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2010年4月 2日 (金)

日医会長選は原中氏当選 しかし親政権与党と喜んでばかりも?

昨日も少しばかり書きましたように、4月1日は日医会長選というものがありましたことは既に御存知の通りかと思います。
一般紙もそれなりに関心を持って見守っていたようですが、例によって各紙の記事から引用してみますが、まずは読売新聞の記事がこちらです。

日本医師会長に民主寄りの原中氏(2010年4月1日読売新聞)

 任期満了に伴う日本医師会(日医)の会長選挙が1日午前、東京都文京区の日本医師会館で行われ、民主党を支持する茨城県医師会長の原中勝征氏(69)が3選を目指した現職の唐沢祥人氏(67)ら3氏を破り、初当選した。

 これまで参院選で組織内候補を自民党から出馬させるなど、自民党の有力支持団体だった日医の会長に原中氏が選ばれたことで、日医の政治路線は大きく変わりそうだ。

 会長選は都道府県医師会ごとに選ばれた代議員356人による投票で行われ、原中氏131票、京都府医師会長の森洋一氏(62)118票、唐沢氏107票、京都府医師会所属の金丸昌弘氏(44)は0票だった。任期は2年間。

 今回の会長選は、政権交代後の日医の政治的立場を最大の争点に、先の衆院選で民主党を支持した原中氏、自民党政権時代から現職の唐沢氏、中立的立場を掲げる森氏の3氏による事実上の三つどもえの争いとなった。原中氏は、鳩山首相や民主党の小沢幹事長と個人的なパイプを強調し、自民党を支持してきた唐沢氏に対する批判票を取り込んだ。

 日医の政治団体である「日本医師連盟」(日医連)は夏の参院選比例選に、組織内候補として自民党の西島英利参院議員の推薦を決定している。だが、原中氏は西島氏は出馬辞退すべきだとの考えを示しており、西島氏の推薦決定は白紙撤回される見通しだ。

 2010年度の診療報酬改定では、全体で10年ぶりにプラス改定となったが、再診料が20円引き下げられるなど、日医会員の多い開業医にとっては厳しい結果となった。民主党の勤務医を重視する姿勢は今後も続くと見られ、2012年度の次期診療報酬改定に向けて、日医の意見をどこまで反映させることができるかは未知数だ。

 当選した原中氏は、記者団に対し「閉塞(へいそく)感を打開しようとする期待の表れだと思う」と語った。次期参院選への対応については「大至急に日医連の総会を開いて決めたい」と述べた。

日医会長原中氏/茨城(2010年4月2日読売新聞)

地域医療改革に期待

 日本医師会(日医)の会長選で1日、県医師会の原中勝征会長が初当選したことを受け、昨夏の衆院選で支持を受けた民主党県連や県医師会から祝福とともに、地域医療改革に対する手腕を期待する声が上がった。

 日医は自民党の有力支持団体だったが、県医師会の政治団体「県医師連盟」は、昨夏の衆院選で後期高齢者医療制度廃止などを掲げ、民主党支持を表明。県内の全7小選挙区で同党候補を推薦した。特に、元厚相対元厚生官僚の“医療対決”となった6区では、自民厚労族の大物議員に勝つ原動力となった

 民主党県連の佐藤光雄幹事長は「衆院選では政権交代実現の力となり、お世話になった。茨城から会長を出した重みがある。今後も連携を強め、政策実現に努力したい」と期待を寄せた。

 県医師会の諸岡信裕副会長は「これから原中会長が取り組んでいく国民医療改革は、茨城の地域医療改革にもつながっていく。県医師会は日医と一体となって活動し、政権与党にきちんとものを言える立場で提言していく」と話している。

 昨夏の知事選で、県医師連盟の推薦を受けて5度目の当選を果たした橋本知事は「医療をめぐる課題が山積する中、会長として強いリーダーシップを発揮され、国民が安心できる医療の実現のため活躍されることを心から期待します」とのコメントを発表した。

ま、診療報酬プラス改訂と強調して見せる一方で0.19%という実質横ばいだということは決して言わないあたりが面白いですけれども、ここでは「小沢幹事長との個人的なパイプ」「民主党の勤務医を重視する姿勢」といった文言を御記憶いただいておくべきでしょうね。
ここでは茨城県医師会と民主党との蜜月関係を強調するような記事になっていますけれども、全国的に見ればむしろこうした関係を危惧する声のほうが強いということは、他ならぬ会長選の得票数にも現れていると思いますけれども、新会長が全国的には少数派であろう茨城流を押し通して行くつもりなのかどうかも注目されるところでしょう。
いつもながら医療報道に関して食い足りないのが朝日の記事ですけれども、親民主党の候補が当選したということくらいは理解できているということなんでしょうが、とりあえず目に付く範囲でこの程度しか記事が出ていないというところに同社の姿勢が出ているのかも知れません。

日本医師会長に原中氏初当選 民主党とのパイプ強調(2010年4月1日朝日新聞)

 任期満了に伴う日本医師会(日医=会員数16万6千人)の会長選挙が1日午前、東京都内の日本医師会館で行われ、茨城県医師会長の原中勝征氏(69)が初当選した。任期は2年間。政権交代後、初めての会長選だったが、民主党とのパイプを強調した原中氏が他候補を退けた。

 日医は政権与党だった自民党と連携して、医療機関の収入となる診療報酬の引き上げなどを迫ってきたが、政権交代後に日医の政治団体が自民党支持を撤回。今回の選挙では、政党との距離感が争点となった。

 立候補したのは、原中氏のほか、3選を目指した現職の唐沢祥人氏(67)、京都府医師会長の森洋一氏(62)、京都府医師会所属の金丸昌弘氏(44)。事実上、原中、唐沢、森の各氏による三つどもえの戦いとなった。

 自民党との関係強化を進め、「刷新と継続こそ医療再生への力」と掲げた唐沢氏に対し、原中氏は民主党とのパイプから「政策の実行力」を主張。森氏は「政権に左右されない」ことを強調して、中間派の位置づけとなった。

 代議員356人による投票の結果、原中氏が131票を獲得した。森氏は118票、唐沢氏は107票だった。

 当選を受けて、原中氏は「たいへん重い荷を背負った。国民のための医療をいかに構築していくか、政権政党と一緒になって考えていく」と語った。夏の参院選比例区では、日医出身の西島英利氏が自民党公認で立候補を予定しており、その取り扱いが今後の焦点となる。

 原中氏は日大医学部を卒業後、医局勤務などを経て1991年から病院院長を務める。2004年から茨城県医師会長。

しかしこの記事を見て改めて思うのは、原中氏はあくまで政権与党と手を組まなければ政策実現も無理だと言う主張に見えますけれども、将来的に民主党が下野した際にはまた鞍替して行くということなのか、あくまで民主党とのパイプを維持して行くということなのか、どちらなんでしょうかね?
一方では何やら民主党との対決姿勢か?とも受け取れるような勇ましい発言も出ているのがこちら毎日新聞の記事ですけれども、解説記事と合わせてお読みいただくとなかなか面白いと思いますね。

日本医師会長選:原中勝征氏が初当選 自民離れ加速も(2010年4月1日毎日新聞)

 任期満了に伴う日本医師会(日医)会長選挙の投開票が1日、東京都の日本医師会館で行われ、親民主党を掲げる茨城県医師会長の原中勝征氏(69)が、自民党と協調してきた現職の唐沢祥人会長(67)、政治的中立を主張した京都府医師会長の森洋一氏(62)、京都府医師会員の金丸昌弘氏(44)を破って初当選した。原中氏の当選で、参院選に向け日医の自民党離れが加速する可能性が高まった。任期は2年。

 選挙戦は事実上、原中、唐沢、森の3氏の三つどもえで、政権との関係が焦点だった。代議員356人(欠員1人)による投票の結果、投票総数356票中、原中氏が131票、森氏は118票、唐沢氏は107票だった。

 原中氏は昨年夏の衆院選でいち早く民主党支持を鮮明にした。政権交代後も、診療報酬を議論する中央社会保険医療協議会の委員人事をめぐって日医執行部が外される一方、茨城県医師会から委員が選ばれるなど、政権与党・民主党との強い関係を印象づけている。

 参院選に向け、原中氏は自民党公認で比例代表から立候補予定の西島英利参院議員(日医出身)の推薦撤回を検討する考えを示している。ただ、唐沢、森両氏にも一定票が流れており、日医が民主党一党支持になるのは難しいとみられる。

 原中氏は「民主党の言いなりになることなく、鳩山政権と一緒になって国民の幸福を考えていきたい」と抱負を語った。【鈴木直】

日本医師会:会長に原中氏 小差、民主との距離苦慮 参院選対応、微妙に(2010年4月2日毎日新聞)

 <分析>

 任期満了に伴う1日の日本医師会(日医)会長選挙で、民主党支持を打ち出した原中勝征(かつゆき)氏(69)が初当選し、同日新会長に就任した。だが、現職だった唐沢祥人(67)、森洋一(62)両氏の得票を合わせた「反原中票」は225票に上り、原中氏の131票を94票上回った。支持が割れた選挙結果は、政権与党との距離感を巡る日医内部の「揺れ」をうかがわせている。原中氏は親民主路線に批判的な層への配慮も必要となり、参院選への対応を含め難しいかじ取りを迫られそうだ。【鈴木直、高山祐、野原大輔】

 1日夕、原中氏は東京都の日本医師会館で記者会見し、「政権が代わったのだから、対処も変わらないといけない」と述べ、民主党との関係を重視していく考えを示した。

 日医は夏の参院選比例代表で、既に政治団体「日本医師連盟」の組織内候補で自民党公認の現職、西島英利氏の推薦を決めている。西島氏の扱いについて原中氏は「近々、日本医師連盟の総会を開いて再度討議していただく」と語り、推薦撤回の可能性を示唆した。

 「政治とカネ」の問題にあえぐ民主党も参院選の単独過半数獲得に向け、原中氏に期待を寄せる。1日、石井一選対委員長と国会内で会談した小沢一郎幹事長は「よかったなあ」と笑顔を見せた。細野豪志組織・企業団体委員長は記者団に「ぜひご支援をいただきたい」と表明した。

 それでも選挙結果は、民主党の思惑に影を落としている。

 「民主支持一辺倒」を否定する点で共通する唐沢、森両陣営は、水面下で一本化調整を続けていた。投票結果で見ると、一本化していれば原中氏を抑えていたことになる。また副会長選では、当選者3人全員が「非原中派」だった。

 親自民で来た日医執行部は政権交代後、診療報酬を議論する中央社会保険医療協議会から排除された。日医の元幹部は「会員には、民主に寄りすぎると次の政権交代で再びしっぺ返しを受けるとの懸念も強い」と言う。自民党関係者は「原中さんが信任されたわけではない」と指摘する。

 日医に限らず、医療界には民主党との「間合い」を巡り、戸惑いが広がりつつある。

 1日夜、都内で開かれた原中氏の当選祝賀会には、民主党から参院選に比例代表で立候補を予定している医療法人理事長の安藤高夫氏(51)が駆けつけ、「原中日医=民主」を印象づけようとした

 だが、内閣支持率の急落とともに、安藤陣営内の医療関係者の間には不安も広がり始めた。陣営内は、原中氏との連携を重視する民主党職員と、原中色を薄めたい医療関係者の間で方針が揺れたという。ある病院関係者は「原中氏と結べば恨みを買いかねず、日医と病院の協力関係にも支障をきたしかねない」と打ち明ける。

 ◇蜜月崩れ、自民動揺

 一方、自民党も原中氏の当選には動揺を隠せない。

 1日、自民党の谷垣禎一総裁は記者会見で、参院選への対応について「(西島氏が)当選する態勢を作っていかなければならない」と述べ、今後も党として西島氏を支える考えを強調した。

 04年の参院選で西島氏は日医の全面支援を受け、25万票を獲得した。だが、今回同様の支持を得られる保証はない。07年は日医の推す現職が18万6000票で落選した。西島氏は1日、記者団に「(日医連の)決定には従う」と淡々と語った。

 政権交代は日医の地方組織をも揺さぶっている。会長選を前に、長野県医師連盟は自民党長野県連の職域支部から離脱した。党石川県連の県医師会支部は3月31日に解散した。様子見をしていた山梨、兵庫、岡山県などの医師連盟も参院選に向けた判断を迫られる。

 自民党支持団体の離反は日医にとどまらない。日本歯科医師連盟は同党からの新人候補擁立を撤回した。

 日本看護協会は、政治団体「日本看護連盟」の自民党公認候補を支持しない方針を決め、ねじれ状態になっている。

まあしかし前会長の時代にも政権与党の言いなりになることはなく国民のための医療を云々と言っていたような記憶がありますから、これは日医としてはお約束のフレーズということなのかも知れませんが、茨城県医師会からの代表も参加した中医協での議論などを見るにつけ、少なくとも民主党が医師会の言いなりになるということだけは有り得なさそうですよね(苦笑)。
ここではむしろ解説記事の中にある「小沢一郎幹事長は「よかったなあ」と笑顔を見せた」云々の記述に留意いただきたいと思いますけれども、中医協から排除されるなど民主党政権から冷遇されている印象の強い日医に対して、むしろ民主党関係者の側から期待する声が強いという現実があるということに注目しておくべきでしょうね。
これまた非常に面白いのが日銀短観云々を取り上げるかと思ったところが、意に反して今日の社説に日医会長選を取り上げてきた日経新聞ですけれども、経済紙的観点から見るとこういうふうに見えているんだなと言うことがよく判る記事だと思います。

【社説】医師会は生まれ変われるか   (2010年4月2日日本経済新聞)

 任期満了に伴う日本医師会の会長選で、民主党政権を支持すると訴えた新顔の原中勝征(かつゆき)茨城県医師会長(69)が当選した。

 時の政権に左右されない医師会を目指すと唱えた京都府医師会長と、自民党など旧政権との親しさを売りにした現職候補に競り勝った。

 争点の一つは政治との距離感だった。原中氏の当選で政権党に寄り添う姿勢が改めて示された。最大級の利益団体が鳩山政権の強力な支持母体になる。これまでの執行部が自公政権と蜜月だったのと大差ない。

 国は借金漬けで、健康保険制度の財政は厳しさを増している。国民皆保険を支えながら、医療サービスを賄うお金をどうひねり出すか。医師会にとって目の前の課題だ。政府や与党に医療費を増やせと圧力をかけるだけが役割ではなかろう

 老人病院などで適切とはいえない入院生活を送る高齢者に介護施設に移ってもらったり、IT(情報技術)を駆使して医療の提供体制を効率化したりする。そんな努力が必要だ。原中新体制にはまず、医療界の自己改革を主導するように求めたい。

 医師会の影響力の源泉は豊富な資金力だ。政治献金を通じ国の医療政策に強い発言力を持つ。国政選挙では与党候補を組織を挙げて応援したり、政治団体から候補者を立てたりした。診療報酬の引き上げや配分の決定にも陰に日に関与してきた

 医師会の会員数は診療所を経営する開業医と病院の勤務医を合わせて16万人強。執行部はどちらかというと診療所の利益を代弁する傾向が強い。大学病院などに勤める小児科医、産科医、外科医らの仕事が厳しくなっているにもかかわらず、診療所の利益を大きく損なわないような診療報酬政策が続いてきた。ここにも医師会の影響力が見て取れる

 重い病に悩む急性期の患者らが手遅れにならずに専門医療を受けられるようにするために、もっと勤務医に報いる診療報酬にすべきだ。

 原中会長は就任後の記者会見で、小泉政権の経済財政諮問会議による「市場原理的」な政策が医療崩壊を起こしたと述べたが、そう繰り返していても医療改革の解は導けない。政治に要求するだけでなく、自らを省みる医師会に変わってほしい。

「最大級の利益団体が鳩山政権の強力な支持母体に」だの「診療報酬の引き上げや配分の決定にも陰に日に関与」だの、一体どこの宇宙の何の団体の話をしているのかと思うような話が並んでいますけれども(笑)、社会的入院撤廃だのIT活用だのという日経お得意の持論の中に出てくる「もっと勤務医に報いる診療報酬に」という文言にも留意いただきたいと思いますが、まさにこれが民主党政権での医療政策の根幹なわけですよね。
医師会が強力に自民党支持を貫いてきたこの十年間で診療報酬は切り下げられるばかりだった、一方で医師会が切り捨てられた今回の改訂で診療報酬は微増とは言え引き上げられたとくれば、「診療報酬の引き上げや配分の決定にも陰に日に関与」してきた医師会の政治力とは何と素晴らしいものかと改めて実感出来る話ですね(笑)。
時事通信の解説記事も出ていますけれども、民主党とのパイプ役ばかりに頼っているようではどうなのかと警鐘を鳴らす内容となっていますね。

親民主で影響力行使なるか=医療費抑制で看板倒れの恐れも-日医会長選(2010年4月1日時事通信)

 日本医師会の会長選で当選を果たした原中勝征氏は、親民主を前面に打ち出し、日医が政権与党に影響力を行使できるメリットを強調した。しかし、国の財政悪化で医療費抑制を迫られた場合に、民主党が日医の要望に十分応えられる保証はなく、看板倒れとなる可能性はある
 2010年度の診療報酬改定は、2回目以降の診察に掛かる再診料について、診療所を20円引き下げ、病院を90円引き上げて690円で統一することで決着した。開業医中心の日医は診療所の引き下げに強く反発したが、病院重視を掲げる長妻昭厚労相らの方針に押し切られた形だ。
 ただ、その一方で時間外対応や明細書を無料発行する診療所の再診料に上乗せ加算するといった措置が講じられ、最終的には再診料がアップする診療所も出る仕組みとなった。診療報酬全体の10年ぶりの引き上げとともに、日医に代わって原中氏が民主党に働き掛けた成果との見方がある。
 原中氏支持に回った地方医師会会長らは、昨夏衆院選で民主党を支援したことを念頭に「原中先生は民主党に貸しがある。これは返してもらう必要がある」と利益誘導をはっきりと求めた。当初は唐沢氏有利とされていた会長選レースの様相が一変し、原中氏が支持を広げていったのは民主とのパイプへの期待にほかならない。
 民主党は支持をいち早く表明した日本歯科医師会には、診療報酬で手厚く対応した。しかし、来年度以降、さらなる財政難が予想される中、原中新会長率いる日医が聖域扱いでいられるかどうかは不透明だ。

ここで注目すべきは「病院重視を掲げる長妻昭厚労相らの方針に押し切られた」という文言ですけれども、要するにここまでの諸紙の内容から民主党内には小沢氏を頂点として参院選への日医の支援を期待する声があり、その一派から原中氏が大いに期待されている一方、勤務医を重視する厚労行政の現場からは必ずしも日医という組織はよく扱われていない(極めて控えめな表現ですが)という現実もあることが判ります。
この辺りの事情がよく判るのが会長選の直前に出ましたこちらの記事なんですけれども、要するに日医新会長が言うところの政権与党としての民主党に接近し政策実現を云々と言うほどには、民主党という世帯も決して一枚岩ではなさそうだという話ですよね。

小沢vs反小沢の“代理戦争”と話題…日医会長選の行方は(2010年3月31日zakzak)

 4月1日に投開票される日本医師会(日医)の会長選挙が、民主党の小沢一郎幹事長と反小沢7奉行の“代理戦争”と永田町で話題になっている。自民党を支持してきた現職に、「民主寄り」と「政治的中立」の2新人が激しく争う三つどもえの構図だ。しかし、新人のうち前者を小沢氏、後者を仙谷由人国家戦略相や前原誠司国交相に近い議員が応援、2位3位連合の動きも表面化するなどドロドロの権力闘争になっている。

 全国の医師約17万人が加入する日医の会長選は4人が立候補。小泉政権時代から自民党と蜜月を築き現在2選の唐沢祥人会長(67)と、後期高齢者医療制度に異を唱え、先の総選挙で民主党を支援した茨城県医師会の原中勝征会長(69)、「政治的中立」を志向する京都府医師会の森洋一会長(62)らが争う。

 日医関係者が情勢を解説する。

 「当初は唐沢氏の3選が既定路線だったが、民主党政権になって2月の診療報酬改定の際に関与させてもらえなかったうえ、小沢氏の『民主支持でなければ干す』という姿勢に、地方が戦々恐々として失速。原中氏は総選挙で茨城県の民主党候補を全員当選させた功績があるが、全国的な支持基盤が弱い。内閣支持率が下落したため民主党依存を嫌う声もあり、そこを森氏が吸収している」

 さらに、「民主党とのパイプ役が期待できる原中氏と森氏が一本化できない。前者は開業医、後者は病院勤務医をそれぞれ重視。民主党内にも同じ路線対立があり、それが小沢系vs反小沢系の構図になっていることが、混乱に拍車をかけている」と打ち明ける。

 先月初めの大阪府医師会長選。ここで、民主党の桜井充参院議員は某候補者陣営の集会で次のように述べたという。

 「原中さんに日医会長になってもらうことが小沢さんからのミッションだ

 桜井氏は、開業医寄りの『適切な医療費を考える議員連盟』の会長。民主党マニフェスト企画委員会の党側議員に入るなど小沢氏に近いだけに、参加者に「原中会長こそ、小沢氏の意志」という印象を与えた。

 一方、これに立ちはだかる形になったのが、厚生労働省の足立信也政務官。勤務医寄りの『医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟』で、仙谷氏とともに中心メンバーを務める「病院族」(民主党関係者)で、2010年度の診療報酬改定を中心となってとりまとめた人物だ。

 実際、原中氏は足立氏を念頭に、演説会で「(改定をめぐり)政務官と大げんかした」と声を張り上げた

 民主党有力筋はこう話す。

 「診療報酬改定では、開業医収入の1割を占める再診料引き下げが焦点だった。桜井氏や原中氏は猛反発したが、足立氏らに押し切られた。これで『原中のパイプも大したことない』という空気が生まれた。一方、足立氏は仙谷氏の子分で、民主党が原中氏に一本化することは『無理だな』と話したとも聞く。表だっては動いていないが、両氏とも森氏支持だろう」

 さらに、「京都には前原氏や山井和則厚労政務官ら小沢氏と距離を置く議員が多い。森氏には彼らとのつながりもある」と続けた。

 現状では原中氏がリードしているが、ここにきて「2位3位連合」の動きも。同時に行われる副会長選で、唐沢、森両陣営が公表した副会長候補のリストが完全に一致したのだ。原中陣営関係者は「原中の当選を見越し、会長と副会長でねじれをつくる気だ」と神経をとがらせる。

 政治ジャーナリストの安積明子氏は「小沢系と非小沢系は政治手法から政策まで相いれない部分が多い。小沢氏の求心力が衰えているだけに、こうした代理戦争や対立は至る所で露見するだろう」と話している。

■日本医師会 全国の都道府県医師会に所属する医師約16万6000人で構成される公益法人。議決機関である代議員会約350人のうち、病院勤務医は約1割にとどまり、「開業医寄り」といわれる。勤務医の待遇改善を目指した長妻昭厚生労働相は、諮問機関の中央社会保険医療協議会の委員から日医の推薦者を除外した。

 発言力の低下を危惧した日医の政治団体「日本医師連盟」は、従来の自民党支持を白紙撤回。政権交代後、献金も凍結した。

 過去には、吉田茂元首相のブレーンとされ、保険診療を拒否して厚生省に徹底抗戦した武見太郎氏といった大物会長もいる。夏に改選を迎える現職の組織内議員、自民党の西島英利参院議員は、前回選挙では約25万票を獲得した。

現実的に副会長は三人とも反原中派で固められてしまったわけですから、単純に自民党から民主党へという図式では済まない、これは日医内部にも与党内の抗争が持ち込まれてきたという図式ですよね。
思うに開業医の権益を優先したい原中氏としては、政権政党の実力者である小沢氏と組んでいる以上日医の将来は安泰だという目算があるのかも知れませんけれども、実際に医療行政を動かしているのは勤務医出身で医療畑のブレーンと目される足立氏や、やたらと声の大きい(笑)仙石氏といった面々であるわけで、一口に親民主党とは言っても彼らとの折り合いは決してよくもないわけです。
となると最悪の場合原中日医は参院選では「手を貸さなければ干す」という小沢氏ルートで全国会員が賛同してもいない民主党への選挙協力を強いられ、一方で次回診療報酬改定においては勤務医優先の足立氏らによってハブられと、全く良いところなく奴隷のようにこき使われるだけ使われて終わりという素敵な未来絵図も想像できるところですよね。

まあしかし、そんな奴隷働きも今まで日医がハブってきた全国末端臨床医が当たり前にやってきたことではあるのですから、今になって日医執行部が同じ目にあったところで誰も同情する人間もいそうにはないんですけれども(苦笑)。

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コメント

日医の会長が決まりましたが、これは日医が死刑台に向けていよいよ歩き始めた感があります。数日前の行政刷新会議での混合診療導入の議論が表に出てくるタイミングがまさに絶妙でした。今回の会長選は組織を壊すときの常套手段である、組織の非主流派を一本釣りしてトップに据えるやり方そのものです。小沢一郎の真意はわからないですが、この状態での日医では選挙にしろ、診療のボイコットにしろ一本化もできず、新執行部は与党に文句を言うだけのパシリとなるだけでしょう。

。今後、行政刷新会議で混合診療導入は決まるとして、仕分けを参院選の前か後ろに持ってくるかが問題です。通常に考えると選挙の後ですが、気になる記事があります。

>原中陣営関係者は「原中の当選を見越し、会長と副会長でねじれをつくる気だ」と神経をとがらせる。

副会長に勤務医の代表で仙石や前原に近い人物が就くと、これはわからなくなります。
混合診療導入は勤務医にはマイナスばかりにも働かないことと、勤務医への労働基準法厳格適用と併せて言われれば、混合診療導入賛成となりかねないです。

鳩山小沢が失脚して、仙石が総理となればまっすぐこの路線に突き進むでしょう。逆に、小沢一郎が権力を維持するのかどうかは、来月の訪米にかかっています。この訪米の結果によっては検察が小沢を再びロックオンすることもありえます。そうなると民主党幹事長に留まっても医療どころではないでしょう。

投稿: ya98 | 2010年4月 2日 (金) 23時04分

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