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2010年4月26日 (月)

そう言えば去年の今頃もマニフェストマニフェストと言っていたような?

そろそろ夏の参院選挙の足音も近づいてきまして、一説にはダブル選挙になるかも?とか色々と言われているようですけれども、それもあってかあちらからもこちらからもマニフェストというものが出てきているようです。
かねて医療政策を重視することをうたってきた政権与党である民主党からも当然そうした話は出ているのですが、面白いことに医療畑に限らず一件関係なさそうな人たちからも医療分野への口出しが目立っているようなのですね。

民主党情報通信議員連盟のマニフェスト案、「情報通信八策」を提案へ(2010年4月14日日経BP)

 民主党の情報通信議員連盟は、今夏の参議院選挙に向けて情報通信関連のマニフェスト案を議論している。民主党の情報通信議員連盟は、「マニフェスト企画委員会」の下にできた三つの研究会のうち「成長・地域戦略研究会」のもとで、情報通信に関するマニフェストの取りまとめを進めている。議員連盟は4月14 日に総会を開いて提出する最終案を議論した。
(略)
 第5項目は、「医療の情報化などにより国民本位の医療サービスを実現する」である。具体策として、EHR(電子健康記録)などにより国民が自らの健康・医療情報を管理して活用するための環境整備や緊急医療体制の抜本的な見直しを行う。また医療分野における情報通信の活用を妨げる課題を洗い出すため、がん治療の分野で「がん治療EHR特区」を設ける方針を打ち出した

 このほか電子カルテ、レセプト電子化の一層の推進化による医療事務の効率化や医療のコスト削減などを図る、オープンソースのレセプトソフトの全国普及を実現するとしている。
(略)
 情報通信議員連盟は4月14日に総会を開いてこうした案を議論した。15日にはほぼこの内容でマニフェスト案を提出することになる見込みである。

民主 混合診療の拡大で議論へ(2010年4月22日NHKニュース)

民主党の研究会は、参議院選挙の政権公約に、健康保険が適用される診療と適用されない診療を併用する、いわゆる「混合診療」の例外的な適用を拡大することを盛り込むよう求める案をまとめましたが、党内には慎重な意見もあり、今後、議論が行われる見通しです。

民主党は、夏の参議院選挙の政権公約=マニフェストについて、政策ごとに研究会を設けて検討を進めており、このうち、地域主権や規制改革を担当する研究会が、政権公約に盛り込むよう、執行部に提言する案をまとめました。この中では、公的な健康保険が適用される診療と適用されない診療を併用する、いわゆる「混合診療」について、「患者の選択肢を広げるべきだ」として、例外的な適用を拡大するよう求めています。また、幼稚園と保育所の運営や設置に関する基準を一元化する、いわゆる「幼保一元化」を実現すべきだとしています。ただ、党内には、いわゆる「混合診療」について、「所得によって受けられる診療に差が出るほか、安全性や効果がはっきりしない診療が増えるおそれがあり、原則、認められない」などとして、慎重な意見もあるため、今後、執行部で議論が行われる見通しです。

電子カルテにすると高齢医療従事者はついていけなくなって退職するわ、診療の効率は激減でさばける患者数が減るわで、なるほど医療コスト削減には非常に有効そうではありますけれども、増大する一方の国民の医療需要に対してはますます供給過少が目立つということにはなりそうですよね。
混合診療導入に関しても昨今では国民目線というのでしょうか、患者の選択肢拡大云々が錦の御旗と化している感もありますが、結局のところこれは医療を消防や警察などと同じ万人にとっての公平平等な社会資本と考えるのか、あるいは民主党らが思い描く新成長戦略の基幹となる一大産業として捉えるのかの問題であって、しかも前者の考えを取ったとしても「金は出すからもっといいサービスを」という国民の声を無視するわけにもいかない理屈です。
海外では例えばイギリスのように社会資本として整備された公立医療機関ではひどく待ち時間も長くなっていて、それが嫌なら自分で財布をはたいて民間医療機関を利用するといった実質的に二階建ての医療体制をもっているところもありますが、医療需要が質量共に増大するのに対して供給は人材、資本とも追いついていない状況が続けば、今後平等な医療なるものが結局は万人にとって不満足な医療にもなりかねないのかも知れません。

一方で面白いかと思ったのが厚労省でも省におけるマニフェストと言うのでしょうか、組織目標なるものを公表しているということなんですが、前述のマニフェスト案などと比べながら勝手に邪推するところ、これが長妻大臣ら与党内の医療組の見解を一番反映しているということになるのでしょうか?
社会保障全般にわたって総論的な話の羅列がつづいているだけで特に見るべきところもないという意見もあると思いますが、無理矢理医療政策に関連しそうなところを抜き出してみますとこんな感じになるのでしょうか。

「平成22年度 厚生労働省の目標」より抜粋

(1)政策の方向
④成長戦略の中核としての社会保障の展開(「未来への投資」)

・社会保障や雇用政策を「未来への投資」と位置付け、医療、介護、子育て、新しい職業訓練等の分野で成長戦略につながる政策を立案し実行する。その際、行政と市場の役割分担を見直し、市場の力を一定のルールの下で取り入れる。アジアの成長活力を導入する。

(2)個別政策及び制度改革の方向
③医療サービス等を安定的に提供する。

医療従事者等と患者・家族の対話を促進する(国民会議の設置、医療メディエーターの推進)。
・予防医療に関する国民的議論を喚起し、合意に基づいた予防接種を推進する。
・自殺者数を減?させる。


「平成22年4月~9月 局の組織目標」より抜粋

医政局の組織目標      

医政局のミッション:    ○国民の皆様への質の高い医療サービスの提供      

【今期(平成22年4月~9月の半期)の組織目標】      
医師確保対策の推進等

・医師確保対策の推進や医療提供体制の機能強化を図るため、次期制度改正に向けて、関係者からの意見聴取や議論を行い、9月までに論点の整理を行う。      

医師不足の実態把握

・医師確保の目標を明確化するため、都道府県を通じて地域の医師不足の実態を把握する。4月までに都道府県へ調査方法等を説明し、6月までに調査を行い、9月までに調査概要をとりまとめ、公表する。      

特定看護師(仮称)制度の導入

・特定看護師(仮称)制度の導入に向け、①実施可能な医療行為の範囲、②特定看護師(仮称)の要件を検討するため、6月までにモデル事業・実態調査に着手するとともに、9月までに実態調査の結果をとりまとめる。      

医療対話仲介者の推進

・患者家族の立場に立って医療従事者等との意思疎通を円滑に行う医療対話仲介者(メディエーター)について、その推進に向け、8月までに、有識者、実践者からの意見聴取等により実態を把握、整理する。      

医薬品・医療機器の研究開発の促進

・画期的な医薬品・医療機器の研究開発を促進するため、研究費の集中投入、治験環境の整備等の支援策を、6月にとりまとめ予定の新成長戦略に位置付ける。      

【人材育成等及び7つの能力向上のための取り組み】      
人材育成・組織活性化   

局内の若手職員を中心に、病院等の現場視察や意見交換等を積極的に実施する。
外部から有識者を招いての勉強会等を積極的に開催し、課の所掌にかかわらず局内全課に参加を促す。      

個別に見ていきますと今までに見てきたような話が並んでいるのかなという感じですけれども、逆に過去に話題になっていながらここに目標として取り上げられていないことに注目してみますと、例えば混合診療導入や医療事故調設置などはさほど優先度が高くなかったのだなとも思えるところですし、厚労省の年来の持論である医療リソース集約化などもここでは登場していないことなどが目につきますが、これが何を意味するのか。
一方で医政局に限らず他の部門を見ていてもそうですが、全般的に国民の声を聞くとか実態を調査するとかいったことが強調されているという印象で、逆に言えば今までどれだけ独善的に現場無視でやってきたのかと突っ込まれそうな話でもあるのですけれども(笑)、何をどう目指していくのかもさることながら実施に至るその方法論も問題ですよね。
一部の声の大きい人達の言ってみれば極論じみた話ばかりで大多数の当たり前の人達の声は取り上げられないとか、現場の感覚から乖離した老人や御用学者の声ばかりを取り上げて識者の意見はこうでしたとかでは何ら意味がないという話ですけれども、あのお方が仕分け人に起用されるような「政治主導」で果たして大丈夫なのだろうかと、いささかの懸念もあるのですがね(苦笑)。

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コメント

>合意に基づいた予防接種を推進する。

要するに最近やっと始まったワクチンはいずれも輸入品で、価格も高いので、「対象者全員に無料接種」にするとすっごくお金がかかるから、「合意に基づいて接種したいと言った人に自己負担ありで接種する」というようにしたいようです。
それじゃだめだ、と現場に近い方は積極的に言ってるんですけどね…

投稿: Seisan | 2010年4月27日 (火) 10時51分

マスコミさんの長年の猛烈キャンペーンもあって、予防接種問題はすでに医療とは遠い世界に逝ってしまいましたから…
新型インフルエンザ騒動などその意味では良い契機じゃないかと思ったんですが、未だにまともな総括もされないでいる気配ですし。

投稿: 管理人nobu | 2010年4月27日 (火) 12時15分

ダブル選挙は出てくる情報元を見ると、今のところ旧体制派の願望のようです。
仙石も解散と言い過ぎて、色々バレそうなのでどうも自重しているようです。

小沢一郎への検察マスゴミ連合の攻撃が再開されたので、事態は急展開しつつあります。マスゴミは自民から舛添が去ったため、前原を持ち上げるつもりのようです。この権力の行方が定まらないと政策の方向性が定まらない。日医の顔をどれくらい立てるかは、まさに政治判断です。前原ならば、あえて無視して日医の献金を自民側に向けるようなことなどをわざとやりかねない。

ただ公的医療は予算的に総枠が決まっているので、足りない部分をどうするのかという議論はどうしても起きるでしょう。部分的自由化なのか原則自由化なのか、言葉は同じで混合診療はやり方一つで変るので、実際細かい部分が出てこないとなんともいえない。ただ、医療を成長産業と位置づけるならば、原則混合診療導入、医療への株式会社参入などを認めて、ともかく医療者以外にお金が廻る仕組みを作るはずです。

年金財政の破綻を考えると、老人への公的医療費を削って、元気な人か金持ちしか生き残れない仕組みを狙うのは間違いないのですが、老人人口の大きさと選挙もあるので、当然表沙汰にするわけにはいかないです。

投稿: ya98 | 2010年4月28日 (水) 22時53分

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