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2010年4月 6日 (火)

足りなければどこかから引っ張ってくれば…色々とイイコトもあったり?

年度末から年度初めへと移り変わるこの時期、どこの世界でも色々と大変な話が多いと思いますけれども、大変な話も一歩引いたところから眺めてみるとこれが結構面白い話ともなってくるものです。
先日は仙谷国家戦略相の外国人医師受け入れ制度緩和発言がありましたが、昨今流行りの規制緩和の流れと一見絡んでいるようでいてよく見るとあれれ?と思ったのが少し前に出たこちらのニュースです。

外国人看護師、国家試験合格はわずか3人 日本語が壁(2010年03月28日AFP)

【3月28日 AFP】厚生労働省は26日、経済連携協定(EPA)のもとでインドネシアとフィリピンから受け入れた外国人看護師のうち3人が、日本の看護士国家試験に合格したと発表した。

 合格したのはインドネシア人2人とフィリピン人1人で、受け入れ事業が始まってから初の合格者となった。しかし残りの251人は不合格となった。全員が母国ですでに看護師の資格を持っているので、日本語が壁になったとみられる。同じ試験を受けた日本人受験者の合格率は約90%だった。

 高齢化が進むなか看護師不足を緩和するため、日本は2008年から両国から看護師を受け入れている。

 外国人看護師は日本国内で最長3年間、補助的な業務に就き、看護師国家試験の受験準備をすることが認められている。入国から3年以内に合格できなければ帰国しなければならない。

以前から人材不足が言われている(ただし、これも実のところ問題なしとしない話ではあるのですが…)看護師業界ですけれども、かねて期待の星と目されていたあの外国人看護師受け入れ制度もやってみれば予想通りだったというのがこちらのニュースですが、これも背後関係が色々と言われている話でもありますよね。
記事中ではあっさりと「入国から3年以内に合格できなければ帰国」なんて書いていますけれども、一昔前ならとんでもない差別的待遇だとか大騒ぎになっていそうな話がすんなり通っているのは、元々が外国人看護師を「受け入れない」ための制度であったからという事情があったわけですね。
そもそも制度が始まった時点であちこちが「いやうちもお願いします」と手を挙げてくるかと思いきや、実際には予想をはるかに下回る求人しかなかったといったあたりで「あれれ?」な話でしたけれども、制度の実態を見れば見るほどこの制度、現場の人材不足解消などが目的ではなく国際関係への配慮とその他の利権付加という、別口のメリットを期待してのものであることが見えてきます。

誰のためにもならない外国人看護師受け入れ制度(2010年03月09日リベラルタイム3月号 特集「医療」の貧困)

アジアから看護師を受け入れた後、厳しい条件を突きつけ、短期間で帰国に追い込む。背景には看護の現場を無視した官庁の利権争いが…

 二〇〇八年に始まったインドネシアからの看護師・介護士の受け入れが三年目を迎えた。過去二年間で来日した看護師らは、五百六十九人。〇九年には、フィリピンからも三百十人が受け入れられた。今年は、両国から最大で一千百九十人が来日する見込みだ。

受け入れ施設にはメリット少

 インドネシアとフィリピンからの看護師・介護士の受け入れは、日本が両国と個別に結んだ経済連携協定(EPA)に基づく措置だ。ベトナムやタイといった他のアジア諸国も看護師らの受け入れを日本に求めており、近い将来、受け入れ数が急激に拡大する可能性もある

 しかし、看護師らの受け入れは決して順調に進んでいない。インドネシアとフィリピンから当初の二年間で、一千人ずつの看護師・介護士が来日するはずだったが、実際の受け入れは六割程度に留まっている。外国人の採用に手を挙げる施設や病院が集まらないのだ。

 雇用情勢が悪化した現在も、看護や介護の現場では、人手不足は依然として深刻だ。外国人の助けを借りたい施設は少なくないが、いざ受け入れとなると二の足を踏んでしまう。施設側にとって、彼らを受け入れるメリットが乏しいからだ。

 まず、言葉の問題がある。日本語能力は、看護師らの来日条件に含まれない。これまで受け入れられた人材も、来日が決まるまで、全く日本語を学んだ経験のない者が過半数を占める。実際に仕事を始める前、半年間の日本語研修を受けるが、それだけでは即戦力として使える語学は身につかない。

 受け入れ施設としても、長期にわたって働ける人材であれば教育する意味もある。しかし、看護師は入国から三年以内、介護士は四年以内に日本語で国家試験を受け、不合格になれば強制帰国となる。試験は、外国人が仕事の合間に勉強して合格できるレベルではない。大半の看護師らが試験に落ち、短期間で帰国となることが見込まれる

 施設側の金銭的な負担も大きい。受け入れ前だけで、看護師らの斡旋手数料や日本語研修費等で一人当たり六十万円近い費用が必要だ。そして仕事を始めた後は、例え戦力にならなくても、日本人と同等以上の給料を支払わなければならない。これでは、受け入れに手を挙げる施設が少ないのも当然だろう。

厳しすぎる条件

 そもそもEPAによる看護師らの受け入れは、現場の人手不足とは全く無関係のところで決まった経緯がある。その決断を下したのは、郵政民営化で名を馳せたあの小泉純一郎元首相だ。

 小泉首相(当時)は〇六年、アロヨ・フィリピン大統領との間で、看護師らの受け入れを含むEPAに合意した。フィリピンは国民の十人に一人が海外で働く出稼ぎ国家である。かつて日本にも、ホステスとして働く女性を中心に、年十万人ものフィリピン人が来日していた。しかし〇五年、日本政府は彼女たちへの「興行ビザ」発給を実質的に止めた。するとフィリピン側は、ホステスに代わる出稼ぎの手段を確保しようと、欧米諸国等へ送り出してきた実績のある看護師・介護士の受け入れを求めてきた。

 この要求に日本側も応じた。フィリピンへの産業廃棄物の持ち込み問題等、他のEPA案件を有利に進めたい思惑があったからだ。つまり、外国人看護師たちの受け入れは『ホステス』の代わりに、『ゴミ』の持ち込みとバーターで決まった訳である。

 〇七年には、小泉政権を引き継いだ安倍晋三政権が、インドネシアとの間で看護師らの受け入れに合意。こうして、なし崩し的に決まっていく看護師らの受け入れに対し、慌てたのが、外国人労働者の導入に消極的な厚生労働省である。次善の策として、外国人の就労が、長期化しないよう足かせを設けた。それが「国家試験合格」という極めて厳しい条件なのである。ちなみに、EPAで来日する外国人看護師たちは皆、母国では看護師の有資格者だ。介護士が合格を求められる「介護福祉士」という資格は、日本人には取得が義務づけられていない。

官僚だけが得をしている

 一方で厚労省は、傘下の社団法人「国際厚生事業団」(JICWELS)を通じ、看護師らを施設に斡旋する権利も得る。施設側が看護師ら一人の斡旋につき、JICWELSに支払う手数料は、約十四万円。JICWELSにとっては大きな利権だ。

 外国人看護師らの受け入れには、多額の税金も投入されている。その額は、過去二年間で約四十三億円に上る。一人当たり五百万円近い金額だ。その大半は、看護師らが就労前に受ける日本語研修の予算である。日本語研修は、厚労省と並んでEPAに関わる経済産業省と外務省の天下り法人が担当する。こうして三つの官庁が、看護師らの受け入れ利権を山分けしているのだ。

 二〇一〇年度予算では、経産省の約二十億円に加え、厚労省が前年度の十倍以上の約九億円を要求している。国家試験に挑む看護師らの勉強をサポートするための予算だという。だが、「国家試験合格」という無茶な条件を定めたのは、他ならぬ厚労省である。そのハードルをクリアさせるために税金を求めるというのは、まさに・マッチポンプ・というしかない。しかも受け入れ施設の間では、「いくらカネを使っても国家試験の合格は無理」という声が大勢を占める。つまり、短期間で帰国して行く人材に対し、さらに税金が無駄に遣われようとしているのだ。

 現状の受け入れスキームは、新たな利権を得た官僚機構を除けば、誰のためにもなっていない。看護・介護の現場には、外国人労働者は必要なのかどうか ──。肝心の議論を避けたまま、税金の無駄遣いが続いている。

外国人スタッフ受け入れの是非という問題はまた置くとしても、やはりそもそもの経緯で人材を「受け入れない」ことを目的として制度設計されている、そしてそこには例によって天下り法人が絡んできては分け前をさらっていくという話になれば、どちらの国側の人間であれ真面目に看護を考えている人間こそいい面の皮と言う話ではありますよね。
この辺りで似たような話はいくらでもあって、例えば昨今なにかと話題の特定看護師制度などを見ても、制度自体の是非や必要性の議論もさることながら、さりげな~く「第三者機関の設立」云々という話が紛れ込んでいるのは指摘されているところですよね。

厚労省、特定看護師制度試行へ 医師の指示で傷口縫合も(2010年3月20日47ニュース)

 医療の質向上と医師の負担軽減に向けたチーム医療の推進について協議する厚生労働省の検討会は19日、専門的な臨床実践能力を持つ看護師が、医師の指示の下で傷口縫合などの医療行為を限定的に行う「特定看護師制度」導入を柱とする提言をまとめた。

 同省は2010年度以降、モデル事業を開始。実態調査を行い、業務内容の範囲や法制化の是非についても検討する。

 日本看護協会は、高水準の看護ケアを提供する看護師を「専門看護師」として認定する制度を実施しているが、特定看護師制度は、医療行為まで担う新たな試み。同協会の坂本すが副会長は「試行、法制化などの段階を踏まえた上で、医学的根拠に基づいて看護師の裁量範囲が広がることに期待している」と述べた。

 検討会は、特定看護師の要件として(1)一定期間の実務経験(2)養成を目的として第三者機関が認定した大学院修士課程を修了-などを満たす必要があると指摘。

 医師の指示に従い、胸の単純エックス線撮影の実施時期の判断、人工呼吸器装着時の気管内挿管など特定の医療行為を実施するが、業務の範囲については「専門的、実証的な調査を行った上で決定する必要がある」としている。

この辺りの話、もちろん制度そのものが実効性を発揮して機能し現場を改善してくれる限りにおいてはおこぼれに集る寄生虫の出現もまだ許せますけれども、現行案の特定看護師制度なるもの自体がまともな臨床現場にいる多忙な看護師にとってはあり得ないような要件を要求しているわけですから、暇を持て余した大学茄子の箔付けが目的ででもなければまたぞろ利権の方が主目的かと勘ぐられても仕方がないところでしょう。
その点から言えば先日は長妻厚労相の口から仙石氏の外国人医師受け入れ発言について「課題の一つだが、具体的にどういう場面で必要性が出るかなど論点整理が必要だ」なんて消極的なコメントが出たと言いますけれども、昨今厚生官僚との関係修復が行き過ぎて?既に単なる拡声器か?なんてことも噂される長妻氏の発言だけに、それを言わせている主体の意図が気になるところですね。
これで唐突に「それでは外国人医師の適性をきちんと検証するために第三者機関で審査しましょう」なんて話が出てきた挙句に、関係各位が急に手のひらを返したように賛成に回るなんてことが起こってくるようなら、それはそれで分り易すぎて笑える話だとは思うのですけれども…

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コメント

外国人看護師 日本語を非関税障壁にするな
厚生労働省は26日、経済連携協定(EPA)のもとでインドネシアとフィリピンから受け入れた外国人看護師のうち3人が、日本の看護士国家試験に合格したと発表した。
合格したのはインドネシア人2人とフィリピン人1人で、受け入れ事業が始まってから初の合格者となった。しかし残りの251人は不合格となった。全員が母国ですでに看護師の資格を持っているので、日本語が壁になったとみられる。同じ試験を受けた日本人受験者の合格率は約90%だった。

我々日本人は、英語を通して世界中の人々に理解されている。
かな・漢字を通して理解を得ているわけではない。
我が国の開国は、英語を通して日本人が世界の人々から理解してもらえるかの努力に他ならない。
我が国民のメンタリティを変えることなく、ただ、法律だけを変えて交流したのでは、実質的な開国の効果は得られない。
この基本方針を無視すると、我が国の開国も国際交流もはかばかしくは進展しない。
この基本方針に関して、我々には耐えがたきを耐え忍びがたきを忍ぶ必要がある。

英米人は、「我々は、どこから来たか」「我々は、何者であるか」「我々は、どこに行くか」といった考え方をする。
我々日本人にしてみれば、奇妙な考え方であるが、彼らにしてみれば当然の考え方になる。
それは、英語には時制というものがあって、構文は、過去時制、現在時制、未来時制に分かれているからである。
3時制の構文は考えの枠組みのようなものとなっていて、その内容は白紙の状態にある。
その穴埋め作業に相当するものが、思索の過程である。

ところが、日本語には時制というものがない。
時制のない脳裏には、刹那は永遠のように見えている。
だから、構文の内容は、「今、ここ」オンリーになる。新天地に移住する意思はない。
思索の過程がなく能天気であるので、未来には筋道がなく不安ばかりが存在する。
TPPの内容に、行き着く先の理想と希望がないので改革の力が出せない。

必要なものは自分で手に入れるのが大人の態度である。
だのに日本人には意思がない。それで、意思決定はできない。無為無策でいる。
常に他力本願・神頼みとなる。
意思がなければ、意思疎通もはかどらない。それで、察しを遣う。
だから、日本人の独りよがりは避けられない。

http://e-jan.kakegawa-net.jp/modules/d/diary_view.phtml?id=288248&y=2009&m=11&o=&l=30

投稿: noga | 2011年2月12日 (土) 21時09分

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