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2010年4月18日 (日)

今日のぐり:「雪舟庵」

世間の一部ではミリメシなるものに結構な需要があるんだそうで、各国軍のレーションがいい値段で取引されていたりするらしいですね。
一方で先の仕分け作業でも自衛隊関連はずいぶんとあちこち無駄遣いやら経営努力不足やらを指摘されたようですけれども、その流れで多少なりとも自助努力を示すということなのでしょうか、この度こういうものが発売になったということです。

これぞまさに“オカンの味” 海上自衛隊のレシピ集発売(2010年04月11日ORICONグルメ)

 海上自衛隊の食事が艦艇や基地によって異なることは知られるところだが、それぞれの“自慢のレシピ”を集めた料理本が16日に小学館より発売される。『海自レシピ お艦の味』(税別1100円)と題されたこのレシピ集には、海上自衛隊が協力。金曜日の昼食時に出されるカレーのほか、和食、洋食メニューも紹介されている点が特長となっている。

 旧海軍の伝統を受け継いだ“海自カレー”は各艦艇によって個性が異なり、同書では護衛艦「しまかぜ」のビーフカレー、潜水艦「あらしお」の野菜カレー、掃海母艦「うらが」のシーフードカレーなどバラエティ豊かなメニューを各艦艇の写真、データとともに紹介しているほか、ブルーベリージャムや桃缶を使うなどの“裏技レシピ”も披露。そのほか、音響測定艦「ひびき」のマヨネーズと明太子を使った出し巻き卵、潜水艦「ふゆしお」のトマトを使ったもつ鍋、館山航空基地隊のジャージャー麺など、全51レシピが登場する。

 海自は3自衛隊の中で唯一調理を専門とする職種・給養員を育成しており、陸自・空自と比較すると抜群においしいと言われる。旧海軍も『海軍割烹術参考書』『第一艦隊献立調理特別努力週間献立集』などのレシピ本を作成したことがあるほどで、“海軍カレー”は現在、神奈川県横須賀市の町おこしにも使われている。

いやしかし、これが”オカンの味”っていったいどういう…まあ、いいんですけれどもね、母は強しなんてことも言うわけですし。
最近では例のB級グルメブームもあってか、海自に限らずミリタリーにちなんだ料理というものもあちこちで開発、復活しているということですけれども、こちら何やらそれなりに由緒あるメニューが再登場しているという話も紹介してみましょう。

乃木大将のうどん復活、“讃岐”ルーツ説も(2009年12月4日読売新聞)

 乃木希典が、1898~1901年に初代師団長を務めた陸軍第11師団(香川県善通寺市)で考案、部隊食に導入したとされる「乃木うどん」が3日、陸上自衛隊善通寺駐屯地(同)の給食で約1世紀ぶりに再現された。

 力が出るようにと、讃岐うどんに餅と鶏肉をのせている。兵士が休日に盛んに近くのうどん屋に出入りしていることを知った乃木が、栄養価を高めて部隊食にするよう発案したことを、元自衛官の前川清・武蔵野学院大教授が突き止め、論文を発表。その中で帰郷した兵士の一部が店を開き、讃岐うどんを広めたとの説も展開した。その論文などをもとに同駐屯地が献立に採用した。

 この日は隊員約1000人が食べ、「おいしい」と評判は上々。同駐屯地の松井俊彦司令は「駐屯地の名物献立として定着させ、機会があれば広めたい」と普及に意欲満々だった。

東郷平八郎の肉じゃが伝説は今やすっかり有名になりましたけれども、司馬史観のおかげか昨今すっかり人気の無い乃木将軍もこうして再び世間の脚光をあびるようになるものなんでしょうかね?
一方では新しいメニューも各地で開発されているわけですが、見ていますといささか無理筋かなと思えるようなものもあるようですね。

黒船ペリーにちなんで、地サイダー「横須賀ペリーサイダー」販売(2010年03月29日横須賀経済新聞)

 横須賀市観光協会(横須賀市小川町11)は3月28日、「黒船来航」「開国のまち」にちなんだ地サイダー「横須賀ペリーサイダー」の販売を始めた。 350ミリリットル入りで1本150円。

 幕末の嘉永6(1853)年、米国・ペリー提督率いる黒船が浦賀に来航した際に飲料水の一部として「炭酸レモネード」(レモン風味の炭酸水)を積んでいたと伝えられる。同協会では「これが日本に炭酸飲料が伝わった最初という説が有力。ペリーも飲んでいたといわれる炭酸レモネードをイメージして作ったもの」という。

 ペリーサイダーは、名水として知られる「走水湧水」を一部使用し、炭酸とレモン果汁を加えてすっきりとした味に仕上げた。

 同日開催された「日米親善スプリングフェスタ」に合わせて三笠公園・走水水源地でお披露目されたほか、YYポート横須賀・ヨコスカドブイタステーションでも販売する。製造元は川崎飲料。販売数量は1万8,000本。

ペリーの炭酸レモネードをイメージしてですか…しかしいくら地サイダーと言っても特別難しい原料を使っているようでもない割に、昨今のデフレ時代にありながら350mlで150円というこの半端な値付けはどうなんでしょうね?
まあ、そうは言ってもご当地ものとしては値段も安いでしょうから、ネタ半分でそれなりの需要はあるのかも知れませんが、あまりにやりすぎるとさすがに世間もついて行けないという事例がこちらです。

「独創すぎ」海軍コロッケ迷走…青森(2010年2月9日読売新聞)

具材ウニ、ブルーベリー…「独創すぎ」

 下北地域のB級グルメ「大湊海軍コロッケ」に個性豊かな味が続々と登場し、「乱立しすぎて定番がない」とまゆをひそめる懸念派と、「食べ比べが楽しめる」とする歓迎派で意見が分かれている。東京・原宿で先月開かれた青森PRイベントで販売され、首都圏に“進軍”したコロッケも、その針路は定まっていない。

 海軍コロッケは、県下北地域県民局が旧海軍の調理法をもとに、認定制度をつくった。海軍のレシピでは、塩とこしょうで味付けしたジャガイモとひき肉を、牛脂「ヘット」だけで揚げるとされるが、認定の条件はヘットを使用し、主材料に下北産の食材を使うこととした。

 この結果、これまでに認定された海軍コロッケは、ホタテやイカ、ウニなど海の幸を始め、カボチャやブルーベリージャムを主原料にしたものまで45種類。県民局は「普及させるには、できるだけ多くの店でつくってほしいし、食べ比べする楽しみも増える」と、幅広いジャンルを歓迎する。

 しかし、申請のあったすべてが認定され、さらに審査員からは、「味や具材がそれぞれ独創的すぎて、せっかくの新鮮な地場食材の魅力が半減してしまっている」との声もあがった。海軍時代の味とかけ離れ、定番のないことに首をかしげる関係者もいる。

 B級グルメの先輩格で、「八戸せんべい汁研究所」の事務局長木村聡さん(45)は「観光客は『これぞ』という定番の味を求める。ベーシックな味がないと発信力も弱まる」とアドバイスする。

何やらこの大湊海軍コロッケなるもの、ブログまであったり県庁HPにも最新情報が掲載されていたりと大変な売り込み中なんだそうですが、もはやここまで来ると何がなにやらという状況ではないでしょうか。
こういうのを「過ぎたるは及ばざるが如し」と言うのでしょうが、さすがに一度始めたものをいきなり切って捨てるわけにもいかないでしょうから、今後きちんと売り込みをしていけるかどうかが新名物定着の鍵になるんでしょうかね?

今日のぐり:「雪舟庵」

窓から見えるのは間近に迫った海、そしてその向こうには有名な名勝地の天橋立…と、とにかく店内からの眺め最優先で建てられているのだなと思わせるのがこちらの寿司屋ですが、ここに到るまでの道程はそう単純なものではありませんでした(苦笑)。
何しろ店舗写真だけを見ているといかにも今風のおしゃれな寿司屋っぽく見えるところですが、これが目立ったアクセス道路もなく幹線道路からも離れた海べりにポツンと建っているわけですから、その周囲からの浮き具合は推して知るべしですよね(苦笑)。
来てしまえばこの景色が目的かと確かに納得なんですが、訪問する段階でずいぶんと迷ったくらいに意外性?のあるこの立地には驚くしかありませんし、これはGPS全盛時代だからこそ成立する店ということなのか?と妙なところに感心してしまった次第です。

同行者とお揃いで「雪」と名付けられたにぎりずしのセットを頼んでみましたが、テーブル席で人数も揃っていたせいか一人前ずつではなく皆の分を寿司桶に入れて持ってきたのにはちょっと新鮮さがありましたね(この場合、頼めば盛り込みにもしてくれるのでしょうか?)
ぱっと見で目に付くのが今どきの寿司屋にしては珍しいくらいに寿司種が小ぶりだなということなんですが(もっとも、昼の定食などネットの写真を見た限りそこまでの印象は受けませんから、この日あるいはこのセットに限った話なのかも知れませんが)、寿司としての問題は一昔前の回転寿司を彷彿とさせるシャリの方にあるようで、いわゆるネタとの一体感とか口に入れるとホロリと溶けるなんてことはありません。
ネタ自体は特に珍しいものでもなくありきたりという感じもしますけれども、いずれのネタもまともな寿司屋の基準で評価しても悪くはないレベルで、新鮮な魚介の味、食感は十分楽しめる水準ですよね。
一つづつを小ぶりにしたせいか価格からするとずいぶんと色々な味が楽しめるのは(恐らく主要な顧客だろう)女性客には嬉しいのでしょうが、別な見方をすれば全般に田舎の店に良くあるネタ頼りの味なのかなという印象も拭えないところです。

付け合せに茶碗蒸しや揚げ物、食後のデザートといった一通りの料理が出てくるのですが、どれも基本的な味の組み立てはそう悪くないものの、例えば揚げ物などは全般にもう少し揚げ具合に思い切りが欲しいような仕上がりで、握りを含めてどれも格段感銘を受けるわけでもなく、後になって振り返ってみてもこれだけ色々と食べながら特にこれがと記憶に残った味がなかったのが逆に印象的だったくらいでしょうか。
ちなみにセット以外にも(恐らくその日の仕入れに応じて?)単品のおしながきも結構充実しているのですが、見ていますと焼き物、煮物など定番の料理だけでなくマヨネーズを使ってみたりと、何かとチャレンジしているらしい気配も伺われるのは今風な店構えにふさわしい試みだと思いますし、この点は個人的には前向きに評価しておきたいですね(ただし試しに一つ頼んでみましたが、現時点で味の方はまだ工夫の余地が…)。
それとこれは寿司ネタの選定にも言えることだと思いますけれども、食後のデザートが伊予柑のアイスクリーム(というより、ジェラートですかね)であるところなどを見ても、あまり当地で食べる必然性が乏しそうなものが並んでいるというのはせっかく地のネタも豊富な地域の店なのにどうなのよとも思うのですが、それもあってこの店の場合は寿司より他の料理の方がご主人の創意工夫が楽しめるだけおすすめなのかなとも思うところです。

窓からの雄大な眺め(ただし、日没までの訪店をお勧めします)も含めてお洒落な雰囲気には観光客に一定の需要があるでしょうし、観光地価格込みで考えればコストパフォーマンスも許容範囲、接遇面でも未熟なところは多々見られるものの基本的な心がけは悪くないという印象で、スタッフの士気もそれなりに維持されているらしい点は好印象なんですが、こういう店の評価はなかなか難しいですね。
大都会ならともかくこうした海辺の普通の田舎町であれば、新鮮な土地のネタが楽しめるなんてのはちょいと気の利いた店なら当たり前レベルの話であって、その中でこの価格帯の店であれば付加価値としての何かがなければやっていけないんじゃないかと思いますが、その点では正直さほど感銘を受けるような内容にも乏しかったのも事実です。

多分ご主人には腹さえ膨れれば満足という「観光地の飯屋」を脱したいという志もあると(勝手に)想像するのですが、このネタ、この味であればわざわざここまで出て来なくとも近場の店でも良いんじゃないかと考えた場合に、結局は窓から見える天橋立の存在抜きには語れない店だという意味では、まさしくこれは観光地であるからこそ成立している飯屋だとも言えるわけですね。
観光バスで乗り付けるような団体さん歓迎の店よりはまともなものを食べさせるというだけでも、今の時代ネットで調べてやってくる個人客相手の需要は幾らでもあるのでしょうし、現状でも経営的にはすでに勝ち組と言えるのかも知れませんが、お若いご主人が一料理人としての目線で現状をどう自己評価しているのかですよね。

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