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2010年3月18日 (木)

心の僻地 顧客にも顧客としてのマナーがあります

先日も取り上げました秋田県上小阿仁村国保診療所の医師辞任問題ですが、今回辞意を表明した有沢氏の前任者で、やはり熱意と情熱に燃えて同村に赴任しながらわずか一年で村を去ることになった松澤氏が、その離職を前にして村の広報誌にこんなことを書いています。

【診療所からのお知らせ】松澤先生のお話 村の診療所を守るために(平成20年9月号上小亜仁村広報誌)

 一度は書かなければならないと思っていたことを書いてみます。
 「診療所を守るために」としたのは、この診療所の存在があやうい状況になっているからです。その原因の第一は、医者がいなくなるということ。第二は、診療所の赤字が続くということです。

 第一点は、この村の執行部の人々の、医者に対する見方、接し方、処遇の仕方の中に医者の頑張る意欲を無くさせるものがあったということです。
 報じられたように、この私はすでに辞表を出し受理されています。「次の医者」を見つけることは相当に困難でしょうし、かりに見つかってもその人も同じような挫折をすることになりかねないものがあります。医者のご機嫌取りなど無用、ただ根本的に医者を大切に思わない限りこの村に医者が根を下ろすことはないでしょう。村の人も「患者は客だ」などとマスコミの言う風潮に乗っていてはいけません。そういう道の果ては無医村なのです
 最近も近在病院の院長・医者が辞めていきました。病院自体がもう危機的状況に陥っています。その医者たちは、私に言っていました、こんな田舎でも働きがいがあります、それは、皆の「ありがとう」という言葉と、にじむ「感謝の気持ち」です、と。
 そういう人たちを辞めるまで追い詰めたのはものは何か、人ごとでなくこの村の問題でもあるんだと考えてみて下さい。

 第二点は、この村の人たちの中には、村の診療所を横目に他市町村の医療機関にかかっている人が結構多いし、特に言いたいのは、村の職員たちもそうだと言う事です。村立の学校の教員が部活の生徒たちの健康診断にわざわざ引き連れて他の医院に行きます
 村執行部は、診療所の経営(赤字ではあります)のことで医者を督励しますが、ご自分も含めて足元の、村から給料をもらっている人たちが、はたして村の施設を維持するために進んで協力しているのかもきちんと考えてみる必要があるのではないでしょうか。
 勿論設備に乏しい診療所で高度なことができるわけではありません。しかし、医者は頭脳と経験こそ武器です。何かあればすぐに適切な病院へ紹介しお願いしているわけですから、定期的な特殊な検査を受けに行く時以外の普段の診察は診療所で、という姿勢が診療所を自分たちのものとして守ることになるのです。

いずれも極めてごもっともと言うしかないような内容ですが、むしろこうした指摘が同村のみにとどまらず、広く全国においてそのまま通用するような問題点を指摘しているのだということを痛感せざるを得ないところに「心の僻地」問題の難しさがあります。
とりわけ胸に突き刺さるのが「「患者は客だ」などとマスコミの言う風潮に乗っていてはいけません。そういう道の果ては無医村なのです」という指摘ですけれども、昨今とみに話題となることの多い医療現場での迷惑行為の数々を思う時、こうした心ない者たちの行動がどれほど医療現場の荒廃を招き、結局は大多数の善良な患者にとって非常な迷惑となっていることを考えないではいられません。
先日は人気漫画「Dr.コトー」のモデルとなったことで知られている鹿児島県は下甑(しもこしき)島手打診療所の瀬戸上医師が、島民からの要請に応じて再度の定年延長を決意したというニュースがありましたけれども、10kmほど走れば総合病院がある上小亜仁村よりはるかに僻地然とした離島にあっても医者は居着くものなのだと言う現実を前に、同村住民が何をどう感じるかですよね。

医療に限らず昨今モンスターとも呼ばれる一部顧客マナーの悪化が各方面で話題になっていますけれども、一面においてはまさに松澤氏の言うとおり「マスコミの言う風潮に乗」せられているという側面も大きいのではないかという疑問は、現場の当事者であれば誰しも感じているところではないでしょうか。
消費者が一番偉いのだという風潮は戦後民主主義の進展とともにすっかり世に定着してきた感がありますけれども、「ノーブレス・オブリージュ(高貴なる義務)」という言葉の存在が指し示しているように、地位が高まるほどに要求されるものもあるわけで、この場合それは顧客マナーという言葉に置き換えてもいいんじゃないかと思います。
実は「お客さまは神様です」という有名な言葉によって現在の顧客マナー崩壊の遠因となったとも目されている(失礼)歌手の三波春夫氏本人こそ、こうした世間での思いがけない受け取られ方に驚いていたということで、三波氏のオフィシャルサイトにはわざわざこんな一文が掲載されているほどに世間では誤用されてしまっているのは不幸なことだと思いますね。

「お客さまは神様です」について(三波春夫オフィシャルサイト)より抜粋

 三波春夫といえば『お客様は神様です』というフレーズがすぐに思い浮かぶ方が少なくないようです。印象強くご記憶頂いていることを有り難く存じます。
 ですが、このフレーズについては、三波本人の真意とは違う意味に捉えられたり使われたりしていることが多くございますので、ここにちょっとお話し申し上げます。

  三波春夫にとっての「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのことです。客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者、という形の中から生まれたフレーズです。三波が言う「お客様」は、商店や飲食店などのお客様のことではないのです。
 しかし、このフレーズが真意と離れて使われる時には、例えば買い物客が「お金を払う客なんだからもっと丁寧にしなさいよ。お客様は神様でしょ?」と、いう感じ。店員さんは「お客様は神様です、って言うからって、お客は何をしたって良いっていうんですか?」という具合。
 俗に言う“クレーマー”の恰好の言いわけ、言い分になってしまっているようです。元の意味とかけ離れた使われ方ですから私が言う段ではありませんけれど、大体クレーマーたるや、「お客様」と「様」を付けて呼んで貰えるような人たちではないと思います。サービスする側を 見下すような人たちには、様は付かないでしょう。
 三波春夫の舞台を観るために客席に座る方々の姿は、『三波の歌を楽しもう、ショウを観てリフレッシュしよう』と、きちんと聴いてくださった「お客様」だったのです。

 このフレーズへの誤解は三波春夫の生前から有り、本人も私共スタッフも歓迎出来た話ではないと思っておりましたが、静観しておりました。本当に意味するところについては、本人がインタビュー取材の折に聞かれることが多かったので、本人がその度にお伝えしておりましたが、それは次のような内容でした。

 「歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って、心をまっさらにしなければ完璧な藝をお見せすることはできないのです。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです
(略)

~なぜ神様なのか~ 三波春夫著『歌藝の天地』(1984年初刊2001年文庫化いずれもPHP研究所)より
 
「お客様は神様です」の発端

 お客様は神様です」という言葉が流行ったのには、びっくりした。よく、この言葉の真意はどこにあるのかと聞かれるが、私も、その答えに困ることがある。テレビなどで、短い時間で喋るには、うまく説明が付かない。
(略)
 しかし、振り返って思うのは、人間尊重の心が薄れたこと、そうした背景があったからこそ、この言葉が流行ったのではないだろうか?

 私が舞台に立つとき、敬虔な心で神に手を合わせたときと同様に、心を昇華しなければ真実の藝は出来ない―――と私は思っている。つまり、私がただ単に歌を唄うだけの歌手だったらならば、きっとこんな言葉は生まれなかったと思うのです。浪花節という語り物の世界を経てきたからではないだろうか。

 つまり、浪花節の台詞の部分は「瞬時のうちに一人で何人もの登場人物を的確に表現」しなくてはならない。そうしなければ、決してドラマは語れないのである。

 われわれはいかに大衆の心を掴む努力をしなければいけないか、そしてお客様をいかに喜ばせなければいけないかを考えていなくてはなりません。お金を払い、楽しみを求めて、ご入場なさるお客様に、その代償を持ち帰っていただかなければならない。

 お客様は、その意味で、絶対者の集まりなのです。天と地との間に、絶対者と呼べるもの、それは「神」であると私は教えられている。

こういう感覚が通用しなくなってきた今の時代であるからこそなかなかに含蓄のある言葉だと思いますけれども、神は神でも和魂ならともかく荒魂ばかりということになれば、神ならぬ人間世界は大騒ぎになって当然ですよね。
モンスターというと何かしら外来で暴れまわるような姿を想像するかも知れませんが、すでに需給バランスが崩壊して殺気立っている医療現場ではわずかなわがままの積み重ねこそが最大の業務阻害要因になっているわけですから、その意味では無自覚なその他大勢の一般顧客こそが医療を破壊し得るのだと言うことは、まさに冒頭の松澤氏の言葉にも現れているところですよね。
興味深いのはこの状況の成立に非常に重要な役割を果たして来たと言われる(笑)マスコミ諸社が、今やニュースバリューありと察知してか盛んにこうした事例を面白おかしく取り上げていることですけれども、こういうのを世間ではマッチポンプとか言うのではないかとも思うのですが(苦笑)。

迷惑行為は年間約千件 岡山市民病院(2010年3月3日山陽新聞)

 岡山市立市民病院(同市北区天瀬)が救急患者の迷惑行為について1年間調査したところ、医師への暴言や、急を要しない症状で時間外に来院する“コンビニ受診”などの問題行為が延べ約1000件に上ったことが2日、分かった。同病院は医師が治療に専念できるよう保安員の増員などでトラブル抑制を図る

 調査は2007年9月〜08年8月に行い、救急車で搬送された患者と、土・日曜や祝日、平日午後5時〜翌午前8時半の時間外に訪れた患者への対応をもとに集計。迷惑行為は延べ1042件に上った。

 このうち迷惑度合いが高い“モンスターペイシェント”らへの対応は452件。具体的には飲酒しての暴言行為133件、飲酒なしでの暴言行為73件、治療が終わっても居座る127件、クレーマー91件、警察を呼んだ暴言暴力28件―となった。

 このほか、待ち時間が短い夜間を狙って受診するなど「救急の適応外」が210件、薬の受け取りやガーゼ交換など「コンビニ受診」が192件など急を要しない患者も目立った。また、救急車をタクシー代わりに利用した例も86件あった。

救急 5%は治療不要(2010年3月4日読売新聞)

昨年4~12月 軽症患者も過半数

 救急車の適正利用を市民に考えてもらおうと、姫路市消防局が昨年4~12月、救急搬送した患者の症状を調べたところ、約5%が治療不要なケースでの救急要請だったことがわかった。入院の不要な軽症患者の要請も過半数。同消防局は両方のデータについて「予想以上」としており「119番する前にもう一度、自力で病院に行けないか考えて」と呼びかけている。

 同消防局は昨年4月以降、搬送先の医師が記録する「軽症」の記入欄を「通院1週間以上」「同1週間未満」「医療処置が必要」「同不要」と4分割し、救急要請の詳細なデータを集めた。

 その結果、搬送された1万5587人のうち4・8%に当たる748人が、過呼吸や飲酒による気分不良などで、医療措置を必要としなかった

 中には「針が指に刺さった」「パーマ液のにおいで気分が悪い」との通報もあったという。

 同消防局は119番があれば必ず現場へ行くシステムで、同消防局の09年の救急出動件数は増加傾向にあり、10年前と比べると1・6倍。軽症患者の割合も昨年4~12月は52・0%で、08年の50・5%から1・5ポイントアップしている。

 同消防局消防課の浅見正・主幹は「救急と判断すれば呼んでもらって構わないが、過呼吸のように対処法があるのに慌ててしまうケースもある。判断に迷うときは家族や親類らに相談し、できるだけ冷静に対応してほしい」と話している。

ところで近頃では「モンスターペイシェント」「モンスターペアレント」などと言われるくらいに、医療業界と教育業界とはアレな顧客が押しかける双璧とも目されていますけれども、実はこの両者にはかなり明確な共通点があるのですね。
共に昔から先生と呼ばれ暗黙のうちにある程度の社会的権威を認められてきた職業であったわけですが、逆に言えば他業種では当たり前に日常接してきて慣れているはずの顧客対応というものに関して何らのノウハウも身についていなかった、そうすると近年その権威が崩壊してみて初めてスタッフを保護するための対策やノウハウが全く存在していなかったことが明らかになってきているわけです。
例えばクレーマーなどと呼ばれる顧客に対して、まともな会社であれば久しく以前から現場で個々のスタッフが行き当りばったりに対応してはならない、きちんと専属の担当者に回しなさいということになっているわけですけれども、医療業界にも教育業界にも未だにまともなクレーマー担当者が存在していない、むしろそんなものの存在自体知りもしないし考えたこともないという場合がほとんどでしょう。
街の治安が悪化していつどんな事件が起こるかも判らない状態になっているのに、警察にパトロールの強化を以来するでもなければ街灯を増やしたりするでもない、ただ襲われた時は当事者が適当に対応せよではますます被害者も増えるだろうし、何より過剰防衛で逆に相手を刺し殺してしまったなんて事件すら起こりかねないのは道理であって、結局関係者双方にとって不幸な結果にしかならないということです。

最近ではようやく医療機関の側でも講習会開催などでこの方面の理解が進み、より実効性のある対策が取られるところも出てきたようですけれども、注意すべきはモンスター対策というものは別に患者を追い出すために行われるものではなく、むしろ逆に今後もずっと患者を受け入れ地域医療を続けていく為にこそ必要なのだと言う視点です。
双方がこの視点を理解していないと「あの病院は患者を拒否している!」なんて見当違いのクレームをつけてくる住民も後を絶たないでしょうし、「医療は万人に別け隔てなく提供されなければならない!」なんて見当違いなことを言い出して全ての顧客対策を拒否するトンデモ病院幹部が上に居座り続けるなんて話にもなりかねないわけですね。

モンスター患者は劇で撃退 福岡の病院、一丸で対応(2010年3月5日朝日新聞)

 病院スタッフに暴力を加えたり、理不尽な要求をしたりする、いわゆる「モンスターペイシェント(患者)」への対応を考えるお芝居が4日、福岡市南区の福岡赤十字病院で上演された。病院から依頼を受けた福岡県太宰府市の「劇団道化」が実話に基づいて作った創作劇。深刻な院内暴力に、病院全体で取り組もうというメッセージを込めた取り組みだ。

 病院4階の大会議室が即席の舞台。観客は同病院の看護師や医師ら約170人。病院の受付を模したセットに、金髪の派手な女性が登場してわめきちらす。

 「うっ、胃が…胃が痛い。ソセゴンを打って下さい」

 付き添いのチンピラ風の男性がすごむ。「おう、ソセゴンば打っちゃれ」

 ソセゴンは痛み止めの薬で、使いすぎると中毒になる。2人は薬ほしさに病気を装い、夜間の人が少ない時間帯を狙ったように現れる

 さらに酔っぱらいが登場。搬送される急患に携帯電話を向けて写真を撮り、その急患は看護師の手が触れただけで「この病院は患者に暴力を振るうばい」と大騒ぎ――。

 昨年9月に依頼を受けた劇団道化では、看護師や医師、事務職員に話を聞いた。実情は悲惨なものだったという。 薬物依存者で、求める薬を「打つまで帰らん」と座り込む。看護師の名札をにらんで「名前覚えとくけん」とすごむ。急患優先で診察を後回しにされ、「ふざけるな」とイスをけり上げる。病院食がまずいと訴え、日本刀を振り回した患者もいたという。台本作りと演出を担当した篠崎省吾さん(51)は「本当に困っているとよくわかった」と話す。

 同病院によると、患者やその家族らによる院内暴力や理不尽な要求は年間30~40件に上る。今年度、院内暴力への取り組みを強化し、対応マニュアルを作成して各部署に配った。昨年暮れには「Vコール」を作った。Vはバイオレンス(暴力)の頭文字で、暴力事案が発生すると館内放送で「Vコール、○○までお集まり下さい」と招集をかけ、多数で対応する仕組みだ。

 医療安全推進室長の河野博之・心臓血管外科部長(57)は「モンスター患者にはみんなで対応するのが大事。看護師らを守って、病院の機能を維持することも医療の安全の一環」と話す。

 劇の結末では、医師と看護師らが力を合わせ、問題を起こしている「患者」を追い返し、「おれたちはチームだ」とガッツポーズを決めた。見終わった看護師や医師は「何度も怖い思いをした。みんなで暴力に立ち向かいたい」「医療に専念できる体制作りが大切」などと言い合った。(井上恵一朗)

患者とのトラブル対策 診察室に110番装置 (2010年3月15日神戸新聞)

 医師や看護師に暴言を吐いたり、暴力を振るったりする患者への対策として、神戸市立医療センター西市民病院(神戸市長田区)は兵庫県警と連携し、ボタンを押せば県警通信指令室につながる緊急通報装置を診察室などに今月中にも導入する。「モンスターペイシェント」と呼ばれる悪質な患者や家族に対する防衛策の一環で、警備が手薄となる夜間のトラブルに備えて警察OBも新たに採用する。

 県警によると、同装置は、不審者の侵入が相次いだ学校への設置が進むが、医療現場への導入は異例という。

 装置は救急外来診察室や受付窓口に置き、危険を感じた医師らがボタンを押せば自動で110番される。県警は通信指令室の専用画面の表示からパトカー出動を手配し、病院と通話して詳細を聞くこともできる。

 病院へのクレームや暴力は、全国的な問題となっている。民間病院中心の「全日本病院協会」が2007年12月~08年1月に行った調査では、全国約1100病院の52%が過去1年間に「患者や家族から暴力を受けたり、暴言を浴びせられたりした」と回答。発生事例は6882件に上った。

 同病院でも、検査を受けた患者の付き添い家族が順番を待たずに「すぐに説明せんかい」と怒鳴ったり、治療方法に文句をつけたりするトラブルが後を絶たないという。

 さらに、昨年9月には、包丁を持って同病院に入ってきた患者の男を逮捕。2009年度、同病院で警察が介入した事案は約10件、医師らへの公務執行妨害や器物損壊容疑などでの逮捕が4件あった。

 装置設置とともに、警察OB2人が24時間救急実施日(毎週金・土曜)には宿直警備にあたる。

 同病院は「患者や家族の心情に配慮し、通報を控えることもあった。だが事態は深刻で、医師らの安全確保が急務になっている」と話している。

一部では未だに「お客さまは神様です」を誤用して「患者様の声には誠心誠意対応せよ!クレーマー扱いなどもっての外だ!」なんてわざわざ院長命令が下っているような施設が、とりわけ医者がどんどん逃げ出しているような地方公立病院で多いとか多くないとか言った噂も漏れ聞こえてきますけれども、幸いにもそうした施設は今後厚労省の方針もあって(笑)次第に淘汰されていくことになるでしょう。
顧客に対してはもちろん誠意をもって対応する、しかし間違った要求に対してはこれを正していくことこそ、病院を存続させ健全な地域医療を守るために必要なことなのだという認識を医療側はもちろん、多くの良識ある顧客たる地域住民も共有していかなければならないし、それは別に医者を甘やかせるとか言った話とは全く別次元のことですよね。
地域医療の存続にとって一番悪いのは医療側と患者側が不毛な対立的関係に陥ってしまって、最終的に医者も病院も消えてなくなるという構図だという認識を住民もスタッフも理解しなければならないでしょうが、その意味ではモンスター対策は施設内だけで完結してしまうものではなく、むしろ地域住民も巻き込んで行っていくことこそ必然であるという考え方も出来るかと思います。

しかし何やらこの問題、「医療事故は絶対許さない!」なんて叫び続けた結果「No doctor, no error.」が達成されてしまった、なんて話と似たような構図が見え隠れしているように思えるのは、やはりそれらが世相と言うものを反映しているということなのでしょうか。
このくらいは常識的に理解してもらえるだろうというその常識自体が揺らいでいる時代にあっては、まともな社会サービスを受けたいまともな人間ほど自ら率先して「自分はこういう常識を持っています」ということをアピールしていかなければならないということに、なってきているということなのでしょうかね。

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