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2010年3月11日 (木)

診療報酬 改訂した結果こうなった?

なんだかんだと言いつつも診療報酬改訂作業が進んで大枠は決まった状況ですが、細かい文言の詳細など未だはっきりしないところも残っているという状況のようです。
特に最近では医療行政の関係者がそれぞれ勝手にしゃべっているような印象もあるところですが、その結果今まで何となくそうだろうと思っていたところが一夜にしてあっさりひっくり返されたり、何か実際に出てきてみたら思っていた話と違う?なんてことになりがちですよね。
以前に診療側委員が不自然な心変わり?を示して急転直下の合意に至った明細書発行の件なども、詳細が出てきてはじめて「なんだ結局そういうことだったの?」と理解出来るくらいによく判らない議論ではありました。

明細書、「正当な理由」あっても患者が求めれば発行(2010年3月5日CBニュース)

 診療報酬明細書(レセプト)並みの明細書の無料発行が、レセプトを電子請求している医療機関に来年度から原則義務付けられるのに伴い、厚生労働省は3月 5日、具体的な取り扱いを通知した。それによると、「正当な理由」があり、義務化の対象から除外される医療機関でも、患者の求めがあれば明細書を発行しなくてはならない

 レセプト電子請求が義務付けられている保険医療機関が領収証を交付する際には、4月1日から、「正当な理由」がない限り、明細書を患者に無償で交付しなければならない。
 通知によると、明細書は「個別の診療報酬点数の算定項目が分かるもの」。具体的には「入院料」などの大まかな区分だけでなく、「一般病棟入院10対1入院基本料」や「救命救急入院料1(3日以内)」といった点数や算定回数などの内容を記載する。
 また、病名告知や患者のプライバシーにも配慮するため、明細書を発行することを院内や会計窓口に掲示し、患者側の意向を的確に確認できるようにすることを求めた。

 義務化の対象から外れる「正当な理由」には、▽明細書発行機能がないレセプトコンピューターを使用している▽自動入金機を使用しており、これで明細書を発行するには改修が必要-の2点を挙げている。
 4月1日現在、電子請求が義務付けられていて、これらに該当する医療機関は、地方厚生局などに4月14日までに届け出る必要がある。
 しかし、こうした医療機関も、患者から発行を求められた場合には交付しなければならない。また、「正当な理由」に該当することのほか、希望する患者には明細書を発行することや、費用徴収の有無などを院内掲示などで明示するよう求めている。

 レセプト電子請求が義務付けられていない保険医療機関に対しては、明細書発行に関する状況を院内に掲示することを求めている。
 発行の際の費用については、実費相当など「社会的に妥当適切な範囲」とし、実質的に明細書の入手の妨げとなるような「高額の料金を設定してはならない」とした。

しかし色々と議論が錯綜した挙句に「正当な理由のない限り、原則として明細書を無料で発行する」という文言に話が落ち着いたと記憶していますけれども、この文言と「正当な理由があっても義務化の対象外でも希望者には全員発行しなければならない」との間には、何かしら微妙に距離があるように感じられるのは自分だけでしょうか?
まあ医療側委員の皆さんも大喜びで賛成した話ですし、患者側代表(ということになっている)委員さんももちろん希望すればいつでもどこでも出せるというのですから文句のつけようがないと思いますけれども、いずれにしても末端医療機関にとっては仕事が増えるという話ではありますよね。

診療報酬改定の目玉として病院側の報酬を手厚くする、この予算を捻出するために診療所への報酬を削減するということが既定の方針として伝えられていて、とりあえず診療所の開業医に対する支払い総額が200億円の減になったということが先日も各紙に報道された通りでしたよね。
当然ながら個々の診療所もその分収入が減って当然という話ですけれども、何かしら厚労省では面白いことを言い出しているようですね。

有床診療所の評価「実質引き上げ」-厚労省担当者(2010年3月8日CBニュース)

 厚生労働省保険局医療課の石井安彦長補佐は3月7日、診療報酬改定セミナー「ベール脱いだ民主政権下の医療改革2010年改定の核心を衝く」(じほう主催)で、地域医療を支える有床診療所への評価について、「実質的には引き上げを行っていると考えていただいてよろしいかと思う」と述べた

 現行では、有床診療所入院基本料で最も高い点数は、看護職員の配置が5人以上の「有床診療所入院基本料1」(7日まで810点)だが、改定後は、看護職員の配置が7人以上の「有床診療所入院基本料1」(14日まで760点)で、50点低くなる。
 石井氏は、「今回の改定で、若干の誤解がある部分もあるかもしれない」と述べ、改定前後の点数を比較した。

 それによると、医師2人、看護職員8人の有床診療所が入院患者を受け入れた場合、現行では「同基本料1」(810点)と「医師配置加算」(60点)を算定すると、全体の点数は870点になる。
 これに対し、4月の改定では「有床診療所一般病床初期加算」(7日まで100点)が新設されるほか、現行60点の「医師配置加算」も要件を満たせば88点に上がり、全体では948点の算定が見込める。

 引き続き行われたシンポジウムでは、全日本病院協会の猪口雄二副会長が講演し、2010年度診療報酬改定の影響を診療所、中小病院などに分けて説明した。
 診療所については、再診料の2点引き下げが決まったものの、「ほとんどの診療所が地域医療貢献加算を取ると実質的には上がる」との見方を示した。また、外来管理加算の「5分要件」も外れたため、「実際はそんなに下がらないのかなという気もする」と指摘した。

 精神科に関しては、「精神科病棟『13対1』入院基本料」の新設により、日本精神科病院協会の内部に、「看護師の奪い合いが起きてしまう」と懸念する声があることを明らかにした。

 また、中小病院への影響については、急性期看護補助体制加算や医師事務作業補助体制加算、一般病棟看護必要度評価加算など、「『10対1』(を算定している病棟)は、取れるものがたくさんある」と指摘。「7対1」の体制を維持するのが困難なため、「『7対1』を『10対1』に落とす病院が増えるのかな、という気がしている」との考えを示した。

いや誤解ならいいんですが(苦笑)、とりあえずここでは全日本病院協会が厚労省の代弁者じみた発言をしているという点に留意ください。
「ほとんどの診療所が地域医療貢献加算を取ると実質的には上がる」と言いますけれども、そうであるなら減収分200億円のお金を他に回すという前提自体が崩壊することになりますから、本当にそんな結果になれば厚労省が財務省に嘘をついたということになってしまうんですけれどもね。
最終的に診療所への支払いは減らなかった、病院への支払いは増えたということになればこれは予算が足りないということになってしまいますけれども、おそら くその辺りの帳尻合わせは加算を申請した診療所への査定でどのくらい切るかといったあたりで調節することになるのでしょうかね?

厚労省とすればいわゆるビルクリをターゲットにしました、真面目な開業の先生方には関係ありませんとアピールしているつもりなのかも知れませんが、こうして言葉を重ねるたびにただでさえ乏しかった厚労省への信用なり信頼なりと言ったものがますます乏しくなっている気もしてきます。
その地域医療貢献加算の件ですけれども、前回も24時間対応の義務化は見送りの方針だとか、複数診療所で組んでのグループ対応でも良いなんて話が錯綜していましたが、最終的にこんな形でまとまってきたということのようです。、

地域医療貢献加算、複数診療所の対応も可(2010年3月5日CBニュース)

来年度の診療報酬改定に関して、厚生労働省が3月5日に通知した施設基準では、再診料の加算として新設される「地域医療貢献加算」(3点)について、複数の診療所による対応でも算定できることが示された。同省では当初、単独での24時間の電話対応を想定していたが、要件を緩和した形だ。一方、「5分ルール」が廃止される「外来管理加算」(52点)では、いわゆる「未受診投薬」を規制する要件が新たに加わった。

地域医療貢献加算は、休日や夜間の患者からの問い合わせに応じている診療所を対象としたもので、来年度の改定で診療所の再診料が2点下がるのに伴い、病院を受診する軽症患者の減少などで勤務医負担の軽減につながる取り組みを評価する形で新設される。

地域医療貢献加算の施設基準は、▽診療所であること▽標榜時間外に、電話などで患者からの問い合わせに応じる体制を整備するとともに、対応者や緊急時の対応体制、連絡先などについて、院内掲示や文書配布、診察券への記載などで患者に周知していること。または、診療所の職員が対応する場合でも、医師に電話を転送できる体制を備えていること▽あらかじめ当番医を決めた上で、複数の診療所が連携して対応する場合は、当番医の担当日時や連絡先などを事前に患者に周知していること―の3点
厚労省が示した留意事項では、緊急病変時などに患者から直接または間接(電話、テレビ映像など)に問い合わせがあれば、必要な指導を行うこととしている。また、周知している電話番号が診療所の場合、転送可能な体制を取るなど、「原則として常に電話に応じること」とし、万が一、電話に出られない時は留守番電話などで対応した後、「速やかに患者に連絡を取ること」を求めている。さらに、相談の結果、緊急に対応しなければならない場合は、外来診療、往診、他の医療機関との連携または緊急搬送など医学的に必要とされる対応を行うことも要件としている。なお、電話再診の場合にも算定できる

■外来管理加算、4項目すべてを満たす必要はない

外来管理加算は、診療報酬で評価されている処置やリハビリテーションなどを行わずに外来患者に計画的な医学管理を行った場合、再診料に加算される。
2008 年度の改定では、▽問診し、患者の訴えを総括する▽身体診察によって得られた所見及びその所見に基づく医学的判断等の説明を行う▽これまでの治療経過を踏まえた、療養上の注意等の説明・指導を行う▽患者の潜在的な疑問や不安等を汲み取る取り組みを行う―の4項目について、おおむね5分を超える診察時間とする「5分ルール」が加わったが、来年度の改定でこれを廃止する。
厚労省が示した留意事項によると、「患者の状態等から必要と思われるもの」を行い、必ずしも4項目すべてを満たす必要はない。ただし、多忙などを理由に患者に必要とされる医療行為を行わず、簡単な症状の確認などで継続処方を行った場合(いわゆる「未受診投薬」)、再診料は算定できる一方、外来管理加算は付かない

一方、レセプト並み明細書の診療所での発行を促進するため、来年度に新設される「明細書発行体制等加算」(1点。再診料に加算)の施設基準は、▽診療所であること▽オンライン、または光ディスクなどで診療報酬を請求していること▽レセプト並み明細書を患者に無料で発行していること。また、それについて院内で掲示していること―の3点。

当初の報道にあった「かかりつけ患者からの電話相談に対応」云々ということで見てみますと、特にかかりつけであることを条件としていない(かかりつけ患者以外への広報も義務化されてはいませんが)ということなんですが、結局はみたことも聞いたこともない相手でも電話がくれば必ず対応しなければならないということでよいわけでしょうか。
一方で24時間対応でなくてもよいという話は一切記載がないようですから、複数施設で対応するということも可と条件を緩和した形で結局24時間の対応はしなければならないということで決着したのでしょうが、いずれにしても診療所の医者に楽をさせるつもりはないという姿勢が明確に出ているというわけでしょうか。
しかし電話再診だけの丸投げは既定路線としても、記事から見たところでは加算の要件としては診療所であることが挙げられていても、連携先の当番医が診療所であることまでは挙げられていないようにも見えるのですが、留守電に近場の救急病院を受診するよう吹き込んでおくだけでオッケー、なんてこともありなんですかね。

五分要件に関してはさすがに廃止しないことには収まりがつかない状況ですが、またこの留意事項が何とも微妙な書き方で迷わしいところですよね。
必要とされる医療行為云々が具体的にどのようなことを指しているのかは不明ですけれども、とりあえず聴診や血圧測定は疑いのない医療行為だとしても、問診とそれに続く指導などがどこから「簡単な症状の確認」と線引きされることになるのか、これも実際の運用を経てみないことには何とも言い難いところです。
後日の監査でカルテに何の記載もないというような状況では問答無用に切られても文句は言えないですから、とりあえずはどのような医療行為を行ったかをアピールできるだけの情報は残しておかないといけないでしょうね。

一方で今回の改訂で優遇しましたと厚労省が胸を張る勤務医側(厳密に言えば勤務医ではなく、病院側ですよね)ですけれども、こちらも様々なアイデアが出ている割にこれはと思うような状況打開の目玉が見当たらないのも事実だと思いますね。
勤務医対策と言っても病院に対する診療報酬の上乗せで評価せざるを得ない以上、実際に勤務医の置かれた状況が改善するのかという実効性の問題についてはすでに各方面から指摘されているところですけれども、それだけでなく詳細を見ていくと「これで本当に激務がマシになるのか?」と首をかしげるような話も出ているようです。

勤務医の負担軽減策、9つの点数に拡大(2010年3月5日CBニュース)

 来年度の診療報酬改定では、病院勤務医の負担軽減や、処遇改善をうながす体制づくりの要件を、「急性期看護補助体制加算」や「栄養サポートチーム(NST)加算」などに新たに盛り込む。これにより、勤務医対策の点数は現行の3つから9つに増える。
 厚生労働省が3月5日に通知した施設基準は、▽病院で働く医師の勤務状況を把握し、改善に向けて提言するための責任者を配置する▽勤務医の負担軽減などの改善計画を作成。その達成状況を評価するため、多職種からなる役割分担推進のための委員会または会議を設置し、適宜開く▽当直など夜勤を含む勤務時間を把握。その上で、業務内容などを考慮しながら、特定の人に業務が集中しないような勤務体系を策定し、職員に周知徹底する―など。改善計画については、短時間正規雇用医師の活用や交代勤務制の導入などを例示している。
 勤務医の負担軽減のための体制づくりの要件は現在、「ハイリスク分娩管理加算」「医師事務作業補助体制加算」「入院時医学管理加算(総合入院体制加算)」の3つに盛り込まれているが、来年度には、急性期看護補助体制加算やNST加算のほか、「呼吸ケアチーム加算」「小児入院医療管理料1」「同2」「救命救急入院料(特定の加算を算定する場合)」―の6つの点数にも反映される。負担軽減と同時に、処遇改善につながる体制づくりも新たに求める。
 これら9つの点数を算定するには、点数ごとの要件と、負担軽減に関する要件の両方を満たす必要がある。

■勤務医の労働環境把握、「客観的な手法が望ましい」

 医療関係者の注目を集めていた勤務状況の具体的な把握については、「客観的な手法を用いることが望ましい」としている。同省では、月内にも事例集(Q&A)を出し、要件を明確化する方針
 勤務医負担の要件をめぐっては、1月27日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、「タイムカード等の客観的な指標で勤務医の勤務時間を把握している」ことを盛り込む改定案が示されたが、厚労省は2月10日の総会で、「勤務状況について具体的に把握している」と修正。その後の動向が注目されていた。

いかにも現場を知らない人達の手になる「僕の考えた理想の職場」臭が濃厚に漂うのはご愛嬌としても、「勤務医の負担軽減などの改善計画を作成。その達成状況を評価するため、多職種からなる役割分担推進のための委員会または会議を設置し、適宜開く」とは一体どういうことなのでしょうか。
委員会やら会議やら診療以外の業務が幾らでも増えて医師が疲弊しているから何とか業務の負担分散をしましょうと言っている時に、減らすのではなく更なる仕事を増やしてどうするつもりなのかという話ですけれども、このあたりは会議が仕事のお役人と、仕事の後で会議をする現場の人間との感覚の違いということなんですかね?
「業務内容などを考慮しながら、特定の人に業務が集中しないような勤務体系を策定」という話も言葉で見ていると当たり前だと思えるような話ですが、仕事が遅くていつも残業している人と、仕事が手早くていつも定時帰り可能な人とでどちらに業務が集中しているかという現場の状況を考えると、下手をすると勤務医と開業医の差どころではない現場での不均衡がますます助長されかねない危険もあるかと思います。

このあたりの実際にどう勤務状況改善を評価するのかといった方法論も含めて、診療報酬改定の詳細はちょうどこれから各地で説明会が開催されているところだと思いますけれども、ネット上の声を拾って見るといつもの事ながら「重要な発表を週末に」というところに非難の声が上がっているようですね。
スケジュールの関係でこういうことになっているという話ではあるのですが、こうも毎回同じように騒ぎが起こっているのに改善する意志がなさそうなところを見ると、どうも意図的にやっているようだと誰しも考えざるを得ないところでしょう。

620 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/06(土) 21:48:44 ID:Ieq/HH+00
どうしていつも、こういう面倒なものを金曜日に発表するのかね。
以前の後発医薬品一覧も金曜日で、ネットにはつながらないは
間違いはあるわ、エクセルだかの専用ファイルで閉口したっけ。

金曜日午後以降は、質問は受けませんって態度がひどいねぇ

622 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 23:23:06 ID:f8XCeqnc0
お役人さまは金曜日午後以降は、質問は受けません。
開業医どもは土日夜間も24時間365日質問は受けつづけろ

って態度がひどいねぇ。

厚労省の態度は態度として、今回の診療報酬改定をどう評価すべきなのかという点については評価が分かれるところですよね。
議論の場からも締め出された日医は当然のことながら反発しているし、全般的に切り下げられる側に回った開業医もネット上の声を聞く限りやっていられないと反発の声が強いのは予想の通りですが、一方で厚遇されたはずの勤務医の側からも反発の声こそ少ないとしても好意的な評価もほとんど聞こえないのは注目に値するところです。
実際に現場で奴隷労働をしている勤務医は元々そうした待遇などには興味がないのだと言ってしまえばそれまでですけれども、一方で実際に増えた診療報酬を受け取る病院経営者側の立場にある病院協会の方では、総じて好意的な評価をしているらしいのは好対照ですよね。

2年後の改定、複数科の再診料が争点に(2010年3月6日CBニュース)

【第99回】西澤寛俊さん(全日本病院協会会長)

 10年ぶりにネット(総額)でプラスとなる来年度の診療報酬改定。勤務医の負担軽減などから、今回は病院側に手厚かったものの、病院団体が要望していた入院基本料の底上げには至らなかった。また、外来の財源枠があらかじめ決まっていたため、病診の再診料統一をめぐる議論が紛糾し、複数科の再診料の検討も見送られた。中央社会保険医療協議会(中医協)の委員を務める全日本病院協会の西澤寛俊会長は、2年後の改定では複数科の再診料が争点になると強調する。西澤会長に来年度改定の評価と、中医協の今後の在り方などについて聞いた。(敦賀陽平)

■来年度改定、「大病院には非常によかった」

―来年度の報酬改定をどのように評価していますか。

ネットでプラスになったことは評価したいと思います。本音を言えば、もう1ケタぐらい付くのではないかとの期待を持っていました。民主党のマニフェスト (政権公約)などで、われわれ(医療者側)にかなり大きな期待を持たせたなと。ただ、税収の伸び悩みなどを考えると、厚生労働省の政務三役は頑張ったと思います。
 病院全体を見ても、いい改定だったと言えるでしょう。特に救急、産科、小児科などがあり、かなり高度な手術をやっている大病院にとっては非常によかった。中小や慢性期医療を担っている病院への恩恵はそれほど大きくありませんが、過去10年の状況を考えると、かなり改善されたと思います。

―外来と入院の財源枠が初めて示されましたが、これをどのようにとらえていますか。

 社保審(社会保障審議会)の基本方針があり、内閣で改定率が決まっていた上、入院の財源枠の中でも4000億円は急性期医療といった縛りもあった。これは非常にやりづらかったですね。もう少し自由度があってもよかったと思います。決して、単純に分けられる話ではありません。われわれ、病院経営者はトータルで判断しなければならないので、改定に関してもバランスを考えますから。

―政権交代で中医協人事が難航し、改定の議論が1か月遅れましたが、その影響はありましたか。

 影響は非常に大きかったですね。もっと議論の時間が欲しかった。もともと、中医協で改定の議論がスタートするのは遅いのに、それがさらに遅れた。今回、社保審の医療部会と医療保険部会がいつもより早く開かれましたが、結果として、その意味がなくなってしまった。細かい部分では、もっと議論すべき点もあったのかなと。基本方針にのっとって各項目を評価する前に、もう少し基本的な議論があってもよかったと思います。
 一つの象徴が、再診料だったのではないでしょうか。ほとんど議論しないまま、「この財源枠の中でどうするか」というところから始まったのは、やはり不満が残ります。再診料は、外来の点数の技術料の最たるものです。「技術料とは何なのか」「そこに何が入っているのか」という議論が必要だったと思う。また、最終的に全体の財源で決まるのはやむを得ないにしても、その財源自体、われわれは絶対的に少ないと考えているわけですから、それを共通の認識にした上で、議論するなり点数を付けるというのが筋ではないでしょうか。これらの議論が抜けてしまったのは、すごく残念だと思います。

―日本医師会の執行部の委員が外れたことについて、どのようにお考えですか。

 前回改定までは、日医を中心に全体の流れがほとんど決まっていました。ただ、それはよい面もあったと思います。早い段階から診療側で議論をして、ある程度の考えをまとめてから、中医協の議論に臨むことができましたし、お互いの考え方もよく分かっていた。しかし、今回は「ぶっつけ本番」のような形になったので、そういう意味では、これまでとは違いましたね。最初は議論がどう進むのか非常に不安でしたが、(診療側の)新しい先生方はしっかりした見識を持った方ばかりで、非常にいいチームだったと思います。

■明細書の無料化、「冷静な議論があってもよかった」

―来年度から、病院(200床未満)の再診料が9点上がる一方、診療所は2点下がります。200床以上の外来診療料は点数が据え置かれましたが、再診料をめぐる議論を振り返っていかがですか。

 わたしたちは入院と外来、トータルで考えました。外来だけを見ると、「どうして200床未満だけで、200床以上は点数が付かなかったのか」という話になりますが、トータルで考えると、入院は200床以上に重点的に付いている。中小病院は、救急もあまり高度なことはやっていませんし、難しい手術もそれほど多くありません。産科や小児科をしているところも少ないので、入院ではあまり評価されないことになる。だから、外来でその分を配慮してもらったということです。外来の財源枠は400億円と決まっていたので、全体のバランスを考えた上で、外来診療料については見送らざるを得ませんでした

―レセプト(診療報酬明細書)並みの明細書の窓口での発行が、来年度から原則として無料になります。

 きちんと議論ができなかったという意味では、これも悔いが残ります。もう少し冷静な議論があってもよかったのではないでしょうか。われわれが毎回明細書を出す必要はないのではと主張すると、情報を隠そうとしていると取られてしまった。それがすごく残念ですね。方法論として、どれだけの患者さんが望んでいるのかというデータと議論があってもよかったと思います。ただ、これは中医協ではなく、社保審の医療保険部会で議論すべきだったのかもしれません。

―日本病院団体協議会(日病協)の要望のうち、入院基本料の大幅な引き上げは実現しませんでしたが、一方で、急性期の病院に対する看護補助者への加算が新設されました。

 すべての入院基本料の底上げにはなりませんでしたが、14日以内の入院早期の加算を22点引き上げたほか、10対1に「一般病棟看護必要度評価加算」として、1日5点の算定を認めるなど、加算である程度は評価されたと言えます。また、急性期病棟への看護補助者の配置を評価する「急性期看護補助体制加算」も新設されました。この算定期間は14日までですが、かなり点数が付いています。そういう意味では、限られた財源の中で、厚労省なりに考えたと思っています。
(略)

全般的には昨今青筋立てっぱなしの日医に比べてずいぶん余裕ある態度だなという印象を受けるところで、厚労省に敵対的な態度が目立つ日医のコメントに比べるとずいぶんと肩を持つものだなとも感じられますが、このあたりのスタンスの違いを見ると日医という団体はまだしも経営者よりは労働者寄りの団体だったんだなと改めて再認識しますね。
西澤氏の全日本病院協会も参加する病院系団体である日本病院団体協議会の邉見公雄副議長も、先日の記者会見で妙に歯切れの悪いコメントの中にも日医と違って基本的に政策支持を表明していますけれども、こうして行政側に配慮が出来るというあたりが今や反対反対と叫びたてることしか出来ない日医との違いで、それがお上の覚えの差となって現れてきているということなのでしょうか?
いずれにしても今後は各地で説明会に参加した先生方から「何だそれは!ふざけるな!」なんて声も上がってくるんだろうという気はしますけれども、詳細が明らかになった時点で今回の新参である診療側委員諸氏らも含めた当事者が、改訂作業を振り返ってどのようなコメントを出してくるかといったあたりにも注目していきたいと思いますね。

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