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2010年4月10日 (土)

環境を守る方法論は後ろ向きのテロ活動だけではないわけで

先日は不法侵入したテロリスト船長が起訴されることが決まったシー・シェパード問題ですが、当の船長がテレビ局の取材に答えてこう主張しているようです。

シー・シェパード船長「戦争のようなもの」(2010年4月8日日テレニュース24)

 日本の調査捕鯨船への妨害行為など5つの罪で起訴された反捕鯨団体「シー・シェパード」の船長、ピーター・ベスーン被告が8日、東京拘置所で日本テレビの取材に応じた。

 ベスーン被告は、有害な酪酸の液体が入ったビンを撃ち込んだことについて、「悪臭によって航海を妨害するためで、ケガをさせる目的ではない」と話し、傷害罪について裁判で争う姿勢を見せた。

 また、「捕鯨は日本の伝統だとわかっているが、我々には我々の信条があり、これは立場の違いによる戦争のようなものだ」と主張した。

戦争なら他人にボウガンやロケット弾を撃ち込んでもお尻ペンペンで済ませるわけにはいかないのも仕方がないですが、危険物を振り回して他人を傷つけてもそんなつもりじゃなかったなんて言い訳をしているあたり、あるいはこれは責任能力の欠如なんてものを狙っているんでしょうかね?
完璧な弁護団を用意するというシー・シェパードがどのような法廷闘争を仕掛けてくるのかも今後の楽しみですけれども、一方でかの団体は近頃こんなことを言い出しているようですね。

シー・シェパード、COP10ボイコット呼びかけ(2010年4月2日読売新聞)

 【シンガポール=岡崎哲】反捕鯨団体シー・シェパードは2日、10月に名古屋市で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)をボイコットするよう、世界の環境団体に求める声明を発表した。

 会議では、海洋生態系の保全が主要議題になる見通しだが、シー・シェパードは「マグロやクジラの保護に関心がなく、生物多様性に関する会議を開催する資格はない」と、日本を非難した。

 シー・シェパードは、元船長のピーター・ベスーン容疑者が逮捕されて以来、日本の司法制度を批判するなど捕鯨問題以外でも対決姿勢を強めている

ま、暴力で言論を圧殺するような人たちが何を言おうがまともな国が相手にするということもないのでしょうが、逆に言えば彼らがこういう態度に出てきてくれたということはある意味世界各国に対する良い踏み絵になってくる可能性もありますかね?
先日はかのベスーン被告の母国ニュージーランドが捕鯨容認に転んだか?!なんて話が出て、シー・シェパードからは裏切り者だと散々な言われようですけれども、同団体の反捕鯨活動における実質的母港を提供しているオーストラリアを始め、いわゆる反捕鯨諸国としてもテロリストと手を組んでいると(少なくとも公式には)あまり認めたくないと考える人々も多いわけです。
シー・シェパードが世界中で色々と大きなことを言えば言うほど、それに同調するかどうかということは対外的にテロリストとの近さを表明する行為に他ならないわけですから、今後日本政府としてもそのあたりのところはしっかりと突っ込みを入れていってもらいたいですね。

さて、シー・シェパードの母体である本家本元のテロ団体であり、今や鯨肉窃盗団に転向したとも噂されるグリーンピースですが、こちらも未だに元気よく活動中であることを伝える記事が出ています。

鯨肉の日本輸送を阻止=グリーンピースが抗議行動-オランダ(2010年4月3日時事ドットコム)

 【ブリュッセル時事】オランダのロッテルダム港で2日、環境保護団体グリーンピースのメンバーが日本向けの鯨肉を積んだ船の出航を阻止しようと抗議行動を展開した。船側は混乱回避のため、いったん鯨肉を船から降ろした。現在、ターミナルで保管されており、今後の取り扱いは未定という。

 オランダ税関によると、この船は七つのコンテナにナガスクジラの肉を積載。アイスランドを出港後、ロッテルダム経由で日本に向かう途中だった。

 グリーンピースのメンバーは2日未明から6時間以上にわたり、船の係留ロープにぶら下がるなどして出航を阻止。グリーンピースは今回の抗議が「成功を収めた」と主張した。

幾つか突っ込みどころがある記事ですけれども、アイスランドを出向した日本向けの船がわざわざ反捕鯨国筆頭のオランダに寄港して(どんな航路なんでしょうか?)予想通り?妨害にあったと言う、何か今ひとつ事情がよく分からない状況なのが一点、そしてもう一点「今どきナガスクジラかよ!」というところが非常に重要ですよね。
ナガスクジラと言えば鯨肉としては非常に高級品でもちろん市場価値も高いだろうとは思うのですけれども、一方で絶滅が心配されるくらい個体数が減っていて商取引が規制されているはずなのに、このような話が出てくるのは何故?と思うわけですが、どうもアイスランドではナガスクジラの捕鯨自体は禁止されていないようなんですね。
これが回りまわって日本向けに輸出されてきている可能性があるということですが、この問題自体は別に今に始まった話でも何でもなくて、すでに何年も前からあちらこちらで類似の情報が断片的に出ていたところですが、何しろ高級鯨肉だけに高い金を出してでもという需要があることが根本的な原因ということなのでしょうか。

シー・シェパードのテロ活動が結局は金目当ての経済活動であるのと全く同様に、クジラやマグロなどの海産資源問題もその多くは結局のところ経済問題であって、特に日本の調査捕鯨のような国策で行われている場合はともかく、儲かるから捕るという層にとっては資源が枯渇するだとか絶滅の心配があるといった話はあまり訴求力がないものです。
その点で絶滅危惧種を保護しようと言うのであれば、それを捕っても仕方がないというくらいに商業的価値を引き下げていくことも今後一つのアプローチになるのでしょうが、例えば先日出たばかりのウナギの完全養殖に成功なんてニュースも、昨今資源枯渇が懸念されるウナギの稚魚保護の意味でも今後大きな意味を持ってくる話だと思いますね。
そしてまた、先日のシーシェパードのクロマグロ漁妨害宣言以来改めて注目されるようになった日本の誇るクロマグロ完全養殖技術ですけれども、いよいよ商業化が始まった近畿大学とはまた別なチャレンジでクロマグロ資源保護への試みを続けているという点で、非常に注目されるのがこちらの(タイトルが)怪しい記事です(笑)。

【知る】 サバ「妊娠しちゃった…それもマグロを」 東京海洋大学「産んじゃえ」 (2010年03月28日カラパイア)

 クロマグロ禁輸の動きが強まっている。国際取引を禁止しようとしたワシントン条約の締約国会議は何とかしのいだが、いつ再燃するかわからない。トロが食べられなくなるのも時間の問題かと覚悟していたら、意外な救世主がいた。なんと、サバにマグロを産ませて増やそうというのだ。

 マグロは1回に数十万個の卵を産むが、自然界では成魚になれるのは限りなく0に近い。しかし、もし水槽で1年ほどで育つサバにマグロを産ませることができれば、マグロの稚魚を大量にしかも安く得られる。養殖に役立つだけでなく、海に放流すれば取りすぎた天然マグロを絶滅から救うことができる。

 でも本当にそんなことができるのだろうか? たとえ生まれても、サバマグロみたいな変な魚にならないのか?

「大丈夫。サバの腹を借りてマグロの卵を育てようというもので、生まれた赤ちゃんは正真正銘のクロマグロです」

 12年近く、この研究に打ち込んできた東京海洋大学准教授(水産学)の吉崎悟朗さん(44)はニッコリ笑って説明してくれた。

 親マグロの体内には、メスなら卵のもとになる卵原細胞、オスなら精子のもとになる精原細胞がある。これをサバの体内に移植して根付かせることができれば、サバの卵巣にマグロの卵が、サバの精巣にマグロの精子ができる。こんなサバのメスとオスが出会えば、カップルとなってせっせとマグロの子作りをしてくれることになる。

 しかし、移植には拒絶反応がつきもの。人間の臓器移植と同様に、マグロの細胞をサバが簡単に受け入れるわけがない。

「ところが生まれたての赤ん坊のサバなら、この拒絶反応がほとんど起きないことがわかったのです」

 赤ん坊のうちにマグロの卵原細胞や精原細胞を注入しておけば、そのサバが大人になるとマグロの卵や精子を作ってくれる。不妊処理をしてサバ自身の卵や精子を作らないようにしてから注入すれば、そのサバはひたすらマグロの卵と精子だけを作り続けることになる。

 とはいえ、体長5ミリにも満たないサバの赤ちゃんの腹のどこに卵巣や精巣があるか、わかるのだろうか。そもそも、サバの赤ちゃんの性別はどうやって判別するのか。間違ってオスの赤ちゃんに卵原細胞を入れたりしたら、大変なことになりはしないか。

 吉崎さんは再びニッコリ笑った。実はマグロの卵原細胞も精原細胞も、自分で卵巣や精巣を探して移動する能力を持っている。小さな注射針で腹に入れてあげれば、あとはアメーバのようにサバの体内を動いていく。しかも、卵原細胞が精巣にたどり着けば精原細胞に、精原細胞が卵巣にたどり着けば卵原細胞に、きちんとあとから変化するのだという。吉崎さんは言う。

「魚類の生殖細胞にはもともと、こうした高い柔軟性があるようなのです」

 まさに生命の神秘としか言いようがない。吉崎さんたちのこの発見は2006年に米国の学会誌に掲載され、大きな反響を呼んだ。

 この原理を使って7年前、淡水魚のヤマメにニジマスの卵や精子を作らせることに成功。2005年からは、今度はサバにマグロを産ませる研究に着手した。

 当初、サバへの移植がなかなか成功しなかった。マグロは南の魚だが、日本のサバは北の魚だ。サバが育つ水温の低さが、マグロの細胞に影響している可能性があった。そこで南方にすむ別の種類のサバを使ってみたところ、昨年9月、サバの体内にマグロの精原細胞がきちんと根付くところまでこぎつけた。今春から、いよいよサバにマグロを産ませる段階に入る。

 ということで、「身から出たサビ」ではなく「サバから出たマグロ」が食べられる日はそう遠い未来ではないようだね。

ま、実のところこの記事のイカしたタイトルだけで今日のメインディッシュに決定!という話なんですが(苦笑)、まさか自分がマグロの子を次から次へと産んで行くことになるとは当のサバも知らぬが仏ということ、なんでしょうかね?
真面目な話としてみると、近畿大がクロマグロの生活環を養殖環境の中で再現する技術を実用化した、そしてこの東京海洋大学ではその供給元となるマグロ稚魚の大量確保のルートを開発しようとしているわけで、お互いに補完的なものと成り得るだろうし、既存の蓄養施設をそのまま利用して一気に大量生産にも回せそうですよね。
マグロなんて日本人の食生活にはクジラ以上に浸透している重要な食材の一つですけれども、その日本が率先してこういう技術を開発して資源保護に役立ち、産業としても非常に高い将来性が見込めるということになれば、これは日本にとっても世界にとっても大変喜ばしい話だと思いますし、海狗もこういうところに持ち前の資金を投資した方がマグロ漁の妨害などより遥かに人類社会にも地球環境にも貢献できるんですがね(笑)。

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