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2010年3月

2010年3月31日 (水)

医師国家試験の合格発表がありましたが

先日河北新報にこういう社説が載っていました。

社説:医学部定員増/受け入れ態勢の構築を(2010年03月29日河北新報)

 地方の医師不足対策がまた揺らいでいる。文部科学省は3年前から大学医学部定員増による医師数の底上げを図ってきたが、教育現場からは教員数や設備面が追いつかないとの声が上がる。定員増計画を長期的な視点でとらえ直し、関係機関が綿密に擦り合わせながら丁寧に進めることが求められている。

 全国約80大学の医学部長らでつくる「全国医学部長病院長会議」が先月、定員増は慎重に進めるよう求める要望書を民主党と文科省、厚生労働省に提出した。定員増作戦は即効薬とばかりに前政権から新政権になっても受け継がれ、官庁、大学を挙げて取り組んできた。それだけに逆コースと受け止められた。

 医学部定員は1984年度の8280人をピークに減り、2007年度には7620人にまで減少した。将来の医師過剰を見越しての対応だったが、若手の医局離れや新臨床研修制度の導入などで大都市に医師が集中し、地方で勤務医や産科医、小児科医などが足りなくなった。

 文科省は従来の方針を転換し、各大学の入学定員枠を10~15人ずつ広げ、3年間で1200人を純増。全体で過去最多の約8800人(10年4月時点)となる。だが、教員数を増やさなかったことで教える側の負担は重くなった。臨床実習などの少人数教育で目が届きにくいなどの支障が出始め、教育指導面への影響が懸念されている。

 民主党は政権公約で、定員増と医学部新設により医師養成数を1.5倍にするとうたった。その数は約1万2000人。人口1000人当たりの医師数(2.1人)を経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の3.1人にするという。

 医学部長会議の要望書は「3年間で12~13の学部を新設したのも同様。急激な定員増、医大新設は多額の設備投資と教員確保が必要となる」と訴える。教員要員として「地域病院の30~40代の勤務医を大学に連れ去ることになり、かえって地方の医師不足を加速させる」と憂慮している。

 教育現場のスタンスは明確。東北大医学部の説明では、教員不足がさらに進むほか、現在の手狭な施設では受け入れ困難、新たに教育棟を建てる余裕もない―との立場だ。

 今になって受け入れ態勢の問題が表面化したが、学生数だけ増やし続けてもいずれパンクすることは明らかだったのではないか。定員増と並行させての教員配置、規模拡大を見込んだ施設、環境整備などに目配りしてこなかったつけが回った。

 責任が重いのは、民主党も同じである。公約実現までの手法やスケジュールなど具体案を明らかにせず、進展のないことが迷走を招いた。一日も早くたたき台を示すよう求めたい。

戦争も末期になって、パイロットを増やしたいが教える人間がいないという悪循環に陥っている状況を想像する話ですけれども、少なくとも脳天気に「医者不足?そんなもの医学部定員を増やせば解決だろ」と言っていれば済む問題ではないと世間もようやく気付き始めたのは良い傾向だと思いますね。
ご存知のように先日医師国家試験の合格発表が行われましたが、8447人が受験して合格者は7538人(合格率89・2%)、この合格率が9割を下回ったのは3年ぶりだと言いますから、厚労省としては医師不足であるからと国試の合格基準に下駄を履かせるつもりはないということが明らかになった形です。
このあたり、受験者急増で先行する司法試験のように受験者数急増と質的担保との間の整合性を取るのに四苦八苦という「失敗例」を目の前で見ているわけですから、さすがに厚労省としても同じ轍を踏むつもりはないということなのでしょうが、この問題は合格者数コントロールだけで解消出来るものではないということを司法畑での先例が教えてくれています。

法科大学院24校「不適合」、教育内容に問題あり(2010年3月30日読売新聞)

 法科大学院の評価機関「大学評価・学位授与機構」は29日、大学院3校の評価結果を公表し、静岡大を教育内容に問題がある「不適合」とした。

 これにより、2004年の一斉開学から順次行われてきた全74校の評価結果が出そろい、約3分の1の24校が不適合だった。

 法科大学院に対する第三者評価は、同機構を含めた3機関が実施した。不適合と認定された24校のうち6校は国立。また、14校は昨年の新司法試験で合格者数が1けたにとどまっていた。不適合校は文部科学省の調査対象となって改善指導などを受けるが、7校は2回目の評価で改善が認められ、現在は適合となっている。

 不適合の理由として目立つのは、司法試験対策に偏った授業内容と、教育態勢の不備だ。約3割は過度の試験対策を指摘され、「受験予備校と連携して学内で答案作成の練習会を開いている」「カリキュラムが司法試験で出題される法律基本科目に偏っている」といった問題も明らかにされた。

 同機構の平野真一・機構長は29日の記者会見で、「各大学院が合格一辺倒になり、幅広い見識を持つ法曹を養成するという初志がゆがめられている」と語った。法科大学院は当初想定より大幅に多い74校が乱立し、修了者を対象にした新司法試験の合格率は昨年、最低の27・6%にまで落ち込んだ。各校は、大学院への志願者減少と学生の質の低下を食い止めるため、司法試験対策を重視せざるを得ないのが現状だ。

 また、教育態勢の面でも、「実績のない人が専任教員となっている」など、5校が教員の質の問題を指摘された。出席率が4割でも定期試験を受けさせていた例などもあり、法務省幹部は「十分な教育態勢が整わないまま、法科大学院制度に乗り遅れないよう開学した学校も多い」と分析する。

 一方、中央教育審議会(文科相の諮問機関)の特別委員会は今年1月、問題のある法科大学院14校を公表したが、このうち11校は第三者評価の不適合校と重なった。

 ただ、同委員会は「新司法試験の合格者が少ないのに必要な対策をとっていないのは問題」という“合格実績重視”の判断基準を採用しており、司法試験対策をマイナス要因と見なす第三者評価とはずれがある。ある私立校の大学院長は、「中教審の基準をクリアしようとすると、合格実績を上げる教育を推し進める結果になり、第三者評価で不適合になりかねない」と戸惑っている。

【社説】日弁連新会長 弁護士増員と質の確保を図れ(2010年3月12日読売新聞)

 法律家の数を今後、どれくらいのペースで増やしていくのか――。

 これが最大の争点だった日本弁護士連合会の会長選挙は、急激なペースダウンを主張する宇都宮健児氏が再投票の末に当選した。

 法曹人口の増加に、多くの弁護士が危機感を抱く現状が反映された結果といえる。

 だが、法曹人口の大幅増は司法制度改革の大きな柱である。最高裁によると、国民10万人当たりの弁護士数は、米国356人、英国221人、フランス78人に対し、日本は21人にとどまっている。

全国どこででも手軽に弁護士に相談できるような法的サービスを充実させ、司法を身近なものとするには、弁護士の増員が欠かせない。日弁連の新執行部には柔軟な対応を望みたい。

 当選した宇都宮氏は、多重債務者問題などに取り組んできた著名な弁護士だ。会長選では、司法試験の合格者数を1500人程度に削減するよう主張した。昨年の合格者が2135人だったことを考えれば大幅削減である。

 宇都宮氏は地方の支持を幅広く取り付けた。大都市部に比べ、地方では、弁護士への依頼件数が少ない。その上に、弁護士の数が増えれば、業務が成り立たなくなるという声は多い。

 しかし、依頼者の側からみれば、能力や専門分野によって弁護士を選べる状況が望ましい競争によって、弁護士全体の質も高まるのではないだろうか。

読売新聞曰く「競争によって、弁護士全体の質も高まるのではないだろうか」などと脳天気なことを書いていますけれども、現実問題として現場を知っている人間が「このままではヤバイ」と警鐘を鳴らしているのに外野が脳天気なことを言っているという構図は、全く医療の世界と同じですよね。
新司法試験においては三回受験に失敗すればアウトなわけですからまだしもですが、医師国試の場合は国試予備校に通いながら何度でも挑戦出来るわけですから、とにかく試験に通りそうな勉強だけを繰り返して国試だけは通りました、なんて実例は今ですら幾らでもあるわけですし、受験者増で全体の質が下がればそれが更に増えるのも当然でしょう。
もちろん競争原理で選択淘汰が働くなら能力に欠ける人材は消えていくということもあるかも知れませんが、少なくとも医療業界においては全国どこでも人不足で当分過剰人員が出る気遣いはない、そうなれば一度増やしてしまった不良在庫は今後数十年はまずもって整理することが難しいだろうと現場を知る誰もが予想しているわけですよね。

司法試験に限らずすでに歯科医業界では某大先生の口癖(笑)のようにOECD平均並みに増やしてみたらワープア化が一気に進んで廃業続出という話が有名で、最近ではとうとう歯学部も追加募集をかけなければ人も集まらないという話になっていますけれども、公認会計士やら薬剤師やら他の国家試験資格職も一気に増やしてみたら大変なことになったという実例数多なのは以前にも紹介した通りです。
これだけ先行する失敗例があるにも関わらず同じ失敗をまた繰り返すということになれば、さすがに過去から学ばない無能を通り越して何かしら背景に意図するところでもあるのかと考えないではいられませんけれども、実のところ大先生のような奴隷医者を使いこなす立場の管理職にとっては、安く使いつぶせる人材が履いて捨てるほど増えても不都合などは何一つないわけですよね。
厚労省や財務省なども一頃の医療亡国論を公式に排除した以上、医療費の政府負担さえコントロールしていれば医師数増にはさほど目くじらをたてる必要もない、無論「競争によって質が高まる」と主張するマスコミ諸社は言うまでもなく、国民にとっても支払いが変わらないのであれば文句はないはずですが、当事者である医者も他人視点ではなく我が身のこととしてどうなのかという視点もそろそろ必要でしょう。

各地で医師不足が叫ばれているのは事実であり、現場の医師たちが激務に悲鳴をあげているのも確かでしょうが、それでは現場の医師たちが望んでいるのは何なのかということを考えてみれば、医師数増はあくまでも単なる一手段であって目的でも何でもないということは言うまでもないことであるはずなのに、いつの間にかそれが目的であるかのように語られているのは誰の意図するところなのかということですよね。
医療の現状は確かに現場の人間にとって厳しいものがありますけれども、逆に言えば昨今ようやく医療現場に労基署の監督が入るようになったことなどからも判る通り、極端な供給過少の売り手市場であるからこそ出来る、あるいはやっておくべき現場環境正常化のための改革も幾らでもあるはずなのに、それを放置したまま後代にツケを回すのはどうなのかと思います。
医療崩壊と言われる今の世にあって現場の医師たちが求めるべきことは何なのか、そのために取るべき方法論はどうかといったことを考えた場合に、声の大きい人達に引き摺られて「あれ?こんなはずじゃなかったのに…」と他業界の失敗を拡大再生産するような愚を犯してしまうことだけは避けなければならないでしょう。

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2010年3月30日 (火)

動き始めた医療の規制緩和 それは医師会に対する踏み絵となるか

朔日ニュースで流れた話ですので既にご存知の方も多いかと思いますが、今回初めて開かれた行政刷新会議の分科会で新たな規制緩和の話が取り上げられました。
ここでもキーワードは「国民目線の改革」ということになるのでしょうが、なかなか面白そうな話が出てきているようですよね。

政府 50項目の規制を検討(2010年3月29日NHK)

政府の行政刷新会議の下に新たに設けられた規制改革に関する分科会の初会合が、29日夜開かれ、保険診療と保険外診療を併用する、いわゆる混合診療の禁止など、およそ50項目の規制について検討を進め、ことし6月に結論を取りまとめることになりました。

鳩山政権は、政治主導で規制改革を進める必要があるとして、平成19年に発足した政府の規制改革会議を廃止し、行政刷新会議の下に新たに分科会を設けました。29日夜開かれた分科会の初会合で、枝野行政刷新担当大臣は「利用者の視点から規制を見直すため、政治主導で立ちふさがる壁を乗り越えていきたい」と述べました。

会合では、環境と医療、農業を重点分野に、利用者の立場から見て、質の高いサービスを妨げていないかどうかや、国の許認可で、行政のむだを生んでいないかどうかなどを基準に、およそ50項目の規制を検討対象とすることを決めました。具体的には、保険診療と保険外診療を併用する、いわゆる混合診療の原則解禁や、太陽光発電などの導入促進に向けた建築規制の見直しなどを検討することにしており、関係者からの聞き取り調査などを行ったうえで、ことし6月に結論を取りまとめることにしています。

こんなところでさりげな~く出ている混合診療の原則解禁という話ですけれども、かねて話だけは何度も出ていながら部分的になんて小さいことは言わずいきなり原則解禁とは、また大きな話が出てきたなという感じでしょうかね。
実は既に昨年末の段階で行政刷新会議では混合診療を医療情報の電子化と並ぶ「緊急課題」として早急に議論を進めるよう言っていた経緯があり、これに例によって日医あたりが反対の論陣を張るというお約束の展開が繰り返されていたところではありました。
今回の分科会に関する各方面のレスポンスもおいおい詳細が報道されてくるものと思いますけれども、まずは今回の初会合についてCBニュースの方ではもう少し医療畑方面に詳しい記事を載せていますから参照してみましょう。

「消費者、患者の観点で規制見直しを」-行政刷新会議分科会が初会合(2010年3月29日CBニュース)

 政府の行政刷新会議(議長=鳩山由紀夫首相)は3月29日、規制・制度改革に関する分科会の初会合を開催した。冒頭にあいさつした枝野幸男行政刷新担当相は「この開催をスタートに、本格的な規制改革にかじを切る」と述べた上で、「消費者であるとか、患者さんであるとか利用者の観点で規制を見直していただきたい」と強調した。分科会は早ければ5月末までに結論をまとめ、行政刷新会議に報告する。分科会は下部組織として、特定分野を検証するワーキンググループ(WG)を設置。医療分野を議論するライフイノベーションWGは4月5日に初会合を開く予定だ。

 同分科会の分科会長には、大塚耕平内閣府副大臣(規制改革担当)が就任。このほか田村謙治内閣府大臣政務官や、ジャーナリスト、税理士、有識者など15人の民間人が参加する。
 初会合では、規制改革会議の検討結果や「国民の声」の集中受け付け期間に寄せられた規制改革提案などを基に事務局が洗い出した、議論のたたき台が示された。それによると、ライフイノベーションWG の検討テーマには、▽保険外併用療養の原則解禁▽一般用医薬品のインターネット等販売規制の緩和▽医行為の範囲の明確化-など13項目が掲げられた。

 分科会終了後の記者会見で大塚分科会長は、3か月間である一定の成果を上げていくことを前提とした上で、4月は担当分野や検討課題に関する情報収集やヒアリングを実施し、5月は改革の方向性を議論、5月末か6月初めに検討結果を行政刷新会議に報告することを目指すとした。
 また大塚分科会長は、「委員でまとまらない場合は、関係者を集め公開の場で『規制仕分け』をする」と述べ、議論の場を「規制仕分け」に移して政治判断する可能性を示した。

しかしまたぞろ公開での吊し上げ…もとい、仕分けですか(苦笑)。
ちなみに他の報道によれば、この分科会のメンバーというのはこんな感じになっているようですが、医療問題を討議する割には医療関係者はまともに含まれていないという点を置くとしても、顔ぶれがいかにも消費者、患者の視点という感じですよねえ(笑)。
ちなみに唯一医療系っぽい肩書で並んでいる黒岩氏と言えば過去に何度か当「ぐり研」でも取り上げさせていただいた通り、医療とは縁もゆかりもない元フジテレビのアナウンサーという徹底ぶりですから、確かに今までにない議論が期待できそうではあります。

大塚耕平(会長) 内閣府副大臣
田村謙治(会長代理)  内閣府政務官
草刈隆郎 日本郵船相談役
相沢光江 弁護士
安念潤司 中大法科大学院教授
大上二三雄 エム・アイ・コンサルティンググループ社長
大畑理恵 税理士
翁百合 日本総研理事
樫谷隆夫 公認会計士
木村修 農業組合法人伊賀の里モクモク手づくりファーム社長理事
黒岩祐治 国際医療福祉大大学院教授
寺田千代乃 関経連副会長
速水亨 速水林業代表
八田達夫 政策研究大学院大学長
仏田利弘 ぶった農産社長
松井道夫 松井証券社長
山崎福寿 上智大教授

冒頭にも登場する枝野行政刷新相に関しては、すでに先日混合診療導入に関して「早急な結論は危険」などと、それは行政刷新相としていささかどうよと思われるような後ろ向きのコメントを出したことが報道されていますけれども、会議の方向性としては基本的に混合診療推進の方向で問題点や障害を洗い出すという方向に進みそうであるのは明らかですよね。
となるとかねて強硬に混合診療導入に反対してきた日医がどういう反応に出てくるのかが注目されるところですけれども、今回の場合彼ら自身も会長選の追い込みでそれどころではないという事情があるということはご存知の通りですよね。

ところでこの日医会長選、今までは自民党支持、現行路線継承をうたう現会長一派と、民主党支持に鞍替えを公言している対抗馬という図式で語られることが定番だったわけで、実際政党との距離感を基準に候補者を統合しようなんて動きもあったくらいなわけです。
そこへ来て政権与党側の動きとしてこうした日医既存路線に真っ向から反対するかのような混合診療解禁の話が出てきたとなると、これは単に支持政党鞍替えに終わらない大きな日医の路線変更への布石ともなってくる可能性がありますよね。

日本医師会会長選で演説会 与党との距離で見解(2010年3月27日47ニュース)

 4月1日投開票の日本医師会(日医)会長選で、立候補届け出締め切り後初めての演説会が27日午後、岡山市であり、候補者が政権与党との距離について見解を示した。

 原中勝征・茨城県医師会長はすでに構築した民主党との関係を強調。「4年間政権を取っているのは確かだ。次の診療報酬改定時に医療費を上げる力があると信じている」とアピールした。

 一方、現職の唐沢祥人会長と森洋一・京都府医師会長は、与野党問わず政策提言する立場を鮮明に。唐沢氏は政界再編の可能性を指摘し、「どのような政権が誕生しようとも、医療政策の方向性を提示することが日医の使命だ」と主張した。

 森氏は「政権に左右されず、国民の声を背景に強く訴えていく。自民党もしっかりした野党になるように、われわれの声を反映させていかなければいけない」と訴えた。

 会長選には、京都府医師会員の金丸昌弘氏も立候補している。

永田町顔負けの権力闘争 日医会長選(2010年3月27日中国新聞)

 政権交代後、初となる日本医師会(日医)の会長選は政治との距離感を焦点に、4月1日の投開票まで1週間を切り、各陣営はラストスパート。「2、3位連合」の動きが表面化するなど、かつての自民党総裁選をほうふつさせる手練手管が繰り出され、「永田町顔負けの権力闘争」(閣僚経験者)に発展している。

 ▽一致したリスト

 「連合うんぬんの話が急に出てきた。誰も予想していなかったが、私が出馬をやめることはない」―。現執行部批判を繰り返し「親民主党」を隠さない原中勝征はらなか・かつゆき・茨城県医師会長(69)は26日、都内で会見し、対峙(たいじ)する唐沢祥人からさわ・よしひと・日医会長(67)、森洋一もり・よういち・京都府医師会長(62)両陣営への不快感をあらわにした。

 その理由は、ただひとつ。26日までに両陣営が公表した副会長候補3人のリストが完全に一致したからだ。

 日医会長選では、同時に定数3の副会長も争われる。従来は、それぞれの会長候補陣営が支持を獲得した各地の医師会幹部などを副会長候補として推薦。会長選で敗れた陣営の副会長候補が降り、勝利した陣営が正副会長を独占してきた。

 日医や地方の医師会、民主、自民両党国会議員ら関係者の話を総合すると、選挙戦は「原中氏優位」で推移。唐沢、森両陣営が異例の行動に出たことで、原中氏に対抗するため、関係者間で取りざたされていた唐沢、森両氏による“合従連衡”が一気に表面化した。

 ▽2、3位連合

 唐沢、森両氏の陣営幹部は「副会長候補は偶然の一致だ」と口をそろえる。しかし、ある地方医師会会長によると、両氏の一本化も水面下で模索され、民主党支持への急旋回は、いずれしっぺ返しを食らいかねないとの認識で一致したという。

 一本化は実現していないが、原中氏周辺は、同氏が会長に当選しても、有権者である代議員の過半数を押さえないと副会長は2、3位連合側が独占する可能性を指摘。「原中の当選を見越し、会長と副会長人事で“ねじれ”をつくる気だ」と神経をとがらせる。

 2、3位連合といえば、鳩山一郎首相の後継を決める1956年の自民党総裁選で、第1回投票で2位の石橋湛山陣営が決選投票で逆転に成功した秘策だ。

 ▽もろ刃の剣

 「私は鳩山先生に申し上げた。『初年度で医療費を下げることがあったら、誰が信じるか』と。マイナスだけはやめてほしいとお願いした」―。27 日、岡山市で開かれた候補者演説会。原中氏は2010年度診療報酬改定の前提となった予算編成を引き合いに出し、鳩山由紀夫首相とのパイプをアピールした。

 しかし、政権への近さはもろ刃の剣にもなる。開業医の間では、今回の診療報酬改定で収入源の一つの再診料が20円引き下げられたことへの不満が根強い

 こうした雰囲気を察してか、原中氏は演説会で「診療所だけ下げるのは絶対に許せないと政務官と大げんかした」と説明。病院勤務医重視の厚生労働省政務三役を批判し、「民主党幹事長室との協議機関設置」など、選挙で開業医票に熱い視線を送る党側との関係強化を強調する。

 一連の「政治とカネ」問題などで、鳩山内閣の支持率は半年で30%台に転落したが、これまで日医が支持してきた自民党も展望が開けたとは言えず、日医が会長選を通じてどのような選択を示すかが注目される。

新聞記事の書き方がまた微妙で、「日医が会長選を通じてどのような選択を示すか」なんて敢えて主語をぼかした言い方にしているところがさすがにうまいなと思うのですけれども、ご存知のように日医会長選というものは代議員なるものによる極めて民主的な(笑)システムで成り立っている制度です。
代議員を選ぶのは各地自治体の医師会に委ねられているという形になっていますけれども、実際に選ばれるのは長年医師会専従でやってきたような暇な爺医ばかりという現実がありますから、それは日医がいくら会員の半数は勤務医だと主張したところで勤務医代議員がわずか数%という現実の前には、全医師ならぬ特定階層の代弁者と言われるのも当然ですよね。
要するに会長選を通じて示される選択などというものは別に日医会員の見解でもなんでもない、ましてや全国で診療に従事している医師たちの総意だなどと曲解されるなんてとんでもないという話で、まさに何やら実態がつかめない「日医」なるものの意志としか言いようが無いということです。

日医と言えば今や医療政策に関する実効的影響力を失って久しいとはずいぶん以前から言われているにも関わらず、マスコミなどによれば未だに「日医が反対したから駄目だった」「日医が同意したから通った」などと、まるきり医療政策のフィクサーのように扱われているのは面白いなと思いますが、あるいは日医自身もそうした虚像を権威付けに有効だと考えている側面もあるのかも知れません。
しかし世間ではすっかり日医=国民利益に反する特権階級の利権団体という悪役像が定着していて、「医師会が反対しているからこれは良いことなんだろう」なんて公然と言われるようになっている時代に、もう少し空気を読むということも求められているんじゃないかとも思うのですけれどもね。
いずれにしても医師会という組織の行動原理が非常に保守的、守旧的であるということは客観的事実として認めざるを得ないわけですが、医療がかくも変革を迫られる時代にあっていつまでも武見時代を懐古しているだけの老人団体として終わるのか、それとも何かしら存在価値のある業界団体として再生するのか、今回の会長選もまた一つの試金石ということにはなりそうですし、そうでなければ意味が無いと思いますね。

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2010年3月29日 (月)

毎日新聞の偉業 そのルーツとは

かなり古い事件ですけれども、最近続報が報道されてちょっとした話題になったものを紹介してみましょう。

JR羽越線事故:「突風は予測不可能」で不起訴処分に(2010年3月19日毎日新聞)

 山形県庄内町のJR羽越線で05年12月25日、秋田発新潟行き特急「いなほ14号」(6両、乗員・乗客46人)が脱線転覆し、5人が死亡、33人が重軽傷を負った事故で、山形地検は19日、業務上過失致死傷容疑で書類送検されたJR東日本新潟支社の3人について「突風を予測することは不可能だった」として容疑不十分で不起訴処分とした。

 3人は、特急の運行を管理していたJR東日本新潟支社の当時の、輸送課指令室長(54)▽総括指令長(53)▽指令長(47)。

 県警は昨年12月、同線砂越(さごし)-北余目(きたあまるめ)間の現場付近に暴風雪警報が出ていたにもかかわらず、警報を認識せず列車を運行させ、脱線転覆で乗客を死傷させたとして書類送検した。

 しかし、山形地検は、事故原因は風速毎秒32~50メートルの竜巻かダウンバーストなどの局所的な突風によるものと判断。JRの風速計は事故前30分間に最大毎秒12メートルしか観測しておらず、速度規制すべき数値に達していないなどの点から、「仮に警報を認識していても、突風は予見できなかった」と結論付けた。

 JR東日本は「二度とこのような事故を発生させないよう、強風対策をはじめ安全対策に全力で取り組む」とコメントした。【浅妻博之】

あれ?毎日新聞社説に曰く、「突風とは言いながら、風の息づかいを感じていれば、事前に気配があったはず」なんですけれども、山形地裁からは不可能であると言い切られてしまったと言うことですかね?(苦笑)
「二度とこのような事故を発生させないよう、強風対策をはじめ安全対策に全力で取り組む」というJR東日本の言葉は殊勝ですけれども、毎日新聞社が二度とこのような捏造報道を発生しないようどれほど努力したかと言えば、その後も相次ぐ事例によっても全く何もしていないと考えても間違いはなさそうですよね。
と言いますか、毎日新聞社も他人に向かって風の息吹を云々する以前に、少しは世間の空気を読むということを覚えた方がよろしくはないかとも考える人は決して世に少なくないと思いますがどうでしょう?

さて、毎日新聞で有名人と言えば毎日新聞奈良支局に勤務されていた(現在大阪勤務だそうですが)「あの」青木絵美記者、ネット界隈ではその名を見かけない日がまずないと言うほどの著名人ですけれども、最近ちょっとした話題になっているのがネット上でのこういう書き込みです。
青木絵美氏と言えば2006年の奈良県・大淀病院事件に関する一連の報道がその出世の契機になったことが知られていますけれども、たまたま偶然のスクープなどと言うわけでも何でもなく、限りなく必然であったということになるのでしょうかね?

769 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/27(土) 15:20:41 ID:FxQPakW00

大淀の前のお仕事。しかも、この判決はスルーしているようだ。
こういう書き逃げという無責任さのもとに、大淀の捏造報道は生まれたのだろう。
そして、奈良の産科はついに逝ってしまった。彼らは、これかもずっと我々の敵である。

「陣痛促進剤投与で母子死亡」産婦人科医を提訴--地裁に橿原の遺族 /奈良
2004.08.22 地方版/奈良 

◇1億1200万円賠償請求
出産時に脳内出血を起こし死亡した橿原市の女性(当時32歳)の遺族が「医師が説明責任や注意義務を
怠ったため」として、同市内の産婦人科開業医に対し約1億1200万円の損害賠償を求めて奈良地裁に
提訴
したことが21日、分かった。訴状によると、女性は第1子を帝王切開で出産し、第2子の出産のために
01年6月に入院。陣痛が始まり、医師が子宮の収縮を活発化させる陣痛促進剤を投与した。投与開始から
8時間後、女性は急激な血圧上昇で突然けいれんを起こし、意識を失った。別の病院に搬送されたが、胎児
は死亡し、女性も脳内出血とくも膜下出血で死亡した。遺族は▽陣痛促進剤に血圧上昇の副作用があること
を、医師は説明する責任があった▽帝王切開を経験した女性は、子宮破裂の可能性があり慎重な投薬が求
められるが、女性と家族には陣痛促進剤の使用について説明がない▽血圧測定を怠り、容体の急変に気づ
くのが遅れた---などと主張。「自然陣痛があったのに、陣痛促進剤を投与されて強すぎる陣痛が起き、
副作用も重なり血圧が急激に上昇したため脳内出血が起きた。分娩中の観察が十分であれば脳内出血は
回避できた」としている。 医師は「陣痛促進剤と脳内出血との因果関係など、裁判で明らかにしたい」と
話している。【青木絵美】

この時点では原告側の訴えもあって陣痛促進剤云々にスポットが当たった記事になっていますけれども、経過をみてみますと年齢と言い状況といいまさしくどこかで見たような症例という印象も抱くところですよね。
今になって発掘された青木氏のルーツにネット上では当然ながら様々なレスポンスがついていますけれども、特にその背後関係というものを推測する書き込みも多いようですね。

772 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/27(土) 22:48:36 ID:pqTUMu8B0

何度かこういう記事を書いているとさも自分は「医療事情通」と
分かった気分になって訳知り顔になった
のだろうね。
自分の(浅はかな)見識・知識に基づいて批判・批評をするのが役目と
安っぽい正義感を振りかざしたが、いざ記事の妥当性を訊ねられ時には批判の矢面に
立たねばならないような状況だと途端に会社組織に潜り込んで沈黙を続けている
んだよな、
あの記者の女ふたりが書いた記事は殆ど犯罪的だね。
わざわざ「放置」「たらい廻し」「受け入れ拒否」と現場の医療者側の過失・
不作為の罪があるかのような前提の言葉を選択
している。

一審確定判決を読み返したが、初報を含めて記事の根幹部分を悉く否定した内容であり、
遺族側の訴状と見まがう記事だったなあと改め感じたよ。

776 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/03/28(日) 06:00:28 ID:gmzEexdI0

続き。

大淀事件の遺族を協力にサポ-トしていた団体に
陣痛促進剤による被害を考える会と言うのがある
のだが、
ttp://homepage1.nifty.com/hkr/higai/

リンク先を見てみると
「ネットで暴走する医師たち」
と言う本の広告がある。
この本は、陣痛~会の勝村氏が自分が出版予定だった
『誰が「医療崩壊キャンペーン」を仕掛けたのか(仮)』
を中止し自称ジャ-ナリストの鳥集氏に
「ネットで暴走する医師たち」 を依頼した
との記述がある。↓

同書の「あとがき」によると、中央社会保険医療協議会で委員を務めている勝村久司氏
(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)が、
著者に「誹謗中傷の本書かへん?」と電話で依頼した
という。
 勝村氏は、陣痛促進剤の事故で長女を亡くした京都府の高校教師で、
患者や遺族の立場から幅広く活動している。
公的な立場にあるだけに、「遺族への誹謗中傷」に対して反論するよりもむしろ、
医師と患者との信頼関係を回復する方向に目を向けることはできないものか。

ttp://blogs.yahoo.co.jp/taddy442000/27612218.html
ttp://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-595.html

で、この勝村氏と青木氏が手を組み、毎日が加勢し、奈良の産科を崩壊させたと見てよい。
しかしこんなのが中医協にいていいのかな。

まあ手を組んで云々の憶測はともかくとしても、中医協と言うものが過去に医療の現場に対して果たしてきた役割というものを考えた場合には、むしろ必然的であったという見方もできるかとも思えるところですが、どうでしょうかね?
奈良県の産科医療を思うままにしたあと自らは大阪に移り住んでお産を済ませてきたという青木絵美氏ですが、一時は畑違いの領域に浮気をしていたものの最近ようやく本業に復帰してきたということですから、これは毎日新聞を愛読する大阪府民にとっても非常に喜ばしいことなのではないかと思います。
世間では某アイドルのブログがリアルデスノートだと話題になっているようですけれども、大阪の医療が今後どのような状況になっていくかという辺りにも注目していく必要があるんじゃないかと思いますし、当「ぐり研」としてもこうして日々充実したソースを提供してくださる毎日新聞さんには深く感謝せずにはいられないところですよね。

がんを生きる:/62 ICU症候群/上 「帰って」面会の両親拒否 /大阪(2010年3月2日毎日新聞)

 ◇遮断された重症室、表情もうつろ

 04年夏、中学総体の兵庫県制覇を目指し、バスケットボール一色に過ごすはずだった。05年に亡くなった同県伊丹市の金川淳一君(当時15歳)。チームは03年秋の新人戦で県優勝し、強豪と目されていた。自信を持って総体に挑んだが、地区大会で敗退。それから1週間ほどした04年8月、胸に痛みを感じるようになった。

 試合での激しい接触プレーが多かったことから、初めは整骨院や整形外科を訪ねた。だが痛みは引かない。詳しい検査で、縦隔(じゅうかく)という胸骨に囲まれた部分に腫瘍(しゅよう)があると判明した。後の検査で、筋肉などにできるがん「横紋筋肉腫」と診断される。

 抗がん剤治療を始めるため、10月中旬、大阪府内の病院に入院した。小児科病棟は満床。14歳で「小児」でも年長なことから、しばらくは呼吸器外科病棟で大人と同室になった。副作用は強く、全身から玉のような汗が流れ、吐き気も止まらない。小児科と違い、付き添いの泊まり込みが認められず、家族の面会時間も半日程度。弱音を吐かないものの、うつぶせになった背中はつらさをこらえて小刻みに震えていた。

 「大きいといっても、まだ子ども」。母の富子さん(52)は気をもんだ。体調を見て許される外泊が、淳一君を何より元気づけた。「(帰るから)来てくれ」。携帯電話のメールで連絡すると、あっという間に、親友が家に集まった。

 ところが11月中旬、二度目の検査の最中に異変が起きた。胸部の大きな腫瘍が気管を圧迫したことが原因で、呼吸困難に陥った。短時間で終わるはずの検査が、人工呼吸器を取り付けて救命センターに運ばれる事態。「腫瘍を小さくする必要がある」。医師の説明を受け、2回目の抗がん剤投与も同時に始められた。

 救命センターの後も小児外科の重症室に移され、予断を許さない。面会は一般の病棟以上に時間も人数も制限され、一日2回の計2時間のみ。富子さんは時間いっぱい、淳一君の体をさすった。

 2週間ほどで腫瘍は小さくなり、人工呼吸器は外された。しかし、淳一君の表情はうつろだった。面会に来る父幸雄さん(57)や富子さんを「もういい」と拒む。幻覚も見ているようだった。

 数日後、姉の亜由美さん(27)と幸雄さんが部屋に入ると、淳一君は真っ赤な顔で泣きじゃくっていた。「僕は金川淳一じゃありません」「帰ってください」。医師からは、重症室で外と遮断されたり、薬で眠る状態が続いたことで起きる「ICU症候群」と言われた。【青木絵美】

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 ご意見や情報提供は、毎日新聞おおさか支局(ファクス06・6346・8444、メールat‐osaka@mainichi.co.jp)まで。

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2010年3月28日 (日)

今日のぐり:「三崎漁師物語」

日本では皇室と国民との距離が遠いだとか色々と言われることがありますけれども、ある意味で妙に庶民に近いところのあるのがブリの誇る英国王室です。
以前にもウィリアム王子がホームレス体験をやってみようとロンドンで路上生活を試みたところ、道路清掃車に轢かれそうになったなんていう愉快な話題を紹介したことがありますけれども、あまりに普通のブリ流たるを前面に押し出してしまうと時と場合に拠っては問題となるというのがこちらの記事です。

英フィリップ殿下、また失言?それともジョーク?(2010年03月12日AFP)

【3月12日 AFP】英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の夫、フィリップ殿下(Prince Philip、88)は数々の失言や大胆発言で知られるが、このほど視察に訪れたエクセター(Exeter)の海洋少年団のイベントでも、また余計な一言を口走ってしまったようだ。

 英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)が伝えた、海洋少年団メンバーのエイザベス・レンドル(Elizabeth Rendle)さん(24)の話によると、フィリップ殿下に普段の仕事を尋ねられたレンドルさんが「クラブでバーテンダーをしています」と答えたところ、フィリップ殿下は「何だって?ストリップクラブで働いてるって?」と聞き返したという。

 当然ながらレンドルさんが「違います」と答えると、フィリップ殿下は「そうさな。何にしろ今日はちょっと寒すぎるね」と応じた。レンドルさんはフィリップ殿下のコメントになかば唖然としながらも、ともに大笑いしたという。

「あれは失言ではなくジョークだったと思う。わたしも腹は立たなかったし、フィリップ殿下はわたしたちをリラックスさせようとしただけだと思うわ」(レンドルさん)

 フィリップ殿下自身は、場の雰囲気を和らげようと試みただけかもしれないが、かねてから殿下の発言はしばしば、その場に居合わせた人びとを赤面させてきた。

 2002年のオーストラリア訪問時には、先住民アボリジニに対し「今でも、やり投げをしているのかね」と質問。1986年の中国公式訪問にも英国人学生グループに「ずっとここ(中国)にいたら、目が細くなってしまうよ」などと話しかけたことは有名。

「余計な一言」と言いますか、シンプルにそれはセクハラと言うのではないかと平凡な極東の島国の住民感覚では思うのですが、これがちゃんと報道されてしまうというあたりもブリ流かなと思いますね。
しかしかの殿下ももうかれこれいいお歳だったのでは…と思ってちょいと調べてみましたらもう米寿かい!と逆に驚いた次第ですが、殿下の伝えられる伝説の数々をこうして列挙してみますと何ともこれは…どこからどう見ても完璧すぎる英国紳士です本当に(r

* 「英国人女性は料理ができない」(1966年)
* 「国民は、我々の生活にはもっと休みが必要だと言ってたくせに、今度は仕事が無いなどと文句を言っている」(80年代の不況時に発言)
* 「あなたは女性ですよね?」(1984年ケニア訪問時、現地人女性に質問)
* 「ここに長く住んでいたら、あなたたちみんな目が細くなりますよ」(1986年中国訪問時、中国に留学中の英国人学生に発言)
* 「生まれ変わったら、死のウイルスになって人口問題を解決させたい」(1987年、著書の序文で)
* 「あなたたちはほとんど海賊の子孫なのではないのですか?」(1994年ケイマン諸島訪問時、現地人に質問)
* 「なんとか食べられずに済んだのですね」(1998年パプアニューギニアを探検した学生に発言)
* 「うん、この工事はインド人がやったに違いない」(1999年スコットランド訪問時、ワイヤーが外れたヒューズの箱を見て発言)
* 「きみは太りすぎているから無理だろう」(2001年「将来宇宙飛行士になりたい」と語った12歳の少年に返答)
* 「まだ槍を投げ合っているのですか?」(2002年オーストラリア訪問時、オーストラリア先住民ビジネスマンに質問)
* 「どうやって免許取得試験中、スコットランド人は酒を飲まないようにするんですか?」(スコットランド訪問時、現地の自動車教習所の教官に質問)
* 「このくそったれ!」(相手がフィリップと気付かず、駐車違反の切符を切ろうとした警察官に対して)
* 「耳が聞こえない? このバンドの近くにいたら、不思議じゃないですね」(打楽器のバンド演奏の際、聴覚障害者に発言)
* 「おお嫌だ。酷い病気にかかるかもしれないじゃないか」(オーストラリア訪問時、コアラを撫でるように頼まれた際の返答)

本日は殿下に敬意を表してちょいとばかりシ○○タ入っている話題を取り上げてみますけれども、いやしかし世界中でこれだけ愉快な事件が日々おきているということなんですかね。
まずは一番新しいこちらの話題からご紹介しますが、しかしこれは翻訳の問題なのでしょうか、それとも実際にこういう時代がかったやり取りが繰り広げられたのでしょうか?

全裸男性「ご主人! パンをひとつ頂こうぞ!」/ 警察が犯人を捜査中/中国(2010年3月28日ロケットニュース24)

中国江蘇省にあるパン屋に、全裸の男性がパンを買いに来るという珍事件が起こった。その男性は店員に「ご主人! パンをひとつ頂こうぞ!」と伝えたという。

地元メディアによると現地時間の22日午後5時ごろ、30代と見られる男性が一糸まとわぬ姿でパン屋に入って来た。そのとき店内には店員2人を含めて15人がいたが、裸男に驚いた人々は口々に悲鳴をあげた。それに驚いた裸男は慌てて、「ご主人! パンをひとつ頂こうぞ!」と店員に伝えたのだとか。

対応した女性店員が「生まれたままの姿の殿方に売るパンはないのでございます!」と答えたところ、その裸男は「家ではみんな生まれたままの姿! 恥ずかしくもなく服を脱ぐのに、どうして裸じゃだめなのか疑問ではごさらぬか!」とギョーテン発言。これに対してその店員は「殿方! ここは家でもお風呂でも銭湯でもございませぬ! ここは外! みんなが見ておられます!」と裸男を説得し、なんとか店から追い出した。その後、警察が到着したときには裸男はすでにどこかへと消え去っていた。

この騒動の直前、服を着た状態でそわそわしながらパン屋の周りをウロウロする男性が目撃されており、警察では人相や着ていた服をもとに露出癖を持つ男性を調査する方針だ。どうしてわざわざ、着ていた服を脱いでからパンを買う必要があったのかが気になるところである。

着ていた服を脱ぎたがるのはそういう趣味のお方も多いことですから別に珍しいことではありませんが、彼が敢えてこの店を選んでそうした行為をなそうと決意するに至った経緯というものが興味がありますよね。
このあたりはまだ了解可能な範疇?と考えることも出来る話題ですけれども、同じ中国でもこれが長年ブリの影響下にあった香港界隈ともなると、かなり濃厚なブリ風味を漂わせてくるようです。

ズッキーニを肛門に挿入して自殺を試みた男性、病院へ搬送される/香港(2010年03月26日GigaZiNE)

どのような状況においても、「人が自ら死を選ぶ」というのは非常に大きな決断力を必要とする出来事だと思われますが、思い悩んだ末に死を決意した男性が肛門にウリ科カボチャ属の野菜であるズッキーニを挿入して自殺を試みたそうです。

幸いなことに男性は一命を取り留めましたが、そもそもどうしてこのような手段を選んだのでしょうか。

詳細は以下から。
Man inserts zucchini into anus in suicide attempt

この記事によると、香港で自殺を決意した62歳の男性が、自らの肛門にズッキーニを挿入したそうです。

そして男性が肛門から大量に血を流し、あたり一面血だらけになった中で苦痛にうめいていたところを帰宅した男性の娘が発見したとのこと。驚いた男性の娘は急いで病院に搬送したとされています。

医師が直腸に残されたズッキーニを取り除いたため、一命を取り留めた男性は現在病院で快方に向かっていますが、どうして「ズッキーニを挿入する」という自殺方法を選んだのかと問いかけた医療助手に対して、男性は「古くから伝わる自殺方法であった」と述べています。

そう、紳士の嗜みにおいてはズッキーニは自殺するため、ジャガイモはカーテンを吊るために用いるものと伝統的に決まっているのですよ。
さて、以前にブリの空港で「全身丸見え」のスキャナーを導入することになったという話題を紹介しましたけれども、この話にもきちんとオチが付くのがブリ流というものです。

英空港職員、全身透視スキャナーで同僚女性見て懲戒か(2010年3月26日産経新聞)

 英国ロンドンのヒースロー空港の警備担当職員(25)が、セキュリティー対策として導入されている「全身透視スキャナー」を使って同僚の女性をみだらに見たとする訴えを受け、警察から警告を受けた。当局が24日明かした。

 この警備担当職員は、懲戒処分となる可能性もあるという。

 英紙サンによると、問題の職員は同僚の女性(29)が誤ってスキャナーに映りこんだのを見て、みだらな発言を行った。

 英国内の多数の空港に全身を透視するスキャナーが導入されて以降、こうした問題が起きたのはこれが初めてとみられる。(ロイター)

まあしかし、これは当然に予想された事態であると言いますか、むしろ全世界のブリに対する期待を裏切ることなく本分を果たした英雄的行為とも考えられるのではないかという気もしますがどうでしょうか?
この程度ですと今更さほどのニュースバリューもないという気もしますが、さすがブリだけにこんなビックリドッキリな話題には事欠かないということですかね。

ジャンボ鉛筆で股間を突いて自殺した男―英(2010年3月10日HEAVEN)

特大の鉛筆で自らの股間を何度も刺して死亡した男性の検屍陪審で、有疑評決(open verdict:被告人が犯人か否か、また死因については決定しないとする評決)が出されました。

ジャンボ鉛筆で股間を突いて死亡したのは、英イーストサセックス州セントレオナルズに住む窓拭き職人、ジェフリー・バートン(57歳)。
昨年9月27日に隣人から通報をうけて駆けつけた警察官が、鍵をこわして部屋にはいった時、バートンはパンツ1枚で横たわり、すでに事切れていたといいます。しかしなんと言っても目を引いたのはその異常な死に方でした。

音楽が鳴りっぱなしだった部屋には、血が飛び散った跡があり、バートンの遺体の横には巨大な鉛筆。そして遺体の股間には深く穿った穴があいていたといいます。

イーストサセックスの検屍官、アラン・クレイズは、ヘイスティングスでおこなわれた検屍陪審でこう述べています。「ただただ謎です。ひとがもし自殺しようとしたとして、こんな方法をとるとは考えられません。彼は何度も何度も突き刺したようで、まるで鉛筆になんらかの執着があるようにみえました」

バートンの姉妹、パトリシア・グッデルは、凶器となったジャンボ鉛筆は最近亡くなった母が所有していたもので、彼にとっては特別な意味をもったものだったと話しています。

ま、各家庭にそれぞれの事情があるということでしょうけれども、一方で被告人が犯人か否か、また死因については決定しないと評決したというのは故人と家族に対する温情ということになるのでしょうが、こうして全世界に配信されてしまうと温情も何もなくなってしまうような気がするのですが…

今日のぐり:「三崎漁師物語」

左右両側を海に挟まれた狭い陸地に延々巨大な風車が立ち並んでいるという、どこか浮世離れした光景が観光名所になっている佐田岬半島に出かけました折に、例によって立ち寄ったのが以前にもお邪魔しましたこちらのお店です。
半島も突端近い最僻地とも言うべき場所に位置する漁協直営店らしく?今風のセンスとは無縁な店構えですけれども、なかなかどうして繁盛しているらしいあたり定評を得ているということなんでしょうかね?
ところで駐車場自体はそこそこのスペースを確保しているのですが、全体の平面形が微妙な上に駐車区画の仕切り方がもう一つ甘いかなという感じで、都市部の同じような広さの駐車場と同じ感覚でいるとあれれ?入りきらないぞという話になりかねないという懸念は残るところです。

前回は偵察がてら色々と試してみてある程度味の傾向が判ったことと、やや季節的に端境期に入っているところだったことから、今回はシンプルにおまかせの握り寿司セットに岬旬丼、鯵の刺身といったあたりを頼んでみましたが、この握りのセットが出てきた瞬間のパッと見で全く赤色系統のネタが並んでいなくて、何か同じような色合いばかりになっているあたりが面白かったですね。
確かに季節の地の魚を使って握るとこういうネタの取り合わせになるんでしょうが、このあたりネタそれぞれの組み合わせも考えて一人前の寿司というものを組み立ててくる寿し屋の握りと、あくまでネタ主体で考えていく漁師料理の対比というものが分かりやすく現れた瞬間ではありました。
食べてみればそれぞれ新鮮なネタの味わいが楽しめて安い値段の割にお値打ち感は十分ありますし、やや少なめに思えるボリュームもオプションで伊勢エビの味噌汁などを追加してみれば見た目にもずいぶんと豪華な感じになってきますけれども、ランチで食べるのであればこれだけで軽めに済ませておいて、帰りに道の駅で名物のじゃこ天などちょっとしたものをつまんでみるという楽しみ方もあるかと思いますね。

岬旬丼の方はいわゆる海鮮丼というものに相当するのでしょうか、季節の刺身を細切れにして飯の上に散らしたところに醤油ダレを掛け回してあるというもので、これもこういう地の魚を安上がりに美味しくいただくには定番と言うような味ですけれども、ちょっと扱いに困ったのが真ん中に高々と盛り上げられて存在感を発揮しているわさびの存在です。
何しろ身肉が細切れだけに通常の刺身のように一つ一つつけて回るわけにもいかず、かといって醤油ダレがすでに掛け回されている以上ワサビ醤油にしてかけるわけにもいかず、しかも無視してかき込むにはいささか量が多すぎるというものですから、これでしたらタレを後掛けにさせるか(HPの写真ではそんな風になっているんですけどね)ワサビだけ別皿ででも出して頂いた方がありがたかったかなと感じたところでしたね。
ちなみにこの丼の付け合せのひじきがなかなかうまくて、しかも味の組み立てが面白くていい工夫をしているなと感心したのですが、いい味の出た味噌汁も込みで考えると値段分は十分楽しめる内容だと思う一方、やはりこれも量的に男性客にとっては軽めというところで、漁師流という看板を掲げている上からはどうなのかとは思わないでもないですよね(笑)。
鯵の刺身の方はさすがに季節にまだ早いかなという感じの脂のノリ具合ですけれども、これはこれですっきりした味わいをさっぱりと嫌味なく楽しめるもので、付け合せに取ってみる一品としては悪くないんじゃないかなと思います。

ところでこの日は海が見える窓際のテーブル席に座ったのですが、確かに景色は良いんですが床が一段低くなっている関係もあって全く厨房付近からは死角になってくる上に、前回も書きましたようにこちらのスタッフの接遇ぶりではわざわざ客席に目を向けるなんてこともまずありませんから、何かあると席を立って声をかけなければならないのはせっかくの風景をスポイルするものです(テーブルに呼びボタンでも備えておけばよさそうですが)。
全般的にはこの手の観光地の店としては比較的価格も控えめに設定している方だと思いますし、季節ともなれば文句なしにうまい鯵や鯖の刺身が安価に食べられるわけですから悪くないと思うのですが、やはりこのレベルの接遇が許されているのも全く競合店が存在しない立地故という気がしないでもありません(その意味で松山市の支店ではどうなのかという興味はありますけれどもね)。
ところで全く関係ないんですがレジ前のおみやげ販売所、伊勢エビが生簀に浮かべたカゴの中にテンコ盛りになっているのですが、よくよく見てみますとカゴの下に隠れて生簀の底に潜んでいた一匹の伊勢エビはカゴから脱走した個体ということなのでしょうか、いずれあの環境では飢えるしかないだろうと考えると、一思いにバッサリ料理されて果てるのとどちらが幸せなんでしょうかねえ…?

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2010年3月27日 (土)

環境テロリスト 虎の尾を踏むか?

日本船に不法侵入をして拘束された環境テロリスト「シー・シェパード」のピーター・ベスーン船長ですが、過日の傷害事件についても自分がやったと認めているということです。

SS船長 酪酸入り瓶の撃ち込み認める(2010年3月23日日テレニュース24)

 反捕鯨団体「シー・シェパード」の船長、ピーター・ベスーン容疑者が日本の調査捕鯨団の船に侵入した疑いで逮捕された事件で、ベスーン容疑者が、有毒な液体が入った瓶を船に撃ち込んだことを認めていることがわかった。

 ベスーン容疑者は今月12日、日本の調査捕鯨団の船に侵入した疑いで海上保安庁に逮捕された。関係者によると、ベスーン容疑者は調べに対し、有毒な酪酸の液体が入った瓶をロケット砲のようなもので船に撃ち込んだことを認めているという。海上保安庁は、傷害の疑いなどについても調べを進めている。

 また、東京地裁は23日、ベスーン容疑者の拘置を4月2日まで延長することを決定した。

当事者間に事実関係の争いが無いということになれば話は早いのですが、本人はともかく周囲ではかなり大きな騒ぎになっているようで、同船長の妻が涙ながらに語ると言う動画なども出回っているようです。
同船長の母国であるニュージーランドはもとより、かねてシーシェパードの実質的母港として機能しているオーストラリアなどでもなかなか賑やかなことになっているようですが、中には聞いていると首をかしげたくなるような話もあるようですね。

■SS、豪連邦警察に第2昭南丸船長ら告訴「故意に衝突」(2010年3月19日朝日新聞)

【シンガポール=塚本和人】米国の反捕鯨団体シー・シェパード(SS)は19日、南極海で今年1月に日本の調査捕鯨船団の監視船、第2昭南丸とSSのアディ・ギル号が衝突した問題について「故意に衝突させた」などとして第2昭南丸の船長と乗務員をオーストラリア連邦警察に告訴したことを明らかにした。

 豪連邦警察の報道官は同日、「SSの弁護士から18日に告訴状を受け取ったが、コメントする段階ではない」と述べた。

 SSのポール・ワトソン代表は「豪警察は日本の要請で我々の船を捜索した。今度は、豪側が日本の警察に第2昭南丸を捜索するように求めていくべきだ」と語った。

 一方、SSの抗議船はクロマグロ漁を妨害するため地中海に向かっている。国際取引を禁止する提案が否決されたことについて、ワトソン代表は「提案が否決されても、違法なクロマグロ漁をストップさせる活動をやめるつもりはない」と述べた。

【日々是世界】船長逮捕に揺れるニュージーランド(2010年3月21日産経新聞)

 東京海上保安部に、艦船侵入容疑で逮捕された、反捕鯨団体シー・シェパード(SS)のピーター・ベスーン容疑者(44)の祖国、ニュージーランドでは、家族の言動がメディアで取り上げられる機会が増えている。妻、シャロンさんは、頻繁にテレビ番組に出演しており、政府による夫への支援を訴えている。

政府支援を求める妻

 今月12日に、報道陣や抗議団体が集まる中、東京・晴海(はるみ)埠(ふ)頭(とう)に夫を乗せた第2昭南丸が接岸する模様が大々的に報じられると、シャロンさんは動揺し、不安を吐露した。

 「日本の捜査当局が彼を見せしめとして懲らしめるのが怖い

 夫婦には15歳と13歳の2人の娘がいる。シャロンさんは子供たちの精神的な影響を心配しつつ、「夫に実刑判決を出すのは賢明ではない。なぜなら、夫には多くの支援者がいるから」とも語る。

 SSによると、ベスーン容疑者には日本人と米国人の計4人の弁護士がつき、訴訟費用はすべて団体が面倒を見るという。SSは、今回の裁判を、日本の捕鯨に対して、国際的な圧力をかけるキャンペーンの場にしようと画策。団体代表のポール・ワトソン船長(59)は、「今後、起こるすべてのことがベスーンを国際的な英雄にさせるだろう」と話している。

豪州とは一線を画す

 日本とニュージーランドの関係悪化が懸念される中、ニュージーランド紙ドミニオンポスト(電子版)は9日付で「日本の南氷洋での行為が恥ずべきなのは疑いがないことだ」とする社説を掲載した。

 ドミニオンポストは、調査捕鯨が国際捕鯨委員会(IWC)の規則の「抜け道」だと批判。国際的に非難される代償を認識しながらも、補助金を投入して継続する日本の捕鯨は、「SSの妨害活動でも阻止することはできない」と指摘する。

 その上で、国際司法裁判所への提訴をちらつかせる隣国のオーストラリアの強硬姿勢を引き合いに出し、ニュージーランドも、すべての選択肢を視野に入れて行動すべきだと提言する。

 しかし、ニュージーランド政府はベスーン容疑者の家族の訴えやこうした提言をよそに、「日本の捜査当局は適切な措置を行っている」(マレー・マカリー外相)として、事件処理に特別な介入はしない方針を打ち出している。

 また、調査捕鯨についても、オーストラリアの態度とは一線を画し、「外交的解決に向け努力する」(マカリー外相)として、一部で商業捕鯨を認める妥協案も用意していることを示唆している。

日本はパートナー

 ワトソン船長は こうした軟化路線に「ニュージーランドが日本からの圧力に屈した」と怒りを隠さず、「そもそも、ニュージーランド政府は、自国の国民を代表するのか、それとも日本人を代表しているのか認識すべきだ」とまで酷評している。

 一方、オーストラリア国内でも、SSが煽(あお)り立てた日本バッシングに同調する形で、ラッド政権が対日強硬路線を継続することに懸念する声も出ている。

 15日付の豪紙・オーストラリアン(電子版)は、「調査捕鯨をめぐり、国際司法裁判所に提訴すると脅したことが、日本政府をいらだたせている」と指摘。ケビン・ラッド首相(52)は、「的外れなことを言い続けている」と批判した上で、「オーストラリアは、日本との関係を試すこの問題の処理で、ますます孤立していっているように見える」と論じている。

 捕鯨問題で、日本との関係を悪化させまいとする両国の政治家や識者の見解の背景には、日本は自国の国益に沿う重要なパートナーであるとの認識がある。

船長夫人の心配ももっともとは思いますけれども、心配するというのなら夫が傷つけた日本人船員達やその家族に対しても、夫への万分の一でも配慮してみせるべきだったようにも思いますけれどもね。
国民世論と行政なりマスコミなりの見解が乖離しているということはどこの国でもあることですから何とも言えませんが、少なくとも国をあげて一枚板で反日反捕鯨という感じでもないということは言えそうに思える話だと思いますがどうでしょうか。
他方では、言ってみればひたすら感情的になって大騒ぎしている国民世論の背後で、その中心となるべきテロリスト達こそ実は一番冷静に事態を最も良い方向へと誘導しようとしているという背景があるのですが、それがよく判るのがこちらテロリストの公式サイトの記述です。

731 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/03/25(木) 14:04:12 ID:???

は? 南極海で活動できる船だぞ。

ピーター・ベスーンを助けよう。
http://www.seashepherd.org/matilda/support-captain-bethune.html
「してはいけないこと」という項目があって、
・ 日本政府への電凸、メル凸禁止。逆効果だ。
・ 差し入れ、面会不要。励ましのメールを送ってくれ。
などと。こなれてると言うか、よく分かってんなと言うか。これだからSSは侮れん。

732 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/03/25(木) 14:05:55 ID:???

>>731
2chの抗議しろってコピペよりは賢いな

736 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/03/25(木) 21:45:53 ID:???

なんだかんだで30年やってる組織だからな。
ここと対するには、それなりの知恵が必要だよ。
「テロリストだ!」と断罪するのは簡単だが、そんな指摘はとっくになされてる。
その逆風を生き残ってきた強敵なんだと認識し、何をすべきか考えないとね。

相手が環境問題も国家間の関係もどうでもいい、ただ自分たちの利益というその一点だけを指標にして最も効率的な行動を冷静に判断し実行しているという視点を持たないことには、道義的非難だの文化論だのといった的外れの迷宮に足を踏み入れてしまうということは繰り返し強調しておかなければならないところでしょう。
となると、日本のとるべき対応としては国際的に認められているとか食文化であるとかいった観念論ではなく、彼らテロリストの行動がいかに諸外国の利益に反することであるかということをもっと積極的にアピールしていかなければならないでしょうね。
実はその点で非常によい傾向とも言えるのが、今シーズンの反捕鯨活動終了を宣言した彼らが、今度はクロマグロ漁を妨害すると宣言し行動を始めていることでしょう。

「強欲の勝利」と批判=クロマグロ禁輸否決で-シー・シェパード(2010年3月19日時事通信)

 【シドニー時事】反捕鯨団体シー・シェパード(SS)のスポークスマンは19日、ワシントン条約締約国会議の第1委員会で大西洋・地中海産クロマグロの国際取引禁止案が否決されたことについて、「強欲が勝利した」と批判、クロマグロを絶滅から救う唯一の道は漁獲の全面禁止だと主張した。

 SSの「スティーブ・アーウィン号」は15日にクロマグロの密漁妨害のため地中海に向け出航した。SSのポール・ワトソン代表は、マルタやフランス、スペインなどの漁船の違法操業に対し「網を切ったり、漁具を破壊したりする」と予告している。

クロマグロ国際取引禁止案、否決が確定(2010年3月26日TBSニュース)

 大西洋と地中海産クロマグロの国際取引禁止案は、ワシントン条約締約国会議で25日、正式に否決が確定しました。これを受けて、日本の調査捕鯨を妨害してきたシー・シェパードの代表がクロマグロ漁の妨害を改めて宣言しました。

 今回の否決確定で、大西洋・地中海産のクロマグロについては、今後、資源管理団体ICCATでの漁獲管理の方法が焦点となります。

 「ワシントン条約締結国会議は初めて、政治的、経済的に妥協した。不法操業をやめさせるのが目的だから、特定の船に対して(捕鯨船のときと)同じように衝突することもあるだろう」(シー・シェパード ポール・ワトソン代表)

 日本の調査捕鯨に妨害活動を行ってきたシー・シェパードは、今度は地中海でのクロマグロ漁を妨害すると改めて宣言しました。不法に操業する全ての漁船を対象にするとしていて、その大半の輸出先、日本にも再び関心が集まりそうです。

すでに犯罪行為をやる気満々というワトソン代表のコメントですけれども、一方でマグロ漁は最大の需要国である日本に大きく関係することも事実ながら、その一方ではクジラよりもはるかに多くの国々が関わる巨大な国際産業であるという一面もあるわけですね。
特に今回の場合直接漁民の資産を破壊すると公言している以上は、彼らもこれだけの成果を上げましたと示して見せないわけにはいかない状況ですけれども、日本の捕鯨船団ような紳士的対応を徹底している人々ばかりではないという事実を彼らもいずれ身を以て学ぶことになるのではないかと、ネット界隈でも期待値が天井知らずに高まっているところです。

680 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/03/19(金) 23:26:19 ID:???

チュニジアやリビアの漁船団をシーシェパードが妨害するかな?
スペインやフランスの話が通じる相手を選んでデモするだけ、のような
気がする。もちろんEU内のTVを呼んだ上でだ。
トルコやキプロス、旧ユーゴは話が通じる相手かどうか微妙だな。
あと展開する海域も問題だ。西部かエーゲ海か。TVが呼びやすいのは
やはり西北岸。フランススペイン沿岸だろう。イタリアの東沿岸でモナコ
を応援するっていう手はアリかも知れん。

南部のアフリカ沿岸は無い。マルタ以南とか絶対無いw

681 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/03/19(金) 23:29:25 ID:???

SS全滅したら笑うぞw

682 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/03/19(金) 23:31:52 ID:???

核心に踏み込めるかどうかだな。
チュニジア攻撃に踏み切ったら、オレはSSを見直すぞ。

684 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/03/20(土) 04:09:39 ID:???

>>680
その辺の人に調査捕鯨船並みの攻撃しかけたら
下手すると本物のロケットランチャーを撃たれかねんな。
イタリアだってマフィアがらみの連中もいるだろうに。

何にしろこういう状況になると自前の完全養殖技術を確立した日本が様々な意味でイニシアティブを握ってくるということになりそうですが、もったいないことに近大が手がけたこの事業も当初は「こんな計画がモノになるものか」と国からは相手にされなかったと言われています。
せっかくこういう時代に自前の技術を持っているわけですから、事業仕分けに忙しい民主党と言えども国を挙げて支援するくらいの思い切りの良さを見せてくれてもバチは当たらないと思うのですけれどもね。

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2010年3月26日 (金)

不景気な時代なりの稼ぎ方

医療業界内部では最近不景気な話ばかりが飛び交っていますけれども、(少なくとも少し前までは)病院や診療所には金融機関も喜んで金を貸してくれていたといった話があるように、世間的には結構カタい商売だと見られているところがありますよね。
医療費削減政策で現場は青息吐息だと言いながら赤字でも病院は続いているし、もう無理です、店をたたみますなんてことを言い出せば世間を挙げてバッシングするぞとプレッシャーもかかっているわけですから、確かに貸し倒れのリスクも低いということなのでしょうか。
一応法的に見ると医療は金儲けを目的にやってはいけないということになっていて、営利団体の参入は規制されているのが現状ですけれども、他産業が医療業界以上に軒並み不景気という今の時代だけに、底堅い成長産業としての医療に対する期待感というものは少なからずあるようです。

医師不足は商機だ  県内 人口増で見込める需要(2010年3月17日読売新聞)

医療法人 開業に関心  金融機関 支援を強化

 埼玉県が医師や医療法人から熱い視線を集めている。全国で最も深刻な医師不足状態にある一方、人口は減っておらず、新規参入や事業拡大の可能性があると見込まれているからだ。県内の金融機関も商機とみて、医業向けの営業体制を増強している。

   ■札幌から進出

 川口市で昨秋、内科を開業し、今春には春日部市に内科・小児科を開くという医療法人「39会」。実は札幌市から進出してきた。

 北海道では、働き盛り世代向けの人工透析の夜間診療で成功を収めたが、「札幌経済は厳しく、新たなチャレンジはなかなか難しい」と理事長の星野継二郎医師。「新規事業のチャンスがあるのは首都圏。いろいろ調べた結果、春日部近辺が特に有望と考えた」と話す。

 川口市の内科は、高齢者福祉施設向けの訪問診療専門。まずは内科で知名度を高め、いずれ得意の人工透析の訪問診療も始める計画という。

 約720万人を抱える埼玉県は今も人口が増え続けているが、医師の数は追いつかず、10万人あたりの医師数は、都道府県別の最下位争いの常連。本格的な高齢化が始まるのはこれからで、医師需要はまだ増える余地がある。

■融資残高4%増

 地元金融機関も動きを活発化させている。

 信金大手の埼玉縣信用金庫(熊谷市)が、法人事業部に医療福祉チームを設置したのは1年前。診療所の譲渡を検討する高齢の開業医や、提携医師を探している福祉介護施設の紹介を足がかりに、開業を後押しして融資につなげる戦略だ。

 チーム発足から9か月で新規取引先59件を獲得。医業向け融資残高は4・1%増の361億円で、同時期の信金全体の融資残高がほぼ横ばいとなる中、好成績と言える。県内勤務医の独立に加え、群馬や千葉の医師からの相談も少なくないという。

 武蔵野銀行(さいたま市)は、2005年に2人体制の医療福祉チームを設置し、09年には、病院担当2人・開業医担当2人体制に移行。融資残高はチーム発足から09年9月までに、92%増の546億円に伸びたという。埼玉りそな銀行(同)も06年から医療経営コンサルタントと提携し、体制を強化している。

   ■妻も受け入れ

 医療経営コンサルタント「メディカル・マネージメント・リサーチ」(神奈川県藤沢市)の島村宏社長は、1995年頃から、埼玉での開業を顧客の医師らに勧めるようになった。

 ただ、関東での人気開業地は長年、都会的なイメージがある東京都と神奈川県で、「埼玉を勧めても、必ず医師の奥さんの反対で話がつぶれた」と明かす。

 しかし、国の医療費抑制政策が本格化した04年頃から、埼玉での開業に医師の関心が高まり始めた。医師にも先行き不安感が広がる中、妻側が埼玉を受け入れるケースが増えてきたという。

何やら金儲けを狙ってと言えば悪いイメージもあるかも知れませんが、医療需要と供給のアンバランスが著しい現状を改善することは需要側である住民のメリットにつながり、結果として供給側にとってもこの時代に低リスクで営業をやっていけるという、言ってみればwin-winの関係が成立しているわけですから悪い話ではありませんよね。
医療重視をうたって政権交代を果たした民主党政権下で初めてとなった今回の診療報酬改訂で実質横ばいに終わったことから、現場では医療費はもうこれ以上増えないという悲観的な見方も広がっている向きがありますが、逆に見れば医療費削減政策も底を打ってもうこれ以上減ることもないという言い方も出来るかと思います。
それに加えて近年医療と別枠になった介護に関しては今後ますます需要も増大する一方、国としても医療に回していたかなりの部分を今後介護の方に誘導するという姿勢を維持しているわけですから、民主党の成長戦略で医療を経済の牽引役にと云々されるまでもなく、医療関連産業は21世紀の安定的な成長産業であるという考えがあっても全くおかしくないところでしょう。

問題は医療費が増えるかどうかということではなく、あくまで国がこれ以上医療に予算を割かないという国庫負担の制約なのだと考えれば、国の財政に負担にならない範囲で、あるいは国にとって税収面などでむしろメリットになる方面で幾らでも医療需要を喚起していくことは可能でしょう。
その点で考えてみると、現在の日本における国民皆保険制度では全国どこでも誰でも同じ医療を受け(られ)るという建前になっていますが、そうなると総理大臣だろうが無職の生活保護受給者だろうが同じ医療を受けられる一方、少し余分にお金を出してより良いサービスを受けられるという世間では当たり前の選択肢も存在しないということでもあるわけですね。
医療が産業としての側面を強調され、今後一般的なサービス業にならって利潤と顧客満足度の向上を追求していこうとするほど、この保険診療の縛りというものが足かせになってくる局面が増えてくる道理ですが、日医辺りが「医療への市場主義原理に断固反対する!」なんて長年目を光らせている影で、現場の医者達はすでに保険制度の限界を感じているのかとも思えるのがこちらの調査結果です。

医師の4人に1人は皆保険制度に「No!」(2010年3月23日日経メディカル)より抜粋

 「国民皆保険制度は堅持すべき?」に対する、たくさんの投票とコメントありがとうございました。

 今回のテーマについては、日経メディカル オンライン(NMO)、日経ビジネスオンライン(NBO)ともに、「Yes(堅持すべき)」が多数を占めました。NMO(医師)は73%が、NBO(患者)は93%が「Yes」と回答しています。

 「誰もが、必要なときに必要な医療を受けられる」国民皆保険制度が、何物にも代えがたい安心感を国民に与えるとともに、世界最高のパフォーマンスを誇るといわれる日本の医療を支えてきたと、多くの医師・患者が考えている証だと考えられます。米国や欧州での在住経験がある複数の読者からは、日本の皆保険制度を賞賛する声が寄せられました。

医師の4人に1人が「No!」の理由

 ただ、気になるのは、皆保険制度への評価に、医師と患者の間で少々温度差があったことです。NBO(患者)の「No(堅持せずともよい)」はわずか7%だった一方で、NMO(医師)の「No」は27%ありました。この20%の差の理由を考えることが、日本の医療制度の今後を考える上での、大きなヒントになるような気がします。

 寄せられたコメントを見る限り、皆保険制度に対する医師の評価が患者に比べて低くなった原因は、大きく分けて2つあるようです。

 まず第一が、医療費への公費(税金)投入が国家財政の重荷になるに伴い医療費抑制の動きが強化され、医療機関の経営や医師個人の収入面に打撃を与えている現状への不満です。皆保険制度の下で誰もが必要な時に必要な医療を受けるには、被保険者である国民としても相応の負担が必要になります。しかし、新たな負担には反対し、「医師の給与は高過ぎる」といった批判を繰り返す国民が少なからずいることにも、嫌気が差しているのでしょう。

 第二が、「コンビニ受診」に代表されるような安易な受診の増加です。そうした傾向が強まるにつれ、対応に追われる医師が疲弊し、医療崩壊につながっていると考えている医師は、決して少数ではありません。また、権利意識が過剰に拡大した患者が増えた背景の一つに、「診てもらって当然」という感覚を喚起しやすい皆保険制度があると感じている医師もいるようです。医師患者関係の悪化が、皆保険制度の否定につながっている面があるのかもしれません。

 NMOには「一度、国民皆保険を廃止して、国民が医療のことを考える機会を作ってはどうか」という意見が寄せられました。このコメントは、医療を支える立場として感じている上記のような強い不満が、背景になっているのでしょう。
(略)
 このほかでは、混合診療に関しても、多くのコメントをいただきました。混合診療は、皆保険制度の存続を考える上で、“諸刃の剣”となり得るものです。前回の記事でも簡単に触れましたが、財源面では貢献が期待できるものの、安易な拡大には、皆保険制度の崩壊を促す危険性が伴います。混合診療については、また改めて、取り上げるつもりです。

 また、これまで触れてきた皆保険制度にまつわる問題に関しては、フリーアクセスの影響も大きいと考えられ、皆保険制度固有の欠点とは言い切れない面もあります。ですので、次回は、「フリーアクセス」の是非について皆さんにお尋ねしたいと思います。
(略)

一つ注意しておくべき点としては記事中にも触れられていますけれども、皆保険制度撤廃がいわゆるコンビニ受診等による現場の疲弊を軽減するとは必ずしも限らず、治療代を払えないから病院に来ないという人間は確かにいる一方で、金があろうがなかろうが病院に飛び込んでくる人間というものも確実にいるのも事実であるということです。
つい先日皆保険制度実現がほぼ決まったアメリカの医療の実態を描いて一頃話題になった映画のように、支払いが出来ないなら追い出されても仕方がないという他産業並みの社会的コンセンサスがなければならないでしょうが、各地で相次ぐ診療費踏み倒し問題などを見るにつけ、そうした合意形成は未だ遠いと感じられるところですよね。
皆保険制度を破棄することはすなわち応召義務を撤廃し、治療費支払い不可能な患者層に対して別枠の医療を(公立病院等で?)提供するシステムの整備とセットでなければならないし、それが出来ないなら明らかに支払能力も意志もない相手に対する診療をどうするかという悩みが、今以上に現場の負担となってくるだろうという現実も受け入れる覚悟がなければならないでしょう。

もちろん医療の産業化と言えばこういう際どい話題ばかりというわけではなく、もう少し合法的で社会的にも受け入れやすい話も幾らでもあるわけですよね。
最近見ていて面白いアイデアだなと思ったのが、近頃世間的にも注目されている中国からの観光客招致と絡めたこんな試みです。

糖尿病治療プラス観光ツアー、中国からモニター27人…徳島「世界にPR」(2010年3月22日読売新聞)

 徳島県が、糖尿病治療と観光を兼ねたツアー「メディカルツーリズム」を誘致するため、第1陣として中国からモニター27人を招いたツアーが始まった。参加者は21日、徳島大学病院で検診を体験するなどした。県は「『糖尿病治療と言えば徳島』と世界にPRしていきたい」と張り切っている。

 中国、インドなど食生活が変化しつつあるアジア諸国では糖尿病患者が急増。県は、糖尿病による死亡率が都道府県でワースト1位が続き、徳島大を中心に治療、研究が進められていることから、糖尿病の検査・治療と観光をセットで提供すれば、それらの外国からたくさんの客を招く観光活性化策になると考えた。

 今回のモニターツアーには、中国の一般参加者のほか、旅行会社やメディア関係者が参加。一行は20日に来日して鳴門市の渦潮や大塚国際美術館などを見学し、21日はうち10人が検診を受けた。22日は三好市のかずら橋などを観光し、23日に帰国する。

 検診で、参加者らは血圧や体重を測り、血管内皮機能検査(FMD)、内臓脂肪CT(コンピューター断層撮影法)などの糖尿病検査を受け、通訳の説明を熱心に聞いた。

 昼食は「メタボリックヘルスランチ」として、サケの香草焼き、県名産のそば米汁など、計661キロカロリーに抑えた食事を味わった。昼食後、医師が検査結果を説明した。

 参加した教師の朱欽樵さん(65)は「中国でも健康への関心が高まっている。旅行しながら治療できるのは人気が出るのでは」と好印象。朱月香さん(62)は「設備が素晴らしく、医師、看護師ら病院のスタッフはとても親切だった」と満足そうだった。

県の医療観光ツアー 中国から27人参加

 糖尿病の治療や検診と観光を組み合わせた「医療観光」を進めている県は、中国からメディア関係者ら27人を招待して3泊4日の体験ツアーを催している。参加者は20日に来日し、21日は徳島大学病院で検診を受けた。22日からは県内観光の予定で、県は感想や評価をもとに、県内の観光業者とツアー客の受け入れ態勢などを話し合っていく。(三輪さち子)

 県は糖尿病死亡率の全国ワースト1位が14年連続だったことを逆手にとり、糖尿病治療の研究、臨床の拠点づくりを目指す。さらに、国内だけでなく中国などのアジアから糖尿病患者や予備軍を呼び込み、滞在中の観光にもつなげようという計画だ。

 今回参加したのは、中国の旅行会社9人、雑誌やテレビ関係者9人などで、この日は通訳に付き添われた10人が受診。糖尿病の合併症である動脈硬化を早期に発見する最新機器による検査や、内臓脂肪CT、心電図や心エコーなどを体験した。同病院で同じメニューを受診すると通常は4万8千円という。

 参加者の1人、旅行会社社長の金礼鳴さん(45)は、「最近の上海では、健康を気にする人が多い。観光だけでなく、検診があるので来てみようと思った」と話した。ほかには、「徳島大学の医療技術の水準が高い」「患者を大事にしてくれる」「食べ物が安心して食べられる」といった意見が出た。

 香川征・同病院長は「糖尿病予防にはアフターケアが重要。検診を受けた後、食生活などのデータをやりとりしたり、現地の医師との連携を深めたい」と話した。

 参加者は22日以降、阿波おどり会館で踊りを体験したり、うだつの町並みやかずら橋の散策をしたりして、体を動かしながら観光名所を回る。費用は上海―徳島間の渡航費や宿泊費など計560万円。県の全額負担だが、参加者の感想をもとに改めて計画を練り、5月開幕の上海万博で糖尿病の医療観光をアピールする

ご存知のように保険診療では予防的処置というものは認められていませんから、健診の類はもともと日本人であっても保険診療外の全額自費になるわけですが、加えて最近では日本の医療の相場が非常に安いということが知られるようになってきたのか、保険が使えなくとも日本に来た方が安くて質の良い医療を受けられると考え始めた諸外国の富裕層も増えているようですね。
以前にも「中国の医療を経験した後では、日本の医療は至れり尽くせりだ」という話題を紹介しましたけれども、実際に中国での調査で「モラルに欠ける職業人ランキング」の第一位に医師があげられたと言いますから、そうした面でもアピールすることは出来るでしょう。
観光とセットなどとわざわざ言わずとも、外国に来てまで単に病院に寝泊まりするだけでそのまま帰るとも常識的に考え難いでしょうから、観光客誘致を考えている地元自治体にとっても多少の出費は宣伝費として考えても元は取れるという計算が立ちやすいのではないかと思えます。

もちろんこうした企画も全てが良いことだらけというわけではなく、一番の問題はただでさえ不足が叫ばれている国内の医療リソースが外国人向けに消費されてしまうことによる、医療供給の更なる切迫ということが予想されますよね。
これは医療に限らないサービス業全般の話ですけれども、わざわざ高いお金を払ってでも遠くからやってこようというような顧客の方が飛び込みでやってくる顧客よりは優良顧客の比率が高いだろうことは間違いないわけで、経営的にもスタッフの心身のストレスという面からもそちらの方がメリットがはるかに多いということになれば、当然より多くのリソースを振り向けようかという話になってくるでしょう。
日本では国境線を超えての医療スタッフ移動というものは今まであまり盛んではなかったのも確かですが、欧州などではよりよい労働環境を求めてあちらの国からこちらの国へと移っていくことはごく当たり前のことで、英国などでは医師流出として社会問題化しているような側面がありますから、今後日本国内にいながらにして良い職場環境が得られる道があるというなら忌避する理由もないわけです。

今後様々な方面で工夫がこらされて保険診療の枠の外で収入を得るということが一般的になってくれば、医療を成長戦略の柱と位置づける民主党政権としても現場の工夫として推奨していくのか、逼迫する医療需給を悪化させる因子として制限を加えて行くのかの選択を迫られる局面も出てくるかも知れませんね。

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2010年3月25日 (木)

僻地診療 医者の側から見たその意義

先日各方面で話題になった秋田県小阿仁村の一件で、辞意を表明していた村唯一の常勤医師が辞意を撤回したと言うニュースが流れています。
ちなみに同村の総人口は2800人と言いますから自治体としてはほとんどの住民間に隣近所の付き合いがあるんだと思いますが、さてこの600人が署名したという事実を総人口の2割以上が参加したと考えるべきか、あるいは8割近くが署名を回避したと捉えるべきか微妙な数字ですよね。

辞意撤回「頑張ってみます」(2010年3月20日読売新聞)

上小阿仁村の有沢医師  「やめないで」署名600人

村民からの心ない中傷で、退職する意向を示した「上小阿仁村国保診療所」の有沢幸子医師(65)が19日、小林宏晨村長(72)に対し、「もう少し頑張ってみます」と辞意を撤回した。辞意は固かったが、有沢医師の退職願の提出が公になって以来、数多くの村民が診療所などに通い、慰留に努める一方、「やめないで」と書かれた600人以上の署名が10日足らずで集まった。想像以上の村民の熱意が有沢医師に翻意を促した。(糸井裕哉)

 村幹部によると、有沢医師が辞めることが分かった先週から、受診後の診察室で、小学生からお年寄りまで、慰留をする村民が続出した。

 また有沢医師が14日に村内で行った講演会では、入りきれないほどの村民であふれた。講演の途中で女性(62)が立ち上がり、「みんな先生に甘えっ放し。思いやりの心で一緒に先生を助けよう」と訴えかけると、大きな拍手が起き、有沢医師はこらえきれずに涙を流したという。

 10日余りで約600人の署名を集めた旅館経営の高橋健生さん(62)の元にも連日のように「どこで署名ができるの」「協力するから頑張れ」と村民から電話が次々と掛かってきた。

 高橋さんは「『有沢先生と心を通じさせたい』という一心でみんなが必死だった。もう、心無い村などと呼ばれたくない」と声を震わせた。

 有沢医師と面会した小林村長は、パートの看護師を1人雇用し、有沢医師の負担を軽減する申し入れをした。また村主導で策定していた診療計画を、有沢医師の裁量で決めることを認めた

 赴任以来、病状が悪化して回復する見込みの薄い患者に対する往診と、介護する家族へのメンタルケアも行っているが、有沢医師は小林村長との話し合いで今後、効率的な診察を行うため、現在休床中の19病床を「ホスピス」として再稼働させ、診療所で終末期医療を行うことを提案。小林村長も了承した。

 小林村長は「言われなき中傷や不可解な嫌がらせがあった時は、私にすべて伝えてほしいと伝えた。村長として全力を挙げ、有沢先生を守り抜く」と話した。

女医が辞意撤回、上小阿仁国保診療所 村民、安ど(2010年3月20日さきがけオンライン)

 来年3月末での辞職願を提出していた上小阿仁村の上小阿仁国保診療所の医師・有沢幸子さん(65)は19日、小林宏晨村長に辞意撤回を申し入れ、承諾された。小林村長は「無医村になる危機を脱し、ひと安心した」と胸をなで下ろした。

 小林村長によると、有沢さんは同日朝に村長室を訪れ、「(診療所医師を)続けてみようと思う」と伝えた。小林村長は預かっていた辞職願を有沢さんに返した。その席で有沢さんは辞意撤回の理由について、「先輩医師らから『もう少し(上小阿仁村で)頑張ってみてはどうか』と激励された。多くの患者のほか小学生からも『辞めないでほしい』と懇願された」などと話していたという。

 小林村長によると、辞職の理由を本人は公言しなかったものの、有沢さんが夜間訪れる患者のために自費で照明を設置したことや、お盆返上で診察した代休を平日に取ったことを、事情を知らない住民が批判したことがあったという。村は慰留に努めていた。

先輩医師も余計なことをなんて声も一部でありますけれども(苦笑)、最終的に決めたのは本人の判断であって、その結果責任も自分で負うという限りにおいては納得は出来る決断になったんじゃないでしょうかね。
今回の件で面白いなと思うのは、各紙の報道で辞意表明の理由が村民のいわれなき中傷や嫌がらせであるということが明示されているという点ですが、逆に言えば医師を追い出すような行為をした村民がいるということが全国に事実として報道されてしまったわけで、心あたりがあるだろう当事者も含めて村民がどう考えるかでしょう。
当面はまず半年、一年と診療を継続していく中で何がどう変わっていったのかということを村民自身がアピールしていかなければならないでしょうが、今や単なる僻地の一寒村ではなく堂々たる聖地として全国から注目されているのだという自覚を村民一人一人が持っていなければ、また遠からず同じようなことが起こってくるのではないかという気がします。

上小阿仁村に限らず僻地医療というものは何しろ医療を提供する側も受ける側も人間のバリエーションが乏しいだけに、最終的にはお互いの相性など人間関係が一番重要な要素となってくる場合が多いようです。
今どき見ず知らずの土地で一人きりの僻地診療をやってみようという医者なら、それなりに根性はすわっているだろうとは想像できるところですが、逆に言えば現在の僻地診療はそれだけ最初の一歩を踏み出すハードルが極めて高くなっていて、実際上小阿仁村の例に限った話でもなくこうした診療に従事しているのはある程度歳のいった年配層がほとんどとなってきているわけですよね。
特に専門分化した近代的医療を当たり前なものとして医学教育を受けてきた若い世代にとっては、何ら相談する相手もなく一人で全科診療に従事するということは技術、知識の面からも難しいところだと思いますが、僻地診療の今後を絶滅危惧種の年配層や細々とした自治医大からの供給だけに頼るわけにはいかないと、国も何かしら考えてはいるのだというのがこちらのニュースです。

へき地保健医療計画対策の報告書案を了承―厚労省検討会(2010年3月24日CBニュース)

 各都道府県が策定した「第10次へき地保健医療計画」が2010年度末に終了するのを受けて、新たに始まる第11次計画のあり方を検討していた厚生労働省の「へき地保健医療対策検討会」(座長=梶井英治・自治医科大教授)は3月19日、事務局が示した報告書案を大筋で了承した。案ではへき地医療支援機構などの強化や医師のキャリアデザインの構築などを求めている。

 厚労省はこの日、前回までの議論を踏まえて報告書案を再提示した。案は、▽へき地保健医療対策の現状と課題▽都道府県や医師などへき地医療の提供体制を構築する各主体に求められること▽へき地保健医療対策に係る具体的支援方策の検討▽今後のへき地保健医療施策の方向性―などで構成されている。 「具体的支援方策」では、第9次計画から都道府県ごとに設置され、へき地診療所に勤める医師への支援や代診医の派遣調整などを行っている「へき地医療支援機構」を、へき地があるにもかかわらず未設置の県があると指摘。同機構を都道府県ごとに1か所設置し、へき地での診療経験がある医師を専任担当官として配置するとしている。
 また、機構の位置づけについては、「単なる支援機関ではなく、ドクタープール機能やキャリアパス育成機能を持たせることが肝要である」としている。
 「へき地医療への動機付けやキャリアパスの構築」については、へき地保健医療に関して広く医学教育のカリキュラムに盛り込むことなどが重要だとしている。一定のカリキュラムを履修した医師に「地域医療修了医」などの肩書きなどの付与する案も挙げた。また、キャリアパスを作成する際には、▽へき地勤務医の子育て、家族支援などを考慮したキャリアデザインの策定▽勤務体制の中で休暇が臨機応変に取得できる体制の構築▽へき地での勤務に偏らないようにするための体制整備―に留意すべきとした。

 厚労省はこの日の議論で指摘された点を修正し、報告書を3月中に公表。さらに、第11次計画の策定指針を作成し、4月下旬をめどに都道府県に向けて通知する。各都道府県がこれを受けて計画を策定する。

家族対策など色々と書いていて判りにくいですけれども、一番のポイントとなるのは医師にとっての僻地勤務というものがどんな意味があるのかというところに考察が及んでいる点だと思いますね。
とりわけ若い世代にとってハードルとなるのが、ひとたび僻地に赴任して医療の進歩から取り残されてしまうと、もはや二度と専門的レベルでの診療に従事できなくなるという懸念だと思いますが、昔は大学の医局というものがそのあたりを塩梅していて、僻地勤務は短期で回して基幹病院で十分な「リハビリ」を行うといった医師側のロジックに配慮したローテーションを組んでいた経緯がありました。
ところが今の時代は「白い巨塔ケシカラン!」という世間の圧力もあって医局の権威など無きに等しくなってきている、自然少ない手駒で理想的な配置転換など無理になってくるし、ましてや近頃話題の都道府県単位で医局に代わって僻地に医者を派遣しますなんてシステムでは、医師側の事情など何も知らない公務員が形だけ医局の仕事を真似て適当なことをやっているだけになりかねないわけですよね。

都市部の病院に比べると圧倒的に患者が少ない、つまり数をこなして経験を積む点で非常に不利な僻地診療において、唯一医師にとってのメリットが有るとすれば普段見ることのない他科の疾患にも経験が積めるということですけれども、裏を返せば未経験な症例を指導する者もなく行き当たりばったりで診療していくということですから、これは知識や技能というよりはバンジージャンプなどに要求される類の資質の問題でしょう。
そうなると「地域医療修了医」とは糞度胸だけはありますという証明書かという話になりますが、恐らく将来的には今の研修修了認定と同様にこの修了証が開業なり病院管理者なりに就任するために必須の条件になっていくという方向性を国などは狙っているのだろうし、一連の臨床研修制度改革に対する態度などを見ても日医ら既存利権団体は若い世代の将来を売り渡すことには何ら躊躇があるとも思えないところです。
となるとこれからの時代の医者としては、学生時代からきちんと情報を収集し声をあげるなり行動に移すなりして自ら身を守っていかなければ、知らない間に思いがけない境遇に追いやられてしまうという危惧があるわけですが、さすがにまともな学生達はちゃんと状況をよく見ているようですね。

貸与枠3人分埋まらず 県地域医師確保奨学金 /愛媛(2010年3月13日愛媛新聞)

 県が愛媛、香川両大学医学部の2010年度入試に設けた「県地域医療医師確保奨学金」の貸与枠で、全17人分のうち14人しか合格しなかったことが12日、分かった。県医療対策課は「非常に残念。新設した前期日程分の定員増は国の認可が12月になり、周知不足だった」としている。
 県の奨学金制度と連動した医学部の地域特別枠は、愛媛大09年度入試から自己推薦枠10人でスタート。奨学金の返還免除要件として卒業後9年間、知事指定の県内公立病院などでの勤務を義務付けており、医師確保のため10年度入試から愛媛大に5人、香川大に2人分を増やしていた。
 愛媛大によると、10年度入試の自己推薦枠定員10人には、34人(前年度比10人減)が出願。増設した前期枠5人には22人が志願し18人が受験したが、合格者は2人にとどまり、3人分が埋まらなかった。

長崎大:医学部学生「県奨学金枠」、合格者ゼロ /長崎(2010年3月24日毎日新聞)

 地域医療を担う人材を育成するため、県が10年度から長崎大と佐賀大の医学部医学科に「県奨学金枠」(長崎5人と佐賀1人)を設けたが、長崎大の今春の合格者数がゼロだったことが分かった。中村法道知事は「医師不足は十分認識している。非常に残念」と話した。

 県医療政策課によると、県奨学金枠は、国の医学部入学定員増の方針に基づき新設。この枠で入学するには、医学部卒業後、離島・へき地医療に従事しようとする学生に、県が修学資金(入学料や授業料、生活費など6年間で1000万円程度)を貸与する「県医学修学資金貸与制度」を利用することが条件となっている。

 同制度を利用した学生は、貸与を受けた期間の2倍に相当する期間(うち離島・へき地は2分の1以上)を、知事が指定する医療機関での勤務が義務付けられる。

 スタートとなる10年度は、長崎大は推薦入試、佐賀大は一般入試で、この枠を設けた。長崎大は定員5人に3人が志願したが、いずれも学力不足で不合格。佐賀大は現在、合格者の中から制度利用者を募っているという。結果について、大学関係者は「奨学金で将来を縛られたくないのだろう。それに、昔のような苦学生があまりいないのかもしれない」と分析する。

 県は10年度一般会計予算案で地域医療対策費に関連予算約2900万円を計上している。長崎大の合格者ゼロで奨学金は宙に浮くことになるが、県は「他の合格者に制度利用を呼びかけたい」と減額しない考えだ。【阿部義正】

昨今各地の自治体で人気?の「あなたの人生買います」式の人身売買システム導入で情弱学生が何人釣れるか注目されていましたが、蓋を開けてみればこうした制度を利用する学生は情弱云々という以前に、基礎的な学力水準も満たしていなかったということが判明してしまったと言うオチでしたか。
世間ではこれだけ不景気の嵐が吹き荒れているという時代に、「昔のような苦学生があまりいない」とはよく言えたものだと思いますけれども、ここは素直にまともな学生は他の道を選んでいると解釈していくべきで、実際ネット界隈では「学費免除と育英会で頑張る」「バイトや親戚から金を借りまくって何とか学費を工面した」といった声は聞こえこそすれ、「県の奨学金取りました」なんて話は聞いたことがないですよね。
要するに今どき医学部学生のPC所有率は限りなく100%に近くなっていて、気の利いた学生ならネットでも情報を集めては進路決定の参考にすることに余念がない、そんな中で「え?県の奨学金がある?ありがたく頂戴します!」なんて飛びつく人材というものがどんなレベルなのかが理解出来る話ですし、そして将来そういう人たちによって僻地診療が回されていくのだという未来絵図をどう考えるかです。

僻地診療というと高度なことが何もできない、医療としてはレベルが低いと思われがちですが、検査も処置も何も出来ないような状況であらゆる疾患を診なければならないからこそ診療技術には高度なものが要求されるわけで、本来経験に乏しい医者が一時の年季奉公で務まるような性質のものではないにも関わらず、自治医方式にしろ県奨学金方式にしろ初期研修直後の若手を僻地診療に従事させているという現実がありますよね。
しょせん僻地診療など一時の辛抱であって係累の乏しい若い者にやらせておけば十分と考えているのかも知れませんが、これから基幹病院で専門医としてスキルアップしていこうと考えている若手の医者にとって僻地診療のキャリアがどの程度意味があるのかと考えた場合に、むしろそうしたところを通り過ぎてそろそろ開業でもしようかと考えている人々にこそ必要なスキルなんじゃないかと言う気はします。
医者のキャリアの中で僻地診療の経験をどう評価していくべきか、そろそろ医者の側からも明確にしていく必要があると思うのですが、ここらで日医あたりが「開業医こそ全て地域医療修了医の認定を取るべきだ。我々幹部がまず率先して範を示す用意がある」なんてことを言い出す…ということだけは絶対になさそうな気はしますけれどもね(苦笑)。

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2010年3月24日 (水)

医療費が増え続けるという割に、何やらずいぶんと小さな話ばかりですが

あらためて言うまでもありませんが、年度末ということは新年度が間近に迫っているということでもあります。
診療報酬改訂作業の結果がいよいよ4月から実施される段となりましたが、これを受けてあのお方が「勝利宣言」を出していらっしゃるようですね。

病院領収書:治療明細を記載 来月から原則、全施設で(2010年3月24日毎日新聞)

 病院などの医療機関で治療を受けた際に窓口でもらえる領収書が、4月から大幅に充実する。これまで書かれていなかった詳しい検査内容や薬の正式名称と、それぞれの診療報酬の点数が明記されるのだ。こうした医療情報の透明化は、大阪の市民団体や薬害被害者らの長年の運動の成果だ。【野田武】

 健康保険制度に基づく医療は、検査や手術の内容ごとに「診療報酬点数表」が細かく決められている。診療報酬は1点につき10円。医療機関は点数表をもとに患者ごとに医療費を計算。実施した医療行為と投薬量などを明記したレセプト(診療報酬明細書)を作って、健康保険組合へ請求する。うち一部は患者本人(被保険者)が窓口で支払う。だが、そのときにもらえる領収書は「投薬料」「検査料」など項目ごとの診療報酬点数しか分からない。

 これに対し、レセプトはより詳細で、買い物でもらえるレシートのようなもの。レシートには普通、「トマト 1個 90円」というように商品名と個数、値段が並ぶ。同じようにレセプトにも検査・薬品名、診療報酬点数が記載されている

 97年まで旧厚生省は「患者に告知していない病気を知らせてしまう恐れがある」「医師のプライバシーにかかわる情報も含まれる」などを理由に、健保組合や自治体などに対し、レセプトを患者に見せないよう指導していた。97年以降は、請求すれば開示されるようになったが、一般には知られていない。

 今でも請求しても開示されないケースがある。神奈川県内の女性(35)は、治療に疑問を持ち、自宅のある市へ昨年、レセプト開示を請求した。ところが「今後の治療に支障をきたす」と拒否された。女性は市民団体「医療情報の公開・開示を求める市民の会」(事務局・大阪市)へ相談。同会が市と交渉し、今年になって開示された。「すぐ開示されると思ったのに、理不尽な理由で拒否された」と女性は話す。4月からは領収書にレセプト並みの情報が記載され、苦労をしなくても見られるようになる。

 ◇自分の病気、知っておこう--情報開示求めてきた大阪の市民団体

 レセプト開示を求めて長年、活動してきた大阪府立牧野高校(枚方市)の教諭、勝村久司さん(48)は、レセプト並み領収書の病院窓口での無料発行について、「医療の情報開示という点で、レセプトは原点。実現した意味は大きい」と強調する。

 勝村さんは90年、枚方市の枚方市民病院に入院中の妻が陣痛促進剤を投与され、仮死状態で生まれた長女・星子ちゃんを生後9日目に亡くした。市を相手に起こした裁判の証拠とするためレセプトを手に入れようとしたが、プライバシー侵害や目的外使用との理由で開示されなかった。93年、他の薬害被害者たちと旧厚生省へ交渉し、レセプト開示要求を始めた。96年には「市民の会」も設立。その結果、国も97年にレセプト開示へと方針転換した。

こうした活動に注目した連合から05年、診療報酬の改定について審議・答申する厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」の委員に推薦され、就任。請求しなくても窓口でレセプト並み領収書をもらえるよう訴え続けた結果、08年から全国8カ所の国立高度専門医療センターが無料発行するようになった。翌年には国立病院機構の病院にも広がり、今回の原則全医療機関での発行につながった(レセプト請求が電子化されていない一部病院を除く)。

 勝村さんは「自分の病気に関する薬や治療の名称は知っておいた方がいい。領収書を保管しておけば調べる手がかりになる」と助言。さらにこう願っている。「これからは領収書を見て『何でこの治療がこんなに高いの?』と思ったら、ぜひ声を上げてほしい。医療費が普通の人の価値観に合うようになれば、いい医療になっていくと思う」

記事からはなぜ「医療費が普通の人の価値観に合うようになれば、いい医療になっていく」のか全く理解できないのですけれども、いずれにしても病気や薬、治療に関して患者が自ら積極的に学んでいくという姿勢を示すことは、とりわけメタボなどの慢性疾患に厳しいという今の時代だからこそ重要なことだとは思います。
1980年代頃から「スパゲッティシンドローム」だの「薬漬け医療」だの「3時間待ちの3分診療」だのと盛んに医療の質について世間の関心が向いてきたという経緯がありましたが、一方で医療のコストに関しては当事者である医療従事者ですらろくに関心を払ってこなかったという経緯がありました。
言ってみればそんなどんぶり勘定でもやってこれる位には医療機関の側にも余裕があったということなのかも知れませんが、病院の半数が赤字でいつ廃業するか判らないという今の時代にあっては、例え勤務医であってもコスト意識に欠けるようでは話にならないでしょうし、ましてや一国一城の主たる開業医ともなればなおさらですよね。

今回の診療報酬改定ではとりわけその開業医冷遇ということが言われてきたことは、既に一般紙などでも報道されているような周知の事実ですけれども、ようやく各地で説明会が開かれ診療報酬改定の詳細が周知徹底され始めるに及んで、思いがけないようなその実態が漏れ聞こえてくるようになってきたのは以前にも取り上げてきたところです。
ここで非常に面白いと思うのは、以前にも取り上げましたように厚生労働省の担当者である石井安彦保険局医療課長補佐の言によれば診療所への評価は「実質的には引き上げを行っている」のであって、引き下げと「誤解」されている再診料に関しても「ほとんどの診療所が地域医療貢献加算を取ると実質的には上がる」と主張している、その一方で実際に加算をとる診療所はほとんどないと見込んでいるらしいという点です。
何故そういうことが起こるのか、その背景には業界団体による水面下の?根回しが盛んに行われているらしいというのですね。

965 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/20(土) 21:39:00 ID:avnV3/z/0

例の3点聞いてきた。厚生労働省は3割以下の医療機関しか
手を挙げないと思っている
との事。まあ、実質7割以上の
診療所は点が下がる事になる。

980 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/22(月) 12:04:18 ID:Ps1EBCwB0

青森県保険医協会からの青森県内の会員に対する呼びかけです。
-------------------
2010年3月19日
会員各位
青森県保険医協会
会長 大竹  進

地域医療貢献加算の算定は慎重に!

 前略 今次診療報酬改定において、地域医療貢献加算(3点)が新設されました。3点
は電話の問い合わせがあった時だけ算定するのではなく、通院中の全患者の再診料に
加算されます。したがって、この算定を届け出た医療機関は、過去に受診した人も含
め全患者に24時間365日体制で対応することが求められています

 算定要件としては、緊急時の対応体制や連絡先などを院内に掲示し、診察券に電話
番号を記入するなど文書等で患者に周知する必要があります。
 転送/留守番電話・職員による対応も可能となっていますが、職員は速やかに医師に
伝え「医師自らが速やかに患者さんに連絡をとること」になっています。有床診療所
でも最終的に連絡するのは医師なので、医師は常時携帯電話に縛られることになりま

 即座に対応出来ない場合、特に患者さんが死亡した場合などではトラブルに発展す
る可能性もあります
。規則では「緊急の対応が必要と判断された場合には、外来診療、
往診、他の医療機関との連携又は緊急搬送等の医学的に必要と思われる対応を行うこ
と」になっています。
 もし、対応ができないで救急病院に受診した場合、当直勤務医は地域貢献加算を算
定している開業医について不愉快に感じ、勤務医と開業医の新たな対立を生む
ことに
なるかもしれません。

981 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/22(月) 12:04:59 ID:Ps1EBCwB0

 4月からは診療内容のわかる明細書の発行が義務づけられました。全ての明細書に
「地域貢献加算3点」と記入されますので、医師の義務と責任がことさら強調される

とになります。ボランティアで電話対応をしている現在とは全く違う状況が生まれま
す。もしトラブルになった時には、即座に謝罪のマスコミ発表が必要になるでしょう。
患者通報による個別指導の対象になり、自主返還、監査に発展する可能性すらありま
す。
 そもそも「勤務医支援のために,何もしていない開業医にも汗を流させる」という発
想自体が誤りです。特に、各地の小児科開業医も勤務医と一緒に、地域の小児救急を
担っている事実を全く評価していないことに失望せざるを得ません。
 元来、私たち医師は社会的資本としての医療を全うするために、使命感や責任感か
ら時間外対応はもちろん夜間、休日診療、健診・保健事業などに参加しています。そ
れに参加している診療所が算定できることが要件であれば何ら問題はありません。
 しかし、本制度は、どこにいても「24時間応召義務を課す」全く新しいルールとなっ
ています。今後も、条件や内容は通知一つで官僚の思うように変えることができます
 24時間、365日対応することになれば、心身の休まる時はなくなります。ただでさえ
過重労働になっている本県の開業医の状況を勘案すれば、最悪の場合過労死という事
態もあり得ます。医療崩壊に更に拍車をかけ地域医療を大きく後退させることは自明
です。
 今大切なことは30円を得ることではなく、「落とし穴」のようなルールを否定し、
医療崩壊を防ぐ適切な医療政策を政府に求めて行くこと
ではないでしょうか。
 診療所再診料の引き下げに抗議します。厚労省は開業医の貢献を正しく評価するべ
きです。草々

982 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/22(月) 12:06:50 ID:Ps1EBCwB0

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考えられるトラブル(個別指導に直結する)

1.対応できない場合
  ・旅行中、学会出席中、飛行機内........連携医師、医療機関が必要
  ・誤って携帯の電源が切れていた
  ・マナーモードで気づかなかった
  ・枕元に携帯電話をおいて寝なかった
  ・夜間睡眠中で気づかなかった
2.医師の飲酒中の対応:
   飲酒中は連携医師、医療機関が必要と考えられます。
3.緊急時の対応にも問題があります
 「緊急の対応が必要と判断された場合には、外来診療、往診、他の医療機関との連
携又は緊急搬送等の医学的に必要と思われる対応を行うこと」となっています。
  ・医師が「救急車を読んでください。」と指示した場合
    向かう先を医師が準備するのか?救急隊に任せるのか?連携先か?
    救急病院が受け入れ不可能の時に「診察の義務」があるか?(応召義務)
  ・精神科救急......ほぼ対応不可能か?
   「これから自殺する」「深夜になっても眠れない」という電話対応は可能か?
  ・患者さんが旅行先等から電話してきた場合はどうするのか?
4.カルテを見ないで診察の問題点
  ・最悪の結果になった時に法的にどのように判断されるのか?
  ・医師賠償責任保険は使えるのか?
5.飲酒患者への電話対応は断れるのか?
6.他人が本人に「なりすまして」個人情報を取得しようとした時は見抜けるか?
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986 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/22(月) 16:43:55 ID:1WU7N3gn0

どこの医師会も慎重になっている、と言うよりは、こういう加算で縛られたくないから、みんな取るなよ
って感じの説明が多い
な。

青森県保険医協会の見解については各方面から異論もあるところでしょうが、勤務医対策の財源として開業医の外来報酬を切り下げるという大方針が既に組み込まれている以上、「みんなが申請すれば以前と同じですよ」なんて話があり得ないということは誰にでも判る話ですよね。
今後加算をとる診療所が増えてくるほど個別指導が熱心に入ってくるようになる、さらには「便所に入っていて電話に出られなかった?!けしからん!」と返還を迫られ世間からは吊し上げられるという未来図は目にみえていますから、それくらいなら最初から申請をしないほうが…と自主規制する先生方もさぞや多くなるということでしょう。
もちろん厚労省にしろ財務省にしろ、医者の側から自主的に加算を辞退するということであれば何ら問題はなく「いや制度上は前と同じ報酬はもらえるようにしています」と言えるという理屈です。

最近面白いなと思うのは、医療の世界ではなんだかんだと言いながら同業者の悪口を公の場で言うということは基本的にあまりなかったものが、結構ストレートな批判が出てくるようになってきたなということです。
一つには医療業界がどこもかしこも経営的な面で余裕がなくなってきた時代にあって限られた医療予算を奪い合う競合関係が増え、上記の文書にも見られるような勤務医vs開業医といった対立の構図で語られる局面が多くなってきた、そしてもう一つは先の衆院選での政権交代を受けて政治の側から旗色を鮮明にするように迫られるようになったということもあるでしょう。
先日も公立病院の院長が集う団体である全国自治体病院協議会の会長のコメントなどを眺めておりましたら、まあ日医ら他団体とはよほど折り合いが悪いのだなと苦笑するしかないような話ばかりが並んでいますよね。

会長挨拶(全国自治体病院協議会HP)

【会長通信 Vol22】

 自治医科大学の卒業式に出席してきました。「3千人を超す指導医や多くの職種の方々が卒業生の皆様方と働くことを楽しみに待っています。誰よりも皆さまを待っているのは地域の住民です。貴方達の患者さんになり、テキストブックになってくれます」とエールを贈ってきました。学長や来賓は、全員が地域医療の崩壊と低医療費政策、政権交代に言及しました。教育や医療が、政治つまり政策によって大きく変わるのを体感したからでしょう。
 日本医師会の副会長(栃木県出身)も政権との距離について述べ、式の後の昼食時には、4月の日本医師会長選挙と7月の参議院議員選挙に話題が集中しました。参院選には医師、特に病院医師が数名民主党から出馬します。日本病院団体協議会の代表者会議からも、民間病院を中心とした候補者が推薦されました。彼のマニフェストの下書きを見て驚きました。推薦団体の会長の私見で本人は承知していないとのことですが「公立病院は高い給料で看護師を囲い込む天敵であり医療界から去るべき」とか「非効率で救急もやっていない」とか滅茶苦茶にやられています。すぐに電話をして削ってもらいましたが、そういう本心の方々が多いのは日頃の言動からも自明です。
 先の総選挙で308議席を取った民主党には、多くの医系議員がいます。選挙のマニフェストやインデックスでは、公立病院を中心とした地域の中核病院に財源を投入し、医療崩壊を防ぐと訴えていましたが、郡市医師会など地元医師会や民間病院が選挙を支え、どんどん影響力を強めてきたことは間違いありません。私が個人的に知っている方も、スタンスを両軸に変え始めました。民間病院や診療所も大変だと。
 日本医師会や民間病院が政権に擦り寄っているのを我々自治体病院は、政治活動が禁止されている公務員法の縛りなどで指をくわえて見ているしかないのでしょうか?現役の方は無理でも私はOBですし、本部や顧問を総動員して我々の存在意義を訴え、自治体病院の機能充実と行き過ぎた集約化、民間譲渡などに全力を注いで対応したいと思います。
 先日、局長同行で衆議院議員会館に公立病院医系議員を訪ねました。熱心に我々の話をお聴きいただき、ちょうど当日の夜に医系議員の夕食会があるので伝えるとのこと。めぐり合わせの良さにホッと胸を撫で下ろしました。とにかく、我々も与野党を問わず国会議員の方々に、地域医療の現状と自治体病院の役割を理解していただく努力が必要です。常務理事会のメンバーには、どんな小さな接点でも知り合いの議員名を提出していただくこととしました。会員病院の皆様方にも是非お願いしたいと思っております。

医療業界と言っても別に一枚板でも何でもないわけですし、立場の違いや見解の相違というものがあっても全くおかしくはないわけですが、武見太郎ら日医全盛期の「え?!昔の医者はそんなこともやってたの?!」なんて伝説めいた時代から比べると、失礼ながらずいぶんと器の小さい話ばかりという気がしないでもないですよね(苦笑)。
近頃の世間では価格破壊だといった話が賑やかで、競争原理こそ消費者にとって最大の利益をもたらすという論調が主導的ですから仕方がないところもあるのでしょうが、こういう対立の構図というものは分断統治をしたい側からすると一番おいしい話ではあるとは古今東西変わらぬ真理ですよね。
医療側からの医療行政への働きかけとはすなわち幾ら金を出させるかであって、その手段とは同業者からどれだけ金を奪ってくるかであるという風に医療側に認識させているのだとすれば、行政の側はなかなかうまい具合に医療業界をしつけたものだなと感心するしかないところです。

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2010年3月23日 (火)

マンパワーが足りなければどうするか

最近では医療行政のネタも官僚側からの広報ばかりでなく政治家の言動にも注目しておかなければならない時代ですけれども、衆院選以来医療行政に関しても色々と過激な発言のあった仙谷国家戦略相が今度はこんなことを言っているようですね。

外国人医師、日本の免許なくても診療可能に 仙谷戦略相検討 (2010年3月21日日経新聞)

 仙谷由人国家戦略相は21日、日本の医師免許を持っていなくても、一定の技術がある外国人医師に日本国内での診療を認める制度改正に乗り出すと表明した。医療機関などを視察した後、神戸市内で記者団に語った。まずは特定の地域や医療機関で外国人医師の診察を監督できる体制が整っている場合に認める案を軸に、6月に政府がまとめる成長戦略に盛り込みたい考えだ。

 仙谷氏は記者団に「外国人医師は日本で試験を受けないといけない。世界レベルの医者に失礼だ。そういうことを取っ払うことを仕掛けないといけない」と強調した。

 今後、検討する場としては、規制改革を扱う行政刷新会議を候補にあげ、枝野幸男担当相に伝える考えを示した。

 同時に、医療行政を所管する厚生労働省の医政局に言及して「医政局の専門家と称する人たちには先端的なことはできない」などと指摘。そのうえで「存在が邪魔になるなら、解体しなければならない」と強調した。

 視察先の医療関係者から、厚労省医政局に権限が集中しすぎているとの意見があったことを踏まえて「物事を進めると責任問題が出てくるから、何もしようとしない」と非難した。
(略)

医政局云々の話は今回パスするとしても、この発言だけから仙谷大臣の真意がどこにあるのか不明ですけれども、「世界レベルの」云々という発言から例えば海外の有名医師を招いて公開手術をしてもらおうとしても、医師免許の壁があって出来ないといったレベルの話というのであれば、これは事前申請による許可制といった小さな対応で十分だろうと思うところですし、どうも気宇壮大な話の流れからするとそういうことではないようですね。
一方でこれが全国的な医師不足なのに外国人の医師が日本でそのまま働けないのは馬鹿馬鹿しい、看護師も外国から呼び寄せるような時代なのだから医師もどんどん呼んだらいいという考えでの発言であるのだとすれば、これは以前にも取り上げました臨床修練制度を拡大するような感じの話ということになってくるのでしょうか。
こういうタイミングで話が出てくるということからしてもどうしたって後者の意図での発言だと思えるわけですが、当然ながら?ネット上では「日本の医者の待遇で世界的なレベルの医者なんて来る訳ない」という見解が一般的なようです。

11 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/03/23(火) 02:28:43 ID:b7A8I0XV0

お陰様で日本で医者になれないボンクラも
http://www.hungarymedical.org/
ここらに留学すれば
日本でお医者さんできるようになるってこった
めでたしめでたし
医学部増員もいらんね

201 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/03/22(月) 00:53:28 ID:+KHwKxUY0

多分海外の優秀な医者が来るイメージなんだろうな。
そんな優秀なやつはアメリカでも高給取りだから、来るわけないのに。

優秀な海外のドクターは今と変わらず、破格のギャラとか払って期間限定で来ていただくだけ。

日本の劣悪な環境目指して来る連中なんて、どんなもんだか。看護師だってにげてるじゃねーか。

202 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/22(月) 01:15:16 ID:iWHAfcoH0

>>201
東南アジア圏の看護師すら逃げ出す日本の医療現場w
給料だけでは釣られないクマー状態w

ましてや先端医療を志す優秀な外国人医師がどうやって日本の医療情勢に来るんだよ・・・。

来るのはマジでクソカスどもだけだろw

世界的なレベルのドクターを招いていたところ「そんなことに無駄金を使うな!さっさとやめろ!」とストップをかけられた挙句病院自体があっさり破綻してしまった舞鶴市民病院の事例を思い出すまでもなく、さすがに日本と世界での医師に対する待遇格差というものを知っている人間であれば、誰しも「いったいどんなレベルの医者が来るというのか?」と不安を感じざるを得ない話だとは思いますね。
ちなみに今現在大学などに来ている外国人医師というと最も多いのはやはり日本から最も近い中国、韓国といった国々からだと思いますが、これらの国々での悩ましい医療事情に関しては以前にも少し取り上げたことがありましたけれども、医師としての力量自体は日本人医師のそれに劣るものではないという印象を個人的には抱いています。
問題は現状で日本に来ているこれら諸国の医師たちも先端技術習得などの目的があるから来ているわけで、日本で一臨床医として働くということ自体に魅力を感じているというわけではありませんから、それでは日本で一介の臨床家として食っていく覚悟でやってくる人たちというのはどんな人達になるのか、話を進める前にまずはそのあたりを想像してみるということも必要なんだろうとは思いますね。

仙谷大臣の思いつき発言?の妥当性、実現性はともかくとして、最近医療業界の人材不足ということと関連してか、今までの業務分担を見直そうという動きが増えてきているようで、先日も救命救急士に点滴やブドウ糖投与をさせてもいいんじゃないかなんて話が出てきていましたし、以前に取り上げた特定看護師制度なんてものもその流れで理解できる話ですよね。
仙谷プラン自体も「日本人でなくても良い医療行為は外国人医師へ」とも捉えられる部分がありますが、医師の文書作成業務負担を軽減させるために医療事務員に書かせせようとか、看護師のみならず介護職員に吸痰をさせてもいいんじゃないかとか、専門職でなくても出来ることは非専門職にさせましょうという方向性は基本的に妥当な考え方だと思います。
しかしどんなものでもメリットもあればデメリットもあるのは当然で、例えば特定看護師制度では早速来年度にも試行を始めるということで話がまとまったようで、カリキュラム修了した実務経験者を新設される第三者機関で評価・認定するなんてことを言っていますけれども、これも「現場では誰もそんなものを臨んでいないのに、また厚労省の新たな天下り先利権確保のための話じゃないか」なんて声は以前からあるところです。

天下り云々はともかくとしても、どのような行為であれその結果に対して一定の責任が伴う以上「何かあった時に誰が責任を負うのか?」という点が曖昧なままになってしまうと、「未熟な素人仕事の尻拭いまでやらされるなんて馬鹿馬鹿しい。それなら自分でやった方がいい」なんて本来の主旨と反する考え方が出てきてしまう可能性があるわけですが、そのあたりは未だ明確な答えが出ていませんよね。
逆に言えば専門性の高い業務を「下請け」する側の人達にとっても行為に対する責任のみならず、今までにない判断の責任ということが問われる局面が多々出てくるわけですから、当然ながら言われた通りをやっていた時代の感覚のままでは訴訟リスクも増すばかりでしょうし、そこで尻込みして「そんな責任を負わされるのは困る。何でも相談して指示通りにしなければ」なんてことになれば本末転倒という話です。
最近では救急隊が緊急性なしと判断したところ後で実は緊急性があった症例だったと判った、なんて話が時折報道されますけれども、救急搬送トリアージを導入した東京都の解析などでも見られるように、トータルで見ればトリアージをやった方が救急搬送態勢は改善してきているなんて話を見ても、やはり個々の事例ではなく全体としてどうやったら一番皆の利益につながるのかという視点が必要だと思いますね。

そしてまた当然ながら、全体の利益のために不利益を被ることになるだろう一部の方々のために何らかの救済システムを用意しておくことは、新たな制度を動かす側として真っ先に考えておかなければならないことですし、それがないようでは現場の人間が安心して働けず制度改革の実も上がらないだろうとも覚悟しなければならないでしょう。

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2010年3月22日 (月)

今日のぐり:「宮崎地頭鶏 そのまんま」

先日ちょっとほのぼのとするようなこういうニュースが出ていましたが、自然界でもこういうことがあるというのは面白いですよね。

チーターがハンターとしての本能を忘れてインパラの赤ちゃんと戯れている様子(2010年02月01日GigaZiNE)

チーターというとサバンナを駆け抜けて草食動物など狩って食べる姿を最初に思い浮かべる人が多いと思いますが、そんな捕食者であるチーターが被食者であるインパラの子供と仲むつまじく戯れている姿が撮影されたそうです。

普段おとなしい性格で人にもなつきやすいという性質を持っているとされるチーターですが、狩りを必要としないときは狩りの対象となる動物に優しく接する一面もあるのかもしれません。

詳細は以下より。
Pictured: Three cheetahs spare tiny antelope's life... and play with him instead | Mail Online

インパラの子どもが3匹のチーターに追いやられて食べられてしまうのかと思いきや、チーターたちは食べようとするどころかインパラと遊び始めました。

大丈夫と判断したのかインパラもチーターたちに歩み寄ります。このような状態が15分以上続いたそうです。

しかし、チーターの口がインパラの首にさしかかった瞬間……。

やっぱり怖かったのか、インパラは猛ダッシュで退散。チーターたちはこのインパラを追いかけることはなかったそうです。

これは写真家Michel Denis-Huotさんが2009年の10月にケニアのマサイ・マラ動物保護区で撮影したもの。この3匹のチーターは生後18ヶ月の時に母親から離れた兄弟のようで、インパラと戯れていたときはおなかが満たされていたため、インパラを食べようとしなかったのだと考えられているそうです。ハンターと言えども無駄な狩りはしないということなのですね。

これはリンク先の写真を見ていただければと思う記事ですけれども、遊んでいるというよりも頭撫で撫でという感じですかねえ…
こういう平和的な出会ばかりであればいいのですが、異種族間の出会いというものはしばしば生存をかけた戦いという様相を呈する場合がありますよね。
ねずみと言えば一般的にはあまり人前に出てくることもない生き物ですけれども、食べ物を前にしてなかなか大胆なところもあるのだというのがこちらの記事です。

ヒョウのエサを取りに来た命知らずのネズミ(2009年06月06日GigaZiNE)

ヒョウがエサを食べようとしたところ、いきなり小さなネズミが現れヒョウの餌を食べ始めるという珍事が撮影されたそうです。このネズミはヒョウを目の前にしても全く動じることが無く、またヒョウよりも威風堂々としていたとのこと。

詳細は以下より。
What a squeak! Daring mouse show who's boss as it scares off leopard and steals its lunch | Mail Online

イギリス・ハートフォードシャー州で飼育員がカメラマンにヒョウが食事しているところを撮影させるためにヒョウの前にエサの肉を落としたところ、どこからともなく1匹のネズミが現れその肉を食べ始めたそうです。このネズミは生後2~3ヶ月程度の子どもで、ヒョウを目の前にしながら全く恐れることなく肉を食べ続けていたとのこと。一方ヒョウは非常に驚いており、ちょっと尻込みをしていたそうです。

これがネズミがヒョウのエサを奪っている写真。ヒョウがいることに気付いていないのか、全く動じていません。

ここまでされてヒョウがいることに気が付いていないわけがありません。ヒョウもネズミを襲う様子がない様子。

こうなってくるとネズミとヒョウのどちらが格が上なのか分からなくなります。

ネズミはおなかがいっぱいになるまでヒョウのエサを食べてどこかへ行ってしまったそうです。

これもリンク先の写真を見ていただければ判るように、どう見てもねずみが食べているのを許容しているという感じですが、動物園ですと決まった時間にちゃんと食事が手に入るという安心感がある分、動物も鷹揚な気分でいられるということなのでしょうか。
さて、ちょうど先日Yahoo!USAをみていてこの動画がトップに取り上げられていましたが、最近こういうネタはあっという間に国境を超えて広がりますね。

猫は熊より強い? 家に現れた野生の熊を猫が猫パンチで撃退する(2010年01月29日デジタルマガジン)

 説明はとりあえずおいといて、まずはこの動画を観て欲しい。なんと猫が野生の熊をご自慢の猫パンチで撃退している。

 猫の攻撃に熊はタジタジだ。狙いのゴミ袋を加えてそそくさと逃げ帰ってしまった。

 それにしても、撮影者は笑っているが大丈夫なんだろうか? たしかに小型ではあるが、この大きさでも十分脅威に感じてしまう……。それにしても猫は何が許せなかったのか、あの袋の中身はキャットフードだったりするのかな?

しかし何がこのネコをしてそうまでさせるのか、ネコまっしぐらとはこの事かってくらいに一直線に突撃してますが、そうまで縄張り意識の強い生き物だったのですかね。
季節が逆の南半球では日本が冬の時期に海で遊んでいるのも道理ですけれども、楽しいはずの一時が思わぬ災難に結びつきかねないというのがこちらの記事です。

NZの少女、かみ付いたサメを冷静に追い払う(2010年2月3日ロイター)

[ウェリントン 3日 ロイター] 14歳のニュージーランド(NZ)人の少女が、でん部にかみ付いたサメをボディーボードを使って追い払うという出来事があった。サウスランド・タイムズ紙が報じた。

 リディア・ウォードさんは1日、同国南部のインバーカーギル近くの海岸で腰まで水につかって立っていたところをサメに襲われた。ウォードさんはサメが口を離すまでボディーボードで頭部を何度も殴ったという。

 ウォードさんの母親は、まったく騒がなかったと、娘の冷静な対応に驚いている。サメは体長1.5メートルほどと考えられている。ウォードさんに大きなけがはなかった。

この話、元記事の方に写真があるのですけれども、見事に水着に穴が開いているのがよく判りますが、何にしろ大きな怪我がなく済んで良かったということですよね。
一方で日本においても思いがけない野生動物の災難に襲われるということは時折あることですが、ここまで本格的なバトルに発展するというのはそうそうあることではないように思います。

イノシシの耳つかんで格闘、73歳女性重傷(2010年2月16日読売新聞)

14日午後4時頃、高知県香南市夜須町国光の林道で、近くの男性(64)から「女性がイノシシに襲われてけがをしている」と119番があった。

香南市消防署の救急車が近くの女性(73)を高知市内の病院に搬送。
地元の猟友会員が15日午前7時頃、現場近くで雌のイノシシ(体長1・3メートル、体重85キロ)を発見し、射殺した。

同消防署などによると、女性は両手や右足などをかまれるなどして重傷を負ったが、命に別条はないという。通報した男性によると、女性は畑で農作業中に突然イノシシに襲われ、イノシシともみ合った後、軽トラックに乗って避難し、男性に助けを求めた。

女性は「鼻で押され、かみつかれたので、イノシシの耳をつかんで格闘した」と話していたという。女性が両手にしていた手袋は血で赤く染まり、数か所に牙の跡とみられる傷があったらしい。

男性は「20年前に猟銃をしていた時はイノシシはほとんど見かけなかった。食べ物がなくなってきているのでは」と話していた。

現場は土佐くろしお鉄道夜須駅から北東約8キロの山中。

かなり足腰のしっかりした女性だったのでしょうが、何にしろ大事に至らずよかったと言う話でしょうか。
しかしこれからの時期、色々と生き物の活動も活発になってくる時期ではありますから、山の中に分け入る時には相応の用心が必要になってくるということでしょう。

今日のぐり:「宮崎地頭鶏 そのまんま」

宮崎といえば最近芸能人の知事さんでちょっと知られている土地柄ですが、元々炭火焼やチキン南蛮など鶏料理でも知られているところです。
倉敷美観地区にも程近いこちらのお店、近隣の古い白壁屋敷とも相性の良いなかなか洒落た店構えですけれども、その宮崎の鶏を食べさせると言う店なんだそうですね。
ちなみに店名にもなっている宮崎地頭鶏(ミヤザキジトッコ)というのは天然記念物「地頭鶏」を原種に最近生み出された鶏なんだそうで、言ってみれば只今県をあげて売り出し中のブランドということになるのでしょうか。

さて、メニューを見てみますとセットメニューも含めて当然ながら鶏を使った料理が多いのは言うまでもないのですが、どうも宮崎だけでなく岡山の鶏も使っているようで、しかも今ひとつその使い分けの法則性がはっきりしないのは気になるところです。
宮崎ということに敬意を表して炭火焼やチキン南蛮はもちろん、適当に焼き物など鶏料理中心に見繕ってみたのですが、カニクリームコロッケだとか全く縁のなさそうなメニューも普通に並んでいるのが面白いなと思って後でよくよく考えましたら、地頭鶏云々を抜きにして考えるとほぼ純然たる居酒屋メニューなんですよね(店構えからはまともな料理屋っぽく見えるんですが)。
確かに冷や汁などよくよく見れば宮崎っぽい料理も散見されるのですが、原材料のことなど何も考えずに料理名の並びだけを見ていますと全く宮崎ということを意識せずともよさそうではありますね。

宮崎といえばこの炭火焼ですが(勝手に断言)、かの地で何軒か回ったところでは焼き網から滴り落ちた脂が炭で燻されて良くも悪くも強烈な風味が特徴なのかなと思っておりましたら、こちらのは同様に炭と網で焼いているらしいのにも関わらず火加減の塩梅なのか、ごく普通の鶏のグリルといった感じになっているのは拍子抜け?という感じでしたね。
宮崎発祥のチキン南蛮にしてもかの地のそれとは全く違っていると言いますか、そもそも南蛮酢の風合いが弱すぎてこれでは弁当屋などのメニューでよくある「鶏からあげにタルタルソースを添えた何か」そのものなんじゃないかといったところです。
幾ら何でもこうまで宮崎の味と違っているのはおかしいと思ってよくよく見直してみれば、確かに宮崎の鶏を使っているとは書いていますが宮崎料理とはどこにも書いていないわけで、確かに嘘はついていないものの限りなく騙し討ちに近いような釈然としないものを覚えてしまいました。

串焼など塩系のシンプルな味にしてみるとこの鶏の味がよく判るのですが、確かにまずいわけではなくそれなりにうまいとは言えるものの、例えば以前にもお邪魔した「かんべ」のように特記するほどうまいわけでもなく、個人的な好みで言えば若い鶏ばかりでなくしっかりした味が出る親鳥なども食べてみたかったなと思うところです。
オムレツや親子丼などちょっとひねったものも試してみましたけれども、やはりそこらの凡百の鶏よりはうまいがすごくうまいというわけでもないという印象は共通で、これは宮崎地頭鶏自体の味の性質なのか、この店の仕入れた肉がたまたまそうなのかは判断が難しいところでしょうかね。
肉の味はそれとして、料理ということに関してはクリームコロッケなど鶏とは関係ないものも含めて評価するところ、やはりちょっと気の利いた居酒屋レベルといったところで及第ではあるが特記するレベルにはなく、価格帯や見た目から本格的な味を想像すると物足りないかなというところでしょうか。

全般的に見れば特に入って失敗したと感じるほどではないにしろ総じて印象の薄い味だなと感じるのですが、時期や時間帯の問題もあるのかも知れませんが店内に他のお客の姿も全く見えないということからしても、少なくとも押すな押すなの大人気で大繁盛の満員御礼といった状況には程遠いようですよね。
あまり気にしませんでしたが同行者からは「意外と高い」という感想が出て改めて考えたのですが、確かに原材料費が余計にかかっているとしても味と内容の割には割高な印象ですから、どうせお金を使うなら材料費よりは料理人の腕の方に使いたいと考える向きにはいささか不向きな店と言うことになるのでしょうか。
美観地区の雰囲気込みで少しばかりお洒落な雰囲気をという場合には向いているのかも知れませんが、素朴な疑問としてこの場所にこの店構えでこの状況が続くとなると、経営的な面でなかなか難しいんじゃないかなという気はしてくるところなんですが…

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2010年3月21日 (日)

今日のぐり:「一心」

読者の皆さんがどんなところに関心があるのか知るのに便利なので時々アクセス解析というのを見ているのですが、実は以前から気になっていることがあるのですね。
ご存知のように当「ぐり研」はお気楽においしいものを食べて賑やかにやりましょうということを趣旨とするサイトですが、以前に取り上げました某飲食店の話がとあるグルメ系サイトでリンクされているようで、そちら経由で毎日のようにアクセスがあるということなんです。
別に(失礼ながら)そうメジャーな店でもなければ、そんなに力を入れて書いたつもりも全くなかった記事なんですが、何故にそうまで皆の関心を引いているのかと何やらちょっと不思議なんですよね。
と言うわけで「あの店」の情報を求めて当「ぐり研」にお越しのそこの貴兄、管理人もたまたま一度ランチで立ち寄っただけですので、そんなに熱心に見てもらっても困るんですが…

それはともかくとして、以前にこんな記事が出ていましたことが一部方面でちょっとした話題になったことがあります。

10年前の生活を振り返る--この間に起こった10の技術的変化(2009年12月29日ZDnet)

 私の名付け娘は最近話をしたり、理解したり、学習したりすることができる年になった。彼女は6歳なのだが、すでにかなりのことをよく理解している。彼女は私よりもたった16歳年下なだけなのに、彼女が経験していることや見ているものは、私とはあまりにも違っている。時代の変化は速いということは知っているが、私は昨晩突然気づかされた。

 年の差はそれほど大きくないのに、私と彼女の間の世代間ギャップは大変大きく、これは考えてみればいくらか恐ろしくもある。

   1. 太陽系の惑星の数は9つだった。

       長い間、太陽系の惑星の数は9つだったのだが、ある日突然、8つにするか、約20にするか決めることになった。そして、8つが選ばれた。7年間の初等教育を経て、実際問題として私が知っていた世界はなくなってしまった。彼らは、ただ1つの天体を惑星の分類から外しただけなのだが。

   2. 「BlackBerry」は果物だったし、「Apple」も果物だった。

       「ブラックベリー」あるいは「アップル」と聞いて、果物だと思いこむ人がいても、私は驚かない。しかし、私の中では、これらの言葉は私のモバイルデバイスのことを指している。「1日5皿の野菜と果物を食べよう」とよく言われるが、私は毎日BlackBerryで電話をかけている。これは1皿分にカウントしていいはずだと思うのだが、どうだろうか。

   3. プログラムを読み込むには、カセットテープをセットして20分待つ必要があった。

       私の最初のコンピュータはCPC-464だった。これは非常に重たいもので、マフィア小説の中に出てくるコンクリートブロックと同じ使い方でもできただろう。これはさすがに10年前のことではないが、私は緑色の単色スクリーンのコンピュータでワープロをしていた人たちのことを覚えている。5インチのフロッピーディスクの出現は、それ自体が小さな革命のように思われたものだ。

   4. インターネットに接続するのにダイアルする必要があった。

       コンピュータはインターネットに常に繋がっていたわけではない。情報をやりとりするためには他のコンピュータにダイアルする必要があり、それは基本的にコンピュータ間の電話だった。だがもっと不思議なのは、今でもこのやり方を利用できることかもしれない。

   5. 1Gバイトのハードディスクを使い切るのは無理だった。

       私が1996年のクリスマスに、家族のために買った最初のコンピュータには(そう、OSはWindows 95だった)64Mバイトのメモリと、1Gバイトのストレージが搭載されていた。私の父は、「これを使い切ることなど絶対にできないだろう」と言ったものだ。

   6. テレビ番組を記録する唯一の方法は聖書の大きさのビデオテープで、最大でも1時間半しか録画できなかった。

       私は当時小さ過ぎてベータマックスとVHSの戦争は覚えていないのだが、世界でもっとも古いビデオデッキで録画した「ザ・シンプソンズ」の番組を見ようとして、すぐにテープが引っかかったり絡んだりしてどうしても見られなかったことは確かに覚えている。胸が張り裂けそうだった。

   7. 手に入るポルノは、近所の駐車場の草むらに捨ててあるぼろぼろになった雑誌だけだった。

       インターネット世代の子どもたちは、過去のどの世代の子どもたちよりも多くのポルノを見ている。私が子どもの頃は、近所にいた汚れた老人が前夜に寝ていたところの近くで、捨てられている雑誌を見つけられれば幸運だった。「子どもが子どもを産む・・・これは親の責任だ」などと言うのは間違いで、インターネットの責任かもしれない。

   8. 家の中にはコンピュータは1台しかなく、それ以上あったとしても、インターネットに繋げるのは1度に1台だった。

       当時は無線などはなかった。無線と言えばラジオだけで、それが主な娯楽だった。戦時の英国のように聞こえるかもしれないが、10年前はそれほど前のことではない。Windows XPはまだ出ておらず、私はまだ学校の制服を着ていて、私たちが使っていたコンピュータではWindows NTが動いていた。

   9. フラットスクリーンのテレビなどなかった。

       少なくとも、商業的にはそういうものは存在しなかった。わたしの属する世代は、両目が少し寄ってしまいながらブラウン管テレビの前に釘付けになって過ごした世代だ。「電磁波に気をつけてください」という注意書きのステッカーを今見ると笑えるが。

  10. Twitterは「ショートメッセージ」と呼ばれており、「tweet」は1人にしか送れなかった

       そう、気づいていない人が多いが、この新しい現象は基本的にショートメッセージだ。携帯のショートメッセージは依然としてTwitterよりははるかに一般的ではあるものの、以前はニュースは友人のグループ(今日では「ソーシャルネットワーク」)を通じてゆっくりと伝搬していた。今では、160字のスペースで、文字通り全員に対してメッセージを送ることができる。

 10年あれば、多くのことが変わる。

何となく10年どころではない昔の話もありそうに思うのですが、一昔前の常識が今や全く通用しないということはよくあります(よね?)。
先日見かけたこちらの話題なども、一昔前であれば口にするまでもないゲーマーの常識と言うべき話だったと思うのですが、わざわざこうして記事にして解説して見せなければならなくなったという時点で時代の流れを感じるところです。

『ウィザードリィ』+『ウルティマ』=『ドラゴンクエスト』(2010年3月12日ガジェット通信)

いまや国民的ビデオゲームと言われている『ドラゴンクエスト』。ファミコン、スーパーファミコン、ゲームボーイ、プレイステーション、ニンテンドー DSなど、さまざまなハードで発売されているので、皆さんも一度は遊んだことがあるのではないでしょうか?

そんな『ドラゴンクエスト』ですが、実はとある2つのゲームが融合したことで誕生したゲームだということをご存じですか? その2つのゲームがなかったら、今の『ドラゴンクエスト』は存在しなかったでしょう。

その2つのゲームとは、『ウィザードリィ』と『ウルティマ』です。『ウィザードリィ』は、現在の『女神転生』シリーズのような3D表現されたダンジョンを進んでいき、突然出現するモンスターとターン制の戦闘を繰り広げるというゲームシステムです。『ウルティマ』は『ドラゴンクエスト』のようなフィールドを歩き、同じくフィールドを歩いているモンスターに触れて戦うというものでした。

『ドラゴンクエスト』は、『ウィザードリィ』の戦闘システムと、『ウルティマ』のフィールド移動システムを融合させたゲームとして誕生したのです。もちろん、ゲームプレイヤーが遊びやすいようにかなり改良され、独自のアレンジもされ、開発されました。

『ウィザードリィ』は3D表現されたダンジョンがメインだったので、「ファミコンのゲームプレイヤーには難しい」と思われたようですね。双方のゲームのいいとこ取りなゲーム、それが『ドラゴンクエスト』なわけです。

いやしかし、そう言えば最近国内でウィザードリィもウルティマもそんなに話題になることもなくなったような気もしますが、考えてみるとゲームの主体がPC(当時はまだパソコン、マイコンの時代ですが)からコンシューマーに移ってきた時代がそのあたりの分水嶺になったんでしょうかね?
常識と言えば一昔前の人間にとってセガと言えばコンシューマーの大手という認識がごく当たり前だったものですけれども、そのセガも同市場から撤退してすでに久しいことは皆さんも御存知の通りで、最近の世代にとってはセガがゲーム機を出していたなんてこと自体がトリビアになりつつあるんでしょうかね?
そのセガが満を持して?放つ新世代機が登場!なんて噂を聞きつけて思わず探してしまったのがこちらのニュースなんですが、まずは黙って紹介してみましょう。

ついにベールを脱いだ、セガの新ハード「SEGA Zone」って何だ!?(2010年2月5日ITmediaゲームズ)

「ソニック4」発表の興奮もさめやらぬなか、海外から今度は「セガが新ハードを発売する」という情報が入ってきました。

 海外の複数ニュースサイトが伝えるところによると、セガはこの夏「SEGA Zone」なる新ハードを約50ドルにて発売する予定とのことです。ただし残念ながら日本での発売については未定。

 発表によれば、SEGA Zoneではあらかじめ本体に内蔵された50本のゲームで遊ぶことができ、収録タイトルのうち20本は「アレックスキッド」や「ゴールデンアックス」「ソニック&ナックルズ」といったメガドライブ時代の名作、また残りの30本は卓球やダーツ、ゴルフ、ビーチバレーといったカジュアルアーケードゲームとなっている模様。またコントローラを振って操作する「モーションコントロール」にも対応しており、内蔵ゲームのうち16本はモーションコントロール機能を使って遊ぶことができるそうです。

 新ハードというよりは昔のゲームを集めた「in1」系ハードといった印象ですが、ゲーム1本あたり約1ドルという脅威的なコストパフォーマンスは評価すべきかもしれません。なおカートリッジスロットは付いておらず、既存のメガドライブ用ソフトなどは使えませんのでご注意ください。

 そのほか写真からわかることとしては、本体カラーは白と黒の2種類、コントローラは縦でも横でも使える「Wiiリモコン型」であることなどがうかがえます。本体やコントローラのデザインなど、微妙にWiiを安っぽくしたような雰囲気が少々気になるところですが、このあたりの野暮ったさもセガらしいと言えばセガらしいのかもしれません。

 ちなみに日本でも過去、テレビにつなぐだけで内蔵されたメガドライブ用ソフトが遊べる「メガドライブプレイTV」なる商品がセガトイズから発売されたことがありました。このときは6タイトル収録で4179円でしたから、1タイトルあたりの価格ではSEGA Zoneの圧勝。ぜひ日本でも発売してほしいところですが、セガさん、いかがですか……?

いやまあ、確かに新ハードは新ハードなんでしょうが、リンク先の写真を見ましてもこれ、セガのロゴがついていなければどこかの国あたりで一山幾らで売ってるパ○モノそのまんまなんじゃないかという気もしないでもないんですが…
とは言いつつ、これはこれでコレクターズアイテムとしての魅力は結構ありそうですから、是非ともセガさんには国内投入を前向きに検討していただきたいところですよね。
ところで最近人気というiPhoneですけれども、熱心なファンの多いapple製品にしては面白いことに、あれだけは受け付けないという逆マニア?も結構いるようですね。

iPhoneをやめた5つの理由をIT記者が説明し反響(2009年12月29日アメーバニュース)

 ITmediaの記者コラムにて、iPhone 3Gをやめてドコモの携帯に切り替えた理由が書かれており、「はてなブックマーク」で多くのブックマークがついている。

 筆者は、 iPhone 3GとauのExilimケータイの2台を所有しており、iPhone 3G は1年近く使って魅力を実感していた。しかし、以下の5つの理由でiPhoneをやめたのだ。

 ・片手でiPhoneを打てないから
 ・ナビの精度やスピードで他社に劣っていたから
 ・おサイフケータイを使えないから
 ・mixiやGREEなどで使われているFLASH が見られないから
 ・iPhone 3Gのタッチパネルだとキーボードをプチプチ押す楽しさがないから

 筆者はiPhone 3Gがなくても、普通の携帯で以前と大して変わらない日常を過ごせているという。現在、そのiPhone 3Gはカメラで写真を撮り、無線LANを使ってメールで送信したり、Twitterを楽しんだりしているようだ。また、著者はiPhoneを使いこなせていない人に対し、慣れた人が「どういうものか調べないで買うのが悪い」「iPhoneを使いこなせていないから不便に感じるのだ」と言うシーンをいまだによく見かけるそうで、これは「まだまだ普及したとは言えないという証拠なのではないか」と結論づけている。

 はてなブックマークのユーザーは、「わりと似たような理由で、私もiPhone買ってない」「お財布ケータイだけは納得、早く対応して。ほかは好み」などのコメントを寄せている。

非常に興味深いと思うのがこの話、いわゆるMac教徒の人たちがかつてウィンドウズユーザーに言っていたことの裏返しにも見えるというところなんですが、結構本音の部分では素人さんが飛びつく流行りものには手を出したくないというマニア心理?もあるのかなと邪推は出来るような話です。
それはともかく、このiPhone絡みであのタッチパネルを受け入れられるかどうかという問題はかなり大きいということが判りますけれども、この問題に関して何やらお隣韓国から画期的な解決法が編み出されたということです。

iPhoneを操作できるソーセージが韓国でバカ売れ!(2010年2月10日ロケットニュース24)

iPhoneやiPod touchを操作できるソーセージが韓国でバカ売れしています。「iPhoneを操作できるソーセージ」と言われても意味不明だと思いますが、事実、iPhoneを操作できるソーセージがバカ売れし過ぎて売り切れ店が続出し、ソーセージ企業の売り上げがグンとアップしているというから驚きです。

「iPhoneを操作できるソーセージ」って何? 読んで字のごとくですが、市販されている魚肉ソーセージでiPhoneやiPod touchのタッチパネルに触れると、なぜかボタンを押したりスライドさせたりと、タッチペンのような操作ができてしまうのです。そう、魚肉ソーセージが iPhoneやiPod touchのタッチペン代わりになるという事ですね。

そもそもiPhoneやiPod touchのタッチパネルはニンテンドーDS等のタッチパネルと仕組みが違い、プラスチックのタッチペンや爪楊枝(つまようじ)、スプーン、指の爪の部分、箸、耳かき、何でつついても反応しません。基本的に人間の皮膚にしか反応しない仕組みになっているのです。

しかしなぜか魚肉ソーセージを使用するとiPhoneやiPod touchのタッチパネルが指と同じように反応し、操作することができるのです。そんな情報が流れると、韓国では魚肉ソーセージの購入者が急増。「手袋をしていてもiPhoneを操作できる」と評判なのです。

そう、手袋をしているとiPhoneやiPod touchのタッチパネルが反応しないため、いちいち手袋をとらないといけないのです。ヘヴィーなユーザーは手袋に穴を開けて使用しているようですが、ポケットに魚肉ソーセージを忍ばせておけばいつでもiPhoneやiPod touchを操作できるわけです。

韓国では「困ったときは魚肉ソーセージを使おう」という動画まで作られ、魚肉ソーセージの新たな使い方を提案しています。編集部でも実際に魚肉ソーセージを購入してiPhoneにタッチしてみたところ、ちゃんと操作する事ができました! 皆さんもお試しあれ。

魚肉ソーセージはビニールの包装を破いてしまうと使えないので、包装されたまま使ってくださいね。使った後は魚肉ソーセージを清潔にして、包装ビニールをむいて食べましょう。

いやまあ、確かに写真を見る限りいい感じに使えているようではあるのですけれども、iPhoneを買うようなユーザー層が魚肉ソーセージ片手に操作するという行為を受け入れるかどうかと言う問題が新たに発生するのは避けられないところでしょうね。
ちなみに魚肉ソーセージによる使用で何かしら不具合が発生したとしても、まず確実に保証対象外となりそうですので注意が必要でしょう。

今日のぐり:「一心」

経験上クチコミというのは話半分に聞くことにしているんですが、時には思いがけない拾い物ということもあって馬鹿には出来ないところもありますよね。
金比羅との両参りで有名な瑜伽大権現に登ってきた帰り、せっかくなので何かうまい魚でもと海辺まで出てきた挙句、児島港界隈で働いていた方からおすすめいただいたのが寿司と御料理の看板を掲げるこちらの店なんですが、これが侮れない店でしたね。
ちなみに児島駅にごく近い街中の店ではあるんですけれども、表から少し入った裏通りに面した場所にありますから、なかなか一見さんが通りすがりに立ち寄るというわけにはいかないだろう店ですし、実際満席に近い店内の客層を見てみましても地元の常連客がほとんどのようですね。

さて、お昼の時間には定食中心らしいメニューを眺めていますと、目についたのが定食として一番高い(と言ってもごく普通のランチの価格ですが)一心定食と花定食なんですが、それぞれ刺身に小鉢と酢の物、茶碗蒸しに果物など一通り揃った形になっていて、これに一心定食の方では天ぷらとご飯が、花定食の方では握りがつくというなかなかに欲張りな内容です。
こういうランチで酢の物と言いますとあらかじめ小鉢に盛り分けているような、いかにも付け合せ的なものの場合も多いですけれども、こちらは何やら妙に時間がかかるなと思ったらその都度ちゃんと盛り付けをしているようで、地の特産であるタコや季節のサワラなどを中心に丁寧に盛り付けられた、これだけで十分に一品として通用するような内容なのは驚かされますね。
特筆すべきは刺身がうまいことで、下手な店に行くと歯ごたえだけのタイだったり何がうまいのか意味不明なイカだったりが出てきて哀しい思いをすることもありますけれども、この見た目からして角が立っている刺身は単に新鮮であるというだけでなくきちんと熟成されていて、やはりこれは港町であるからこその醍醐味というところでしょうか。

副菜がこれだけ充実しているのに加えて、一心定食の方の天ぷらも単品としても満足出来るボリュームなんですが、特にランチ帯でよくある揚げ置きベカベカの天ぷらではなく、きちんとアルデンテを意識した揚げ上がりのエビなどは、素材の持ち味との相乗効果で天ぷらとしても楽しめる内容だと思いますね(ただし、個人的にはこの天ぷらなら天つゆより塩かなと思いましたが)。
一方で寿司屋として見た場合に注目せずにはいられない花定食の握り、量自体は半人前というところでごく控えめなものであるもののこれがうまい、何気ないフリをしてこんな値段のランチの寿司でこのレベルの寿司が食えるとは思っていませんでしたが、おそらくマグロだののネタよりも地元の食材で頼んだ方がうまいというパターンの店なんでしょうね。
小鉢や茶碗蒸しもそれぞれ丁寧な仕事ぶりで非常に好印象な中で、唯一気になったのが味噌汁なんですが、寿司屋の味噌汁と言えば赤味噌系の切れ味鋭い辛口がデフォルトだと思いこんでおりましたら、こちらのそれは白味噌がベースでまったり甘いというのはこの地方の伝統なのでしょうか、正直やや意表をつかれたということはありました(仕立て自体は丁寧でよかったですけどね)。

全般の接遇面ではこういう土地柄らしく上品というものではありませんが、昼食時で忙しい中でも大将らがやたらと愛想がよく、しかもそれでいてきちんと目が行き届いているのは立派だと思いますし、店内が庶民的な賑やかさに溢れているのは個人的に好みですね(ただし、大将のペースに巻き込まれず静かに飲食を楽しみたい向きにはカウンター席より座敷をおすすめしておきます(苦笑))。
しかしこうした産地の店でよくある限りなく素材任せの味だけというわけではなく、ちゃんと丁寧な仕事をした料理がランチでも楽しめる、しかも元々素材としては良いのですからうまくないわけがないのですが、会計の段になって改めて驚かされるのが本当にこの内容でこの金額でいいの?と思うくらいに値段が安いということです。
主食のご飯や握りの量は軽く控えめなんですが、その分副菜などは非常に充実していて全体の量的にはランチとは言ってもちょっとしたディナーに準ずるくらいのボリュームはあって、しかもうまいとくれば地元の人々で賑わっているというのも納得ですし、この価格帯であれば日常的にちょっと外で食事をという時にも気軽に利用出来そうですよね。
ところでもしかするとこちらの名物料理なんでしょうか、やたらと沢山カウンターに並べられていた巻き寿司の山が気になって仕方がなかったんですがね(笑)。

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2010年3月20日 (土)

斜陽の新聞業界 まず一番大事なのは何かという視点も必要では

本日はメジャー紙の一角と目されている毎日新聞という会社に関連する話題を取っ掛かりに、昨今の新聞業界ネタを取り上げたいと思いますけれども、しかしこの会社に関わる話題はつきませんよね(苦笑)。
近頃では存在自体がすでにネタと化しているかのような気配すらありますけれども、先日思わず笑ってしまったのがこちらの記事とそれに対するレスポンスです。

支局長からの手紙:ハトよ /京都(2010年3月8日毎日新聞)

 ハトよ、何してくれるんだ

 今、私はハトに対してそんな心境です。ハトが嫌いだというわけではありません。どちらかと言えば、そこそこ好きだった、というのが正確かもしれません。飼った経験があるわけではありませんが、ハト派、タカ派という言葉もあるようにハトに対して平和的で愛くるしいイメージを持っており、私にとっては好感度の高い動物の一つでした。

 ところが、最近ハトが私の生活に近寄ってきてから印象がガラリと変わりました。京都支局ビルの屋外にある非常階段の鉄骨がハトにとって非常に居心地が良いらしく、四六時中、ハトがとまっています。当初、1羽だけだと思っていたのですが、弟かどうか知りませんが、よく似たハトが2羽いる日が多くなってきました。もちろん、骨休みをして、兄弟仲良く私たちの目を楽しませてくれるだけであれば、良い印象のままだったはずなのです。しかし、2羽はフンをまきちらすのです。鉄骨の下にある編集室の非常階段を一晩で真っ白にしてしまうほどで、「ハトってこんなにきたない鳥だったのか。人の気も知らないで」と、好感度は下がりっぱなしです。

 私はトイレに行くたび、非常扉を開け、とまっているハトに向かって傘を振り回したり、階段を強く踏み鳴らしたりして、追い出しています。しかし、目を離すとまたすぐに戻ってきます。こうなるとこれまで愛くるしいと思っていた表情もにくたらしく、灰色の体も目障りになってきました

 迷惑を被っているのは支局ビルだけではないようです。支局向かいのマンションでは入居者がベランダにCDをぶら下げて、キラキラと日光の反射でハトを追いやっています。私が観察している限りでは、効果があるようで、ハトが休んでいる様子はありません。私もまねしてCDをぶら下げたのですが、私たちのハトはCDを尻目にクークーとご機嫌の様子です。

 光がだめなら、音で勝負と考え、風鈴作戦を思いつきました。ところが、この時期、風鈴を売っている店が見つからず、100円ショップで、赤ちゃんの拳大の輝く鈴を買って、手製の風鈴をぶら下げてみました。つるす位置を毎日あれこれ変えた結果、ベストポジション(ハトにしたらワーストポジション)につるすことができたのか、この二、三日はハトの姿が見えません。しかし、雨のせいかもしれません。また、風が吹かなければ音がしないので、どれほど効果があるのかまだまだ安心できません。

 ハトが自主的に退去するか、フンをまき散らさない身ぎれいなハトになってくれればいいのですが、そんなことは期待できません。別の心配もあります。支局周辺にはハトより難儀なカラスもいることです。ハトの退場と同時にカラスがのさばらないか、という心配です。【京都支局長・北出昭】

113 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/14(日) 05:00:16 ID:7cCK6gVa0

>>107
毎日新聞に「Shit!」とかやってくれるこの鳩、いい鳩ですね。
どこかの脱税鳩よりも億倍良い。

鳩の話はそれとして、先ごろ民事訴訟判決が出た奈良・大淀病院事件などでもカルテ流出か?!なんて騒ぎがありましたけれども、国内でも様々な場所でネット言論への規制というものが叫ばれているのが現状です。
先日は大手ネット掲示板「2ch」への韓国からの大規模サイバーテロが大きな話題になりましたが、あの問題も元を辿ればネット上での言論というものが原因であったと言われていて、面白いのはそれだからネット上での言論はもっと慎重にしなければなんて論調もある一方で、やられたらやり返せなんて過激なことを公言して回るような人もいるということですよね。
いずれにしても言論が活発なのはともかく、ネットを経由して事実無根の話を広げて回るとなればこれはどのようにも擁護しようがないという話ですけれども、その方面で他者の追随を許さない実績を誇る(笑)毎日新聞社が、過日こういう社説を掲載しているというのがまた面白いなと思いますね。

社説:ネット中傷有罪 「無責任さ」への警鐘だ(2010年3月19日毎日新聞)

 インターネットの掲載だからといって、閲覧者が信頼性の低い情報として受け取るとは限らない--。

 自分のホームページ上で、ラーメンチェーンの会社について「カルト団体が母体」などと中傷する文章を掲載し名誉棄損罪に問われた男性に対し、最高裁がそう指摘した。罰金30万円の有罪判決が確定する。ネットでも名誉棄損罪の成立要件は緩やかにならないと初めて判断した。

 匿名での書き込みが可能なインターネット上に、個人の名誉やプライバシー、時に人権を侵害する表現行為があふれることを踏まえると、妥当な結論ではないか。

 法務省がネット上の人権侵犯事件として救済手続きを開始した件数は08年で500件を超えた。04年の2.5倍に上る。中傷されたとして警察に寄せられる相談も08年で1万1000件を超える。潜在的な被害者が多いことを示す。

 名誉棄損が問われないのはどういう場合か。公共の利害にかかわる内容について、公益を図る目的で、真実または真実と信じる相当の理由があって報道した場合が当たる。これが判例上の考え方だ。

 1審の東京地裁判決は、ネットの情報の信頼性が低いことや、利用者は反論も可能だとして男性を無罪とした。新聞・テレビの報道より緩い「ものさし」を当てはめたものだ。

 今回の最高裁決定は「ネット情報は不特定多数の利用者が瞬時に閲覧可能で、被害は深刻になり得る。反論によって名誉回復が図られる保証もない」として、ネットに限り基準を変えるべきではないとした。

一方的な立場の主張を裏付けなく垂れ流したり、当事者への事実確認を全くせずにプライバシーに踏み込んだ書き込みをすれば、罪に問われる場合もある。そのことをネットユーザーは心すべきである。

 本来、ネットに限らず、無責任で行き過ぎた表現行為は許されない。教育現場では、ネット犯罪に巻き込まれたり、ネット上のいじめをしないように講師を招いて教える取り組みが進む。ブログなどでの情報発信が広まる中、表現する責任も伴うことを今後は教えてほしい

 プロバイダー(接続業者)責任制限法に基づき、権利が侵害された被害者は、事業者に削除要請や情報発信者の開示を要求できる。だが、応じるかの判断は業者に委ねられる。

 児童ポルノや薬物犯罪に絡む違法情報が野放しになっている現状を受け、警察庁は削除要請を無視するサイト管理者らの刑事責任追及を積極的に進めるという。名誉棄損も含め悪質なケースは当然だろう。

 健全なネット社会のあり方を皆で模索していきたい。

各方面から「おまえが言うな!」の大合唱が聞こえてくるのは言を待たないところですけれども、非常に面白いのは毎日新聞としては自らがまさに加害者であるという自覚がないどころか、自分は被害者であり世間から誤解されているのだと考えているらしい節があるところですよね。
例えば前述の大淀病院事件なども今に語り継がれる毎日新聞の伝説の一つとなっていますけれども、それ以上に同社にとって大きな痛手となったらしいのが例の捏造報道事件で大打撃を受けた同社への広告出稿というものが、大淀の一件で医療・製薬業界へと拡大したということでしょう。
最近では蛙の面に何とやらのマスコミへ直接抗議するよりも、広告を出すスポンサーに対して働きかけた方がずっと効率的であるとはよく知られているところですけれども、ネット界隈で広く行われてきた出稿製薬会社への働きかけというものが実際かなり効いているということなのか、先日以来こういうものが出回っているようですね。

31 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/03/19(金) 11:56:22 ID:uJegrkTR0

まるちご容赦。あまりに痛快なので。
Risfax【2010年3月19日】
毎日新聞 日薬連・評議員に医療報道への「理解」求める文書

 毎日新聞社が自社の医療報道に理解を求める朝比奈豊社長名の文書を、日本製薬団体連合会の評議員に配布した。
複数の関係者によると、数年前の医療報道で一部医師から強い批判の声があがり、現場MRへの忠告、あるいは
ネットへの書き込み、電子メールの送付などで、同社への広告出稿をけん制する動きが活発化。製薬企業のほとんどが
出稿を停止し、いまだ半数以上、停止状態が続いている
という。
 文書によると同社は06年8月、奈良県で意識不明になった妊婦を転送する病院が見つからず、大阪府内の病院で
死亡した事故を、産科救急の不備、周産期医療の現状と課題など
を交えて報じたところ、一部医師の間で「毎日新聞の報道が医療を崩壊させた」との批判が起きた
 複数の関係者によるとこれを皮切りに、同社に広告出稿する製薬企業にも、批判の矛先が向くようになり、
10社程度あった製薬企業の毎日新聞への広告のほとんどが出稿を停止。いまも数社を除いて出稿停止が続いている。
背景には、現場MRに対する直接の忠告、2チャンネルなどネットの書き込み、電子メールの送付などで、
広告出稿をけん制する動きがあったという。
 毎日新聞社は今回の文書で、「医療態勢が崩壊していた現実を報道したのであって、報道が崩壊させたわけではない」と
説明する一方、「医療報道をさらに充実させ、毎日新聞の医療に向けた姿勢をより鮮明にするよう心掛けてきた」と強調。

奈良県の医療事故報道に対する批判を「謙虚に受け止め、医療報道を深化」させた結果、
「低医療費政策」と「医師数抑制策」の問題点を強く訴える報道で、成果を出したと訴えている。
 文書配布は日薬連の木村政之理事長に毎日新聞社の役員らが要請、木村理事長が竹中登一会長に相談したうえ、
認められた。「広告出稿の障害をできるだけ取り除きたいという思いがある」(毎日新聞関係者)という。

33 名前:お増健さん ◆0ZOKENdh0E [] 投稿日:2010/03/19(金) 12:11:37 ID:fPNFFk3d0

んなもん医療報道だけじゃなくて、変態報道もあるだろうに。
そこをスルーしてるあたりが毎に痴のふざけたところであって。

35 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/19(金) 12:16:22 ID:ucDtGW2U0

「理解はするけど広告は出さない」

これだけじゃね?
出したら売り上げの下がるものを広告とは言わんだろうからwww

37 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/03/19(金) 12:39:02 ID:6duXYWcZ0

こういう記事見ると、またMRへの毎日新聞広告出稿停止要請を強化しなくちゃ遺憾なと思えてきた
さっそく今日から来たMRすべてに再度確認しようっと。

40 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/19(金) 12:50:00 ID:lN7O84TI0

31 初めて知ったわw
マスゴミではこういう声がごく少数かのようにほとんど報じてないが、
まさかこれほど大きな戦果を挙げてるとはw
けど、変態の言葉を借りて言えば
変態新聞が崩壊しつつある現実を反映した結果であって、我々の行動が影響したわけではない
だよなあw

「医療態勢が崩壊していた現実を報道したのであって、報道が崩壊させたわけではない」は良かったですけれども、いずれにしてもこうなってしまうと毎日が何を弁解してみせようが新たなネタとしか受け取られそうにない勢いではありますよね。
思うに毎日新聞の記者達にしてもネットくらいは利用しているでしょうし、ネット上の世論における自分たちの位置づけというものがどういうことになっているのかも十二分に承知しているんだろうとは思うのですが、それでもこうして「広告出稿の障害をできるだけ取り除きたいと」思わざるをえない事情というものが彼らにもあるということです。

すでに新聞業界の凋落ぶりが叫ばれるのは昨日今日の話ではありませんが、先日は主要紙の中で唯一堅調に部数増加を続けてきた日経すら二期連続の赤字を計上したという、なかなかに衝撃的なニュースが飛び出してきたことなどからもわかる通り、新聞業界というところはすでに構造的な不況産業へと突入している気配すらあります。
それは何をやってもこれだけ批判の余地があることばかりということであれば誰も新聞など信用しないという話ですけれども、彼らにとって深刻な問題となっているのが将来の読者層たる若年世代ほど新聞離れ、あるいは更に一歩進んで新聞アレルギーとも言うべき状況を呈しているということで、これでは未来永劫彼らの本業たる部数の面で業績が上向くことなどあり得ませんよね。
一昔前はマンガ有害論だの俗悪テレビ番組批判だのと「近頃では若者の活字離れが目立ち」云々と社説あたりで嘆いて見せていれば済んだ話ですが、どうもそんな問題ではないらしいということがこのところ指摘されるようになっています。

「若者の活字離れ」は正しくない、との調査結果出る(2010年3月15日アメーバニュース)

 株式会社Media Shakersが運営する、20歳から34歳までの男女(いわゆるM1・F1層)のマーケティング・コンサルティング専門機関であるM1・F1総研が、新聞に対する調査結果を発表した。

 ここでは「若者の活字離れ」は事実ではない、と見ている。M1・F1総研の調査「若者と新聞」によると、20歳から34歳のM1層は、その上の35歳から49歳のM2層に比べ、新聞を読まない傾向にあるという。これは、昨今メディアなどで言われている「若者の新聞離れ」を表すものであるが、しかしM1・ F1総研は、調査結果をもとに「活字に対する抵抗があるからではない」と結論付けている。

 その論拠には、新聞以外の活字媒体である書籍の閲読回数においては、M2層が4.3~6.6回であるのに対し、M1層は5.1~5.6回とほぼ同程度読んでおり、さらにフリーペーパー等においては、若年層のほうが閲読しているなどの結果があげられている。

 また、「新聞を読まない」としたM1層の人たちが新聞を読まない理由には、「料金がかかるから」(62.6%)、「読むのに時間がかかるから」(37.9%)、「他のメディアから得られる情報で足りているから」(24.5%)というものが主にあるようだ。若い人ほど、無料メディアを使い効率的に情報収集をしたいと考えているようだ。

 これに対し、ネット上では「新聞も見出しを一覧表で充実させたらいいのに」「内容は単なるニュース情報だから、ネットで十分」「事実を素の状態で多面的な記事にしてくれれば価値もあると思うが、わざわざ探すのが面倒で、かさばる紙である必要は無い」などの感想があがっている。

今どき何であれ定形フォントを使った印刷物ばかり、何を書くにも手書きではなくワープロという時代に活字離れもないでしょうし、そもそも活字が嫌いな人間が始終メール打ちまくったりネット漬けになったりするものかと考えれば、誰でも判る現実というものがそこにあるでしょうに、やはり新聞業界ではそうした時代に取り残されつつあるという現実を認めたくはなかったということなんですかね?
本業たる部数増など今後一切望みが無い、さらに頼みの広告収入も日々減少を続けているとなれば、業界自体が先細りしていくしかないというのは自明の話ですけれども、実際問題日に一度紙に印刷して配布するというスタイルのメディアに現代社会で求められる速報性など期待できないし、何より紙媒体として価値を認められるだけの情報の掘り下げもないことが証明されているのですから仕方がないでしょうね。
この状況にあっての業界の生き残り策というものは二つの方向性が合って、一つにはなんとしても既得権益を死守していくということ、そしてもう一つは何とか新規分野を開拓していくということとなるでしょうが、まずは前者の例として先日もお伝えしたクロスメディア規制論に新聞業界が猛反発しているという記事から紹介してみましょう。

新聞猛反発の「クロスメディア規制」 「制度のあり方を検討」(2010年3月5日J-CASTニュース)

  放送局の寡占化を防ぐ「マスメディア集中排除原則」が省令から法律へとランクアップすることになった。政府が閣議決定した放送法改正案のなかに盛り込まれ、通常国会での成立を目指す。

   一方、一つの資本が新聞やテレビなどのメディアを独占的に支配することを防止する「クロスメディア所有規制」については、「制度のあり方の検討」が改正案の附則に明記された。原口一博総務相はこちらも法文化する意向だが、新聞業界は猛反発している。

「マスメディア集中排除原則」を法律に明記

   政府は2010年3月5日の閣議で、通信と放送の融合に向けた放送法や電波法など関連法案の改正案を決定した。インターネットの普及で通信と放送の垣根が低くなっていることを受け、現在8本に分かれている関連法を4本にまとめ、法体系を60年ぶりに抜本的に見直した。

   そのうち放送法改正案では、これまで総務省令で定めていた「マスメディア集中排除原則」を法律に明記することにした。同原則は複数の放送局への出資を制限して、独占的な資本に放送業界が支配されるのを防ぐもの。原口総務相は法定化の狙いについて、

    「省令は誰が誰の責任で決めているのか、国民から見えにくいという批判がある。原理原則は、国権の最高機関である国会の審議を経たルールで明文化することが重要だ」(1月29日の記者会見)

と述べている。放送局規制にも「政治主導」を持ち込んだ形だ。だが、内容的には「規制緩和」の方向となっている。経営が苦しい地方局をキー局が支援しやすくするため、出資比率規制を「5分の1未満」から「3分の1未満」に緩めることができるようにしたのだ。

   しかし、メディア総合研究所の岩崎貞明事務局長は「出資規制を緩和しても、地方局にとってどれだけ実効性があるかは疑問」と話す。

    「いまはキー局も赤字で、尻に火がついている状態。他人の面倒を見ている余裕はない、というテレビ局が多いのではないか」

記事にもありますよに今はテレビ業界も不況の真っ最中というところで、あるいはこういうことが実現してくるようですと大規模な再編が起こってきてもおかしくはないというものですけれども、新聞やテレビの系列化が解体されてくるということになりますと、現状のように特定問題に関して特定系列メディアでは一切言及されないという面白い現象は減ってくるということになるのでしょうかね?
このあたりは一生懸命民主党政権誕生へ援護射撃をしてきたメディアからすると裏切り行為?!とも取れるような話でもあるかと思いますけれども、そういえば近頃はメディアの側からも一頃の政権交代賞讚一色の論調から脱して、与党への反撃が始まっているのかと思えるような気配も出てきているようでもありますよね。
他方では以前からネット時代に対応できていないと言われ続けていた新聞業界ですけれども、一頃のネット憎し一辺倒の論調から最近ようやく脱する気配が出てきたということなのか、最近ではネットと共存する、あるいはさらに一歩進んでネットを支配しようなどという野望すら抱いているらしいことは、以前にも佐々木俊尚氏の記事を紹介したところですが、いよいよその動きが本格化してきたようです。

新聞社のネットニュース、有料化の動き広がる(2010年2月26日読売新聞)

 新聞社がインターネットのニュース提供を有料化する動きが広がっている。

 日本経済新聞社は、朝夕刊や速報用の記事を有料で配信する「日本経済新聞 電子版」(Web刊)を3月23日に創刊するほか、読売新聞社も2009年10月、より詳しい医療情報などを発信する有料サイト「yomiDr.(ヨミドクター)」を新設した。読者の関心の高い専門的できめ細かな記事をネットで有料配信することで、新たな読者層を開拓するのが狙いで、新聞以外の新たな収益の柱に育てたい考えだ。

 これまで日経のニュースサイト「NIKKEI NET(日経ネット)」はすべての情報が無料だった。日経の電子版は、一部有料化し、パソコンや携帯電話で、ニュース速報や朝夕刊の全紙面を閲覧できる。産経新聞などは電子新聞を有料で配信している。

 読売の「ヨミドクター」は、医療・介護・健康分野の情報を提供し、新聞の連載記事「病院の実力」などすべての記事を閲覧する場合は有料となる。

 毎日新聞社も米ネット販売大手アマゾン・ドット・コムの情報端末「キンドル」向けに英文サイトを有料で配信しているほか、スポーツ新聞が競馬の有料サイトを開設するなど、専門分野に絞って有料化を進めるケースも増えている。

 有料化の背景には、これまでの「ネット情報はタダ」との常識を改め、幅広く専門性の高い取材の成果に「対価」を得ることで収益を安定させ、公平で信頼性の高い報道を堅持する狙いがある。

 日経の喜多恒雄社長は「電子版が成功すれば、ノウハウなどを同業他社にもオープンにする」としており、信頼性の乏しい情報が氾濫(はんらん)する「ネット社会」に、業界として一致して対応する必要性を強調した。

 海外でも課金の動きは広がっている。日本新聞協会によると、米国では10年1月現在、「ウォール・ストリート・ジャーナル」など約30紙がネットで流すニュースに課金しており、ニューヨーク・タイムズも11年1月から、電子版の一部の有料化に踏み切る予定だ。

 米アップル社の高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」が普及するなど、充実したニュースを紙媒体以外で閲覧出来る環境が整いつつあることも、電子化の流れを加速させている。今後、各社ともネットを活用したニュースの有料配信事業が一段と拡大しそうだ。

とりわけ注目していただきたいのが「電子版が成功すれば、ノウハウなどを同業他社にもオープンにする」「信頼性の乏しい情報が氾濫(はんらん)する「ネット社会」に、業界として一致して対応する必要性を強調」といった下りなんですけれども、まさしく佐々木氏の言うところの「記者クラブを楯にして新聞を有料化しようと企てる人たち」そのままの世界という感じになってきましたかね。
BASICインタープリタの販売から始まったマイクロソフトが今や世界の巨人となっているように、こういう試みというものが本当に成功すれば非常に大きな収入源となるだろうことは想像に難くないですけれども、一方で昨今フリーのOSやアプリケーションが次第にシェアを伸ばしつつあることからも見て取れるように、今の時代市民の側にも大手による独占に十分対応出来る力量が備わってきていると思いますね。
さて、次の時代にあって生き残っていくのが誰なのかという興味もさることながら、いずれにしても提供する情報自体の信頼性や真実性といった最重要の部分をもう少し改善していかないことには、新聞業界の繁栄も夢物語という気がするのですけれどもね。

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2010年3月19日 (金)

医療の世界にも押し寄せる貧困問題 その解決はすでに待ったなし

未だ不景気と言われ続けているこの時代にあって、先日民医連の調査でこういう話が出ていましたがご覧になりましたでしょうか。

困窮で受診遅れ、43人死亡 国保料滞納の「無保険」(2010年3月11日47ニュース)

 国民健康保険(国保)の保険料を滞納して保険証がない「無保険」になるなどの理由で、受診が遅れ死亡した人が2009年の1年間に少なくとも17都道府県で33人いたことが11日、全日本民主医療機関連合会(民医連、東京)の調査で分かった。正規の保険証を持ちながら経済的理由で死亡した人も6都県で10人に上った。

 年金生活の高齢者や「派遣切り」などによる失業者らが多く、民医連は「景気悪化で貧困や格差の問題が広がる中、低所得者層は医療さえ受けられない厳しい状況があらためて浮き彫りになった」と指摘している。

 調査は、全国の民医連の加盟医療機関から報告を求める形で行われた。

 保険料の滞納などが理由で亡くなった33人は男性27人、女性6人。無保険は23人で、有効期間が短い「短期保険証」を発行されていた人が6人。いったん医療費全額を支払わなければならない「資格証明書」は4人。

 都道府県別では、石川、福岡、沖縄4人、北海道、神奈川3人など。

 一方、正規の保険証を持ちながら窓口で支払う自己負担金が支払えずに受診が遅れ死亡した10人は、東京4人、沖縄2人、埼玉、神奈川、長野、岐阜が1人ずつだった。

これをどう考えるべきかはなかなか解釈の余地がありそうなんですが、調査に引っかかってきていない部分が相当数あるとは思われるものの、それを込みで考えても幸い他の死因に比べても今のところかなり少数派なんだなということは言えるかと思います。
そうなると昨今は医療の世界も金勘定にもっとシビアにならなければならないと世間的圧力も厳しい時代ですから、単純にコストパフォーマンスという点で見れば他の部分にお金を使った方が国民健康状態の向上に寄与するという考えもありかも知れません。
しかし他方ではどんな貧乏人でも金持ちでも一票の価値は同じということからしても、政治とは常に社会的関心の大小に左右される性質を持っていますから、今の時代の政治家にとって極めて多くの国民に関わってくる社会保障政策というものは、今後ますます無視出来ない大きな存在になってくるのも当然でしょう。

日本では今まで右肩上がりの経済成長が続いて、一方で一億総中流なんて言われるくらいに比較的深刻な貧困問題も表沙汰になっていなかったという歴史的経緯がありますけれども、そうした前提条件がことごとく失われてきている今の時代ともなれば、世界中の国々と同じように低所得者医療というものも決して避けては通れない問題だと言うことを国民も理解しなければならないでしょうね。
海の向こうのアメリカでは自前の医療保険に加入している富裕層と、メディケア・メディケイドの対象となる貧困層との間で数千万人規模の無保険者層が存在していて、医療費負担が個人破産の最大要因になっているという現実がある、これを何とかしなければと国民皆保険制度導入を図っているのが今のオバマ政権ですけれども、これも様々な反対論が噴出していてなかなか難しい事になっている状況のようです。

アメリカと比べると日本の医療は恵まれているなんて言っていたものですが、実のところ気がつけば同様の問題が日本でも日々顕在化していて、健康保険証を保持出来る層と医療費全額公費負担の生活保護者層との間に、保険証を失ってしまったり医療費自己負担分を支払えないという低所得者層が次第に大きなマスを形成しつつあるわけです。
ただアメリカと違うのは「なんで他人の医療費まで俺が負担してやらないといけないんだ!」という声は少なくとも現時点の日本では大きくなってはいないという点で、皆保険制度が当たり前、医療は誰でも同じように受けられて当然という認識が未だ多数派であるとは言えると思いますね。
そうした国民世論も受けて、為政者の方ではアメリカなどよりはよほど動きやすい状況にはあるし、動かないではいられない状況にもあると言えるのでしょうが、最近立て続けにこの方面での報道が相次いでいます。

失業者の国保保険料、4月から軽減(2010年3月5日読売新聞)

 長妻厚生労働相は5日の閣議後の記者会見で、倒産や解雇などで職を失った人の国民健康保険(国保)の保険料を4月から軽減すると発表した。

 失業した状態でも保険料を払い続けられるようにするための措置で、厚労省は3月末までに国民健康保険法施行令を改正する予定だ。

 市町村が運営する国保は、被保険者の前年の所得を基にして保険料が決まる。軽減策は、その算定基準となる所得を3割に減額して、保険料が低くなるように設定する。

 例えば、妻と子ども1人を持つ中小企業勤務の男性(給与収入500万円)の場合、これまでは全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)に保険料を年23万4000円支払っていたのが、倒産や解雇で失業し、国保に移ることで年34万7000円になる。この場合、14万8000円に軽減される。

 長妻厚労相は、「多くの人の国保保険料が半分程度になる。それ以下になる人もいる」と語った。

 厚労省の推計では2010年度で、失業者とその家族で約87万人が対象になるという。

首相「医療費の窓口負担、軽減必要」(2010年3月19日日経新聞)

 鳩山由紀夫首相は18日の参院予算委員会で、低所得者らの医療費の窓口負担軽減が将来は必要との認識を示した。
 「海外と比較して数割高いとの思いもある。必ずしも今すぐではないが、窓口負担が高くて十分な医療が受けられず亡くなることが極力なくなる社会をめざすため、新たに検討していきたい」と述べた。
 共産党の山下芳生氏への答弁。

絶対的な負担額が高いか安いかという議論はまた別の機会に委ねるとしても、やはりワーキングプア問題というものがこれだけ身近なものとなっている現在、国民感情としてもちゃんとしっかり働いている低所得者が一番苦労するというのは釈然としないところでしょう。
以前にも紹介しましたように各自治体で保険料減免措置というものが用意されていますから、適応を受けられる方々は是非とも遠慮なく活用していただくのは当然なんですが、この生保をとらずに頑張って働いている低所得者層の医療費問題というものは、下手をすると医療制度のみならず国が破綻する大きな要因ともなりかねない恐れが多分にあると思いますね。

一方では少ない所得の中から健康保険の保険料を納め、窓口では医療費自己負担分も支払わなければ医療が受けられない労働者がいる、他方では生保になれば保険料免除、自己負担分も免除、入院中は一切支払いもないはずなのに保護費の支給は続くということで「そろそろ金がなくなってきたから入院させてくれ」なんて病院に貯蓄?にやってくる方々もいらっしゃる。
こんな「逆転現象」があるようでは真面目に汗水たらして働いている方が馬鹿馬鹿しい、俺も一つ生保でももらってみようかなんて気になる人間が増えてくるのも当たり前の話で、ただでさえ税収減に喘ぐ国としてはなんとしても働いて自前で稼いだ方がお得であるというインセンティブを、国民に対して示していかなければならないという道理です。

医療保険に限らず年金問題も似たような未収問題が近年ますます大きくなっていますけれども、一方ではこうした問題に対して間接税増税によって保険料徴収を税金化してしまうという方向性も考えられると思いますが、その場合でも低所得の労働者にとっては間接税の負担増のみならず引き続き直接税も負担しなければならないわけで、やはり間接税負担だけの生活保護層との不公平感は残るでしょうね。
このあたりと併せて課税最低額の引き上げという話も出てきておかしくないと思いますが、日本の課税最低額は国際的に見てもかなり低い水準(すなわち、貧乏人からも容赦なく取り立てている)ということになっていますから、これだけワープアが問題化している今の時代にあった程度まで引き上げということを考えていく必要もあるかと思います。
しかしこうして待ったなしとなりつつある貧困問題、「サラリーマンの給料が減ってる?今いくら?1000万くらい?」なんて名言?が残っているくらい低所得なんて言葉と縁遠い総理閣下がどれだけ適切な現状認識をお持ちであるのか、いささかの危惧無しとしないところがあるのですけれども(苦笑)。

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2010年3月18日 (木)

心の僻地 顧客にも顧客としてのマナーがあります

先日も取り上げました秋田県上小阿仁村国保診療所の医師辞任問題ですが、今回辞意を表明した有沢氏の前任者で、やはり熱意と情熱に燃えて同村に赴任しながらわずか一年で村を去ることになった松澤氏が、その離職を前にして村の広報誌にこんなことを書いています。

【診療所からのお知らせ】松澤先生のお話 村の診療所を守るために(平成20年9月号上小亜仁村広報誌)

 一度は書かなければならないと思っていたことを書いてみます。
 「診療所を守るために」としたのは、この診療所の存在があやうい状況になっているからです。その原因の第一は、医者がいなくなるということ。第二は、診療所の赤字が続くということです。

 第一点は、この村の執行部の人々の、医者に対する見方、接し方、処遇の仕方の中に医者の頑張る意欲を無くさせるものがあったということです。
 報じられたように、この私はすでに辞表を出し受理されています。「次の医者」を見つけることは相当に困難でしょうし、かりに見つかってもその人も同じような挫折をすることになりかねないものがあります。医者のご機嫌取りなど無用、ただ根本的に医者を大切に思わない限りこの村に医者が根を下ろすことはないでしょう。村の人も「患者は客だ」などとマスコミの言う風潮に乗っていてはいけません。そういう道の果ては無医村なのです
 最近も近在病院の院長・医者が辞めていきました。病院自体がもう危機的状況に陥っています。その医者たちは、私に言っていました、こんな田舎でも働きがいがあります、それは、皆の「ありがとう」という言葉と、にじむ「感謝の気持ち」です、と。
 そういう人たちを辞めるまで追い詰めたのはものは何か、人ごとでなくこの村の問題でもあるんだと考えてみて下さい。

 第二点は、この村の人たちの中には、村の診療所を横目に他市町村の医療機関にかかっている人が結構多いし、特に言いたいのは、村の職員たちもそうだと言う事です。村立の学校の教員が部活の生徒たちの健康診断にわざわざ引き連れて他の医院に行きます
 村執行部は、診療所の経営(赤字ではあります)のことで医者を督励しますが、ご自分も含めて足元の、村から給料をもらっている人たちが、はたして村の施設を維持するために進んで協力しているのかもきちんと考えてみる必要があるのではないでしょうか。
 勿論設備に乏しい診療所で高度なことができるわけではありません。しかし、医者は頭脳と経験こそ武器です。何かあればすぐに適切な病院へ紹介しお願いしているわけですから、定期的な特殊な検査を受けに行く時以外の普段の診察は診療所で、という姿勢が診療所を自分たちのものとして守ることになるのです。

いずれも極めてごもっともと言うしかないような内容ですが、むしろこうした指摘が同村のみにとどまらず、広く全国においてそのまま通用するような問題点を指摘しているのだということを痛感せざるを得ないところに「心の僻地」問題の難しさがあります。
とりわけ胸に突き刺さるのが「「患者は客だ」などとマスコミの言う風潮に乗っていてはいけません。そういう道の果ては無医村なのです」という指摘ですけれども、昨今とみに話題となることの多い医療現場での迷惑行為の数々を思う時、こうした心ない者たちの行動がどれほど医療現場の荒廃を招き、結局は大多数の善良な患者にとって非常な迷惑となっていることを考えないではいられません。
先日は人気漫画「Dr.コトー」のモデルとなったことで知られている鹿児島県は下甑(しもこしき)島手打診療所の瀬戸上医師が、島民からの要請に応じて再度の定年延長を決意したというニュースがありましたけれども、10kmほど走れば総合病院がある上小亜仁村よりはるかに僻地然とした離島にあっても医者は居着くものなのだと言う現実を前に、同村住民が何をどう感じるかですよね。

医療に限らず昨今モンスターとも呼ばれる一部顧客マナーの悪化が各方面で話題になっていますけれども、一面においてはまさに松澤氏の言うとおり「マスコミの言う風潮に乗」せられているという側面も大きいのではないかという疑問は、現場の当事者であれば誰しも感じているところではないでしょうか。
消費者が一番偉いのだという風潮は戦後民主主義の進展とともにすっかり世に定着してきた感がありますけれども、「ノーブレス・オブリージュ(高貴なる義務)」という言葉の存在が指し示しているように、地位が高まるほどに要求されるものもあるわけで、この場合それは顧客マナーという言葉に置き換えてもいいんじゃないかと思います。
実は「お客さまは神様です」という有名な言葉によって現在の顧客マナー崩壊の遠因となったとも目されている(失礼)歌手の三波春夫氏本人こそ、こうした世間での思いがけない受け取られ方に驚いていたということで、三波氏のオフィシャルサイトにはわざわざこんな一文が掲載されているほどに世間では誤用されてしまっているのは不幸なことだと思いますね。

「お客さまは神様です」について(三波春夫オフィシャルサイト)より抜粋

 三波春夫といえば『お客様は神様です』というフレーズがすぐに思い浮かぶ方が少なくないようです。印象強くご記憶頂いていることを有り難く存じます。
 ですが、このフレーズについては、三波本人の真意とは違う意味に捉えられたり使われたりしていることが多くございますので、ここにちょっとお話し申し上げます。

  三波春夫にとっての「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのことです。客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者、という形の中から生まれたフレーズです。三波が言う「お客様」は、商店や飲食店などのお客様のことではないのです。
 しかし、このフレーズが真意と離れて使われる時には、例えば買い物客が「お金を払う客なんだからもっと丁寧にしなさいよ。お客様は神様でしょ?」と、いう感じ。店員さんは「お客様は神様です、って言うからって、お客は何をしたって良いっていうんですか?」という具合。
 俗に言う“クレーマー”の恰好の言いわけ、言い分になってしまっているようです。元の意味とかけ離れた使われ方ですから私が言う段ではありませんけれど、大体クレーマーたるや、「お客様」と「様」を付けて呼んで貰えるような人たちではないと思います。サービスする側を 見下すような人たちには、様は付かないでしょう。
 三波春夫の舞台を観るために客席に座る方々の姿は、『三波の歌を楽しもう、ショウを観てリフレッシュしよう』と、きちんと聴いてくださった「お客様」だったのです。

 このフレーズへの誤解は三波春夫の生前から有り、本人も私共スタッフも歓迎出来た話ではないと思っておりましたが、静観しておりました。本当に意味するところについては、本人がインタビュー取材の折に聞かれることが多かったので、本人がその度にお伝えしておりましたが、それは次のような内容でした。

 「歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って、心をまっさらにしなければ完璧な藝をお見せすることはできないのです。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです
(略)

~なぜ神様なのか~ 三波春夫著『歌藝の天地』(1984年初刊2001年文庫化いずれもPHP研究所)より
 
「お客様は神様です」の発端

 お客様は神様です」という言葉が流行ったのには、びっくりした。よく、この言葉の真意はどこにあるのかと聞かれるが、私も、その答えに困ることがある。テレビなどで、短い時間で喋るには、うまく説明が付かない。
(略)
 しかし、振り返って思うのは、人間尊重の心が薄れたこと、そうした背景があったからこそ、この言葉が流行ったのではないだろうか?

 私が舞台に立つとき、敬虔な心で神に手を合わせたときと同様に、心を昇華しなければ真実の藝は出来ない―――と私は思っている。つまり、私がただ単に歌を唄うだけの歌手だったらならば、きっとこんな言葉は生まれなかったと思うのです。浪花節という語り物の世界を経てきたからではないだろうか。

 つまり、浪花節の台詞の部分は「瞬時のうちに一人で何人もの登場人物を的確に表現」しなくてはならない。そうしなければ、決してドラマは語れないのである。

 われわれはいかに大衆の心を掴む努力をしなければいけないか、そしてお客様をいかに喜ばせなければいけないかを考えていなくてはなりません。お金を払い、楽しみを求めて、ご入場なさるお客様に、その代償を持ち帰っていただかなければならない。

 お客様は、その意味で、絶対者の集まりなのです。天と地との間に、絶対者と呼べるもの、それは「神」であると私は教えられている。

こういう感覚が通用しなくなってきた今の時代であるからこそなかなかに含蓄のある言葉だと思いますけれども、神は神でも和魂ならともかく荒魂ばかりということになれば、神ならぬ人間世界は大騒ぎになって当然ですよね。
モンスターというと何かしら外来で暴れまわるような姿を想像するかも知れませんが、すでに需給バランスが崩壊して殺気立っている医療現場ではわずかなわがままの積み重ねこそが最大の業務阻害要因になっているわけですから、その意味では無自覚なその他大勢の一般顧客こそが医療を破壊し得るのだと言うことは、まさに冒頭の松澤氏の言葉にも現れているところですよね。
興味深いのはこの状況の成立に非常に重要な役割を果たして来たと言われる(笑)マスコミ諸社が、今やニュースバリューありと察知してか盛んにこうした事例を面白おかしく取り上げていることですけれども、こういうのを世間ではマッチポンプとか言うのではないかとも思うのですが(苦笑)。

迷惑行為は年間約千件 岡山市民病院(2010年3月3日山陽新聞)

 岡山市立市民病院(同市北区天瀬)が救急患者の迷惑行為について1年間調査したところ、医師への暴言や、急を要しない症状で時間外に来院する“コンビニ受診”などの問題行為が延べ約1000件に上ったことが2日、分かった。同病院は医師が治療に専念できるよう保安員の増員などでトラブル抑制を図る

 調査は2007年9月〜08年8月に行い、救急車で搬送された患者と、土・日曜や祝日、平日午後5時〜翌午前8時半の時間外に訪れた患者への対応をもとに集計。迷惑行為は延べ1042件に上った。

 このうち迷惑度合いが高い“モンスターペイシェント”らへの対応は452件。具体的には飲酒しての暴言行為133件、飲酒なしでの暴言行為73件、治療が終わっても居座る127件、クレーマー91件、警察を呼んだ暴言暴力28件―となった。

 このほか、待ち時間が短い夜間を狙って受診するなど「救急の適応外」が210件、薬の受け取りやガーゼ交換など「コンビニ受診」が192件など急を要しない患者も目立った。また、救急車をタクシー代わりに利用した例も86件あった。

救急 5%は治療不要(2010年3月4日読売新聞)

昨年4~12月 軽症患者も過半数

 救急車の適正利用を市民に考えてもらおうと、姫路市消防局が昨年4~12月、救急搬送した患者の症状を調べたところ、約5%が治療不要なケースでの救急要請だったことがわかった。入院の不要な軽症患者の要請も過半数。同消防局は両方のデータについて「予想以上」としており「119番する前にもう一度、自力で病院に行けないか考えて」と呼びかけている。

 同消防局は昨年4月以降、搬送先の医師が記録する「軽症」の記入欄を「通院1週間以上」「同1週間未満」「医療処置が必要」「同不要」と4分割し、救急要請の詳細なデータを集めた。

 その結果、搬送された1万5587人のうち4・8%に当たる748人が、過呼吸や飲酒による気分不良などで、医療措置を必要としなかった

 中には「針が指に刺さった」「パーマ液のにおいで気分が悪い」との通報もあったという。

 同消防局は119番があれば必ず現場へ行くシステムで、同消防局の09年の救急出動件数は増加傾向にあり、10年前と比べると1・6倍。軽症患者の割合も昨年4~12月は52・0%で、08年の50・5%から1・5ポイントアップしている。

 同消防局消防課の浅見正・主幹は「救急と判断すれば呼んでもらって構わないが、過呼吸のように対処法があるのに慌ててしまうケースもある。判断に迷うときは家族や親類らに相談し、できるだけ冷静に対応してほしい」と話している。

ところで近頃では「モンスターペイシェント」「モンスターペアレント」などと言われるくらいに、医療業界と教育業界とはアレな顧客が押しかける双璧とも目されていますけれども、実はこの両者にはかなり明確な共通点があるのですね。
共に昔から先生と呼ばれ暗黙のうちにある程度の社会的権威を認められてきた職業であったわけですが、逆に言えば他業種では当たり前に日常接してきて慣れているはずの顧客対応というものに関して何らのノウハウも身についていなかった、そうすると近年その権威が崩壊してみて初めてスタッフを保護するための対策やノウハウが全く存在していなかったことが明らかになってきているわけです。
例えばクレーマーなどと呼ばれる顧客に対して、まともな会社であれば久しく以前から現場で個々のスタッフが行き当りばったりに対応してはならない、きちんと専属の担当者に回しなさいということになっているわけですけれども、医療業界にも教育業界にも未だにまともなクレーマー担当者が存在していない、むしろそんなものの存在自体知りもしないし考えたこともないという場合がほとんどでしょう。
街の治安が悪化していつどんな事件が起こるかも判らない状態になっているのに、警察にパトロールの強化を以来するでもなければ街灯を増やしたりするでもない、ただ襲われた時は当事者が適当に対応せよではますます被害者も増えるだろうし、何より過剰防衛で逆に相手を刺し殺してしまったなんて事件すら起こりかねないのは道理であって、結局関係者双方にとって不幸な結果にしかならないということです。

最近ではようやく医療機関の側でも講習会開催などでこの方面の理解が進み、より実効性のある対策が取られるところも出てきたようですけれども、注意すべきはモンスター対策というものは別に患者を追い出すために行われるものではなく、むしろ逆に今後もずっと患者を受け入れ地域医療を続けていく為にこそ必要なのだと言う視点です。
双方がこの視点を理解していないと「あの病院は患者を拒否している!」なんて見当違いのクレームをつけてくる住民も後を絶たないでしょうし、「医療は万人に別け隔てなく提供されなければならない!」なんて見当違いなことを言い出して全ての顧客対策を拒否するトンデモ病院幹部が上に居座り続けるなんて話にもなりかねないわけですね。

モンスター患者は劇で撃退 福岡の病院、一丸で対応(2010年3月5日朝日新聞)

 病院スタッフに暴力を加えたり、理不尽な要求をしたりする、いわゆる「モンスターペイシェント(患者)」への対応を考えるお芝居が4日、福岡市南区の福岡赤十字病院で上演された。病院から依頼を受けた福岡県太宰府市の「劇団道化」が実話に基づいて作った創作劇。深刻な院内暴力に、病院全体で取り組もうというメッセージを込めた取り組みだ。

 病院4階の大会議室が即席の舞台。観客は同病院の看護師や医師ら約170人。病院の受付を模したセットに、金髪の派手な女性が登場してわめきちらす。

 「うっ、胃が…胃が痛い。ソセゴンを打って下さい」

 付き添いのチンピラ風の男性がすごむ。「おう、ソセゴンば打っちゃれ」

 ソセゴンは痛み止めの薬で、使いすぎると中毒になる。2人は薬ほしさに病気を装い、夜間の人が少ない時間帯を狙ったように現れる

 さらに酔っぱらいが登場。搬送される急患に携帯電話を向けて写真を撮り、その急患は看護師の手が触れただけで「この病院は患者に暴力を振るうばい」と大騒ぎ――。

 昨年9月に依頼を受けた劇団道化では、看護師や医師、事務職員に話を聞いた。実情は悲惨なものだったという。 薬物依存者で、求める薬を「打つまで帰らん」と座り込む。看護師の名札をにらんで「名前覚えとくけん」とすごむ。急患優先で診察を後回しにされ、「ふざけるな」とイスをけり上げる。病院食がまずいと訴え、日本刀を振り回した患者もいたという。台本作りと演出を担当した篠崎省吾さん(51)は「本当に困っているとよくわかった」と話す。

 同病院によると、患者やその家族らによる院内暴力や理不尽な要求は年間30~40件に上る。今年度、院内暴力への取り組みを強化し、対応マニュアルを作成して各部署に配った。昨年暮れには「Vコール」を作った。Vはバイオレンス(暴力)の頭文字で、暴力事案が発生すると館内放送で「Vコール、○○までお集まり下さい」と招集をかけ、多数で対応する仕組みだ。

 医療安全推進室長の河野博之・心臓血管外科部長(57)は「モンスター患者にはみんなで対応するのが大事。看護師らを守って、病院の機能を維持することも医療の安全の一環」と話す。

 劇の結末では、医師と看護師らが力を合わせ、問題を起こしている「患者」を追い返し、「おれたちはチームだ」とガッツポーズを決めた。見終わった看護師や医師は「何度も怖い思いをした。みんなで暴力に立ち向かいたい」「医療に専念できる体制作りが大切」などと言い合った。(井上恵一朗)

患者とのトラブル対策 診察室に110番装置 (2010年3月15日神戸新聞)

 医師や看護師に暴言を吐いたり、暴力を振るったりする患者への対策として、神戸市立医療センター西市民病院(神戸市長田区)は兵庫県警と連携し、ボタンを押せば県警通信指令室につながる緊急通報装置を診察室などに今月中にも導入する。「モンスターペイシェント」と呼ばれる悪質な患者や家族に対する防衛策の一環で、警備が手薄となる夜間のトラブルに備えて警察OBも新たに採用する。

 県警によると、同装置は、不審者の侵入が相次いだ学校への設置が進むが、医療現場への導入は異例という。

 装置は救急外来診察室や受付窓口に置き、危険を感じた医師らがボタンを押せば自動で110番される。県警は通信指令室の専用画面の表示からパトカー出動を手配し、病院と通話して詳細を聞くこともできる。

 病院へのクレームや暴力は、全国的な問題となっている。民間病院中心の「全日本病院協会」が2007年12月~08年1月に行った調査では、全国約1100病院の52%が過去1年間に「患者や家族から暴力を受けたり、暴言を浴びせられたりした」と回答。発生事例は6882件に上った。

 同病院でも、検査を受けた患者の付き添い家族が順番を待たずに「すぐに説明せんかい」と怒鳴ったり、治療方法に文句をつけたりするトラブルが後を絶たないという。

 さらに、昨年9月には、包丁を持って同病院に入ってきた患者の男を逮捕。2009年度、同病院で警察が介入した事案は約10件、医師らへの公務執行妨害や器物損壊容疑などでの逮捕が4件あった。

 装置設置とともに、警察OB2人が24時間救急実施日(毎週金・土曜)には宿直警備にあたる。

 同病院は「患者や家族の心情に配慮し、通報を控えることもあった。だが事態は深刻で、医師らの安全確保が急務になっている」と話している。

一部では未だに「お客さまは神様です」を誤用して「患者様の声には誠心誠意対応せよ!クレーマー扱いなどもっての外だ!」なんてわざわざ院長命令が下っているような施設が、とりわけ医者がどんどん逃げ出しているような地方公立病院で多いとか多くないとか言った噂も漏れ聞こえてきますけれども、幸いにもそうした施設は今後厚労省の方針もあって(笑)次第に淘汰されていくことになるでしょう。
顧客に対してはもちろん誠意をもって対応する、しかし間違った要求に対してはこれを正していくことこそ、病院を存続させ健全な地域医療を守るために必要なことなのだという認識を医療側はもちろん、多くの良識ある顧客たる地域住民も共有していかなければならないし、それは別に医者を甘やかせるとか言った話とは全く別次元のことですよね。
地域医療の存続にとって一番悪いのは医療側と患者側が不毛な対立的関係に陥ってしまって、最終的に医者も病院も消えてなくなるという構図だという認識を住民もスタッフも理解しなければならないでしょうが、その意味ではモンスター対策は施設内だけで完結してしまうものではなく、むしろ地域住民も巻き込んで行っていくことこそ必然であるという考え方も出来るかと思います。

しかし何やらこの問題、「医療事故は絶対許さない!」なんて叫び続けた結果「No doctor, no error.」が達成されてしまった、なんて話と似たような構図が見え隠れしているように思えるのは、やはりそれらが世相と言うものを反映しているということなのでしょうか。
このくらいは常識的に理解してもらえるだろうというその常識自体が揺らいでいる時代にあっては、まともな社会サービスを受けたいまともな人間ほど自ら率先して「自分はこういう常識を持っています」ということをアピールしていかなければならないということに、なってきているということなのでしょうかね。

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2010年3月17日 (水)

反捕鯨 その背後に見え隠れするもの

先日は不法侵入したテロリストが逮捕されたという話を紹介しましたが、今回は日本政府も珍しくやる気になっているようです。
何にしろ様々なハードルはあるものの、今回に関しては当の本人も犯罪行為を犯したこと自体は認めているわけですから、事実関係の争点はずいぶんと絞られていそうな気配ですよね。

農相「今までの対応がシー・シェパードを増長」(2010年3月13日読売新聞)

「厳しい処分を受けてもらう。今までの対応がシー・シェパードを増長させてきた」。シー・シェパードのメンバー、ピーター・ベスーン容疑者(44)の逮捕について赤松農相は12日、記者会見で語った。

「船に侵入されたら逮捕」との方針は、関係省庁では事前に合意されていた。2008年、調査捕鯨船に乗り込んだシー・シェパードの活動家2人の身柄を拘束しながら豪政府に引き渡し、世論の批判を浴びたためだ。

 今回、日本政府は強気の対応に出ている。シー・シェパードの出撃拠点となっている豪政府にも、現地での取り締まりを要請。豪連邦警察は今月6日、抗議船2隻の捜索を実施した。

 ただ、公海上で活動中の抗議船に対しては、船籍国にしか監督権限がない。日本政府が船籍国に取り締まりを要請しても「南極海まで出向いてもらうのは無理」(外務省幹部)だ。

 強盗などの海賊活動であれば、国連海洋法条約と海賊対処法に基づき摘発することも可能だが、外務省は「シー・シェパードのような妨害活動は『海賊』にはあたらない」との見解だ。

 取り締まりに様々な国際法上のハードルがあるだけに、農水省では「今回のように本人も犯罪行為を認めているケースこそ、日本の姿勢を示す好機」とみる。

 ただ、「日本で法廷闘争となるのは、注目を集めるのが目的の彼らの思うつぼ」(水産庁幹部)との不安もくすぶり続けており、関係省庁ではこれまでの彼らの主張や広報体制などを研究し、対抗する予定だ。

法の下の平等といった話を持ち出すまでもなく、テロリストの不法行為を放置した結果国民に被害者が出るような状況に至っていることを思えば、同じ失敗を繰り返すことの愚は明らかなように思いますけれどもね。
近頃では捕鯨問題が一般マスコミにもようやく取り上げられるようになり、それだけ国民の関心も高まってきていることを反映しているということなのでしょうか、こころみにそうした一般マスコミの論調の中から以下の二つを参照してみましょう。

シー・シェパード船長を逮捕 宮根「カンガルーはどうなんだ」(2010年3月12日J-CASTテレビウォッチ)

  <昼ワイドウォッチ>2010年3月12日、米国の反捕鯨団体シー・シェパードの抗議船船長が逮捕された。日本艦船へ無断で侵入した疑いで、海上保安庁が東京・晴海ふ頭に着岸した船上で執行した。12日の「情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)もこの模様を伝えた。

   逮捕されたのは、ニュージーランド人のピーター・ベスーン容疑者(44)。番組は、逮捕前のふ頭周辺の映像を流す。シー・シェパードへの抗議集会を開いている人たちもおり、「船長を人民裁判にかけるぞ!」などと声を荒げていた。

   スタジオでは、嵩原安三郎弁護士が解説した。逮捕容疑の艦船侵入容疑だけでなく、威力業務妨害や傷害の疑いなどにも今後問われる可能性がある、と見通しを述べた。抗議船と日本船の衝突に関して日本側へ3億円を要求したことについても、「恐喝容疑もあり得る」と指摘した。

   司会の宮根誠司は、「カンガルーはどうなんだ」と問題提起した。岩田公雄(読売テレビ特別解説委員)は、シー・シェパード抗議船の寄港地で、反捕鯨の立場を鮮明にしているオーストラリアでは、多数のカンガルーが駆除され食用にもされていると説明。その上で、「相手を認める姿勢」の大切さを訴えた。宮根は、「シー・シェパードは資金が豊富だ」として、「すごい弁護団を連れてくるかも」と裁判の行方を心配していた。

   艦船侵入罪の刑は、「懲役3年以下または罰金10万円以下」だ。まだ起訴もされていない段階ではあるが、どういう判決がくだるのか、判決はシー・シェパードの今後の抗議活動にどういう影響を与えるのか、気になるところだ。

クジラ摩擦―食文化の対立にするな(2010年3月14日朝日新聞)

 売られたケンカは買うべきか。

 しかし、買えば挑発に乗ることになる。シー・シェパード(SS)はまったく困った連中である。

 海上保安庁が、オーストラリアを拠点に日本の調査捕鯨活動の妨害を繰り返してきたこの反捕鯨団体の活動家を逮捕した。南極海で活動中の日本の船に乗り込んだ艦船侵入容疑である。

法的にきちんと対応することは当然だ。しかし、この活動家が多くの国で「英雄」としてもてはやされ、日本に照準を合わせた反捕鯨世論をあおる材料にされてはたまらない。

捕鯨問題は海洋資源の活用と保護を目標に、科学的な論拠に基づいて論じられなければならない。文化や価値観が対立点になれば議論は迷走する。

 豪州や欧米の国々の食事は肉食中心だが、多くの人々がクジラは保護、救済の対象と考えている。SSを含め、反捕鯨の主張の中には、クジラは高い知性を持つ動物だから殺すのは残酷だ、といった価値観に根ざした部分も小さくない。

 だが、そもそも日本人はたいして鯨肉を食べていない。鯨と関係の深い食文化を持つ地方は別だが、各種の調査によると国民の平均的な消費量は、牛肉や豚肉、鶏肉の100分の1以下の水準だ。たいていの人は年に一度とか数年に一度味わうだけだろう。

海外では日本人が日常的に鯨肉を食べているかのような印象が広がって、日本への非難の原因にもなっている。誤解である。SSなどの活動がメディアで繰り返し報じられ、日本と鯨肉のつながりを実際以上に印象づけることになったのだろう。

 ただ一方で、日本側にも鯨肉を日本の食文化のシンボルだと主張し、ナショナリズムの舞台に上げようとする動きがある。どんな問題も文化の衝突に持ち込むと解決はきわめて難しくなる。捕鯨を環境保護の問題ととらえる欧米の視点への理解も必要だ。

 ほかの動物の肉を食べる人たちが鯨食を残酷と非難し、実際にはあまり食べていない日本人が鯨食を日本の食文化だと言いつのる。それは奇妙な光景である。文化摩擦というふくらし粉で問題が異常に大きくなっている。

 SSの活動に感情的に反応するより、冷静に解決策を模索すべきだ。

 豪州のラッド首相は、日本が11月までに調査捕鯨をやめなければ国際司法裁判所へ提訴する考えを表明した。反捕鯨の世論は、近づく総選挙を前に政治が軽視できないほど高まっている。

 捕鯨問題は、国際捕鯨委員会で粘り強い合意作りへの努力を重ねることがなにより大事だ。

 日本側も食文化の議論にはまれば解決の出口を失う。問題を解決することと留飲を下げることは、しばしば別のことである。

ふだんは少数派の意見をことさらに大きく取り上げて見せる朝日新聞らしからぬ論調だなと驚くところですけれども、とりあえず日常的に鯨食を行っている極めて例外的な(笑)人間の一人として、今回の事例は喧嘩でも何でもなく単に犯罪者の処罰問題に過ぎず、そこに感情や文化論の入り込む余地はないことは指摘させていただきましょうか。
いずれにしても関係諸国の世論や文化的背景の違いなどなどと言った話はことごとく的外れとは言わないまでも本質からは遠い議論で、何よりもまず実行主体である環境テロリストにとって、反捕鯨テロがもっとも手軽に儲けを出すことが出来る効率のよい商売であるという本質を見誤っていては話が迷走するばかりだと思いますね。
某氏の表現を拝借するならば、たとえ太平洋が全て鯨で埋めつくされようがそれが金儲けになる限り彼らは反捕鯨を主張する、少なくとも実行犯であるテロリストにとってはそこに文化論だの感情的反応だのの入る余地はなく、全ては冷静な頭脳による合理的判断のもとに行われているのだということをまず認識しなければならないでしょう。

その点から考えると、結局はテロをやっても儲けにならないようにいかに周囲の状況を整えていくべきかという話になってくるわけですが、例えば無船籍ということは世界の海を荒らしまわる上でも非常に不便なわけですから、テロリストの船籍国に対して犯罪者の船籍登録を認めないように要請していくというのも地味ながら重要な作業だと思います。
オーストラリアやオランダと言えば反捕鯨を主張する国々の中でも最右翼ですが、その彼らにしても軍艦を出して捕鯨船を拿捕、撃沈するには至っていないことを考えればどこかに妥協の余地はある道理で、それをどれだけ有利なところに持ってこれるかといったあたりが政治の領域になるのだと思いますね。

シー・シェパード船、オランダに船籍登録申請(2010年3月15日読売新聞)

 【シンガポール=岡崎哲】オランダ政府筋は14日、本紙に対し、今は無国籍の米反捕鯨団体シー・シェパードの抗議船ボブ・バーカー号がオランダで船籍の登録申請を行ったことを明らかにした。

 登録は認められる公算が大きいという。

 日本の捕鯨船団に対し、スクリューへのロープ投げ入れなど妨害行為を繰り返したバーカー号は、日本政府の要請に基づいてアフリカ・トーゴが2月に船籍を剥奪(はくだつ)して無国籍となってから、豪南部ホバートに停泊して外洋での活動を自粛している。日本政府はオランダが船籍を認めれば、「シー・シェパードの暴力的な妨害活動を再び容認することになりかねない」(外務省幹部)と懸念を強めている。日本政府は世界190か国の政府に、シー・シェパードからの新たな船籍申請に応じないよう外交ルートで要請している。オランダ政府に対しては、15日にも改めて申請を容認しないよう申し入れる方針だ。

一方では前回にも紹介しましたようにテロリストは「我々こそ正義」という宣伝活動を盛んに行なっていますけれども、当然ながら世界にはこうしたテロリストの言い分だけしか報道しない国々、メディアというものも多数存在しているという現実があります。
当事者であるテロリストがスポンサー集めの宣伝活動をして回るのはそれが商売である以上当然ですけれども、テロ支援団体もこうした活動を受けて盛んに反応しているという状況にあるわけですから、彼らに一方的に言いたい放題にさせておくのもどうかという話ですよね。

「シー・シェパード」船長逮捕 ワトソン代表「彼がヒーローであることは事実」(2010年3月12日FNN)

南極海で2月、日本の調査捕鯨船に侵入したとして、反捕鯨団体「シー・シェパード」の船長が、海上保安庁に逮捕された。船長が逮捕されても、シー・シェパード側はあくまで強気の姿勢を見せている。事件の裏にあるシー・シェパード側の本音を木村太郎キャスターが直撃した。

12日午前11時16分、艦船侵入の疑いで海上保安庁に逮捕されたのは、反捕鯨団体「シー・シェパード」のピーター・ベスーン容疑者 (44)。
日本の調査捕鯨船に過激な抗議活動を行ってきた「シー・シェパード」。
ベスーン容疑者は2010年1月、第2昭南丸に衝突し、その後、沈没した「アディ・ギル」号の船長。
2月には、第2昭南丸に不法侵入し、3億円の損害賠償を請求、日本側に身柄を拘束されていた。
ベスーン容疑者は2009年11月、「日本がやっていることに対して、許せないレベルまで来ている」と話していた。
今回の逮捕を受け、シー・シェパードのワトソン代表を木村太郎キャスターが直撃した。

木村キャスター「逮捕された男を『ヒーロー』と呼んでいるが、犯罪者がどうやって『ヒーロー』になれる?」
ワトソン代表「日本では、変なものの見方をするんだね。でも彼がオーストラリアなどでヒーローであることは事実だ。国際的にもね」
木村キャスター「でも、彼は船に不法侵入して日本の法律を破った。2つ目に、彼は薬品の入った瓶を投げて、日本の船員をけがさせたと認めているじゃないか」
ワトソン代表「いいや、そんなことはしてない
木村キャスター「いいえ、している。している」
ワトソン代表「いいえ、してない。日本人は唐辛子スプレーで自らけがを負った
木村キャスター「ここ(日本)に来る予定は?」
ワトソン代表「知らないよ。なんでわたしが日本に行かないといけないのか
木村キャスター「そんなに言いたいことがたくさんあるなら、こっちに来て言えばいいじゃないか」
ワトソン代表「別に日本人に話すことは興味ない。わたしは日本人がわたしたちを支持しようがしまいが関係ない」

実は日本側は 2008年、メンバー2人が船に侵入した際は、罪に問わず解放している。
なぜ、今回は逮捕に踏み切ったのか。
赤松農水相は「僕らはかつて、野党の時代に『こんな生ぬるいことでいいのか』と。『シー・シェパードを増長させるだけじゃないか』と言ってきた」と述べた。
今回の逮捕について、東海大学海洋学部の山田吉彦教授は「彼らは裁判をして、より問題が国際的に訴えかけられるような態勢をとりたい。裁判で自分たちの主張をしたい。それが狙いです」と語った。
海上保安庁は、14日にベスーン容疑者を東京地検に送検する方針で、今後、酪酸入りの瓶を投げ入れ、船員にけがをさせた傷害容疑でも捜査を進める方針

今回のテロリストの不法侵入自体もあらかじめ撮影の準備を整えた上での行為であったと言う話ですから、これも彼らの言う英雄的スポンサー集め行為の一環であることは明白ですけれども、犯罪行為を超法規的措置(笑)によって無罪放免などと言うことにするようなら誤ったメッセージを発信することになるのも当然ですよね。
一方で彼らに対する反論ということに関しては日本政府の言うことなど誰も聞いていないのは仕方がないとして(苦笑)、最近ではちゃんと各方面から反撃のための素材が提供されるようになってきているわけですから、凡百の民間人としてもせっかくですからこういうものをきっちりと活用していきたいところです。
テキサス親父から五つ星を獲得したという「Anti-whaling advocates and Whaling agreement advocates」など見ていてなかなか頑張っているなと思いますけれども、まずはネット上で捕鯨問題を検索すればちゃんと正しい情報が出てくるという環境を整えていくということは、地味なように見えて非常に有効なことなのではないかと思いますね。

【参考】テキサス親父新作!「シーシェパード 今度は違法なミサイル攻撃」(字幕あり)

【参考】Sea Shepherd, Australia & Osama シーシェパードと豪州へ、オサマから愛

【参考】すすめシェアード団!公式サイト

【参考】 [Anime]Anti-whaling advocates and Whaling agreement advocates[Comedy]

さて、こうしたいわば草の根的運動に対して桁違いに大きな金が動くメジャーな活動というものもあるわけですが、とりわけ先ごろのアカデミー賞などにも見られるように、メディア関係というものは世間的な注目という点でも集金力という点でも無視することは出来ない勢力ですよね。
最近ではこの方面でも背後を探ってみれば反捕鯨勢力が関わっていたという事例が珍しくないですけれども、実際に他国で隠し撮りをするのみならず鯨食店を告発して回っているというくらいに熱心な活動を繰り広げているくらいですから、こちらに対しても早急な手当をしていかなければならないのは言うまでもありません。
特に一般人として注意しておかなければならないのは、知らない間に思いがけない行為の片棒を担がされていた、なんて話になりかねないことでしょうか。

「隠し撮り」アカデミー賞映画ベースに 「反イルカ漁」テレビ番組も決定?(2010年3月9日J-CASTニュース)

動物関連の番組「アニマル・プラネット」で放映

   AP通信も3月8日、「イルカ漁の町は、オスカー受賞作を軽くあしらっている」題して、太地町発の記事を配信。

    「多くの太地町住民は、もはや外国からの(顔や名前を出しての)『オンレコ』の取材に応じることはない。ここ数年、一方的な見方で記事を書かれたり、文脈から外れた形で、残酷な写真が掲載されていると感じているからだ」

と、地域住民が海外メディアによる取材に辟易としている様子を率直に報じている。

   だが、「騒ぎがこのまま終息する」ということでもなさそうだ。この映画をベースにしたテレビ番組の放送が決まったというのだ。

   米ロサンゼルス・タイムズが同日、「特ダネ」(Exclusive)として報じたところによると、「ザ・コーブ」をベースにし、日本でのイルカの取引について取り上げたテレビシリーズ「イルカ戦士」(Dolphin Warriors、仮題)の放送が決まったのだという。制作は、前出のリック・オバリー氏の息子、リンカーン・オバリー氏が担当し、すでに2話分は完成しているという。動物関連の番組を放送するチャンネル「アニマル・プラネット」で放送され、同局の社長はLAタイムズに対して、「作品のメッセージは、局にとって最適」などと歓迎している。同局では、米国内向けに「ザ・コーブ」を10年夏に放送する予定で、「イルカ戦士」は秋にも放送の予定だという。

概ね怪しい宗教などもそうですが、こういった手合いは最初は誰しも否定出来ないような話から入って取り入ろうとするものですけれども、「自然を守るために頑張っています!ご協力をお願いします!」なんて言われて募金をしてみたらどこかで誰かにロケット弾を撃ち込む資金にされていた、なんてことになったとしたら善意のつもりでいた人にとってもずいぶんと不本意ですよね。
最近では一部団体がタレントなどを活用して児童ポルノ粉砕!なんて盛んに気炎を上げていますけれども、背後関係を探ってみればずいぶんと面白そうな話が幾らでも出てくるといった塩梅で、結局全部金絡みかと人間不信に陥ってしまいそうな時代ではありますが、そうであるからこそマスコミを鵜呑みにせずにまず自分で事実関係を調べ、確かめていくという姿勢が生活全般にわたって必要になってくるのでしょう。
不特定多数が集まるネットなどではどんな議論でも見ていけば必ず賛否両論併記という形になってくるのがごく当たり前になっていて、しかもそれぞれにソース原理主義なんて言って根拠と検証が要求される時代ですから、きちんと判断するだけの材料はちゃんと身近に存在していますし、一昔前の主婦が魚の目利きをしていたのと同様にその程度の労力は払うのが現代人にとって当たり前になってきているのかも知れません。

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2010年3月16日 (火)

大淀判決確定 その時日医は

先日原告側請求の全面棄却の判決が出た大淀事件民事訴訟ですが、原告側が控訴しないことを決定したそうです。
本件に関する一連の騒動がひとまずこれで決着したという形になりましたが、改めて亡くなられた高崎美香さんのご冥福をお祈りします。

奈良の妊婦死亡:遺族が控訴断念(2010年3月15日毎日新聞)

 奈良県大淀町立大淀病院で06年8月、同県五條市の高崎実香さん(当時32歳)が分娩(ぶんべん)中に意識不明となり、19病院に受け入れを断られた末に死亡した問題を巡る訴訟で、遺族側は15日、町と産科医に求めた賠償請求を棄却した今月1日の大阪地裁判決について、控訴しないことを決めた

 大阪地裁判決などによると、分娩のため大淀病院に入院していた実香さんは、06年8月8日午前0時ごろ頭痛を訴え、間もなく意識不明となった。19病院に受け入れを断られ、午前5時47分、約60キロ離れた国立循環器病センター(大阪府吹田市)へ搬送。実香さんは長男奏太ちゃん(3)を出産したが、同月16日に死亡した。判決は「救命の可能性は極めて低かった」などとして、遺族側の請求を退けた。

しかし、この記事を掲載するに至った毎日新聞担当記者の心中如何ばかりかと、思いを馳せずにはいられないところではありますね。
さて、本件なども大きな契機の一つとなって、近年医療事故調など第三者機関設立を求める声が高まっているのは周知の通りです。
厚労省主導で進められてきた事故調議論は、かねて自党案を完全スルーされてきた民主党が政権与党となって以来すっかり振り出しに戻った感もありますが、いずれにしても当事者のほとんどが総論としての第三者機関設立には反対していないということにはなっているようです。
こうした総論賛成、各論反対という状況の中で、昨今すっかり存在感が希薄になっているとも噂される日医が先日突然こんなことを言い出したというのは、これは何やら背景の意図について色々と想像できる話ではありますよね。

医療事故、自律的処分システムを 日本医師会検討委(2010年3月10日47ニュース)

 医療事故への対応について協議してきた日本医師会(日医)の検討委員会は10日、原因究明と再発防止に向け医療の専門家を中心とした第三者機関を設置し、事故を招いた医師に対する行政処分を自律的に行う新たな仕組みを構築すべきだとする答申を公表した。

 現行では医師の行政処分は、医道審議会の答申を受け厚生労働省が決定しているが、答申は「医療の専門家の立場から医道審に対して、医師の再生のために勧告するシステムが必要」と指摘。

 医業に携わることが不適格と判断した悪質な医師に対しては免許取り消しなどの厳しい対応を取る一方、それ以外のケースでは事故を教訓とした上で現場に復帰できるよう援助する仕組みを想定している。

 検討会は、医療関係者や弁護士、法学者らで構成。医療事故調査の手法などについて10回にわたり協議を重ねた。

刑事処分の「後追い」でない行政処分システムを-医療事故で日医(2010年3月10日CBニュース)

 日本医師会の木下勝之常任理事は3月10日の定例記者会見で、日医の「医療事故における責任問題検討委員会」(委員長=樋口範雄・東大大学院法学政治学研究科教授)が取りまとめた「医療事故による死亡に対する責任のあり方について-制裁型の刑事責任を改め再教育を中心とした行政処分へ-」と題する唐澤祥人会長への答申を公表した。答申では、医療事故への対応で、刑事処分の「後追い」でない行政処分の新システムを構築することなどを提言している。

 同委員会は2009年1月に唐澤会長から「医療事故による死亡に対する刑事責任・民事責任・行政処分の関係の整理、並びに今後のあり方に関する提言」について諮問され、10回にわたり議論を重ねて答申を取りまとめた。

 同委員会では、厚生労働省が08年6月に公表した「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」に関する議論のほか、実際の医療事故で刑事処分や行政処分が行われた5つの事例の検討などを行った。
 答申では、医療事故への対応では刑事処分が先行し、それを行政処分が後追いする現状があると指摘。このような仕組みによって萎縮医療が生じ、救われるはずの生命が救われない例や、形式的な行政処分だけで復帰した医師が同様の誤りを繰り返して失われた生命があったとすれば、「法のシステム自体が『犯罪的』だといわざるをえない」とした。
 その上で、システムの抜本的改善の必要性を強調。形式的な刑事処分はやめ、刑事処分は故意またはそれに準ずる悪質なケースに限定すべきとした。さらに、行政処分についても形式的な処分はやめ、医療者がいかにして再生を図れるかに焦点を置く処分を基本にすることなどを求めた。

 同委員会は答申で、(1)医療事故に対する原因究明と再発防止策を検討するシステムを構築する(2)医療事故の原因となった医師について、刑事処分の後追いでない行政処分のシステムを新たに構築する(3)医療事故にかかわるシステムは専門職たる医療者が中心となる自律的システムとして構想し、その中に国民の代表も取り込んだ透明性のあるシステムにする-の3点を提言。
 (1)のシステムについては、院内調査委員会がまず役割を果たすべきとする一方、すべての医療機関に設置することは困難として、社会の安全弁(セーフガード)として第三者機関を設置する必要性を指摘した。

 会見で木下常任理事は、「民主党に対して、提言した医療安全に資する新たな法のシステムの考え方を取り入れた、新たな法案の早期の作成を要望したい」と述べた。
 また、08年6月に発表された、院内での事故調査委員会や医療対話仲介者(メディエーター)の活用などを盛り込んだ民主党案について、「院内事故調査委員会や別の所で原因究明をして、遺族が納得しなければいつでも警察に飛び込んでいいという仕組みなので、現行と何ら変わりはないという受け止め方をしている」などと述べた。

この報道から幾つか気になるところはあるのですが、まずこの答申を出した「医療事故における責任問題検討委員会」なる存在、座長が法学者であることからも判りますように医療側だけで議論しているわけではないという点には注目すべきかと思いますね。
一応は医師をもってその構成員としている日医という組織でありながら出てきた答申が、妙に医者が書いたらしくない内容になっているのもそのあたりの要因が大きいのでしょうが、この答申の対象となるべき行為主体が日医そのものではなく、未だ存在しない第三者機関なり改善された医道審なりといった別組織であるところに、全員加盟の弁護士会などと異なる日医の立場の弱さが垣間見えるところです。

刑事処分の後追いでない行政処分システムというものは、かねて言われる医療側の自律性ということとも関連して社会的にも求められているところですが、少なくとも日医が主催するのでは何らの強制力も存在しないことは目にみえていますから、当然そこには厚労省なりお上の権威に頼らざるを得ないわけで、結局のところ何の自律か、医者の首を黙って差し出すだけではないかという声は出てきそうですよね。
あるいは更に深読みしてみますと、厚労省の側からすると一応は代表的な医師団体と言うことになっている日医の側からこういうことを言ってきてくれるというのは、司法を経由せず独自に医師をコントロールする上でウェルカムな話ですから、日医と厚労省との間で阿吽の呼吸があったのかといった邪推も成り立つ話ではあるでしょう。

いずれにしても日医と言う組織が医学的に圧倒的な存在感を発揮してきた歴史的経緯があるというのなら別ですが、基本的に単なる開業医の利権団体だとか、よく言って非民主的な政治屋集団だとかいった世間の認識がある一方で、医療の専門家集団とは必ずしも見なされていない日医が提唱する自律システムに、医学的妥当性というものが果たして保証されるのかという懸念は誰しも抱くところではないでしょうか。
このあたりは医療行為の妥当性は医療の専門家が判断するべきであるということから考えれば、医療における一定の権威である各専門学会が主体性を発揮すべきなのが筋であろうし、実際体外受精問題や臓器移植問題などと絡めて一部学会では(実効性はともかく)自律性を発揮しつつあった経緯もあるわけですから、その動きをより広範に広げていく方が正道なんじゃないかという気はしています。

個人的意見としてはこうした自律システムによる原因究明と再発防止もさることながら、それと両輪をなす広範な無過失保証制度導入による患者救済と言うものが、医療側と患者側との不毛な対立を回避するために是非とも望まれるのではないかと思うのですが、一向にその方面での議論が盛り上がらないのはやはり先立つものが…ということなんでしょうかね(苦笑)。
一方で民主党に要望を云々という話を聞いてあれ?医師会もついに民主党を相手にするようになったのか?(苦笑)と思うところですが、ちょうど昨日報道されたニュースを見ますとこれは唐沢路線破棄は既定路線なのか?とも思えるような話になっているようですよね。

日医連が献金凍結 自民の要請断る(2010年3月15日東京新聞)

 長く自民党に巨額の政治献金を続けてきた社団法人「日本医師会(日医)」の政治団体が、昨秋の政権交代以降、原則的に献金を凍結していることが、関係者の話で分かった。自民党の影響力が低下したことや、自民党に偏った政治活動に対する日医内部からの批判を考慮したとみられる。最大の献金先だった自民党の政治資金団体「国民政治協会(国政協)」への凍結も通告した。 

 四月に実施される日医会長選で、親自民や親民主など路線の異なる三候補者が争う見通しで、四月以降の献金をどうするかは、新執行部が判断することになりそうだ。

 日医は長年、政治団体「日本医師連盟」を通じて政治献金を支出してきた。近年の献金額は年間五億円程度で、その九割以上が自民党や同党の派閥、厚生労働族議員に渡っていた

 日医連の政治資金収支報告書によると、国政協への献金は毎年三月に行われ、二〇〇六年は一億五千万円、〇七年は二億円、〇八年は一億五千万円だった(〇九年分は未公開)。関係者によると今年一月ごろ、自民党側から例年通り国政協への献金要請があったのに対し、日医側は当面、献金を凍結する方針を伝えた

 また個々の国会議員への献金は、主に夏と年末の二回に分けて行われており、昨年末の分が凍結対象とみられる。

 一方、献金とは別枠で、パーティー券の購入は継続しているという。

 自民党からみると、日医連は最大の“スポンサー”。国政協の収入は毎年四十億円前後で、日医連からの献金が収入全体の5%程度、政治団体からの収入の四割程度を占める

 日医は政権交代後、医療政策に対する影響力が低下し、日医連の活動方針から「自民党支持」の文言を削るなど、政治活動の在り方を見直す動きが出ていた。

単に金銭的に見ても自民党にとって日医からの金は決して小さくない収入であったという話ですが、先の衆院選でも医師の多数派が民主党を支持したという昨今の医療業界内出の世論を前にした場合、果たして日医と言う組織に民主主義は存在していたのかと考え込まざるを得ない話でもありますよね。
日医としても民主党との関係修復は図りたいようで、今年の始めにも日医と民主党との間で初めての勉強会が開かれ、「日本医師会と民主党では医療政策に大きな違いはない」なんて歯の浮くようなセリフの応酬があったと言いますけれども、そうなりますと難しくなってくるのが先ごろ「自分が三選されれば参院選も自民候補支持で」と公言してしまった唐沢現会長の立場でしょうか。
4月の会長選ではかねて民主党支持を表明している茨城県医師会の原中勝征会長ら対抗候補も立候補を表明していて、普通に考えればとっくに終わっている人間が今更復活してくるとも思えないところではありますけれども、かねて民主的な選出方法としては定評のある(笑)日医会長選だけに、一体どんな結果が待ち受けているのかと今から楽しみではありますよね。

しかしまあ、仮に会長選の結果次第で日医が民主支持に転向したとしても、今更大きな政治力を発揮出来るようになるかと言えば、多分に疑問無しとしないところではあるのですが…

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2010年3月15日 (月)

診療報酬改訂 厚労省が語るその内容とは

各地で来年度改訂の説明会が開かれている真っ最中というこの時期、実際に話を聞いてみての口コミ情報があちこちから出ているところだと思います。
今回の改訂作業の大きな特徴として、まさにこれからという時期に政権交代が起こった、そして人事の上でも時間的にも今までにない環境の中で行われたものであったわけですが、当然ながら細部に色々と突っ込みどころはあろうと思われる作業を一応の形としてまとめ上げていく上で、今まで以上に厚労省官僚の関与もあったのではないかと推測できるところですよね。
そんな中で、最大の当事者とも言える厚労省の佐藤敏信医療課長がこの件に関してインタビューに答えている記事がありましたので引用してみますが、これはこれでなかなか面白い示唆に富む内容になっているようにも思えます。

来年度改定、厚労省・佐藤医療課長に聞く(2010年3月12日CBニュース)より抜粋

【第100回】佐藤敏信さん(厚生労働省保険局医療課長)

  3月5日に官報告示された来年度の診療報酬改定。政権交代に伴い、昨年秋の中央社会保険医療協議会(中医協)の人事が難航し、9月末から1か月間、改定をめぐる協議は事実上ストップした。本格的な議論に入った年明け以降、中医協は毎回5時間以上に及ぶ長丁場となり、厚生労働省側は連日、資料作成などの対応に追われた。事務局で中心的な役割を担った保険局医療課の佐藤敏信課長は、「とにかく大変だった」と急ピッチで進んだ半年間の議論を振り返る。佐藤課長に、来年度改定と今後の中医協の在り方について聞いた。(敦賀陽平)

 ―来年度の改定では、入院と外来の財源枠があらかじめ示されましたが、財政中立でやらざるを得なかったため、これが議論を阻害したとの見方もあります。

 官邸主導と言うのか分かりませんが、そういうふうに物事が決まるとなると、役所はそれに合わせ、与えられた条件の中でやっていくしかありません。枠が決まったから、決まってないからとか、そんなことは言っていられないというのが正直なところですね。そんなことを言い出したら、前回の改定では診療所を事実上マイナスにせざるを得なかったし、病院に回せる財源も少なかった。それを考えれば、プラス改定なりの多少の制約が付いたのではないでしょうか。

―入院基本料については、病院団体が要望している底上げには至りませんでした。

 入院分、4400億円の財源枠の中でそれをやると、他の部分に財源を回せなくなってしまうので、やむを得なかった面もあります。また、すべての病院が等しく素晴らしい医療をやっているわけではありません。仮に入院基本料の底上げですべてが解決するのであれば、まさに入院基本料を上げて、それで終わりなんでしょうけれど、現状では必ずしもそうでないでしょう。患者さんのニーズや医療関係者の要望に柔軟に応じることができない、機動的な経営のできていない病院があるのも事実だと思います。例えば、しばしば勤務医の過重労働や、その労働の質と量の割に低い給与が話題になりますが、診療報酬に給与体系を年功序列にすべしとは書いてありませんし、また労働に見合う手当を出してはいけないとも書いてないのですが、多くの公的病院では旧態依然とした処遇となっているようです。
 中医協の議論の中でも、病院が自身の考え方に沿って、機動的、弾力的、柔軟な経営をするので、入院基本料を一気に引き上げてほしいという声があったように思います。
 なお、14日以内の入院早期の加算については、引き上げを行いましたので、これは評価していただきたいと思いますね。

まずここまでは総論ですけれども、ここで佐藤課長の言及している医師の待遇問題について、厚労省の立場としては「それは各病院が勝手に決めていること」という基本認識となっていることが判ります。
逆に言えば診療報酬を幾らか引き上げたところで勤務医の待遇改善に直結するわけでもないことを、当の厚労省自体も認めているとも受け取れる話ではありますけれども、少なくともここで言えることは厚労省としては全ての医師なり病院なりについて全く同列に語るつもりはない、それぞれの働き具合に応じて優遇冷遇の差をつけるのが当然であるという認識が示されているということでしょうね。
このあたりは医療系諸団体が少なくとも表向きは全ての医師、医療機関を優遇すべきであると言っている、少なくとも優遇するかしないかの差はつけても冷遇することは認めないと主張している点とは好対照ではないかと思いますが、財源総枠が限定されているという前提条件を絶対視するならば、「役所はそれに合わせ、与えられた条件の中でやっていくしか」ないという認識ではあるのでしょう。
いろいろともめたところもあった診療報酬の細部に関する言及もありますが、ここでも目立っているキーワードは「メリハリを付ける」「頑張ったところが上がり、そうでないところは下がる」という、「競争の時代」ということを強調している点にあるように思えますね。

■明細書発行、「いろんな方法があっていい」

―療養病棟入院基本料の点数が、看護配置と重症度に応じて2段階になります。

 複雑になったように見えますが、従来の仕組みを明確にしただけとも言えます。具体的には、医療区分2、3が8割以上の場合は、今でも看護職員および看護補助者の配置を「20対1」にする必要があるので、そういう意味では、それを点数にしただけです。つまり、メリハリを付けたということです。

―DPC では、来年度の改定で新たな機能評価係数が25%導入され、現在の調整係数は、おおむね4回の改定を経て廃止されることが決まりましたが、今後の方向性についてどのようにお考えですか。

 本当の意味で今後、DPCのよさが発揮されると思います。別の言い方をすると、競争の時代になる。来年度の改定は、その第一歩になるでしょうね。
 病院の先生方は、今より下がるとご不満かもしれませんが、頑張ったところが上がり、そうでないところは下がるというのが、理想の姿ではないでしょうか。国民の皆さんが期待されているのも、そういうことなんじゃないでしょうか。ただ単に、どの病院も収入が増えて終わりという話ではないと思います。

―来年度から、診療報酬明細書(レセプト)をオンライン請求している医療機関のレセプト並み明細書(明細書)の無料発行が原則義務化されますが、現在、多くの医療機関がこの対応に苦慮しています。これについて、どのような運用を想定していますか。例えば、頻繁に来院する外来患者に対しては、毎回ではなく月1回の発行も可能なのでしょうか。

 原則無料で発行ということです。もちろん、希望しない患者さんに無理にお渡しいただく必要はありません。渡し方やその頻度も含めて患者さんの了解が得られるのであれば、個々の医療機関でいろんな方法があっていいと思います。
 なお、現在お使いのレセコン(レセプトコンピューター)が、明細書の即時、自動発行などに対応していない場合や、自動会計機が対応していない場合には、猶予が設けられています。例えば、次の機器更新時期やリース契約の更新の時期などに、対応されていればいいのではないでしょうか。

まあ競争ということはよろしいんでしょうが、競争するというのであれば当然競争に破れて消え去っていく病院が出ることを制度を決めた厚労省から国民にちゃんと説明と同意を取っておいていただくのが当然ですし、そもそも全て公定価格で頑張ろうがプラスの上限も設定されている中で何の競争だという声もあるでしょう。
一方ここで注目すべきは基本的に厚労省としては各病院がそれぞれ違った方向性で動くことを認めている(推奨している?)ということだと思うのですが、要するに金は出すつもりはないけれども裏技を勝手に開発してくれる分には勝手にどうぞというスタンスなのでしょうか。
制度設計をした厚労省の方針はそれでいいとして、問題は実際に金を支払う保険者の側がそうした病院の自由を認めるかどうかということであって、各施設が創意工夫して頑張った結果「こんな勝手は認められない!」と後でばっさり査定されようが、厚労省が保険者に指導するなり翻意を促すなりなんてことは全く考えられないという点では「絵に描いた餅」というしかない話ですよね。

このあたりは現場から遠い厚労省官僚の限界(あるいは、確信犯でしょうか?)という見方も出来ることなのかも知れませんが、厚労省側としても全く現場の実情を把握せずにいたのは何かとやりにくいという自覚は昨今出ているらしいことは、このところ言葉の端々から感じられるところではありますよね。
最近では例の現場の実態データ収集の話があって、超勤簿を事務が勝手に書き換えたりしている医療現場から実際どの程度実態を反映したデータが出てくるのかとか色々と言われているのも確かな一方で、医療側は定性的な話ばかりで結局定量的な話が出来ていないじゃないかという批判は、以前にも東京都副知事の猪瀬直樹氏などからも提出されていたところです。
本来は「我々はこんなに苦労しているんだ!」と平素から熱弁を振るう日医ら医療系諸団体こそ率先してこういうデータを出した上で、これを改めるにはどこに幾らと国民が納得できる見積もりを出してくるのが筋なんだろうと思いますが、厚労省官僚に言われるまでもなく「それじゃどこに幾ら出せば何がどう変わるんですか?」と問われて口篭らざるをえないようでは説得力の欠如を言われても仕方がないですよね。

■部門別収支のデータ活用、「やらなければならない」

― 「医療機関のコスト調査分科会」が試行的に行った医療機関の部門別収支に関する調査について、来年度の改定でのデータの活用は見送られました。

 結論から言えば、病院の科学的、合理的な運営・経営はまだまだ先が長いということでしょうね。病院の経営者の方にお会いすると、「救急部門が赤字です」とか「小児科部門が赤字です」とかおっしゃるんですが、「では、診療報酬項目のどの部分がもう少し上がると、その部門の経営が改善されると思いますか」と尋ねると、みんなあんまりはっきりとはおっしゃらないんですね。つまり、「どうも赤字らしい」「赤字らしいけど、正確な数字は持っていない」というのが本音のようですね。
 中医協の議論を実のあるものにするためにも、部門別収支計算は今後ますます重要になっていくと思います。また、部門別収支計算そのものではありませんが、外保連(外科系学会社会保険委員会連合)のような取り組みはすごく重要だと思います。外科系の、それも技術という領域に限定されるとはいえ、ああいう形で必要に応じてタイムスタディーをされて、人手や材料費のような標準的な資源投入量を計算して、コストを出されたということ。他の分野や領域でも参考になるのではないでしょうか。

―2年後の報酬改定で活用する可能性はありますか。

 それは難しいと思います。今回、どこがネックになっているか調べたんですが、「医師の勤務実態の把握」との回答が多かったんです。つまり、どうも病院側が医師の勤務実態を定量的に把握できていないようなんですね。もちろん定量的に正確に把握すると、それはそれで労働基準法との関係から問題になるのでしょうが。それにしてもデータが取れない、取れないから過重労働の実態や、給与や手当のコストが正確に把握できないということのようなんです。
 ただ、難しいけれど、やらなければならないでしょうね。病院のIT化が進み、医師やコメディカルの勤務実態がリアルタイムで、疑似リアルタイムでも構いませんが、そういう感じで把握できるようになれば、意外にすんなりいくかもしれません。

いやしかし「定量的に正確に把握すると、それはそれで労働基準法との関係から問題になる」は良かったですけれども(苦笑)、そこまで言うなら労働関係を所轄する省庁でもある厚労省の役人として黙って見過ごしているのも職務怠慢というものでしょう(笑)。
何にしろ今後も色々と難しい話が続くだろうというのは佐藤課長ならずとも誰しも感じているところでしょうが、実際問題として現場が気になるのは明日からの医療がどう変わるのかという切実な問題の方ですよね。

その点で非常に気になるのが公式文書に記された文言よりも、むしろ実際の運用に大きく関わってくるだろう役人による文言の解釈の方なんですが、この点で各地の説明会に参加した方々から幾つか気になる話が出てきています。
例えば先日以来色々と議論のあった地域医療貢献加算の件ですけれども、結局「24時間対応」という言葉をどう解釈するべきかと訊ねてみた方々は少なからずいたということなんですが、このコメントが本当だとすればどうやら想像以上に斜め上な話になりそうですよね(苦笑)。

822 名前:51 ◆uDqqjmAuEI [] 投稿日:2010/03/12(金) 22:44:22 ID:LbxEF7560
今度の説明会、とりえあず抗政局の役人に聞こうと思っています。
地域なんとか加算とっていた場合、ウンコしてるときに電話かかってきたらどうしたらいいんですか?って。
おしりを拭かずにトイレからでてでも電話を取らないといけないのか?
あるいは、ウンコしたい状況で電話かかってきたときは、ウンコをもらしててでも出ないといけないのか?
開業医は常におまるの上に座って電話番をしないといけないのか?
いろいろ疑義があるから聞こうと思っています。

826 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/03/13(土) 13:36:05 ID:4QCKi4580
>>822
51先生へ。
すでにほぼ、同じ内容のことを訊いております。
回答「携帯電話に転送するようにして下さい。そして携帯電話を常に肌身離さず、
入浴中でも出られるように防水タイプにしておくと良いです」だ、そうな。w
ちなみに少子化対策として子作りの最中でも、「電話に出ないと言うのは認められません
だ、そうです。w

832 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/03/13(土) 20:34:05 ID:VzJ6s7ph0
>>826
地下鉄とか場所によって電波届かない場合は?
映画館とか病院とか電源切らなきゃいけない場合は?
他の電話に出ていて出られない場合は?
かけ直すにしても相手が非通知でメッセージも何も残してない場合は?
実はワン切りでかけなおしたらおかしなとこにつながったりしたら?

833 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/03/13(土) 21:48:19 ID:4QCKi4580
>>832
たいてい、似たようなことを訊いているもんですね。

>地下鉄とか場所によって電波届かない場合は?
私「電波が届かない山間の谷で釣りをしていた時は?」と訊きました。
答えは「そのような所に出歩かないようにして下さい

>映画館とか病院とか電源切らなきゃいけない場合は?
私は「飛行機で出張中、機内で電源切っている場合は?」
答え「代理の方に携帯を預けて、何時に飛行場に到着するから、こちらの携帯に
かけるように、と携行している携帯電話の電話番号を教える

>他の電話に出ていて出られない場合は?
これはほとんど同じ内容。
答え「今かかっている電話にちょっと待って貰って、新たにかかってきた
携帯に待って貰うように言う

>かけ直すにしても相手が非通知でメッセージも何も残してない場合は?
私「非通知の相手がすぐ電話を切ってしまった場合は?」
答え「かかってくるのを待って、無礼を詫びる

>実はワン切りでかけなおしたらおかしなとこにつ>ながったりしたら?
済みません。これに類するものは訊いていません。

…ネタですか?と思うような話ですけれども、ネット上での便所の落書きとして話半分だとしても、とりあえず厚労省としては24時間対応という文言をまさしく文字通りに解釈するつもりである、少なくともそういうスタンスであることをこうして公に示したということなんでしょうね。
実際にたまたま何らかの事情で一件だけ電話がつながらなかったことが、即厚労省なり保険者なりへの直接クレームにつながるものでもないでしょうし、一回のクレームで即加算の認定取り消しとなるかと言えば過去の事例から考えてまずはイエローカードからということになるのでしょうが、逆にこうまで厳しいことを公の場で表明してくる厚労省の意図がどこにあるのかですよね。
恐らくこの加算を取るような診療所の先生方は多くが一人でやっているような零細診療所なんだと思いますが(時間内だけで儲かっていればこんなもの誰もやりたくないでしょうしね)、そんな先生方が説明会でこういう話を聞けばまず普通は「うわっ!うちじゃそんなの到底無理だわ…」とすくみあがってしまうだろうということは想像に難くないところでしょう。

厚労省としてはどうぞ加算を取ってください、今まで通りの収入になりますよなんてことを言っていましたけれども、実際にこういう方針を見てみれば「”押すなよ!絶対押すなよ!”は”押せ”と同義」という話を思い出さざるをえない話ではありますよね。
厚労省の方針はそれとして、現場の臨床家としてはきちんと情報収集をしてそうしたお上の方針もちゃんと知った上で、言外の含みに臆することなくどこまで図太くやっていけるかが「競争の時代」に生き残れるかどうかの分かれ目になってくるのでしょう。

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2010年3月14日 (日)

今日のぐり:「夜寿司 津高店」

本日は例によって例のごとくブリの話題から「いかにもかの地らしい斜め上の研究成果」をテーマに取り上げてみたいと思います。
まずは基礎知識として、某所界隈での便所の落書きから引用させていただきましょう。

106 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2009/10/31(土) 23:26:42 ID:???
新井潤美『階級にとりつかれた人びと』より

「……塩が欲しいときは腕をのばしたりせず、近くの人に取ってもらう
(イギリスの料理は味がないものが多い。ある日本の友人は、英会話の本に "Pass the salt, please" と
いう表現がいつも登場するので、なぜイギリス人はこんなに塩を好むのかと不思議がっていたが、
料理の味もみずにまず塩をかける癖がついてしまうのである)。」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 21:27:54.37 ID:KvjKR16c0

渋谷のアイリッシュパブで隣に座っていた英国人っぽい人が「ここのフィッシュ&チップスはどう?」と
聞いてきたので「味しませんね」と言ったら「そう。それが本格派なんだ。いい調味料が揃っているから
好きにかけて食べるといいよ」と。しばらくして別の店でもまた会った。日本人がやっているパブ。
フィッシュ&チップスを食って渋い顔をしていた。「同じ料理でも旨いモノも作れるってことを気づかせる
から日本人は残酷だ」とか言っていた。

事程左様にブリと言えばその料理の独創的な素晴らしさ?で有名な国ではありますが、このたび驚くべき研究結果が発表され世の紳士淑女が驚いたと言う話題がこちらです。

英国人は料理熱心!?「フランス人には負けません」、英仏誌調査(2010年03月09日AFP)

【3月9日 AFP】フランス人といえば長らく料理の達人と信じられてきた。だが、英仏誌が合同で実施した調査で、キッチンで料理に費やす時間は英国人の方が長く、他国のメニューを料理する割合も高いことが分かった。また、外食の回数はフランス人の方が多く、家庭で料理する際には親から受け継いだレシピに固執することも明らかになった。

 英国放送協会(BBC)発行の料理雑誌「オリーブ(Olive)」と仏女性誌「マダム・フィガロ(Madame Figaro)」は1月、それぞれ2061人と 1345人の読者を対象に、料理や外食習慣に関する調査を行った。9日に発表予定の調査結果によると、毎日、自宅で料理をすると答えた英国人読者は72%で、フランス人読者の59%よりも高かった。 

■外国料理の調理にも熱心な英国人

 30分以上かけて料理すると答えた英国人は50%だったが、フランス人ではわずか27%だった。だが、フランス人読者の47%が1回の料理で2皿以上のメニューを料理すると答えたのに対し、英国人読者では18%で、料理の品数ではフランス人が上回った。

 外国の料理では、イタリア、中華、インド、スペイン料理を自分で料理したことがあると答えた英国人は、いずれもフランス人より多かった。英国人よりもフランス人の方が多く料理しているのはモロッコ料理だった。

 英仏読者の双方が最も好む外国料理はイタリア料理だった。

■互いの国の料理については認識の違いも

 互いの国の料理については、英誌「オリーブ」の読者が1970年代に英国で流行した「クレープシュゼット」を典型的なフランス料理と考えているのに対し、「マダム・フィガロ」の読者は「仔牛料理」や「フォアグラ」を代表的なフランス料理と考えていた。

 一方、「マダム・フィガロ」の読者は英国の代表料理として「クリスマス・プディング」を挙げたが、「オリーブ」の読者が挙げた英国料理の1位は「ローストビーフのヨークシャー・プディング添え」で、「フィッシュ・アンド・チップス」「イングリッシュ・ブレックファスト(英国式の朝食)」が続いた。

 フランス人読者で英国料理が好きと答えたのは、わずか1%だった。

 外食の回数はフランス人が月3回、英国人は月2回だった。

いやいや、さぞや向上の余地はあるんでしょうね…などと言ってしまっては身も蓋もありませんけれども、英国人と言えども必ずしも食に関心がないわけではないのだということが明らかになっただけでもこれは意義ある調査であったと思えるのですが、どんなものでしょうかね?
保守的と言われる英国人と自国文化を尊重するというフランス人とが外国料理を作っている光景なども見てみたいものですが、イタリア料理がどちらでも人気であったりと共通点も見いだせる一方で、英国料理を好むフランス人はわずか1%というのは何とも残酷な結果と言うしかありませんが…
さて、話は変わって先日意外なほど大きな話題になったのがこちらのニュースです。

先に銃を抜くのは不利=荒野の決闘、科学実験が証明-英(2010年2月4日時事ドットコム)

 【ロンドン時事】拳銃を相手よりも先に抜こうとする意識的な行動速度よりも、相手の行動を見て本能的に反応する速度のほうが速い-。英研究チームが「決闘」に関して実施した実験で、このような結果が判明した。3日付のタイムズなど英有力各紙が報じた。
 実験したのは、英バーミンガム大学のアンドルー・ウェルチマン博士のチーム。54人が参加し、拳銃の代わりに押しボタンを使い、行動速度を計測した。その結果、自らの意思で最初にボタンを押す場合よりも、相手の手の動きに反応して押す場合のほうが、行動速度が平均0.02秒速かったという。
 同博士は「意識的に行動する場合と本能的に外部の動きに反応する場合の二つの速度を計測したのは初めて」としている。
 ただ決闘で、「正義のガンマン」が、先に銃に手を掛けた悪漢を電光石火の早業で撃ち倒す西部劇でおなじみのシーンについて同博士は、後に銃を抜く人は、相手の動きを見てから銃を抜くまでに時間がかかるので、実際に勝つことは難しいと指摘している。

これは注意していただきたいのが、相手の行動を見て動いた方が動作自体は速いということであって、後から動いた方が勝負に勝つと言っているわけではないと言う点ではタイトルが間違っているとも言える話ですよね。
確かに日常生活でも今か今かと待ち受けている時の反応速度と言うものは何か速いような気がしますけれども、この程度の差であればやはり先に正確に行動をした方が有利だろうという結論になってしまいそうではあります。
さて、いささかこちらは解釈の余地が多そうなニュースですが、まずはそのまま引用してみましょう。

IQの低さは心臓病リスクの主要な指標=英研究(2010年2月10日ロイター)

[ロンドン 10日 ロイター] 英メディカル・リサーチ・カウンシル(MRC)は10日、知能指数(IQ)が低いことが喫煙に次いで、心臓疾患のリスクが高いことを示す指標になるという研究結果を発表した。

 55歳前後の男女1145人を20年間追跡調査したこの研究では、喫煙、IQの低さ、低所得、高血圧、運動不足が、心臓疾患のリスクの高さを示す指標のトップ5に入ったという。

 デビッド・バッティ氏の率いる研究チームは、IQが低いことがなぜ心臓疾患のリスクに結びつくのか、「もっともらしいメカニズムは数多く考えられる」と説明。心臓の健康に喫煙が与える危険性や、良い食生活と運動の利点などを無視したり理解していない場合、リスクは高くなる可能性があると指摘している。

この結果をどう解釈すべきかについてはまさしく「もっともらしいメカニズムは数多く考えられる」としても、まず何故調査項目にIQを入れてみようという気になったのかといったあたりが気になるところですかね?
このあたり、あるいはいつものように英国流の諧謔が炸裂したということなのかも知れませんが、日本などでこんな研究をするといろいろと物議を醸しそうな話ではあるのかなという気はするところです。
さて、同じく他国であれば物議を醸しそうな話題としてこういうニュースもあります。

犬と猫の飼い主は教育水準が異なる? 英大学が飼い主の特徴を調査。(2010年2月9日ナリナリドットコム)

人気ペットの代表とも言える、犬と猫。動物好きな人なら「両方好き」という人も少なくないだろうが、どちらもポピュラーなペットがゆえに比較されることも多く、犬派、猫派と分かれるのは世界共通の認識だ。本来、犬と猫が持つ個性や見た目をどう好むかは個々が持つ感性の問題ではあるが、両派の傾向をあえて探る調査や研究は、世界各国で行われている。そうした中、英国の大学研究者が犬と猫の飼育数と飼い主の特徴を調べる研究を行い、「犬と猫の飼い主には教育レベルに違いが見られた」と、論議を呼びそうな結果を発表した。

ブリストル大学の公式サイトによると、この調査は同大学獣医学部のジェーン・マーレイ博士が行い、英専門誌「Veterinary Record」で発表したもの。マーレイ博士は、2007年に選挙人名簿からランダムに抽出した家庭に電話調査を実施。犬や猫の飼育状況のほか、飼い主本人についても聞き取りを行い、英国内で飼われている犬と猫の総数や、飼い主の特徴に見られる傾向を分析したという。

調査対象となったのは 2,524の家庭で、その結果、現在の英国では猫が1,030万匹、犬が1,050万匹いると推計。猫は全世帯の26%、犬は31%で飼われていると見られるとの数字が出た。1989年に出版された科学誌の中では、当時の英国内の飼育数が猫は620万匹、犬が640万匹と推計されており、「今回の研究は、英国のペット所有者が以前よりもさらに増えているとも分かった」としている。

そして、それぞれの飼い主に見られた傾向について、「猫の飼い主は女性が多く、狭いか単身の家庭で飼われる」とされ、犬は「地方に住む男性により飼われ、55歳以下に多い」そうだ。また、10歳未満の子どもを持つ家庭では、犬よりも猫を飼うほうが多かった。さらにマーレイ博士は、飼い主に見られた一番大きな違いとして「教育水準」を挙げている。調査の結果、家族の誰かが大学レベルの教育を受けた人の割合が、「犬の飼い主では38.4%だったのに対し、猫の飼い主では47.2%」(英放送局BBCより)と、1割近い差が生じたそうだ。

マーレイ博士は、この点に大きな興味を示しながらも「どうしてこのような食い違いが見られるのかはわからない」と、理由の説明には至っていない。しかし、ひとつの推論として、所有者の労働時間に関係している可能性を示した。仕事の拘束時間が長い人には「犬よりも世話をしなくてすむ猫が選ばれるのでは」という。

ただ、調査結果の数字とはいえ、この発表には英紙ガーディアンも「猫や犬が好きな人には論争となるかもしれない結論」と、物議を醸す可能性を示唆している。

ちなみに、英紙デイリー・メールでは「あなたは猫の飼い主が犬の飼い主よりも知的だと思いますか?」とのオンラインアンケートを実施。その結果「イエス」は63%、「ノー」は37%となっている(日本時間2月9日11時現在)。

いやまあ、結果についてはやはり色々と解釈の余地はあるかなと思う話ではあるのですが、そもそもの研究の出発点として何故そこに飼い主の教育レベルなどという項目を入れてみようと考えたのか、そのあたりがやはり気になる話ではありますよね。
日本の場合で考えてみますと何より動物にかけられる時間や住居環境が影響しそうな気がしますけれども、むしろそれよりも気になったのが犬と猫との飼育頭数にほとんど差がないらしいという点で、世の中犬派と猫派ほどの好敵手もなかなかないとは言えそうです。
さて、最後はいささか奇想天外にも思えるニュースですが、これがブリ発と考えると「さもありなん」と納得できてしまう気もしてくるところですかね(苦笑)。

イギリスでは3人に1人の子どもが「先生は宇宙人」だと信じている(2010年2月2日GigaZiNE)

世界各地で未確認飛行物体(UFO)や謎の生命体が発見されたというニュースを耳にすることがありますが、イギリスでは子供の3人に1人が「先生は宇宙人」と信じているそうです。

こういった夢を感じるエピソードはいかにもイギリスらしいものですが、先生を宇宙人だと思っている子どもはずっと懐疑の目で先生を見ているのでしょうか。

詳細は以下より。

My teacher is an alien, says 1 in 3 children | Metro.co.uk

Children think profs are 'alien' | The Sun |News

これらの記事によると、イギリスの5歳から16歳の子どもたちに宇宙人に関して質問をしたところ、3人に1人が「先生は宇宙人だ」と信じており、4人に3 人が「緑色の小さな怪物が宇宙のどこかにいる」と考えていることがわかったそうです。また、宇宙人の性格を「友好的」と答えた子どもが72%おり、宇宙人が地球を征服するかもしれないという危機感はほとんど無いようです。

この結果に関して児童心理学者であるLaverne Antrobus氏は「宇宙人は児童図書や映画、テレビ番組などで多く取り上げられる題材であるため、このような結果になっても不思議ではない」とコメントしています。

一方、16歳の子どもたちに太陽系の惑星の名前をすべて答えることができるかどうかのテストをしてみたところ9割が答えることができず、学力低下が目立っていることについても指摘しています。

5歳から16歳までと、幅が広い層を対象にしたアンケートであるため、先生が宇宙人だと信じている層は一体どの辺りであるのかが気になるところですが、さすがに16歳の少年少女が先生を宇宙人だと思っているということは無さそうですね。

この記事、注意していただきたいのはイギリスの子供にとって宇宙人というものは非常に友好的なイメージで語られているというところで、つまりは基本的に学校の先生に対しても好意的な目線で見ているということを反映しているのでしょうかね。
しかし日本では一頃ほど宇宙人ネタも人気が無くなっている感もありますけれども、こんな年端も行かない子供たちの間にも浸透しているくらいにブリでは一般的な話題なのでしょうか?ふむ…

今日のぐり:「夜寿司 津高店」

「岡山で二番目においしい」が謳い文句の夜寿司グループに属するこちらのお店は、岡山市街地から少し北に外れた閑散な旧街道沿いにありますが、以前にも一度来たことがある店ですね。
テイクアウトのお客は以前から結構多いようですし、ネットなどで見てみますとランチも安くてお腹いっぱいになるとわりあい好評のようなのですが、この日は夕方の時間帯にお邪魔してみました。
グループ内でも多少店によって傾向が分かれるのかも知れませんが、こちらのお店は店構え的にテーブル席主体のためもあってかセットメニュー中心の構成になっているようで、それも寿司を中心に色とりどりの料理がテンコ盛りという見るからにボリュームのあるものが多くなっています。
この日もカウンターではなくテーブル席だったこともあって純然たる寿司ではなく、店長おすすめだというやる気御膳(しかし、なんちゅうネーミングセンスでしょうか…)やら寿司御膳やらのセットメニューを頼んでみました。

さてこのやる気御膳なるもの、メインを張る寿司に加えて刺身に天ぷら、茶碗蒸しやらの定番料理から食後のコーヒーまでついてくるというもので、こういうカウンターの寿司屋というと一頃は高いというイメージもありましたけれども、ボリュームに対する値段ということを考えると実のところ回転寿司と比べても決して高くないんじゃないかと改めて思いますね。
寿司御膳の方はさらにぐっと値段を抑えた構成で内容も寿司と天ぷら、小鉢といった少しシンプルなものになってきますが、これも普通に満腹になるだけのボリュームはありますから量的な面ではかなり頑張っているなという印象はあります。
となると、自然にお味の方はどうかという話になってくるわけですが、ちょうど先日お邪魔した高知の「おらんく家」のコースメニューが価格とボリューム双方でほぼこちらのやる気御膳と同等だということを思い返してみた場合、その味にはかなり差があるということを感じないではいられません。

このやる気御膳、価格的には店内で一番高い水準のセットメニューでありながら肝心の握りがいささか残念なのが気になるのですが、何も安ネタばかり並んでいるのが理由の全てでもありませんが見た目でうまいものを食べられそうだという期待感がまるでない、実際に食べてみてもまあこんなものかと思う予想通りの味と、意外性というものがまるでないのはどうなんでしょうね。
天ぷらなどの副菜も見た目こそそれなりに豪勢なのですが、味以前にこの組立て自体が一昔前の鄙びた旅館で出てきた昭和のご馳走という感じで面白くも何ともないわけですから、見た目だけで満足できるとか腹が膨れれば文句がないという方でなければ満腹感はあっても満足感はどうなのよと思われるところですよね。
これがより低価格帯の寿司御膳ともなるとほぼカンピョウオンリーの太巻きを中心に本当に腹を膨らませるだけの内容になってきますが、今どきスーパーのパック寿司でも安いなりにもう少し季節のネタを取り入れてみたり工夫していそうなものを、この見るからにやる気のない様子で「寿司御膳」と名乗られてしまうと、いささか寿司屋としての姿勢が問われるということになりませんでしょうか?
以前に同じ夜寿司グループの他店に行ったときには普通にカウンターで寿司を頼んでみたのですが、その時にはさほどの不満も感じなかったということをあわせて考えてみた場合に、(店ごとの味の差がよほどにあるというのでなければ)どうもこのセットメニューはハズレなのではないかという気がします。

前回こちらに来たときにも感じたことですけれども、バリューフォーマネーということで考えてみれば周囲の相場からしても結構頑張っている方ですし、寿司自体の味も絶品とは言わないまでも値段並みではあり、絶対的な顧客単価もそう高くないわけですから、普通にこの値段相応の味を期待して入っていればそんなに悪い店ではないはずなのに、何かしらうまいこと騙されたような(失礼)後味が残るのはなんなんでしょうね。
思うに夜寿司さんでは「岡山で二番目においしい」なんて言って、まず味が良いことを長年の売り文句にして企業イメージをつくってきた、そして実際店構えなどを見ても同価格帯の寿司屋に比べればちょっと高級そうな店に見える、となれば客の方もそれ相応の味を…と期待して訪れてみると、あれれ?となってしまうミスマッチが一番の問題なんじゃないかという気がします。
これがいかにも場末の小さな寿司屋っぽい構えであればもっとBグル的人気も出ていたのかも知れないかなと思う一方で、逆に言えばおらんく家などはだの招き猫だのいかにもイロモノっぽい意匠で客の期待値を下げておいて、食べてみるとまともな店というギャップが実像以上に評価を引き上げている部分もあるわけですから、なるほど経営戦略というものもなかなか難しいんだろうなと感じさせられるところですね。

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2010年3月13日 (土)

テロリストの逮捕 ところ変われば英雄?

すでに多くの皆さんが御存知かと思いますが、日本船「第2昭南丸」に不法侵入したテロリストグループ「シー・シェパード」のメンバーが昨日逮捕されました。
第2昭南丸が接岸した埠頭ではかなりの騒動になったようで、環境テロリストの暴力行為によって日本国内でも思わぬ世論の盛り上がりが起こったと言うことも言えるのかなと思います。

第2昭南丸が接岸 シーシェパード船長逮捕(2010年3月12日産経新聞)

 環境保護標榜(ひようぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」のメンバーが侵入した日本の調査捕鯨船団の監視船第2昭南丸が、拘束したメンバーを乗せ12日午前、東京港の晴海埠頭(ふとう)に接岸した。東京海上保安部は12日、艦船侵入容疑で、船員法に基づいて身柄を拘束されている抗議船「アディ・ギル号」船長のピーター・ジェームス・ベスーン容疑者(44)=ニュージーランド国籍=を逮捕した。

 公海上の日本船に違法に乗り込んだ不審者を逮捕し、国内法の刑事手続きに乗せるのは初めて。

 逮捕容疑は、日本時間の2月15日午前9時ごろ、南極海で調査捕鯨活動中の第2昭南丸に別の抗議船から水上バイクで接近し、違法に船内に立ち入ったとしている。アディ・ギル号は1月6日、南極海で第2昭南丸と衝突して大破しており、べスーン容疑者は防護用のネットをナイフで切り裂いて乗り込んだ際に、第2昭南丸の船長に「衝突の責任は第2昭南丸にある。3億円を請求する」などと書かれた書簡を手渡したという。

 ベスーン容疑者をめぐっては、日本時間の2月11日に酪酸入りの瓶を投げ入れて乗組員3人にけがをさせた疑いもあり、傷害や威力業務妨害容疑など、一連の妨害行為での立件にこぎ着けられるかどうかが、今後の焦点になる。海保はベスーン容疑者を降ろした後、第2昭南丸を専用岸壁がある横浜港に移し、船内の実況見分を始める。

 逮捕容疑の艦船侵入罪は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が規定されている。在宅捜査も想定されるうえに、着岸時にメンバーが逮捕の不当性を訴える可能性もあり、「逆にSSの活動を宣伝することにつながりかねない」と逮捕には慎重論もあった

 ただ、ベスーン容疑者は、ニュージーランド人で日本国内に住居がないことから、海保などは逃亡の恐れがあると判断して逮捕に踏み切ったとみられる。SS側は「調査捕鯨をやめさせるため、日本の法廷で闘う用意がある」などの声明を出している

2008(平成20)年にSSメンバー2人が日本の捕鯨船に乗り込んだ際、日本政府は反捕鯨国のオーストラリア政府に2人の身柄を引き渡して事実上釈放したことで、「甘すぎる」と批判を浴びていた。今回のケースでは、発生直後に赤松広隆農水相が厳正な対応で臨む方針を表明。日本の司法手続きに乗せて刑事処分する方向で関係機関で調整が進んでいた。

【シー・シェパード逮捕】「環境テロを許すな」第2昭南丸到着の晴海埠頭は騒然(2010年3月12日産経新聞)

 環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」のピーター・ジェームス・ベスーン容疑者(44)=ニュージーランド国籍=を乗せた日本船、第2昭南丸が入港した東京・晴海埠頭(ふとう)は、SSに抗議する複数の団体やマスコミで騒然とした。

 SSに抗議する団体は、垂れ幕などを掲げ、同船入港前から「環境テロリストを許すな」などと声を張り上げた。警備に何十人もの警察官が動員され、「ここから出ないで」と制止する場面もあった。

 上空には報道機関のヘリコプターが何機も飛び、轟音(ごうおん)を響かせ、船が近づいてくると、カメラマンが一斉にシャッターーをきった。

注目されるのは双方の今後の対応ですけれども、日本側は今回に関しては法的にきちんと対応していくという姿勢を崩していませんし、テロの被害者まで出た以上このまま無罪放免などという展開はあり得ないと考えます。
テロの当事者自身が犯行を認める供述をしていることで事実関係の争いはそう大きくはならないという予測もあるかも知れませんが、一方でテロ組織の側では「あくまで我々が被害者である」という主張を繰り返し争う姿勢ということですから、最終的には双方が法廷で争っていくということになってくるのでしょうか?

【シー・シェパード逮捕】身柄引き渡しに官房長官「司法が適切に判断」(2010年3月12日産経新聞)

 平野博文官房長官は12日午前の記者会見で、日本の調査捕鯨船団の監視船に違法侵入した米団体「シー・シェパード(SS)」のメンバーの引き渡しについて「(今後は)司法の判断で適切に対処する」と述べた上で、日本側のこれまでの対応について「(引き渡しまで)時間がかかったのはやむを得ないが、ある意味、適切にしている」との認識を示した。

 日豪関係への影響について平野氏は「今日までもそれぞれの国の主張をしているわけで、そのことで関係悪化することはない」と述べた。

【シーシェパード逮捕】「被害者を逮捕した」とSS代表が非難(2010年3月12日産経新聞)

 反捕鯨団体「シー・シェパード」メンバーのニュージーランド人の男が日本で逮捕されたことについて、同団体のポール・ワトソン代表は12日、共同通信の電話取材に「被害者である(捕鯨抗議船)アディ・ギル号の船長が、戦争捕虜として日本に連行され逮捕されるとは奇妙なことだ」と語り、日本を非難した。

 現在、同団体の抗議船が拠点とするオーストラリア南部ホバートにいる代表は「(日本の調査捕鯨船団の監視船)第2昭南丸が故意にアディ・ギル号にぶつかって沈めた」と言明。

 逮捕された男について「有罪になろうが収監されようが、犠牲を払う心の準備ができている」「日本では犯罪者でも、オーストラリアやニュージーランドではヒーローだ。支援を結集したい」と話した。

 代表は来週から、クロマグロ保護のため「スティーブ・アーウィン号」で地中海へ向かうとしている。(共同)

完ぺきな弁護団準備~シー・シェパード広報(2010年3月12日日テレニュース24)

 日本の調査捕鯨団の船に乗り込んだ反捕鯨団体「シー・シェパード」船長のピーター・ベスーン容疑者(44)が艦船侵入の疑いで逮捕されたことを受け、アメリカ・ワシントン州シアトル北部のサンファン島にあるシー・シェパードの本部で11日、広報担当者がNNNの取材に応じた。

 シー・シェパードの広報担当は「我々は日本で完ぺきな弁護団を準備しています。(逮捕は)我々の主張を公にする機会だと喜んでいる。船長の行為はクジラ保護のため。彼を誇りに思う」と話した。

 ベスーン容疑者逮捕の1報を受けても、シー・シェパードの本部に常駐する11人のスタッフに動揺はなく、通常の業務をこなしていた。会議室の壁には大破した高速船のポスターが張ってあり、ベスーン容疑者のサインがある。

 また、オーストラリアに滞在中のワトソン代表は「ベスーン容疑者が日本の船に乗り込んだのは、ささいなことだ」と話している。

日本の違法性示す=裁判で世論刺激も狙う-反捕鯨団体(2010年3月12日時事ドットコム)

 【シドニー時事】反捕鯨団体シー・シェパード(SS)は、ニュージーランド国籍の同団体活動家ピーター・ベスーン容疑者の逮捕に対し、「裁判になれば、(日本側の)違法性が明らかになる」として積極的に受けて立つ構えだ。裁判を通じて、ニュージーランドやオーストラリアなどの反捕鯨世論をさらに刺激することも狙っている
 SSのスポークスマンは12日、同容疑者が乗船していた小型高速船「アディ・ギル号」に対し、日本の調査捕鯨船「第2昭南丸」は意図的に衝突したとし、「違法行為で逮捕されるべきは(第2昭南丸の)船長だ」と主張。ベスーン容疑者が第2昭南丸に乗り込んだのは、正当な権利として同船の船長を逮捕するためだったなどと説明している。

まあしかし、「日本では犯罪者」とは語るに落ちるというもので、日本の法律に従って粛々と処罰されることに関しては彼ら自身も認めていると受け取るべきなんでしょうかね(苦笑)。
さて、ここで再び登場いただくのがかねてこのテロリストの動きを追っていて、当「ぐり研」でも何度か引用させていただいた産経新聞の佐々木正明氏のブログ記事です。
ちょうど先日アカデミー賞受賞の発表がありましたが、太地町住民をギャング呼ばわりして激怒させたと言う盗撮映画「The Cove」とテロリストとの関わりを書いた一文などなかなか読み応えがあって、是非とも一読をおすすめしたいところですよね。
その佐々木氏ですが、昨日の逮捕と前後して母国ニュージーランドの報道からべチューン容疑者本人や妻のコメントを掲載していますので、再び引用させていただきましょう。

【ブログ速報中】SSのベチューン船長逮捕 妻「日本が見せしめとして懲らしめるのが怖い」 (2010年3月12日ブログ記事)
より抜粋

(略)
【ニュージーランド 3news】
 ベチューン船長の妻、シャロンさんが、日本の捜査当局が夫を見せしめとして懲らしめることを恐れている
 His wife Sharyn, who hasn’t heard from him for almost a month, fears Japanese authorities may make an example out of him.
http://www.3news.co.nz/Bethunes-wife-Japanese-will-make-an-example-of-him/tabid/417/articleID/146044/Default.aspx
(略)
【ニュージーランド 3news】
http://www.3news.co.nz/Sea-Shepherd-Lets-have-a-trial/tabid/417/articleID/146101/Default.aspx
 ワトソン船長のコメント
 日本人が、自分たちのことをテロリストと非難するのはもううんざりだ。司法の場に臨むことを歓迎するよ。もし、彼らが考えているように、我々がテロリストなら、裁判で、きっぱりと証明したらいいよ。私たちはこれまで一度も、あらゆる出来事で、起訴されたこともないし、有罪を受けたこともない。裁判で訴えられたこともない。私たちは違法な捕鯨を反対しているだけだよ。

盗人猛々しいと言いますか、うんざりしていたりする点に関しては日本人の方がはるかに上回っているかと思いますけれども(苦笑)、こうした彼らの一見意味不明の言動も彼らの支援をしているオーストラリアやニュージーランドの国内報道を知っていなければ理解できないということは、前回にも書きました通りですよね。
このあたりの現地での状況ということに関して昨年の記事ですが、豪州政府がどれだけテロリストに便宜を図っているのかということがよく判る記事を紹介しておきましょう。

反捕鯨の舞台裏(2009年3月28日日豪春秋)

調査捕鯨船への体当たり、目に入ると失明する恐れのある酪酸入り瓶の投擲――。それが「非暴力で行う」と宣言された抗議活動の現実だった。2008年12月4日にQLD州ブリスベン港を出航して以来、南極海で日本の調査捕鯨船団に妨害活動を展開してきた米反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」が09年2月9日、ウェブサイトで今季の妨害活動「ムサシ作戦」の終了と「成功」を宣言し、抗議船「スティーブ・アーウィン号」は20日、TAS州ホバート港に戻った。来季もさらなる妨害活動を継続する方針だ。国際捕鯨取締条約に基づいた公海上での正当な活動を暴力で封じようとする「目的のために手段を選ばないテロリスト」(水産庁)の蛮行に、いまだ終わりは見えない。

豪州政府の「厚遇」

 1月17日、給油のためにホバート港に一時寄港するスティーブ・アーウィン号を取材しようと待ち構えた。港には「シー・シェパード」と書かれた黒シャツなどを着た100人ほどの人だかり。支援者や船員の家族、恋人らだ。小学生ぐらいの少年が着用していたTシャツには、過去にSSが沈没させたり、衝突したりした16隻の船舶の名称が誇らしげに並んでいた
「グッジョブ ! 」「グッジョブ ! 」――。午後12時30分。髑髏マークの海賊旗を掲げた黒塗りの抗議船が接岸すると、一斉に歓声や拍手が巻き起こり、口笛が鳴らされた。日本から来た記者にとっては思わず後ずさりしたくなるような「アウェー」の光景である。
 港湾職員が船体をロープで固定するのを待って、入国管理や検疫、テロリスト潜入防止などの各任務を帯びた税関当局の検査官2人が船に乗り込んだが、1時間ほどで下船。かくして、豪州政府による船員全員の上陸許可はすんなり降りた。20日余り前の12月26日に、目視調査船「海幸丸」に船体を接触させたり、少なくとも15本の酪酸入りの瓶を投げ込む危険な行動を取ったにもかかわらずである。
「危険な物質の搭載や持ち込みは」と検査官の1人に尋ねたところ、「何の問題もなかった」とほほえむ。国際指名手配犯の乗船も念頭に「AFP(豪連邦警察)は来ないのか」とも訊いたが、「いや、(上陸に立ち会う)必要もない」と断言、そそくさと車に乗り込んで港を後にした。
 後で、20歳代後半とおぼしき「マルコム」を自称する男性船員は、記者の求めに応じていったん「腐ったバター爆弾」(SSは酪酸入り瓶を婉曲的にこう呼ぶ)を見せようとした。だが、しばらくして、「『記者に見せるな』とワトソン船長に言われた」と断ってきた。船内に隠してあることが前提の発言だった。税関当局の検査官は、酪酸入りの瓶を探そうとしなかったか、黙認したかどちらかである。

 こうした税関の対応は、現政権の政治判断を反映したもので、いわば当然の結果とも言える。ラッド豪首相は2007年末の総選挙で「日本の捕鯨を国際法廷で訴える」と選挙公約に掲げて、政権を奪取。今年1月8日、ギラード副首相は、日本の調査捕鯨船に酪酸入りの瓶を投げ込んだSSの給油のための寄港について「豪州の港湾に入港するのは何の問題もない」と豪州メディアに語っていた。
 豪州の政界は、ほぼ挙党一致で「反捕鯨」になびいている。豪紙記者は「大規模な予算をばらまかなくても少ない資金ですぐに票に結びつくという側面がある」と指摘する。政治家と反捕鯨団体の結びつきもそもそも強く、「反捕鯨担当」の現環境相、ギャレット氏は、鯨肉の窃盗容疑でメンバーが逮捕された「グリーン・ピース」の元理事。さらに、キャンベル元環境相(自由党)は昨年1月、SSの国際諮問委員に就任するなど、野党との関係も強固だ。
 2009年2月20日になって、連邦警察はようやくスティーブ・アーウィン号を初捜索した。だが、「捜索は日本の当局の要請を受けたもの」と警察当局は明らかにしており、捜査がどこまで本気で主体性のあるものなのかは不透明だ。

黒塗りの船の中に

 国営ABCテレビのクルーと話していた「ジョン」を名乗る広報担当者に、記者の乗船を頼んでみた。だが、「これまで日本メディアの乗船例はない」とあっさり拒否された。豪メディアは当然、乗船例があるそうだ。そこで、ワトソン船長が船体左舷から降りてきたのをつかまえ、「豪メディアはこれまで中を公開してもらったそうだが、ぜひ私も」と直談判。豪メディアのカメラが回っている最中だったのを気にしたのか、渋々認めた。
 しばらくして、「マルコム」氏が現れ、公開は「『正当な活動』の理解を深めてもらうため、初めて日本のメディアに許可された」と恩着せがましく言われた。
「マルコム」氏に連れられて迷路のような船内の奥へ奥へと足を踏み入れ、一眼レフで記録を始めると、「船内見取り図」を撮った直後に削除を命じられた。その中には公開できない部分があったようだ。カメラのモニターをのぞき込まれ、削除が確認できるまで足止めされた。

 船底付近に至ると、タタミ20畳ほどの談話室が広がっていた。奥の壁に掲げられた額の中に「第二勇新丸 共同船舶株式会社」との文字列を見つけ、思わず足が止まった。2008年1月15日に、豪州人ら乗員2人がボートで接近の末、不法侵入した調査捕鯨船「第二勇新丸」で入手したという、引き裂かれたかのようなオレンジ色の救命衣の一部だ。日本側に拘束される2人の写真も誇らしげに飾られており、「マルコム」氏は悪びれた様子もなく「勇敢な行為を記念するものだ」と説明した。あたかも “戦利品” のような丁重な装飾だった。
 隣接するキッチンをのぞくと、皿の上にハンバーグのような固まり。目を凝らしていると、「マルコム」氏は「我々は肉や魚、動物性蛋白質は一切摂取しない『ビーガン』だ」という。「ビーガン」は、菜食主義者の中でもとりわけ厳格に卵や乳製品を含む一切の動物性蛋白質を避けることで知られる。「乗員45人が全員ビーガンで、蛋白質は豆腐などから摂取する」という。クジラだけでなく、あらゆる動物の殺生が船員全員の禁忌であるからだという。本来は、世界中に「動物の殺生禁止を訴えたい」そうなのだが、反捕鯨に焦点を絞っているのは「クジラの方がメディアの注目を浴びやすいからだ」とのこと。だが、これまでに SSが、人間たる日本人捕鯨船員の命を危険に晒してきたことを考えれば、こうした考えが矛盾を来していることは言うまでもない。

日本人船員との面会

 もともと、日本人船員が最低1人乗船していることは把握していた。そこで、乗船前、カメラを構えてしきりにワトソン船長の降船の様子を撮影していた東洋人風の男性船員に「日本人か」と尋ねたら広東語を操る中国人とのことで、「日本人は乗船していない」という。が、これは乗船してすぐウソだと判明した。
 船内で「マルコム」氏に日本人に会わせてくれるように頼み、しばらくすると「顔の写真撮影なしで、匿名を条件に受ける」との返事。再び、談話室に案内されると、バンダナで覆面した小柄の黒髪の日本人女性が1人、ソファにちょこんと座っていた。
「20歳代の『かおり』、ということにしてください――」。おどおどした口調で、記者を警戒している様子だった。日本人記者が船内に入ったことは既に把握していたようだった。メンバーから「日本人記者がうろついているから気を付けて」と注意を受けていたのだという。ゆっくりと、生い立ちから尋ねていくと、「久々に日本語を話せてうれしい」と漏らし、緊張が解けたのか、徐々に冗舌になっていった。
 学生時代から環境問題に関心を持っていたが、友人の誘いを受けて2005年末にメルボルンに入港していたSSの抗議船を見に行ったのが始まり。ボランティアとして関わるうちに「クジラの窮状に気付き、積極的に(SSの)活動に関わるようになった」のだという。
「かおり」さんによると、07年2月の妨害行為で、警視庁が国際刑事警察機構(ICPO)に国際手配を要請した英国人のダニエル・ベバウィ容疑者も「今季も乗船中」で、「入港の際に税関に名簿も提出したが何のお咎めもなかった」という。豪州政府が今回の入港に際しても、本気でSSの危険行動を取り締まる気がなかったのは明白だ。
 酪酸入りの瓶を投げつけるなど危険な行為が続いていることを踏まえ、「反捕鯨を主張すること自体、個人の自由。だが、主張は言論でなすべきであって、暴力に訴えるべきではないのでは」と尋ねると、「口先だけの抗議では効果がない。世の関心を引くには(手荒な手段も)仕方ない」と、自らの主張の実現のために暴力が正当化されると受け取れる回答だった。「環境テロリスト」と呼ばれることには、「我々を “武器” を使って破壊しようとしている日本政府こそがテロリストだ」と反論した。
 身元を隠す理由については、「顔がバレると両親に迷惑をかけてしまうからだ」という。「シー・シェパードに関わるな」「クジラという言葉をもう聞きたくない」と両親に訴えられても、「クジラを救いたい」「日本の捕鯨は間違っている」と家を飛び出した「かおり」さん。「実は、パパには『早く心を改めて帰ってこい』と言われている」と聞き、日本で「かおり」さんの帰りを待ちわびているであろう両親の姿が目に浮かび、胸が痛んだ。当の本人は「両親こそ分かってくれないし、聞く耳を持ってくれない」と繰り返していた。

カルト団体

 10年前に取材したカルト団体が脳裏をよぎった。岐阜支局に勤務していた1999年にオウム真理教のメンバーを取材して感じたことと、「かおり」さんら SSの若い船員たちと話して感じたことが重なる。メンバーのほとんどが20歳代の若者だという点、理想に燃え、自身の理想追求のためには現行の法体系、社会秩序を無視してウソや暴力の行使も正当化する点だ。それに、その結果、非難されると一層社会からの疎外感や被害者意識を募らせ、次の攻撃的な行動につながっていると見受けられる点もだ。
 かつて捕鯨船を爆破したり、体当たりで撃沈させたりして、逮捕されたこともあるワトソン船長を信じて従う若者を、ある日本政府関係者は「 “教祖様” のマインド・コントロール下にある」と指摘した。派手な活動をすれば、より世界の耳目を集め、寄付金が集まるとばかりに活動をエスカレートさせている船長だ。若い船員たちがその呪縛から解き放たれる日は果たして来るのだろうか。

まあ親の気持ちも判りますけれども、こういうのはまさに怪しい宗教と同じで、一度はまったらおいそれと抜け出せるようなものでもありませんからねえ…
シー・シェパードをテロ組織認定しているアメリカなどはオーストラリアをテロ支援国家指定しないでよいのかと思うような話ですけれども、何にしろ世界にはテロ組織を英雄と崇め奉るような国があって、そこでは全てのテロ行為は英雄的行為であり、テロ被害者は正義の鉄槌を下されるべき犯罪者であるという認識がごく当たり前であるという事実は知っておかなければならないでしょうね。

さて、良識的な文明国たる日本としてはこうした人々に対してどう対応していくべきなのか、単に法律や国際的な約束に従って正当性を主張しているだけでは法も人道も超越した人々には対処できないのではないかと言う悲観論も出かねませんけれども、犯罪者と同じ土俵に乗ってしまうことは日本にとって決して得策ではないと思います。
テロとは妥協せず、その要求は断固撥ね付ける毅然とした態度が政府にも求められているのは当然だと思いますが、ここに来て気がかりなのは赤松農相が妙に日和ったようなことを言い出していることです。
およそあり得ないだろう「合意」を前提にした発言というのも交渉を前にしてどうかと思うのですが、これが彼らに得点を与える言質とならなければよいがと危惧しているところです。

南極海の調査捕鯨「800頭もいらない」…農相(2010年3月9日読売新聞)

 赤松農相は9日、閣議後の記者会見で、日本が実施している南極海での調査捕鯨について「800頭もいらない。調査はそれ以下でもととのう」と述べた。「生態系の解明のために必要」として毎年800頭以上の捕獲計画を策定してきた政府の方針を見直す考えを示した。

 発言は、南極海での捕鯨頭数を削減する代わりに日本沿岸などでの商業捕鯨再開を認めるという趣旨の国際捕鯨委員会(IWC)の議長提案に沿って、今後の交渉を進めるのが狙いとみられる。赤松農相は6月に開かれるIWC総会で、日本の沿岸商業捕鯨再開の合意をめざす方針だ。

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2010年3月12日 (金)

地理的な僻地と心の僻地はイコールではありませんが

今や医者不足ネタは全国どこでも珍しくない関係ですっかりニュースバリューも落ちた感がありますが、そんな中で最近某所界隈でも医療関係者のみならず一般人の間でもちょっとした話題になっているニュースがこちらです。

無医化危機 揺れる村(2010年3月11日  読売新聞)

上小阿仁唯一の医師辞意

 1通の辞職願で上小阿仁村が揺れている。村唯一の医療機関「上小阿仁村国保診療所」に勤務する有沢幸子医師(65)が「精神的に疲れた」と先月下旬、突然、退職表明し、61年ぶりの無医村になる可能性が出てきたのだ。関係者は必死の慰留を続けているが「辞職の意思は固い」という。休みは20日に1回という激務に耐え、地域医療を支えてきた有沢医師に何があったのか。(糸井裕哉)

 ■村の神様

 「死に水を取ってもらえた」「こんなに話しやすい先生は初めて」。村を歩くと村民から、有沢医師への感謝の言葉が聞こえて来る。有沢医師は昨年1月の赴任以来、午前8時30分~午後5時15分の定時診療のほか、早朝や夜間の往診も自発的に続けている

 脳梗塞(こうそく)で倒れた母(88)の看病を続ける小林ユミ子さん(66)の元にも、有沢医師は診療時間の合間を縫って連日訪問。今月8日の流動食開始日には3度往診し、「鼻から胃へ液体を落とすのよ」と優しい口調で説明を続けた。

 小林さんは「分からないことは丁寧に教えてくれる。有沢先生は私たちの神様なんです」と話す。

 斉藤ヒサコさん(70)は昨年3月に他界した義理の母(享年92歳)に対する有沢医師の献身的な診療が忘れられない。

 ふりしきる大雪の中、深夜の午前1時でも3時でも容体が悪化すると点滴や酸素ボンベを持って夫と駆け付けてきた。嫌な顔一つせず、「少しでも休んで」と家族をいたわってくれた。

 「息を引き取る瞬間まで、『ばぁちゃん、早く元気になれ』と声を掛け続けてくれた。先生が居なくなったら私は生きていけない」と斉藤さんは声を絞り出した。

 ■心に傷

 辞意を表した理由を有沢医師は公にしないが、小林宏晨村長(72)は「言われ無き中傷により、心に傷を負わせてしまったことが最大の原因」と語る。

 村幹部らによると、有沢医師は昨秋、診療所向かいの自宅に「急患にすぐに対応できるように」と自費で照明を設置。だが、直後に「税金の無駄使いをしている」と言い掛かりを付けた村民がいたという。

 また、昼食を食べに行く時間が無く、診療所内でパンを買った際、「患者を待たせといて買い物か」と冷たい言葉を浴びせられたり、自宅に嫌がらせのビラがまかれたこともあったという。

 昨年、有沢医師の完全休診日はわずか18日。土日や祝日も村内を駆け回り、お盆期間も診療を続けた。しかし、盆明けの8月17日を休診にすると「平日なのに休むとは一体何を考えているんだ」と再び批判を受けたという。

 診療所の小嶋有逸事務長補佐(60)は「こんなに身を粉にして働く医師は過去に例が無い。無医村になったら村民が困る。自分で自分の首を絞めている」と憤る。

 ■翻意なるか

 村は、有沢医師の負担を軽減するため、土曜日の完全休診制や村の特別養護老人ホームへの往診免除などを申し入れ、交渉を続けているが結果は芳しくない。

 村民の中には有沢医師に「辞めないで」と懇願するために受診する人もいる。署名活動の動きもあり、旅館経営の高橋健生さん(62)は「一人でも多くの声を伝えなければ手遅れになってしまう」と話す。

 有沢医師は兵庫県出身で、海外や北海道の利尻島などで診療に携わった経験がある。村へは夫と共に移住した。有沢医師は後任が見つかるようにと辞職日を来年3月末にした。だが翻意しなければ、村は2~3か月後に医師募集し、後任探しをしなければならない状況に追い込まれる。

 小林村長は「一部の不心得者のために人格も腕も一流の医師を失うのは不本意。医師不足は深刻で、無医村になる公算は限りなく大きい」とため息をつく。

「後任が見つかるようにと辞職日を来年3月末にした」なんてところにまだまだワキの甘さが垣間見えるような記事ですけれども、これ自体は今どきどこにでもあるような話ではありますよね。
何故この小さな村の話がこんな大きな話題になったのかと言えば、この村が無医村になるのは別にこれが初めてでも何でもないという歴史的経緯があるからなのですが、まずは話の最初からということで、ちょうど二年ほど前のこんな記事を紹介してみましょう。

無医村のため力尽くす 秋田・上小阿仁に松沢医師着任(2008年2月7日河北新報)

 「無医村」状態だった秋田県上小阿仁村に今月、栃木県の開業医だった松沢俊郎さん(67)が村国保診療所の常勤医として着任した。赴任のきっかけは、新たな勤務地を探していて偶然目にした村の医師募集のホームページ(HP)だったという。松沢さんは「村に縁を感じた。医療を切実に求める地域のため、職責を果たしたい」と意気込んでいる

 診療所は、1人しかいなかった常勤医が5月末に退職した。人口が約3000と県内で最も少ない小さな村に開業医はなく、村の要請で周辺市町の医師3人が非常勤で診察に当たってきた。

 内科医の松沢さんは、首都圏の病院に勤務した後、「医師を志した原点である『へき地医療』を担いたい」と、栃木県の農村部で開業。20年間、地域医療を支え続けた。地域の医療事情が改善し、「もっと困っている場所で診療したい」と考えたという。

医師が切実に求められている地域を探すため、7月にインターネットで「へき地」「無医村」をキーワードに検索し、最初に目に留まったのが上小阿仁村だった。村に連絡を入れると、早速、強い誘いを受け、「そんなに喜んでもらえるのなら」と今月1日からの勤務を決めた。

 新潟県出身の松沢さんは、東大文学部に進学後、シュバイツァーの著作に感銘を受け、「恵まれない人の役に立つ仕事がしたい」と、1年で東大医学部に入り直した。文学への情熱も冷めず、医師になった後も小説2作を出版した異色の経歴を持つ。

 松沢さんは、村の印象について「素直で実直な患者さんが多く、診察しやすい」と語る。患者の方言が理解できず、看護師に「通訳」を求めることも多いが、「この村が、医師として最後の勤務地。人への愛情、興味が尽きない限り、診療を続けたい」と話している。

今いる地域の医療状況が改善したからと、わざわざインターネットで検索してまで僻地、無医村にこだわるというあたりが並の情熱ではありませんが、「この村が、医師として最後の勤務地。人への愛情、興味が尽きない限り、診療を続けたい」とまで言い切る医者など今どきそうはいないということは誰しも理解出来ることだと思います。
これだけの熱心な先生が一年後には早期退職してしまったというのですから驚きますが、わずか一年で「人への愛情、興味が尽き」果ててしまうような経験とはどんなものであったのか、記事には語られていないそちらの方にも非常に興味が湧いてくるところではないでしょうか。

「無医村」回避で住民ひと安心 秋田・上小阿仁(2009年2月18日河北新報)

 「無医村」となる危機に陥っていた秋田県上小阿仁村に、京都府の医師有沢幸子さん(63)が村国保診療所の常勤医として赴任することが6日までに内定した。村は昨年5月、いったん無医村状態となり、公募に応じた栃木県の男性医師が同11月から診療所長として勤務。その医師も退職を申し出たため、村は再度、全国から医師を募集していた。

 村によると、有沢さんは兵庫県出身。内科と小児科が専門で、北海道利尻島の病院勤務や、タイでの医療支援に従事した経歴を持つ。秋田にゆかりはないが、へき地医療に深い関心があり、夫とともに村内に引っ越して来年1月から診察を始める予定という。

 村は、男性医師が本年度内の退職を申し出た3月、村ホームページ(HP)のほか、医療雑誌に広告を出して医師の募集を開始。9月にHPを見た有沢さんから連絡があり、村幹部との面接を経て診療所の常勤医に内定した。

 退職を申し出た男性医師も村HPの医師募集ページを見て赴任してきた経緯がある。男性医師の早期退職という「誤算」はあったが、村のインターネットを使った作戦が再び奏功した格好だ。

 上小阿仁村の人口は県内最少の約3000で、村内には開業医もなく、診療所の医師確保は深刻な課題となっている。昨年5月に1人しかいなかった常勤医が退職し、無医村状態となった同10月までは、村の要請を受けた周辺市町の医師3人が非常勤で診察していた。

 小林宏晨村長は「無医村になる危険性が大いにあった。全国的な医師不足の中、本当に幸運なことだ。できるだけ長く勤務してもらいたい」と、有沢さんの赴任を待ち望んでいる。

この問題は早速Wikipediaの「上小阿仁村」の項でも「無医村問題」として取り上げられていますけれども、実のところこの小さな東北の寒村が話題になったのは今回が初めてのことでもなくて、全く別方面でも少しばかり全国に名前が知られていたという経緯があるのですね。
少し前の話になりますけれども、やはり某所界隈で「奴隷募集?!」「あり得ない!」とちょっとした話題になったのがこちらの画期的企画?だったのです。

求む!限界集落再生の協力隊員…秋田・上小阿仁(2009年10月14日読売新聞)

 都会から農業の担い手となる若者を招き、廃村寸前の集落を再生させようと、秋田県上小阿仁村(かみこあにむら)は「地域おこし協力隊」の隊員2人の募集を始めた。

 11月1日から最長で2年5か月間、村の中心部から約20キロ離れた「八木沢地区」に住み込みで働いてもらう。小林宏晨(ひろあき)村長は「都会の若者の斬新なアイデアで過疎化を食い止めたい」と、救世主の出現に期待を寄せている。

 村の人口は約7000人(1960年)をピークに減り続け、2931人(9月末)。65歳以上が半数を超える「限界集落」は20地区のうち8地区を占める。

 隊員が入る八木沢地区は7世帯16人で、うち12人が65歳以上だ。山田テイさん(66)は、4年前に倒れて自宅療養中の夫(73)を支えながら、一人で農業を続けてきた。地区内で「最後の農家」だったが、今春、両ひざの痛みに耐えきれずにやめた。地区には至る所に耕作放棄地が広がっている。

 村中心部へは県道1本で、豪雪に見舞われると「陸の孤島」と化すこともある。商店もなく、鮮魚や青果を積んだ移動販売車が週2回、地区を訪れる。

 隊員は1日7時間、週5日勤務。農作業のほか、地区の高齢者が病院へ通う際の付き添いや、雪かき、ごみの不法投棄パトロールなども担う

 隊員がそのまま定住することを希望するが、頻繁に話し合いの場を設け、活性化のアイデアも求めている。小林村長は「地元の人の発想は限界に達している。面白い提案には村全体で取り組む」と真剣だ。

報酬は月額16万円。住居は、26年前まで小学校だった地区公民館で、改修後に無償提供する。募集は10月20日まで(当日必着)。応募要件は20歳以上で、運転免許(AT限定は不可)があること。

 問い合わせは村総務課(0186・77・2221)へ。

いやしかし雪かきやら農作業はまだしも、ごみの不法投棄のパトロールって何なんですか一体(苦笑)。
築ウン十年の公民館に住み込みで月額16万(ちなみに同村での公務員給与の相場は平均月額358200円、年収5405000円なんだそうですが)で、日々楽しい勤労が待っていそうなこの環境に一体募集があるのかと誰しも危ぶむところですが、驚くことになんときっちり二人分の隊員をゲットしたんだそうですね。
ちなみに隊員の楽しそうな生活ぶりは同村HPに随時アップされていますが、漏れ聞こえる噂と対照的なほど地上の楽園とも言うべき生活ぶりが浮かび上がってくる素敵な日記になっていますから、当然これは期限が過ぎても地元に定住していただけるものと期待していいんじゃないでしょうか。

まあ脱線はそれくらいとしても、当「ぐり研」でも繰り返し僻地医療問題を取り上げていますけれども、これまた繰り返すところですが「地理的な僻地と心の僻地はイコールではない」し、「地理的な僻地が全て医師不足に喘いでいるわけでもない」ということは強調しておきたいと思います。
もちろん単に地理的な僻地であることも医者がいなくなる大きな要因になりますが、実際千葉の片田舎に日本有数の大病院があったり、田舎の小さな病院でも医者をしっかり確保している病院が存在する事実をもってしても、単に田舎だから医者が来ないというわけでは必ずしもなくて、この場合はまず医療需給のミスマッチが医者が去っていく大きな要因になっているという側面があります。
例えば先日は隠岐島前病院で外科医がいなくなるというニュースが地方紙に出ていましたけれども、外科手術はわずかに年間10件というかの地での医療需要の実情を聞いてみれば、もっと医療需要の多い地域では仲間が激務に喘いでいるのに自分はこんなところで仕事もなく遊んでいていいのかと、責任感のある医者ほど日々需給ミスマッチの不条理を感じざるを得ないわけですよね。
地理的な僻地に済む人々は「おらが村には医者がいない」とよく言いますけれども、実は医療需給から考えるとむしろ都市部より医療資源に恵まれている場合の方が多いのだという事実をまず認識していただかなければならないでしょうし、そうであるからこそ厚労省が久しく以前から病院統廃合と医療資源集約化による需給ミスマッチの解消を目指しているという側面もあるわけです。

そしてまた一方では「心の僻地」という問題は別に地理的僻地に限らず全国どこででも発生し得るもので、そうした土地は往々にして「聖地」などと崇め奉られるものですけれども、これは街であろうが田舎であろうが今どきのネットで情報を収集している医者からは忌避されて当然ですよね(都市部の場合はもともとの医師数自体が多いですから、こうした判りやすい形では現れにくいですけれども)。
そうなると誰しも思うのが「地理的僻地かつ心の僻地って最悪?」ということだと思いますけれども、あちこちで経験者が語っている「ホンモノの僻地の実情」というものには経験からも頷けるという人も多いでしょうし、実際にそうした実態が公になれば今回の上小阿仁村のように全国に晒されてしまう、そんな土地でも来てくれるのはネットリテラシーの低い(今の時代、使えないと同義に近いですが)医者ばかりということになってしまうわけです。
一昔前には(今も?)医者は常に他人から医者として見られている、診療の場を離れても常時振る舞いに気を配れなんて自意識過剰気味な聖人像が要求されていましたけれども、こうした現代社会の状況を踏まえた場合に、今は地域住民もまた医者から常時見つめられているのだという自覚が必要になってくるんじゃないかと思いますね。

人間ですから別にいつ何時でも聖人君子である必要はありませんが、例えば自分たちにとってどうしても必要欠くべからざるような重要な仕事を担っている大切な人間の前では最低限維持するべき礼儀というものがあるのは医療業界に限らず社会常識ですし、それが出来ないような常識知らずの人たちとは自然お取引は考えさせていただきますというのも当たり前のことですよね。
医者は人並みの常識がないとか、医療の世界には世間並みの常識が通用しないとは言う人は今だに多いですけれども、個々の事例は一見して不可解なようでもその実際を紐解いていくと案外当たり前のことが起こっているに過ぎないのだと言うことは当「ぐり研」でも何度も取り上げてきた通りですし、世間の人間がされて嫌だと感じるようなことは医者だって当たり前に嫌だと感じるわけです。
長年にわたって染み付いた習慣やものの考え方を改めるのは難しいかも知れませんが、それが出来なければ外部の人間はもちろん地域内の心ある人達すら次々と逃げ出してホンモノの僻地になってしまう、それが嫌なら自分たちにも何か改めるべきところがあるのではと考えを進めた場合に、まず「医者もまた人間である」という単純な事実に思いを致していただく必要があるんじゃないかと思いますね。

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2010年3月11日 (木)

診療報酬 改訂した結果こうなった?

なんだかんだと言いつつも診療報酬改訂作業が進んで大枠は決まった状況ですが、細かい文言の詳細など未だはっきりしないところも残っているという状況のようです。
特に最近では医療行政の関係者がそれぞれ勝手にしゃべっているような印象もあるところですが、その結果今まで何となくそうだろうと思っていたところが一夜にしてあっさりひっくり返されたり、何か実際に出てきてみたら思っていた話と違う?なんてことになりがちですよね。
以前に診療側委員が不自然な心変わり?を示して急転直下の合意に至った明細書発行の件なども、詳細が出てきてはじめて「なんだ結局そういうことだったの?」と理解出来るくらいによく判らない議論ではありました。

明細書、「正当な理由」あっても患者が求めれば発行(2010年3月5日CBニュース)

 診療報酬明細書(レセプト)並みの明細書の無料発行が、レセプトを電子請求している医療機関に来年度から原則義務付けられるのに伴い、厚生労働省は3月 5日、具体的な取り扱いを通知した。それによると、「正当な理由」があり、義務化の対象から除外される医療機関でも、患者の求めがあれば明細書を発行しなくてはならない

 レセプト電子請求が義務付けられている保険医療機関が領収証を交付する際には、4月1日から、「正当な理由」がない限り、明細書を患者に無償で交付しなければならない。
 通知によると、明細書は「個別の診療報酬点数の算定項目が分かるもの」。具体的には「入院料」などの大まかな区分だけでなく、「一般病棟入院10対1入院基本料」や「救命救急入院料1(3日以内)」といった点数や算定回数などの内容を記載する。
 また、病名告知や患者のプライバシーにも配慮するため、明細書を発行することを院内や会計窓口に掲示し、患者側の意向を的確に確認できるようにすることを求めた。

 義務化の対象から外れる「正当な理由」には、▽明細書発行機能がないレセプトコンピューターを使用している▽自動入金機を使用しており、これで明細書を発行するには改修が必要-の2点を挙げている。
 4月1日現在、電子請求が義務付けられていて、これらに該当する医療機関は、地方厚生局などに4月14日までに届け出る必要がある。
 しかし、こうした医療機関も、患者から発行を求められた場合には交付しなければならない。また、「正当な理由」に該当することのほか、希望する患者には明細書を発行することや、費用徴収の有無などを院内掲示などで明示するよう求めている。

 レセプト電子請求が義務付けられていない保険医療機関に対しては、明細書発行に関する状況を院内に掲示することを求めている。
 発行の際の費用については、実費相当など「社会的に妥当適切な範囲」とし、実質的に明細書の入手の妨げとなるような「高額の料金を設定してはならない」とした。

しかし色々と議論が錯綜した挙句に「正当な理由のない限り、原則として明細書を無料で発行する」という文言に話が落ち着いたと記憶していますけれども、この文言と「正当な理由があっても義務化の対象外でも希望者には全員発行しなければならない」との間には、何かしら微妙に距離があるように感じられるのは自分だけでしょうか?
まあ医療側委員の皆さんも大喜びで賛成した話ですし、患者側代表(ということになっている)委員さんももちろん希望すればいつでもどこでも出せるというのですから文句のつけようがないと思いますけれども、いずれにしても末端医療機関にとっては仕事が増えるという話ではありますよね。

診療報酬改定の目玉として病院側の報酬を手厚くする、この予算を捻出するために診療所への報酬を削減するということが既定の方針として伝えられていて、とりあえず診療所の開業医に対する支払い総額が200億円の減になったということが先日も各紙に報道された通りでしたよね。
当然ながら個々の診療所もその分収入が減って当然という話ですけれども、何かしら厚労省では面白いことを言い出しているようですね。

有床診療所の評価「実質引き上げ」-厚労省担当者(2010年3月8日CBニュース)

 厚生労働省保険局医療課の石井安彦長補佐は3月7日、診療報酬改定セミナー「ベール脱いだ民主政権下の医療改革2010年改定の核心を衝く」(じほう主催)で、地域医療を支える有床診療所への評価について、「実質的には引き上げを行っていると考えていただいてよろしいかと思う」と述べた

 現行では、有床診療所入院基本料で最も高い点数は、看護職員の配置が5人以上の「有床診療所入院基本料1」(7日まで810点)だが、改定後は、看護職員の配置が7人以上の「有床診療所入院基本料1」(14日まで760点)で、50点低くなる。
 石井氏は、「今回の改定で、若干の誤解がある部分もあるかもしれない」と述べ、改定前後の点数を比較した。

 それによると、医師2人、看護職員8人の有床診療所が入院患者を受け入れた場合、現行では「同基本料1」(810点)と「医師配置加算」(60点)を算定すると、全体の点数は870点になる。
 これに対し、4月の改定では「有床診療所一般病床初期加算」(7日まで100点)が新設されるほか、現行60点の「医師配置加算」も要件を満たせば88点に上がり、全体では948点の算定が見込める。

 引き続き行われたシンポジウムでは、全日本病院協会の猪口雄二副会長が講演し、2010年度診療報酬改定の影響を診療所、中小病院などに分けて説明した。
 診療所については、再診料の2点引き下げが決まったものの、「ほとんどの診療所が地域医療貢献加算を取ると実質的には上がる」との見方を示した。また、外来管理加算の「5分要件」も外れたため、「実際はそんなに下がらないのかなという気もする」と指摘した。

 精神科に関しては、「精神科病棟『13対1』入院基本料」の新設により、日本精神科病院協会の内部に、「看護師の奪い合いが起きてしまう」と懸念する声があることを明らかにした。

 また、中小病院への影響については、急性期看護補助体制加算や医師事務作業補助体制加算、一般病棟看護必要度評価加算など、「『10対1』(を算定している病棟)は、取れるものがたくさんある」と指摘。「7対1」の体制を維持するのが困難なため、「『7対1』を『10対1』に落とす病院が増えるのかな、という気がしている」との考えを示した。

いや誤解ならいいんですが(苦笑)、とりあえずここでは全日本病院協会が厚労省の代弁者じみた発言をしているという点に留意ください。
「ほとんどの診療所が地域医療貢献加算を取ると実質的には上がる」と言いますけれども、そうであるなら減収分200億円のお金を他に回すという前提自体が崩壊することになりますから、本当にそんな結果になれば厚労省が財務省に嘘をついたということになってしまうんですけれどもね。
最終的に診療所への支払いは減らなかった、病院への支払いは増えたということになればこれは予算が足りないということになってしまいますけれども、おそら くその辺りの帳尻合わせは加算を申請した診療所への査定でどのくらい切るかといったあたりで調節することになるのでしょうかね?

厚労省とすればいわゆるビルクリをターゲットにしました、真面目な開業の先生方には関係ありませんとアピールしているつもりなのかも知れませんが、こうして言葉を重ねるたびにただでさえ乏しかった厚労省への信用なり信頼なりと言ったものがますます乏しくなっている気もしてきます。
その地域医療貢献加算の件ですけれども、前回も24時間対応の義務化は見送りの方針だとか、複数診療所で組んでのグループ対応でも良いなんて話が錯綜していましたが、最終的にこんな形でまとまってきたということのようです。、

地域医療貢献加算、複数診療所の対応も可(2010年3月5日CBニュース)

来年度の診療報酬改定に関して、厚生労働省が3月5日に通知した施設基準では、再診料の加算として新設される「地域医療貢献加算」(3点)について、複数の診療所による対応でも算定できることが示された。同省では当初、単独での24時間の電話対応を想定していたが、要件を緩和した形だ。一方、「5分ルール」が廃止される「外来管理加算」(52点)では、いわゆる「未受診投薬」を規制する要件が新たに加わった。

地域医療貢献加算は、休日や夜間の患者からの問い合わせに応じている診療所を対象としたもので、来年度の改定で診療所の再診料が2点下がるのに伴い、病院を受診する軽症患者の減少などで勤務医負担の軽減につながる取り組みを評価する形で新設される。

地域医療貢献加算の施設基準は、▽診療所であること▽標榜時間外に、電話などで患者からの問い合わせに応じる体制を整備するとともに、対応者や緊急時の対応体制、連絡先などについて、院内掲示や文書配布、診察券への記載などで患者に周知していること。または、診療所の職員が対応する場合でも、医師に電話を転送できる体制を備えていること▽あらかじめ当番医を決めた上で、複数の診療所が連携して対応する場合は、当番医の担当日時や連絡先などを事前に患者に周知していること―の3点
厚労省が示した留意事項では、緊急病変時などに患者から直接または間接(電話、テレビ映像など)に問い合わせがあれば、必要な指導を行うこととしている。また、周知している電話番号が診療所の場合、転送可能な体制を取るなど、「原則として常に電話に応じること」とし、万が一、電話に出られない時は留守番電話などで対応した後、「速やかに患者に連絡を取ること」を求めている。さらに、相談の結果、緊急に対応しなければならない場合は、外来診療、往診、他の医療機関との連携または緊急搬送など医学的に必要とされる対応を行うことも要件としている。なお、電話再診の場合にも算定できる

■外来管理加算、4項目すべてを満たす必要はない

外来管理加算は、診療報酬で評価されている処置やリハビリテーションなどを行わずに外来患者に計画的な医学管理を行った場合、再診料に加算される。
2008 年度の改定では、▽問診し、患者の訴えを総括する▽身体診察によって得られた所見及びその所見に基づく医学的判断等の説明を行う▽これまでの治療経過を踏まえた、療養上の注意等の説明・指導を行う▽患者の潜在的な疑問や不安等を汲み取る取り組みを行う―の4項目について、おおむね5分を超える診察時間とする「5分ルール」が加わったが、来年度の改定でこれを廃止する。
厚労省が示した留意事項によると、「患者の状態等から必要と思われるもの」を行い、必ずしも4項目すべてを満たす必要はない。ただし、多忙などを理由に患者に必要とされる医療行為を行わず、簡単な症状の確認などで継続処方を行った場合(いわゆる「未受診投薬」)、再診料は算定できる一方、外来管理加算は付かない

一方、レセプト並み明細書の診療所での発行を促進するため、来年度に新設される「明細書発行体制等加算」(1点。再診料に加算)の施設基準は、▽診療所であること▽オンライン、または光ディスクなどで診療報酬を請求していること▽レセプト並み明細書を患者に無料で発行していること。また、それについて院内で掲示していること―の3点。

当初の報道にあった「かかりつけ患者からの電話相談に対応」云々ということで見てみますと、特にかかりつけであることを条件としていない(かかりつけ患者以外への広報も義務化されてはいませんが)ということなんですが、結局はみたことも聞いたこともない相手でも電話がくれば必ず対応しなければならないということでよいわけでしょうか。
一方で24時間対応でなくてもよいという話は一切記載がないようですから、複数施設で対応するということも可と条件を緩和した形で結局24時間の対応はしなければならないということで決着したのでしょうが、いずれにしても診療所の医者に楽をさせるつもりはないという姿勢が明確に出ているというわけでしょうか。
しかし電話再診だけの丸投げは既定路線としても、記事から見たところでは加算の要件としては診療所であることが挙げられていても、連携先の当番医が診療所であることまでは挙げられていないようにも見えるのですが、留守電に近場の救急病院を受診するよう吹き込んでおくだけでオッケー、なんてこともありなんですかね。

五分要件に関してはさすがに廃止しないことには収まりがつかない状況ですが、またこの留意事項が何とも微妙な書き方で迷わしいところですよね。
必要とされる医療行為云々が具体的にどのようなことを指しているのかは不明ですけれども、とりあえず聴診や血圧測定は疑いのない医療行為だとしても、問診とそれに続く指導などがどこから「簡単な症状の確認」と線引きされることになるのか、これも実際の運用を経てみないことには何とも言い難いところです。
後日の監査でカルテに何の記載もないというような状況では問答無用に切られても文句は言えないですから、とりあえずはどのような医療行為を行ったかをアピールできるだけの情報は残しておかないといけないでしょうね。

一方で今回の改訂で優遇しましたと厚労省が胸を張る勤務医側(厳密に言えば勤務医ではなく、病院側ですよね)ですけれども、こちらも様々なアイデアが出ている割にこれはと思うような状況打開の目玉が見当たらないのも事実だと思いますね。
勤務医対策と言っても病院に対する診療報酬の上乗せで評価せざるを得ない以上、実際に勤務医の置かれた状況が改善するのかという実効性の問題についてはすでに各方面から指摘されているところですけれども、それだけでなく詳細を見ていくと「これで本当に激務がマシになるのか?」と首をかしげるような話も出ているようです。

勤務医の負担軽減策、9つの点数に拡大(2010年3月5日CBニュース)

 来年度の診療報酬改定では、病院勤務医の負担軽減や、処遇改善をうながす体制づくりの要件を、「急性期看護補助体制加算」や「栄養サポートチーム(NST)加算」などに新たに盛り込む。これにより、勤務医対策の点数は現行の3つから9つに増える。
 厚生労働省が3月5日に通知した施設基準は、▽病院で働く医師の勤務状況を把握し、改善に向けて提言するための責任者を配置する▽勤務医の負担軽減などの改善計画を作成。その達成状況を評価するため、多職種からなる役割分担推進のための委員会または会議を設置し、適宜開く▽当直など夜勤を含む勤務時間を把握。その上で、業務内容などを考慮しながら、特定の人に業務が集中しないような勤務体系を策定し、職員に周知徹底する―など。改善計画については、短時間正規雇用医師の活用や交代勤務制の導入などを例示している。
 勤務医の負担軽減のための体制づくりの要件は現在、「ハイリスク分娩管理加算」「医師事務作業補助体制加算」「入院時医学管理加算(総合入院体制加算)」の3つに盛り込まれているが、来年度には、急性期看護補助体制加算やNST加算のほか、「呼吸ケアチーム加算」「小児入院医療管理料1」「同2」「救命救急入院料(特定の加算を算定する場合)」―の6つの点数にも反映される。負担軽減と同時に、処遇改善につながる体制づくりも新たに求める。
 これら9つの点数を算定するには、点数ごとの要件と、負担軽減に関する要件の両方を満たす必要がある。

■勤務医の労働環境把握、「客観的な手法が望ましい」

 医療関係者の注目を集めていた勤務状況の具体的な把握については、「客観的な手法を用いることが望ましい」としている。同省では、月内にも事例集(Q&A)を出し、要件を明確化する方針
 勤務医負担の要件をめぐっては、1月27日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、「タイムカード等の客観的な指標で勤務医の勤務時間を把握している」ことを盛り込む改定案が示されたが、厚労省は2月10日の総会で、「勤務状況について具体的に把握している」と修正。その後の動向が注目されていた。

いかにも現場を知らない人達の手になる「僕の考えた理想の職場」臭が濃厚に漂うのはご愛嬌としても、「勤務医の負担軽減などの改善計画を作成。その達成状況を評価するため、多職種からなる役割分担推進のための委員会または会議を設置し、適宜開く」とは一体どういうことなのでしょうか。
委員会やら会議やら診療以外の業務が幾らでも増えて医師が疲弊しているから何とか業務の負担分散をしましょうと言っている時に、減らすのではなく更なる仕事を増やしてどうするつもりなのかという話ですけれども、このあたりは会議が仕事のお役人と、仕事の後で会議をする現場の人間との感覚の違いということなんですかね?
「業務内容などを考慮しながら、特定の人に業務が集中しないような勤務体系を策定」という話も言葉で見ていると当たり前だと思えるような話ですが、仕事が遅くていつも残業している人と、仕事が手早くていつも定時帰り可能な人とでどちらに業務が集中しているかという現場の状況を考えると、下手をすると勤務医と開業医の差どころではない現場での不均衡がますます助長されかねない危険もあるかと思います。

このあたりの実際にどう勤務状況改善を評価するのかといった方法論も含めて、診療報酬改定の詳細はちょうどこれから各地で説明会が開催されているところだと思いますけれども、ネット上の声を拾って見るといつもの事ながら「重要な発表を週末に」というところに非難の声が上がっているようですね。
スケジュールの関係でこういうことになっているという話ではあるのですが、こうも毎回同じように騒ぎが起こっているのに改善する意志がなさそうなところを見ると、どうも意図的にやっているようだと誰しも考えざるを得ないところでしょう。

620 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/06(土) 21:48:44 ID:Ieq/HH+00
どうしていつも、こういう面倒なものを金曜日に発表するのかね。
以前の後発医薬品一覧も金曜日で、ネットにはつながらないは
間違いはあるわ、エクセルだかの専用ファイルで閉口したっけ。

金曜日午後以降は、質問は受けませんって態度がひどいねぇ

622 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 23:23:06 ID:f8XCeqnc0
お役人さまは金曜日午後以降は、質問は受けません。
開業医どもは土日夜間も24時間365日質問は受けつづけろ

って態度がひどいねぇ。

厚労省の態度は態度として、今回の診療報酬改定をどう評価すべきなのかという点については評価が分かれるところですよね。
議論の場からも締め出された日医は当然のことながら反発しているし、全般的に切り下げられる側に回った開業医もネット上の声を聞く限りやっていられないと反発の声が強いのは予想の通りですが、一方で厚遇されたはずの勤務医の側からも反発の声こそ少ないとしても好意的な評価もほとんど聞こえないのは注目に値するところです。
実際に現場で奴隷労働をしている勤務医は元々そうした待遇などには興味がないのだと言ってしまえばそれまでですけれども、一方で実際に増えた診療報酬を受け取る病院経営者側の立場にある病院協会の方では、総じて好意的な評価をしているらしいのは好対照ですよね。

2年後の改定、複数科の再診料が争点に(2010年3月6日CBニュース)

【第99回】西澤寛俊さん(全日本病院協会会長)

 10年ぶりにネット(総額)でプラスとなる来年度の診療報酬改定。勤務医の負担軽減などから、今回は病院側に手厚かったものの、病院団体が要望していた入院基本料の底上げには至らなかった。また、外来の財源枠があらかじめ決まっていたため、病診の再診料統一をめぐる議論が紛糾し、複数科の再診料の検討も見送られた。中央社会保険医療協議会(中医協)の委員を務める全日本病院協会の西澤寛俊会長は、2年後の改定では複数科の再診料が争点になると強調する。西澤会長に来年度改定の評価と、中医協の今後の在り方などについて聞いた。(敦賀陽平)

■来年度改定、「大病院には非常によかった」

―来年度の報酬改定をどのように評価していますか。

ネットでプラスになったことは評価したいと思います。本音を言えば、もう1ケタぐらい付くのではないかとの期待を持っていました。民主党のマニフェスト (政権公約)などで、われわれ(医療者側)にかなり大きな期待を持たせたなと。ただ、税収の伸び悩みなどを考えると、厚生労働省の政務三役は頑張ったと思います。
 病院全体を見ても、いい改定だったと言えるでしょう。特に救急、産科、小児科などがあり、かなり高度な手術をやっている大病院にとっては非常によかった。中小や慢性期医療を担っている病院への恩恵はそれほど大きくありませんが、過去10年の状況を考えると、かなり改善されたと思います。

―外来と入院の財源枠が初めて示されましたが、これをどのようにとらえていますか。

 社保審(社会保障審議会)の基本方針があり、内閣で改定率が決まっていた上、入院の財源枠の中でも4000億円は急性期医療といった縛りもあった。これは非常にやりづらかったですね。もう少し自由度があってもよかったと思います。決して、単純に分けられる話ではありません。われわれ、病院経営者はトータルで判断しなければならないので、改定に関してもバランスを考えますから。

―政権交代で中医協人事が難航し、改定の議論が1か月遅れましたが、その影響はありましたか。

 影響は非常に大きかったですね。もっと議論の時間が欲しかった。もともと、中医協で改定の議論がスタートするのは遅いのに、それがさらに遅れた。今回、社保審の医療部会と医療保険部会がいつもより早く開かれましたが、結果として、その意味がなくなってしまった。細かい部分では、もっと議論すべき点もあったのかなと。基本方針にのっとって各項目を評価する前に、もう少し基本的な議論があってもよかったと思います。
 一つの象徴が、再診料だったのではないでしょうか。ほとんど議論しないまま、「この財源枠の中でどうするか」というところから始まったのは、やはり不満が残ります。再診料は、外来の点数の技術料の最たるものです。「技術料とは何なのか」「そこに何が入っているのか」という議論が必要だったと思う。また、最終的に全体の財源で決まるのはやむを得ないにしても、その財源自体、われわれは絶対的に少ないと考えているわけですから、それを共通の認識にした上で、議論するなり点数を付けるというのが筋ではないでしょうか。これらの議論が抜けてしまったのは、すごく残念だと思います。

―日本医師会の執行部の委員が外れたことについて、どのようにお考えですか。

 前回改定までは、日医を中心に全体の流れがほとんど決まっていました。ただ、それはよい面もあったと思います。早い段階から診療側で議論をして、ある程度の考えをまとめてから、中医協の議論に臨むことができましたし、お互いの考え方もよく分かっていた。しかし、今回は「ぶっつけ本番」のような形になったので、そういう意味では、これまでとは違いましたね。最初は議論がどう進むのか非常に不安でしたが、(診療側の)新しい先生方はしっかりした見識を持った方ばかりで、非常にいいチームだったと思います。

■明細書の無料化、「冷静な議論があってもよかった」

―来年度から、病院(200床未満)の再診料が9点上がる一方、診療所は2点下がります。200床以上の外来診療料は点数が据え置かれましたが、再診料をめぐる議論を振り返っていかがですか。

 わたしたちは入院と外来、トータルで考えました。外来だけを見ると、「どうして200床未満だけで、200床以上は点数が付かなかったのか」という話になりますが、トータルで考えると、入院は200床以上に重点的に付いている。中小病院は、救急もあまり高度なことはやっていませんし、難しい手術もそれほど多くありません。産科や小児科をしているところも少ないので、入院ではあまり評価されないことになる。だから、外来でその分を配慮してもらったということです。外来の財源枠は400億円と決まっていたので、全体のバランスを考えた上で、外来診療料については見送らざるを得ませんでした

―レセプト(診療報酬明細書)並みの明細書の窓口での発行が、来年度から原則として無料になります。

 きちんと議論ができなかったという意味では、これも悔いが残ります。もう少し冷静な議論があってもよかったのではないでしょうか。われわれが毎回明細書を出す必要はないのではと主張すると、情報を隠そうとしていると取られてしまった。それがすごく残念ですね。方法論として、どれだけの患者さんが望んでいるのかというデータと議論があってもよかったと思います。ただ、これは中医協ではなく、社保審の医療保険部会で議論すべきだったのかもしれません。

―日本病院団体協議会(日病協)の要望のうち、入院基本料の大幅な引き上げは実現しませんでしたが、一方で、急性期の病院に対する看護補助者への加算が新設されました。

 すべての入院基本料の底上げにはなりませんでしたが、14日以内の入院早期の加算を22点引き上げたほか、10対1に「一般病棟看護必要度評価加算」として、1日5点の算定を認めるなど、加算である程度は評価されたと言えます。また、急性期病棟への看護補助者の配置を評価する「急性期看護補助体制加算」も新設されました。この算定期間は14日までですが、かなり点数が付いています。そういう意味では、限られた財源の中で、厚労省なりに考えたと思っています。
(略)

全般的には昨今青筋立てっぱなしの日医に比べてずいぶん余裕ある態度だなという印象を受けるところで、厚労省に敵対的な態度が目立つ日医のコメントに比べるとずいぶんと肩を持つものだなとも感じられますが、このあたりのスタンスの違いを見ると日医という団体はまだしも経営者よりは労働者寄りの団体だったんだなと改めて再認識しますね。
西澤氏の全日本病院協会も参加する病院系団体である日本病院団体協議会の邉見公雄副議長も、先日の記者会見で妙に歯切れの悪いコメントの中にも日医と違って基本的に政策支持を表明していますけれども、こうして行政側に配慮が出来るというあたりが今や反対反対と叫びたてることしか出来ない日医との違いで、それがお上の覚えの差となって現れてきているということなのでしょうか?
いずれにしても今後は各地で説明会に参加した先生方から「何だそれは!ふざけるな!」なんて声も上がってくるんだろうという気はしますけれども、詳細が明らかになった時点で今回の新参である診療側委員諸氏らも含めた当事者が、改訂作業を振り返ってどのようなコメントを出してくるかといったあたりにも注目していきたいと思いますね。

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2010年3月10日 (水)

テロリストとテロを支援する人々 負の連環

環境テロリストのシー・シェパードには日本人も加わっているということは以前から知られていましたけれども、最近話題となったのがその日本人のインタビュー記事です。
数年前に知られていた日本人とはどうやら別人らしいという話ですから、少なくとも二人以上の日本人が加わっている(いた?)ということになるのでしょうか。

抗議船に乗り込む日本人“マリコ”氏が語る(2010年3月7日日本テレビ)

 反捕鯨団体「シー・シェパード」の抗議船に通訳として乗り込む「マリコ」と名乗る30歳代の日本人女性が、NNNの取材に応じた。母国・日本の船に対して妨害を続けていることについて、心境を語った。

 マリコ氏「妨害することで日本が捕鯨をやめることができたら…逆にホエールウオッチングのビジネスで栄えることができたらうれしいと思いませんか?(Q、日本人としてつらいと思う?)(気持ちは)複雑ですよ。大変だと思うことはいっぱいあります」

 シー・シェパードをめぐっては先月、メンバーの一人が日本の監視船「第二昭南丸」に侵入、身柄が拘束され、現在、日本に移送中。マリコ氏は「(拘束されたメンバーは)昭南丸の船長と顔を見ながら話したかったので、船に入るしかなかった。彼(拘束されたメンバー)は東京に行くであろうとわかっていたと思う。そうなってもいいと思っていた」と、侵入はやむを得ない行動だったとの主張を繰り返した。

 一方、反捕鯨国・オーストラリアでは、捕鯨船、シー・シェパード双方に冷静な対応を求める声が上がっている。

 抗議船は今月中旬、クロマグロ漁の妨害のため地中海に向けて出航する予定。

ま、テロリストと言えども言論の自由はあるわけですから発言は御随意にというところではあるのですが、一体誰が何をどう「うれしいと思」うのかさっぱりロジックが理解できないのは自分だけでしょうか(苦笑)。
このあたり、しばしば曖昧で何とでも取れるとも言われる日本語という言語体系は、お互いの共通認識という基盤が存在して初めてコミュニケーションツールとして機能するという一説を受け入れたくなるところですかね。
一方で「やむを得ない行動」で不法侵入を働いたというかの元船長氏ですが、船内ではずいぶんと安楽な時をお過ごしのようですね。

【衝撃事件の核心】日本船に侵入したSS抗議船長の“正体” “ご法度”の肉もしっかりと食べて…(2010年3月6日産経新聞)

 日本の調査捕鯨船団の一隻に不法侵入する“事件”を引き起こした米団体シー・シェパード(SS)のメンバーが、日本に向けて移送中だ。海上保安庁の取り調べを受けることになったSS抗議船「アディ・ギル号」のピート・ベチューン船長は、拘束中の船内でも余裕の表情。生物を“愛”するSS抗議船では肉食が“ご法度”のはずだが、肉や魚もしっかり食べて、比較的自由な毎日を送っているという。環境保護を標榜(ひょうぼう)しながら、捕鯨船団に対して毎年、暴力的な妨害行為を続けるSSメンバーの“言行不一致”に捕鯨船団の関係者もあきれ顔だ。(菅原慎太郎)

仏料理や中華も? 肉や魚のごちそうを3食きっちり

 南極海から太平洋を北上し、日本へ向かっている捕鯨船団の妨害監視船「第2昭南丸」。ベチューン船長は、この船の1室に拘束されている。

 「外の空気を吸いたい」

 「外で運動したい」

 ある晴れた日、ベチューン船長がこう言い出した。見張りの船員は、船長を拘束している部屋から出し、甲板へと連れて行った。外に出た瞬間、潮風がゴーッと音を立てて吹き付けてくる。船長は気持ちよさそうに深呼吸し、腕立て伏せを始めた…。

 「ベチューン船長は『拘束』されているといっても、手錠をかけられたり、縛られたりしているわけではないし、牢獄(ろうごく)に入れられているわけでもない。結構、自由に歩き回っている

 ベチューン船長の日本船内での暮らしぶりを、捕鯨船団関係者はこう明かした上で、次のように続けた。

 「日本は、違法行為の容疑者であろうと、暴力的な扱いはしないと知った上でわざと乗り込んでいるとしか思えない。法廷に出て反捕鯨キャンペーンをするつもりなんだろう」

 船長が入れられている船室は、一般の船員と同じ部屋で、ベッドや机もある。入り口に見張りの船員はいるが、鍵もかけられていない。

 「第2昭南丸はSS抗議船を監視するための船で、船長が歩き回っても問題ない。もちろんボイラーなど危険な部分には、立ち入らせないが」

 食事も一般船員と変わらない。1日3食。肉、魚、野菜…さまざまな素材を使った料理をベチューン船長はしっかりと食べ、健康な様子だという。

 SSのポール・ワトソン代表は「菜食主義者」と公言しており、SS抗議船内では肉や魚は食べてはいけないという。

 「だとしたら、日本船内の方が、おいしいものを食べているかもしれない。何カ月も、陸に上がらず生活する捕鯨船員の楽しみは食べることだから、捕鯨船団の食事は豪勢。フランス料理や中華料理も出る」

 捕鯨船に乗船経験がある男性はこう話す。
(略)
 公海上の乗り込み行為でも、日本船内では日本の法律が適用されるため、取り調べは日本の刑法や刑事訴訟法などに基づいて行われる。船長は当面は、第2昭南丸に強引に侵入した艦船侵入容疑で取り調べられることになりそうだ。

 艦船侵入罪の刑罰は、3年以下の懲役刑か10万円以下の罰金しか定められていないため、これだけの場合、起訴されないケースも多い。ただ、ベチューン船長は化学物質の酪酸が入った瓶を捕鯨船に投げ入れるなどして、日本船の3人の顔にけがを負わせた捕鯨妨害についても「自分がやった」と認めていることから、より罪の重い傷害容疑(15年以下の懲役など)で立件される可能性もある。
(略)

一部ではいまだに何もせず送り返せなどと主張する声もあるようですけれども、現実問題として日本人相手なら何をやろうが許されるなどという状況をこれ以上公式に認めてしまうのは、今後の船員らの安全確保の上でも極めて危険だと思われますし、国民感情からも法の下の平等という観点からも到底容認出来るものではないでしょう。
2008年の不法侵入でテロ組織のメンバー二人を豪政府に引渡し(実質無罪放免ということですね)した際には、当時の野党であった民主党は対応が甘いと政府を批判する側であったわけですから、今回は当然に甘くはない厳正な対処をしてくれるのではないかと期待されるところですよね。

さて、今回のテロ行為と関連して日本側はテロ船の実質母港であるオーストラリアに対しても捜査協力を依頼していると言いますが、どうも現地の方ではなかなかに複雑な状況になっているようです。
反捕鯨の急先鋒であるオーストラリアとしても(少なくとも表向きは)テロ支援国家認定は避けたい、しかし国内世論などの動向を見ても日本への協力も行い難いということで、結果として好き放題テロリストの跳梁を許すこととなっているわけです。

反捕鯨団体の船を捜索=豪警察、日本の要請受け(2010年3月6日時事ドットコム)

 【シドニー時事】オーストラリア連邦警察は6日、南極海での日本の調査捕鯨妨害活動を終え、タスマニア州ホバートに寄港した反捕鯨団体シー・シェパード(SS)の抗議船を捜索した。豪ABC放送(電子版)などによると、捜索は日本側からの正式な要請を受けたものという。豪警察当局は昨年2月にも抗議船の捜索を行っている。
 日本は豪州に対し、SSへの断固たる対応を要請しているが、豪州側は暴力的行為は非難しつつも「入港を規制する法的根拠はない」などとして具体的対応には慎重姿勢を示している。

シー・シェパードの寄港「支持者と警察が待っていた」-豪メディア(2010年3月7日サーチナ)

  南極海で日本の調査捕鯨船の妨害活動を行っていた、シー・シェパードの抗議船二隻が、豪南部タスマニア島のホバート港に寄港し、豪州連邦警察の捜索を受けた。捜索は日本側からの要請を受けて行われた。

  岡田外務大臣は、2月の訪豪でラッド首相と会談し、シー・シェパードの取り締まりを強化するよう要請していた。またシー・シェパードの寄港禁止を求めたところ、ラッド首相は入港を規制する法的根拠がないとしていた

  豪メディア「ニュース・ドット・コム」は「シー・シェパードの抗議船がホバート港に着くと、帰還を祝う大勢の支持者たちに歓迎された。しかし同時に、捜査令状を持った警察当局も待っていた」と報じた。

  また豪シドニー・モーニング・ヘラルド紙によると、同団体の活動を支持する、緑の党党首のボブ・ブラウン上院議員は「当局が日本の圧力に屈して、調査捕鯨活動の手先になるとはきわめて遺憾、と怒りをあらわにした」という。また同氏は「抗議船に対する捜査令状は、豪州の法令に違反する」と主張した。

  シー・シェパードのウェブサイトでは、ボブ・ブラウン上院議員とポール・ワトソン船長は、クジラを守る偉大な環境保護家であると紹介している。(編集担当:桐山真帆子・山口幸治)

緑の党などもこれ幸いと政府の弱腰を叩いていますけれども、しかし元々ラッド首相としても反捕鯨の立場を掲げて票を集めてきたという経緯がありますから、表立って反シー・シェパードとも言い出しにくい状況にあることは言うまでもありません。
このあたりの現地の報道状況が産経新聞の佐々木記者のブログでも明らかにされていますけれども、別にテロリスト側のアピールというわけでもなく、国営放送を含む現地のメディアが当たり前に報じていることであるという点に留意いただきたいと思います。

【SS速報中】オーストラリア連邦警察が強制捜査 無国籍船ボブ・バーカー号にも立ち入り (2010年3月6日ブログ記事)より抜粋

 オーストラリア国営放送(ABC)が、「オーストラリア連邦警察の捜査員が、日本政府の捜査要請に基づき、ホバート港に到着したスティーブ・アーウィン号にいま、立ち入った」と報じています。
 オーストラリア緑の党党首のBob Brown上院議員はABCの取材にこう答えています。

日本政府が、オーストラリア連邦警察を使って、反捕鯨活動のヒーロー達が乗った船をホバート港に戻って来るなり、強制捜査するなんて、とんでもないことだ

 また、シドニー・モーニング・ヘラルドによると、やはり、ボブ・バーカー号も6日午後2時30分にホバート港に入港する予定
 ポール・ワトソン船長は「ドックに、ボブ・バーカー号とスティーブ・アーウィン号が一緒にドック入りするのは初めてだ」と述べています。

(16:00)

 ABCによると、オーストラリア連邦警察は、ホバート港に入港直後、無国籍船ボブ・バーカー号にも強制捜査に入りました。
 シー・シェパード側は、連邦警察は日本政府当局から南極海での抗議活動におけるおよそ100の捜査要請にもとづき、捜査していると述べています。
 ラッド首相は、「オーストラリア政府は、連邦警察の捜査には関与していない」と言っています。
 緑の党党首、ボブ・ブラウン上院議員は「これは政治的な問題だ。日本政府が政治目的のために、警察組織を使っている」と批判しています。

(17:30)

 AP通信より
 オーストラリア連邦警察は、航行記録が記された機関日誌、ビデオ映像、海図、パソコンを押収。クルーにも聴取しています。
 シー・シェパード、オーストラリア支部のJeff Hanson代表は、「警察は、理由の提示なく捜索している。団体は、日本側から苦情があったかどうかじゃ把握していない」と述べています。
 また、「日本側の方が攻撃者である」として、立件され、法廷に出席することを望むようなコメントも出しています。

「日本側の方が攻撃者である」とはこのテロリスト、何を寝言を言っているのかと驚く人も多いかと思いますが、日本人として知っておかなければならない事実として、世界中のかなり多くの国で捕鯨関連ニュースと言えば、こうしたテロリストのコメントを垂れ流すことのみに専念しているメディアが少なからずあるということが挙げられると思いますね。
さて、それでは今回の事件における彼らのコメントがどうなっているかを同じく佐々木記者のブログから引用してみますと、なるほどオーストラリアの人々は毎日こういう報道しか聞かされていないのかと空恐ろしくなるような話が並んでいるわけです。

続々と決まるワトソン講演 日本の捕鯨をネタに金を稼ぐシー・シェパード(2010年3月5日ブログ記事)
より抜粋

 いよいよあす6日、シー・シェパードのスティーブ・アーウィン号がオーストラリア・タスマニア島のホバート港へ凱旋帰港します。
 ボブ・バーカー号も一緒に帰港するという情報があります。
 いまごろ、クルーたちは船の中で騒いでいることでしょう。

 昨年のシーズンでは、日本の捕鯨妨害を終え、オーストラリアに帰るとき、クルー同士が船上の結婚式をあげ、ポール・ワトソン船長が神父のかわりをしていました。
 その模様が、アニマル・プラネット制作のドキュメンタリー番組Whale Warsに収録されています。

 ホバートでは、盛大なイベントが行われるようです。
 ホバートはかれらの母港であり、熱心な支持者が多い町です。謎のツイッター組織taz_patrolもホバートの船乗りと言われています
 7日には、街のホールで、ポール・ワトソン船長、そして、ボブ号のチャック・スウィフト船長らがゲストで呼ばれ、今回の反捕鯨キャンペーンの報告会が催されます。

 オーストラリアには、シー・シェパードとほぼ一体化している政党があります。
 The Austrarian Greens(オーストラリア緑の党)です。
http://greens.org.au
 彼らが政治活動を行い、国内でシー・シェパードをPRし、宣伝役を担っています。
 彼らは来る選挙に備え、大々的に、日本の捕鯨を非難し、注目を集めました。オーストラリアの新聞では、シー・シェパードの記事が出るとき、この緑の党のコメントもまじえて掲載されていましたから。
 実は、7日のイベントには緑の党党首のBob Brown上院議員も出席する予定です。
 きっと、Brown党首は、日本の捕鯨をダシにして、選挙のための演説をするのしょう。

 ポール・ワトソン船長は4月にアメリカ国内で講演活動を行います。つまり、4月中は船には乗らず、陸で活動をするつもりでいるようです。
(略)
 シー・シェパードはカリスマのワトソン船長が中心であり、彼のスケジュールは今後、団体がどのような活動を行うのかを推測する上で、大きなカギとなります。
 ワトソン船長がこうして講演活動を行うのは例年通りですが、かれらは日本の捕鯨をネタにして、資金を稼ぎ、団体をPRしているのです

オーストラリアがシーシェパード強制捜査で揺れている (2010年3月11日ブログ記事)より抜粋

 いま、ポールワトソン船長は、豪タスマニア州のホバートにいるようです。
 ワトソン船長は捜査の関係で、国外に退去できない状態にあるものと思われます。  

 ワトソン船長はタスマニア大学で行われた講演会で、万雷の拍手で迎えられました。
 マーキュリー紙はタスマニア州の地元紙ながら、いま、世界で最もシーシェパードの動向を伝えているメディアです。
 同紙は、タスマニア大学で、その様子を伝えているのですが、このような下りがあります。ワトソン船長の言葉です。

http://www.themercury.com.au/article/2009/02/26/57591_tasmania-news.html


 Another protest ship is expected to join the Steve Irwin next whaling season.
He said nobody had been injured on his watch but that Japan had used sonic blasts then hurled metal objects.

"They were trying to kill us," he said.

 今度の捕鯨シーズンでは、スティーブ・アーウィン号のほかに別の抗議船も参加する見込みだ。
シーシェパードの監視活動では、誰も負傷者は出ていないが、日本は、音による攻撃や鉄製の物体を投げ入れてきた

日本人は私たちを殺そうとしたんです。

ええと…ネタですか?と言いたくなる話ですけれども、世界にはこういう情報しか知らされていない人々が大勢いて、テロリストに拍手喝采を送ったり日本人にモリを打ち込んで喜んだりテロ活動の資金を提供していたりしているのだという事実は把握しておかなければならないでしょうね。
オーストラリアの立場は立場としても、一方でこのオーストラリアの対応に感激しているのが日本側の岡田外相なんですが、アリバイ的捜査とも言われるこの段階でこうまで感激出来るというのも、一人の人間としてはある意味幸せな御方なのかなと言う気もするところです。
強いて深読みすれば豪州政府を強制的に反テロリスト的立場に追い込むための揺さぶりという高度な政治的判断に基づく行為である可能性も(数学的な意味では)ゼロではないかも知れませんが、かの地の世論動向を考えるとあまり揺さぶりすぎるのもかえって薮蛇になりかねないという危険性も少なからずあるのが難しいところでしょうね。

「理解し、行動に移してくれた」 豪警察のシー・シェパード船捜索で岡田外相(2010年3月6日産経新聞)

 岡田克也外相は6日、札幌市内で記者会見し、オーストラリア連邦警察が同国の港に寄港した反捕鯨団体シー・シェパードの抗議船スティーブ・アーウィン号を捜索したことについて、「(2月に訪豪した際に)ラッド首相、スミス外相に『オーストラリアの港に入ったときにはきちんと対応してもらいたい』と申し上げた。捜索が事実だとすると、われわれの考え方について理解をし、行動に移していただいたということだと思う」と評価した。

ちょうど先日のアカデミー賞では「日本の漁師はジャパニーズ・マフィア」の謳い文句で一躍有名になった映画「ザ・コーヴ」が長編ドキュメンタリー賞を受賞したということで、地元では事実に反する捏造だとか大騒ぎになっているそうですけれども、世界的に見れば盗撮だろうが捏造だろうがそういう映像を喜ぶ人々は少なからずいるということは事実としてあるわけです。
別に彼らにあわせてこちらも捏造や暴力といった不法行為で対抗すべきだと言うつもりもありませんが、少なくとも言うべきことも言わずに黙っているだけでは相手の主張を全面的に認めたことになるというのが国際社会の常識ではありますよね。
事実関係をきちんと把握して正しい主張を行っていくのももちろんですが、その主張の芯となるべき存在として、政府にもブレのない対応を期待しておきたいところです。

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2010年3月 9日 (火)

相変わらず忌避され続ける介護業界 その打開への道は

先日何気ない芸能ニュースの一つとしてこんな記事が出ていましたけれども、御覧になりましたでしょうか。

三原じゅん子が介護事業所を三鷹にオープン(2010年3月2日オリコン)

 女優の三原じゅん子がデイサービス施設を東京・三鷹にオープンさせたことが1日、わかった。三原は自身のブログの2月28日付エントリーでも「明日からスタートする介護事業所のメンバーです」とスタッフ8名の写真を掲載し、「私にとって、これが夢でした」と介護事業の立ち上げを発表。所属事務所によると、三原がオーナーとして運営していくという。

 現在、芸能プロダクション「T-JACK」の代表も務める三原だが、次に手掛けたのは介護事業だった。キッカケは「約15年前、父が倒れ、それからずっと介護する母を見て来ました。そして一昨年、自分が癌(がん)になり介護される側になりました。命が助かった時、本気で介護施設を作ろうと動き出しました」という。

 三原はブログで「今まで好き勝手して生きてきましたから、これからは少しでも人の役に立ちたい!」と決意を述べ、今回、新たな夢の一歩を踏み出したことで「これから、まだまだ2つ3つと事業所を増やして行くつもりです」と意欲十分。さらに「利用者さんやご家族の皆様に喜んで頂ける施設作りにする為、スタッフ一同精一杯努力していく所存であります。皆さんも温かく見守ってくださいね」としている。

著名人がこういうところでスポンサー役をしてくださるというのは結構な話だと思いますけれども、現実問題として真面目にやればやるほど介護業界はあまりうま味もないところだと思いますから、よほど強い意志を持ってやらないことには大変だろうなという気はします。
介護業界の問題に関しては当「ぐり研」でも久しく以前から取り上げてきたところですけれども、何しろこれだけ社会的需要があって将来的にも成長産業として国が音頭をとって力を入れようと言っているにも関わらず、この不景気でも全く人が来ないというくらいにまで不人気な職種というのもそうそうはないんだろうなと感じるところですよね。
その理由も幾つかあるのでしょうけれども、少なくともイメージだけの問題ではなく実際にやってみても大変だった、割に合わないという声が続出しているというのも事実ではあるようで、せっかく参入したスタッフが次々と逃げ出して行くのは大きな問題でしょう。

介護職を辞める理由「仕事の割に給与が低い」が最多

 人材サービス・インテリジェンスが27日、自社が運営する求人情報サービス『an』で、医療・介護系、理美容系の有資格者を対象に、就業に関する意識調査を実施。介護職従事者が仕事を辞める理由として、「仕事の割に給与が低い」がもっとも多かったことがわかった。人材不足を補うには、給与、勤務時間など条件面の改善が改めて浮き彫りとなった

 同調査では、医療・介護系、理美容系の有資格者を対象に、就業に関する意識調査を実施。仕事を辞める理由について聞いた質問では、「業務内容の割に給与が低いから」が【介護系】30.5%、【理美容系】23.2%で最多理由に。【医療系】でも20.8%と、「職場や社員の雰囲気が悪いから」(29.0%)に次ぐ多数回答となっている。

 また、仕事を探す際の重視点としては、3職すべてで「やりがいのある仕事であること」が最多となった。「やりがい」を重視した人は、全職種の平均で 4.0%なのに対し、【医療系】16.1%、【介護系】15.7%、【理美容系】21.5%と、いずれも高い割合となっている。高い志を持って職に就くも、肉体的にも精神的にも過酷さを極める職種だけに、早期離職してしまう人も多いのが現実のようだ。

 そのほかの重視点として、「正社員、または正社員に近い雇用形態であること」が【介護系】13.0%、【医療系】8.7%と、全職種平均(5.2%)を上回っており、より正社員志向が強いことが分かった。

調査結果で注目すべきなのが、やめる理由の第一位「業務内容の割に給与が低い(30.5%)」に次ぐ第二位が「職場や社員の雰囲気が悪い(25.6%)」ということなんですが、単に物理的にというだけでなく精神的にも厳しい職場環境に置かれているということが想像できる内容になっています。
昨年末には介護の所得は全業種ワースト2だなんて寂しい話が出ていまして、実際のところ他に仕事があるなら介護よりそちらに回った方がお得という状況が続いているわけですから、元より介護という職場そのものに抵抗感がある人間が集まってくるはずがない、人手不足でますます職場の空気は悪くなっていくという典型的な悪循環に陥っているのが今の介護業界とも言えるでしょう。
厚労省の方でもこういう状況に対してそれなりに手当を考えては来ているようですけれども、実際のところ業界自体が大きな構造的赤字を抱え込んでいる状況では、多少介護報酬に色をつけたところでスタッフの待遇改善に結びつかないという、同様に「公定価格」の医療業界と似たような構図がここでも見え隠れしているわけが、すなわちこれは需給ミスマッチに見合わない低い報酬上の評価をしてきた当然の結果とも言えるでしょう。

介護報酬改定後、月9千円賃金アップ―厚労省が速報値(2010年1月25日CBニュース)

 厚生労働省は、2009年4月の介護報酬改定後、介護従事者の平均給与額が月額9058円増えたとの調査結果の速報値を公表した。1月25日に開いた「社会保障審議会介護給付費分科会調査実施委員会」の第3回会合で示した。

 調査は、09年4月の介護報酬改定が介護従事者の処遇改善に反映されているかを検証するため、厚労省が介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設、介護療養型医療施設などを対象に実施。08年9月と09年9月の両方の時期に在籍していた従事者を対象とし、09年の新規雇用者や退職者は調査対象から除いた。

 調査結果によると、09年の介護従事者の平均給与額は月額23万1366円となり、08年の22万2308円に比べ9058円増えた=表1=。施設別に見ると、特養が28万1800円で1万2052円増、老健が29万6043円で1万1629円増、介護療養型医療施設が30万4505円で6136円増、訪問介護事業所が13万9473円で5868円増、通所介護事業所が19万7331円で8547円増などとなった。

 職種別では、「介護職員(訪問介護員を含む)」が19万9854円で、前年の19万935円から8919円改善した=表2=。また、生活相談員・支援相談員は1万2291円改善した一方で、「理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、機能訓練指導員」は8102円アップと開きがあった。このほか、看護職員は8393円、介護支援専門員は9852円のアップとなった。

 施設や事業所の給与などの引き上げ状況を複数回答で尋ねたところ、「定期昇給を実施」が43.7%で最も多く、次いで「介護報酬改定を踏まえて引き上げ」(23.4%)、「介護報酬改定に関わらず引き上げ」(21.0%)などと続いた。「給与などの引き上げを行っておらず、今後も引き上げ予定なし」は 13.1%だった。

 09年度の介護報酬改定を踏まえた処遇改善をめぐっては、日本介護クラフトユニオンが、月給制の介護従事者で月額6475円賃金がアップしたとの調査結果を公表している。

介護業界、厳しい春闘…待遇改善・賃上げ国頼み(2010年3月7日読売新聞)

 景気低迷で主要な労組が今春闘の賃金改善要求を見送る中、約5万8000人が加盟する職業別労組「日本介護クラフトユニオン」(NCCU)は、月給1万円以上の賃上げなどを求めて交渉している。

 低賃金にあえぐ業界にとって、待遇改善は喫緊の課題。だが、国が決める介護報酬に経営が左右される特殊事情から、「大幅な賃上げは困難」と悲観的な声が労使双方から出ている

 「30代半ば。ラストチャンスと思った」。首都圏の訪問介護事業所で働く男性(34)は昨年、上司に内緒で公務員の中途採用試験を受けた。結果は不採用だったが、「介護の仕事では暮らしが安定しない」と転職を目指した理由を語る。

 男性は、約250人の訪問介護サービスを担当する営業所の所長。約20人いる介護士の訪問先手配や利用者の苦情対応を担う。携帯電話は利用者からの問い合わせで昼夜鳴る。妻と長女の3人家族で、月給は手取り約21万円。ローン返済などを差し引くと、手元にはわずかなお金しか残らない。

 財団法人「介護労働安定センター」によると、介護労働者の平均賃金は月約21万円で、全産業平均(約29万円)を大きく下回る

 男性は、NCCU分会の書記長として経営側と交渉する立場でもあり、NCCUの要求「月給制で1万円以上、時給制で60円以上の賃上げ」を経営側に示した。だが、所長として経営の苦しさも知っているだけに「介護報酬頼みの経営は不安定。大幅な賃上げは期待できない」と語る。

 中小の事業所では、要求に対する回答さえ得られない労組もある上、そもそも労組がない事業所も多い。NCCUの組合員は全介護労働者の5%以下だ。

 ある経営者は「賃上げを統一要求すること自体、現実離れしている」と話し、労組幹部は「春闘要求は、他産業との格差是正を段階的に図るため、労使一体で国に介護報酬増を求めるスローガン的な意味合いが強い」と打ち明ける。

 民主党政権は、介護労働者の平均賃金4万円増を公約に掲げてきた。政府は昨年10月、待遇改善を行った介護事業者に交付金を支給する自民党政権時代から計画されていた新制度をスタート。正職員換算で1人月1万5000円の賃上げに相当する補正予算を組んだが、看護師や事務職が対象外となるなど、現場には不公平感が残る。4万円増についてはまだ具体化していない。NCCUの河原四良会長は「結局は、介護報酬アップなど、すべての労働者の待遇改善につながる国の政策が必要」と訴える。介護報酬 介護保険制度で定められた介護サービスの公定価格で、訪問介護や通所介護などサービスの種類ごとに決められている。報酬額の9割は保険料と税から支払われ、残り1割を利用者が負担する。3年に一度見直され、2000年の制度開始後、03、06年と引き下げられたが、昨年4月の改定では3%引き上げられた。

医療にしても介護にしてもスポンサーである国民にとっては安く使える方が便利だろうという視点もあるのでしょうが、一方で誰もかれもと需要に対して無制限に応えられるような余力は経営的にもキャパシティー的にもない、とすれば割が合わないところから切り捨てて健全経営を目指さざるをえないというのは医療でも介護でも同じことですよね。
医療においては救急、産科、小児科といった不採算部門の切り捨てが進んできた結果何が起こったかというのは今やようやく世間にも知られるようになりましたが、介護においても山間地で事業所から遠いだとか、介護度(すなわち、支払われる報酬額)に対して手がかかるといった不採算の人々は切捨てていかざるを得ない、それが出来ない真面目な事業者ほど真っ先に潰れていっているのが現状であるわけです。
物価下落だ価格破壊だと喜んでいたら、実は安くなった以上に給料が減らされてどうにもならなくなってきたという昨今の社会とどこか似たような側面もありますけれども、公定価格の医療や介護においては経営努力で質を高めることによってより高い報酬を得るという手段が存在しない以上、経営努力とはコストを削減する方向で進まざるを得ないのだという点にも注目しておくべきだと思いますね。

最終的に利益を受けるのも不利益を被るのもスポンサーであり利用者でもある国民の側であることはいうまでもないわけですから、需要の側と供給の側とのすり合わせをしてどのレベルでバランスを取っていくかという決定権も国民の側にあっていいと思うのですが、一般論として言えるのは「やってられない」と人が逃げ出すような状況で供給側に更なる改善努力を求めていくのも限界があるだろうということでしょう。
となれば需要側の制限をせざるを得ないわけで、医療の世界において近頃ようやく「不要不急の救急受診は控えましょう」などと言われ始めたことと同じように、「自分たちで出来る介護は自助努力しましょう」なんて動きが今後広まってくる可能性があるのかという話ですけれども、不景気かつ人余りの時代にあって今後そうした話がどこからか出てきてもおかしくはないのかなという気もするところです。
近頃では核家族で家庭内介護は現実的でないという声もありますけれども、同居はしていなくても大抵の人が全国いずれかの土地に年老いた親族を持っていても不思議ではないわけですから、人口減少に悩む地方自治体にとってはそういう面からのUターン促進活動というのも意外に面白いかも知れませんし、そもそも介護というものは本来がそうした地域の互助で成り立っていたものだったはずなんですけれどもね。

しかし不景気で仕事がないと言いながら確実に雇用がある領域でも案外人が回ってこないというのは介護や農業など幾らでもありますけれども、どこまで不景気が深刻化すれば介護にも人が流れてくるようになるのか、そのあたりを見極めてみたいという不謹慎な気持ちも全くないでもないんですがね…(苦笑)

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2010年3月 8日 (月)

批判するのは大好きですが批判されるのは許しません?!

つい先日は奈良・大淀病院事件の民事訴訟判決が出たことを紹介しましたけれども、その折の読売新聞の記事を念頭に置きながらこちらの記事を御覧になっていただければと思います。

ネットで目立つ医師の“暴走”、医療被害者を攻撃(2010年3月6日読売新聞)

暴言・中傷・カルテ無断転載

 医療事故の被害者や支援者への個人攻撃、品位のない中傷、カルテの無断転載など、インターネット上で発信する医師たちの“暴走”が目立ち、遺族が精神的な二次被害を受ける例も相次いでいる。状況を憂慮した日本医師会(日医)の生命倫理懇談会(座長、高久史麿・日本医学会会長)は2月、こうしたネット上の加害行為を「専門職として不適切だ」と、強く戒める報告書をまとめた

 ネット上の攻撃的発言は数年前から激しくなった。

 2006年に奈良県の妊婦が19病院に転院を断られた末、搬送先で死亡した問題では、カルテの内容が医師専用掲示板に勝手に書き込まれ、医師らの公開ブログにも転載された。警察が捜査を始めると、書いた医師が遺族に謝罪した。同じ掲示板に「脳出血を生じた母体も助かって当然、と思っている夫に妻を妊娠させる資格はない」と投稿した横浜市の医師は、侮辱罪で略式命令を受けた。

 同じ年に産婦人科医が逮捕された福島県立大野病院の出産事故(無罪確定)では、遺族の自宅を調べるよう呼びかける書き込みや、「2人目はだめだと言われていたのに産んだ」と亡くなった妊婦を非難する言葉が掲示板やブログに出た。

 この事故について冷静な検証を求める発言をした金沢大医学部の講師は、2ちゃんねる掲示板で「日本の全(すべ)ての医師の敵。日本中の医師からリンチを浴びながら生きて行くだろう。命を大事にしろよ」と脅迫され、医師専用掲示板では「こういう万年講師が掃きだめにいる」と書かれた。

 割りばしがのどに刺さって男児が死亡した事故では、診察した東京・杏林大病院の医師の無罪が08年に確定した後、「医療崩壊を招いた死神ファミリー」「被害者面して医師を恐喝、ついでに責任転嫁しようと騒いだ」などと両親を非難する書き込みが相次いだ。

 ほかにも、遺族らを「モンスター」「自称被害者のクレーマー」などと呼んだり、「責任をなすりつけた上で病院から金をせしめたいのかな」などと、おとしめる投稿は今も多い。

 誰でも書けるネット上の百科事典「ウィキペディア」では、市民団体の活動が、医療崩壊の原因の一つとして記述されている。

 奈良の遺族は「『産科医療を崩壊させた』という中傷も相次ぎ、深く傷ついた」、割りばし事故の母親は「発言することが恐ろしくなった」という。

倫理指針に反映を

 栗岡幹英・奈良女子大教授(医療社会学)の話「攻撃的発言を繰り返す医師たちは、刑事や民事の訴訟で被告になった医師と自分を一体的に考えて『医師全体が攻撃された』ととらえている。合意形成を目指すのではなく、ひたすら他者を非難・攻撃するため、患者側に萎縮(いしゅく)傾向を招いている。報告書だけでなく、職業倫理指針に反映すべきだ

日医警告「信頼損なう」

 日医の懇談会は「高度情報化社会における生命倫理」の報告書で、ネット上の言動について「特に医療被害者、家族、医療機関の内部告発者、政策に携わる公務員、報道記者などへの個人攻撃は、医師の社会的信頼を損なう」と強調した。

 匿名の掲示板でも、違法性があれば投稿者の情報は開示され、刑事・民事の責任を問われる、と安易な書き込みに注意を喚起。「専門職である医師は実名での情報発信が望ましい」とし、医師専用の掲示板は原則実名の運営に改めるべきだとした。ウィキペディアの記事の一方的書き換えも「荒らし」の一種だと断じ、公人でない個人の記事を作るのも慎むべきだとした。

 報告の内容は、日医が定めた「医師の職業倫理指針」に盛り込まれる可能性もある。その場合、違反すると再教育の対象になりうる。

毎日新聞を始めマスコミ諸社が深く関わってきた大淀事件判決の後を受けて、一方の当事者とも言うべきマスコミさんがこういうことを言い出すと「お前が(r」で終わりそうな話なんですけれども、しかしこの時期にこういう記事を突然出してくるあたり、大淀の件などを受けてかの業界にも危機感があるということなんでしょうか?
一方で確信犯の奈良女子大はともかくとして、こういうところで権威付けに利用される日医という組織も相変わらずなだと思わざるをえないのですけれども、彼らも単に使われているだけでなく判ってやっているということであれば、組織の方針としてどうなのかと新たな議論を呼ばずにはいられないところですかね。
さて、この記事を受けてのネット上の暴言の数々(苦笑)をいくつか拾い上げてみますけれども、ここで批判の対象というものが何であるのかということにも注目いただければと思います。

371 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 19:40:21 ID:/So9Xhkd0
「『医は仁術』はどこへ」(紀伊民報)

「命を見捨てた18の病院に言いたい。恥を知れ。」(日刊スポーツ)

「妊婦たらい回し また義務を忘れた医師たち」(産経新聞)

「キミは医学生だったね、いまどういうのを習っているんだい」「たらい回しか」(産経新聞の4コマ)

「それでも医者か!救急搬送66歳男性死亡」(デイリースポーツ)

「それでも指定医療機関か 7カ所診療断られ妊婦死亡(社会)」(スポニチ)

「全国各地で救急搬送を拒否した病院は患者を捨てた。」(毎日新聞)

などと書いて、限界状況の医療現場をバッシングしているマスコミはスルー。

407 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/07(日) 01:38:15 ID:s8EyfIPi0
最近の産科の訴訟では、
①マスコミが一方当事者の主張のみを載せて、反対当事者を社会的に抹殺。
②ネットで専門家が事故を検証して、事故の原因がシステムの不備で、医師
 個人の責任を追求することが妥当でないことが明らかになる。議論が建設
 的の方向に進む契機となる。
③その過程でマスコミの報道に、反対当事者の名誉を害する不適切な内容が
 含まれていることが明らかになる。これにより、一般ネット言論がヒート
 アップ。マスコミの報道が信用性を失い真偽不明の情報が一人歩きする。
というパターンが多いような。マスコミが両方当事者の言い分を併記した上で、
専門家の意見も載せて信用性を保つことが、まず重要な気がするのだが…

646 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/06(土) 21:41:26 ID:rkFAAbWu0
おいおい、読売よ、医者はどんな迫害、中傷、嫌がらせに対しても
何も言わず、ただ奴隷のごとく黙々と働け、と言いたいのか。
 御免こうむる。ネットがあったから多くの善良で真面目な医師たちが
情報を交換し、心情を共有して毎日、誠心誠意、医療に従事できたんだ。
 記事の中に見られる例は、いずれも患者の医師に対する憎悪が増幅して、
復讐でもしてやろうという悪意に満ちていた例なのだ。
 医師会も分かったような事言うな。もっと、自己主張せよ。もっと、マスコミの
歪曲した医療報道の問題点を指摘したらどうだ。マスゴミはますます、増長するだけだ。

648 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/06(土) 22:35:09 ID:WwNaP+PU0
「医学知識が豊富で何より純粋無垢でいささかの落ち度もなく、
 他者に寛容で自らを厳しく律する良心に満ち溢れた患者様」
っていうのがいたら、そうそう裁判沙汰にならないよね?

そしてかような「弱者を演じる患者様」とは言わないけれど、
彼らの主張に僅かでも疑問や否定的見解を示すことなく、彼らをアイコン的に
「弾避け」としてマスコミが一方的かつ過剰に不当に非難する姿勢を
医療者側は反発している。
 その歪な言論を振りかざす現状に対し、気づこうともしないし
気づいても「放置」して、それが患者との信頼関係を低下させる風潮となり
現場の医療者の負担と苦痛を増加させている。
一方的で思い込みに満ちた報道で医療崩壊の片棒を担いでいるかもしれない
という原罪意識と自覚がそもそもない、お気楽で無邪気な社会正義を
押し売りするマスコミにも煽られて裁判所に患者を掛け込ませている面も
少なからずあるだろう。

655 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/03/07(日) 07:24:45 ID:dpYq5qru0
>>641
> 報道記者などへの個人攻撃は、医師の社会的信頼を損なう

何を書かれても黙っておけと言うことですか

670 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/08(月) 01:06:33 ID:eDyuf9/u0
読売さん
 取材に応じてのあの発言、シンポジュームでの講演を垣間見たけれども、あれは医師への中傷とはいえないというのですか?
 よ~く検証のほど。医師は中傷、バッシングをうけても良いじゃないかという理論はどういう思想から発しているのか全くわからない。

48 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/06(土) 20:23:24 ID:hvVMEtZP0
微妙な記事だね。なんだかおかしい。

売文記者が記事を書けなくなってしまう。
書いたとたんに専門知識を持つ匿名記者が価値観をひっくり返してしまうので商売にならない。
売文記者が怖がって記事が書けない。商売にならない。医療記事の信頼がさがっていく。
そこで何とかしてほしいと日医に泣きついた。

そこで助け船という構図か。手打ち?
仲良くやりましょうや、匿名掲示板をやり玉に挙げれば何とかなるよ、ってか。
提灯記事も書きますから、医療不審を煽る記事も書かせてください、発行部数がおちてるもんで。
そんなところだろうね。

なんか、医師の日医への信頼を損なう記事だな。

50 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/03/06(土) 20:29:52 ID:tS3nCCtn0
この読売の記事今読んでびっくりした

まるで医師はなんにも発言スンナと言っているようだ

マスゴミの正体だな   匿名記事だし

ちょうど「産科医療のこれから」さんで割り箸事件報道に関連する話題を取り上げていて興味深く拝見したのですが、「このジャーナリストは担当医やその親族、弁護人を一度も取材していません。捜査記録を見る前から思い込みと憶測で架空の事実をつくり、担当医を中傷したのです。」という一文にも見られるように、これはまさしくマスコミ業界にこそ突きつけられた大きな課題であると思うのですけれどもね。
今更とりたてて言わなくとも彼らの正体などとっくに割れているという話もありますけれども、しかし自称医療に強いを売りにしてきた天下の読売新聞にしてこういうブーメランな記事を出してくる、そして今まで一生懸命バッシングしてきた日医の権威(笑)を借りてまで言論の圧殺をせずにはいられないという、その背景事情というものにも想いを馳せるべきかという気がします。
例えば上杉隆氏と言えば以前にも海外報道各社が東京支局を閉鎖しているという一件で以前にも「記者クラブの閉鎖性が日本の情報発信力を低下させている」と警鐘を鳴らしていたことがありましたが、どうもマスコミ業界の暗部はそうしたレベルでは済みそうにないというのがこちら同氏の記事です。

【週刊上杉隆】 呆れた言論封殺に、姑息な見出し変更 日本の新聞に未来などない!(2010年03月04日ダイアモンドオンライン)

 3月1日、3回目の総務省ICTにおける国民の権利保障フォーラムが開催された。前2回のアジェンダセッティングを受けて、この日からヒアリングが開始された。

 この日、構成員でもある筆者は、ある組織の説明中、怒りの退席を行なった。抗議の意味を込めてである。理由は、言論の自由を話し合うはずのこの会合で言論封殺とも受け取れる指示があったからだ。

記者クラブ議論を封殺 これでも言論機関か?

 この日のフォーラムでは、原口一博大臣の発言の後、音好宏構成員、NHK、民放連(TBS、テレビ朝日、石川テレビ放送)、日本新聞協会の順にヒアリング説明が行われるはずだった。その後に出席者からの質疑応答が予定されていた。

 問題は、日本新聞協会の説明の冒頭に発生した。大久保好男新聞協会メディア開発委員会委員長(読売)の発言直前、突如、浜田純一座長がメモを読み上げたのだ。

「日本新聞協会からのメモを代読します。今回のヒアリングにおいて、個別の記者クラブ・記者会見について当新聞協会はコメントしない。記者クラブ・記者会見等についての質疑応答は一切受け付けない。このフォーラムで記者クラブ問題について議論するのは違和感を持たざるを得ない

 自らの意見を開陳しながら、他者の意見を予め封じこめる。言論機関に身を置きながら、そして報道の自由を謳いながら、なんという厚顔な振る舞いであろうか。

 筆者は、日本新聞協会のヒアリングが始まった瞬間、席を立ち、抗議の意味で退席した。
 (略)

 筆者は、過去2回のフォーラムにおいて、「記者クラブ」をアジェンダ設定の中に入れるよう、繰り返し主張した。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000056236.pdf

 その結果、今回のフォーラムの冒頭に配布されたアジェンダ文書には「記者クラブ」がきちんと盛り込まれたのだ。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000056226.pdf

 ところがこの日、既得権益にしがみつく「抵抗勢力」はそれをアジェンダから外すよう繰り返し発言したのだ。

孫正義氏ツイッターから広がった新聞協会批判の渦

 筆者に発言の機会が回ってきた。まず、座長の進行方式に対して疑義を呈した。その上で、「言論封殺」を行なった日本新聞協会の横暴に対して、抗議の退席を行なったことを明かした。

 もしかしてこのフォーラムは「国民の権利保障」を謳いながら、その実は「記者クラブの権利保障」を話し合おうとしているのではないか。

 怒りの収まらない筆者は、その夜、欠席していたオブザーバーの孫正義ソフトバンク社長にツイッター上で会議の様子を報告した。

〈記者クラブ問題。アジェンダから外してほしい、という意見が各構成員から続出。しかも日本新聞協会のヒアリングでは、記者クラブに関する質問の事前差し止め。言論の自由を話し合うフォーラムなのにいきなりの言論封殺、と本日欠席の孫正義さんに軽やかにチクってみる〉
(http://twitter.com/uesugitakashi 上杉ツイッター)

 仮にこれまでのこうした政府関連の会議であるならば、筆者の今回のような言動は、欠席した同志に伝えられることなく、すぐに抹消されたであろう。ところが、今回は違った。

 

ツイッターを代表とするメディアの登場によって、即時の連携が可能になり、さらに「抵抗勢力」の横暴を世に知らしめることもできるのだ。その強力なメディア、とくに15万以上のフォロワーを持つ孫氏のツイッターからの返信の影響は小さくなかった。

〈特定の記者以外に参加資格を与えない記者クラブの人々に「言論の自由」を語る資格無し。カルテルは、法律違反〉
(http://twitter.com/masason 孫ツイッター)

 筆者のツイッターのTL(タイムライン)に日本新聞協会の言論封殺を批判する言葉が連なった。だが、現実政治はそれほど甘くない。記者クラブ側の陽に暗に繰り返される抵抗は続いた。

〈総務省に指示をして調査をしている記者クラブの開放状況。そろそろ調査結果が出てくると思います。枝野さんが内閣に入ってくれたので、様々な改革を実現する道筋を立てやすくなりました〉
(http://twitter.com/kharaguchi 原口ツイッター)

原口大臣憎しとばかり批判に躍起の読売だが

 騒動後、記者クラブ改革の旗手とも言える原口大臣は、直接的な表現を避けながら、このようなツイートを行った。そのためだろうか、翌日、原口大臣は露骨な嫌がらせを受けはじめる。それも実はツイッターを使いこなすジャーナリストの林信行氏が教えてくれたものだった。

〈読売新聞の原口大臣記事 「原口総務相釈明…ツイッターで津波情報流してた」 http://bit.ly/cy5YLO 何を釈明する必要があるのかわからない〉(林@ツイッター)

 チリ大地震の発生を受けて原口大臣は日本への津波対策にあたった。所轄大臣としては当然である。その際、原口大臣は、津波情報を自身のツイッターを通じて、早朝から深夜まで不眠不休で流し続けたのだ。

 詳細な避難状況や政府の対応を逐一伝えた行為は褒められこそすれ、決して批判されるべきではない。だが、記者クラブメディアにしてみれば、原口大臣はいまや最大の「敵」である。どうにかして足を引っ張ろうという強い意志が見出しに現れたのだろう。

〈原口総務相釈明 ツイッターで津波情報流してた

 原口総務相は2日午前の閣議後記者会見で、チリで起きた巨大地震に伴う津波の関連情報を自らのツイッター(簡易投稿サイト)に書き込んだことについて、「正確な情報を国民に伝えることを優先した」と述べ、理解を求めた。

 そのうえで、NHKなど災害情報を発信する放送機関について、「もっと適宜適切に、公共放送も含めて横並びでない細かな情報が流れるように、双方向のシステムがあればいい」と指摘した。放送行政と総務省消防庁を所管する総務相が、災害放送が義務づけられる放送機関より、ツイッターの利用を優先させる考えを示したことは、今後、論議を呼ぶ可能性がある。

 総務相は、地震発生後から、政府の対応策について平野官房長官らと行った協議など、計70件以上の情報を書き込んでいた。〉
(2010年3月2日11時00分  読売新聞)http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100302-OYT1T00431.htm

 だが、ネット上の批判を受けたためだろうか、読売新聞はすぐに自らの姿勢を改めた。といっても、その見出しを「釈明」から「弁明」に変えただだけである。その対応には、もはや姑息を通り越して呆れてしまう

 これは読売新聞の常套手段なのだろうか。言論機関でありながら、堂々と言論で勝負することを避ける。事前の質問封じ、見出しの姑息な変更――。そこには自由な言論を作ろうという意思も、読者のために事実を伝えようという姿勢も、微塵も感じられない。自らのつまらない既得権を死守しようとする必死さのみが伝わるだけだ。
(略)

この記事、非常に示唆的な興味深いネタが満載と言う記事で、例えば以前から当ぐり研でも取り上げてきたように原口大臣と言えばかねてテレビ業界とツーカーだとか言われてきた方ですけれども、その親会社の一つである読売さんと喧嘩になっているというのはなかなか面白い状況ではありますよね。
記者クラブ制度についても以前から何度か取り上げてきましたけれども、政府から情報統制を受けやすいという言論機関にとって致命的欠陥を抱えたこの制度を彼らがこうまで支持するのは、単に楽をしたいからというわけではなく、むしろ積極的に記者クラブ制度を自らの情報統制あるいは情報の独占のために用いているからだということも理解出来るかと思います。
そして冒頭の記事やそれに対するレスポンスなどと比べてみていただければお分かりかと思いますけれども、今まで情報を独占してきた読売新聞を始めとする新聞業界がネットと言うものを非常に敵視している(と同時に恐れている?)、その背景には既得権益維持もさることながら、おそらくネットから監視されると今までのように自由に嘘がつけなくなってしまうからという背景事情もありそうだという気がしてきます。

このあたり、他人を批評(というより、一方的な批判、あるいはバッシングですかね)するのは得意ながら、自分がその立場に置かれることは極端に嫌う既存マスメディアの体質というものをかねて佐々木俊尚氏らが指摘しているところですけれども、何故そうなのかという根本的な理由の一つに彼らが他者の批判に耐えるほどの内容で記事を書ききれていないという事情があるかと思いますね。
医療の世界でもそうですけれども、今の時代何であれ高度な専門分化が進んで同業と言えども一歩専門から外れるとまともなコメント一つ出すことが難しくなってきた(福島・大野病院事件などその典型ですよね)、そんな中でせいぜいが自称専門家(笑)などという怪しげな連中のコメントに依存した飛ばし記事を書いていれば、それは本物の専門家から批判されて当然ですよ。
ましてやろくに知識もないばかりか下調べすら満足にしていない記者氏が功名心からか義憤からか的はずれな記事を書き散らし、嘘やデタラメを好き放題広めても何らペナルティーもない特権的地位を要求するというのであれば、社会に対してもそれ相応の説得力というものが必要だと思いますよ。

恐らく新聞を始め既存のマスコミにとって痛し痒しなのが、ソース至上主義などと言われるようにネット上ではまずきちんとした根拠と検証が要求される時代になっている、そしてそうしたネットから叩かれている自分たちは近年営業的にさっぱりよろしくないわけですが、近い将来彼らの主要顧客として期待される若年層こそまさに彼らを叩いているネット世代と重複しているという現実があるわけですよね。
そうなると彼らがあの手この手でこうまで徹底的な情報弾圧を図ってきているというあたりに、彼ら自身の追い込まれた状況が見え隠れするようにも思えますけれども、なりふり構わぬその姿勢のどこに彼ら自身の年来の言論との整合性があるのかと考えた場合に、その欺瞞もそろそろ限界に近づいてきたのではないかという気がしてきます。

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2010年3月 7日 (日)

今日のぐり:「おらんく家 本店」

先日こういう記事が出ていましたけれども、これをどう考えるべきなんでしょうね?

自殺中止でガス爆発 思いとどまり…うっかりタバコに火(2010年2月1日産経新聞)

 福岡県警田川署は1日、プロパンガスを室内に充満させた状態でたばこに火をつけようとして爆発させ、訪ねてきた知人の会社員男性(34)をけがさせたとして、ガス等漏出致傷の疑いで福岡県糸田町の無職、堀章彦容疑者(65)を逮捕した。

 田川署によると、堀容疑者は、生活苦などを理由に自殺を図ったが思いとどまり、窓を開けるなどして室内を換気していたところに男性が訪れた。換気が十分でない状態でたばこを吸おうとしたらしい。

 逮捕容疑は、昨年12月8日午前8時20分ごろ、自宅の町営住宅で、ガスボンベを室内に持ち込み、ガスを充満させた後、ライターに火をつけ誤って引火させ、男性に顔面やけどなど約3週間のけがを負わせたとしている。堀容疑者も気管をやけどするなどのけがをして入院。退院を待って逮捕した。

 爆発で、向かいの保育園の窓ガラスが数枚割れるなどした。

ドリフか!と思うような話なんですけれども、本人にとっては文字通り洒落にならないという話だったんでしょうね。
今日は日常生活の中に潜むちょっとあり得ない瞬間というものを取り上げてみたいと思いますけれども、まずはこちらの話題です。

同じ場所で車3台相次ぎ転落(2010年1月11日中国新聞)

 9日深夜から10日未明にかけ、廿日市市大野の県道で、車3台が道路わきのがけ下約6メートルに相次ぎ転落する事故があった。転落した場所にガードレールはなく、当時、路面は凍結していた。タクシー運転手(38)=広島市西区=が足に軽いけがをした。

 廿日市署によると、9日午後10時半ごろ、廿日市市の会社員男性(25)の乗用車がスリップし、県道東側のがけ下に落ちた。約2時間後、車から脱出した男性が呼んだタクシーも同様に転落。さらに10日午前2時半ごろ、車を引き上げるため駆け付けたレッカー車が、反対の道路西側のがけへ落ちた。

 同署によると、現場は市大野清掃センターの北約1・9キロ。左カーブでガードレールは設置されていない。事故当時、雨や雪は降っていなかったが、同署は道端の残雪が凍結していたとみている。

寒い時期だけによほど滑りやすい場所だったのかも知れませんが、二重遭難ならぬ三重遭難とは穏やかではありませんね。
これなどはある意味予想された危険という見方も出来るのかも知れませんが、楽しいはずの時間が一転して災難の瞬間となったというのがこちらのニュースです。

ロッシーの遊び道具直撃、男性けが 日本平動物園(2009年11月15日静岡新聞)

10日午後2時半ごろ、静岡市駿河区の市立日本平動物園で、ホッキョクグマの「ロッシー」が放り投げたブイが高さ約5メートルの塀を飛び越え、近くにいた藤枝市の男性会社員(32)の頭を直撃した。男性は右の額の上を数針縫うけがをした。
 同園によると、ブイは樹脂製で直径約30センチ、重さ約1キロ。ロッシーは当時、普段いるクマ舎が清掃中だったため、隣の獣舎でブイの突起部分をくわえ、振り回し遊んでいた。ブイは飼育員がいる時に遊び道具として与えているが、事故当時、飼育員は獣舎の近くにいなかったという。ロッシーはまもなく生後2年になる雄。来園者がいる時にはブイを振り回して遊び、来園者の人気を集めていたという。クマ舎の周囲にはブイの柵越えを防ぐネットを張っていたが、隣の獣舎にはなかった。
 同園は「獣舎の塀は高いので、ブイが飛び越えることは想像していなかった」と釈明。「ブイは撤去し、安全性の高い遊び道具を検討したい」としている。

まあこれは災難だったと言いますか、ゴリラの投げたアレに当たった、なんて話と違って、これで運がつくと洒落込むわけにもいきそうにないですしねえ…
一方で災難といえば思いがけない災難ではあるのですけれども、元を正せば自業自得?というのがこちらのニュースです。

勤務中に女性の半裸画像閲覧の豪銀行マン、TV中継でばれる(2010年2月3日ロイター)

 [シドニー 3日 ロイター] オーストラリアの銀行マンが職場のパソコンでこっそりと半裸の女性の画像を閲覧する様子がテレビ中継によって明るみに出てしまうという珍事があった。

 問題の「マッコーリー・プライベート・ウェルス」の男性職員は、すぐ近くの席の同僚が地元テレビ局セブンネットワークの番組に中継で出演しインタビューを受けていた最中に、自席のパソコンでこっそりと半裸の女性モデルの画像を閲覧。しかし、パソコン画面上の女性の画像まではっきりと映ってしまったその映像は2日、同局を通じて全国に放映された。

 問題の職員は同僚のインタビューの最中に後ろを振り返ったため、その顔までしっかりテレビカメラに捉えられてしまっている。

 この映像は、動画サイトのユーチューブ(here)にも投稿され、再生回数がすでに20万回を超えるヒットとなっている。

 男性が勤務する銀行では、今回の事態を深刻に受け止めるとしている。

しかし最近ではネットに何でも流出してくる時代ですからこういうこともいつ我が身に降りかかってくるか判りませんが、幸いにも?件の銀行マン氏、解雇だけは免れたということです。
さて、某人気漫画のセリフを元ネタにした有名AAに「何を言ってるのかわからねーと思うが」云々というものがありますけれども、本気で何が起こったか判らなかっただろうなと思わされる話がこちらです。

チューインガムが爆発した衝撃でアゴが吹っ飛び死亡(2009年12月10日デジタルマガジン)

 ウクライナで起きた嘘のような本当のお話だ。口の中のチューインガム(風船ガム)が爆発した衝撃で、アゴから下が吹き飛んで死亡した学生が発見された。

 事件があったのは先週土曜日。ウクライナ北部の都市、コノトプに住む25歳の学生の部屋から、突然大きな破裂音がした。何事かと部屋に駆けつけた家族は、アゴから下が吹き飛んで死んでいる学生を発見したのである。

 検死の結果、事件はチューインガムが原因だと判明した。そのチューインガムは、周りを未確認の化学物質で覆われていたのだ。学生はチューインガムにクエン酸をつけて食べる変わったクセがあり、事件当日は誤って他の物質をつけてしまい、それが爆発を引き起こしたのだと考えられている。

 事実、学生はキエフ工科大学に通っており、机の周りからは何らかの起爆材料と見られる謎の物質がクエン酸が入れられた箱とよく似た箱に入れて保管されていたのが発見された。

 あなたは変わったガムの食べ方をしてはいないだろうか? 心当たりがある人は気をつけて欲しい。

何かものすごく真相というものが気になるような話でもありますけれども、しかし現場の状況を想像するとさぞや…
さて、同じくこちらも人の命が関わる話ではありますけれども、考えようによってはこれ以上ない大往生だったのではないかとも思えるニュースですかね。

米、百歳の元女性教師に学士号 念願かなうも翌日死去(2010年1月29日47ニュース)

 【ニューヨーク共同】今月初めに100歳の誕生日を迎えた米ニューハンプシャー州の元女性教師が22日、念願の大学卒業(学士認定)証書を受領したが、翌23日に息を引き取った。AP通信や地元紙(電子版)が29日までに報じた。女性の娘によると、証書を手に満足しながらホスピスで最期を迎えたという。

 ハリエット・エームズさんで、1931年に地元の短大で教員免許を取得した後、20年以上にわたって教師生活を送った。その間、ニューハンプシャー大やキーン州立大などで専門科目の受講を続けたが、視力が低下したため71年に受講をやめた。

 エームズさんが学士号の認定を望んでいることを知った同州立大の関係者が調べたところ、単位を満たしていることが判明し、教育学学士の認定証書が授与された。

 エームズさんは授与決定の知らせに「もらえると分かり、明日死んでも幸せ」と喜んでいたという。娘は「母の人生は素晴らしかった」と話している。

しかし今の時代、なかなかこういう死に方は出来ませんかね…大学関係者の粋な計らいが地味に光った話題ではありました。

今日のぐり:「おらんく家 本店」

高知市内の繁華街の中でも、比較的高価格帯のお店が立ち並んでいる一角にあるのがこちら「おらんく家 本店」ですが、支店の方も含めて何度かお邪魔しています。
世に日本三大がっかり名所などと言われる中でも個人的には首位を争うところにいるんじゃないかと思っている(笑)はりまや橋の近くということもあって、相対的に観光客も大勢来るお店ですけれども、基本的には地域密着型の寿司屋で、バリューフォーマネーで勝負する店という印象を持っています。
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Ocean/5975/story/gakkari/gakkari.htm
高知といえばカツオだの鯨だの鉄板と言うべき名物料理が多すぎて、それだけを食べていても十分満腹かつ満足してしまうようなところがありますけれども、こういう店でカウンターに座って安くてうまい季節のものを出してもらうのもいいものだと思うのですけれどもね。

まあそんなわけで、普段であればその日のオススメなども参考にしながら適当にあれもこれもと頼んでいるところなんですけれども、この日は同行のゲストがいらっしゃったこともあってごく無難に一番押しというコースメニューを頼んでみました(言行不一致…)。
しかしこれ、突き出しに始まって黙っていても次々と料理が運ばれてくるのは楽でいいんですが(苦笑)、寿司屋で個室にこもってこういうものを食べているというのも何かしら拍子抜けすると言いますか、手持ち無沙汰なところがあるもんだなと妙なところで感心してしまいましたね(<馬鹿)。
料理自体はこの店らしく高級食材というのは元より使っていないんですが、普通においしくいただけるものが揃っているという感じで料理の手際も悪いものではありませんし、何より見た目に「(値段よりは)ちょっと高級そう」とアピールしてくるのも接客目的の場合には地味にポイント高いと思いますね(笑)。

胃袋の大きい方々も満足出来るように?寿司屋らしくメインにはちゃんと握りがついてくるんですが、マグロなども下手に格落ちのトロなどを使わず赤身を出してくるあたり、大衆店らしい良い意味での割り切りがあるのもいいと思います。
そういう点では刺し身や焼き物なども値段相応の内容と言うべきもので特に珍しいものはないんですけれども、逆に普段外食などあまりしない人が週末にちょっと贅沢をして晩ご飯を食べにいこうといった時には、ちょうどこのあたりが程よい塩梅になるんだろうなと言う感じで、肩肘張らずに楽しめる手頃感はあります。
ただコースということで見ると、閉め切りの個室でなかなかタイミングを図るのが難しいのは判るんですが、蒸し物を運んできて箸もつけないうちに次の焼き物が出てきたりと、もう少しゆったりとした気分で味わせて欲しいかなとも感じさせるところはありました。

ちなみに寿司としては(他の方々も結構言及されていますが)こちらの卵が好きなんですけれども、この日はやや巻きの手際が悪かったのか少しばかり焼きが入りすぎて食感が雑なものになってしまっていたのは、他の店では十分許容範囲であることを承知の上で敢えて苦言を呈しておきます。
あとは自分などはあまり食後に甘ったるいものを食べさせられるのはむしろ余韻を壊すと考える方なんですけれども、コースと言う意味で見てみると多少デザート的な締めもあってもいいのかなという気はするところでしたが、そう考えてみるといっそこの名物?の卵焼きを使った一皿なんてものも面白いかも知れませんね。

本土の都市部ではこの値段でこの味とボリューム感を得られる店というとそうそうはありませんから、その意味では観光客にとっても非常にお得なコースの設定なのは確かだし、地元の人が会合やちょっとした接待などに使っても納得出来そうな感じなんですが、一方では高知らしく豪快にと言いますか、何かしらもっと下品にガツガツ食べてみたいという妙な衝動も感じられるのはどうしたものなんでしょうね(苦笑)。
店の味を十二分に味わうということになればやはりカウンターでゆっくり楽しんだ方が満足感は高いのでしょうし、別にそれで目の飛び出るような料金を請求されるというわけでもありませんから、他所から来た一見さんでも気楽に立ち寄ってみて寿司をつまんでも損のないお店ではあると思います。
しかし最近ではこういうコストパフォーマンス系の寿司屋は高級店と高級志向の回転寿司との間で圧迫されて厳しいところもあるんじゃないかと思っていたのですが、こうしてちゃんと繁盛している店もあるわけですから、やはり商品としての競争力を高めるという商売の基本が大切だということなんでしょうか。

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2010年3月 6日 (土)

今節の捕鯨闘争は終焉へ しかし場外戦こそ本筋かも…?

すでに皆さんご存知の通り、先ごろ環境テロリスト「シー・シェパード」が今シーズンの捕鯨妨害活動終了を宣言しました。
実際には使用する妨害船の修理等で継続不能な状況となったからだとも言われているようですけれども、負け犬の遠…もとい、彼らの勝利宣言なるものを記事から引用してみましょう。

シー・シェパードが今季の捕鯨妨害活動を終了宣言 「大成功だった」(2010年2月26日産経新聞)

 日本の調査捕鯨船への妨害活動を繰り返していた「シー・シェパード」が26日、今季の捕鯨シーズンの妨害活動を終え、オーストラリアのホバート港に戻ると、ウェブサイトで発表した。今後は地中海でのクロマグロ漁の妨害に向かうという。

 同サイトによると、シー・シェパードの妨害船は3月6日にホバート港に帰港し、16日に地中海へ向けて出航するという。またシー・シェパードは、一連の日本の調査捕鯨船への妨害活動について、「今シーズンは大成功だった」と自画自賛した。

 シー・シェパードは、3隻の妨害船のうち1隻が日本の調査捕鯨船団の監視船第2昭南丸と衝突、沈没した後、2隻で活動していた。

しかし考えてみれば今回捕鯨活動自体には全く何の影響もなく、ただ他国民を攻撃し南極の海を汚染し海賊活動を行っただけのことが大成功であったというのですから、まさに彼らの目的が自然保護などではないということが明確になったわけで、語るに落ちるとはこのことですかね(笑)。
我々の感覚で言えば単なる自爆かと思えるような勝利宣言ですが、彼らの感覚ではあるいは本気でそう思っているのかも知れないと思うのは、例えば動物愛護団体がドイツで人気のホッキョクグマ「クヌート」の去勢を主張しているという先ごろのニュースにも見られるように、彼らプロ活動家の言う動物愛護精神と一般的な日本人の考えるそれとはまた別なものであるんじゃないかと感じるところです。
先日はフロリダのシーワールドで観客の目の前で調教師がシャチに噛み殺されるという事件がありましたけれども、この悲惨な事件に対して「シーシェパードはシーワールドより安全(Sea Shepherd is Safer than Sea World)」なんて不謹慎なコメントを出してみたりと、やはり感覚の違いというものは感じざるを得ないのですね。

オーストラリアなども日本の捕鯨活動に対して強固な反対の論陣を張っている反捕鯨の急先鋒ですけれども、鯨はダメと言いながらイルカは普通に捕って食べる(イルカは大きさが違うだけでマッコウなどと同じハクジラです)、絶滅危惧種で国際的に保護が叫ばれているジュゴンも捕って食べる、カンガルーは国をあげて大量に殺して回っているし、今度は猫も増えすぎたから殺すことにしますという。
彼らなりに理由があってやっていることなのでしょうからそれが悪いというつもりもないですが、それでは鯨を捕って食べることだけが悪いというのは何故か(しかも、彼らの愛するザトウクジラには手を出さないというのに)という素朴な疑問は誰しも湧いてくるところですよね。
最近ではさすがにこういう恣意的な区別?というものはおかしいと考える人も増えてきたのか、前回にも紹介しましたようにあちこちから批判する声も出てきているようですけれども、シー・シェパードに代表されるような資金目当てのプロはもとより、南極領有権問題など彼らの捕鯨反対活動のバックグラウンドも考えておかなければ見当違いの反論になってしまう可能性があります。

「好奇心はネコをも殺す」 オーストラリアの野良ネコ駆除作戦(2010年02月24日AFP)

【2月24日 AFP】オーストラリアの科学者らは、同国に1800万匹生息しているとされる野良猫を駆除するため、「好奇心はネコをも殺す」のことわざにあやかった新たな罠(わな)を考案した。

 この新たな罠は、音と光を用いてネコの好奇心を刺激し、近寄ってきたネコに毒を噴出するというもの。豪研究機関の「外来種共同研究センター(Invasive Animals Cooperative Research Centre)」によると、サウスオーストラリア(South Australia)州沖のカンガルー島(Kangaroo Island)でまもなく実験を始めるという。

 スティーブン・ラピッジ(Steven Lapidge)教授によると、この罠はトンネル状の装置で、音と光を発してネコを中に誘い込む仕組み。「トンネルの中を通過する動物をセンサーで判別し、ネコのかたちをしていたら、その腹部に、睡眠を誘う毒を噴出する」という。豪公共放送のオーストラリア放送協会(ABC)が伝えた。

 外来種共同研究センターは、オーストラリア国内に約1800万匹の野良猫が生息しているとみている。もともとペットだったネコが野良ネコ化したものだが、野生生物を殺してしまうため問題化している。だが、普通の毒で駆除するのが困難で困っていた。

 オーストラリアは広大であることから、外来種などが入り込むと思わぬ結果になることがある。同国では、野生のブタやウサギ、キツネ、オオヒキガエル、果てにはラクダによる農作物や環境への被害に悩まされているという。

【オーストラリア】猫に毒噴射して駆除「鯨は生かすけど猫は殺すのか」(2010年02月25日ロケットニュース24)

オーストラリアの外来種共同研究センターや研究機関はこの程、国内の野良猫たち推定1800万匹を駆除するため、野良猫を誘い出して毒を噴射する装置を開発。野良猫の駆除活動をいっせいに開始すると表明した。AFPBBニュースによると、その装置は「音と光を用いてネコの好奇心を刺激し、近寄ってきたネコに毒を噴出する」罠との事。

オーストラリアでは海洋生物の保全活動をしているシーシェパード(Sea Shepherd Conservation Society)が、日本の研究的捕鯨に関して猛反発しており、研究捕鯨船に対して過激な攻撃をしてくるなど問題化している。そんななかで「猫に毒噴射をして駆除」というニュースが流れ、日本のインターネットユーザー達から怒りの声が上がっている。

日本人には「オーストラリア=シーシェパード」というイメージが定着しているようで、「鯨は生かすけど猫は殺すのか」という内容の意見が多いようだ。例えばこのような意見があがっている。

「シーシェパードは何やってんの? 金にならないことはやんないの?」、「さすがオージー。鯨は守っても他の生き物にはこの仕打ち。ご都合主義もここまでいくと・・・・。恥知らずめ」、「オージーの民度が低すぎてネコも迷惑」、「おまえら、猫を守るためにオーストラリアに特攻せよ! 」、「あんなかわいいネコを殺さないでください。ネコはクジラ以上に感情がある動物なんです。そんなネコを、数の調整で殺さないでください」、「俺はオージーのこのネコ殺しも日本のクジラ喰いも正当化される行為だと思うぜ。ただオージーがクジラ狩りを批判する資格はない」。

この毒噴射の罠だが、その場で野良猫を殺す毒ではなく、その場で深い眠りに落ちる毒なのだという。その後収容所等に運ばれ、大半が殺されることになると思われる。

まあ民族的背景等によっても何に愛着がわくかは大いに変わるものだとは思いますが、率直な感想として妙に凝り性な罠を作ったものだなという気はするところですかね。

さて、話は変わって先ごろ日本船に不法侵入したテロリストの続報ですけれども、これがなかなか興味深い話が出てきているようですね。
ニュージーランド国籍で例の遺棄されたバットモービル(笑)の元船長だったというピート・ベチューン船長、日本船に侵入して3億円寄越せ!なんて海賊行為を働いたことで今や海保の取調べを待つ身ですけれども、どうも背後の事情を聞いてみれば海賊でも何でもせざるを得ないような追い詰められた状況ではあったようなのです。

日本船乗り込みクルーはかつて死亡海難事故を起こす 多額の補償義務を背負う(2010年2月20日ブログ記事)
より抜粋

 沈没したアディ・ギル号の船長だったシー・シェパードのピート・ベスーンが、第2昭南丸に乗り込んできた出来事は、ベスーン船長の母国、ニュージーランドで、対日強硬姿勢を強める外交問題へと発展しそうな雰囲気が広がっています。
(略)
 ここで、ベスーン船長の生い立ちや生活環境、そして、彼が愛してやまなかったアディ・ギル号について、ちょっとだけおさらいしなくてはいけないことがあります。

 44歳のベスーン船長はもともとは、海底油田を発掘するエンジニアとして勤務しており、北海やリビヤなどで暮らしていたことがあります。
 アディ・ギル号は、シー・シェパードの反捕鯨キャンペーンに加わる前に、アース・レース号と呼ばれていました。
 バイオ燃料を使って、最短時間で世界一周するというイベントがあり、アース・レース号が建造され、ベスーン船長はそのときもこの高速艇に乗り、航海に出たのです。
 しかし、不運にも、寄港地のグアテマラで漁船との衝突事故を起こし、漁船の乗組員が一人、なくなってしまったのです。アースレース号のクルーは逮捕され、結局、起訴はされなかったのですが、遺族に対して、多額の補償を背負うことになったのです。

『グアテマラで発生した海難事故を伝える記事』

 夫婦は、この高速艇を作るときに自宅を担保にして借金を背負っていたようです。
 ですから、妻のシャロンさんは、アディ号が沈んでしまい、この多額の借金の支払いを心配しており、日本に請求書を要求した夫の行動を、ニュージーランド政府に支援してほしいとの気持ちを持っています。

 ニュージーランドヘラルドにはこんな表記があります。

 She worries about an outstanding payment for the Ady Gil - which the couple mortgaged their house to build. "Whether the money will come through now the boat is sunk I don't know."

 シャロンさんは、「日本の捕鯨船に乗った動機は支持している。彼には、船の損害について要求書を出す権利がある」と言っています。しかし、「ちょっとだけセルフィッシュだった」とも。
「彼は、環境を守るための戦士。妥協を許さない姿勢が、こうした結果を生んだのよ。彼が船をおりたら、メディアの関心も薄れてしまう。だから、彼の目的はできるだけ、メディアの関心をひきつけることなのよ」
 ニュージーランドヘラルドは、こうしたベスーン船長の性格やバックグラウンドを詳細に伝えていますが、ベスーン船長がアディ号の損害賠償にこだわる理由の一つに、船の借金とグアテマラで起こった死亡事故にからむ遺族への補償があるというようなニュアンスをにじませています。

いや自分たちのつけを無関係な日本政府に肩代わりさせようなんて夫を「ちょっとだけセルフィッシュ」って、あなたたちのデフォルトってどれだけセルフィッシュなんだよと(苦笑)
聞いてみればなんだという話ですけれども、金の為にテロに走り、金のために海賊行為も厭わないというのはまさにシー・シェパードの活動原理そのものですから、類は友を呼んだというべきなのか、少なくとも全く意外性はない話ではありますよね。
世界中からスポンサー数多だというのですからその程度の金は親分に泣きついて出してもらえないのかとも思うところですが、いずれにしてもシー・シェパードらその道のプロの行動原理が金集めである、そしてそのスポンサーにアピールするため派手な宣伝活動をやりたがっているのだと考えていくと、我々の身近なところにも色々と地雷が埋まっていることが判ってきます。

映画「オーシャンズ」の賛同団体にシー・シェパード 関係者も困惑(2010年2月25日産経新聞)

 クジラなど海洋生物を描き人気を博しているフランス映画「オーシャンズ」の最後に、環境保護を標榜(ひようぼう)しながら暴力的な調査捕鯨妨害を繰り返す米団体「シー・シェパード」(SS)の名前が賛同団体の一つとして紹介されることが、鑑賞客の間で論議を呼んでいる。保護者同伴の子供料金が500円と格安に設定されていることから家族連れの鑑賞客も多いが、「子供に見せてもいいのか」という声も上がり始めている。(菅原慎太郎)

 オーシャンズはクジラやサメ、アシカ類など海洋生物の姿を描いたドキュメンタリータッチの映画で、米アカデミー賞の受賞経験もあるジャック・ペラン氏らが共同監督を務めた。1月22日から全国で公開中で、昨年10月の東京国際映画祭でも特別招待作品として上映され、鳩山由紀夫首相と幸夫人も鑑賞した。

 作品の最後に出演者や制作スタッフ、協力団体などを流すエンドロールには、SSの名前が英語で出てくるうえ、作品中にクジラ類のシーンが多いことなどから、鑑賞客から「日本人に対する攻撃や反捕鯨のメッセージがあるのか」と疑問の声が上がっている。

 配給元の映画配給会社「ギャガ」(東京)によると、SSは「海の命を守りたい」という作品の考え方に賛同している複数の団体の一つとしてクレジットされただけで、制作協力などはしていないという。

 同社の担当者は「制作者側は反捕鯨のPRや特定の国を攻撃する意図は全くないと言っている。SSの映画だと誤解されたとすれば悲しい。海の素晴らしさを多くの子供に見てもらうことはいいことだと思う」と困惑気味だ。

 一方、たびたびSSの暴力にさらされてきた捕鯨関係者は「『自然』や『環境保護』の美名の下に潜んでいるSSは許せない」と改めて怒りを募らせている。

「ザ・コーヴ」、アカデミー賞候補に漁師困惑 「日本の漁師はジャパニーズ・マフィア」(2010年2月25日読売新聞)

 和歌山県太地町のイルカ漁を隠し撮りした米国のドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」が米・アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた。

 イルカをモリで突き、海が血に染まるシーンなど、上映された国では漁への厳しい批判の声が上がった問題作だ。「撮影手法も内容も間違っている。受賞すれば見識が問われる」と地元の漁師らは困惑する。日本では初夏に公開予定で、来月7日(日本時間8日)発表の賞レースの行方が注目される。

 人気ドラマ「フリッパー」でイルカを調教した反捕鯨活動家へのインタビューを軸に、撮影クルーと漁師らとの押し問答やダイバーらが漁を盗撮する様子が描かれる。「水銀を含んだイルカ肉は人体に有害」と“告発”。直接関係ない水俣病患者の映像も織り込まれる

 捕鯨で知られる同町ではイルカ漁も古くから行われていた。現在は約20人が従事し、水産庁が定めた年間約2800頭の枠内で沖で泳ぐイルカを湾に追い込むなどして捕獲。解体して食肉として販売している。

 町漁業協同組合の杉森宮人参事は「漁は生活の糧で誇り。一方的に悪い存在として描かれ、漁師はショックを受けている」と話す。映画化は事前に知らされておらず、顔を出すことも了解していなかったという。

 漁協の弁護士は「漁師をジャパニーズマフィアと表現したり、漁を隠蔽(いんぺい)していると説明したり、明らかな事実誤認がある」とする。

 昨秋、東京国際映画祭で上映された際には海外メディアなどから町に取材が相次ぎ、担当課の業務がストップする騒ぎになった。北洋司教育長は「私も長年、イルカを食べてきたが、健康被害など聞いたことがない。水俣病と関連があるかのような内容はあまりに偏っている。最も権威あるアカデミー賞まで取ってしまったら」と憂慮する。

 豪州では公開時に、太地町と姉妹提携するブルーム市の市議らに抗議メールが殺到し、提携が一時停止する事態になった。

 漁協は弁護士を通じて上映中止を求める意向だが、配給会社では「海外で23もの賞を取った話題作。バッシングを受けているからこそ実際に見て判断してほしい。顔をぼかすなど修整を加えた上で、全国公開する予定」としている。

 ルイ・シホヨス監督は取材に対し「なぜ漁師が戸惑うのか分からない。日本たたきの作品でなく、日本へのラブレター。イルカと人間の両方を救おうとしていることを分かってもらえれば、また日本を訪れたい」とのメールを寄せた。

 ◆「ザ・コーヴ」=シホヨス監督が2005年に設立した環境保護団体が製作。同年10月~08年9月に撮影し、太地町では主に7人のスタッフが、町の制止を無視してカメラを回した。欧米などでは昨年公開され、米放送映画批評家協会のドキュメンタリー賞などを受賞。アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞は過去、「ボウリング・フォー・コロンバイン」(03年)、「不都合な真実」(07年)などが受賞した。題名「THE COVE」は、漁でイルカを追い込む「入り江」の意味。

しかし自他共に認める反捕鯨派として知られる総理閣下、こんなところでも地味に活動中とは恐れ入りましたが(苦笑)、あちらこちらで想像以上に彼らの長い腕が伸びてきているということは実感せざるを得ないところですよね。
さて、こういう状況となってくると一般国民にどういう影響が出てくるのかも気になってきますが、例えばシー・シェパードの次なる標的というマグロ問題では、そろそろ大西洋、地中海方面での全面禁漁もささやかれる中、次はどの魚が標的になるかと今から噂されているところではあります。
マグロに関してはこの機会に完全養殖技術の大規模な商業化が一気に進んでくる可能性もあるかと思いますけれども、養殖が難しい鯨の方は近年順調に増えてきているという鯨肉消費と増加が見込み難い供給との間にどう折り合いをつけて行くのか、関係者としても悩ましいところではあるでしょうね。

一連の騒動で唯一良い側面があったとすれば、これだけの騒ぎになった結果国民の鯨に対する関心が高まってきたということではないかと思いますが、せっかくの流れに水を差してしまわないためにも、関係諸店はぜひともうまい鯨料理を提供していただければ当「ぐり研」としてもありがたいかなと思いますね。

赤坂にクジラ料理がメーンの居酒屋「まごの邸」-捕鯨問題で関心高まる(2010年02月25日赤坂経済新聞)

 クジラ料理をメーンで提供する「まごの邸」(港区赤坂3、TEL 03-3584-2818)が2月17日、本格オープンした。

 店舗面積45坪、座数68席の同店は昨年11月に赤坂に店舗を構えたが、赤坂の客の嗜好(しこう)を探るためにテストマーケティングを行ってきた。約3カ月の運営後、グランドメニューを確定し、本格オープンを迎えた。

 同店を経営する三信商事(新宿区)は、クジラ料理が名物のダイニング「茜どき」(新宿区)を3年前にオープン。その間、質の高い鯨肉の仕入れ先を確保し、クジラ料理のノウハウを十分に得たことから、赤坂への出店を決めたという。「赤坂という都心の真ん中にありながら、リーズナブルな値段で高いクオリティの鯨肉を提供できるのは、自分たち以外にはいない」と同社専務の方山成洙さん。

 「わたしは給食にクジラ料理が出てきた最後の世代。今は、クジラを食べたことがない若者も多い。日本古来の伝統食が消えることは、その素晴らしい味を知っているだけに残念。若い人にこそ、安くて質のいい鯨肉を食べて、クジラがおいしいことに驚いてもらいたい」と方山さん。「クジラの肉は、牛肉や豚肉に比べて低カロリー、低コレステロール。その上タンパク質が豊富で女性にも喜んでもらえるはず」とも。

 クジラメニューは刺身(780円~)、くじらの竜田揚げ(720円)、くじらカツ(1,080円)、くじらの鉄板焼きステーキ(1,180円)、さらしくじら(480円)、くじらスジの煮込み(480円)、さえずり(720円)、クジラのはりはり鍋(1人前、1,980円)など。すべて新鮮なミンククジラを使用している。

 「まさに今、捕鯨問題などがニュースで取り上げられ関心が高まっていることを感じる。飲みながら捕鯨について議論するお客さんも増えた。ぜひ鯨肉を食べながら、語り合ってもらえれば」(方山さん)
(略)

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2010年3月 5日 (金)

先立つものが乏しくなってきた時代の医療の行く末は

不景気ということもあってどこでも支出の切り下げに苦労しているところですが、それは医療現場においても同じことです。
診療報酬切り下げが続いてきたこともあって病院の半数が赤字と言う時代ですから、近年専ら医療を行う側の切り詰めぶりが取り上げられてきた経緯がありますけれども、利用する側もきついのだという話がこちら毎日新聞の記事ですね。

慢性疾患:生涯ローン…7割が「医療費重い」 東大調査(2010年2月28日毎日新聞)

 がんや糖尿病などの治療を継続している患者らのうち、約7割が医療費の支払いに負担を感じていることが、東京大医科学研究所の研究チームの調査で分かった。医療費の高さなどを理由に治療の中止を考えたことがある患者らは約4割いた。年齢や所得に応じて治療費の支払いを抑える国の高額療養費制度の自己負担上限額が徐々に引き上げられたのに加え、景気悪化に伴う収入減が追い打ちをかけているとみられる。

 ◇自己負担上限引き上げが響く

 研究チームは、慢性疾患の患者会約300団体と患者個人にアンケートへの協力を依頼。昨年12月から今年1月までに回答のあった計77種類の疾患患者ら227人分を分析し、5年前と比較した。

 「先の見えない慢性疾患は、生きている限り続く生涯ローン」「安心して(病気の)子どもを残し他界できない」。アンケートから治療費負担にあえぐ患者の困窮ぶりが浮かんだ。

 5年前に比べ年間医療費は平均30万円と変わらなかったが、世帯総所得は09年が平均430万円で5年前から20万円減少した。医療費の支払いに負担を感じている割合は09年が69%。5年前に既に発症していた患者ら(227人中144人)のうち当時負担を感じていた割合は49%で、約1.4倍に増えた。全体の38%は治療中止を考えたことがあり、そのうち83%が医療費の高さを理由に挙げた。

 高額療養費制度を利用している患者らは全体の51%いたが、そのうち自己負担の上限額が「大変高額」「やや高額」と答えた割合は計92%に達し、90%は上限額を「引き下げてほしい」と答えた。月々に支払える金額を尋ねると、1万円が最も多く、5000円、2万円などが続いた。

 一方、国の高額療養費制度は70歳未満の一般所得者の場合、最低でも月4万4400円で、患者らが無理なく負担できる金額とは隔たりがある。制度ができた73年、自己負担上限額は3万円だったが収入の増加などと共に引き上げられてきた。

 血糖値を下げるインスリンを体内で作れず、インスリン注射をしなければ数日で昏睡(こんすい)状態に陥る1型糖尿病患者の千葉県の女性(34)は夫と2人暮らし。「医療費が家計を圧迫していて、子供を産んでもかわいそう。(糖尿病による)合併症が増える一方なのに、働かなければ生きてゆけない」とつづった。

 乳がん患者も化学療法などのため治療費が高くなる傾向がある。夫と子どもと3人で暮らす栃木県の女性(50)は治療のため退職した。「長生きしたいと思うことが、家族の負担になることがつらい」と嘆いた。

 調査した同研究所の児玉有子特任研究員は「国は上限額引き下げなど負担軽減に向けた議論を早急に始めるべきだ」と話している。【河内敏康】

最近は保険者側が被保険者にジェネリックを使うように指導しているところも結構あるようですけれども、そうでなくとも外来などで少しでも薬代が安くならないかと担当医と相談する患者も増えてきているようで、結果として漫然と続いている無駄な投薬が減るというのであればこれはこれで良い側面もあるのかも知れません。
国としての医療費で見ると日本は先進国の中でも支出が少ないという客観的データはあるわけですし、「アラブの富豪が受けるような治療を、日本では乞食でも受けられる」と語ったのは元台湾総統の李登輝氏ですけれども、一方では以前から「いや!日本の医療費は高い!」と主張する声は結構根強いものがありますよね。
高い派にしても安い派にしても世界200カ国からある国々から自分の得手勝手な国の制度を引っ張ってくるわけですから、その比較対象としているのがどこの国であるかということに注目しないことには話になりませんが、とりあえず同じ毎日新聞ではこういう記事を掲載しているということを引用してみましょう。

憂楽帳:米国の医療(2010年2月9日毎日新聞)

 米国留学中、激しい胃痛を訴えた妻を夜中に病院へ運び込んだ。診断もはっきりしない状態で、いきなりモルヒネの投与。1錠数千円の強力な痛み止めを処方され、病院を放り出された。「痛くなったらまた来て」と。

 案の定、翌日、緊急入院となった。超音波、胃カメラ、腸カメラ……。次々に検査をしたが、それらしき病変はない。専門医に「胃炎は?」と尋ねると、「胃カメラでは判別できない」と、日本ではまずあり得ない答え。超小型カメラ内蔵のカプセルをのむ、100万円を超す最先端の検査を勧められたが、断った。2泊3日の入院費がいくらだったのか。海外留学保険のキャッシュレスサービスを利用したので知るすべもないが、救急室で点滴を1本打ってもらった知人は3000ドル(27万円)を請求されたという。

 高額の医療費は、医者の診療報酬が高いからだが、その医者も年間1000万円と言われる賠償責任保険の掛け金の支払いに苦しむ。元をただせば医療訴訟の増加が原因だ。米国と比べて、日本の医療は押しなべて良質で安価だと思う。医療崩壊は食い止めたい。【岡田功】

まあ毎日新聞さんの場合「お前が言うな!」と言われそうな勢いなんですけれども(苦笑)、おおむね海外暮らしを経験した人ほど日本の医療制度に対する評価が高くなるというのは、やはり色々と数字を比べたりするより体験してみる方が判りやすいということなのでしょう。
相対的に安い医療費で質の高い医療を万人に提供しているわけですから、客観的に見ても日本の医療が世界最高水準であるという国際的評価には納得できるものがありますけれども、医者にしても患者にしても不満が大きいのは、同じような価格帯の他の民間サービスに比べて双方の自由度が低い、お金を出してでも選べるオプションが少ないというところにもあるのかも知れません。
何しろ保険診療でやる限り李登輝氏のような国賓級のセレブであろうが生活保護の患者と同じ内容の医療しか受けられない、そして医療とはそうであるべきだというのが今までのこの国でのコンセンサスだった(ということになっている)わけですが、逆に言えば「そこまで高度な医療でなくてもいい、そのかわり安くしろ」という要求に応える術もなかったのが日本のワンプライス医療システムではあったわけです。

世間では価格破壊や規制緩和が錦の御旗のように言われる時代ですし、医療ももっと一人一人の個性に応じたオーダーメイドにしていかないと駄目だなんて声も次第に大きくなっている中で、制度的に誰でも同じ医療しか受けられないことになっている現行の皆保険制度が無条件に是とされてきたというのも、何かしら不思議な話ではありますよね。
とにかくコストパフォーマンスを追求したいという人はもちろん、「高くても良い医療を受けたい」という人にしてもさすがに全額自費でやれる人は少ないでしょうから、当面のところ混合診療解禁の是非がどうという話になるのでしょうけれども、現行制度の中でも例えば順天堂のように会員制の特別扱いをやりますなんてところも出ていますから、そろそろこの辺りの議論も避けて通れなくなってきているはずなのです。
医療は万人に平等であるべきか否かは興味深い思索のテーマではありますが、現実問題としては遠からず医療費増加とそれに対する患者負担増に絡めて「もっと安い医療を!」という声も上がってくるだろうし、もし厚労省あたりが動く気があれば利用するに格好の民意ということになりそうですから、そうなると長年混合診療に反対してワンプライス制度を支持してきた日医らがどう動くかにも注目ですかね。

しかし考えてみると日本の色々な業界やら制度やらを全部ひっくるめても、今どき医療ほど理想主義的傾向が強固に残ってるものはそうそうないと思うのですが、一面ではそれがタテマエばかりでホンネの見えない議論につながっていた側面も否定できないかなという気がします。
例えばドイツのように高齢者の透析は公費負担から外すというように患者を年齢等で「区別」するのは珍しいことではないし、金がなければ高いサービスは諦めるというのは世界中ほとんどの国での(そして、日本でも医療以外では)常識なんですが、日本では何より当事者である医療従事者が「例え治療代を踏み倒されても最善の治療を」と損得抜きでやるのが当然視されていた、その結果病院が経営難に陥って結局一番迷惑を被ったのは誰なのかと言う話もあるでしょう。
マスコミさんたちはやたらと「赤ひげは金のない庶民にも医療を提供してきた!素晴らしい!」と妙に絶賛しますけれども、そう言うのであれば赤ひげ式に金持ちからは法外な報酬をふんだくるためにもワンプライス制度破棄を声高に叫ばなければならないはずなのに、「医療は万人に平等でなければ!」なんてことを言うのはどんな自己矛盾かという話ですよね。

今まで医療を語り始めると日医を始め誰しも「いや自分はいいけどそれじゃ他の誰かが困るから」式の妙に他人行儀な話ばかりしてきたようなところもあったのですが、日本人の気質も変化してきて経済的にも理想主義ばかりでやっていられなくなってきたこの時期、ようやくホンネで医療を語り合う時代がやってきたという気配はしているように思いますね。
もちろんそういう時代だからこそ、誰であれ言うべきことははっきり言っておかないことには「え?聞いてないよ?!」なトンデモ話を押し付けられてしまいかねないわけですが(苦笑)。

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2010年3月 4日 (木)

医療の絶対性が失われた時代におけるインセンティブ

全く本日の話とは関係ないところから入りますけれども、大淀病院事件の判決と相前後して、こういう署名記事が出ていましたことをご存知でしょうか?
内容自体は全く当該事件と関係のない記事ですので紹介だけにとどめておきますが、末尾の署名にご注目ください。

【参考】がんを生きる:/62 ICU症候群/上 「帰って」面会の両親拒否 /大阪(2010年3月2日毎日新聞)

>【青木絵美】
>【青木絵美】
>【青木絵美】

ひところ医療記事から離れていらっしゃったように側聞しておりますが、もうほとぼりが覚めたつもりなんでしょうか、再びこの世界に戻っていらっしゃったのですね(苦笑)。
しかしほとぼりが覚めたにしてもみそぎが済んだとは到底言えないのは当然ですし、何より青木絵美氏ら毎日新聞奈良支局のご尽力もあってか医療崩壊の流れは今も脈々とこの国に息づいています。
そしてここにもう一人、やはりこの国の医療の行く末を憂い、今や社会的にも大きな影響力を発揮しているあのお方もあいかわらず御壮健のようですね。

「医療崩壊」に警鐘 岡山で県民公開シンポ 医師不足、地域格差訴え(2010年2月28日山陽新聞)

 地域医療の在り方をテーマにした第2回岡山県民公開医療シンポジウム(県病院協会、県医師会主催、山陽新聞社など後援)が27日、岡山市中区古京町の三木記念ホールで開かれ、病院関係者や市民約400人が医師不足や地域格差などの課題を考えた。

 「医療崩壊」と題し基調講演した埼玉県済生会栗橋病院の本田宏副院長は、国が長年続けてきた医療費の抑制策で医師不足などさまざまなひずみが生じているのに、国民に正しい情報が伝わっていないと指摘。

 「今後、団塊世代の高齢化で医療需要は爆発的に増える。今、医療費や医師数を増やさなければ、取り返しがつかなくなる」と警鐘を鳴らした。その上で「医療崩壊を防ぐのは国民共通の社会的責任。医療に関心を持ち、医療者とともに声を上げてほしい」と呼び掛けた。

 続くシンポジウムで、新見市の石垣正夫市長、津山中央病院の徳田直彦院長が医師不足に悩む県北医療の窮状を訴えた。

今や本業よりもこちら方面の方で御活躍されているような気配もある大先生ですけれども、ネット上でも相変わらず大人気のようですね。
しかし当事者の書き込みを見ると非常に気になるのが、どうもこうした大先生の活動を自らの思惑のために利用している勢力も多いようですね。

153 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/02/28(日) 18:39:45 ID:s9ATz6bq0

>>146
ホンダラ論理破綻ひどすぎる。
西日本を中心に人口比医師数は非常に多い。
岡山も多い県のひとつだろう。たいした人口でもないのに、旧六の丘大がある上に、底辺私大もあるしな。
医師数増やしても意味なしを証明しているのが西日本なのに、西日本まで来て講演三昧。

155 名前:卵の名無しさん[age] 投稿日:2010/02/28(日) 19:29:29 ID:L/WZLvwX0

>> 153 146
主催が県病院協会と県医師会が主催という呉越同舟な取り合わせで?だったが
往って見て判った。爺医と県の役人ばっかり
おれたちがリタイアするころには関係ない、とのお言葉でした。
イパーン人は1/4ほどで、おば(あ)ちゃん多し。
盛んにH先生に喝采してた。ン年まえには肥炭に喝采してたんだろうによ。
崩壊は医者にせいじゃねぇという衆愚向け宣伝にはなってだろ。
それだけだが。

大先生のことはおくとしてもこうした話を聞いていますと、医者も近頃では利用者である国民の声、あるいは大きく言えば世論の動向というものをずいぶん気にするようになってきたんだなと感じるところですが、こうして他業界並みに世論を味方につけるための仕事に精出すようになったことは良い傾向だと思いますね。
一昔前には専門家として最善手を示し患者を導かなければという正義感、責任感の裏返しもあってか、医者は横柄だ、患者のいうことに耳を貸さないと叩かれたものですけれども、今の医者は正しく説明をした結果受け入れないのであればそれは患者の自己責任という適度な距離感も保てるようになってきたし、正しいことをやっていれば黙っていても判ってもらえるなんて妙な幻想も抱かなくなってきたということでしょう。
一方で自己の絶対性を確信しなくなった今の医者はずいぶんと打たれ弱くなってきているという考え方も出来るかと思いますが、医療崩壊を阻止したいという側から見ても単に「医者の責任感はどうした!」なんて念仏を唱えていれば事足れりとするのではなく、きちんと情宣活動を行い理性と感情の双方から医者の支持を得ていく必要が出てきたということですよね。

医療行政においてもそういう医者側の心理の変化に配慮しなければますます医療崩壊を加速させるということになりかねませんが、多くの場合医療現場に対するムチばかりが大騒ぎされる中で、どうやってアメ(インセンティブ)をアピールするかということが、財政的にも出すべき実弾に乏しい為政者側の大きな課題ということになるのでしょうね。
このあたり、大先生の提唱する斬新な理論によれば、とにかく医者を増やせば全ては解決する!逃げ出していった医者達も大喜びで奴隷労働に帰ってくるようになる!ということになっているようですけれども(苦笑)、実際にその仮説が正しかったのかどうかは将来の検証に委ねるとしても、医者とはその程度のアメを見せれば大喜びで尻尾を振って見せる生き物であると思われていることの方が面白いなと思いますね。
そういう観点からちょこちょこと報道されてくる医療行政のアメの部分を見てみますと、何かちょっとズレているかなと思う話も結構あるように思えて面白いんですが、最近ではつい先日大騒ぎの末に決まったばかりのあの話が早速反故にされかねない勢いだという話が目に付きます。

開業医の24時間電話相談、義務付けを見送り 上乗せ料金は維持 厚労省(2010年3月2日産経新聞)

 長妻昭厚生労働相ら政務三役は1日、平成22年度の診療報酬改定で導入される休診時間帯に開業医が行う電話相談サービスについて、当初予定していた24時間対応の義務付けを見送る方針を固めた。開業医が電話相談に24時間応じることで救急病院の負担軽減を狙ったが、開業医から「負担が大きすぎ、通常の診察に影響が出る」との批判が相次いだため方針転換した。

 患者は新サービスを始める開業医に対し、再診時には常に上乗せ料金(地域医療貢献加算)を支払う仕組みとなるが、緊急時に電話相談できなくても上乗せ料金を支払わなければならなくなる可能性もある。

 新サービスでは、開業医が主にかかりつけ患者を対象に、診療時間外に電話で症状や処方薬の問い合わせに応じたり、重症の場合は近隣の救急病院を紹介したりする。ただ、上乗せ料金を患者へ請求できる条件として、厚労省が「24時間の電話相談対応」を義務付けようとしたことに地域の開業医や医師会が猛反発したため、救急患者の多い午前0時ごろまでの対応や地域の複数の開業医で分担して電話相談に応じる場合などでも「上乗せ料金」を認める方向で調整する。

「かかりつけの患者からの電話に24時間対応できる体制を」なんて大上段に振りかぶった事を言っていた割にはのっけから「あれれ?」な話なんですが、しかし今後詳細をつめていくにしても「地域の複数の開業医で分担して電話相談に応じる場合などでも「上乗せ料金」を認める方向」なんて、また何とも曖昧なことを言いだしたものだなとは思いますね。
これを見て思うのですが例えば地域でグループを組みましたと言って加算を取る場合に、かかりつけ患者から「電話相談に応じてくれなかった!」とクレームがついた時に処分を受けるのは、電話相談に応じなかったその日の当番医なのか、それともグループ対応ということで金を取っているかかりつけ先の診療所なのか、果たしてどっちなんでしょうね。
患者側からすると「本来かかりつけの医者が対応するべきなのにいい加減な医者にたらい回しにされた!金も取られているのに!かかりつけ医許すまじ!」なんてことになりそうに思うのですが、そういう風に考えてみますとこれは昔懐かしい「何かあったら隣組の連帯責任」なシステムということになるんでしょうか?

さて、総務省と言えば自治省からの流れで自治体病院と縁が深い省庁で、厚労省-財務省のラインが医療財政縮小政策を続けてきた中でも地方自治体病院への支援を続けてきたように、病院統廃合と医療資源集約化を目指す厚労省筋とは少しスタンスが違うのかなと思って見ているのですが、最近ではどうもさらに手を広げようとしているようですね。

民間の二次救急医療機関に財政措置―総務省(2010年2月2日CBニュース)

総務省は来年度から、地方公共団体が私的二次救急医療機関に助成する経費について、特別交付税措置を新たに講じる。交付額については未定で、これまでの私的二次救急医療機関に対する地方公共団体の助成額や救急患者の受け入れ実績などを踏まえ、具体的な算定方法を検討する。交付は12月の予定。
 これまで二次救急医療機関に対する財政措置は、公立病院に対する普通交付税や、病院を開設していない市町村が日赤病院や済生会病院などの公的病院に財政支援を行う場合の特別交付税があった。今回の措置はこのほかの私的病院を対象とするもの
 厚生労働省や総務省消防庁の調べによると、2008年の三次救急医療機関の設置主体は、「公立」が108施設、「公立以外」が106施設とほとんど同数であるのに対し、二次救急医療機関については、「公立」が699施設に対し、「公立以外」が2354施設で77.1%を占めている
 また 1996‐2008年の二次救急医療機関数の推移を3年ごとに見ると、「公立」は1996年の671施設から2002年には768施設にまで増加したが、その後は減少傾向で、08年は699施設だった。一方、「公立以外」は一貫して減少傾向で、1996年の3461施設から2008年には2354施設となり、12年間で3割以上減少している。
 さらに、08年に医療機関が傷病者を受け入れなかったのは、二次以下の医療機関が約10万4000件で、三次医療機関が約3万2000件だった。二次医療機関の機能不全から受け入れられなかった患者の多くが三次医療機関に搬送されるため、三次医療機関でもベッドが満床になるなど、受け入れ不能の状況にあるという。

まあ昨今どこの病院でもお金を出してくれるなら歓迎ですということなのかも知れませんが、この話を見て面白いと思うのは救急医療のインセンティブとしての補助云々もさることながら、こんなところまで総務省が関わってくるんだなということですよね。
確かに地方自治体のやることを支援するという形で間接的に民間病院も支援するということは可能なんでしょうが、しかしこのロジックを認めるということであれば医療機関は全てその所在するところの自治体の医療システムと大なり小なり関わり合いがあるわけですから、最後には総務省が全ての医療現場に介入できるという話になってくるのではないでしょうか?
この救急の補助金というものも本来なら診療報酬上のことで手当をしていくのが筋なのでしょう、実際に救急受入れ実績に応じて報酬に差をつけるなんて話は久しく前から言われていますけれども、こういう話はいろいろと各方面にしがらみの多い(笑)厚労省より総務省の方が話が早いというのも事実ではあるのでしょうかね。
このあたり厚労省と総務省の関係がどうなのかは判りませんけれども、この調子で手を広げて行っていずれ省庁の権限を犯された!と喧嘩になっていくのか、あるいは医療なんて面倒くさいことは全部そちらにお任せしますなんて押し付け合いになる、なんてこともあり得るんでしょうかね(苦笑)。

さて、最後はちょっとした小ネタなんですけれどもこういう話を紹介しておきましょう。

へき地の医師への住宅補助を強化―厚労省(2010年2月25日CBニュース)

 厚生労働省は、へき地の医師・看護師が住宅を新築・増改築する際の補助を強化することを決めた。2月25日の「へき地保健医療対策検討会」で明らかにした。

 これまでの同検討会での意見などを受けて、同日までに財務省との調整を終え、「医療施設等施設整備費補助金」の交付要綱を改定した。2010年度から適用する。
 改定によって、過疎地域特定診療所を含むへき地の診療所などの医師・看護師、へき地医療拠点病院の医師への住宅補助について、限度となる面積をいずれも 80平方メートルにまで拡大する。改定前は、診療所の医師・看護師住宅が50平方メートル、医療拠点病院の医師住宅が64平方メートルだった。補助率は2 分の1で変わらないが、1平方メートル当たりの限度額をそれぞれ1.8%引き上げる。

これ、マンション暮らしが当たり前な都市部の人は何とも思わないのかも知れませんけれども、昔から多世帯同居していたり納屋から離れまでセットになった広い家を見慣れている田舎の感覚でいうと「なんか、小さくない?」と思ってしまう話ではあるんですよね。
50平方メートルというとこんな感じ、80平方メートルというとこんな感じですが、こういう田舎でいうと医師と言えば町長村長を抜いて下手すると村一番の一番の高給取りでしょうに、せっかく家を新築するというのにこんな小ぢんまりしたものになってしまうのかと、少し意外な感じもする話ではあります。
おそらくこの制度、へき地公立病院などで官舎を建て替えるという時に使うように設定されていたんじゃないかと思うのですが、しかし今までは50平方メートルが上限だったなんて話を聞くにつけ、厚労省はへき地なんぞに来る医者は妻子をおいて単身赴任だと決めて掛かっていたということなんでしょうか?(苦笑)

しかしまあ、当今では雨露をしのぐ場所があるだけでも恵まれている、ありがたいと思うべきなのも確かなんでしょうけどね…

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2010年3月 3日 (水)

継ぐのは誰か 医師会が消えた後の医療行政と業界団体の関わり

大淀病院事件の判決と関連してネットで検索してあちこちのブログ記事を斜め読みしているのですが、一頃あれほど騒がれた「何事だ!恥を知れ!」式の騒動と裏腹に、何か妙にヌルい内容の記事ばかりが目について拍子抜けしているところです。
世間一般的には旬を過ぎた事件ということで残っているのは興味を持って経過を見守ってきた人だけということなのかも知れませんが、過日のマスコミ報道といいこの手のひら返しぶりはどうにも気持ちが悪いですよねえ(苦笑)。
ただこういう現象を見ていて思うのは、当時の毎日新聞のスクープ(笑)だけで終わっていれば決してこういう事態にはならなかったと想像できるわけで、やはりネットであれ何であれ医者も専門性の壁に隠れていないできちんと言うべきことは言っておかないと、後々大変なことになるという一つの教訓にはなったのかなということでしょうか。

まあ本日そうした話題はそれとして、先日こういう記事が出ていましたが御覧になったでしょうか。

勤務環境の改善は「今後も相談」―日産婦学会・海野氏(2010年3月1日CBニュース)

 日本産科婦人科学会は2月27日、定例記者会見を開き、海野信也・医療改革委員会委員長(北里大医学部産婦人科学教授)が4月の診療報酬改定について、「十分に(産婦人科の)状況を(厚生労働省に)ご理解頂くチャンスがあった。それは大変良かった」と評価した。ただ、「勤務環境の改善は、今後も(厚労省と)相談していかなければ」との見解を示した。

 海野氏は会見で、4月の診療報酬改定に当たって、昨年1月に学会としての要望事項をまとめて相談するよう厚労省から要求され、6月に要望したと説明し、「コミュニケーションの中で改定を進めて頂いた」と述べた。
 しかし、新設を要望していた「勤務環境確保加算」は取り入れられなかったため、「勤務環境の改善は、今後も相談していかなければ」との見解を示した。
(略)

今回の診療報酬改定作業で産科は優遇されたという話が各方面で報道されていますけれども、学会からも産科の窮状などについて厚労省に主張すべきを主張していくのは当然として、ここで少しばかり注目すべきなのは「昨年1月に学会としての要望事項をまとめて相談するよう厚労省から要求され、6月に要望した」という一文ですよね。
かねて中医協からの医師会外しなどの話を見ても判る通り、医療行政において旧来の団体が「指定席」を失いつつあるということは確かですが、一方で行政の側にしてもそれは医療に対する窓口を狭めるという意味もあるわけですから、何かしらそれに代わるものを用意したいと考えるのも当然でしょう。
こうした交代要員として各診療科の代弁者たる学会組織が適当なのかどうかは判りませんが、もう少し診療科横断的な活動をしている医療系団体というのは医師会以外にももちろんあるわけですよね。

再診料引き下げ「初めから頭にあったのでは」-日病協・邉見副議長(2010年02月26日CBニュース)

 日本病院会など11団体でつくる「日本病院団体協議会」(日病協、議長=小山信彌・日本私立医科大学協会病院部会担当理事)は2月26日、代表者会議後に記者会見を開いた。会見で邉見公雄副議長は、来年度の診療報酬改定における医科の改定率の内訳が示されたことについて、「入院」の点数を充実させようという民主党の意図との認識を示した。その上で、「外来」の財源について言及し、「外来には救急、小児、周産期もあるから、再診料は下げるというのが、頭に初めからあったのではないかというふうな感じはする」と述べた。

 邉見副議長は「逆にいえば、厚労省の役人が怒られても『政権与党が悪い』という逃げ道をつくるための一つの布石だったかもしれない」とも述べ、「そこは良く解釈するか、悪く解釈するかによる」とした。
 また「外来診療料」について、「(再診料の議論に)出すと69点とか下がる恐れがあるから、意図的に出さなかった」と明かした。

■「特定看護師」、見解は未統一

 また、日本医師会が創設に断固反対の姿勢を示す「特定看護師」(仮称)に関連して、小山議長は看護師の「職掌拡大」には前向きな姿勢を示した。さらに邉見副議長も、医師の補助者として看護師の業務を増やしていく方向では「皆一致している」と述べたが、「特定看護師」の是非については日病協で統一的な方向性はまだ出ていないとした。

前段部分にしてもすでに開業医再診料切り下げで頭に血がのぼっている医師会との温度差を感じさせますけれども、とりわけ後段の特定看護師制度創設に対する見解などは、「日医のすべてを懸けて反対」とまで言い切った先日の医師会のコメントと比べると、明言は避けながらもあきらかな差があるところですよね。
衰退した医師会にかわる新たな医師系団体としてどこが出てくるのかと注目されているところですけれども、近年の勤務医優遇政策と絡めて考えると行政側としても病院系団体を無視するわけにはいかないだろうと思える一方、逆に医師会の方ではますますかたくなに政権との距離をおいてきているようにも見えるのは興味深いところです。
唐沢会長が親自民・反民主路線の継続を公言している医師会としてはおいそれと民主党の政策に賛成を唱えるわけにもいかないという事情もあるのでしょうが、医療業界内でも賛否数多であるだろう特定看護師制度あたりをとっかかりに、そろそろ政権との距離感絡みで医師会とは違うぞという独自見解をアピールしていく団体は今後も増えてくるんじゃないかと思いますね。

この夏にはまた参院選がありますけれども、とりわけ前回の衆院選を踏み絵にして医師会と歯科医師会の待遇があれほど露骨に分けられたという史実を前にすると、各医療系団体も政権との距離の置き方について色々と悩むところが多いのではないかと思います。
すでに久しく以前から医師会などより看護協会の方がはるかに大きな政治力を持っているとはよく言われるところですけれども、非常に面白いなと思うのは相変わらずマスコミなどが医療系圧力団体の代名詞として取り上げるのは有名無実となりつつある医師会ばかりで、言ってみれば他団体は国民の目線が届かない水面下で好き放題出来たという側面もあったわけですよね。
そうした状況の中で非常にさりげなくこういうニュースが流れてきているあたりにも興味深いものがありますけれども、これも一般紙などではほとんど取り上げられない話題の類かなという気がします。

参院選での民主支援確認 医療技術者7団体、小沢氏と面会(2010年2月26日日経ネット)

 民主党の小沢一郎幹事長は26日、日本臨床衛生検査技師会など医療技術者7団体の代表と面会した。7団体側は政策要望書を小沢氏に手渡し、夏の参院選での民主党支持を約束した。面会後、日本臨床衛生検査技師会の小崎繁昭会長は記者団に「政権与党になった民主党と接触する機会がなかった。我々が抱える問題を解決してほしいと申しあげた」と語った。

 これまで7団体は自民党を支援してきたが、政策を実現するメドがつかないなどの理由で、民主党支持に転じた。出席者によると、団体の要望に小沢氏は「医療技術者の働きは重要だ。政策実現のため力を合わせよう」と応じた。7団体の会員数は合わせて約16万7千人になる。

コメディカル7団体が民主党に要望書を提出(2010年3月1日CBニュース)

 日本放射線技師会や日本作業療法士協会など7分野のコメディカルの職能団体はこのほど、各団体の要望書を民主党に提出した。日本放射線技師会は、診療放射線技師教育を4年制とし、卒後臨床研修制度を導入することなどを要望している。

 日本放射線技師会の要望書では、既存の診療放射線技師の教育について「臨床実習の単位数が少ない」「基礎医学や臨床医学の充実が必要」などと指摘。養成教育の内容を見直し、4年制大学化や卒後臨床研修制度の導入などを要望している。

 また、同会が独自に認定し、放射線の管理や医療被ばくの情報開示を行う「放射線管理士」や、医療施設の放射線関連機器の保守や点検をする「放射線機器管理士」の専門職を有効活用することを求めている。

 一方、日本作業療法士協会は、2012年度の診療報酬と介護報酬の同時改定で、地域生活移行支援を推進することなどを要望。具体的には、▽リハビリステーションスタッフの急性期病棟への配置▽「単独型の訪問リハビリテーション・ステーション」の創設▽地域包括支援センターへの作業療法士の配置―を求めている。

全般としては昨今珍しくもない「ブルータス、お前もか」な話ですが、面白いのは放射線技師なども今の現場でさほど余っているというわけでもないと思いますけれども、教育年限延長(従来は短大卒でも可)や卒後臨床教育制度導入などを主張するというのは、早くも将来を見据えて供給抑制をかけようとしているということなのでしょうか。
ちなみに医師会の会員数は16万3千と言いますからほぼ7団体と同等程度ですが、これが看護協会ともなりますと一気に60万を超えますから、その政治力が医師会など足元にも及ばないというのも当然だと納得するところですよね。
良くも悪くも一挙手一投足がマスコミからも世間からも(多くは非好意的目線で、でしょうが)注目されている医師会と比べて、これら諸団体は注目度は低いですが実際にはそれだけの力はあるわけですから、医療行政の行方を考える上で無視するわけにはいかないはずなのに、あまりに情報が少ないというのは困ったものだと思います。

例えば前述の特定看護師制度に関しても一番の当事者といえば看護協会ら看護系団体となるはずですが、先日その看護協会が初めて公式見解として日本版ナースプラクティショナー(NP)の創設・法制化を求める意見書を厚労省に提出したというニュースは、言ってみれば筋違いの医師会の反対意志表明と比較しても意外なほど注目されていませんでした。
この件なども推測するに看護業界内部においても恐らく異論数多なんだろうと思われるところですし、一般論的に権限拡大を是とするだろう業界団体としては妙に賛意表明が遅れたのもそのあたりの影響かとも推測するのですが、最近やたらと情報発信が多い(苦笑)医者と比べるとネット上でも今ひとつコメディカルの声が聞こえてこないという印象ですね。
いずれにしても夏の参議院選挙が近づくほどに業界団体と政治・行政との関わり方が今以上に問われるようになってくるのでしょうが、当「ぐり研」でも今後はこういったコメディカル領域の動きもより積極的に取り上げていくべきなのかと思っています。

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2010年3月 2日 (火)

大淀病院民事訴訟、原告側の請求を全面棄却

スレタイの通りでした、と言ってしまえばそれまでの話なんですが、何しろアッと驚く為五郎な医療訴訟であるだけに、判決が出るまでかなりハラハラドキドキだった人も多かったのではないかと思います。
まずは心ならずも被告人席につかされる事となった大淀病院産婦人科の先生に今回の判決のお喜びを申し上げますと共に、不幸にして亡くなられた患者さんに改めて哀悼の意を表させていただきます。
判決の詳細に関しては「産科医療のこれから」さんなど各方面で取り上げられていますものをご検討いただければと思いますが、全面的に原告側の主張を退けると言う結論以上に、各事実の認定や判断などを見ても医学的見地から見ればまず妥当かと思われるところではないかと思いますね。

さて、本日は例によって各新聞社の記事を引用してみたいと思いますが、ざっと見て判ることに記事の内容以上にタイトルに心情が現れるものなんだなということで、これも名は体を表すということなのでしょうか?
これともう一つ、かなり踏み込んだ内容の付言というものが出されているということで各社大なり小なり言及していますけれども、この付言について何より注意していただきたいのは「国、地方自治体に対して」その責任を厳しく問う内容であったということです。
裁判所が個別の民事訴訟で直接関連のない国や自治体に言及するのもどうしたことかと思うでしょうが、実際の内容を見てみますと医師の過重労働問題など確かにこれは社会システムの問題だという指摘で、医療現場もまたその被害者であるとも言えるような内容ではあるわけです(こういう「ポエム」を判決につけるのが妥当かどうかはまた別の議論として)。
こうした付言の内容、向けられた対象が何だったのかという点に留意しながら記事を読んでいただくと色々と面白いことが見えてくるかとも思いますけれども、まず最初は読売新聞から取り上げてみましょう。

転院拒否で妊婦死亡、遺族の賠償請求を棄却(2010年3月1日読売新聞)

 奈良県大淀町立大淀病院で2006年8月、出産時に意識不明になった高崎実香さん(当時32歳)が計19病院に転院を拒否された末に死亡した問題で、夫の晋輔さん(27)と長男、奏太(そうた)ちゃん(3)が「主治医の判断ミスで転院が遅れた」として、町と主治医に計約8800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が1日、大阪地裁であった。

 大島真一裁判長(島村雅之裁判長代読)は「主治医に過失はなかった」として請求を退けたが、国や地方自治体に対し、救急医療体制の充実を求める異例の付言をした

 判決によると、実香さんは06年8月8日未明、大淀病院で出産中に頭痛を訴えて意識を失い、けいれん発作を起こした。約6時間後に大阪府吹田市の国立循環器病センターに搬送され、奏太ちゃんを出産したが、8日後、脳出血で死亡した。

 遺族側は「頭部CT検査を行うべきだった」と主張したが、判決は「CT検査を実施すると、検査中に搬送先が決まる可能性が高く、検査より搬送を選択した判断は十分に合理的だ」とした。

 また、付言の中で大島裁判長は「大淀病院の常勤産科医は被告となった主治医だけで、夜を徹して転送手続きを行い、午前中の診察にあたった」と指摘。過重労働となっている医療体制の現状について、「勤務医の立場からも患者の立場からも許されない。実香さんの死を無駄にしないためにも、産科などの救急医療体制が充実し、一人でも多くの人の命が助けられることを切に望む」とした。

 判決後、晋輔さんは「判決に納得できない部分はあるが、『実香の命が少しでも役に立つように』と言ってもらえてよかった」とし、「医療界は、付言を真剣に受け止めてほしい」と訴えた。

 西浦公章・町立大淀病院長の話「様々な観点から審理が尽くされた結果だと受け止めている。今後、医療体制の充実に努力する」

のっけから基本的なことに突っ込ませていただいて申し訳ありませんが、本件は転院拒否ではなく受け入れ不能の事例であったと思います(某新聞などは嬉々として「たらい回し」と社説でバッシングしていましたけれども)。
ついで注目すべきは付言の内容に関する非常に中途半端な引用(この引用の仕方では付言内容の文脈が判りませんよね)と共に、さりげなく高崎氏のコメントという形で付言の矛先がすり替えられているという点ですが、このあたりに読売新聞社の意志が見え隠れしているようにも思えるところですね。
そうした付言の内容についてもう少し踏み込んでいるのが為政者批判はお手の物という(苦笑)朝日新聞の記事ですが、これを読むと「死亡はやむを得ない事例だが、敢えて誰が悪かったかと言えば国や自治体が悪かった」という付言の主旨が概観出来る内容となっているようです。

「救急は名ばかり」大阪地裁言及 妊婦の遺族訴えは棄却(2010年3月1日朝日新聞)

 奈良県大淀町の町立大淀病院で2006年8月、出産中に意識を失った高崎実香さん(当時32)が19病院から受け入れを拒否された末に脳内出血で死亡したことをめぐり、夫の晋輔さん(27)=奈良県三郷町=ら遺族が大淀町と当時の担当医師(62)に慰謝料など約8800万円の賠償を求めた訴訟で、大阪地裁の大島真一裁判長(島村雅之裁判長代読)は1日、医師の過失を認めず、遺族の請求を棄却する判決を言い渡した。

 しかし判決は、判決理由を述べた後に「付言」として異例の意見を述べ、妊婦らの救急搬送先が決まらず、30分以上待機した例が08年に全国で約1千件あったなどとする消防庁発表の調査を挙げ、「救急医療とは名ばかり」と批判。「救急医療の整備・確保は国や地方自治体の最も基本的な責務」と言及した。

 判決によると、実香さんは入院中の06年8月8日午前0時すぎ、頭痛を訴え、意識を失った。担当医は、午前1時37分ごろにけいれんが起きると、妊婦がけいれんを起こす「子癇(しかん)」と診断。午前1時50分ごろ、奈良県立医大病院に受け入れを依頼したが「満床」で受け入れられず、同病院などを介して病院を探した。搬送先が決まったのは午前4時半ごろで、午前6時前に国立循環器病センター(大阪府吹田市)へ搬送された。

 実香さんは同センターでCT検査を受け、脳内出血が判明し、帝王切開で長男を出産したが、8日後に死亡した。

 判決は、脳外科医の鑑定などをもとに、脳内出血は午前0時ごろに起き、午前2時すぎには救命困難だったと認定した。そのうえで、担当医の過失の有無を検討。午前0時すぎは血圧などに問題なく、経過観察をしたのは不適切と言えず、1時半すぎにけいれんが起きた時点で脳の異常を疑うことができたとした。

 しかし、これまでの担当医の経験から1時間程度で搬送先が決まると判断して高次医療機関への搬送を優先させ、その妨げとなり得るCT検査をしなかったことは不適切と言えないとした。そのうえで、病院側が最善の策をとったとしても、助かる可能性は極めて低かったと指摘した。

 判決は付言で、大淀病院のように常勤の産科医が病院に1人しかいない「一人医長」の問題にも触れ、実情を放置しておくことは勤務医だけでなく患者の立場からも許されないとした。

簡潔ながら概ね過不足のない判決の要約かとも思うところで、いかにも朝日が好きそうな話題の割には情緒的なコメント引用も含まれていないなど、比較的抑制の効いた内容なのではないかなとも思うのですが如何でしょうか?
しかしいつも思うんですが、朝日と言う会社の記事は全く何も判っていないような駄文もあれば意外によく見てるな?と思わされるような一文もあったりで、毎回毎回内容が安定しないというのはどういうものなんですかね?
そういう点ではある意味で毎回極めてレベルの安定した医療記事を書いてくることでは定評のある産経新聞ですけれども、こちらは二つを合わせて引用してみましょう。

奈良の妊婦遺族の請求棄却 「救命の可能性低かった」 大阪地裁(2010年3月1日産経新聞)

 奈良県大淀町の町立大淀病院で平成18年8月、分娩(ぶんべん)中に意識不明に陥った同県五條市の高崎実香さん=当時(32)=が19病院から転院を断られた末に死亡した問題で、夫の晋輔さん(27)らが診断ミスが原因として、町と同病院の担当医に約8800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が1日、大阪地裁であった。大島真一裁判長(島村雅之裁判長代読)は「最善の措置をして直ちに搬送しても、病態の進行が急激で救命の可能性は極めて低かった」として請求を棄却した。

 判決によると、実香さんは18年8月7日に分娩が始まり、8日午前0時過ぎに脳出血して意識を失った。医師は午前1時50分に転送先を探し始め、午前5時ごろに大阪府内の病院への転送を開始。実香さんは16日に脳出血で死亡した。

 原告側は「脳病変を疑ってCT検査を実施するべきだった」と病院側の過失を主張したが、大島裁判長は「CT検査が早期搬送の妨げとなることも考えられ、検査よりも高度医療機関への迅速な搬送を優先した判断に過失があったとは認められない」とした。

 判決を受けて原告の晋輔さんは「残念。実香に申し訳ない」と話した。控訴については今後検討するという。一方、大淀病院は「判決は審理が尽くされた結果。病院としてはさらに医療体制の充実に努力する」とコメントした。

「医療体制充実を」奈良の妊婦死亡訴訟で大阪地裁が異例の付言(2010年3月1日産経新聞)

 大島真一裁判長は判決の最後に「命を守ることは国や地方公共団体に課された義務であり、命の大切さをもう一度考えることが必要」とした上で、「産科などの救急医療体制が充実し、1人でも多くの人の命が助けられることを望む」とする異例の付言を行った。

 高崎実香さんの死亡後も同じ奈良県や東京都で妊婦の搬送先が見つからない事例が相次ぎ、社会問題化した。奈良県はその後、総合周産期母子医療センターを設置して受け入れ数を増やし、妊婦の県外搬送はほとんどなくなった。厚生労働省は周産期医療と救急医療の連携について検討を進め、今年1月に都道府県に体制整備を要請している。

 奈良県の担当者は「同じことは二度と起こらない」と力を込めるが、一方で、医師や看護師の不足や過重労働という問題は残る。付言は医師の過重労働も「必要な措置を講じる必要がある」と指摘した。

 夫の晋輔さんは付言について、「実香の命が少しでも役に立ってほしい。付言を医療関係者が厳粛に受け止め、改善していくことを切に願う」と訴えた。

一つ目の記事、一見すると淡々と事実に即して記載しているようにも見えますけれども、まさに判決のキモとも言うべき「なぜ搬送にこんなに時間がかかったのか」という点に関して何ら内容を引用しないまま単に数字を並べることで、「午前0時に脳出血で意識も失っているのになぜ搬送先探しが1時50分から?」という当然の読者の疑問を誘っていくのがいつもの産経流といった感じですかね(苦笑)。
高崎氏のコメントに関しても敢えて「残念。実香に申し訳ない」という部分だけを引用して不当判決のイメージを強調しておいた上で、後段の記事において最後にさりげないミスリードを噛ませることで全体の方向性を誘導していくあたり、いつもの事ながら手馴れたものだなと感じさせるものがあります。
さて、皆さんが最も注目しているであろう(苦笑)毎日新聞ですけれども、当然ながら他紙と比べても異例とも言うべきかなり大きな扱いになっているようですね。

奈良・妊婦転送死亡:賠償訴訟 「救急充実願う」大阪地裁、判決言及 遺族請求は棄却(2010年3月2日毎日新聞)

 奈良県大淀町立大淀病院で06年8月、同県五條市の高崎実香さん(当時32歳)が分娩(ぶんべん)中に意識不明となり、19病院に受け入れを断られた末、転送先で死亡した問題を巡り、遺族が町と産科医に約8800万円の賠償を求めた訴訟の判決が1日、大阪地裁であった。大島真一裁判長(島村雅之裁判長代読)は遺族の請求を棄却した。しかし、3時間以上も転送を待たされた経緯に触れ「産科救急医療の充実を願う」と付言した。【日野行介】

 原告は、夫晋輔さん(27)と転送先で生まれた長男奏太ちゃん(3)。主な争点は、産科医が頭部CT検査を実施せず、死因となった脳内出血ではなく妊娠高血圧症の子癇(しかん)とした診断の過失と、救命可能性の有無だった。

 判決は、脳内出血が発生した時刻を、実香さんが頭痛を訴えた06年8月8日午前0時ごろと推認。その上で、「設備の整った医療機関にできるだけ迅速に搬送することを優先させた判断は不適切とは言えない」と産科医の過失を否定した。

 転送時期と実香さんの死との関係については「仮に(初期段階で)脳の異常を診断し、(設備の整った)奈良県立医大に搬送したとしても、手術開始は午前3時半ごろと考えられ、救命の可能性は極めて低かった」と述べ、請求を全面的に退けた。

 一方、判決要旨の朗読後、大島裁判長は産科救急医療の現状に触れ、「重症患者でも現場で搬送先を探しているケースが多く、『救急医療』とは名ばかりだ。人の命を守ることは国や地方自治体に課された責務で、産科など救急医療の再生を強く期待したい」と述べた。

 ◇実香の命の重さ感じた 夫、無念さと期待と

遺族の願いはかなわなかった。奈良県大淀町立大淀病院で分娩(ぶんべん)中に意識不明となり、19病院に転送を断られた末、死亡した高崎実香さん(当時32歳)の医療訴訟。大阪地裁は1日、町と産科医側への賠償請求を退けた。しかし判決は、実香さんの死後に浮き彫りになった産科救急医療体制の不備を指摘した。夫晋輔さん(27)は「判決は残念で実香に申し訳ない気持ちだが、裁判所の意見は良かった」と複雑な心境を語った。

 晋輔さんは法廷の原告席に背筋を伸ばして座り、じっと目を閉じたり、ハンカチで目を押さえたりしながら、判決に聴き入った

 晋輔さんは毎回、裁判に出席する一方、各地で講演会などに参加し、産科医療の改善を呼びかけてきた。訴訟を起こしたことで、インターネットの掲示板でいわれのない批判や中傷も受けた。それでも法廷に足を運び続けたのは、実香さんが亡くなる直前に出産した長男奏太ちゃん(3)に「お母さんのおかげで産科医療が良くなったんだよ」と伝えたかったからだった。

 判決後、記者会見した晋輔さんは、請求棄却について「頭が真っ白で言葉が出ない」と唇をかみしめた。しかし、産科救急医療体制の改善を求めた裁判所の付言には、期待を込めた。「実香の命が重いことを改めて感じた。奏太に説明できると思う。医療界が受け止めて、早急に産科医療の体制を整備してほしい」と語った。また、石川寛俊弁護士は「主張が十分、受け入れられなかった。控訴するかどうかはまだ考えていない」と述べた。

 一方、西浦公章・大淀病院院長は「審理が尽くされた結果と受け止めている。産科救急医療体制の充実を強く希望するとともに、医療体制充実に努力したい」とのコメントを出した。【高瀬浩平】

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 ■解説
 ◇患者と医療界、改善へ連携を

 19病院に受け入れを断られた高崎実香さんの死は、危機的な産科救急搬送システムの実情を浮き彫りにした。賠償請求は棄却されたが、産科医不足や、産科と一般の救急医療システムとの連携の不備など、医療システム全体の問題点に一石を投じた意義は大きい

 実香さんの問題などを受け、厚生労働省は今年1月、産科救急医療を脳神経外科などと連携させるよう都道府県に通知。しかし、厚労省が昨年11月に発表した医療施設調査結果によると、分娩可能な医療施設は08年までの3年間で1割以上も減少した。背景には深刻な医師不足や過重労働があり、連携強化だけでは不十分だろう。

実香さんの遺族は「二度と同じ事故が起きてほしくない」との思いから体験を講演などで訴えているが、医療界には「訴訟が多いから産科医が減る」などと遺族側を批判する意見もあった。救急医療体制の充実に向けて、患者側と医療界が手を携えて動いてほしい。【高瀬浩平】

今更本件と毎日新聞社との関わりについて知らないお方もいないでしょうが、復習がてらもう一度という方々はとりあえず参考までにこちらなどをご覧いただければと思います。
さすがに事件が公になる前から独自取材?を行ってきたというだけの事はあってコメントも豊富で、高崎氏の心情などもまるで我が事のように判ると言う毎日新聞ですけれども、やはりここは「遺族の願いはかなわなかった。」の一文を是非とも入れたかったんでしょうねえ。
同様に毎日として是非とも入れたかったのは「医療界には「訴訟が多いから産科医が減る」などと遺族側を批判する意見もあった。」の一文でしょうが、医療界ではなく医療関係者も含むネット上のごく普通の人々が批判の主体であって、その対象は何よりも毎日新聞であるということには全く言及しないのは全くフェアではないと感じられます。

さて、以上のように主要各社の報道を見てきましたが、本件の場合判決内容そのものはまずまず妥当かと思われるところですけれども、その前段階として医学的にごく妥当な内容と思われる鑑定書が出されていることに着目したいですね。
しばしば言われるトンデモ判決の原因として、トンデモ理論に基づいたトンデモ鑑定書の存在というものがようやく注目されるようになってきましたけれども、本件のような世間的な関心も極めて高い事例においてはさすがに鑑定人もまともな人選が行われたと言うことなのでしょうか。
問題は医療業界内においてこういう鑑定人としての業務に関する正しい教育システムもチェック機構も全く存在していないということで、医療業界の今後の課題として医療それ自体のレベルアップと同じくらいにこの方面のレベルアップにもきちんと力を注いでいかないことには、例え第三者機関が出来たところで正しい再発防止策も検証できない上に、何より現場の士気が崩壊し医療システムが維持できなくなる大きな要因にもなってくるんじゃないかという気がします。

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2010年3月 1日 (月)

事故調議論は振り出しに?そして本日大淀事件判決…

総論賛成、各論反対と言えば何やら「さっさと決めてしまわんかい!」と言いたくなるような話も多いですけれども、議論の叩き台自体がひっくり返りそうな勢いなのが最近の事故調議論です。
旧政権下ではいつの間にか厚労省側の容易してきた大綱案に基づいて全国各地でシンポジウムという名の説明会?が開催されるなど、反対論・慎重論を無視するかのような無理押しが目立っていたところが懸念されていたわけですが、これがかねて自案を厚労省に黙殺されてきた民主党政権になりますと、今度は厚労省案の方が闇に葬られかねないというのですから面白いものです。

死因究明、現時点で法案化するなら「民主党案」―民主・梅村氏(2010年2月22日CBニュース)

 民主党の梅村聡参院議員は2月22日、日本救急医学会が開催したランチョンミーティングで、医療事故の調査に関する民主党の考え方について講演した。この中で、院内での調査委員会や医療メディエーター(対話促進者)の活用などを盛り込んだ民主党案が2008年6月に党内決定されていると指摘。現時点で国会に法案を提出する場合は、厚生労働省が同月に公表した「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」ではなく、「民主党案、もしくは民主党案を骨格にした法律案」を提出するとした。

 このほか、厚労省の大綱案と民主党案の違いにも言及。民主党案のキーワードを「Autonomy(自律)」、大綱案は「Authority(権威)」とした上で、「Authorityに頼った解決は手続きがクリアで楽だが、そこに頼った解決を医療界が選択すれば、永遠に国民の皆さん、患者さんから信頼を勝ち取ることができないことにつながる」と強調。「今、やらなければならない医療界の自律的な働きから手を離すことをどう考えるのかという重大な視点を忘れているのではないか」と述べた。
 一方、民主党案については、「普段、医療界でやっている自律性をそのまま医療事故の場面でも医療紛争の場においても発揮してくださいということ」と述べ、大綱案の対案としてではなく、全く違う思想の下に作られていると強調した。

 今後のタイムスケジュールについては、来年の通常国会で法案が出るかどうかは「不透明」としつつも、「少なくともその時点までに一定の検討を加えていく」とした。

医療事故調、大綱案見直し 厚労政務官が意向表明(2010年2月23日47ニュース)

 厚生労働省の足立信也政務官は23日、2008年6月に同省が公表した医療事故の原因究明に当たる第三者組織「医療安全調査委員会」(仮称)設置法案の大綱案について「そのまま成案になるということはないと考えている」と述べ、見直しに着手する考えを示した。衆院予算委員会で民主党議員の質問に答えた。

 民主党は野党時代の08年6月、各医療機関内に設ける委員会での「院内調査」を原則とする独自案を作成している。厚労省は今後、両案を比較しながら、原因分析を担う医療版事故調の在り方について慎重に検討を進める構えだ。

 ただ、医療事故の被害者や遺族の間には、再発防止の徹底に向け中立公正な第三者組織の早期設立を求める声も根強く、足立政務官の対応には反発も出そうだ。

 厚労省の大綱案は、(1)新組織の調査チームは医師や法律家らで構成(2)解剖結果やカルテの分析、関係者からの聞き取りを実施し、報告書を作成(3)標準的な医療行為から著しく逸脱した医療と認められる場合、新組織から警察に通知―などを柱としている。

 しかし一部の医療関係者は、警察への通知を認めた点について「むやみな捜査介入を招く」と批判

「医療事故の被害者や遺族の間には、再発防止の徹底に向け中立公正な第三者組織の早期設立を求める声も根強」いということであればなおさら、真実を証言すれば自分が不利になる大綱案では再発防止に結びつく正しい教訓は得られないということは、かねて航空事故調との比較においても批判が繰り返されている話です。
このあたり大綱案が全く合目的的でない制度設計であることが明らかであると指摘されているにも関わらず「とりあえずまずは開始しろ」と主張を繰り返すというのであれば、あるいは表に掲げた看板の裏に何かしら別な意図でもあるのかと痛くもない腹を探られることにもなりかねませんから、肝心なところを曖昧にしたままの高度に政治的な判断に基づいた決着と言うものは避けなければならないでしょう。
そしてもちろん、再発防止の徹底ということであれば医療業界内部でも幾らでも行っていけることはあるわけですから、事故調議論の行方に関わらず業界内部でも引き続き自律性を発揮していく必要があることは、梅村氏に指摘されるまでもなく言うまでもない話ですよね。

さて、奈良・大淀病院事件の民事訴訟判決が今日出るということはすでに各方面からアナウンスされていますけれども、なかなか世間の関心も高いようですね。
「産科医療のこれから」さんではかねて大淀事件の傍聴記を掲載いただいていますけれども、「マスコミ各社が傍聴券を並んだり、以前もそうでしたが原告側の弁護士さんゼミ学生が総動員されて、傍聴券に並んだり」でなかなか傍聴も大変なんだそうで、毎度毎度頭が下がります。

「妻は助かったのではないか」奈良・妊婦死亡訴訟判決前に夫が心境(2010年2月26日産経新聞)

 奈良県大淀町の町立大淀病院で平成18年8月、分娩(ぶんべん)中に意識不明に陥った五條市の高崎実香さん=当時(32)=が19病院から転院を断られた末に死亡した問題で、夫の晋輔さん(27)らが診断ミスが原因として、町と大淀病院の担当医に対して約8800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が3月1日、大阪地裁で言い渡される。晋輔さんは26日、大阪市内で取材に応じ「裁判を通じて、実香が助かったのではないかと強く思った」と話した。

 被告側は母体救命体制の不備などを指摘して「医師は最善を尽くした」と主張しており、地裁の判断が注目される。

 訴状などによると、実香さんは18年8月7日、分娩のため同病院に入院。陣痛が始まった後に頭痛を訴え、8日午前0時過ぎに意識を失った。家族は脳の異常の可能性を訴えたが、医師はCT検査を行わず、午前6時ごろに大阪府内の病院に転送。実香さんは同16日、脳出血で死亡した。

 原告側は「医師はCT検査を実施し、脳出血と診断して高度医療機関へ転送すべきだった」と主張。一方、被告側は診断が適正だったとした上で「脳出血を理由に転送されても、同じように受け入れ不能だった」として棄却を求めている。

 晋輔さんは「子供が大きくなったときになぜ母親が死んだのか、納得のいく答えを出してやりたかった」と提訴の理由を振り返った上で、「二度と同じことが起こらないようにしてほしい」と改めて訴えた。

奈良・妊婦転送死亡:賠償訴訟 救命可能性どう判断 診断ミスも争点--来月1日判決(2010年2月27日毎日新聞)

 奈良県大淀町立大淀病院で06年8月、同県五條市の高崎実香さん(当時32歳)が分娩(ぶんべん)中に意識不明となり、転送先で死亡した問題を巡り、遺族が町と産科医に約8800万円の賠償を求めた訴訟の判決が3月1日、大阪地裁で言い渡される。主な争点は、転送の判断に影響した診断ミスと救命可能性の有無。19病院に転送を断られたことから、産科救急医療体制の不備も浮き彫りになった問題で、司法判断が注目される。【日野行介、高瀬浩平】

 原告は、夫晋輔さん(27)と転送先で生まれた長男奏太ちゃん(3)。

 訴えなどによると、実香さんは06年8月7日、分娩のため同病院に入院。8日午前0時ごろ頭痛を訴え、間もなく意識不明になり、けいれんを起こした。産科医は妊娠高血圧症の子癇(しかん)と診断。病院は産科救急の転送先を探し始めたが、19病院から受け入れを断られた後、同5時47分ごろ、約60キロ離れた国立循環器病センター(大阪府吹田市)に搬送された。

 頭部CT検査で血腫が見つかり、帝王切開で奏太ちゃんが生まれたものの、実香さんは同月16日、脳内出血で死亡。原告側は「当初から脳の異常を疑っていれば、適正な対応ができ、救命できた」と主張し、町と産科医側は「当初の段階では誤診とは言えず、救命可能性もなかった」と反論している。

 裁判では、別の産科医と脳外科医が鑑定を実施し、産科医は「脳内出血と子癇は症状が類似しており、診断は不適切ではない」と判断。脳外科医は「脳内出血は午前0時ごろ発生したと考えられる」とし、2人とも「脳内出血の可能性を考慮すべきだったが、(その場合は)短時間での手術が必要」などとして救命は困難だったと指摘した。鑑定結果が判決でどう評価されるかが焦点となりそうだ。

 判決を前に26日、大阪市内で記者会見した晋輔さんは「奏太に母親がなぜ死んだのかきちんと説明したい」と述べ、判決に期待を寄せた。

この一件を巡っては医療と無関係な人々からも青木絵美氏を始めとする毎日新聞奈良支局の動きに疑問の声が上がっていましたけれども、その一連の騒動の発端とも言うべき毎日新聞にしてからがこうまで引いた記事になってきている、また近頃では何やら「医者も大変だよ」なんて特集まで組んでいたりするあたりに、何やら時代も変わったなと感じるところではありますかね。
この件が非常に興味深いと思われるのは、例えば上述の記事の中にもありますように原告の高崎氏側は「きくなったときになぜ母親が死んだのか、納得のいく答えを出してやりたかった」だとか「二度と同じことが起こらないようにしてほしい」といったように、真相究明と再発防止ということを今回訴訟の大きな動機としていることをかねて述べていらっしゃるわけですね。
ところが「産科医療のこれから」さん達有志のご尽力による傍聴記を拝見してみますと、どうもこういう割にはずいぶんと非合目的的なことをされて来たんだなという印象も拭えないところなんですね。

大淀事件 証人喚問 高崎さん編(2008年7月15日ブログ記事)より抜粋

(略)
病院側弁護士(金)
 先日、国循の池田先生(産婦人科部長)からお子さんの出産時の状況はかなり危なかったので、その後の発達の状態が心配なので、たびたび診せにくるようにお話したはずだが一度も来られないと心配しておいででした。新聞やテレビを見る限り、元気そうだから良かったともおっしゃっていましたが、そう説明された覚えはありませんか?

高崎さん
 記憶にありません。。。でも2-3度小児科の方に他のことで受診しています。

病院側弁護士(金)
 10月10日の話合いには私も参加していましたが、本件が報道される前の話ですが、国循のカルテ開示は御家族でないとできないので、そちらからカルテやCTを取り寄せていただいて、その後お話しする予定でしたよね。約束しましたよね?私どもはお待ちしていたのですが、国循から資料を取り寄せする努力はしていただいたのでしょうか?

高崎さん
 えっと、それは。。。先生にお願いしたのですが。。。。

病院側弁護士(金)
 原告側弁護士のことですか。

高崎さん
 はい。

病院側弁護士(金)
 手続きしていただいたかどうか質問しているのですが。

高崎さん
 していません。
(略)

病院側弁護士(金)
 病院との約束を結果的に反故にしたわけですね?

高崎さん
 はい。

病院側弁護士(金)
 先週ね、国循にみんなで揃っていって産婦人科の先生と脳外科の先生にお話をきいてきました。でもあなたはこなかった。どうしてですか?

高崎さん
 。。。。仕事が入っていまして。。。。特別な仕事で。

病院側弁護士(金)
 一ヶ月以上前から予定日は決まっていたはずです。予備日もあったはずです。シフトを変えてもらったりできなかったのですか?

高崎さん
 。。。。仕事の日にちはかえられないものと私は認識していました。

病院側弁護士(金) 
 あなたは真実を知りたいと常々言ってきましたが、「真実より仕事」と言うわけですね

高崎さん
 。。。。。。
 (裁判官にまぁまぁと言われる。)

(略)  

病院側弁護士(う)
 へんなことを聞くな、とお思いかもしれませんけれど、大事なことで、そちらは弁護士費用まで請求されているものですからきちんと答えてくださいね。
 10月10日の病院との話合いの時には裁判する意志はなかったとさっき仰られた。で、全国的に大々的に報道をされたのが10月17日です。このときは裁判の決意をされていたわけですか?

高崎さん
 いえ、していません。

病院側弁護士(う)
 報道の方と知合ったのが10月14ないし15日ということでしたね。原告側弁護士はそれから知合ったということになりますよね。ところで裁判をしようと思われたのはいつごろですか?

高崎さん
 3度目の話合いを病院に断られてからです。ミスを認めてほしかった。誤診と、搬送をもっと早くできなかったのかということを。

病院側弁護士(う)
 0:14の意識消失から1:37の痙攣までの間が今争点になっていますよね。
 素朴な疑問なんですけれどね、0:14の時点ではCTを撮らなくていい、脳疾患ではないと決めたのは内科医の先生なんですよね。1:37にはCTの話はともかく搬送の準備を始めています。
 どうして訴えている相手が、内科医じゃなくって、産婦人科医なんでしょうか

高崎さん
 それは。。。。。。。(黙り込む)

病院側弁護士(う)
 ところで国循の先生からきいた話では、もう入院中の時点から報道の方から問い合わせの電話などが入っていたと聞いているんですが、知っていましたか?

高崎さん
 知っていました

病院側弁護士(う)
 それは毎日新聞でしたか?

高崎さん
 知りません。
(略)

しかし弁護士先生も毎日新聞にこだわるかと思うところですが(苦笑)、ここで注目すべき点としては高崎氏が国循のカルテ取寄せを「家族でないと請求できないから」とわざわざ大淀病院側からも頼まれていたにも関わらず行わなかったり、国循での関係者が揃っての話し合い(あるいは症例検討会のようなものなんでしょうか?)にも参加していなかったりと、むしろ真相究明になど関心がないかのような振る舞いをしていることですよね。
これには質問する弁護士先生も「真実より仕事」なんてきついことを言っていますけれども、一方で死因は脳出血であったことがすでに明らかであったのにも関わらず、そちらの問題に関してコンサルトされた大淀病院の内科の先生でも、実際に脳出血の治療にあたった国循の先生たちでもなく、死因については一番何も知らないであろう産科医を訴えている不思議についても突っ込んでいますね。
だから高崎氏がどうだと言うことも出来るのかも知れませんし、実際にネット上ではあちこちで突っ込まれているのも事実ですが、こういうところに前述の医療事故調議論ともつながる話の難しさというものが現れているのではないかなという気がするんですよね。

事故調の議論でいろいろと言われていることの中で一番の問題点として上げられるのが、どのように言葉を変えてみようが結局のところ処罰を前提にした大綱案方式の事故調査では、本当の真相究明には結びつかないということですよね。
この点で例えば事故調には患者側の代理人も加えるべきだなんて話も一部で出ているようですが、当事者として証言をするわけでもない無関係な代理人なるものの存在が真相究明にどんな意味があるのかと考えた場合に、どうも客観的という言葉とは裏腹にともすれば話を主観的な(あるいは、感情的な)方向にもっていこうとする意図を感じないではいられません。
別にそうした行為が良いとか悪いとか言う話とは全く違った次元で、そちらの方向に進めば進むほど真相からは遠ざかりますよということを多くの人々が危惧しているからこそ大綱案に反対論が根強かったわけですが、本来医療側も患者側も同じ「真相究明と再発防止」を目指していたはずが、ともすれば医療側対患者側という対立の構図に落とし込まれて合目的性から遠ざかるばかりなのは残念なところです。

何より真相を知りたいという患者側にとってはもちろん、正確な事実を元に最善の再発防止を図りたい医療側にとっても一番困ることは、事故調が出来てはみたものの出てくる証言が「藪の中」状態に陥ることだと思いますが、そうであるからこそ処罰を前提とした真実追求など真実からかえって遠ざかるだけだと言われるわけですよね。
「お白洲」に座らされた人間がどこまで真実を語るかと言うことを考えた場合に、何より真実を知りたいと医療訴訟の原告となった患者側が訴訟の後にはそろって「真実は何も判らなかった」と口を揃えていることからも容易に類推できるところではないかと思いますが、そうであるからこそ航空事故調などでは免責の保証と引換にしてでも証言の真実性を担保して再発防止を第一に目指しているわけです。
目的については誰も異論がない、そのために有効な方法論というものもとっくに明らかになっている、そうであるのに敢えてその道を外したいということであれば、「やはり表看板の下には何か別の…」と勘ぐられても仕方がないという話になってしまうわけですが、敢えてそうしたいという方々はきちんと説得力のある説明をしていく義務はあると思いますね。

何にしろ大淀事件の公判を通じて高崎氏らは望んだものを得られたのかどうか、本日14時開廷だと言いますから明日の朝刊には関連した記事が掲載されるんじゃないかと思いますが、報道各社がどのような記事を出してくるかといったあたりにも注目しながら結果を待ちたいと思います。

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