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2010年3月13日 (土)

テロリストの逮捕 ところ変われば英雄?

すでに多くの皆さんが御存知かと思いますが、日本船「第2昭南丸」に不法侵入したテロリストグループ「シー・シェパード」のメンバーが昨日逮捕されました。
第2昭南丸が接岸した埠頭ではかなりの騒動になったようで、環境テロリストの暴力行為によって日本国内でも思わぬ世論の盛り上がりが起こったと言うことも言えるのかなと思います。

第2昭南丸が接岸 シーシェパード船長逮捕(2010年3月12日産経新聞)

 環境保護標榜(ひようぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」のメンバーが侵入した日本の調査捕鯨船団の監視船第2昭南丸が、拘束したメンバーを乗せ12日午前、東京港の晴海埠頭(ふとう)に接岸した。東京海上保安部は12日、艦船侵入容疑で、船員法に基づいて身柄を拘束されている抗議船「アディ・ギル号」船長のピーター・ジェームス・ベスーン容疑者(44)=ニュージーランド国籍=を逮捕した。

 公海上の日本船に違法に乗り込んだ不審者を逮捕し、国内法の刑事手続きに乗せるのは初めて。

 逮捕容疑は、日本時間の2月15日午前9時ごろ、南極海で調査捕鯨活動中の第2昭南丸に別の抗議船から水上バイクで接近し、違法に船内に立ち入ったとしている。アディ・ギル号は1月6日、南極海で第2昭南丸と衝突して大破しており、べスーン容疑者は防護用のネットをナイフで切り裂いて乗り込んだ際に、第2昭南丸の船長に「衝突の責任は第2昭南丸にある。3億円を請求する」などと書かれた書簡を手渡したという。

 ベスーン容疑者をめぐっては、日本時間の2月11日に酪酸入りの瓶を投げ入れて乗組員3人にけがをさせた疑いもあり、傷害や威力業務妨害容疑など、一連の妨害行為での立件にこぎ着けられるかどうかが、今後の焦点になる。海保はベスーン容疑者を降ろした後、第2昭南丸を専用岸壁がある横浜港に移し、船内の実況見分を始める。

 逮捕容疑の艦船侵入罪は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が規定されている。在宅捜査も想定されるうえに、着岸時にメンバーが逮捕の不当性を訴える可能性もあり、「逆にSSの活動を宣伝することにつながりかねない」と逮捕には慎重論もあった

 ただ、ベスーン容疑者は、ニュージーランド人で日本国内に住居がないことから、海保などは逃亡の恐れがあると判断して逮捕に踏み切ったとみられる。SS側は「調査捕鯨をやめさせるため、日本の法廷で闘う用意がある」などの声明を出している

2008(平成20)年にSSメンバー2人が日本の捕鯨船に乗り込んだ際、日本政府は反捕鯨国のオーストラリア政府に2人の身柄を引き渡して事実上釈放したことで、「甘すぎる」と批判を浴びていた。今回のケースでは、発生直後に赤松広隆農水相が厳正な対応で臨む方針を表明。日本の司法手続きに乗せて刑事処分する方向で関係機関で調整が進んでいた。

【シー・シェパード逮捕】「環境テロを許すな」第2昭南丸到着の晴海埠頭は騒然(2010年3月12日産経新聞)

 環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」のピーター・ジェームス・ベスーン容疑者(44)=ニュージーランド国籍=を乗せた日本船、第2昭南丸が入港した東京・晴海埠頭(ふとう)は、SSに抗議する複数の団体やマスコミで騒然とした。

 SSに抗議する団体は、垂れ幕などを掲げ、同船入港前から「環境テロリストを許すな」などと声を張り上げた。警備に何十人もの警察官が動員され、「ここから出ないで」と制止する場面もあった。

 上空には報道機関のヘリコプターが何機も飛び、轟音(ごうおん)を響かせ、船が近づいてくると、カメラマンが一斉にシャッターーをきった。

注目されるのは双方の今後の対応ですけれども、日本側は今回に関しては法的にきちんと対応していくという姿勢を崩していませんし、テロの被害者まで出た以上このまま無罪放免などという展開はあり得ないと考えます。
テロの当事者自身が犯行を認める供述をしていることで事実関係の争いはそう大きくはならないという予測もあるかも知れませんが、一方でテロ組織の側では「あくまで我々が被害者である」という主張を繰り返し争う姿勢ということですから、最終的には双方が法廷で争っていくということになってくるのでしょうか?

【シー・シェパード逮捕】身柄引き渡しに官房長官「司法が適切に判断」(2010年3月12日産経新聞)

 平野博文官房長官は12日午前の記者会見で、日本の調査捕鯨船団の監視船に違法侵入した米団体「シー・シェパード(SS)」のメンバーの引き渡しについて「(今後は)司法の判断で適切に対処する」と述べた上で、日本側のこれまでの対応について「(引き渡しまで)時間がかかったのはやむを得ないが、ある意味、適切にしている」との認識を示した。

 日豪関係への影響について平野氏は「今日までもそれぞれの国の主張をしているわけで、そのことで関係悪化することはない」と述べた。

【シーシェパード逮捕】「被害者を逮捕した」とSS代表が非難(2010年3月12日産経新聞)

 反捕鯨団体「シー・シェパード」メンバーのニュージーランド人の男が日本で逮捕されたことについて、同団体のポール・ワトソン代表は12日、共同通信の電話取材に「被害者である(捕鯨抗議船)アディ・ギル号の船長が、戦争捕虜として日本に連行され逮捕されるとは奇妙なことだ」と語り、日本を非難した。

 現在、同団体の抗議船が拠点とするオーストラリア南部ホバートにいる代表は「(日本の調査捕鯨船団の監視船)第2昭南丸が故意にアディ・ギル号にぶつかって沈めた」と言明。

 逮捕された男について「有罪になろうが収監されようが、犠牲を払う心の準備ができている」「日本では犯罪者でも、オーストラリアやニュージーランドではヒーローだ。支援を結集したい」と話した。

 代表は来週から、クロマグロ保護のため「スティーブ・アーウィン号」で地中海へ向かうとしている。(共同)

完ぺきな弁護団準備~シー・シェパード広報(2010年3月12日日テレニュース24)

 日本の調査捕鯨団の船に乗り込んだ反捕鯨団体「シー・シェパード」船長のピーター・ベスーン容疑者(44)が艦船侵入の疑いで逮捕されたことを受け、アメリカ・ワシントン州シアトル北部のサンファン島にあるシー・シェパードの本部で11日、広報担当者がNNNの取材に応じた。

 シー・シェパードの広報担当は「我々は日本で完ぺきな弁護団を準備しています。(逮捕は)我々の主張を公にする機会だと喜んでいる。船長の行為はクジラ保護のため。彼を誇りに思う」と話した。

 ベスーン容疑者逮捕の1報を受けても、シー・シェパードの本部に常駐する11人のスタッフに動揺はなく、通常の業務をこなしていた。会議室の壁には大破した高速船のポスターが張ってあり、ベスーン容疑者のサインがある。

 また、オーストラリアに滞在中のワトソン代表は「ベスーン容疑者が日本の船に乗り込んだのは、ささいなことだ」と話している。

日本の違法性示す=裁判で世論刺激も狙う-反捕鯨団体(2010年3月12日時事ドットコム)

 【シドニー時事】反捕鯨団体シー・シェパード(SS)は、ニュージーランド国籍の同団体活動家ピーター・ベスーン容疑者の逮捕に対し、「裁判になれば、(日本側の)違法性が明らかになる」として積極的に受けて立つ構えだ。裁判を通じて、ニュージーランドやオーストラリアなどの反捕鯨世論をさらに刺激することも狙っている
 SSのスポークスマンは12日、同容疑者が乗船していた小型高速船「アディ・ギル号」に対し、日本の調査捕鯨船「第2昭南丸」は意図的に衝突したとし、「違法行為で逮捕されるべきは(第2昭南丸の)船長だ」と主張。ベスーン容疑者が第2昭南丸に乗り込んだのは、正当な権利として同船の船長を逮捕するためだったなどと説明している。

まあしかし、「日本では犯罪者」とは語るに落ちるというもので、日本の法律に従って粛々と処罰されることに関しては彼ら自身も認めていると受け取るべきなんでしょうかね(苦笑)。
さて、ここで再び登場いただくのがかねてこのテロリストの動きを追っていて、当「ぐり研」でも何度か引用させていただいた産経新聞の佐々木正明氏のブログ記事です。
ちょうど先日アカデミー賞受賞の発表がありましたが、太地町住民をギャング呼ばわりして激怒させたと言う盗撮映画「The Cove」とテロリストとの関わりを書いた一文などなかなか読み応えがあって、是非とも一読をおすすめしたいところですよね。
その佐々木氏ですが、昨日の逮捕と前後して母国ニュージーランドの報道からべチューン容疑者本人や妻のコメントを掲載していますので、再び引用させていただきましょう。

【ブログ速報中】SSのベチューン船長逮捕 妻「日本が見せしめとして懲らしめるのが怖い」 (2010年3月12日ブログ記事)
より抜粋

(略)
【ニュージーランド 3news】
 ベチューン船長の妻、シャロンさんが、日本の捜査当局が夫を見せしめとして懲らしめることを恐れている
 His wife Sharyn, who hasn’t heard from him for almost a month, fears Japanese authorities may make an example out of him.
http://www.3news.co.nz/Bethunes-wife-Japanese-will-make-an-example-of-him/tabid/417/articleID/146044/Default.aspx
(略)
【ニュージーランド 3news】
http://www.3news.co.nz/Sea-Shepherd-Lets-have-a-trial/tabid/417/articleID/146101/Default.aspx
 ワトソン船長のコメント
 日本人が、自分たちのことをテロリストと非難するのはもううんざりだ。司法の場に臨むことを歓迎するよ。もし、彼らが考えているように、我々がテロリストなら、裁判で、きっぱりと証明したらいいよ。私たちはこれまで一度も、あらゆる出来事で、起訴されたこともないし、有罪を受けたこともない。裁判で訴えられたこともない。私たちは違法な捕鯨を反対しているだけだよ。

盗人猛々しいと言いますか、うんざりしていたりする点に関しては日本人の方がはるかに上回っているかと思いますけれども(苦笑)、こうした彼らの一見意味不明の言動も彼らの支援をしているオーストラリアやニュージーランドの国内報道を知っていなければ理解できないということは、前回にも書きました通りですよね。
このあたりの現地での状況ということに関して昨年の記事ですが、豪州政府がどれだけテロリストに便宜を図っているのかということがよく判る記事を紹介しておきましょう。

反捕鯨の舞台裏(2009年3月28日日豪春秋)

調査捕鯨船への体当たり、目に入ると失明する恐れのある酪酸入り瓶の投擲――。それが「非暴力で行う」と宣言された抗議活動の現実だった。2008年12月4日にQLD州ブリスベン港を出航して以来、南極海で日本の調査捕鯨船団に妨害活動を展開してきた米反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」が09年2月9日、ウェブサイトで今季の妨害活動「ムサシ作戦」の終了と「成功」を宣言し、抗議船「スティーブ・アーウィン号」は20日、TAS州ホバート港に戻った。来季もさらなる妨害活動を継続する方針だ。国際捕鯨取締条約に基づいた公海上での正当な活動を暴力で封じようとする「目的のために手段を選ばないテロリスト」(水産庁)の蛮行に、いまだ終わりは見えない。

豪州政府の「厚遇」

 1月17日、給油のためにホバート港に一時寄港するスティーブ・アーウィン号を取材しようと待ち構えた。港には「シー・シェパード」と書かれた黒シャツなどを着た100人ほどの人だかり。支援者や船員の家族、恋人らだ。小学生ぐらいの少年が着用していたTシャツには、過去にSSが沈没させたり、衝突したりした16隻の船舶の名称が誇らしげに並んでいた
「グッジョブ ! 」「グッジョブ ! 」――。午後12時30分。髑髏マークの海賊旗を掲げた黒塗りの抗議船が接岸すると、一斉に歓声や拍手が巻き起こり、口笛が鳴らされた。日本から来た記者にとっては思わず後ずさりしたくなるような「アウェー」の光景である。
 港湾職員が船体をロープで固定するのを待って、入国管理や検疫、テロリスト潜入防止などの各任務を帯びた税関当局の検査官2人が船に乗り込んだが、1時間ほどで下船。かくして、豪州政府による船員全員の上陸許可はすんなり降りた。20日余り前の12月26日に、目視調査船「海幸丸」に船体を接触させたり、少なくとも15本の酪酸入りの瓶を投げ込む危険な行動を取ったにもかかわらずである。
「危険な物質の搭載や持ち込みは」と検査官の1人に尋ねたところ、「何の問題もなかった」とほほえむ。国際指名手配犯の乗船も念頭に「AFP(豪連邦警察)は来ないのか」とも訊いたが、「いや、(上陸に立ち会う)必要もない」と断言、そそくさと車に乗り込んで港を後にした。
 後で、20歳代後半とおぼしき「マルコム」を自称する男性船員は、記者の求めに応じていったん「腐ったバター爆弾」(SSは酪酸入り瓶を婉曲的にこう呼ぶ)を見せようとした。だが、しばらくして、「『記者に見せるな』とワトソン船長に言われた」と断ってきた。船内に隠してあることが前提の発言だった。税関当局の検査官は、酪酸入りの瓶を探そうとしなかったか、黙認したかどちらかである。

 こうした税関の対応は、現政権の政治判断を反映したもので、いわば当然の結果とも言える。ラッド豪首相は2007年末の総選挙で「日本の捕鯨を国際法廷で訴える」と選挙公約に掲げて、政権を奪取。今年1月8日、ギラード副首相は、日本の調査捕鯨船に酪酸入りの瓶を投げ込んだSSの給油のための寄港について「豪州の港湾に入港するのは何の問題もない」と豪州メディアに語っていた。
 豪州の政界は、ほぼ挙党一致で「反捕鯨」になびいている。豪紙記者は「大規模な予算をばらまかなくても少ない資金ですぐに票に結びつくという側面がある」と指摘する。政治家と反捕鯨団体の結びつきもそもそも強く、「反捕鯨担当」の現環境相、ギャレット氏は、鯨肉の窃盗容疑でメンバーが逮捕された「グリーン・ピース」の元理事。さらに、キャンベル元環境相(自由党)は昨年1月、SSの国際諮問委員に就任するなど、野党との関係も強固だ。
 2009年2月20日になって、連邦警察はようやくスティーブ・アーウィン号を初捜索した。だが、「捜索は日本の当局の要請を受けたもの」と警察当局は明らかにしており、捜査がどこまで本気で主体性のあるものなのかは不透明だ。

黒塗りの船の中に

 国営ABCテレビのクルーと話していた「ジョン」を名乗る広報担当者に、記者の乗船を頼んでみた。だが、「これまで日本メディアの乗船例はない」とあっさり拒否された。豪メディアは当然、乗船例があるそうだ。そこで、ワトソン船長が船体左舷から降りてきたのをつかまえ、「豪メディアはこれまで中を公開してもらったそうだが、ぜひ私も」と直談判。豪メディアのカメラが回っている最中だったのを気にしたのか、渋々認めた。
 しばらくして、「マルコム」氏が現れ、公開は「『正当な活動』の理解を深めてもらうため、初めて日本のメディアに許可された」と恩着せがましく言われた。
「マルコム」氏に連れられて迷路のような船内の奥へ奥へと足を踏み入れ、一眼レフで記録を始めると、「船内見取り図」を撮った直後に削除を命じられた。その中には公開できない部分があったようだ。カメラのモニターをのぞき込まれ、削除が確認できるまで足止めされた。

 船底付近に至ると、タタミ20畳ほどの談話室が広がっていた。奥の壁に掲げられた額の中に「第二勇新丸 共同船舶株式会社」との文字列を見つけ、思わず足が止まった。2008年1月15日に、豪州人ら乗員2人がボートで接近の末、不法侵入した調査捕鯨船「第二勇新丸」で入手したという、引き裂かれたかのようなオレンジ色の救命衣の一部だ。日本側に拘束される2人の写真も誇らしげに飾られており、「マルコム」氏は悪びれた様子もなく「勇敢な行為を記念するものだ」と説明した。あたかも “戦利品” のような丁重な装飾だった。
 隣接するキッチンをのぞくと、皿の上にハンバーグのような固まり。目を凝らしていると、「マルコム」氏は「我々は肉や魚、動物性蛋白質は一切摂取しない『ビーガン』だ」という。「ビーガン」は、菜食主義者の中でもとりわけ厳格に卵や乳製品を含む一切の動物性蛋白質を避けることで知られる。「乗員45人が全員ビーガンで、蛋白質は豆腐などから摂取する」という。クジラだけでなく、あらゆる動物の殺生が船員全員の禁忌であるからだという。本来は、世界中に「動物の殺生禁止を訴えたい」そうなのだが、反捕鯨に焦点を絞っているのは「クジラの方がメディアの注目を浴びやすいからだ」とのこと。だが、これまでに SSが、人間たる日本人捕鯨船員の命を危険に晒してきたことを考えれば、こうした考えが矛盾を来していることは言うまでもない。

日本人船員との面会

 もともと、日本人船員が最低1人乗船していることは把握していた。そこで、乗船前、カメラを構えてしきりにワトソン船長の降船の様子を撮影していた東洋人風の男性船員に「日本人か」と尋ねたら広東語を操る中国人とのことで、「日本人は乗船していない」という。が、これは乗船してすぐウソだと判明した。
 船内で「マルコム」氏に日本人に会わせてくれるように頼み、しばらくすると「顔の写真撮影なしで、匿名を条件に受ける」との返事。再び、談話室に案内されると、バンダナで覆面した小柄の黒髪の日本人女性が1人、ソファにちょこんと座っていた。
「20歳代の『かおり』、ということにしてください――」。おどおどした口調で、記者を警戒している様子だった。日本人記者が船内に入ったことは既に把握していたようだった。メンバーから「日本人記者がうろついているから気を付けて」と注意を受けていたのだという。ゆっくりと、生い立ちから尋ねていくと、「久々に日本語を話せてうれしい」と漏らし、緊張が解けたのか、徐々に冗舌になっていった。
 学生時代から環境問題に関心を持っていたが、友人の誘いを受けて2005年末にメルボルンに入港していたSSの抗議船を見に行ったのが始まり。ボランティアとして関わるうちに「クジラの窮状に気付き、積極的に(SSの)活動に関わるようになった」のだという。
「かおり」さんによると、07年2月の妨害行為で、警視庁が国際刑事警察機構(ICPO)に国際手配を要請した英国人のダニエル・ベバウィ容疑者も「今季も乗船中」で、「入港の際に税関に名簿も提出したが何のお咎めもなかった」という。豪州政府が今回の入港に際しても、本気でSSの危険行動を取り締まる気がなかったのは明白だ。
 酪酸入りの瓶を投げつけるなど危険な行為が続いていることを踏まえ、「反捕鯨を主張すること自体、個人の自由。だが、主張は言論でなすべきであって、暴力に訴えるべきではないのでは」と尋ねると、「口先だけの抗議では効果がない。世の関心を引くには(手荒な手段も)仕方ない」と、自らの主張の実現のために暴力が正当化されると受け取れる回答だった。「環境テロリスト」と呼ばれることには、「我々を “武器” を使って破壊しようとしている日本政府こそがテロリストだ」と反論した。
 身元を隠す理由については、「顔がバレると両親に迷惑をかけてしまうからだ」という。「シー・シェパードに関わるな」「クジラという言葉をもう聞きたくない」と両親に訴えられても、「クジラを救いたい」「日本の捕鯨は間違っている」と家を飛び出した「かおり」さん。「実は、パパには『早く心を改めて帰ってこい』と言われている」と聞き、日本で「かおり」さんの帰りを待ちわびているであろう両親の姿が目に浮かび、胸が痛んだ。当の本人は「両親こそ分かってくれないし、聞く耳を持ってくれない」と繰り返していた。

カルト団体

 10年前に取材したカルト団体が脳裏をよぎった。岐阜支局に勤務していた1999年にオウム真理教のメンバーを取材して感じたことと、「かおり」さんら SSの若い船員たちと話して感じたことが重なる。メンバーのほとんどが20歳代の若者だという点、理想に燃え、自身の理想追求のためには現行の法体系、社会秩序を無視してウソや暴力の行使も正当化する点だ。それに、その結果、非難されると一層社会からの疎外感や被害者意識を募らせ、次の攻撃的な行動につながっていると見受けられる点もだ。
 かつて捕鯨船を爆破したり、体当たりで撃沈させたりして、逮捕されたこともあるワトソン船長を信じて従う若者を、ある日本政府関係者は「 “教祖様” のマインド・コントロール下にある」と指摘した。派手な活動をすれば、より世界の耳目を集め、寄付金が集まるとばかりに活動をエスカレートさせている船長だ。若い船員たちがその呪縛から解き放たれる日は果たして来るのだろうか。

まあ親の気持ちも判りますけれども、こういうのはまさに怪しい宗教と同じで、一度はまったらおいそれと抜け出せるようなものでもありませんからねえ…
シー・シェパードをテロ組織認定しているアメリカなどはオーストラリアをテロ支援国家指定しないでよいのかと思うような話ですけれども、何にしろ世界にはテロ組織を英雄と崇め奉るような国があって、そこでは全てのテロ行為は英雄的行為であり、テロ被害者は正義の鉄槌を下されるべき犯罪者であるという認識がごく当たり前であるという事実は知っておかなければならないでしょうね。

さて、良識的な文明国たる日本としてはこうした人々に対してどう対応していくべきなのか、単に法律や国際的な約束に従って正当性を主張しているだけでは法も人道も超越した人々には対処できないのではないかと言う悲観論も出かねませんけれども、犯罪者と同じ土俵に乗ってしまうことは日本にとって決して得策ではないと思います。
テロとは妥協せず、その要求は断固撥ね付ける毅然とした態度が政府にも求められているのは当然だと思いますが、ここに来て気がかりなのは赤松農相が妙に日和ったようなことを言い出していることです。
およそあり得ないだろう「合意」を前提にした発言というのも交渉を前にしてどうかと思うのですが、これが彼らに得点を与える言質とならなければよいがと危惧しているところです。

南極海の調査捕鯨「800頭もいらない」…農相(2010年3月9日読売新聞)

 赤松農相は9日、閣議後の記者会見で、日本が実施している南極海での調査捕鯨について「800頭もいらない。調査はそれ以下でもととのう」と述べた。「生態系の解明のために必要」として毎年800頭以上の捕獲計画を策定してきた政府の方針を見直す考えを示した。

 発言は、南極海での捕鯨頭数を削減する代わりに日本沿岸などでの商業捕鯨再開を認めるという趣旨の国際捕鯨委員会(IWC)の議長提案に沿って、今後の交渉を進めるのが狙いとみられる。赤松農相は6月に開かれるIWC総会で、日本の沿岸商業捕鯨再開の合意をめざす方針だ。

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コメント

最近妙に仲良さそうな豪州と中国ですが、あと20年経ったら中国人が鯨を食べだすと私は思っています。その時にも豪州は今の日本に対するような態度をとれるのか?シーシェパードやグリーンピースは今のような暴力的な対応ができるのか?見ものですな。もっとも、現在も捕鯨を行っている筈のロシアに無茶なことをやったとかいう話は聞こえて来ませんので、結果はミエミエかと。所詮はゼニゲバでしょうから。

投稿: 蛾蜻蛉 | 2010年3月13日 (土) 15時47分

およそあり得ないだろう「合意」を前提にした発言というのも交渉を前にしてどうかと思うのですが、これが彼らに得点を与える言質とならなければよいがと危惧しているところです。

投稿: ed hardy | 2010年9月 2日 (木) 16時24分

オーストラリアにしてみれば中国を反捕鯨に引き込むことは、反捕鯨=レイシズムという批判をかわすためにも有効だと考えているのでしょう(それ以上に経済的結びつきを強めたいのでしょうが)。
ただ中国という国は食べるものに関しては日本など比較にならないくらいに自由ですからねえ…噂に流れている中国食事情のあんな話やこんな話を潔癖な(苦笑)オージーが受け入れられるとも思えないんですが。

投稿: 管理人nobu | 2010年9月 3日 (金) 09時45分

国際刑事警察機構(ICPO)から国際指名手配されているのに、逆に厚遇しているオーストラリア
(およびニュージーランド)も無法国家っていうべきじゃないかい?

投稿: | 2015年2月25日 (水) 10時03分

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