某大先生などであれば、さしずめこんな事件にかこつけて「これも医師不足が根本的な原因だ!迅速に医師の増員を実施しなければ!」なんてますます猛り狂ってしまいそうですけれども(苦笑)、外部から見るとレベルを問わず医者と名のつくものなら何でもいいと必死なこの業界の状況というものは、ずいぶんと引っ掛けやすい鴨のようには見えているのかも知れませんね。
そう考えると東北の片田舎で起こった一見笑い話のようなオチが付いた今回の事件ですが、こうして全国に流れるニュースとなって見るとなかなか興味深い教訓にはなったのかなとも思えてくるところで、宮古病院には良い勉強の機会を与えていただいたと感謝すべきなのでしょう。

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2010年5月 9日 (日)

今日のぐり:「たかくら」

本日まずは先日一部方面でちょっとした話題になった、こちらの記事から紹介してみましょう。

ついに自衛隊までが参入 募集ポスターに「萌えキャラ」(2010年4月24日J-CASTニュース)

   自衛官募集のポスターに「萌えキャラ」が採用され、ネットで話題になっている。アニメ調の若い女性自衛官が大きく描かれ、学生が部屋に貼りたくなるようなものを目指したという。最近、地方自治体や官公庁で「萌えキャラ」活用が相次いでいるが、その流れが自衛隊にも押し寄せた形だ。

   2010年4月19日、自衛隊徳島地方協力本部のサイトに、10年度の自衛官募集ポスターが掲載された。「知れば知るほど誇れる仕事! 自衛官募集」というキャッチコピーが大きく書かれ、アニメに出てきそうな女性自衛官のキャラクターが、指の間からこちらを覗いている。一見すると新作アニメの PRポスターのように見える。

「中・高・大学生」が部屋に貼りたくなる

   サイトに載っている説明によると、自衛官募集の対象となる「中・高・大学生」が部屋に貼りたくなるようにデザインしたという。ポスターの女性は夏制服を着た航空自衛官で、階級は「3等空曹」。「後輩に仕事を教える傍ら職務に対する探究心も旺盛で自衛隊の仕事が面白くなってきた時期」だそうだ。

   「知れば知るほど~」というキャッチコピーについては、

    「どの職業にも共通するもので現役自衛官のみならず、仕事に誇りを持ち勤務する社会人には、グッとくるものでしょう。ポスターを通じて、魅力ある自衛隊の仕事を知ってもらいたいと思います」

としている。

   制作を担当したのは、アニメ制作会社「ufotable(ユーフォーテーブル)」。同社は徳島市内に制作スタジオがあり、09年にアニメキャラを使用した阿波踊りPRポスターの制作を担当した。このポスターは人気を呼び、各地で盗難が相次いだ。

「ちょっと自衛隊いってくる」「違和感なくかわいい」

   08年には東京・渋谷に制服の試着などができるPR施設「自衛館」がオープン。「コスプレショップみたいだ!」とネットで話題になったが、今回の「萌えキャラ」ポスターも注目され、2ちゃんねるには「自衛隊が萌えキャラでお前らを釣ろうとしてる件」といったスレッドが登場。

    「これはありだな」「ちょっと自衛隊いってくる」「違和感なくかわいい」

などと、概ね好意的に受け取られているようだ。

   地方自治体や官公庁などでの「萌えキャラ」活用は04年頃から積極的に行われている。紀州備長炭の産地、和歌山県みなべ町では地元森林組合の PRキャラクターに「びんちょうタン」を起用。アニメ化までされた。

   09年には、愛知県知多市の若者就職支援施設が「知多みるく」というキャラクターを採用し、利用者数が大幅アップ。現在ではその派生キャラクターも登場し、知多半島全体のPRを行うほどの大成功を収めている。総務省サイトにも、魔女キャラ「電波りようこ」が登場したことがあった。自衛隊まで「萌え」に手を出し、今や猫も杓子も「萌えおこし」という様相を呈している。

問題のポスターを見ますと全くなんとナンパなと言いましょうか、自衛隊にもチハタンがいればこんな醜態は…と言う話はさておき、近頃では時節柄どこの職場にも新人がたくさん入ってきて、その教育にも大変な時期ではないかと思います。
本日はこの方面に関わりそうな最近の話題を幾つか紹介してみますが、まずは同じ自衛隊が新人教育に一役買っているという話題です。

新入社員、陸自で鍛える 参加企業、年々増加(2010年4月24日中日新聞)

 陸上自衛隊守山駐屯地(名古屋市守山区)で、民間企業の新入社員を対象にした研修が実施されている。駐屯地内で隊員と同じ生活をしてもらい、自衛隊への理解を深めてもらうのが本来の狙い。だが企業には、規律の厳しい陸自に体験入隊することで、学生気分が抜けない新人に礼儀やしつけを教えられると人気。年々参加が増えている。

 研修は主に2泊3日が多い。費用は一人一日1300円程度(食事代など)とお値打ち。参加者には着隊後、作業服を貸し出し、まずは敬礼や方向転換の基本動作を指導。部屋のベッドメークや掃除もする。早朝に突然たたき起こされて整列したり、重さ20キロ近い荷物を背負って10キロ以上、ひたすら行進したりする訓練もある。

 陸自第10師団司令部によると、東海北陸地方の各駐屯地での研修に参加した企業は、2009年度は73社で、07年度より5社増えた。守山駐屯地でも4社増の11社。年間の7~8割が3、4月に集中する。

 昨年に続き参加した日鉄物流名古屋(東海市)の人事担当服部宣明さん(37)は新入社員と一緒に研修。「企業では難しいしつけ教育が可能で、社会人としての自覚を持ってもらえる。きついけど良い思い出になるようです」と効果を話した。

 名三工業(千種区)の波多野旭さん(22)は「就職活動も厳しかったのでこれくらいできないと社会で通用しない。やり切った達成感があります」。指導教官の宮田勇一三等陸尉は「最近の若者はバーチャルな体験が多いが、24時間、寝るまで規律を課すことで、連帯感や協調性を学んでもらえると思う」と話していた。

これがゆとりか…なんて声も聞こえてきそうですが、一昔前には韓国海兵隊に体験入学なんて話題もありましたし、昨今こういうのも流行っているということなんですかね。
一般企業であればそれでも厳しいしつけ教育ということでなんとかものになるのかも知れませんが、これが軍隊に入ってくる新兵となるとあまりゆるすぎるのはお断りということになるようです。

米軍に思わぬ大敵 肥満の若者増え、新兵確保の脅威に(2010年4月29日朝日新聞)

 【ニューヨーク=田中光】肥満は国家の安全保障を脅かす――。米国の退役軍人らでつくるNPOが、そんな報告書をまとめた。入隊適齢期(17~24歳)の若者の27%にあたる約900万人が肥満のため、入隊できないという。1980年代の5%から急速に悪化しており、世界最強とされる米軍も、内なる「脅威」に直面する形だ。

 米軍への入隊は、高卒、重罪の前科がないことなどを条件にしているが、当然ながら健康であることも求められる。健康上の理由で「不適格」となった志願者のうち、「肥満」でひっかかる場合が最多になったという。

 不況のため、いまのところ志願者が多く、新兵確保の目標値は達成できているが、肥満の問題を解決しないと20年後には立ちゆかなくなる恐れもあると分析している。

 児童が一日に取るカロリーのうち40%が学校で摂取され、10歳から15歳までの太り気味の児童のうち8割が25歳までに肥満になるという。このため、学校からジャンクフードや高カロリーの飲み物を追放する法律を制定するよう連邦議会に提言している。

かの国の肥満率が33%と言いますから、むしろこの程度の割合で済んでいることが幸いだったということなのかも知れませんが、多少のことであれば入隊後のスパルタ式教育でどうとでもなるでしょうに、よほどのことなんですかねえ?
スパルタ式と言えばこれまた最近ちょっとした話題になったのがこちらの記事なんですが、まずは引用してみましょう。

新入社員「スパルタ研修」に批判  「餃子の王将」が釈明文掲載(2010年4月27日J-CASTニュース)

   過酷な新入社員研修の様子がテレビで放送され、「ブラックすぎる」などと批判されていた「餃子の王将」の王将フードサービスがサイト上に釈明文を掲載した。内容が「誤解を受けやすかった」とし、「無難な研修では学生気分を脱却できない」などと研修の真意を説明している。

   2010年4月11日、情報番組「TheサンデーNEXT」(日本テレビ系)で、同社新入社員研修の様子が放送された。携帯電話からテレビ、新聞、タバコも禁止。朝は6時半からランニングを行い、夜は23時に消灯。研修では、ことあるごとに怒号が飛び交う――。

スピーチで絶叫、涙流して抱き合う

   神奈川県の山中にある施設で、軍隊のような生活を5日間送る。挨拶などの接客基本動作や、オリジナルの「王将体操」などで合格点を取らないと修了が認められない。

   その中でも特に強烈なのが、3分間の「私の抱負」スピーチだ。他の社員の前で「私の抱負は1年後チーフになり、店長になることです。絶対になります!」などと絶叫。「70点 合格!」と言われ、最後には役員と涙を流して抱き合う。まるで自己啓発セミナーのようだ。

   放送後、ネットで話題になり、2ちゃんねるには、

    「なんだこの絵に書いたようなブラックは」

    「アメリカ海兵隊の入隊訓練の映画を思い出した」

などと書き込まれた。「餃子の王将」の業績がいいことから「これやって黒字だしつづけてるんだから仕方が無いだろ」といった書き込みもあったが、批判的なものがほとんどだった。

   こうした反応を受け、同社は放送後しばらくしてから、サイト上に「弊社新入社員研修について」という釈明文を掲載した。放送された内容が「誤解を受けやすかった」とし、研修に対する考え方をこう説明した。
今の若者には「感謝を知ること」を一番教えたい

   「餃子の王将」では、メニューの工夫や、イベント企画を行うなど、社員一人一人が存分に力を発揮し、併せて仲間とも協力することが必要とされる。その前に、挨拶や礼儀を社会人として身につけなければならない。「現代の若者」は、家庭や学校でこうした躾をされることが少なく、叱られたことのない人も多い。そのため、「通り一遍の無難な研修だけでは、学生気分から脱却させることはできません」というのだ。

   また、今の若者には「汗をかかない」「涙を流さない」「感謝を知らない」といった傾向があり、研修では「感謝を知ること」を一番教えたいのだという。仲間に励まされながら自分の弱さに向き合い、最後に感動を分かち合う。仲間あっての自分を知り、感謝を知ることが真の目的だとし、「ご理解頂きたく、お願い申し上げます」としている。

   王将フードサービス経営企画室によると、このような研修は10年以上前から行っており、途中で脱落者が出ることもある。放送後、「感動した」という意見だけでなく、「やりすぎ」といった批判もメールで寄せられたため、4月中旬に釈明文を掲載した。

   経営企画室では、

    「テレビでは数日間の研修のうち、インパクトのある部分を取り上げて編集していますので、驚いてしまった方もいるようです」

と話している。

ところで本家のスパルタ教育というものは奴隷教育などとも言われていたそうですけれども、こういうのは実際のところスパルタ式というのでしょうかね?
一方でこちらの方はまさしくスパルタ式!と言いたくなるような話のようですけれども、しかしこれもいろいろと素朴な疑問は湧いてくるところです。

【EU発!Breaking News】なぜ?「死ね!」と生徒をダンベルで殴打した教師に無罪判決か。(英)(2010年5月2日テックインサイト)

生徒を殺害しかけたイギリス人教師の裁判が現在行われている。この教師は、生徒をダンベルで何度も殴り、その間「死ね!死ね!死ね!」と叫んでいたという。

イギリス中部、Mansfieldの学校で教師を勤めるPeter Harvey(50)は、14歳の男子生徒に肉体的危害を与えたとして起訴された。

この男子生徒が授業中にふざけた行為をし、その後Harveyは生徒を追いかけてダンベルで何度か殴った。他の生徒がHarveyを生徒から引き離したが、生徒はこめかみの骨を粉砕し、また頭部にいくつかの傷を負った。また、Harveyはダンベルで生徒を殴りつける間「死ね!死ね!死ね!」と叫んでいたという。

法廷で、Harveyは意図せずに肉体的危害を生徒に与えた事は認めているが、殺人未遂については否認している。また、Harveyが生徒を追いかける間、生徒はHarveyを罵っていたという。

21日に裁判が再開されるが、Harveyは服役刑を受けるよりボランティア活動を科される可能性が高いと伝えられている。

まあなぜダンベル?なんてところを始め色々と突っ込みどころは多々ある話ですけれども、最終的にこれもブリということで何となく納得してしまうべき話ということなんですかね…?

今日のぐり:「たかくら」

新山口駅前に立つホテルの一階に入っている回転寿司の店がこちら「たかくら」ですが、折から食事時ということもあって大変な混雑ぶりで席に着くまで小一時間ほど待つことになりました。
お店の方はいわゆるボックス席というものはないようで全席カウンター(隅のほうで予約のふくコース専用というスペースがあるにはあるのですが、現在使われていないようです)ですから、ベルトコンベヤーの長さの割にはお客は入らないのかなと言う印象ですが、敷地面積からするとまあ妥当な席数なんでしょうかね?
顧客層は老若男女のファミリーは元より女性の一人客なんてものもいらっしゃるようで、後述するように回転寿司としては結構高価格帯の店なんだと思うのですが、ごく気軽に皆さん食べに立ち寄っていらっしゃるのかなという印象でした。

こういう店だと廻っているものに手を出すのは負け組のような気がする場合もありますけれども、ちょうど店員さんがネタを流しているすぐそばの席になったので、終始フレッシュなネタにありつけたのは幸運でしたね(笑)。
こちらは専属の鮮魚屋に仕入れをさせているんでしょうか、ネタと一緒に回っている札を見るとほとんどのネタの仕入に同じ業者の名前が出ているようですが、新鮮な地の魚は元よりこの界隈の定番らしい鯨系のネタが充実しているのが面白く、なるべく普段あまり見かけないものを中心に食べてみました。
さよりやキス、のどぐろなどは平素火を入れた料理ならよく食べますけれども、こうして寿司ネタにして食べるのは初めてですが、食べ比べのしやすい定番のヒラメやアジなどもなかなか悪くないネタで、試しに取った鯖の刺身なども季節的に脂はないんですが、この臭みの無いさっぱりした味わいも悪くないのかなとは思いますね(ただ、やはり旬を考えると今日のおすすめにこれを選ぶのはどうなのかとも思いますが)。
一貫五百円のカマトロなどは回転寿司で扱うにはいささか高価格帯のネタで、安くて旨い系の地の魚に混じってこういうのがさり気なく流れているところが面白いと思うんですが、トロ系が好きな人にはこの値段でこのネタであればお得だと思いますが、個人的にはこういう脂ものはちょっと食傷気味なので赤身をじっくりヅケにでもしていただいた方がありがたいかなとは感じました。

ウナギは白焼きを軽く表面をバーナーで焼いて出したもので、回転寿司のウナギと言えばいかにもなマズいタレの味だけで何の魚を食べているのやら判らないようなものもありますが、こちらのようなスタイルはきちんと魚の味を味わえる点で好みにはあうところです(ただし、もう少しふっくら丁寧に焼きあげていただきたいところですが)。
やたらとクジラメニューが充実しているのが目に付くからには手を出さないわけにはいきませんが、さえずりなどこれがなかなかにうまい、タタキもこういうところでこの味が手軽に食えるなら文句はないというレベルで、時折低価格店で出してくるような臭くてマズい鯨と違って誰でも素直に食べられる味だと思いますね。
おおむね満足のいくネタの中でちょっとどうかなと思ったのが玉子なんですが、このあまい味付けはいいんですが焼き具合はちょっと乱暴で、焼きすぎてガチガチに硬い部分と半熟気味に過ぎる部分とがこうも乱雑に折り重なった卵焼きというものは久しぶりに見ましたし、味についても言うまでもありません。

全般的にネタ自体は価格に見あって悪くなく、回転寿司として見れば普通に(ちょっと高いけれども)うまい店で通るのですけれども、これまた回転寿司らしく一手間かかったネタほどがっかり度が高く、手を加えていない生ネタの方が断然おすすめというのは、寿司屋として見た場合どうなのかとは感じてしまいますよね。
シャリの塩梅、ネタとの一体感なども寿司としてみればやはり回転寿司の限界は感じるところで、それでも一昔前のガチガチなシャリを知っている人間からすると回転寿司もかなり寿司らしくなってきたなとは思いますが、地の魚を中心にこれだけ新鮮なネタが揃っているのですから、ちょっとおいしい回転寿司店と言う範疇に留まっているのは少し勿体無いかなとも思います。
もっともこのネタで普通に寿司屋をやってしまうと、子供からお年寄りまで誰でも気軽に入れるという店ではなくなってくるかも知れませんから、これはこれでいいと言う考え方もあるのかも知れませんが…

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2010年5月 8日 (土)

そこまでするかの毎日新聞、その暴走はとどまるところを知らず

先日はアメリカで日本の総理のことを悪くいったなんて話が出ていまして、テレビなどでは結構面白おかしいネタとして取り上げていたのは御記憶のところだと思います。
それ自体は冷めたピザ問題の焼き直しかと正直どうでもいいような話なんですが、先日ちょっとばかり一部方面で話題になったのがこちらの記事です。

反射鏡:「寝ても覚めても日米同盟」の危うさ=専門編集委員・布施広(2010年4月18日毎日新聞)より抜粋

 米軍普天間飛行場の移設問題がらみで二つの記事が気になった。一つは米紙ワシントン・ポスト(4月14日)のコラムだ。筆者のアル・カメン氏は、核安全保障サミットで鳩山由紀夫首相がオバマ米大統領とまともに会談できなかったことを皮肉って「最大の敗者」と呼んだ。

 さらに「ユキオ、米国の盟友だろう? 米軍の核の傘の下で何十億ドルも節約しただろう?」と刺激的な発言もある。何より他国の首相を「increasingly loopy」(ますます頭がおかしい)と形容したのには驚いた

 人気低迷の政治家をからかうのもいいが、他国民への礼節や品位を欠けば説得力も失われよう。このコラムを日米不信の証左とけん伝する人もいるだろうと気にはなったが、内容自体に学ぶべきものはないと思った。
(略)

いや学べよ毎日(笑)。
「他国民への礼節や品位を欠けば説得力も失われよう」とは一般論としてそのとおりですが、何より自国民への礼節や品位を欠いてきた毎日新聞が言っても説得力が失われているというもので、これを世間では一般に「お前が言うな」と言うところですよね。
本日は最近の毎日新聞に関わるネタの中でも、とりわけ以前から話題となっているあのネタを取り上げてみたいと思いますけれども、まずは問題のイントロダクションとして先日出ましたこちらのニュースから紹介しておきましょう。

なんともインチキ臭い手口……“押し紙圧縮新聞社”がソロリ(2010年4月22日Business Media 誠)

大手新聞社の間でタブーとされてきた“押し紙”。これまで各紙はその存在を認めてこなかったが、最近一部の新聞がこれをこっそり是正し始めているようだ。

 2009 年10月、筆者は複数の全国紙が長年封印してきた“押し紙”の存在に触れた(関連記事)。公称部数と実際の販売数との差が押し紙で、各紙はその存在を絶対に認めてこなかった。が、最近、一部の新聞がこれをこっそり是正し始めたのだ。今回の時事日想は、ソロリと始まった取り組みに触れる。

押し紙とは

 押し紙とは、先に触れたように新聞社が公表している部数と、実際に読者の手元に届けられた部数との差だ。新聞社の印刷工場を出た商品が販売所に押しつけられ、配達はおろか梱包すら解かれずに廃棄されている状況を指す。

 実際に筆者が新聞販売所に勤務していた20年前から存在し、インターネットの普及で新聞離れが加速している昨今、その数は着実に増え続けているのだ。2009年10月、筆者はこの状態について、新聞社に広告を出稿している企業が是正を求め始めていると触れた。

 全国紙が提示する広告掲載料は高く、ここに定期的に出稿するのは大手企業が大半。だが、昨今の不況で企業側は厳格なコストカットを迫られ、出稿量を抑制し始めた。企業側はこれと同時に、株主などステークホルダーからの厳しい監視の目にさらされ始めた。つまり、“押し紙で水増しされた割高な広告料を支払い続けるのはけしからん”と迫られたわけだ。

 筆者が昨年この問題に触れたのは、ある週刊誌が押し紙についての詳細を報じ、リポートされた側の新聞社が同誌を訴えたことが契機となった。両者は現在も係争中であり、各紙にとっては死活問題ともいえるデリケートなテーマだ。

 が、最近接触した一部大手紙関係者から、非常に興味深い話を聞き出すことができた。この関係者によれば、「押し紙の是正に動き始めた」というのだ。長年に渡って新聞販売所を苦しめてきた業界のウミのような問題だ。なぜ声高に見直したとアピールできないのか。そこには根深い問題が潜んでいた。

インパクトが大きすぎる

 この新聞社が始めた具体的な是正策は、大まかには以下のような形だ。

 一昨年からの大不況の影響で、同紙を始めとした全国各紙は急激な広告出稿減という事態に見舞われた

 新聞社の主たる利益は、購読料と広告だ。ここ2年、各社ともに広告の激減で業績は大幅に悪化、赤字に陥る会社が続出した。この関係者によれば、「各社が赤字のうちに、こっそりと押し紙を減らしても目立たない」というのがミソ。

 従来、販売店に押し付けていた分の売り上げ分を段階的に減らし、「減収分を広告減という名目に押し込み始めた」というのだ。なにやら粉飾めいた話だが、押し紙を減らしましたと声高に宣言することができない事情があるのだ。

 先に触れたように、各社は押し紙の存在をひた隠しにしてきた。今になってこの存在を明らかにすれば、「多数の広告主から訴えられるリスクがある」(別の関係者)。大まかに、新聞広告の費用は公称部数に連動する形となっている。部数が多いほど広告は高い。が、新聞社の側に立てば、従来まで提示してきた数が水増しされていました、とは口が裂けても言えないのだ。このため、前述したようなインチキ臭い手法が採られた、という寸法なのだ。

 また、業界内での立ち位置の問題もある。押し紙を指弾した週刊誌と係争中の新聞社もあることから、「表立って押し紙を減らしていますとはとても言えない。インパクトが大きすぎる」(同)という状況なのだ。

 複数の関係者によれば、この新聞社の取り組み、手法はジワりと他社に広がる気配があるという。他の業界と同様、新聞業界も横並び意識が強いため、「広告減による減収・業績悪化」という項目に、押し紙圧縮による減収分を紛れこまそうとする動きが広がるかもしれない。

 ただ、1つ問題がある。こうした行為が他の業界で行われていた場合、新聞記者は真っ先に叩きにいく。筆者が現役の記者であれば、格好の素材としてしつこく取材し、ねちっこく記事を出し続ける。が、こっそりと押し紙圧縮に動いた新聞社があるように、自浄作用は働いていないのが現状だ。筆者はなんども経験し、目にしてきたが、メディア業界は内部のスキャンダルやミスを他の業界以上に隠ぺいしたがる。日頃他人を叩き続けているという立場上、自身のことを表に出すと仕事がやりにくくなる、というのがその理由だ。業界に長きに渡っていた悪習・因習を自戒する記事、あるいは声明が当事者である新聞社の内部から出てくることを筆者は切に願っている。

しかし押し紙問題の是正と言いながら、要するに相変わらずごまかし路線ではないかという話ですけれども、今の時代こういうことをこっそりやろうとしても通用しないんだということがまだ判っていないということなんですかね?
この押し紙問題というものは以前から何度か取り上げていまして、昨秋にははるか昔から存在していた問題なのに最近どうもよく話題になる理由として広告費を出す側の変化がある、要するに記事中にもあるように押し紙込みの水増し部数を前提に高い広告費を支払うことに、株主の納得が得られない時代になってきたというのも一つの理由とされています。

もちろんそうした側面も多々あるわけでしょうが、こと毎日新聞に限って言えば例の変態報道などを始めとする一連の捏造報道ですっかりネット上で有名になってしまった、昨今ユーザーは宣伝媒体ではなく直接スポンサーにクレームを入れますから広告費を出す側としてもイメージの悪いメディアを切る口実を探していたところに、ちょうどいい具合に押し紙問題というものが世間で取り上げられてきたということもあるのでしょう。
とりわけ部数減と広告費減のダブルパンチで今や経営的にも深刻な毎日新聞ですから、こういうことで更に一段とスポンサー離れが進んでしまっては立ち行かないというのは当然の話なんですけれども、そこで正道に立ち返って出直すのではなくさらに悪逆非道の道を突き進むというのがこの会社のこの会社たる所以なんでしょうかね?

毎日新聞元販売店主、押し紙拒否で閉店 2300万賠償請求(2010年4月28日産経新聞)

 実売部数を上回る新聞を販売店に買い取らせる「押し紙」を拒否したところ、補助金を削減され閉店に追い込まれたとして、東京都練馬区の元毎日新聞販売店主、石橋護さん(66)が28日、毎日新聞社(東京)に約2330万円の賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 訴状によると、石橋さんは実売部数を上回る240~500部の「押し紙」を毎日側から毎月買い取らされていた。しかし、平成20年11月から拒否するなどしたところ、毎日側から毎月支払われていた補助金約140万円が約17万円に減額。21年4月には、毎日側から新聞代金の未払い分約500万円を支払わなければ解約すると通告され、8月に閉店した。石橋さんは総額約1億1400万円の損害を被ったとしている。

 毎日新聞社の広報担当は「原告は新聞代金滞納を繰り返してきた。不当な請求と受け止めている」とコメントした。

「もったいない」キャンペーンの毎日新聞、部数偽装で紙資源浪費(2010年5月2日マイニュースジャパン)

 新聞の部数偽装問題で、いわゆる「押し紙」裁判が4月28日、東京地裁で新たに起こされた。原告は、毎日新聞の元販売店主。売れる見込みがないのに押し付け的に買い取らされ、そのまま配達されることなく廃棄に回る新聞が搬入部数の45%にものぼり、卸代金が支払えなくなって店を潰された。本来は刷り部数が減ったら困るはずの印刷出版産業の労組「全印総連」までもが、原告を全面的に支援している。「もったいない」キャンペーンを展開する裏で、膨大な紙資源を無駄にする毎日新聞社の恐るべき身勝手体質が浮き彫りになっている。

 「怒りというものは、普通、時間が経過すれば薄らいでいくものですが、わたしの場合は逆に、日増しに膨らんでいきました。販売店を一方的につぶされて許せない、という思いで提訴に踏み切ったのです」

 裁判を起こしたのは、毎日新聞・関町販売所(東京都練馬区)の元店主・石橋護さんだ。

 売れる見込みがないのに一方的に買い取らされる「押し紙」などの負担で、新聞社に支払う卸代金が支払えなくなり、2009年8月に強制的に販売店をつぶされた後、9ヶ月を経て裁判に踏み切ったのである。

 損害賠償額は2331万円。しかし、差別的な補助金の支給で生じた損害額など、販売政策で生じた損害の総計を推定すると約1億1400万円にもなる。石橋さんはこのうちの一部支払いを請求したのである。

 参考までに関町販売所における2008年の9月と10月の部数内訳を紹介しよう。「押し紙」を断る直前の2カ月のデータである。

月/部数     搬入部数     実配部数    押し紙    「押し紙」率
9月     1200部     668部     532部     44%
10月     1200部     662部     538部     45%

 搬入されていた新聞の約半分が「押し紙」だった。他の月についても、圧倒的に「押し紙」が多い傾向は変わらない。石橋さんは、「押し紙」の買い取りを断ったが、それが引き金となり、結局、廃業へ追い込まれることになる。

他人の心情に配慮しない新聞人の横柄さはかねてから指摘されることがままあった。「押し紙」を強制していながら、「押し紙」は存在しないと開き直る姿勢そのものが、「身勝手体質」を象徴しているが、石橋さんが提訴に至るプロセスにおいても、新聞人の体質が改めて浮き彫りになった。
(略)

一説によると毎日新聞の押し紙率はとりわけ高く、一部で7割にも達するなんて話もありますが、売れもしない新聞をこれほど多量に強制的に押し付けられるわけですから、それは新聞販売店としてもまともな経営などやっていられないと言うもので、しかも言うに事欠いて勝手に押し付けた新聞代を払え!と言うのですから、どんな悪徳商法かと言う話ですよね。
この一件で面白いのはすでに昨年春の段階で、出版業関連の労組である全国印刷出版産業労働組合総連合会(全印総連)がわざわざ出向いてこの件で毎日新聞に抗議しているにも関わらず、全く取り合おうともせずにこれを突っぱねたということで、倫理的な問題がどうこうという以前に出版物で食べている新聞社としてこんな対決姿勢でやっていけるのかと他人事ながら心配になります。
毎日新聞の方ではすでに自分たちの尻に火がつくどころではない状態ですから、販売店のなけなしの資産を吸い上げることで何とか命脈を保とうと悪あがきをしているところなんでしょうけれども、この調子ですと程なく販売店の方から「毎日さんなんて取り扱っても損になるだけですから」と一斉にそっぽを向かれる、なんてこともあり得るかも知れませんね。

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2010年5月 7日 (金)

再出発を果たした銚子市立病院 その前途は未だ多難なようで

以前に公立基幹病院が突然の閉鎖と話題になり、当「ぐり研」でも何度か取り上げさせていただいた銚子市立総合病院ですが、ちょうどこの連休明けから久しぶりに営業を再開しているようです。
当面入院も扱わず限りなく診療所といった状態のようですが、関係者はここからもう一度這い上がろうという意欲満々のようで、逆にそれが悪い方向へのプレッシャーになるのではないかと心配されるところもありそうです。

銚子市立病院が診療再開 1年7カ月ぶり(2010年5月6日産経新聞)

 医師不足などから一昨年9月末で休止した銚子市立総合病院(千葉県銚子市前宿町)が6日、「銚子市立病院」として1年7カ月ぶりに診療を再開した。当面は内科の外来診療のみで、再開初日は常勤の笠井源吾院長と非常勤医師3人が診察を担当し、市民など約20人が受診した。

 午前中に受診した同市榊町の建具業、榊喜一郎さん(73)は「休止前に7年間通院していた。家の近くになじみの病院があると安心。以前は生活指導もしてくれたので、早く元通りの大きな病院になってほしい」と話した。

 近くに住む70代の女性は「内科だけでは不便。眼科など診療科目が増えれば、患者も戻ってくるだろう」と話していた。

 同病院は、市が医療法人財団「銚子市立病院再生機構」に業務を委託する公設民営方式で運営。平成25年度中には診療科目10科、病床数200床の規模を目指している

1年7か月ぶりの診療へ(2010年5月2日読売新聞)

銚子市立病院再開 医師確保など課題

 1年7か月にわたる休院から、公設民営の「銚子市立病院」として生まれ変わった旧銚子市立総合病院。6日からの外来診療再開を前に、笠井源吾院長は1日の記者会見で「始めなければ事は進まない。小さく産んで大きく育てるという方向でやっていきたい」と述べ、内科の外来診療にとどまる現状から、2013年度末に10診療科200床の規模に戻すという再生事業計画の達成に意欲を示した。

 再開を祝うテープカットの後、笠井院長らと記者会見に臨んだ野平匡邦市長は、「奇跡だと思っている。本当に感無量」と喜びをかみしめた。笠井院長も「患者の目線に立った医療を目指し、信頼される病院を作っていきたい」と抱負を語った。

 しかし、笠井院長らは、急務となる常勤医師の確保などについては「困難を抱えた船出」とした。今後は、市民、行政、医療機関などの理解と支援が必要との認識を示し、若手の医師に「我々と一緒に病院の立て直しに取り組めば、いい勉強になるのでは」と呼びかけた。

 公的医療機関を守ろうと、岡野俊昭・前市長の休院表明後、反対署名を集めた同市春日台町の金秋陸夫さん(64)は「何はともあれ、再開されたことは歓迎したい」と喜んだ。その一方で、「課題は救急受け入れと高齢者医療。1年後を見守りたい」と話した。

 伊関友伸・城西大准教授(行政学)は「病院再生には、医療、福祉、健康づくりを地域全体でどうするかという理念や方向性が必要。休止となった反省を生かさないと、うまくいかない」と指摘。「オープンした以上、住民も含めて地域が一体となって病院を支える必要がある」と話している。

千葉というところはあれだけ県土も広く人口も多いことから相対的に医療資源が貧しい県として知られていますけれども、一方で亀田総合病院を始め全国的にも有名な巨大病院を幾つか抱えていることでも知られていて、医療に関する力量は決して低いものではないと推察されます。
そんな中で閉鎖に追い込まれた調子市立総合病院が再び大勢のスタッフを抱えた基幹病院として再生出来るかどうかですが、こんな短い記事のコメントを拾い読みするだけでも関係者それぞれに微妙な温度差を感じるようにも思うのは気のせいなんでしょうかね?
市長も自ら再開にこぎつけたのは奇跡だと言っていますけれども、CBニュースがこの病院再開に至る経緯をなかなか精力的に取材していますので、以前の記事から市長自身のコメントというものを引用させていただきましょう(この時点では四月に再開の予定だったというあたりからも、何やら苦闘ぶりが見えるようですけれどもね)。

再生に懸ける銚子病院(下) 盆明けに“暫定開業宣言”へ(2009年08月14日CBニュース)

 千葉県の銚子市立総合病院の診療再開をめぐり、銚子市は7月23日、医師や弁護士らでつくる「銚子市立病院再生準備機構」(以下、機構)と委任契約を締結し、病院再生事業は新たな局面を迎えた。来年4月の暫定再開に向け、現在、機構側が再開に必要な医療資源(医師、看護師、医療法人など)の確保を目指している。市立高校の看護学生を新病院に呼び込むため、野平匡邦市長は盆明けにも、事実上の「暫定開業宣言」をしたい考えだ。来年度の暫定再開は実現できるのか。そして、機構は病院再生への青写真を描けるか―。野平市長がキャリアブレインの単独インタビューに応じた。

―岡野俊昭前市長のもとで進められていた「市立病院指定管理者選定委員会」(以下、選定委)は昨年6月26日、公募で名乗りを上げた医療法人を「不適切」とし、再生事業は事実上白紙に戻りました。

 市長候補者になる前の段階で、わたしは「こういうやり方で医師は集められない」とはっきり申し上げてきました。昨年秋に「銚子市病院事業あり方検討委員会」が組織され、委員ほか数人で選定審査を行うこととなりました。これは前市長のもとで始まったことなので、わたしは結論が出るまで表立った行動を控えていましたが、公募した法人が「不適切」となった26日夜、東京都内で機構と非公式の初顔合わせを行いました。

―7月23日、市は機構と委任契約を結び、再生事業は野平市長のもとで新たに動き出しました。

 市議会や職員に民法上の委任契約の意味を理解してもらえ、大きなハードルを超えたと思っています。機構のメンバーは、私が個人的に信頼関係を結んできた超一流の人たちの集まりで、法人格もありません。そのため、かなり大きな議論になりました。市議会の人たちがそれを受け入れたということに、大きな意味があると思っています。
 今回の委任契約は、医療組織、指定管理者になり得る後方医療集団、法人を連れてくる方に委任しています。着手金、実費、そして成功報酬を払うという、いわばビジネスの原理なんですね。わたしたち地方公務員や地方議員は、相手の経営収支の苦労というものが全く見えていない。仕事を受注して事務費や人件費を払っている集団を、何もアウトプットしなくても給料が自動的に振り込まれる自分たちと同様に見てしまうのは、基本的な間違いです。これまでのやり方は、それが問題だったのではないでしょうか。

―専門家への委任契約という形態を選んだのはなぜですか。

 選挙戦に向けてわたしが動き出したのは3月ですが、その頃、社団法人地域医療振興協会を訪問し、非常に大きな手応えを感じました。協会側は、「野平市長個人との過去の信頼関係を基に協力する」と言ってくれましたが、一方で「全面的に頼られても困る」とクギを刺されました。この時、こちら側も自分で医師を集める努力をしなければならないことがはっきり分かり、機構という発想にたどり着いた訳です。
 機構のメンバーは、さまざまな分野の専門家で、この人たちが病院の医師や院長になるという話ではありません。いろいろな人脈や過去の信頼関係を通して、複数のルートから医師を集めようという考え方です。地域医療振興協会以外にも、4、5の医療集団が見え始めています。まだ公表できませんが、これまでの進行状況や手応えから言って、来年4月の暫定開業はあり得ると考えています。

―病床数や診療科など、新病院に求める医療体制はどのようなものでしょうか。

 昨年11月に「銚子市病院事業あり方検討委員会」がまとめた報告書では、最低限必要な診療科として、内科、外科、整形外科、小児科、そして24時間の救急がありました。4診療科、100-150床、そして救急という3つの条件が付いたのですが、何が本来あるべき姿なのか分からないので、機構にはそこから検討するようお願いしています。当然、経営が成り立つバランスもある訳ですから。既に市民の中にある考え方の一つなので、もちろん尊重はしますが、「経営ベースで一番合わない数字だ」と批判する方もいるので、これだけにとらわれないつもりです。

―国保旭中央病院とは、今後どのように連携していくのでしょう。

 病院休止後、銚子市民が結果として、旭中央病院を崩壊させるほどの圧力とご迷惑を掛けている側面も否定できません。病院側は「三次救急は引き受ける」と言っていますが、一次と二次については、銚子市内の病院で受け持つよう求めています。そうでないと、三次も受けられない状況になってしまう、と。だから、二次救急は銚子でやるという意思表示を早くしたいと思っています。来年4月の再開には少し不安も残りますが、二次については、銚子市立病院と他の大病院で担うことが前提だと思っています。各地域の周辺病院と基幹病院でない中核病院とが、県全域で二次救急まで行うということです。

―旧病院では医業収入に占める人件費の割合が高く、それが経営を圧迫していました。

 機構が集める病院長想定者、医療法人ならば医療法人の理事長想定者たちが、「こういう姿であればやらせていただきます」というものがあれば、基本的にそれに従います。たとえ公立病院でも、ペイしないものを作ってはいけないと思います。旧病院では、医師の確保が困難になった結果、累積赤字が少しずつ膨らみ、人件費も異常な高さとなりました
 ただ、25年前に「総合病院」となった時点で、既に問題があったのではないか、というのが私の意見です。2004年に始まった新医師臨床研修制度の影響で、確かに致命傷を受けましたが、始まった当時から大きな問題を抱えていたと思います。経営度外視で、ただただ日大にお願いしてしまった。当時から、「30年ぐらいたてば、たぶん駄目になる」という声があったそうです。
 今回、医師や看護師を雇う体制をつくると同時に、経営的にペイする仕組みが必要だと思います。非常に厳しいことを言うと、仮に建物を新築した場合、その減価償却費を賃料として払ってくれる。赤字への経常費補助金は、国の制度的な支援以外は出さないという条件をのんでくれるようなところを探したいんです。市の一般会計が、病院次第で分からなくなるのではなく、明確に責任を分ける必要があります。病院の中で経営ライン、診療ラインが、それ相応に一つの医療法人としてやっていけないと、市の財政力では今後も赤字は補てんできませんから。もちろん、理想通りには進まないと思うので、例えば、5 年ぐらいの間は、地方交付税措置と同額を上乗せして市単独で助成するというような覚悟も必要です。途中から赤字になって、それを市が無原則に負担する仕組みはもうないと考えるべきでしょう。

―機構は、年度内に医療資源を確保できるのでしょうか。

 銚子市内には、市立高校の5年制の看護科がありますが、経営が厳しいため、2年前に生徒の募集を停止しました。現在、3年生から5年生の学生が残っており、来年から毎年35人くらいずつ、3回にわたって卒業します。わたしも機構側も来年の暫定開業時の戦力として、彼女らを当てにしています。そこで、盆が明ける17日以降に、来年4月から正看護師として就職する学生たちに対し、わたしの方から「ぜひ銚子市立病院で働いてほしい」と声を掛けるつもりです。直前までの機構の情報を持って、「来年には、確実に暫定開業するので来てほしい」と。
 これは「暫定開業宣言」に近い訳ですよ。万が一、開業できなかった場合は、市の一般会計で看護師として雇うつもりです。4月が駄目でも、来年度のできるだけ早い時期に間に合わせる、と。病院が始まる前に人件費を払うということは、市としても背水の陣となりますが、それぐらいの覚悟で意思表示するつもりです。場合によっては、暫定開業時の院長、もしくは名誉院長想定者も呼び、こういう先生が来るという安心感を与えなければならない。魅力的な病院をつくるという意思表示をして、ぜひ新病院に入ってほしいと願っています。

―院長想定者と言われましたが、既に見通しは立っているのですか。

 院長想定者だけでは駄目なので、常勤医師5、6人に加えて非常勤を含めた最低10人の医師が必要だと思っています。それは、選定委の人たちもイメージしていたことでしょう。少なくとも、当時の選定委に出していれば、文句なしに合格していたような人数は集めたい。最終的には、医師数30、40人というイメージを描けるかが重要です。それも同時に示さなければ、医師が安心して働けませんから。志の高い熟年医師が来てくれても、くたびれてしまいますよ。だから、若い医師が来る仕組みとセットにしないと、30、40人の構想は描けないと思います。機構がそれをどのように描くのか期待しています。
 9月から定例市議会が始まります。医療法上の病院休止を延期してもらうため、県に対し9月30日までに病院再生の工程表を出さなければなりません。地域医療再生臨時特例交付金の100億円をこちら側に引き寄せるには、ベッド数を留保する以上の内容を示す必要があるので、市議会との論戦でそのことを詰めていくつもりです。
(略)

まあしかし、卒業もしていない看護学生を今からスタッフとしてあてにしているだとか、大胆と言うより綱渡り的な危うい話にも思えますけれども、やはりこのあたりが数でしか見ていない素人さんの限界ではあるのかなという気はしますが、逆に全く今までの医療のやり方とは違うことにチャレンジして果たしてどうなるのかというモデルケースとしては興味がひかれるところですよね。
幾つか興味深いコメントが出ていますけれども、市長としては大学の派遣頼りな医師集めのシステムはもう無理だと思っていて、そこにビジネスとしての仲介業的考えを導入しようとしているというのがまず一点、そして市立病院と言っても赤字垂れ流しでもやるべきだとは思っておらず、経営的に成り立つ範囲でやっていくべきだと考えているというのがもう一点、注目されるところなんでしょうかね。
一方で医師を集めるなら一気にある程度の数を確保しないといけないと言うのはまあよいとして、少なくとも市内患者の二次救急までは市民病院で引き受けることが前提であるとしている、これは24時間救急整備が必要という「あり方検討委員会」の報告書も受けての話だろうと思いますが、同委員会のかくあるべし論と現実とが今後どう整合していくのかには要注目ですよね。

市長自身としてはビジネス的に成立するシステムでないと今後はやっていけないということを言っているわけですから、仮にこれから医者が集まらない、このスタッフではとても24時間救急など無理だ、不採算の小児科などやってられないという話になってきた場合に受け入れる覚悟はあるのかも知れませんが、問題は病院再開だと大喜びしている市民がそこまで腹をくくっているかどうかでしょう。
冒頭の記事でも市民の声としてはやっと病院が再開した、これからまたどんどん大きな病院になってくれという話ばかりですけれども、採算性も何も考えず分不相応なものを維持してきた結果が閉院に追い込まれる羽目になったと言う経緯を思う時、こうした素朴な市民の声に従っていたのでは間違いなく同じ結果になってくるんじゃないかという気はしますよね。
伊関友伸先生の「病院再生には、医療、福祉、健康づくりを地域全体でどうするかという理念や方向性が必要。休止となった反省を生かさないと、うまくいかない」というコメントが意味深に思えてきますけれども、この言葉の意味をきちんと噛み締めている市民がどの程度いるのかといったあたりが、同病院の今後を左右することになるのでしょうか。

いずれにせよ誰がどう見てもうまくいったら儲け物というくらいに前途多難な現状ですが、せっかくゼロからのリスタートになったことをむしろ好機と捉えて、ありきたりな地方公立病院の枠にとらわれない斬新な経営を目指してみるのもいいんじゃないかと思うんですけどね。

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2010年5月 6日 (木)

成長のけん引産業と期待される時代に、未だ十年一日な改革路線もどうかと

何やら唐突に鼻炎症状が出現して難渋しています…
それはともかく、時の政権の掛け声もあって、近頃医療=経済成長の牽引役という役割が世間的にも大きく期待されるようになってきているようです。
ひと頃日経などと言えば医療に金を使うなどケシカラン!と言わんばかりの論調が目立新聞でしたが、最近ではもっと医療を成長させるにはなんて記事が載るというのですから、隔世の感がありますよね。

(「元気な経済」考) 介護・保育・医療を規制改革で伸ばそう(2010年5月4日日本経済新聞)

 需要がどんどん増えていく介護、保育、医療で経済の成長を促すには、どんな仕組みが必要だろうか。

 介護保険が導入されて10年。当初は保険を使ってサービスを受けるのに慎重だった要介護の高齢者も、最近は利用率が8割に高まった。団塊の世代がすべて65歳以上になる5年後は、利用者がさらに増え450万人を超すと予測される。

供給を促す策を

 介護に限らず保育や医療を含め、社会保障の分野はサービスを必要とする人が急増しているのに、供給が追いつかない。規制や既得権に阻まれて、民間企業などが参入しにくい官製市場になっているからだ。

 これらの分野を本物の成長産業にするには、参入障壁を低くする規制改革が不可欠だ。株式会社、非営利組織(NPO)などサービスの担い手を広げることが経済の成長を促し、雇用の場を増やす。

 政府も介護や医療を成長分野に位置づけるが、どう伸ばすのか、はっきりしない。菅直人財務相は「増税しても使い方を間違えなければ成長に資する」と、社会保障による分配政策で需要を増やす考えを示した。

 これは正しくない。官が需要をつけようとすると、国民や企業の税負担を増やして結局、民需成長の妨げにもなる。民がサービスの供給を競い、その創意工夫を引き出すよう促す策が肝心だ。人々の将来への不安を和らげるには制度設計を急ぎ、早く改革に着手するのが王道である。

 介護で大切なのは、施設の新増設を促す規制緩和だ。有料老人ホームなどは、厚生労働省が総量を規制している。有料老人ホーム事業を手がける民間企業の経営者は「利用者が多い地域でも、経営が傾いたホームを買い取って再生させるのがせいぜいだ」と語る。これらの施設の総量規制は早急に撤廃すべきだ。

 介護サービスを担う人材も足りない。要介護者の増加を考えると、政府は介護士を年に5万人程度ずつ増やす必要があると試算する。しかし仕事の内容がきつい割に給料が低いなどの理由で、なり手が大きく増える見通しは立たない。人材を日本人に頼る考え方を改める必要がある。

 経済連携協定に基づくインドネシアとフィリピンからの人材受け入れは数百人にとどまる。日本人介護士の待遇が下がるのを恐れる業界団体に配慮して厚労省が制限しているからだ。数千人単位で受け入れなければ年5万人増の達成は不可能だ。

外国人に資格試験を課すのも過剰規制だ。2月に実施した看護師の国家試験は、外国人の合格率がたった1%余りだった。日本人は9割が合格する。日本語の壁が主因だ。

 介護士、看護師とも母国で専門教育を受けている。高齢者らと対話するための語学を磨くのは当然だが、振り落とす試験では日本で介護職に就こうという外国人は減る。

 保育分野の供給不足も介護と同じだ。社会福祉法人が経営する保育所は税の優遇や建設費補助が行き届いている。株式会社だとこうした優遇が受けられない。施設・人員などの基準を満たす保育所は母体が株式会社であっても、社会福祉法人と同じ優遇をするのが当然だ。民間企業を悪者扱いするのはやめてほしい。

 保育所に入れない子供は潜在的に100万人。安心して子供を預けられる施設の増加は、企業経営者に女性社員の活用を促す。仕事ができる女性が子育てのために職場を離れる「損失」を食い止めれば、女性の働き手が増え成長を下支えする。

混合診療認めよ

 医療分野も改革すべき規制が山積している。医療費は年3~4%の割で増えている。支出を公的な健康保険にだけ頼っては制度を持続させるのが難しい。公的保険が責任を持つ範囲を定め、自費診療とうまく組み合わせ需要に対応する工夫がいる。

 まず、保険が利かない先進的な治療法や医薬品と、保険診療とを合わせて受けられる混合診療を原則、解禁するのが不可欠だ。病院の勤務医らの負担を減らすために、看護師に一部の医療行為を認める規制緩和や、医療に関する事務作業を専門とする「医療秘書」の増員も課題だ。

 自公政権は医療機関へのレセプト(診療報酬明細書)のオンライン請求を義務化しようとしていた。だが現政権は関連予算を削るなど義務化に後ろ向きだ。レセプト電子化は各種の疾病データの分析や治療法の標準化に欠かせないインフラである。

 海外から患者を受け入れるルールを定め、IT(情報技術)を活用し遠隔診断を可能にするのも課題だ。これらは規制改革に後ろ向きな日本医師会の意向を気にしがちな厚労省では、なし得まい。国家戦略に値する改革なのだから、文字どおり国家戦略室が主導すべきである。

日経の言説の是非はともかくとして、医療を取り囲む様々な規制が経営的感覚に乏しい医療業界を守ってきたと同時に、あいも変わらず意識改革を妨げてきたという側面もあるのは確かだと思います。
一昔前は公立病院と言うと赤字額を如何に大きくするかを競っているのかと感じるくらいに経営センスの乏しい運営をしてきた施設も多かったものですが、昨今では議会からも赤字を少しでも減らせと言われる、地域住民からはもっと医者を増やせ、診療科を充実させろと無茶な要求で突き上げられるということで、ようやく何がしかの経営改善ということを考え始めている気配もあります。
見ていますと民間ならとっくにやっていたレベルの話をようやく始めましたという出遅れ組やら、ちょっとそれはどうなのよと思われるような勘違い組やらとバリエーションも豊富ですが、とりあえず現状はどうやら良くないらしいぞという自覚を持ち始めた点は評価しておくべきなんだと思いますね。

経営黒字へ改革プラン/公立病院力(上)/山口(2010年04月22日朝日新聞)

◆ベッド減・備品代節約…各地で試み

  医師が不足し、診られる患者が減ったために収入が減る――。採算のとりにくい医療や過疎地での医療を担う公立病院が、こんな悪循環で岐路に立っています。昨春、国の旗振りで、経営を黒字に換えようと各病院が「改革プラン」をつくりました。ベッドを減らしたり、備品代を節約したり。各地で試行錯誤が続いています。地域の「公立病院力」を2回にわけて見ていきます。
(錦光山雅子)

◆患者減・医師不足響く

  「我々の先輩の血のにじむ頑張りで生まれた病院。我々で何とか支えられないか」

  3日、東広島市安芸津町地区の公民館。集まった約250人を前に、大木昇三さん(69)が訴えた。

  「病院」とは、公民館の隣にある県立安芸津病院(1948年設立)。大木さんは住民がつくった「支援する会」の会長を務める。この日、病院が開いた公開講座に合わせて講演会を開き、参加者に病院の現状と協力を訴えた。

  同病院は患者数の減少などから収益の減少が続く=グラフ。2009年度で約3億円赤字となる見込みだ。収益の柱となる入院患者数(延べ)は08年度までの10年間で1万人近く減った。ベッドの利用率も01年度は9割を超えたが、08年度は7割を切った

  病院は昨春、全3病棟(150床)のうち1つ(50床)を閉鎖。大木さんたちは約3万3千人分の署名を集めて反対したが、変わらなかった。「このまま小さくなって、なくなってしまうんじゃないか」。大木さんは心配する。

  患者が減る一因は、周辺の人口減と高齢化だ。安芸津町地区の人口は1万1444人(09年)。5年前から約800人減った。高齢者の比率は高まり、今は約3割。慢性疾患のお年寄りが増え、すぐ治療が必要な患者を想定した病院の機能とずれも出てきた。

  加えて医師不足。週数回の外来をみる非常勤医師は確保できても、入院患者をみるのに必要な常勤医師が足りず、入院を制限せざるを得なかった。特に響いたのは01年秋の産科の休止。翌年度の入院患者数は、約5千人減った。

  今年4月、病院は改善に乗り出した。100床のうち10床の用途を切り替え、手術や治療を終えた患者が自宅に戻れる程度に回復するまでの入院用にした。独り暮らしのお年寄りが、なかなか自宅に戻れないケースが目立つためだ。自宅で暮らす慢性疾患のお年寄りに対応するため、看護師による訪問看護も始めた。医師による公開講座の開催を周辺市町に提案し、利用増につなげようとしている。

  ベッド利用率の目標は9割。4月中旬には87%まで回復した。「潜在的なニーズはある。待っているだけでなく、必要な見直しはしたい」と杉原正夫事務長は話す。

◆新たな収入確保策も

  経営が苦しいのは、安芸津病院に限らない。総務省の「地方公営企業年鑑」によると、08年度決算では公立病院の約7割が赤字だった。

  同省は07年末、公立病院の経営改革のための「ガイドライン」を策定。経営の効率化▽周辺病院との再編・ネットワーク化▽経営形態、の3点から実態を見直し、3年以内をめどに黒字化を目指すためのプランを08年度中に作って09年度から取り組むよう促した。

  ガイドラインでは、07年度までの3年間のベッド利用率が70%に満たなかった場合は、ベッドの削減や、診療所(19床以下)への縮小が「適当」とした。ベッドを減らした病院の運営自治体には、今後5年間、削減前のベッド数に見合う額の地方交付税を配分するという「あめとムチ」策で誘導した。

  こうした動きを受け、中国地方でも、ベッドの削減や新たな収入確保策などが進んでいる=地図。

  例えば、鳥取県智頭町の国保智頭病院は08年度末、約7億円の資金不足があった。プラン策定に合わせ、深刻な不良債務を抱える病院向けの「特例債」や銀行からの借り入れで不足を埋めて再出発。職員の給料を減らしたり、医薬品の購入先を1社に絞ったりして節約した。病院のベッドを減らした分を、介護が必要なお年寄りをみる「老人保健施設」のベッドに振り向けたり、健診センターを開いて受診者を増やしたりして収入増を図った。こうした取り組みで、当初の想定を上回る早さで業績が改善している。

  ほかにも、ベッドを持たない地元の開業医に、空いている手術室やベッドを貸したり、通常よりも高額な個室ベッドを増やしたりして収入を増やそうとする病院もある

存続へ 光の2病院再編/公立病院力(下)/山口(2010年04月30日朝日新聞)

◆診療機能を分担…不利益な住民も

  地域にいくつかある公立病院を一つに統合したり、似たような診療科を持つ近隣の病院同士で機能を分担したりする動きが進んでいます。医師不足や経営の悪化に加え、高齢化によるニーズの変化に応えきれなくなっている面もでてきたからです。ただ、こうした動きで不利益を被る住民もいます。今回は再編統合で変わる「公立病院力」をみていきます。
(錦光山雅子)

◆手術・救急やめる例

  1通の請願書を抱え、山口県光市で農業を営む小川泰治さん(79)は2月、市議会に出向いた。

  小川さんは2004年に光市と合併した旧大和町に住む。地元住民でつくる「大和病院の存続・充実を願う会」の副会長。かつての町長や収入役も名を連ねた請願書で求めたのは、市立大和総合病院の機能の存続だ。

  市は2月、大和総合病院(以下「大和」)と光総合病院(以下「光」)という似通った機能を持つ二つの市立病院を再編する方針を掲げた。

  「光」はこれまで通り急病や手術などで入院する患者のための機能を主に担う。
「大和」は、高齢者を中心とする長期の入院患者向けの療養病床に大きく比重を移す。現段階では基本的に手術はせず、救急病院の看板も下ろす方針だ。

  04年の合併時、それぞれの病院は「存続」と決まった。2病院で市内の病院ベッドの半数を占めているが、収益の柱となる入院ベッド利用率(一般病床)は低迷している。08年度でみると、「光」が67%、「大和」は52%にとどまった。だが、光市の国民健康保険に入っている人の4割以上は、市外の病院に入院していることが市の調べで分かっている。

  二つの市立病院に人気がないのはなぜか。

  背景の一つは医師の減少。「光」の場合、入院患者の多い脳神経外科は08年、常勤医がいなくなった。週2回の外来だけになり、入院は受け入れられなくなった。

  市は「ベッドが余り、医師は不足しているのに、似たような機能をこのまま維持したのでは共倒れになる」と危惧。「地域全体で療養病床が不足している」として、その機能を「大和」が担う方針にした。すでに「大和」にある60床の療養病床に限っては利用率が9割近く、高齢者を中心にニーズはあるとみている。

  ただし、「大和」の地元住民は納得していない。

  小川さんは反論する。「大和町には後継者のいない診療所1カ所しかなく、大和病院の担う役割が大きい」

  同会のメンバーでもある土橋啓義市議は病院再編後の地域を心配する。「どんな診療科が残るにせよ、手術をしない病院に、外科医は残ろうとはしないだろう。1日約千人の出入りがある今の大和病院が、高齢者の多い療養病床ばかりになれば、さびれる一方だ」

◆最大の要因 医師不足

  総務省は07年末に「公立病院改革ガイドライン」を出し、近くの病院同士で役割を整理したり、地域でのベッド数を調整したりするよう求めている。各地で再編や統合が進む理由の一つだ。

  高齢化が進み、これまでのような入院中心の医療から、慢性の病気を抱えながらも自宅などで暮らすお年寄りらを意識した医療に比重を移していく流れもある。

  しかし、公立病院が再編統合を迫られる最大の要因は、やはり医師不足だ。現在の医師数に見合った形に病院の体制を整えているのが実態。こうした再編は今後広がっていきそうだ。

  広島県の中山間地にある世羅町の公立世羅中央病院と三原市の公立くい病院の場合、医師不足とベッド不足の両方を再編で補う方法をとる。

  くい病院には現在、内科や外科など4診療科があるが、常勤医師は院長1人のみ。世羅中央病院も含めて非常勤医の応援をもらい、往診や当直もこなしている。

  一方、くい病院から車で約30分の世羅中央病院は、外科医が比較的充実していることなどもあり、常にベッドは満員状態。このため、救急で運ばれてくる患者を受け入れるベッドが足りない。救急患者に多い脳卒中や循環器系の病気をみる医師も足りない。

  このため10月、2病院の機能を再編する。くい病院から45床を世羅中央病院に移し、救急患者に対応できる医師を増やして、これまで断っていた救急患者もみられるようにする。くい病院はベッドのない「診療所」になるが、外来の診療科は維持する。

  こうした取り組みで、地元消防が搬送する患者の5割しか受け入れられていない現状を6割に近づけるのが目標だ。世羅中央病院の宮川哲二事務長は「地域全体で効率的に医師とベッドを配置し、医療の質を保ちたい」と話す。

以前に紹介しました岩手県立病院の再編問題でもそうでしたが、こうした公立病院の改革と言うと何をおいても自治体のスポンサーとも言える住民対策が一番の鍵となってくることは言うまでもありません。
地域住民とすれば俺たちは税金を払っているのになんだと言う意識は当然あるでしょうが、一方で消防や警察などと比べて医療というものは純然たる社会インフラと考えるにはその経営的側面を期待されるという中途半端な面もあって、幾らでも税金を値上げしてでも最善の医療をなんてことはあり得ないですし、実際リソースを考えれば不可能だと言うことを理解してもらうべきだし、理解させないといけないわけです。
あれもこれもと分不相応に欲張った挙句借金は増えた、医者は逃げた、病院はなくなったとなるのがいいのか、それとも身の丈に合った範囲で最もニーズの高い部分に限り有るリソースを集中させるのがいいのか、冷製に考えれば損得勘定は誰にでも判る話であるはずなんですから、自治体の方でもきちんと住民教育をしていかなければならないでしょうね。

まあそうは言っても、こうして新聞記事になってくるのは比較的改革のうまくいった成功例とも言える病院だと言えるのではないかと思いますし、地域のニーズや施設の能力に応じて出来る範囲で最善をという姿勢はある意味王道ですよね。
ところが一方では、誰が考えてもそれはうまくいかないだろうというやり方を敢えて押し通した挙句に予想通りの結末を迎えて新聞ネタになった施設もあるようですが、こちらの記事を引用してみましょう。

病院分離、経営を圧迫 藤岡市の課題/群馬(2010年04月22日朝日新聞)

 藤岡市の中心市街地にある公立藤岡総合病院から北へ約1・5キロ離れた田園地帯。2002年4月、この場所に、同病院の一般外来や人間ドック、訪問看護機能を担う「外来センター」が新たに開設された。旧来の病院は入院や救急医療を担う「入院棟」となった。機能によって病院が違う場所に分かれたことが、その後、関係者を悩ませ続けている。(泉野尚彦)

 病院は、多野藤岡医療事務市町村組合が運営し、管理者を藤岡市長が務める。

 病院機能の分離は、経営面を直撃した。初期費用に加え、同じ診療科でも2カ所に人員や機材を配置する必要があるなど、効率的な経営が難しくなったためだ。病院側によると、分離する前年度まで7年連続黒字を計上していたが、分離した02年度は一転、約14億円の赤字に陥った。

 患者の診療環境は改善されたものの、人件費の増加や新たな医療機器購入費、非効率な運営などが経営を圧迫。医師らも入院棟と外来センターの掛け持ちで負担が増した

 分離は前市長時代。計画では、手狭になった病院をそっくり現在の外来センターの場所に移転させるはずだった。しかし、当時の試算で280億円ほどの建設費に反発の声があがり断念した。

 当時は、現在の入院棟近くの消防署を移転させ、外来を併設する案もあったという。市側は後に、「経営面や効率性、医師の過重労働などの検討が不十分なところもあった」と振り返る。

 病院側は経営改善に様々な手を打ってきた。退職者の不補充をはじめ、診療報酬の加算がある地域医療支援病院の認定や医療事務・調理部門の外部化、後発薬品の利用、随意契約から入札の導入……。その結果、「一時の危機的な状況は脱した」ものの、いまも厳しい経営状況は続く。

    ■       

 機能分離による働きづらい環境が医師確保に影響を及ぼさないか、懸念する声もある。全国の公立病院が医師確保に苦労するなか、公立藤岡総合病院でも03年度の66人から08年度には56人と医師数は減少傾向にある。医師が減れば診療科目に影響を与え、経営の不安定さにもつながる。

 病院側は医療事務組合の会議の場で、出席者から問われて医師確保には即効的な対策がないことや、医師の離散を防ぐために働きやすい環境整備が必要なことなどを指摘してきた。病院側は2年前、内部の議論の中で、敷地に余裕のある外来センターへの再統合を、将来の選択肢の一つにあげている

 しかし、医療事務組合やそれを構成する市町村長の間では、再統合は正式な議論にはなっていない。病院をどちらへ再統合するのか、移転した施設の活用をどうするのか、財源の手当てや当時の建設費などの返済方法をどうするのか、幾つもの課題を抱えているからだ。

 病院は年間30万人前後の患者を受け入れる。そのうち3割、そして救急車の4台に1台は埼玉県北部からもやってくる。県境を越えた地域医療を担う病院の将来像をどう描いていくのか、問われている。

   ■        

 各候補者は再統合には基本的には賛成、理解を示すが――。

 塚越正夫氏は「理想は再統合。街中の活性化などを考えると、入院棟への統合だ。しかし、現実的には市債残高が200億円を超える状況で、一番のネックは財政」。

 小林長三郎氏は「統合によって患者の利便性向上と経費削減を目指す。跡地には法人による特養や保健施設、介護施設などの多機能併用の施設を設置する」。

 新井利明氏は「再統合は軽々に言えない問題。空いた方の跡地利用をつめなければならない。(分離した際の建設費の)起債の残りもある。財政の試算をする必要がある」。

紹介率を上げないと診療報酬上不利益になるということで、病院の外来機能を別施設に移すということがひと頃から結構流行っていますけれども、通常は入院施設に隣接して外来施設を用意するなりして両者の機材、スタッフが有機的に連携(平たく言えば、使い回しですよね)できるようにするところ、1.5kmも離れていたのではそれは無駄も増えるというものですよね。
こういうあからさまに馬鹿げた計画が実行に移された背景には何でも外来施設建設と市政のトップに関わる黒い噂であるとか、現場無視の経営改善策を唱えるコンサル業者に騙されたんだとか、色々と怪情報も飛び交っているようですけれども、同じ話が自治体病院運営改革の美談としても取り上げられているというのは何とも面白いですね(しかし他の成功例?が高知ってどうなんでしょう…?)。
いずれにしても利益追求ということを考えていくということであれば経営姿勢の改善は言うまでもないことですが、同様に外部から集まってくる自己利益追求を目指す方々に対する対策もまた同時進行で進めていかなければならないとは言えると思いますね。

さて、ここで冒頭の日経の記事に帰って医療がもっと産業としての成長を目指していくということであれば、混合診療導入を始めとしてより良いサービスにはそれなりの代価をという他業界では当たり前のことが、当たり前に行えるようになっていく必要もあるんだろうと思います。
現在のところは保険診療でやっている限りは全国どこでも誰がやっても医療の価格は同じという建前であって、また差をつけるべきでもないということになっていますから、うっかり裏口を探ろうなどと画策すると世間的に大きな批判を受けかねないという記事がこちらです。

東京医大八王子センター、生体肝移植前に寄付金(2010年4月28日読売新聞)

2年間に11人から計1200万円

 東京医科大八王子医療センター(東京都八王子市)が、生体肝移植手術を受ける患者に寄付金の提供を依頼し、2年余りの間に11人から総額1173万6000円を受け取っていたことがわかった。

 依頼は手術前に行われ、外部の病院から手術の応援に招いた医師への謝礼や、保険適用外の薬の購入などに使われた。生体肝移植手術は保険適用だが、それ以外の保険外負担を患者から徴収していたともいえ、保険診療と保険外診療の併用を禁じた混合診療の疑いもある。

保険外の薬購入や医師謝礼

 読売新聞が入手した資料や関係者の話によると、寄付金は2005年10月から08年1月の間に、最も多い人が300万円(最少は9000円)、8人が100万円以上を納めていた。この時期、同センターで生体肝移植手術を受けた25人全員に寄付を求め、11人が寄付した。

 寄付は、移植を担当する同センター第5外科教授(当時、既に退職)や准教授(同)が、手術前に「移植医療の振興が目的」と説明し、依頼していた。ある患者・家族は「任意とはいえ、断ると移植手術をしてもらえなくなるのではないかと考え、寄付を行った」と打ち明ける。

 寄付金の一部は、手術の指導役として招いた京都大学病院医師らへの謝礼に充てられた。患者によって肝臓移植への保険適用が認められていない薬を用いる場合があり、この薬の購入費にも患者・家族からの寄付金が使われていた

 高沢謙二センター長は「保険適用外の薬を使ったのは、治療効果が高いとされるからだ。寄付は任意なので混合診療に当たらないと思う。ただし、厚生労働省などから指摘された場合、(診療報酬の返還など)適切な対応をするつもりだ。謝礼は移植医療の振興の一環であり、問題ない。手術前に寄付を募ったことは好ましくなかった」と話す。

 同センターでは00~07年に実施した生体肝移植手術52例で20人が在院中に死亡し、09年12月「医師の技術力に問題があった」などとする報告書を発表。現在は手術を中止している。

「移植医療発展に1口100万円です」、患者の家族「断れない」

 「手術前に寄付を依頼されれば、断れない」――。家族は取材に対し、弱い立場を吐露した。寄付は任意だが、医師から手術後、寄付を催促された家族もいた。

 東京都内に住む女性患者の場合、寄付金の依頼があったのは手術の1週間ほど前。「移植医療の発展のために寄付金をお願いしたい。1口100万円です」と説明されたという。

 家族によると、お金に余裕がなかったので寄付するかどうか迷った。しかし、患者がつぶやいた「死にたくない」との言葉で支払いを決断。移植後に病院から指定された銀行口座に100万円を振り込んだ。使い道について説明はなかった。

 都内に住む別の家族の話では、手術の1か月ほど前に寄付金の依頼があった。「患者の状態が悪く、1日も早く手術してほしかった。誰もが寄付していると思った」と振り返る。

 同センター第5外科の芦沢龍人准教授は「保険外診療の費用は大学側の研究費を使っていたが枯渇してきたため、患者さんにお願いするようになった」と説明する。移植を指導してきた田中紘一・京大名誉教授は、謝礼の元が患者からの寄付金だったことについて「手術前に患者、家族から寄付金を募っていることはまったく知らなかった。本当にひどい話だ」と驚いている。

 川渕孝一・東京医科歯科大教授(医療経済学)の話
医療技術が急速に進んでいるのに対して、薬の承認などの制度が追いついていないことが、問題の背景にある。実際には、混合診療の疑いがある事例は多く行われていると思われるが、闇の中にあるのが現状。国は実態調査を実施し、どのように対策を取るべきか検討すべきだ」

 混合診療 公的な医療保険のきく保険診療と、保険のきかない自由診療を併用すること。「経済力により受けられる医療に差が出る」などの理由から、国が認めた一部の例外を除き原則禁止されている。併用した場合は、保険診療の部分も含め、すべて自費になる。一方、保険外治療との併用を希望するがん患者が原告となり、「禁止は不当」とする裁判が係争中。経済界からは再三、規制緩和の観点から、解禁を求める声が上がっている。

[解説]保険適用 迅速な拡大を

患者・家族が病院側から多額の寄付を求められていた背景には、医療制度の不備の問題がある。

 脳死移植が普及しない日本では、患者の命を救うためには生体肝移植に頼らざるを得ない。提供者となる近親者と血液型が適合しない場合、拒絶反応を抑える、ある種の薬は、肝臓移植の保険適用になっておらず、使っても保険請求できず病院側の“持ち出し”になる

 患者からの寄付金を保険適用外の薬の購入などに充てていたケースは、福島県立医科大で2004~08年度の5年間に、心臓手術や肝臓移植を受けた患者ら74人から計約2443万円を受け取ったことも明らかになっており、こういった寄付依頼は他でも行われている可能性がある。

 必要な薬であれば、迅速な保険適用を図るべきだ。説明不足のまま、患者に不明朗な費用負担を求めることはあってはならない。(医療情報部・坂上博、八王子支局・鈴木英二)

いずれにしても今回の事例の場合は、インフォームド・コンセントの不足という一点においても問題があったとは言えるでしょうし、やるならやるで組織としてきちんと制度設計も出来ていなかった点もどうかという感じでしょうかね。
皆保険制度にのって医療をしている限りとりわけこうした方面への縛りがきついのですから、こうした病院は先頭に立って混合診療導入を求めていくのも良いでしょうし、以前にも紹介しました順天堂の会員制サービスのように、合法的なやり方でこのあたりをうまい具合にクリアしていく方法は現状でも色々と考えられるわけですから、もっと頭を使ってうまい工夫もすべきということになるのでしょうか。

日医などの主張を見ていてもしばしば思うところですけれども、制度を変えるのに反対だと言っていても制度を作る側は自分たちが必要と思えば変えていくわけですから、そうであるならより積極的に自分たちにとって都合のいい制度になっていくように主張をしていく方が建設的だと思うのですが、どうも医療業界には自分たちにとって都合のいい話だとか、当り前の利益追求ということに対しては結構なアレルギーがあるようですよね。
例えば昨今は病院の未収金問題が色々と言われる中で先日もアメリカの友人と話していて、日本の病院では未だにカード決済もしていない施設が多いのはおかしいんじゃないか、売掛債権のリスクをクレジットカード会社に引き取ってもらう方が経営しやすいし、後で投資家からどうなっているんだと説明を求められた時に話がしやすいはずだと言われたのですが、全くその通りだと思いますね。

医療が経営的に厳しくなってお金の問題で診療体制が崩壊する施設も増えている時代であるからこそ、真っ当な利益を上げその半分は経営安定の為に使っていきます、半分は顧客サービス向上に還元していきますという当たり前の経営姿勢が求められているはずだし、それが医療の側にとっても患者の側にとっても望ましいwin-win関係を保った成長戦略というものではないかと思うんですけれどもね。

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2010年5月 5日 (水)

今日のぐり:「中央食堂さんぼう」

先日たまたま見かけまして、思わず「ありえない!」と(心中)叫んでしまったのがこちらのニュースです。

「総書記ファッションが世界で大流行」、北朝鮮ウェブサイト(2010年4月7日AFP)

【4月7日 AFP】北朝鮮の公式ウェブサイト「わが民族同士(Uriminzokkiri)」が7日、金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong Il)総書記(68)のトレードマークである作業着風の服装が、総書記の「偉大さのおかげで」世界で流行ファッションになっていると伝えた。

 同サイトは朝鮮労働党機関紙、労働新聞(Rodong Sinmun)の記事を引用し、「公務の際は常に質素なスーツに身を包んでいる偉大な将軍さまの威厳をたたえたイメージは、世界の人々の心に深い印象を残している。将軍さまの偉大な人物像がまことに傑出している証だ」と伝えた。

 さらにこの記事は、総書記の服装についてフランス人のファッション関係者が匿名で語ったコメントとして、次のような発言も掲載している。「金正日モードの驚くほど素早い広がりは、世界のファッション史上例のないものです」

 金総書記はいつも、色はカーキ色か青灰色、筒型の前ジッパーの上着とズボンの上下揃いを着用している。外国の要人を出迎える際などにも同じ服装だ。さらに冬の定番としてこの上から、「現地指導」と称して国内各地を視察する際にはずんぐりとしたフード付き防寒ジャケットをはおり、毛皮の帽子をかぶる。

まあ同志総書記のファッションセンスが流行っているかどうかはともかくとして、世の中には思わず「ありえない!」と叫んでしまいたくなるようなネタも結構ありますよね。
偶然の出来事が思いがけない不幸に結びつくことは結構あることでしょうけれども、ここまで来るとどのような機序が働いたのかと思わず考え込んでしまうほどの「ありえなさ」ぶりではあります。

スイング時の火花が芝に引火! 宮城のゴルフ場で900平方メートル焼く(2010年4月10日産経新聞)

 10日午後1時20分ごろ、宮城県大和町のゴルフ場「ミヤヒル36ゴルフクラブ」で、男性客がスイングした際に地面付近から飛び散った火花が芝に燃え移り、コース内の芝生や枯れ草など約900平方メートルを焼く火災があった。火は約20分後に消し止められた。けが人などはいなかった。

 当時、同ゴルフ場では約90人がプレー。この男性客からの119番通報で消防車5台が駆けつけ、現場は一時騒然となった。

 県警大和署などによると、火災が発生したのは17番ホール。3人でラウンドしていた50代の男性が、ボールをラフから出そうと5番アイアンで打った際、地面付近から火花が発生。それが足下の芝などに燃え移ったとみられる。現場の芝は枯れた状態だった。男性客は同署の調べに「踏み消そうと試みたが火の勢いが強まり、手に負えなくなった」などと話しているという。

 同ゴルフ場の支配人男性は「クラブがボールや石などに当たって火花が散ることはよくあるが、火事になったというのは聞いたことがない。けが人がいなくてよかった」と話している。

ネット上などの意見では、火気禁止の場所で「何かしらの理由で」火を用いようとしたところ引火したのではないかという声もありますけれども、いったい何をしていたのでしょうかね?
うっかり勘違いで手配を間違ってしまうということになればこれは誰でもあることですが、これもあまりに度を過ごしてしまうと「ありえない」という話になってしまうのも当然で、しかもそれが全国に知られるようになってしまったというのがこちらのニュースです。

毎日ブログ更新してたのに「毎日ブログ更新されてなかった!」衝撃の事実(2010年4月8日ガジェット通信)

よーしパパ、毎日ブログ更新しちゃうぞー! と意気込んではみたものの、三日坊主で終わってしまったという人は多いのではないだろうか?

神奈川県在住の棋士(プロの将棋さし)・佐藤紳哉さんは、ブログを毎日更新すると決めたブロガーのひとり。「これから日常での感動や発見、喜びやら悲しみやら、日々の葛藤など思いのたけをつづっていきたいと思います」とブログに対する意気込みを書き、これからのブログライフがどうなるのか楽しみなところだったのだが……。

その記事を最後に、なぜか更新されない! 2010年3月28日に掲載された、「毎日ブログを更新する」と宣言した記事を最後に、ずっとブログが更新されなかったのである。言ったそばから宣言を無視している状態だ。

しかし! それから1週間以上が過ぎた4月7日、突然記事が更新されたのだ。その記事の第一声が「毎日更新する、と書いておいてずいぶん間があいてしまいました。・・・というか毎日更新しているつもりでいました」というもの。言い訳にしてはチョットお粗末。「毎日更新しているつもりでいました」なんて、言っている意味がわからない。

が、それは言い訳ではなく実際に「そうなってしまった理由」があったのだ。佐藤さんはブログを毎日書いていたのである。しかし、ブログは更新されなかったのだ。ということは、ブログ管理会社のエラー? いやいや、結局のところ、佐藤さんのミスで更新されなかったのだ。

佐藤さんは毎日のようにブログを書いていた。3月29日は現状の自分について、30日は今後について、31日は近所の定食屋について、4月1日は過去の自分について、2日は小中学校時代について、3日は桜という題名でポエム、4日は高校生から二十歳までについて、 5日は政治について、6日は対局について書いていた。

しかし、書いたブログの原稿はブログに投稿されたのではなく、知人女性にメール送信されていたのである! つまり佐藤さんは知人女性に対し、頼まれてもいないのに、「自分に関すること」を送りつけていたのである!

これは恥ずかしい。知人女性は「恋愛感情を持たれている」と思ったのか気味悪く感じたようで、佐藤さんに「あなたのことは、まるで興味ないので毎日長文のメールを送るのはやめてください。気持ち悪い」とメールを送ってきたという。そのメールによって、ブログを更新していないことが発覚。4月7日になり、ようやく2回目の記事更新になったのである。

メールを使ってブログ更新をしていたと思われるが、ちょっと間違うとこのような出来事に発展してしまう。皆さんも間違い送信や間違い更新には気をつけて、インターネットライフを送ろう。

思わずあのAAを張ってしまいそうになるような話ですけれども、理由の如何はともかくとしてもこれは恥ずかしい結果としか言いようがありませんね。
一方で大自然の驚異とでもこれは言うのでしょうか、ちょっと閲覧注意なニュースが少し前に出ましたこちらの話題です。

JR京橋駅のマンホールからゴキブリ大量発生(2010年2月8日サーチナ)

  以前、JR京橋駅のマンホールからゴキブリが大量発生した騒動を皆さんは覚えていますでしょうか? マンホールのフタにはいくつも穴が開いていますが、その穴からゴキブリが大量に出てきた騒動です。あまりに多くのゴキブリがマンホールから出てくるものですから、駅員さんが殺虫スプレーをマンホールの中に噴射。これでゴキブリが死滅したと思っていたら……。

  殺虫スプレーによって苦しんだゴキブリたちが、新鮮な空気を求めてマンホールから数十匹、いや、数百匹あふれ出してきたのです! つまり殺虫スプレーをしないほうが良かったわけですね。ゴキブリたちがマンホールから大量に出現した為、駅の利用客達は悲鳴をあげるほどの大パニックに。

  駅員は、最終的にマンホールのフタの穴を1つ残して全てふさぎ、殺虫スプレーであぶり出してビニール袋に捕獲するという手段をとりました。その様子はケータイやビデオカメラで撮影されており、『YouTube』等の動画共有サービスサイトで観る事ができます。ゴキブリが苦手な人は、観ない事をオススメしますよ。

  それにしてもマンホールの中には信じられないほどのゴキブリがいるものですね。見えないからいいものの、見えないところにゴキブリが何百匹もいると思うと、ちょっとゾッとします。(情報提供:ロケットニュース24)

この場合現場のパニック動画が残されていることが更に恐怖を煽りますけれども、米軍などではこの恐怖を?軍事目的に利用しようなんて恐ろしい野望を抱いていたりもするらしいですね…
海外でもありえない度の高いニュースは時折流れてきますけれども、こちらある意味であの国だからこそ起こった奇跡と言いますか、何と言いますかですかね…

結婚式余興のロシアンルーレットでまさかの惨事─ロシア(2010年3月26日サーチナ)

  先日ロシアで行われた結婚式で、ロシアンルーレットに挑戦した男性の頭に弾丸が命中する事故が発生した。

  ロシアンルーレットといえば、1発だけ弾丸が入った回転式拳銃を参加者が交互にこめかみに当てるという命がけのゲームとして有名だ。ロシアのアストラハン市で行われた結婚式では、場を盛り上げるために新郎の友人がロシアンルーレットのパフォーマンスを披露していた。拳銃の弾丸はあらかじめ抜いてある「安全な遊び」のはずだったが、実は弾丸が残ったままだった。それを知らずにレボルバーを回してこめかみに銃口を当てた彼は引き金を引いてしまった。

  しかし、彼は幸運にもハズレを引いた。これで終わればめでたしめでたしだったのだが、様子を見ていた別の知人が「俺にもやらせろ」と銃を奪い、銃口をこめかみに当てた。周囲が必死に止めようとする中、彼は引き金を引くと、パンという音とともに崩れ落ちた。

  弾丸はゴム弾だったものの彼の頭蓋骨を打ち砕き、脳に達した。手術によって一命を取り留めたが、大脳が損傷しており二度と意識は戻らないそうだ。新郎の友人は警察に逮捕され、「ちゃんと弾は抜いた。誰かが入れたんだ」と供述しているという。(やながわ)(情報提供:ココログニュース)

いや、まあ…何と言いますかね、何にしてももう少し空気を読むということも必要だったんではないかと思う話ではありますかね…
さて、不思議系の話題にも事欠かないブリではありますけれども、偶然にしても何にしてもこれはちょっとありえないというニュースで締めくくることにしましょう。

Googleに43回撮影された婦人/英国(2010年4月25日ココログニュース)

自宅に居ながらにして世界各国の街並みを見ることができるGoogleストリートビュー。便利な一方で、プライバシー権に関する係争や、全裸女性が映ってしまう(台湾)などといった問題もしばしば発生している。そんな中、イギリスではストリートビューのカメラに43回も撮影されてしまった女性の話題が登場した。

イングランド東部のサフォーク州のとある村に住むテリーさんは、自宅付近のストリートビューを閲覧した際に、愛犬と散歩していた妻のウェンディさんが写り込んでいるのを発見した。もしやと思い、いつもの散歩コースをたどってみると、1つ1つの画像に妻と愛犬の姿があったのである。ビックリしたテリーさんが確認したところ、少なくとも43枚の画像に映っていたという。

夫から話を聞いたウェンディさんは、以前に撮影車らしき車両がのろのろと近所を走行していたことがあったのを思い出した。しかしその時には一体何の車で、何をしているのかは分からなかったそうだ。43枚の画像の中には、ウェンディさんがいぶかしげにカメラの方を見ている姿もあったようだ。

犬の散歩の際には、必要以上にゆっくりと走る車に注意した方が良さそうだ。

しかしグーグルのあれ、世界中あちこちで問題多発とは言いますけれども、こういう話を聞いてみますとやはり何かしら考え直してみるべきなんでしょうかね?

今日のぐり:「中央食堂さんぼう」

日本ではっきり宗教都市と言える町はそう沢山はありませんけれども、人里離れた山中に忽然と現れるこの高野町界隈の町並みこそそう名乗るにふさわしいのではないかという気がします。
しかしこんな僻地にありながら結構外国人のお客さんも大勢いらっしゃっているようで、なかなかの盛況ぶりなのは今のご時世にあって良いことですよね。
本日は金剛峯寺にも程近いこちらのお店にお邪魔してみましたけれども、中央食堂と言うから大きなものなのかと思ったらどこにでもある小さな食堂といった感じの店構えで、店内に入っても特別驚くような作りでもないありきたりな雰囲気なのはちょっと拍子抜けしたところでした。

お手軽に精進料理が食べられるということでおすすめと聞く「精進花篭弁当」を頼んでみましたけれども、メニューにどれも英文の説明書きがついているのは場所柄でしょうかね。
豆ご飯を中心に野菜の天麩羅、タラの芽の胡麻和え、野菜や麸の炊合せ、胡麻豆腐に田楽といった料理がカラフルな小鉢に並べられているのはいかにも日本的ですけれども、全体的な量は小盛程度で見た目ほどの満腹感はありませんから、外国人さんにとってこのあたりどうなんでしょうね?(もっとも、油も使っていますから意外にカロリーはありそうですが)
味の方はどれも奇をてらわずシンプルに素材の持ち味が出ているし、精進料理と言うと本格的なものになってくるとどうも技巧的にはすごいんでしょうけれどもちょっとやり過ぎ?的なところも目につく気がする中で、こういうごく普通の野菜のおかず的なものですとしみじみと美味しくいただけるという感じで良かったと思いますね。

ただ見た目に反して?全般の味付け自体は決して薄味というわけでもなく、特に汁の味などみてみますと少しばかり塩加減がきつすぎるかというくらいに濃い芽の味なのは少しばかり意外な気もしましたが、このあたり寒い山中と言うことで少し山里系の味付けに近くなってくるのでしょうかね?
見た目通りに接遇は特にどうと言うこともないレベルで、逆にこの程よい放置され感?が自分などにはちょうどいい具合でもあるんですけれども、一つ注文を付けるとすれば器の中にいかにも安っぽいプラスチックのそれが混在しているというのは、遠くからのお客さんも多いこういう国際観光都市にあってどうなのかなとも思いますね。
値段的には普通の街中でこの内容でこの値段ですとちょっと割高なのかなという感じですけれども、ちょっとした精進料理の雰囲気を楽しんでみたいという向きにはそれなりに手頃感もあるでしょうし、もちろんもっと安い価格帯のメニューも用意されていますから、若いお客さんも結構入っているらしいのも納得というところでしょうか。

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2010年5月 4日 (火)

今日のぐり:「夢郷」

先日見かけて、なかなか劇的な幕切れになったものだと感心したニュースがこちらです。

南極の氷から100年前のウイスキーを発掘、復元の可能性も(2010年2月10日AFP)

【2月10日 AFP】南極の氷の中に100年以上埋もれていた、英国の探検家アーネスト・シャクルトン(Ernest Shackleton)所有のウイスキーとブランデー5箱が発掘された。調査を行っていたニュージーランドの南極歴史遺産トラスト(Antarctic Heritage Trust)が前週、明らかにした。

 ウイスキーとブランデーは、シャクルトンが1908年に建てた小屋の下から発掘された。南極歴史遺産トラストのアル・ファスティアー(Al Fastier)氏は、以前は2箱しかないと考えられていたと述べた上で、「驚いたことに5箱も見つかった。3箱にはウイスキー入り、2箱にはブランデー入りとラベルが張られていた」と語った。

 いくつかの箱は割れて内部が氷結しており、中身を取り出すには慎重な作業が必要だという。だが、ファスティアー氏は、箱を動かした時に液体の音が聞こえているので、中身は漏れ出していないはずだと語る。ただ、周囲の氷にウイスキーのにおいがすることから、何本かは割れていると見られている。

■「天国からの贈り物」、復元の可能性も

 シャクルトンに提供されたウイスキー、マッキンレイ(Mackinlay)製造元である英ホワイト・アンド・マッカイ(Whyte and Mackay)のマスターブレンダー、リチャード・パターソン(Richard Paterson)氏は、この発見をウイスキー好きへの「天国からの贈り物」だと表現した。

 パターソン氏は「中身が安全に取り出されたら、分析してオリジナルのウイスキーを復元できる可能性もある」「オリジナルのレシピがもう存在していないことを考えると、これは歴史の扉を開けることになる」と語った。

 シャクルトンは1907~09年、ロイズ岬(Cape Royds)から南極点を目指していたが、食糧不足により、南極点から約160キロの場所で引き返すことになった。

しかしこちらの場合は特に誰の迷惑にもなると言う話でもなさそうですが、酒絡みのニュースと言えば往々にして何かしらの事件性があるものが多くなってくるのは洋の東西を問わないのでしょうね。
本日は世界各地で酒に絡んだちょっと困ったエピソードを紹介してみますけれども、まずはこちら「ネタとして聞いたことはあるがまさかやるとは思わなかった」という話題です。

飲酒運転隠し?事故処理中、警官の前でビール飲む(2010年1月12日読売新聞)

 12日午前1時30分頃、広島市西区大芝の市道交差点で、乗用車と軽乗用車が出合い頭に衝突、軽乗用車を運転していた同区内のアルバイト店員女性(21)が首に軽いけがを負った。

 近くの住民の110番で、広島中央署員が駆けつけ、事故処理をしていた際、乗用車を運転していた男が同乗していた男性2人と缶ビールを飲み始め、飲酒検知を拒否。同署員が証拠隠滅のおそれがあると判断、運転していた男を自動車運転過失傷害容疑の現行犯で逮捕した。

 発表によると、自称・同市安佐南区、内装業矢吹達容疑者(38)。矢吹容疑者は飲酒運転について、「事故後に飲んだだけ」と、否認している。同署は飲酒運転隠しの可能性があるとみて、矢吹容疑者の事故前の行動などを調べる。

いやしかし、本当にやる奴いたんだねと言うしかない話ですけれども、単なる検問程度ならともかく実際に事故を起こしておいてこういう態度ではそれは警察の心証も悪くなろうと言うものですよねえ。
一方で酒といえば北の大国のこの方面での蓄積には事欠きませんが、幾ら何でもそこまではちょっとやり過ぎというのがこちらの事件です。

ロシア旅客機墜落、原因は機長の飲酒(2010年3月17日日テレニュース24)

 08年9月にロシアの旅客機が墜落し、88人が死亡した事故について、16日付のロシアの新聞は、機長の飲酒が原因だったと報じた。

 着陸直前に機長が「私は操縦なんかできない」と話す音声がボイスレコーダーに収められていた。さらに、機長の遺体からはアルコールが検出されており、事故の捜査委員会は、原因は「機長の飲酒」と断定したという。

まあこれについてはちょっと同情の余地がないというよりも、いったいどういう管理体制になっているのかと尾を引きそうなニュースではあるかと思いますが。
洒落にならない話題ばかりですとちょっと気分的にも落ち込むところですので、ここらでいかにもブリ的という飲酒エピソードにご登場いただくことにしてみましょう。

酒を飲んで幼児用の電動バービー・カーを運転、逮捕された男―英(2010年4月20日HEAVEN)

酒を飲んで幼児用の電動バービー・カーを運転、飲酒運転の容疑で警察に逮捕された男性が、有罪を告げられ、3年間の運転禁止処分を受けました。

この男性は、英エセックス、ジェイウィックに住む元RAF(英空軍)エンジニアで現在はコルチェスター研究所で電子工学を専門とするポール・ハットン(40)。
ピンクのバービー・カーは家の近くに捨てられていたものを拾って息子といっしょに直したそうで、この日、近所の友人の家に直ったバービー・カーを見せに行こうと6フィート(約180センチ)の体をハンドルの後ろに押し込んで走りはじめたところでパトカーに捕まり、基準値の倍のアルコールが検出され、逮捕されたということです。

バービー・カーの対象年齢は3~5歳。最高速度は4マイル(約6.4キロ)という大人が歩くよりちょっと早い程度。ハットンは整備士の課程をとっている17歳の息子と協力して、ホイールを少し大きなものに変えたり、バッテリーを換えたりといったチューンもしたそうですが、それでもそれほど速くはならなかったと供述しています。

100419k.jpg先週、コルチェスター治安判事裁判所(軽微な事件を扱う法廷)で罪を認めた後、「飲酒運転とはおどろいたけど、自分がバカだったよ」と述べたハットンですが、過去十年の間に飲酒運転で捕まった経歴があったことから、今回の裁判では3年間の運転禁止処分が言いわたされたほか、裁判官に対し85ポンド(約 12,000円)の経費を支払うよう命じられました。

飲酒云々よりも何よりも、「ホイールを少し大きなものに変えたり、バッテリーを換えたりといったチューンもした」なんてあたりがいかにもブリ的だと思いますけれども、その結果が「それでもそれほど速くはならなかった」というのもまた何ともブリ的ですよねえ…

今日のぐり:「夢郷」

堺市の街中を外れた郊外に近いあたりになるのでしょうか、スーパーやパチンコ屋などと並んであるお店がこちらの中国東北料理の店という「夢郷」です。
一応はお店の前にもちょっとした駐車場はあるのですが、何やら沢山の車が面に路駐しているようですね(いいんでしょうか?)。
そんなこんなで店内は満員盛況という感じなんですが、ちょうどいい具合に空いたテーブルに腰を落ち着けることが出来ました。

メニューを見るといわゆる普通の中華料理っぽいものや定食などもあるんですが、いろいろと日本では馴染みのない面白そうな料理のほうが多いようで、せっかくなのでおまかせコースなるもので珍しいものを出してもらうことにしました。
一応辛いものは大丈夫かとか食べたいものはあるかとか聞かれるのですが、どうもコミュニケーションの問題もあってかあまり細かい話は伝わらないようで、しかも2000円~4000円と書いてあったので中間をとって3000円でとお願いしたのが後になって振り返ると一番の敗因でしたね…
何にしろレギュラーメニュー以外にもその日のおすすめらしいものが壁の黒板に書き連ねてあるのですが、漏れ聞こえるところによれば適当に希望の値段と好みを伝えて勝手に見繕ってもらうというのが一番うまいものを食べられるというお店らしいです。

さて、コースの方は色々と出てくるんですが、最初からいきなり肉団子が?と思ったら小芋の辛味噌ソースであったり(しかも激辛!)、前菜にして出てくる冷製のアジがやたらと大きかったり(まあ骨ごと食べられるので苦にはならないんですが)と、のっけから「ここでこれが?!」とペース配分を乱されるような展開が続きます。
骨付きの鶏唐揚げや小エビの辛味炒め(限りなくエビチリですね)、揚げ茄子の甘酢炒めなどはむしろシンプルと言っていいくらいの味なんですが、カレー風味に限りなく近い香辛料が独特な串揚げだとか、さっぱり味が欲しいところでやたらと辛いサラダであるとか、香辛料の塩梅はちょっと今までに経験がないような方向性なのが印象的でしたね。
アワビの冷製かと思ったら暖かかった蒸しアワビや、何やら妙に日本っぽい見た目のフカヒレ丼なども食べてみて思うのですが、この店の一つの特徴としてスープのボディが極めて弱い、それにバランスを取るように調味料の味加減も薄く、素材そのままか香辛料の味が突出しているかのどちらかに大別されているようです。
羊の天ぷらなどはシンプルな味付けだけにあの独特の風味が嫌いな人にはちょっときついかなという後味だったり、北京ダックの皮はサクサクではなくパリパリであったりと細かい突っ込みどころは多々あるんですが、とにかく次から次へと料理が出てくるので途中から既に味どころではなく泥沼の消耗戦状態になってしまったのは大変でしたね。

価格帯を見ると安価なチェーン店並のバーゲンプライスで、実際客単価の相場から考えて(一番高そうな北京ダックでも単品1500円ですからね…)どうも3000円というのはちょっとやり過ぎだったのでしょうか、親父さんが張り切ってるのは判るんですが、もはや最後には到底食べきれるものではない状態でまだ来るわ来るわ…久しぶりに無念のギブアップというやつでした。
しかし一応あまり量は食べないとは伝えたつもりだったんですがこれだけ無茶な出方をするところを見ると普段からそれが当たり前の水準なのか、それとも親父さんとの意思疎通がうまくいっていなかったということなのかどちらだったんでしょうかね?
ちなみにフロアに一人は日本語が通じるスタッフはいるんですが、気前も愛想も極めて良い親父さんを始め主要スタッフはほとんど細かい意思疎通は困難ですから、少なくとも辛味がまるで駄目だとかいった重要な情報は必ず念を入れすぎるほどに伝えておいた方がよさそうに思います。

この日に関してはいわゆる中華料理屋で出るような定番メニューがほとんどなく(と言いますか、大多数がメニューに載ってないものばかりでした)、単純な味の比較は難しいんですけれども、味の方向性としては非常に日本では馴染みが無いだけに意外性はあるのかなという感じでしょうかね?
この独特のノリに合う人にとっては同価格帯の店に比べればはるかに充実した内容のものが食べられる、と言いますか定食などの値段を見てもごく安い値段で腹いっぱい食べられる系のお店であって、なおかつ本場っぽい日本離れした味も楽しめるというのが人気の秘密なんでしょうか(実際顧客にも外国人風の方が多いようですし)。
スープと食材、発酵調味料など様々な旨みが絡みあった料理を食べ慣れていると食材からのうま味と塩味中心のシンプルな味は少し物足りない気もしますし、全体に火加減の見極めが甘いだとか海鮮系は生臭さを消しきれていないとか大陸料理的大雑把さも感じるところですが、とにかく値段を考えれば(そして、料理の選択さえ間違えなければ)コストパフォーマンスは高そうですよね。

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2010年5月 3日 (月)

今日のぐり:「木の実 (コノミ)」

本日は例によってブリネタを取り上げてみたいと思います。
ブリと言えば変態、変態と言えばブリとは世界の定説ですけれども、何気ない話の中にもきちんとネタを仕込んでこそ今の大英帝国の地位があるのだとしみじみ感じ入るしかない記事がこちらです。

チョコが燃料のエコなレーシングカー、F3に参戦へ-英(2010年3月10日ロイター)

 [ボストン 9日 ロイター] 英ウォーリック大学の研究者が、チョコレートや野菜などを基にした燃料で走るレーシングカーを製造し、米マサチューセッツ工科大学で開催されている会議で公開した。世界初とされるこの「エコなレーシングカー」は、自動車レースF3に参戦する。

 同マシンは、BMW社製のガソリンエンジンをディーゼル用に改造したもので、チョコレート工場から出た廃棄物や植物油を基に作られた燃料で走行可能。

 エンジン以外の部品も、多くに産業廃棄物を利用するというエコ仕様で、カシューナッツを原料としたブレーキパッドも、現在開発中という。

 さらに、ラジエーターにはオゾンを酸素に変換する機能もあり、製造チームのスティーブ・マグス氏は「走りながら(空気を)きれいにするレーシングカー」と話している。

 9カ月余りかけて作られた同マシンの製造コストは、およそ20万ドル(約1800万円)という。

いや、もういいから、普通にガソリンで走る車作ってくれよなんて言ってしまっては何の進歩もないわけで、日本の自動車メーカーもこれくらいのチャレンジはしていかなければフォースの暗黒面に転落することは叶わないんじゃないかという気もするのですがどうでしょうかね?
しかしこの程度で満足していてはならないと日夜先へ先への努力を怠らないのがブリというもので、ここまで来るともはや我々極東の島国住民ごときではその素晴らしさが理解すら出来ないほど神の領域に近づいているかのようにも見えますよね。

勢いよく炎を噴射するスクーター、英国人が1か月の試行錯誤の末に完成。(2010年3月25日ナリナリドットコム)

自動車やバイクを語る上で、“カッコ良さ”は重要な魅力の1つ。市販車のデザインや機能を吟味するのはもちろん、改造して自分好みに仕上げるという点に強いこだわりを持つ人も少なくない。気になるポイントは人それぞれだが、ある英国人男性は自分の技術を活かしてスクーターを改造。完成させたのが、後方に向かって火を噴射するスクーターだ。1か月間にわたって試行錯誤を繰り返したそうで、男性は「炎を噴射したとき、私はジェームズ・ボンドになったようだ」と話すなど、映画の主人公気分になれるとご満悦の様子だ。

この男性はリンカンシャー州スタンフォードで配管工をしている30歳のコリン・ファーズさん。いわば“火炎噴射スクーター”といった趣のスクーターを製作した動機は、「割り込んでくるドライバーたちにイライラした」(英紙デイリー・メールより)ためで、攻撃道具のつもりで装置を取り付けたらしい。ありふれたスクーターのかわいらしさとは裏腹に、後ろのブレーキランプ上に取り付けられた噴射口から勢いよく炎が伸びる物騒な代物だ。

YouTube上には実際に火を噴くシーンを撮影した動画「SCOOTER FLAMETHROWER」(http://www.youtube.com/watch?v=eQKsUHXE7AM)を投稿(※年齢制限対象)。わずか1分半の動画ながら、最高4.5メートルの長さになるという炎が水平方向に勢いよく噴射されると、すぐに離れた壁まで到達する様子がわかる。何よりも、試している場所が建物の間に挟まれているような細長い空間で、どこかに燃え移ってしまうのではないかとハラハラしてしまうくらい迫力満点の映像だ。

実はファーズさんは、過去には「14メートルのバイクを製作して、ギネス・ワールド・レコーズに認定」(英紙メトロより)されており、この手の作業はお手の物。YouTubeには今回の動画のほかに、両手足に浮き袋となる4つの箱とモーターエンジンを装着して池を進む「Motor Man - The power pond skater」(http://www.youtube.com/watch?v=zw3sz9PbRyQ)という動画もあり、面白いチャレンジをしてきた男性のようだ。

ファーズさんはスクーターに装置を取り付ける前に、最初は自転車で実験。火の勢いや噴射角度などを研究した末に、スクーターへの搭載を成功させた。炎はハンドルに取り付けられたボタンを押すと噴射される仕組みだという。ファーズさんは完成したスクーターが「とても楽しい」(デイリー・メール紙)と大満足。「もし誰かの車に火をつけようと思えば、間違いなくできるだろう」と、冗談であって欲しいブラックジョークを飛ばしながら、その完成度を自慢している。

しかし、そんな自慢の一品にも欠点がいくつか。それは風向きを考えて噴射しないと「炎が向かって来て、熱い思いをしてしまう」そうで、いつでもジェームズ・ボンド気分に浸れるわけではないらしい。さらに警察から「公道で炎を噴射することは、銃を使うことに等しい」との警告を受け、当然だが街中を走ることはできない。そのためファーズさんは私道で“火炎噴射スクーター”を楽しむようだ。

いやまあ、もはやどこから突っ込んでいいものやら超絶迷うなんてことを言っていても仕方がないくらいのブリ魂炸裂中という感じですが…ご本人は本当に楽しそうだからよかったと、そういうことなんでしょうかねえ…
それはそれとすることにして、こうした非売品は元よりきちんとした商売の世界においてもさすがブリともなれば、悪しき商業主義に毒されて終わりなどという簡単な話にはいかないことは言うまでもありません、ありませんが…やはりブリの食文化は世界に冠たるということなんでしょうか?

主婦が”母乳料理”を販売開始!牛より母乳の方が清潔/英国

母乳を使ったさまざまな料理を提案するイギリス人主婦が話題になっていると22日(現地時間)、英ザ・サン紙が伝えた。

Abi Blakeさん(30)はタルトやドリンク、ラザニアなどのレシピを、母乳を使った料理にアレンジしている。彼女は自分のことを「母乳料理界のナイジェラ・ローソン」と表現し、「母乳を使って料理するなんて、なかなか思いつかないこと。でも母乳には牛乳にはないビタミンが豊富に含まれているのよ」とその利点を語る。ナイジェラ・ローソンとは、セクシーな容姿と作業をするときの豪快さで人気を集めたイギリス人の女性料理研究家だ。

Blakeさんは生後8カ月の娘・Tilyちゃんが満腹になった後、残った母乳を保存して料理に活用している。「健康で清潔な女性の母乳より、汚い牛から出た牛乳が世間一般に好まれているのはどうしてなのかしら。私の家族は母乳を使った料理の方が美味しいと認めている」と話すBlakeさん。そもそも“母乳クッキング”を始めたきっかけは、しばらくインドに滞在していたとき、その地域の女性たちが母乳を使って料理していたことだった。

いろいろな資料を調べ、母乳が赤ちゃんだけではなく大人にも有益なものであると気付いた彼女は、HIVとSTDの検査を受けて安全であることを確認してからそのレシピを考え始めた。そして親しい友人を招いてお茶会を開き、母乳を使ったケーキやタルトを用意したところ「牛乳で作ったものより美味しい」と好評だったそうだ。

今ではBlakeさんは、さまざまなイベントで母乳を使ったカップケーキを販売している。初めは斬新で奇妙なスイーツだと思う人が多いそうだが、彼女は「母乳は栄養分が豊富で、免疫力を高める手助けもしてくれる。これを試さないなんて、もったいないわ」と話す。ちなみに彼女の得意料理は、母乳のチーズケーキだ。

そんな彼女の話を裏付けるような研究結果が、最近発表された。母乳には、がん細胞を破壊する役割があるという。化学療法のように、体にダメージを与えずに40種類ものがん細胞を破壊することができるというから驚きだ。彼女の“母乳クッキング”は、ただの趣味で終わりそうにない。

ええまあ、これも色々な意味でコアな需要はありそうな話ですけれども、素人考えで懸念するところ今後商業的な大成功を収めていくためには原材料の安定供給というところに若干の課題もあるのではないかと思うのですが…とは言え、なかなか豊富な産出量を誇っていそうな感じではありますよね(セクハラ?)。
さて、ブリ的食文化の精髄と言えばスコットランド名物のアレを外すわけにはいかないとはこれまた定説ですけれども、何と昨今ではこのような嘆かわしい現実があるという記事がこちらです。

英国人の約2割、「ハギス」は高地の生き物=調査(2010年4月26日ロイター)

[ロンドン 23日 ロイター] 羊の肺や心臓、肝臓などを使ったスコットランドの伝統料理「ハギス」について、英国人の5人に1人は、高地に生息する別の生き物であると考えていることが分かった。調査を行った持ち帰り外食サービスサイトのJust-Eat.co.ukが23日に発表した。

 それによると、ハギスを高地に住む生き物だと思っているのは、英国人の18%。スコットランドの楽器だと思っている人は15%で、人気小説「ハリー・ポッター」に登場するキャラクターだと考えている人も4%いた。

 調査では1623人から回答を得たが、スコットランド人(781人)の14%はハギスの存在を知らなかったという。

一応念のために申し上げておきますと、ハギス=スコットランドの高地に生息する謎の生き物というのは昔からあるジョークのネタではあるんですが、それにしても本家スコットランド人にしてこれだけハギスを知らない人間がいるというのは困ったことですよね。
もっとも長年のイングランド人による不当な偏見のせいか、どうもスコットランド人の方でもハギスを客人に供して良いものかと躊躇があるのは確からしくて、あちらでもこちらでもせっかくだからハギスなるものを食べさせろと言うと心配そうな顔をされた、なんて話が出てきますから、これは伝統的食文化を守っていく上で憂慮すべき状況なのは確かなのでしょうね。

今日のぐり:「木の実 (コノミ)」

蒜山高原のメインストリートと言うのでしょうか、高原センターから大山スカイラインへと続く道をジャージーランド方向へと分岐すると、点々と飲食店が立ち並ぶ一角にあるごく目立たないお店がこちら「木の実」さんです。
今ひとつこの立地との関連性がよく判らなかったのですが、こんな場所にあってなかなか本格的な韓国料理を食べさせる店だと評判らしいのですね。
店に入るといきなり何もない上り口になっているという飲食店らしからぬ作りに驚きますが、その奥は建物内の大半を占める大きな一続きの板敷き広間になっていて、隅っこの方では何故か立派な雛人形が飾ってあったりとややコンセプトが曖昧な印象もあります。

石鍋なるものが名物なんだと言うことで、カルビと牛タンの石鍋を中心に石焼ビビンバ、韓国ラーメン、チジミにキムチ盛り合わせと雑多なものを頼んでみましたが、この石鍋と言うのは石焼きビビンバの器をそのまま土鍋サイズにしたような面白いものですね。
甘辛いタレで野菜と一緒に肉を煮込み、程よいところで全体を混ぜて食べるというのがいかにも韓国料理というあしらいですけれども、見た目の色合いのように唐辛子が辛いということもなく、発酵調味料の旨みが主体となった日本人の口にあう仕上がりだと思いますね。
こういう味となると飯が欲しくなるのがこれまた日本人というものですが、こちらの石焼ビビンバは取り立てて特記すべき特徴もないものの、逆にこういう濃い味のおかずと合わせる分には丁度いい塩梅の控えめさ加減という感じでしょうか。

韓国ラーメンと言えば麺がインスタントなのだろうかと色々と想像していたのですが、牛系のあっさりスープに冷麺の麺を使ってラーメン風のトッピングを施したといったところで、普段冷麺で食べている分には少しばかり歯ごたえがありすぎるように感じていたこの麺も、こうして温食で食べる分にはむしろ程よい食感でスープとの味のバランスもなかなか悪くありません。
チジミと言えば色々なスタイルのものがありますが、こちらのそれはごくベーシックにニラなどが主体となったものをタレに付けて食するというタイプで、個人的にはもう少し薄焼きにしてカリッと仕上げてもいいかなと思うところですが、やはりここでも辛さは目立たず甘みと旨みが先立って来るという味の組み立てです。
この印象はキムチに関しても同様で、白菜にしろ大根にしろまず口にして感じるのは辛さではなく甘みと旨みで、同行者の中に香辛料が全くダメと言うタイプが含まれていたにも関わらず全く問題なく食することができたという点は強調しておきたいと思いますね。

接遇面では家族経営らしいということもあってかやや物足りない面もあるのも確かですけれども、一部にはコミュニケーション面での問題もあるのかなと思うところで、良くも悪くも商業的な印象が薄い接遇ではあるとは言えるのでしょうかね。
かつて「料理の鉄人」に登場した韓国料理人の李明淑氏も韓国料理と言えば辛い辛いと言われているのは誤解で、本当の韓国料理は甘い味付けだと言うことを強調していましたけれども、確かにこれは何ら辛いというわけではなく甘いというしかない味付けであって、そしてこの発酵食品系の濃厚な味は(今の時代にはやや田舎くさいかも知れませんが)日本人にとっても嫌いなものではないと思いますけどね。
そういうこともあって味の面では誰にとっても無難に受け入れやすいのではないかと思いますけれども、この店を選ぶ上で一番の問題点はなぜ蒜山で本格韓国料理なのか?という、その必然性の一点にあるのかも知れませんね。

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2010年5月 2日 (日)

今日のぐり:「やきとり 秀 水島本店」

ちょうど今開かれている万博でもいきなり事件が起こっているとも言いますけれども、中国というところはあれだけの数の人間もいるだけあってなかなかネタも豊富なお国柄のようですね。
こういうのも文化摩擦と言っていいのかどうかは判りませんけれども、先日なるほどと納得半分で読んだのがこちらの記事です。

日中間の「規則と文化」に悩む…社会の規則と人の気持ち(2010年4月5日サーチナ)

  一年に一度の桜の季節になり、東京にも楽しく明るい雰囲気が溢れている。しかし、私の周りで起きた二つの出来事が私を深く悩ませている・・・。

  北京から来た年上の友人は、二年前に美しく聡明な日本人女性と結婚し、周囲の人々を羨ましがらせた。今年の花見の席で彼は一人で酒を飲み、表情も明るくない。かつて幸福の絶頂だった二人は、現在「離婚協議中」なのである。事の発端は「通勤定期」という小さなものだった。彼が週末に外出する時に、奥さんの通勤定期を借りようとした。すると普段は温和な奥さんが突然顔色を変え、「これは私が通勤するためのものよ。あなたが休みの日に使っちゃだめじゃない!」と言ったのだ。これに彼は腹を立て、「日本人はどうしてそう頑固なんだ。週末は君は使わないんだから、バッグに入れておいても無駄だろう。二人の家計のために節約しようと思っているのに、そんなふうな考えではこれからやっていけないよ!」と返したのだという。

  もう一つはこんな話だ。上海から来た友人の王くんの義理の母親が、花見も兼ねて日本に遊びに来た際、一家でファストフード店に行った。「飲み放題」サービスの注文の時、お義母さんは「いらない」と言った。食事が終わり、王くんが自分の「飲み放題」のお茶の最後の一杯をお義母さんにあげようとした時、小学校三年生の娘が突然口を開いた。「おばあちゃんは『飲み放題』を頼んでいないのだから、飲んじゃだめ。そんなことをしたら店が損をする。」王くんは笑いながら言った。「お父さんが『飲み放題』を頼んだのだから、お父さんが100杯飲んでも構わないだろう?」娘は頷いた。「だから、お父さんが3杯飲んで、残りの97杯からおばあちゃんがちょっと飲むぐらい構わないだろう?」だが、娘は頑なに譲らない。最後には泣き出してしまい、食事の楽しさが台無しになってしまった。王くんは憤懣やる方ないという様子で言った。「子どもに日本の教育を受けさせたことを後悔しているよ。こんなに頑固では、将来結婚できないかも。」

  日常生活で人間の決めた規則にどう対応するかで、中国人と日本人に明らかな違いがあることは、在日中国人なら切実に理解しているだろう。中国人はどちらかというと「人の気持ちを重視」し、自分の価値観で自分の行動を「合理的」に解釈する。日本人はどちらかというと「規則を守る」ことを重視し、公共的な規則を自ら厳しく守ろうとすることによって、調和の取れた社会をみんなで作ろうとする。

  もちろん、その場の人間の考え方に合わせることは非常に重要だが、各自の価値観によって自分のやり方を押し通そうとすれば、たくさんの「不合理」が生まれてしまう。社会の規則も守り、人の気持ちも大切にしようとするのは、実に難しいことである。桜の季節に聞いたこの二つの物語は、異国で暮らす私の二十年以上に渡る様々な困惑と迷いを映した、二つの「生活の水滴」のようだった。来年の桜の季節には、深い悩みから抜け出し、澄み切った青空を笑顔で迎えたいと願っている。(情報提供:東京流行通訊)

まあそういうものだと言ってしまえばそれまでの話なんですが、こういう文化的背景の差を承知しておかないことにはお互い悪気がないのに思わぬ摩擦を生むということにもなりかねませんから、これはひとつ万博にでも出かけてみようかとお考えの日本人としても注意が必要なところではあるのでしょうね。
今日は昨今ブリにも匹敵するネタの宝庫と一部で噂の中国ネタを取り上げてみますけれども、まずは以前から何度も言われているところのあり得ない建築学的奇跡というものは今も健在であるということが判るこちらのニュースを紹介してみましょう。

開通前からボロボロの道路/中国(2010年4月16日ココログニュース)

中国・福建省で建設中の片側2車線道路が、手抜き工事によって開通前にもかかわらずすでにボロボロになっているという。

これは同省内の郊外を走る長さ2.4キロメートル、幅16メートル、総工費1700万元(約2億2千万円)をかけて建設中の道路だ。未使用でピカピカなはずの道路だが、よく見ると真ん中に亀裂が入っていたり、路面が傾いていたりするという。さらには厚さ20センチのコンクリートの下にぽっかり空洞がある、力いっぱい足踏みすると路面が揺れ動くなど、かなりの手抜き工事だということが発覚した。

また、路面に設けられたマンホールのフタが壊れていたので調べると、なんと細い竹棒の骨組みにコンクリートを流し込んだだけの、とんでもない代物ということも分かった。そのフタに「盤石」という名前が刻まれていたというオチまでついていたそうだ。

「こんな道路、恐ろしくて通れない」と嘆く村人に対して、施工業者は「問題部分はすでに修繕するよう指示した。今後このような問題が起こることはない」と話しているという。その話をにわかに信じる村人など到底いるとは思えないのだが…。

まあ、鉄筋ならぬ竹筋コンクリートと言えば現代中国建築学の常識だそうですから…ってそういう問題ですか?!
人文的な驚異が多発しているというのはさすが十余憶の人口を誇る人民パワーということでもあるのでしょうが、それだけの人がいれば中にはこういう変わったパワーを発揮していらっしゃる方々もいらっしゃるというのも昨今もはや驚く話題でも…ってやっぱり驚くわそれは!というニュースがこちらです。

尻からタウナギ入れられた男性、直腸食い破られ重体に―中国(2010年4月28日サーチナ)

  中国・四川省自貢市第一人民病院に17日午後4時ごろ、ひどい腹痛を訴える59歳の男性が運び込まれた。腹や腰が異常に充血し、脱水症状もひどい。腎・肝機能も低下。重度のショック症状と診察された。原因がはっきり分からず、医師らはやむを得ず、家族の了承をとり開腹手術。すると、腹腔から体長約50センチメートルのタウナギが出てきた。中国新聞社などが報じた。

  タウナギは死んでいたが、男性の直腸を食い破って腹腔(ふくくう)内に入ったことは、間違いなかった。そのため、体内で大量の出血が発生し、タウナギについていた細菌による化膿(かのう)もひどかった。医師らは、タウナギは男性の肛門から侵入したと判断した。

  男性は17日朝、腹痛などを訴え、同市内の別の病院を訪れた。前日にタウナギをたくさん食べ、酒も飲んだと説明。医師はすい臓炎を疑ったが、検査の結果は否定的だった。専門家の医師らが検討したが、原因が分からない。午後になり、容体が急変したので、設備が整っている同市第一人民病院に緊急搬送したという。

  男性は生命の危険な状態が10日間続いた。27日になり酸素吸入を外せるようになった。4月末までには、集中治療室から一般病室に移れる見通しという。

  男性の職業は調理師。16日夜には、仲間と酒を飲んだ。これまでに、男性は泥酔し、仲間が悪ふざけで、男性の尻にタウナギを押し込んだとの通報が寄せられた。警察は事件の可能性が高いとして、捜査を開始したという。(編集担当:如月隼人)

いかにもこれなんてブリあたりの牧師様がお好きな系統の話なんですけれども、回復してこんなタウナギなんてものが出てきたら自分だったら驚くどころではなくパニクる自信がありますね絶対(て言うか、顔が怖いし…)。
こういうネタばかりではアレですので、同じ驚きのニュースとは言っても何かしら不思議な感動を覚えさせるこちらの記事で締めてみることにしましょう。

地球の果てのレストラン/中国(2010年4月12日ギズモード・ジャパン)

僕の狭い人生経験の範囲内だと、「すごいけどどうかと思う」のは、大抵インド、中国、ドバイのいずれからか出てくるようです。

で、これは中国。崖みたいなルートしかない、山の上のレストランです。

「もし辿りつけたら、ランチを無料でご提供します」だそうですが...

【地球の果てのレストラン(詳細写真)】

命がけじゃないですか!
無理だよ無理。こんなの行く人いないに決まってんじゃん、と思いきや......

けっこういますね...しかもみんな普段着です...
さすが中国。いろんな意味で次世代の大国ですね。

詳細はリンク先の写真を参照していただければ一目瞭然なわけですが、まさしくこれはすごい、確かにすごいんですが…やはりこれも「すごいけど、どうかと思う」と言うべきニュースではあるのですかね?
それにしてもこんなところにまで列をなして人がやってくるとはさすが世界に冠たる大中華、食にかける情熱は日本のような小さな島国とは桁が違うと実感するしかありませんねえ…

今日のぐり:「やきとり 秀 水島本店」

倉敷市の南部に広がる水島工業地帯と言えば、無味乾燥なコンビナート群が立ち並んでいるイメージがありますけれども、水島臨海鉄道の路線沿いに古い歓楽街が広がっています。
その一角にあるこちらのお店、地元では結構老舗で通っている焼き鳥屋だと言うことですが、見た目の間口の狭さに反して中に入るとかなり広く、ちょっとした宴会なども出来そうな感じですよね。
「創業以来、タレ焼は一切使わず、塩焼にこだわって27年。ゴマベースの特製スパイスを付けて味わえば、鶏のうま味が更に引き立つ。」が売り文句なんだそうですが、そう遅くない時間帯にも関わらず店内はすでに満席状態ですから、それなりに地元でも支持されているということなのでしょうか。

この日はおまかせのコース料理を食べたわけですが、面白いのは焼き鳥屋と言いながらコースの中身は半分以上が焼き鳥ではなかったということですかね。
酢の物やサラダ類などはまだ判るのですが、ホッキ貝やイカの刺身、豚しゃぶなどどう考えても焼き鳥と関係なさそうなメニューが続くと、一体これはなんの店だったかとふと考え込んでしまう瞬間があります。
ちなみに刺身類はこのところ産地の地のものばかり食べていたこともあってか、鮮度という点ではさすがに一歩を譲りますがそこそこまともな味ではあるのですけれども、どうせならレバ刺しだとか焼き鳥屋に関係しそうなネタにしてみれば良さそうなものですけれどもね。

メインとなるのは当然ながら焼き鳥ということになるのですが、それなりに味のあるまともな鶏肉で焼き加減、塩加減ともまずまずと、全般的にみて十分水準以上の味で「近所の安くておいしい焼鳥屋」といったポジションになるのでしょうかね?
面白いのは焼きの段階での塩加減は控えめにしておいて、皿にスパイスを添付してお好みでどうぞというスタイルをとっていることなんですが、酒飲みの舌に合わせるとどうしてもとんでもなく塩辛い焼き鳥になってしまったりする場合がままありますから、こういう味をデフォにしておいてもらった方が特に飲まない人間にとってありがたいのは確かですよね。
もちろん以前にもお邪魔しました「かんべ」のような求道的に突き詰めた味というわけでもありませんけれども、あちらとこちらではそもそもの価格帯が全く違うことを考えると、ごく普通のお値段でこのレベルの味を出せるのであればそうそう不満は感じないんじゃないかと思います。

ちなみに自分としてはそれほど気にならなかったのですが、同行者曰く酒か主食系がないと腹具合がもう一つ…ということで、言われてみれば締めに何か一品追加してみたくなるような組み立てとボリュームではありましたかね。
そう思ってざっとメニューを見た感じでは主食系としてお茶漬けやおにぎりといったありきたりなものしか見当たらなかったのですが、それなりにまともな食材も入っているようですからもう少し面白そうなご飯物メニューもあってもいいのかも知れません。
もっとも地域の共存共栄ということを考えると、ここ一店で終わってしまうよりも二次会で他店に繰り出すくらいの余力があった方がありがたいという話で、これはこれでうまく出来ているのかなとも思いますけれどもね。

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2010年5月 1日 (土)

久しぶりに環境テロリストネタですが

ちょうど先日久しぶりに環境テロリスト絡みの記事が一般紙に掲載されていましたけれども、本日まずはこちらから引用してみたいと思います。

シー・シェパード代表に傷害容疑などで逮捕状(2010年4月30日産経新聞)

 環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」メンバーによる調査捕鯨妨害事件で、東京海上保安部が、傷害や威力業務妨害の容疑で、同団体代表、ポール・ワトソン容疑者(59)=カナダ国籍=の逮捕状を取ったことが30日、分かった。近く警察庁を通じて国際刑事警察機構(ICPO)に国際手配を求める。

 一連の妨害事件で、海保はSSの組織的な関与を捜査。逮捕・起訴されたメンバーの供述などから、ワトソン容疑者が指示していた疑いが強まった。

 逮捕状の容疑は、今年2月、南極海で、SS抗議船「アディ・ギル号」元船長のピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)=傷害や威力業務妨害などで起訴=と共謀、日本の調査捕鯨監視船「第2昭南丸」に、異臭を放つ酪酸入りの瓶を撃ち込み、乗組員にけがをさせるなどの妨害行為をした疑い。その後の海保の調べで、ベスーン被告から、妨害行為についてワトソン容疑者と協議した、といった趣旨の供述が得られたほか、調査捕鯨船団が撮影したビデオ映像で、一連の妨害行為に使われた抗議船にワトソン容疑者が乗船していることも確認されたという。

 海保は、国際手配でICPO加盟各国に対し、ワトソン容疑者の所在確認を要請、条約締結国で確認できれば、犯罪人引き渡し条約や外交ルートを通じて身柄引き渡しを求める方針。

 ワトソン容疑者は、米国の環境保護団体「グリーンピース」を路線対立から脱退。1977年にSSを設立、「直接的な行動」を掲げて過激な抗議活動を繰り返してきた。

 SSは昨年12月以降も、日本の調査捕鯨活動を執拗(しつよう)に妨害。今年1月にはベスーン被告が乗るアディ・ギル号が、第2昭南丸に衝突し大破した。捕鯨船団は97日間にわたる調査期間のうち31日間の調査中断を強いられた。中断日数はSSの妨害行為が始まった17年以降最長で、21年度の捕獲頭数は予定の約半数の507頭と、18年度に次ぐ低水準にとどまっていた。

 SSをめぐっては、平成19年の妨害行為で、警視庁が翌年、米国籍の男ら4人を威力業務妨害容疑で国際手配している。


シー・シェパード代表、容疑を否定 (2010年4月30日MBSニュース)

 現在ニューヨークに滞在中のワトソン容疑者はJNNの取材に応じ、今回の容疑を真っ向から否定しました。

 「海上保安庁の信頼性はゼロだ。(逮捕状は)政治劇で、法に基づくものではない」(シー・シェパード代表 ワトソン容疑者)

 日本時間の午前9時前、ニューヨークの港に停泊中のシー・シェパードの船でインタビューに応じたワトソン容疑者は、「妨害行為に使った酪酸は人体に無害なものだ」「日本の船の方が我々にぶつかってきたのに、何の責任も問われないのはおかしい」などと、容疑を全面的に否定しました。

 「シー・シェパードは誰も傷つけていない。彼らは自分でけがをし、我々を非難している」(シー・シェパード代表 ワトソン容疑者)

 船の甲板にやってきました。シー・シェパードは放水銃を使って、日本の調査捕鯨船などを妨害するということです。ワトソン容疑者らはこの後、主に日本に輸出されているクロマグロの漁を妨害するために地中海に向かうということです。

 「これから地中海に行き、クロマグロ漁を妨害する。その後はまた南極海で日本の捕鯨妨害キャンペーンの準備だ」(シー・シェパード代表 ワトソン容疑者)

自覚がないどころかまだまだやる気まんまんという当事者のコメントですけれども、命令に従うだけの末端構成員だけを処罰して肝腎の司令塔を放置していたというのでは法の正義が問われるというものですから、このあたりはきちんとした対処をしていくのが当然ではないかと思いますね。
日本ではシーシェパードだ、ポール・ワトソンだと言えば限りなく悪党悪人とイコールなイメージが強いんじゃないかと思いますが、一方で海外ではこの悪人顔を頼もしい、格好良いとヨイショする風潮が強いというのは面白いなといつも思うのですが、文化的背景の差異などにとどまらず長年の宣伝活動がそうした下地を作ってきたことは言うまでもありません。
少し前の記事ですけれども、日本におけるそれとひどく乖離した欧米諸国における彼らの位置づけというものがよく判るこちらの記事から、試みに関係するあたりを引用してみましょう。

海外レポート/エッセイ第440回 「クールジャパンの悲劇と再生」(2009年12月19日JMM)より抜粋

(略)
 面白いのは、捕鯨問題の文化摩擦はこれと正反対なのです。私は依然として岡田外相よりも鳩山首相の感覚に近く、ムリに捕鯨肯定論で摩擦を拡大するのは得策でないという立場ですが、それはそれとして、日本の中に捕鯨肯定論があり、欧米からの非難がされる構図は如何ともしがたい現状としてあると思います。そうした摩擦が拡大する中で、日本の中に「そこまで言われる筋合いはない」という感情が拡大するのは、十分に理由があるのです。

 日本の中の捕鯨擁護論は「アングロサクソンに文化的に屈服していた日本人が、唯一自らに反抗を許している分野」で「鬱屈した自尊感情のガス抜き」なのだとか「下関の捕鯨条約会議の際に外務省がナショナリズムを煽ったのが発端で、それまでは鯨食はマイナーだった」とか、色々な解説があります。私もそんなことを申し上げたことがありました。ですが、こうした説明は全て間違っているのではないか、最近そう思うようになりました。

 というのは、アメリカ側の報道(代表的なものは例の「シー・シェパード」を英雄に仕立てた、アニマル・プラネット社の「鯨戦争」というドキュメンタリー)を注意深く見ての結果なのですが、例えばこの「鯨戦争」では、シー・シェパードの連中は「知的能力が高く種の存続が危ぶまれているクジラを守るのは正義」という単一の価値観(モダン)を信じてしまっているのです。

 番組が良くできているのは「かわいそうな鯨」が「邪悪な日本の攻撃に傷ついて血を流しながら捕鯨船に収容されていく」のは「戦いの敗北」であり「無垢なクジラの犠牲の物語」という演出がされているという点です。悪名高い船長さんや、女性乗組員(欧米では結構人気があるようです)がボロボロと涙を流す中でバカバカしいほど荘厳な音楽が流れ、銛(もり)を打ち込まれ血を流しているクジラが日本船に引き上げられていく、そうしたシーンを背景に連中は「二度とこんなマネはさせない」などと言って「より過激な戦いへの決意」をすると実に劇画タッチ、プロレス的な趣向です。

 シーシェパードは「バットマンカー」のような派手な船を投入したりやりたい放題ですが、その背景にはTVでの効果を狙っているのは間違いありません。かなりのビッグビジネスになっているようです。そろそろ日本のイメージを守るためには外交ルートなりで圧力をかける何かしないといけないのではないでしょうか。最低限でも最近就役させた海保の真っ白な船体に「ジャパン・コーストガード」などと連中の分かる字で書いて「TVの演出に協力する」ような行為は止めるべきだと思うのです。

 やや脱線しましたが、日本人がこうした「シー・シェパード」に対して怒るのは「何もそこまで自分たちを悪者にしなくても良いだろう」という思い、あるいは「鯨ナショナリズム」ではないのだと思います。日本人の発想は「食文化の多様性は確保されるべきだ」というポストモダンの枠組みから来ているのです。オバマ大統領がオスロでのスピーチで言っていたように、現代という時代は文化の多様性が認められる、つまり一つの文化が他の文化を屈服させることは悪であるという思想が浸透した時代なのです。

 その最先端の文化多元主義の発想(ポストモダン)から控えめな捕鯨は許してもらいたいと言っているのに、自分たちのことをまるで「前近代の野蛮」だと決めつけて、単純な近代(モダン)の立場から「前近代の暴力には暴力で立ち向かっても構わない」とばかり攻撃してくる「それはないだろう」ということなのだと思います。自分たちはポストモダンだと思っているのに、プリモダンにされてモダンの立場からバッシングされるのは理不尽ということです。

 そもそも、「シー・シェパード」とTV番組「鯨戦争」のファンがカッカして怒る「銛を打ち込まれ、血を流すクジラ」の「無垢なる犠牲者」イメージというのは、私には宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』に出てくる「銛を打ち込まれ体液を流す王虫(オウム、オリジナルは虫の三つ合わさった旧字)」に重なって見えます。そもそも絶滅危機種への保護とか、自然との共生という思想(ポストモダン)に関しては、日本の方がはるかに先行しているのにどうして「前近代」だとバッシングを受けなくてはならないのか、日本人が怒るのは当然という面があると思います。
(略)

結局ここにも背後にあるのは商業主義であって、要するにそれを放送すれば視聴率が取れる、スポンサーもつくという金の問題が背景になるわけですから、未だに日本国内に見受けられるところの文化の違い論や差別主義に結びつけた議論というのは少なくとも彼らの側からすれば「はあ、だから何?」という話であって、何ら問題の解決に寄与するものではなさそうだと言えるかと思いますね。
その意味ではひと頃の自動車輸出や牛肉・コメの自由化問題などと同様の経済摩擦問題にこそ範を求めるべきであるのかも知れませんし、同時に国内における彼らのシンパにしても「残酷だからやめよう!」なんていったパフォーマー系よりは、この問題を商業活動に結びつけてくる手合いにこそ注意を払っていく必要があるんじゃないかという気がします。
水産庁なども一生懸命捕鯨問題を正論的にアピールしていますけれども、正直そういうお固く真面目な話よりは先日韓国などで新手のクジラ料理が登場したなんて話題が出ていたように、鯨肉食がブーム化するくらいにその消費を増やす方策を考えていった方がよほど捕鯨を正当化する強力な根拠になりそうですけどね。

さて、確実な消費市場が存在するということになれば、当然ながらクジラ資源の持続的な利用というIWCの本来の目的とも合致する恒常的な商業捕鯨再開という話になってくるわけですが、最近大きな話題となったのがIWCで新たな議長案が出てきたということです。
今のところ捕鯨国、反捕鯨国ともに(控えめな表現をしても)慎重に議論の行く末を見守っているという段階で、いずれもとうてい諸手を上げて歓迎といった様子でもありませんけれども、今後の交渉の叩き台としては結構面白い爆弾投下になったのではないかと言う気がします。

IWCが捕鯨枠の大幅削減案発表 6月の年次総会に向け合意目指す(2010年4月23日産経新聞)

 【ロンドン=木村正人】国際捕鯨委員会(IWC、事務局・英ケンブリッジ)は22日、調査捕鯨の枠組みを撤廃し、南極海での日本の捕鯨枠を当初の5年間は年405~410頭、その後の5年間は205頭に縮小して容認する議長・副議長提案を発表した。日本は同案を受け入れるか慎重に検討中だが、英国やオーストラリアなど反捕鯨国から「事実上の商業捕鯨の再開だ」と反発が出そうだ。

 捕鯨国と反捕鯨国の対立で機能停止に陥っているIWCは同案をたたき台に調整を続け、6月にモロッコで開く年次総会での合意を目指す。

 同案では、南極海での日本の捕鯨枠についてミンククジラは2010~14年度が年400頭、15~19年度が年200頭(現行の調査捕鯨枠年850頭前後)、ナガスクジラが10~12年度が年10頭、13~19年が年5頭(同50頭)。ザトウクジラはゼロ(同50頭、一時延期中)となっている。

 北太平洋では日本沿岸のミンククジラの捕獲を11年度以降、現行と同じ年120頭容認。沖合のミンククジラは年40頭(同100頭)▽イワシクジラ年50頭(同100頭)▽ニタリクジラ年12頭(同50頭)▽マッコウクジラがゼロ(同10頭)にまで削減された。

 同案は商業捕鯨や調査捕鯨の枠組みを撤廃し、今後10年間で捕鯨の総量を大幅に減らす内容。南極海でのミンククジラ捕獲を6年目から半減させることに日本が合意するかどうかは微妙だ。調査捕鯨で南極海のミンククジラの捕獲実績(09年度)は約500頭にとどまっている。

 反捕鯨国の中でも米国は調査捕鯨の継続を懸念して譲歩する構えだと伝えられるが、英国のイランカデービス漁業担当閣外相は今年3月、本紙に対し「(イヌイットなど)先住民捕鯨を除き、すべての形態の捕鯨に反対する」との立場を鮮明にしており、今後の協議は難航しそうだ。

もちろん今のところ今後の議論の叩き台程度の話ですけれども、この話で一応注意しておくべきなのはクジラやマグロといった回遊生物というものは緯度帯に沿って分布していて、同じ緯度帯で広く回遊コースが取れる海域ほど潜在的に沢山の海産資源を養うキャパシティーがあるということです。
その意味では日本沿岸を含む北太平洋は経度的な幅が限られている大西洋などよりは恵まれてはいますけれども、地球一周コースが取れる南半球と比べれば潜在的な資源量では限られているわけですから、そこに大きな捕鯨国である日本が押し込められるということは、北太平洋のクジラ資源保護の観点からすると現状よりはずっと悪い状況になりかねないということですよね(ちなみにお隣韓国も捕鯨国ですから、更に悪い話になりかねませんが)。
案では捕鯨頭数を大幅削減し今以上の環境負荷をかけないようにするという話になっていますけれども、この案に従って削減をしていったのでは国内消費もまかなえないということになりますから、IWCの本筋に従って考えれば南極海捕鯨を続けていくことこそクジラ資源保護の本旨にかなうということをはっきりさせてもらわないとならないでしょう。

このあたりはもともと南極の海は俺の海だという主張を展開して日本の捕鯨船団を追い出したがっているオーストラリアあたりにすればウェルカムでしょうが、反捕鯨活動はクジラ資源の保護が目的であると主張する反捕鯨団体こそ一番大きな声で反対していてもおかしくない話だと思うんですけれどもね(苦笑)。
現行案では日本にとって実利に乏しいだけにこのまま丸呑みということはないと思いますが、今後の交渉過程においてどのあたりを優先して要求していくかを見れば日本が何を目指しているのかも見えてくると思いますし、国としての戦略も問われてくるということでしょう。

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