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2010年4月 5日 (月)

日医冬の時代にあって、多難にすぎる新会長の船出

まずはおいおいと思うようなニュースから紹介してみましょう。

東京・文京区の日本医師会に届けられた鉢植えの花から突然発火 けが人なし(2010年4月3日FNN)

東京・文京区の日本医師会に届けられた鉢植えの花から突然発火した。
2日午後、日本医師会に鉢植えの花が届けられ、男性職員が包みを解こうとしたところ、突然、花から火が出た。
火は、床を数十cm焦がして、すぐに消し止められた。
職員にけがはなかった。
発火装置などは確認できておらず、警視庁は、火が出た原因を調べるとともに、脅迫の可能性もあるとみて捜査している。

いやあ、日医もその存在価値を問われる時代にあってようやくテロの標的とも目されるようになったかとも思うような話ですけれども、これはしかしどんな人間が何を意図してやっていることなのか判りにくい話ですね。
ちなみに先の会長選では民主党支持を主張する原中氏が当選したことは先日の記事でも紹介した通りですけれども、面白いのはこれを補佐するべき副会長は三人とも非(反?)原中派、一方で理事全体としては両派混在で予断を許さない情勢ということですから、さすがに三氏入り乱れての激闘の余波は今後も続きそうだと見るべきなのでしょうか。
いずれにしても確実に言えるのは新会長が強権を発動して日医の行く末を好き放題にという状況には程遠いらしいということでしょうが、実際に会長候補者各氏とも自派が推薦する副会長候補を慣例に逆らって落選後も辞退させないと主張した結果が会長と副会長とのねじれを産んだことからも判るように、なかなか興味深い選挙戦にはなったようですね。
そんな激戦を経て勝利した原中氏ですが、一夜明けてこんな所信表明を行っているようです。

「会員の声聞く医師会に」原中新会長が所信表明(2010年4月2日CBニュース)

 4月1日の会長選で初当選した日本医師会の原中勝征会長は2日、日医の定例代議員会での所信表明演説で、「今までわたしたちは、決定されたことへの反論しかできなかったが、これではいつまでたってもわたしたちの意見は反映されない」と述べ、今後は国の施策が固まり切らない段階で日医の意見を反映させる方針を示した。原中氏はまた、「日医は一般会員の声が確かに届かなくなっている。今後は会員一人ひとりで構成されているという原点に戻り、会員の声を大切に聞く医師会にしないといけない」とも語った。

 所信表明演説で原中氏は、日医の役割について「県や郡市区医師会によるすべての動きを勘案し、現実に先生方の医療活動を保障できる団体にならなければいけない」などと強調。その上で、こうした仕組みを実現するため、日医として政府との交渉などを担う方針を示した。

 代議員会では、医師による医療行為の一部を担う「特定看護師」の法制化に関する質問があり、原中氏は「アメリカナイズされた医療を日本に持ち込もうとする勢力がある。民主党の担当議員、厚生労働省の担当者と大至急話し合い、阻止したい」と答えた。
 羽生田俊副会長は、現行の保健師助産師看護師法の枠内でどのような医療行為を行えるのかを、まずは整理すべきだとの考えを示した。

 原中氏はまた、「保険料の事業者による負担は世界で一番低い」と述べ、医療費の財源を確保するため、事業者負担の見直しを国民にアピールする考えを表明。2年後の診療報酬改定で医療費を引き上げるよう提言する方針も示した。

「今までわたしたちは、決定されたことへの反論しかできなかった」とは、とかく独自のビジョン提示に迫力の欠けるところのある日医の従来像を考えても納得出来る話ではありますけれども、「会員の声を大切に聞く医師会に」云々の発言は、県医師会会長時代に言及していたように、今や全体の半数を占める勤務医会員の声を反映させる意向だと考えていいのかどうかですよね。
そこで改めて注目されるのが日医と言う組織は今までこの種の業界圧力団体としては例外的と言ってもいいくらいに(苦笑)会員の利益ではなく国民の利益を訴える政策を主張してきたという経緯があるわけですが、現実問題として病院に押し寄せる患者と疲弊する勤務医という対立構図が強調される時代にあって、「先生方の医療活動を保障できる団体」に言うところの「先生方」が誰を意味するのかです。

要するに健全な医療活動を阻害している最大要因が他ならぬ患者にあるのだとしたら、日医として今まで患者に向けてきた良い顔を捨ててでも対決姿勢を取る覚悟があるのかということですが、それくらいの腹をくくってもらわないともはや収まらないくらいに現場で疲弊する医師達の鬱憤はたまってきているということです。
このあたりは一口に医師と言っても立場によって異なるところで、日医が長年その代弁者たるを任じていた開業医などではまずは患者に来てもらわなければ商売にならないわけですから、顧客たる患者=国民にケンカを売るような話などあり得ないということになる一方、薄給激務を強いられる末端勤務医は患者の不要不急な受診抑制を求めるといった塩梅で、そんな医師間の立場の違いの中でこのところの医療行政は後者のロジック優先で動いてきたという経緯があるわけですよね。
元々原中氏と言えば親民主党路線とは言っても医療行政を主導する足立政務官ら勤務医優先派とはむしろ敵対的な開業医中心主義者と言われ、先の発言も前段の「地区医師会による全ての動きを勘案し」云々の発言を考えてもこれは開業医を念頭に置いた発言かとも捉えられますが、今後も開業医の利権団体という世評通りの活動を展開してくるということであればますます日医の凋落にも拍車が掛かりそうな話ですよね。

さて、日医の凋落と言えば親民主路線の会長誕生で小沢氏も選挙協力に大いに期待していると噂される中、昨年来すっかり日医系委員が排除されてしまった中医協への返り咲きがなるかどうかといった辺りにも注目が集まってきます。
原中氏のお膝元である茨城県医師会の鈴木氏がいるから実質問題ないではないかという意見もあるかも知れませんが、同じ新顔の診療側委員の中でも声の大きい方々(笑)の影に隠れて鈴木氏が今ひとつ存在感を発揮出来ていないという印象もある中、いったん排除された日医の代弁者という地位を政権側が用意してくるのかどうか、参院選への協力問題とも絡めて新会長の政治手腕が問われるところでしょう。
それもさることながら日医の支持母体とも言うべき開業医の先生方が、この四月からの診療報酬改訂で振り回されている真っ最中であるという事情は先日も少しばかり紹介しましたが、このあたりに関連して中医協では患者側代表と言うことになっているあのお方の存在感がますます増しているように見えます。

診療報酬改定 全患者に明細書発行(2010年4月1日日テレニュース24)

 国が病院での治療行為の値段を定めた診療報酬が1日から改定され、救急や産科などに重点配分される。
 また、薬や検査の内容と値段がわかる明細書がすべての患者に発行されることになった。
 医療費への関心を高めるほか、薬による被害がわかった場合、患者側から治療で使用した薬や処方された薬の内容を証明できるようにするのが狙い

いやあ、あの件に関してはその意図を色々と言われていましたけれども、結局は「薬による被害がわかった場合、患者側から治療で使用した薬や処方された薬の内容を証明できるようにするのが狙い」ってことでFAだったということなんじゃないですか(笑)。
これに関してはあのお方の年来の持論ですし、そもそもの目的など誰が見ても明らかという話ではありましたけれども、以前にも紹介した「たった数日間の逆転劇」を演出した中医協の診療側委員の皆さんだけが実は何一つ理解していなかったという可能性もありますかね(苦笑)。

それはともかく、かの御仁もすっかり笑いが止まらないということなのでしょうか、今や「部屋を散らかしている」方々に遠慮する必要もないらしく好き放題「裏事情」を開陳してくださっているようですね。
「明細書の発行は、オセロゲームの角の駒をひっくり返したようなものだ」とはなかなかの歴史的名言というべきセリフですけれども、ネット上ではもはや憤慨するというよりも呆れ果てている、あるいはあきらめの境地に達しているという声のほうが多いようで、せめてリアルに来院する患者さんには患者代表氏よりはもう少しまともであって欲しいと言う切実なる望みが漏れ聞こえてきます。

787 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/04/01(木) 18:15:12 ID:L0JujhqC0

>>781
いい患者さん(つまり普通の常識人)なら
自院他院関係なく薬剤の副作用を疑ったら
以前から救済制度を紹介して書類を書いてあげてるけどなあ。

難病とかと同じで医療機関の義務でなく患者側の権利だけど、
こういう所に医師患者の信頼関係って出るよね。
けんか腰の人ってそういうの分からないのかなあ。

329 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/04/01(木) 10:32:22 ID:h3msKGX80

>>308
地域医療貢献加算は明細領収書とセットになると、破壊力抜群じゃないかな。

目新しい項目だし、 政府の、いかにも”改革やってます”というポーズにぴったりだから、
マスゴミや週刊誌が
 「賢い患者のための領収書読解術 ー あなたはとられすぎていないか?
なんて企画を組むだろうし、その中で 

地域医療貢献加算が付いてたら24時間いつでも電話相談OKのしるし
ちゃんと金払ってんだから、利用しなきゃダメよ! 奥さん。」なんて言われた日にはもう・・・

まあ、「 加算とってるくせに、こないだ午前2時に電話したときつながらなかった。 」 なんて
基地外が暴れ込んで来ないことを祈るわ。 > 算定してる先生。

330 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/04/01(木) 10:44:00 ID:36rVYw8E0

>>329
>「ちゃんと金払ってんだから、利用しなきゃダメよ! 奥さん。」

蓑紋田が言いそうw

343 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/04/01(木) 13:23:55 ID:rt5g6dsz0

yahoo智恵袋より
私はパニック障害や不安障害で発作的に体調不良になることがしばしばです
しかし今まで夜中に発作がおこっても、対応してくれる医院がなく困っていました
今年の4月から、かかりつけのお医者さんに24時間対応してもらえる制度ができる
とききましたが本当でしょうか

ベストアンサーに選ばれた回答
本当です。地域医療貢献加算制度といって、この制度を申請している医院の患者さん
なら、月に10円の自己負担で担当医は24時間の電話対応が義務化されます。ただ、こ
の制度の申請をしていない医院も存在します。
まず、医院を受診される場合、「地域医療貢献加算医院か」と、事務にお尋ねになり、
そうであれば、24時間担当医に電話して問題ありません。
もし医院が電話対応できないときは、それは保険の不正請求ですので、しかるべき告発
の手続きをおとりください。

質問者より
ありがとうございました。月10円で24時間オンコールできるなんて、医療制度も充実し
ましたね。早速活用したいと思います。

347 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/04/01(木) 14:34:46 ID:8PxJW9X00

明細書希望率が民度の新しい指標になったのか?

かの御仁の主張内容の是非はともかくとしても、一介の民間人が医療行政にこうまでの影響力を発揮しているという事実に思いを馳せる時、その道のプロフェッショナル数多を擁し知性にも暇にも不自由はしていないだろう日医のエライ人々は一体何をやってきたのかという素朴な疑問は誰しも抱くところではないでしょうか?
いずれにしても日医を取り巻く環境が厳しい中での船出となるだけに、新会長は日医の主張が現場の医師たちの声を代弁しているのでもなければ、日医の意志が末端会員の総意というわけでも何でもないという現状をまず正しく理解していくことが求められるのではないかと思いますし、そうした現状に基づいて新会長のこれからの動きを見ていくべきではないかなという気がします。
わずかな人数で構成される中医協の議論ですらすっかり主導権を握られている状況で日医の声が国民に届くなどよほど厳しいことですし、まして世間的に今最も注目されている末端勤務医はおろか会員からも必ずしも支持を得ているとも言えない中で日医のトップがどう存在感を発揮していくのか、今後の活躍が色々な意味で楽しみになってくる今回の会長選の結果ではありました。

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