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2010年4月14日 (水)

いよいよ医療が激変する時代がやってくるか?

久々に大笑してしまったのがこちらの書き込みです。

137 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/04/13(火) 21:42:58 ID:zqZUVC7W0

委員会活動を実践している医師の鏡ですねw

ttp://www.katsakuri.sakura.ne.jp/src/up45890.jpg.html
全労働省労働組合機関紙「全労働」2010年4月10日・第1968号より
霞ヶ関一丁目
(朝日新聞で言う天声人語みたいな位置づけになります)

腰椎にヘルニアを抱えている。患ってから既に8年ほどになるが手術はしたことがない▼
この間、大きな悪化もなく、上手に付き合えていると思っていた。しかし先日、痛みと同時に右足が痺れ
力がまったく入らず、歩けなくなってしまった▼
通っている病院が休診だったこともあり、噂を聞いていた総合病院の整形外科を訪ねた。医師は症状を聴き、
開口一番「あなたはどうしたいの」。訳がわからず「どういうことですか」と尋ねたが、「あなた自身は
どうしたいの?薬がほしいの?牽引したいの?手術したいの?
」と言う始末。さすがにムッときたので「医学の知識がないのでわかりません。医師であるあなたが診察し判断なさるのでは?」
と問いただした。医師はカルテの基本事項を見ながら「厚生労働省ねぇ、言うことも官僚的だねぇ」
医師が公務員を嫌いなのか、厚労省と何かあったのかは知る由もないが、公務員であることを
これほど嫌に思ったことはなく、悔しい思いで病院を後にした▼
いま国民生活が大変であることが、あたかも公務員に原因があるかのようなまやかしが蔓延っている。
公務員が担っている重要性が正しく世論に伝わる運動をしたい。

まあ仮にも厚生労働省という場所に長年巣食っていながら、八年も患っている持病ですら何の知識もないと自慢しつつ「公務員が担っている重要性」云々もどうなのよと思いますが、医者の方は医者の方で「医者であることをこれほど嫌に思ったことはなく、悔しい思いで」日々奴隷労働に勤しんでいるわけですから、お互いこれ以上不愉快な思いをしないためにも二度とそんな病院を訪れない方がよろしいかとも思いますね。
しかし一方でこういう話を聞くと確かに時代が変わったという気がしてきますけれども、そこらの一介の臨床家が自らの行為の社会的意味というものを考え始めているということであれば、行為自体の是非は別としてもこれは良い傾向なのではないかと言う気がします。
医療は消防や警察などと同様に経済原則を半ば無視した社会的インフラであるという意見がある一方で、現実問題として診療を通じて利益を上げ職員の雇用を守る民間団体によってその多くが支えられているという側面もありますから、勤務医と言えども常に社会との関わりというものにも関心を向けていなければならないはずなんですよね。

その面から考えていくと、昨年度も例によって医療機関の倒産がまたぞろ過去最高を更新したとか、自治体からの拠出金を繰り入れても相変わらず公立病院の大半は相変わらず赤字であるとか、何やら医療は不採算分野の代表のようにも見える昨今ですけれども、実のところこれは保険診療に依存した従来型の医療に限った話なのかも知れません。
サプリメントなどと呼ばれる健康食品の売上は今や食品産業の牽引車になりそうな勢いですし、保険診療適応外の美容整形市場も拡大の一途をたどっているというくらいですから、天下の毎日新聞が「元気格差! 医療格差! 行き着くところは寿命格差?」と嘆いてみせるのもむべなるかなといったところでしょうか。

世間では医療こそ次の成長戦略の基幹産業だと期待も高まっている気配がありますし、あちらでもこちらでも「医療はこうあるべきだ!」なんて話が飛び出してきていますけれども、産業としての医療の成長戦略を思い描くなら、どうしても国庫の縛りがきつい保険診療の軛から抜け出して行くことを念頭に置かざるを得ない一方、今や現場スタッフの大多数は皆保険制度下での医療しか知らないという現実があります。
例えば先日は行政刷新会議の分科会で混合診療の原則解禁が掲げられたなんて話を取り上げましたけれども、混合診療を大々的に導入するなら医療を提供する側、受ける側を問わず、医療は万人に対して平等であるべきという建前だとか、金がなかろうが踏み倒しの常連だろうが来たら診なければならないという応招義務なんてものを捨てなければ、絶対に現場で大きな混乱が起こるはずなんですよね。
このあたりの現場の状況といったものも想像しながら、平素医療の現場とは縁遠いだろう諸団体の掲げる医療戦略というものを見ていきますけれども、まずは最近何かと逆境とも言う経団連のお話をうかがってみましょう。

医療・介護の成長産業化、社会保障目的の消費増税を提言―日本経団連(2010年4月13日CBニュース)

 日本経団連は4月13日、医療・介護関連産業を成長産業として育成することや、社会保障費の増加に対応するために消費税率を段階的に引き上げることなどを盛り込んだ提言を発表した。日本経団連の担当者は、「経済界の考えとして、政府が6月に策定する『新成長戦略』に反映させてもらいたい」としている。

 「豊かで活力ある国民生活を目指して―経団連成長戦略2010」と題した提言書では、経済成長の実現に向け、▽健康大国▽環境・エネルギー大国▽アジア経済▽観光立国・地域活性化▽科学・技術立国▽雇用・人材―の6項目の戦略を提示。このうち、健康大国戦略では、「公的な医療・介護保険に過度に依存する発想を転換することが重要」として、医療・介護産業の成長産業化を盛り込んだ。

 医療分野ではまず、高度先進医療や未承認薬など利用者が求める医療サービスへのアクセス制限を緩和し、保険診療と保険外診療の併用制度や自由診療など、サービス提供者による価格決定が可能な診療領域を拡大する必要があるとした。
 また、革新的な医薬品や医療機器の研究開発を促進するため、医薬品や医療材料の価格決定の在り方の見直しや、承認審査の迅速化などに取り組む必要があると指摘。ICT(情報通信技術)の活用によって医療機関同士のネットワーク化を推進し、効率的な医療提供体制の基盤を整備するとともに、医療データを活用し、医療水準の向上を図ることも重要とした。レセプトオンライン請求の完全義務化は、「改めて推進する必要がある」とした。
 さらに、海外から患者を日本に呼び込む「メディカルツーリズム」の重要性も指摘。日本の医療技術の高さや安全性を海外にPRするため、現在亀田メディカルセンター1施設にとどまっているJCI認証の取得推進に積極的に取り組むことを盛り込んでいる。

 介護分野では、民間事業者の事業参画を促進し、サービスの供給を拡充すべきと指摘。介護施設や居住系サービスの再編などを検討する必要があるとしたほか、民間事業者を支援し、有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅などの居住系サービスを拡充するため、規制緩和や公的融資の創設を推進すべきとした。
 また、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を続けるために、訪問診療や訪問看護、夜間を含めた訪問介護や小規模多機能型居宅介護など、在宅療養サービスの拡充が求められるとした。このほか、介護ロボット実用化に向けた研究の推進などを盛り込んだ。

■消費税、社会保障を支える安定財源に
 また提言では、税・財政・社会保障の一体的な改革についても言及した。これまでの政策について、「消費税率の引き上げをはじめとする歳入確保を先送りにしてきたことで、税、財政、社会保障の改革は迷走し、安心で中長期的に持続可能な社会保障制度が確立できなかった」と批判。その上で、「消費税は社会保障制度をはじめとするセーフティネットを支えるための安定財源として最もふさわしい税」と指摘し、2011年度から最低10%にまで段階的に引き上げる必要があるとした。
 さらに、公平・適正に所得を把握するため、住民票コードや社会保障番号などを活用し、社会保障給付や納税などに利用できる番号制度を早期に導入すべきとした。

混合診療導入や電子化推進など、概ねどこかで見たような議論の焼き直しといった印象ですけれども、こうして見ていくと政府などで過去に繰り広げられてきた医療行政の議論にも、経団連あたりの意向がずいぶんと反映されていたんだなと改めて思うところですよね。
介護にしてもそうですけれども、やはりここでもキーワードになっているのは規制緩和と言う名の患者自己負担拡大による医療の推進ということであって、国や財政界が医療費の増大をああまで忌避してきたのが国庫支出や企業負担の増大を懸念するからであった以上、混合診療解禁による自由価格制度下での成長であれば彼らとしてもウェルカムであるということがよく判る話ではあると思います。
一方ここで注目しておくべきところは「メディカルツーリズム」なる単語なんですけれども、ちょうどこの経団連の提言と歩調を合わせるように官公庁と当の観光業界からこんな発言が飛び出してきていますね。

国際競争力高め、医療ツーリズム推進を―観光庁研究会(2010年03月29日キャリアブレイン)

 観光庁は3月29日、「インバウンド医療観光に関する研究会」(座長=上松瀬勝男・日大名誉教授)の第3回会合を開き、医療ツーリズムを目的とした外国人旅行者を増やすための戦略などについて意見を交わした。今回は、同庁の取り組みを推進するための先駆的な実証事業として実際に外国人旅行者を受け入れた医療機関や旅行会社の関係者が、事業の検証結果や課題を報告した。

 観光庁では、昨年12月から医療ツーリズムを実施する医療機関の受け入れ準備を進める一方、各国の医療機関や旅行コーディネーターのネットワークを通じて旅行者を募集した。その結果、実証計画書を策定した7つの医療機関のうち4医療機関に、いずれも3月に入って中国やインド、韓国から計6人が訪れて内視鏡検査などを受診した。
 このうち、中国から1人を受け入れた国立国際医療センター戸山病院(東京都新宿区)では、人間ドックとPET検査を日帰りで実施した。今回の受け入れについて木村壮介院長は、受け入れる医療機関側が多言語化に対応する必要があるとし、「サービスとしてのドックや検診は、何の症状もない人から病歴などを積極的に聞き出さなければならず、微妙な症状を聞くということにおいて、(多言語化は)非常に大きな課題」と述べた。
 また、国内の仲介会社の医療通訳などを利用して中国から1人を受け入れた伊藤病院(東京都渋谷区)のケースについて、仲介を行った吉田一正氏(日本エマージェンシーアシスタンス株式会社社長)は、受診者の感想として、「日本の病院の清潔さや丁寧さが事前の期待以上だったようだ」と、高い評価を得たことを報告。さらに「(日本の医療の質の高さが)来てみて初めて分かったという声から、(帰国後の)口コミが非常に重要」と述べた。しかし一方で、病院でのマナーや国民性の違いにどう対応するかが課題とし、「(対応によっては)日本人の患者とあつれきを生むことにもなりかねない」との懸念も示した。

 このほか出席者からは、▽MRIやCTの保有率が医療先進諸国と比べても高いが、海外諸国に認識されていない▽国際的な医療水準の指標となるJCIの取得が圧倒的に遅れている▽医師の間に国際競争力を高めようという意識が浸透していない―など、医療ツーリズム推進をめぐる問題点を指摘する声が上がった。研究会ではこうした意見を踏まえて、今後は医療現場の国際競争力をいかに高めていくかを多角的に検討していく。

医療機関による外国人受け入れを支援-JTB(2010年4月9日CBニュース)

 旅行会社大手のJTBは4月9日、外国人患者の受け入れを推進している医療機関向けのサポートサービスをグループ会社のヘルスツーリズム研究所と共同で開始すると発表した。

 医療ツーリズム事業に取り組む新たな部署「ジャパンメディカル&ヘルスツーリズムセンター」を22日に設立。同センターでは予約手続きの代行や通訳、病院への交通・宿泊手配などを担当し、JTBが外国人向けの医療・健診パッケージ旅行を企画・実施する。パッケージ商品は当面、中国語・英語圏内の富裕層をターゲットにする。

 外国人の受け入れ実績が豊富な亀田総合病院と亀田クリニック(千葉県鴨川市)、虎の門病院(東京都港区)、東京ミッドタウンクリニック(同)と既に契約しており、今後は北海道や九州地方などの主要都市の医療機関と提携を進め、各地での受け入れ態勢が整い次第、サービスを順次開始する予定だ。

 医療機関による外国人の受け入れに当たっては、海外から直接予約が入るケースが多く、医療機関側は通訳や予約・精算管理などに対応しなければならないのが現状だ。
 JTBでは「受け入れから検診を実施するまで、医療機関をサポートしたい」と話している。

もともとこの観光庁の研究会なるものは昨年立ち上げられたものだという話ですけれども、近年日本を観光立国としていこうという動きがあった一環としてこういう話が出てきたということのようで、これに乗る観光業界としても最近需要が増している中国圏などからの顧客呼び込みにも使えるという思惑があるのでしょうが、これもただでさえ乏しい医療リソースを外国人に持っていかれるという懸念以外にも問題は山積しています。
医者の場合英語くらいならかなりの水準で意思疎通が可能という人もかなり多いですけれども、実際にアジア圏など多種多様な言語圏の人々がやってくる状況になると観光レベルならともかく、実はまともな診療に使えるレベルでの通訳というものが一番人材不足であるとも言えるんですよね。
同じ言葉が通じる日本人相手ですらインフォームドコンセントがなっていないと有識者の方々(笑)からお叱りを受けるような状況から類推していただいても判ると思いますが、現代の医療現場で求められるコミュニケーションの水準というものは単に言葉が通じれば良いなんてものではありませんから、うっかりすると儲け以上に大きな火種を抱え込む、なんて話にもなりかねないということです。

一方で政権与党たる民主党の方でも近頃では衆院選の頃の熱狂がすっかり薄れたということなのか、ひと頃は過半数に登ったという医療関係者からの内閣支持率もすっかり低迷しているという話もありますけれども、こちらも参院選に向けてマニフェストなるものを用意してきたようで、昨年の衆院選のマニフェストと比較しながら見てみるとなかなか面白いなと思いますね。

医療分野の素案明らかに-民主党参院選マニフェスト(2010年4月12日CBニュース)

  民主党が夏の参院選に向け取りまとめを急いでいるマニフェストのたたき台となる医療分野の素案が明らかになった。新型インフルエンザへの対応策や海外で使われている医薬品が日本で使えない、いわゆる「ドラッグ・ラグ」を解消するための承認審査体制の強化、予防医療の推進などが新規項目に挙がっている。

  厚生労働省が所管する医療分野の政策は、▽新型インフルエンザ等への万全の対応▽日本発の革新的な医薬品等の研究開発推進▽自殺対策の推進▽予防医療の推進―など。民主党「国民生活研究会」(中野寛成会長)の医療分野を担当する分科会は月内に、この素案を基に追加の項目を検討し、同分野のマニフェストの方向性を固める方針だ。その上で、党のマニフェストを決める「企画委員会」に見解を報告する。

  4月12日の厚労省政務三役会議では、党の参院選マニフェスト作りにどのように関与するかが話し合われた。政務三役会議後の記者会見で足立信也政務官は、「国民生活研究会の分科会には、新たに加えていただきたい厚労省の項目を挙げた。来週は、政府と党で整合性の取れない部分があるといけないので、すり合わせをする」と述べた。

  素案では、新型インフルエンザに対応するために、5年以内に全国民分の新型インフルエンザワクチンを約半年で生産可能な体制を構築する。所要額として約1200億円を想定している。ドラッグ・ラグの解消では、審査人員の拡充だけでなく、ガイドライン策定を通じた審査基準の明確化や、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の体制整備が検討課題だとしている。

  自殺対策の推進については、自殺の背景に多く見られるうつ病など精神疾患への地域保健医療体制の整備を進める。予防医療の推進のための具体策では、予防接種制度の見直しや「包括的なたばこ対策」が必要だと指摘し、たばこ事業法を改廃して新たな枠組みを構築するなどとしている。

失礼ながら大盤振る舞いを約束(だけは)していた衆院選の頃と比べるとずいぶんと安くあげたなという印象が拭えないんですが(苦笑)、ここで注目しておくべきは昨今話題のドラッグラグなど医薬品絡みの話題が結構大きく取り上げられているということでしょうか。
先程も出てきました行政刷新会議の分科会でも医療の規制緩和の一つとしてこの医薬品領域は大きく扱われる予定であると言いますが、厚労省の方でもこの四月中にも未承認薬について当座の結論を出すと言っているように、昨今のトピックの一つではあるところです。
ただこの方面においても未だに異論反論も多々あるのは事実で、例えば処方箋なしで薬局で購入できる市販薬(OTC:Over The Counter Drug)の更なる拡大を求める声もある一方、これに対して長妻大臣は慎重姿勢を見せるなど、関係者の間でも今ひとつまとまりきっていないようですね。

【長妻厚労相】スイッチOTC化の拡大に慎重姿勢(2010年4月8日薬事日報)

 長妻昭厚生労働相は7日、医療用成分のスイッチOTC化拡大について、「ふさわしいものがあるのか、ないのかきちっと見極める必要がある」と述べ、安全性の確保や購入者の負担に留意しながら、スイッチOTC化を進める考えを示した。衆院厚生労働委員会で鴨下一郎委員(自民)の質問に答えた。

 鴨下氏は、画期的な新薬を薬価制度で評価すると共に、長期収載成分の多くを一般薬に拡大し、セルフメディケーションに任せる方向性を提示。「ガスターを出せたんだから、それ以外にも山ほどある」と述べ、政治主導でスイッチOTCの大幅拡大を求めた。

 これに対し長妻氏は、「一定のものは必要だと考えている」としながらも、「安全性はいうまでもなく、患者負担が病院の場合と乖離があって、手が届きにくいことにも配慮しなければならない」と、慎重に対応を進める姿勢を示した。

 また、足立信也政務官も答弁し、「長期収載品が、医療現場で必要とされていることも事実として留意すべき」との考えを説明した上で、「ただ、鴨下委員の指摘に関しては、かなりの部分で同意する」と述べた。

仮に長期収載品が保険から外されて薬局で勝手に買って飲めと言う話になりますと、今まで三割とかの負担であったものが全額自費になるわけですから、人によってはまるまる医療費三倍増!なんてことも起こりかねないという話ですよね(そういう薬が必要なのかどうかはまた別問題としても)。
費用の面は置くとしても、どうもこういう医薬品行政の最近の議論を見ていて危ういなと思うのが、何かしら現場感覚とはまた違った話ばかりで議論が進んでいっているように見えるところで、ネット上でも患者側がどこまで自己責任と言うことを認識出来ているのかと危惧する声は根強いようですね。

947 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/04/09(金) 14:35:57 ID:gjRir+mU0

>>946
副作用より、症状をマスクするから、5年飲み続けたら、胃がんがstage IVでした、と言うことを
心配しているのにな、臨床医は。

別にstage IVになろうが最後まで自分の選択に責任を持っていられるというのなら問題ない話ですし、医療とは本来そうした自己選択権と自己決定権が患者側にこそあるのだというのが世の有識者の方々の持論のようですけれども、またぞろおかしな訴訟沙汰になってくるんじゃないかと危惧する臨床医が多いのも現状ではやむを得ないところでしょう。
一方で先日もおいおい…と思ったのがこちらの話なんですけれども、医薬品行政に関わっているブレインの方々がこういう認識で議論を進めているのだとすれば、それは確かに現場感覚と乖離して行くのも仕方がないということなんですかね?

医薬品の安全対策「医療機関が責任を持って対応を」(2010年3月25日CBニュース)

厚生労働省は3月25日、「医薬品・医療機器等対策部会」(部会長=外須美夫・九大大学院医学研究院教授)の第18回会合を開き、医薬品・医療機器の「ヒヤリ・ハット事例」などの収集結果を基に、安全対策について意見を交わした。委員からは、薬剤間違いが頻繁に報告されている事例について、別の薬を採用して事故を防ぐなど、各医療機関が責任を持って対応する必要性が指摘された

この日の会合では、日本医療機能評価機構が昨年6、9月に公表した「ヒヤリ・ハット事例」などについて、医薬品医療機器総合機構が安全管理対策に関して調査・検討した結果をまとめた資料が提出され、それに基づいて議論した。

資料では、医薬品関連の201事例と医療機器関連の91事例を、▽安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要または可能と考えられた事例▽製造販売業者等により既に対策が取られているか対策を既に検討中の事例▽ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例▽情報不足などのため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例―に4分類した。医薬品では、それぞれ3件(1.5%)、5件(2.5%)、 157件(78.1%)、36件(17.9%)だった。

「製造販売業者等による対策が必要または可能と考えられた事例」の3件はすべて、厚労省が2003年から名称が似ているとして注意喚起を行っていた、高血圧症・狭心症治療薬ノルバスクと乳がん治療薬ノルバデックスの薬剤間違いだった。

これについて土屋文人委員(東京医科歯科大歯学部附属病院薬剤部長)は、「例えばノルバスクは併売品も後発品もある。これだけ事故が続き、注意喚起が出されていながら、採用する薬剤を変えずに事故が起きた場合は、その医療機関の薬事委員会が責任を問われる可能性もある」などと指摘し、医療機関側の適切な対応の必要性を強調した。
北澤京子委員(日経BP社日経メディカル編集委員)は、3件のうち1件が高血圧症の男性患者への乳がん治療薬の誤処方であったことについて、「薬剤師が患者に説明していれば防げたかもしれない」などとして、「患者も医療ミスの防止に関与できる余地があるのでは」と述べた。
これに対し厚労省側は、患者への情報提供について、「厳しい義務を負わせるようなことは避けたいが、患者の協力により防ぎ得る事故もあるため、対応を考えていきたい」と述べた。

いや名前が似てるのが判りきってるのにノルバスクを使ったら医療機関の責任だって、それは普通似たような名前を認可した厚労省の責任を問うべきところだろうと突っ込みを入れておきますけれども、商標権とか民業に対する干渉だとか言う議論を抜きにしても、お上ではこういう認識のもとで医薬品の安全対策というものを語っているような方々ばかりをブレインにしているということなんでしょうかね?
いずれにしても患者側にしても「何の薬か判らないけど白い粒」なんて認識が許される時代ではなくなってきているとは言えるわけですが、その点において医薬分業、薬剤の独立ということを訴え実現してきた土屋氏ら薬剤師会の責任こそ今後ますます大きくなってくるわけですから、手にした分に見合った義務くらいはしっかりと果たしていってもらわなければならないでしょうね。

いずれにしても国民皆保険制度下で日本全国どこでも誰でも同じ医療という建前は、ごく近い将来にも撤廃されそうだという流れが半ば既成事実のように語られるようになってきたわけですけれども、この流れを最前線で受け止めることになる医師ら現場の医療スタッフこそ、そうした時代に対応した医療とはどういったものかと言うことを考えておかなければならないでしょうね。
すでにどんな患者でも何でも受け入れます、なんてことを実践している真面目な医療機関ほど経営的には破綻しているという現実がありますけれども、日本も今後は諸外国並に支払不能者の医療問題がますます大きなものとなっていくと考えた場合、今の破綻寸前で青息吐息な大多数の医療機関にそんな不良顧客を受け止めるだけの余力は(仮にその意志があったとしても)既になくなってしまっているわけです。
逆に生保患者を片っぱしから取り込むような医療機関などは、ひと頃は業界内部においても社会的にもひどく評判が悪かったものですけれども、あるいはこれからの時代どこにも引受手のない社会的弱者を診てくれる素晴らしい病院だ!これぞ現代の赤ひげ!なんてもてはやされるようになる、なんて可能性もなくはないですよね。

一国一城の主である開業の先生方はもちろんですが、一介の勤務医であってもそんな時代に自分がどんな医療を行っていくべきなのか、今からしっかりとシミュレーションして傾向と対策を練っておくことが大事なのではないかなという気がしますが、如何でしょうか?

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コメント

連日の力作ご苦労様です。

>金がなかろうが踏み倒しの常連だろうが来たら診なければならないという応招義務なんてものを捨てなければ、絶対に現場で大きな混乱が起こるはずなんですよね。

応召義務の撤廃はせず、罰則などをなくし単なる義務規定ということで厚労省は逃げるのではないかと邪推しています。混合診療を行う病院は法務部を作ることが不可欠となるでしょう。無理に治療をしたとき、自己破産をどうするのかと、この際の病院の対患者への債権を保護することや公的病院の受け入れの仕組みが必要となります。


>「公的な医療・介護保険に過度に依存する発想を転換することが重要」として、医療・介護産業の成長産業化を盛り込んだ。

経団連の提言ですが、これも与党内に似た意見があるのも事実です。もちろん産業として考えればこのようになります。問題は医療費が企業のコストにどう乗ってくるかですが、退職した高齢者層の扱いにすべてかかってきます。経団連では、退職者の医療は企業から切り離すことは当然と思っているとは思います。

>同じ言葉が通じる日本人相手ですらインフォームドコンセントがなっていないと有識者の方々(笑)からお叱りを受けるような状況から類推していただいても判ると思いますが、現代の医療現場で求められるコミュニケーションの水準というものは単に言葉が通じれば良いなんてものではありませんから、うっかりすると儲け以上に大きな火種を抱え込む、なんて話にもなりかねないということです。

前半部分は現行の保険診療にどっぷり浸かった考え方でしょう。保険診療では認められていないですが、こうしたビジネスではインフォームドコンセントも当然コストに乗せていきます。みんな一生懸命やるでしょう。

> あるいはこれからの時代どこにも引受手のない社会的弱者を診てくれる素晴らしい病院だ!これぞ現代の赤ひげ!なんてもてはやされるようになる、なんて可能性もなくはないですよね。

「吹きだまり」での医療者はマザーテレサのような評価を受けるのは当然と思ってはいけない。今の保険診療以上に患者に対して医療者は少なく、待ち堪え忍ぶことを強いられる。社会的弱者となったものは、しばしばこうした時に攻撃的暴力的になります。正直修羅場でしょう。こうした、修羅の世界から脱出したいと思うのが人の常です。こうしてお金持ち病院への医療者の流出といったことがよりはっきりと出てくるでしょう。こうすなると評価の低いものが保険診療の病院に勤めるとなったら、ますます暴力はエスカレートするでしょう。こうした人の最後の砦は個人病院や診療所などになるでしょう。在宅で看取るという時代になっていきます。あとは、保険診療は若手を鍛える場になっていけば意外とうまくいくのですが、これは裁判所が保険診療と自由診療でどのような注意義務を科すかにかかっています。両者の注意義務が同じレベルとすれば若手が鍛える場とはなりにくいです。混合診療導入時に立法処置を考えるべきでしょうか。

投稿: ya98 | 2010年4月15日 (木) 20時58分

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